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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143951
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】箱形給水車
(51)【国際特許分類】
   E03B 11/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
E03B11/00 Z
E03B11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023067472
(22)【出願日】2023-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】501328854
【氏名又は名称】川▲崎▼ファクトリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084076
【弁理士】
【氏名又は名称】首藤 俊一
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 信明
(57)【要約】
【課題】 箱形給水車の提供。
【解決手段】 箱形給水車の発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク装置のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口からから外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置を架装したことを特徴とする。
を特徴とする。を特徴とする。又、前記の特徴に、給注水配管装置の給水機能や注水機能を駆動制御する給注水配管制御装置を架装したことを特徴とする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク置装のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口から外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置と、を架装したことを特徴とする箱形給水車。
【請求項2】
バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク装置のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口からから外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置と、前記給注水配管装置の給水機能や注水機能を駆動制御する給注水配管制御装置と、を架装したことを特徴とする箱形給水車。
【請求項3】
請求項1と請求項2の箱形給水車において、箱形給水車の箱形荷室は当該荷室の少なくとも後方に後面側開閉扉口を有し、前記後面側開閉扉口は飲料水タンク装置と給注水配管装置とが荷室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態で前記荷室内に挿入可能な口形であることを特徴とする箱形給水車。
【請求項4】
請求項3の箱形給水車のユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置は、装置底面側に荷室床面上に接する水受け盤を有することを特徴とする。
【請求項5】
請求項4の箱形給水車の水受け盤は、受けた漏れ水が少なくとも後面側開閉扉口からの自然排出を導く排出導水路を有することを特徴とする。
【請求項6】
請求項2の箱形給水車の給注水配管制御装置は、箱形荷室の左右側面の少なくとも一方の側面側の側面側開閉扉口側から操作可能に荷室内に配設されたことを特徴とする。
【請求項7】
請求項6の箱形給水車の給注水配管制御装置は、給注水配管装置の給水機能や注水機能を制御する中央制御装置と接続された出入力装置であって、少なくとも、車載バッテリと外部電源との電源を切り替える電源変換装置と、前記電源変換装置に外部電源を引き込む外部電源引き込みコンセントと共に一体的な取り扱いが可能にユニット化されたことを特徴とする。
【請求項8】
請求項7の箱形給水車において、ユニット化された給注水配管制御装置は箱形荷室の側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の箱形給水車は、箱形荷室の天井側外部から飲料水タンク装置のタンクへの注水を可能とする注水手段を有し、前記注水手段は前記箱形荷室の天井側の一部に設けられた天井開閉口と前記天井開閉口に臨むタンクに設けられた開閉注水口とを有することを特徴とする。
【請求項10】
請求項2乃至請求項8の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置は荷室の後面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されると共に、
ユニット化された給注水配管制御装置は側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【請求項11】
請求項7、請求項8の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置やユニット化された給注水配管制御装置は荷室床面に着脱自在に固定されたことを特徴とする。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の箱形給水車において、箱形荷室内に空調設備を備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に給水設備を搭載した飲料水用の箱形給水車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料水用給水車は、飲料水を貯留する飲料水タンクや当該飲料水タンクから飲料水を給水する給水機能と飲料水タンクへ飲料水を注水する注水機能とを兼ね備えた注給水配管装置等を備えた所謂給水設備が、車台に露出状態で架装されていたため、寒冷地においては、飲料水タンクや注給水配管装置等が凍結して不具合を生じたり、凍結による故障を生じたりして、注給水作業に支障を来たすことが少なくなかった。
【0003】
又、何よりも、被災地域住民に緊急に給水しなければならない貴重な飲料水がそのままでは直ちには飲み難い程に冷い点にも問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記諸課題の解決を目的とすると共に既存のバンタイプ車両への給水設備の架装が容易で架装費用が嵩まない給水車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の箱形給水車の発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク置装のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口から外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置と、を架装したことを特徴とする。
【0006】
請求項2の箱形給水車の発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク装置のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口からから外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置と、前記給注水配管装置の給水機能や注水機能を駆動制御する給注水配管制御装置と、を架装したことを特徴とする。
【0007】
請求項3の箱形給水車の発明は、請求項1と請求項2の箱形給水車において、箱形給水車の箱形荷室は当該荷室の少なくとも後方に後面側開閉扉口を有し、前記後面側開閉扉口は飲料水タンク装置と給注水配管装置とが荷室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態で前記荷室内に挿入可能な口形であることを特徴とする。
【0008】
請求項4の箱形給水車の発明は、請求項3の箱形給水車のユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置は、装置底面側に荷室床面上に接する水受け盤を有することを特徴とする。
【0009】
請求項5の箱形給水車の発明は、請求項4の水受け盤は、受けた漏れ水が少なくとも後面側開閉扉口からの自然排出を導く排出導水路を有することを特徴とする。
【0010】
請求項6の箱形給水車の発明は、請求項2の箱形給水車の給注水配管制御装置が、箱形荷室の左右側面の少なくとも一方の側面側の側面側開閉扉口側から操作可能に荷室内に配設されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の箱形給水車の発明は、請求項6の箱形給水車の給注水配管制御装置が、給注水配管装置の給水機能や注水機能を制御する中央制御装置と接続された出入力装置であって、少なくとも、車載バッテリと外部電源との電源を切り替える電源変換装置と、前記電源変換装置に外部電源を引き込む外部電源引き込みコンセントと共に一体的な取り扱いが可能にユニット化されたことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項7の箱形給水車において、ユニット化された給注水配管制御装置が箱形荷室の側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8の箱形給水車において、箱形荷室の天井側外部から飲料水タンク装置のタンクへの注水を可能とする注水手段を有し、前記注水手段は前記箱形荷室の天井側の一部に設けられた天井開閉口と前記天井開閉口に臨むタンクに設けられた開閉注水口とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項2乃至請求項8の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置が荷室の後面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されると共に、
ユニット化された給注水配管制御装置が側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、請求項7、請求項8の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置やユニット化された給注水配管制御装置が荷室床面に着脱自在に固定されたことを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11の箱形給水車において、箱形荷室内に空調設備を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至請求項12の箱形給水車の発明によれば、何れも、給水設備が露出された従来の飲料水用給水車に比べ、給水設備の少なくとも水回りの部分が箱形荷室内に内蔵されているので、寒冷地であっても、タンクや配管が凍結したり、凍結防止のための余計な対策を講じる必要がなく、何よりも、被災地域の被災者等に緊急に給水しなければならない貴重な飲料水を、冷却状態でなく、比較的飲みやすい状態で、そのまま直ちに提供することができる。
【0018】
請求項3、請求項7、請求項8、請求項10、請求項12の箱形給水車の発明によれば、飲料水用タンクを含む給注水配管装置や給注水配管制御装置が、既存の箱形荷室の開閉扉口から室内に挿通可能に予め室外においてユニット化されているので、荷室への架装が迅速かつ容易に行うことができ、既存車両を用いての改造費用を大幅に低減させることができる。
【0019】
請求項4や請求項5の箱形給水車の発明によれば、給注水作業や洗浄作業において生じる漏れ水や洗浄汚水等を速やかに箱形荷室外に排出させることができる。
【0020】
請求項9の箱形給水車の発明によれば、外部水源の水圧だけで、給水設備を稼働させることなく、飲料水タンクへの飲料水の注水作業を行うことができる。
【0021】
請求項12の箱形給水車の発明によれば、飲料水を常温或いは比較的任意の飲みやすい好適な温度で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1図3のユニット化された給注水配管装置が箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の一部切欠側面図である。
図2図2図3のユニット化された給注水配管装置が箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の一部切欠平面図である。
図3図3はユニット化された給注水配管装置の側面図である(実施例1)。
図4図4図3のユニット化された給注水配管装置の平面図である。
図5図5は給注水配管制御装置と給注水配管装置とが箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の一部切欠側面図である。
図6図6はユニット化された給注水配管装置が箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の後面側図である。
図7図7は水受け盤、の斜視図である。
図8図8は給注水配管装置を荷室床面に固定した状態を示す拡大断面図である。
図9図9は給注水配管装置と給注水配管制御装置の構成図である。
図10図10は実施例2の箱形給水車の一部切欠側面図である。
図11図11図10の箱形給水車の平面図である。
図12図12図10の一部切欠部分の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例0023】
以下、実施例1の箱形給水車1を図1乃至図9に示す図面に基づいて説明する。
先ず、図1及び図2において、実施例1のバンタイプ車両1は一般に市販されている、一般的な箱形荷室を備えた通常の車両(非改造車)であって、その箱形荷室11には、当該荷室11の左右側面側の前方寄りに各々一つの側面側開閉扉口111、112を有すると共に、当該荷室11の後方の後面側に一つの後面側開閉扉口113の、計三つの開閉扉口を有したものであって、その箱形荷室11の荷室内には、飲料水を貯留する飲料水タンク装置2と給注水配管装置3の水回り設備が架装(内設)されている。
【0024】
図3及び図4において、飲料水タンク装置2は、文字通り飲料水を貯留するためのタンク20と当該タンク20に付設された所要の各種装備品(以下、タンク装備品ともいう)とからなる装置であって、例えばタンク装備品として、タンク20自体に付設された液面計21、タンク点検口22、オーバーフロー管23、吸排気弁24等の所要の機器類が付設されている。
【0025】
又、この実施例1では、図1図3に示すように、略円筒形状のタンク20の筒軸を若干傾けた状態にしてタンク20を支承する支持枠体25を備えており、この支持枠体25には所要のポンプ35やモータ36等の機器類も付設されている。
【0026】
図3及び図5において、給注水配管装置3は、飲料水タンク装置2のタンク20から飲料水を給水口31、32、33に導く給水機能と何れかの給水口から外部飲料水をタンク20に導く注水機能とを兼ね備えた装置であって、飲料水タンク装置2のタンク20からの飲料水を給水口31、32、33に導いて配給するための給水機能を備えた給水用配管と、外部飲料水をタンク20に貯留するために給水口31、32、33の何れかからタンク20に導いて注入するための注水用配管との配管を備えている。
【0027】
この実施例1の給注水配管装置3は、タンク20からの飲料水を給水口31、32、33と導いて配給即ち給水するための給水機能を備えた給水用配管と、飲料水をタンク20に貯留するために、給水口31、32、33の何れかからタンク20に導いて注入するための注水機能を備えた注水用配管とが、両者兼用可能に統合された配管構成の給注水配管装置であり、この配管は上記の支持枠体25に支承されている。
【0028】
上記の飲料水タンク装置2や給注水配管装置3は、何れも、箱形荷室11内に装置されるものであるから荷室11内で装置の組付け作業を行ってもよいが、狭い荷室11内で装置の組付け作業を行うよりも比較的広い荷室外で、装置全体を単体として組み上げてユニット化し、ユニット化した状態のままで荷室11の開閉扉口から荷室内に挿入して設置する方が、作業効率や改良コスト面からも効率的である。
【0029】
そこで、この実施例1では、ユニット化した装置が挿入可能な既設の箱形荷室11の開閉扉口、図示(図3及び図5)の実施例では、既設車両の箱形荷室における後面側開閉扉口113の口形に応じて、当該開閉扉口113に改造することなく、当該開閉扉口113から荷室内11に、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とをユニット化したタンク配管装置を挿入して、詳しくは後述するように、荷室11の床(荷室床)にボルト・ナットで着脱自在に固定する架装方法、即ち、箱形給水車の製造方法を採用した。
【0030】
このように、給水車が搭載する給水設備の内の、所謂水回り設備としての、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とをユニット化したタンク配管装置として、荷室11外で組み上げて、箱形荷室11の後面側開閉扉口113から荷室11内に挿入して架装する給水車の製造方法では、既存車両の箱形荷室11の後面側開閉扉口113の口形サイズがユニット化したタンク配管装置の胴周りサイズに対して挿通可能なサイズであることが必要であり、既存車両の箱形荷室11の開閉扉口113を改造しなくて済む点で好ましく、最良である。そのためには、タンク配管装置の胴周りサイズを後面側開閉扉口113の口形サイズより小さく、挿通可能なサイズにユニット化する必要がある。
【0031】
即ち、タンク配管装置のユニット化は既存箱形車両の後面側開閉扉口113の口形に応じて挿通可能なサイズに対応させる必要があり、箱形給水車1の箱形荷室11は、当該荷室11の少なくとも後方に後面側開閉扉口113を有し、この後面側開閉扉口113が飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とが室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態のタンク配管装置が、前記後面側開閉扉口111を経て荷室11内部に挿通可能な口形であることが最も好ましい。
【0032】
図1乃至図5において、上記のようにユニット化されたタンク配管装置の底面側、即ち、飲料水タンク装置2及び給注水配管装置3の底面側には、これら装置から漏れ落ちる水や洗浄作業の際に生ずる汚水を受けるための水受け盤4を備えている。
水受け盤4は、給水作業において、タンク配管装置を作業従事者が操作作業中に、止む負えず、濡れ落ちる水や洗浄水等によって荷室11の床(荷室床)を濡らしたり、車体を錆させたりする等の不都合を生じさせないための盤である。
【0033】
この実施例1では、図7に示すように、水受け盤4は、三方全ての開閉扉口111、112、113から車外に漏れ水を速やかに排出させるために、盤4の周縁を巡るように立たせた縁40の一部を切り欠いて、各々の扉口111、112、113に向かう排出導水路41、42、43を設けているが、必ずしも三方全ての扉口111、112、113に向けて設ける必要はなく、任意の少なくとも1か所、例えば後面側開閉扉口113にだけ向かう排出導水路43としてもよい。
【0034】
図8において、上記実施例1の、箱形荷室11の後面側開閉扉口113の口形に応じて、当該荷室11外から挿入可能にユニット化された、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置は、上記水受け盤4を介して、荷室床114にボルト・ナットを用いて着脱自在に固定されている。
【0035】
着脱自在な固定手段はこれに限らず一般的に用いられる常套手段の何れかであってもよいが、着脱自在に固定することによって、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置を保守点検や修理作業の際に、荷室外11に比較的容易に引き出して作業することにより、広い空間で効率よく点検や修理作業を行うことができる。
【0036】
図5において、図中の符号5は給注水配管制御装置であり、この給注水配管制御装置5は、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置の給水機能や注水機能等を駆動制御する中制御装置(図示せず)に接続された操作パネルとしての入出力装置である。
【0037】
図5図9において、この操作パネルとしての給注水配管制御装置5は、外部電源引き込み用コンセント51や電源変換装置52と共に、単体として取り扱い可能な枠体(ラック)に、荷室11外において一括して取り付け或いは組み立てられてユニット化されており、荷室11外でユニット化された状態で、この実施例1では、荷室11の左側面側の側面側開閉扉口111から荷室11内に挿入されて、上記の飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置と同様に、図8に示すように、荷室床114に着脱自在に固定されている。
【0038】
従って、このユニット化された給注水配管制御装置5のラック(ユニット)は、側面側開閉扉口111からユニット化された状態のまま挿通されて荷室11の床面に設置可能にサイズ化された装置であることが必要であり、挿通された側面側開閉扉口111側から、作業従事者によって操作可能に設置されている。
尚、操作パネルとしての給注水配管制御装置5は、荷室11内に架設されて、車載バッテリ53やモータ36や水位レベルセンサ37等と電気的に接続されている。
【0039】
図9において、この実施例1に示す給注水配管装置3は、兼用可能に構成された配管の流路を給水機能と注水機能との何れかに切り替えるための装置として、三つの給水口31、32、33とタンク20との配管途中に流路切替弁34を配設しており、この流路切替弁34が、上記操作パネルとしての給注水配管制御装置5からの入力信号に応じた中央制御装置からの指示信号に応じて、上記給注水配管装置3を給水機能と注水機能との何れかの機能、即ち、配管の流路が注水か給水かの何れかに切り替わる。
【0040】
尚、給注水配管装置3を注水機能として稼働させる場合には、三つの給水口31、32、33の何れかの給水口に、図示しない外部飲料水からのホース(図示せず)を接続させる。
又、給注水配管装置3を給水機能として稼働させる場合には、三つの給水口31、32、33の内の全て、或いは、何れか選択して使用させる給水口に、複数の蛇口を備えた着脱式給水栓(図示せず)を接続させる。
【0041】
又、この箱形給水車1に示す給注水配管装置3の給水口は、箱形荷室11の後面側開閉扉口113と荷室11の左右側面側開閉扉口111、112との三つの開閉口の全てに各々給水口31、32、33を配設させているが、必ずしも、全ての開閉扉口111、112、113に給水口を配設する必要はなく、任意の何れかの位置に設置すればよい。
【0042】
又、上記実施例1の箱形給水車1として、箱形荷室11の室温を調整する空調設備(図示せず)を本来的に備えているバンタイプ車両を用いれば、更に、好適な温度の飲料水の提供が可能となる。空調設備を備えていない車両であれば、空調設備を後付けするのが望ましい。
【実施例0043】
次に、実施例2の箱形給水車を図10乃至図12に示す図面に基づいて説明する。
この実施例2の箱形給水車200は、上記実施例1の箱形給水車1において、箱形荷室11の天井側外部から飲料水タンク装置2のタンク20への注水を可能とする注水手段210を有しており、この注水手段210は箱形荷室11の天井側の一部に設けられた開閉自在な天井開閉口211とこの天井開閉口に臨むように、タンク20の上面側に開閉自在に設けられた開閉注水口212とで構成されている。
【0044】
図12は、箱形荷室11の天井側の天井開閉口211と、この天井開閉口212に連通するように設けられたタンク20の開閉注水口212とを何れも開口させた状態で、外部飲料水の送水ホース113をタンク20に接続させた図である。
尚、実施例2の図10乃至図12に施された符号のうち、上記実施例1の図1乃至図9に施された符号と同一符号は、上記実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
この注水手段210は、外部飲料水を貯留する際に、給水車両の注水機能を用いることなく、即ち、給水車両の動力(エネルギ)を用いずして、タンク20に飲料水を注水するための装置であって、外部飲料水側に送水能力がある場合に活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、飲料水用の給水車に限らず、液体を配給する給水車に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 バンタイプ車両(実施例1)
11 箱形荷室
111 側面側開閉扉口(左)
112 側面側開閉扉口(右)
113 後面側開閉扉口
2 飲料水タンク装置(タンク配管装置)
20 タンク
25 支持枠体
3 給注水配管装置(タンク配管装置)
31 給水口(左)
32 給水口(右)
33 給水口(後面)
34 流路切替弁
4 水受け盤
41、42、43
5 操作パネル(注給水配管制御装置)
56 流路切替弁(注給水配管制御装置)
200 箱形給水車(実施例2)
210 注水手段
211 天井開閉口(注水手段)
212 開閉注水口(注水手段)
213 注水ホース(注水手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク置装のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口から外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置とを架装し、箱形給水車の箱形荷室は当該荷室の少なくとも後方に後面側開閉扉口を有し、前記後面側開閉扉口は飲料水タンク装置と給注水配管装置とが荷室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態で前記荷室内に挿入可能な口形であること、を特徴とする箱形給水車。
【請求項2】
バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク装置のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口からから外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置と、前記給注水配管装置の給水機能や注水機能を駆動制御する給注水配管制御装置とを架装し、箱形給水車の箱形荷室は当該荷室の少なくとも後方に後面側開閉扉口を有し、前記後面側開閉扉口は飲料水タンク装置と給注水配管装置とが荷室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態で前記荷室内に挿入可能な口形であること、を架装したことを特徴とする箱形給水車。
【請求項3】
請求項1と2の箱形給水車のユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置は、装置底面側に荷室床面上に接する水受け盤を有することを特徴とする。
【請求項4】
請求項3の箱形給水車の水受け盤は、受けた漏れ水が少なくとも後面側開閉扉口からの自然排出を導く排出導水路を有することを特徴とする。
【請求項5】
請求項2の箱形給水車の給注水配管制御装置は、箱形荷室の左右側面の少なくとも一方の側面側の側面側開閉扉口側から操作可能に荷室内に配設されたことを特徴とする。
【請求項6】
請求項5の箱形給水車の給注水配管制御装置は、給注水配管装置の給水機能や注水機能を制御する中央制御装置と接続された出入力装置であって、少なくとも、車載バッテリと外部電源との電源を切り替える電源変換装置と、前記電源変換装置に外部電源を引き込む外部電源引き込みコンセントと共に一体的な取り扱いが可能にユニット化されたことを特徴とする。
【請求項7】
請求項6の箱形給水車において、ユニット化された給注水配管制御装置は箱形荷室の側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の箱形給水車は、箱形荷室の天井側外部から飲料水タンク装置のタンクへの注水を可能とする注水手段を有し、前記注水手段は前記箱形荷室の天井側の一部に設けられた天井開閉口と前記天井開閉口に臨むタンクに設けられた開閉注水口とを有することを特徴とする。
【請求項9】
請求項2乃至請求項7の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置は荷室の後面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されると共に、
ユニット化された給注水配管制御装置は側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【請求項10】
請求項6請求項7の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置やユニット化された給注水配管制御装置は荷室床面に着脱自在に固定されたことを特徴とする。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の箱形給水車において、箱形荷室内に空調設備を備えていることを特徴とする。


【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に給水設備を搭載した飲料水用の箱形給水車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料水用給水車は、飲料水を貯留する飲料水タンクや当該飲料水タンクから飲料水を給水する給水機能と飲料水タンクへ飲料水を注水する注水機能とを兼ね備えた注給水配管装置等を備えた所謂給水設備が、車台に露出状態で架装されていたため、寒冷地においては、飲料水タンクや注給水配管装置等が凍結して不具合を生じたり、凍結による故障を生じたりして、注給水作業に支障を来たすことが少なくなかった。
【0003】
又、何よりも、被災地域住民に緊急に給水しなければならない貴重な飲料水がそのままでは直ちには飲み難い程に冷い点にも問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記諸課題の解決を目的とすると共に既存のバンタイプ車両への給水設備の架装が容易で架装費用が嵩まない給水車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の箱形給水車の発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク置装のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口から外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置とを架装し、箱形給水車の箱形荷室は当該荷室の少なくとも後方に後面側開閉扉口を有し、前記後面側開閉扉口は飲料水タンク装置と給注水配管装置とが荷室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態で前記荷室内に挿入可能な口形であること、を特徴とする。
【0006】
請求項2の箱形給水車の発明は、バンタイプ車両の箱形荷室内に、飲料水を貯留する飲料水タンク装置と、前記飲料水タンク装置のタンクから飲料水を給水口に導く給水機能と前記給水口からから外部飲料水を前記飲料水タンク装置のタンクに導く注水機能を兼ね備えた給注水配管装置と、前記給注水配管装置の給水機能や注水機能を駆動制御する給注水配管制御装置とを架装し、箱形給水車の箱形荷室は当該荷室の少なくとも後方に後面側開閉扉口を有し、前記後面側開閉扉口は飲料水タンク装置と給注水配管装置とが荷室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態で前記荷室内に挿入可能な口形であること、を特徴とする。
【0007】
請求項3の箱形給水車の発明は、請求項1と2の箱形給水車のユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置は、装置底面側に荷室床面上に接する水受け盤を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3箱形給水車の水受け盤は、受けた漏れ水が少なくとも後面側開閉扉口からの自然排出を導く排出導水路を有することを特徴とする。
【0009】
請求項5の箱形給水車の発明は、請求項2の箱形給水車の給注水配管制御装置が、箱形荷室の左右側面の少なくとも一方の側面側の側面側開閉扉口側から操作可能に荷室内に配設されたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の箱形給水車の発明は、請求項5の箱形給水車の給注水配管制御装置が、給注水配管装置の給水機能や注水機能を制御する中央制御装置と接続された出入力装置であって、少なくとも、車載バッテリと外部電源との電源を切り替える電源変換装置と、前記電源変換装置に外部電源を引き込む外部電源引き込みコンセントと共に一体的な取り扱いが可能にユニット化されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6の箱形給水車において、ユニット化された給注水配管制御装置が箱形荷室の側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の箱形給水車において、箱形荷室の天井側外部から飲料水タンク装置のタンクへの注水を可能とする注水手段を有し、前記注水手段は前記箱形荷室の天井側の一部に設けられた天井開閉口と前記天井開閉口に臨むタンクに設けられた開閉注水口とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項2乃至請求項7の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置が荷室の後面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されると共に、
ユニット化された給注水配管制御装置が側面側開閉扉口から挿入されて荷室内に架装されたことを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項6請求項7の箱形給水車において、ユニット化された飲料水タンク装置と給注水配管装置やユニット化された給注水配管制御装置が荷室床面に着脱自在に固定されたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、請求項1乃至請求項10の箱形給水車において、箱形荷室内に空調設備を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項11の箱形給水車の発明によれば、何れも、給水設備が露出された従来の飲料水用給水車に比べ、給水設備の少なくとも水回りの部分が箱形荷室内に内蔵されているので、寒冷地であっても、タンクや配管が凍結したり、凍結防止のための余計な対策を講じる必要がなく、何よりも、被災地域の被災者等に緊急に給水しなければならない貴重な飲料水を、冷却状態でなく、比較的飲みやすい状態で、そのまま直ちに提供することができると共に既存のバンタイプ車両への給水設備の架装が容易で架装費用が嵩まない給水車の提供することができる
【0017】
請求項6請求項7請求項9請求項11の箱形給水車の発明によれば、飲料水用タンクを含む給注水配管装置や給注水配管制御装置が、既存の箱形荷室の開閉扉口から室内に挿通可能に予め室外においてユニット化されているので、荷室への架装が迅速かつ容易に行うことができ、既存車両を用いての改造費用を大幅に低減させることができる。
【0018】
請求項3や請求項45の箱形給水車の発明によれば、給注水作業や洗浄作業において生じる漏れ水や洗浄汚水等を速やかに箱形荷室外に排出させることができる。
【0019】
請求項8の箱形給水車の発明によれば、外部水源の水圧だけで、給水設備を稼働させることなく、飲料水タンクへの飲料水の注水作業を行うことができる。
【0020】
請求項11の箱形給水車の発明によれば、飲料水を常温或いは比較的任意の飲みやすい好適な温度で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1図3のユニット化された給注水配管装置が箱形荷室内に架装された 状態を示す箱形給水車の一部切欠側面図である。
図2図2図3のユニット化された給注水配管装置が箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の一部切欠平面図である。
図3図3はユニット化された給注水配管装置の側面図である(実施例1)。
図4図4図3のユニット化された給注水配管装置の平面図である。
図5図5は給注水配管制御装置と給注水配管装置とが箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の一部切欠側面図である。
図6図6はユニット化された給注水配管装置が箱形荷室内に架装された状態を示す箱形給水車の後面側図である。
図7図7は水受け盤、の斜視図である。
図8図8は給注水配管装置を荷室床面に固定した状態を示す拡大断面図である。
図9図9は給注水配管装置と給注水配管制御装置の構成図である。
図10図10は実施例2の箱形給水車の一部切欠側面図である。
図11図11図10の箱形給水車の平面図である。
図12図12図10の一部切欠部分の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
【実施例0023】
以下、実施例1の箱形給水車1を図1乃至図9に示す図面に基づいて説明する。
先ず、図1及び図2において、実施例1のバンタイプ車両1は一般に市販されている、一般的な箱形荷室を備えた通常の車両(非改造車)であって、その箱形荷室11には、当該荷室11の左右側面側の前方寄りに各々一つの側面側開閉扉口111、112を有すると共に、当該荷室11の後方の後面側に一つの後面側開閉扉口113の、計三つの開閉扉口を有したものであって、その箱形荷室11の荷室内には、飲料水を貯留する飲料水タンク装置2と給注水配管装置3の水回り設備が架装(内設)されている。
【0024】
図3及び図4において、飲料水タンク装置2は、文字通り飲料水を貯留するためのタンク20と当該タンク20に付設された所要の各種装備品(以下、タンク装備品ともいう)とからなる装置であって、例えばタンク装備品として、タンク20自体に付設された液面計21、タンク点検口22、オーバーフロー管23、吸排気弁24等の所要の機器類が付設されている。
【0025】
又、この実施例1では、図1図3に示すように、略円筒形状のタンク20の筒軸を若干傾けた状態にしてタンク20を支承する支持枠体25を備えており、この支持枠体25には所要のポンプ35やモータ36等の機器類も付設されている。
【0026】
図3及び図5において、給注水配管装置3は、飲料水タンク装置2のタンク20から飲料水を給水口31、32、33に導く給水機能と何れかの給水口から外部飲料水をタンク20に導く注水機能とを兼ね備えた装置であって、飲料水タンク装置2のタンク20からの飲料水を給水口31、32、33に導いて配給するための給水機能を備えた給水用配管と、外部飲料水をタンク20に貯留するために給水口31、32、33の何れかからタンク20に導いて注入するための注水用配管との配管を備えている。
【0027】
この実施例1の給注水配管装置3は、タンク20からの飲料水を給水口31、32、33と導いて配給即ち給水するための給水機能を備えた給水用配管と、飲料水をタンク20に貯留するために、給水口31、32、33の何れかからタンク20に導いて注入するための注水機能を備えた注水用配管とが、両者兼用可能に統合された配管構成の給注水配管装置であり、この配管は上記の支持枠体25に支承されている。
【0028】
上記の飲料水タンク装置2や給注水配管装置3は、何れも、箱形荷室11内に装置されるものであるから荷室11内で装置の組付け作業を行ってもよいが、狭い荷室11内で装置の組付け作業を行うよりも比較的広い荷室外で、装置全体を単体として組み上げてユニット化し、ユニット化した状態のままで荷室11の開閉扉口から荷室内に挿入して設置する方が、作業効率や改良コスト面からも効率的である。
【0029】
そこで、この実施例1では、ユニット化した装置が挿入可能な既設の箱形荷室11の開閉扉口、図示(図3及び図5)の実施例では、既設車両の箱形荷室における後面側開閉扉口113の口形に応じて、当該開閉扉口113に改造することなく、当該開閉扉口113から荷室内11に、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とをユニット化したタンク配管装置を挿入して、詳しくは後述するように、荷室11の床(荷室床)にボルト・ナットで着脱自在に固定する架装方法、即ち、箱形給水車の製造方法を採用した。
【0030】
このように、給水車が搭載する給水設備の内の、所謂水回り設備としての、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とをユニット化したタンク配管装置として、荷室11外で組み上げて、箱形荷室11の後面側開閉扉口113から荷室11内に挿入して架装する給水車の製造方法では、既存車両の箱形荷室11の後面側開閉扉口113の口形サイズがユニット化したタンク配管装置の胴周りサイズに対して挿通可能なサイズであることが必要であり、既存車両の箱形荷室11の開閉扉口113を改造しなくて済む点で好ましく、最良である。そのためには、タンク配管装置の胴周りサイズを後面側開閉扉口113の口形サイズより小さく、挿通可能なサイズにユニット化する必要がある。
【0031】
即ち、タンク配管装置のユニット化は既存箱形車両の後面側開閉扉口113の口形に応じて挿通可能なサイズに対応させる必要があり、箱形給水車1の箱形荷室11は、当該荷室11の少なくとも後方に後面側開閉扉口113を有し、この後面側開閉扉口113が飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とが室外において単体として取り扱い可能にユニット化された状態のタンク配管装置が、前記後面側開閉扉口111を経て荷室11内部に挿通可能な口形であることが最も好ましい。
【0032】
図1乃至図5において、上記のようにユニット化されたタンク配管装置の底面側、即ち、飲料水タンク装置2及び給注水配管装置3の底面側には、これら装置から漏れ落ちる水や洗浄作業の際に生ずる汚水を受けるための水受け盤4を備えている。
水受け盤4は、給水作業において、タンク配管装置を作業従事者が操作作業中に、止む負えず、濡れ落ちる水や洗浄水等によって荷室11の床(荷室床)を濡らしたり、車体を錆させたりする等の不都合を生じさせないための盤である。
【0033】
この実施例1では、図7に示すように、水受け盤4は、三方全ての開閉扉口111、112、113から車外に漏れ水を速やかに排出させるために、盤4の周縁を巡るように立たせた縁40の一部を切り欠いて、各々の扉口111、112、113に向かう排出導水路41、42、43を設けているが、必ずしも三方全ての扉口111、112、113に向けて設ける必要はなく、任意の少なくとも1か所、例えば後面側開閉扉口113にだけ向かう排出導水路43としてもよい。
【0034】
図8において、上記実施例1の、箱形荷室11の後面側開閉扉口113の口形に応じて、当該荷室11外から挿入可能にユニット化された、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置は、上記水受け盤4を介して、荷室床114にボルト・ナットを用いて着脱自在に固定されている。
【0035】
着脱自在な固定手段はこれに限らず一般的に用いられる常套手段の何れかであってもよいが、着脱自在に固定することによって、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置を保守点検や修理作業の際に、荷室外11に比較的容易に引き出して作業することにより、広い空間で効率よく点検や修理作業を行うことができる。
【0036】
図5において、図中の符号5は給注水配管制御装置であり、この給注水配管制御装置5は、飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置の給水機能や注水機能等を駆動制御する中制御装置(図示せず)に接続された操作パネルとしての入出力装置である。
【0037】
図5図9において、この操作パネルとしての給注水配管制御装置5は、外部電源引き込み用コンセント51や電源変換装置52と共に、単体として取り扱い可能な枠体(ラック)に、荷室11外において一括して取り付け或いは組み立てられてユニット化されており、荷室11外でユニット化された状態で、この実施例1では、荷室11の左側面側の側面側開閉扉口111から荷室11内に挿入されて、上記の飲料水タンク装置2と給注水配管装置3とからなるタンク配管装置と同様に、図8に示すように、荷室床114に着脱自在に固定されている。
【0038】
従って、このユニット化された給注水配管制御装置5のラック(ユニット)は、側面側開閉扉口111からユニット化された状態のまま挿通されて荷室11の床面に設置可能にサイズ化された装置であることが必要であり、挿通された側面側開閉扉口111側から、作業従事者によって操作可能に設置されている。
尚、操作パネルとしての給注水配管制御装置5は、荷室11内に架設されて、車載バッテリ53やモータ36や水位レベルセンサ37等と電気的に接続されている。
【0039】
図9において、この実施例1に示す給注水配管装置3は、兼用可能に構成された配管の流路を給水機能と注水機能との何れかに切り替えるための装置として、三つの給水口31、32、33とタンク20との配管途中に流路切替弁34を配設しており、この流路切替弁34が、上記操作パネルとしての給注水配管制御装置5からの入力信号に応じた中央制御装置からの指示信号に応じて、上記給注水配管装置3を給水機能と注水機能との何れかの機能、即ち、配管の流路が注水か給水かの何れかに切り替わる。
【0040】
尚、給注水配管装置3を注水機能として稼働させる場合には、三つの給水口31、32、33の何れかの給水口に、図示しない外部飲料水からのホース(図示せず)を接続させる。
又、給注水配管装置3を給水機能として稼働させる場合には、三つの給水口31、32、33の内の全て、或いは、何れか選択して使用させる給水口に、複数の蛇口を備えた着脱式給水栓(図示せず)を接続させる。
【0041】
又、この箱形給水車1に示す給注水配管装置3の給水口は、箱形荷室11の後面側開閉扉口113と荷室11の左右側面側開閉扉口111、112との三つの開閉口の全てに各々給水口31、32、33を配設させているが、必ずしも、全ての開閉扉口111、112、113に給水口を配設する必要はなく、任意の何れかの位置に設置すればよい。
【0042】
又、上記実施例1の箱形給水車1として、箱形荷室11の室温を調整する空調設備(図示せず)を本来的に備えているバンタイプ車両を用いれば、更に、好適な温度の飲料水の提供が可能となる。空調設備を備えていない車両であれば、空調設備を後付けするのが望ましい。
【実施例0043】
次に、実施例2の箱形給水車を図10乃至図12に示す図面に基づいて説明する。
この実施例2の箱形給水車200は、上記実施例1の箱形給水車1において、箱形荷室11の天井側外部から飲料水タンク装置2のタンク20への注水を可能とする注水手段210を有しており、この注水手段210は箱形荷室11の天井側の一部に設けられた開閉自在な天井開閉口211とこの天井開閉口に臨むように、タンク20の上面側に開閉自在に設けられた開閉注水口212とで構成されている。
【0044】
図12は、箱形荷室11の天井側の天井開閉口211と、この天井開閉口212に連通するように設けられたタンク20の開閉注水口212とを何れも開口させた状態で、外部飲料水の送水ホース113をタンク20に接続させた図である。
尚、実施例2の図10乃至図12に施された符号のうち、上記実施例1の図1乃至図9に施された符号と同一符号は、上記実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
この注水手段210は、外部飲料水を貯留する際に、給水車両の注水機能を用いることなく、即ち、給水車両の動力(エネルギ)を用いずして、タンク20に飲料水を注水するための装置であって、外部飲料水側に送水能力がある場合に活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、飲料水用の給水車に限らず、液体を配給する給水車に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 バンタイプ車両(実施例1)
11 箱形荷室
111 側面側開閉扉口(左)
112 側面側開閉扉口(右)
113 後面側開閉扉口
2 飲料水タンク装置(タンク配管装置)
20 タンク
25 支持枠体
3 給注水配管装置(タンク配管装置)
31 給水口(左)
32 給水口(右)
33 給水口(後面)
34 流路切替弁
4 水受け盤
41、42、43
5 操作パネル(注給水配管制御装置)
56 流路切替弁(注給水配管制御装置)
200 箱形給水車(実施例2)
210 注水手段
211 天井開閉口(注水手段)
212 開閉注水口(注水手段)
213 注水ホース(注水手段)