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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143913
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】油圧装置および作業車
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/32 20200101AFI20241004BHJP
   F04B 1/22 20060101ALI20241004BHJP
   B60K 17/10 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F04B1/32
F04B1/22
B60K17/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056859
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】種村 英朗
(72)【発明者】
【氏名】稲田 隆則
【テーマコード(参考)】
3D042
3H070
【Fターム(参考)】
3D042AA06
3D042AB07
3D042BA04
3H070AA01
3H070BB04
3H070CC32
3H070CC34
3H070DD55
(57)【要約】
【課題】油圧装置の小型化を図ることを目的とする。
【解決手段】伝動軸18と、伝動軸18と交差して設けられる斜板と、伝動軸18と平行な方向に往復運動することにより作動油を伝達するプランジャと、斜板が伝動軸18と交差する角度を制御する制御ユニット30とを備え、制御ユニット30は、平面視で、伝動軸18の軸芯18Pと直交する垂線VLに対して傾斜する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動軸と、
前記伝動軸と交差して設けられる斜板と、
前記伝動軸と平行な方向に往復運動することにより作動油を伝達するプランジャと、
前記斜板が前記伝動軸と交差する角度を制御する制御ユニットとを備え、
前記制御ユニットは、平面視で、前記伝動軸の軸芯と直交する垂線に対して傾斜する油圧装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、
前記斜板の角度を調整するスプールと、
前記スプールを挟んで設けられ、前記スプールを制御する一対の制御弁とを有し、
前記スプールおよび一対の前記制御弁が直線状に並び、平面視で、前記スプールおよび一対の前記制御弁が並ぶ方向の直線が前記垂線に対して傾斜する請求項1に記載の油圧装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、平面視で、前記軸芯に対して傾斜する請求項1に記載の油圧装置。
【請求項4】
前記制御ユニットの中点が、平面視で、前記軸芯と重複する請求項1に記載の油圧装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、平面視で屈曲する請求項1に記載の油圧装置。
【請求項6】
前記斜板および前記プランジャを収容するケースを備え、
前記制御ユニットは、平面視で、前記ケースと重複する範囲内に設けられる請求項1に記載の油圧装置。
【請求項7】
被駆動部を駆動し、前記斜板の角度が変更されることにより駆動力が変更される油圧モータとして機能する請求項1に記載の油圧装置。
【請求項8】
被駆動部を駆動する可変容量型の油圧モータを動作させる油圧ポンプとして機能し、
前記斜板の角度が変更されることにより前記油圧モータの動作を制御する請求項1に記載の油圧装置。
【請求項9】
2つの前記油圧ポンプが連結される構造である請求項8に記載の油圧装置。
【請求項10】
2つの前記油圧ポンプに設けられるそれぞれの前記制御ユニットが前記垂線に対して傾斜する角度は同じである請求項9に記載の油圧装置。
【請求項11】
被駆動部を駆動する可変容量型の油圧モータと、
前記斜板の角度が変更されることにより前記油圧モータの動作を制御する油圧ポンプとを有する静油圧式無段変速装置として機能する請求項1から6のいずれか一項に記載の油圧装置。
【請求項12】
駆動源と、
前記駆動源により駆動される走行装置と、
前記駆動源から出力された動力を変速する前記静油圧式無段変速装置として機能する請求項11に記載の油圧装置とを備える作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
斜板の角度を変更することにより出力を変更する油圧装置、および、油圧装置を備える作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、油圧装置の一例である油圧ポンプ(斜板式油圧ポンプ)は、伝動軸(回転軸)から入力される動力を伝達して出力する。油圧ポンプは、制御ユニット(レギュレータ)により斜板の角度を変更して出力(吐出容量)を変化させる。
【0003】
制御ユニットは、油圧ポンプのケース(ケーシング)に設けられる。一般的に、制御ユニットは、伝動軸の軸芯と直交する方向に伸びる態様で配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-36713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、制御ユニットが伝動軸の軸芯と直交する方向に設けられると、この方向において、制御ユニットが油圧ポンプからはみ出し、油圧ポンプの小型化を阻害する場合がある。また、油圧ポンプが小型化できないと、油圧ポンプを搭載する作業車等の機器における、油圧ポンプおよびその周辺の装置や配管・配線の配置自由度が抑制される。
【0006】
本発明は、油圧装置の小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る油圧装置は、伝動軸と、前記伝動軸と交差して設けられる斜板と、前記伝動軸と平行な方向に往復運動することにより作動油を伝達するプランジャと、前記斜板が前記伝動軸と交差する角度を制御する制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、平面視で、前記伝動軸の軸芯と直交する垂線に対して傾斜する。
【0008】
上記構成によると、制御ユニットは油圧装置の本体部の幅方向に対して傾斜して設けられるため、油圧装置における制御ユニットが配置される部分の幅方向の長さが短くなる。そのため、油圧装置全体の幅方向の長さが長くなることが抑制され、油圧装置の小型化を図ることができる。
【0009】
また、前記制御ユニットは、前記斜板の角度を調整するスプールと、前記スプールを挟んで設けられ、前記スプールを制御する一対の制御弁とを有し、前記スプールおよび一対の前記制御弁が直線状に並び、平面視で、前記スプールおよび一対の前記制御弁が並ぶ方向の直線が前記垂線に対して傾斜してもよい。
【0010】
制御ユニットは、一般的に、一対の制御弁とスプールとで構成され、これらは直線状に配置される。そのため、制御ユニットは、一対の制御弁とスプールとが並ぶ方向に長くなる。
【0011】
上記構成によると、制御ユニットが油圧装置の本体部から幅方向に突出することが抑制され、油圧装置の小型化を図ることができる。
【0012】
また、前記制御ユニットは、平面視で、前記軸芯に対して傾斜してもよい。
【0013】
このような構成により、制御ユニットは、油圧装置の幅方向に対して傾斜し、かつ、伝動軸の軸芯方向(長さ方向)に対しても傾斜する。制御ユニットは、油圧装置の本体部から幅方向および長さ方向に突出することが抑制され、油圧装置の小型化を図ることができる。
【0014】
また、前記制御ユニットの中点が、平面視で、前記軸芯と重複してもよい。
【0015】
このような構成により、バランスよく制御ユニットを傾斜させ、油圧装置の小型化を図ることができる。
【0016】
また、上記構成によると、制御ユニットの制御部分の位置と斜板の中心部分の位置とを近接させることができ、効率的に油圧装置を構成することができる。
【0017】
また、前記制御ユニットは、平面視で屈曲してもよい。
【0018】
このような構成により、油圧装置における制御ユニットが配置される部分の幅方向の長さが短くしながら、制御ユニットの配置の自由度を確保することができる。その結果、油圧装置の小型化を容易に図ることができる。
【0019】
また、前記斜板および前記プランジャを収容するケースを備え、前記制御ユニットは、平面視で、前記ケースと重複する範囲内に設けられてもよい。
【0020】
このような構成により、制御ユニットによって油圧装置全体の幅方向の長さが長くなることが抑制され、油圧装置の小型化を図ることができる。
【0021】
また、被駆動部を駆動し、前記斜板の角度が変更されることにより駆動力が変更される油圧モータとして機能してもよい。
【0022】
このような構成により、油圧モータの小型化を図ることができる。
【0023】
また、被駆動部を駆動する可変容量型の油圧モータを動作させる油圧ポンプとして機能し、前記斜板の角度が変更されることにより前記油圧モータの動作を制御してもよい。
【0024】
このような構成により、油圧ポンプの小型化を図ることができる。
【0025】
また、2つの前記油圧ポンプが連結される構造であってもよい。
【0026】
このような構成により、油圧ポンプが連結されたタンデムポンプの小型化を図ることができる。
【0027】
また、2つの前記油圧ポンプに設けられるそれぞれの前記制御ユニットが前記垂線に対して傾斜する角度は同じであってもよい。
【0028】
このような構成により、部品を共通化してタンデムポンプの製造を簡易化しながら、タンデムポンプの小型化を図ることができる。
【0029】
また、被駆動部を駆動する可変容量型の油圧モータと、前記斜板の角度が変更されることにより前記油圧モータの動作を制御する油圧ポンプとを有する静油圧式無段変速装置として機能してもよい。
【0030】
このような構成により、静油圧式無段変速装置の小型化を図ることができる。
【0031】
また、駆動源と、前記駆動源により駆動される走行装置と、前記駆動源から出力された動力を変速する前記静油圧式無段変速装置として機能してもよい。
【0032】
このような構成により、静油圧式無段変速装置の小型化を図り、作業装置が搭載する各種の部品の配置効率を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】コンパクトトラックローダの構成を例示する側面図である。
図2】動力を伝達する構成を例示する図である。
図3】タンデムポンプの構成を例示する平面図である。
図4】制御ユニットが傾斜する構成を例示する図である。
図5】タンデムポンプにおける制御ユニットが傾斜する構成を例示する図である。
図6】タンデムポンプにおける制御ユニットが傾斜する構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る油圧装置および油圧装置を搭載する作業車について説明する。以下の説明において、図1または図2に示す、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示す。
【0035】
〔コンパクトトラックローダ〕
まず、図1を用いて、作業車の一例であるコンパクトトラックローダ(CTL)の概略構成を説明する。
【0036】
コンパクトトラックローダは、一対の走行装置2(被駆動部に相当)と、運転部3と、一対のブーム4とを備える。走行装置2は機体1の左側および右側に設けられる。運転部3は機体1の上側部分に設けられる。ブーム4は機体1の左側および右側に設けられ、機体1の後部に上下揺動可能に支持されて前方に向けて延出される。ブーム4には、ブーム4を上下に揺動操作するブームシリンダ6が設けられる。ブーム4は、上下揺動可能にブーム4の前端部に支持されるバケット5を備える。ブーム4には、バケット5を揺動操作するバケットシリンダ7が設けられる。
【0037】
走行装置2は、静油圧式無段変速装置21(HST:Hydro Static Transmission)から出力される動力により駆動される。静油圧式無段変速装置21は、駆動源であるエンジンEから出力された動力を変速して走行装置2に伝達する。
【0038】
走行装置2は、駆動輪8と、トラックフレーム9と、トラックフレーム9の前部および後部に支持される誘導輪10と、トラックフレーム9に支持される転輪11と、駆動輪8、誘導輪10および転輪11にわたって取り付けられるクローラベルト12とを有する。
【0039】
走行装置2は、駆動輪8によりクローラベルト12が回転駆動される構成である。コンパクトトラックローダは、右側の走行装置2および左側の走行装置2が、独立して前進側または後進側に駆動されることにより、前進または後進、右または左への緩旋回、右または左への信地旋回、右または左への超信地旋回を行うことができる。
【0040】
〔静油圧式無段変速装置〕
次に、図1図2を用いて、走行装置2を駆動する静油圧式無段変速装置21(油圧装置に相当)について説明する。
【0041】
右側の走行装置2の駆動輪8および左側の走行装置2の駆動輪8は、それぞれ個別の静油圧式無段変速装置21により駆動される。つまり、コンパクトトラックローダは、同じ構造の2つの静油圧式無段変速装置21を備える。右側の走行装置2は一方の静油圧式無段変速装置21により独立して前進側または後進側に駆動され、左側の走行装置2は他方の静油圧式無段変速装置21により独立して前進側または後進側に駆動される。
【0042】
静油圧式無段変速装置21は、油圧ポンプ23(油圧装置に相当)と油圧モータ24(油圧装置に相当)とを備える。油圧ポンプ23は可変容量型に構成され、機体1に搭載されたエンジンEにより駆動される。油圧ポンプ23は、中立位置から前進側および後進側に無段階に変速可能に構成される。油圧モータ24は可変容量型に構成され、油圧ポンプ23の変速状態に応じて駆動輪8を駆動する。
【0043】
右側の走行装置2を駆動する一方の静油圧式無段変速装置21の油圧ポンプ23と、左側の走行装置2を駆動する他方の静油圧式無段変速装置21の油圧ポンプ23とは一体化され、タンデムポンプ22(油圧装置に相当)を構成する。タンデムポンプ22は、運転部3の下方に配置されるエンジンEの後方に配置される。右側の走行装置2を駆動する一方の静油圧式無段変速装置21の油圧モータ24は右側の駆動輪8に出力軸29を介して連結される。左側の走行装置2を駆動する他方の静油圧式無段変速装置21の油圧モータ24は左側の駆動輪8に出力軸29を介して連結される。
【0044】
油圧ポンプ23はエンジンEの出力軸である伝動軸18が挿通される。油圧ポンプ23は入力軸を備え、入力軸が伝動軸18と接続される構成であってもよい。油圧ポンプ23は、斜板26とプランジャ27とを備える。斜板26は、伝動軸18(入力軸)に支持され、伝動軸18の回転に伴って回転する。また、斜板26は、伝動軸18に対する角度(斜板26が伝動軸18と交差する角度)が変更可能である。油圧ポンプ23の斜板26の角度は制御ユニット30によって制御され、アクチュエータ(図示せず)によって変更される。プランジャ27は斜板26に沿って設けられる。プランジャ27は、斜板26の回転に伴って、斜板26の角度に応じたストロークで往復移動する。油圧ポンプ23は、プランジャ27の往復移動量に伴った量(油圧)の作動油を、油路28を介して油圧モータ24に伝達(供給)する。
【0045】
油圧ポンプ23は、可変容量型に構成され、中立位置から前進側および後進側に無段階に変速可能に構成される。油圧ポンプ23から作動油が油圧モータ24に供給されることにより、油圧モータ24は前進側および後進側に無段階に動作する。油圧モータ24は、作動油の供給量に応じた動力(駆動力)を出力軸29から駆動輪8(走行装置2)に出力する。
【0046】
〔制御ユニット〕
次に、図2を参照しながら図3を用いて、タンデムポンプ22における制御ユニット30の構成について説明する。
【0047】
タンデムポンプ22は2つの油圧ポンプ23を備える。ここでは、一方の油圧ポンプ23を油圧ポンプ23Aとし、他方の油圧ポンプ23を油圧ポンプ23Bとする。
【0048】
タンデムポンプ22はケース22Cを備え、油圧ポンプ23Aおよび油圧ポンプ23Bはケース22Cに収納される。伝動軸18は、油圧ポンプ23Aおよび油圧ポンプ23Bを前後方向に貫通するようにタンデムポンプ22に挿通される。そのため、油圧ポンプ23Aおよび油圧ポンプ23Bは、前後方向に直列に並んで(連結されて)ケース22Cに収納される。その結果、タンデムポンプ22(ケース22C)は、左右方向の長さが前後方向の長さより短くなる。
【0049】
タンデムポンプ22は2つの制御ユニット30を備える。制御ユニット30は、油圧ポンプ23Aおよび油圧ポンプ23B毎に設けられ、一方の制御ユニット30は油圧ポンプ23Aの斜板26の角度を制御し、他方の制御ユニット30は油圧ポンプ23Bの斜板26の角度を制御する。2つの制御ユニット30は、ケース22Cの上面上に、油圧ポンプ23Aおよび油圧ポンプ23Bの上方に並んで設けられる。そのため、2つの制御ユニット30は、ケース22Cの上面上に、伝動軸18に沿う方向(前後方向)に並んで設けられる。
【0050】
制御ユニット30は、スプール33と、一対の制御弁31および制御弁32とを備える。制御弁31および制御弁32は、例えば、ソレノイドバルブである。一対の制御弁31および制御弁32はスプール33を挟んで設けられる。制御弁31、スプール33、制御弁32はこの順に直線状に並び、制御ユニット30は、制御弁31、スプール33、および制御弁32が並ぶ方向に長くなる。スプール33は、一対の制御弁31および制御弁32に制御され、油圧ポンプ23の斜板26の角度を制御(調整)する。
【0051】
制御ユニット30は、伝動軸18の軸芯18Pと直交する垂線VLに対して傾斜する。つまり、制御ユニット30の制御弁31、スプール33、および制御弁32が並ぶ方向を示す直線CLは、平面視で、垂線VLに対して傾斜角αだけ傾斜する。いいかえると、平面視で、制御ユニット30は直線CLが垂線VLと重ならないように配置される。なお、直線CLは、平面視で、制御弁31、スプール33、および制御弁32の中心を通る直線である。傾斜角αは、ケース22Cの上下方向の凹凸やその位置、左右方向の凹凸やその位置、周辺の部品や配線・配管との位置関係等を考慮して決めることができる。例えば、傾斜角αは10°以上90°以下であり、35°以上55°以下であってもよい。なお、2つの制御ユニット30は、同じ傾斜角αだけ傾斜される。また、制御ユニット30は、直線CLが軸芯18Pに対しても傾斜するように配置されてもよいが、直線CLと軸芯18Pとが重複(一致)するように配置されてもよい。
【0052】
このように、制御ユニット30を傾斜させて配置することにより、制御ユニット30がケース22Cから幅方向(左右方向)に突出することが防止され、あるいは突出量が抑制される。その結果、タンデムポンプ22の幅方向の長さを抑制してタンデムポンプ22を小型化することができ、タンデムポンプ22の周辺に配置される部品や配線・配管の配置自由度が低減することが抑制される。
【0053】
また、制御ユニット30は、平面視で、ケース22Cと重複する範囲内に設けられることが好ましい。例えば、平面視において、制御ユニット30の幅方向(左右方向)の長さは、幅方向(左右方向)においてケース22Cの最も長い部分の長さ、または、幅方向(左右方向)において制御ユニット30が配置される領域の近傍のケース22Cが最も長くなる部分の長さより短いことが好ましい。
【0054】
このように制御ユニット30を傾斜させて配置することにより、制御ユニット30がケース22Cから幅方向(左右方向)に突出することを抑制することができる。
【0055】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、制御ユニット30は、制御弁31、スプール33、および制御弁32が直線CLに沿って並ぶ構成に限らず、図4に示されるように、平面視で屈曲してもよい。制御ユニット30は、スプール33の途中の点(屈曲点)、例えばスプール33(制御ユニット30)の長さ方向の中点CPにおいて折れ曲がる(屈曲する)。そして、平面視で、中点CP(屈曲点)を通りスプール33および制御弁31が並ぶ方向を示す直線CLAは、垂線VLに対して傾斜角α1だけ傾斜する。同様に、中点CP(屈曲点)を通りスプール33および制御弁32が並ぶ方向を示す直線CLBは、垂線VLに対して傾斜角α2だけ傾斜する。つまり、1つの制御ユニット30において、制御弁31側の部分と、制御弁32側の部分とは、垂線VLに対して異なる方向に同じ角度(α1=α2)だけ傾斜してもよく、垂線VLに対して異なる方向に異なる角度(α1≠α2)で傾斜してもよい。
【0056】
このように、制御ユニット30が屈曲することにより、制御ユニット30は垂線VLに対して傾斜する。これにより、制御ユニット30がケース22Cから幅方向(左右方向)に突出することが防止され、あるいは突出量が抑制される。その結果、タンデムポンプ22の幅方向の長さを抑制してタンデムポンプ22を小型化することができ、タンデムポンプ22の周辺に配置される部品や配線・配管の配置自由度が低減することが抑制される。
【0057】
なお、中点CP(屈曲点)は平面視で、垂線VLと重複してもよく、また、軸芯18Pと重複してもよい。これにより、タンデムポンプ22において制御ユニット30をバランスよく配置することができると共に、制御ユニット30がケース22Cから幅方向(左右方向)に突出することが防止され、あるいは突出量が抑制される。
【0058】
(2)上記各実施形態において、タンデムポンプ22の2つの制御ユニット30は、垂線VLに対して同じ態様で傾斜してもよいが、図5に示されるように、一方の制御ユニット30(直線CLC)の傾斜角α3と、他方の制御ユニット30(直線CLD)の傾斜角α4とが異なってもよい。さらに、図6に示されるように、一方の制御ユニット30(直線CLC)と、他方の制御ユニット30(直線CLD)とが、垂線VLに対して互いに逆向きに傾斜してもよい。
【0059】
これにより、油圧ポンプ23Aと油圧ポンプ23Bとの構成や形状等の相違に応じて、それぞれの制御ユニット30の配置を適切化することができる。
【0060】
(3)上記各実施形態において、油圧ポンプ23は、2つの油圧ポンプ23が連結されてタンデムポンプ22とされる構成に限らず、個々の油圧ポンプ23が独立して設けられる構成であってもよい。これにより、作業車等の油圧ポンプ23を搭載する機器の配置自由度が向上する。なお、油圧ポンプ23は斜板26およびプランジャ27を収納するケースを備え、平面視で、制御ユニット30はケースと重複する範囲内に設けられることが好ましい。
【0061】
(4)上記各実施形態において、斜板26は制御ユニット30の制御に応じてアクチュエータにより角度が変更される。このアクチュエータも、平面視で、垂線VLに対して傾斜されてもよい。これにより、油圧ポンプ23をより小型化することができる。
【0062】
(5)上記各実施形態において、傾斜して設けられる制御ユニット30は、油圧ポンプ23に限らず、斜板の角度を変更できる油圧モータ24や、その他の斜板の角度を変更できる油圧装置の斜板の角度を制御してもよい。つまり、各種の斜板の角度を変更できる油圧装置において、斜板の角度を制御する制御ユニット30が傾斜して設けられる。なお、油圧ポンプ23や油圧モータ24等の油圧装置は、走行装置2に限らず、任意の被駆動部を駆動する油圧装置であってもよい。
【0063】
(6)上記各実施形態において、傾斜して設けられる制御ユニット30を備える油圧装置は、コンパクトトラックローダに限らず、他の建設作業車や農作業車等の任意の作業車に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、斜板の角度を変更できる各種の油圧装置、および、このような油圧装置を搭載する各種の作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
2 走行装置(被駆動部)
18 伝動軸
18P 軸芯
21 静油圧式無段変速装置(油圧装置)
22C ケース
23 油圧ポンプ(油圧装置)
23A 油圧ポンプ(油圧装置)
23B 油圧ポンプ(油圧装置)
24 油圧モータ(油圧装置)
26 斜板
27 プランジャ
30 制御ユニット
31 制御弁
32 制御弁
33 スプール
CL 直線
CP 中点
E エンジン(駆動源)
VL 垂線
図1
図2
図3
図4
図5
図6