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特開2024-143904空気制御システムおよび空気制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143904
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空気制御システムおよび空気制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241004BHJP
   F24F 11/50 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/50
F24F11/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056846
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲史
(72)【発明者】
【氏名】神山 義光
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BF02
3L260AB15
3L260BA51
(57)【要約】
【課題】遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高める。
【解決手段】所定空間の空気に作用する機能を少なくとも1つ有する空気制御システム100において、機能を開始したユーザを特定する実行ユーザ特定部(RHユーザ情報部27)と、情報携帯端末30から識別情報と共に送信される機能に対する制御指令に基づいて制御可能な制御装置10と、を備える。制御装置10は、実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と情報携帯端末30からの識別情報が同じものと認められる場合、情報携帯端末30から送信された制御指令に基づいて制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間の空気に作用する機能を少なくとも1つ有する空気制御システムにおいて、
前記機能を開始したユーザを特定する実行ユーザ特定部と、
操作端末から識別情報と共に送信される前記機能に対する制御指令に基づいて制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、前記実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御する空気制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、操作端末から送信された制御指令を実行しない第1制限モードと、条件により操作端末から送信された制御指令を実行する第2制限モードを有し、
第2制限モードの場合には、前記実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御することを特徴とする請求項1に記載の空気制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、所定の条件を満たした場合、制御許可依頼を前記実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知することを特徴とする請求項1または2に記載の空気制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、操作端末からの識別情報が前記実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と同じものと認められない場合が所定回数ある場合、制御許可依頼を前記実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知することを特徴とする請求項1または2に記載の空気制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記機能を実行できない状態が所定期間継続した場合、制限許可依頼を前記実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知することを特徴とする請求項1または2に記載の空気制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、制御許可依頼を前記実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知した場合であって該ユーザから応答がない状態が所定の条件継続した場合には、前記実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められない場合であっても、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御することを特徴とする請求項3に記載の空気制御システム。
【請求項7】
前記機能を実行する複数の機器を備え、
前記制御部は、それぞれの前記機器と通信可能であり、操作端末から送信された制御指令に基づいて前記機器の機能を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の空気制御システム。
【請求項8】
所定空間の空気に作用する機能を少なくとも1つ制御する空気制御方法において、
前記機能を開始したユーザを特定し、
操作端末から識別情報と共に送信される前記機能に対する制御指令に基づいて制御する空気制御方法であって、
特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御する空気制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気制御システムおよび空気制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機器を宅外などの遠隔から操作する技術が提案されている。たとえば、特許文献1は、空気調和機が設置された部屋に人が在室中であるにもかかわらず、遠隔制御装置による遠隔制御が行なわれるといった不具合を防止するための空気調和機を開示する。この空気調和機は、リモコンからの運転制御と、遠隔制御装置からの遠隔制御とによって運転を行なうが、人体検出センサによって部屋内に人が検知された場合には、遠隔制御装置からの操作入力を無効とし、リモコンによる操作入力に基づいて運転制御を行なう。したがって、空気調和機が設置された部屋に人が在室中であるにもかかわらず、遠隔制御が行なわれるといった不具合を防止することが可能となる。但し、管理者情報と一致する者からの遠隔制御は有効とし、この場合はリモコンの操作を無効とする。
【0003】
また、特許文献2は、在宅者の意図に反することなく遠隔からの操作を実現し、ユーザの使い勝手を向上させるための空気調和機を開示する。この空気調和機は、操作命令を送信する操作装置と、操作命令に従って空調を制御する空気調和機とを備え、運転状態が停止状態であるか、操作命令の運転モードが停止モードであるか、または、運転状態と操作命令の運転モードが同一である場合は、操作命令に従った制御命令に基づき空調を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-120984号公報
【特許文献2】特開2014-202418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術において、空調機器の主目的は身体の快適さを高める空気調和であり、在室者の有無、在室者の操作意図への配慮が主となっており、室内の空気質状態を考慮して遠隔操作の可否を決めるものではない。また、在室者の有無が遠隔操作可否の基準となっており、遠隔操作する者が所定空間の安全性を考慮できる者であるか否かもその基準となっていない。一方、所定空間の空気に作用し得る空気制御機器の中には、身体に重大な影響を及ぼす空気質に関わる空気制御機器もある。たとえば、そのような空気制御機器として、レンジフードは、調理などから発生し得る有害ガスを排気するという重要な換気機能を主目的としている。このような空気制御機器を遠隔から操作する場合、操作指令を出す者には有害ガスの発生状況がわからないため安全性の考慮が殊更に重要であるため、安全性の観点から、従来技術の遠隔操作の技術をそのまま適用することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情を鑑みて考案されたものであり、遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高める空気制御システムおよび空気制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、所定空間の空気に作用する機能を少なくとも1つ有する空気制御システムにおいて、その機能を開始したユーザを特定する実行ユーザ特定部と、操作端末から識別情報と共に送信される機能に対する制御指令に基づいて制御可能な制御部と、を備え、制御部は、実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御する空気制御システムが提供される。
これによれば、操作端末からの制御指令は、機能を開始したユーザからの制御指令であることが認められた場合に限定して制御することで、遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高める空気制御システムを提供することができる。
【0008】
さらに、制御部は、操作端末から送信された制御指令を実行しない第1制限モードと、条件により操作端末から送信された制御指令を実行する第2制限モードを有し、第2制限モードの場合には、実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御することを特徴としてもよい。
これによれば、機能を開始したユーザからの制御指令である場合にその制御指令に基づいて制御するモードと、そのユーザからの制御指令であっても制御しないモードの2つのモードを備えることで、より高い安全性を担保しつつ、利便性を確保することができる。
【0009】
さらに、制御部は、所定の条件を満たした場合、制御許可依頼を実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知することを特徴としてもよい。
これによれば、所定の条件を満たした場合、機能を開始したユーザに対して機能を制御する許可を求める依頼を通知することで、空気質やその他の状況に合わせた制御が可能となる。
【0010】
さらに、制御部は、操作端末からの識別情報が実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と同じものと認められない場合が所定回数ある場合、制御許可依頼を実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知することを特徴としてもよい。
これによれば、機能を開始したユーザ以外の他のユーザからの制御指令である場合、機能を開始したユーザに対して制御許可依頼を通知することで、他のユーザが機能を制御しようとしている状況を知らせることができる。
【0011】
さらに、制御部は、機能を実行できない状態が所定期間継続した場合、制限許可依頼を実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知することを特徴としてもよい。
これによれば、機能を実行できない状態が継続する場合機能を開始したユーザに通知することで、実行できない状態を知らせることができる。
【0012】
さらに、制御部は、制御許可依頼を実行ユーザ特定部が特定したユーザに対して通知した場合であってそのユーザから応答がない状態が所定の条件継続した場合には、実行ユーザ特定部が特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められない場合であっても、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御することを特徴としてもよい。
これによれば、機能を開始したユーザに対して制御許可依頼を通知した場合において、所定の条件継続して応答がない場合でも機能を開始したユーザ以外の他のユーザからの制御指令に基づいて制御することにより、面倒な操作が不要となり、利便性が高まる。
【0013】
さらに、機能を実行する複数の機器を備え、制御部は、それぞれの機器と通信可能であり、操作端末から送信された制御指令に基づいて機器の機能を制御することを特徴としてもよい。
これによれば、様々な機能を実行する機器を備えることで、様々な空気質についての適切な状態を確保し、安全性と利便性を有する空気制御システムを提供することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、所定空間の空気に作用する機能を少なくとも1つ制御する空気制御方法において、その機能を開始したユーザを特定し、操作端末から識別情報と共に送信される機能に対する制御指令に基づいて制御する空気制御方法であって、特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御する空気制御方法が提供される。
これによれば、操作端末からの制御指令は、機能を開始したユーザからの制御指令であることが認められた場合に限定して制御することで、遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高める空気制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高める空気制御システムおよび空気制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る第一実施例の空気制御システムの構成ブロック図。
図2】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおける制限モードの概念図。
図3】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおける制御の例を示すフローチャート(その1)。
図4】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるレンジフードとコントローラのメインのフローチャート。
図5】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるレンジフードのモード制御処理のフローチャート。
図6】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるレンジフードの風量変更処理のフローチャート。
図7】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるレンジフードのコントローラ通知送信処理のフローチャート。
図8】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるレンジフードのユーザ識別情報の例を示す図。
図9】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるレンジフードのコントローラ通知情報の例を示す図。
図10】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるコントローラの遠隔指令応答処理のフローチャート。
図11】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおけるコントローラの遠隔指令未受信時処理のフローチャート。
図12】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおける制御の例を示すフローチャート(その2)。
図13】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおける情報携帯端末への通知例を示す図。
図14】本発明に係る第一実施例の空気制御システムにおける情報携帯端末からレンジフードへのユーザ登録する際の例を示す図。
図15】本発明に係る第二実施例の空気制御システムの構成ブロック図。
図16】本発明に係る第二実施例の空気制御システムにおける空気質と対応する空気制御機器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至図14を参照し、本実施例における空気制御システム100を説明する。空気制御システム100は、図1に示すように、制御装置10(本明細書内ではコントローラとも称する)とレンジフード20を備える。レンジフード20は、典型的にはキッチンに設置され、油煙を空気と共に屋外に排気する機能を有する機器であり、所定空間の空気に作用する機能を有する装置、機械、器具などの機器の一例である。また、本実施例では、制御装置10とレンジフード20は、別体の機器として記載するが、一体として構成された空気制御システムであってもよく、たとえば、レンジフード20の筐体の中に制御装置10が含まれていてもよい。
【0018】
なお、所定空間とは、一定の境界に仕切られ、所定空間外の空気との往来がある程度制限された空間であり、何も仕切りがない開放空間(たとえば屋外空間)を含むものではないが、所定空間外の空気との往来が一切ないというものではない。本明細書における所定空間とは、典型的には、壁、床、天井、窓などで屋外空間と仕切られた屋内空間や建物内部の空間を言うが、車両や船舶などの内部空間であってもよい。これらの空間は、意図的に設けた外部空間と連通する換気口や、意図的ではないが外部空間と連通する隙間等を有することが通常である。
【0019】
また、所定空間の空気に作用するとは、当該空間にある空気の温度、湿度、空気と言う混合気体に含まれる構成要素(浮遊粉塵等を含む)の割合に変化をもたらしたり、維持したり、また空気を移動させるために気流を発生させたりすることを言う。たとえば、キッチンで調理による油煙が増加した場合に屋外に排気したり、夏に居室が不快になった場合に温度と湿度を下げたり、室内で花粉を検知した場合にはそれを除去したり、体温を下げたり洗濯物を乾燥させるために室内で風を起こしたりすることである。レンジフード20以外の、所定空間の空気に作用する機能を有する機器については、他の実施例において後述する。また、所定空間の空気の状態(本明細書では空気質とも言う)とは、その空気の温度、湿度、構成要素の割合の状態を言い、様々なセンサ(たとえば、これらを検知する温度計、湿度計、CO2センサ、煙センサなど)により検知されるものである。
【0020】
レンジフード20は、調理時に発生する油煙等を大風量で空気と共に排気することを主な機能として設置される。レンジフード20は、自身の電源をオンオフしたり風量の大きさ(たとえば強中弱)を設定したりするための運転・風量スイッチ21と、運転開始や風量設定を行うユーザの生体認証を行う生体認証部22と、様々な空気質を検知するガスセンサや温度センサを含むセンサ23と、ガスこんろHPの通信部HPCおよび制御装置10のCT通信部14と通信を行うRH通信部24と、運転・風量スイッチ21の指示に従いファン(図示せず)を駆動するモータを制御するモータ制御部25と、レンジフード20に設けられた照明(図示せず)のオンオフを制御する照明制御部26と、レンジフード20を操作するユーザの情報を管理するRHユーザ情報部27と、ユーザの情報、様々な状態やパラメータを記憶する記憶部28と、を備える。
【0021】
制御装置10は、レンジフード20と情報携帯端末30と間で制御指令や情報のやり取りを仲介すると共に、レンジフード20の状態を保持し、指令処理を行う、所謂通信機能付きマイクロプロセッサである。制御装置10は、レンジフード20の状態を把握し保持する機器状態把握部11と、レンジフード20を操作するユーザの情報を管理するCTユーザ情報部12と、情報携帯端末30からの制御指令をレンジフード20への制御指令として通知するか否かの判定を行う判定処理部13と、レンジフード20のRH通信部24および情報携帯端末30のSM通信部34と通信を行うCT通信部14と、を備え、情報携帯端末30から送信されるレンジフード20の機能に対する制御指令に基づいて制御することが可能である。
【0022】
本図に示す情報携帯端末30は、空気制御システム100の一部ではないが、レンジフード20などの所定空間の空気に作用する機能を有する機器に対して直接接触せずに離れた位置からこれらの機器をユーザが操作する機器である。情報携帯端末30は、典型的にはスマートフォンであるが、操作者の識別情報を認証する機能を有する限り特に限定されない操作端末であり、例えば、制御装置10と通信可能な有線/無線のリモコンやタブレット端末であってもよい。情報携帯端末30と制御装置10との通信方法は、特に限定されず、情報携帯端末30の種類に応じて、近距離無線通信や赤外線通信、外部ネットワーク通信(公衆回線やインターネットなど)の無線通信であってもよいし、有線で接続されていてもよい。なお、本図に示すガスこんろHPは、レンジフード20と通信する機能(たとえば赤外線通信機能を有する通信部HPC)を有し、レンジフード20と連動する機器の一例として提示している。
【0023】
情報携帯端末30は、指紋を読み取り、情報携帯端末30に予め登録された指紋と比較して認証を行う指紋認証部31と、レンジフード20を操作するユーザの情報を管理するSMユーザ情報部32と、様々なものを表示する画像表示部33と、少なくとも上述したようにCT通信部14と通信を行うSM通信部34と、を備える。指紋認証部31は、たとえば、図14の右図に示されたような画像表示部33の下に設けられたボタンであり、このボタンに指紋を押し当てることで、指紋を読み取り、指紋を認証する。なお、情報携帯端末30は、指紋認証部31に加えてまたは代わって顔認証を行う機能を有していてもよい。
【0024】
SMユーザ情報部32は、所定空間の空気に作用する機能を有する機器であるレンジフード20を操作できるユーザの識別情報を管理し、登録されるユーザ識別情報は後述するようにRHユーザ情報部27およびCTユーザ情報部12と共有される。なお、ユーザ識別情報の登録は、図14の右図に示すように、通常、指紋や顔を読み取る機能を有する情報携帯端末30によりなされる。情報携帯端末30は、ユーザ識別情報を登録するためのアプリケーションを備える。このアプリケーションは、ユーザ名、情報携帯端末30の識別情報、属性などを入力させ、指紋や顔の情報を読み取らせ、これらを関連付けてSMユーザ情報部32に識別情報として記憶する。
【0025】
なお、RHユーザ情報部27に登録されるユーザ識別情報はレンジフードへの直接入力により登録されるものであってもよい。例えば、レンジフードの設定時にユーザに対して指紋登録を要求し、所定のユーザにより指紋登録が行われた場合にはユーザ識別情報としての指紋認証データをRHユーザ情報部27に登録する。この際、登録したユーザの情報携帯端末30とレンジフードのペアリングの要求も実行する。レンジフードと情報携帯端末30がペアリングされることにより情報携帯端末30が持つユーザ識別情報(この場合は指紋認証データ以外)がRHユーザ情報部27に登録される。SMユーザ情報部32が持つユーザ識別情報からの共有によりRHユーザ情報部へユーザ識別情報を登録するパターンだけでなく、このようにレンジフードへの直接入力により登録されるものであってもよい。なお、情報携帯端末30とユーザの頭より高い位置にあるレンジフードでは指紋認証の角度が情報携帯端末30の指紋認証と異なるところ生体認証用の指紋認証データをレンジフード側で取ることで実行ユーザの識別精度をあげることができる。
【0026】
制御装置10の機器状態把握部11は、所定空間の空気に作用する機能を有する機器であるレンジフード20からの運転開始・停止の状態、風量の状態の変更の通知があった場合にはその状態を把握し保持し、また、定期的にレンジフード20にポーリングを行うことによりその状態を把握し保持する。なお、レンジフード20以外の所定空間の空気に作用する機能を有する機器がある場合は、機器状態把握部11は、その他の機器の状態も把握し保持する。機器状態把握部11による保持は、記憶部28に記憶することにより行われてもよい。
【0027】
CTユーザ情報部12は、所定空間の空気に作用する機能を有する機器であるレンジフード20を操作できるユーザの識別情報を管理する。CTユーザ情報部12が管理するユーザ識別情報は、SMユーザ情報部32が登録したユーザ識別情報を基に得られ、また、RHユーザ情報部27が管理するユーザ識別情報と適宜同期されている。
なお、レンジフード20以外の所定空間の空気に作用する機能を有する機器がある場合は、CTユーザ情報部12は、その他の機器のユーザ識別情報も管理する。
【0028】
レンジフード20の生体認証部22は、図14の左図に示されるように運転・風量スイッチ21に指紋を読み取る機構を設け、運転・風量スイッチ21を操作した指の指紋を読み取った場合記憶部28に予め登録された指紋と比較して認証を行う。上述した指紋認証部31と同様、生体認証部22は、カメラを備えて、運転・風量スイッチ21を操作するユーザの顔を認識する機能を備え、顔により認証を行ってもよい。
【0029】
生体認証部22で読み取った生体情報は、RHユーザ情報部27に送られ、RHユーザ情報部27は、予め記憶部28に記憶されたユーザ識別情報(図8参照)を参照し、受け取った生体情報を検査する。レンジフード20の運転・風量スイッチ21を操作したユーザの生体情報が予め記憶されているものと一致する場合、RHユーザ情報部27は、運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザを特定する。
【0030】
なお、図8に示すユーザ識別情報は、ユーザID、ユーザ名、指紋認証データ、顔認証データ、登録情報携帯端末、属性の情報を有する一例を示す。たとえば、ユーザIDが「1」のユーザは、空気制御システム100上では、ユーザ名が「A」であり、指紋認証データと顔認証データが記憶されており、情報携帯端末30の識別情報として「IP001」の名前で登録され、属性としては「母」である。ユーザ識別情報には、レンジフード20が設置された家屋に居住する家族の内レンジフード20を操作する可能性ある者全員が登録されることが好ましい。
【0031】
制御装置10の判定処理部13は、RHユーザ情報部27が特定した運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザの識別情報および情報携帯端末30により制御指令を発したSMユーザ情報部32のユーザの識別情報に基づき、情報携帯端末30からの制御指令をレンジフード20への制御指令として伝達するか否かの判定を行う。すなわち、判定処理部13は、RHユーザ情報部27が特定した機能を開始したユーザの識別情報と、情報携帯端末30を用いて制御指令を発したユーザの識別情報が同じものと認められる場合、情報携帯端末30からユーザ識別情報と共に送信された制御指令をレンジフード20に送信し、その制御指令に基づいて制御する。なお、機能を開始したユーザの識別情報と情報携帯端末30からのユーザの識別情報が同じものと認められる場合とは、たとえば、両方の識別情報が図8のユーザID「1」に一致することを言い、レンジフード20側では指紋認証を行った識別情報であり、情報携帯端末30側では顔認証を行った識別情報であった場合でも、両識別情報が同定されればよい。
【0032】
このように、制御装置10が、レンジフード20の機能を開始したユーザすなわち所定空間の安全性を考慮できる者からの制御指令であることが認められた場合に限定して、情報携帯端末30からの制御指令をレンジフード20へ送信し、その制御指令に基づき制御することで、レンジフード20に直接接触せずに離れた位置である遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高める空気制御システム100を提供することができる。
【0033】
また、上述したことは、所定空間の空気に作用する機能を少なくとも1つ制御する空気制御方法でもある。この制御方法は、その機能を開始したユーザを特定し、情報携帯端末30などの操作端末から識別情報と共に送信される機能に対する制御指令に基づいて制御する空気制御方法であって、特定したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものと認められる場合、操作端末から送信された制御指令に基づいて制御する。これによれば、操作端末からの制御指令は、機能を開始したユーザからの制御指令であることが認められた場合に限定して制御することで、遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0034】
また、判定処理部13は、RHユーザ情報部27が特定した運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザの識別情報および情報携帯端末30により制御指令を発したSMユーザ情報部32のユーザの識別情報に加え、さらに機器状態把握部11が把握したレンジフード20の状態に基づき、情報携帯端末30からの制御指令をレンジフード20への制御指令として伝達するか否かの判定を行うことが好ましい。レンジフード20は、調理などから発生し得る有害ガスを排気するという重要な換気機能を有しており、レンジフード20やガスこんろHPを直接視認できないような位置である遠隔に居る者が操作する場合、有害ガスが発生し得る状態なのか否かが不明な場合があるため、安全性を考慮してレンジフード20の状態に基づいて制御指令を行うことが非常に重要である。
【0035】
レンジフード20の状態の例を、図2を参照して説明する。本明細書におけるレンジフード20の状態は、上記重要な換気機能に鑑み、ガスこんろHPが点火してから消火し、その後残留ガスが排気されるまでは、基本的には遠隔からの操作を制限し、制御指令を受け付けない状態(遠隔応答制限期間)と、その状態以外の、どのユーザからも遠隔からの制御指令を受け付ける状態(応答許可モード)に大別される。なお、基本的に制御指令を受け付けない状態の終期は、ガスこんろHPの消火後の残留ガスを排気する残置運転が終了する時に加え、レンジフード20の運転・風量スイッチ21を直接操作して運転を停止した時や、所定のユーザ(RHユーザ情報部27が特定した運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザ、以下では実行ユーザとも言う)が制御指令を受け付けない状態を明示的に解除した時であってもよい。実際にレンジフード20を直接操作するユーザやその状況を理解している所定のユーザは、遠隔からの制御指令を受け付ける状態にしてよいか否かの判断が可能だからである。また、残置運転期間を設けることは、臭いを消したい、湯気だけ排気したい、照明として使いたいという要望に応えることもできる。
【0036】
また、制御指令を受け付けない遠隔応答制限期間は、ガスこんろHPが点火状態か消火状態かで、第1制限モードと第2制限モードの2つの状態に区別し、第1制限モードでは基本通り遠隔からの制御指令を実行せず操作を制限する(すなわち機能を開始したユーザの識別情報と操作端末からの識別情報が同じものであっても制御指令を実行せず操作を制限する)が、第2制限モードではレンジフード20の機能を開始したユーザであれば遠隔からの制御指令を受け付けて操作を可能とすることが好ましい。その所定のユーザであれば、遠隔から操作してもよいか否かの判断が可能だからである。たとえば、ユーザにおける以下のような行動である。
【0037】
・ユーザAは調理を開始する(ガスこんろHPを点火し、風量弱の操作をする)。ユーザAは所定のユーザである。
・ユーザAは調理を終了し(ガスこんろHPを消火)、臭いが気になるのでレンジフード20の運転を停止せずに、リビングに行く。
・ユーザAはしばらくして臭いが消えたので、情報携帯端末30により遠隔から風量ゼロの指示を出して運転停止させる。
・この間、調理を管理してるユーザAの遠隔指示は受け付けるがこれ以外のユーザの遠隔指示を受け付けない。他のユーザからの遠隔指示は、ユーザAによる解除許可がされた後に受け付ける。
【0038】
このように、制御装置10は、情報携帯端末30から送信された制御指令を実行しない第1制限モードと、条件により操作端末から送信された制御指令を実行する第2制限モードを有し、第2制限モードの場合には、RHユーザ情報部27が特定したユーザの識別情報と情報携帯端末30からの識別情報が同じものと認められる場合、情報携帯端末30から送信された制御指令に基づいて制御することが好ましい。これによれば、空気制御システム100は、レンジフード20の機能を開始したユーザからの制御指令である場合にその制御指令に基づいて制御するモードと、そのユーザから制御指令であっても制御しないモードの2つのモードを備えることで、より高い安全性を担保しつつ、利便性を確保することができる。なお、情報携帯端末30から送信された制御指令を実行しないとは、制御装置10がその制御指令を受信した直後に受け付ける処理を行わずにその制御指令を実行しない場合と、受信した後にその制御指令に関係のない処理を行った後その制御指令を実行しようとするとき実行しない場合の両方を含む。
【0039】
図3を参照し、レンジフード20、コントローラ(制御装置10)、情報携帯端末30、ガスこんろHPの間でのやり取りを説明する。まず、ユーザAは、運転・風量スイッチ21を指で操作し、指紋で生体認証を受ける。レンジフード20の生体認証部22はユーザAの指紋を読み取り、RHユーザ情報部27は、ユーザ識別情報における指紋認証データ参照し、ユーザAの指紋がユーザ識別情報に登録されている場合には、ユーザAがレンジフード20の機能を開始したユーザであると特定する。これにより、モータ制御部25は、R11において、モータを回転駆動し、レンジフード20は所定の風量で運転を開始する。
【0040】
この状態において、ユーザAは、G11において、料理等を行うためにガスこんろHPを点火し、ガスこんろHPは、レンジフード20へ点火した旨の信号を送信する。レンジフード20は、R12においてガスこんろHPが使用されている状態であると検知し、R13においてその状態をコントローラへ送信する。コントローラは、C11において、レンジフード20の状態を受信し、その状態を把握する。これにより、コントローラは、遠隔からの制御指令を実行しない第1制限モードになる。その後、コントローラは、C12において、レンジフード20の状態を定期的に確認するためにポーリングを行う。
【0041】
ユーザAは、G12において、料理等を終了しガスこんろHPを消火し、ガスこんろHPは、レンジフード20へ消火した旨の信号を送信する。レンジフード20は、R13においてガスこんろHPが使用されていない状態であると検知し、R15においてその状態をコントローラへ送信する。コントローラは、C13において、レンジフード20の状態を受信し、その状態を把握する。これにより、コントローラは、レンジフード20の機能を開始したユーザAであれば遠隔からの制御指令を受け付ける第2制限モードになる。
【0042】
この状態において、機能を開始したユーザとは異なるユーザであるユーザBが情報携帯端末30を操作して遠隔からレンジフード20に対して運転停止や風量変更などの制御指令をコントローラに送信した場合(S11)、コントローラは、C14において、ユーザBからの制御指令を受け付けない。一方、ユーザAが情報携帯端末30を操作して遠隔から運転停止の制御指令をコントローラに送信した場合(S12)、コントローラは、C14において、ユーザAからの制御指令を受け付け、レンジフード20にその制御指令を送信する。この制御指令を受信したレンジフード20は、R16において、運転を停止する。
【0043】
その後、コントローラは、C15において、レンジフード20の状態を定期的に確認するためにポーリングを行う。コントローラは、特に残置運転期間が設定されていない場合、第2制限モードのままなので、C15においてポーリングを継続し続ける(本図では定期状態確認は便宜上1回のみだが複数回行われてもよい)。このような状態が所定の条件継続した場合、コントローラは、C16において、第2制限モードの状態を解除して他のユーザでも制御できるように許可を求める依頼(制御許可依頼)をユーザAの情報携帯端末30に通知することが好ましい。なお、所定の条件は、適宜定められるが、たとえば、ポーリングの回数、定期状態確認の継続期間、第2制限モードの継続期間、ユーザA以外のユーザからの遠隔制御指令の回数などに基づいて定めされる値であり、またはこれらの組み合わせた条件であってもよいし、状況に応じてこれらの条件を変動させてもよい。
【0044】
ユーザAがこの通知を受信し第2制限モードを解除することを認めてコントローラに送信した場合(S13)、コントローラは、C17において、第2制限モードからどのユーザからも遠隔からの制御指令を受け付ける応答許可モードになり、このモード変更があったことをレンジフード20へ送信する。これを受信したレンジフード20は、R17において、自身の状態を応答許可モードにする。このように、ユーザA以外のユーザからの遠隔制御指令の入力等、所定の条件を満たした場合、機能を開始したユーザAに対して機能を制御する許可を求める依頼を通知することで、空気質やその他の状況に合わせた制御が可能となる。
【0045】
図4図12のフローチャートを参照し、コントローラとレンジフード20の制御処理フローを詳述する。図4の左図は、レンジフード20のメインの制御処理を示し、同図の右図は、コントローラの制御処理を示す。レンジフード20のメイン処理では、S100においてコントローラ通知受信処理、次いでS200においてモード制御処理、次いでS300において風量変更処理、次いでS400においてその他の制御処理、次いでS500においてコントローラ通知送信処理が行われる。また、コントローラのメイン処理では、S600において機器状態確認処理、次いでS700においてユーザ識別情報確認処理、次いでS800において遠隔指令応答処理、次いでS900において遠隔指令未受信時処理が行われる。
【0046】
両者のメイン処理は、基本的に非同期に制御されているが、コントローラの機器状態確認処理(S600)で送信されるポーリング、遠隔指令応答処理(S800)で送信される運転状態・風量の変更に関する制御指令、遠隔指令応答処理(S800)と遠隔指令未受信時処理(S900)で送信されるモードの維持/変更に関する指令は、レンジフード20のコントローラ通知受信処理(S100)で受信され、また、レンジフード20のコントローラ通知送信処理(S500)で送信されるコントローラ通知情報は、コントローラの機器状態確認処理(S600)で受信されるように、両者間で通信が行われている。また、コントローラと情報携帯端末30との通信は、遠隔指令応答処理(S800)において行われる。
【0047】
まず、レンジフード20の処理フローを説明する。レンジフード20のRH通信部24は、S100において、コントローラのCT通信部14からの、レンジフード20の状態を把握するためのポーリング、運転状態や風量の変更に関する制御指令、またはモードの維持/変更に関する指令を受信する。次いで、レンジフード20は、図5に示すモード制御処理(S200)を行う。レンジフード20は、S202において、その時点における調理状態に関わる情報をセンサ23から取得する。レンジフード20は、S204において、取得した情報が調理状態であることを示すものであるか否かを検査する。調理状態であることを示すセンサ値である場合、レンジフード20は、S206において、自身を第1制限モードに設定する。そして、S208において、その時点でのモード(ここでは第1制限モード)を滞在モードとして記憶部28に記憶する。また、S204においては情報として調理状態にかかわるセンサ値だけでなくS100で受信したコントローラからのモード移行に関する情報も検査する。モード移行に関する情報は後述するS216、S218で用いられる。
【0048】
また、調理状態であることを示さないセンサ値である場合すなわち調理状態ではない場合、レンジフード20は、S210において、その時点で記憶部28に記憶しているモード(滞在モード)が第1制限モードか否かを検査する。滞在モードが第1制限モードである場合、レンジフード20は、S212において、自身を第2制限モードに設定し、モード移行する。そして、その時点でのモード(ここでは第2制限モード)を滞在モードとして記憶部28に記憶する(S208)。
【0049】
また、滞在モードが第1制限モードでない場合、レンジフード20は、S214において、滞在モードが第2制限モードか否かを検査する。滞在モードが第2制限モードである場合、レンジフード20は、S216において、コントローラからの制御指令は、応答許可モードへの移行を示すものか否かを検査する。応答許可モードへの移行を示すものである場合、レンジフード20は、S218において、自身を応答許可モードに設定し、モード移行する。そして、その時点でのモード(ここでは応答許可モード)を滞在モードとして記憶部28に記憶する(S208)。なお、応答許可モードへの移行を示すものでない場合、レンジフード20は、現在のモードを維持する(S212)。また、S214で滞在モードが第2制限モードでない場合、すなわち応答許可モードであるので、レンジフード20は、S218において、応答許可モードをセット(維持)する。
【0050】
次いで、レンジフード20は、図6に示す風量変更処理(S300)を行う。レンジフード20は、S302において、コントローラから運転状態や風量の変更に関する制御指令を受信したか否かを検査する。その制御指令を受信した場合、モータ制御部25は、S304において、その制御指令に基づいてファンの風量を変更する。コントローラから制御指令を受信しない場合、モータ制御部25は、S306において、運転・風量スイッチ21に対する指示やセンサ23が検知したこんろ天面の温度に基づいて風量を変更する。次いで、レンジフード20は、S400において、その他の制御処理、たとえば照明制御部26の処理を行う。
【0051】
次いで、レンジフード20は、図7に示すコントローラ通知送信処理(S500)を行う。レンジフード20は、S502において、コントローラからレンジフード20に対する状態を問い合わせるポーリングの有無、コントローラが要求する情報などについて確認を行う。次いで、レンジフード20のRHユーザ情報部27は、S504において、予め記憶部28に記憶されたユーザ識別情報(図8参照)を参照し、コントローラを介して情報携帯端末30から送信されたユーザ識別情報または運転・風量スイッチ21を操作したユーザのユーザ識別情報を確認する。次いで、レンジフード20は、S506において、記憶部28に記憶された情報を確認する。記憶部28に記憶された情報とは、例えば、図9にある動作状態、換気風量設定などである。
【0052】
次いで、レンジフード20は、S508において、上記の確認した内容に基づきレンジフード20のその時の状況についてコントローラへの通知情報を生成する。この通知情報の例は、図9に示される。コントローラ通知情報には、たとえば、送信ID、レンジフード20の動作状態、設定された換気風量、操作または制御指令を行ったユーザの指紋情報、レンジフード20周辺における人体検知情報の有無、センサ値のCO2濃度、センサ値のガス検知レベル、レンジフード20のその時のモードの情報が含まれている。そして、RH通信部24は、S510において、生成した通知情報をコントローラへ送信する(上述したR13、R15に相当)。
【0053】
次に、コントローラの処理フローを説明する。コントローラの機器状態把握部11は、S600において、レンジフード20の状態を把握し保持する。機器状態把握部11は、レンジフード20が生成し送信した通知情報をCT通信部14を介して取得し、保持する(上述したC11、C13に相当)。また、機器状態把握部11は、自らレンジフード20の状態を定期的に確認するためにポーリングを行い、レンジフード20の状態を取得し保持する(上述したC12、C15に相当)。機器状態把握部11が取得し保持する内容は、図9に示される内容が含まれる。
【0054】
次いで、CTユーザ情報部12は、S700において、レンジフード20を操作するユーザの情報を確認する。機器状態把握部11が取得した内容には指紋情報が含まれているため、CTユーザ情報部12は、自ら有するレンジフード20を操作できるユーザのユーザ識別情報内の指紋情報を参照し、取得した指紋情報の確認を行う。また、この処理においてはユーザ識別情報の更新、例えば、新たに追加されたユーザ情報やユーザに紐づく登録情報携帯端末の変更等が行われる。また、所定のユーザの識別、具体的には、どのユーザが機能を開始した実行ユーザでどのユーザが実行ユーザ以外であるかの確認も行う。
【0055】
次いで、コントローラは、図10に示す遠隔指令応答処理(S800)を行う。コントローラは、S802において、情報携帯端末30から指令を受信したか否かを検査する。受信してない場合は、後述する遠隔指令未受信時処理(S900)を行う。受信した場合、コントローラは、S804において、風量変更の制御指令か否かを検査する。風量変更の制御指令である場合、コントローラは、S806において、機器状態把握部11が取得した機器情報内のレンジフード20のモード情報を参照し、現在のレンジフード20が第1制限モードか否かを検査する。第1制限モードである場合、コントローラは、S814において、風量変更ができない旨をその制御指令を送信したユーザの情報携帯端末30に通知する。
【0056】
第1制限モードでない場合、コントローラは、S808において、レンジフード20が第2制限モードか否かを検査する。第2制限モードである場合、コントローラは、S810において、その制御指令を送信したユーザが所定のユーザか否かを検査する。ここで、所定のユーザとは、RHユーザ情報部27が特定した運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザであり、この情報は、機器状態把握部11が取得した機器情報内の指紋情報に含まれている。この指紋情報から特定されるユーザとその制御指令を送信したユーザが同じであると認められる場合、コントローラは、その制御指令を送信したユーザは、運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザであると判定する。その制御指令を送信したユーザが所定のユーザである場合、コントローラは、S812において、情報携帯端末30から受信した制御指令に基づき風量を変更する制御指令をレンジフード20へ送信する。
【0057】
その制御指令を送信したユーザが所定のユーザでない場合、コントローラは、S816において、所定のユーザへ、第2制限モード中に他のユーザから風量変更の制御指令があったため第2制限モードを解除してよいかについて督促の通知を行う。その後、コントローラは、情報携帯端末30からその制御指令を送信したユーザへ風量変更ができない旨を通知する(S814)。
【0058】
このように、コントローラは、情報携帯端末30からの識別情報が所定のユーザの識別情報と同じものと認められない場合が所定回数ある場合、制御許可依頼を所定のユーザに対して通知することが好ましい。これによれば、機能を開始したユーザ以外の他のユーザからの制御指令である場合、機能を開始したユーザに対して制御許可依頼を通知することで、他のユーザが機能を制御しようとしている状況を知らせることができる。なお、所定回数は本図では1回だが、適宜複数回であってもよい。また、機能を開始したユーザ以外の他のユーザから来た制御指令の回数に応じて通知内容変化させてもよく、例えば、5回目以降の通知は強調表示をする、通知音を変更する、などとしてもよい。また、本図では、レンジフード20が第1制限モードなのかまたは第2制限モードなのかを区別して説明した(S806とS808)が、第1/第2制限モードといった状態を区別せずに、コントローラが機能を実行できない状態(応答制限モード)を識別した後に実行ユーザ以外からの制御指令が所定回数ある場合、制御許可依頼を実行ユーザに対して通知してもよい。なお、応答制限モードとは、第1制限モードと第2制限モードのいずれをも包含するモード(状態)を言う。
【0059】
なお、S808で第2制限モードでない場合はレンジフード20の現在のモードは応答許可モードであると考えられるので、コントローラは、S812において、情報携帯端末30から受信した制御指令に基づき風量を変更する制御指令を送信する。
【0060】
また、S804において情報携帯端末30から風量変更に関連した制御指令を受信していない場合、コントローラは、S818において、情報携帯端末30から受信した指令が所定のユーザからの第2制限モードを解除することを許可する旨の通知であるか否かを検査する。第2制限モードを解除することを許可する旨の通知を受信した場合、コントローラは、S820において、応答許可モードに移行するようにレンジフード20に通知する。第2制限モードの解除許可通知を受信していない場合、コントローラは、S822において、情報携帯端末30から受信した指令が所定のユーザからの督促通知に対する拒否応答であるか否かを検査する。拒否応答である場合、コントローラは、S824において、レンジフード20に対して現在のモードを維持する旨を通知し、拒否応答でない場合はS826においてその他の通知を生成する。その他の通知とは、たとえば、調理ガス排気にかかわらない情報携帯端末30からの指令、照明の明るさ変更などの照明制御部26への指令などである。
【0061】
次いで、コントローラは、図11に示す遠隔指令未受信時処理(S900)を行う。なお、遠隔指令未受信時処理は、コントローラのメイン処理、および、遠隔指令応答処理(S800)において情報携帯端末30から指令を受信したか否かを検査する際(S802)の受信してない場合に実行される。コントローラは、S902において、所定間隔において情報携帯端末30からの指令を受信していないユーザを確認する。所定間隔とは、前回の本ステップ以降今回の本ステップまでの間隔を言う。
【0062】
コントローラは、S904において、そのユーザが所定のユーザ(運転・風量スイッチ21を操作して機能を開始したユーザ)か否かを検査する。所定のユーザでない場合は遠隔指令未受信時処理(S900)を終了する。所定のユーザである場合、コントローラは、S906において、レンジフード20が現在制御指令を受け付けない状態(遠隔応答制限期間:応答制限モード)か否かを検査する。制御指令を受け付ける状態である場合は遠隔指令未受信時処理(S900)を終了する。制御指令を受け付けない状態である場合、コントローラは、S908において、レンジフード20が現在第2制限モードか否かを検査する。第2制限モードでない場合は遠隔指令未受信時処理(S900)を終了する。
【0063】
第2制限モードである場合は、コントローラは、レンジフード20の状態を定期的に確認するためにポーリングを行ってレンジフード20の状態を取得しているところ(上述した、S600、C12、C15に相当)、S910において、取得したレンジフード20の状態が第2制限モードで規定値に到達したか否かを検査する。ここで、規定値とは、適宜定められるが、たとえば、ポーリングの回数、定期状態確認の継続期間、第2制限モードの継続期間などに基づいて定められる値であり、またはこれらの組み合わせた条件であってもよいし、状況に応じてこれらの条件を変動させてもよい。規定値に到達していない場合は遠隔指令未受信時処理(S900)を終了する。規定値に到達した場合、コントローラは、S912において、その旨(制御許可依頼)を所定のユーザに通知する。
【0064】
この通知の例は、図13に示される。本図で示されるように、調理を開始したユーザAに対して、現在はユーザAだけがレンジフード20を遠隔から操作できる状態(第2制限モード)であること、遠隔の他のユーザBから風量変更の制御指令を受信していること、どのユーザからも遠隔からの制御指令を受け付ける状態(応答許可モード)にしてよいか許可を求めること、第2制限モードを解除しない場合は「NG」ボタンを押すこと(拒否応答)を依頼すること、30秒間「NG」ボタンを押さない場合は自動的に第2制限モードが解除されること、などを通知する。
【0065】
コントローラは、S914において上記の督促通知後30秒待機し、30秒経過後、S916において、レンジフード20を第2制限モードを解除して応答許可モードに移行するように指令を送信する。なお、図13の例で示した「NG」ボタンが押された場合には、移行する指令は送信しない。
【0066】
図12を参照し、S908~S916について詳述する。コントローラの機器状態把握部11は、一定間隔で(たとえば10秒おき)レンジフード20の状態を把握するポーリングを行う。所定のユーザ以外のユーザは遠隔から風量変更をできない第2制限モードにあるレンジフード20は、その旨をコントローラへ返信する。このようなコントローラとレンジフード20間のやり取りが規定値(たとえば応答不可の状態通知30回)に到達した場合、コントローラは、機能を開始した所定のユーザの情報携帯端末30へ制御許可を求める督促を通知する。なお、本図では、第2制限モードにおける規定値到達で制御許可依頼を実行ユーザに通知する旨を説明したが、第1/第2制限モードといった状態を区別して制御するものだけでなく、第1/第2制限モードといった状態を区別せずに(図11におけるS908を行わずに)、コントローラが機能を実行できない状態(応答制限モード)を識別した後に規定値到達で制御許可依頼を実行ユーザに通知するものであってもよい。なお、ここで規定値とは、たとえば上述の応答不可の状態通知30回や第2制限モードの滞在時間5分などを言う。
【0067】
所定のユーザが制御の許可を与えなかった場合(「NG」操作を行った場合)、コントローラは、レンジフード20が第2制限モードを維持するため移行の指令は送信しない。一方、たとえば督促通知後30秒間待機して明示的な不許可の返事がない場合、コントローラは、第2制限モードを解除して、どのユーザからも遠隔からの制御指令を受け付ける応答許可モードに移行するように指示をレンジフード20へ送信する。これを受信したレンジフード20は、応答許可モードに移行した旨の状態を返信する。
【0068】
上述したように、コントローラが機能を実行できない状態である第2制限モードが所定期間などの規定値(たとえば上述の応答不可の状態通知30回や第2制限モードの滞在時間5分)継続した場合制限許可依頼を所定のユーザに対して通知することで、第2制限モードを解除できる所定のユーザに実行できない状態を知らせることができる。また、制御許可依頼を所定のユーザに対して通知し、そのユーザから応答がない状態が例示した30秒と言った所定の条件継続した場合には、所定のユーザの識別情報と情報携帯端末30からの識別情報が同じものと認められない場合、すなわち他のユーザからの制御指令であっても、その情報携帯端末30から送信された制御指令に基づいて制御してもよい。ここで、コントローラが機能を実行できない状態とは、空気に作用する機能自体は実行できるが、情報操作端末30経由での機能の実行ができない状態を言う。
【0069】
これによれば、機能を開始した所定のユーザに対して制御許可依頼を通知した場合において、所定の条件、応答がない場合でも所定のユーザ以外の他のユーザからの制御指令に基づいて制御することにより、面倒な操作が不要となり、利便性が高まる。なお、所定の条件とは、適宜定められるが、たとえば、例示したような予め定めた一定の時間や、ポーリングの回数、定期状態確認の継続期間、第2制限モードの継続期間、ユーザA以外のユーザからの遠隔制御指令の回数などに基づいて定められる値であり、またはこれらの組み合わせた条件であってもよいし、状況に応じてこれらの条件を変動させてもよい。
【0070】
なお、面倒な操作不要となり、利便性高まるとは、解除許可をするにあたり解除許可入力を行う等の操作が不要なので、所定のユーザの利便性が高まることなどを言う。また、所定の条件継続したか否かを空気制御システム100が自動的に判断して所定のユーザ以外のユーザからの制御指令を受け入れるので所定のユーザ以外のユーザが所定のユーザに対して督促を行う必要もない。このため所定のユーザ以外にとっても面倒な操作が不要となり、利便性が高まる。
【0071】
また、所定の条件継続していない場合であってもコントローラが室内空気質を安全であるまたは安全方向に働く制御指令であることを確認した場合には他のユーザからの制御指令に基づいて制御を行うものであってもよい。なお、室内空気質が安全であるかどうかは指標(たとえば、ガスセンサの値と温度センサが取得する加熱調理器の天面温度)を用いて確認する。この指標は一つでもいいし複数の指標を用いてもいい。また、安全方向に働く制御指令とは二酸化炭素濃度が高レベルのときに風量強などが該当する。
【0072】
<第二実施例>
図15図16を参照し、本実施例における空気制御システム100Aを説明する。なお、重複記載を避けるため、他の実施例に含まれる構成要素には同じ符号を付し、説明を簡略化する。空気制御システム100Aは、図15に示すように、制御装置10A、レンジフード20、居室用換気扇40、開放型の石油ファンヒータ50、開放型のガスファンヒータ60、換気機能付きエアコン70、浴室暖房乾燥機80、床暖房90、センサA0を備える。センサA0は、様々な空気質を検知するために様々な場所に設けられるセンサであり、独立の装置として存在していてもいいし、他の機器に備えられていてもよく、たとえば、火災警報器や一酸化炭素チェッカーなどである。
【0073】
レンジフード20は、油煙を空気と共に屋外に排気する機能を有する。居室用換気扇40は、屋内の空気を外部へ移動させるように気流を発生させる機能を有する。石油ファンヒータ50は、石油を燃料として空気の温度を上げる機能を有する。ガスファンヒータ60は、都市ガス等を燃料として空気の温度を上げる機能を有する。換気機能付きエアコン70は、空気の温度と湿度を上げたり下げたりする機能を有する。浴室暖房乾燥機80は、浴室や脱衣室の空気の温度を上げ、湿度を下げる機能を有する。床暖房90は、居間や脱衣室などの床を暖めることにより空気の温度を上げる機能を有する。これらの機器は、所定空間の空気に作用する機能を有する機器であり、空気制御システム100Aに含まれるこれらの複数の機器は、所定空間の空気に作用する機器である限り、この例示に限定されることはない。
【0074】
情報携帯端末30は、レンジフード20などの所定空間の空気に作用する機能を有する機器に対して直接接触せずに離れた位置からこれらの機器をユーザが操作するための機器である。制御装置10Aは、上記のそれぞれの機器の状態を把握し保持する機器状態把握部11Aと、上記のそれぞれの機器を操作するユーザの情報を管理するCTユーザ情報部12Aと、情報携帯端末30からの制御指令を上記のそれぞれの機器への制御指令として通知するか否かの判定を行う判定処理部13Aと、上記のそれぞれの機器の通信部および情報携帯端末30の通信部と通信を行うCT通信部14Aと、を備え、情報携帯端末30から送信される上記のそれぞれの機器の機能に対する制御指令に基づいて制御することが可能である。
【0075】
機器状態把握部11Aは、所定空間の空気に作用する機能を有する上記のそれぞれの機器からの運転開始・停止の状態、風量や温度等の状態の変更の通知があった場合にはその状態を把握し保持し、また、定期的にそれぞれの機器にポーリングを行うことによりその状態を把握し保持する。CTユーザ情報部12Aは、上記のそれぞれの機器を操作できるユーザの識別情報を管理する。
【0076】
判定処理部13Aは、上記のそれぞれの機器を操作して機能を開始したユーザの識別情報および情報携帯端末30により制御指令を発したユーザの識別情報に基づき、情報携帯端末30からの制御指令を当該機器への制御指令として伝達するか否かの判定を行う。すなわち、判定処理部13Aは、上記のそれぞれの機器の機能を開始したユーザの識別情報と、情報携帯端末30を用いて制御指令を発したユーザの識別情報が同じものと認められる場合、情報携帯端末30からユーザ識別情報と共に送信された制御指令を上記のそれぞれの機器に送信し、その制御指令に基づいて制御する。
【0077】
ここで、図16を参照して、身体に重大な影響を及ぼす室内の空気質状態について説明する。たとえば、一酸化炭素濃度が10ppm以上の場合(たとえば、レンジフード20により換気がなされずにガスこんろを所定時間以上使用している場合)、身体へは一酸化炭素中毒の恐れがある。この恐れに対しては、室内の空気を換気することが有効なので、レンジフード20、居室用換気扇40、換気機能付きエアコン70、開放型暖房器具(石油ファンヒータ50、ガスファンヒータ60など)が対応する機器と言える。すなわち、一酸化炭素濃度が所定の濃度にならないようにするために、対応空気制御機器として、レンジフード20、居室換気扇40、換気機能付きエアコン70が換気を行い、開放暖房機器は、燃焼量を制御することにより一酸化炭素濃度が上がらないようにする。たとえば、空気制御システム100は、一酸化炭素濃度が10ppm近くになったら、レンジフード20を作動させて換気を行い、開放暖房機器の燃焼量を下げるように制御を行うことにより身体に重大な影響を及ぼす室内の空気質状態への対応ができる。
【0078】
また、二酸化炭素濃度が3000ppm以上の場合(たとえば、居室用換気扇40により換気がなされずに多数の人数で所定時間以上居るような場合)、身体へは二酸化炭素中毒の恐れがある。この恐れに対しては、室内の空気を換気することが有効なので、レンジフード20、居室用換気扇40、換気機能付きエアコン70、開放型暖房器具が対応する機器と言える。また、暖房居室と非暖房居室の温度差が4℃以上ある場合、身体へはヒートショックの恐れがある。この恐れに対しては、通常暖房のない浴室や脱衣室を暖めて温度差を小さくすることが有効なので、床暖房90や浴室暖房乾燥機80が対応する機器と言える。また、暑さ指数(WBGT値:Wet Bulb Globe Temperature)が28以上の場合、身体へは熱中症の恐れがある。この恐れに対しては、室内の温度を下げたり、室内に籠った熱を排気することが有効なので、換気機能付きエアコン70、レンジフード20、居室用換気扇40が対応する機器と言える。
【0079】
たとえば、炬燵でガスこんろを使用するので一酸化炭素中毒や二酸化炭素中毒の恐れを懸念して居室用換気扇40の運転を開始した場合、制御装置10Aは、居室用換気扇40の制御指令を受け付けない状態(遠隔応答制限期間:応答制限モード)に設定する。しかし、制御装置10A(判定処理部13A)は、居室用換気扇40の機能を開始したユーザすなわち所定空間の安全性を考慮できる者からの制御指令であることが認められた場合に限定して、情報携帯端末30からの制御指令を居室用換気扇40へ送信し、その制御指令に基づき制御することで、居室用換気扇40に直接接触せずに離れた位置である遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0080】
また、たとえば、空気制御システム100Aは、室内空気質の状態として、暖房居室と非暖房居室の温度差4℃以上の場合は、身体へヒートショックの恐れがあると判断する。このような場合、在室者の行動に応じて空気制御機器を作動させる。たとえば、ユーザが台所にある操作パネルを操作して脱衣室等の床暖房90を作動させるとともに浴室暖房乾燥機80を作動させるような場合、制御装置10Aは、ユーザが入浴して所定時間経過するまで床暖房90と浴室暖房乾燥機80の制御指令を受け付けない状態(遠隔応答制限期間:応答制限モード)に設定する。
【0081】
しかし、制御装置10Aは、床暖房90と浴室暖房乾燥機80の機能を開始したユーザすなわち所定空間の安全性を考慮できる者からの制御指令であることが認められた場合に限定して、情報携帯端末30からの制御指令を床暖房90と浴室暖房乾燥機80へ送信し、その制御指令に基づき制御することで、床暖房90と浴室暖房乾燥機80に直接接触せずに離れた位置である遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。なお、ユーザの移動に応じて応答制限モードに入る機器が変わってもいい。例えば、ユーザが脱衣室で着替えている間は脱衣室の床暖房90が応答制限モードに、ユーザが浴室に移動したら応答制限モードを解除するようにユーザの移動に応じて機器が連携制御してもよい。
【0082】
また、たとえば、ユーザによりレンジフード20の運転操作(熱籠り解消動作)がされ、暑さ指数(WBGT値)31以上において換気機能付きエアコン70が起動準備をしている場合または未作動状態の場合、制御装置10Aは、レンジフード20の制御指令を受け付けない状態(遠隔応答制限期間:応答制限モード)に設定する。しかし、制御装置10Aは、レンジフード20の機能を開始したユーザすなわち所定空間の安全性を考慮できる者からの制御指令であることが認められた場合に限定して、情報携帯端末30からの制御指令をレンジフード20へ送信し、その制御指令に基づき制御することで、レンジフード20に直接接触せずに離れた位置である遠隔から操作する場合でも適切な空気質状態を確保することで安全性を担保しつつ、ユーザにとっての利便性を高めることができる。
【0083】
上述したように、所定空間の空気に作用する機能を実行する機器を複数備え、制御装置10Aが情報携帯端末30から送信された制御指令に基づいて機器の機能を制御することで、様々な空気質についての適切な空気質状態を確保し、安全性と利便性を有する空気制御システム100Aを提供することができる。
【0084】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0085】
100 空気制御システム
10 制御装置(制御部)
11 機器状態把握部
12 CTユーザ情報部
13 判定処理部
14 CT通信部
20 レンジフード
21 風量スイッチ
22 生体認証部
23 センサ(ガスセンサ、温度センサを含む)
24 RH通信部
25 モータ制御部
26 照明制御部
27 RHユーザ情報部
28 記憶部
30 情報携帯端末
31 指紋認証部
32 SMユーザ情報部
33 画像表示部
34 SM通信部
40 居室用換気扇
50 石油ファンヒータ
60 ガスファンヒータ
70 換気機能付きエアコン
80 浴室暖房乾燥機
90 床暖房
A0 センサ
HP ガスこんろ
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