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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143994
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】洗濯板
(51)【国際特許分類】
   D06F 3/02 20060101AFI20241003BHJP
   D06F 57/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D06F3/02
D06F57/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132773
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2023052762
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520381632
【氏名又は名称】有限会社安藤合成
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠太
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AA40
3B168AE01
3B168BA48
3B168BA84
3B168WA02
3B168WA08
3B168WA18
(57)【要約】
【課題】洗濯物を干すことができる洗濯板を提供すること。
【解決手段】複数の溝12が並んだ板状の洗濯部11で洗濯物Lを擦り洗いした後、洗濯部11の上端側に設けられた引掛部13を横棒Bに引っ掛け、洗濯部11の下端側に設けられた吊下部20に洗濯物Lを吊り下げることができる。このように本洗濯板10によれば、洗濯部11で洗濯物Lを洗った後、洗濯板10自体を干しながら、吊下部20に吊り下げた洗濯物Lを干すことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を擦り洗いするための洗濯板であって、
少なくとも1面に複数の溝または突起が並んだ板状の洗濯部と、
その洗濯部の一側に設けられ、所定部分に引っ掛けて前記洗濯板を吊り下げ可能な引掛部と、
前記洗濯部の他側に設けられ、前記洗濯物を吊り下げ可能な吊下部と、
を備えることを特徴とする洗濯板。
【請求項2】
洗濯物を擦り洗いするための洗濯板であって、
少なくとも1面に複数の溝または突起が並んだ板状の洗濯部と、
その洗濯部の長さ方向の一側に設けられ、前記洗濯部側の周方向の一部が開口した引掛孔を有してフック状に形成された引掛部と、
前記洗濯部の長さ方向の他側に設けられ、前記洗濯物を吊り下げ可能な吊下部と、
を備え、
前記洗濯部の幅は、片手で前記洗濯部の幅方向の両側を挟持可能な寸法に形成され、
前記引掛孔は、前記両側を挟持した片手の指が挿入可能な位置にあることを特徴とする洗濯板。
【請求項3】
前記吊下部は、その吊下部を構成する素材の弾性によって前記洗濯物を挟む一対の挟持部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯板。
【請求項4】
前記吊下部は、前記洗濯部の板厚方向に貫通して前記洗濯板の端縁から前記洗濯部側へ延びるスリットを備え、
一対の前記挟持部は、そのスリットの両側によって形成されることを特徴とする請求項3記載の洗濯板。
【請求項5】
前記挟持部は、前記洗濯部側の根本で前記スリットの幅を拡大する拡大孔を備えることを特徴とする請求項4記載の洗濯板。
【請求項6】
一対の前記挟持部の少なくとも一方には、前記洗濯部の反対側において前記板厚方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項4記載の洗濯板。
【請求項7】
一対の前記挟持部の少なくとも一方は、その挟持部の一方から他方へ向かって突出する突出部を有していることを特徴とする請求項3記載の洗濯板。
【請求項8】
前記洗濯部、前記引掛部および前記吊下部が一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯板。
【請求項9】
前記吊下部は、前記洗濯物を引っ掛け可能に、周方向の一部が開口した孔によってフック状に形成されたフック部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯板。
【請求項10】
前記洗濯部の表面に複数の前記溝または前記突起が並び、
前記吊下部は、板状の前記洗濯部の前記他側から延長されて前記洗濯部の前記一側に連結される板状部であって、前記洗濯部の裏面との間に空間を設ける前記板状部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯板に関し、特に洗濯物を干すことができる洗濯板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗濯板は、衣類などの洗濯物を擦り洗いするためのものであって、少なくとも1面に複数の溝(溝の間の突起)が並んでいる(特許文献1)。特に、ハンカチや下着類、マスク等の小さな洗濯物を旅先で洗うために、持ち運びが容易な小型の洗濯板が注目されている。このような小さな洗濯物を洗った後は、フレームに複数の洗濯ばさみが取り付けられたピンチハンガーに、洗濯物を吊り下げて干す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3083357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば旅先に洗濯板を持って行く場合、洗濯物を干すためのピンチハンガーが旅先にあるとは限らないので、ピンチハンガーも一緒に持って行く必要があるが、荷物が増えてしまう。ピンチハンガーを持って行くのを忘れた場合には、洗濯物を干すことが困難になるため、旅先での洗濯板の使用を諦めることがある。また、例えば自宅などで洗濯板を使用するときでも、洗濯物が化粧用のブラシ等である場合、そのブラシを干すのに適したスタンド等を、洗濯板とは別に用意する必要がある。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、洗濯物を干すことができる洗濯板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の洗濯板は、洗濯物を擦り洗いするためのものであって、少なくとも1面に複数の溝または突起が並んだ板状の洗濯部と、その洗濯部の一側に設けられ、所定部分に引っ掛けて前記洗濯板を吊り下げ可能な引掛部と、前記洗濯部の他側に設けられ、前記洗濯物を吊り下げ可能な吊下部と、を備える。
【0007】
また、本発明の洗濯板は、洗濯物を擦り洗いするためのものであって、少なくとも1面に複数の溝または突起が並んだ板状の洗濯部と、その洗濯部の長さ方向の一側に設けられ、前記洗濯部側の周方向の一部が開口した引掛孔を有してフック状に形成された引掛部と、前記洗濯部の長さ方向の他側に設けられ、前記洗濯物を吊り下げ可能な吊下部と、を備え、前記洗濯部の幅は、片手で前記洗濯部の幅方向の両側を挟持可能な寸法に形成され、前記引掛孔は、前記両側を挟持した片手の指が挿入可能な位置にある。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の洗濯板によれば、複数の溝または突起が並んだ板状の洗濯部で洗濯物を擦り洗いした後、洗濯部の一側に設けられた引掛部を所定部分(例えば物干し竿やカーテンレール、ロープ、S字フック等)に引っ掛け、その洗濯部の一側とは反対の他側に設けられた吊下部に洗濯物を吊り下げることができる。このように本洗濯板によれば、洗濯物を洗って干すことができる。
【0009】
請求項2記載の洗濯板によれば、複数の溝または突起が並んだ板状の洗濯部の幅は、片手で洗濯部の幅方向の両側を挟持可能な寸法(例えば100mm以下)に形成されているので、洗濯板を小型化でき、旅先などへの洗濯板の持ち運びを容易にできる。なお、洗濯部の長さ方向の一側と他側とに、それぞれ引掛部と吊下部とが設けられるので、洗濯部の幅方向の略全体に亘って、擦り洗い用の溝または突起を形成するための十分なスペースを確保できる。その結果、洗濯板を小型化しても、洗濯部による擦り洗いの作業効率を確保し易くできる。
【0010】
引掛部は、洗濯部側の周方向の一部が開口した引掛孔を有してフック状に形成される。この開口した部分から引掛孔の内部へ、旅先のカーテンレール等を入れることにより、S字フック等を介さなくても、カーテンレール等にフック状の引掛部を直接引っ掛けて洗濯板を吊り下げることができる。
【0011】
更に、その引掛孔は、洗濯部の両側を挟持した片手の指が挿入可能な位置にある。これにより、一方の手の指を引掛孔に入れて引っ掛け、その手で洗濯部を持ち、他方の手で洗濯物を持って擦り洗いをすることができ、洗濯板を片手で安定して持つことができる。
【0012】
洗濯部に対し引掛部とは反対側には、洗濯物を吊り下げ可能な吊下部が設けられる。よって、本洗濯板によれば、例えば旅先で洗濯物を洗って干すことができる。
【0013】
請求項3記載の洗濯板によれば、請求項1又は2に記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。吊下部は、その吊下部を構成する素材の弾性によって洗濯物を挟む一対の挟持部を備える。これにより、例えば洗濯ばさみのような可動部分を吊下部に設けなくて良いので、その可動部分を設ける場合と比べて、吊下部の耐久性を確保し易くできると共に、吊下部を小型化して洗濯板を小型化し易くできる。
【0014】
請求項4記載の洗濯板によれば、請求項3記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。吊下部は、洗濯部の板厚方向に貫通して洗濯板の端縁から洗濯部側へ延びるスリットを備える。そのスリットの両側によって一対の挟持部が形成される。これにより、洗濯物を挟むための一対の挟持部を簡素化できるので、その挟持部を小型化して洗濯板を小型化し易くできる。更に、洗濯板から板厚方向に突出する部位により挟持部を形成する場合と比べて、スリットにより挟持部を形成することで、洗濯板を薄型化でき、洗濯板を持ち運びし易くできる。
【0015】
請求項5記載の洗濯板によれば、請求項4記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。挟持部は、洗濯部側の根本でスリットの幅を拡大する拡大孔を備える。これにより、挟持部の根本側からスリットが広がるように、挟持部を弾性変形させ易くできるので、一対の挟持部に洗濯物を挟み易くできる。
【0016】
請求項6記載の洗濯板によれば、請求項4記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。一対の挟持部の少なくとも一方には、洗濯部の反対側において板厚方向に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔による挟持部の剛性の低下によって、スリットが広がるように挟持部を弾性変形させ易くできるので、一対の挟持部に洗濯物を挟み易くできる。また、S字フック等を介して貫通孔に洗濯物を引っ掛けることができる。
【0017】
請求項7記載の洗濯板によれば、請求項3記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。一対の挟持部の少なくとも一方は、その挟持部の一方から他方へ向かって突出する突出部を有している。この突出部が、一対の挟持部に挟まれた洗濯物に部分的に食い込み、返しのように機能するので、洗濯物を挟持部から外れ難くできる。
【0018】
請求項8記載の洗濯板によれば、請求項1又は2に記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。洗濯部、引掛部および吊下部が一体成形されている。これにより、洗濯部、引掛部および吊下部をそれぞれ構成する複数の部品を組み合わせて洗濯板を製造する場合と比べ、洗濯板の製造コストを低減できる。また、例えば旅先などへの持ち運び時に、部品などの紛失を防止できる。
【0019】
請求項9記載の洗濯板によれば、請求項1又は2に記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。吊下部は、洗濯物を引っ掛け可能に、周方向の一部が開口した孔によってフック状に形成されたフック部を備える。これにより、洗濯物に環状部分などが有る場合、その環状部分をフック部に引っ掛けることで、洗濯物を吊下部に容易に吊り下げることができる。
【0020】
請求項10記載の洗濯板によれば、請求項1又は2に記載の洗濯板が奏する効果に加え、次の効果を奏する。洗濯部の表面に複数の溝または突起が並ぶ。吊下部は、板状の洗濯部の他側から延長されて洗濯部の一側に連結される板状部であって、洗濯部の裏面との間に空間を設ける板状部に形成されている。これにより、洗濯部で洗濯物を擦り洗いするとき、洗濯部の裏面と板状部との間の空間に手指を入れることで、洗濯板を安定して持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は第1実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は図1(a)のIb-Ib線における洗濯板の断面図である。
図2】洗濯板の使用方法を示した模式図である。
図3】(a)は第2実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は図3(a)のIIIb-IIIb線における洗濯板の断面図である。
図4】(a)は第3実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は図4(a)のIVb-IVb線における洗濯板の断面図である。
図5】(a)は第4実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は第5実施形態における洗濯板の断面図である。
図6】(a)は第6実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は図6(a)のVIb-VIb線における洗濯板の断面図である。
図7】(a)は第7実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は図7(a)の矢印VIIb方向視における洗濯板の底面図であり、(c)は図7(a)の矢印VIIc方向視における洗濯板の側面図である。
図8】(a)は第8実施形態における洗濯板の正面図であり、(b)は図8(a)の矢印VIIIb方向視における洗濯板の底面図であり、(c)は図8(a)の矢印VIIIc方向視における洗濯板の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、第1実施形態における洗濯板10の正面図である。図1(b)は、図1(a)のIb-Ib線における洗濯板10の断面図である。図2は、洗濯板10の使用方法を示した模式図である。
【0023】
洗濯板10は、洗濯物Lを擦り洗いするためのものであり、洗濯物Lを干す機能が付加されたものである。洗濯板10は、特にハンカチや下着類、マスク等の小さな洗濯物Lを旅先などで洗うのに適した小型に形成される。具体的に、本実施形態の洗濯板10は、長さ120mm×幅60mm×厚さ6mmの長方形状の板材からなる。これにより、洗濯時には、洗濯板10の幅方向両側の側縁10a,10bを片手で挟持するようにして、洗濯板10を片手で持ち易くできる。加えて、洗濯板10をバッグ等に入れて持ち運び易くできる。
【0024】
以下、洗濯板10の長さ方向を上下方向、幅方向を左右方向として説明する。更に、図1(a)の上下左右をそれぞれ洗濯板10の上下左右とし、図1(a)の紙面手前側を洗濯板10の表面、その板厚方向の反対側を洗濯板10の裏面として説明する。
【0025】
洗濯板10は、板状の洗濯部11と、その洗濯部11の上端側に設けられる引掛部13と、洗濯部11の下端側に設けられる吊下部20と、を備える。洗濯板10は、これらの洗濯部11、引掛部13及び吊下部20がABS樹脂によって一体成形されている。なお、ABS樹脂は、曲げ弾性率が1400~2700MPa程度と比較的硬い樹脂である。
【0026】
洗濯部11の表面には、左右方向に延びた複数の溝12が、上下方向に並ぶ。図1(b)の断面に示す通り、上下方向に並んだ複数の溝12は、溝底と山頂とが上下方向に滑らかに繋がった波状に形成される。
【0027】
図1(a)には、その溝底および山頂が実線で示されている。各々の溝12は、板厚方向視において、左右対称な下(吊下部20側)に凸の円弧状に形成されると共に、互いに平行に形成される。なお、円弧状の溝12の曲率半径は、十分に大きく設定されており、洗濯板10の長さ(幅の2倍)と略同一である。
【0028】
洗濯板10を用いた洗濯では、例えば、溝12の中に水および洗剤を保持させた状態で、溝12に洗濯物Lを擦り付けたり、溝12上で洗濯物L同士を擦り合わせることによって、擦り洗いが行われる。この洗濯時、円弧状の溝12が下に凸となるように洗濯板10を持つことによって、溝12内に洗剤を溜め易くでき、洗濯板10による洗浄性能を向上できる。
【0029】
引掛部13及び吊下部20は、それぞれ洗濯部11の上下方向の両側に設けられ、洗濯部11の左右方向の両側に設けられるものではない。そのため、洗濯部11の左右両側の側縁は、それぞれ洗濯板10の左右両側の側縁10a,10bの一部を構成する。これにより、洗濯部11の左右の側縁10a,10b間の略全体に亘って、擦り洗い用の溝12を形成するための十分なスペースを確保でき、本実施形態ではその略全体に溝12を形成している。その結果、洗濯板10を小型化しても、洗濯部11による擦り洗いの作業効率を確保し易くできる。
【0030】
なお、溝12が設けられる表面とは反対側の洗濯部11の裏面は、溝12が設けられておらず、略平面状に形成される。これにより、洗濯部11の剛性および強度を確保できるので、洗濯部11に洗濯物Lを強く押し付けたときの安定性や、洗濯板10の耐久性を確保できる。
【0031】
引掛部13は、物干し竿やカーテンレール等の横棒Bに引っ掛けて洗濯板10を吊り下げるための部位である。引掛部13は、周方向の一部に開口部13bが設けられた引掛孔13aを有してフック状に形成される。引掛孔13aは、洗濯板10の幅方向の中央よりも左側を板厚方向に貫通して形成される。開口部13bは、引掛孔13aのうち洗濯部11側(下側)を左方へ開口させる。
【0032】
このようなフック状の引掛部13によれば、横棒Bの寸法にもよるが、開口部13bから引掛孔13aの内部へ横棒Bを入れることにより、S字フック等を介さなくても、横棒Bに引掛部13を直接引っ掛けて洗濯板10を吊り下げることができる。また、横棒Bに限らず、壁に固定されたフックや、ロープ、棚の角部などにフック状の引掛部13を直接引っ掛けることができる。このように、引掛部13を直接引っ掛けることができる対象物の自由度が高いので、旅先などでも洗濯板10を吊り下げる場所を容易に決定できる。
【0033】
引掛孔13aは、指を挿入可能な寸法(例えば直径20mm)に形成されている。その挿入可能な寸法とは、引掛孔13aの直径が、親指の第1関節の幅における成人の平均×0.8(約16mm)以下であるとしても良い。
【0034】
更に本実施形態では、引掛孔13aは、洗濯部11の左右両側の側縁10a,10bを挟持した片手の指が挿入可能な位置にある。これにより、例えば左手の指を引掛孔13aに入れて引っ掛け、その左手で洗濯部11を持ち、右手で洗濯物Lを持って擦り洗いをすることができ、洗濯板10を片手で安定して持つことができる。即ち、擦り洗い時に、洗濯物Lと一緒に洗濯板10を動き難くできる。
【0035】
なお、引掛孔13aの直径は、成人の親指の平均幅の0.8倍以上2倍以下(約16~40mm)であることが好ましい。この場合、引掛孔13aに入れる指の本数や入れ方によって、片手で持った洗濯板10を十分に動き難くできる。
【0036】
また、引掛部13とは反対側へ向かって凸の円弧状に溝12が形成されているので、例えば右手で洗濯物Lを持ち、親指を引掛部13に引っ掛けながら左手で洗濯部11を持ったとき、その溝12が下に凸となり易く、溝12内に洗剤を溜め易くできる。このように、引掛部13の位置に対する溝12の向きによって、洗浄性能が向上する向きで洗濯板10を作業者に持たせ易くできる。
【0037】
吊下部20は、洗った後の洗濯物Lを吊り下げるための部位である。吊下部20は、吊下部20を板厚方向に貫通する複数のスリット21と、それらのスリット21の両側にそれぞれ形成される複数の挟持部22,23と、それらの挟持部22,23からスリット21内に突出する複数の突出部24と、スリット21の上端に連なる拡大孔25と、挟持部22に形成される貫通孔26と、を備える。
【0038】
スリット21は、洗濯板10の下端縁から上方(洗濯部11側)へ向かって、洗濯板10の上下方向と平行に延びる。スリット21は、左右対称および等間隔に4本が配置される。
【0039】
挟持部22,23は、スリット21内に挿入した洗濯物Lを、そのスリット21の両側の一対で挟むための部位である。複数のスリット21の間にそれぞれ形成されたものを挟持部22とし、スリット21と洗濯板10の左右の側縁10a,10bとの間にそれぞれ形成されたものを挟持部23とする。挟持部23の形状は、貫通孔26を除く挟持部22を左右に半分にしたものと略同一である。
【0040】
挟持部22,23は、吊下部20を構成する素材の弾性によって洗濯物Lを挟む。これにより、例えば洗濯ばさみのような可動部分を吊下部20に設けなくて良いので、吊下部20の耐久性を確保し易くできると共に、洗濯板10の製造コストを低減できる。更に、可動部分を設ける場合と比べて、素材の弾性によって洗濯物Lを挟む挟持部22,23の方が、吊下部20を小型化して洗濯板10を小型化し易くできる。
【0041】
更に、洗濯板10の下端縁から上方へ延びるスリット21の左右両側によって挟持部22,23が形成されるので、洗濯物Lを挟むための挟持部22,23を簡素化でき、洗濯板10の製造コストをより低減できる。更に、挟持部22,23の簡素化により、挟持部22,23を小型化して洗濯板10を小型化し易くできる。また、洗濯板10から板厚方向に突出する部位により挟持部22,23を形成する場合と比べて、スリット21により挟持部22,23を形成することで、洗濯板10を薄型化でき、洗濯板10を持ち運びし易くできる。
【0042】
突出部24は、スリット21の左右両側の挟持部22,23からそれぞれ相対するように突出する。各々の突出部24は、板厚方向視において山なりに形成され、その板厚方向の全長に亘って挟持部22,23に形成される。突出部24は、スリット21の上端の左右に1組と、下側の左右に1組とが配置される。スリット21の幅は、上下の突出部24の間で略一定であると共に、下側の突出部24から下方へ離れるにつれて次第に広がる。この広がりによって、スリット21内に洗濯物Lを挿入し易くでき、挟持部22,23に洗濯物Lを挟み易くできる。
【0043】
また、突出部24によりスリット21の幅が部分的に狭くなるため、突出部24を設けずにスリット21の幅を全体的に狭くする場合と比べて、軽い力でスリット21内に洗濯物Lを挿入し易くでき、挟持部22,23に洗濯物Lを挟み易くできる。加えて、突出部24が、挟持部22,23に挟まれた洗濯物Lに部分的に食い込み、返しのように機能するため、洗濯物Lを挟持部22,23から外れ難くできる。
【0044】
拡大孔25は、挟持部22,23の根本(洗濯部11側)でスリット21の幅を拡大するために、その根元を板厚方向に貫通してスリット21に連続させた円形状の孔である。拡大孔25の半径は、上下の突出部24の間におけるスリット21の幅よりも大きく形成される。この拡大孔25によって、挟持部22,23の根本側からスリット21が広がるように、挟持部22,23を弾性変形させ易くできる。その結果、スリット21の両側の挟持部22,23に洗濯物Lを挟み易くできる。
【0045】
貫通孔26は、洗濯部11の反対側において挟持部22を板厚方向に貫通する孔であり、上下方向に延びた長円状に形成される。これにより、左右方向の荷重に対する挟持部22の剛性が低下するので、スリット21が広がるように挟持部22を弾性変形させ易くできる。その結果、スリット21の両側の挟持部22,23に洗濯物Lを挟み易くできる。
【0046】
貫通孔26が形成された挟持部22は、左右両側および下側の肉厚(板厚方向に垂直な方向の厚さ)が略同一に形成される。これにより、挟持部22,23で洗濯物Lを挟むとき、挟持部22を全体的に弾性変形させ易くでき、挟持部22の一部に応力が集中することを抑制できる。また、挟持部22の左右両側および下側の肉厚は、上下の突出部24の間におけるスリット21の幅と同程度(約0.7~1.5倍)である。その結果、比較的硬い樹脂からなる挟持部22を十分に弾性変形させ易くでき、挟持部22,23に洗濯物Lを挟み易くできる。
【0047】
貫通孔26は、拡大孔25よりも下方に位置する。これにより、貫通孔26と拡大孔25との間における挟持部22の上側の肉厚が薄くなり過ぎることを防止でき、挟持部22の耐久性を確保できる。なお、この挟持部22の上側の肉厚は、挟持部22の左右両側および下側の肉厚よりも大きくすることが好ましい。これにより、挟持部22,23で洗濯物Lを挟むとき、拡大孔25によって挟持部22の根本側を弾性変形させ易くしつつも、その根本側に応力が集中することを抑制でき、挟持部22の耐久性を向上できる。
【0048】
左右両端にそれぞれ位置する挟持部23は、貫通孔26が形成されずに、中実に形成されている。ここで、挟持部22,23の両方に貫通孔26を形成した場合、挟持部22の半分程度の幅である挟持部23が、挟持部22よりも弾性変形し易くなる。
【0049】
一方、挟持部22に貫通孔26を形成しつつ、挟持部23に貫通孔26を形成しないことで、挟持部22と挟持部23との弾性変形のし易さを均一に近づけることができる。これにより、弾性変形時の応力が挟持部22,23のいずれか一方で過大となることを抑制でき、挟持部22,23の耐久性を向上できる。
【0050】
以上説明した洗濯板10によれば、洗濯部11で洗濯物Lを擦り洗いした後、引掛部13を横棒Bに引っ掛けて洗濯板10自体を干しながら、吊下部20の挟持部22に洗濯物Lを挟んで吊り下げることができる。即ち、洗濯板10によれば、洗濯物Lを洗って干すことができる。特に、小型の洗濯板10によれば、旅先で洗濯物Lを洗って干すことができる。
【0051】
また、洗濯板10で洗濯物Lを干すことができるので、洗濯物Lを干すためのピンチハンガー等を不要にできる。旅先へ洗濯板10を持って行く場合、ピンチハンガーによって荷物が増えることを防止できると共に、ピンチハンガーを忘れて洗濯板10の使用を諦めることを防止できる。
【0052】
洗濯板10は、洗濯部11、引掛部13及び吊下部20が一体成形されているので、複数の部品を組み合わせて洗濯板10を製造する場合と比べ、洗濯板10の製造コストを低減できる。また、例えば旅先などへの持ち運び時に、部品などの紛失を防止でき、洗濯板10の管理を容易にできる。
【0053】
洗濯部11の溝12は、左右方向(幅方向)の中央が洗濯板10の下端縁に最も近づくように、凸の円弧状に形成される。そのため、洗濯板10の上下方向(長さ方向)が鉛直方向となるように、濡れた洗濯板10を横棒Bに干した場合には、溝12内の水が、溝12の下端である左右方向の中央へ案内されつつ、その中央から下方へ垂れる。この場合、垂れた水が吊下部20の洗濯物Lにかかり易くなるおそれがある。
【0054】
しかし、本実施形態では、引掛部13(引掛孔13a)が洗濯板10の左の側縁10aに寄せて配置されるので、横棒Bに引掛部13を引っ掛けると、洗濯板10の自重や吊下部20の洗濯物Lの重みによって、図2に示す通り、左の側縁10aが上方を向いて右の側縁10bが下方を向くように洗濯板10が傾く。この傾きにより、洗濯板10の下端縁(吊下部20)へ向かって凸の円弧状に形成された溝12の下端が、洗濯板10の右の側縁10bへ近づく。特に、円弧状の溝12の曲率半径が、洗濯板10の幅の約2倍と十分に大きいので、溝12の下端が洗濯板10の右の側縁10bへより近づき易い。
【0055】
そのため、濡れた洗濯板10を干した場合には、溝12内を下端へ案内された水が、洗濯板10の右の側縁10bに沿って垂れ易くなる。これにより、洗濯板10の下側の吊下部20に洗濯物Lを吊り下げても、その洗濯物Lに洗濯板10から垂れた水をかかり難くできる。
【0056】
次に、図3(a)及び図3(b)を参照して第2実施形態について説明する。第1実施形態では、洗濯部11の表面に溝12が形成され、洗濯物Lを挟む挟持部22,23が吊下部20に設けられる場合について説明した。これに対し、第2実施形態では、洗濯部31の裏面に溝12が形成され、洗濯物Lを挟む挟持部22,36と、洗濯物Lを引っ掛けるフック部37とが吊下部34に設けられる場合を説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0057】
図3(a)は、第2実施形態における洗濯板30の正面図である。図3(b)は、図3(a)のIIIb-IIIb線における洗濯板30の断面図である。洗濯板30は、板状の洗濯部31と、その洗濯部31の上端側に設けられる引掛部33と、洗濯部31の下端側に設けられて洗濯物Lを吊り下げる吊下部34と、を備える。洗濯板30は、ナマケモノを模して形成され、洗濯部31が頭部および胴体、引掛部33が左腕、吊下部34が右腕および両脚をそれぞれ構成する。
【0058】
洗濯部31は、曲げ弾性率が500~1000MPa程度と比較的柔らかいポリエチレン樹脂によって形成される。洗濯部31の裏面には、洗濯物Lを擦り洗いするための複数の溝12が上下方向に並ぶ。一方、洗濯部31の表面は、溝12が設けられておらず、略平面状に形成される。
【0059】
引掛部33は、横棒Bに引っ掛けて洗濯板30を吊り下げるための部位であり、洗濯部31と一体成形される。引掛部33は、周方向の一部に開口部33bが設けられた引掛孔33aを有してフック状に形成される。引掛孔33aは、第1実施形態の引掛孔13aよりも大きく設定される(例えば直径30mm)。これにより、引掛孔33aに指を入れ易くできる。
【0060】
引掛孔33aは、洗濯板30の幅方向の中央から右側に寄った位置を板厚方向に貫通して形成される。開口部33bは、引掛孔33aのうち洗濯部31側(下側)を左方へ開口させる。
【0061】
第2実施形態では、引掛部33(引掛孔33a)が洗濯板30の右側に形成されているので、横棒Bに引掛部33を引っ掛けると、右の側縁10bが上方を向いて左の側縁10aが下方を向くように洗濯板30が傾く。これにより、洗濯板30の下端縁へ向かって凸の円弧状に形成された溝12内の水が、洗濯板30の左の側縁10aへ案内されるので、そこから下方へ垂れた水を、吊下部34に吊り下げた洗濯物Lにかかり難くできる。
【0062】
吊下部34は、洗濯部31に対し着脱可能に取り付けられる部位であり、洗濯部31と同一のポリエチレン樹脂によって形成される。吊下部34の上端縁には、先端へ向かって幅が広がる蟻ほぞ35が、左右方向の全長に亘って形成される。一方、洗濯部31の下端縁には、溝底へ向かって幅が広がる蟻溝32が、左右方向の全長に亘って形成される。蟻溝32内へ蟻ほぞ35を左右方向にスライドさせて嵌めることで、洗濯部31に吊下部34が取り付けられ、反対の動作によって洗濯部31から吊下部34が取り外される。
【0063】
このように、洗濯部31に対し吊下部34を着脱可能とすることで、それらのいずれか一方の破損時に破損したもののみを交換したり、吊下部34を第1実施形態の吊下部20と同一形状のもの等に置換したりできる。また、その着脱を、それぞれ下方へ広がる蟻溝32及び蟻ほぞ35によって行うので、吊下部34に吊り下げた洗濯物Lの重みで、洗濯部31から吊下部34が外れることを抑制できる。
【0064】
吊下部34は、吊下部34を板厚方向に貫通する複数のスリット21と、それらのスリット21の両側にそれぞれ形成される複数の挟持部22,36と、スリット21の上端に連なる拡大孔25と、挟持部22に形成される貫通孔26と、挟持部36から延びるフック部37と、を備える。第2実施形態におけるスリット21は、左右対称および等間隔に2本が配置される。
【0065】
挟持部22は、2本のスリット21の右側にそれぞれ設けられるものである。挟持部36は、左側のスリット21の左側に設けられるものである。挟持部36は、貫通孔26が形成された挟持部22の右側半分に対し、上側の一部を太くした点以外は、その右側半分と同一に構成される。
【0066】
2つの挟持部22の間、左側の挟持部22と挟持部36との間には、それぞれ吊下部34を構成する素材の弾性によって洗濯物Lを挟むことができる。第2実施形態では、吊下部34を構成する素材が比較的柔らかい樹脂であるので、挟持部22,36に洗濯物Lを挟み易くできる。
【0067】
フック部37は、挟持部36の下端から左方へ延びつつ、先端が上方(引掛部33)へ向かって曲がるフック状に形成された部位であり、その先端と挟持部36との間が左上へ開口している。例えばマスクの耳掛け部分など、洗濯物Lに環状部分が有る場合、その環状部分をフック部37に引っ掛けることで、吊下部34に洗濯物Lを容易に吊り下げることができる。
【0068】
フック状の引掛部33の先端(開口部33bの上側)が左下へ向かって曲がるので、引掛部33を横棒Bに引っ掛けるとき、その引掛部33の先端が水平を向くように洗濯板30を傾けて引っ掛け易くすることがある。この傾け時には、フック部37の先端による左上の開口が上側へ変位するため、フック部37から洗濯物Lを脱落させ難くできる。
【0069】
なお、引掛部33が洗濯板30の右側に形成されているので、横棒Bに引掛部33を引っ掛けると、フック部37の先端による左上の開口が下側へ変位するように洗濯板30が傾く。しかし、フック部37の内周縁は、外側へ向かって円弧状に凹んでいるので、フック部37の開口が下側へ多少変位してもフック部37から洗濯物Lが脱落し難い。
【0070】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して第3実施形態について説明する。第1実施形態では、洗濯部11の表面に溝12が形成され、洗濯物Lを挟む挟持部22,23が吊下部20に設けられる場合について説明した。これに対し、第3実施形態では、洗濯部41の表裏の両面に溝42が形成され、洗濯物Lを引っ掛けるフック部によって吊下部46が構成される場合を説明する。なお、第1,2実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0071】
図4(a)は、第3実施形態における洗濯板40の正面図である。図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線における洗濯板40の断面図である。洗濯板40は、板状の洗濯部41と、その洗濯部41の上端側に設けられる引掛部13と、洗濯部41の下端側に設けられて洗濯物Lを吊り下げる吊下部46と、を備える。
【0072】
洗濯部41は、第2実施形態と同一のポリエチレン樹脂によって、引掛部13と一体成形される。洗濯部41の表面および裏面のそれぞれには、左右方向に延びる複数の溝42が上下方向に並ぶ。図4(b)の断面に示す通り、上下方向に並んだ複数の溝42は、溝底と山頂とが上下方向に滑らかに繋がった波状に形成される。
【0073】
なお、洗濯部41の表面と裏面とでは、溝底と山頂とが互い違いに配置される。即ち、表面の溝底に対して板厚方向の反対側に裏面の山頂が位置し、表面の山頂に対して板厚方向の反対側に裏面の溝底が位置する。これにより、洗濯部41の厚さを、複数の溝42が形成された部分で略一定にできる。その結果、洗濯部41による洗濯時に、洗濯部41の薄い部分に応力が集中することを抑制でき、洗濯部41の耐久性を確保できる。
【0074】
図4(a)には、溝42の溝底および山頂が実線で示されている。各々の溝42は、上下に変位する波状に形成されると共に、互いに平行に形成される。これにより、洗濯板40を持つ向きにかかわらず、溝42内に洗剤を溜め易くでき、洗濯板40による洗浄性能を向上できる。
【0075】
吊下部46は、洗濯部41と同一のポリエチレン樹脂によって形成される板材である。吊下部46は、吊下部46を板厚方向に貫通しつつ周方向の左側を開口した孔によって、フック状に形成される。これにより、洗濯物Lに環状部分などが有る場合、その環状部分をフック状の吊下部46(フック部)に引っ掛けることで、洗濯物Lを吊下部46に容易に吊り下げることができる。
【0076】
吊下部46の上端縁からは、吊下部46の表面を上方へ延長する壁部47が、左右方向の全長に亘って突出する。一方、洗濯部41の下端縁からは、洗濯部41の裏面を下方へ延長する壁部43が、左右方向の全長に亘って突出する。壁部43と壁部47とを重ねた部分の厚さは、溝42が無い部位の洗濯部41や、吊下部46の厚さと同一である。
【0077】
壁部43には、前方に突出する複数の凸部44が左右方向に並んで形成される。壁部47には、複数の凸部44がそれぞれ嵌まるように、前方へ向かって凹む複数の凹部48が左右方向に並んで形成される。この凸部44を凹部48に嵌め、壁部43と壁部47とを重ねることによって、吊下部46が洗濯部41に着脱可能に取り付けられる。
【0078】
その結果、第2実施形態と同様に、例えば破損した部品のみを交換したり、吊下部46を他形状のもの等に置換したりできる。また、前後方向に突出した凸部44が、前後方向に凹んだ凹部48に嵌まるので、吊下部46に吊り下げた洗濯物Lの重みで、洗濯部41から吊下部46が外れることを抑制できる。
【0079】
次に、図5(a)を参照して第4実施形態について説明する。第1実施形態では、洗濯物Lを挟む挟持部22,23が吊下部20に設けられる場合について説明した。これに対し、第4実施形態では、吊下部51に設けた貫通孔52によって洗濯物Lを吊り下げる場合を説明する。なお、第1~3実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0080】
図5(a)は、第4実施形態における洗濯板50の正面図である。洗濯板50は、第3実施形態の洗濯板40の吊下部46を、吊下部51に置換したものである。そのため、図5(a)では、この吊下部51の近傍以外の図示を省略している。
【0081】
吊下部51は、洗濯部41と同一のポリエチレン樹脂によって形成される板材である。吊下部51は、第3実施形態の吊下部46と同一の壁部47及び凹部48を備える。これにより、吊下部51が洗濯部41に着脱可能に取り付けられる。
【0082】
吊下部51には、吊下部51を板厚方向に貫通する2つの貫通孔52が左右方向に並んで形成される。この貫通孔52にS字フック53を引っ掛けて、S字フック53に洗濯ばさみ54を引っ掛けることができる。その洗濯ばさみ54で洗濯物Lを挟むことによって、吊下部51には、S字フック53及び洗濯ばさみ54を介して、洗濯物Lを間接的に吊り下げることができる。このように、洗濯物Lを吊り下げるための吊下部51を簡素化できるので、洗濯板50の製造コストを低減できると共に、洗濯板50を小型化し易くできる。
【0083】
次に、図5(b)を参照して第5実施形態について説明する。第1実施形態では、スリット21の両側によって形成された挟持部22,23で洗濯物Lを挟む場合について説明した。これに対し、第5実施形態では、第1実施形態とは異なる形状の挟持部62,63で洗濯物Lを挟む場合を説明する。なお、第1~4実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0084】
図5(b)は、第5実施形態における洗濯板60の正面図である。洗濯板60は、第3実施形態の洗濯板40の吊下部46を、吊下部61に置換したものである。そのため、図5(b)では、この吊下部61の近傍以外の図示を省略している。
【0085】
吊下部61は、洗濯部41と同一のポリエチレン樹脂によって形成される板材である。吊下部61は、第3実施形態の吊下部46と同一の壁部47及び凹部48を備える。これにより、吊下部61が洗濯部41に着脱可能に取り付けられる。
【0086】
吊下部61は、洗濯物Lを挟む複数の挟持部62,63を備える。挟持部62は、壁部47が設けられる吊下部61の上部からそれぞれ下方へ延びる部位であり、左右方向に互いに離隔して4本が平行に並ぶ。挟持部63は、4本の挟持部62のうち左側の3本の下端からそれぞれ右上へ延びる部位であり、先端へ向かって細くなる。これにより、挟持部63が先端側で弾性変形し易くなる。
【0087】
挟持部63の先端と、その先端の右側に隣接する挟持部62との間によって、洗濯物Lを挟むことができる。挟持部63が右上へ延びているので、挟持部63と挟持部62との間に下方から洗濯物Lを挿入し易くできると共に、挟持部63が返しとなって洗濯物Lを下方へ落ち難くできる。また、洗濯物Lを若干上方へ引きながら板厚方向へ抜くことで、挟持部62,63から洗濯物Lを容易に外すことができる。
【0088】
次に、図6(a)及び図6(b)を参照して第6実施形態について説明する。第1実施形態では、スリット21の両側によって形成された挟持部22,23で洗濯物Lを挟む場合について説明した。これに対し、第6実施形態では、第1実施形態とは異なる形状の挟持部76で洗濯物Lを挟む場合を説明する。なお、第1~5実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0089】
図6(a)は、第6実施形態における洗濯板70の正面図である。図6(b)は、図6(a)のVIb-VIb線における洗濯板70の断面図である。洗濯板70は、板状の洗濯部71と、その洗濯部71の上端側に設けられる引掛部73と、洗濯部71の下端側に設けられて洗濯物Lを吊り下げる吊下部75と、を備える。
【0090】
洗濯部71は、第2実施形態と同一のポリエチレン樹脂によって形成される。洗濯部71の表面には、左右方向に延びる複数の溝72が上下方向に並ぶ。各々の溝72は、左右対称な上(引掛部73側)に凸の円弧状に形成されると共に、互いに平行に形成される。これにより、引掛部73を横棒Bに引っ掛けて、濡れた洗濯板70を干す場合、溝72内の水が洗濯板70の左右の側縁10a,10bへ案内され易くなる。その結果、吊下部75に吊り下げた洗濯物Lに、溝72から垂れた水をかかり難くできる。
【0091】
引掛部73は、横棒Bに引っ掛けて洗濯板70を吊り下げるための部位であり、洗濯部71と同一のポリエチレン樹脂によって形成される。引掛部73は、洗濯部71の上端縁に固定された回転軸74を介して洗濯部71に取り付けられる。引掛部73は、回転軸74から上方へ延びて下方へ折り返されたフック状に形成される。
【0092】
このフック状の引掛部73の内側部分が、引掛部73に貫通形成される引掛孔73aと、引掛孔73aの周方向の一部を左下へ開口させる開口部73bと、からなる。本実施形態における引掛部73(引掛孔73a)は、洗濯板70の左右方向の中央に位置する。
【0093】
回転軸74は、洗濯部71に対し引掛部73を、上下軸を中心に回転自在に取り付けるための部位である。これにより、横棒Bに対して、洗濯部71の板厚方向の向きや、吊下部75に吊り下げた洗濯物Lの向きを容易に変更できる。その結果、洗濯部71や洗濯物Lを、風通しや日当たりが良い向きに調整し易くできるので、洗濯部71や洗濯物Lを早期に乾燥させ易くできる。
【0094】
吊下部75は、洗濯部71を下方へ延長した本体部から洗濯部71の板厚方向にそれぞれ突出した複数の挟持部76を備える。挟持部76は、本体部の両面のそれぞれにおいて、8つずつが左右方向に並ぶ。挟持部76を含む吊下部75は、ポリエチレン樹脂によって洗濯部71と一体成形される。その吊下部75を構成する樹脂の弾性によって、左右一対の挟持部76は洗濯物Lを挟む。洗濯板70の表裏の両面で、挟持部76により洗濯物Lを挟んで吊り下げることができるので、一度に多くの洗濯物Lを干すことができる。
【0095】
一対の挟持部76の間は、上下方向の両側と、洗濯部71の板厚方向のいずれか一方とに開口しているので、その板厚方向から一対の挟持部76の間に洗濯物Lを挿入し易い。挟持部76に挟んだ洗濯物Lを挟持部76の上端から張り出させることで、その上端の角部が返しとして機能し、洗濯物Lを挟持部76から外れ難くできる。
【0096】
一対の挟持部76からは、互いに向かって複数の突出部77がそれぞれ突出する。各々の突出部77は、洗濯部71の板厚方向視において半円形状に形成され、その板厚方向に吊下部75の本体部まで延びる。これらの突出部77によって、一対の挟持部76の間が部分的に狭くなる。その結果、突出部77を設けずに一対の挟持部76の間を全体的に狭くする場合と比べて、軽い力で一対の挟持部76の間に洗濯物Lを挿入し易くでき、一対の挟持部76の間に洗濯物Lを挟み易くできる。加えて、突出部77が、一対の挟持部76に挟まれた洗濯物Lに部分的に食い込み、返しのように機能するため、洗濯物Lを一対の挟持部76から外れ難くできる。
【0097】
挟持部76の各々から右側へは、互いに上下方向に離隔した3つの突出部77が突出する。その3つの突出部77の間に位置するように、互いに上下方向に離隔した2つの突出部77が、挟持部76の各々から左側へ突出する。これにより、一対の挟持部76によって挟まれた洗濯物Lが、互い違いに配置された突出部77によって上下方向に蛇行する。その結果、一対の挟持部76から上下方向に洗濯物Lを抜け難くできると共に、洗濯部71の板厚方向への洗濯物Lの抜き差しを容易にできる。
【0098】
次に、図7(a)から図7(c)を参照して第7実施形態について説明する。第1~6実施形態では、衣類などの洗濯物Lを洗って干すことに適した洗濯板10,30,40,50,60,70について説明した。これに対し、第7実施形態では、化粧用のパフ(スポンジ)やブラシ等の洗濯物Lを洗って干すことに適した洗濯板80について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0099】
図7(a)は、第7実施形態における洗濯板80の正面図である。図7(b)は、図7(a)の矢印VIIb方向視における洗濯板80の底面図である。図7(c)は、図7(a)の矢印VIIc方向視における洗濯板80の側面図である。
【0100】
洗濯板80は、板状の洗濯部81と、その洗濯部81の上端側に設けられる引掛部13と、洗濯部81の下端側に設けられて洗濯物Lを吊り下げる吊下部85と、を備える。洗濯板80は、これらの洗濯部81、引掛部13及び吊下部85が、ゴムや熱可塑性エラストマ等のゴム状弾性体(エラストマ)によって一体成形されている。但し、一体成形に限らず、複数の部材を接着などにより組み合わせて洗濯板80を形成しても良い。
【0101】
洗濯部81の表面からは、複数の突起82,83,84がそれぞれ板厚方向に突出する。洗濯部81の表面の左側(側縁10a側)半分に複数の突起82が設けられる。洗濯部81の表面の右側(側縁10b側)半分のうち上側半分に複数の突起83が設けられ、右側半分のうち下側半分に複数の突起84が設けられる。
【0102】
複数の突起82は、上下方向に真っ直ぐ延びた直線状にそれぞれ形成され、左右方向に並ぶ。複数の突起83は、左右方向に真っ直ぐ延びた直線状にそれぞれ形成され、上下方向に並ぶ。複数の突起84は、正方形状にそれぞれ形成され、上下方向および左右方向に並ぶ。なお、これらの突起82~84の間によって、第1~6実施形態で説明したような溝が洗濯部81に形成されていると言える。
【0103】
例えば、複数の突起82~84間の溝に水や洗剤を保持させた状態で、化粧用のパフやブラシ等の洗濯物Lを洗濯部81に擦り付けることにより、洗濯板80で擦り洗いが行われる。洗濯板80がゴム状弾性体によって形成されるため、擦り洗いによってパフやブラシ等の洗濯物Lを傷め難くできる。また、複数種類の突起82~84が洗濯部81に設けられているので、洗濯物Lの種類に応じて擦り付ける突起82~84を変更することができる。その結果、洗濯板80による洗濯物Lの洗濯効率を向上できる。
【0104】
吊下部85は、洗濯部81で洗った後の洗濯物Lを吊り下げるための部位である。吊下部85は、板状の洗濯部81を下方へ延長した板状の上部85aと、その上部85aの下縁に連結される下部85bと、を備える。
【0105】
上部85aは、洗濯物Lのうちパフを吊り下げるのに適した部位である。上部85aは、上部85aを板厚方向に貫通する保持孔86と、上部85aを板厚方向に貫通しつつ側縁10bに開口する2本のスリット87と、それらのスリット87の上下両側にそれぞれ形成される複数の挟持部88と、を備える。
【0106】
保持孔86は、上部85aの左側(側縁10a側)に位置し、円形状に形成されている。この保持孔86に、しずく型や洋なし型などの立体形状のパフを嵌めることで、パフが保持孔86に保持される。
【0107】
2本のスリット87は、側縁10bから側縁10aへ向かって、洗濯板80の左右方向と平行にそれぞれ延び、上下に並ぶ。このスリット87に、板状のパフを挿入することで、スリット87の両側による一対の挟持部88によってパフが挟まれる。
【0108】
このように、保持孔86や挟持部88(スリット87)によって、パフが洗濯板80に吊り下げられる。そのため、パフを干すためのスタンド等を、洗濯板80とは別に用意しなくて良いので、パフを洗って干す作業を簡単にできる。また、パフを立て掛けて乾燥させる場合などと比べ、洗濯板80によれば、パフからの水滴を下方へ落とし易くでき、パフを乾燥させ易くできる。
【0109】
洗濯板80では、上部85aを構成するゴム状弾性体の弾性やパフ自体の弾性によって、保持孔86や挟持部88にパフが保持される。これにより、例えば洗濯ばさみのような可動部分を上部85aに設けなくて良いので、上部85aの耐久性を確保し易くできると共に、洗濯板80の製造コストを低減できる。
【0110】
下部85bは、洗濯物Lのうちブラシを吊り下げるのに適した部位である。下部85bは、上部85aの下縁の左右両側と左右中央とからそれぞれ下方へ延びる3枚の壁面部85cと、3枚の壁面部85cの下縁同士を左右方向に繋ぐ2枚の底面部85dと、を備える。
【0111】
壁面部85cは、上部85aから下方へ向かうにつれて上部85aの板厚方向に拡大するように、左右方向視において三角形状の板材によって形成される。底面部85dは、洗濯板80の上下方向に垂直な板材であり、左右両側の三角形状の壁面部85cの下縁を繋ぐ長方形状に形成される。底面部85dは、左右中央の壁面部85cによって、略正方形状の2つの領域に区分けされる。
【0112】
底面部85dの左側(側縁10a側)における略正方形状の領域には、対角線上に、底面部85dを板厚方向に貫通して、互いに交差する2本の細いスリット89が設けられる。この2本のスリット89の両側によって、三角形状の一対の挟持部90が計4枚形成される。
【0113】
底面部85dの右側(側縁10b側)における略正方形状の領域は、更に、略正方形状の4つの領域に区分けされる。この4つの領域のそれぞれには、対角線上に、底面部85dを板厚方向に貫通して、互いに交差する2本の細いスリット91が設けられる。4つの領域のそれぞれには、この2本のスリット91の両側によって、三角形状の一対の挟持部92が計4枚形成される。なお、4つの領域のスリット91同士は、互いに離れている。
【0114】
以上説明した吊下部85の下部85bによれば、底面部85dの下方からスリット89,91に、ブラシの柄の端部(ブラシの毛とは反対側)を挿入することで、4枚の挟持部90,92の間が互いに離れるように弾性変形し、その弾性によりブラシが挟持部90,92に挟まれる。そのため、挟持部90,92により、ブラシの毛を下方へ向けた状態で、ブラシを洗濯板80に吊り下げることができる。よって、ブラシを干すためのスタンド等を、洗濯板80とは別に用意しなくて良いので、ブラシを洗って干す作業を簡単にできる。
【0115】
ここで、毛を上方へ向けてブラシを立て掛けたり、ブラシをスタンドに刺したりしてブラシを乾燥させる場合には、ブラシの毛の根本に水が溜まり易く、ブラシを乾燥させ難い。これに対し、洗濯板80によれば、毛を下方へ向けてブラシを吊り下げることができるので、ブラシの水滴を毛先から下方へ落とし易くでき、ブラシを乾燥させ易くできる。
【0116】
また、挟持部90(スリット89)に対し挟持部92(スリット91)が約1/4のサイズなので、大きいブラシを挟持部90に挟んで、小さいブラシを挟持部92に挟むことができる。即ち、洗濯板80には、様々なサイズのブラシを吊り下げることができる。
【0117】
下部85bを構成するゴム状弾性体の弾性によって、挟持部90,92にブラシが保持されるので、例えば洗濯ばさみのような可動部分を下部85bに設けなくて良い。これにより、洗濯ばさみのような可動部分を設ける場合と比べ、下部85bの耐久性を確保し易くできると共に、洗濯板80の製造コストを低減できる。
【0118】
次に、図8(a)から図8(c)を参照して第8実施形態について説明する。第7実施形態では、洗濯部81から下方へ延長されるように吊下部85が形成される場合を説明した。これに対し、第8実施形態では、洗濯部81の裏側に吊下部101が形成される場合を説明する。なお、第1,7実施形態と同一の部分については同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0119】
図8(a)は、第8実施形態における洗濯板100の正面図である。図8(b)は、図8(a)の矢印VIIIb方向視における洗濯板100の底面図である。図8(c)は、図8(a)の矢印VIIIc方向視における洗濯板100の側面図である。
【0120】
洗濯板100は、板状の洗濯部81と、その洗濯部81の上端側に設けられる引掛部13と、洗濯物Lを吊り下げる吊下部101と、を備える。洗濯板100は、これらの洗濯部81、引掛部13及び吊下部101がゴム状弾性体によって一体成形されている。但し、一体成形に限らず、複数の部材を接着などにより組み合わせて洗濯板80を形成しても良い。
【0121】
第8実施形態における洗濯部81は、第7実施形態における洗濯部81に対し、突起82~84が並んだ表面が後方(図8(c)の右側)を向いていると共に、洗濯部81の約上側半分が前方(図8(c)の左側)へ湾曲している。それ以外の点では、第8実施形態における洗濯部81と、第7実施形態における洗濯部81とが同一に構成されている。
【0122】
吊下部101は、洗濯部81で洗った後の洗濯物Lを保持して洗濯物Lを吊り下げるための部位である。吊下部101は、板状の洗濯部81の下端側(下端縁)から前方へ略垂直に延長した板状の底面部85d(板状部の一部)と、その底面部85dの前端縁から上方へ略垂直に立ち上がる板状の連結面部102(板状部の一部)と、を備える。
【0123】
底面部85dは、第7実施形態における底面部85dと同一に構成され、底面部85dにスリット89,91及び挟持部90,92が形成されている。これにより、洗濯板100の底面部85dに、洗濯物Lの一種であるブラシを吊り下げて干すことができる。
【0124】
連結面部102は、下端縁が底面部85dの前端縁に連結されて、上端縁が洗濯部81の上端側(上端縁)に連結される。連結面部102は、左右方向視において、突起82~84を除いた洗濯部81と前後対称の板状に形成され、連結面部102の約上側半分が後方へ湾曲している。
【0125】
連結面部102の上側半分の左側(側縁10a側)には、連結面部102を板厚方向に貫通しつつ側縁10aに開口する2本のスリット87と、それらのスリット87の上下両側にそれぞれ形成される複数の挟持部88と、が設けられる。第7実施形態と同様に、スリット87の両側による一対の挟持部88によって、洗濯物Lの一種である板状のパフを吊下部101に保持させて干すことができる。
【0126】
連結面部102の上側半分の右側(側縁10b側)には、連結面部102を板厚方向に貫通する円形状の保持孔86が設けられる。第7実施形態と同様に、保持孔86によって、洗濯物Lの一種である立体形状のパフを吊下部101に保持させて干すことができる。
【0127】
更に、連結面部102には、保持孔86の右側を側縁10bに開口させる開口部103が形成されている。この開口部103により、保持孔86の周囲を弾性変形させ易くできるので、保持孔86にパフを着脱させ易くできる。また、開口部103の上下方向の幅は、保持孔86の直径(上下方向の寸法)よりも小さい。これにより、保持孔86に保持させたパフを、開口部103から脱落させ難くできる。
【0128】
連結面部102及び底面部85dと、洗濯部81の裏面(突起82~84とは反対側)との間には空間が設けられ、その空間が左右両側に開口している。そのため、連結面部102の保持孔86や挟持部88、底面部85dの挟持部90,92に、パフやブラシ等の洗濯物Lを保持させるとき、洗濯物Lを洗濯部81に干渉させ難くできる。また、洗濯部81で洗濯物Lを擦り洗いするとき、連結面部102及び底面部85dと、洗濯部81の裏面との空間に手指を入れることで、洗濯板100を安定して持つことができる。
【0129】
また、その空間を上下に仕切る仕切板104が、洗濯部81と連結面部102とに連結される。この仕切板104よりも上方の連結面部102に保持孔86やスリット87(挟持部88)が形成されている。よって、保持孔86や挟持部88に保持させたパフと、底面部85dの挟持部90,92に保持させたブラシとを一緒に干すとき、それらを互いに干渉させ難くできる。
【0130】
洗濯板100を倒して机などに置く場合、洗濯部81の裏面側の空間における左右両側の開口のうち一方を上方に向けて置くことで、その開口内に乾燥後のブラシ等を挿入して立て掛けることができる。よって、乾燥後のブラシを保管するための機能を洗濯板100に持たせることができ、洗濯板100を更に多機能化できる。
【0131】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、挟持部22,23,36,62,63,76,88,90,92やスリット21,87,89,91、拡大孔25、貫通孔26,52、フック部37、突出部24,77、保持孔86等の数は、適宜変更されても良い。これらの各部の配置を左右逆転させても良い。
【0132】
また、洗濯板10,30,40,50,60,70,80,100(以下「洗濯板10等」と称す)の各寸法や形状は適宜変更されても良い。洗濯板10等(洗濯部11,31,41,71,81)の長さ(上下方向の寸法)より幅(左右方向の寸法)が小さい場合に限られず、その長さより幅が大きく構成されても良く、長さと幅とが同一に構成されても良い。
【0133】
洗濯板10等の幅は、左右両側の側縁10a,10bを片手で挟持可能な寸法であることが好ましい。この挟持可能な寸法を、例えば具体的に、成人の手幅の平均値(約80mm)+20mm以下、即ち約100mm以下としても良い。これにより、洗濯板10等を小型化でき、旅先などへの洗濯板10等の持ち運びを容易にできる。
【0134】
上記第8実施形態では、洗濯部81の約上側半分が前方へ湾曲し、連結面部102の約上側半分が後方へ湾曲する場合を説明したが、これに限られない。例えば、洗濯部81の湾曲に代えて、洗濯部81の上側が前方へ屈曲されても良い。同様に、連結面部102の湾曲に代えて、連結面部102の上側が後方へ屈曲されても良い。また、底面部85dを省略し、連結面部102の下端縁を洗濯部81の下端縁に連結させても良い。この場合、洗濯部81及び連結面部102の少なくとも一方の下側を、他方へ向かって湾曲させても良い。連結面部102の上端縁を、洗濯部81の上端縁に代えて、引掛部13に連結させても良い。
【0135】
上記第8実施形態における仕切板104が省略されても良い。スリット87(挟持部88)や保持孔86の位置が適宜変更されても良い。例えば、保持孔86がスリット87の下方の連結面部102に設けられても良い。
【0136】
上記第1~6実施形態では、衣類などの洗濯物Lを洗って干すことに適した洗濯板10,30,40,50,60,70について説明し、上記第7,8実施形態では、化粧用のパフやブラシ等の洗濯物Lを洗って干すことに適した洗濯板80,100について説明したが、これに限られない。衣類などの洗濯物Lが、洗濯板80,100で洗われて、それに干されても良い。パフやブラシ等の洗濯物Lが、洗濯板10,30,40,50,60,70で洗われて、それに干されても良い。例えば、洗濯板70の一対の挟持部76の間隔を調整して、挟持部76でブラシを挟む場合であれば、第7,8実施形態と同様に、毛を下方へ向けたブラシを挟持部76で挟むことができ、ブラシを乾燥させ易くできる。
【0137】
上記第1実施形態では、洗濯板10がABS樹脂によって形成される場合を、上記第2~6実施形態では、洗濯板30,40,50,60,70がポリエチレン樹脂によって形成される場合を、上記第7,8実施形態では、洗濯板80,100がゴム状弾性体によって形成される場合をそれぞれ説明したが、必ずしもこれに限られない。洗濯板10は、ポリエチレン樹脂やゴム状弾性体によって形成されても良く、洗濯板30,40,50,60,70は、ABS樹脂やゴム状弾性体によって形成されても良い。洗濯板80,100は、ABS樹脂やポリエチレン樹脂によって形成されても良い。但し、ブラシ等の比較的硬い洗濯物Lを挟持部90,92で挟み易くするためには、少なくとも挟持部90,92がゴム状弾性体であることが好ましい。
【0138】
また、ポリエチレン樹脂やABS樹脂以外の樹脂、木材、金属などによって洗濯板10等が形成されても良い。ポリエチレン樹脂やABS樹脂以外の樹脂としては、米や竹などを原料に含むバイオマスプラスチックを用いても良い。なお、洗濯板10等を、左右両側の側縁10a,10bを片手で挟持可能な程度に小型とする場合、成形性および加工性の観点から樹脂やゴム状弾性体によって形成することが好ましい。
【0139】
上記各実施形態では、引掛部13,33,73がフック状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。引掛部13,33,73は、所定部分に引っ掛けることで、洗濯板10等を吊り下げできるものであれば良い。例えば、横棒Bに吊り下げたS字フックを所定部分とし、そのS字フックを挿入可能な孔であって、洗濯部11,31,41,71,81(以下「洗濯部11等」と称す)の上側に貫通形成された孔により、引掛部13,33,73が構成されても良い。また、フック状の引掛部13,33,73が洗濯板10等の板厚方向に張り出しても良い。1枚の洗濯板10等に複数種類の引掛部13,33,73が設けられても良い。更に、引掛部13,33,73が引っ掛けられる所定部分としては、横棒BやS字フック以外に、壁などに固定されたフックや、ロープ、棚の角部、ポールハンガー等が挙げられる。
【0140】
また、吊下部20,34,46,51,61,75,85,101(以下「吊下部20等」と称す)は、引掛部13,33,73を所定部分に引っ掛けたときに、所定部分に対して洗濯物Lを吊り下げることができれば、上記各実施形態で説明したものに限られない。例えば、吊下部20等は、洗濯ばさみのような可動部分によって洗濯物Lを挟むものや、磁石と金属板などとの間に洗濯物Lを挟むものであっても良い。1枚の洗濯板10等に複数種類の吊下部20等が設けられても良い。
【0141】
上記各実施形態では、洗濯板10等(洗濯部11等)の長さ方向の一端側に引掛部13,33,73が設けられ、長さ方向の他端側に吊下部20等が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。洗濯板10等(洗濯部11等)の幅方向の一端側に引掛部13,33,73が設けられ、幅方向の他端側に吊下部20等が設けられても良い。また、引掛部13,33,73や吊下部20等が洗濯部11等の一部となるように、溝12,42,72又は突起82~84が洗濯板10等の少なくとも1面の略全面に設けられても良い。上記第8実施形態の連結面部102に溝12,42,72又は突起82~84が設けられても良い。
【0142】
上記第4実施形態では、S字フック53及び洗濯ばさみ54を介して吊下部51の貫通孔52に洗濯物Lが吊り下げられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、上記第1,2実施形態の拡大孔25や貫通孔26、上記第2実施形態のフック部37等に、S字フック53及び洗濯ばさみ54を介して洗濯物Lが吊り下げられても良い。
【0143】
上記第1~6実施形態では、板厚方向視において円弧状の溝12,72や波状の溝42について説明したが、必ずしもこれに限られない。板厚方向視において、その他の曲線状や直線状に溝12,42,72が形成されても良く、曲線や直線を組み合わせて溝12,42,72が形成されても良い。また、溝12,42,72が洗濯板10等の左右方向に延びる場合に限られず、溝12,42,72が上下方向や斜め方向に延びても良く、異なる2方向以上に延びた溝12,42,72が互いに交差しても良い。
【0144】
溝12,42,72に代えて、上記第7,8実施形態の突起82~84が洗濯部11,31,41,71に設けられても良い。突起82~84に代えて、溝12,42,72が洗濯部81に設けられても良い。突起82~84は、直線状や正方形状に限らず、曲線状や、直線と曲線とを組み合わせた形状、正方形以外の多角形状、円形状、楕円形状、半円形状などに形成されても良い。
【0145】
上記第7,8実施形態のように、洗濯部11,31,41,71が複数の領域に分けられ、各領域に異なる形状の溝12,42,72や突起82~84が設けられても良い。洗濯部11等において、この領域の分割数は、3つに限らず、2つでも4つ以上でも良い。また、1つの領域内に、2種以上の溝12,42,72や突起82~84が設けられても良い。
【0146】
上記各実施形態では、溝12,42,72の左右の端部が、それぞれ洗濯部11,31,41,71の左右の側縁10a,10bまで設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。溝12,42,72の端部と側縁10a,10bとの間が離れ、例えばそれらの間に平坦面が設けられても良い。
【0147】
上記実施形態の各構成を別の実施形態に適用や置換しても良い。例えば、上記第1,7,8実施形態の通り、上記第2~6実施形態の洗濯板30,40,50,60,70の各部が一体成形されるようにしても良い。また、上記第2実施形態の蟻溝32及び蟻ほぞ35や、上記第3~5実施形態の凸部44及び凹部48のような嵌合機構、ボルト等の締結部材などによって、洗濯部11等と引掛部13,33,73とが着脱可能にされたり、洗濯部11等と吊下部20等とが着脱可能にされるようにしても良い。
【符号の説明】
【0148】
10,30,40,50,60,70,80,100 洗濯板
10a,10b 側縁
11,31,41,71,81 洗濯部
12,42,72 溝
13,33,73 引掛部
13a,33a,73a 引掛孔
20,34,46,51,61,75,85,101 吊下部
21 スリット
22,23,36,62,63,76,88,90,92 挟持部
24,77 突出部
25 拡大孔
26 貫通孔
37 フック部
82,83,84 突起
85d 底面部(板状部の一部)
102 連結面部(板状部の一部)
B 横棒(所定部分)
L 洗濯物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8