(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144048
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/40 20160101AFI20241003BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241003BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
H02P29/40
F24F7/007 B
F24F11/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190346
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2023054465
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】種治 健太
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
5H501
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L260BA12
3L260BA38
3L260CB79
3L260FC02
3L260FC03
5H501AA08
5H501BB02
5H501CC06
5H501DD06
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501JJ25
5H501KK06
5H501LL01
5H501LL22
5H501LL35
5H501LL38
(57)【要約】
【課題】電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定する技術を提供する。
【解決手段】回転数検出部は、モータの回転数を検出する。電流特定部30は、モータに流れる電流値を特定する。制御部16は、モータの回転数と、モータに流れる電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する。出力回路18は、(1)モータに流れる電流を第1抵抗器20a、第2抵抗器20b、第3抵抗器20cにより電圧に変換し、(2)変換した電圧を、増幅率が互いに異なり、かつ並列に接続された第1増幅器21aと第2増幅器21bに入力し、(3)第1増幅器21aと第2増幅器21bで増幅された複数の出力電圧を出力する。電流特定部30は、複数の出力電圧の中から、モータに流れる電流値を特定可能な出力電圧を選択することによって、モータに流れる電流値を特定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転により換気風量を発生させる羽根と、
前記羽根を回転させるモータと、
前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、
前記モータに流れる電流値を特定する電流特定部と、
前記回転数検出部により検出された前記モータの前記回転数と、前記電流特定部により特定された前記モータに流れる前記電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部と、
(1)前記モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、(2)変換した前記電圧を、増幅率が互いに異なり、かつ並列に接続された複数の増幅器のそれぞれに入力し、(3)前記複数の増幅器のそれぞれで増幅された複数の出力電圧を出力する出力回路とを備え、
前記電流特定部は、
前記出力回路から出力される前記複数の出力電圧の中から、前記モータに流れる電流値を特定可能な前記出力電圧を選択することによって、前記モータに流れる電流値を特定する換気装置。
【請求項2】
前記電流特定部は、
前記複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択する請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記電流特定部は、
前記選択した出力電圧と、当該出力電圧を出力した前記増幅器の増幅率と、前記抵抗の抵抗値とをもとに、前記モータに流れる電流値を特定する請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記出力回路は、
前記抵抗の抵抗値を切替可能な抵抗切替回路を備え、
前記電流特定部は、前記目標換気風量での前記風量一定制御を行う際に、前記目標換気風量をもとに前記抵抗切替回路において切り替える抵抗値を決定し、
前記抵抗切替回路は、前記電流特定部において決定した前記抵抗値に切りかえる請求項1に記載の換気装置。
【請求項5】
前記電流特定部は、
前記目標換気風量が小さいほど、前記抵抗切替回路において切り替える抵抗値が大きくなるように決定する請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記電流特定部は、
前記目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流を前記抵抗により前記電圧に変換し、前記複数の増幅器のうち、最低の増幅率の前記増幅器で増幅した場合の前記出力電圧において、
当該出力電圧が所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定し、
前記特定した抵抗値を前記抵抗切替回路にて切り替える抵抗値として決定する請求項4に記載の換気装置。
【請求項7】
前記電流特定部は、前記所定の電圧値以上の出力電圧を前記所定の電圧値として検出する請求項2または6に記載の換気装置。
【請求項8】
前記所定の電圧値は、前記複数の増幅器で出力可能な最大電圧値未満である請求項7に
記載の換気装置。
【請求項9】
回転により換気風量を発生させる羽根と、
前記羽根を回転させるモータと、
前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、
前記モータに流れる電流値を特定する電流特定部と、
前記回転数検出部により検出された前記モータの前記回転数と、前記電流特定部により特定された前記モータに流れる前記電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部と、
前記モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、変換した前記電圧を増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Aとして出力する出力回路とを備え、
前記出力回路は、
さらに、前記出力電圧Aを前記増幅器とは異なる増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Bとして出力し、
前記電流特定部は、
前記出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、前記モータに流れる電流値を特定可能な前記出力電圧を選択することによって、前記モータに流れる電流値を特定する換気装置。
【請求項10】
前記出力回路は、
さらに、前記出力電圧Bを増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Cとして出力する請求項9に記載の換気装置。
【請求項11】
前記電流特定部は、
前記複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択する請求項9に記載の換気装置。
【請求項12】
前記電流特定部は、
前記選択した出力電圧と、当該出力電圧を出力する際に通過した増幅率と、前記抵抗の抵抗値とをもとに、前記モータに流れる電流値を特定する請求項9に記載の換気装置。
【請求項13】
前記出力回路は、
前記抵抗の抵抗値を切替可能な抵抗切替回路を備え、
前記電流特定部は、前記目標換気風量での前記風量一定制御を行う際に、前記目標換気風量をもとに前記抵抗切替回路において切り替える抵抗値を決定し、
前記抵抗切替回路は、前記電流特定部において決定した前記抵抗値に切りかえる請求項9に記載の換気装置。
【請求項14】
前記電流特定部は、
前記目標換気風量が小さいほど、前記抵抗切替回路において切り替える抵抗値が大きくなるように決定する請求項13に記載の換気装置。
【請求項15】
前記電流特定部は、
前記目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流を前記抵抗により前記電圧に変換し、前記変換した電圧が増幅された場合の出力電圧Aにおいて、
前記出力電圧Aが所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定し、
前記特定した抵抗値を前記抵抗切替回路にて切り替える抵抗値として決定する請求項13に記載の換気装置。
【請求項16】
前記電流特定部は、前記所定の電圧値以上の出力電圧を前記所定の電圧値として検出する請求項11または15に記載の換気装置。
【請求項17】
前記所定の電圧値は、増幅器で出力可能な最大電圧値未満である請求項16に記載の換気装置。
【請求項18】
回転により換気風量を発生させる羽根と、
前記羽根を回転させるモータと、
前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、
前記モータに流れる電流値を特定する電流特定部と、
前記回転数検出部により検出された前記モータの前記回転数と、前記電流特定部により特定された前記モータに流れる前記電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部と、
(1)前記モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、(2)変換した前記電圧を、直列に接続された複数の増幅器に入力し、(3)前記複数の増幅器のそれぞれで増幅された複数の出力電圧を出力する出力回路とを備え、
前記電流特定部は、
前記出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、前記モータに流れる電流値を特定可能な前記出力電圧を選択することによって、前記モータに流れる電流値を特定する換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気技術に関し、特に風量一定制御を実行する換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
換気装置の羽根を駆動するための駆動用のモータにDC(Direct Current)モータを使用することが多い。換気装置の風量を多段に設定すると、風量制御すべき風量領域が広くなる。広い範囲を風量制御し、かつモータに流れる電流-回転数を用いて風量が一定になるように風量制御するためには、電流を精度よく検出することが求められる。そのため、複数個の低抵抗を接続し、低抵抗の分圧値を用いてモータ電流が検出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
換気装置の消費電力を低下するために、ファン効率の向上が求められる。ファン効率は、これまで以上に小さい電流によりファンを回すことによって向上する。小さい電流による制御を実現するために、制御装置(マイクロコンピュータ)に入力されるモータ電流(電圧)の分解能を向上させる必要がある。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の換気装置は、回転により換気風量を発生させる羽根と、羽根を回転させるモータと、モータの回転数を検出する回転数検出部と、モータに流れる電流値を特定する電流特定部と、回転数検出部により検出されたモータの回転数と、電流特定部により特定されたモータに流れる電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部と、(1)モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、(2)変換した電圧を、増幅率が互いに異なり、かつ並列に接続された複数の増幅器のそれぞれに入力し、(3)複数の増幅器のそれぞれで増幅された複数の出力電圧を出力する出力回路とを備える。電流特定部は、出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、モータに流れる電流値を特定可能な出力電圧を選択することによって、モータに流れる電流値を特定する。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本開示の別の態様の換気装置は、回転により換気風量を発生させる羽根と、羽根を回転させるモータと、モータの回転数を検出する回転数検出部と、モータに流れる電流値を特定する電流特定部と、回転数検出部により検出されたモータの回転数と、電流特定部により特定されたモータに流れる電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部と、モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、変換した電圧を増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Aとして出力する出力回路とを備え、出力回路は、さらに、出力電圧Aを増幅器とは異なる増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Bとして出力し、電流特定部は、出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、モータに流れる電流値を特定可能な出力電圧を選択することによって、モータに流れる電流値を特定する。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本開示の別の態様の換気装置は、回転により換気風量を発生させる羽根と、羽根を回転させるモータと、モータの回転数を検出する回転数検出部と、モータに流れる電流値を特定する電流特定部と、回転数検出部により検出されたモータの回転数と、電流特定部により特定されたモータに流れる電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部と、(1)モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、(2)変換した電圧を、直列に接続された複数の増幅器に入力し、(3)複数の増幅器のそれぞれで増幅された複数の出力電圧を出力する出力回路とを備え、電流特定部は、出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、モータに流れる電流値を特定可能な出力電圧を選択することによって、モータに流れる電流値を特定する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)-(c)は、実施例1に係る換気システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の換気システムにおける静圧(Pa)-換気風量(Q)特性曲線を示す図である。
【
図3】
図1(c)の制御部と出力回路の構成を示す図である。
【
図4】
図4(a)-(b)は、比較対象となる特性を示す図である。
【
図5】実施例1の換気装置による運転動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施例2に係る制御部と出力回路の構成を示す図である。
【
図7】
図7(a)-(b)は、
図6の制御部の動作概要を示す図である。
【
図8】実施例2の換気装置による運転動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施例3の制御部と出力回路の構成を示す図である。
【
図10】実施例3の換気装置による運転動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施例4に係る制御部と出力回路の構成を示す図である。
【
図13】実施例4の換気装置による運転動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ(工程)およびステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施例1)
図1(a)-(c)は、換気システムの構成を示す。特に、
図1(a)は、換気システムの取り付け状態を示し、
図1(b)は、換気装置3を天井に取り付けた状態を示す。換気システムは、換気装置3、排気ダクト5、排気口6、商用電源入り/切り、ファンノッチ可変スイッチ11を含む。換気装置3は、例えば室内1の天井裏2に設置されており、
換気装置3の下方に吸込口3aを有する。換気装置3の側面に設けたアダプタ4は、排気ダクト5を通して室内の壁面に設けられている排気口6から外気へ排気する。
【0014】
換気装置3の内部には、回転により換気風量を発生させる羽根7と、羽根7を回転させるDCモータ8が備えられる。換気装置3の吸込口3aには、この吸込口3aを覆う通気口を有したルーバ9を備える。また、DCモータ8を駆動する処理回路10は、換気装置3の天井面側に配置され、商用電源入り/切り、ファンノッチ可変スイッチ11(一体にして構成したスイッチ)は室内1の壁に配置され、換気装置3に接続される。
【0015】
図1(c)は、換気装置3の処理回路10の構成を示す。商用電源12には、整流回路13が接続されている。整流回路13には、電圧を平滑して直流電圧にする平滑コンデンサ13aが接続されている。平滑コンデンサ13aには、直流電圧を検出する電圧検出部14とDCモータ8が並列に接続されており、更にはスイッチング電源回路15(例えばAC-DCコンバータ)が接続されている。なお、電圧検出部14は備えなくても良い。
【0016】
DCモータ8は、DCモータ8を制御する制御回路を内蔵し、DCモータ制御用のドライブIC8aと、位置検出センサであるホール素子18bと駆動回路8bと三相巻き線(図示せず)を含む。DCモータ8の制御用ドライブIC8aのグランドと駆動回路8bのグランドは共通に接続される。DCモータ8のグランド側に流れる電流は、制御用ドライブIC8aに流れる電流、すなわちDCモータ駆動電流と、駆動回路8bを通して三相巻き線に流れる電流、すなわちモータ自身に流れる電流との総和すなわち総合電流(以下、「モータ電流」という)となっている。
【0017】
スイッチング電源回路15は、DCモータ8を駆動するための制御用ドライブIC8aの電圧(例えば+15V)と制御部16(例えば、マイクロコンピュータ)を動作させる電圧(例えば+5V)を出力する。スイッチング電源回路15の近傍には、スイッチング電源回路15の温度を測定する温度検出部17が備えられる。温度検出部17は、例えばサーミスタを使用する。サーミスタでは、熱を与えると抵抗値が変化する。温度検出部17は、測定した温度を制御部16に出力する。また、DCモータ8のグランド側には、出力回路18が配置され、出力回路18は、DCモータ8のグランド(GA)へ流れるモータ電流を電圧に変換し、変換した電圧(以下、「出力電圧」という)を制御部16に出力する。なお、温度検出部17は備えなくても良い。
【0018】
制御部16は、出力回路18からの出力電圧をもとに、モータ電流を特定し、モータ電流をもとにした制御信号VSPをDCモータ8に出力する。DCモータ8は、制御信号VSPの電圧値に応じて印加電圧を変える。制御部16は、制御信号VSPとしてパルスを出力し、出力した値を平滑コンデンサ18aで平滑化し、平滑化された直流電圧をDCモータ8に印加する構成となる。平滑コンデンサ18aは、DCモータ8のグランド(GA)と接続される。
【0019】
DCモータ8に制御信号VSPの電圧が印加されると、DCモータ制御用のドライブIC8aの作用により、駆動回路8bが駆動され、巻き線に電流が流れる。電流が流れるとDCモータ8のロータが回転して、例えば、ホール素子18bでDCモータ8のロータの回転を検出する。DCモータの回転に応じた出力がホール素子18bからなされるので、回転数検出部19はDCモータ8の回転数を検出する。回転数検出部19は、検出したDCモータ8の回転数を制御部16に出力する。制御部16(マイクロコンピュータ)には、温度検出部17、出力回路18、回転数検出部19、電圧検出部14で検知した値をもとに一連の動作が可能なプログラムが書き込まれている。
【0020】
このような制御部16における制御の一例が風量一定制御である。風量一定制御は、静
圧に関係なく、風量を一定にするように羽根7(DCモータ8)を回転させる制御である。ここでは、風量一定制御を説明するために
図2も使用する。
図2は、換気システムにおける静圧(Pa)-換気風量(Q)特性曲線を示す。縦軸が静圧(Pa)を示し、横軸が換気風量(Q)を示す。風量一定制御では、例えば、風量設定(ノッチ)が「弱」の場合、静圧に関係なく、換気風量は100[m3/h]で一定にされ、風量設定(ノッチ)が「強」の場合、静圧に関係なく、換気風量は200[m3/h]で一定にされる。一方、風量設定(ノッチ)が「急速」の場合、換気風量は静圧に応じて変化するので、風量一定制御とはなっていない。
【0021】
風量一定制御を実行するために、所定の換気風量において静圧をP0からPmaxまで変動させた場合のモータ電流-回転数の関係が予め求められ、当該関係はテーブルデータ(図示せず)として記憶される。制御部16は、回転数を確認しながら、モータ電流に基づいて、制御信号VSPをDCモータ8に出力する。風量一定制御については、既知の技術であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。風量一定制御において、高精度に風量を一定にするためにはモータ電流の高精度な特定が最も重要である。モータ電流の特定が高精度でなければ、目標の換気風量からずれた換気風量となってしまうからである。
【0022】
図3は、制御部16と出力回路18の構成を示す。出力回路18は、DCモータ8のグランド(GA)とスイッチング電源回路15のグランド(G)との間に第1抵抗器20aを接続する。第1抵抗器20aには例えば1.5Ω以下の低抵抗器が使用される。また、出力回路18は、第1抵抗器20aに並列に接続自在に第2抵抗器20bと第3抵抗器20cを設け、第2抵抗器20bは第1切替器20dにより接続自在に構成され、第3抵抗器20cは第2切替器20eにより接続自在に構成される。第2抵抗器20bと第3抵抗器20cは、互いに異なった抵抗値を有し、例えば、第2抵抗器20bの抵抗値>第3抵抗器20cの抵抗値である。また、第1抵抗器20aから第3抵抗器20cは例えばシャント抵抗である。
【0023】
DCモータ8のグランドの電位は、並列に接続された第1増幅器21aと第2増幅器21bのそれぞれで増幅される。第1増幅器21aと第2増幅器21bは例えばオペアンプである。第1増幅器21aと第2増幅器21bの増幅率は互いに異なり、第1増幅器21aの増幅率は第2増幅器21bの増幅率よりも大きくされる。例えば、第1増幅器21aの増幅率は30倍であり、第2増幅器21bの増幅率は10倍である。
【0024】
制御部16と出力回路18の構成を詳細に説明する前に、ここでは、出力回路18の比較対象となる構成(以下、比較対象1~比較対象3と示す)を説明する。
【0025】
(A)比較対象1
比較対象1は、
図3の出力回路18から第2抵抗器20b、第3抵抗器20c、第1切替器20d、第2切替器20e、第1増幅器21aを除外し、第1抵抗器20a、第2増幅器21bだけが出力回路18に含まれる構成である。モータ電流は、第1抵抗器20aを介し電圧に変換される。変換された電圧は第2増幅器21bにより増幅される。増幅された電圧(以下、「出力電圧」という)は制御部16に読み取られる。例えば、モータ電流が100mA、第1抵抗器20aの抵抗が3Ω、第2増幅器21bの増幅率が10倍である場合、変換された電圧は、100mA×3Ω=0.3Vとなり、出力電圧は、0.3V×10倍=3Vとなる。第2増幅器21bの出力電圧の上限は一般的に制限されており、例えば3.5V出力が上限の場合、3V出力までになるように設計される。また、制御部16が読み取り可能な電圧値の上限(以下、「検出可能上限電圧」ともいう)も制限される。本実施の形態では、検出可能上限電圧は3Vとする。
【0026】
このような状況において、例えば最大風量を実現するためのモータ電流が600mAで
ある場合、第1抵抗器20aの抵抗は、3V÷10倍÷0.6A=0.5Ωとされる。しかしながら、第1抵抗器20aの抵抗を0.5Ωにすると、例えば最小風量を実現するためのモータ電流が30mAである場合、制御部16に入力される出力電圧は0.5Ω×0.03A×10倍=0.15Vとなる。この出力電圧は非常に小さいので、モータ電流の検出精度が低くなる。つまり、制御部16が0.15Vという小さい電圧からモータ電流を特定する際の電流精度が悪くなる。制御部16は、制御部16に入力された出力電圧の電圧値を特定するが、特定する電圧は制御部16の分解能によって異なる。つまり、出力電圧はアナログとしては0.15Vであるが、制御部16の分解能によって0.15Vとは少しだけ異なる電圧として特定される。そのため、出力電圧が非常に小さいと、モータ電流の検出精度が低くなる。これにより、制御部16における風量一定制御の精度が悪化する。そこで、最小風量時は第1抵抗器20aの抵抗を大きくしつつ、最大風量時は出力電圧を3V未満かつ検出可能上限電圧未満にする必要がある。出力電圧が3V以上の場合は増幅器により増幅された電圧が正しく増幅されずに(変換された電圧が増幅器の増幅率未満で増幅されているようになっており)、出力上限となっている可能性があり、特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性がある。同様に、制御部16に読み取られる電圧が検出可能上限電圧となっている場合も、検出可能上限電圧より大きい電圧が入力されたものを検出可能上限電圧として検出している可能性があるため、特定された電流が正しくない可能性がある。
【0027】
(B)比較対象2
比較対象2は、
図3の出力回路18から第1増幅器21aを除外し、第1抵抗器20a、第2抵抗器20b、第3抵抗器20c、第1切替器20d、第2切替器20e、第2増幅器21bが出力回路18に含まれる構成である。出力回路18は、第1切替器20dにより第2抵抗器20bのオンとオフを切りかえ、第2切替器20eにより第3抵抗器20cのオンとオフとを切りかえることによって、出力回路18における抵抗を変える。
図4(a)-(b)は、比較対象となる特性を示す。
図4(a)は、比較対象2におけるモータ電流と電圧(出力電圧)の関係を示す。横軸が電流を示し、縦軸が電圧を示す。「M1」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされている状態を示し、「M2」は、第2抵抗器20bがオンにされ、第3抵抗器20cがオフにされている状態を示す。「M3」は、第2抵抗器20bがオフにされ、第3抵抗器20cがオンにされている状態を示し、「M4」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオンにされている状態を示す。生データ50は、制御部16に読み取られた出力電圧を示す。このように、モータ電流に応じて抵抗値の切替が行われることにより、制御部16に読み取られる出力電圧が検出可能上限電圧以上にならないようにしている。補正データ52は、生データ50に対して抵抗の違いを補正した結果を示す。制御部16は、補正データ52を使用することによって、大きい値のモータ電流を取扱い可能であるとともに、小さい値のモータ電流を高精度に取扱い可能である。一方、補正データ52によって取扱い可能なモータ電流の最小値は下限電流値として示される。下限電流値をさらに下げることが求められる。
【0028】
(C)比較対象3
比較対象3は、比較対象2の下限電流値をさらに下げるために、第1抵抗器20aの抵抗値を比較対象2の第1抵抗器20aの抵抗値よりも大きくしたと仮定した場合の構成である。第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされている状態において、小さいモータ電流の読み取り精度向上のために第1抵抗器20aの抵抗値を大きくすると、DCモータ8のグランド(GA)とスイッチング電源回路15のグランド(G)の間の電位差が大きくなる。例えば、モータ電流が30mAであり、第1抵抗器20aの抵抗が9Ωである場合、0.27Vの電位差が生じる。この電位差により、抵抗を切りかえたとき(第2抵抗器20bや第3抵抗器20cをオンに切り替えたとき)に、切替前後の抵抗値の差が大きくなるので、グランド間電圧(GA―G間電圧)の変位が大きくなり、換気風量が一時的に不安定な動作になる。そのため、第1抵抗器20aの抵抗値を大きくするこ
とは困難である。
【0029】
図4(b)は、比較対象3におけるモータ電流と電圧(出力電圧)の関係を示す。
図4(b)では、
図4(a)と同様に、横軸が電流を示し、縦軸が電圧を示す。また、
図4(b)では、「M1」から「M4」が示されるとともに、生データ50も示される。比較対象3では、第1抵抗器20aの抵抗値をさらに大きい抵抗にしたと仮定した場合が追加されているが、この抵抗を使用している状態が「M0」で示される。さらに大きい抵抗は、例えば比較対象2の第1抵抗器20aの抵抗の3倍とされる。「M0」と「M2」の切替における電位差が大きくなると、グランド間電圧の変異が大きくなり、換気風量の精度が悪化する。
【0030】
以上の比較対象1から比較対象3の特性をまとめると、抵抗値を大きくすることなく、小さいモータ電流を精度よく検出することが求められる。また、小さいモータ電流において抵抗を切りかえることなく、小さいモータ電流を精度よく検出することが求められる。そこで、本実施例では、低風量(小さいモータ電流)時でも精度よくモータ電流を検出するために、低風量帯で抵抗を切りかえずに、増幅率の異なった2つの増幅器からの出力を制御部16を入力する。つまり、
図3のように第2増幅器21bに加えて第1増幅器21aも含まれる。
【0031】
出力回路18は、比較対象2と同様に、第1抵抗器20aから第3抵抗器20cの少なくとも1つによりモータ電流を電圧に変換する。その際、抵抗切替回路である第1切替器20dと第2切替器20eにより抵抗値が切りかえられる。抵抗値の切替は、前述の「M1」から「M4」の切替に相当する。また、抵抗切替回路である第1切替器20dと第2切替器20eにより切りかえられる抵抗値は制御部16の電流特定部30により決定される。
【0032】
出力回路18は、変換した電圧を、第1増幅器21aと第2増幅器21bのそれぞれに入力する。第1増幅器21aと第2増幅器21bは、増幅率が互いに異なり、かつ並列に接続される。出力回路18は、第1増幅器21aで増幅された電圧(以下、「第1出力電圧」という)を制御部16に出力するとともに、第2増幅器21bで増幅された電圧(以下、「第2出力電圧」という)を制御部16に出力する。
【0033】
制御部16の電流特定部30は、出力回路18から出力される第1出力電圧と第2出力電圧を受けつける。その際、電流特定部30は、所定の電圧値以上の出力電圧を所定の電圧値として検出する。所定の電圧値とは検出可能上限電圧のことであり、電流特定部30は、検出可能上限電圧以上の電圧を検出可能上限電圧として検出する。前述のごとく、所定の電圧値が「3.0V」である場合、電流特定部30は、3.5Vの第1出力電圧を「3.0V」として検出する。なお、所定の電圧値は、第1増幅器21aと第2増幅器21bとで出力可能な最大電圧値未満である。
【0034】
電流特定部30は、分解能によって出力電圧Aと出力電圧Bの電圧値を特定する。電流特定部30は、第1出力電圧と第2出力電圧の中から、モータ電流の電流値を特定可能な第1出力電圧と第2出力電圧を選択する。例えば、電流特定部30は、第1出力電圧と第2出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い方を選択する。所定の電圧値は、例えば「3.0V」である。電流特定部30は、選択した第1出力電圧または第2出力電圧と、選択した第1出力電圧または第2出力電圧を出力した第1増幅器21aまたは第2増幅器21bの増幅率と、そのときの抵抗の抵抗値とをもとに、モータ電流の電流値を特定する。例えば、電流特定部30は、出力電圧(第1出力電圧または第2出力電圧)を増幅率(第1増幅器21aまたは第2増幅器21bの増幅率)で除算し、除算した値をさらに抵抗の抵抗値で除算することでモータ電流の電流値を特定する。また、電
流特定部30は、所定の抵抗値(出力回路18で使用可能な抵抗値)と所定の増幅率(出力回路18で使用可能な増幅率)と所定の出力電圧(所定の電圧値である3.0V未満の電圧)に対応する所定のモータ電流の電流値が格納された電流特定テーブルを参照してモータ電流の電流値を特定してもよい。電流特定テーブルは予め実験等により作成され、制御部16に格納されている。電流特定部30は、出力電圧(第1出力電圧または第2出力電圧)と増幅率(第1増幅器21aまたは第2増幅器21bの増幅率)と抵抗の抵抗値と電流特定テーブルとからモータ電流の電流値を特定する。
【0035】
また、電流特定部30は、目標換気風量(設定風量)での風量一定制御を行う際に、設定風量をもとに第1切替器20dと第2切替器20eにおいてきりかえる抵抗値を決定する。例えば、電流特定部30は、設定風量が小さいほど、第1切替器20dと第2切替器20eにおいて抵抗値が大きくなるように決定する。
【0036】
電流特定部30におけるこれらの処理によって、比較対象2と同様に、検出対象となるモータ電流が大きくなるのにしたがって、「M1」、「M2」、「M3」、「M4」が順に選択される。「M1」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされ、第2出力電圧が選択される状態を示し、「M2」は、第2抵抗器20bがオンにされ、第3抵抗器20cがオフにされ、第2出力電圧が選択される状態を示す。「M3」は、第2抵抗器20bがオフにされ、第3抵抗器20cがオンにされ、第2出力電圧が選択される状態を示す。「M4」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオンにされ、第2出力電圧が選択される状態を示す。
【0037】
さらに、電流特定部30は、検出対象となるモータ電流が、「M1」が対象とする領域よりも小さい場合に、「M0’」を選択する。「M0’」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされ、第1出力電圧が選択される状態を示す。つまり、「M0’」と「M1」との切替において、抵抗は変えられず、増幅率のみが変えられる。その結果、比較対象2のような「M0」と「M1」の切替における電位差が生じない。
【0038】
制御部16は、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数と、電流特定部30により特定されたDCモータ8に流れる電流値とをもとに、設定されている目標換気風量(設定風量)での風量一定制御を実行する。風量一定制御は、例えば次のようになされる。
【0039】
例えば、出力回路18が「M0’」の状態である場合に、第1出力電圧が所定の電圧値、例えば3.0Vに達していない場合、電流特定部30は、「M0’」の状態を維持させる。また、制御部16は、電流特定部30により特定されたDCモータ8に流れる電流値をもとにテーブルデータ32を参照することによって、基準となる回転数を取得する。制御部16は、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数と、基準となる回転数とを比較して、それらの差(以下、「回転数差」という)を算出する。制御部16は、回転数差の絶対値がしきい値以下である場合に、DCモータ8の現在の回転数を維持させる。
【0040】
回転数差の絶対値がしきい値よりも大きい場合、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数が、基準となる回転数よりも小さいければ、制御部16は、DCモータ8の回転数を増加させるように制御信号VSPを生成し、制御信号VSPを出力する。一方、回転数差の絶対値がしきい値よりも大きい場合、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数が、基準となる回転数よりも高ければ、制御部16は、DCモータ8の回転数を減少させるように制御信号VSPを生成し、制御信号VSPを出力する。
【0041】
また、外風等の影響によりダクト抵抗が上昇した場合は、回転数が低下しモータ電流が
増加する。モータ電流が増加したことで、第1出力電圧が3.0V以上の場合、電流特定部30は、「M0’」の状態を「M1」状態に変える。これにより、電流特定部30は、第1出力電圧の代わりに第2出力電圧を使用して、DCモータ8に流れる電流値を特定する。また、出力電圧が3.0V以上となり、電流特定部30により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。
【0042】
モータ電流が増加したことで、第2出力電圧が3.0Vを超えた場合、電流特定部30は、「M1」の状態を「M2」状態に変える。これにより、出力回路18における抵抗値が変化する。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。モータ電流が増加したことで、第2出力電圧が3.0Vを超えた場合、電流特定部30は、「M2」の状態を「M3」状態に変える。これにより、出力回路18における抵抗値が変化する。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。モータ電流が増加したことで、第2出力電圧が3.0Vを超えた場合、電流特定部30は、「M3」の状態を「M4」状態に変える。これにより、出力回路18における抵抗値が変化する。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。
【0043】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0044】
以上の構成による換気装置3の動作を説明する。
図5は、換気装置3による運転動作を示すフローチャートである。電流特定部30は、α、βをオフに設定する(S10)。電流特定部30は第1出力電圧を選択する(S12)。第1出力電圧が3.0V以上でなければ(S14のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S16)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S18のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S20)、ステップ14に戻る。
【0045】
第1出力電圧が3.0V以上である場合(S14のY)、電流特定部30は第2出力電圧を選択する(S22)。第2出力電圧が3.0V以上でなければ(S24のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S26)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S28のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S30)、ステップ24に戻る。
【0046】
第2出力電圧が3.0V以上である場合(S24のY)、電流特定部30は、αをオン、βをオフに設定する(S32)。第2出力電圧が3.0V以上でなければ(S34のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S36)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S38のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S40)、ステップ34に戻る
。
【0047】
第2出力電圧が3.0V以上である場合(S34のY)、電流特定部30は、αをオフ、βをオンに設定する(S42)。第2出力電圧が3.0V以上でなければ(S44のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S46)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S48のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S50)、ステップ44に戻る。
【0048】
第2出力電圧が3.0V以上である場合(S44のY)、電流特定部30は、α、βをオンに設定する(S52)。制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S54)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S56のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S58)、ステップ54に戻る。回転数差が小さい場合(S18のY、S28のY、S38のY、S48のY、S56のY)、制御部16は現状を維持する(S60)。
【0049】
本実施例によれば、モータ電流を変換した電圧を複数の増幅器に入力し、複数の増幅器のそれぞれからの出力電圧のうち、モータ電流を特定可能な出力電圧を選択してモータ電流を特定するので、電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定できる。また、モータ電流が大きい範囲において抵抗を切りかえ、モータ電流が小さい範囲において出力電圧を選択するので、電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定できる。また、モータ電流が小さい範囲において出力電圧を選択するので、抵抗を切りかえた場合の電位差の影響を受けなくできる。また、抵抗を切りかえた場合の電位差の影響が受けなくなるので、換気風量が不安定な動作になることを回避できる。
【0050】
また、複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択するので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、選択した出力電圧と、出力電圧を出力した増幅器の増幅率と、抵抗の抵抗値とをもとに、モータ電流の電流値を特定するので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、目標換気風量での風量一定制御を行う際に、切り替える抵抗値を決定するので、特定可能なモータ電流の範囲を広くできる。また、目標換気風量が小さいほど、切り替える抵抗値が大きくなるように決定するので、モータ電流が小さくても特定精度の低下を抑制できる。
【0051】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。
【0052】
(項目1)
回転により換気風量を発生させる羽根(7)と、
前記羽根(7)を回転させるモータ(8)と、
前記モータ(8)の回転数を検出する回転数検出部(19)と、
前記モータ(8)に流れる電流値を特定する電流特定部(30)と、
前記回転数検出部(19)により検出された前記モータ(8)の前記回転数と、前記電流特定部(30)により特定された前記モータ(8)に流れる前記電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部(16)と、
(1)前記モータ(8)に流れる電流を抵抗により電圧に変換し、(2)変換した前記電圧を、増幅率が互いに異なり、かつ並列に接続された複数の増幅器のそれぞれに入力し、(3)前記複数の増幅器のそれぞれで増幅された複数の出力電圧を出力する出力回路(18)とを備え、
前記電流特定部(30)は、
前記出力回路(18)から出力される前記複数の出力電圧の中から、前記モータ(8)に流れる電流値を特定可能な前記出力電圧を選択することによって、前記モータ(8)に流
れる電流値を特定する換気装置(3)。
【0053】
(項目2)
前記電流特定部(30)は、
前記複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択する項目1に記載の換気装置(3)。
【0054】
(項目3)
前記電流特定部(30)は、
前記選択した出力電圧と、当該出力電圧を出力した前記増幅器の増幅率と、前記抵抗の抵抗値とをもとに、前記モータ(8)に流れる電流値を特定する項目1または2に記載の換気装置(3)。
【0055】
(項目4)
前記出力回路(18)は、
前記抵抗の抵抗値を切替可能な抵抗切替回路(20d、20e)を備え、
前記電流特定部(30)は、前記目標換気風量での前記風量一定制御を行う際に、前記目標換気風量をもとに前記抵抗切替回路(20d、20e)において切り替える抵抗値を決定し、
前記抵抗切替回路(20d、20e)は、前記電流特定部(30)において決定した前記抵抗値に切りかえる項目1から3のいずれか1項に記載の換気装置(3)。
【0056】
(項目5)
前記電流特定部(30)は、
前記目標換気風量が小さいほど、前記抵抗切替回路(20d、20e)において切り替える抵抗値が大きくなるように決定する項目4に記載の換気装置(3)。
【0057】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、風量一定制御を実行する換気装置3に関する。比較対象2の場合、目標換気風量への風量一定制御を行っている場合において静圧が変動して抵抗を切りかえるタイミングが発生した場合に、風量が目標換気風量に安定しないおそれがある。これに対応するために、実施例2では、同一風量ノッチ(同一目標換気風量)において、抵抗を切りかえずに増幅率を切りかえる。実施例2に係る換気システム、換気装置3は、
図1(a)-(c)と同様のタイプである。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0058】
図6は、制御部16と出力回路18の構成を示す。出力回路18における第1抵抗器20a、第2抵抗器20b、第3抵抗器20c、第1切替器20d、第2切替器20e、第1増幅器21a、第2増幅器21bは
図3と同一である。出力回路18は、第3増幅器21cをさらに含む。第3増幅器21cは、第1増幅器21aと第2増幅器21bに並列に接続される。第3増幅器21cの増幅率は、第1増幅器21aの増幅率と第2増幅器21bの増幅率の間であり、例えば20倍である。出力回路18は、変換した電圧を第3増幅器21cにも入力する。出力回路18は、第3増幅器21cで増幅された電圧(以下、「第3出力電圧」という)を制御部16に出力する。
【0059】
図7(a)-(b)は、制御部16の動作概要を示す。
図7(a)は、制御部16(電流特定部30)において選択される処理のパターンを示し、実施例1における「M0’」、「M1」~「M4」に相当する。縦方向に示される「弱」、「中」、「強」、「急速」は設定風量(ノッチ)を示す。また、「α」は第1切替器20dに入力する制御信号を示し、「β」は第2切替器20eに入力する制御信号を示す。αの「ON」は第1切替器2
0dのオンを示し、αの「OFF」は第1切替器20dのオフを示す。また、βの「ON」は第2切替器20eのオンを示し、βの「OFF」は第2切替器20eのオフを示す。横方向に示される「10倍」、「20倍」、「30倍」は増幅率を示し、第2増幅器21b、第3増幅器21c、第1増幅器21aにそれぞれ対応する。処理のパターン(1)は、設定風量「弱」の場合において、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cをともにオフにし、第1出力電圧を選択することを示す。処理のパターン(2)~(12)も同様に示される。
【0060】
図7(b)は、静圧(Pa)-換気風量(Q)特性曲線を示す。風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「弱」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は100[m3/h]で一定にされる。その際、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(1)、(2)、(3)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cをともにオフにしたまま、第1出力電圧、第3出力電圧、第2出力電圧を順に選択する。
【0061】
風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「中」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は200[m3/h]で一定にされる。風量設定(ノッチ)が「中」の場合、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(4)、(5)、(6)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bをオンにして、第3抵抗器20cをオフにしたまま、第1出力電圧、第3出力電圧、第2出力電圧を順に選択する。
【0062】
風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「強」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は260[m3/h]で一定にされる。風量設定(ノッチ)が「強」の場合、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(8)、(9)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bをオフにして、第3抵抗器20cをオンにしたまま、第3出力電圧、第2出力電圧を順に選択する。
【0063】
風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「急速」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は340[m3/h]で一定にされる。風量設定(ノッチ)が「急速」の場合、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(11)、(12)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cをともにオンにしたまま、第3出力電圧、第2出力電圧を順に選択する。つまり、電流特定部30は、同一の風量設定において静圧が変化する場合、出力回路18の抵抗を変えずに増幅率を変える。
【0064】
電流特定部30は、目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流を抵抗により電圧に変換し、複数の増幅器のうち、最低の増幅率の増幅器で増幅した場合の出力電圧において、当該出力電圧が所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定する。目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流は予め実験等により求められ、制御部16内に格納されている。また、電流特定部30は、特定した抵抗値を第1切替器20dまたは第2切替器20eにて切り替える抵抗値として決定する。
【0065】
例えば、設定風量(ノッチ)「弱」を実現するために必要とされる最大電流が100mAであり、抵抗を切りかえずに風量制御をする場合を説明の対象とする。増幅器の最大出力と電流特定部30の検出可能上限電圧とが3Vの場合、最低の増幅率10倍において第2出力電圧が3V未満(所定の電圧値未満)となるように抵抗値を設計する必要がある。最大電流を最低の増幅率である10倍で増幅された第2出力電圧が3V以上であると、同じ設定風量内(「弱」の風量設定内)で抵抗を切りかえないとモータ電流を正しく検出で
きない。つまり、3V÷10倍÷100mA=3Ω未満で抵抗値の設計をする必要がある。その中で、3V(所定の電圧値)に最も近い、つまり3Ω未満の抵抗値の中で一番高いものを選択することが、低電流における電流精度向上につながる。そこで、設定風量(ノッチ)「弱」における抵抗を3Ω未満の抵抗値の中で一番高い切り替え可能抵抗値に決定する。
【0066】
同様に、設定風量(ノッチ)「中」を実現するために必要とされる最大電流が200mAである場合、3V÷10倍÷200mA=1.5Ω未満かつ1.5Ω未満の抵抗値の中で一番高いものが選択される。電流特定部30の検出可能上限電圧以上(増幅器の最大電圧以上)の出力となってしまった場合、電流特定部30はどれほど実際のモータの電流値が上昇したとしてもモータの電流を同じ電流値とみなしてしまう。つまり、実際のモータの電流値が上昇することで所定の電圧値以上の電圧が制御部16(電流特定部30)に入力されても、電流特定部30はモータの電流をすべて同じ電流値(モータの電流値は上昇していない)とみなしてしまうので、所定の電圧以上の電圧は使用しないような設計がなされる。これは、電流特定部30の検出可能上限電圧以上の電圧は使用しないような設計がなされるともいえる。増幅器の最大電圧以上の電圧は使用しないような設計がなされるともいえる。このような設計の結果が
図7(a)のテーブルに反映される。
【0067】
これまで、設定風量と
図7(a)のテーブルとを使用して、抵抗が決められている。一方、
図7(a)のテーブルが記憶されず、設定風量を取得すると、制御部16が風量一定制御をする前に、電流特定部30は、抵抗を決定するための処理を実行してもよい。その際、電流特定部30は、設定風量を取得した場合、設定風量を実現するために必要と想定される電流値範囲内における最大電流を取得する。設定風量を実現するために必要と想定される電流値範囲内における最大電流は、例えばメモリ(図示せず)等に予め記憶される。また、電流特定部30は、設定風量を実現するために必要と想定される電流値範囲内における最大電流を増幅率が異なる増幅器のうち最低の増幅率の増幅器で増幅した場合の出力電圧において、出力電圧が所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定する。制御部16は、設定風量における抵抗として、特定した抵抗値に切り替える。
【0068】
以上の構成による換気装置3の動作を説明する。
図8は、換気装置3による運転動作を示すフローチャートである。電流特定部30は、設定風量に応じて抵抗を切りかえる(S100)。電流特定部30は第1出力電圧を選択する(S102)。第1出力電圧が3.0V以上でなければ(S104のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S106)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S108のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S110)、ステップ104に戻る。
【0069】
第1出力電圧が3.0V以上である場合(S104のY)、電流特定部30は第3出力電圧を選択する(S112)。第3出力電圧が3.0V以上でなければ(S114のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S116)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S118のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S120)、ステップ114に戻る。
【0070】
第3出力電圧が3.0V以上である場合(S114のY)、電流特定部30は第2出力電圧を選択する(S122)。制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S124)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S126のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S128)、ステップ124に戻る。回転数差が小さい場合(S108のY、S118のY、S126のY)、制御部16は現状を維持する(S130)。
【0071】
本実施例によれば、同一の設定風量内では抵抗を切りかえないので、静圧による風量のばらつきをなくすことができる。また、静圧による風量のばらつきがなくなるので、風量一定制御を高精度に実行できる。また、出力電圧が所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定し、特定した抵抗値に切りかえるので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、電流特定部は、所定の電圧値以上の出力電圧を所定の電圧値として検出する。つまり、電流特定部は、構成する回路部品構成等により検出可能上限電圧が設けられていることにより所定の電圧値以上の出力電圧を所定の電圧値として検出する。そこで、電流特定部が、複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択することで、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、電流特定部により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。また、所定の電圧値は、複数の増幅器で出力可能な最大電圧値未満であるので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、電流特定部により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。複数の増幅器で出力可能な最大電圧値は、複数の増幅器それぞれで出力可能な最大電圧値のなかでの最小の電圧値のことである。つまり、所定の電圧値は、複数の増幅器それぞれで出力可能な最大電圧値のなかでの最小の電圧値未満である。これにより、モータ電流の電流値の特定精度を向上でき、電流特定部により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。
【0072】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。
【0073】
(項目6)
前記電流特定部(30)は、
前記目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流を前記抵抗により前記電圧に変換し、前記複数の増幅器のうち、最低の増幅率の前記増幅器で増幅した場合の前記出力電圧において、
当該出力電圧が所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定し、前記特定した抵抗値を前記抵抗切替回路(20d、20e)にて切り替える抵抗値として決定する項目4に記載の換気装置(3)。
【0074】
(項目7)
前記電流特定部(30)は、前記所定の電圧値以上の出力電圧を前記所定の電圧値として検出する項目2から6のいずれか1項に記載の換気装置(3)。
【0075】
(項目8)
前記所定の電圧値は、前記複数の増幅器で出力可能な最大電圧値未満である項目7に記載の換気装置(3)。
【0076】
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、実施例1と同様に、風量一定制御を実行する換気装置に関する。実施例1の場合、第1増幅器21aと第2増幅器21bは並列に接続するため、非常に小さい電流値を増幅させる場合は、増幅率の高い増幅器を使用する必要がある。そのため、使用可能な増幅器が制限される場合がある。これに対応するために、実施例3を実施する。実施例3に係る換気システム、換気装置3は、
図1(a)-(c)と同様のタイプである。
【0077】
図9は、制御部16と出力回路18の構成を示す。出力回路18は、DCモータ8のグランド(GA)とスイッチング電源回路15のグランド(G)との間に第1抵抗器20aを接続する。第1抵抗器20aには例えば1.5Ω以下の低抵抗器が使用される。また、
出力回路18は、第1抵抗器20aに並列に接続自在に第2抵抗器20bと第3抵抗器20cを設け、第2抵抗器20bは第1切替器20dにより接続自在に構成され、第3抵抗器20cは第2切替器20eにより接続自在に構成される。第2抵抗器20bと第3抵抗器20cは、互いに異なった抵抗値を有し、例えば、第2抵抗器20bの抵抗値>第3抵抗器20cの抵抗値である。また、第1抵抗器20aから第3抵抗器20cは例えばシャント抵抗である。
【0078】
DCモータ8のグランドの電位は、第4増幅器21dで増幅され、増幅された出力電圧を出力電圧Aとする。また、出力電圧Aは第4増幅器21dとは異なる第5増幅器21eでさらに増幅され、増幅された出力電圧を出力電圧Bとする。つまり、DCモータ8のグランドの電位は、第4増幅器21dで増幅されて出力電圧Aになり、第4増幅器21dおよび第5増幅器21eで増幅されて出力電圧Bになる。出力電圧Aおよび出力電圧Bは制御部16に入力される。第4増幅器21dと第5増幅器21eは例えばオペアンプである。第4増幅器21dと第5増幅器21eの増幅率は同じであっても良く、互いに異なってもよい。例えば、第4増幅器21dの増幅率は10倍であり、第5増幅器21eの増幅率は2倍である。
【0079】
制御部16と出力回路18の構成を詳細に説明する前に、実施例1と同様にここでは、出力回路18の比較対象となる構成(以下、比較対象4~比較対象6と示す)を説明する。
【0080】
(D)比較対象4
比較対象4は、
図9の出力回路18から第2抵抗器20b、第3抵抗器20c、第1切替器20d、第2切替器20e、第5増幅器21eを除外し、第1抵抗器20a、第4増幅器21dだけが出力回路18に含まれる構成である。モータ電流は、第1抵抗器20aを介し電圧に変換される。変換された電圧は第4増幅器21dにより増幅される。増幅された電圧(出力電圧)は制御部16に読み取られる。例えば、モータ電流が100mA、第1抵抗器20aの抵抗が3Ω、第4増幅器21dの増幅率が10倍である場合、変換された電圧は、100mA×3Ω=0.3Vとなり、出力電圧は、0.3V×10倍=3Vとなる。第4増幅器21dの出力電圧の上限は一般的に制限されており、例えば3.5V出力が上限の場合、3V出力までになるように設計される。また、制御部16が読み取り可能な電圧値の上限(検出可能上限電圧)も制限される。本実施の形態では、検出可能上限電圧は3Vとする。
【0081】
このような状況において、例えば最大風量を実現するためのモータ電流が600mAである場合、第1抵抗器20aの抵抗は、3V÷10倍÷0.6A=0.5Ωとされる。しかしながら、第1抵抗器20aの抵抗を0.5Ωにすると、例えば最小風量を実現するためのモータ電流が30mAである場合、制御部16に入力される出力電圧は0.5Ω×0.03A×10倍=0.15Vとなる。この出力電圧は非常に小さいので、モータ電流の検出精度が低くなる。つまり、制御部16が0.15Vという小さい電圧からモータ電流を特定する際の電流精度が悪くなる。制御部16は、制御部16に入力された出力電圧の電圧値を特定するが、特定する電圧は制御部16の分解能によって異なる。つまり、出力電圧はアナログとしては0.15Vであるが、制御部16の分解能によって0.15Vとは少しだけ異なる電圧として特定される。そのため、出力電圧が非常に小さいと、モータ電流の検出精度が低くなる。これにより、制御部16における風量一定制御の精度が悪化する。そこで、最小風量時は第1抵抗器20aの抵抗を大きくしつつ、最大風量時は出力電圧を3V未満かつ検出可能上限電圧未満にする必要がある。出力電圧が3V以上の場合は増幅器により増幅された電圧が正しく増幅されずに(変換された電圧が増幅器の増幅率未満で増幅されているようになっており)、出力上限となっている可能性があり、特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性がある。同様に
、制御部16に読み取られる電圧が検出可能上限電圧となっている場合も、検出可能上限電圧より大きい電圧が入力されたものを検出可能上限電圧として検出している可能性があるため、特定された電流が正しくない可能性がある。
【0082】
(E)比較対象5
比較対象5は、
図9の出力回路18から第5増幅器21eを除外し、第1抵抗器20a、第2抵抗器20b、第3抵抗器20c、第1切替器20d、第2切替器20e、第4増幅器21dが出力回路18に含まれる構成である。出力回路18は、第1切替器20dにより第2抵抗器20bのオンとオフを切りかえ、第2切替器20eにより第3抵抗器20cのオンとオフとを切りかえることによって、出力回路18における抵抗を変える。比較対象となる特性は実施例1と同様で
図4(a)-(b)となる。そのため、
図4(a)は、比較対象5におけるモータ電流と電圧(出力電圧)の関係でもある。横軸が電流を示し、縦軸が電圧を示す。「M1」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされている状態を示し、「M2」は、第2抵抗器20bがオンにされ、第3抵抗器20cがオフにされている状態を示す。「M3」は、第2抵抗器20bがオフにされ、第3抵抗器20cがオンにされている状態を示し、「M4」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオンにされている状態を示す。生データ50は、制御部16に読み取られた出力電圧を示す。このように、モータ電流に応じて抵抗値の切替が行われることにより、制御部16に読み取られる出力電圧が検出可能上限電圧以上にならないようにしている。補正データ52は、生データ50に対して抵抗の違いを補正した結果を示す。制御部16は、補正データ52を使用することによって、大きい値のモータ電流を取扱い可能であるとともに、小さい値のモータ電流を高精度に取扱い可能である。一方、補正データ52によって取扱い可能なモータ電流の最小値は下限電流値として示される。下限電流値をさらに下げることが求められる。
【0083】
(F)比較対象6
比較対象6は、比較対象5の下限電流値をさらに下げるために、第1抵抗器20aの抵抗値を比較対象5の第1抵抗器20aの抵抗値よりも大きくしたと仮定した場合の構成である。第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされている状態において、小さいモータ電流の読み取り精度向上のために第1抵抗器20aの抵抗値を大きくすると、DCモータ8のグランド(GA)とスイッチング電源回路15のグランド(G)の間の電位差が大きくなる。例えば、モータ電流が30mAであり、第1抵抗器20aの抵抗が9Ωである場合、0.27Vの電位差が生じる。この電位差により、抵抗を切りかえたとき(第2抵抗器20bや第3抵抗器20cをオンに切り替えたとき)に、切替前後の抵抗値の差が大きくなるので、グランド間電圧(GA―G間電圧)の変位が大きくなり、換気風量が一時的に不安定な動作になる。そのため、第1抵抗器20aの抵抗値を大きくすることは困難である。
【0084】
図4(b)も、比較対象6におけるモータ電流と電圧(出力電圧)の関係を示す。
図4(b)では、
図4(a)と同様に、横軸が電流を示し、縦軸が電圧を示す。また、
図4(b)では、「M1」から「M4」が示されるとともに、生データ50も示される。比較対象3では、第1抵抗器20aの抵抗値をさらに大きい抵抗にしたと仮定した場合が追加されているが、この抵抗を使用している状態が「M0」で示される。さらに大きい抵抗は、例えば比較対象5の第1抵抗器20aの抵抗の3倍とされる。「M0」と「M2」の切替における電位差が大きくなると、グランド間電圧の変異が大きくなり、換気風量の精度が悪化する。
【0085】
以上の比較対象4から比較対象6の特性をまとめると、抵抗値を大きくすることなく、小さいモータ電流を精度よく検出することが求められる。また、小さいモータ電流において抵抗を切りかえることなく、小さいモータ電流を精度よく検出することが求められる。
そこで、本実施例では、低風量(小さいモータ電流)時でも精度よくモータ電流を検出するために、低風量帯で抵抗を切りかえずに、増幅率の大きさが異なった2つの出力電圧(出力電圧Aおよび出力電圧B)を制御部16に入力する。つまり、
図9のように第4増幅器21dに加えて第5増幅器21eも含まれる。
【0086】
出力回路18は、比較対象5と同様に、第1抵抗器20aから第3抵抗器20cの少なくとも1つによりモータ電流を電圧に変換する。その際、抵抗切替回路である第1切替器20dと第2切替器20eにより抵抗値が切りかえられる。抵抗値の切替は、前述の「M1」から「M4」の切替に相当する。また、抵抗切替回路である第1切替器20dと第2切替器20eにより切りかえられる抵抗値は制御部16の電流特定部30により決定される。
【0087】
出力回路18は、変換した電圧を、第4増幅器21dに入力する。そして、第4増幅器21dで増幅された電圧(出力電圧A)を制御部16に出力する。また、出力回路18は、第4増幅器21dで増幅された電圧(出力電圧A)を、第4増幅器21dとは異なる第5増幅器21eに入力する。そして、第5増幅器21eでさらに増幅された電圧(出力電圧B)を制御部16に出力する。
【0088】
制御部16の電流特定部30は、出力回路18から出力される出力電圧Aと出力電圧Bを受けつける。その際、電流特定部30は、所定の電圧値以上の出力電圧を所定の電圧値として検出する。所定の電圧値とは検出可能上限電圧のことであり、電流特定部30は、検出可能上限電圧以上の電圧を検出可能上限電圧として検出する。前述のごとく、所定の電圧値が「3.0V」である場合、電流特定部30は、3.5Vの出力電圧Bを「3.0V」として検出する。なお、所定の電圧値は、第4増幅器21dと第5増幅器21eとで出力可能な最大電圧値未満である。
【0089】
電流特定部30は、分解能によって出力電圧Aと出力電圧Bの電圧値を特定する。電流特定部30は、出力電圧Aと出力電圧Bの中から、モータ電流の電流値を特定可能な出力電圧Aと出力電圧Bを選択する。例えば、電流特定部30は、出力電圧Aと出力電圧Bの中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い方を選択する。所定の電圧値は、例えば「3.0V」である。つまり、電流特定部30は、複数の出力電圧(出力電圧Aおよび出力電圧B)の中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択する。
【0090】
電流特定部30は、選択した出力電圧Aまたは出力電圧Bと、選択した出力電圧Aまたは出力電圧Bを出力した「第4増幅器21d」または「第4増幅器21dおよび第5増幅器21e」の増幅率と、そのときの抵抗の抵抗値とをもとに、モータ電流の電流値を特定する。例えば、電流特定部30は、出力電圧(出力電圧Aまたは出力電圧B)を増幅率(「第4増幅器21dの増幅率(10倍)」または「第4増幅器21dと第5増幅器21eとの合算増幅率(10×2=20倍)」)で除算し、除算した値をさらに抵抗の抵抗値で除算することでモータ電流の電流値を特定する。つまり、電流特定部30は、選択した出力電圧と、当該出力電圧を出力する際に通過した増幅率と、抵抗の抵抗値とをもとに、モータに流れる電流値を特定する。
【0091】
また、電流特定部30は、所定の抵抗値(出力回路18で使用可能な抵抗値)と所定の増幅率(出力回路18で使用可能な増幅率(合算増幅率))と所定の出力電圧(所定の電圧値である3.0V未満の電圧)に対応する所定のモータ電流の電流値が格納された電流特定テーブルを参照してモータ電流の電流値を特定してもよい。電流特定テーブルは予め実験等により作成され、制御部16に格納されている。電流特定部30は、出力電圧と増幅率と抵抗の抵抗値と電流特定テーブルとからモータ電流の電流値を特定する。
【0092】
また、電流特定部30は、目標換気風量(設定風量)での風量一定制御を行う際に、設定風量をもとに第1切替器20dと第2切替器20eにおいてきりかえる抵抗値を決定する。例えば、電流特定部30は、設定風量が小さいほど、第1切替器20dと第2切替器20eにおいて抵抗値が大きくなるように決定する。
【0093】
電流特定部30におけるこれらの処理によって、比較対象5と同様に、検出対象となるモータ電流が大きくなるのにしたがって、「M1」、「M2」、「M3」、「M4」が順に選択される。「M1」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされ、出力電圧Aが選択される状態を示し、「M2」は、第2抵抗器20bがオンにされ、第3抵抗器20cがオフにされ、出力電圧Aが選択される状態を示す。「M3」は、第2抵抗器20bがオフにされ、第3抵抗器20cがオンにされ、出力電圧Aが選択される状態を示す。「M4」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオンにされ、出力電圧Aが選択される状態を示す。
【0094】
さらに、電流特定部30は、検出対象となるモータ電流が、「M1」が対象とする領域よりも小さい場合に、「M0’」を選択する。「M0’」は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cがともにオフにされ、出力電圧Bが選択される状態を示す。つまり、「M0’」と「M1」との切替において、抵抗は変えられず、増幅率(合算増幅率)のみが変えられる。その結果、比較対象5のような「M0」と「M1」の切替における電位差が生じない。
【0095】
制御部16は、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数と、電流特定部30により特定されたDCモータ8に流れる電流値とをもとに、設定されている目標換気風量(設定風量)での風量一定制御を実行する。風量一定制御は、例えば次のようになされる。
【0096】
例えば、出力回路18が「M0’」の状態である場合に、出力電圧Bが所定の電圧値、例えば3.0Vに達していない場合、電流特定部30は、「M0’」の状態を維持させる。また、制御部16は、電流特定部30により特定されたDCモータ8に流れる電流値をもとにテーブルデータ32を参照することによって、基準となる回転数を取得する。制御部16は、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数と、基準となる回転数とを比較して、それらの差(以下、「回転数差」という)を算出する。制御部16は、回転数差の絶対値がしきい値以下である場合に、DCモータ8の現在の回転数を維持させる。
【0097】
回転数差の絶対値がしきい値よりも大きい場合、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数が、基準となる回転数よりも小さいければ、制御部16は、DCモータ8の回転数を増加させるように制御信号VSPを生成し、制御信号VSPを出力する。一方、回転数差の絶対値がしきい値よりも大きい場合、回転数検出部19により検出されたDCモータ8の回転数が、基準となる回転数よりも高ければ、制御部16は、DCモータ8の回転数を減少させるように制御信号VSPを生成し、制御信号VSPを出力する。
【0098】
また、外風等の影響によりダクト抵抗が上昇した場合は、回転数が低下しモータ電流が増加する。モータ電流が増加したことで、出力電圧Bが3.0V以上の場合、電流特定部30は、「M0’」の状態を「M1」状態に変える。これにより、電流特定部30は、出力電圧Bの代わりに出力電圧Aを使用して、DCモータ8に流れる電流値を特定する。また、出力電圧が3.0V以上となり、電流特定部30により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。
【0099】
モータ電流が増加したことで、出力電圧Aが3.0Vを超えた場合、電流特定部30は、「M1」の状態を「M2」状態に変える。これにより、出力回路18における抵抗値が変化する。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。モータ電流が増加したことで、出力電圧Aが3.0Vを超えた場合、電流特定部30は、「M2」の状態を「M3」状態に変える。これにより、出力回路18における抵抗値が変化する。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。モータ電流が増加したことで、出力電圧Aが3.0Vを超えた場合、電流特定部30は、「M3」の状態を「M4」状態に変える。これにより、出力回路18における抵抗値が変化する。制御部16は、テーブルデータ32を使用して前述と同様の処理を実行する。
【0100】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0101】
以上の構成による換気装置3の動作を説明する。
図10は、換気装置3による運転動作を示すフローチャートである。電流特定部30は、α、βをオフに設定する(S70)。電流特定部30は出力電圧Bを選択する(S71)。出力電圧Bが3.0V以上でなければ(S72のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S73)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S74のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S75)、ステップ72に戻る。
【0102】
出力電圧Bが3.0V以上である場合(S72のY)、電流特定部30は出力電圧Aを選択する(S76)。出力電圧Aが3.0V以上でなければ(S77のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S78)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S79のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S80)、ステップ77に戻る。
【0103】
出力電圧Aが3.0V以上である場合(S77のY)、電流特定部30は、αをオン、βをオフに設定する(S81)。出力電圧Aが3.0V以上でなければ(S82のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S83)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S84のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S85)、ステップ82に戻る。
【0104】
出力電圧Aが3.0V以上である場合(S82のY)、電流特定部30は、αをオフ、βをオンに設定する(S86)。出力電圧Aが3.0V以上でなければ(S87のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S88)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S89のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S90)、ステップ87に戻る。
【0105】
出力電圧Aが3.0V以上である場合(S87のY)、電流特定部30は、α、βをオンに設定する(S91)。制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S92)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S93のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S94)、ステップ92に戻る。回転数差が小さい場合(S74のY、S79のY、S84のY、S89のY、S93のY)、制御部16は現状を維持する(S95)。
【0106】
本実施例によれば、モータ電流を変換した電圧を増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Aとして出力する出力回路を備える。出力回路は、さらに、出力電圧Aを、出力電圧Aを出力する際に使用された増幅器とは異なる増幅器に入力し、さらに増幅された出力電圧を出力電圧Bとして出力する。電流特定部は、出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、モータに流れる電流値を特定可能な出力電圧を選択することによって、モータに流れる電流値を特定する。
【0107】
つまり、モータ電流を変換した電圧を複数の増幅率(合算増幅率)に入力し、複数の増幅率のそれぞれからの出力電圧のうち、モータ電流を特定可能な出力電圧を選択してモータ電流を特定するので、電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定できる。また、モータ電流が大きい範囲において抵抗を切りかえ、モータ電流が小さい範囲において出力電圧を選択するので、電流値を広い範囲で特定しながら、小さい電流値を高精度に特定できる。また、モータ電流が小さい範囲において出力電圧を選択するので、抵抗を切りかえた場合の電位差の影響を受けなくできる。また、抵抗を切りかえた場合の電位差の影響が受けなくなるので、換気風量が不安定な動作になることを回避できる。
【0108】
また、複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択するので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、選択した出力電圧と、出力電圧を出力した増幅器の増幅率と、抵抗の抵抗値とをもとに、モータ電流の電流値を特定するので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、目標換気風量での風量一定制御を行う際に、切り替える抵抗値を決定するので、特定可能なモータ電流の範囲を広くできる。また、目標換気風量が小さいほど、切り替える抵抗値が大きくなるように決定するので、モータ電流が小さくても特定精度の低下を抑制できる。
【0109】
なお、出力回路は、出力電圧Bを増幅器(出力電圧Aを出力する際に使用された増幅器とは異なり、出力電圧Bを出力する際に使用された増幅器とも異なる増幅器)に入力し、さらに増幅された出力電圧を出力電圧Cとして出力してもよい。複数の増幅器のそれぞれからの出力電圧のうち、モータ電流を特定可能な出力電圧を選択してモータ電流を特定するので、電流値を広い範囲で特定しながら、さらに小さい電流値を高精度に特定できる。また、モータ電流が大きい範囲において抵抗を切りかえ、モータ電流が小さい範囲において出力電圧を選択するので、電流値を広い範囲で特定しながら、さらに小さい電流値を高精度に特定できる。また、モータ電流が小さい範囲において出力電圧を選択するので、抵抗を切りかえた場合の電位差の影響を受けなくできる。また、抵抗を切りかえた場合の電位差の影響が受けなくなるので、換気風量が不安定な動作になることを回避できる。
【0110】
つまり、出力回路は、モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、変換した電圧を、直列に接続された複数の増幅器に入力し、直列に接続された複数の増幅器(各増幅器)のそれぞれで増幅された後の電圧である複数の出力電圧を出力し、電流特定部は、出力回路から出力される複数の出力電圧の中から、モータに流れる電流値を特定可能な出力電圧を選択することによって、モータに流れる電流値を特定する。言い換えると、出力回路は、モータに流れる電流を抵抗により電圧に変換し、変換した電圧を、直列に接続された複数の増幅器に入力し、直列に接続された複数の増幅器(各増幅器)のそれぞれを通過後の電圧である複数の出力電圧を出力するともいえる。
【0111】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。
【0112】
(項目9)
回転により換気風量を発生させる羽根(7)と、
前記羽根(7)を回転させるモータ(8)と、
前記モータ(8)の回転数を検出する回転数検出部(19)と、
前記モータ(8)に流れる電流値を特定する電流特定部(30)と、
前記回転数検出部(19)により検出された前記モータ(8)の前記回転数と、前記電流特定部(30)により特定された前記モータ(8)に流れる前記電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部(16)と、
前記モータ(8)に流れる電流を抵抗により電圧に変換し、変換した前記電圧を増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Aとして出力する出力回路(18)とを備え、
前記出力回路(18)は、
さらに、前記出力電圧Aを前記増幅器とは異なる増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Bとして出力し、
前記電流特定部(30)は、
前記出力回路(18)から出力される複数の出力電圧の中から、前記モータ(8)に流れる電流値を特定可能な前記出力電圧を選択することによって、前記モータ(8)に流れる電流値を特定する換気装置(3)。
【0113】
(項目10)
前記出力回路(18)は、
さらに、前記出力電圧Bを増幅器に入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Cとして出力する項目9に記載の換気装置(3)。
【0114】
(項目11)
前記電流特定部(30)は、
前記複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択する項目9に記載の換気装置(3)。
【0115】
(項目12)
前記電流特定部(30)は、
前記選択した出力電圧と、当該出力電圧を出力する際に通過した増幅率と、前記抵抗の抵抗値とをもとに、前記モータ(8)に流れる電流値を特定する項目9から11のいずれか1項に記載の換気装置(3)。
【0116】
(項目13)
前記出力回路(18)は、
前記抵抗の抵抗値を切替可能な抵抗切替回路(20d、20e)を備え、
前記電流特定部(30)は、前記目標換気風量での前記風量一定制御を行う際に、前記目標換気風量をもとに前記抵抗切替回路(20d、20e)において切り替える抵抗値を決定し、
前記抵抗切替回路(20d、20e)は、前記電流特定部(30)において決定した前記抵抗値に切りかえる項目9から12のいずれか1項に記載の換気装置(3)。
【0117】
(項目14)
前記電流特定部(30)は、
前記目標換気風量が小さいほど、前記抵抗切替回路(20d、20e)において切り替える抵抗値が大きくなるように決定する項目13に記載の換気装置(3)。
【0118】
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。実施例4は、実施例3と同様に、風量一定制御を実行する換気装置3に関する。比較対象5の場合、目標換気風量への風量一定制御を行っている場合において静圧が変動して抵抗を切りかえるタイミングが発生した場合に、風量が目標換気風量に安定しないおそれがある。これに対応するために、実施例4では、同一風量ノッチ(同一目標換気風量)において、抵抗を切りかえずに増幅率を切りかえる。実施例4に係る換気システム、換気装置3は、
図1(a)-(c)と同様のタイプである。ここでは、実施例3との差異を中心に説明する。
【0119】
図11は、制御部16と出力回路18の構成を示す。出力回路18における第1抵抗器20a、第2抵抗器20b、第3抵抗器20c、第1切替器20d、第2切替器20e、第4増幅器21d、第5増幅器21eは
図9と同一である。出力回路18は、第6増幅器21fをさらに含む。つまり、出力回路18は、さらに、出力電圧Bを「第4増幅器21dおよび第5増幅器21e」とは異なる第6増幅器21fに入力し、増幅された出力電圧を出力電圧Cとして出力する。第6増幅器21fの増幅率は、第4増幅器21dの増幅率や第5増幅器21eの増幅率と同じであってもよいし、違ってもよく、例えば2倍である。出力回路18は、第6増幅器21fで増幅された電圧(出力電圧C)を制御部16に出力する。
【0120】
図12(a)-(b)は、制御部16の動作概要を示す。
図12(a)は、制御部16(電流特定部30)において選択される処理のパターンを示し、実施例3における「M0’」、「M1」~「M4」に相当する。縦方向に示される「弱」、「中」、「強」、「急速」は設定風量(ノッチ)を示す。また、「α」は第1切替器20dに入力する制御信号を示し、「β」は第2切替器20eに入力する制御信号を示す。αの「ON」は第1切替器20dのオンを示し、αの「OFF」は第1切替器20dのオフを示す。また、βの「ON」は第2切替器20eのオンを示し、βの「OFF」は第2切替器20eのオフを示す。横方向に示される「10倍」、「20倍」、「40倍」は増幅率を示し、第4増幅器21dの増幅率、第4増幅器21dと第5増幅器21eとの合算増幅率(10×2=20倍)、第4増幅器21dと第5増幅器21eと第6増幅器21fとの合算増幅率(10×2×2=40倍)にそれぞれ対応する。処理のパターン(1)は、設定風量「弱」の場合において、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cをともにオフにし、出力電圧Cを選択することを示す。処理のパターン(2)~(12)も同様に示される。
【0121】
図12(b)は、静圧(Pa)-換気風量(Q)特性曲線を示す。風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「弱」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は100[m3/h]で一定にされる。その際、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(1)、(2)、(3)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cをともにオフにしたまま、出力電圧C、出力電圧B、出力電圧Aを順に選択する。
【0122】
風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「中」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は200[m3/h]で一定にされる。風量設定(ノッチ)が「中」の場合、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(4)、(5)、(6)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bをオンにして、第3抵抗器20cをオフにしたまま、出力電圧C、出力電圧B、出力電圧Aを順に選択する。
【0123】
風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「強」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は260[m3/h]で一定にされる。風量設定(ノッチ)が「強」の場合、静圧が
小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(8)、(9)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bをオフにして、第3抵抗器20cをオンにしたまま、出力電圧B、出力電圧Aを順に選択する。
【0124】
風量一定制御では、風量設定(ノッチ)が「急速」の場合、静圧に関係なく、例えば換気風量は340[m3/h]で一定にされる。風量設定(ノッチ)が「急速」の場合、静圧が小さい方から大きい方に変化すると、電流特定部30は、処理パタン(11)、(12)を順に切りかえる。つまり、電流特定部30は、第2抵抗器20bと第3抵抗器20cをともにオンにしたまま、出力電圧B、出力電圧Aを順に選択する。つまり、電流特定部30は、同一の風量設定において静圧が変化する場合、出力回路18の抵抗を変えずに増幅率(合算増幅率)を変える。
【0125】
電流特定部30は、目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流を抵抗により電圧に変換し、変換した電圧を増幅器(第4増幅器21d)に入力し、増幅された場合の出力電圧Aにおいて、当該出力電圧Aが所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定する。目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流は予め実験等により求められ、制御部16内に格納されている。また、電流特定部30は、特定した抵抗値を第1切替器20dまたは第2切替器20eにて切り替える抵抗値として決定する。
【0126】
例えば、設定風量(ノッチ)「弱」を実現するために必要とされる最大電流が100mAであり、抵抗を切りかえずに風量制御をする場合を説明の対象とする。増幅器の最大出力と電流特定部30の検出可能上限電圧とが3Vの場合、出力電圧Aが3V未満(所定の電圧値未満)となるように抵抗値を設計する必要がある。最大電流を第4増幅器21dで増幅された出力電圧Aが3V以上であると、同じ設定風量内(「弱」の風量設定内)で抵抗を切りかえないとモータ電流を正しく検出できない。つまり、3V÷10倍÷100mA=3Ω未満で抵抗値の設計をする必要がある。その中で、3V(所定の電圧値)に最も近い、つまり3Ω未満の抵抗値の中で一番高いものを選択することが、低電流における電流精度向上につながる。そこで、設定風量(ノッチ)「弱」における抵抗を3Ω未満の抵抗値の中で一番高い切り替え可能抵抗値に決定する。
【0127】
同様に、設定風量(ノッチ)「中」を実現するために必要とされる最大電流が200mAである場合、3V÷10倍÷200mA=1.5Ω未満かつ1.5Ω未満の抵抗値の中で一番高いものが選択される。電流特定部30の検出可能上限電圧以上(増幅器の最大電圧以上)の出力となってしまった場合、電流特定部30はどれほど実際のモータの電流値が上昇したとしてもモータの電流を同じ電流値とみなしてしまう。つまり、実際のモータの電流値が上昇することで所定の電圧値以上の電圧が制御部16(電流特定部30)に入力されても、電流特定部30はモータの電流をすべて同じ電流値(モータの電流値は上昇していない)とみなしてしまうので、所定の電圧以上の電圧は使用しないような設計がなされる。これは、電流特定部30の検出可能上限電圧以上の電圧は使用しないような設計がなされるともいえる。増幅器の最大電圧以上の電圧は使用しないような設計がなされるともいえる。このような設計の結果が
図12(a)のテーブルに反映される。
【0128】
これまで、設定風量と
図11(a)のテーブルとを使用して、抵抗が決められている。一方、
図11(a)のテーブルが記憶されず、設定風量を取得すると、制御部16が風量一定制御をする前に、電流特定部30は、抵抗を決定するための処理を実行してもよい。その際、電流特定部30は、設定風量を取得した場合、設定風量を実現するために必要と想定される電流値範囲内における最大電流を取得する。設定風量を実現するために必要と想定される電流値範囲内における最大電流は、例えばメモリ(図示せず)等に予め記憶される。また、電流特定部30は、設定風量を実現するために必要と想定される電流値範囲
内における最大電流を第4増幅器21dで増幅した場合の出力電圧Aにおいて、出力電圧Aが所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定する。制御部16は、設定風量における抵抗として、特定した抵抗値に切り替える。
【0129】
以上の構成による換気装置3の動作を説明する。
図13は、換気装置3による運転動作を示すフローチャートである。電流特定部30は、設定風量に応じて抵抗を切りかえる(S200)。電流特定部30は出力電圧Cを選択する(S202)。出力電圧Cが3.0V以上でなければ(S204のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S206)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S208のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S210)、ステップ204に戻る。
【0130】
出力電圧Cが3.0V以上である場合(S204のY)、電流特定部30は出力電圧Bを選択する(S212)。出力電圧Bが3.0V以上でなければ(S214のN)、制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S216)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S218のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S220)、ステップ214に戻る。
【0131】
出力電圧Bが3.0V以上である場合(S214のY)、電流特定部30は出力電圧Aを選択する(S222)。制御部16は、テーブルデータ32を参照して(S224)、回転数差を算出する。回転数差が小さくなければ(S226のN)、制御部16は、制御信号VSPをDCモータ8に送信することによって、DCモータ8に変更を指示し(S228)、ステップ224に戻る。回転数差が小さい場合(S208のY、S218のY、S226のY)、制御部16は現状を維持する(S230)。
【0132】
本実施例によれば、同一の設定風量内では抵抗を切りかえないので、静圧による風量のばらつきをなくすことができる。また、静圧による風量のばらつきがなくなるので、風量一定制御を高精度に実行できる。また、出力電圧(出力電圧A)が所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定し、特定した抵抗値に切りかえるので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、電流特定部は、所定の電圧値以上の出力電圧を所定の電圧値として検出する。つまり、電流特定部は、構成する回路部品構成等により検出可能上限電圧が設けられていることにより所定の電圧値以上の出力電圧を所定の電圧値として検出する。そこで、電流特定部が、複数の出力電圧の中から、所定の電圧値未満かつ所定の電圧値に最も近い出力電圧を選択することで、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、電流特定部により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。また、所定の電圧値は、複数の増幅器で出力可能な最大電圧値未満であるので、モータ電流の電流値の特定精度を向上できる。また、電流特定部により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。複数の増幅器で出力可能な最大電圧値は、複数の増幅器それぞれで出力可能な最大電圧値のことである。所定の電圧値は、複数の増幅器それぞれで出力可能な最大電圧値未満である。これにより、モータ電流の電流値の特定精度を向上でき、電流特定部により特定された電流が正しくない(実際に流れているモータ電流とは異なる)可能性を抑制できる。
【0133】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。
【0134】
(項目15)
前記電流特定部(30)は、
前記目標換気風量を実現するために必要とされる電流値範囲内における最大電流を前記抵
抗により前記電圧に変換し、前記変換した電圧が増幅された場合の出力電圧Aにおいて、前記出力電圧Aが所定の電圧値未満かつ前記所定の電圧値に最も近くなる抵抗値を特定し、
前記特定した抵抗値を前記抵抗切替回路(20d、20e)にて切り替える抵抗値として決定する項目13に記載の換気装置(3)。
【0135】
(項目16)
前記電流特定部(30)は、前記所定の電圧値以上の出力電圧を前記所定の電圧値として検出する項目11から15のいずれか1項に記載の換気装置(3)。
【0136】
(項目17)
前記所定の電圧値は、増幅器で出力可能な最大電圧値未満である項目16に記載の換気装置(3)。
【0137】
(項目18)
回転により換気風量を発生させる羽根(7)と、
前記羽根(7)を回転させるモータ(8)
と、
前記モータ(8)の回転数を検出する回転数検出部(19)と、
前記モータ(8)に流れる電流値を特定する電流特定部(30)と、
前記回転数検出部(19)により検出された前記モータ(8)の前記回転数と、前記電流特定部(30)により特定された前記モータ(8)に流れる前記電流値とをもとに、設定されている目標換気風量での風量一定制御を実行する制御部(16)と、
(1)前記モータ(8)に流れる電流を抵抗により電圧に変換し、(2)変換した前記電圧を、直列に接続された複数の増幅器に入力し、(3)前記複数の増幅器のそれぞれで増幅された複数の出力電圧を出力する出力回路(18)とを備え、
前記電流特定部(30)は、
前記出力回路(18)から出力される複数の出力電圧の中から、前記モータ(8)に流れる電流値を特定可能な前記出力電圧を選択することによって、前記モータ(8)に流れる電流値を特定する換気装置(3)。
【0138】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、風量制御を行う換気装置等として有用である。
【符号の説明】
【0140】
1 室内、
2 天井裏、
3 換気装置、
3a 吸込口、
4 アダプタ、
5 排気ダクト
6 排気口
7 羽根、
8 DCモータ
8a 制御用ドライブIC
8b 駆動回路
9 ルーバ
10 処理回路
11 商用電源入り/切り、ファンノッチ可変スイッチ
12 商用電源
13 整流回路
13a 平滑コンデンサ
14 電圧検出部
15 スイッチング電源回路
16 制御部
17 温度検出部
18 出力回路
18a 平滑コンデンサ
18b ホール素子
19 回転数検出部
20a 第1抵抗器
20b 第2抵抗器
20c 第3抵抗器
20d 第1切替器
20e 第2切替器
21a 第1増幅器
21b 第2増幅器
21c 第3増幅器
21d 第4増幅器
21e 第5増幅器
21f 第6増幅器
30 電流特定部、
32 テーブルデータ
50 生データ
52 補正データ