(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143930
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電力供給システム及び電力供給システムを備える移動体
(51)【国際特許分類】
H02H 7/16 20060101AFI20241004BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241004BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20241004BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241004BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20241004BHJP
【FI】
H02H7/16 A
H02J1/00 309Q
H02J9/06
B60L3/00 J
G01R31/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056886
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】三谷 学
【テーマコード(参考)】
2G014
5G015
5G053
5G165
5H125
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AA04
2G014AB02
2G014AB22
5G015FA02
5G015JA05
5G015JA06
5G015JA60
5G015KA12
5G053AA02
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA01
5G053EA01
5G053FA02
5G053FA05
5G165BB04
5G165BB08
5G165CA01
5G165DA02
5G165EA01
5G165HA01
5G165HA07
5G165JA07
5G165KA02
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA01
5G165NA06
5G165NA10
5G165PA01
5H125AA20
5H125AC08
5H125AC12
5H125BB00
5H125EE13
5H125FF16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】良好な電力供給システム及び電力供給システムを備える移動体を提供する。
【解決手段】電力供給システムにおいて、検出回路76は、電源装置から出力される直流電力を負荷装置に供給する電力供給回路とグラウンドとをコンデンサ86を介して接続し、電力供給回路がグラウンドに短絡しているか否かをコンデンサの電圧に基づいて検出する地絡検出と、電力供給回路に備えられた正極配線と電力供給回路に備えられた負極配線とをコンデンサを介して接続し、正極配線と負極配線とが短絡しているか否かをコンデンサの電圧に基づいて検出する短絡検出と、を選択的に行う。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置から出力される直流電力を負荷装置に供給する電力供給回路と、
前記電力供給回路とグラウンドとをコンデンサを介して接続し、前記電力供給回路が前記グラウンドに短絡しているか否かを前記コンデンサの電圧に基づいて検出する地絡検出と、前記電力供給回路に備えられた正極配線と前記電力供給回路に備えられた負極配線とを前記コンデンサを介して接続し、前記正極配線と前記負極配線とが短絡しているか否かを前記コンデンサの電圧に基づいて検出する短絡検出とを選択的に行い得る検出回路と、
を備える、電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記検出回路は、前記短絡検出では、前記コンデンサに対して充電を行った後に、前記正極配線と前記負極配線とを前記コンデンサを介して接続する、電力供給システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記コンデンサに備えられた一対の端子のうちの一方である第1端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの一方に抵抗器と第1スイッチとを介して接続され、
一対の前記端子のうちの他方である第2端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの他方に第2スイッチを介して接続され、
前記第1端子は、第3スイッチを介して前記グラウンドに接続され、
前記第2端子は、第4スイッチを介して前記グラウンドに接続され、
前記検出回路は、前記短絡検出では、前記第3スイッチと前記第4スイッチとをオフにした状態で、前記第1スイッチと前記第2スイッチとをオンにする、電力供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電力供給システムにおいて、
前記検出回路は、前記第1スイッチと前記第2スイッチとをオフするとともに、記第3スイッチと前記第4スイッチとをオンにすることによって、前記コンデンサと前記第3スイッチと前記第4スイッチと放電抵抗とを含む閉回路を形成することが可能であり、
前記検出回路は、前記短絡検出を行った後、前記閉回路を形成することにより、前記コンデンサの放電を行う、電力供給システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記コンデンサに備えられた一対の端子のうちの一方である第1端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの一方に部分回路と第1スイッチとを介して接続され、
一対の前記端子のうちの他方である第2端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの他方に第2スイッチを介して接続され、
前記第1端子は、前記部分回路と第3スイッチとを介して前記グラウンドに接続され、
前記第2端子は、第4スイッチを介して前記グラウンドに接続され、
前記部分回路は、第1部分回路と、前記第1部分回路に並列に接続された第2部分回路とを含み、
前記第1部分回路は、第1抵抗器と、前記第1抵抗器を介して前記コンデンサに電流を流し得る第1ダイオードとを含み、
前記第2部分回路は、第2抵抗器と、前記コンデンサからの電流を前記第2抵抗器を介して流し得る第2ダイオードとを含む、電力供給システム。
【請求項6】
請求項1に記載の電力供給システムにおいて、
前記電源装置から出力される直流電力を前記負荷装置に供給する他の電力供給回路を更に備え、
前記検出回路は、前記他の電力供給回路を介して前記電源装置から前記負荷装置に前記直流電力が供給されており、且つ、前記電力供給回路を介して前記電源装置から前記負荷装置に前記直流電力が供給されていない状態で、前記短絡検出を行う、電力供給システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力供給システムを備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム及び電力供給システムを備える移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する電動化技術に関する研究開発が行われている。
【0003】
下記特許文献1には、負荷に給電するために常時使用される電源と、常時使用される電源が故障した場合に負荷に給電する予備の電源を有する給電システムが開示されている。当該給電システムでは、予備の電源は、電圧検出器を有する電源切換制御装置を介して、負荷に接続される。当該給電システムは、常時使用される電源から負荷に給電される状態で、電圧検出器を、予備の電源、及び、負荷の一方に接続させる。当該給電システムでは、電圧検出器を予備の電源に接続させた場合に電圧検出器が検出した電圧、及び、電圧検出器を負荷に接続させた場合に電圧検出器が検出した電圧に応じて、電源切換制御装置の異常を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より良好な電力供給システムが待望されている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電力供給システムは、電源装置から出力される直流電力を負荷装置に供給する電力供給回路と、前記電力供給回路とグラウンドとをコンデンサを介して接続し、前記電力供給回路が前記グラウンドに短絡しているか否かを前記コンデンサの電圧に基づいて検出する地絡検出と、前記電力供給回路に備えられた正極配線と前記電力供給回路に備えられた負極配線とを前記コンデンサを介して接続し、前記正極配線と前記負極配線とが短絡しているか否かを前記コンデンサの電圧に基づいて検出する短絡検出とを選択的に行い得る検出回路と、を備える。
【0008】
本発明の移動体は、上記の電力供給システムを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、良好な電力供給システム及び電力供給システムを備える移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、電力供給システムの構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1検出回路及び第2検出回路の回路図である。
【
図4】
図4は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、短絡検査処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[航空機の構成]
図1は、航空機10の模式図である。本実施形態の航空機10は、電動垂直離着陸機(eVTOL機)である。航空機10は、電動モータ48(
図2)によりロータが駆動される。航空機10は、ロータにより垂直方向の推力と水平方向の推力を発生させる。また、航空機10は、ハイブリッド航空機である。航空機10は、電動モータ48の電源として、発電機40(
図2)とバッテリ52(
図2)とを有する。航空機10は、発電機40により発電された電力が電動モータ48に供給される。発電機40により発電された電力が要求される電力に対して不足する場合、バッテリ52に蓄電された電力が電動モータ48に供給される。
【0012】
航空機10は、機体12を有する。機体12には、不図示のコックピット及びキャビン等が設けられる。コックピットには、パイロットが搭乗し、航空機10の操縦をする。キャビンには、搭乗者等が搭乗する。航空機10は、自動で操縦されてもよい。
【0013】
航空機10は、前翼14及び後翼16を有する。航空機10が前方に移動する場合に、前翼14及び後翼16のそれぞれにおいて揚力が発生する。
【0014】
航空機10は、8つのVTOLロータ18を有する。8つのVTOLロータ18とは、ロータ18La、ロータ18Lb、ロータ18Lc、ロータ18Ld、ロータ18Ra、ロータ18Rb、ロータ18Rc及びロータ18Rdである。
【0015】
各VTOLロータ18の回転シャフトは、機体12の上下方向に延びる。各VTOLロータ18は、ロータの回転数、及び、ブレードのピッチ角度が調整されることにより、推力が制御される。各VTOLロータ18は、垂直離陸時、垂直離陸から巡航への移行時、巡航から垂直着陸への移行時、垂直着陸時、空中停止時等において使用される。また、各VTOLロータ18は、姿勢制御時に使用される。
【0016】
各VTOLロータ18の推力が制御されることにより、リフト推進を発生させる。リフト推力とは、垂直方向の推力を示す。各VTOLロータ18の推力が制御されることにより、機体12にロールモーメント、ピッチモーメント、及び、ヨーモーメントを作用させる。
【0017】
航空機10は、2つのクルーズロータ20を有する。2つのクルーズロータ20とは、ロータ20L及びロータ20Rである。ロータ20L及びロータ20Rは、機体12の後部に取り付けられる。
【0018】
各クルーズロータ20の回転シャフトは、機体12の前後方向に延びる。各クルーズロータ20は、ロータの回転数、及び、ブレードのピッチ角度が調整されることにより、推力が制御される。各クルーズロータ20は、垂直離陸から巡航への移行時、巡航時、巡航から垂直着陸への移行時等において使用される。
【0019】
各クルーズロータ20の推力が制御されることにより、クルーズ推力が発生する。クルーズ推力とは、水平方向の推力を示す。
【0020】
[電力供給システムの構成]
図2は、電力供給システム22の構成を示す模式図である。電力供給システム22は、2つの電力供給回路24、2つの主電源装置26、及び、6つの補助電源装置28を有する。
【0021】
電力供給システム22は、2つの主電源装置26の両方から6つの負荷モジュール30のそれぞれに電力を供給する。負荷モジュール30毎に補助電源装置28が設けられる。主電源装置26から負荷モジュール30に供給される電力が不足する場合、補助電源装置28から負荷モジュール30に電力が供給される。
【0022】
2つの電力供給回路24のうちの一方は、第1電力供給回路32(他の電力供給回路)である。2つの電力供給回路24のうちの他方は、第2電力供給回路34(電力供給回路)である。電力供給システム22は、第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び6つの補助電力供給回路36を有する。第1電力供給回路32は、2つの主電源装置26からすべての負荷モジュール30に直流電力を送る。第2電力供給回路34は、2つの主電源装置26からすべての負荷モジュール30に直流電力を送る。第2電力供給回路34は、第1電力供給回路32に並列に設けられる。
【0023】
補助電力供給回路36は補助電源装置28毎に設けられる。各補助電力供給回路36は各補助電源装置28に接続される。各補助電力供給回路36は、第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34の両方に接続される。各補助電力供給回路36は、各補助電源装置28から各負荷モジュール30に直流電力を送る。各補助電力供給回路36は、各補助電源装置28から第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34の両方に直流電力を送る。
【0024】
主電源装置26は、ガスタービン38、発電機40及びパワーコントロールユニット(以下、PCUと記載する)42を有する。ガスタービン38は、発電機40を駆動する。これにより、発電機40は発電を行う。PCU42は、発電機40により発電された交流電力を直流電力に変換して電力供給回路24に出力する。
【0025】
ガスタービン38を始動させる場合、PCU42は、電力供給回路24から供給された直流電力を交流電力に変換して発電機40に出力する。PCU42から入力された電力により発電機40が動作し、発電機40はガスタービン38を駆動する。
【0026】
6つの負荷モジュール30のうち、4つの負荷モジュール30のそれぞれは、2つの駆動ユニット44を有する。他の2つの負荷モジュール30のそれぞれは、1つの駆動ユニット44と1つのコンバータ46を有する。駆動ユニット44は、各VTOLロータ18又は各クルーズロータ20を駆動する。
【0027】
各駆動ユニット44は、電動モータ48及びインバータ50を有する。電動モータ48は、三相モータである。各VTOLロータ18は、各電動モータ48の出力シャフトに連結される。各クルーズロータ20は、各電動モータ48の出力シャフトに連結される。インバータ50は、電力供給回路24から供給された直流電力を三相の交流電力に変換して、電動モータ48に出力する。
【0028】
コンバータ46は、電力供給回路24から供給された直流電力の電圧を降圧させて、直流電力により動作する機器に出力する。直流電力により動作する機器とは、例えば、電力供給回路24、PCU42、インバータ50等を冷却する冷却装置である。直流電力により動作する機器とは、例えば、電力供給回路24、ガスタービン38、PCU42、インバータ50等を制御するECU(Electronic Control Unit)である。
【0029】
各補助電源装置28は、バッテリ52を有する。バッテリ52は、主電源装置26から供給される電力により充電される。また、バッテリ52に充電された電力が、負荷モジュール30に供給される。
【0030】
第1電力供給回路32は、送電バス54、2つの遮断装置56、6つの遮断装置58、2つの電流センサ60、及び、6つの電流センサ62を有する。
【0031】
送電バス54により、2つの主電源装置26が互いに並列に接続される。送電バス54により、6つの負荷モジュール30が互いに並列に接続される。
【0032】
各遮断装置56は、各主電源装置26と送電バス54との間に設けられる。遮断装置56は、コンタクタ56a及びコンタクタ56bを有する。コンタクタ56aは、第1電力供給回路32の正極の配線に設けられる。コンタクタ56bは、第1電力供給回路32の負極の配線に設けられる。
【0033】
コンタクタ56aは、送電バス54の正極の配線を主電源装置26に接続する接続状態と、送電バス54の正極の配線を主電源装置26から遮断する遮断状態とを切り換える。コンタクタ56bは、送電バス54の負極の配線を主電源装置26に接続する状態と、送電バス54の負極の配線を主電源装置26から遮断する状態とを切り換える。
【0034】
各遮断装置58は、各負荷モジュール30と送電バス54との間に設けられる。遮断装置58は、コンタクタ58a及びコンタクタ58bを有する。コンタクタ58aは、第1電力供給回路32の正極の配線に設けられる。コンタクタ58bは、第1電力供給回路32の負極の配線に設けられる。
【0035】
コンタクタ58aは、送電バス54の正極の配線を負荷モジュール30に接続する状態と、送電バス54の正極の配線を負荷モジュール30から遮断する状態とを切り換える。コンタクタ58bは、送電バス54の負極の配線を負荷モジュール30に接続する状態と、送電バス54の負極の配線を負荷モジュール30から遮断する状態とを切り換える。
【0036】
各電流センサ60は、各遮断装置56と送電バス54との間に設けられる。電流センサ60は、第1電力供給回路32の正極の配線に設けられる。各電流センサ62は、各遮断装置58と送電バス54との間に設けられる。電流センサ62は、第1電力供給回路32の正極の配線に設けられる。
【0037】
送電バス54には、第1検出回路64が接続される。第1検出回路64は、送電バス54の正極及び負極の一方の配線を基準電位に接続する状態と、送電バス54の正極及び負極の両方の配線を基準電位から遮断する状態とを切り換える。基準電位に接続するとは、具体的には、機体12(グラウンド)に接続することを示す。第1検出回路64の構成は後に詳述する。
【0038】
第2電力供給回路34は、送電バス66、2つの遮断装置68、6つの遮断装置70、2つの電流センサ72、及び、6つの電流センサ74を有する。
【0039】
送電バス66により、2つの主電源装置26が互いに並列に接続される。送電バス66により、6つの負荷モジュール30が互いに並列に接続される。
【0040】
各遮断装置68は、各主電源装置26と送電バス66との間に設けられる。遮断装置68は、コンタクタ68a及びコンタクタ68bを有する。コンタクタ68aは、第2電力供給回路34の正極の配線に設けられる。コンタクタ68bは、第2電力供給回路34の負極の配線に設けられる。
【0041】
コンタクタ68aは、送電バス66の正極の配線を主電源装置26に接続する接続状態と、送電バス66の正極の配線を主電源装置26から遮断する遮断状態とを切り換える。コンタクタ68bは、送電バス66の負極の配線を主電源装置26に接続する状態と、送電バス66の負極の配線を主電源装置26から遮断する状態とを切り換える。
【0042】
各遮断装置70は、各負荷モジュール30と送電バス66との間に設けられる。遮断装置70は、コンタクタ70a及びコンタクタ70bを有する。コンタクタ70aは、第2電力供給回路34の正極の配線に設けられる。コンタクタ70bは、第2電力供給回路34の負極の配線に設けられる。
【0043】
コンタクタ70aは、送電バス66の正極の配線を負荷モジュール30に接続する状態と、送電バス66の正極の配線を負荷モジュール30から遮断する状態とを切り換える。コンタクタ70bは、送電バス66の負極の配線を負荷モジュール30に接続する状態と、送電バス66の負極の配線を負荷モジュール30から遮断する状態とを切り換える。
【0044】
各電流センサ72は、各遮断装置68と送電バス66との間に設けられる。電流センサ72は、第2電力供給回路34の正極の配線に設けられる。各電流センサ74は、各遮断装置70と送電バス66との間に設けられる。電流センサ74は、第2電力供給回路34の正極の配線に設けられる。
【0045】
送電バス66には、第2検出回路76が接続される。第2検出回路76は、送電バス66の正極及び負極の一方の配線を基準電位に接続する状態と、送電バス66の正極及び負極の両方の配線を基準電位から遮断する状態とを切り換える。第2検出回路76の構成は、第1検出回路64の構成とともに後に詳述する。
【0046】
各補助電力供給回路36は、遮断装置78及び電流センサ80を有する。遮断装置78は、コンタクタ78a、コンタクタ78b及びプリチャージ回路78cを有する。コンタクタ78aは、補助電力供給回路36の正極の配線に設けられる。コンタクタ78bは、補助電力供給回路36の負極の配線に設けられる。プリチャージ回路78cは、コンタクタ78bと並列に設けられる。プリチャージ回路78cは、コンタクタ78d及び抵抗器78eを有する。電流センサ80は、補助電力供給回路36の負極の配線に設けられる。
【0047】
コンタクタ78aは、補助電源装置28の正極を第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び各負荷モジュール30に接続する状態と、補助電源装置28の正極を第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び各負荷モジュール30から遮断する状態とを切り換える。コンタクタ78bは、補助電源装置28の負極を第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び各負荷モジュール30に接続する状態と、補助電源装置28の負極を第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び各負荷モジュール30から遮断する状態とを切り換える。コンタクタ78dは、補助電源装置28の負極を抵抗器78eに接続する状態と、補助電源装置28の負極を抵抗器78eから遮断する状態とを切り換える。
【0048】
第1電力供給回路32と各補助電力供給回路36との間に、ダイオード82が設けられる。即ち、ダイオード82は、第2電力供給回路34と各補助電力供給回路36との間に設けられる。各ダイオード82は、アノードが第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34に接続され、カソードが補助電力供給回路36に接続される。各ダイオード82により、第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34から各補助電力供給回路36への電力の供給が許容される。各ダイオード82により、各補助電力供給回路36から第1電力供給回路32及び第2補助電力供給回路への電力の供給が妨げられる。
【0049】
これにより、各ダイオード82を経由して、主電源装置26から各補助電源装置28に電力が供給される。その結果、各補助電源装置28のバッテリ52が充電される。また、第1電力供給回路32又は第2電力供給回路34が短絡した場合、各補助電源装置28の電力が第1電力供給回路32又は第2電力供給回路34へ流れることを防止する。その結果、第1電力供給回路32又は第2電力供給回路34が短絡した場合であっても、各補助電源装置28から各負荷モジュール30内の駆動ユニット44及びコンバータ46に電力を供給できる。
【0050】
各ダイオード82に対して並列にトランジスタ84が設けられる。トランジスタ84がオンである場合、ダイオード82を迂回して各補助電源装置28から第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34に電力が供給される。
【0051】
[検出回路の構成]
図3は、第1検出回路64及び第2検出回路76の回路図である。第1検出回路64と第2検出回路76とは、同一の構成である。
【0052】
第1検出回路64及び第2検出回路76のそれぞれは、フライングキャパシタとして動作するコンデンサ86を有する。第1検出回路64及び第2検出回路76のそれぞれは、スイッチング素子88(第1スイッチ)、スイッチング素子90(第2スイッチ)、スイッチング素子92(第3スイッチ)及びスイッチング素子94(第4スイッチ)を有する。スイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94は、第1検出回路64及び第2検出回路76を流れる電流の経路を切り換える。第1検出回路64及び第2検出回路76のそれぞれは、部分回路96を有する。第1検出回路64及び第2検出回路76のそれぞれは、コンデンサ86の端子間電圧(Vc)を計測可能な電圧センサ98を有する。
【0053】
部分回路96は、第1部分回路100及び第2部分回路101を含む。第1部分回路100及び第2部分回路101は、部分回路96の第1端部96aと第2端部96bとの間に介在する。第1部分回路100は、第1ダイオード102及び第1抵抗器103を含む。第1ダイオード102と第1抵抗器103とは、互いに直列に接続される。第1ダイオード102は、第1端部96aから第2端部96bに電流を流し得る。第2部分回路101は、第1部分回路100に並列に接続される。第2部分回路101は、第2抵抗器104及び第2ダイオード105を含む。第2抵抗器104と第2ダイオード105とは、互いに直列に接続される。第2ダイオード105は、第2端部96bから第1端部96aに電流を流し得る。
【0054】
スイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94のそれぞれは、光MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のように絶縁型のスイッチング素子により構成される。
【0055】
スイッチング素子88の一端は、送電バス54の正極の配線の点P1(
図2)、又は、送電バス66の正極の配線の点P1(
図2)に接続される。スイッチング素子88の他端は、部分回路96の第1端部96aに接続される。部分回路96の第2端部96bは、コンデンサ86の第1端子に接続される。
【0056】
スイッチング素子90の一端は、送電バス54の負極の配線の点P2(
図2)、又は、送電バス66の負極の配線の点P2(
図2)に接続される。スイッチング素子90の他端は、コンデンサ86の第2端子に接続される。
【0057】
スイッチング素子92の一端は、部分回路96の第1端部96aに接続される。スイッチング素子92の他端は、第3抵抗器106の一端に接続される。第3抵抗器106の他端は、基準電位に接続される。
【0058】
スイッチング素子94の一端は、コンデンサ86の第2端子に接続される。スイッチング素子94の他端は、第4抵抗器110の一端に接続される。第4抵抗器110の他端は、基準電位に接続される。
【0059】
第1検出回路64は、第1電力供給回路32の地絡検出と短絡検出とを選択的に行い得る。即ち、第1検出回路64によれば、第1電力供給回路32とグラウンドとは、コンデンサ86を介して接続され得る。更に、第1検出回路64によれば、第1電力供給回路32がグラウンドに短絡しているか否かをコンデンサ86の端子間電圧(Vc)に基づいて検出し得る。第1検出回路64によれば、第1電力供給回路32に備えられた正極の配線と第1電力供給回路32に備えられた負極の配線とは、コンデンサ86を介して接続され得る。更に、第1検出回路64によれば、正極の配線と負極の配線とが短絡しているか否かをコンデンサ86の電圧に基づいて検出し得る。
【0060】
一方、第2検出回路76は、第2電力供給回路34の地絡検出と短絡検出とを選択的に行い得る。即ち、第2検出回路76によれば、第2電力供給回路34とグラウンドとは、コンデンサ86を介して接続され得る。更に、第2検出回路76によれば、第2電力供給回路34がグラウンドに短絡しているか否かをコンデンサ86の端子間電圧(Vc)に基づいて検出し得る。第2検出回路76によれば、第2電力供給回路34に備えられた正極の配線と第2電力供給回路34に備えられた負極の配線とは、コンデンサ86を介して接続され得る。更に、第2検出回路76によれば、正極の配線と負極の配線とが短絡しているか否かをコンデンサ86の電圧に基づいて検出し得る。
【0061】
[制御装置の構成]
図4は、制御装置112の構成を示すブロック図である。制御装置112は、演算部114及び記憶部116を有する。演算部114は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。演算部114は、回路制御部118及び異常判定部120を有する。回路制御部118及び異常判定部120は、記憶部116に記憶されたプログラムが演算部114によって実行されることによって実現される。回路制御部118及び異常判定部120の少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。回路制御部118及び異常判定部120の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって実現されてもよい。
【0062】
記憶部116は、コンピュータ可読記憶媒体である、不図示の揮発性メモリ及び不図示の不揮発性メモリにより構成される。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)等である。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等である。データ等が、例えば、揮発性メモリに記憶される。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば、不揮発性メモリに記憶される。記憶部116の少なくとも一部が、上述したプロセッサ、集積回路等に備えられていてもよい。
【0063】
回路制御部118は、第1電力供給回路32の遮断装置56及び遮断装置58、第2電力供給回路34の遮断装置68及び遮断装置70、補助電力供給回路36の遮断装置78、トランジスタ84を制御する。回路制御部118は、第1検出回路64のスイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94、第2検出回路76のスイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94を制御する。
【0064】
異常判定部120は、第1検出回路64のコンデンサ86の端子間電圧(電圧センサ98の検出値)と、第2検出回路76のコンデンサ86の端子間電圧(電圧センサ98の検出値)に基づいて、送電バス54及び送電バス66が異常であるか否かを判定する。
【0065】
[電力供給回路の検査]
演算部114は、所定のタイミング又は所定周期で第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34の検査を実行し得る。例えば、演算部114は、地絡検査処理を実行し、第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34の少なくとも一方に地絡が発生しているか否かを判定する。地絡検査処理において、演算部114は、電圧センサ98によってコンデンサ86の端子間電圧を検出して地絡の有無を判定する。演算部114は、公知の方法で地絡検査処理を実行し得る。地絡検査処理の具体的な方法は、例えば特許6625586号公報で示される。このため、本明細書では、地絡検査処理についての説明を省略する。
【0066】
[短絡検査処理]
図5は、短絡検査処理のフローチャートである。演算部114は、短絡検査処理を実行し、第2電力供給回路34に短絡が発生しているか否かを判定する。演算部114は、第1電力供給回路32から負荷モジュール30に直流電力が供給され、且つ、第2電力供給回路34から負荷モジュール30に直流電力が供給されていない状態で、第2電力供給回路34の短絡検査処理を実行する。
【0067】
ステップS1において、回路制御部118は、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御するとともに、第2検出回路76のスイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94のオンオフを制御して、第2検出回路76のコンデンサ86の充電を行う。コンデンサ86を充電する方法については、後に詳述する。
【0068】
ステップS2において、回路制御部118は、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御するとともに、第2検出回路76のスイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94のオンオフを制御して、第2電力供給回路34の短絡検査を行う。短絡検査の方法については、後に詳述する。
【0069】
ステップS3において、異常判定部120は、ステップS2で行われた短絡検査の結果に基づいて、第2電力供給回路34に短絡があるか否かを判定する。第2電力供給回路34に短絡がある場合(ステップS3:YES)、処理はステップS4に移行する。一方、第2電力供給回路34に短絡がない場合(ステップS3:NO)、処理はステップS5に移行する。
【0070】
ステップS3からステップS4に移行すると、異常判定部120は、異常対応を行う。例えば、異常判定部120は、不図示の表示装置に対して、報知を指示するための制御信号を出力する。表示装置は、第2電力供給回路34に短絡があることを示すメッセージを表示する。ステップS4が終了すると、短絡検査処理は終了する。
【0071】
一方、ステップS3からステップS5に移行すると、回路制御部118は、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御するとともに、第2検出回路76のスイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94のオンオフを制御して、第2検出回路76のコンデンサ86の放電を行う。コンデンサ86を放電する方法については、後に詳述する。ステップS5が終了すると、短絡検査処理は終了する。
【0072】
[コンデンサを充電する第1の方法]
図5に示されるステップS1において、コンデンサ86は、以下で説明する第1の方法で充電されてもよい。
図6は、電力供給システム22の模式図である。
図6は、1つの主電源装置26と、1つの負荷モジュール30との間における第1電力供給回路32の回路構成及び第2電力供給回路34の回路構成を模式的に示す。主電源装置26が2つ以上である場合、各々の主電源装置26は、第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34に並列に接続される。同様に、負荷モジュール30が2つ以上である場合、各々の負荷モジュール30は、第1電力供給回路32及び第2電力供給回路34に並列に接続される。
【0073】
上述したように、第2電力供給回路34の短絡検査処理は、第1電力供給回路32から負荷モジュール30に直流電力が供給されている状態で実行される。つまり、
図6に示すように、第2電力供給回路34の短絡検査処理の実行中には、第1電力供給回路32において、コンタクタ56a、コンタクタ56b、コンタクタ58a及びコンタクタ58bのそれぞれは、導通状態に制御される。また、図示しないが、第1検出回路64において、スイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94は、遮断状態に制御される。
【0074】
図6に示す矢印は、第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び第2検出回路76の電流の流れを示す。抵抗122は、主電源装置26の正極と機体12との間の絶縁抵抗を示す。抵抗124は、主電源装置26の負極と機体12との間の絶縁抵抗を示す。
【0075】
上述したように、回路制御部118は、コンデンサ86を充電するために、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御する。ここでは、
図6に示すように、第2電力供給回路34において、コンタクタ68bのみが導通状態に制御される。つまり、コンタクタ68a、コンタクタ70a及びコンタクタ70bのそれぞれは遮断状態に制御される。
【0076】
図7は、第2検出回路76の回路図である。
図7に示す矢印は、第2検出回路76の電流の流れを示す。回路制御部118は、コンデンサ86を充電するために、各々のスイッチのオンオフを制御する。ここでは、
図7に示すように、第2検出回路76のスイッチング素子90及びスイッチング素子92は導通状態に制御される。第2検出回路76のスイッチング素子88及びスイッチング素子94は遮断状態に制御される。
【0077】
これにより、第2電力供給回路34の負極の配線が基準電位に接続される。この場合、第1抵抗器103の抵抗値が比較的大きいため、第2検出回路76に大電流が流れ込むことはない。第2検出回路76のコンデンサ86は、第2検出回路76に供給される直流電力により充電される。コンデンサ86の充電が完了すると、第2検出回路76のそれぞれには電流は流れない。そのため、送電バス66から第2検出回路76に供給される電力量を抑制できる。
【0078】
[コンデンサを充電する第2の方法]
図5に示されるステップS1において、コンデンサ86は、以下で説明する第2の方法で充電されてもよい。
図8は、電力供給システム22の模式図である。
図8に示す矢印は、第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び第2検出回路76の電流の流れを示す。
図8は、
図6に示す導通経路とは異なる導通経路を示す。
【0079】
上述したように、回路制御部118は、コンデンサ86を充電するために、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御する。ここでは、
図8に示すように、第2電力供給回路34において、コンタクタ70aのみが導通状態に制御される。つまり、コンタクタ68a、コンタクタ68b及びコンタクタ70bのそれぞれは遮断状態に制御される。
【0080】
図9は、第2検出回路76の回路図である。
図9に示す矢印は、第2検出回路76の電流の流れを示す。回路制御部118は、コンデンサ86を充電するために、各々のスイッチのオンオフを制御する。ここでは、
図9に示すように、第2検出回路76のスイッチング素子88及びスイッチング素子94は導通状態に制御される。第2検出回路76のスイッチング素子90及びスイッチング素子92は遮断状態に制御される。
【0081】
これにより、第2電力供給回路34の正極の配線が基準電位に接続される。この場合、第1抵抗器103の抵抗値が比較的大きいため、第2検出回路76に大電流が流れ込むことはない。第2検出回路76のコンデンサ86は、第2検出回路76に供給される直流電力により充電される。コンデンサ86の充電が完了すると、第2検出回路76のそれぞれには電流は流れない。そのため、送電バス66から第2検出回路76に供給される電力量を抑制できる。
【0082】
[コンデンサを充電する第3の方法]
図5に示されるステップS1において、コンデンサ86は、以下で説明する第3の方法で充電されてもよい。
図10は、電力供給システム22の模式図である。
図10に示す矢印は、第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び第2検出回路76の電流の流れを示す。
図10は、
図6及び
図8に示す導通経路とは異なる導通経路を示す。
【0083】
上述したように、回路制御部118は、コンデンサ86を充電するために、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御する。ここでは、
図10に示すように、第2電力供給回路34において、コンタクタ70bのみが導通状態に制御される。つまり、コンタクタ68a、コンタクタ68b及びコンタクタ70aのそれぞれは遮断状態に制御される。
【0084】
回路制御部118は、コンデンサ86を充電するために、各々のスイッチのオンオフを制御する。ここでは、
図7に示すように、第2検出回路76のスイッチング素子90及びスイッチング素子92は導通状態に制御される。第2検出回路76のスイッチング素子88及びスイッチング素子94は遮断状態に制御される。
【0085】
これにより、第2電力供給回路34の負極の配線が基準電位に接続される。この場合、第1抵抗器103の抵抗値が比較的大きいため、第2検出回路76に大電流が流れ込むことはない。第2検出回路76のコンデンサ86は、第2検出回路76に供給される直流電力により充電される。コンデンサ86の充電が完了すると、第2検出回路76のそれぞれには電流は流れない。そのため、送電バス66から第2検出回路76に供給される電力量を抑制できる。
【0086】
[短絡検査の方法]
図5に示されるステップS2において、以下で説明する短絡検査が行われる。
図11は、電力供給システム22の模式図である。
図11に示す矢印は、第1電力供給回路32、第2電力供給回路34及び第2検出回路76の電流の流れを示す。
【0087】
上述したように、回路制御部118は、短絡検査を行うために、遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御する。ここでは、
図11に示すように、第2電力供給回路34において、コンタクタ68a、コンタクタ68b、コンタクタ70a及びコンタクタ70bのそれぞれは遮断状態に制御される。つまり、遮断装置68と遮断装置70との間の正極の配線及び負極の配線は、主電源装置26及び負荷モジュール30から電気的に切り離される。
【0088】
図12は、第2検出回路76の回路図である。
図12に示す矢印は、第2検出回路76の電流の流れを示す。回路制御部118は、短絡検査を行うために、各々のスイッチのオンオフを制御する。ここでは、
図12に示すように、第2検出回路76のスイッチング素子88及びスイッチング素子90は導通状態に制御される。また、第2検出回路76のスイッチング素子92及びスイッチング素子94は遮断状態に制御される。これにより、第2電力供給回路34の正極の配線と負極の配線とが第2検出回路76を介して接続される。また、第2電力供給回路34の正極の配線と負極の配線とが基準電位から切り離される。
【0089】
図13A及び
図13Bは、コンデンサ86の端子間電圧の時間変化を示すグラフである。
図13Aは、遮断装置68と遮断装置70との間で、正極の配線と負極の配線とが短絡していない場合のコンデンサ86の端子間電圧の時間変化を示す。
図13Bは、遮断装置68と遮断装置70との間で、正極の配線と負極の配線とが短絡する場合のコンデンサ86の端子間電圧の時間変化を示す。
【0090】
時点t1から時点t2まで、コンデンサ86の充電が行われる。つまり、時点t1から時点t2の間、上述した第1~第3のいずれかの方法によって、コンデンサ86は充電される。コンデンサ86の端子間電圧(Vc)は、時点t1から時点t2にかけて増加する。
【0091】
時点t2で、コンデンサ86の充電は終了する。回路制御部118は、
図11に示すように遮断装置68及び遮断装置70のオンオフを制御する。更に、回路制御部118は、
図12に示すようにスイッチング素子88、スイッチング素子90、スイッチング素子92及びスイッチング素子94のオンオフを制御する。
【0092】
遮断装置68と遮断装置70との間で正極の配線と負極の配線とが短絡していない場合、第2検出回路76のコンデンサ86の第1端子と第2端子とは導通しない。このため、
図13Aに示すように、コンデンサ86の端子間電圧(Vc)は、時点t2直後に実質的に変化しない。これに対して、遮断装置68と遮断装置70との間で正極の配線と負極の配線とが短絡する場合、第2検出回路76のコンデンサ86の第1端子と第2端子とが導通する。これにより、コンデンサ86と、第2部分回路101(第2抵抗器104、第2ダイオード105)とを含む閉回路が形成される。すると、
図12に示すように、コンデンサ86を電源とする放電電流が流れる。このため、
図13Bに示すように、コンデンサ86の端子間電圧(Vc)は、時点t2直後から減少し始める。
【0093】
異常判定部120は、電圧センサ98の検出結果に基づいて、コンデンサ86の端子間電圧(Vc)を検出する。異常判定部120は、時点t2から所定時間後の時点t3での端子間電圧(Vc)によって、短絡の有無を判定する。異常判定部120は、端子間電圧(Vc)と、予め記憶部116に記憶される電圧閾値(Vth)とを比較する。電圧閾値(Vth)は、短絡の有無を判定するための閾値である。端子間電圧(Vc)が電圧閾値(Vth)以上である場合、異常判定部120は、遮断装置68と遮断装置70との間で正極の配線と負極の配線とが短絡していないと判定する。一方、端子間電圧(Vc)が電圧閾値(Vth)未満である場合、異常判定部120は、遮断装置68と遮断装置70との間で正極の配線と負極の配線とが短絡していると判定する。
【0094】
[コンデンサを放電する方法]
図14は、第2検出回路76の回路図である。
図14に示す矢印は、第2検出回路76の電流の流れを示す。回路制御部118は、コンデンサ86を放電するために、各々のスイッチのオンオフを制御する。ここでは、
図14に示すように、第2検出回路76のスイッチング素子92及びスイッチング素子94は導通状態に制御される。第2検出回路76のスイッチング素子88及びスイッチング素子90は遮断状態に制御される。
【0095】
これにより、コンデンサ86と、第2部分回路101(第2抵抗器104、第2ダイオード105)と、第3抵抗器106と、第4抵抗器110とを含む閉回路が形成される。すると、
図14に示すように、コンデンサ86を電源とする放電電流が流れる。
図13Aに示す時点t3でコンデンサ86の放電が開始されると、コンデンサ86の端子間電圧(Vc)は減少し始める。このようにして、コンデンサ86の放電が行われる。
【0096】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、第2検出回路76によって第2電力供給回路34の短絡を検出することができる。第2電力供給回路34の使用前に第2電力供給回路34の短絡が検出された場合、第2電力供給回路34の使用は回避される。その結果、短絡に起因して第2電力供給回路34に大きな電流が流れることを防止することができる。
【0097】
本実施形態によれば、第2検出回路76は、地絡検出と短絡検出とを行い得る。言い換えると、地絡検出を行うための装置で、短絡検出を行うことができる。このため、第2電力供給回路34は、短絡検出のための回路素子を備えなくてもよい。従って、本実施形態によれば、電力供給システム22の重量及びコストを削減することができる。
【0098】
上述したように、演算部114は、第1電力供給回路32から負荷モジュール30に直流電力が供給され、且つ、第2電力供給回路34から負荷モジュール30に直流電力が供給されていない状態で、第2電力供給回路34の短絡検査処理を実行する。これと同様に、演算部114は、第2電力供給回路34から負荷モジュール30に直流電力が供給され、且つ、第1電力供給回路32から負荷モジュール30に直流電力が供給されていない状態で、第1電力供給回路32の短絡検査処理を実行することもできる。
【0099】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0100】
本実施形態の電力供給システム22では、主電源装置26は、ガスタービン38、発電機40及びPCU42を有する。これらに代えて、主電源装置26は、バッテリ又はコンデンサを有してもよい。
【0101】
主電源装置26は、ガスタービン38、発電機40及びPCU42の他、センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の素子を有してもよい。
【0102】
本実施形態の電力供給システム22では、補助電源装置28は、バッテリ52を有する。これに代えて、補助電源装置28は、ガスタービン、発電機及びPCUを有してもよい。また、これに代えて、補助電源装置28は、コンデンサを有してもよい。
【0103】
補助電源装置28は、バッテリ52の他、センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の素子を有してもよい。
【0104】
負荷モジュール30は、コンバータ46、電動モータ48及びインバータ50の他、センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の素子を有してもよい。
【0105】
第1電力供給回路32は、送電バス54、遮断装置56、遮断装置58、電流センサ60及び電流センサ62の他、センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の素子を有してもよい。
【0106】
第2電力供給回路34は、送電バス66、遮断装置68、遮断装置70、電流センサ72及び電流センサ74の他、センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の素子を有してもよい。
【0107】
補助電力供給回路36は、遮断装置78及び電流センサ80の他、センサ、ヒューズ、リレー、ブレーカ、ダイオード、トランジスタ、抵抗、コイル、コンデンサ等の素子を有してもよい。
【0108】
PCU42及びインバータ50は、内部にYコンデンサを有してもよい。
【0109】
[付記]
上述した開示に関し、更に以下の付記を開示する。
【0110】
(付記1)
電力供給システム(22)は、電源装置(26)から出力される直流電力を負荷装置(30)に供給する電力供給回路(34)と、前記電力供給回路とグラウンドとをコンデンサ(86)を介して接続し、前記電力供給回路が前記グラウンドに短絡しているか否かを前記コンデンサの電圧に基づいて検出する地絡検出と、前記電力供給回路に備えられた正極配線と前記電力供給回路に備えられた負極配線とを前記コンデンサを介して接続し、前記正極配線と前記負極配線とが短絡しているか否かを前記コンデンサの電圧に基づいて検出する短絡検出とを選択的に行い得る検出回路(76)と、を備える。
【0111】
上記構成によれば、検出回路によって電力供給回路の短絡を検出することができる。電力供給回路の使用前に電力供給回路の短絡が検出された場合、電力供給回路の使用は回避される。その結果、短絡に起因して電力供給回路に大きな電流が流れることを防止することができる。
【0112】
上記構成によれば、検出回路は、地絡検出と短絡検出とを行い得る。言い換えると、地絡検出を行うための装置で、短絡検出を行うことができる。このため、電力供給回路は、短絡検出のための回路素子を備えなくてもよい。従って、上記構成によれば、電力供給システムの重量及びコストを削減することができる。このように、上記構成によれば、良好な電力供給システムを提供することができる。
【0113】
(付記2)
付記1に記載の電力供給システムにおいて、前記検出回路は、前記短絡検出では、前記コンデンサに対して充電を行った後に、前記正極配線と前記負極配線とを前記コンデンサを介して接続してもよい。
【0114】
(付記3)
付記1に記載の電力供給システムにおいて、前記コンデンサに備えられた一対の端子のうちの一方である第1端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの一方に抵抗器(103)と第1スイッチ(88)とを介して接続され、一対の前記端子のうちの他方である第2端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの他方に第2スイッチ(90)を介して接続され、前記第1端子は、第3スイッチ(92)を介して前記グラウンドに接続され、前記第2端子は、第4スイッチ(94)を介して前記グラウンドに接続され、前記検出回路は、前記短絡検出では、前記第3スイッチと前記第4スイッチとをオフにした状態で、前記第1スイッチと前記第2スイッチとをオンにしてもよい。
【0115】
(付記4)
付記3に記載の電力供給システムにおいて、前記検出回路は、前記第1スイッチと前記第2スイッチとをオフするとともに、記第3スイッチと前記第4スイッチとをオンにすることによって、前記コンデンサと前記第3スイッチと前記第4スイッチと放電抵抗(104、106、110)とを含む閉回路を形成することが可能であり、前記検出回路は、前記短絡検出を行った後、前記閉回路を形成することにより、前記コンデンサの放電を行ってもよい。
【0116】
(付記5)
付記1に記載の電力供給システムにおいて、前記コンデンサに備えられた一対の端子のうちの一方である第1端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの一方に部分回路(96)と第1スイッチとを介して接続され、一対の前記端子のうちの他方である第2端子は、前記正極配線と前記負極配線とのうちの他方に第2スイッチを介して接続され、前記第1端子は、前記部分回路と第3スイッチとを介して前記グラウンドに接続され、前記第2端子は、第4スイッチを介して前記グラウンドに接続され、前記部分回路は、第1部分回路(100)と、前記第1部分回路に並列に接続された第2部分回路(101)とを含み、前記第1部分回路は、第1抵抗器(103)と、前記第1抵抗器を介して前記コンデンサに電流を流し得る第1ダイオード(102)とを含み、 前記第2部分回路は、第2抵抗器(104)と、前記コンデンサからの電流を前記第2抵抗器を介して流し得る第2ダイオード(105)とを含んでもよい。
【0117】
(付記6)
付記1に記載の電力供給システムにおいて、前記電源装置から出力される直流電力を前記負荷装置に供給する他の電力供給回路(32)を更に備え、前記検出回路は、前記他の電力供給回路を介して前記電源装置から前記負荷装置に前記直流電力が供給されており、且つ、前記電力供給回路を介して前記電源装置から前記負荷装置に前記直流電力が供給されていない状態で、前記短絡検出を行ってもよい。
【0118】
(付記7)
移動体(10)は、付記1~6のいずれか1つに記載の電力供給システムを備える。
【符号の説明】
【0119】
10…航空機(移動体) 22…電力供給システム
26…主電源装置(電源装置) 30…負荷モジュール(負荷装置)
32…第1電力供給回路(他の電力供給回路)
34…第2電力供給回路(電力供給回路) 76…第2検出回路(検出回路)
86…コンデンサ
88…スイッチング素子(第1スイッチ)
90…スイッチング素子(第2スイッチ)
92…スイッチング素子(第3スイッチ)
94…スイッチング素子(第4スイッチ)
96…部分回路 100…第1部分回路
101…第2部分回路 102…第1ダイオード
103…第1抵抗器(抵抗器) 104…第2抵抗器(放電抵抗)
105…第2ダイオード 106…第3抵抗器(放電抵抗)
110…第4抵抗器(放電抵抗)