(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144009
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】PETメルトブローン繊維ウェブの製造装置及びこれを用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 5/00 20120101AFI20241003BHJP
B29C 48/05 20190101ALI20241003BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20241003BHJP
D04H 3/011 20120101ALI20241003BHJP
【FI】
D04H5/00
B29C48/05
D04H3/16
D04H3/011
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147882
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2023-0040425
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523349457
【氏名又は名称】イクソン カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523349468
【氏名又は名称】アイエムビー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャ,ジョン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェ サム
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジョン ボム
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ヨ セブ
【テーマコード(参考)】
4F207
4L047
【Fターム(参考)】
4F207AA24
4F207AG14
4F207AR06
4F207AR08
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK90
4F207KM06
4F207KM16
4F207KW50
4L047AA21
4L047AA28
4L047AB02
4L047AB03
4L047AB04
4L047BA08
4L047CB03
4L047EA05
(57)【要約】
【課題】寸法安定性及び生産性の向上を図り、繊維ウェブの厚さを調節可能にするPETメルトブローン繊維の製造装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置は、フォーミングテーブルに形成されたPETメルトブローン繊維ウェブを加圧して熱処理する熱処理機を含み、熱処理機は、PETメルトブローン繊維ウェブをフォーミングテーブル側に加圧し、フォーミングテーブルの有孔性循環ベルトと共にPETメルトブローン繊維ウェブを前記ワインダー側に移送させる有孔性加圧ベルトと、有孔性加圧ベルトによって加圧移送されるPETメルトブローン繊維ウェブが結晶化されるようにPETメルトブローン繊維ウェブに高温の熱風を提供する熱風供給チャンバと、PETメルトブローン繊維ウェブを加圧する有孔性加圧ベルトの高さを調節する高さ調節手段と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PET樹脂を溶融圧出する圧出器と、前記圧出器で圧出される溶融樹脂の供給を受けて自重方向に極細化されたPETメルトブローンファイバーを放射するダイと、前記ダイの下方に離隔設置され、前記PETメルトブローンファイバーを捕集及び結集させてPETメルトブローン繊維ウェブを形成させるフォーミングテーブルと、前記PETメルトブローン繊維ウェブを巻取るワインダーと、前記フォーミングテーブル側に放射される前記PETメルトブローンファイバーにPET短繊維を混繊するブレンディングノズルと、を含むPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置において、
前記PETメルトブローン繊維ウェブの製造装置は、
前記フォーミングテーブルに形成された前記PETメルトブローン繊維ウェブを加圧して熱処理する熱処理機を含み、
前記熱処理機は、
前記PETメルトブローン繊維ウェブを前記フォーミングテーブル側に加圧し、前記フォーミングテーブルの有孔性循環ベルトと共に前記PETメルトブローン繊維ウェブを前記ワインダー側に移送させる有孔性加圧ベルトと、
前記有孔性加圧ベルトによって加圧移送される前記PETメルトブローン繊維ウェブが結晶化されるように前記PETメルトブローン繊維ウェブに高温の熱風を提供する熱風供給チャンバと、
前記PETメルトブローン繊維ウェブを加圧する前記有孔性加圧ベルトの高さを調節する高さ調節手段と、を含むことを特徴とするPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置。
【請求項2】
前記有孔性加圧ベルトは、メッシュ網状のベルトで提供され、
前記有孔性加圧ベルトは、一対のベルトフレームの間に回転可能に設置されるキャリアローラ及びベルト駆動モータのドライブローラに循環回転可能に設置され、
前記ベルトフレームの下端側を経由する前記有孔性加圧ベルトは、前記ベルトフレームの下端よりは低く前記ベルトフレームの下端両側に設置された前記キャリアローラを水平に経由するように設置され、前記PETメルトブローン繊維ウェブの表面を前記有孔性循環ベルト側に加圧しながら前記有孔性循環ベルトと共に前記PETメルトブローン繊維ウェブを前記ワインダー側に移送させることを特徴とする請求項1に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置。
【請求項3】
前記熱風供給チャンバは、前記有孔性加圧ベルトに干渉しないように前記ベルトフレームの間に設置され、前記熱処理機の外部に設置された熱風路から送風される熱風が充満し、
前記熱風供給チャンバの下部には、熱風を前記PETメルトブローン繊維ウェブ側に噴射する多数の熱風噴射ノズルが形成されることを特徴とする請求項2に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置。
【請求項4】
前記高さ調節手段は、前記有孔性加圧ベルトの上部側に離隔して固定設置される高さ調節フレームに一つ以上設置され、
前記高さ調節手段は、
前記高さ調節フレームの上部面上に設置されたギアボックスに設置される高さ調節サーボモータと、
前記高さ調節サーボモータと連動して前記有孔性加圧ベルトを昇降作動させる昇降バーとを含むことを特徴とする請求項2に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置。
【請求項5】
前記高さ調節サーボモータの作動により回転する出力軸にはピニオンギアが設置され、
前記昇降バーは、前記ギアボックスに昇降可能に設置され、前記昇降バーの下端は、前記高さ調節フレームを貫通して前記ベルトフレームの外側面上に連結され、
前記昇降バーには、前記ピニオンギアが噛合うラックギアが前記昇降バーの長さ方向に沿って延長して形成されることを特徴とする請求項4に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置。
【請求項6】
請求項1のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置を用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法において、
PET原料をメルトブローン方式で溶融放射して前記PETメルトブローンファイバーを形成させるPETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)と、
前記有孔性循環ベルトに安着する前記PETメルトブローンファイバーを捕集及び結集させて前記PETメルトブローン繊維ウェブを形成させるPETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)と、
前記PETメルトブローン繊維ウェブを加圧しながら高温の熱風を提供して、前記PETメルトブローン繊維ウェブを結晶化させるPETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)と、を含むことを特徴とするPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法。
【請求項7】
前記PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)において、
前記PETメルトブローンファイバーは、270~330℃の温度で25~60m3/minの速度で放射され、2~10μmの直径を有するように放射されることを特徴とする請求項6に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法。
【請求項8】
前記PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)において、
放射される前記PETメルトブローンファイバーに15~40μmの直径を有するPET短繊維が混繊され、
前記PET短繊維は、前記PETメルトブローンファイバーと3:7の割合で混繊されることを特徴とする請求項6に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法。
【請求項9】
前記PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)において、
前記有孔性循環ベルトは、1~10m/minの速度で移送され、
前記有孔性循環ベルトには、100~700g/m2の重量を有する前記PETメルトブローン繊維ウェブが形成されることを特徴とする請求項6に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法。
【請求項10】
前記PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)において、
前記有孔性加圧ベルトは、1~10m/minの速度で循環回転し、前記PETメルトブローン繊維ウェブの移送方向に沿って循環回転し、
前記熱風供給チャンバは、熱風噴射ノズルを通じて80~200℃の高温熱風を1~10m3/minの速度で噴射することを特徴とする請求項6に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法。
【請求項11】
前記PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)において、
前記有孔性加圧ベルトは、前記有孔性循環ベルトと1~150mmの間隔を形成し、前記PETメルトブローン繊維ウェブを加圧移送させることを特徴とする請求項10に記載のPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETメルトブローン繊維ウェブの製造装置及びこれを用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでは、本発明に関する背景技術が提供され、これらが必ずしも公知技術を意味するものではない。メルトブローン工法は、一般的にポリプロピレン(PP)を原料として繊維ウェブが製造されるようにすることであり、PPメルトブローン繊維ウェブは、各種の高性能フィルタ、油吸着布、断熱材、吸音材などとして広く使用されている。
【0003】
しかし、ポリプロピレン(PP)は、特性上、融点が約160℃で、150℃以上の高耐熱性が必要な産業分野では適用し難いという問題点があった。このような問題を解決するために、耐熱性及び物性に優れ、リサイクル性に優れた、融点が約255℃のポリエチレンテレフタレート(PET)メルトブローン繊維ウェブが広く使用されている。
【0004】
しかし、PETメルトブローン繊維ウェブの場合、他の結晶性高分子物質に比べて結晶化速度が遅く、約70℃(Tg、ガラス転移温度付近)領域で収縮が発生するため、PETメルトブローン繊維ウェブに熱処理する後加工なしでは直ちに製品に適用し難いという問題点があった。ここで、収縮が発生する原因は、高分子物質の特性上、結晶領域と非結晶領域が存在するが、ガラス転移温度領域で非結晶領域がどろどろとした形態となるため、既存維持していた形態を失い収縮が発生することになる。
【0005】
従来のPETメルトブローン繊維ウェブの熱処理は、繊維ウェブが捕集されるフォーミングテーブル(foaming table)で100℃以上200℃以下の高温の熱風をかけて熱処理が進行される。
【0006】
しかし、従来のPETメルトブローン繊維ウェブに対する熱処理時に熱風がフォーミングテーブルに捕集されるPETメルトブローン繊維ウェブに均一な温度で均一に伝達されないため、結晶化速度に差異が発生し、これにより製造されるPETメルトブローン繊維ウェブの寸法及び厚さの差異が発生するだけでなく、凸凹な形状で繊維ウェブが形成されるという問題点があった。また、従来のPETメルトブローン繊維ウェブに対する熱処理時に製造される繊維ウェブに対する厚さを調節することができないというまた他の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0393869号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-0714340号公報
【特許文献3】韓国公開特許第10-1988-0005308号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-0466556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、PETメルトブローン繊維ウェブを速い速度で結晶化させて寸法安定性及び生産性の向上を図るPETメルトブローン繊維の製造装置及びこれを用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法の提供を一目的とする。本発明は、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブの厚さを調節可能にするPETメルトブローン繊維の製造装置及びこれを用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法の提供を一目的とする。また、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されなかったまた他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここでは、本発明の全体的な要約が提供され、これが本発明の外縁を制限すると理解されてはならない。
【0010】
本発明のPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置は、PET樹脂を溶融圧出する圧出器と、圧出器で圧出される溶融樹脂の供給を受けて自重方向に極細化されたPETメルトブローンファイバーを放射するダイと、ダイの下方に離隔設置され、PETメルトブローンファイバーを捕集及び結集させてPETメルトブローン繊維ウェブを形成させるフォーミングテーブルと、PETメルトブローン繊維ウェブを巻取るワインダーと、フォーミングテーブル側に放射されるPETメルトブローンファイバーにPET短繊維を混繊するブレンディングノズルと、を含むPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置において、PETメルトブローン繊維ウェブの製造装置は、フォーミングテーブルに形成されたPETメルトブローン繊維ウェブを加圧して熱処理する熱処理機を含み、熱処理機は、PETメルトブローン繊維ウェブをフォーミングテーブル側に加圧し、フォーミングテーブルの有孔性循環ベルトと共にPETメルトブローン繊維ウェブをワインダー側に移送させる有孔性加圧ベルトと、有孔性加圧ベルトによって加圧移送されるPETメルトブローン繊維ウェブが結晶化されるようにPETメルトブローン繊維ウェブに高温の熱風を提供する熱風供給チャンバと、PETメルトブローン繊維ウェブを加圧する有孔性加圧ベルトの高さを調節する高さ調節手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一観点によるPETメルトブローン繊維の製造装置において、有孔性加圧ベルトは、メッシュ網状のベルトで提供され、有孔性加圧ベルトは、一対のベルトフレームの間に回転可能に設置されるキャリアローラ及びベルト駆動モータのドライブローラに循環回転可能に設置され、ベルトフレームの下端側を経由する有孔性加圧ベルトは、ベルトフレームの下端よりは低くベルトフレームの下端両側に設置されたキャリアローラを水平に経由するように設置され、PETメルトブローン繊維ウェブの表面を有孔性循環ベルト側に加圧しながら有孔性循環ベルトと共にPETメルトブローン繊維ウェブをワインダー側に移送させることができる。
【0012】
本発明の一観点によるPETメルトブローン繊維の製造装置において、熱風供給チャンバは、有孔性加圧ベルトに干渉しないようにベルトフレームの間に設置され、熱処理機の外部に設置された熱風路から送風される熱風が充満し、熱風供給チャンバの下部には、熱風をPETメルトブローン繊維ウェブ側に噴射する多数の熱風噴射ノズルが形成されることができる。
【0013】
本発明の一観点によるPETメルトブローン繊維の製造装置において、高さ調節手段は、有孔性加圧ベルトの上部側に離隔して固定設置される高さ調節フレームに一つ以上設置され、高さ調節手段は、高さ調節フレームの上部面上に設置されたギアボックスに設置される高さ調節サーボモータと、高さ調節サーボモータと連動して有孔性加圧ベルトを昇降作動させる昇降バーとを含むことができる。
【0014】
本発明の一観点によるPETメルトブローン繊維の製造装置において、高さ調節サーボモータの作動により回転する出力軸にはピニオンギアが設置され、昇降バーは、ギアボックスに昇降可能に設置され、昇降バーの下端は、高さ調節フレームを貫通してベルトフレームの外側面上に連結され、昇降バーには、ピニオンギアが噛合うラックギアが昇降バーの長さ方向に沿って延長して形成されることができる。
【0015】
本発明によるPETメルトブローン繊維の製造方法は、PET原料をメルトブローン方式で溶融放射してPETメルトブローンファイバーを形成させるPETメルトブローンファイバーの放射段階と、有孔性循環ベルトに安着するPETメルトブローンファイバーを捕集及び結集させてPETメルトブローン繊維ウェブを形成させるPETメルトブローン繊維ウェブの形成段階と、PETメルトブローン繊維ウェブを加圧しながら高温の熱風を提供して、PETメルトブローン繊維ウェブを結晶化させるPETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階と、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の他の観点によるPETメルトブローン繊維の製造方法のPETメルトブローンファイバーの放射段階において、PETメルトブローンファイバーは、270~330℃の温度で25~60m3/minの速度で放射され、2~5μmの直径を有するように放射されることができる。
【0017】
本発明の他の観点によるPETメルトブローン繊維の製造方法のPETメルトブローンファイバーの放射段階において、放射されるPETメルトブローンファイバーに15~40μmの直径を有するPET短繊維が混繊され、PET短繊維は、PETメルトブローンファイバーと3:7の割合で混繊されることができる。
【0018】
本発明の他の観点によるPETメルトブローン繊維の製造方法のPETメルトブローン繊維ウェブの形成段階において、有孔性循環ベルトは、1~10m/minの速度で移送され、有孔性循環ベルトには、100~700g/m2の重量を有するPETメルトブローン繊維ウェブが形成されることができる。
【0019】
本発明の他の観点によるPETメルトブローン繊維の製造方法のPETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階において、有孔性加圧ベルトは、1~10m/minの速度で循環回転し、PETメルトブローン繊維ウェブの移送方向に沿って循環回転し、熱風供給チャンバは、熱風噴射ノズルを通じて80~200℃の高温熱風を1~10m3/minの速度で噴射することができる。
【0020】
本発明の他の観点によるPETメルトブローン繊維の製造方法のPETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階において、有孔性加圧ベルトは、前記有孔性循環ベルトと1~150mmの間隔を形成し、PETメルトブローン繊維ウェブを加圧移送させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、捕集された繊維ウェブを加圧しながら熱処理するため、繊維ウェブを均一かつ速い速度で結晶化することができ、このような熱処理時間の短縮によりPETメルトブローン繊維ウェブの生産性の向上を図らせることができる。本発明によると、捕集された繊維ウェブを加圧しながら熱処理するため、均一な厚さを有するPETメルトブローン繊維ウェブを製造することができる。本発明によると、捕集された繊維ウェブの加圧高さを調節することができるため、多様な厚さを有するPETメルトブローン繊維ウェブを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置を概略的に示す図面である。
【
図2】
図1の熱処理機を概略的に示した図面である。
【
図3】本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】
図3のPETメルトブローンファイバーの放射段階を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置及びこれを用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法の実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
【0024】
本発明の本質的な技術的思想は、以下で説明する実施形態によってその実施可能形態が制限されるといえず、本発明の本質的な技術的思想に基づいて通常の技術者によって以下で説明する実施形態を置換または変更の方法により容易に提案可能な範囲を含むことを明らかにする。また、以下で使用される用語は、説明の便宜のために選択したものであるため、本発明の本質的な技術的思想を把握するにあたって、辞典的意味に制限されず、本発明の技術的思想に符合する意味で適切に解釈されるべきである。
【0025】
図1は、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置を概略的に示した図面である。
図1を参照すると、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置100は、従来通常のメルトブローン繊維ウェブの製造装置(設備)と大同小異の構成を有する。換言すると、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置100は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を溶融圧出する圧出器10と、圧出器10で圧出される溶融樹脂の供給を受けて自重方向に極細化されたPETメルトブローンファイバーFを放射するダイ20と、ダイ20の下方に離隔設置されPETメルトブローンファイバーFを捕集及び結集させてPETメルトブローン繊維ウェブWを形成させるフォーミングテーブル30と、PETメルトブローン繊維ウェブWを巻取るワインダー40とを含む。
【0026】
また、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置100は、従来通常のメルトブローン繊維ウェブの製造装置と同様にフォーミングテーブル30側に放射されるPETメルトブローンファイバーFに微細な液滴を噴霧させる二流体ノズル50と、フォーミングテーブル30側に放射されるPETメルトブローンファイバーFにPET短繊維Sをエアブレンディング(混繊)するブレンディングノズル60とをさらに含む。
【0027】
ここで、圧出器10、ダイ20、フォーミングテーブル30、ワインダー40、二流体ノズル50及びブレンディングノズル60の構成及びこれらの作動関係は、公知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0028】
一方、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置100は、従来通常のメルトブローン繊維ウェブの製造装置と異なり、フォーミングテーブル30に捕集及び結集されたPETメルトブローン繊維ウェブWを加圧して熱処理する熱処理機110をさらに含む。
【0029】
図2は、
図1に示した熱処理機を概略的に示した図面である。
図2を参照すると、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造装置100の熱処理機110は、有孔性加圧ベルト120、熱風供給チャンバ130及び高さ調節手段140を含む。
【0030】
先ず、有孔性加圧ベルト120は、フォーミングテーブル30で形成されるPETメルトブローン繊維ウェブWをフォーミングテーブル30側に加圧し、フォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32と共にPETメルトブローン繊維ウェブWをワインダー40側に移送させる。有孔性加圧ベルト120は、メッシュ網状のベルトで提供され、一端及び他端がエンドレス方式で連結された閉ループ状で提供される。
【0031】
本発明では、有孔性加圧ベルト120を特に限定しないが、有孔性加圧ベルト120は、一例として通常のメッシュベルトで提供される。そして、有孔性加圧ベルト120は、一対のベルトフレーム122の間に回転可能に設置されるキャリアローラ124及びベルト駆動モータ126のドライブローラ128に循環回転可能に設置される。
【0032】
この時、ベルトフレーム122の下端側を経由する有孔性加圧ベルト120は、ベルトフレーム122の下端よりは低くベルトフレーム122の下端両側に設置されたキャリアローラ124を水平に経由するように設置される。このようにベルトフレーム122の下端側を水平に経由する有孔性加圧ベルト120のフェース面は、フォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32の作動によってワインダー40側に移送されるPETメルトブローン繊維ウェブWの表面をフォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32側に加圧しながら有孔性循環ベルト32と共にPETメルトブローン繊維ウェブWをワインダー40側に移送させる。
【0033】
このため、有孔性加圧ベルト120は、ベルト駆動モータ126の作動によりPETメルトブローン繊維ウェブWの移送方向に沿って循環回転し、ベルト駆動モータ126は、フォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32の移送速度と同一の速度で、好ましくは1~10m/minの速度で有孔性加圧ベルト120を循環回転させる。そして、ベルトフレーム122の下端側を水平に経由する有孔性加圧ベルト120のフェース面は、高さ調節手段140の作動によってPETメルトブローン繊維ウェブWを加圧する加圧位置が調節され、これによりPETメルトブローン繊維ウェブWは多様な厚さを有するように製造される。
【0034】
熱風供給チャンバ130は、有孔性加圧ベルト120によって加圧移送されるPETメルトブローン繊維ウェブWが結晶化されるようにPETメルトブローン繊維ウェブWに高温の熱風を提供する。熱風供給チャンバ130は、循環回転する有孔性加圧ベルト120に干渉しないように一対のベルトフレーム122の間に設置され、熱処理機110の外部に設置された熱風路(図示せず)と連結される。この時、熱風供給チャンバ130の内部には、熱風路から送風される熱風が充満される。そして、熱風供給チャンバ130の下部には、熱風供給チャンバ130の内部の熱風をPETメルトブローン繊維ウェブW側に噴射する多数の熱風噴射ノズル132が多数の行と列をなして形成される。
【0035】
このように設置された熱風供給チャンバ130は、多数の熱風噴射ノズル132を通じて80~200℃の熱風を1~10m3/minの速度でPETメルトブローン繊維ウェブW側に噴射するが、PETメルトブローン繊維ウェブWが有孔性加圧ベルト120によって加圧されるため、多数の熱風噴射ノズル132を通じて噴射される熱風は、PETメルトブローン繊維ウェブWの表面及び裏面に均一な温度で伝達されることができ、これにより、PETメルトブローン繊維ウェブWは均一に結晶化(熱処理)される。
【0036】
高さ調節手段140は、PETメルトブローン繊維ウェブWを加圧する有孔性加圧ベルト120の高さを調節してPETメルトブローン繊維ウェブWを多様な厚さで製造させる。高さ調節手段140は、有孔性加圧ベルト120の上部側に離隔して固定設置される高さ調節フレーム142に一つ以上設置される。
図2には、高さ調節フレーム142に2個の高さ調節手段140が設置された状態が図示されている。高さ調節手段140は、高さ調節サーボモータ146と、高さ調節サーボモータ146と連動して有孔性加圧ベルト120を昇降作動させる昇降バー150とを含む。
【0037】
高さ調節サーボモータ146は、図示のように高さ調節フレーム142の上部面上に設置されたギアボックス144に設置される。この時、高さ調節サーボモータ146の作動により回転する出力軸(図示せず)には、ギアボックス144を媒介として昇降バー150と噛合うピニオンギア148が設置される。
【0038】
昇降バー150は、垂直に延長されたバー(bar)状で提供され、ギアボックス144に昇降可能に設置される。この時、昇降バー150の下端は、高さ調節フレーム142を貫通し、高さ調節フレーム142を貫通した昇降バー150の下端は、有孔性加圧ベルト120に干渉しないようにベルトフレーム122の外側面上に連結される。そして、昇降バー150にはピニオンギア148が噛合うラックギア152が昇降バー150の長さ方向に沿って延長して形成される。
【0039】
すなわち、高さ調節サーボモータ146が出力軸を一側または他側に回転させると、出力軸に沿ってピニオンギア148も一側または他側に回転し、ピニオンギア148が一側または他側に回転することにより、ピニオンギア148が噛合うラックギア152が形成された昇降バー150は昇降作動するが、これにより、ベルトフレーム122及び有孔性加圧ベルト120は、昇降バー150に沿って昇降作動しながらその高さが調節される。
【0040】
好ましくは、高さ調節手段140は、フォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32と有孔性加圧ベルト120との間が1~150mmの間隔で調節されるように有孔性加圧ベルト120がPETメルトブローン繊維ウェブWを加圧移送可能にする。
【0041】
下記では、PETメルトブローン繊維ウェブの製造装置を用いたPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法について説明する。添付の図面のうち、
図3及び
図4は、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法を概略的に示したフローチャートであり、本発明によるPETメルトブローン繊維ウェブの製造方法は、PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)、PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)及びPETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)を含む。
【0042】
PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)
PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)は、PET(ポリエチレンテレフタレート)高分子樹脂をメルトブローン方式で溶融放射してPETメルトブローンファイバーFを形成させる段階(S10)である。
【0043】
PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)において形成されるPETメルトブローンファイバーFは、フォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32と垂直方向に向い合うダイ20を通じて有孔性循環ベルト32側に垂直に溶融放射される。ここで、フォーミングテーブル30は、後で行うPETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)において、PETメルトブローンファイバーFを捕集及び結集させてPETメルトブローン繊維ウェブWを製造させる。
【0044】
一方、PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)を説明すると、PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)は、PET原料の装入段階(S10-1)、PET原料の圧出段階(S10-2)及びPET原料の放射段階(S10-3)を含む。PET原料の装入段階(S10-1)は、用意したPET原料を圧出器10と連結されたドライホッパー(図示せず)に装入させる段階(S10-1)であり、PET原料の装入段階(S10-1)では、通常のスプリングコンベヤを通じてPET原料をドライホッパーに装入させることができる。
【0045】
そして、ドライホッパーに装入されたPET原料は、ドライホッパーの下部側に設置された圧出器10に移送されるが、このようにドライホッパーから圧出器10に移送される過程で、PET原料は、約0.01~1.0%の水分含量を有するように熱風によって乾燥することができる。PET原料の圧出段階(S10-2)は、ドライホッパーからPET原料の供給を受けて移送させながらPET原料を溶融させ、溶融されたPET原料を圧出させる段階(S10-2)であり、PET原料の圧出段階(S10-2)において、PET原料は、280~300℃を維持しながら1,250g/minの速度で圧出されることができる。
【0046】
ここで、PET原料が280℃未満の温度で圧出されると、流れ性が低くなり負荷がかかるだけでなく、分子量が上昇するという問題が発生して、物性が変わるおそれがあり、PET原料が300℃を超える温度で圧出されると、熱分解により分子量の低下が発生し得て、物性が低下し黄変するという問題が発生するおそれがある。
【0047】
また、PET原料の圧出速度は、溶融温度によって異なって設定されることができるが、PET原料の圧出速度が遅過ぎる場合、圧出器内における滞留時間が長くなり熱分解により分子量が低下し、圧出速度が速過ぎる場合、未溶融現象が発生するおそれがある。したがって、PET原料の圧出速度は1,250g/minが好ましい。そして、圧出器で圧出される溶融されたPET原料は、通常のスクリーンチェンジャー(図示せず)及びギアポンプ(図示せず)を経てPET原料の放射段階(S10-3)に供給されることができる。
【0048】
PET原料の放射段階(S10-3)は、PET原料の圧出段階(S10-2で供給される溶融されたPET原料を高温、高圧の気体を用いて極細化された繊維、PETメルトブローンファイバーの形態で放射する段階(S10-3)である。PET原料の放射段階(S10-3)に供給される溶融されたPET原料は、ダイ20を経てダイ20の下部に設置された放射ノズルを通じて自重方向に流れ、放射ノズルを通じて流れる溶融されたPET原料は、放射ノズルの側面側で噴射される高温、高圧の気体によって自重方向に伸長及び直径が減少して極細化されたPETメルトブローンファイバーFの形態で放射されることができる。
【0049】
ここで、高温、高圧の気体は310~330℃であってよく、25~60m3/minの速度で噴射されてよいが、高温、高圧の気体の温度が310℃未満であると、放射されるPETメルトブローンファイバーFが直ぐ冷却してソフト(soft)な繊維ではなくハード(hard)な繊維となり、高温、高圧の気体の温度が330℃を超えると、熱分解が起こり、繊維が黄変する。
【0050】
好ましくは、PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)において、PETメルトブローンファイバーFは、2~10μmの直径を有するように放射されるが、PETメルトブローンファイバーFの直径が2μm未満であると、作業容易性が劣り、安定した工程条件を形成し難く、PETメルトブローンファイバーFの直径が10μmを超えると、吸音性能が低下する。
【0051】
一方、PETメルトブローンファイバーの放射段階(S10)では図示していないが、PET短繊維Sを混繊する、PET短繊維エアブレンディング段階が選択的に加えられてよい。PET短繊維エアブレンディング段階は、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブWにバルキー性を付与するためのもので、PET短繊維Sは、ブレンディングノズル60を通じてフォーミングテーブル30側に放射されるPETメルトブローンファイバーFにエアブレンディング(混繊)されることができる。
【0052】
ここで、PET短繊維Sは、15~40μmの直径を有するが、PET短繊維Sの直径が15μmであると、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブWにバルキー性を付与し難く、PET短繊維Sの直径が40μmを超えると、バルキー性が向上するものの製造されるPETメルトブローン繊維ウェブWの綿密度が劣り吸音性能が低下する。
【0053】
一例として、低周波(1,000Hz以下)領域帯の吸音性能の向上のために、PETメルトブローンファイバーFとPET短繊維Sは3:7の割合で混繊され、中、高周波領域(1,000Hz以上)領域帯の吸音性能の向上のためにPETメルトブローンファイバーFとPET短繊維Sは7:3の割合で混繊される。すなわち、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブの使用先によってPETメルトブローンファイバーFとPET短繊維Sの混繊割合は可変されてよく、一般的にPETメルトブローンファイバーFとPET短繊維Sは5:5の割合で混繊される。
【0054】
PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)
PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)は、フォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32に安着するPETメルトブローンファイバーFを捕集及び結集させてPETメルトブローン繊維ウェブWを形成する段階(S20)である。
【0055】
PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)において、PETメルトブローンファイバーFは、循環移送される有孔性循環ベルト32に捕集されて有孔性循環ベルト32に沿って移送され、有孔性循環ベルト32に沿って移送されるPETメルトブローンファイバーFは、フォーミングテーブル30に備えられる通常のサクション手段によって結合してPETメルトブローン繊維ウェブWとして形成される。
【0056】
ここで、フォーミングテーブル32は、PETメルトブローンファイバーFを溶融放射する放射ノズルと10~100cm離隔して配置されることができ、有孔性循環ベルト32は、1~10m/minの速度で移送されることができ、これにより、有孔性循環ベルト32には、100~700g/m2の重量を有するPETメルトブローン繊維ウェブWが形成されることができるが、フォーミングテーブル32と放射ノズルの離隔距離及び有孔性循環ベルト32の移送速度が前記臨界値未満であるか超えると、100~700g/m2の重量を有するPETメルトブローン繊維ウェブWを形成することができなくなる。
【0057】
一例として、PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)において、有孔性循環ベルト32の移送速度を5m/minで設定すると、400g/m2の重量を有するPETメルトブローン繊維ウェブWが形成されることができる。また、PETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)において、本発明ではサクション手段のサクション圧力を特に限定はしないが、捕集されるPETメルトブローン繊維ウェブWが過度に密集せずPETメルトブローン繊維ウェブWが飛散しない範囲で設定される。このようにPETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)で形成されたPETメルトブローン繊維ウェブWのワインダー40側に移送される。
【0058】
PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)
PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)は、先行するPETメルトブローン繊維ウェブの形成段階(S20)で形成されたPETメルトブローン繊維ウェブWの移送に干渉しないようにPETメルトブローン繊維ウェブWを加圧しながら高温の熱風を提供して、PETメルトブローン繊維ウェブWを結晶化させる段階(S30)である。
【0059】
PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)において、フォーミングテーブル30に形成されたPETメルトブローン繊維ウェブWは、熱処理機110の有孔性加圧ベルト120によってフォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32側に加圧され、有孔性加圧ベルト120によって加圧されたPETメルトブローン繊維ウェブWは、熱処理機110の熱風供給チャンバ130に形成された熱風噴射ノズル132を通じて噴射される高温の熱風によって結晶化される。
【0060】
この時、有孔性加圧ベルト120は、有孔性循環ベルト32の移送速度と同一の1~10m/minの速度で回転し、PETメルトブローン繊維ウェブWの移送方向に沿って循環回転する。そして、熱風噴射ノズル132では80~200℃の高温熱風が1~10m3/minの速度で噴射されることができ、好ましくは、熱風噴射ノズル132では160℃の高温熱風が6m3/minの速度で噴射されることができる。
【0061】
ここで、高温熱風が80℃未満であると、PETガラス転移温度及び結晶化温度より低く安定化熱処理を進行しても、非結晶領域の結晶化がなされず、120℃以上の温度で収縮が発生し、高温熱風が200℃を超えると、収縮が激しく発生し、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブがハード(Hard)になり、黄変するという問題が発生し得る。
【0062】
また、高温熱風の噴射速度が1m3/min未満であると、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブの直径が太くなり、繊維状に形成されず、高温熱風の噴射速度が10m3/minを超えると、製造されるPETメルトブローン繊維ウェブの直径が細くなるだけでなく、フォーミングテーブル30に捕集されず飛散する。そして、PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)において、有孔性加圧ベルト120は、熱処理機110の高さ調節手段140によってフォーミングテーブル30の有孔性循環ベルト32と1~150mmの間隔を形成してPETメルトブローン繊維ウェブWを加圧移送させ、これにより、PETメルトブローン繊維ウェブWは、有孔性加圧ベルト120と有孔性循環ベルト32間の間隔に対応する多様な厚さを有するように製造されることができる。
【0063】
一方、PETメルトブローン繊維ウェブの加圧熱処理段階(S30)を経たPETメルトブローン繊維ウェブWの表面と裏面には、不織布(図示せず)などが加熱圧着されることができる。このように形成された本発明によると、PETメルトブローン繊維ウェブWを加圧しながら熱処理するため、PETメルトブローン繊維ウェブWを均一かつ速い速度で結晶化することができ、このような熱処理時間の短縮によりPETメルトブローン繊維ウェブWの生産性の向上を図らせることができる。
【0064】
本発明によると、PETメルトブローン繊維ウェブWを加圧しながら熱処理するため、均一な厚さを有するPETメルトブローン繊維ウェブWを製造可能にする。本発明によると、PETメルトブローン繊維ウェブWの加圧高さを調節することができるため、多様な厚さを有するPETメルトブローン繊維ウェブWを製造可能にする。
【符号の説明】
【0065】
10 圧出器
20 ダイ
30 フォーミングテーブル
32 有孔性循環ベルト
40 ワインダー
50 二流体ノズル
60 ブレンディングノズル
100 PETメルトブローン繊維ウェブの製造装置
110 熱処理機
120 有孔性加圧ベルト
122 ベルトフレーム
124 キャリアローラ
126 ベルト駆動モータ
128 ドライブローラ
130 熱風供給チャンバ
132 熱風噴射ノズル
140 高さ調節手段
142 高さ調節フレーム
144 ギアボックス
146 高さ調節サーボモータ
148 ピニオンギア
150 昇降バー
152 ラックギア