IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エクセディの特許一覧

<>
  • 特開-駆動ユニット 図1
  • 特開-駆動ユニット 図2
  • 特開-駆動ユニット 図3
  • 特開-駆動ユニット 図4
  • 特開-駆動ユニット 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144052
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B62B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194272
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2023052117
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】北村 太一
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD01
3D050HH07
3D050KK14
(57)【要約】
【課題】駆動輪に十分な輪圧を加える。
【解決手段】上部ユニットは、移動体に取り付けられるように構成される。駆動輪は、上部ユニットに対して上下方向に移動可能に配置される。駆動源は、駆動輪を駆動するように構成される。支持アームは、上部ユニットに揺動可能に取り付けられる。支持アームは、上部ユニットから傾斜して下方に延びる。支持アームは、駆動輪を支持する。付勢機構は、支持アームを下方に付勢する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられるように構成される駆動ユニットであって、
移動体に取り付けられるように構成される上部ユニットと、
前記上部ユニットに対して上下方向に移動可能に配置される駆動輪と、
前記駆動輪を駆動するように構成される駆動源と、
前記上部ユニットに揺動可能に取り付けられ、前記上部ユニットから傾斜して下方に延び、前記駆動輪を支持する支持アームと、
前記支持アームを下方に付勢する付勢機構と、
を備える、駆動ユニット。
【請求項2】
前記支持アームの揺動軸は、鉛直方向視において、前記駆動輪と重複しないように配置される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記付勢機構は、弾性部材である、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
当該駆動ユニットは、前記移動体を第1方向に走行させるように構成されており、
操作部材をさらに備え、
前記付勢機構は、
前記上部ユニットに揺動可能に取り付けられ、前記上部ユニットから下方且つ前記第1方向と反対方向の第2方向に延びる第1リンクと、
前記支持アームに揺動可能に取り付けられ、前記支持アームから上方且つ前記第2方向に延びる第2リンクと、
前記第1リンクと前記第2リンクとを接続する第1ジョイントと、
を有し、
前記操作部材は、前記第1方向に人力が入力された場合に前記第1ジョイントを前記第1方向に移動させるように構成される、
請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記付勢機構は、
前記上部ユニットに揺動可能に取り付けられ、前記上部ユニットから下方且つ前記第1方向に延びる第3リンクと、
前記支持アームに揺動可能に取り付けられ、前記支持アームから上方且つ前記第1方向に延びる第4リンクと、
前記第3リンクと前記第4リンクとを接続する第2ジョイントと、
を有し、
前記操作部材は、前記第2方向に人力が入力された場合に前記第2ジョイントを前記第2方向に移動させるように構成される、
請求項4に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
台車などのように駆動源を有さない移動体に取り付けられる駆動ユニットが提案されている。例えば、特許文献1に開示された駆動ユニットは、電気モータと、その電気モータによって駆動される駆動輪と、を有している。また、駆動ユニットは、駆動輪に輪圧を掛けるための受圧バネ部材を有している。受圧バネ部材が駆動輪を路面に向けて付勢して駆動輪に輪圧を掛けることによって、駆動輪が空転することを防止している。駆動ユニットは、安定的な走行を可能とするために、駆動輪の他にキャスターを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7040738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように構成された駆動ユニットは、走行時において、駆動輪に輪圧を加えるための押し付け荷重がキャスターにも分散され、駆動輪に十分な輪圧が加わらないおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、駆動輪に十分な輪圧を加えることのできる駆動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る駆動ユニットは、移動体に取り付けられるように構成される。駆動ユニットは、上部ユニット、駆動輪、駆動源、支持アーム、及び付勢機構を備える。上部ユニットは、移動体に取り付けられるように構成される。駆動輪は、上部ユニットに対して上下方向に移動可能に配置される。駆動源は、駆動輪を駆動するように構成される。支持アームは、上部ユニットに揺動可能に取り付けられる。支持アームは、上部ユニットから傾斜して下方に延びる。支持アームは、駆動輪を支持する。付勢機構は、支持アームを下方に付勢する。
【0007】
この構成によれば、駆動輪を支持する支持アームが、上部ユニットから傾斜して下方に延び、上部ユニットに揺動可能に取り付けられているため、付勢機構は、駆動輪を路面に向かって付勢することになる。このため、駆動ユニットの自立安定性が向上し、走行時においてキャスターなどの従動輪を設ける必要がなくなる。この結果、駆動輪に十分な輪圧を加えることができる。
【0008】
第2態様に係る駆動ユニットは、第1態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。支持アームの揺動軸は、鉛直方向視において、駆動輪と重複しないように配置される。
【0009】
第3態様に係る駆動ユニットは、第1又は第2態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。付勢機構は、弾性部材である。
【0010】
第4態様に係る駆動ユニットは、第1又は第2態様に係る駆動ユニットにおいて、操作部材をさらに備えている。当該駆動ユニットは、移動体を第1方向に走行させるように構成されている。付勢機構は、第1リンク、第2リンク、及び第1ジョイントを有する。第1リンクは、上部ユニットに揺動可能に取り付けられている。第1リンクは、上部ユニットから下方且つ第1方向と反対方向の第2方向に延びている。第2リンクは、支持アームに揺動可能に取り付けられている。第2リンクは、支持アームから上方且つ第2方向に延びている。第1ジョイントは、第1リンクと第2リンクとを接続する。操作部材は、第1方向に人力が入力された場合に第1ジョイントを第1方向に移動させるように構成される。
【0011】
第5態様に係る駆動ユニットは、第4態様に係る駆動ユニットにおいて、次のように構成される。付勢機構は、第3リンク、第4リンク、及び第2ジョイントを有する。第3リンクは、上部ユニットに揺動可能に取り付けられる。第3リンクは、上部ユニットから下方且つ第1方向に延びる。第4リンクは、支持アームに揺動可能に取り付けられる。第4リンクは、支持アームから上方且つ第1方向に延びる。第2ジョイントは、第3リンクと第4リンクとを接続する。操作部材は、第2方向に人力が入力された場合に第2ジョイントを第2方向に移動させるように構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動輪に十分な輪圧を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】台車に取り付けられた駆動ユニットの概略図。
図2】キャスターが取り外された従来の駆動ユニットの概略図。
図3】変形例に係る駆動ユニットの概略図。
図4】別の変形例に係る駆動ユニットの概略図。
図5】さらに別の変形例に係る駆動ユニットの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る駆動ユニット100について図面を参照しつつ説明する。図1は、台車200(移動体の一例)に取り付けられた駆動ユニット100を示す側面図である。本実施形態において、第1方向とは、駆動ユニット100を牽引したときに進む方向であり、第2方向とは駆動ユニット100を押したときに進む方向である。使用者は、駆動ユニット100の使用時において、駆動ユニット100に対して第1方向に位置する。なお、図1の右方向が第1方向であり、図1の左方向が第2方向である。また、軸方向とは、駆動輪3の回転軸が延びる方向である。
【0015】
図1に示すように、駆動ユニット100は、台車200に取り付けられている。台車200は、荷台201、及び複数の車輪(図示省略)を有している。台車200は、電気モータなどの駆動源を有さない移動体である。台車200の車輪は、従動輪である。台車200は、使用者が牽引することで第1方向に走行可能である。また、台車200は、使用者が押すことで、第2方向に走行可能である。なお、駆動ユニット100は、台車以外にも、ストレッチャーや、かご車、車椅子などの移動体に取り付けることができる。
【0016】
駆動ユニット100は、台車200に取り付けられるように構成されている。駆動ユニット100は、上部ユニット2、駆動輪3、電気モータ4(駆動源の一例)、支持アーム5、付勢機構6、及び操作部材7を有している。
【0017】
上部ユニット2は、台車200に取り付けられるように構成されている。例えば、上部ユニット2は、トグルクランプを有しており、トグルクランプを使用して台車200に取り付けられてもよい。他にも、上部ユニット2は、ボルトなどによって台車200に取り付けられてもよい。上部ユニット2は、台車200と一体的に動くように台車200に固定されている。なお、上部ユニット2は、台車200の下方に配置されているが、台車200の下方に配置されていなくてもよい。上部ユニット2は、台車200と一体的に動く部分と、台車200に対して動く部分とを有していてもよい。
【0018】
駆動輪3は、上部ユニット2の下方に配置されている。駆動輪3は、上部ユニット2に対して上下方向に移動可能に配置されている。すなわち、駆動輪3と上部ユニット2との距離は可変である。なお、走行時において、駆動ユニット100は、駆動輪3のみが路面に接している。すなわち、駆動ユニット100は、走行時において、駆動輪3を除き、路面に接する部材を有していない。
【0019】
電気モータ4は、支持アーム5に支持されている。電気モータ4は、駆動輪3を駆動するように構成されている。電気モータ4は、バッテリ(図示省略)から電力が供給される。
【0020】
支持アーム5は、上部ユニット2から傾斜して下方に延びている。詳細には、支持アーム5は、上部ユニット2から、下方且つ第2方向に延びている。支持アーム5は、上部ユニット2に揺動可能に取り付けられている。詳細には、支持アーム5は、その上端部において、上部ユニット2に取り付けられている。支持アーム5は、駆動輪3を回転可能に支持している。詳細には、支持アーム5の下端部に、駆動輪3が回転可能に支持されている。
【0021】
支持アーム5は、揺動軸Oを中心に揺動可能である。詳細には、支持アーム5は、揺動軸Oを中心に、上下方向に揺動する。支持アーム5が上方向に揺動すると、支持アーム5の下端部は上方向に移動して上部ユニット2に近付く。すなわち、図1において、支持アーム5は、揺動軸Oを中心に時計回りに揺動する。支持アーム5が下方向に揺動すると、支持アーム5の下端部は下方向に移動して上部ユニット2から離れる。すなわち、図1において、支持アーム5は、揺動軸Oを中心に反時計回りに揺動する。支持アーム5の揺動軸Oは、鉛直方向視において、駆動輪3と重複しないように配置されている。なお、支持アーム5は、複数の部材によって構成されていてもよい。支持アーム5を構成する各部材は、互いに一体的に揺動する。
【0022】
付勢機構6は、支持アーム5を下方に付勢している。付勢機構6は、上部ユニット2と、支持アーム5との間に配置されている。また、付勢機構6は、駆動輪3と揺動軸Oとの間に配置されている。付勢機構6は、例えば、弾性部材であり、より具体的には圧縮バネである。付勢機構6の上端部は上部ユニット2に取り付けられており、付勢機構6の下端部は支持アーム5に取り付けられている。この付勢機構6の付勢力によって、駆動輪3に輪圧を加える。詳細には、付勢機構6は、上部ユニット2のうち、台車200と一体的に上下動するように構成された部分に取り付けられている。
【0023】
操作部材7は、上部ユニット2又は支持アーム5に取り付けられている。操作部材7は、上部ユニット2又は支持アーム5に対して、揺動可能に取り付けられている。操作部材7は、使用者による第1方向又は第2方向の人力が入力されるように構成されている。例えば、操作部材7の先端部には、使用者が握るためのハンドルが取り付けられている。使用者が操作部材7を第1方向に引っ張ることによって、台車200は第1方向に走行する。また、使用者が操作部材7を第2方向に押すことによって、台車200は第2方向に走行する。
【0024】
以上のように構成された駆動ユニット100によれば、以下のように、走行時における自立安定性が向上する。まず、図2に示すように、従来の駆動ユニット500からキャスターを取り外した場合、上部ユニット502を中心に揺動する構成となる。従来の駆動ユニット500は、一旦、倒れ始めると、圧縮バネ506は駆動ユニット500がより倒れる姿勢となるように駆動輪503を付勢する。このように、従来の駆動ユニット500は、倒れる姿勢となりやすい構成となっている。このため、従来の駆動ユニット500では、走行時において、駆動輪に加えてキャスターなどのような車輪が必要である。
【0025】
これに対して、本実施形態に係る駆動ユニット100は、図1に示すように、駆動輪3は、駆動輪3から傾斜して上方に延びる支持アーム5と一体的に、揺動軸Oを中心に揺動する。このため、駆動ユニット100が倒れる姿勢になっても、付勢機構6は駆動輪3を路面に向かって付勢し、駆動ユニット100が倒れるような方向に駆動輪3を付勢しない。このため、本実施形態に係る駆動ユニット100は、自立安定性が向上し、走行時においてキャスターなどの従動輪を設けなくても転倒することを防止できる。
【0026】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の各変形例は、基本的には同時に適用することができる。
【0027】
(a)駆動ユニット100は、駆動輪3に加えて、キャスターなどの従動輪を有していてもよい。このキャスターは、走行時には使用されない。すなわち、走行時は、駆動輪3のみが路面と接している。キャスターは、停止時において、駆動ユニット100を安定させるために使用される。
【0028】
(b)付勢機構6は、上述したような弾性部材に限定されない。例えば、図3に示すように、付勢機構6は、リンク機構とすることができる。付勢機構6は、第1リンク61、第2リンク62、第3リンク63、第4リンク64、第1ジョイント65、及び第2ジョイント66を有している。また、付勢機構6は、第3ジョイント67、及び第4ジョイント68を有している。
【0029】
第1リンク61は、上部ユニット2に揺動可能に取り付けられている。詳細には、第1リンク61は、その上端部において、上部ユニット2に取り付けられている。第1リンク61の上端部は、上部ユニット2と一体的に上下方向に移動するように構成されている。
【0030】
第1リンク61は、上部ユニット2から下方且つ第2方向に延びている。すなわち、第1リンク61の下端部は、第1リンク61の上端部に対して、第2方向に配置されている。
【0031】
第1リンク61は、第1揺動軸O1を中心に揺動可能である。詳細には、第1リンク61は、第1揺動軸O1を中心に、第1方向及び第2方向に揺動する。第1リンク61が第1方向に揺動すると、第1リンク61の下端部は第1方向に移動する。すなわち、図3において、第1リンク61は、第1揺動軸O1を中心に反時計回りに揺動する。第1リンク61が第2方向に揺動すると、第1リンク61の下端部は第2方向に移動する。すなわち、図3において、第1リンク61は、第1揺動軸O1を中心に時計回りに揺動する。
【0032】
第2リンク62は、支持アーム5に揺動可能に取り付けられている。詳細には、第2リンク62は、その下端部において、支持アーム5に取り付けられている。第2リンク62の下端部は、支持アーム5と一体的に上下方向に移動するように構成されている。
【0033】
第2リンク62は、支持アーム5から上方且つ第2方向に延びている。すなわち、第2リンク62の上端部は、第2リンク62の下端部に対して、第2方向に配置されている。
【0034】
第2リンク62は、第2揺動軸O2を中心に揺動可能である。詳細には、第2リンク62は、第2揺動軸O2を中心に、第1方向及び第2方向に揺動する。第2リンク62が第1方向に揺動すると、第2リンク62の上端部は第1方向に移動する。すなわち、図3において、第2リンク62は、第2揺動軸O2を中心に時計回りに揺動する。第2リンク62が第2方向に揺動すると、第2リンク62の上端部は第2方向に移動する。すなわち、図3において、第2リンク62は、第2揺動軸O2を中心に反時計回りに揺動する。
【0035】
第1ジョイント65は、第1リンク61と第2リンク62とを接続している。詳細には、第1ジョイント65は、第1リンク61の下端部と、第2リンク62の上端部とを接続している。なお、第1リンク61と第2リンク62とは、第1ジョイント65によって互いに回転可能に接続されている。
【0036】
第1ジョイント65は、第1揺動軸O1と第2揺動軸O2とを結んだ仮想線Lに対して、第2方向に配置されている。第1ジョイント65は、第1方向及び第2方向に移動可能に配置されている。第1ジョイント65が第1方向に移動すると、すなわち、第1ジョイント65が仮想線Lに近付くと、第1揺動軸O1と第2揺動軸O2は互いに離れる方向に移動する。なお、第1ジョイント65は、仮想線Lを超えて第1方向には移動しない。
【0037】
第3リンク63は、上部ユニット2に揺動可能に取り付けられている。詳細には、第3リンク63は、その上端部において、上部ユニット2に取り付けられている。第3リンク63の上端部は、上部ユニット2と一体的に上下方向に移動するように構成されている。
【0038】
第3リンク63は、上部ユニット2から下方且つ第1方向に延びている。すなわち、第3リンク63の下端部は、第3リンク63の上端部に対して、第1方向に配置されている。
【0039】
第3リンク63は、第1揺動軸O1を中心に揺動可能である。詳細には、第3リンク63は、第1揺動軸O1を中心に、第1方向及び第2方向に揺動する。第3リンク63が第1方向に揺動すると、第3リンク63の下端部は第1方向に移動する。すなわち、図3において、第3リンク63は、第1揺動軸O1を中心に反時計回りに揺動する。第3リンク63が第2方向に揺動すると、第3リンク63の下端部は第2方向に移動する。すなわち、図3において、第3リンク63は、第1揺動軸O1を中心に時計回りに揺動する。
【0040】
第4リンク64は、支持アーム5に揺動可能に取り付けられている。詳細には、第4リンク64は、その下端部において、支持アーム5に取り付けられている。第4リンク64の下端部は、支持アーム5と一体的に上下方向に移動するように構成されている。
【0041】
第4リンク64は、支持アーム5から上方且つ第1方向に延びている。すなわち、第4リンク64の上端部は、第4リンク64の下端部に対して、第1方向に配置されている。
【0042】
第4リンク64は、第2揺動軸O2を中心に揺動可能である。詳細には、第4リンク64は、第2揺動軸O2を中心に、第1方向及び第2方向に揺動する。第4リンク64が第1方向に揺動すると、第4リンク64の上端部は第1方向に移動する。すなわち、図3において、第4リンク64は、第2揺動軸O2を中心に時計回りに揺動する。第4リンク64が第2方向に揺動すると、第4リンク64の上端部は第2方向に移動する。すなわち、図3において、第4リンク64は、第2揺動軸O2を中心に反時計回りに揺動する。
【0043】
第2ジョイント66は、第3リンク63と第4リンク64とを接続している。詳細には、第2ジョイント66は、第3リンク63の下端部と、第4リンク64の上端部とを接続している。なお、第3リンク63と第4リンク64とは、第2ジョイント66によって互いに回転可能に接続されている。
【0044】
第2ジョイント66は、第1揺動軸O1と第2揺動軸O2とを結んだ仮想線Lに対して、第1方向に配置されている。第2ジョイント66は、第1方向及び第2方向に移動可能に配置されている。第2ジョイント66が第2方向に移動すると、すなわち、第2ジョイント66が仮想線Lに近付くと、第1揺動軸O1と第2揺動軸O2は互いに離れる方向に移動する。なお、第2ジョイント66は、仮想線Lを超えて第2方向には移動しない。
【0045】
第3ジョイント67は、第1リンク61と第3リンク63とを接続している。詳細には、第3ジョイント67は、第1リンク61の上端部と、第3リンク63の上端部とを接続している。なお、第1リンク61と第3リンク63とは、第3ジョイント67によって、互いに回転可能に接続されている。
【0046】
第3ジョイント67は、第1揺動軸O1と同じ位置に配置されている。第3ジョイント67は、上部ユニット2と一体的に上下方向に移動するように上部ユニット2に取り付けられている。
【0047】
第4ジョイント68は、第2リンク62と第4リンク64とを接続している。詳細には、第4ジョイント68は、第2リンク62の下端部と、第4リンク64の下端部とを接続している。なお、第2リンク62と第4リンク64とは、第4ジョイント68によって、互いに回転可能に接続されている。
【0048】
第4ジョイント68は、第2揺動軸O2と同じ位置に配置されている。第4ジョイント68は、支持アーム5と一体的に上下方向に移動するように支持アーム5に取り付けられている。
【0049】
操作部材7は、付勢機構6に対して軸方向(図3の紙面垂直方向)に隣り合うように配置されている。操作部材7は、付勢機構6を操作するように構成されている。使用者が台車200を第1方向に走行させるために操作部材7を第1方向に引っ張ると、操作部材7には、第1方向の人力が入力される。また、使用者が台車200を第2方向に走行させるために操作部材7を第2方向に押すと、操作部材7には、第2方向の人力が入力される。
【0050】
操作部材7は、第1方向に人力が入力されたとき、第1ジョイント65を第1方向に移動させるように構成されている。詳細には、操作部材7は、第1当接面71を有している。第1当接面71は、第1方向を向いている。操作部材7は、第1方向及び第2方向に沿って延びるスリット孔70を有している。スリット孔70を画定する内壁面のうち、第1方向を向く面が第1当接面71である。
【0051】
第1当接面71は、第1ジョイント65、又は第1ジョイント65と一体的に第1方向に移動する部材と、対向している。例えば、第1ジョイント65は、第1リンク61又は第2リンク62から軸方向に延びている。そして、第1ジョイント65の一部は、操作部材7のスリット孔70内に配置されている。
【0052】
操作部材7は、第2方向に人力が入力されたとき、第2ジョイント66を第2方向に移動させるように構成されている。詳細には、操作部材7は、第2当接面72を有している。第2当接面72は、第2方向を向いている。スリット孔70を画定する内壁面のうち、第2方向を向く面が第2当接面72である。
【0053】
第2当接面72は、第2ジョイント66、又は第2ジョイント66と一体的に第2方向に移動する部材と、対向している。例えば、第2ジョイント66は、第3リンク63又は第4リンク64から軸方向に延びている。そして、第2ジョイント66の一部は、操作部材7のスリット孔70内に配置されている。
【0054】
上述したように構成された駆動ユニット100は、以下のように動作する。まず、使用者が台車200を第1方向に走行させたい場合、使用者は操作部材7を第1方向に引っ張る。これにより、操作部材7に第1方向に向かう人力が入力され、第1当接面71が第1ジョイント65と当接する。
【0055】
上部ユニット2及び支持アーム5は路面と台車200との間に挟まれているため、使用者が操作部材7を第1方向に引っ張ることにより、上部ユニット2を台車200に押し付ける力、及び支持アーム5を下方に付勢する力が発生する。このように、付勢機構6は、支持アーム5を下方に付勢することにより、駆動輪3に輪圧を加えることができる。ここで、台車200が重い場合は、使用者が操作部材7を第1方向に引っ張る力が大きくなるため、駆動輪3に加わる輪圧も大きくなる。また、台車200が軽い場合は、使用者が操作部材7を第1方向に引っ張る力が小さくなるため、駆動輪3に加わる輪圧も小さくなる。このように、駆動ユニット100は、台車200の重量に応じて、駆動輪3に加わる輪圧を変化させることができる。
【0056】
次に、使用者が台車200を第2方向に走行させたい場合、使用者は操作部材7を第2方向に押す。これにより、操作部材7に第2方向に向かう人力が入力され、第2当接面72が第2ジョイント66と当接する。
【0057】
上部ユニット2及び支持アーム5は路面と台車200との間に挟まれているため、使用者が操作部材7を第2方向に押すことにより、上部ユニット2を台車200に押し付ける力、及び支持アーム5を下方に付勢する力が発生する。このように、付勢機構6は、支持アーム5を下方に付勢することにより、駆動輪3に輪圧を加えることができる。ここで、台車200が重い場合は、使用者が操作部材7を第2方向に押す力が大きくなるため、駆動輪3に加わる輪圧も大きくなる。また、台車200が軽い場合は、使用者が操作部材7を第2方向に押す力が小さくなるため、駆動輪3に加わる輪圧も小さくなる。このように、台車200を第2方向に走行させる場合も、駆動ユニット100は、台車200の重量に応じて、駆動輪3に加わる輪圧を変化させることができる。
【0058】
なお、付勢機構6は、第1~第4リンク61~64を有していたが、付勢機構6の構成はこれに限定されない。例えば、付勢機構6は、第1リンク61、第2リンク62を有し、第3リンク63及び第4リンク64を有していなくてもよい。
【0059】
(c)上記実施形態では、駆動ユニット100を牽引すると第1方向に進み、駆動ユニット100を押すと第2方向に進むとして説明したが、駆動ユニット100の使用方法はこれに限定されない。例えば、図4に示すように、使用者は、駆動ユニット100に対して、第2方向に位置していてもよい。この場合、操作部材7は、付勢機構6から第2方向に延びている。そして、駆動ユニット100を牽引すると第2方向に進み、駆動ユニット100を押すと第1方向に進む。
【0060】
(d)図5に示すように、支持アーム5はプレート状であってもよい。この場合、「支持アームが上部ユニットから傾斜して下方に延びる」とは、支持アーム5の揺動軸Oと駆動輪3の回転軸O3とを結んだ仮想線L2が、揺動軸Oから傾斜して下方に延びていることを意味する。また支持アーム5が揺動するのではなく、上部ユニット2が揺動軸Oを中心に揺動してもよい。
【0061】
(e)図5に示すように、操作部材7及び上部ユニット2は、互いに異なる位置で支持アーム5に揺動可能に取り付けられていてもよい。
【0062】
(f)図5に示すように、駆動輪3は、台車200の下方に配置されていなくてもよい。この場合、上部ユニット2が台車200に向かって延びている。
【符号の説明】
【0063】
2 :上部ユニット
3 :駆動輪
4 :電気モータ
5 :支持アーム
6 :付勢機構
7 :操作部材
61 :第1リンク
62 :第2リンク
63 :第3リンク
64 :第4リンク
65 :第1ジョイント
66 :第2ジョイント
100 :駆動ユニット
図1
図2
図3
図4
図5