(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143909
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電力供給システム、及び、電力供給システムを有する移動体
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20241004BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J9/06 110
H02J1/00 304H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056854
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】三谷 学
(72)【発明者】
【氏名】中野 津
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
【Fターム(参考)】
5G015FA02
5G015GB06
5G015HA16
5G015JA54
5G015JA56
5G015KA12
5G165BB01
5G165BB04
5G165CA01
5G165EA02
5G165EA04
5G165EA10
5G165GA04
5G165GA09
5G165HA01
5G165LA01
5G165NA05
5G165NA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動体に搭載するより良好な電力供給システム及び電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力供給システム10は、第1主電源装置14aから出力される直流電力を第1負荷装置16aに供給する第1電力供給回路12aと、第2主電源装置14bから出力される直流電力を第2負荷装置16bに供給する第2電力供給回路12bと、第1電力供給回路と第2電力供給回路とを接続する第1接続回路18aと、第1接続回路に第1主電源装置及び第2主電源装置と並列に接続される第1予備蓄電装置19aと、を備える。このような構成によれば、第1予備蓄電装置から第1負荷装置と第2負荷装置との両方に電力を供給でき、電力供給システムに備える蓄電装置の容量を小さくできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主電源装置から出力される直流電力を第1負荷装置に供給する第1電力供給回路と、
第2主電源装置から出力される直流電力を第2負荷装置に供給する第2電力供給回路と、
前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを接続し得る第1接続回路と、
前記第1接続回路に前記第1主電源装置及び前記第2主電源装置と並列に接続される第1予備蓄電装置と、
を備える、電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記第1電力供給回路に前記第1主電源装置と並列に接続された第1蓄電装置と、
前記第2電力供給回路に前記第2主電源装置と並列に接続された第2蓄電装置と、
を更に備える、電力供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記第1接続回路から前記第1予備蓄電装置への電力の供給を制限する第1逆流防止装置を更に備える、電力供給システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記第1接続回路に設けられ、前記第1予備蓄電装置を前記第1電力供給回路に接続し得る第1接続装置と、
前記第1接続回路に設けられ、前記第1予備蓄電装置を前記第2電力供給回路に接続し得る第2接続装置と、
を更に備える、電力供給システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電力供給システムにおいて、
前記第1電力供給回路に前記第1主電源装置と並列に接続された第1蓄電装置と、
前記第2電力供給回路に前記第2主電源装置と並列に接続された第2蓄電装置と、
前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを前記第1接続回路を介して接続するための第1接続制御を前記第1接続装置と前記第2接続装置とに対して実行し得る制御装置と、
を備え、
前記第2主電源装置は、発電装置であり、
前記制御装置は、前記第2主電源装置から出力される直流電力を前記第1負荷装置に供給する場合、前記第1電力供給回路の電圧と前記第2電力供給回路の電圧とを近似させるための第1電圧低下制御を前記第2主電源装置に対して実行した後に、前記第1接続制御を実行する、電力供給システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電力供給システムにおいて、
前記制御装置は、前記第2主電源装置から出力される直流電力を前記第1負荷装置に供給する場合、前記第2主電源装置の出力電圧と前記第1蓄電装置の出力電圧との差分が予め決められた電圧閾値以下となるまで前記第2主電源装置の出力電圧を低下させる前記第1電圧低下制御を実行した後に、前記第1接続制御を実行する、電力供給システム。
【請求項7】
請求項5に記載の電力供給システムにおいて、
前記第2蓄電装置から前記第2主電源装置への電力の供給を制限する第2逆流防止装置を更に備える、電力供給システム。
【請求項8】
請求項5に記載の電力供給システムにおいて、
前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とから前記第1主電源装置を遮断し得る遮断装置を更に備え、
前記第1主電源装置から前記第1電力供給回路への直流電力の供給が断たれた場合、前記制御装置は、前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とを前記遮断装置により前記第1主電源装置から遮断した後に、前記第1接続制御を実行する、電力供給システム。
【請求項9】
請求項5に記載の電力供給システムにおいて、
前記第1主電源装置から出力される直流電力を第3負荷装置に供給する第3電力供給回路と、
前記第3電力供給回路に前記第1主電源装置と並列に接続された第3蓄電装置と、
前記第2主電源装置から出力される直流電力を第4負荷装置に供給する第4電力供給回路と、
前記第4電力供給回路に前記第2主電源装置と並列に接続された第4蓄電装置と、
前記第3電力供給回路と前記第4電力供給回路とを接続し得る第2接続回路と、
前記第2接続回路に前記第1主電源装置及び前記第2主電源装置と並列に接続される第2予備蓄電装置と、
前記第2接続回路に設けられ、前記第2予備蓄電装置を前記第3電力供給回路に接続し得る第3接続装置と、
前記第2接続回路に設けられ、前記第2予備蓄電装置を前記第4電力供給回路に接続し得る第4接続装置と、
前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とから前記第1主電源装置を遮断し得る遮断装置と、
を更に備え、
前記第1主電源装置は、発電装置であり、
前記制御装置は、前記第3電力供給回路と前記第4電力供給回路とを前記第2接続回路を介して接続する第2接続制御を前記第3接続装置と前記第4接続装置とに対して実行可能であり、
前記第1主電源装置から前記第1負荷装置への直流電力の供給を中止する場合、前記制御装置は、前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とを前記遮断装置により前記第1主電源装置から遮断し、前記第3電力供給回路の電圧と前記第4電力供給回路の電圧とを近似させるための第2電圧低下制御を前記第1主電源装置に対して実行した後に、前記第2接続制御を実行する、電力供給システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電力供給システムを有する、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、及び、電力供給システムを有する移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する電動化技術に関する研究開発が行われている。
【0003】
下記特許文献1には、航空機電気エネルギー供給ネットワーク(電力供給システム)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電動化技術に関する技術においては、より良好な電力供給システム、及び、より良好な電力供給システムを有する移動体が待望される。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の電力供給システムは、第1主電源装置から出力される直流電力を第1負荷装置に供給する第1電力供給回路と、第2主電源装置から出力される直流電力を第2負荷装置に供給する第2電力供給回路と、前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを接続し得る第1接続回路と、前記第1接続回路に前記第1主電源装置及び前記第2主電源装置と並列に接続される第1予備蓄電装置と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様の移動体は、第1の態様の電力供給システムを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、より良好な電力供給システム、及び、電力供給システムを有する移動体を提供できる。そして、延いてはエネルギーの効率化にも寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、第1逆流防止装置の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1逆流防止装置の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第2逆流防止装置の構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第2逆流防止装置の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、正常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図7】
図7は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図8】
図8は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図9】
図9は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図10】
図10は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図11】
図11は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図13】
図13は、フェイルセーフ制御を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図17】
図17は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図18】
図18は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図19】
図19は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図20】
図20は、異常時の電力供給システムの動作を示す図である。
【
図21】
図21は、フェイルセーフ制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
[電力供給システムの構成]
本実施形態の電力供給システムについて図面を用いて説明する。
図1は、電力供給システム10の模式図である。
【0012】
電力供給システム10は、第1電力供給回路12a、第2電力供給回路12b、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dを備える。第1電力供給回路12aは、第1主電源装置14aから出力される直流電力を第1負荷装置16aに供給する。第2電力供給回路12bは、第2主電源装置14bから出力される直流電力を第2負荷装置16bに供給する。第3電力供給回路12cは、第1主電源装置14aから出力される直流電力を第3負荷装置16cに供給する。第4電力供給回路12dは、第2主電源装置14bから出力される直流電力を第4負荷装置16dに供給する。
【0013】
第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bは、発電装置である。第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bは、不図示のエンジン、発電機及びパワーコントロールユニットを有する。エンジンにより発電機が駆動され、発電機は三相交流電力を発生する。パワーコントロールユニットは、三相交流電力を直流電力に変換する。
【0014】
第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bは、電圧センサ、電流センサ等の各種センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。
【0015】
第1負荷装置16a、第2負荷装置16b、第3負荷装置16c及び第4負荷装置16dは、不図示のインバータ及び電動モータを有する。インバータは入力された直流電力を三相交流電力に変換し、電動モータは三相交流電力により駆動される。第1負荷装置16a、第2負荷装置16b、第3負荷装置16c及び第4負荷装置16dは、不図示のDC/DCコンバータ及び低電圧駆動装置を有してもよい。DC/DCコンバータは、入力された直流電力の電圧を低下させ、低電圧駆動度装置は直流電力により駆動される。
【0016】
第1負荷装置16a、第2負荷装置16b、第3負荷装置16c及び第4負荷装置16dは、電圧センサ、電流センサ等の各種センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。
【0017】
電力供給システム10は、第1接続回路18a及び第2接続回路18bを備える。電力供給システム10は、第1予備蓄電装置19a及び第2予備蓄電装置19bを備える。第1予備蓄電装置19aは、第1接続回路18aに第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bと並列に接続される。第2予備蓄電装置19bは、第2接続回路18bに第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bと並列に接続される。
【0018】
電力供給システム10は、第1逆流防止装置21a~21bを備える。第1逆流防止装置21aは、第1接続回路18aから第1予備蓄電装置19aへの電力の供給を制限する。第1逆流防止装置21bは、第2接続回路18bから第2予備蓄電装置19bへの電力の供給を制限する。
【0019】
図2は、第1逆流防止装置21aの構成を示す模式図である。第1逆流防止装置21aは、ダイオード23とトランジスタ25とを有する。第1逆流防止装置21bの構成は、第1逆流防止装置21aの構成と同じである。
【0020】
ダイオード23は、正極の配線に設けられる。カソードの電圧に対してアノードの電圧が低い場合、ダイオード23は電流をほとんど流さない。カソードの電圧に対してアノードの電圧が高い場合であって、カソードとアノードとの電位差が順方向電圧以上である場合、ダイオード23は電流を流す。これにより、第1予備蓄電装置19aから第1接続回路18aにダイオード23を介して電力が供給される。一方、第1接続回路18aから第1予備蓄電装置19aにダイオード23を介して電力が供給されない。
【0021】
トランジスタ25は、ダイオード23を迂回して設けられる。トランジスタ25のベースからエミッタに電流が流れる場合、コレクタからエミッタに向かって電流が流れる。これにより、第1接続回路18aから第1予備蓄電装置19aにトランジスタ25を介して電力が供給され、第1予備蓄電装置19aが充電される。第1予備蓄電装置19aが一次電池の場合、第1予備蓄電装置19aを充電する必要がないため、トランジスタ25は省略されてもよい。
【0022】
図3は、第1逆流防止装置21aの構成を示す模式図である。
図3に示すように、ダイオード23は、負極の配線に設けられてもよい。また、ダイオード23は、正極の配線及び負極の配線の両方に設けられてもよい。
【0023】
第1接続回路18aには、第1予備蓄電装置19aを第1電力供給回路12aに接続し得る第1接続装置20aと、第1予備蓄電装置19aを第2電力供給回路12bに接続し得る第2接続装置20bとが設けられる。第2接続回路18bには、第2予備蓄電装置19bを第3電力供給回路12cに接続し得る第3接続装置20cと、第2予備蓄電装置19bを第4電力供給回路12dに接続し得る第4接続装置20dとが設けられる。
【0024】
第1接続装置20a、第2接続装置20b、第3接続装置20c及び第4接続装置20dは、コンタクタを有する。第1接続装置20a、第2接続装置20b、第3接続装置20c及び第4接続装置20dは、リレーを有してもよい。第1接続装置20a、第2接続装置20b、第3接続装置20c及び第4接続装置20dは、ブレーカを有してもよい。第1接続装置20a、第2接続装置20b、第3接続装置20c及び第4接続装置20dは、半導体スイッチを有してもよい。
【0025】
通常は、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとの接続は遮断されている。これにより、第1電力供給回路12a及び第2電力供給回路12bの一方において異常が発生した場合、他方に異常の影響が及ぶことを防止できる。例えば、第1電力供給回路12a及び第2電力供給回路12bの一方において過電流が発生した場合、他方に過電流が流れることを防止する。
【0026】
同様に、通常は、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとの接続は遮断されている。これにより、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dの一方において異常が発生した場合、他方に異常の影響が及ぶことを防止できる。例えば、第3電力供給回路12c及び第4電力供給回路12dの一方において過電流が発生した場合、他方に過電流が流れることを防止する。
【0027】
第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた場合、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続装置20a及び第2接続装置20bにより接続される。また、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが第3接続装置20c及び第4接続装置20dにより接続される。これにより、第2主電源装置14bから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへ電力が供給される。
【0028】
第2主電源装置14bから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへの電力の供給が断たれた場合、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続装置20a及び第2接続装置20bにより接続される。また、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが第3接続装置20c及び第4接続装置20dにより接続される。これにより、第1主電源装置14aから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへ電力が供給される。
【0029】
電力供給システム10は、遮断装置22a~22dを備える。遮断装置22aは、第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから第1主電源装置14aを遮断し得る。遮断装置22bは、第2電力供給回路12bと第1接続回路18aとから第2主電源装置14bを遮断し得る。遮断装置22cは、第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから第1主電源装置14aを遮断し得る。遮断装置22dは、第4電力供給回路12dと第2接続回路18bとから第2主電源装置14bを遮断し得る。
【0030】
遮断装置22a~22dは、コンタクタを有する。遮断装置22a~22dは、リレーを有してもよい。遮断装置22a~22dは、ブレーカを有してもよい。遮断装置22a~22dは、半導体スイッチを有してもよい。
【0031】
電力供給システム10は、第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dを備える。第1蓄電装置24aは、第1電力供給回路12aに第1主電源装置14aと並列に接続される。第2蓄電装置24bは、第2電力供給回路12bに第2主電源装置14bと並列に接続される。第3蓄電装置24cは、第3電力供給回路12cに第1主電源装置14aと並列に接続される。第4蓄電装置24dは、第4電力供給回路12dに第2主電源装置14bと並列に接続される。
【0032】
第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、リチウムイオンバッテリを有する。第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、リチウムイオンバッテリ以外の二次電池を有してもよい。第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、大容量コンデンサを有してもよい。
【0033】
第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dは、電圧センサ、電流センサ等の各種センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。
【0034】
電力供給システム10は、遮断装置26a~26dを備える。遮断装置26aは、第1電力供給回路12aと第1負荷装置16aとから第1蓄電装置24aを遮断し得る。遮断装置26bは、第2電力供給回路12bと第2負荷装置16bとから第2蓄電装置24bを遮断し得る。遮断装置26cは、第3電力供給回路12cと第3負荷装置16cとから第3蓄電装置24cを遮断し得る。遮断装置26dは、第4電力供給回路12dと第4負荷装置16dとから第4蓄電装置24dを遮断し得る。
【0035】
遮断装置26a~26dは、コンタクタを有する。遮断装置26a~26dは、リレーを有してもよい。遮断装置26a~26dは、ブレーカを有してもよい。遮断装置26a~26dは、半導体スイッチを有してもよい。
【0036】
電力供給システム10は、第2逆流防止装置28a~28dを備える。第2逆流防止装置28aは、第1蓄電装置24aから第1電力供給回路12aへの電力の供給を制限する。第2逆流防止装置28bは、第2蓄電装置24bから第2電力供給回路12bへの電力の供給を制限する。第2逆流防止装置28cは、第3蓄電装置24cから第3電力供給回路12cへの電力の供給を制限する。第2逆流防止装置28dは、第4蓄電装置24dから第4電力供給回路12dへの電力の供給を制限する。
【0037】
図4は、第2逆流防止装置28aの構成を示す模式図である。第2逆流防止装置28aは、ダイオード30とトランジスタ32とを有する。第2逆流防止装置28b~28dの構成は、第2逆流防止装置28aの構成と同じである。
【0038】
ダイオード30は、正極の配線に設けられる。カソードの電圧に対してアノードの電圧が低い場合、ダイオード30は電流をほとんど流さない。カソードの電圧に対してアノードの電圧が高い場合であって、カソードとアノードとの電位差が順方向電圧以上である場合、ダイオード30は電流を流す。これにより、第1電力供給回路12aから第1負荷装置16aと第1蓄電装置24aとにダイオード30を介して電力が供給される。一方、第1負荷装置16aと第1蓄電装置24aとから第1電力供給回路12aにダイオード30を介して電力が供給されない。
【0039】
トランジスタ32は、ダイオード30を迂回して設けられる。トランジスタ32のベースからエミッタに電流が流れる場合、コレクタからエミッタに向かって電流が流れる。これにより、第1負荷装置16aと第1蓄電装置24aとから第1電力供給回路12aにトランジスタ32を介して電力が供給される。第1負荷装置16aと第1蓄電装置24aとから第1電力供給回路12aに電力を供給しない場合、トランジスタ32は省略されてもよい。
【0040】
図5は、第2逆流防止装置28aの構成を示す模式図である。
図5に示すように、ダイオード30は、負極の配線に設けられてもよい。また、ダイオード30は、正極の配線及び負極の配線の両方に設けられてもよい。
【0041】
電力供給システム10は、上記に記載の構成の他、電圧センサ、電流センサ等の各種センサ、ヒューズ、抵抗、コイル、コンデンサ等の各素子を有してもよい。
【0042】
[正常時の電力供給システムの動作]
図6は、正常時の電力供給システム10の動作を示す図である。
図6に示す矢印は、電力の供給経路を示す。
【0043】
遮断装置22aにより第1主電源装置14aが第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとに接続され、遮断装置22cにより第1主電源装置14aが第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとに接続される。これにより、第1主電源装置14aから第1負荷装置16a及び第3負荷装置16cに電力が供給される。遮断装置22bにより第2主電源装置14bが第2電力供給回路12bと第1接続回路18aとに接続され、遮断装置22dにより第2主電源装置14bが第4電力供給回路12dと第2接続回路18bとに接続される。これにより、第2主電源装置14bから第2負荷装置16b及び第4負荷装置16dに電力が供給される。
【0044】
遮断装置26aにより第1蓄電装置24aが第1負荷装置16aに接続され、第1蓄電装置24aから第1負荷装置16aに電力が供給される。遮断装置26bにより第2蓄電装置24bが第2負荷装置16bに接続され、第2蓄電装置24bから第2負荷装置16bに電力が供給される。遮断装置26cにより第3蓄電装置24cが第3負荷装置16cに接続され、第3蓄電装置24cから第3負荷装置16cに電力が供給される。遮断装置26dにより第4蓄電装置24dが第4負荷装置16dに接続され、第4蓄電装置24dから第4負荷装置16dに電力が供給される。
【0045】
第1接続装置20a及び第2接続装置20bにより第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとの接続が遮断され、第3接続装置20c及び第4接続装置20dにより第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとの接続が遮断される。
【0046】
[異常時の電力供給システムの動作]
図7~
図11は、異常時の電力供給システム10の動作を示す図である。
図7~
図11に示す矢印は、電力の供給経路を示す。
図7~
図11は、第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた場合の電力供給システム10の動作を示す。
【0047】
第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた状態とは、例えば、第1主電源装置14aが停止し、第1主電源装置14aが再起動できない状態である。また、第1主電源装置14aと遮断装置22aとの間、又は、第1主電源装置14aと遮断装置22cとの間で短絡、断線等が生じた状態である。
【0048】
第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれた場合、
図7に示すように、遮断装置22aにより第1主電源装置14aが第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから遮断される。また、遮断装置22cにより第1主電源装置14aが第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから遮断される。
【0049】
第1負荷装置16aには第1蓄電装置24aからのみ電力が供給され、第3負荷装置16cには第3蓄電装置24cからのみ電力が供給される。そのため、第1蓄電装置24aのSOC(State Of Charge)及び第3蓄電装置24cのSOCは低下する。これに伴い、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧が低下する。一方、第2負荷装置16bには第2主電源装置14bと第2蓄電装置24bとから電力が供給され、第4負荷装置16dには第2主電源装置14bと第4蓄電装置24dとから電力が供給される。これにより、第2蓄電装置24bのSOC及び第4蓄電装置24dのSOCはほとんど低下しない。そのため、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧はほとんど低下しない。その結果、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧は、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧よりも低くなる。
【0050】
第2主電源装置14bから第2負荷装置16b及び第4負荷装置16dに電力が供給される場合、第2主電源装置14bの出力電圧は、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧よりも高い電圧に制御される。そのため、第2主電源装置14b出力電圧は、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧よりも高い。
【0051】
この状態で、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが接続された場合、第1負荷装置16a及び第1蓄電装置24aに過電流が流れ、第1負荷装置16a及び第1蓄電装置24aが損傷するおそれがある。同様に、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続された場合、第3負荷装置16c及び第3蓄電装置24cに過電流が流れ、第3負荷装置16c及び第3蓄電装置24cが損傷するおそれがある。
【0052】
本実施形態の電力供給システム10では、第1電圧低下制御が第2主電源装置14bに対して実行される。第1電圧低下制御は、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧に第2主電源装置14bの出力電圧を近似させる制御である。第1電圧低下制御は、第2主電源装置14bの出力電圧と、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧との差分が予め決められた電圧閾値以下となるまで実行される。
【0053】
第1電圧低下制御が第2主電源装置14bに対して実行された場合、第2主電源装置14bの出力電圧は、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧よりも低くなる。そのため、
図8に示すように、第2逆流防止装置28bにより第2主電源装置14bから第2負荷装置16bへの電力の供給が制限される。また、第2逆流防止装置28dにより第2主電源装置14bから第4負荷装置16dへの電力の供給が制限される。
【0054】
第2主電源装置14bの出力電圧と第1蓄電装置24aの出力電圧との差分が電圧閾値以下となった場合、第1接続制御が第1接続装置20aと第2接続装置20bとに対して実行される。第1接続制御が第1接続装置20aと第2接続装置20bとに対して実行された場合、
図9に示すように、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが第1接続回路18aを介して接続される。これにより、第2主電源装置14bから第1負荷装置16aに電力が供給される。
【0055】
同様に、第2主電源装置14bの出力電圧と第3蓄電装置24cの出力電圧との差分が電圧閾値以下となった場合、第2接続制御が第3接続装置20cと第4接続装置20dとに対して実行される。第2接続制御が第3接続装置20cと第4接続装置20dとに対して実行された場合、
図9に示すように、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが第2接続回路18bを介して接続される。これにより、第2主電源装置14bから第3負荷装置16cに電力が供給される。
【0056】
図9に示す状態では、第2負荷装置16bには、第2蓄電装置24bからのみ電力が供給され、第4負荷装置16dには、第4蓄電装置24dからのみ電力が供給される。そのため、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧が低下する。その結果、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧は、第2主電源装置14bの出力電圧よりも低くなる。これにより、
図10に示すように、第2主電源装置14bから第2負荷装置16b及び第4負荷装置16dに電力が供給される。
【0057】
第2主電源装置14bの出力電圧は、第1蓄電装置24aの出力電圧、第2蓄電装置24bの出力電圧、第3蓄電装置24cの出力電圧、及び、第4蓄電装置24dの出力電圧に応じて制御される。第2主電源装置14bの出力電圧が、第1予備蓄電装置19aの出力電圧よりも低くなった場合、
図11に示すように、第1予備蓄電装置19aから第1負荷装置16aに電力が供給される。同様に、第2主電源装置14bの出力電圧が、第2予備蓄電装置19bの出力電圧よりも低くなった場合、
図11に示すように、第2予備蓄電装置19bから第3負荷装置16cに電力が供給される。
【0058】
[制御装置の構成]
電力供給システム10は、制御装置34を備える。
図12は、制御装置34の制御ブロック図である。制御装置34は、第1主電源装置14a、第2主電源装置14b、第1接続装置20a、第2接続装置20b、第3接続装置20c、第4接続装置20d、遮断装置22a~22d及び遮断装置26a~26dを制御する。
【0059】
制御装置34は、演算部36及び記憶部38を有する。演算部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部36は、記憶部38に記憶されているプログラムを実行することにより、各装置を制御する。演算部36の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。演算部36の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0060】
記憶部38は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部38の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0061】
[フェイルセーフ制御]
図13は、フェイルセーフ制御を示すフローチャートである。フェイルセーフ制御は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0062】
ステップS1において、制御装置34は、第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれたか否かを判定する。第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへの電力の供給が断たれたと判定された場合(ステップS1:YES)には、ステップS2へ移行する。
【0063】
ステップS2において、制御装置34は、遮断装置22aを制御して、第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから第1主電源装置14aを遮断する。その後、ステップS3へ移行する。
【0064】
ステップS3において、制御装置34は、遮断装置22cを制御して、第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから第1主電源装置14aを遮断する。その後、ステップS4へ移行する。
【0065】
ステップS4において、制御装置34は、第2主電源装置14bに対して第1電圧低下制御を実行する。これにより、第2主電源装置14bの出力電圧と、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧との差分を電圧閾値以下にする。その後、ステップS5へ移行する。
【0066】
ステップS5において、制御装置34は、第1接続装置20aと第2接続装置20bとに対して第1接続制御を実行する。これにより、第1接続回路18aを介して、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが接続される。その後、ステップS6へ移行する。
【0067】
ステップS6において、制御装置34は、第3接続装置20cと第4接続装置20dとに対して第2接続制御を実行する。これにより、第2接続回路18bを介して、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続される。その後、フェイルセーフ制御を終了する。
【0068】
ステップS1において、第1主電源装置14aから第1電力供給回路12a及び第3電力供給回路12cへ電力が供給されていると判定された場合(ステップS1:NO)には、ステップS7へ移行する。
【0069】
ステップS7において、制御装置34は、第2主電源装置14bから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへの電力の供給が断たれたか否かを判定する。第2主電源装置14bから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへの電力の供給が断たれたと判定された場合(ステップS7:YES)には、ステップS8へ移行する。第2主電源装置14bから第2電力供給回路12b及び第4電力供給回路12dへ電力が供給されていると判定された場合(ステップS7:NO)には、フェイルセーフ制御を終了する。
【0070】
ステップS8において、制御装置34は、遮断装置22bを制御して、第2電力供給回路12bと第1接続回路18aとから第2主電源装置14bを遮断する。その後、ステップS9へ移行する。
【0071】
ステップS9において、制御装置34は、遮断装置22dを制御して、第4電力供給回路12dと第2接続回路18bとから第2主電源装置14bを遮断する。その後、ステップS10へ移行する。
【0072】
ステップS10において、制御装置34は、第1主電源装置14aに対して第2電圧低下制御を実行する。第2電圧低下制御は、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧に第1主電源装置14aの出力電圧を近似させる制御である。これにより、第1主電源装置14aの出力電圧と、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧との差分を電圧閾値以下にする。その後、ステップS11へ移行する。
【0073】
ステップS11において、制御装置34は、第1接続装置20aと第2接続装置20bとに対して第1接続制御を実行する。これにより、第1接続回路18aを介して、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが接続される。その後、ステップS12へ移行する。
【0074】
ステップS12において、制御装置34は、第3接続装置20cと第4接続装置20dとに対して第2接続制御を実行する。これにより、第2接続回路18bを介して、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続される。その後、フェイルセーフ制御を終了する。
【0075】
[本実施形態の電力供給システムと比較例の電力供給システムとの対比]
図14は、電力供給システム100の模式図である。比較例の電力供給システム100は、電圧変換装置40a~40bを備える。電圧変換装置40a~40bは、DC-DCコンバータである。
【0076】
第1接続装置20aと第2接続装置20bとにより第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが接続された場合、電力供給システム100は、電圧変換装置40aの出力電力を第2主電源装置14bの出力電圧よりも高くする。これにより、第1接続回路18aを介して、第2主電源装置14bと第1予備蓄電装置19aとから第1負荷装置16aに電力を供給できる。
【0077】
また、第3接続装置20cと第4接続装置20dとにより第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続された場合、電力供給システム100は、電圧変換装置40bの出力電力を第2主電源装置14bの出力電圧よりも高くする。これにより、第2接続回路18bを介して、第2主電源装置14bと第2予備蓄電装置19bとから第3負荷装置16cに電力を供給できる。
【0078】
しかし、電圧変換装置40a~40bは、第1逆流防止装置21a~21bに比べて重量が大きい。本実施形態の電力供給システム10は、第1逆流防止装置21a~21bを備えることにより、軽量化を図ることができる。
【0079】
[蓄電装置の容量低減]
本実施形態の電力供給システム10は、第1蓄電装置24a、第2蓄電装置24b、第3蓄電装置24c及び第4蓄電装置24dとは別に、第1予備蓄電装置19a及び第2予備蓄電装置19bを備える。
【0080】
第1蓄電装置24aは第1負荷装置16aに電力を供給し、第2蓄電装置24bは第2負荷装置16bに電力を供給するのに対して、第1予備蓄電装置19aは第1負荷装置16a及び第2負荷装置16bのどちらにも電力を供給できる。また、第3蓄電装置24cは第3負荷装置16cに電力を供給し、第4蓄電装置24dは第4負荷装置16dに電力を供給するのに対して、第2予備蓄電装置19bは第3負荷装置16c及び第4負荷装置16dのどちらにも電力を供給できる。
【0081】
図15は、蓄電装置の容量のイメージ図である。
図15は、電力供給システム10が第1予備蓄電装置19a及び第2予備蓄電装置19bを備える場合の蓄電装置の容量と、それらを備えない場合の蓄電装置の容量を示す。
【0082】
例えば、遮断装置22aと第1負荷装置16aとの間(第1電力供給回路12a)で短絡が発生した場合に、遮断装置22aと遮断装置26aとを遮断して、第1負荷装置16aへの電力の供給を止めることにより、電力供給システム10全体の回路の保護を図ることがある。この場合、第1蓄電装置24aのエネルギーが利用できなくなり、電力供給システム10は、1つの蓄電装置分のエネルギーを失ったことに等しい。
【0083】
電力供給システム10が第1予備蓄電装置19a及び第2予備蓄電装置19bを備えない場合、上記のように、1つの蓄電装置のエネルギーを失う状況に備えて、残りの3つの蓄電装置は、失う分のエネルギー(=容量)を余裕をもってを有する必要がある。
【0084】
本実施形態の電力供給システム10では、
図15に示すように、第1負荷装置16aが必要とする蓄電装置の容量の一部と、第2負荷装置16bが必要とする蓄電装置の容量の一部とを、第1予備蓄電装置19aで確保する。第1予備蓄電装置19aに容量が確保されている分、第1蓄電装置24aの容量と第2蓄電装置24bの容量を低減できる。
【0085】
同様に、本実施形態の電力供給システム10では、
図15に示すように、第3負荷装置16cが必要とする蓄電装置の容量の一部と、第4負荷装置16dが必要とする蓄電装置の容量の一部とを、第2予備蓄電装置19bで確保する。第2予備蓄電装置19bに容量が確保されている分、第3蓄電装置24cの容量と第4蓄電装置24dの容量を低減できる。
【0086】
第1予備蓄電装置19aがない場合には、第1負荷装置16aが必要とする容量の全部を第1蓄電装置24aで確保し、第2負荷装置16bが必要とする容量の全部を第2蓄電装置24bで確保する必要がある。同様に、第2予備蓄電装置19bがない場合には、第3負荷装置16cが必要とする容量の全部を第3蓄電装置24cで確保し、第4負荷装置16dが必要とする容量の全部を第4蓄電装置24dで確保する必要がある。
【0087】
そのため、電力供給システム10が第1予備蓄電装置19a及び第2予備蓄電装置19bを備える場合の蓄電装置の容量の合計は、それらを備えない場合の蓄電装置の容量の合計よりも小さくできる。
【0088】
〔第2実施形態〕
本実施形態の電力供給システム10の構成は、第1実施形態の電力供給システム10の構成と同じである。本実施形態の制御装置34が実行するフェイルセーフ制御が、第1実施形態の制御装置34が実行するフェイルセーフ制御と一部相違する。
【0089】
[異常時の電力供給システムの動作]
図16~
図20は、異常時の電力供給システム10の動作を示す図である。
図16~
図20に示す矢印は、電力の供給経路を示す。
図16~
図20は、第1主電源装置14aから第1負荷装置16aへの電力の供給を中止する場合の電力供給システム10の動作を示す。
【0090】
第1主電源装置14aから第1負荷装置16aへの電力の供給を中止する状態とは、例えば、第1負荷装置16aが停止し、第1負荷装置16aが再起動できない状態である。または、遮断装置22aと第1負荷装置16aとの間で短絡、断線等が生じた状態である。
【0091】
この場合、
図16に示すように、遮断装置22aにより第1主電源装置14aが第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから遮断される。
【0092】
第1主電源装置14aは、第3負荷装置16cのみに電力を供給する。これに対して、第2主電源装置14bは、第2負荷装置16bと第4負荷装置16dとの両方に電力を供給する。そのため、第2蓄電装置24bのSOC及び第4蓄電装置24dのSOCは、第3蓄電装置24cのSOCよりも低くなる。その結果、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧は、第3蓄電装置24cの出力電圧よりも低くなる。
【0093】
第1主電源装置14aから第3負荷装置16cに電力が供給される場合、第1主電源装置14aの出力電圧は、第3負荷装置16cの出力電圧よりも高い電圧に制御される。そのため、第1主電源装置14aの出力電圧は、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧よりも高い。
【0094】
この状態で、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続された場合、第2主電源装置14b、第2負荷装置16b、第2蓄電装置24b、第4負荷装置16d及び第4蓄電装置24dに過電流が流れる可能性がある。そのため、第2主電源装置14b、第2負荷装置16b、第2蓄電装置24b、第4負荷装置16d及び第4蓄電装置24dが損傷するおそれがある。
【0095】
本実施形態の電力供給システム10では、第2電圧低下制御が第1主電源装置14aに対して実行される。第2電圧低下制御は、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧に第1主電源装置14aの出力電圧を近似させる制御である。第2電圧低下制御は、第1主電源装置14aの出力電圧と、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧との差分が予め決められた電圧閾値以下となるまで実行される。
【0096】
第2電圧低下制御が第1主電源装置14aに対して実行された場合、第1主電源装置14aの出力電圧は、第3蓄電装置24cの出力電圧よりも低くなる。そのため、
図17に示すように、第2逆流防止装置28cにより第1主電源装置14aから第3負荷装置16cへの電力の供給が制限される。
【0097】
第1主電源装置14aの出力電圧と第4蓄電装置24dの出力電圧との差分が電圧閾値以下となった場合、
図18に示すように、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが、第3接続装置20c及び第4接続装置20dにより接続される。これにより、第1主電源装置14aから第2負荷装置16b及び第4負荷装置16dに電力が供給される。
【0098】
第1主電源装置14aの出力電圧と第4蓄電装置24dの出力電圧との差分が電圧閾値以下となった場合、
図18に示すように、第1予備蓄電装置19aと第2電力供給回路12bとが第2接続装置20bにより接続される。しかし、
図18に示すように、第1逆流防止装置21aにより、第2主電源装置14bから第1予備蓄電装置19aの電力の供給が制限される。
【0099】
図18に示す状態では、第3負荷装置16cには、第3蓄電装置24cからのみ電力が供給される。これにより、第3蓄電装置24cのSOCが低下し、第3蓄電装置24cの出力電圧が低下する。
【0100】
第3蓄電装置24cの出力電圧が、第1主電源装置14aの出力電圧よりも低くなった場合、
図19に示すように、第1主電源装置14aから第3負荷装置16cに電力が供給される。
【0101】
第1主電源装置14aの出力電圧、及び、第2主電源装置14bの出力電圧は、第2蓄電装置24bの出力電圧、第3蓄電装置24cの出力電圧、及び、第4蓄電装置24dの出力電圧に応じて制御される。第1主電源装置14aの出力電圧、及び、第2主電源装置14bの出力電圧が、第1予備蓄電装置19aの出力電圧よりも低くなった場合、
図20に示すように、第1予備蓄電装置19aから第2負荷装置16b及び第4負荷装置16dに電力が供給される。
【0102】
同様に、第1主電源装置14aの出力電圧、及び、第2主電源装置14bの出力電圧が、第2予備蓄電装置19bの出力電圧よりも低くなった場合、
図20に示すように、第2予備蓄電装置19bから第2負荷装置16b及び第4負荷装置16dに電力が供給される。
【0103】
[フェイルセーフ制御]
図21は、フェイルセーフ制御を示すフローチャートである。フェイルセーフ制御は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0104】
ステップS21において、制御装置34は、第1主電源装置14aから第1負荷装置16aへの電力の供給が中止されたか否かを判定する。第1主電源装置14aから第1負荷装置16aへの電力の供給が中止されたと判定された場合(ステップS21:YES)には、ステップS22へ移行する。
【0105】
ステップS22において、制御装置34は、遮断装置22aを制御して、第1電力供給回路12aと第1接続回路18aとから第1主電源装置14aを遮断する。その後、ステップS23へ移行する。
【0106】
ステップS23において、制御装置34は、第1主電源装置14aに対して第2電圧低下制御を実行する。これにより、第1主電源装置14aの出力電圧と、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧との差分を電圧閾値以下にする。その後、ステップS24へ移行する。
【0107】
ステップS24において、制御装置34は、第3接続装置20cと第4接続装置20dとに対して第2接続制御を実行する。これにより、第2接続回路18bを介して、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続される。その後、ステップS25へ移行する。
【0108】
ステップS25において、制御装置34は、第2接続装置20bを制御して、第1予備蓄電装置19aを第2電力供給回路12bに接続する。その後、フェイルセーフ制御を終了する。
【0109】
ステップS21において、第1主電源装置14aから第1負荷装置16aへ電力が供給されていると判定された場合(ステップS21:NO)には、ステップS26へ移行する。
【0110】
ステップS26において、制御装置34は、第2主電源装置14bから第2負荷装置16bへの電力の供給が中止されたか否かを判定する。第2主電源装置14bから第2負荷装置16bへの電力の供給が中止されたと判定された場合(ステップS26:YES)には、ステップS27へ移行する。
【0111】
ステップS27において、制御装置34は、遮断装置22bを制御して、第2電力供給回路12bと第1接続回路18aとから第2主電源装置14bを遮断する。その後、ステップS28へ移行する。
【0112】
ステップS28において、制御装置34は、第2主電源装置14bに対して第1電圧低下制御を実行する。これにより、第2主電源装置14bの出力電圧と、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧との差分を電圧閾値以下にする。その後、ステップS29へ移行する。
【0113】
ステップS29において、制御装置34は、第3接続装置20cと第4接続装置20dとに対して第2接続制御を実行する。これにより、第2接続回路18bを介して、第3電力供給回路12cと第4電力供給回路12dとが接続される。その後、ステップS30へ移行する。
【0114】
ステップS30において、制御装置34は、第1接続装置20aを制御して、第1予備蓄電装置19aを第1電力供給回路12aに接続する。その後、フェイルセーフ制御を終了する。
【0115】
ステップS26において、第2主電源装置14bから第2負荷装置16bへ電力が供給されていると判定された場合(ステップS26:NO)には、ステップS31へ移行する。
【0116】
ステップS31において、制御装置34は、第1主電源装置14aから第3負荷装置16cへの電力の供給が中止されたか否かを判定する。第1主電源装置14aから第3負荷装置16cへの電力の供給が中止されたと判定された場合(ステップS31:YES)には、ステップS32へ移行する。
【0117】
ステップS32において、制御装置34は、遮断装置22cを制御して、第3電力供給回路12cと第2接続回路18bとから第1主電源装置14aを遮断する。その後、ステップS33へ移行する。
【0118】
ステップS33において、制御装置34は、第1主電源装置14aに対して第2電圧低下制御を実行する。これにより、第1主電源装置14aの出力電圧と、第2蓄電装置24bの出力電圧及び第4蓄電装置24dの出力電圧との差分を電圧閾値以下にする。その後、ステップS34へ移行する。
【0119】
ステップS34において、制御装置34は、第1接続装置20aと第2接続装置20bとに対して第1接続制御を実行する。これにより、第1接続回路18aを介して、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが接続される。その後、ステップS35へ移行する。
【0120】
ステップS35において、制御装置34は、第4接続装置20dを制御して、第2予備蓄電装置19bを第4電力供給回路12dに接続する。その後、フェイルセーフ制御を終了する。
【0121】
ステップS31において、第1主電源装置14aから第3負荷装置16cへ電力が供給されていると判定された場合(ステップS31:NO)には、ステップS36へ移行する。
【0122】
ステップS36において、制御装置34は、第2主電源装置14bから第4負荷装置16dへの電力の供給が中止されたか否かを判定する。第2主電源装置14bから第4負荷装置16dへの電力の供給が中止されたと判定された場合(ステップS36:YES)には、ステップS37へ移行する。第2主電源装置14bから第4負荷装置16dへ電力が供給されていると判定された場合(ステップS36:NO)には、フェイルセーフ制御を終了する。
【0123】
ステップS37において、制御装置34は、遮断装置22dを制御して、第4電力供給回路12dと第2接続回路18bとから第2主電源装置14bを遮断する。その後、ステップS38へ移行する。
【0124】
ステップS38において、制御装置34は、第2主電源装置14bに対して第1電圧低下制御を実行する。これにより、第2主電源装置14bの出力電圧と、第1蓄電装置24aの出力電圧及び第3蓄電装置24cの出力電圧との差分を電圧閾値以下にする。その後、ステップS39へ移行する。
【0125】
ステップS39において、制御装置34は、第1接続装置20aと第2接続装置20bとに対して第1接続制御を実行する。これにより、第1接続回路18aを介して、第1電力供給回路12aと第2電力供給回路12bとが接続される。その後、ステップS40へ移行する。
【0126】
ステップS40において、制御装置34は、第3接続装置20cを制御して、第2予備蓄電装置19bを第3電力供給回路12cに接続する。その後、フェイルセーフ制御を終了する。
【0127】
なお、本実施形態のフェイルセーフ制御と第1実施形態のフェイルセーフ制御の両方が行われてもよい。
【0128】
〔第3実施形態〕
図22は、移動体44の模式図である。電力供給システム10は、移動体44に搭載される。
【0129】
本実施形態の移動体44は、電動垂直離着陸機(eVTOL)である。移動体44は、8つのVTOLロータ46を備える。VTOLロータ46は、機体48に対して上方向に推力を発生する。移動体44は、8つの電動モータ50を備える。1つの電動モータ50が、1つのVTOLロータ46を駆動する。移動体44は、2つのクルーズロータ52を有する。クルーズロータ52は、機体48に対して前方向に推力を発生する。移動体44は、4つの電動モータ54を備える。2つの電動モータ54が、1つのクルーズロータ52を駆動する。
【0130】
第1負荷装置16a、第2負荷装置16b、第3負荷装置16c及び第4負荷装置16dの各々は、2つの電動モータ50と1つの電動モータ54を備えてもよい。第1負荷装置16a、第2負荷装置16b、第3負荷装置16c及び第4負荷装置16dの各々は、電動モータ50及び電動モータ54の他、低電圧駆動装置を備えてもよい。
【0131】
移動体44は、航空機に限らず、船舶、自動車、列車等であってもよい。
【0132】
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0133】
(付記1)
電力供給システム(10)は、第1主電源装置(14a)から出力される直流電力を第1負荷装置(16a)に供給する第1電力供給回路(12a)と、第2主電源装置(14b)から出力される直流電力を第2負荷装置(16b)に供給する第2電力供給回路(12b)と、前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを接続し得る第1接続回路(18a)と、前記第1接続回路に前記第1主電源装置及び前記第2主電源装置と並列に接続される第1予備蓄電装置(19a)と、を備える。このような構成によれば、第1予備蓄電装置から第1負荷装置と第2負荷装置との両方に電力を供給できる。そのため、電力供給システムに備える蓄電装置の容量を小さくできる。そして、延いてはエネルギーの効率化にも寄与するものである。
【0134】
(付記2)
付記1に記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第1電力供給回路に前記第1主電源装置と並列に接続された第1蓄電装置(24a)と、前記第2電力供給回路に前記第2主電源装置と並列に接続された第2蓄電装置(24b)と、を更に備えてもよい。このような構成によれば、第1予備蓄電装置と第1蓄電装置とから第1負荷装置に電力を供給するとともに、第1予備電源装置と第2蓄電装置とから第2負荷装置に電力を供給できる。そのため、電力供給システムに備える蓄電装置の容量を小さくできる。
【0135】
(付記3)
付記1又は2に記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第1接続回路から前記第1予備蓄電装置への電力の供給を制限する第1逆流防止装置(21a)を更に備えてもよい。このような構成によれば、第1蓄電装置のSOC及び第2蓄電装置のSOCが高く、第1蓄電装置の出力電圧及び第2蓄電装置の出力電圧が第1予備蓄電装置の出力電圧よりも高い場合には、第1予備電源装置から第1負荷装置及び第2負荷装置に電力は供給されない。一方、第1蓄電装置のSOC及び第2蓄電装置のSOCが低く、第1蓄電装置の出力電圧及び第2蓄電装置の出力電圧が第1予備蓄電装置の出力電圧よりも低い場合には、第1予備電源装置から第1負荷装置及び第2負荷装置に電力が供給される。
【0136】
(付記4)
付記1~3のいずれか1つに記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第1接続回路に設けられ、前記第1予備蓄電装置を前記第1電力供給回路に接続し得る第1接続装置(20a)と、前記第1接続回路に設けられ、前記第1予備蓄電装置を前記第2電力供給回路に接続し得る第2接続装置(20b)と、を更に備えてもよい。このような構成によれば、第1予備蓄電装置から第1負荷装置及び第2負荷装置の両方に、又は、それらの一方に選択的に電力を供給できる。
【0137】
(付記5)
付記4に記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第1電力供給回路に前記第1主電源装置と並列に接続された第1蓄電装置と、前記第2電力供給回路に前記第2主電源装置と並列に接続された第2蓄電装置と、前記第1電力供給回路と前記第2電力供給回路とを前記第1接続回路を介して接続するための第1接続制御を前記第1接続装置と前記第2接続装置とに対して実行し得る制御装置(34)と、を備え、前記第2主電源装置は、発電装置であり、前記制御装置は、前記第2主電源装置から出力される直流電力を前記第1負荷装置に供給する場合、前記第1電力供給回路の電圧と前記第2電力供給回路の電圧とを近似させるための第1電圧低下制御を前記第2主電源装置に対して実行した後に、前記第1接続制御を実行してもよい。このような構成によれば、制御装置が第1接続装置に対して第1接続制御を実行した場合に、第1負荷装置と第1蓄電装置とに過電流が流れることを抑制できる。そのため、第1負荷装置と第1蓄電装置との損傷を抑制できる。
【0138】
(付記6)
付記5に記載の電力供給システムにおいて、前記制御装置は、前記第2主電源装置から出力される直流電力を前記第1負荷装置に供給する場合、前記第2主電源装置の出力電圧と前記第1蓄電装置の出力電圧との差分が予め決められた電圧閾値以下となるまで前記第2主電源装置の出力電圧を低下させる前記第1電圧低下制御を実行した後に、前記第1接続制御を実行してもよい。このような構成によれば、制御装置が第1接続装置に対して第1接続制御を実行した場合に、第1負荷装置と第1蓄電装置とに過電流が流れることを抑制できる。そのため、第1負荷装置と第1蓄電装置との損傷を抑制できる。
【0139】
(付記7)
付記5又は6に記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第2蓄電装置から前記第2主電源装置への電力の供給を制限する第2逆流防止装置(28b)を更に備えてもよい。このような構成によれば、制御装置は、第2主電源装置を制御して、第2主電源装置の出力電圧を第2蓄電装置の出力電圧よりも低くできる。
【0140】
(付記8)
付記5~7のいずれか1つに記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とから前記第1主電源装置を遮断し得る遮断装置(22a)を更に備え、前記第1主電源装置から前記第1電力供給回路への直流電力の供給が断たれた場合、前記制御装置は、前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とを前記遮断装置により前記第1主電源装置から遮断した後に、前記第1接続制御を実行してもよい。このような構成によれば、第1主電源装置と第1遮断装置との間において短絡が発生した場合、制御装置が第1接続装置に対して第1接続制御を実行することにより、第2主電源装置と第2負荷装置と第2蓄電装置とに過電流が流れることを抑制できる。そのため、第2主電源装置と第2負荷装置と第2蓄電装置との損傷を抑制できる。
【0141】
(付記9)
付記5~8のいずれか1つに記載の電力供給システムにおいて、当該電力供給システムは、前記第1主電源装置から出力される直流電力を第3負荷装置(16c)に供給する第3電力供給回路(12c)と、前記第3電力供給回路に前記第1主電源装置と並列に接続された第3蓄電装置(24c)と、前記第2主電源装置から出力される直流電力を第4負荷装置(16d)に供給する第4電力供給回路(12d)と、前記第4電力供給回路に前記第2主電源装置と並列に接続された第4蓄電装置(24d)と、前記第3電力供給回路と前記第4電力供給回路とを接続し得る第2接続回路(18b)と、前記第2接続回路に前記第1主電源装置及び前記第2主電源装置と並列に接続される第2予備蓄電装置(19b)と、前記第2接続回路に設けられ、前記第2予備蓄電装置を前記第3電力供給回路に接続し得る第3接続装置(20c)と、前記第2接続回路に設けられ、前記第2予備蓄電装置を前記第4電力供給回路に接続し得る第4接続装置(20d)と、前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とから前記第1主電源装置を遮断し得る遮断装置と、を更に備え、前記第1主電源装置は、発電装置であり、前記制御装置は、前記第3電力供給回路と前記第4電力供給回路とを前記第2接続回路を介して接続する第2接続制御を前記第3接続装置と前記第4接続装置とに対して実行可能であり、前記第1主電源装置から前記第1負荷装置への直流電力の供給を中止する場合、前記制御装置は、前記第1電力供給回路と前記第1接続回路とを前記遮断装置により前記第1主電源装置から遮断し、前記第3電力供給回路の電圧と前記第4電力供給回路の電圧とを近似させるための第2電圧低下制御を前記第1主電源装置に対して実行した後に、前記第2接続制御を実行してもよい。このような構成によれば、制御装置が第2接続装置に対して第2接続制御を実行した場合に、第2主電源装置と第2負荷装置と第2蓄電装置と第4負荷装置と第4蓄電装置とに過電流が流れることを抑制できる。そのため、第2主電源装置と第2負荷装置と第2蓄電装置と第4負荷装置と第4蓄電装置との損傷を抑制できる。
【0142】
(付記10)
移動体(44)は、付記1~9のいずれか1つに記載の電力供給システムを有する。このような構成によれば、第1予備蓄電装置から第1負荷装置と第2負荷装置の両方に電力を供給できる。そのため、電力供給システムに備える蓄電装置の容量を小さくできる。そして、延いてはエネルギーの効率化にも寄与するものである。
【0143】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【0144】
上述した開示では、第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bは、発電装置である。これに対して、第1主電源装置14a及び第2主電源装置14bは、蓄電装置であってもよい。
【符号の説明】
【0145】
10…電力供給システム 12a…第1電力供給回路
12b…第2電力供給回路 14a…第1主電源装置
14b…第2主電源装置 16a…第1負荷装置
16b…第2負荷装置 16c…第3負荷装置
16d…第4負荷装置 18a…第1接続回路
18b…第2接続回路 19a…第1予備蓄電装置
19b…第2予備蓄電装置 20a…第1接続装置
20b…第2接続装置 20c…第3接続装置
20d…第4接続装置 21a…第1逆流防止装置
22a…遮断装置 24a…第1蓄電装置
24b…第2蓄電装置 28b…第2逆流防止装置
34…制御装置 44…移動体