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特開2024-144041河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法
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  • 特開-河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144041
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/127 20190101AFI20241003BHJP
   E03F 11/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C02F11/127 ZAB
E03F11/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023187502
(22)【出願日】2023-11-01
(31)【優先権主張番号】202310323300.2
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523414641
【氏名又は名称】中国市政工程華北設計研究院総院有限公司
【氏名又は名称原語表記】North China Municipal Engineering Design & Research Institute Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.99, Qixiangtai Road, Hexi District, Tianjin 300074, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】孫 永利
(72)【発明者】
【氏名】張 維
(72)【発明者】
【氏名】田 騰飛
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬峰
(72)【発明者】
【氏名】劉 静
(72)【発明者】
【氏名】王 詣達
(72)【発明者】
【氏名】隋 克儉
(72)【発明者】
【氏名】李 家駒
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA09
4D059BE37
4D059BF17
4D059CC10
4D059EB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出し資源化が可能な処理方法を提供する。
【解決手段】泥吸引装置を用いて、河川の底泥から浚渫されたスラリーを連続的にふるい分けユニット内に送り込む。ふるい分け処理後のスラリーを高速撹拌装置に投入し、底泥中の有機成分と無機成分の物理分離を完了する。高速撹拌装置から排出されたスラリー混合液を遠心ユニットへ移送する。遠心ユニットの旋回流遠心作用により、比重の異なる物質の上下の成層化を継続的に実現し、このうち高有機物濃度混合液は近くで市町村下水検査井に排出される。
【効果】水域の自浄能力と下水処理場に入る水の有機物濃度を高め、水域の悪臭リスクと温室効果ガスの排出量を減少し、プロセス中に化学薬品を投与する必要がなく、業界のグリーン低炭素発展に役立つ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法であって、
泥吸引装置を用いて、含水率が90%より高い河川の底泥から浚渫されたスラリーを連続的にふるい分けユニット内に送り込み、前記ふるい分けユニットの格子板の孔径が0.2~5mmの範囲である、ステップS1と、
ふるい分け処理後のスラリーを、重力または圧力により、周波数変換高速撹拌装置に投入し、200r/minを超える撹拌速度で急速撹拌混合し、撹拌混合中に無機粒子から有機物を剥離して液相に入れる、ステップS2と、
前記周波数変換高速撹拌装置から排出された有機・無機混合液をスラリー移送ポンプにより遠心ユニットに移送し、前記有機・無機混合液は接線方向で前記遠心ユニットに入り、接線角度が20°~45°である、ステップS3と、
前記遠心ユニットの旋回流遠心作用により、比重の異なる物質の上下の成層化を継続的に実現し、プロセス中に化学薬品を投与する必要がない、ステップS4と、
前記遠心ユニットの中上部排出口から流出した比重<1の高有機物濃度混合液を、搬送管路を介して市町村下水検査井に近く排出し、下水と一緒に町の下水処理場に流入させて資源化しており、下部比重>1の無機不活性成分を主とする汚泥は旋回流遠心力と重力の作用でスラッジバケットに入って排出され、浚渫後の河川底部と法面の手入れに使用される、ステップS5と、を含む、ことを特徴とする河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【請求項2】
前記ふるい分けユニットで分離して得られた砂利を含む無機粒子状物を、その場で河川や法面の手入れに使用すること、を特徴とする請求項1に記載の河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【請求項3】
前記周波数変換高速撹拌装置の撹拌強度及び滞留時間は、浚渫されたスラリー中の有機・無機物質の分離特性に応じて決定され、接線方向の見かけ流速が0.2m/s以上、水力滞留時間が30s以上、最長滞留時間が2分以下であること、を特徴とする請求項1に記載の河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【請求項4】
前記遠心ユニットの内部に低速撹拌パドルを設け、底部にスラッジバケットを設け、高さ1/2~2/3に高有機物濃度混合液排出口を設けること、を特徴とする請求項1に記載の河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【請求項5】
50r/min未満の低速撹拌により前記有機・無機混合液を旋回流とし、低速旋回流により遠心分離して、前記遠心ユニットの中上部に有機成分を主体とする比重<1のスラリー混合液を集め、比重>1の無機不活性成分を遠心力と重力により前記遠心ユニットの下部のスラッジバケットに沈殿させること、を特徴とする請求項1に記載の河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【請求項6】
前記ふるい分けユニット、前記周波数変換高速撹拌装置及び前記遠心ユニットは、必要に応じて別体構造又は合体構造を設置することができること、を特徴とする請求項1に記載の河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【請求項7】
抽出により得られた高有機物濃度混合液は、VSS/SSが0.5以上であり、都市部下水処理場の生物処理炭素源に資源化することができること、を特徴とする請求項1に記載の河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は都市部の排水と汚水処理技術の分野に属し、具体的には河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活汚水の直接排出、乾季の汚水の流出及び降雨の越流汚染などによる汚染物質が川に入り、汚染物質が河川に沈積し、嫌気性の黒色や悪臭が発生することは、多くの都市が長期的に直面しなければならない水環境管理の難題である。汚染物質が川に入ることによる底泥の沈着、悪臭は、水域の水質を長期的に維持するために定期的な浚渫が重要な仕事内容となっており、またCH4などの非二酸化炭素温室効果ガスの発生と排出の深刻な原因になりやすい。
【0003】
従来の河川の浚渫には、多くの場合、排水浚渫法を採用し、水域の生態環境に破壊をもたらすだけでなく、浚渫過程において水域沿いの汚染制御ボックスカルバート、道路、建築物及びその他の都市インフラの機能と構造の安全に影響しやすい。次に、浚渫で大量の含水率が比較的高い底泥を発生させ、底泥浚渫工事の施工場所、底泥輸送路と一時貯留用地を追加設置する必要があり、さらには現場脱水の流れが必要である。また、事前に底泥処理処置の出口を確定しなければならず、関連の管理規定、要求は煩雑で複雑である。浚渫過程は施工量が多く、コストが高く、時間がかかるなどの特徴がある。
【0004】
調査研究の分析により、多くの都市の河川汚染底泥の揮発分が占める割合はVSS/SSが10%以上であり、あるものは20%~30%に達した。表層の有機汚染物質を豊富に含む底泥の嫌気反応は水の悪臭の主な要因であり、底泥中の有機物を除去することで水の悪臭の問題を解決することができる。一方、汚染底泥からの大量の有機物をその場で下水管路に流して町の下水処理場に流入させることで、流入水の有機物濃度を高め、生物処理の効率を向上させることも可能となった。そのため、底泥浚渫と有機炭素源の同時抽出は、従来の底泥浚渫による工事量が多く、浄化処理・処置圧力が大きいなどの実際の難題を解決しただけでなく、水域の自浄能力と下水処理場の流入水有機物(COD、BOD5)濃度の上昇、水域の悪化・臭化リスクの低下、非二酸化炭素温室効果ガスの生産・排出量の減少に対しても積極的な作用を有している。
【0005】
そのため、河川底泥の浚渫と同時に有機炭素源を抽出する方法の研究開発・形成が急務であり、河川の浚渫・管理と資源化・利用方式の革新、水域の自浄能力と汚水処理システムの運行効率の向上を実現し、排水業界のグリーン・低炭素・高品質の発展を支援する上で重要な意義を持つ。
【0006】
関連特許と比較すると、中国の発明特許CN201811611507.5「水域底部を浚渫する底泥溶出船」は、全体構造がヒンジ吸引ヘッド、船載式汚泥コンディショニングシステム、スクリューポンプ及び船載式回転フィルタープレスを含む船式底泥溶出装置を提供し、該装置はヒンジ吸引ヘッドのみを利用して底泥を吸引した後にスラグ除去、圧縮、沈殿等の脱水処理を行い、炭素源抽出及び有機・無機分離機能が存在せず、且つ全体構造はいずれも本特許と大きく区別される。中国の発明特許CN202110154231.8「多室遠心式底泥溶出浄化プラットフォーム」は、水面上で移動可能なプラットフォーム本体を含む多室遠心式底泥溶出浄化プラットフォームを提供し、この装置は主に可視化ユニットと知能制御ユニットを利用して底泥を固液分離し、その後分離した汚水に対して窒素汚染の削減を行い、主な機能は本特許と著しく異なり、かつ主な構造及び遠心装置の設置目的も本特許と異なる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術の欠点を克服し、河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法を提供することを目的とし、特に、現在中国の大部分の都市で、水の悪臭を除去し、水質を維持するために定期的に実施されている河川底泥の浚渫作業に好適な方法を提供することを目的とする。本発明は河川底泥の浚渫過程で底泥中の有機汚染物の高速な除去と同時にその場で資源化利用することを実現し、伝統河川の浚渫工程の量が多く、浚渫された底泥の処理・処置が困難などの現実問題を効果的に解決した。水域の自浄能力と下水処理場に流入する有機物(COD、BOD5)濃度を高め、水域の悪臭リスクと温室効果ガスの排出量を減少し、過程に薬剤を投入する必要がなく、業界のグリーン低炭素発展に役立つ。
【0008】
以上の技術的目的を達成するために、本発明の実施例が採用する技術的解決手段は、河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法であり、以下のステップを含む:
ステップS1では、泥吸引装置を用いて、河川の底泥から浚渫されたスラリーを連続的にふるい分けユニット内に送り込む。
ステップS2では、ふるい分け処理後のスラリーを、重力または圧力により、周波数変換高速撹拌装置に投入し、200r/minを超える撹拌速度で急速撹拌混合し、撹拌混合中に無機粒子から有機物を剥離して液相に入れる。
ステップS3では、上記高速撹拌装置から排出された有機・無機混合液をスラリー移送ポンプにより遠心ユニットに移送する。
ステップS4では、上記遠心ユニットの旋回流遠心作用により、比重の異なる物質の上下の成層化を継続的に実現する。
ステップS5では、上記遠心ユニットの中上部排出口から流出した比重<1の高有機物濃度混合液を、搬送管路を介して市町村下水検査井に近く排出し、下水と一緒に町の下水処理場に継続的に流入させて資源化する。下部比重>1の無機不活性成分を主とする汚泥は旋回流遠心力と重力の作用でスラッジバケットに入って排出され、浚渫後の河川底部と法面の手入れに使用される。
【0009】
さらに、上記ふるい分けユニットに進入したスラリーの含水率が90%超えであり、上記ふるい分けユニットの格子板の孔径が0.2~5mmの範囲である。
【0010】
さらに、上記ふるい分けユニットで分離して得られた砂利を含む無機粒子状物を、その場で河川や法面の手入れに使用する。
【0011】
さらに、上記高速撹拌装置の撹拌強度及び滞留時間は、浚渫されたスラリー中の有機・無機物質の分離特性に応じて決定され、接線方向の見かけ流速が0.2m/s以上、水力滞留時間が30s以上、最長滞留時間が2分以下である。
【0012】
さらに、上記遠心ユニットの内部に低速撹拌パドルを設け、底部にスラッジバケットを設け、高さ1/2~2/3に高有機物濃度混合液排出口を設ける。
【0013】
さらに、上記スラリー移送ポンプは、遠心ユニットに接線角度20°~45°の範囲で接線方向にスラリー混合液を送り込み、50r/min未満の低速撹拌によりスラリー混合液を旋回流とし、低速旋回流により遠心分離して、上記遠心ユニットの中上部に有機成分を主体とする比重<1のスラリー混合液を集め、比重>1の無機不活性成分を遠心力と重力により上記遠心ユニットの下部のスラッジバケットに沈殿させ、プロセス中に化学薬品を投与する必要がない。
【0014】
さらに、上記ふるい分けユニット、高速撹拌装置及び遠心ユニットは必要に応じて別体構造又は合体構造を設置することができる。
【0015】
さらに、抽出により得られた上記高有機物濃度混合液は、VSS/SSが0.5以上であり、都市部下水処理場の生物処理炭素源に資源化することができる。
【0016】
従来技術と比較して、本発明の実施例の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する:
1、本発明は物理的分離方法により河川底泥中の有機汚染物質を高速に除去し、有機物排出パイプラインを通じて都市下水管網と直接連結し、同時に除去された有機物の現地資源化利用を実現し、伝統的な河川底泥の浚渫された底泥処理・処置圧力が大きい、下水処理場の生物炭素源不足、水域の悪臭と温室効果ガスの発生・排出などの多重問題を効果的に解決できる。
2、既存の伝統的な河川底泥浚渫処理方式と比較して、本発明は、浚渫された底泥の同時現場処理及び資源化利用により、河川悪臭底泥をすべて除去し、外に出して処理・処置する必要があった河川浚渫方式を変更し、脱水、輸送、積み重ね、処理・処置のコストを節約した。
3、本発明の革新は底泥中の有機汚染物質を生物処理用炭素源とし、水域の悪臭を抑制し、水域の炭素排出量を低減すると同時に、下水処理場に入る水の有機物濃度を効果的に引き上げ、生物処理の効果を改善し、グリーン、低炭素、高効率などの利点を持つ。
4、本発明は的確性、実用性と操作性が高く、河川底泥の浚渫と同時に資源化利用に新しいモデルを提供でき、中国の都市排水業界のグリーン・低炭素・高品質発展に重要な現実的意義を持つ。
5、本発明は河川底泥の有機汚染物の高速除去過程において同時に資源化利用を行い、伝統的な河川の浚渫工程の量が多く、浚渫された底泥の処理・処置が困難などの現実的な問題を効果的に解決し、水域の自浄能力と下水処理場に入る水の有機物濃度を著しく高めることができ、水域の悪臭のリスクと温室効果ガスの生産・排出量を減らすことができ、プロセス中に化学薬品を投与する必要がなく、業界のグリーン・低炭素の発展に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明による河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する流れを模式的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法であり、以下のステップを含む:
ステップS1では、泥吸引装置を用いて、河川の底泥から浚渫されたスラリーを連続的にふるい分けユニット内に送り込む。
上記ふるい分けユニットに進入したスラリーの含水率が90%超えであり、上記ふるい分けユニットの格子板の孔径が0.2~5mmの範囲である。上記ふるい分けユニットで分離して得られた砂利を含む無機粒子状物を、その場で河川や法面の手入れに使用する。
ステップS2では、ふるい分け処理後のスラリーを、重力または圧力により、周波数変換高速撹拌装置に投入し、200r/minを超える撹拌速度で急速撹拌混合し、撹拌混合中に無機粒子から有機物を剥離して液相に入れる。
上記高速撹拌装置の撹拌強度及び滞留時間は、浚渫されたスラリー中の有機・無機物質の分離特性に応じて決定され、接線方向の見かけ流速が0.2m/s以上、水力滞留時間が30s以上、最長滞留時間が2分以下である。
ステップS3では、上記高速撹拌装置から排出された有機・無機混合液をスラリー移送ポンプにより遠心ユニットに移送する。
遠心ユニットの内部に低速撹拌パドルを設け、底部にスラッジバケットを設け、高さ1/2~2/3に高有機物濃度混合液排出口を設ける。
ステップS4では、上記遠心ユニットの旋回流遠心作用により、比重の異なる物質の上下の成層化を継続的に実現する。
具体的に、上記スラリー移送ポンプは、遠心ユニットに接線角度20°~45°の範囲で接線方向にスラリー混合液を送り込み、50r/min未満の低速撹拌によりスラリー混合液を旋回流とし、低速旋回流により遠心分離して、上記遠心ユニットの中上部に有機成分を主体とする比重<1のスラリー混合液を集め、比重>1の無機不活性成分を遠心力と重力により上記遠心ユニットの下部のスラッジバケットに沈殿させ、プロセス中に化学薬品を投与する必要がない。
ステップS5では、上記遠心ユニットの中上部排出口から流出した比重<1の高有機物濃度混合液を、搬送管路を介して市町村下水検査井に近く排出し、下水と一緒に町の下水処理場に継続的に流入させて資源化する。下部比重>1の無機不活性成分を主とする汚泥は旋回流遠心力と重力の作用でスラッジバケットに入って排出され、浚渫後の河川底部と法面の手入れに使用される。
【0019】
さらに、ふるい分けユニット、高速撹拌装置及び遠心ユニットは必要に応じて別体構造又は合体構造を設置することができる。
【0020】
ステップ5で抽出により得られた高有機物濃度混合液は、VSS/SSが0.5以上であり、都市部下水処理場の生物処理炭素源に資源化することができる。
【0021】
本発明の目的、技術的解決手段、および利点をより明確にするために、以下では、添付の図面および実施例に関連して、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するためには使用されないことが理解されるべきである。
【0022】
実施例1
図1に示すように、河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法であって、ある場所の運河水環境治理工事を例にし、同時現場処理は以下のステップを含む:
ステップS1では、泥吸引装置1を用いて、運河の底泥から浚渫された含水率が98%であるスラリーを連続的にふるい分けユニット2内に送り込む。ふるい分けユニット2の格子板の孔径が2mmである。ふるい分けユニット2で分離して得られた直径2mm以上の無機粒子状物を、河川や法面の手入れに使用する。
ステップS2では、ふるい分け処理後のスラリーを、重力または圧力により、周波数変換高速撹拌装置3に投入し、1000r/minの撹拌速度で急速撹拌混合し、撹拌混合の過程で粒子状物質が相互に摩擦して有機物質が無機粒子から剥離して液相に入り、底泥中の有機成分と無機成分の物理的分離を完成する。
ここで高速撹拌装置3の撹拌強度及び滞留時間は、浚渫されたスラリー中の有機・無機物質の分離特性に応じて決定され、接線方向の見かけ流速が0.5m/sであり、水力滞留時間が1minである。
ステップS3では、高速撹拌装置3から排出されたスラリー混合液をスラリー移送ポンプ4により遠心ユニット5に移送する。スラリー移送ポンプ4は、スラリー混合液を遠心ユニット5に接線方向に移送し、接線方向角度は30°である。
遠心ユニット5の内部に低速撹拌パドルを設け、底部にスラッジバケットを設け、高さ2/3に高有機物濃度混合液排出口を設ける。
ステップS4では、遠心ユニット5の旋回流遠心作用により、比重の異なる物質の上下の成層化を継続的に実現する。
具体的に、30r/minの低速撹拌によりスラリー混合液を旋回流とし、低速旋回流により遠心分離して、遠心ユニット5の中上部に有機成分を主体とする比重<1のスラリー混合液を集め、比重>1の無機不活性成分を遠心力と重力により遠心ユニット5の下部のスラッジバケットに沈殿させ、遠心分離を1分間維持する。
ステップS5では、遠心ユニット5の中上部排出口から重力により流出した比重<1の高有機物濃度混合液を、搬送管路を介して市町村下水検査井7に近く排出し、下水と一緒に町の下水処理場に継続的に流入させ、流入水の有機炭素源含有量を高める。下部比重>1の無機不活性成分を主とする汚泥は重力によりスラッジバケットに入って排出され、浚渫後の河川法面の手入れに使用される。
【0023】
ふるい分けユニット2、高速撹拌装置3及び遠心ユニット5は合体構造であり、装置全体の体積を減少させる。
【0024】
ステップ5で抽出により得られた高有機物濃度混合液は、VSS/SSが0.6であり、都市部下水処理場の生物処理炭素源に資源化することができる。
【0025】
実施例2
河川底泥の浚渫と同時にその場で有機炭素源を抽出する方法であって、ある池の底泥改善工事に応用し、以下のステップを含む:
ステップS1では、泥吸引装置1を用いて、河川の底泥から浚渫された含水率が96%であるスラリーを連続的にふるい分けユニット2内に送り込む。ふるい分けユニット2の格子板の孔径が5mmである。ふるい分けユニット2で分離して得られた直径5mm以上の無機粒子状物を、河川や法面の手入れに使用する。
ステップS2では、ふるい分け処理後のスラリーを、重力または圧力により、周波数変換高速撹拌装置3に投入し、平均で、500r/minの撹拌速度で急速撹拌混合し、撹拌混合の過程で粒子状物質が相互に摩擦して有機物質が無機粒子から剥離して液相に入り、底泥中の有機成分と無機成分の物理的分離を完成する。
高速撹拌装置3の撹拌強度及び滞留時間は、浚渫されたスラリー中の有機・無機物質の分離特性に応じて決定され、接線方向の見かけ流速が0.2m/sであり、水力滞留時間が2minである。
ステップS3では、高速撹拌装置3から排出されたスラリー混合液をスラリー移送ポンプ4により遠心ユニット5に移送する。スラリー移送ポンプ4は、スラリー混合液を遠心ユニット5に接線方向に移送し、接線方向角度は45°である。
遠心ユニット5の内部に低速撹拌パドルを設け、底部にスラッジバケットを設け、高さ1/2に高有機物濃度混合液排出口を設ける。
ステップS4では、遠心ユニット5の旋回流遠心作用により、比重の異なる物質の上下の成層化を継続的に実現する。
具体的に、20r/minの低速撹拌によりスラリー混合液を旋回流とし、低速旋回流により遠心分離して、遠心ユニット5の中上部に有機成分を主体とする比重<1のスラリー混合液を集め、比重>1の無機不活性成分を遠心力と重力により遠心ユニット5の下部のスラッジバケットに沈殿させ、遠心分離を1分間維持する。
ステップS5では、遠心ユニット5の中上部排出口から重力により流出した比重<1の高有機物濃度混合液を、搬送管路6を介して市町村下水検査井7に近く排出し、下水と一緒に町の下水処理場に継続的に流入させ、流入水の有機炭素源含有量を高める。下部比重>1の無機不活性成分を主とする汚泥は重力によりスラッジバケットに入って排出され、浚渫後の河川法面の手入れに使用される。
【0026】
さらに、ふるい分けユニット2、高速撹拌装置3及び遠心ユニット5は別体構造に設置し、操作難度を低減し、クリーニングとメンテナンスしやすい。
【0027】
抽出により得られた高有機物濃度混合液は、VSS/SSが0.8であり、池周囲の草地及び樹木の栄養土とすることができ、且つ土壌肥沃度を向上させる。
【0028】
最後に説明すべきものとして、以上の実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのものであって限定するものではなく、当業者であれば、本発明の技術的原理から逸脱しない前提で、本発明の技術的解決手段を修正又は同等置換を行うことができ、これらの修正及び同等置換もいずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0029】
1 泥吸引装置
2 ふるい分けユニット
3 高速撹拌装置
4 スラリー移送ポンプ
5 遠心ユニット
6 搬送管路
7 下水検査井
図1