(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143981
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/00 20230101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121885
(22)【出願日】2023-07-26
(62)【分割の表示】P 2023056430の分割
【原出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 千壽子
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB65
5L055BB65
(57)【要約】
【課題】給与のデジタル払いに関連するサービスにおいて、行政側の要請に対応しつつ、給与のデジタル払いを利用する利用者を保護するための仕組みの効率的な運用を図ること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、顧客情報情報記憶部と、残高情報記憶部と、管理部と、生成部と、支払依頼部とを有する。管理部は、給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に提供される顧客情報および残高情報を取得し、顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報および残高情報記憶部に記憶されている残高情報を最新の状態で管理する。生成部は、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する。支払依頼部は、顧客に対する保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、生成部により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に関する顧客情報を記憶する顧客情報記憶部と、
顧客の給与に対応する最新の電子マネーの残高である給与マネー残高に関する残高情報を記憶する残高情報記憶部と、
前記給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に提供される前記顧客情報および前記残高情報を取得し、前記顧客情報記憶部に記憶されている前記顧客情報および前記残高情報記憶部に記憶されている前記残高情報を最新の状態で管理する管理部と、
前記顧客情報および前記残高情報に基づいて、前記顧客ごとの前記給与マネー残高に対応する保証金の振込先および前記保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する生成部と、
前記顧客に対する前記保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、前記生成部により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する支払依頼部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記支払依頼部は、
前記銀行から送付された前記保証金の支払完了通知が取得された場合、前記保証金の支払いが完了した旨を前記資金移動業者に連携する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記支払依頼部は、
前記保証金の支払いが完了した旨を前記資金移動業者に連携する際、前記保証金を受け取る前記顧客を特定するための情報、前記保証金の振込先を示す情報、前記保証金の額を示す情報、前記保証金の振込日を示す情報、及び前記保証金の振込の成否を示す情報を連携する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記管理部は、
前記保証金の原資に関する情報を取得し、
前記残高情報と、前記保証金の原資に関する情報とに基づいて、現時点での保証の対象となる前記給与マネー残高の総額が前記保証金の原資を上回っている場合、管理者に対して、前記保証金の原資が不足している旨を通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータにより行われる情報処理方法であって、
顧客に関する顧客情報、及び顧客の給与に対応する最新の電子マネーの残高である給与マネー残高に関する残高情報を、前記給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に取得し、取得した前記顧客情報および前記残高情報を最新の状態で管理する管理工程と、
前記顧客情報および前記残高情報に基づいて、前記顧客ごとの前記給与マネー残高に対応する保証金の振込先および前記保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する生成工程と、
前記顧客に対する前記保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、前記生成工程により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する支払依頼工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
顧客に関する顧客情報、及び顧客の給与に対応する最新の電子マネーの残高である給与マネー残高に関する残高情報を、前記給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に取得し、取得した前記顧客情報および前記残高情報を最新の状態で管理する管理手順と、
前記顧客情報および前記残高情報に基づいて、前記顧客ごとの前記給与マネー残高に対応する保証金の振込先および前記保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する生成手順と、
前記顧客に対する前記保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、前記生成手順により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する支払依頼手順と
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、政府では、資金移動業を営む資金移動業者に対し、電子マネーや仮想通貨といったデジタルマネーにより給与の支払いを認める、所謂「給与のデジタル払い」の導入が検討され始めている。これに関連して、給与のデジタル払いに関連した技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、給与のデジタル払いに関連するサービスにおいて、行政側の要請に対応しつつ、給与のデジタル払いを利用する利用者を保護するための仕組みの効率的な運用を図る上で改善の余地がある。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、給与のデジタル払いに関連するサービスにおいて、行政側の要請に対応しつつ、給与のデジタル払いを利用する利用者を保護するための仕組みの効率的な運用を図ることができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、顧客情報情報記憶部と、残高情報記憶部と、管理部と、生成部と、支払依頼部とを有する。顧客情報記憶部は、顧客に関する顧客情報を記憶する。残高情報記憶部は、顧客の給与に対応する最新の電子マネーの残高である給与マネー残高に関する残高情報を記憶する。管理部は、給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に提供される顧客情報および残高情報を取得し、顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報および残高情報記憶部に記憶されている残高情報を最新の状態で管理する。生成部は、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する。支払依頼部は、顧客に対する保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、生成部により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、給与のデジタル払いに関連するサービスにおいて、行政側の要請に対応しつつ、給与のデジタル払いを利用する利用者を保護するための仕組みの効率的な運用を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る保証会社サーバ装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る顧客情報記憶部に記憶される顧客情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る残高情報記憶部に記憶される残高情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る保証会社サーバ装置により実行される保証金の支払依頼処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る保証会社サーバ装置により実行される保証完了通知処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態または変形例に係る保証会社サーバ装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本願に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.実施形態〕
図1を用いて、実施形態に係る情報処理装置などにより実現される情報処理について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。なお、
図1では、実施形態に係る情報処理装置の一例である保証会社サーバ装置100によって、実施形態に係る情報処理などが実現されるものとする。
【0011】
(1-1.システム構成)
まず、
図1を参照しつつ、実施形態に係る情報処理システムSYSの構成例について説明する。実施形態に係る情報処理システムSYSは、資金移動業者が運営および管理する第1サーバ装置10と、銀行が運営および管理する第2サーバ装置20と、公的機関が運営および管理する第3サーバ装置30と、保証会社が運営および管理する保証会社サーバ装置100とを含む。
【0012】
図1に示す第1サーバ装置10、第2サーバ装置20、第3サーバ装置30、及び保証会社サーバ装置100は、たとえば、ネットワークN(たとえば、
図2参照)に接続される。第1サーバ装置10、第2サーバ装置20、第3サーバ装置30、及び保証会社サーバ装置100は、ネットワークNを通じて、他の装置との間で相互に通信できる。
【0013】
図1に示す第1サーバ装置10、第2サーバ装置20、第3サーバ装置30、及び保証会社サーバ装置100は、メインフレームやワークステーションなどにより実現されてもよい。また、
図1に示す第1サーバ装置10、第2サーバ装置20、第3サーバ装置30、及び保証会社サーバ装置100がサーバ装置により実現される場合、単独のサーバ装置により実現されてもよいし、複数のサーバ装置および複数のストレージ装置が協働して動作するクラウドシステムなどにより実現されてもよい。
【0014】
(1-2.前提となる契約関係等)
図1に示す情報処理システムSYSによる情報処理が実現される前提となる契約関係等について説明する。
図1に示す資金移動業者は、電子決済に関する電子決済サービスを利用者に提供する事業を営む。また、資金移動業者は、電子決済サービスの一環として、利用者に対し、給与を電子マネーで受け取ることを可能とするサービス(以下、「給与受取サービス」という。)を提供する。
【0015】
また、資金移動業者が給与受取サービスを提供するための事業を営むためには、自己が破産した場合(すなわち、経営破綻した場合)に、給与受取サービスの利用者である顧客の給与に対応する電子マネーの残高(以下、「給与マネー残高」という。)を保証するための仕組み(以下、「保証スキーム」という。)の整備が求められる。また、資金移動業者に対して整備が求められる保証スキームは、自己以外の第三者機関を通じて実現される必要がある。これらの要請を受けて、資金移動業者は、給与マネー残高を保証するための保証業務を委託する保証会社を選定し、選択した保証会社との間で保証委託契約を締結する。また、資金移動業者は、選択した保証会社と、給与受取サービスの利用者との間で保証契約を締結させる必要があるため、たとえば、給与受取サービスの利用規約への同意などを通じて、保証会社と利用者との間の保証契約の締結を代理する。以上により、保証スキームを実行するための契約が完了する。
【0016】
また、資金移動業者は、資金移動業者が破産に備えて自らが管理する給与マネー残高を保証するための資金を予め準備する。資金移動業者は、たとえば、取引保全サービス付きの信託であるエスクロー信託を用いて、給与マネー残高を保証するための資金を信託財産で準備してもよい。この場合、資金移動業者は、保証委託契約において、給与マネー残高を保証するために予め準備した信託財産の受益者として保証会社を指定しておく。
【0017】
また、資金移動業者は、保証委託契約の締結に際して、資金移動業者の破産時に資金移動業者が公的機関(たとえば、法務局や財務局)に供託する必要がある供託金に相当する額を保証会社が保証することを事前に申し合わせた履行保証金保全契約を保証会社との間で締結する。資金移動業者は、保証会社との間で履行保証金保全契約を締結することにより、契約の有効期間、公的機関に対する供託金の差入が留保される。
【0018】
また、保証会社は、給与受取サービスの利用者である顧客に対して保証金の支払を行う支払業務を委託する銀行を選定し、選定した銀行との間で保証金の支払業務についての業務委託契約を締結する。
【0019】
(1-3.保証スキームを実現するための情報処理の概要)
以下、
図1を用いて、実施形態に係る保証スキームを実現するための情報処理の概要について説明する。なお、以下の説明において、資金移動業者と第1サーバ装置10とを同一視する場合がある。すなわち、以下の説明において、資金移動業者を第1サーバ装置10と読み替えることもできる。また、以下の説明において、銀行と第2サーバ装置20とを同一視できる場合がある。すなわち、銀行は、第2サーバ20と読み替えることができる。また、以下の説明において、公的機関と第3サーバ装置30とを同一視する場合がある。すなわち、以下の説明において、公的機関を第3サーバ装置30と読み替えることもできる。また、以下の説明において、保証会社と保証会社サーバ装置100とを同一視する場合がある。すなわち、以下の説明において、保証会社を保証会社サーバ装置100と読み替えることもできる。
【0020】
保証会社サーバ装置100は、資金移動業者との間で締結された保証委託契約に関する契約情報を取得する。保証会社サーバ装置100が取得する契約情報には、資金移動業者の破産時に、資金移動業者が予め準備するエスクロー信託の信託財産の受益者となるための権利(受益権)が規定されている。
【0021】
資金移動業者は、給与受取サービスの利用者である顧客(たとえば、企業の従業員など労働の対価として雇用者から給与を受ける労働者)に関する顧客情報、及び顧客の給与に対応する最新の給与マネー残高に関する残高情報を保証会社サーバ100に対して定期的に提供する。たとえば、第1サーバ10は、保証会社サーバ装置100がアクセス可能なデータ連携用のファイルサーバ(図示略)に対して、顧客情報および残高情報を定期的に(たとえば、日次で)アップロードする。保証会社は、資金移動業者から定期的に提供される顧客情報および残高情報を取得して、顧客情報および残高情報を最新の状態で管理する。たとえば、保証会社サーバ100は、所定のタイミングでファイルサーバ(図示略)にアクセスし、ファイルサーバに保存されている顧客情報および残高情報を取得する。そして、保証会社サーバ100は、取得した顧客情報および残高情報により、それまで保存していた顧客情報および残高情報を最新の状態にアップデートする。
【0022】
また、資金移動業者は、資金移動業者の破産時に、保証会社および給与受取サービスの利用者である顧客(たとえば、企業の従業員など労働の対価として雇用者から給与を受ける労働者)に対して、破産通知を送付してもよい。たとえば、第1サーバ10は、保証会社サーバ装置100および給与受取サービスの利用者である顧客が使用する端末装置に対して、資金移動業者が破産したことを通知するための破産通知情報を送信してもよい。また、破産通知情報には、資金移動業者から保証会社に対して提供された最新の残高情報が保存されているファイルを識別できる情報(たとえば、ファイルIDなど)が含まれていてもよい。
【0023】
保証会社は、資金移動業者との間で締結した履行保証金保全契約に従って、履行保証金保全契約書の写しを公的機関に差し入れる(ステップS11)。
【0024】
また、保証会社は、たとえば、資金移動業者の破産に応じて、公的機関から供託の命令があると、バックファイナンスなどにより所定の銀行から資金調達を行い(ステップS12)、供託を履行する(ステップS13)。公的機関は、保証会社により供託された供託金を管理する。
【0025】
また、保証会社は、保証委託契約に関する契約情報に基づく受益権を行使して、信託財産を取り崩し(ステップS21)、取り崩した信託財産を、保証対象者である顧客(たとえば、労働者)に対する保証金の原資とする。
【0026】
また、保証会社サーバ100は、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する(ステップS22)。すなわち、保証会社サーバ装置100は、資金移動業者から提供される残高情報に基づいて、各顧客の最新の給与マネー残高に相当する保証金の額を特定する。また、保証会社サーバ装置100は、資金移動業者から提供される顧客情報に基づいて、保証金を受け取るための受取口座として各顧客により予め設定された銀行口座の情報を保証金の振込先として取得する。そして、保証会社サーバ装置100は、各顧客の保証金の額と、各顧客の保証金の振込先と、支払期日とを含む明細情報を生成し、生成した明細情報を含む支払依頼を第2サーバ20に送信する(ステップS23)。支払期日には、資金移動業者の破産から所定の期間(たとえば、6営業日以内)が設定される。なお、所定の期間は、予め保証会社サーバ100のシステム上に設定されていてもよいし、保証会社サーバ100の管理者(たとえば、保証業務の担当者など)からの入力を受け付けてもよい。また、保証会社サーバ装置100は、特定した各顧客の保証金の額に基づいて、保証金の額の総額に相当する資金を、支払業務の委託先の銀行が指定する所定の銀行口座に送金する。なお、保証会社サーバ100は、資金移動業者から破産通知情報を受け取った場合、破産通知情報に含まれている最新の残高情報が保存されているファイルを識別できる情報に基づいて、対応するファイルを参照し、上述の明細情報を生成してもよい。
【0027】
銀行は、保証会社から支払依頼を受け付けると、支払依頼に従って、保証金の支払を実行する(ステップS24)。たとえば、第2サーバ装置20は、支払期日までに、各顧客について、保証金の振込先に該当する銀行口座に対して、保証金の額を振り込む振込処理を実行する。銀行は、全ての顧客について保証金の支払が完了すると、その旨を保証会社に通知する。
【0028】
また、保証会社は、銀行から保証金の支払完了通知があると、全ての顧客について保証金の支払が完了した旨を資金移動業者に連携する(ステップS25)。たとえば、保証会社サーバ100は、ファイルサーバ(図示略)にアクセスし、保証金の支払が完了した旨を通知するための保証完了通知に関する情報を保存したデータファイルをアップロードする。たとえば、このデータファイルに保存される保証完了通知に関する情報には、正常に保証金の振込が完了した取引に関する情報、たとえば、保証金を受け取る顧客を特定するための情報(たとえば、後述する顧客ID)や、保証金の振込先を示す銀行口座の情報や、保証金の額を示す情報や、振込日を示す情報などが保存されていてもよい。また、このデータファイルに保存される保証完了通知に関する情報には、正常に保証金の振込が完了した取引に関する情報のみならず、振込先となる銀行口座の口座番号の誤りなどにより保証金の振込エラーとなったことを示す情報を含んでいてもよい。この場合、保証完了通知に関する情報には、保証金の支払が完了した保証金の総額と、振込エラーとなって支払い(保証)が出来ていない未払いの保証金の総額とを要約した情報が含まれていてもよい。また、保証完了通知に関する情報は、保証金が未払いの状態にある取引、又は、保証金の振込が正常に完了した取引、及び保証金が未払いの状態にある取引の双方について、取引に関する情報を個別具体的に特定した情報が含まれていてもよい。すなわち、保証金が未払いの状態にある取引に関する情報として、保証金を受け取る顧客を特定するための情報(たとえば、後述する顧客ID)や、保証金の振込先を示す銀行口座の情報や、保証金の額を示す情報や、振込日を示す情報などの具体的な情報が含まれていてもよい。なお、保証会社サーバ100が資金移動業者に連携する保証完了通知に関する情報には、資金移動業者との間の事前の申合せなどに従って、保証金の振込が正常に完了した取引に関する情報のみを含めてもよいし、保証金の振込が正常に完了した取引に関する情報、及び保証金の振込が失敗した取引に関する情報の両方を含めてもよい。
【0029】
また、保証会社は、保証契約に基づく法定代位により、所定のタイミングで公的機関に対する供託金の還付請求を行う(ステップS31)。たとえば、保証会社サーバ装置100は、第3サーバ装置30に対して、ステップS13で供託した供託金の還付請求を送信する。この場合、保証会社サーバ100は、所定の必要事項が入力された還付請求用の書類を生成する。なお、保証会社サーバ100が生成する還付請求用の書類に記入すべき項目のうち、保証会社サーバ100が管理する情報については、自動入力されてもよい。また、還付請求には、債権者である保証会社を示す情報や、保証会社が顧客に支払った保証金の総額に対応する債権額を示す情報などが含まれていてもよい。公的機関は、保証会社からの還付請求に応じて、供託金を還付する(ステップS32)。
【0030】
また、保証会社が保険会社である場合、保証会社は、資金移動業者を保険者とし、顧客を被保険者として、資金移動業者の破産時に顧客に対して所定の保証金を支払うように設計される保証信用保険により、保証処理を実行してもよい。この場合、保証会社は、保証信用保険の原資として、信託財産を用いてもよい。また、保証会社は、保証信用保険により保証金を賄う場合、各顧客からの保証請求が受け付けられることを条件として、保証処理を実行してもよい。この場合、給与受取サービスの利用者である各顧客は、資金移動業者から破産通知を受け取ると、保証契約を締結した保証会社に対して保証請求を行えばよい。たとえば、各顧客は、自身が使用する端末装置を操作して保証会社の所定のウェブサイトにアクセスし、所定のウェブサイトに必要事項を入力した後、所定のウェブサイトを通じて保証請求を送信する構成であってもよい。
【0031】
上述してきたように、実施形態に係る情報処理システムSYSにおいて、保証会社サーバ装置100は、給与受取サービスの利用者である顧客に対応する最新の給与マネー残高を反映した支払依頼を、保証金の支払業務の委託先である銀行に送信できる。これにより、保証会社は、給与受取サービスの利用者である顧客に対応する給与マネー残高の保証を実現でき、行政側の要請に対応しつつ、給与のデジタル払いを利用する利用者を保護するための仕組みの効率的な運用を図ることができる。
【0032】
また、保証会社サーバ100は、資金移動業者から保証金の原資に関する情報を取得してもよい。たとえば、保証会社サーバ100は、保証金の原資が所定の銀行口座に積み立てられている場合、所定の銀行口座の残高情報を取得してもよいし、保証金の原資がエスクロー信託などの信託財産で準備されている場合、信託財産の最新の運用額の情報を取得してもよい。そして、保証会社サーバ100は、残高情報と、前記保証金の原資に関する情報とに基づいて、現時点での保証の対象となる給与マネー残高の総額が保証金の原資を上回っている場合、保証会社サーバ100の管理者(たとえば、保証業務の担当者)に対して、保証金の原資が不足している旨を通知してもよい。
【0033】
〔2.保証会社サーバ装置の構成〕
以下、
図2を用いて、実施形態に係る保証会社サーバ装置100の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る保証会社サーバ装置100の構成例を示す図である。
図2に示すように、保証会社サーバ装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0034】
(通信部110について)
通信部110は、たとえば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、第1サーバ装置10や、第2サーバ装置20や、第3サーバ装置30などの他の装置との間で情報の送受信を行う。
【0035】
(記憶部120について)
記憶部120は、たとえば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスクや光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
図2に示すように、記憶部120は、顧客情報記憶部121と、残高情報記憶部122とを有する。なお、記憶部120は、
図2に示す場合に特に限定されることなく、資金移動業者との間で締結された保証委託契約の契約書類のファイル情報や、履行保証金保全契約の契約書類のファイル情報を記憶する記憶部など、他の記憶部を有していてもよい。
【0036】
(顧客情報記憶部121について)
顧客情報記憶部121は、給与受取サービスの利用者である顧客に関する顧客情報を記憶する。
図3は、実施形態に係る顧客情報記憶部121に記憶される顧客情報の一例を示す図である。
図3に示すように、顧客情報記憶部121が記憶する顧客情報は、「顧客ID」の項目と、「顧客情報」の項目とを有している。顧客情報が有するこれらの項目は、相互に対応付けられている。
【0037】
「顧客ID」の項目には、給与受取サービスの利用者である顧客を一意に特定するために各利用者に対して付与された固有の識別情報である顧客IDが記憶される。なお、顧客IDは、電子決済サービスにおいて利用者を一意に特定するために各利用者に対して付与された固有の識別情報である利用者IDであってもよい。
【0038】
「顧客情報」の項目には、給与受取サービスの利用者である顧客が給与受取サービスの利用登録を実施した際に設定される各種情報が記憶される。「顧客情報」の項目に記憶される情報には、資金移動業者が破産した際に、給与マネー残高に相当する保証金を受け取るための受取口座として、顧客により設定された銀行口座を示す情報が含まれる。
【0039】
顧客情報記憶部121に記憶される顧客情報は、第1サーバ装置10から取得される。顧客情報記憶部121に記憶される顧客情報は、たとえば、後述する制御部130により実行される保証金の支払依頼処理に利用される。
【0040】
(残高情報記憶部122について)
残高情報記憶部122は、給与受取サービスの利用者である顧客に対応する最新の給与マネー残高に関する情報が記憶される。
図4は、実施形態に係る残高情報記憶部122に記憶される残高情報の一例を示す図である。
図4に示すように、残高情報記憶部122が記憶する残高情報は、「顧客ID」の項目と、「給与残高」の項目とを有している。残高情報が有するこれらの項目は、相互に対応付けられている。
【0041】
「顧客ID」の項目には、給与受取サービスの利用者である顧客を一意に特定するために各利用者に対して付与された固有の識別情報である顧客IDが記憶される。なお、顧客IDは、電子決済サービスにおいて利用者を一意に特定するために各利用者に対して付与された固有の識別情報である利用者IDであってもよい。なお、「顧客ID」の項目に記憶される顧客IDは、上述の顧客情報記憶部121に記憶される顧客情報が有する「顧客ID」の項目に記憶される顧客IDと同一の情報である。
【0042】
「給与残高」の項目には、給与受取サービスの利用者である顧客が、給与受取サービスを利用して電子マネーで受け取った給与マネー残高を示す情報が記憶される。
【0043】
残高情報記憶部122に記憶される残高情報は、第1サーバ装置10から取得される。残高情報記憶部122に記憶される残高情報は、たとえば、後述する制御部130により実行される保証金の支払依頼処理に利用される。
【0044】
(制御部130について)
制御部130は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、決済サーバ100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現され得る。
【0045】
図2に示すように、制御部130は、管理部131と、生成部132と、支払依頼部133とを有し、これらの各部により、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130には、保証会社サーバ装置100が実行する各種処理の拡張などに応じて、
図2に示す各部とは異なる新たな機能部が導入されてもよい。
【0046】
(管理部131について)
管理部131は、給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に提供される顧客情報および残高情報を取得し、顧客情報記憶部121に記憶されている顧客情報および残高情報記憶部122に記憶されている残高情報を最新の状態で管理する。たとえば、管理部131は、取得した顧客情報および残高情報により、それまで顧客情報記憶部121に記憶されている顧客情報、及び残高情報記憶部122に記憶されている残高情報を上書き保存することにより、最新の状態にアップデートしてもよい。
【0047】
また、管理部131は、たとえば、通信部110を通じて、第1サーバ10から保証金の原資に関する情報を取得してもよい。そして、管理部131は、記残高情報と、保証金の原資に関する情報とに基づいて、現時点での保証の対象となる給与マネー残高の総額が保証金の原資を上回っている場合、たとえば、管理者が使用する情報処理端末などに対して、通信部110を通じて、保証金の原資が不足している旨の通知を送信通知してもよい。なお、保証金の原資が不足している旨の通知には、不足額を示す情報が含まれていてもよい。
【0048】
(生成部132について)
生成部132は、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する。生成部132は、生成した明細情報を支払依頼部133に受け渡す。
【0049】
(支払依頼部133について)
支払依頼部133は、通信部110を通じて、顧客に対する保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、生成部132により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する。
【0050】
また、支払依頼部133は、通信部110を通じて、銀行から送付された保証金の支払完了通知が取得された場合、保証金の支払いが完了した旨を資金移動業者に連携してもよい。たとえば、支払依頼部133は、資金移動業者との間のデータ連携に用いるファイルサーバ(図示略)にアクセスし、保証金の支払が完了した旨を通知するための保証完了通知に関する情報を保存したデータファイルをアップロードする。たとえば、このデータファイルに保存される保証完了通知に関する情報には、保証金の振込が正常に完了した取引に関する情報、たとえば、保証金を受け取る顧客を特定するための情報や、保証金の振込先を示す銀行口座の情報や、保証金の額を示す情報や、振込日を示す情報などが保存されていてもよい。また、このデータファイルに保存される保証完了通知に関する情報には、正常に保証金の振込が完了した取引に関する情報のみならず、振込先となる銀行口座の口座番号の誤りなどにより保証金の振込エラーとなったことを示す情報を含んでいてもよい。この場合、保証完了通知に関する情報には、保証金の支払が完了した保証金の総額と、振込エラーとなって支払い(保証)が完了していない未払いの状態にある保証金の総額とを要約した情報が含まれていてもよい。また、保証完了通知に関する情報は、保証金が未払いの状態にある取引、又は、保証金の振込が正常に完了した取引、及び保証金が未払いの状態にある取引の双方について、取引に関する情報を個別具体的に特定した情報が含まれていてもよい。すなわち、保証金が未払いの状態にある取引に関する情報として、保証金を受け取る顧客を特定するための情報(たとえば、後述する顧客ID)や、保証金の振込先を示す銀行口座の情報や、保証金の額を示す情報や、振込日を示す情報などの具体的な情報が含まれていてもよい。なお、保証会社サーバ100が資金移動業者に連携する保証完了通知に関する情報には、資金移動業者との間の事前の申合せなどに従って、保証金の振込が正常に完了した取引に関する情報のみを含めてもよいし、保証金の振込が正常に完了した取引に関する情報、及び保証金の振込が失敗した取引に関する情報の両方を含めてもよい。
【0051】
〔3.処理手順例〕
(3-1.保証金の支払依頼処理)
以下、実施形態に係る情報処理システムにおいて実行される情報処理の処理手順の一例を説明する。まず、
図5を用いて、実施形態に係る保証会社サーバ装置100により実行される保証金の支払依頼処理の処理手順の一例を説明する。
図5は、実施形態に係る保証会社サーバ装置100により実行される保証金の支払依頼処理の処理手順例を示すフローチャートである。なお、
図5に示す処理手順は、保証会社サーバ装置100が有する制御部130により実行される。制御部130は、保証会社サーバ装置100の稼働中、
図5に示す処理手順を繰り返し実行する。
【0052】
図5に示すように、生成部132は、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する(ステップS101)。生成部132は、生成した明細情報を支払依頼部133に受け渡す。
【0053】
支払依頼部133は、顧客に対する保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、生成部132により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信して(ステップS102)、
図5に示す処理手順を終了する。
【0054】
(3-2.保証完了通知処理)
以下、
図6を用いて、実施形態に係る保証会社サーバ装置100により実行される保証完了通知処理の処理手順の一例を説明する。
図6は、実施形態に係る保証会社サーバ装置100により実行される保証完了通知処理の処理手順例を示すフローチャートである。なお、
図6に示す処理手順は、保証会社サーバ装置100が有する制御部130により実行される。制御部130は、保証会社サーバ装置100の稼働中、
図6に示す処理手順を繰り返し実行する。
【0055】
図6に示すように、支払依頼部133は、保証金の支払業務の委託先である銀行により保証金の支払いが完了したか否かを判定する(ステップS201)。たとえば、支払依頼部133は、通信部110を通じて、銀行から送付された保証金の支払完了通知が取得されたか否かを判定する。
【0056】
また、支払依頼部133は、保証金の支払業務の委託先である銀行により保証金の支払いが完了したと判定した場合(ステップS201;Yes)、保証金の支払いが完了した旨を資金移動業者に連携して(ステップS202)、
図6に示す処理手順を終了する。
【0057】
上述のステップS201において、支払依頼部133は、保証金の支払業務の委託先である銀行により保証金の支払いがが完了していないと判定した場合(ステップS201;No)、
図6に示す処理手順を終了する。
【0058】
〔4.変形例〕
上述の実施形態では、情報処理システムSYSに含まれる保証会社サーバ装置100が、資金移動業者との保証委託契約に従って給与マネー残高を保証するための保証処理と、給与マネー残高の保証に伴い公的機関に対して必要となる手続きに関する処理を行う例を説明した。しかし、実施形態に係る情報処理システムSYSの構成は、このような例には特に限定される必要はなく、資金移動業者との保証委託契約に従って給与マネー残高を保証するための保証処理を行うサーバ装置と、給与マネー残高の保証に伴い公的機関に対して必要となる手続きに関する処理を行うサーバ装置とが、それぞれ物理的に異なる個別のサーバ装置であってもよく、又は、それぞれのサーバ装置が異なるシステムに属するサーバ装置であってもよい。この場合、それぞれのサーバ装置が相互に連携して、それぞれの処理に必要な情報をやり取り可能な状態で通信可能に接続される。
【0059】
また、上述の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、逆に、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0060】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0061】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0062】
〔5.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る保証会社サーバ装置100は、顧客情報情報記憶部121と、残高情報記憶部122と、管理部131と、生成部132と、支払依頼部133とを有する。顧客情報記憶部121は、顧客に関する顧客情報を記憶する。残高情報記憶部122は、顧客の給与に対応する最新の電子マネーの残高である給与マネー残高に関する残高情報を記憶する。管理部131は、給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に提供される顧客情報および残高情報を取得し、顧客情報記憶部121に記憶されている顧客情報および残高情報記憶部122に記憶されている残高情報を最新の状態で管理する。生成部132は、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成する。支払依頼部133は、顧客に対する保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、生成部132により生成された明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する。
【0063】
また、支払依頼部133は、銀行から送付された保証金の支払完了通知が取得された場合、前記保証金の支払いが完了した旨を資金移動業者に連携してもよい。
【0064】
また、支払依頼部133は、保証金の支払いが完了した旨を資金移動業者に連携する際、保証金を受け取る顧客を特定するための情報、保証金の振込先を示す情報、保証金の額を示す情報、保証金の振込日を示す情報、及び保証金の振込の成否を示す情報を連携してもよい。
【0065】
また、管理部132は、保証金の原資に関する情報を取得し、残高情報と、保証金の原資に関する情報とに基づいて、残高情報が保証金の原資を上回っている場合、管理者に対して、保証金の原資が不足している旨を通知してもよい。
【0066】
このように、実施形態に係る保証会社サーバ装置100によれば、給与マネー残高の保証に関する業務の委託元である資金移動業者から定期的に提供される顧客情報および残高情報を取得して最新の状態で管理し、たとえば、資金移動業者の破産時には、顧客情報および残高情報に基づいて、顧客ごとの給与マネー残高に対応する保証金の振込先および保証金の額を示す情報を含む明細情報を生成し、顧客に対する保証金の支払業務の委託先である銀行に対して、明細情報を含む保証金の支払依頼を送信する。このようにして、保証会社は、給与受取サービスの利用者である顧客に対応する給与マネー残高の保証を実現でき、行政側の要請に対応しつつ、給与のデジタル払いを利用する利用者を保護するための仕組みの効率的な運用を図ることができる。
【0067】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態または変形例に係る保証会社サーバ装置100は、たとえば、
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、実施形態または変形例に係る保証会社サーバ装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【0068】
コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0069】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0070】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(実施形態のネットワークNに対応する)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、また、通信網500を介してCPU1100が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0071】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0072】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0073】
たとえば、コンピュータ1000が実施形態または変形例に係る保証会社サーバ装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。すなわち、CPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラム(たとえば、情報処理プログラム)との協働により、実施形態または変形例に係る保証会社サーバ装置100による処理を実現する。また、HDD1400には、保証会社サーバ装置100の記憶装置内の各データが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0074】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0075】
また、上述した決済サーバ100は、機能によっては外部のプラットフォームなどをAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0076】
また、特許請求の範囲に記載した「部」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。たとえば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0077】
SYS 情報処理システム
10 第1サーバ装置
20 第2サーバ装置
30 第3サーバ装置
100 保証会社サーバ
110 通信部
120 記憶部
121 顧客情報記憶部
122 残高情報記憶部
130 制御部
131 管理部
132 生成部
200 支払依頼部