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特開2024-144004ヒータ装置およびそれを備えるホットランナー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144004
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ヒータ装置およびそれを備えるホットランナー装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/06 20060101AFI20241003BHJP
   B29C 45/20 20060101ALI20241003BHJP
   B29C 45/72 20060101ALI20241003BHJP
   B29C 45/27 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05B3/06 B
B29C45/20
B29C45/72
B29C45/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145298
(22)【出願日】2023-09-07
(62)【分割の表示】P 2023050858の分割
【原出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】599072644
【氏名又は名称】株式会社平和電機
(71)【出願人】
【識別番号】591224504
【氏名又は名称】株式会社TMW
(71)【出願人】
【識別番号】523113618
【氏名又は名称】株式会社 TECMO WORKS
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正高
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 透
(72)【発明者】
【氏名】俵 菊生
【テーマコード(参考)】
3K092
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA06
3K092TT15
3K092TT17
3K092VV40
4F202AJ02
4F202AJ08
4F202AJ12
4F202AK09
4F202AM24
4F202CA11
4F202CK04
4F202CN01
4F202CN18
4F202CN27
4F206AJ02
4F206AJ08
4F206AJ12
4F206AK09
4F206AM24
4F206JA07
4F206JL02
4F206JN43
4F206JQ69
(57)【要約】
【課題】電力使用量を削減し得るヒータ装置を提供する。
【解決手段】ヒータ装置1はバンドヒータ10とジャケット20を備える。ジャケット20は、射出ノズル60の柱状部の外周に設けられ外周を覆う。バンドヒータ10は、ジャケット20に熱結合するとともにジャケット20を介して間接的に当該柱状部を加熱する。ジャケット20は、アルミニウム製であり熱伝導率が当該柱状部の熱伝導率よりも大きい。これにより、バンドヒータ10による加熱は、当該柱状部に加えてジャケット20に対しても行われ、ジャケット20は当該柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりもジャケット20の方が早く熱が伝わる。そのため、当該柱状部は、ジャケット20で覆われる外周においては、バンドヒータ10が設けられてない部分であっても加熱される。したがって、バンドヒータ10の使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置であって、
前記柱状部の外周に設けられ前記外周の一部または全部を覆う伝熱体と、
前記伝熱体に熱結合するとともに、前記伝熱体を介して間接的にまたは前記伝熱体を介することなく直接的に前記柱状部を加熱するバンドヒータと、を備え、
前記伝熱体は、その熱伝導率が前記柱状部の熱伝導率よりも大きい、ことを特徴とするヒータ装置。
【請求項2】
前記バンドヒータに加えてさらに他のバンドヒータを備えており、
前記他のバンドヒータは、前記伝熱体に熱結合するとともに、前記伝熱体を介して間接的にまたは前記伝熱体を介することなく直接的に前記柱状部を加熱する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヒータ装置を備えるホットランナー装置であって、射出成形型内に溶融樹脂を射出するノズルを有し、
前記被加熱体は前記ノズルであり、前記柱状部は前記ノズルの円筒部である、ことを特徴とするホットランナー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置およびそれを備えるホットランナー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるバンドヒータがある。バンドヒータは、被加熱体の柱状部に薄板状のヒータ部を巻き付けて加熱するヒータ装置である。バンドヒータのヒータ部は、典型的には短冊形状を有することから、当該柱状部の軸方向に対する加熱可能な範囲は幅広にはなり難い(下記、特許文献1;図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-97720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、被加熱体の柱状部に対してその軸方向全体を加熱する場合には、複数のバンドヒータを柱状部の軸方向に並べて配置する必要がある。例えば、上記、特許文献1の図6には、先端にノズルを有する射出装置の加熱筒に対して、3つのバンドヒータを並べて使用する例が開示されている。このような加熱筒は、さらに軸長が長い仕様のものもあるため、多数のバンドヒータが用いられることもある。
【0005】
バンドヒータは、そのヒータ部を構成する発熱線等の発熱体に電力が供給されて発熱することから、バンドヒータの使用数が増えると消費電力が増大し装置全体の電力使用量の増加に直結する。そのため、昨今の電気料金の上昇を考慮すると、バンドヒータの使用数を減らして電力使用量を削減することが望ましい。またバンドヒータの使用数が減れば、バンドヒータを備える、例えばホットランナー装置等の設備コストの低減にも繋がる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、電力使用量を削減し得るヒータ装置を提供することを目的とする。また、電力使用量を削減し得るとともに設備コストも低減し得るホットランナー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項1の技術的手段を採用する。この手段によると、柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置は、伝熱体とバンドヒータを備える。柱状部は、内部に空間がない中実のほかに、内部に空間がある中空をも含む概念である。そのため、柱状部には円柱形状や円筒形状も含まれる。伝熱体は、柱状部の外周に設けられその外周の一部または全部を覆う。バンドヒータは、伝熱体に熱結合するとともに、伝熱体を介して間接的に柱状部を加熱、または伝熱体を介することなく直接的に柱状部を加熱する。そして、伝熱体は、その熱伝導率が被加熱体の柱状部の熱伝導率よりも大きい。これにより、バンドヒータによる加熱は、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部は、伝熱体が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分であっても加熱される。
【0008】
また、特許請求の範囲に記載された請求項2の技術的手段を採用する。この手段によると、バンドヒータに加えてさらに他のバンドヒータを備えている。そして、他のバンドヒータは、伝熱体に熱結合するとともに、伝熱体を介して間接的に柱状部を加熱、または伝熱体を介することなく直接的に柱状部を加熱する。これにより、他のバンドヒータによる加熱も、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。例えば、請求項1に記載のバンドヒータ(以下、[課題を解決するための手段]および[発明の効果]の欄において「一のバンドヒータ」という)を柱状部の一端側に配置し、他のバンドヒータを柱状部の他端側に配置し、一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間に伝熱体を配置する。これにより、柱状部は、バンドヒータが設けられていない両バンドヒータの間においても、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。
【0009】
また、特許請求の範囲に記載された請求項3の技術的手段を採用する。この手段によると、請求項1または2に記載のヒータ装置を備えるホットランナー装置は、射出成形型内に溶融樹脂を射出するノズルを有する。被加熱体はこのノズルであり、柱状部はこのノズルの円筒部である。これにより、バンドヒータによる加熱は、ノズルの柱状部分に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体はノズルの柱状部分よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部分よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部分は、伝熱体が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分(一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間においても)であっても加熱される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、バンドヒータによる加熱は、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部は、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分であっても加熱される。したがって、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【0011】
請求項2の発明では、他のバンドヒータによる加熱も、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。先の例では、柱状部は、バンドヒータが設けられていない両バンドヒータの間においても、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。したがって、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【0012】
請求項3の発明では、バンドヒータによる加熱は、ノズルの柱状部分に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体はノズルの柱状部分よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部分よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部分は、伝熱体が設けられて覆われるノズルの外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分(一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間においても)であっても加熱される。したがって、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができ、また設備コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るヒータ装置の構成例1を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るヒータ装置の構成例2を示す斜視図である。
図3】本実施形態のヒータ装置を構成するジャケットを示す図であり、図3(A)は斜視図、図3(B)は図3(A)に示す3B線矢印の矢視方向から見た側面図である。図3(C)は図3(A)に示す3C線矢印の矢視方向から見た平面図である。
図4】本実施形態のヒータ装置を構成するジャケットカバーを示す図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は図4(A)に示す4B線矢印の矢視方向から見た側面図である。図4(C)は図4(A)に示す4C線矢印の矢視方向から見た平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るホットランナー装置やそれに関連した装置の構成例を示す模式図である。
図6】本実施形態に係るヒータ装置の構成例1,2やその他のバリエーションの例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のヒータ装置およびそれを備えるホットランナー装置の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態では、本発明のバンドヒータが、例えば、射出成形機を構成するホットランナー装置の射出ノズルに設けられる場合を例示して説明する。なお、本明細書では、図1図4に示す座標軸表示における、Z軸方向(射出ノズルの長手方向)のことを「軸方向」といい、またX軸方向やY軸方向等、Z軸に直交する方向のことを「径方向」という場合がある。さらにZ軸の先端方向のことを「上方向」、基端方向のことを「下方向」をといい、Z軸周りの方向のことを「周方向」という場合がある。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のヒータ装置1は、後述するホットランナー装置50の射出ノズル60を加熱するものであり、2つのバンドヒータ10a,10bとジャケット20とにより構成されている。なお、バンドヒータ10aとバンドヒータ10bは、同様に構成されているため、これらを総称する場合には「バンドヒータ10」という。ホットランナー装置50等の構成については後で図5を参照しながら説明する。図1においては、射出ノズル60はその一部として円筒部61(被加熱体)を二点鎖線で表現している。また、当該射出ノズル60の先端部62や射出ノズル60が収容されるプレート70の収容穴72等については、図5を除いて図示を省略している。
【0016】
ヒータ装置1を構成するバンドヒータ10a,10bは、カバー部12とヒータ部13により構成されている。本実施形態のヒータ装置1は、射出ノズル60の円筒部61の外周がジャケット20で覆われるとともに、このジャケット20の両端をさらに覆うようにバンドヒータ10a,10bが取り付けられる。つまり、バンドヒータ10は、カバー部12がヒータ部13を囲むようにジャケット20を覆うことで、ジャケット20を介して射出ノズル60に間接的に取り付けられる。
【0017】
カバー部12は、例えば、ステンレス製(例えばSUS304)の短冊形状を有する板部材であり、板厚が0.5mmに設定されている。本実施形態では、カバー部12は、アルファベットのC字形状のように軸方向に切れ目を有する円筒形状に形成されており、その両端にはロール状に折り返した端末ループ12aがそれぞれ形成されている。これらの端末ループ12aには締結バー18が収容されている。締結バー18にはボルト19を挿通可能な貫通穴やボルト19を螺合可能な雌ねじ穴が形成されている。一方の端末ループ12aの締結バー18を貫通したボルト19を、他方の端末ループ12aの締結バー18に螺合させてボルト19をねじ締め方向に回転させる。これにより、カバー部12の内側に収容されたヒータ部13を、射出ノズル60の円筒部61を覆うジャケット20等に締め付け固定することを可能にしている。
【0018】
カバー部12の長手方向ほぼ中央には、角部が丸められた丸角長方形状に形成された配線窓12bが形成されている。この配線窓12bは、ヒータ部13に接続された図略の電気配線を挿通させて外部に引き出し得る貫通穴である。ヒータ部13は、ほぼ円筒形状を有する発熱部であり、金属製の内筒プレートと外筒プレートにより挟み込まれるヒータエレメント等により構成されている。これらは図示が省略されている。ヒータエレメントには、前述した電気配線が接続されており、外部の電力供給源から例えば200V~300Vの単相交流電力が供給され得るように構成されている。
【0019】
カバー部12の内周面にはスペーサ17が取り付けられている。スペーサ17は、例えば、外径寸法が約3mmに設定されるステンレス製(例えばSUS304)の円筒パイプであり、カバー部12のZ軸方向の長さとほぼ同じ軸方向長さを有する。本実施形態では、スペーサ17は、その両端がカバー部12の内周面に溶接されて固定されており、例えば、カバー部12の周方向に約90度間隔で4箇所に設けられている。これらのスペーサ17をカバー部12の内側に設けることにより、そのさらに内側に位置するヒータ部13との間にはエアギャップが形成される。そのため、ヒータ部13から発生した熱をカバー部12に伝わり難くしている。なお、このようなエアギャップを形成する必要がない場合には、スペーサ17はなくてもよい。
【0020】
ジャケット20は、例えば、アルミニウム製の円筒形状を有する筒板部材である。図3にその詳細が図示されているので、ここからは図3も参照しながら説明する。図3に示すように、本実施形態では、ジャケット20は、円筒形状を有するジャケット本体21と、その軸方向に形成される隙間23とにより構成されている。即ち、ジャケット20のジャケット本体21は、アルファベットのC字形状のように軸方向に隙間23を1つ有する円筒形状に形成されている。
【0021】
ジャケット20の軸方向長さや内径長は、射出ノズル60の円筒部61の長さや外径寸法に基づいて任意に設定される。本実施形態では、ジャケット20の軸方向長さは、例えば約100mm、また例えば、内径が約40mm、板厚が約2mmにそれぞれ設定されている。隙間23は、ジャケット20の内径寸法と、ジャケット20の取り付けを想定している射出ノズル60の円筒部61の外径寸法との誤差を吸収するためのものであり、本実施形態では、円筒形状の全周に対する割合として、例えば8~10%の円弧相当の隙間空間を形成している。内径が約40mmの場合、隙間23は、例えば約10mmに設定されている。
【0022】
本実施形態のヒータ装置1は、このようなバンドヒータ10とジャケット20を備えることによって、射出ノズル60の円筒部61をジャケット20で覆った後、ジャケット20の一端側にバンドヒータ10a、また他端側にバンドヒータ10bをそれぞれ挿通してボルト19を締め付ける。これにより、バンドヒータ10のカバー部12に押圧されたヒータ部13がジャケット本体21の外周面21bを加圧すると、その内周面21aが円筒部61の外周をさらに加圧した状態で当該外周面に接触してバンドヒータ10がジャケット20を介して射出ノズル60に取り付けられる。
【0023】
そして、外部の電力供給源からバンドヒータ10に電力が供給されると、ヒータ部13が発熱を開始することから、ヒータ部13の熱がジャケット20を介して射出ノズル60の円筒部61に伝達されて円筒部61が加熱される。つまり、ヒータ部13がジャケット20に熱結合するとともに、ジャケット20を介して間接的に円筒部61を加熱する。そして、射出ノズル60の円筒部61を覆うジャケット20は、アルミニウム製(熱伝導率236W/(m・K))でありその熱伝導率が射出ノズル60の円筒部61(例えば、炭素鋼製(熱伝導率44W/(m・K))の熱伝導率よりも大きい。
【0024】
これにより、バンドヒータ10による加熱は、当該円筒部61に加えてジャケット20に対しても行われ、そのジャケット20は円筒部61よりも熱伝導率が大きいことから、円筒部61よりもジャケット20の方が早く熱が伝わる。そのため、円筒部61は、ジャケット20が設けられて覆われる外周面においては、バンドヒータ10が設けられていない部分であっても加熱される。したがって、射出ノズル60の円筒部61のうちジャケット20で覆われる範囲においては、バンドヒータ10が設けられていない部分があっても、その部分もそれに隣接するバンドヒータ10によりジャケット20を介して加熱される。そのため、バンドヒータ10の使用数を減らすことが可能になることから、電力使用量を削減することができる。
【0025】
次に本実施形態のヒータ装置2について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、本実施形態のヒータ装置2も、前述したヒータ装置1と同様に後述するホットランナー装置50の射出ノズル60を加熱するものである。ヒータ装置2は、1つのバンドヒータ10とジャケット20とジャケットカバー30とにより構成されている。なお、バンドヒータ10は、前述したバンドヒータ10a,10bと同様に構成されている。ヒータ装置2を構成するバンドヒータ10は、ジャケット20には接することなく、射出ノズル60の円筒部61に直接、取り付けられている。即ち、バンドヒータ10は、ジャケット20を介することなく直接的に円筒部61を加熱し得るように射出ノズル60に取り付けられている。
【0026】
ジャケットカバー30は、例えば、ステンレス製の円筒形状を有する筒板部材である。図4にその詳細が図示されているので、ここからは図4も参照しながら説明する。なお、図4(A)および図4(B)では、軸方向(Z軸方向)において、カバー本体31やスペーサ35等の一部が省略されている。特に図4(A)においては、軸方向長さが長いカバー本体31と短いカバー本体31の2つ表されているように見えるが、これらは一体であり両者間の隙間は図示省略により生じたものであることに注意されたい。
【0027】
図4に示すように、ジャケットカバー30は、ジャケット20の外周を覆うとともに、当該ジャケット20を径方向内側に加圧してジャケット本体21の内周面21aと円筒部61の外周面との接触を確保し得る機能を有する。そのため、ジャケット本体21の外径よりも大径の内径を有すること、軸方向長さが長いこと、端末ループ32,33を軸方向の複数箇所に有すること、配線窓12bが形成されていないこと、を除いて、前述したバンドヒータ10のカバー部12とほぼ同様に構成されている。
【0028】
即ち、ジャケットカバー30は、例えば、ステンレス製(例えばSUS304)の幅広の矩形状を有する板部材であり、板厚が0.5mmに設定されている。本実施形態では、ジャケットカバー30のカバー本体31は、アルファベットのC字形状のように軸方向に切れ目を有する円筒形状に形成されており、その両端にはロール状に折り返した端末ループ32,33がそれぞれ形成されている。
【0029】
端末ループ32,33は、カバー本体31の軸方向長さに応じて、軸方向の複数箇所に分割して設けられる。図2に表されている例では2箇所に設けれているが、3箇所以上の場合もある。また、軸方向に分割することなく、端末ループ32,33は一端側から他端側に連続して設けてもよい。これらの端末ループ32,33には締結バー36が収容されている。締結バー36にはボルト37を挿通可能な貫通穴やボルト37を螺合可能な雌ねじ穴が形成されている。端末ループ33の締結バー36を貫通したボルト37を、端末ループ32の締結バー36に螺合させてボルト37をねじ締め方向に回転させる。これにより、カバー本体31の内側に収容されたジャケット20を、射出ノズル60の円筒部61に締め付け固定することを可能にしている。
【0030】
カバー本体31の内周面にはスペーサ35が取り付けられている。スペーサ35は、例えば、外径寸法が約3mmに設定されるステンレス製(例えばSUS304)の円筒パイプであり、カバー本体31のZ軸方向の長さとほぼ同じ軸方向長さを有する。本実施形態では、スペーサ35は、その両端がカバー本体31の内周面31aに溶接されて固定されており、例えば、カバー本体31の周方向に約90度間隔で4箇所に設けられている。これらのスペーサ35をカバー本体31の内側に設けることにより、そのさらに内側に位置するジャケット20の外周面21bとカバー本体31の内周面31aとの間にはエアギャップが形成される。そのため、バンドヒータ10からジャケット20に伝達された熱をカバー本体31に伝わり難くしている。
【0031】
本実施形態のヒータ装置2は、このようなバンドヒータ10とジャケット20とジャケットカバー30を備えることによって、射出ノズル60の円筒部61をジャケット20で覆った後、さらにジャケット20をジャケットカバー30で覆う。そして、ジャケットカバー30のボルト37を締め付ける。これにより、ジャケットカバー30のカバー本体31がジャケット20の外周面21bを加圧するため、その内周面21aが円筒部61の外周面に接触した状態でジャケット20が射出ノズル60に取り付けられる。また、射出ノズル60の軸方向においてジャケット20で覆われてなく、かつ、ジャケット20に隣接する円筒部61の位置(円筒部61の隣接部位)にバンドヒータ10を挿通してボルト19を締め付ける。これにより、バンドヒータ10のカバー部12に押圧されたヒータ部13が円筒部61の外周を加圧した状態で当該外周面に接触して、バンドヒータ10がジャケット20に隣接した位置で射出ノズル60に直接取り付けられる。
【0032】
そして、外部の電力供給源からバンドヒータ10に電力が供給されると、ヒータ部13が発熱を開始することから、バンドヒータ10が取り付けられた位置においては、ヒータ部13の熱が射出ノズル60の円筒部61に直接伝達されて円筒部61が加熱される。つまり、ヒータ部13がジャケット20を介することなく直接的に円筒部61を加熱する。また、バンドヒータ10が取り付けられていない位置においても、ヒータ部13の熱が隣接するジャケット20を介して射出ノズル60の円筒部61に伝達されて円筒部61が加熱される。つまり、ヒータ部13が円筒部61を経由してジャケット20に熱結合するとともに、ジャケット20を介して間接的に円筒部61を加熱する。射出ノズル60の円筒部61を覆うジャケット20は、アルミニウム製(熱伝導率236W/(m・K))でありその熱伝導率が射出ノズル60の円筒部61(例えば、炭素鋼製(熱伝導率44W/(m・K))の熱伝導率よりも大きい。
【0033】
これにより、前述したヒータ装置1に比べて、ヒータ部13から円筒部61を経由する分、熱伝達や熱伝導の効率は低下するものの、バンドヒータ10による加熱は、当該円筒部61に加えてジャケット20に対しても行われる。そして、ジャケット20は円筒部61よりも熱伝導率が大きいことから、円筒部61よりもジャケット20の方が早く熱が伝わる。そのため、円筒部61は、ジャケット20が設けられて覆われる外周面においては、バンドヒータ10が設けられていない部分であっても加熱される。したがって、射出ノズル60の円筒部61のうちジャケット20で覆われる範囲においては、バンドヒータ10が設けられていない部分があっても、その部分もそれに隣接するバンドヒータ10によりジャケット20を介して加熱される。そのため、バンドヒータ10の使用数を減らすことが可能になることから、電力使用量を削減することができる。
【0034】
このように構成されるヒータ装置1,2を、ホットランナー装置50に適用した場合には、例えば、図5に示すように構成することが可能である。ホットランナー装置50は、樹脂製品を成形する射出成形機を構成するものである。図5に示すように、本実施形態では、ホットランナー装置50は、主に、溶融樹脂の流路52を内部に有するマニホールド51と、外部から圧送される溶融樹脂を受け入れて流路52に案内するノズルタッチ53と、マニホールド51の流路52を流れる溶融樹脂を図略の金型内に吐出させる射出ノズル60と、により構成されている。マニホールド51には図略のヒータが流路52に沿った複数箇所に内装されている。また、マニホールド51は、本体部71に射出ノズル60を収容する収容穴72を有するプレート70にスペーサ58と締結ボルト59を介して組み付けられている。
【0035】
射出ノズル60は、主に、円筒部61と先端部62により構成されており、本実施形態では、プレート70の収容穴72に収容されて、その先端部62を図略の金型のキャビティに接続し得るように構成されている。射出ノズル60の円筒部61は、内部に溶融樹脂の流路を有する円柱形状に形成されており、円筒部61の外周には本実施形態のヒータ装置1が取り付けられている。ヒータ装置1は、円筒部61を所定温度で加熱することによって、円筒部61内の流路を流れる溶融樹脂の温度を適正値に保持可能にしている。図5に表した例では、図1に示すヒータ装置1が円筒部61に取り付けられているが、例えば、図2に示すヒータ装置2を円筒部61に取り付けてもよい。
【0036】
また、これまで説明したヒータ装置1,2を含めて、バンドヒータ10とジャケット20の組み合わせのバリエーションを図示すると、例えば、図6に示すようになる。即ち、図1に表されているヒータ装置1は図6(A)に示すように構成されているが、図6(B)に示すように、バンドヒータ10は、必ずしもジャケット20の両側に設ける必要はなく、いずれか一方に設けるように構成してもよい。また、バンドヒータ10は、必ずしもジャケット20の両端や一端に設ける必要はなく、図6(C)に示すように、ジャケット20の軸方向ほぼ中央の1箇所に設けるように構成してもよい。さらに図示されてないが、図6(A)と図6(C)を組み合わせた構成、つまりジャケット20の両端とほぼ中央の合計3箇所にバンドヒータ10を設けるように構成してもよい。
【0037】
また、図2に表されているヒータ装置2は図6(E)に示すように構成されているが、図6(D)に示すように、ジャケット20を挟んでその両側にバンドヒータ10a,10bを設けるように構成してもよい。また、バンドヒータ10を挟んでその両側にジャケット20a,20bを設けるように構成してもよい。さらに図示されてないが、図6(D)と図6(F)を組み合わせた構成、つまり図6(F)のほぼ中央と、同図のジャケット20a,20bの両端との合計3箇所にバンドヒータ10を設けるように構成してもよい(バンドヒータ10a、ジャケット20a、バンドヒータ10、ジャケット20b、バンドヒータ10b)。
【0038】
上述した図6(B)や図6(C)においても図6(A)のヒータ装置1と同様に、また図6(D)や図6(F)においても図6(E)のヒータ装置2と同様に、バンドヒータ10の使用数を減らすことが可能になることから、電力使用量を削減することができる。
【0039】
以上説明したように本実施形態のヒータ装置1,2では、バンドヒータ10とジャケット20を備える。ジャケット20は、射出ノズル60の円筒部61の外周に設けられその外周の一部または全部を覆う。バンドヒータ10は、ジャケット20に熱結合するとともに、ジャケット20を介して間接的に当該円筒部61を加熱したり、射出ノズル60を介することなく直接的に当該円筒部61を加熱したりする。そして、ジャケット20は、例えば、アルミニウム製(熱伝導率236W/(m・K))でありその熱伝導率が円筒部61(例えば、炭素鋼製(熱伝導率44W/(m・K))の熱伝導率よりも大きい。これにより、バンドヒータ10による加熱は、円筒部61に加えてジャケット20に対しても行われ、そのジャケット20は円筒部61よりも熱伝導率が大きいことから、円筒部61よりもジャケット20の方が早く熱が伝わる。そのため、円筒部61は、ジャケット20が設けられて覆われる外周の一部または全部においては、バンドヒータ10が設けられていない部分であっても加熱される。したがって、バンドヒータ10の使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【0040】
また、本実施形態のヒータ装置1,2では、バンドヒータ10aに加えてさらに他のバンドヒータ10bを備えている。そして、他のバンドヒータ10bは、ジャケット20に熱結合するとともに、ジャケット20を介して間接的に射出ノズル60の円筒部61を加熱したり、ジャケット20を介することなく直接的に当該円筒部61を加熱したりする。これにより、他のバンドヒータ10bによる加熱も、円筒部61に加えてジャケット20に対しても行われ、そのジャケット20は円筒部61(例えば、炭素鋼製(熱伝導率44W/(m・K))よりも熱伝導率が大きいことから、円筒部61よりもジャケット20の方が早く熱が伝わる。これにより、円筒部61は、バンドヒータ10a,10bが設けられていない両バンドヒータの間においても、ジャケット20が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。したがって、バンドヒータ10の使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【0041】
本実施形態のホットランナー装置50では、ヒータ装置1を備え、射出成形型内に溶融樹脂を射出する射出ノズル60を有する。そして、ヒータ装置1が加熱する被加熱体はこの射出ノズル60であり、柱状部はこの射出ノズル60の円筒部61である。これにより、バンドヒータ10a,10bによる加熱は、当該円筒部61に加えてジャケット20に対しても行われ、そのジャケット20は円筒部61(例えば、炭素鋼製(熱伝導率44W/(m・K))よりも熱伝導率が大きいことから、円筒部61よりもジャケット20の方が早く熱が伝わる。そのため、円筒部61は、ジャケット20が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータ10a,10bが設けられていない部分であっても加熱される。したがって、バンドヒータ10a,10bの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができ、また設備コストも低減させることができる。なお、図5においては、マニホールド51を備える射出成形機を例示して説明したが、射出ノズル60の円筒部61(柱状部を有する被加熱体)を加熱する必要のある構成であれば、マニホールド51は必ずしも必要はない。
【0042】
なお、上述した本実施形態のヒータ装置2では、離隔部材として、円筒のパイプ材からなるスペーサ35を、ジャケットカバー30のカバー本体31の内周面31aに設ける場合を例示して説明したが、ジャケット20のジャケット本体21(伝熱体)とカバー本体31(カバー体)との間にエアギャップ(空間)を形成する離隔部材であればこれに限られない。例えば、角筒のパイプ材や中実の棒材(丸棒や角棒)でもよい。またこのようなエアギャップを形成することが可能であれば、スペーサ35の長さはその1/2や1/3でもよいし、スペーサ35の本数は3本でも5本でもよい。ただし、スペーサ35を介してジャケット20(のジャケット本体21)とジャケットカバー30(のカバー本体31)が接触する面積が増加するに従って、離隔部材を介してジャケット20からジャケットカバー30に逃げる熱の伝達経路の幅や数が増えるため、長さや本数はエアギャップを安定的に確保し得るために必要な最小限に留めることが望ましい。
【0043】
また、上述した本実施形態のヒータ装置2では、伝熱体の外周の一部または全部を覆うカバー部として、ジャケット20(伝熱体)とほぼ同じ軸方向長さを有するようにジャケットカバー30を構成する場合を例示して説明したが、伝熱体よりも軸方向長さを小さく(短く)設定してもよい。例えば、バンドヒータ10(10a,10b)と同様の軸方向長さを有するようにジャケットカバー30(カバー部)を構成してもよい。この場合には、例えば、図1に表されているバンドヒータ10a,10bに代えて、軸方向長さが短いジャケットカバー30がジャケット20の両端を覆うように取り付けられる。
【0044】
また、上述した本実施形態のヒータ装置1,2では、伝熱体として、ジャケット20のジャケット本体21をアルミニウム製にする場合を例示して説明したが、射出ノズル60の円筒部61よりも熱伝導率が大きい素材であれば、アルミニウム(熱伝導率236W/(m・K))に限られない。例えば、ステンレス鋼の熱伝導率は16.7~20.9W/(m・K)であり、また鉄の熱伝導率は83.5W/(m・K)であることから、射出ノズル60の円筒部61をステンレスや鉄で構成する場合には、これらよりも熱伝導率が大きい真鍮(熱伝導率:106W/(m・K))や銅(同:403W/(m・K))等でジャケット20のジャケット本体21を構成してもよい。
【0045】
また、上述し本実施形態のヒータ装置1,2では、伝熱体として、アルファベットのC字形状のように軸方向に隙間23を1つ有する円筒形状にジャケット20のジャケット本体21を形成する場合を例示して説明したが、射出ノズル60の円筒部61(被加熱体の柱状部)の外周の一部または全部を覆い得るものであればよい。例えば、隙間23のような軸方向に切れ目が存在しない全周が繋がった円筒形状や、2つの半円形状が互いに開口側を向けて対向するように軸方向に隙間を2つ有する円筒形状、等にジャケット20のジャケット本体21を形成してもよい。
【0046】
また、上述した本実施形態のヒータ装置1,2においては、被加熱体として、円筒部61を有する射出ノズル60に取り付ける場合を例示して説明したが、本発明のヒータ装置により加熱される被加熱体はこれに限られない。ヒータ装置1,2を取り付ける対象は、柱状体(または筒状体)であれば、例えば、角柱形状(または角筒形状)や多角柱形状(または多角筒形状)を有する射出ノズル等の被加熱体でもよい。また、押出し成形機の加熱シリンダにヒータ装置1,2を取り付けてもよい。
【0047】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。
【符号の説明】
【0048】
1,2…ヒータ装置
10,10a,10b…バンドヒータ
12…カバー部
13…ヒータ部
17…スペーサ
20,20a,20b…ジャケット(伝熱体)
21…ジャケット本体
21a…内周面
21b…外周面
23…隙間
30…ジャケットカバー
31…カバー本体
31a…内周面
31b…外周面
35…スペーサ
50…ホットランナー装置
51…マニホールド
53…ノズルタッチ
60…射出ノズル
61…円筒部
62…先端部
70…プレート
72…収容穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置であって、
前記柱状部の外周に設けられ前記外周の一部または全部を覆う伝熱体と、
前記伝熱体の一端側を覆って前記伝熱体に熱結合するとともに、前記伝熱体を介して間接的に前記柱状部を加熱するバンドヒータと、を備え、
前記伝熱体は、その軸方向長さが前記バンドヒータの軸方向長さの2倍以上であり、かつ、その熱伝導率が前記柱状部の熱伝導率よりも大きい、ことを特徴とするヒータ装置。
【請求項2】
前記伝熱体は、その軸方向長さが前記バンドヒータの軸方向長さの3倍以上であり、
前記バンドヒータに加えて
前記伝熱体の他端側を覆って前記伝熱体に熱結合するとともに、前記伝熱体を介して間接的に前記柱状部を加熱する他のバンドヒータを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ装置。
【請求項3】
柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置であって、
前記柱状部の外周に設けられ前記外周の一部または全部を覆う伝熱体と、
前記被加熱体の軸方向に前記伝熱体に隣合って位置し前記伝熱体を介することなく直接的に前記柱状部を加熱するバンドヒータと、を備え、
前記伝熱体は、その軸方向長さが前記バンドヒータの軸方向長さ以上であり、かつ、その熱伝導率が前記柱状部の熱伝導率よりも大きい、ことを特徴とするヒータ装置。
【請求項4】
前記バンドヒータに加えて、
前記被加熱体の軸方向に前記バンドヒータの反対側に前記伝熱体に隣合って位置し前記伝熱体を介することなく直接的に前記柱状部を加熱する他のバンドヒータと、
を備えていることを特徴とする請求項3に記載のヒータ装置。
【請求項5】
前記伝熱体の外周を覆う伝熱体カバーを備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のヒータ装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のヒータ装置を備えるホットランナー装置であって、射出成形型内に溶融樹脂を射出するノズルを有し、
前記被加熱体は前記ノズルであり、前記柱状部は前記ノズルの円筒部である、ことを特徴とするホットランナー装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項1の技術的手段を採用する。この手段によると、柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置は、伝熱体とバンドヒータを備える。柱状部は、内部に空間がない中実のほかに、内部に空間がある中空をも含む概念である。そのため、柱状部には円柱形状や円筒形状も含まれる。伝熱体は、柱状部の外周に設けられその外周の一部または全部を覆う。バンドヒータは、伝熱体を覆って伝熱体に熱結合するとともに、伝熱体を介して間接的に柱状部を加熱する。そして、伝熱体は、その軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さの2倍以上であり、かつ、その熱伝導率が被加熱体の柱状部の熱伝導率よりも大きい。これにより、バンドヒータによる加熱は、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さの2倍以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部は、伝熱体が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分がバンドヒータ1つ分以上の範囲であっても加熱される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、特許請求の範囲に記載された請求項2の技術的手段を採用する。この手段によると、バンドヒータに加えてさらに他のバンドヒータを備えている。伝熱体は、その軸方向長さが前記バンドヒータの軸方向長さの3倍以上である。そして、他のバンドヒータは、伝熱体の他端側を覆って伝熱体に熱結合するとともに、伝熱体を介して間接的に柱状部を加熱する。これにより、他のバンドヒータによる加熱も、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さの3倍以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。例えば、請求項1に記載のバンドヒータ(以下、[課題を解決するための手段]および[発明の効果]の欄において「一のバンドヒータ」という)を柱状部の一端側に配置し、他のバンドヒータを柱状部の他端側に配置し、一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間に伝熱体を配置する。これにより、柱状部は、バンドヒータが設けられていない両バンドヒータの間であってバンドヒータ1つ分以上の範囲においても、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。
また、特許請求の範囲に記載された請求項3の技術的手段を採用する。この手段によると、柱状部を有する被加熱体を加熱するヒータ装置は、伝熱体とバンドヒータを備える。柱状部は、内部に空間がない中実のほかに、内部に空間がある中空をも含む概念である。そのため、柱状部には円柱形状や円筒形状も含まれる。伝熱体は、柱状部の外周に設けられその外周の一部または全部を覆う。バンドヒータは、被加熱体の軸方向に伝熱体に隣合って位置し伝熱体を介することなく直接的に柱状部を加熱する。そして、伝熱体は、その軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さ以上であり、かつ、その熱伝導率が柱状部の熱伝導率よりも大きい。これにより、バンドヒータによる加熱は、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さ以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部は、伝熱体が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分がバンドヒータ1つ分以上の範囲であっても加熱される。
また、特許請求の範囲に記載された請求項4の技術的手段を採用する。この手段によると、バンドヒータに加えてさらに他のバンドヒータを備えている。そして、他のバンドヒータは、被加熱体の軸方向にバンドヒータの反対側に伝熱体に隣合って位置し伝熱体を介することなく直接的に柱状部を加熱する。これにより、他のバンドヒータによる加熱も、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さ以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。例えば、請求項1に記載のバンドヒータ(以下、[課題を解決するための手段]および[発明の効果]の欄において「一のバンドヒータ」という)を柱状部の一端側に配置し、他のバンドヒータを柱状部の他端側に配置し、一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間に伝熱体を配置する。これにより、柱状部は、バンドヒータが設けられていない両バンドヒータの間であってバンドヒータ1つ分以上の範囲においても、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。
また、特許請求の範囲に記載された請求項5の技術的手段を採用する。この手段によると、伝熱体の外周を覆う伝熱体カバーを備えている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、特許請求の範囲に記載された請求項の技術的手段を採用する。この手段によると、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒータ装置を備えるホットランナー装置は、射出成形型内に溶融樹脂を射出するノズルを有する。被加熱体はこのノズルであり、柱状部はこのノズルの円筒部である。これにより、バンドヒータによる加熱は、ノズルの柱状部分に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さが、バンドヒータの軸方向長さ以上や、バンドヒータの軸方向長さの2倍以上や3倍以上であり、ノズルの柱状部分よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部分よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部分は、伝熱体が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分(一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間でバンドヒータ1つ分以上の範囲)であっても加熱される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項1の発明では、バンドヒータによる加熱は、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さの2倍以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部は、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分がバンドヒータ1つ分以上の範囲であっても加熱される。したがって、バンドヒータが設けられていないバンドヒータ1つ分以上の範囲が加熱され、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項2の発明では、他のバンドヒータによる加熱も、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さの3倍以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。先の例では、柱状部は、バンドヒータが設けられていない両バンドヒータの間であってバンドヒータ1つ分以上の範囲においても、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。したがって、バンドヒータが設けられていないバンドヒータ1つ分以上の範囲が加熱され、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
請求項3の発明では、バンドヒータによる加熱は、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さ以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部は、伝熱体が設けられて覆われるその外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分がバンドヒータ1つ分以上の範囲であっても加熱される。したがって、バンドヒータが設けられていないバンドヒータ1つ分以上の範囲が加熱され、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
請求項4の発明では、他のバンドヒータによる加熱も、被加熱体の柱状部に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さがバンドヒータの軸方向長さ以上であり、かつ、被加熱体の柱状部よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。先の例では、柱状部は、バンドヒータが設けられていない両バンドヒータの間であってバンドヒータ1つ分以上の範囲においても、伝熱体が設けられて覆われる外周の一部または全部で加熱される。したがって、バンドヒータが設けられていないバンドヒータ1つ分以上の範囲が加熱され、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項の発明では、バンドヒータによる加熱は、ノズルの柱状部分に加えて伝熱体に対しても行われ、その伝熱体は軸方向長さが、バンドヒータの軸方向長さ以上や、バンドヒータの軸方向長さの2倍以上や3倍以上であり、ノズルの柱状部分よりも熱伝導率が大きいことから、当該柱状部分よりも伝熱体の方が早く熱が伝わる。そのため、柱状部分は、伝熱体が設けられて覆われるノズルの外周の一部または全部においては、バンドヒータが設けられていない部分(一のバンドヒータと他のバンドヒータとの間でバンドヒータ1つ分以上の範囲)であっても加熱される。したがって、バンドヒータの使用数を減らすことが可能になるので、電力使用量を削減することができ、また設備コストを低減させることができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
1,2…ヒータ装置
10,10a,10b…バンドヒータ
12…カバー部
13…ヒータ部
17…スペーサ
20,20a,20b…ジャケット(伝熱体)
21…ジャケット本体
21a…内周面
21b…外周面
23…隙間
30…ジャケットカバー(伝熱体カバー)
31…カバー本体
31a…内周面
31b…外周面
35…スペーサ
50…ホットランナー装置
51…マニホールド
53…ノズルタッチ
60…射出ノズル
61…円筒部
62…先端部
70…プレート
72…収容穴