(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144082
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】歯科用研磨材
(51)【国際特許分類】
B24D 3/00 20060101AFI20241003BHJP
B24D 5/00 20060101ALI20241003BHJP
A61C 3/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B24D3/00 320Z
B24D5/00 Z
A61C3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213786
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2023052705
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390011143
【氏名又は名称】株式会社松風
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】弓山 直輝
(72)【発明者】
【氏名】鳥田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】石田 さやか
【テーマコード(参考)】
3C063
4C052
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB03
3C063BA31
3C063BB07
3C063BC03
3C063BH07
3C063CC30
3C063EE40
4C052DD05
(57)【要約】
【課題】歯科用修復物の研磨において、中仕上げ研磨から仕上げ研磨までを一つの歯科用研磨材で行え、作業効率の良い歯科用研磨材を提供する。
【解決手段】歯科用研磨材は、積層された複数の砥石層から構成され、各砥石層は、研磨砥粒(A)と、結合材(B)と、を含み、各砥石層は、互いに分離可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の砥石層から構成され、前記各砥石層は、研磨砥粒(A)と、結合材(B)とを含み、前記各砥石層は、互いに分離可能である、歯科用研磨材。
【請求項2】
前記複数の砥石層のうち、少なくとも1つの砥石層における前記結合材(B)は、エラストマー材料を含む、請求項1に記載の歯科用研磨材。
【請求項3】
前記歯科用研磨材は、回転軸を有し、
前記複数の砥石層は、前記回転軸の中心から外周方向にわたって前記各砥石層が積層されている、請求項1に記載の歯科用研磨材。
【請求項4】
前記各砥石層のうち、外周側の砥石層における研磨砥粒(A)の平均粒子径は、内周側の砥石層における研磨砥粒(A)の平均粒子径より大きい、請求項3に記載の歯科用研磨材。
【請求項5】
前記複数の砥石層のうち、隣接する2つの砥石層は、物理的な嵌合によって保持されている、請求項1に記載の歯科用研磨材。
【請求項6】
前記複数の砥石層のうち、隣接する2つの砥石層は、接着剤層を介して保持されている、請求項1に記載の歯科用研磨材。
【請求項7】
前記複数の砥石層のうち、隣接する2つの砥石層は、分離剤層を介して保持されている、請求項1に記載の歯科用研磨材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス、金属、コンポジットレジン及び樹脂等の歯科用修復物を研磨するための歯科用研磨材に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療の際、一般に歯にう蝕などの疾患がある場合は、う蝕部位の歯質を取り除き、セラミックスや金属及びコンポジットレジンなど、様々な材料で製作された歯科用修復物(歯科用補綴装置、歯科用充填物等)を用いて修復治療が行われている。
【0003】
歯科用修復物は、製作の過程もしくは口腔内にセットした際に生体機能に調和した形状を整えるために形態修整及び咬合調整を行う必要があるが、これらの処置の後は表面粗さが粗くなる。
【0004】
歯科用修復物の表面粗さが粗い場合は、口腔内装着後に天然歯と同様な自然感が得られず、また、高い審美性を得ることができない。さらに、表面粗さが粗い箇所は、着色や歯垢付着の原因となる等の悪影響の原因となる可能性がある。以上のことから、歯科用修復物を滑沢に研磨することは非常に重要である。
【0005】
形態修整や咬合調整後、歯科用修復物を術者(歯科医師及び歯科技工士)が研磨する際にはマイクロモーターに研磨材を装着し、回転させながら手研磨を行うケースが多い。適切な表面粗さまで整えるためには、段階的に粗い砥粒を有している研磨材から細かい砥粒を有している研磨材に変えながら研磨を行っていくのが一般的である。例えば、まず、中仕上げ用研磨材で表面粗さをある程度の細かさまで抑える。次に、中仕上げ用研磨材をマイクロモーターから取外し、仕上げ用研磨材をマイクロモーターに装着し、更に研磨を行い最終的な表面性状に仕上げる。このように研磨時には複数の研磨材をマイクロモーターに着脱することが必要であり、術者としては煩雑な作業を行う必要があり、作業時間もかかっていた。
【0006】
歯科医院での研磨材の使用においては、口腔内で使用した後、研磨材が汚染される。研磨材によっては、再生処理によって細菌等を取り除くことで繰り返し使用できるものもあるが、近年では交差感染リスク等、衛生面の意識の高まりからディスポーザブル製品も販売されている。しかしながら、複数本の研磨材を単回使用で廃棄するのは経済的な負担も大きい。したがって、なるべく少ない本数で研磨できるディスポーザブル研磨材に対する需要は衛生面及び経済面の観点から益々高まるものと想定される。
【0007】
特許文献1に二層一体のカップ型砥石が記載されている。特許文献1に記載のカップ型砥石は、粒度の異なる砥粒を二層一体に焼結してシャンク部に取付けされた構造をとっている。このカップ型砥石では、砥石の進行側(粗粒側)では粗研削、加工進行後ろ側(細粒側)では細かい砥粒により微細な研削が進行することで、平滑な加工仕上げ面が得られることを特徴としている。しかし、特許文献1に記載のカップ型砥石では、粗研削用砥石と微細研削用砥石とが二層一体で粗研削用砥石の脱離ができない構造となっており、かつ砥石の進行方向によって粗研削と微細研削とを制御している。このため、歯の臼歯咬合面のような小さくて複雑な凹凸を研磨する際には、微細研削後に誤って粗研削砥石が接触すると再度粗造化するリスクがあり、精密な研磨は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、歯科用修復物の研磨において、中仕上げから仕上げ研磨までを一つの歯科用研磨材で行え、作業効率の良い歯科用研磨材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を克服するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到ることができた。
即ち、本発明に係る歯科用研磨材は、積層された複数の砥石層から構成され、各砥石層は、研磨砥粒(A)と、結合材(B)と、を含み、各砥石層は、互いに分離可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る歯科用研磨材によれば、複数の研磨材をマイクロモーター等に着脱させることなく、中仕上げから仕上げ研磨までを一つの歯科用研磨材で行うことができ、作業効率を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る歯科用研磨材の回転軸を含む断面構造を示す概略断面図である。
【
図2】
図1の歯科用研磨材の各砥石層の断面を拡大した拡大断面模式図である。
【
図3】物理的な嵌合の一例として、ディンプル形状を付与した第二の砥石層の概略正面図である。
【
図4A】物理的な嵌合の一例として、格子形状を付与した第二の砥石層の概略正面図である。
【
図4B】物理的な嵌合の一例として、格子形状を付与した第二の砥石層の概略正面図である。
【
図5A】物理的な嵌合の一例として、スリット形状を付与した第二の砥石層の概略正面図である。
【
図5B】物理的な嵌合の一例として、スリット形状を付与した第二の砥石層の概略正面図である。
【
図5C】物理的な嵌合の一例として、スリット形状を付与した第二の砥石層の概略正面図である。
【
図6】実施の形態2に係る歯科用研磨材の回転軸を含む断面構造を示す概略断面図である。
【
図7A】実施の形態3に係る軸と一体となっている歯科用研磨材の一例を示す概略斜視図である。
【
図7B】実施の形態3に係る歯科用研磨材の変形例であって、軸の着脱ができる歯科用研磨材の一例を示す概略斜視図である。
【
図8】第一の砥石層と第二の砥石層との間に分離剤層を設けた歯科用研磨材の断面構造を示す概略断面図である。
【
図9A】砲弾形状の歯科用研磨材を示す概略正面図である。
【
図9B】紡錘形状の歯科用研磨材を示す概略正面図である。
【
図9C】カップ形状の歯科用研磨材を示す概略正面図である。
【
図10】実施例1から11に係る歯科用研磨材の評価結果を示す表1である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様に係る歯科用研磨材は、積層された複数の砥石層から構成され、各砥石層は、研磨砥粒(A)と、結合材(B)と、を含み、各砥石層は、互いに分離可能である。
【0014】
第2の態様に係る歯科用研磨材は、上記第1の態様において、複数の砥石層のうち、少なくとも1つの砥石層における結合材(B)は、エラストマー材料を含んでもよい。
【0015】
第3の態様に係る歯科用研磨材は、上記第1又は第2の態様において、歯科用研磨材は、回転軸を有し、複数の砥石層が、回転軸の中心から外周方向にわたって各砥石層が積層されていてもよい。
【0016】
第4の態様に係る歯科用研磨材は、上記第3の態様において、各砥石層のうち、外周側の砥石層における研磨砥粒(A)の平均粒子径は、内周側の砥石層における研磨砥粒(A)の平均粒子径より大きくてもよい。
【0017】
第5の態様に係る歯科用研磨材は、上記第1から第4のいずれかの態様において、複数の砥石層のうち、隣接する2つの砥石層は、物理的な嵌合によって保持されていてもよい。
【0018】
第6の態様に係る歯科用研磨材は、上記第1から第5のいずれかの態様において、複数の砥石層のうち、隣接する2つの砥石層は、接着剤層を介して保持されていてもよい。
【0019】
第7の態様に係る歯科用研磨材は、上記第1から第6のいずれかの態様において、複数の砥石層のうち、隣接する2つの砥石層は、分離剤層を介して保持されていてもよい。
【0020】
以下、実施の形態に係る歯科用研磨材について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る歯科用研磨材10の回転軸6を含む断面構造を示す概略断面図である。
図2は、
図1の歯科用研磨材の各砥石層1、2の断面を拡大した拡大断面模式図である。
実施の形態1に係る歯科用研磨材は、積層された複数の砥石層から構成され、各砥石層は研磨砥粒(A)と、結合材(B)とを含み、各砥石層は、互いに分離可能である。
この歯科用研磨材によれば、積層された複数の砥石層を順に分離して、中仕上げ研磨から仕上げ研磨までを一つの歯科用研磨材で行うことができ、作業効率を格段に向上させることができる。
【0022】
以下にこの歯科用研磨材を構成する構成部材について説明する。
【0023】
<砥石層>
この歯科用研磨材10は、複数の砥石層1、2を積層させることによって構成され、砥石層の数、材質、形状は任意である。歯科用研磨材の一例として、
図1に示すような二層構造からなる歯科用研磨材10である場合は、例えば、第一の砥石層1は、歯科用研磨材の最表面に位置し、主に中仕上げ研磨用として機能する。第二の砥石層2は、第一の砥石層1より内部に位置しており、最終研磨用として機能する。第一の砥石層1で中仕上げ研磨後、第一の砥石層1を脱離できるように、第一の砥石層1と第二の砥石層2とは、物理的に接した状態であることが好ましい。また、第一の砥石層1を第二の砥石層2から容易に脱離できるように、第一の砥石層1は、柔軟性を有する方がより好ましい。
なお、
図1に示すように、第一の砥石層1は、例えば、第二の砥石層2の底面を除いて外周面をほぼ全面にわたって覆っている。第一の砥石層1によって、最終研磨用の第二の砥石層2を露出させないので、第一の砥石層1による中仕上げ研磨の際に第二の砥石層2を誤って用いることを抑制できる。
【0024】
砥石層1、2同士の接着(密着)方法の一例としては、例えば、物理的に圧着させる方法、物理的な嵌合で接着(密着)させる方法、接着剤等により砥石同士を接着させる方法、隣り合う砥石層1、2の結合材同士のグリップ力によって密着させる方法、等任意である。その一方、砥石層1、2は、分離可能である必要がある。
【0025】
例えば、二層構造の歯科用研磨材を例とすると、第一の砥石層と第二の砥石層との保持の実現には、第一の砥石層を第二の砥石層の上に加熱プレス成形等によって成型した際の残留圧縮応力、第一の砥石層の結合材と第二の砥石層の結合材との間の化学的接着又は加熱による物理的融着が挙げられる。この歯科用研磨材では、第一の砥石層の使用後に第二の砥石層から第一の砥石層を脱離させて使用することを特徴としている。その特性上、隣り合う砥石層の結合材(B)同士のグリップ力による砥石層同士の接着(密着)もしくは、残留圧縮応力によって保持される形態が好ましい。
【0026】
また、複数の砥石層の積層形状として、回転軸の中心から外周方向にわたって複数の砥石層が形成されていることが好ましい。この場合、
図2に示すように、各砥石層のうち、外周側の砥石層1における研磨砥粒11(A)の平均粒子径は、内周側の砥石層2における研磨砥粒21(A)の平均粒子径より大きいことが好ましい。例えば、一例として、二層構造からなる歯科用研磨材である場合は、最表面に中仕上げ用に使用される第一の砥石層1、第一の砥石層の内部に仕上げ研磨に使用される第二の砥石層2を有する構造とすることが考えられる。この場合、第一の砥石層1は中仕上げ研磨に用いられる特性上、第二の砥石層2よりも研削性を高くする必要があるため、第一の砥石層1に使用する研磨砥粒11(A)の粒子径は、第二の砥石層2に使用する研磨砥粒21(A)の粒子径よりも大きいことが好ましい。また、第一の砥石層1に使用する研磨砥粒11(A)の粒子径を第二の砥石層2に使用する研磨砥粒21(A)の粒子径より大きくすることにより、凹凸が大きくなるため、前記の残留圧縮応力による保持に加えて、第一の砥石層のグリップ力が上がり、高速回転で使用時にも第一の砥石層が第二の砥石層から脱落しにくくなる。
【0027】
更に、高速回転及び高負荷による砥石層の脱離もしくは空回りをより低減するために、砥石層の間には物理的な嵌合力によって保持することがより好ましい。物理的な嵌合の付与のため、例えば内周側の砥石層の表面にスリットや格子状の溝加工もしくは凹凸形状の付与等が考えられるが、必要な嵌合力が得られるのであれば形状や大きさ等に制限はない。
【0028】
図3は、物理的な嵌合の一例として、ディンプル形状7aを付与した第二の砥石層2の概略正面図である。
図4A及び
図4Bは、物理的な嵌合の一例として、格子形状7b、7cを付与した第二の砥石層2の概略正面図である。
図5Aから
図5Cは、物理的な嵌合の一例として、スリット形状7d、7e、7fを付与した第二の砥石層2の概略正面図である。
物理的な嵌合としては、例えば、
図3、
図4A、
図4B、
図5A乃至5Cに示すように、内周側の第二の砥石層2にディンプル形状7a、格子形状7b、7c、スリット形状7d、7e、7fなどであってもよい。また、第一の砥石層1と第二の砥石層2とをネジ止めによって保持してもよい。例えば、回転軸6に沿った方向に第一の砥石層1と第二の砥石層2とが重なる箇所を設けて、回転方向と逆方向にネジ止め(図示せず)する物理的な嵌合であってもよい。
第一の砥石層1と第二の砥石層2との間に物理的な嵌合を設けることによって、その上に設ける第一の砥石層1と第二の砥石層2とを物理的な嵌合によって保持することができる。また、この物理的な嵌合によって、第二の砥石層2に対する第一の砥石層1の空回りを抑制できる。
【0029】
図8は、第一の砥石層1と第二の砥石層2との間に分離剤層8を設けた歯科用研磨材10dの断面構造を示す概略断面図である。
歯科用研磨材10dの第一の砥石層1を使用後、第1の砥石層1を第二の砥石層2から脱離する際に容易な脱離を期待し、第一の砥石層1と第二の砥石層2との間に分離剤を塗布してもよい。第一の砥石層1の結合材と第二の砥石層2の結合材とが同一の材料又は同系統の材料である場合には第一の砥石層1と第二の砥石層2とが密着しやすくなる場合がある。そこで、上記のような場合、例えば、
図8に示すように、第一の砥石層1と第二の砥石層2との間に分離剤を層状にした分離剤層8を設けて、第一の砥石層1と第二の砥石層2とを分離剤層8を介して保持してもよい。
分離剤層8に用いる分離剤は、特に制限されないが、結合材に使用する材料との相性を考慮して最適なものを使用すればよい。分離剤としては、例えば、タルク、ゼオライト、ベントナイト、炭酸カルシウムのような無機粉体や、ポリマービーズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0030】
一方、第一の砥石層1と第二の砥石層2とが異なる系統である場合、例えば、一方がエラストマー材料であって、他方がガラス材料である場合には、両者の間に接着剤層を設けて、第一の砥石層1と第二の砥石層2とを接着剤層を介して保持してもよい。
接着剤層に用いる接着剤は、特に制限されないが、結合材に使用する材料との相性を考慮して最適なものを使用すればよい、接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系、ニトリルゴム系、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系等を用いてもよい。
【0031】
なお、第一の砥石層1と第二の砥石層2との保持には、上記物理的嵌合と、上記分離剤層と、上記接着剤層と、を適宜組み合わせて用いてもよい。例えば、物理的嵌合と分離剤層とを組み合わせてもよい、また、物理的嵌合と接着剤層とを組み合わせてもよい。さらに、分離剤層と接着剤層とを組み合わせてもよい。あるいは、物理的嵌合と分離剤層と接着剤層とを組み合わせてもよい。
また、第一の砥石層1は、第二の砥石層2から分離可能であればよいが、これに限られない。例えば、第一の砥石層1を分離後、再度、第一の砥石層1を再利用できるように、第一の砥石層1を第二の砥石層2の上に着脱可能に設けてもよい。
【0032】
<歯科用研磨材の全体形状>
図9Aは、砲弾形状の歯科用研磨材10eを示す概略正面図である。
図9Bは、紡錘形状の歯科用研磨材10fを示す概略正面図である。
図9Cは、カップ形状の歯科用研磨材10gを示す概略正面図である。
歯科用研磨材10、10e、10f、10gの形状は特に問わないが、一般的に歯科用研磨材は回転させて使用する。そのため、複数の砥石層が積層した積層体からなる歯科用研磨材の全体形状は、一般的には円柱形状、円錐形状、放物回転体形状、砲弾形状(
図1、
図9A)、紡錘形状(
図9B)、カップ形状(
図9C)のような回転軸6について回転対称の形状を用いてもよい。さらに、歯科用研磨材10、10e、10f、10gは、回転軸6についての最大径は、例えば、2~10mm、回転軸6の方向に沿った長さである高さは、例えば、5~30mmの範囲から選択されることが好ましい。
【0033】
<研磨砥粒(A)>
研磨対象である歯科用補綴装置は、金属、コンポジットレジン、ジルコニア、樹脂など機械的性質の異なる様々な材質から作製される。このため、研磨砥粒(A)は、研磨対象に対応して、適時最適な研磨砥粒の種類及び粒子径を選択する必要がある。
【0034】
研磨砥粒(A)の種類は研磨対象の材質によってその都度最適なものが選択され、特に限定はされないが、例えば、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸化セリウム及び窒化ホウ素の中から1つ以上選ぶことが好ましい。
例えば、研磨対象がジルコニア等の硬いセラミックス材料であれば、研磨砥粒(A)としてダイヤモンドを選択することが望ましい。一方、研磨対象が金属やコンポジットレジン等の比較的軟らかい材料であれば、研磨砥粒(A)として炭化ケイ素や酸化アルミニウムを使用することで十分な研磨効果が得られる。
【0035】
使用される研磨砥粒(A)の粒子径及び形状は、求められる表面粗さによって最適なものを選定するため、特に限定はされないが、例えば、粗研磨では平均粒子径30~200μmの研磨砥粒(A)がよく使用され、仕上げ研磨では平均粒子径1~30μmの研磨砥粒(A)がよく使用される。研磨砥粒の粒子径は、平均粒子径で選定する。なお、平均粒子径とはメジアン径(d50)を指し、一般的な粒度分布測定装置などにより求めることが出来る。粒度分布測定装置は、様々な測定原理のものがあるが、例えば電気抵抗法による粒度分布測定装置が挙げられる。
【0036】
<結合材(B)>
結合材(B)は、エラストマー材料、ガラス系材料、樹脂系材料等を用いることができる。砥石層同士の接着(密着性)、分離時の操作性の面から、特に好ましくはエラストマー材料が用いられる。使用されるエラストマー材料は、特に限定はされないが、ゴム弾性を有するアクリルゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、イソプレンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム又は天然ゴムが挙げられる。ガラス系材料は、ホウケイ酸ガラス等の酸化物ガラス、カルコゲン化物ガラス等の非酸化物ガラス、長石等が挙げられる。樹脂系材料は、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0037】
結合材(B)としてエラストマー材料を用いる場合は、互いに接触する2つの砥石層では、それぞれの砥石層において互いに異なるエラストマー材料から構成されることが好ましい。同種類のエラストマー材料からなる砥石層が接触している場合、成型時の加熱により隣り合う砥石層が接着し、分離しにくくなる可能性があるためである。同種類のエラストマー材料からなる砥石層が隣り合う構成とする場合は、各砥石層の砥粒の粒径、または砥粒の材質を変えることで、成型時の接着を防ぐことができる。
【0038】
使用される研磨砥粒と結合材との配合比率は任意であるが、研磨性と耐久性とのバランスから、研磨砥粒と結合材との重量の配合比率は、例えば、90:10~30:70とすることが好ましい。
【0039】
結合材(B)にエラストマー材料、樹脂系材料を用いる場合には、本発明の効果を妨げない範囲で、着色剤、充填剤、可塑剤等、弾性ゴムによく使用される各種配合剤を適宜配合することができる。また、弾性ゴムの架橋のため、各種加硫剤、加硫促進剤を適宜配合してもよい。また、これらの成分は複数を組み合わせて配合することができる。
【0040】
例えば、着色剤は、歯科用研磨材の残留状況の視認性向上や製品識別の為に配合される。着色剤としては、天然鉱物顔料や合成無機顔料等の無機系顔料を使用することが望ましい。それらの着色剤を具体的に例示すると、酸化チタン、酸化鉄、アルミン酸コバルト、ウルトラマリン等が挙げられる。
【0041】
充填剤は、歯科用研磨材の硬さの調整及び補強効果を目的として配合することができる。充填剤を具体的に例示すると、例えば、カーボンブラック、増粘性シリカ微粒子、二酸化チタン、珪藻土、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの充填剤は、単独又は複数で使用することが出来る。
【0042】
結合材(B)にガラス系材料を用いる場合には、本発明の効果を妨げない範囲で、着色剤、充填剤等、ビトリファイド砥石によく使用される各種配合剤を適宜配合することができる。また、これらの成分は複数を組み合わせて配合することができる。
【0043】
着色剤は、例えば、前記と同様に歯科用研磨材の残留状況の視認性向上や製品識別の為に配合される。着色剤としては、例えば、酸化コバルト、酸化銅、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化マンガン等の金属酸化物が好適に用いられる。
【0044】
充填剤は、歯科用研磨材の硬さの調整や目詰まりを抑制する気孔の形成等に使用される。充填剤としては、例えば、グラファイト、珪石、炭酸カルシウム、アルミナ・ガラス等から成る中空体等が挙げられる。
【0045】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る歯科用研磨材10aの回転軸6を含む断面構造を示す概略断面図である。
この歯科用研磨材10aでは、実施の形態1に係る歯科用研磨材と対比すると、
図3のディンプル形状7aを設けた第二の砥石層2を用いている点で相違する。
第二の砥石層2にディンプル形状を設けているので、第一の砥石層1と第二の砥石層2とを物理的嵌合によって保持できる。これによって、第一の砥石層1が第二の砥石層2に対して空回りすることを抑制でき、第一の砥石層1のグリップ力が上がり、高速回転で使用時にも第一の砥石層1が第二の砥石層2から脱落しにくくなる。
【0046】
(実施の形態3)
図7Aは、実施の形態3に係る軸3と一体となっている歯科用研磨材10bの一例を示す概略斜視図である。
図7Bは、実施の形態3の変形例に係る歯科用研磨材10cの一例を示す概略斜視図である。
実施の形態3に係る歯科用研磨材10bは、
図7Aに示すように、歯科用ハンドピース(図示せず)に取り付けるための軸3と一体となったものである。または、変形例に係る歯科用研磨材10cでは、
図7Bに示すように、軸5の着脱が可能な、軸着脱部4を有している。この歯科用研磨材10bへの軸3の固定方法は特に指定されないが、例えば、二層を積層した歯科用研磨材の一例を以下に示す。まず、実施の形態3に係る歯科用研磨材10bでは、第二の砥石層2の底面中心部に予め軸3を挿入し、圧着もしくは接着材等で固定しておく方法が挙げられる。また、変形例に係る歯科用研磨材10cのように軸5を着脱可能な様式とする場合は、第二の砥石層2の底面中心部において、挿入する軸5と相似形の空孔を有する軸着脱部4を形成しておき、使用時に軸5を適宜着脱することが可能である。
【0047】
<歯科用研磨材の製造方法>
本発明に係る歯科用研磨材の製造方法は任意であるが、二層を積層した研磨材の一例として、ここでは第一の砥石層及び第二の砥石層の結合材(B)にエラストマー材料を使用する場合について以下に示す。
(1)まず、第二の砥石層を所定の形状に成形する。まず、エラストマー材料に研磨砥粒(A)及びその他の配合剤を加え、ニーダーや混練用ロール等の混合機で練り込み、混練物を作製する。その後、混練物をホットプレスにて所定の形状に加圧成型する。その際、ハンドピース等の回転工具に装着するための軸と一緒に成型することで軸が一体となった歯科用研磨材を作製することができる。また、第一の砥石層との物理的嵌合を付与するために第二の砥石層の表面に凹凸形状やスリット加工等を施すことも可能である。なお、成型条件は、使用するエラストマー材料に依存する。
【0048】
(2)次に、第一の砥石層も第二の砥石層と同様な作製方法にて、エラストマー材料と研磨砥粒(A)及びその他の配合剤から成る混練物を作製する。その後、第一の砥石層を形成する混練物をホットプレスにて所定の形状に加圧成型する。その際、第二の砥石層を第一の砥石層の混練物で覆った状態で加圧成型することで第一の砥石層と第二の砥石層とを密着させることで、実施の形態1乃至3に係る歯科用研磨材を作製することができる。
なお、必要に応じて第一の砥石層の混練物を第二の砥石層の表面に覆う前に分離剤を第二の砥石層の表面に塗布してもよい。3層以上の砥石層を有する歯科用研磨材を作成する場合は、上記の工程を繰り返すことで形成できる。
【0049】
別の例として、第一の砥石層の結合材としてガラス材料、第二の砥石層の結合材としてエラストマー材料を使用した場合は、先に第一の砥石層を先に作製し、その後第一の砥石層の内部に第二の砥石層を構成する混練物を加圧成型させ、第一の砥石層と第二の砥石層とを密着させることで、実施の形態1乃至3に係る歯科用研磨材を作製することができる。ガラス系材料を用いて砥石層を作製する場合は、ガラス系材料と研磨砥粒(A)及びその他の配合剤から成る混練物を作製した後、所定の形状に加圧成型により一次成型した後、ガラス系材料を焼結させるため、600~1500℃程度の高温で焼成させることで所定の砥石層を得ることができる。なお、焼成温度や時間については使用するガラス系材料に依存する。
【実施例0050】
以下に、実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例示する歯科用研磨材としては、歯科用コンポジットレジンを研磨対象とした組成とする。
図10の表1に第一の砥石層及び第二の砥石層の配合組成を示す。各成分を配合・混練することにより、各砥石層に使用する成型用の混練物を得た。その後、結合材としてエラストマー材料を使用したものは加圧プレス成型、ガラス結合材を使用したものは加圧成型後、焼結させることにより歯科用研磨材を得た。
【0051】
<歯科用研磨材(第二の砥石層)の作製>
エラストマー材料に研磨砥粒(A)及びその他の配合剤を加え、混練用ロール等の混合機で均一になるまで練り込み、混練物を作製した。得られた混練物は、ホットプレスにて所定の形状に加圧成型した。その際、軸と一緒に成型し、軸が一体となった状態とした。成型条件は、使用するエラストマー材料に依存する。本実施例に使用したエラストマー材料及び成型条件は下記のとおりである。また、φ5×8mmの砲弾状に加圧成型した試料を使用した。また、別の事例として第一の砥石層と第二の砥石層との物理的嵌合を向上させるため、第二の砥石層の表面にディンプル7a(
図3)、格子状7b、7c(
図4A、
図4B)、スリット7d、7e、7f(
図5A,
図5B、
図5C)を付与したものも作製した。
・クロロスルホン化ポリエチレン:成型条件は170℃で7分とした。
・シリコーンゴム:成型条件は120℃で5分とした。
【0052】
<歯科用研磨材(第一の砥石層)の作製>
エラストマー材料に研磨砥粒(A)及びその他の配合剤を加え、混練用ロール等の混合機で均一になるまで練り込み、混練物を作製した。得られた混練物はホットプレスにて所定の形状に加圧成型した。その際、第一の砥石層は、第二の砥石層を覆うように成型し、第一の砥石層と第二の砥石層とが密着した形となった歯科用研磨材とした。成型条件は、使用するエラストマー材料に依存する。
別の事例として、第一の砥石層と第二の砥石層との密着性向上のため、第二の砥石層に予め酢酸ビニル系接着剤を塗布した後、第一の砥石層を成型したものも作製した。本実施例に使用したエラストマー材料及び成型条件は下記のとおりである。また、φ7×11mmの砲弾状に加圧成型した試料を使用した。
・クロロスルホン化ポリエチレン:成型条件は170℃で7分とした。
・シリコーンゴム:成型条件は120℃で5分とした。
・ウレタンゴム:成型条件は170℃で7分とした。
【0053】
(変形例)
別の事例として、第一の砥石層にガラス系材料を用いた砥石層、第二の砥石層にエラストマー材料を用いた砥石層の場合を示す。
【0054】
<歯科用研磨材(第一の砥石層)の作製>
ガラス系材料に研磨砥粒(A)及びその他の配合剤を加え、擂潰機等の混合機で均一になるまで練り込み、混練物を作製した。得られた混練物はホットプレスにて所定の形状に加圧成型(一次成型)した。その後、電気炉にて完全に焼結させることにより、第一の砥石層を作製した。実施例に使用したガラス系材料、ホットプレスでの成型条件(一次成型)、及び電気炉での焼成条件は以下のとおりである。作製した第一の砥石層は、φ7×11mmの砲弾状とし、内部に第二の砥石層を成型できるように、φ5×8mmの空洞を形成した。
・ホウケイ酸ガラス:成型条件は170℃で10分、焼成条件は700℃で2時間とした。
・長石:成型条件は170℃で10分、焼成条件は1300℃で5時間とした。
【0055】
<歯科用研磨材(第二の砥石層)の作製>
エラストマー材料に研磨砥粒(A)及びその他の配合剤を加え、混練用ロール等の混合機で均一になるまで練り込み、混練物を作製した。得られた混練物を第一の砥石層の内部に充填させ、ホットプレスにて加圧成型し第一の砥石層内部に第二の砥石層表面が密着する様に成型した。その際、第二の砥石層の底面内部には別途軸を脱着可能な保持孔を形成させた。成型条件は、使用するエラストマー材料に依存する。本実施例に使用したエラストマー材料(B)及び成型条件は下記のとおりである。
・シリコーンゴム:成型条件は120℃で5分とした。
【0056】
<試験片の作製>
試験片は次の手順で作製した。まず、スライドガラス状に内径15mm、厚さ2mmのステンレス製リングをのせ、この中に、歯科用コンポジットレジン(ビューティフィル2、株式会社松風)を充填し、通法にて重合させ、円筒状の試験片を得た。
【0057】
作製した歯科用研磨材を評価する方法は次のとおりである。その評価結果を
図10の表1に示す。
【0058】
<第一の砥石層の保持性>
作製した試料を回転速度15,000回転/min、10秒間、3Nの条件で歯科用コンポジットレジンを研磨し、以下の評価基準AからDにて第一の砥石層の保持性を判断した。
Aの場合は、2回以上研磨を繰り返しても研磨中に第一の砥石層が脱落せず、研磨後に第一の砥石層のゆるみは確認されなかった。Bの場合は、1回目の研磨中に第一の砥石層が第二の砥石層から脱落がなく、研磨後も第一の砥石層のゆるみは確認されなかった、Cの場合は1回目の研磨中に第一の砥石層が第二の砥石層から脱落しなかったが、研磨後に第一の砥石層のゆるみが確認された、Dは1回目の研磨中に第一の砥石層が第二の砥石層から脱落し、使用に耐えられなかった。なお、本試験ではC以上の評価を合格とした。
A:2回以上研磨を繰り返しても第一の砥石層が脱落しない、研磨後に第一の砥石層のゆるみなし
B:1回目の研磨中に第一の砥石層が脱落しない、研磨後に第一の砥石層のゆるみなし
C:1回目の研磨中に第一の砥石層が脱落しない、研磨後に第一の砥石層のゆるみあり
D:1回目の研磨中に第一の砥石層が脱落
【0059】
<第一の砥石層の剥離性>
作製した試料の第一の砥石層を第二の砥石層から手で脱離させたとき、以下の評価基準AからDで第一の砥石層の剥離性を判断した。
Aの場合は、第一の砥石層が容易に脱離可能であり、第二の砥石層には欠け等の破壊がみられない、Bの場合は、第一の砥石層を脱離させたとき第二の砥石層には欠け等の破壊がみられない、Cの場合は、第一の砥石層を脱離させたときに第二の砥石層は使用できる状態であるものの、一部に欠け等が生じている、Dの場合は、第一の砥石層を脱離後、第二の砥石層が明らかに破壊されており、使用できない状態である。なお、本試験ではC以上の評価を合格とした。
A:第一の砥石層が容易に脱離可能、第二の砥石層に破壊なし
B:第一の砥石層が脱離可能、第二の砥石層に破壊なし
C:第一の砥石層は脱離可能であるが抵抗感がある、もしくは第一の砥石層を脱離後、第二の砥石層の一部に欠け等が生じる
D:第一の砥石層が脱離できない、もしくは第一の砥石層脱離後、第二の砥石層が明らかに破壊されている
【0060】
実施例1~9に係る歯科用研磨材は、いずれの評価項目にも合格しており、良好な結果が得られた。特に、実施例1及び2は、第一の砥石層に用いる結合材(B)として柔軟性に富むシリコーンゴムを採用したことにより、良好な剥離性を実現した。また、実施例6~9は、物理的嵌合の付与又は接着剤の塗布により、良好な保持性を示しており、2回以上繰り返し研磨しても第一の砥石層の脱落もなく、第一の砥石層のゆるみもみられなかった。実施例10は、使用上の問題は無いが、第一の砥石層と第二の砥石層とに使用する砥粒の粒度差がなく、第一の砥石層を第二の砥石層から剥離した際、脱離は可能であったが抵抗感があり、脱離後も作業部の一部に欠けが生じており、実施例1~9に比べると劣っていた。また、実施例11は、使用上の問題は無いが、第一の砥石層に使用する砥粒の粒度の方が第二の砥石層よりも小さく、第一の砥石層で研磨中に第一の砥石層のゆるみが認められ、本来の研磨特性を発揮することができなかった。また、第一の砥石層を剥離する際にも抵抗感があり、脱離しづらかったことから、本実施例も実施例1~9に比べると劣っていた。