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特開2024-144065二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法
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  • 特開-二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144065
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】二酸化炭素分離装置および二酸化炭素分離方法
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/00 20060101AFI20241003BHJP
   F25J 3/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F25J3/00
F25J3/08
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201519
(22)【出願日】2023-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2023053337
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501152282
【氏名又は名称】有限会社入交昭一郎
(71)【出願人】
【識別番号】320011199
【氏名又は名称】株式会社石川エナジーリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】入交 昭一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 満
(72)【発明者】
【氏名】茅沼 秀高
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA08
4D047AB00
4D047BA03
4D047BB00
4D047CA03
4D047CA19
4D047DA10
(57)【要約】
【課題】大気から二酸化炭素を効果的に分離できる二酸化炭素分離装置等を提供する。
【解決手段】二酸化炭素分離装置10は、空気17から二酸化炭素を分離する装置である。二酸化炭素分離装置10は、圧縮機11と、凝縮器12と、膨張機13と、水分離部14と、を具備する。圧縮機11は、空気17を圧縮することにより圧縮空気172を生成する。凝縮器12は、圧縮空気172を熱交換することにより凝縮空気173を生成する。膨張機13は、凝縮空気173を膨張することにより膨張空気174を生成し、膨張空気174に含まれる二酸化炭素を固体化する。水分離部14は、圧縮機11に導入される前の空気17から水分を除去する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気である空気から二酸化炭素を分離する装置であり、
圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、水分離部と、を具備し、
前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、
前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、
前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、
前記水分離部は、前記圧縮機に導入される前の前記空気から水分を分離することを特徴とする二酸化炭素分離装置。
【請求項2】
空気冷却部を更に具備し、
前記空気冷却部は、前記水分離部の前段で、前記空気を冷却することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項3】
前記膨張機では、前記空気に含まれる前記水分を固化し、
前記空気冷却部は、前記固化された前記水分と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却することを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項4】
前記水分離部では、前記空気に含まれる前記水分を部分的に分離することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項5】
請求項1に記載された前記二酸化炭素分離装置と、燃料合成部と、を有し、
前記燃料合成部は、前記二酸化炭素分離装置により前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする燃料合成装置。
【請求項6】
大気である空気から二酸化炭素を分離する方法であり、
前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、
前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、
前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、
圧縮される前の前記空気から水分を除去することを特徴とする二酸化炭素分離方法。
【請求項7】
請求項6に記載された二酸化炭素分離方法を含む燃料製造方法であり、
前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする燃料製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気中から二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中における二酸化炭素の濃度は、増加の傾向にある。具体的には、日本国気象庁の報告によると、大気中における二酸化炭素の世界平均濃度は、1985年は340ppmであったものが、2020年には410ppmまで上昇している。
【0003】
大気中における二酸化炭素濃度の長期的な濃度増加の要因には、人間活動に伴う化石燃料の消費、セメント生産、森林破壊などの土地利用の変化などが挙げられる。排出された二酸化炭素の一部は植物や海洋によって吸収されるが、残りは大気中に蓄積される。よって、人間活動が現在の状態で続けば、大気中における二酸化炭素の濃度は、更に上昇するものと考えられる。
【0004】
一方、現在の地球は過去1400年の間で最も暖かくなっている。地球温暖化は、平均的な気温の上昇のみならず、異常高温(熱波)や大雨・干ばつの増加などのさまざまな気候の変化をともなう。その影響は、早い春の訪れなどによる生物活動の変化や、水資源や農作物への影響など、自然生態系や人間社会にすでに現れている。将来、地球の気温はさらに上昇すると予想され、水、生態系、食糧、沿岸域、健康などでより深刻な影響が生じると考えられる。
【0005】
大気中における二酸化炭素の濃度上昇と地球温暖化との因果関係は、現時点では正確には明らかにされていないものの、両者の間には明確な相関関係が存在する。よって、大気中における二酸化炭素の濃度上昇を抑制するまたは低減することにより、地球温暖化を抑制することが期待される。
【0006】
以下の各特許文献には、気体から二酸化炭素を分離する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6086998号公報
【特許文献2】特開2010-266154号公報
【特許文献3】特開2009-262016号公報
【特許文献4】特許第3778674第号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、全地球規模で大気中に含まれる二酸化炭素の濃度を低減させようとすると、種々な課題が予測される。
【0009】
一般に、大気は、窒素(78.08%)、酸素(20.95%)、アルゴン(0.93%)、二酸化炭素(0.03%)で大部分が構成されているとされている。しかしながら、実際には、大気には水蒸気が含まれている。大気が水蒸気を含む割合は、大気の状況によって異なる。具体的には、大気が水蒸気を含む割合は、気温、気圧、気象等により変化する。また、大気が水蒸気を含む割合は、地球上の場所によっても異なり、更に、経時的に変化する。ところが、係る事項を考慮して二酸化炭素を大気から分離する方法は未だ提案されていない。
【0010】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、大気から二酸化炭素を効果的に分離できる二酸化炭素分離装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、大気である空気から二酸化炭素を分離する装置であり、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、水分離部と、を具備し、前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、前記水分離部は、前記圧縮機に導入される前の前記空気から水分を分離することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、空気冷却部を更に具備し、前記空気冷却部は、前記水分離部の前段で、前記空気を冷却することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、前記膨張機では、前記空気に含まれる前記水分を固化し、前記空気冷却部は、前記固化された前記水分と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、前記水分離部において、前記空気に含まれる前記水分を部分的に分離することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の燃料合成装置は、前記二酸化炭素分離装置と、燃料合成部と、を有し、前記燃料合成部は、前記二酸化炭素分離装置により前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、大気である空気から二酸化炭素を分離する方法であり、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、圧縮される前の前記空気から水分を除去することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の燃料製造方法は、前記した二酸化炭素分離方法を含む燃料製造方法であり、前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二酸化炭素分離装置は、大気である空気から二酸化炭素を分離する装置であり、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、水分離部と、を具備し、前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、前記水分離部は、前記圧縮機に導入される前の前記空気から水分を分離することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離装置によれば、圧縮機に導入される前の空気から水分を除去することにより、圧縮機および膨張機の負荷を低減できる。また、膨張機において、凝縮空気に含まれる大量の水分が凍結することを抑止できる。よって、大気から二酸化炭素を効果的に分離し、地球温暖化を抑制することが期待される。
【0019】
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、空気冷却部を更に具備し、前記空気冷却部は、前記水分離部の前段で、前記空気を冷却することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離装置によれば、処理前の空気が冷却されることから、水分離部において空気から容易に水分を除去できる。
【0020】
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、前記膨張機では、前記空気に含まれる前記水分を固化し、前記空気冷却部は、前記固化された前記水分と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離装置によれば、空気を冷却するのに必要とされるエネルギを低減できる。
【0021】
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、水分離部において空気に水分を残存させることで、処理後の空気に固体水分を残し、この固体水分により処理前空気を冷却することができる。
【0022】
また、本発明の燃料合成装置は、前記二酸化炭素分離装置と、燃料合成部と、を有し、前記燃料合成部は、前記二酸化炭素分離装置により前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする。本発明の燃料合成装置によれば、大気から膨大な量の燃料を生成することができる。
【0023】
また、本発明は、大気である空気から二酸化炭素を分離する方法であり、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、圧縮される前の前記空気から水分を除去することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離方法によれば、圧縮機に導入される前の空気から水分を除去することにより、膨張機において、凝縮空気に含まれる水分が凍結し、凍結した水分が二酸化炭素と一体化してしまうことを防止できる。即ち、膨張機において二酸化炭素のみを効果的に除去することができる。
【0024】
また、本発明の燃料製造方法は、前記した二酸化炭素分離方法を含む燃料製造方法であり、前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする。本発明の燃料製造方法によれば、大気から膨大な量の燃料を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る二酸化炭素分離装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る二酸化炭素分離装置の効果を示す表である。
図3】本発明の実施形態に係る二酸化炭素分離装置において稼働環境が与える影響を示す表である。
図4】本発明の実施形態に係る二酸化炭素分離装置における冷媒の振る舞いを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
【0027】
図1は、二酸化炭素分離装置10を示すブロック図である。
【0028】
二酸化炭素分離装置10は、空気冷凍サイクルを用いて空気17から二酸化炭素を分離する装置である。空気17とは、例えば大気である。二酸化炭素分離装置10により大気から二酸化炭素を分離することで、大気中における二酸化炭素の濃度を低減でき、地球温暖化を抑制することが期待できる。
【0029】
二酸化炭素分離装置10は、大気を取り込むことができるのであれば、地球上のあらゆる箇所に設置できる。例えば、陸上、地中、海上、海中、海底等に設置できる。後述するように、二酸化炭素分離装置10の設置箇所は、地球上において、気温が低く且つ湿度が低い地域が好ましい。大気の温度が低いことにより、二酸化炭素の凝固点まで大気を冷却するのに必要とされるエネルギを低減できる。大気の湿度が低いことにより、大気を冷却する際に必要とされるエネルギが低減される。例えば、二酸化炭素分離装置10の設置箇所は、南極、北極等が好ましい。
【0030】
後述するように、二酸化炭素分離装置10により処理された空気は、大気に放出される。二酸化炭素分離装置10により捕集された二酸化炭素は、例えば、工業用途に利用される。または、捕集された二酸化炭素は、食物栽培のために利用されても良いし、地中深くに建設された最終処理施設に保存されても良い。
【0031】
具体的には、二酸化炭素分離装置10は、圧縮機11と、凝縮器12と、膨張機13と、水分離部14と、を主要に具備する。二酸化炭素分離装置10を構成する各機器は、ここでは図示しない配管により相互接続され、当該配管を空気17が流通する。空気17の流れの上流側から、二酸化炭素分離装置10は、空気冷却部15、水分離部14、圧縮機11、第1凝縮器121、第2凝縮器122、膨張機13および分離部19を有する。また、二酸化炭素分離装置10は、例えばCPUである演算制御部18を有する。二酸化炭素分離装置10を構成する各部位の動作は、演算制御部18が制御する。
【0032】
二酸化炭素分離装置10における処理段階に応じて、空気17の呼称は異なる。処理前空気171は、圧縮機11に導入される前の空気17である。圧縮空気172は、圧縮機11により圧縮された空気17である。凝縮空気173は、凝縮器12により凝縮された空気17である。膨張空気174は、膨張機13により膨張された空気17である。処理済空気175は、分離部19を経た空気17である。
【0033】
空気冷却部15は、外部から取り入れられた処理前空気171を冷却するものである。空気冷却部15としては、冷凍サイクル、ペルチェ素子等の周知の冷却装置を採用することができる。更に、空気冷却部15としては、後述する分離部19により分離された個体の水(氷)と、処理前空気171とを熱交換する機構を採用することもできる。係る機構を採用することで、空気冷却部15が消費するエネルギを低減できる。空気冷却部15により処理前空気171を冷却することで、処理前空気171の湿度が上昇し、後述する水分離部14により水分を水分離部14から容易に分離できる。
【0034】
水分離部14は、処理前空気171から水分を除去するものである。水分離部14の具体的な機構としては、遠心力により処理前空気171から水分を分離する遠心分離機、処理前空気171に含まれる水分のみを捕捉する膜等を採用できる。水分離部14では、処理前空気171に含まれる水分の全てを除去することもできるが、好ましくは、処理前空気171に含まれる水分を部分的に除去する。このようにすることで、後述するように、二酸化炭素分離装置10において処理される処理前空気171に、所定量の水分を残存させることがでる。よって、分離部19にて膨張空気174から分離された固体水分を空気冷却部15に供給し、空気冷却部15において固体水分を用いて空気冷却部15を冷却することができる。
【0035】
圧縮機11は、空気17を圧縮することにより圧縮空気172を生成する。圧縮機11に導入される処理前空気171は、水分が分離されている。よって、圧縮機11により圧縮された圧縮空気172は、容易に高温となる。
【0036】
凝縮器12は、圧縮空気172を熱交換することにより凝縮空気173を生成する。凝縮器12は、空気17の流れにおける上流側から、第1凝縮器121と、第2凝縮器122と、を有する。
【0037】
第1凝縮器121は、圧縮空気172に対して熱交換を行うことで、圧縮空気172を凝縮するものである。第1凝縮器121は、二酸化炭素分離装置10の外部に対して放熱する機器である。第1凝縮器121としては、例えば、送風により大気中の空気と熱交換する一般的な熱交換器を採用できる。ここで、第1凝縮器121における熱交換は、分離部19により得られた固体の水分と圧縮空気172とを熱交換するものでもよい。
【0038】
第2凝縮器122は、圧縮空気172に対して更に熱交換を行うことで、圧縮空気172を凝縮するものである。第2凝縮器122は、二酸化炭素分離装置10の内部において、熱を回収する機器である。第2凝縮器122としては、分離部19により水分および二酸化炭素が除去された処理済空気175と、圧縮空気172とが熱交換するものでも良い。更に、第2凝縮器122としては、分離部19により得られた固体水分または固体二酸化炭素と、圧縮空気172とが熱交換するものでも良い。
【0039】
凝縮器12により凝縮された凝縮空気173は、膨張機13に送風される。
【0040】
膨張機13は、凝縮空気173を膨張することにより膨張空気174を生成する。更に、膨張機13は、膨張空気174に含まれる二酸化炭素を固体化する。具体的には、膨張機13は、凝縮空気173を膨張させることで、温度が-79℃以下の膨張空気174を生成する。膨張空気174の温度が極めて低いことから、膨張空気174に含まれる二酸化炭素は固体となる。同様に、膨張空気174に含まれる水も固体となる。
【0041】
本実施形態では、前段に配置された水分離部14により、処理前空気171から水分を除去している。よって、膨張機13において、凝縮空気173に含まれる水分が制限される。このことから、凝縮空気173から二酸化炭素を容易に分離できる。
【0042】
ここで、圧縮機11と膨張機13とは駆動軸を共有している。また、この駆動軸は、モータ16により駆動される。係る構成により、1つのモータ16により圧縮機11および膨張機13を運転できることから、二酸化炭素分離装置10の運転に要するエネルギを低減できる。ここで、モータ16の代わりにエンジン等の内燃機関等を採用できる。
【0043】
分離部19では、膨張機13により膨張された膨張空気174から、固化された二酸化炭素および水を分離する。係る分離は、遠心力により二酸化炭素および水を除去するものでも良いし、膜状部材により二酸化炭素および水を除去するものでも良い。
【0044】
ここで、固化された二酸化炭素は、固化された水よりも比重が大きい。具体的には、固化された二酸化炭素の比重は、1.56である。よって、両者の比重差を利用して、遠心力を用いた分離装置により、固化された二酸化炭素と、固化された水とを、分離することができる。後述するように、分離部19により分離された固体の水は、空気冷却部15に送られる。また、分離部19により分離された固体の二酸化炭素は、第2凝縮器122を経て系外に放出される。更にここで、分離部19の前段において、固化された二酸化炭素および水を、粒状または粉状に粉砕しても良い。このようにすることで、固化された二酸化炭素と水とを、遠心分離により更に容易に個別に分離できる。
【0045】
本実施形態では、前述した水分離部14により、処理前空気171から水分の大部分を除去している。よって、分離部19により得られる水分の量は多くない。よって、分離部19では、純度の高い二酸化炭素が得られる。
【0046】
分離部19により生成されて固化された二酸化炭素は、前述した様に、工業的用途に利用されたり或いは保管される。また、分離部19により生成された固体の状態の水は、前述した様に、空気冷却部15における熱交換に用いられた後に、外部環境に放出される。
【0047】
更に、分離部19により二酸化炭素等が除去された処理済空気175は、第2凝縮器122において熱交換を行うことにより温度上昇した後に、外部環境に放出される。処理済空気175は、処理前空気171よりも二酸化炭素濃度が低い空気である。よって、処理済空気175を大気中に大量に放出することで、全地球規模において大気中における二酸化炭素の濃度を低減し、地球温暖化の抑止に寄与することができる。
【0048】
また、前述した構成を有する二酸化炭素分離装置10は、燃料合成部20と共に燃料合成装置21を構成する。更には、前述した二酸化炭素分離方法は、燃料合成装置21を用いて、合成燃料を製造する合成燃料製造方法を実現できる。
【0049】
燃料合成部20は、二酸化炭素分離装置10の分離部19が収集した二酸化炭素から合成燃料を製造する装置である。燃料合成部20は、先ず、特定の光触媒を用いて、二酸化炭素分離装置10により固化された二酸化炭素と水から活性化水を作る。次に、活性化水に二酸化炭素と種油を反応させることで、種油と同じ組成である合成燃料を連続的に生成する。ここで、種油としては、例えば、軽油、重油、灯油、ガソリン、ケロシン等を採用できる。
【0050】
図2は、二酸化炭素分離装置10の効果を示す表である。
【0051】
ここで冷凍システムを比較するための各諸元を検討する。先ず、水および二酸化炭素の潜熱および比熱を検討する。二酸化炭素の昇華潜熱は、1atm,-79℃において、573kJ/kgである。水の蒸発潜熱は、1atm,0℃において、2500kJ/kgである。水の融解潜熱は、1atm,0℃において335kJ/kgである。水の比熱は、1atm,0℃において4.2kJ/kgKである。氷の比熱は、1atm,-1℃において2.1kJ/kgKである。二酸化炭素の比熱は、1atm,0℃において0.82kJ/kgKである。
【0052】
次に、環境空気組成に関して検討する。例えば、25℃,RH(相対湿度)50%である一般環境では、空気の密度は、1.17kg/m3であり、0.048wt%を占める二酸化炭素の密度は、5.6×10-4kg/m3であり、水蒸気の密度は、0.012kg/m3である。また、例えば-10℃,RH80%である南極環境では、空気の密度は1.30kg/m3であり、0.048wt%を占める二酸化炭素の密度は、6.2×10-4kg/m3であり、水蒸気の密度は0.0018kg/m3である。
【0053】
空気冷凍サイクル成績係数(COP)に関しては、例えば、膨張機での動力回収によりCOP≒0.5の実績がある。
【0054】
ここでは、様々な観点から、冷媒としてフロンを用いるフロン冷凍システムと、本実施形態に係る二酸化炭素分離装置10を比較する。
【0055】
冷凍能力に関しては、フロン冷凍システムの方が、二酸化炭素分離装置10よりも性能が高い。
【0056】
冷却温度に関しては、フロン冷凍システムと二酸化炭素分離装置10とは、同等である。
【0057】
所要動力に関しては、二酸化炭素分離装置10は、フロン冷凍システムよりも大幅に小さい。よって、二酸化炭素分離装置10は、少ないエネルギ量により大気から二酸化炭素を分離できる。
【0058】
冷凍負荷に関しては、二酸化炭素分離装置10は、フロン冷凍システムよりも小さい。よって、二酸化炭素分離装置10では、大気から二酸化炭素を分離する際において、消費エネルギを低減できる。
【0059】
システムCOPに関しては、二酸化炭素分離装置10は、フロン冷凍システムよりも大きい。従って、二酸化炭素分離装置10は、大気から二酸化炭素を分離する際において、運転時の効率が高い。
【0060】
最大省エネ効果比率に関しては、二酸化炭素分離装置10は、フロン冷凍システムよりも低い。このことから、二酸化炭素分離装置10は、省エネルギの観点から優れている。
【0061】
電力消費量に関しては、二酸化炭素分離装置10は、フロン冷凍システムよりも小さい。よって、二酸化炭素分離装置10は、大気から二酸化炭素を分離する際において、消費電力を小さくできる。
【0062】
発生する二酸化炭素の排出量に関しては、二酸化炭素分離装置10は、フロンよりも少ない。よって、二酸化炭素分離装置10は、大気から二酸化炭素を分離する際において、装置の運転に伴い発生する二酸化炭素の量を削減できる。
【0063】
図3は、二酸化炭素分離装置10において稼働環境が与える影響を示す表である。ここでは、二酸化炭素分離装置10により、300,000m3/secの空気を処理する場合を示す。
【0064】
ここでは、一般環境において減湿割合が0%の場合(第1ケース)、一般環境において減湿割合が50%の場合(第2ケース)、南極環境で減湿割合が0%の場合(第3ケース)、および、南極環境で減湿割合が50%の場合(第4ケース)の夫々に関して検討する。一般環境とは、地球上において南極から離れた地域における環境、例えば、気温が25℃程度であり、RH(相対湿度)が50%であり、温暖な環境のことである。南極環境とは、南極における環境、例えば、気温が-10℃程度であり、RH(相対湿度)が80%であり、寒冷な環境のことである。減湿割合とは、前述した水分離部14が、処理前空気171から水分を除去する割合を示す。
【0065】
二酸化炭素の流量に関しては、第1ケースおよび第2ケースは、第3ケースおよび第4ケースよりも少ない。このことから、二酸化炭素分離装置10を南極環境にて運転することにより、より多くの二酸化炭素を空気から分離することができる。
【0066】
水蒸気流量に関しては、ケース1、ケース2、ケース3、ケース4の順番で、量が少なくなる。即ち、ケース1の水蒸気流量が最も多く、ケース4の水蒸気流量が最も少ない。また、南極環境であるケース3およびケース4の水蒸気流量は、一般環境であるケース1およびケース2の水蒸気流量よりも遙かに少ない。よって、南極環境において二酸化炭素分離装置10を運転することで、圧縮機11および膨張機13の負荷を低減できる。
【0067】
二酸化炭素固化潜熱および水蒸気固化潜熱は、夫々、前述した二酸化炭素流量および水蒸気流量から算出される値である。トータル潜熱は、二酸化炭素固化潜熱と水蒸気固化潜熱とを加算した値である。トータル潜熱に関しては、ケース1、ケース2、ケース3、ケース4の順番で、量が少なくなる。即ち、ケース1のトータル潜熱が最も多く、ケース4のトータル潜熱が最も少ない。
【0068】
所要動力は、二酸化炭素分離装置10の運転に必要とされる動力である。所要動力に関しては、ケース1、ケース2、ケース3、ケース4の順番で、少なくなる。即ち、ケース1の所要動力が最も多く、ケース4の所要動力が最も少ない。ケース1とケース4とを比較すると、ケース4に必要とされる動力は、ケース1に必要とされる動力の10%程度である。
【0069】
このことから、二酸化炭素分離装置10の動作環境として、南極において除湿割合が50%であるケース4を採用することで、二酸化炭素分離装置10の動作に要する動力を低減できる。
【0070】
尚、ケース4において、300,000m3/secの流量の空気を二酸化炭素分離装置10により処理しようとすれば、数台の原子力発電所によりその動力をまかなうことができる。
【0071】
図4は、二酸化炭素分離装置10における冷媒の振る舞いを示すPH線図である。図4のグラフにおいて、横軸はエンタルピを示し、縦軸は圧力を示す。
【0072】
図4に付したポイントA乃至ポイントEは、図1に付したポイントA乃至ポイントEに於ける空気の圧力および温度を示している。即ち、ポイントAは圧縮機11に導入される直前であり、ポイントBは圧縮機11から排出された直後であり、ポイントCは膨張機13に導入される直前であり、ポイントDは膨張機13から排出された直後である。
【0073】
先ず、ポイントAは外部から圧縮機11に導入される前の処理前空気171を示しており、ここでの処理前空気171の温度は-10℃であり、気圧は1atmである。ポイントBは圧縮機11により断熱圧縮されて第1凝縮器121に導入される前の圧縮空気172を示しており、ここでの圧縮空気172の温度は60℃であり、ここでの圧縮空気172の圧力は2atmである。ポイントCは第2凝縮器122を経て等圧冷却されて膨張機13に導入される前の凝縮空気173を示しており、ここでの凝縮空気173の温度は-70℃であり、ここでの凝縮空気173の圧力は2atmである。ポイントDは膨張機13を経て断熱膨張して分離部19に導入される前の膨張空気174を示しており、ここでの膨張空気174の温度は-105℃であり、ここでの膨張空気174の気圧は1atmである。
【0074】
本実施形態では、前述した第2凝縮器122において内部熱を回収することにより第2凝縮器122における熱交換を行っていることから、圧縮空気172を効果的に冷却できる。更に、上述したように、膨張空気174から分離した固化水分により、処理前空気171を冷却できることから、効果的に除湿熱を回収できる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0076】
例えば、本実施形態にかかる二酸化炭素分離装置10および燃料合成装置21は、風力発電や太陽光発電等から得られる自然エネルギを用いることが望ましい。このようにすることで、地球環境に与える負荷を小さくして、二酸化炭素分離装置10および燃料合成装置21を運転することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 二酸化炭素分離装置
11 圧縮機
12 凝縮器
121 第1凝縮器
122 第2凝縮器
13 膨張機
14 水分離部
15 空気冷却部
16 モータ
17 空気
171 処理前空気
172 圧縮空気
173 凝縮空気
174 膨張空気
175 処理済空気
18 演算制御部
19 分離部
20 燃料合成部
21 燃料合成装置
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気である空気から二酸化炭素を分離する装置であり、
空気冷却部と、水分離部と、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、分離部と、を具備し、
前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、
前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、
前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素および水固化し、
前記分離部は、前記二酸化炭素と前記水との比重差を利用して、固化された前記二酸化炭素と、固化された前記水とを、前記膨張空気から分離し、
前記空気冷却部は、前記分離部により分離された前記水と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却し、
前記水分離部は、前記空気冷却部により冷却された前記空気に含まれる前記水を分離することを特徴とする二酸化炭素分離装置。
【請求項2】
前記水分離部では、前記空気に含まれる前記水を部分的に分離することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分離装置。
【請求項3】
空気冷却部と、水分離部と、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、分離部と、を用いて、大気である空気から二酸化炭素を分離する方法であり、
前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、
前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、
前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素および水を固化し、
前記分離部は、前記二酸化炭素と前記水との比重差を利用して、固化された前記二酸化炭素と、固化された前記水とを、前記膨張空気から分離し、
前記空気冷却部は、前記分離部により分離された前記水と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却し、
前記水分離部は、前記空気冷却部により冷却された前記空気に含まれる前記水を分離することを特徴とする二酸化炭素分離方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明は、大気である空気から二酸化炭素を分離する装置であり、空気冷却部と、水分離部と、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、分離部と、を具備し、前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素および水固化し、前記分離部は、前記二酸化炭素と前記水との比重差を利用して、固化された前記二酸化炭素と、固化された前記水とを、前記膨張空気から分離し、前記空気冷却部は、前記分離部により分離された前記水と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却し、前記水分離部は、前記空気冷却部により冷却された前記空気に含まれる前記水を分離することを特徴とする。
更に本発明は、空気冷却部と、水分離部と、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、分離部と、を用いて、大気である空気から二酸化炭素を分離する方法であり、前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素および水を固化し、前記分離部は、前記二酸化炭素と前記水との比重差を利用して、固化された前記二酸化炭素と、固化された前記水とを、前記膨張空気から分離し、前記空気冷却部は、前記分離部により分離された前記水と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却し、前記水分離部は、前記空気冷却部により冷却された前記空気に含まれる前記水を分離することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
大気から二酸化炭素を効果的に分離できる二酸化炭素分離装置等を提供することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
図4に付したポイントA乃至ポイントは、図1に付したポイントA乃至ポイントに於ける空気の圧力および温度を示している。即ち、ポイントAは圧縮機11に導入される直前であり、ポイントBは圧縮機11から排出された直後であり、ポイントCは膨張機13に導入される直前であり、ポイントDは膨張機13から排出された直後である。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
例えば、本実施形態にかかる二酸化炭素分離装置10および燃料合成装置21は、風力発電や太陽光発電等から得られる自然エネルギを用いることが望ましい。このようにすることで、地球環境に与える負荷を小さくして、二酸化炭素分離装置10および燃料合成装置21を運転することができる。
本発明の二酸化炭素分離装置は、大気である空気から二酸化炭素を分離する装置であり、圧縮機と、凝縮器と、膨張機と、水分離部と、を具備し、前記圧縮機は、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記凝縮器は、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記膨張機は、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、前記水分離部は、前記圧縮機に導入される前の前記空気から水分を分離することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離装置によれば、圧縮機に導入される前の空気から水分を除去することにより、圧縮機および膨張機の負荷を低減できる。また、膨張機において、凝縮空気に含まれる大量の水分が凍結することを抑止できる。よって、大気から二酸化炭素を効果的に分離し、地球温暖化を抑制することが期待される。
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、空気冷却部を更に具備し、前記空気冷却部は、前記水分離部の前段で、前記空気を冷却することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離装置によれば、処理前の空気が冷却されることから、水分離部において空気から容易に水分を除去できる。
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、前記膨張機では、前記空気に含まれる前記水分を固化し、前記空気冷却部は、前記固化された前記水分と前記空気とを熱交換することにより、前記空気を冷却することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離装置によれば、空気を冷却するのに必要とされるエネルギを低減できる。
また、本発明の二酸化炭素分離装置では、水分離部において空気に水分を残存させることで、処理後の空気に固体水分を残し、この固体水分により処理前空気を冷却することができる。
また、本発明の燃料合成装置は、前記二酸化炭素分離装置と、燃料合成部と、を有し、前記燃料合成部は、前記二酸化炭素分離装置により前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする。本発明の燃料合成装置によれば、大気から膨大な量の燃料を生成することができる。
また、本発明は、大気である空気から二酸化炭素を分離する方法であり、前記空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を熱交換することにより凝縮空気を生成し、前記凝縮空気を膨張することにより膨張空気を生成し、前記膨張空気に含まれる前記二酸化炭素を固体化し、圧縮される前の前記空気から水分を除去することを特徴とする。本発明の二酸化炭素分離方法によれば、圧縮機に導入される前の空気から水分を除去することにより、膨張機において、凝縮空気に含まれる水分が凍結し、凍結した水分が二酸化炭素と一体化してしまうことを防止できる。即ち、膨張機において二酸化炭素のみを効果的に除去することができる。
また、本発明の燃料製造方法は、前記した二酸化炭素分離方法を含む燃料製造方法であり、前記空気から分離された前記二酸化炭素から燃料を生成することを特徴とする。本発明の燃料製造方法によれば、大気から膨大な量の燃料を生成することができる。