(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143900
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241004BHJP
F25B 1/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B1/00 396D
F25B1/00 396R
F25B1/00 397Z
F25B1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056839
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大村 峰正
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆英
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 鷹規
(57)【要約】
【課題】冷凍システムの安定性を容易に確保できる冷凍システム冷凍システムを提供する。
【解決手段】冷凍システムは、第1熱媒体を循環させる第1冷凍回路、第1熱媒体の熱エネルギを第2熱媒体に伝達可能な第1凝縮器及び第1熱媒体の冷熱エネルギを第3熱媒体に伝達可能な第1蒸発器を夫々含む複数の第1冷凍装置と、第2熱媒体が流れる第1排熱回収ラインであって、複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器に接続された第1排熱回収ラインと、第3熱媒体を循環させる第1冷熱回収回路であって、複数の第1冷凍装置の各々の第1蒸発器に接続された第1冷熱回収回路と、複数の第1冷凍装置とは異なる他の冷凍装置と、他の冷凍装置から熱エネルギを回収する熱媒体が流れる第2排熱回収ラインであって、第1冷熱回収回路又は第1排熱回収ラインの少なくとも一方に接続された第2排熱回収ラインと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱媒体を循環させる第1冷凍回路、
前記第1冷凍回路に設けられ、前記第1熱媒体の熱エネルギを第2熱媒体に伝達可能に構成された第1凝縮器、及び
前記第1冷凍回路に設けられ、前記第1熱媒体の冷熱エネルギを第3熱媒体に伝達可能に構成された第1蒸発器、を夫々含む複数の第1冷凍装置と、
前記第2熱媒体が流れる第1排熱回収ラインであって、前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器に前記第2熱媒体を流通可能に接続された第1排熱回収ラインと、
前記第3熱媒体を循環させる第1冷熱回収回路であって、前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1蒸発器に前記第3熱媒体を流通可能に接続された第1冷熱回収回路と、
前記複数の第1冷凍装置とは異なる他の冷凍装置と、
前記他の冷凍装置から熱エネルギを回収する熱媒体が流れる第2排熱回収ラインであって、前記第1冷熱回収回路又は前記第1排熱回収ラインの少なくとも一方と前記熱媒体を流通可能に接続された第2排熱回収ラインと、を備える、
冷凍システム。
【請求項2】
前記他の冷凍装置は、
第4熱媒体を循環させる第2冷凍回路、
前記第2冷凍回路に設けられ、前記第4熱媒体の熱エネルギを前記第3熱媒体に伝達可能に構成された第2凝縮器、及び
前記第2冷凍回路に設けられ、前記第4熱媒体の冷熱エネルギを第5熱媒体に伝達可能に構成された第2蒸発器、を夫々含む複数の第2冷凍装置を少なくとも含み、
前記第2排熱回収ラインは、前記第1冷熱回収回路及び前記複数の第2冷凍装置の各々の前記第2凝縮器に前記第3熱媒体を流通可能に接続され、
前記冷凍システムは、
前記第5熱媒体を循環させる第2冷熱回収回路であって、前記複数の第2冷凍装置の各々の前記第2蒸発器に前記第5熱媒体を流通可能に接続された第2冷熱回収回路をさらに備える、
請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項3】
前記他の冷凍装置は、
第4熱媒体を循環させる第2冷凍回路、
前記第2冷凍回路に設けられ、前記第4熱媒体の熱エネルギを前記第2熱媒体に伝達可能に構成された第2凝縮器、及び
前記第2冷凍回路に設けられ、前記第4熱媒体の冷熱エネルギを第5熱媒体に伝達可能に構成された第2蒸発器、を夫々含む複数の第2冷凍装置を少なくとも含み、
前記第2排熱回収ラインは、前記第1排熱回収ライン及び前記複数の第2冷凍装置の各々の前記第2凝縮器に前記第2熱媒体を流通可能に接続され、
前記冷凍システムは、
前記第5熱媒体を循環させる第2冷熱回収回路であって、前記複数の第2冷凍装置の各々の前記第2蒸発器に前記第5熱媒体を流通可能に接続された第2冷熱回収回路をさらに備える、
請求項1に記載の冷凍システム。
【請求項4】
前記複数の第2冷凍装置の各々は、
前記第2冷凍回路の前記第2蒸発器よりも下流側、且つ前記第2凝縮器よりも上流側に設けられる2段圧縮機をさらに含む、
請求項3に記載の冷凍システム。
【請求項5】
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1冷凍回路を循環する前記第1熱媒体は、二酸化炭素からなる、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項6】
前記複数の第2冷凍装置の各々の前記第2冷凍回路を循環する前記第4熱媒体は、二酸化炭素からなる、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項7】
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1冷凍回路を循環する前記第1熱媒体は、二酸化炭素からなり、
前記他の冷凍装置は、アンモニアを冷媒とするアンモニア冷凍機を含む、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項8】
前記第2熱媒体と前記第3熱媒体は、同種の熱媒体からなり、
前記第1排熱回収ラインは、
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器に前記第2熱媒体を導くための第2熱媒体導入ラインと、
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器から前記第2熱媒体を排出するための第2熱媒体排出ラインと、を含み、
前記第1冷熱回収回路は、
前記第3熱媒体を貯留するように構成された第3熱媒体貯留タンクと、
前記第3熱媒体貯留タンクから前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1蒸発器に前記第3熱媒体を導くための第3熱媒体導入ラインと、
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1蒸発器から前記第3熱媒体貯留タンクに前記第3熱媒体を戻すために第3熱媒体戻しラインと、を含み、
前記第2排熱回収ラインは、第1導入ラインを介して前記第3熱媒体導入ラインに接続され、第2導入ラインを介して前記第2熱媒体導入ラインに接続され、第1排出ラインを介して前記第3熱媒体戻しラインに接続され、第2排出ラインを介して前記第2熱媒体排出ラインに接続され、
前記冷凍システムは、
前記第1導入ライン、前記第2導入ライン、前記第1排出ライン及び前記第2排出ラインの夫々を流れる前記熱媒体の流量を調整可能に構成された複数の流量調整弁をさらに備える、
請求項2に記載の冷凍システム。
【請求項9】
前記第1排熱回収ラインは、
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器に前記第2熱媒体を導くための第2熱媒体導入ラインと、
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器から前記第2熱媒体を排出するための第2熱媒体排出ラインと、を含み、
前記第1冷熱回収回路は、
前記第3熱媒体を貯留するように構成された第3熱媒体貯留タンクと、
前記第3熱媒体貯留タンクから前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1蒸発器に前記第3熱媒体を導くための第3熱媒体導入ラインと、
前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1蒸発器から前記第3熱媒体貯留タンクに前記第3熱媒体を戻すために第3熱媒体戻しラインと、を含み、
前記冷凍システムは、
前記第2熱媒体導入ラインの前記第1凝縮器に接続される導入側分岐管、及び、前記第3熱媒体導入ラインの前記第1蒸発器に接続される導入側分岐管、の夫々を流れる前記熱媒体の流量を調整可能に構成された複数の流量調整弁をさらに備える、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍システム。
【請求項10】
前記複数の第1冷凍装置の各々は、前記第1冷凍回路、前記第1凝縮器及び前記第1蒸発器を囲む外枠体をさらに含み、
前記複数の第1冷凍装置は、前記外枠体同士を積層させる2以上の前記第1冷凍装置を含む、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷凍システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物の各室の空調や冷凍室等の冷凍を行うため、アンモニアを一次冷媒とし、CO2ブラインを二次冷媒とする冷凍装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷凍装置は、冷却対象毎に専用のブライン供給装置及びアンモニア冷凍装置が設けられているため、これらの機器に故障が生じた場合に、故障が生じた機器が担当する冷却対象の冷却ができない虞がある。このため、特許文献1に記載の冷凍装置は、その構造上、冷凍装置の安定性の確保が困難な虞がある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、冷凍システムの安定性を容易に確保できる冷凍システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍システムは、
第1熱媒体を循環させる第1冷凍回路、
前記第1冷凍回路に設けられ、前記第1熱媒体の熱エネルギを第2熱媒体に伝達可能に構成された第1凝縮器、及び
前記第1冷凍回路に設けられ、前記第1熱媒体の冷熱エネルギを第3熱媒体に伝達可能に構成された第1蒸発器、を夫々含む複数の第1冷凍装置と、
前記第2熱媒体が流れる第1排熱回収ラインであって、前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1凝縮器に前記第2熱媒体を流通可能に接続された第1排熱回収ラインと、
前記第3熱媒体を循環させる第1冷熱回収回路であって、前記複数の第1冷凍装置の各々の前記第1蒸発器に前記第3熱媒体を流通可能に接続された第1冷熱回収回路と、
前記複数の第1冷凍装置とは異なる他の冷凍装置と、
前記他の冷凍装置から熱エネルギを回収する熱媒体が流れる第2排熱回収ラインであって、前記第1冷熱回収回路又は前記第1排熱回収ラインの少なくとも一方と前記熱媒体を流通可能に接続された第2排熱回収ラインと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、冷凍システムの安定性を容易に確保できる冷凍システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍システムの回路を模式的に示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る冷凍システムの回路を模式的に示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る冷凍システムの回路を模式的に示す図である。
【
図4】
図1~
図3に示される第1冷凍装置の回路の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図1に示される第2冷凍装置の回路の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図2~
図3に示される第2冷凍装置の回路の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る冷凍システムの概略斜視図である。
【
図8】比較例に係る冷凍システムの概略斜視図である。
【
図9】比較例に係る冷凍システムから本開示の一実施形態に係る冷凍システムに改造する際の中間状態の冷凍システムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
以下の説明では、単に上流側と呼ぶ場合、方向の説明にかかる部位や領域における流体の主たる流れの方向に沿った上流側を指すものとする。同様に、以下の説明では、単に下流側と呼ぶ場合、方向の説明にかかる部位や領域における流体の主たる流れの方向に沿った下流側を指すものとする。
【0011】
(冷凍システム)
図1~
図3の各々は、本開示の一実施形態に係る冷凍システム1の回路を模式的に示す図である。
図4は、
図1~
図3に示される第1冷凍装置20の回路の一例を模式的に示す図である。冷凍システム1は、
図1~
図3に示されるように、複数の第1冷凍装置20と、第1排熱回収ライン3と、第1冷熱回収回路4と、を備える。
【0012】
(第1冷凍装置)
複数の第1冷凍装置20の各々は、
図1~
図4に示されるように、第1熱媒体を循環させる第1冷凍回路21と、第1冷凍回路21にそれぞれ設けられた第1凝縮器22及び第1蒸発器23と、を少なくとも含む。複数の第1冷凍装置20の各々は、
図4に示されるように、第1冷凍回路21にそれぞれ設けられた第1圧縮機24及び第1膨張器25をさらに含む。第1冷凍回路21は、第1熱媒体を循環させるように構成される循環系統からなり、第1熱媒体を作動媒体とする冷凍サイクルを構成する。
【0013】
第1圧縮機24は、第1熱媒体の流れ方向における第1蒸発器23の下流側、且つ第1凝縮器22の上流側に配置される。第1圧縮機24は、第1蒸発器23から導かれる第1熱媒体を昇圧するように構成される。第1圧縮機24により昇圧された第1熱媒体が第1凝縮器22に導かれる。第1圧縮機24は、不図示の電力源から供給される電力により駆動するように構成された電動圧縮機であってもよい。
【0014】
第1膨張器25は、第1熱媒体の流れ方向における第1凝縮器22の下流側、且つ第1蒸発器23の上流側に配置される。第1膨張器25は、第1凝縮器22から導かれる第1熱媒体を膨張させるように構成される。第1膨張器25により膨張した第1熱媒体が第1蒸発器23に導かれる。第1膨張器25は、
図4に示されるように、膨張弁であってもよい。
【0015】
(第1凝縮器)
第1凝縮器22は、第1熱媒体の熱エネルギを第2熱媒体に伝達可能に構成されている。第1凝縮器22では、第1凝縮器22を流れる第1熱媒体と第1凝縮器22を流れる第2熱媒体との間において熱交換が行われ、第1冷凍回路21において生じる排熱を第2熱媒体に回収させることが行われる。第1凝縮器22における熱交換により、第1凝縮器22を流れる第1熱媒体が第1凝縮器22を流れる第2熱媒体により冷却され、凝縮する。
【0016】
(第1排熱回収ライン)
第1排熱回収ライン3は、
図1~
図3に示されるように、第2熱媒体を流通させるための流路を形成するものであり、例えば、配管によって形成される。第1排熱回収ライン3は、複数の第1冷凍装置20の各々の第1凝縮器22に第2熱媒体を流通可能に接続されている。第1排熱回収ライン3は、複数の第1冷凍装置20の各々の第1凝縮器22に第2熱媒体を導くための第2熱媒体導入ライン31と、複数の第1冷凍装置20の各々の第1凝縮器22から第2熱媒体を排出するための第2熱媒体排出ライン32と、を含む。
【0017】
図1~
図3に示される実施形態では、第2熱媒体導入ライン31は、導入側本管311と、複数の導入側分岐管312と、を含む。複数の導入側分岐管312の各々は、導入側本管311に一端が第2熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第1凝縮器22に第2熱媒体を流通可能に接続されている。第2熱媒体は、各第1凝縮器22に対応する導入側分岐管312を介して導入側本管311から各第1凝縮器22に導かれる。
【0018】
図1~
図3に示される実施形態では、第2熱媒体排出ライン32は、排出側本管321と、複数の排出側分岐管322と、を含む。複数の排出側分岐管322の各々は、排出側本管321に一端が第2熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第1凝縮器22に第2熱媒体を流通可能に接続されている。第2熱媒体は、各第1凝縮器22から対応する排出側分岐管322を介して排出側本管321に導かれる。
【0019】
(冷却装置)
図1~
図3に示される実施形態では、冷凍システム1は、第2熱媒体排出ライン32の下流端部が接続され、第2熱媒体を冷却するように構成された少なくとも1つ(図示例では、複数)の冷却装置33をさらに備える。図示される実施形態では、第1排熱回収ライン3は、第1熱媒体を循環させるための流路を形成するものであり、複数の冷却装置33は、第2熱媒体導入ライン31の上流端部に接続されている。なお、複数の冷却装置33は、第2熱媒体排出ライン32の下流端部と第2熱媒体導入ライン31の上流端部との間において直列に配置されていてもよいし、並列に配置されていてもよい。複数の冷却装置33は、例えば、第2熱媒体と第2熱媒体よりも低温の熱媒体との間で熱交換を行い、第2熱媒体の熱エネルギを回収するように構成された排熱回収装置33Aであってもよいし、第2熱媒体と第2熱媒体よりも低温の外気又は冷却液との間で熱交換を行い、第2熱媒体を冷却するように構成された冷却器33Bであってもよい。
【0020】
複数の第1冷凍装置20の各々は、共通の第1排熱回収ライン3に接続されているため、第1排熱回収ライン3に排熱回収装置33Aを設けることで、複数の第1冷凍装置20から排出される排熱を排熱回収装置33Aがまとめて回収できるため、排熱回収が容易である。排熱回収装置33Aにおいて回収した排熱は、ヒートポンプ等の冷凍システム1の外部の機器の熱源として利用できる。
【0021】
図1~
図3に示される実施形態では、第2熱媒体導入ライン31における最上流の導入側分岐管312の接続位置よりも上流側に第1熱媒体を昇圧するためのポンプ(昇圧機)34が設けられている。
【0022】
(第1蒸発器)
第1蒸発器23は、第1熱媒体の冷熱エネルギを第3熱媒体に伝達可能に構成されている。第1蒸発器23では、第1蒸発器23を流れる第1熱媒体と第1蒸発器23を流れる第3熱媒体との間において熱交換が行われ、第1冷凍回路21において生成した冷熱を第3熱媒体に回収させることが行われる。第1蒸発器23における熱交換により、第1蒸発器23を流れる第1熱媒体が第1蒸発器23を流れる第3熱媒体により加熱され、蒸発する。
【0023】
(第1冷熱回収回路)
第1冷熱回収回路4は、
図1~
図3に示されるように、第3熱媒体を循環させるための流路を形成するものであり、例えば、配管によって形成される。第1冷熱回収回路4は、複数の第1冷凍装置20の各々の第1蒸発器23に第3熱媒体を流通可能に接続されている。第1冷熱回収回路4は、第3熱媒体を貯留するように構成された第3熱媒体貯留タンク41と、第3熱媒体貯留タンク41から複数の第1冷凍装置20の各々の第1蒸発器23に第3熱媒体を導くための第3熱媒体導入ライン42と、複数の第1冷凍装置20の各々の第1蒸発器23から第3熱媒体貯留タンク41に第3熱媒体を戻すために第3熱媒体戻しライン43と、を含む。
【0024】
図1~
図3に示される実施形態では、第3熱媒体導入ライン42は、第3熱媒体貯留タンク41の液相に一端が液状の第3熱媒体を流通可能に接続される導入側本管421と、複数の導入側分岐管422と、を含む。複数の導入側分岐管422の各々は、導入側本管421に一端が第3熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第1蒸発器23に第3熱媒体を流通可能に接続されている。第3熱媒体貯留タンク41から導入側本管421に導かれた第3熱媒体は、各第1蒸発器23に対応する導入側分岐管422を介して導入側本管421から各第1蒸発器23に導かれる。
【0025】
図1~
図3に示される実施形態では、第3熱媒体戻しライン43は、第3熱媒体貯留タンク41に一端が第3熱媒体を流通可能に接続される排出側本管431と、複数の排出側分岐管432と、を含む。複数の排出側分岐管432の各々は、排出側本管431に一端が第3熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第1蒸発器23に第3熱媒体を流通可能に接続されている。第3熱媒体は、各第1蒸発器23から対応する排出側分岐管432を介して排出側本管431に導かれた後、排出側本管431から第3熱媒体貯留タンク41に導かれる。
【0026】
(第1冷熱用熱交換器)
図1~
図3に示される実施形態では、冷凍システム1は、第1冷熱回収回路4に設けられ、冷却対象気体と第3熱媒体との間で熱交換を行い、冷却対象気体を冷却するように構成された少なくとも1つ(図示例では、複数)の第1冷熱側熱交換器44(441、442)をさらに備える。図示される実施形態では、複数の第1冷熱側熱交換器44の各々は、第3熱媒体導入ライン42における最上流の導入側分岐管422の接続位置よりも上流側に配置されている。
【0027】
複数の第1冷熱側熱交換器44の各々には、複数の第1冷凍装置20の各々から冷熱エネルギを回収した第3熱媒体が導入され、該第3熱媒体により冷却対象気体が冷却される。第1冷熱側熱交換器44により冷却される冷却対象気体は、冷却対象となる空間(例えば、冷蔵庫の庫内)に存在する空気等の気体であってもよいし、該気体と熱交換される熱媒体であってもよい。第1冷熱側熱交換器44により冷却対象気体が冷却されることで、冷却対象となる空間が冷却される。複数の第1冷熱側熱交換器44の各々は、各第1冷熱側熱交換器44に比較的低温の第3熱媒体を導くために、並列に配置されることが好ましい。なお、複数の第1冷熱側熱交換器44の各々は、直列に配置されていてもよい。
【0028】
図1~
図3に示される実施形態では、第3熱媒体導入ライン42における最上流の第1冷熱側熱交換器44よりも上流側に第3熱媒体を昇圧するためのポンプ(昇圧機)45が設けられている。
【0029】
以下、第1凝縮器22に第1排熱回収ライン3が接続され、第1蒸発器23に第1冷熱回収回路4が接続された複数の第1冷凍装置20をまとめて第1冷凍装置群2と定義する。第1冷凍装置群2が一括して生成する冷熱エネルギにより、第1冷凍装置群2の冷却対象が冷却される。第1冷凍装置群2に属する複数の第1冷凍装置20の各々は、構造や構成機器が同じ規格に合わせて統一されていることが好ましい。この場合には、複数の第1冷凍装置20の稼働台数を増減させることで、第1冷凍装置群2の冷凍能力を段階的に増減させることができるため、第1冷凍装置群2の運転制御が容易なものとなる。
【0030】
第1冷凍装置群2に属する第1冷凍装置20は、他の第1冷凍装置20とは離れた位置に配置できる。第1冷凍装置群2に属する複数の第1冷凍装置20は、集中配置してもよいし、分散配置してもよい。
【0031】
幾つかの実施形態に係る冷凍システム1は、
図1~
図3に示されるように、上述した第1冷凍装置群2に属する複数の第1冷凍装置20とは異なる他の冷凍装置11と、他の冷凍装置11から熱エネルギを回収する熱媒体が流れる第2排熱回収ライン12であって、第1冷熱回収回路4又は第1排熱回収ライン3の少なくとも一方と熱媒体を流通可能に接続された第2排熱回収ライン12と、を備える。
【0032】
上記の構成によれば、複数の第1冷凍装置20の各々が共通の第1排熱回収ライン3及び共通の第1冷熱回収回路4に接続されているため、一つの第1冷凍装置20が故障等により停止しても、他の第1冷凍装置20を運転させることで、冷凍システム1を継続的に運転できる。また、故障した第1冷凍装置20だけを新たな第1冷凍装置20に交換するだけで、冷凍システム1を元の状態に戻すことができる。このような冷凍システム1は、冷凍システム1の安定性を容易に確保できる。
【0033】
また、上記の構成によれば、他の冷凍装置11が第2排熱回収ライン12を介して第1冷熱回収回路4又は第1排熱回収ライン3の少なくとも一方に接続されているため、複数の第1冷凍装置20及び他の冷凍装置11により冷熱エネルギを生成することができるとともに、複数の第1冷凍装置20及び他の冷凍装置11を備える冷凍システム1の大型化や複雑化を抑制できる。
【0034】
また、上記の構成によれば、第1冷凍装置群2に属する複数の第1冷凍装置20の数を増減させることで、第1冷凍装置群2により生成される冷熱エネルギを増減させることができる。このような冷凍システム1は、第1冷凍装置群2の冷却能力の拡張性に優れており、様々な規模の冷却対象に対応でき、冷却対象の規模に応じて第1冷凍装置群2の数や冷却能力を柔軟に増減させることが可能である。
【0035】
幾つかの実施形態では、
図1~
図3に示されるように、上述した他の冷凍装置11は、複数の第2冷凍装置50を少なくとも含み、上述した冷凍システム1は、第2冷熱回収回路6をさらに備える。
【0036】
(第2冷凍装置)
図5は、
図1に示される第2冷凍装置50の回路の一例を模式的に示す図である。
図6は、
図2~
図3に示される第2冷凍装置50の回路の一例を模式的に示す図である。複数の第2冷凍装置50の各々は、
図1~
図3、
図5及び
図6に示されるように、第4熱媒体を循環させる第2冷凍回路51と、第2冷凍回路51にそれぞれ設けられた第2凝縮器52及び第2蒸発器53と、を少なくとも含む。複数の第2冷凍装置50の各々は、
図5及び
図6に示されるように、第2冷凍回路51にそれぞれ設けられた第2圧縮機54及び第2膨張器55をさらに含む。第2冷凍回路51は、第4熱媒体を循環させるように構成される循環系統からなり、第4熱媒体を作動媒体とする冷凍サイクルを構成する。
【0037】
第2圧縮機54は、第4熱媒体の流れ方向における第2蒸発器53の下流側、且つ第2凝縮器52の上流側に配置される。第2圧縮機54は、第2蒸発器53から導かれる第4熱媒体を昇圧するように構成される。第2圧縮機54により昇圧された第4熱媒体が第2凝縮器52に導かれる。第2圧縮機54は、不図示の電力源から供給される電力により駆動するように構成された電動圧縮機であってもよい。
【0038】
第2膨張器55は、第4熱媒体の流れ方向における第2凝縮器52の下流側、且つ第2蒸発器53の上流側に配置される。第2膨張器55は、第2凝縮器52から導かれる第4熱媒体を膨張させるように構成される。第2膨張器55により膨張した第4熱媒体が第2蒸発器53に導かれる。第2膨張器55は、
図5に示されるように、膨張弁であってもよい。
【0039】
(第2凝縮器)
第2凝縮器52は、第4熱媒体の熱エネルギを第2排熱用熱媒体に伝達可能に構成されている。
図1に示される実施形態では、上述した第2排熱回収ライン12は、第1冷熱回収回路4に接続されているため、上述した第3熱媒体が第2排熱用熱媒体となる。
図2に示される実施形態では、上述した第2排熱回収ライン12は、第1排熱回収ライン3に接続されているため、上述した第2熱媒体が第2排熱用熱媒体となる。
図3に示される実施形態では、上述した第2排熱回収ライン12は、第1冷熱回収回路4及び第1排熱回収ライン3の両方に選択的に接続されているため、互いに同種の熱媒体である第2熱媒体及び第3熱媒体が第2排熱用熱媒体となる。
【0040】
第2凝縮器52では、第2凝縮器52を流れる第4熱媒体と第2凝縮器52を流れる第2排熱用熱媒体との間において熱交換が行われ、第2冷凍回路51において生じる排熱を第2排熱用熱媒体に回収させることが行われる。第2凝縮器52における熱交換により、第2凝縮器52を流れる第4熱媒体が第2凝縮器52を流れる第2排熱用熱媒体により冷却され、凝縮する。
【0041】
(第2排熱回収ライン)
図1~
図3に示される実施形態では、第2排熱回収ライン12は、第2排熱用熱媒体を流通させるための流路を形成するものであり、例えば、配管によって形成される。第2排熱回収ライン12は、複数の第2冷凍装置50の各々の第2凝縮器52に第2排熱用熱媒体を流通可能に接続されている。第2排熱回収ライン12は、複数の第2冷凍装置50の各々の第2凝縮器52に第2排熱用熱媒体を導くための第2排熱用熱媒体導入ライン13と、複数の第2冷凍装置50の各々の第2凝縮器52から第2排熱用熱媒体を排出するための第2排熱用熱媒体排出ライン14と、を含む。
【0042】
図1~
図3に示される実施形態では、第2排熱用熱媒体導入ライン13は、導入側本管131と、複数の導入側分岐管132と、を含む。複数の導入側分岐管132の各々は、導入側本管131に一端が第2排熱用熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第2凝縮器52に第2排熱用熱媒体を流通可能に接続されている。第2排熱用熱媒体は、各第2凝縮器52に対応する導入側分岐管132を介して導入側本管131から各第2凝縮器52に導かれる。
【0043】
図1~
図3に示される実施形態では、第2排熱用熱媒体排出ライン14は、排出側本管141と、複数の排出側分岐管142と、を含む。複数の排出側分岐管142の各々は、排出側本管141に一端が第2排熱用熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第2凝縮器52に第2排熱用熱媒体を流通可能に接続されている。第2排熱用熱媒体は、各第2凝縮器52から対応する排出側分岐管142を介して排出側本管141に導かれる。
【0044】
(第2蒸発器)
第2蒸発器53は、第4熱媒体の冷熱エネルギを第5熱媒体に伝達可能に構成されている。第2蒸発器53では、第2蒸発器53を流れる第4熱媒体と第2蒸発器53を流れる第5熱媒体との間において熱交換が行われ、第2冷凍回路51において生成した冷熱を第5熱媒体に回収させることが行われる。第2蒸発器53における熱交換により、第2蒸発器53を流れる第4熱媒体が第2蒸発器53を流れる第5熱媒体により加熱され、蒸発する。
【0045】
(第2冷熱回収回路)
第2冷熱回収回路6は、
図1~
図3に示されるように、第5熱媒体を循環させるための流路を形成するものであり、例えば、配管によって形成される。第2冷熱回収回路6は、複数の第2冷凍装置50の各々の第2蒸発器53に第5熱媒体を流通可能に接続されている。第2冷熱回収回路6は、第5熱媒体を貯留するように構成された第5熱媒体貯留タンク61と、第5熱媒体貯留タンク61から複数の第2冷凍装置50の各々の第2蒸発器53に第5熱媒体を導くための第5熱媒体導入ライン62と、複数の第2冷凍装置50の各々の第2蒸発器53から第5熱媒体貯留タンク61に第5熱媒体を戻すために第5熱媒体戻しライン63と、を含む。
【0046】
図1~
図3に示される実施形態では、第5熱媒体導入ライン62は、第5熱媒体貯留タンク61の液相に一端が液状の第5熱媒体を流通可能に接続される導入側本管621と、複数の導入側分岐管622と、を含む。複数の導入側分岐管622の各々は、導入側本管621に一端が第5熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第2蒸発器53に第5熱媒体を流通可能に接続されている。第5熱媒体貯留タンク61から導入側本管621に導かれた第5熱媒体は、各第2蒸発器53に対応する導入側分岐管622を介して導入側本管621から各第2蒸発器53に導かれる。
【0047】
図1~
図3に示される実施形態では、第5熱媒体戻しライン63は、第5熱媒体貯留タンク61に一端が第5熱媒体を流通可能に接続される排出側本管631と、複数の排出側分岐管632と、を含む。複数の排出側分岐管632の各々は、排出側本管631に一端が第5熱媒体を流通可能に接続され、他端が対応する第2蒸発器53に第5熱媒体を流通可能に接続されている。第5熱媒体は、各第2蒸発器53から対応する排出側分岐管632を介して排出側本管631に導かれた後、排出側本管631から第5熱媒体貯留タンク61に導かれる。
【0048】
(第2冷熱用熱交換器)
図1~
図3に示される実施形態では、冷凍システム1は、第2冷熱回収回路6に設けられ、冷却対象気体と第5熱媒体との間で熱交換を行い、冷却対象気体を冷却するように構成された少なくとも1つ(図示例では、複数)の第2冷熱側熱交換器64(641、642)をさらに備える。図示される実施形態では、複数の第2冷熱側熱交換器64の各々は、第5熱媒体導入ライン62における最上流の導入側分岐管622の接続位置よりも上流側に配置されている。
【0049】
複数の第2冷熱側熱交換器64の各々には、複数の第2冷凍装置50の各々から冷熱エネルギを回収した第5熱媒体が導入され、該第5熱媒体により冷却対象気体が冷却される。第2冷熱側熱交換器64により冷却される冷却対象気体は、冷却対象となる空間(例えば、冷凍庫の庫内)に存在する空気等の気体であってもよいし、該気体と熱交換される熱媒体であってもよい。第2冷熱側熱交換器64により冷却対象気体が冷却されることで、冷却対象となる空間が冷却される。複数の第2冷熱側熱交換器64の各々の冷却対象は、上述複数の第1冷熱側熱交換器44の各々と冷却対象とは異なるものであってもよいし、同じものであってもよい。複数の第2冷熱側熱交換器64の各々は、各第2冷熱側熱交換器64に比較的低温の第5熱媒体を導くために、並列に配置されることが好ましい。なお、複数の第2冷熱側熱交換器64の各々は、直列に配置されていてもよい。
【0050】
図1~
図3に示される実施形態では、第5熱媒体導入ライン62における最上流の第2冷熱側熱交換器64よりも上流側に第5熱媒体を昇圧するためのポンプ(昇圧機)65が設けられている。
【0051】
以下、第2凝縮器52に第2排熱回収ライン12が接続され、第2蒸発器53に第2冷熱回収回路6が接続された複数の第2冷凍装置50をまとめて第2冷凍装置群5と定義する。第2冷凍装置群5が一括して生成する冷熱エネルギにより、第2冷凍装置群5の冷却対象が冷却される。第2冷凍装置群5に属する複数の第2冷凍装置50の各々は、構造や構成機器が同じ規格に合わせて統一されていることが好ましい。この場合には、複数の第2冷凍装置50の稼働台数を増減させることで、第2冷凍装置群5の冷凍能力を段階的に増減させることができるため、第2冷凍装置群5の運転制御が容易なものとなる。
【0052】
第2冷凍装置群5に属する第2冷凍装置50は、他の第2冷凍装置50や第1冷凍装置20とは離れた位置に配置できる。第2冷凍装置群5に属する複数の第2冷凍装置50は、集中配置してもよいし、分散配置してもよい。
【0053】
複数の第2冷凍装置50の各々は、複数の第1冷凍装置20の各々が好適に対応する温度帯よりも低い温度帯に好適に対応するように構成されている。すなわち、第1冷凍装置20と第2冷凍装置50は冷凍能力帯が異なる。或る実施形態では、複数の第1冷凍装置20の各々は、複数の第1冷熱側熱交換器44に導入される第3熱媒体の温度帯が冷蔵(例えば、-10℃以上10℃以下)となるように構成されている。そして、複数の第2冷凍装置50の各々は、複数の第2冷熱側熱交換器64に導入される第5熱媒体の温度帯が冷凍(例えば、-40℃以上-20℃以下)となるように構成されている。
【0054】
上記の構成によれば、冷凍システム1は、上述した複数の第1冷凍装置20及び複数の第2冷凍装置50を備える。この場合には、冷凍能力帯が異なる第1冷凍装置20と第2冷凍装置50を選択的に稼働させることで、冷凍システム1の効率の最適化が図れる。
【0055】
幾つかの実施形態では、
図1に示されるように、上述した他の冷凍装置11は、複数の第2冷凍装置50を少なくとも含み、上述した冷凍システム1は、第2冷熱回収回路6をさらに備える。
図1に示されるように、上述した第2排熱回収ライン12は、第1冷熱回収回路4及び複数の第2冷凍装置50の各々の第2凝縮器52に第3熱媒体を流通可能に接続されている。
【0056】
図1に示される実施形態では、第2排熱用熱媒体導入ライン13の上流端部、すなわち、導入側本管131の一端は、第3熱媒体導入ライン42における最上流の第1冷熱側熱交換器44よりも上流側、且つポンプ45よりも下流側の接続位置P1において、第3熱媒体導入ライン42に接続されている。これにより、第3熱媒体導入ライン42から第2排熱用熱媒体導入ライン13に第3熱媒体が導入されるようになっている。
【0057】
図1に示される実施形態では、第2排熱用熱媒体排出ライン14の下流端部、すなわち、排出側本管141の一端は、第3熱媒体導入ライン42における最下流の第1冷熱側熱交換器44よりも下流側、且つ最上流の導入側分岐管422の接続位置よりも上流側の接続位置P2において、第3熱媒体導入ライン42に接続されている。これにより、第2排熱用熱媒体排出ライン14から第3熱媒体導入ライン42に第3熱媒体が導入されるようになっている。
【0058】
上記の構成によれば、第2排熱回収ライン12が第1冷熱回収回路4に接続されることで、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させることができる。この場合には、複数の第2冷凍装置50の各々の第2凝縮器52の凝縮圧力を比較的低圧に保つことができるため、外気温度によらず複数の第2冷凍装置50の冷凍能力の維持が容易となる。
【0059】
幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、上述した他の冷凍装置11は、複数の第2冷凍装置50を少なくとも含み、上述した冷凍システム1は、第2冷熱回収回路6をさらに備える。
図2に示されるように、上述した第2排熱回収ライン12は、第1排熱回収ライン3及び複数の第2冷凍装置50の各々の第2凝縮器52に第2熱媒体を流通可能に接続されている。
【0060】
図2に示される実施形態では、第2排熱用熱媒体導入ライン13の上流端部、すなわち、導入側本管131の一端は、第2熱媒体導入ライン31における最上流の導入側分岐管312の接続位置よりも上流側、且つポンプ34よりも下流側の接続位置P3において、第2熱媒体導入ライン31に接続されている。これにより、第2熱媒体導入ライン31から第2排熱用熱媒体導入ライン13に第2熱媒体が導入されるようになっている。
【0061】
図2に示される実施形態では、第2排熱用熱媒体排出ライン14の下流端部、すなわち、排出側本管141の一端は、第2熱媒体排出ライン32における最下流の排出側分岐管322の接続位置よりも下流側の接続位置P4において、第2熱媒体排出ライン32に接続されている。これにより、第2排熱用熱媒体排出ライン14から第2熱媒体排出ライン32に第2熱媒体が導入されるようになっている。
【0062】
上記の構成によれば、第2排熱回収ライン12が第1排熱回収ライン3に接続されることで、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1排熱回収ライン3に回収させることができる。この場合には、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させる場合に比べて、複数の第1冷凍装置20の冷凍能力が小さくできため、冷凍システム1の製造コストの低減が図れる。また、上記の構成によれば、第2排熱回収ライン12が第1排熱回収ライン3に接続されることで、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させる場合に比べて、複数の第1冷凍装置20間の圧力損失の差や複数の第2冷凍装置50間の圧力損失の差を小さなものとすることができるため、冷凍システム1の構築が容易となる。
【0063】
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述した他の冷凍装置11は、複数の第2冷凍装置50を少なくとも含み、上述した冷凍システム1は、第2冷熱回収回路6をさらに備える。上述した第2熱媒体と上述した第3熱媒体は、同種の熱媒体(第2排熱用熱媒体)からなる。
図3に示されるように、上述した第2排熱回収ライン12は、第1導入ライン81を介して第3熱媒体導入ライン42に接続され、第2導入ライン82を介して第2熱媒体導入ライン31に接続され、第1排出ライン83を介して第3熱媒体戻しライン43に接続され、第2排出ライン84を介して第2熱媒体排出ライン32に接続されている。上述した冷凍システム1は、第1導入ライン81、第2導入ライン82、第1排出ライン83及び第2排出ライン84の夫々を流れる熱媒体の流量を調整可能に構成された複数の流量調整弁85、86、87、88をさらに備える。
【0064】
図3に示される実施形態では、第1導入ライン81の一端は、上述した接続位置P1において第3熱媒体導入ライン42に接続されている。第2導入ライン82の一端は、上述した接続位置P3において第2熱媒体導入ライン31に接続されている。第1導入ライン81の他端及び第2導入ライン82の他端の各々は、接続位置P5において、第2排熱用熱媒体導入ライン13の上流端部、すなわち、導入側本管131の一端に接続されている。
【0065】
図3に示される実施形態では、第1排出ライン83の一端は、上述した接続位置P2において第3熱媒体導入ライン42に接続されている。第2排出ライン84の一端は、上述した接続位置P4において第2熱媒体排出ライン32に接続されている。第1排出ライン83の他端及び第2排出ライン84の他端の各々は、接続位置P6において、第2排熱用熱媒体排出ライン14の下流端部、すなわち、排出側本管141の一端に接続されている。
【0066】
図3に示される実施形態では、上述した複数の流量調整弁85、86、87、88は、
第1導入ライン81に設けられた流量調整弁85と、第2導入ライン82に設けられた流量調整弁86と、第1排出ライン83に設けられた流量調整弁87と、第2排出ライン84に設けられた流量調整弁88と、を含む。これらの流量調整弁85、86、87、88は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0067】
流量調整弁85、87を開き、流量調整弁86、88を閉じることで、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させる状態にすることができる。流量調整弁86、88を開き、流量調整弁85、87を閉じることで、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1排熱回収ライン3に回収させる状態にすることができる。
【0068】
上記の構成によれば、複数の流量調整弁85、86、87、88を開閉することで、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させる状態と、まとめて第1排熱回収ライン3に回収させる状態と、に選択的に切り替えることができる。この場合には、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させる状態と、まとめて第1排熱回収ライン3に回収させる状態との長所を適時に生かすことができる。
【0069】
なお、上述した流量調整弁85、86の代わりに、第2排熱用熱媒体の導入元を第1導入ライン81と第2導入ライン82に切り替え可能な三方弁を接続位置P5に配置してもよい。また、上述した流量調整弁87、88の代わりに、第2排熱用熱媒体の排出先を第1排出ライン83と第2排出ライン84に切り替え可能な三方弁を接続位置P6に配置してもよい。
【0070】
(第1冷凍装置の具体例)
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した複数の第1冷凍装置20の各々は、第1冷凍装置20の構成機器である、第1冷凍回路21、第1凝縮器22、第1蒸発器23、第1圧縮機24及び第1膨張器25を囲む外枠体26をさらに含む。図示される実施形態では、外枠体26は、第1冷凍装置20の構成機器を収容する内部空間を形成する筐体であるが、第1冷凍装置20の構成機器を囲む複数のフレームからなるフレーム体(骨組み)であってもよい。図示される実施形態では、外枠体26には、第1凝縮器22に接続される導入側分岐管312を挿通させる挿通孔261、第1凝縮器22に接続される排出側分岐管322を挿通させる挿通孔262、第1蒸発器23に接続される導入側分岐管422を挿通させる挿通孔263及び第1蒸発器23に接続される排出側分岐管432を挿通させる挿通孔264が形成されている。
【0071】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した複数の第1冷凍装置20の各々は、第1冷凍装置20の構成機器を制御するためのコントローラ27をさらに含む。図示される実施形態では、コントローラ27は、外枠体26の内部に収容されている。コントローラ27は、第1冷凍装置20の構成機器を制御するための電子制御ユニットであり、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置、I/Oインターフェース、通信インターフェースなどからなるマイクロコンピュータとして構成される。コントローラ27は、例えば、第1蒸発器23から排出される第3熱媒体の温度が目標温度になるように、第1圧縮機24の出力を制御するように構成される。
【0072】
上述した複数の第1冷凍装置20の各々は、
図4に示されるように、第1冷凍回路21に設けられ、第1熱媒体を貯留可能に構成されたバッファタンク28をさらに含んでいてもよい。上述した圧縮機24は、一段の圧縮機構241を有する一段圧縮機であってもよい。
【0073】
(第2冷凍装置の具体例)
幾つかの実施形態では、
図5及び
図6に示されるように、上述した複数の第2冷凍装置50の各々は、第2冷凍装置50の構成機器である、第2冷凍回路51、第2凝縮器52、第2蒸発器53、第2圧縮機54及び第2膨張器55を囲む外枠体56をさらに含む。図示される実施形態では、外枠体56は、第2冷凍装置50の構成機器を収容する内部空間を形成する筐体であるが、第2冷凍装置50の構成機器を囲む複数のフレームからなるフレーム体(骨組み)であってもよい。図示される実施形態では、外枠体56には、第2凝縮器52に接続される導入側分岐管132を挿通させる挿通孔561、第2凝縮器52に接続される排出側分岐管142を挿通させる挿通孔562、第2蒸発器53に接続される導入側分岐管622を挿通させる挿通孔563及び第2蒸発器53に接続される排出側分岐管632を挿通させる挿通孔564が形成されている。
【0074】
幾つかの実施形態では、
図5及び
図6に示されるように、上述した複数の第2冷凍装置50の各々は、第2冷凍装置50の構成機器を制御するためのコントローラ57をさらに含む。図示される実施形態では、コントローラ57は、外枠体56の内部に収容されている。コントローラ57は、第2冷凍装置50の構成機器を制御するための電子制御ユニットであり、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置、I/Oインターフェース、通信インターフェースなどからなるマイクロコンピュータとして構成される。コントローラ57は、例えば、第2蒸発器53から排出される第5熱媒体の温度が目標温度になるように、第2圧縮機54の出力を制御するように構成される。
【0075】
図1~
図3に示される実施形態では、冷凍システム1は、複数の第1冷凍装置20の各々のコントローラ27及び複数の第2冷凍装置50の各々のコントローラ57に電気信号を送受信可能に接続された総括コントローラ100をさらに備える。総括コントローラ100は、冷凍システム1の運転を制御するための電子制御ユニットであり、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリ、外部記憶装置などの記憶装置、I/Oインターフェース、通信インターフェースなどからなるマイクロコンピュータとして構成される。
【0076】
総括コントローラ100は、第1冷凍装置群2に属する複数の第1冷凍装置20及び第2冷凍装置群5に属する複数の第2冷凍装置50の各々の運転及び運転停止の判断を行い、上記判断に基づいて各冷凍装置20、50のコントローラ27、57に対して運転するか否かを示す信号である運転信号を送信してもよい。コントローラ27、57は、総括コントローラ100からの運転信号に応じて、対応する冷凍装置20、50の運転、運転停止を制御してもよい。
【0077】
複数の第1冷凍装置20の各々が、第1蒸発器23から排出される第3熱媒体の温度が目標温度になるように動作する場合には、総括コントローラ100は、複数の第1冷凍装置20の各々に対して上記目標温度を設定してもよい。総括コントローラ100は、例えば、各第1冷凍装置20の圧縮機24の運転負荷が均一になるように、複数の第1冷凍装置20の各々の目標温度を設定してもよい。総括コントローラ100は、各第1冷凍装置20の圧縮機24の回転数と運転時間とを積算し、各第1冷凍装置20の圧縮機24の稼働状況を確認し、圧縮機24の運転負荷が高い第1冷凍装置20の上記目標温度を他の第1冷凍装置20の上記目標温度よりも高めに設定することで、運転負荷が高い第1冷凍装置20の圧縮機24の回転数を下げてもよい。
【0078】
また、総括コントローラ100は、第1冷凍装置群2に属する複数の第1冷凍装置20の冷凍負荷が小さいときに、一部の第1冷凍装置20を停止させるようにし、冷凍負荷が小さいときに停止させる第1冷凍装置20をローテーションすることで、特定の第1冷凍装置20の運転負荷が高くなることを抑制可能である。
【0079】
複数の第2冷凍装置50の各々が、第2蒸発器53から排出される第5熱媒体の温度が目標温度になるように動作する場合には、総括コントローラ100は、複数の第2冷凍装置50の各々に対して上記目標温度を設定してもよい。総括コントローラ100は、例えば、各第2冷凍装置50の圧縮機54の運転負荷が均一になるように、複数の第2冷凍装置50の各々の目標温度を設定してもよい。総括コントローラ100は、各第2冷凍装置50の圧縮機54の回転数と運転時間とを積算し、各第2冷凍装置50の圧縮機54の稼働状況を確認し、圧縮機54の運転負荷が高い第2冷凍装置50の上記目標温度を他の第2冷凍装置50の上記目標温度よりも高めに設定することで、運転負荷が高い第2冷凍装置50の圧縮機54の回転数を下げてもよい。
【0080】
また、総括コントローラ100は、第2冷凍装置群5に属する複数の第2冷凍装置50の冷凍負荷が小さいときに、一部の第2冷凍装置50を停止させるようにし、冷凍負荷が小さいときに停止させる第2冷凍装置50をローテーションすることで、特定の第2冷凍装置50の運転負荷が高くなることを抑制可能である。
【0081】
総括コントローラ100は、第1冷凍装置群2の冷凍負荷と第2冷凍装置群5の冷凍負荷を比較して冷凍負荷の高い冷凍装置群への熱媒体の循環量を、冷凍負荷の低い冷凍装置群への熱媒体の循環量よりも大きくしてもよい。また、総括コントローラ100は、第1冷凍装置群2の電力消費量と第2冷凍装置群5の電力消費量との合計値が最小となるように各冷凍装置20、50の運転を制御してもよいし、上記合計値が所定値を超えないように各冷凍装置20、50の運転を制御してもよい。総括コントローラ100は、予め設定された予冷スケージュールに基づいて、第1冷凍装置群2の冷凍負荷や第2冷凍装置群5の冷凍負荷を予測して、各冷凍装置20、50の運転を制御してもよい。
【0082】
上述した複数の第2冷凍装置50の各々は、
図5に示されるように、第2冷凍回路51に設けられ、第4熱媒体を貯留可能に構成されたバッファタンク58をさらに含んでいてもよい。上述した圧縮機54は、一段の圧縮機構541を有する一段圧縮機であってもよい。
【0083】
上述した圧縮機54は、
図6に示されるように、直列に配置された二段の圧縮機構542、543を有する二段圧縮機54Aであってもよい。複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1排熱回収ライン3に回収させる場合には、複数の第2冷凍装置50から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路4に回収させる場合に比べて、複数の第2冷凍装置50の各々の圧縮機54に要求される圧力比が大きなものとなる。複数の第2冷凍装置50の各々の圧縮機54を2段圧縮機54Aとすることで、要求される圧力比に容易に対応可能となる。
【0084】
上述した複数の第2冷凍装置50の各々は、
図6に示されるように、気液分離器591と、ガス流路592と、逆止弁593と、前段膨張器594と、をさらに含んでいてもよい。気液分離器591は、第2冷凍回路51の第2凝縮器52よりも下流側、且つ第2膨張器55よりも上流側に設けられ、第4熱媒体を気相と液相に分離するように構成される。前段膨張器594は、第2冷凍回路51の第2凝縮器52よりも下流側、且つ気液分離器591よりも上流側に設けられ、第4熱媒体を膨張させるように構成される。ガス流路592は、気液分離器591の気相からガス状の第4熱媒体を取り出して、2段圧縮機54Aの圧縮機構542、543間に導く流路である。逆止弁593は、ガス流路592における気液分離器591へのガス状の第4熱媒体の逆流を抑制するためのものである。ガス流路592を介して2段圧縮機54Aの圧縮機構542、543間にガス状の第4熱媒体を導くことで、第2冷凍装置50の効率向上が図れる。
【0085】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した冷凍システム1は、複数の第1冷凍装置20の各々に対して個別に設けられる複数の流量調整弁9(91、92、93、94)をさらに備える。複数の流量調整弁9は、第2熱媒体導入ライン31の第1凝縮器22に接続される導入側分岐管312、及び、第3熱媒体導入ライン42の第1蒸発器23に接続される導入側分岐管422、の夫々を流れる熱媒体の流量を調整可能に構成されている。
【0086】
図4に示される実施形態では、導入側分岐管312には、手動操作により開閉される手動弁91と、電気により駆動してコントローラ27からの開閉指示により開閉される自動弁92と、が設けられている。図示される実施形態では、手動弁91は、挿通孔261又は外枠体26の外部に配置され、自動弁92は、外枠体26の内部に配置されている。
【0087】
図4に示される実施形態では、導入側分岐管422には、手動操作により開閉される手動弁93と、電気により駆動してコントローラ27からの開閉指示により開閉される自動弁94と、が設けられている。図示される実施形態では、手動弁93は、挿通孔263又は外枠体26の外部に配置され、自動弁94は、外枠体26の内部に配置されている。なお、上述した複数の流量調整弁9は、手動弁91、93の組み合わせと、自動弁92、94の組み合わせの何れか一方の組み合わせであってもよい。
【0088】
上記の構成によれば、複数の流量調整弁9を閉じることで、対象となる第1冷凍装置20の、共通の第1排熱回収ライン3及び共通の第1冷熱回収回路4との接続を解除できる。この場合には、上記対象となる第1冷凍装置20が運転停止状態であるときの圧力損失を低減できる。
【0089】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した冷凍システム1は、複数の第1冷凍装置20の各々に対して個別に設けられる複数の流量調整弁9(91、92、95、96)を備える。流量調整弁95は、第2熱媒体排出ライン32の第1凝縮器22に接続される排出側分岐管322に設けられる、手動操作により開閉される手動弁である。流量調整弁96は、第3熱媒体戻しライン43の第1蒸発器23に接続される排出側分岐管432に設けられる、手動操作により開閉される手動弁である。流量調整弁95、96は、挿通孔262、264又は外枠体26の外部に配置される。この場合には、複数の流量調整弁9(91、92、95、96)を閉じることにより、対象となる第1冷凍装置20の、共通の第1排熱回収ライン3及び共通の第1冷熱回収回路4との接続を解除できる。この場合には、上記対象となる第1冷凍装置20を冷凍システム1から取り外すことが容易となる。
【0090】
幾つかの実施形態では、
図5及び
図6に示されるように、上述した冷凍システム1は、複数の第2冷凍装置50の各々に対して個別に設けられる複数の流量調整弁10(101、102、103、104)をさらに備える。複数の流量調整弁10は、第2凝縮器52に接続される導入側分岐管132、及び、第2蒸発器53に接続される導入側分岐管622、の夫々を流れる熱媒体の流量を調整可能に構成されている。
【0091】
図5及び
図6に示される実施形態では、導入側分岐管132には、手動操作により開閉される手動弁101と、電気により駆動してコントローラ57からの開閉指示により開閉される自動弁102と、が設けられている。図示される実施形態では、手動弁101は、挿通孔561又は外枠体56の外部に配置され、自動弁102は、外枠体56の内部に配置されている。
【0092】
図5及び
図6に示される実施形態では、導入側分岐管622には、手動操作により開閉される手動弁103と、電気により駆動してコントローラ57からの開閉指示により開閉される自動弁104と、が設けられている。図示される実施形態では、手動弁103は、挿通孔563又は外枠体56の外部に配置され、自動弁104は、外枠体56の内部に配置されている。なお、上述した複数の流量調整弁10は、手動弁101、103の組み合わせと、自動弁102、104の組み合わせの何れか一方の組み合わせであってもよい。
【0093】
上記の構成によれば、複数の流量調整弁10を閉じることで、対象となる第2冷凍装置50の、共通の第2排熱回収ライン12及び共通の第2冷熱回収回路6との接続を解除できる。この場合には、上記対象となる第2冷凍装置50が運転停止状態であるときの圧力損失を低減できる。
【0094】
幾つかの実施形態では、
図5及び
図6に示されるように、上述した冷凍システム1は、複数の第2冷凍装置50の各々に対して個別に設けられる複数の流量調整弁10(101、102、105、106)を備える。流量調整弁105は、第2凝縮器52に接続される排出側分岐管142に設けられる、手動操作により開閉される手動弁である。流量調整弁106は、第2蒸発器53に接続される排出側分岐管632に設けられる、手動操作により開閉される手動弁である。流量調整弁105、106は、挿通孔562、564又は外枠体56の外部に配置される。この場合には、複数の流量調整弁10(101、102、105、106)を閉じることにより、対象となる第2冷凍装置50の、共通の第2排熱回収ライン12及び共通の第2冷熱回収回路6との接続を解除できる。この場合には、上記対象となる第2冷凍装置50を冷凍システム1から取り外すことが容易となる。
【0095】
幾つかの実施形態では、上述した複数の第1冷凍装置20の各々の第1冷凍回路21を循環する第1熱媒体は、二酸化炭素からなる。複数の第1冷凍装置20の各々の冷媒である第1熱媒体を二酸化炭素とすることで、複数の第1冷凍装置20の各々を屋外又は屋内の何れにも設置できるため、複数の第1冷凍装置20の各々の設置場所の自由度が高い。また、第1熱媒体を二酸化炭素とすることで、第1熱媒体をアンモニア等とした場合に比べて、複数の第1冷凍装置20の維持コストを低減できる。仮に第1熱媒体をアンモニアとした場合には、アンモニアを中和するための設備を要するため、冷凍システム1の設置面積が増大するとともに、メンテナンスに工数が必要になるため、維持コストの高額化を招く虞がある。また、第1熱媒体をアンモニアとした場合には、第1冷凍装置20が比較的大型なものとなるため、設置場所が屋外に制限される虞がある。
【0096】
幾つかの実施形態では、上述した複数の第2冷凍装置50の各々の第2冷凍回路51を循環する第4熱媒体は、二酸化炭素からなる。複数の第2冷凍装置50の各々の冷媒である第4熱媒体を二酸化炭素とすることで、複数の第2冷凍装置50の各々を屋外又は屋内の何れにも設置できるため、複数の第2冷凍装置50の各々の設置場所の自由度が高い。また、第4熱媒体を二酸化炭素とすることで、第4熱媒体をアンモニア等とした場合に比べて、複数の第2冷凍装置50の維持コストを低減できる。
【0097】
図7は、本開示の一実施形態に係る冷凍システムの概略斜視図である。幾つかの実施形態では、上述した複数の第1冷凍装置20の各々は、第1冷凍回路21、第1凝縮器22及び第1蒸発器23を囲む上述した外枠体26(
図1~
図4参照)を含む。上述した複数の第1冷凍装置20は、外枠体26同士を積層させる2以上の第1冷凍装置20を含む。
【0098】
上記の構成によれば、2以上の第1冷凍装置20を外枠体26同士を積層させて配置することで、複数の第1冷凍装置20の水平方向における設置スペースを低減できる。なお、2以上の第2冷凍装置50を外枠体56同士を積層させて配置してもよいし、外枠体56の上に外枠体26を積層させて配置してもよいし、外枠体26の上に外枠体56を積層させて配置してもよい。
【0099】
(冷凍システムの改造方法)
以下、比較例に係る冷凍システム01から本開示の一実施形態に係る冷凍システム1への改造方法について説明する。
図8は、比較例に係る冷凍システム01の概略斜視図である。
図9は、比較例に係る冷凍システム01から本開示の一実施形態に係る冷凍システム1に改造する際の中間状態の冷凍システムの概略斜視図である。
【0100】
比較例に係る冷凍システム01は、
図8に示されるように、上述した第1排熱回収ライン3及び上述した第1冷熱回収回路4に接続された、アンモニアを冷媒とするアンモニア冷凍機15A(15)を備える。比較例に係る冷凍システム01は、上述した第2排熱回収ライン12及び上述した第2冷熱回収回路6に接続された、アンモニアを冷媒とするアンモニア冷凍機15B(15)をさらに備えていてもよい。
【0101】
図9に示されるように、比較例に係る冷凍システム01に対して上述した複数の第1冷凍装置20を追加することが行われる。具体的には、複数の第1冷凍装置20を設置した後に、第1排熱回収ライン3及び第1冷熱回収回路4に接続することが行われる。なお、比較例に係る冷凍システム01に対して上述した複数の第2冷凍装置50を追加することが行われてもよい。具体的には、複数の第2冷凍装置50を設置した後に、第2排熱回収ライン12及び第2冷熱回収回路6に接続することが行われる。
図9に示されるような中間状態では、上述したアンモニア冷凍機15(15A、15B)、複数の第1冷凍装置20及び複数の第2冷凍装置50により、冷却対象を冷却するための冷熱エネルギを生成してもよい。
【0102】
図7に示されるように、中間状態の冷凍システムにおいて、アンモニア冷凍機15(15A、15B)を接続されているラインとの接続を解除し、冷凍システムから取り除くことで、本開示の一実施形態に係る冷凍システム1になる。なお、比較例に係る冷凍システム01がアンモニア冷凍機15Bを備えない場合において、複数の第2冷凍装置50及び第2冷熱回収回路6を追設してもよい。
【0103】
上述した幾つかの実施形態では、上述した他の冷凍装置11は、複数の第2冷凍装置50を含んでいたが、複数の第2冷凍装置50を含んでいなくてもよい。
【0104】
幾つかの実施形態では、上述した複数の第1冷凍装置20の各々の第1冷凍回路21を循環する第1熱媒体は、二酸化炭素からなる。上述した他の冷凍装置11は、
図9に示されるように、アンモニアを冷媒とするアンモニア冷凍機15を含む。
【0105】
上記の構成によれば、複数の第1冷凍装置20の各々とアンモニア冷凍機15とで、冷媒が異なり、COP(エネルギ消費効率)/温度曲線等の冷媒特性も異なる。冷凍システム1の負荷、冷凍能力や要求温度帯等に応じて、複数の第1冷凍装置20の各々とアンモニア冷凍機15とを各々の冷媒特性に応じた使い分けを行うことができるため、冷凍システム1の運転効率の向上が可能となる。
【0106】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0107】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0108】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0109】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る冷凍システム(1)は、
第1熱媒体を循環させる第1冷凍回路(21)、
前記第1冷凍回路(21)に設けられ、前記第1熱媒体の熱エネルギを第2熱媒体に伝達可能に構成された第1凝縮器(22)、及び
前記第1冷凍回路(21)に設けられ、前記第1熱媒体の冷熱エネルギを第3熱媒体に伝達可能に構成された第1蒸発器(23)、を夫々含む複数の第1冷凍装置(20)と、
前記第2熱媒体が流れる第1排熱回収ライン(3)であって、前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1凝縮器(22)に前記第2熱媒体を流通可能に接続された第1排熱回収ライン(3)と、
前記第3熱媒体を循環させる第1冷熱回収回路(4)であって、前記複数の第1冷凍装置(4)の各々の前記第1蒸発器(23)に前記第3熱媒体を流通可能に接続された第1冷熱回収回路(4)と、
前記複数の第1冷凍装置(20)とは異なる他の冷凍装置(11)と、
前記他の冷凍装置(11)から熱エネルギを回収する熱媒体が流れる第2排熱回収ライン(12)であって、前記第1冷熱回収回路(4)又は前記第1排熱回収ライン(3)の少なくとも一方と前記熱媒体を流通可能に接続された第2排熱回収ライン(12)と、を備える。
【0110】
上記1)の構成によれば、複数の第1冷凍装置(20)の各々が共通の第1排熱回収ライン(3)及び共通の第1冷熱回収回路(4)に接続されているため、一つの第1冷凍装置(20)が故障等により停止しても、他の第1冷凍装置(20)を運転させることで、冷凍システム(1)を継続的に運転できる。また、故障した第1冷凍装置(20)だけを新たな第1冷凍装置(20)に交換するだけで、冷凍システム(1)を元の状態に戻すことができる。このような冷凍システム(1)は、冷凍システム(1)の安定性を容易に確保できる。
【0111】
また、上記1)の構成によれば、他の冷凍装置(11)が第2排熱回収ライン(12)を介して第1冷熱回収回路(4)又は第1排熱回収ライン(3)の少なくとも一方に接続されているため、複数の第1冷凍装置(20)及び他の冷凍装置(11)により冷熱エネルギを生成することができるとともに、複数の第1冷凍装置(20)及び他の冷凍装置(11)を備える冷凍システム1の大型化や複雑化を抑制できる。
【0112】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記他の冷凍装置(11)は、
第4熱媒体を循環させる第2冷凍回路(51)、
前記第2冷凍回路(51)に設けられ、前記第4熱媒体の熱エネルギを前記第3熱媒体に伝達可能に構成された第2凝縮器(52)、及び
前記第2冷凍回路(51)に設けられ、前記第4熱媒体の冷熱エネルギを第5熱媒体に伝達可能に構成された第2蒸発器(53)、を夫々含む複数の第2冷凍装置(50)を少なくとも含み、
前記第2排熱回収ライン(12)は、前記第1冷熱回収回路(4)及び前記複数の第2冷凍装置(50)の各々の前記第2凝縮器(52)に前記第3熱媒体を流通可能に接続され、
前記冷凍システム(1)は、
前記第5熱媒体を循環させる第2冷熱回収回路(6)であって、前記複数の第2冷凍装置(50)の各々の前記第2蒸発器(53)に前記第5熱媒体を流通可能に接続された第2冷熱回収回路(6)をさらに備える。
【0113】
上記2)の構成によれば、冷凍システム(1)は、複数の第1冷凍装置(20)及び複数の第2冷凍装置(50)を備える。この場合には、冷凍能力帯が異なる第1冷凍装置(20)と第2冷凍装置(50)を選択的に稼働させることで、冷凍システム(1)の効率の最適化が図れる。また、上記2)の構成によれば、第2排熱回収ライン(12)が第1冷熱回収回路(4)に接続されることで、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路(4)に回収させることができる。この場合には、複数の第2冷凍装置(50)の各々の第2凝縮器(52)の凝縮圧力を比較的低圧に保つことができるため、外気温度によらず複数の第2冷凍装置(50)の冷凍能力の維持が容易となる。
【0114】
3)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記他の冷凍装置(11)は、
第4熱媒体を循環させる第2冷凍回路(51)、
前記第2冷凍回路(51)に設けられ、前記第4熱媒体の熱エネルギを前記第2熱媒体に伝達可能に構成された第2凝縮器(52)、及び
前記第2冷凍回路(51)に設けられ、前記第4熱媒体の冷熱エネルギを第5熱媒体に伝達可能に構成された第2蒸発器(53)、を夫々含む複数の第2冷凍装置(50)を少なくとも含み、
前記第2排熱回収ライン(12)は、前記第1排熱回収ライン(3)及び前記複数の第2冷凍装置(50)の各々の前記第2凝縮器(52)に前記第2熱媒体を流通可能に接続され、
前記冷凍システム(1)は、
前記第5熱媒体を循環させる第2冷熱回収回路(6)であって、前記複数の第2冷凍装置(50)の各々の前記第2蒸発器(53)に前記第5熱媒体を流通可能に接続された第2冷熱回収回路(6)をさらに備える。
【0115】
上記3)の構成によれば、冷凍システム(1)は、複数の第1冷凍装置(20)及び複数の第2冷凍装置(50)を備える。この場合には、冷凍能力帯が異なる第1冷凍装置(20)と第2冷凍装置(50)を選択的に稼働させることで、冷凍システム(1)の効率の最適化が図れる。また、上記3)の構成によれば、第2排熱回収ライン(12)が第1排熱回収ライン(3)に接続されることで、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1排熱回収ライン(3)に回収させることができる。この場合には、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路(4)に回収させる場合に比べて、複数の第1冷凍装置(20)の冷凍能力が小さくできるため、冷凍システム(1)の製造コストの低減が図れる。また、上記3)の構成によれば、第2排熱回収ライン(12)が第1排熱回収ライン(3)に接続されることで、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路(4)に回収させる場合に比べて、複数の第1冷凍装置(20)間の圧力損失の差や複数の第2冷凍装置(50)間の圧力損失の差を小さなものとすることができるため、冷凍システム(1)の構築が容易となる。
【0116】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の冷凍システム(1)であって、
前記複数の第2冷凍装置(50)の各々は、
前記第2冷凍回路(51)の前記第2蒸発器(53)よりも下流側、且つ前記第2凝縮器(52)よりも上流側に設けられる2段圧縮機(54A)をさらに含む。
【0117】
上記4)の構成によれば、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1排熱回収ライン(3)に回収させる場合には、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路(4)に回収させる場合に比べて、複数の第2冷凍装置(50)の各々の圧縮機(54)に要求される圧力比が大きなものとなる。複数の第2冷凍装置(50)の各々の圧縮機(54)を2段圧縮機(54A)とすることで、要求される圧力比に容易に対応可能となる。
【0118】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1冷凍回路(21)を循環する前記第1熱媒体は、二酸化炭素からなる。
【0119】
上記5)の構成によれば、複数の第1冷凍装置(20)の各々の冷媒である第1熱媒体を二酸化炭素とすることで、複数の第1冷凍装置(20)の各々を屋外又は屋内の何れにも設置できるため、複数の第1冷凍装置(20)の各々の設置場所の自由度が高い。また、第1熱媒体を二酸化炭素とすることで、第1熱媒体をアンモニア等とした場合に比べて、複数の第1冷凍装置(20)の維持コストを低減できる。
【0120】
6)幾つかの実施形態では、上記2)から4)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記複数の第2冷凍装置(50)の各々の前記第2冷凍回路(51)を循環する前記第4熱媒体は、二酸化炭素からなる。
【0121】
上記6)の構成によれば、複数の第2冷凍装置(50)の各々の冷媒である第4熱媒体を二酸化炭素とすることで、複数の第2冷凍装置(50)の各々を屋外又は屋内の何れにも設置できるため、複数の第2冷凍装置(50)の各々の設置場所の自由度が高い。また、第4熱媒体を二酸化炭素とすることで、第4熱媒体をアンモニア等とした場合に比べて、複数の第2冷凍装置(50)の維持コストを低減できる。
【0122】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から4)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1冷凍回路(21)を循環する前記第1熱媒体は、二酸化炭素からなり、
前記他の冷凍装置(11)は、アンモニアを冷媒とするアンモニア冷凍機(15)を含む。
【0123】
上記7)の構成によれば、複数の第1冷凍装置(20)の各々とアンモニア冷凍機(15)とで、冷媒が異なり、COP(エネルギ消費効率)/温度曲線等の冷媒特性も異なる。冷凍システム(1)の負荷、冷凍能力や要求温度帯等に応じて、複数の第1冷凍装置(20)の各々とアンモニア冷凍機(15)とを各々の冷媒特性に応じた使い分けを行うことができるため、冷凍システム(1)の運転効率の向上が可能となる。
【0124】
8)幾つかの実施形態では、上記2)から6)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記第2熱媒体と前記第3熱媒体は、同種の熱媒体からなり、
前記第1排熱回収ライン(3)は、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1凝縮器(22)に前記第2熱媒体を導くための第2熱媒体導入ライン(31)と、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1凝縮器(22)から前記第2熱媒体を排出するための第2熱媒体排出ライン(32)と、を含み、
前記第1冷熱回収回路(4)は、
前記第3熱媒体を貯留するように構成された第3熱媒体貯留タンク(41)と、
前記第3熱媒体貯留タンク(41)から前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1蒸発器(23)に前記第3熱媒体を導くための第3熱媒体導入ライン(42)と、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1蒸発器(23)から前記第3熱媒体貯留タンク(41)に前記第3熱媒体を戻すために第3熱媒体戻しライン(43)と、を含み、
前記第2排熱回収ライン(12)は、第1導入ライン(81)を介して前記第3熱媒体導入ライン(42)に接続され、第2導入ライン(82)を介して前記第2熱媒体導入ライン(31)に接続され、第1排出ライン(83)を介して前記第3熱媒体戻しライン(43)に接続され、第2排出ライン(84)を介して前記第2熱媒体排出ライン(32)に接続され、
前記冷凍システム(1)は、
前記第1導入ライン(81)、前記第2導入ライン(82)、前記第1排出ライン(83)及び前記第2排出ライン(84)の夫々を流れる前記熱媒体の流量を調整可能に構成された複数の流量調整弁(85、86、87、88)をさらに備える。
【0125】
上記8)の構成によれば、複数の流量調整弁(85、86、87、88)を開閉することで、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路(4)に回収させる状態とまとめて第1排熱回収ライン(3)に回収させる状態とに選択的に切り替えることができる。この場合には、複数の第2冷凍装置(50)から排出される排熱をまとめて第1冷熱回収回路(4)に回収させる状態と、まとめて第1排熱回収ライン(3)に回収させる状態との長所を適時に生かすことができる。
【0126】
9)幾つかの実施形態では、上記1)から8)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記第1排熱回収ライン(3)は、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1凝縮器(22)に前記第2熱媒体を導くための第2熱媒体導入ライン(31)と、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1凝縮器(22)から前記第2熱媒体を排出するための第2熱媒体排出ライン(32)と、を含み、
前記第1冷熱回収回路(4)は、
前記第3熱媒体を貯留するように構成された第3熱媒体貯留タンク(41)と、
前記第3熱媒体貯留タンク(41)から前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1蒸発器(23)に前記第3熱媒体を導くための第3熱媒体導入ライン(42)と、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々の前記第1蒸発器(23)から前記第3熱媒体貯留タンク(41)に前記第3熱媒体を戻すために第3熱媒体戻しライン(43)と、を含み、
前記冷凍システム(1)は、
前記第2熱媒体導入ライン(31)の前記第1凝縮器(22)に接続される導入側分岐管(312)、及び、前記第3熱媒体導入ライン(42)の前記第1蒸発器(23)に接続される導入側分岐管(422)、の夫々を流れる前記熱媒体の流量を調整可能に構成された複数の流量調整弁(9)をさらに備える。
【0127】
上記9)の構成によれば、複数の流量調整弁(9)を閉じることで、対象となる第1冷凍装置(20)の、共通の第1排熱回収ライン(3)及び共通の第1冷熱回収回路(4)との接続を解除できる。この場合には、上記対象となる第1冷凍装置(20)が運転停止状態であるときの圧力損失を低減できる。
【0128】
10)幾つかの実施形態では、上記1)から9)までの何れかに記載の冷凍システム(1)であって、
前記複数の第1冷凍装置(20)の各々は、前記第1冷凍回路(21)、前記第1凝縮器(22)及び前記第1蒸発器(23)を囲む外枠体(26)をさらに含み、
前記複数の第1冷凍装置(20)は、前記外枠体(26)同士を積層させる2以上の前記第1冷凍装置(20)を含む。
【0129】
上記10)の構成によれば、2以上の第1冷凍装置(20)を外枠体(26)同士を積層させて配置することで、複数の第1冷凍装置(20)の水平方向における設置スペースを低減できる。
【符号の説明】
【0130】
1,01 冷凍システム
2 第1冷凍装置群
3 第1排熱回収ライン
4 第1冷熱回収回路
5 第2冷凍装置群
6 第2冷熱回収回路
9,10 流量調整弁
11 他の冷凍装置
12 第2排熱回収ライン
13 第2排熱用熱媒体導入ライン
14 第2排熱用熱媒体排出ライン
15,15A,15B アンモニア冷凍機
20 第1冷凍装置
21 第1冷凍回路
22 第1凝縮器
23 第1蒸発器
24 第1圧縮機
25 第1膨張器
26,56 外枠体
27,57 コントローラ
28,58 バッファタンク
31 第2熱媒体導入ライン
32 第2熱媒体排出ライン
33 冷却装置
33A 排熱回収装置
33B 冷却器
34,45 ポンプ
41 第3熱媒体貯留タンク
42 第3熱媒体導入ライン
43 第3熱媒体戻しライン
44,64 熱交換器
50 第2冷凍装置
51 第2冷凍回路
52 第2凝縮器
53 第2蒸発器
54 第2圧縮機
55 第2膨張器
61 第5熱媒体貯留タンク
62 第5熱媒体導入ライン
63 第5熱媒体戻しライン
81 第1導入ライン
82 第2導入ライン
83 第1排出ライン
84 第2排出ライン
100 総括コントローラ
591 気液分離器
592 ガス流路
593 逆止弁
594 前段膨張器
P1,P2,P3,P4,P5,P6 接続位置