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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144093
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】土間床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
E04B5/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217930
(22)【出願日】2023-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2023051811
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】森川 勝浩
(57)【要約】
【課題】土間床の解体および移設を行う際に土間床構成要素の再使用が可能であり、また、土間床構成要素の重量化を回避し、且つ嵩張りが小さく、その搬送や保管のための空間を小さくできる土間床構造を提供する。
【解決手段】土間床構造は、樹脂製のマット部材3と板材(構造用合板6等)とを備える。マット部材3は、板状基台部4と、当該板状基台部4上に立設された複数の立上部51および当該板状基台部4上から立ち上がって隣り合う上記立上部51を互いに連結する連結部52を有する連続凸部層部5とを備えており、連続凸部層部5による荷重受けにおいて単位面積当たり所定の耐荷重を有し、板状基台部4側を下にして地盤上に敷かれる。板材(構造用合板6等)は、マット部材3の連続凸部層部5上に敷かれて当該マット部材3に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う立上部が互いに連結部によって連結された連続凸部層部を備え、この連続凸部層部による荷重受けにおいて単位面積当たり所定の耐荷重以上を有し、地盤上に敷かれるマット部材と、
上記マット部材上に敷かれて当該マット部材に固定された板材と、を備えることを特徴とする土間床構造。
【請求項2】
請求項1に記載の土間床構造において、上記マット部材は、上記連続凸部層部の下側に位置する板状基台部を備えており、上記板状基台部側を下にして地盤上に敷かれることを特徴とする土間床構造。
【請求項3】
請求項1に記載の土間床構造において、上記板材は、環状に位置する上記立上部で囲われる凹状箇所に配置された固定用下地材に、締結部材によって固定されることを特徴とする土間床構造。
【請求項4】
請求項3に記載の土間床構造において、上記固定用下地材は、上記連結部に横から入れられた締結部材によって、当該連結部に固定されることを特徴とする土間床構造。
【請求項5】
請求項1に記載の土間床構造において、上記板材は、上記立上部の上端部に、締結部材によって固定されることを特徴とする土間床構造。
【請求項6】
請求項1に記載の土間床構造において、複数枚の上記マット部材が上記地盤上に敷かれており、隣り合う上記マット部材の互いに近接する上記連結部間に渡って配置された接続部材によって、隣り合う上記マット部材が相互に接続されることを特徴とする土間床構造。
【請求項7】
請求項6に記載の土間床構造において、上記接続部材の一方の端部は、隣り合う一方のマット部材における1箇所または複数箇所の上記連結部上で上記隣り合う立上部に挟まれて固定され、上記接続部材の他方の端部は、隣り合う他方のマット部材における1箇所または複数箇所の上記連結部上で上記隣り合う立上部に挟まれて固定されることを特徴とする土間床構造。
【請求項8】
請求項6に記載の土間床構造において、上記接続部材の上記端部は、上記立上部の上端側で上記連結部側に突出する凸部の下側に位置し、上記凸部によって、上記接続部材の上方への移動が制限されることを特徴とする土間床構造。
【請求項9】
請求項6に記載の土間床構造において、上記板材は、上記接続部材に締結部材によって固定されることを特徴とする土間床構造。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の土間床構造において、上記板材上に床仕上げ部が作製されることを特徴とする土間床構造。
【請求項11】
請求項10に記載の土間床構造において、上記床仕上げ部は、上記板材上に敷かれる樹脂製床タイルを備えることを特徴とする土間床構造。
【請求項12】
請求項10に記載の土間床構造において、上記床仕上げ部は、上記板材上に敷かれて当該板材に締結部材によって固定されるセメント板と、このセメント板上に敷かれるモルタルと、このモルタル上に敷かれて当該モルタルに接着固定される硬質床タイルと、を備えることを特徴とする土間床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、解体して移設を可能とする土間床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物の移設可能土間床構造が開示されている。この移設可能土間床構造は、地盤上に設けられたレベル調整モルタル層と、このレベル調整モルタル層上に、中空の単位土間床版を、互いに分離可能に縦横に並べて敷き詰めてなる床版層と、この床版層の上に各単位土間床版にわたって設けられて上記床版層に対して剥離可能な土間床仕上げ面層とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-249958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の土間床構造では、コンクリート製品である中空の単位土間床版は比較的重いため、揚重機が必要となり、また、土間施工の作業負担が大きくなる。また、中空の単位土間床版は、嵩張り易く、その搬送や保管において大きな空間を必要とする。
【0005】
この発明は、土間床の解体および移設を行う際に土間床構成要素の再使用が可能であり、また、土間床構成要素の重量化を回避し、且つ嵩張りが小さく、その搬送や保管のための空間を小さくできる土間床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の土間床構造は、隣り合う立上部が互いに連結部によって連結された連続凸部層部を備え、この連続凸部層部による荷重受けにおいて単位面積当たり所定の耐荷重以上を有し、地盤上に敷かれるマット部材と、
上記マット部材上に敷かれて当該マット部材に固定された板材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記マット部材は、コンクリート製品である中空の単位土間床版に比べて重量を軽くできるので、土間施工の作業負担を軽減できる。また、上記マット部材は、上記中空の単位土間床版に比べて嵩張りを小さくできるので、当該マット部材の搬送や保管のための空間を小さくできる。また、上記マット部材と上記板材は、互いの固定を解除することにおいて各々当初の形状を維持できるので、土間床を解体して移設する際に再使用が可能である。
【0008】
上記マット部材は、上記連続凸部層部の下側に位置する板状基台部を備えており、上記板状基台部側を下にして地盤上に敷かれてもよい。上記板状基台部を備える方が、当該マット部材の耐荷重や耐久性を高めることができる。
【0009】
上記板材は、環状に位置する上記立上部で囲われる凹状箇所に配置された固定用下地材に、締結部材によって固定されてもよい。これによれば、上記板材を上記立上部に直接的に固定できない場合でも、上記板材を、上記固定用下地材を介して、上記マット部材に固定することができる。
【0010】
上記固定用下地材は、上記連結部に横から入れられた締結部材によって、当該連結部に固定されてもよい。上記固定用下地材は、専用品として作製された樹脂加工品でもよいが、例えば、角材を上記凹状箇所に入る大きさに切断したもの等を用いることもできる。
【0011】
上記板材は、上記立上部の上端部に、締結部材によって固定されてもよい。これによれば、上記板材を上記立上部に直接的に固定する構造となり、上記固定用下地材を不要にできる。
【0012】
複数枚の上記マット部材が上記地盤上に敷かれており、隣り合う上記マット部材の互いに近接する上記連結部間に渡って配置された接続部材によって、隣り合う上記マット部材が相互に接続されてもよい。これによれば、上記地盤上に敷かれた上記マット部材がずれ動くのを抑制することができる。
【0013】
上記接続部材の一方の端部は、隣り合う一方のマット部材における1箇所または複数箇所の上記連結部上で上記隣り合う立上部に挟まれて固定され、上記接続部材の他方の端部は、隣り合う他方のマット部材における1箇所または複数箇所の上記連結部上で上記隣り合う立上部に挟まれて固定されてもよい。これによれば、上記接続部材の一方の端部および他方の端部を上記連結部上に位置させてハンマー等により打ち込むことでこの接続部材が装着されることになる。
【0014】
上記接続部材の上記端部は、上記立上部の上端側で上記連結部側に突出する凸部の下側に位置し、上記凸部によって、上記接続部材の上方への移動が制限されてもよい。これによれば、上記接続部材の上方移動による当該接続部材の外れを上記凸部によって防止することができる。
【0015】
上記接続部材を有する土間床構造において、上記板材は、上記接続部材に締結部材によって固定されてもよい。これによれば、上記接続部材が上記固定用下地材を兼ねることになり、土間床作製の効率化が図れる。
【0016】
上記板材上に床仕上げ部が作製されてもよい。このような床仕上げ部として様々な態様を採用できる。
【0017】
上記床仕上げ部は、上記板材上に敷かれる樹脂製床タイルを備えてもよい。これによれば、土間床を解体して移設する際に、上記樹脂製床タイルも洗浄して再使用することができる。
【0018】
上記床仕上げ部は、上記板材上に敷かれて当該板材に締結部材によって固定されるセメント板と、このセメント板上に敷かれるモルタルと、このモルタル上に敷かれて当該モルタルに接着固定される硬質床タイルと、を備えてもよい。これによれば、セメント板および硬質床タイルは解体によって廃棄物となるが、これらセメント板および硬質床タイルによって、土間床の良好な歩行感を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明であれば、土間床を解体して移設する際に、土間床構成要素の再使用が可能であり、また、土間床構成要素の重量化を回避し、且つ嵩張りが小さく、その搬送や保管のための空間を小さくできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1の土間床構造を示した概略の鉛直断面図である。
図2】実施形態1の土間床構造で用いるマット部材および板材を示した斜視図である。
図3】実施形態1の土間床構造で用いるマット部材に固定用下地材を嵌め込んで連結部にビス留めする作業を示した説明図である。
図4】実施形態2の土間床構造を示した概略の鉛直断面図である。
図5】実施形態1、2の土間床構造で用いるマット部材の他の例を示した斜視図である。
図6図5に示したマット部材の立上部の上端面に板材等をビス留めする作業を示した説明図である。
図7】実施形態3の土間床構造を示した概略の鉛直断面図である。
図8】同図(A)および同図(B)は、それぞれ実施形態3の土間床構造で用いるマット部材への接続部材の嵌め込みを示した説明図である。
図9】実施形態3の変形例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、この実施形態の土間床構造においては、地盤上に、砕石を敷いてこれを締め固めた厚さ100mm程度の砕石地業部1が作製されている。そして、この砕石地業部1上に、例えば、防湿シート(ポリエチレンフィルム等)2が敷かれ、この防湿シート2上に、マット部材3が敷き詰められる。
【0023】
マット部材3は、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂からなり、板状基台部4と、当該板状基台部4上に立設された複数の立上部51および当該板状基台部4上から立ち上がって隣り合う上記立上部51を互いに連結する連結部(リブ)52を有する連続凸部層部5と、を一体的に備える。連結部52は、立上部51の高さよりも低くされている。また、マット部材3は、連続凸部層部5による荷重受けにおいて、単位面積当たり所定の耐荷重(耐圧縮性)を有し、板状基台部4側を下にして地盤(砕石地業部1)上に敷かれる。上記単位面積当たり所定の耐荷重は、例えば、100t/m2以上であり、望ましくは150t/m2以上とされる。
【0024】
このようなマット部材3としては、市販されている駐車場用芝生保護下地材を用いることができる。この実施形態のマット部材3は、図2にも示すように、一例として、六角形の角部で立ち上がる立上部51の隣同士を上記連結部52によって連結したハニカム構造を有している。また、上記六角形の中央部分は、凹状箇所53となっている。すなわち、連続凸部層部5には、環状に位置する上記立上部51で囲われる凹状箇所53が位置している。この例では、板状基台部4の上記凹状箇所53が位置する部位には、円形開口が形成されて軽量化が図られているが、この開口は無くても構わない。また、板状基台部4も必須となるものではなく、上記のような例えば六角形構造部による連続凸部層部5のみでマット部材3が構成されてもよい。ただし、上記板状基台部4を備える方が、当該マット部材3の耐荷重や耐久性を高めることができる。
【0025】
マット部材3上には、板材(構造用合板等)6が敷き詰められる。マット部材3は、例えば、厚さ50×幅600×長さ2500mmの大きさを有する。一方、板材6は、例えば、厚さ15×幅900×長さ1800mmの大きさを有しており2枚重ねとしており、下側は捨て貼りとし、上側は仕上げ貼りとして配置される。なお、板材6の配置は、当該板材6の長辺をマット部材3の長辺に交差させてもよいし、平行にしてもよい。2枚重ねの板材6の配置においても、互いの長辺を交差させてもよいし、平行にしてもよい。
【0026】
2枚重ねの板材6のうち下側の板材6は、締結部材(ビス等)S1によってマット部材3側に固定され、上側の板材6は、下側の板材6に締結部材(ビス等)S11によって固定される。この実施形態では、下側の板材6は、凹状箇所53に配置された固定用下地材56に固定される。固定用下地材56は、図3に示すように、凹状箇所53における上記六角形の対向する2面の連結部52に端面をそれぞれ対向させ、且つ、上面を水平にして配置された状態で、当該連結部52に対して各々横からねじ込まれた締結部材(ビス等)S2によって、当該連結部52に固定される。
【0027】
固定用下地材56は、例えば、角材を凹状箇所53に入る大きさに切断した木片部材であるが、これに限らず、専用品として作製された六角柱状の樹脂加工品でもよい。このような専用品は、その側面部に、連結部52に係合するクリップ等を有してもよい。また、固定用下地材56の上面の高さ位置は、立上部51の上端面の高さ位置よりも下とされる。なお、立上部51の上端面に半球状の突起が点状に形成される構造では、固定用下地材56の上面の高さ位置は、立上部51の上端面の高さ位置と同じとされてもよい。
【0028】
この実施形態で用いたマット部材3には、立上部51の高さよりも低い連結部52が形成されており、この低い連結部52を利用し、電動ドライバーDのビットBを横にして締結部材S2で固定用下地材56を対向する両連結部52に容易に留めることができる。
【0029】
固定用下地材56は、敷設される板材6の縁位置や角位置に合わせて配置しておく。そして、2枚重ねの板材6の上から締結部材S1を固定用下地材56に向けて電動ドライバーDでねじ込むことで、当該2枚重ねの板材6をマット部材3に固定することができる。
【0030】
板材6上には、樹脂製床タイル71からなる床仕上げ部が作製される。樹脂製床タイル71として、嵌合型置き敷ビニル床タイル(例えば、502mm×502mmサイズ)が非接着で敷かれている。
【0031】
上記の構成であれば、マット部材3は、樹脂製とされ、コンクリート製品である中空の単位土間床版に比べて重量を軽くできるので、土間施工の作業負担を軽減できる。また、マット部材3は、上記中空の単位土間床版に比べて嵩張りが小さくできるので、その搬送や保管のための空間を小さくできる。また、マット部材3と板材6は、互いの固定を解除(ビス外し等)しても、各々当初の形状を維持できるので、土間床を解体して移設する際に再使用することができる。なお、マット部材3が駐車場用芝生保護下地材である場合、上記再使用において、このような土間床構造に用いるのではなく、駐車場用芝生保護下地材として再使用することもできる。また、板材6を小サイズの板材に分割して他の用途で再利用することもできる。また、砕石地業部1については、土間床の解体・移設で再使用可能であるが、他の用途で再利用することもできる。
【0032】
板材6が凹状箇所53に配置された固定用下地材56に固定される構造であれば、板材6を上記立上部51に直接的に固定できない場合でも、板材6を、固定用下地材56を介して、マット部材3に固定することができる。
【0033】
また、板材6上に接着材無しで樹脂製床タイル71が敷かれると、土間床を解体して移設する際に上記樹脂製床タイル71も洗浄して再使用することができる。
【0034】
(実施形態2)
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0035】
この実施形態2の土間床構造は、図4に示すように、実施形態1と同様、地盤上に、砕石を敷いてこれを締め固めた砕石地業部1が作製され、この砕石地業部1上に防湿シート2を介してマット部材3が直接敷き詰められる。
【0036】
そして、マット部材3上には、板材6が1層で敷き詰められ、締結部材S1が固定用下地材56にねじ込まれることで、板材6がマット部材3に固定される。そして、この板材6上に床仕上げ部が作製される。この床仕上げ部の最初の層として、セメント板8(例えば、厚さ15mm程度の木毛セメント板等)が敷き詰められる。セメント板8は、当該セメント板8の上から締結部材S11が上記1層の板材6にねじ込まれることで、この板材6に固定される。
【0037】
セメント板8上には、厚さ25mm程度のモルタル層91が形成され、その養生後に厚さ5mm程度で接着層92が塗布され、この接着層92によって硬質床タイル72(例えば、厚さ10mm程度のセラミック床タイル等)がモルタル層91に接着固定される。
【0038】
このように、床仕上げ部として、セメント板8と、このセメント板8上に敷かれるモルタル層91と、このモルタル層91上に敷かれて当該モルタル層91に接着固定される硬質床タイル72と、を備える土間床構造であれば、上記セメント板8および硬質床タイル72は解体に際して廃棄物となるが、これらセメント板8および硬質床タイル72によって、土間床の良好な歩行感を得ることができる。なお、上記板材6上に直接的にモルタル下地を形成する形態としてもよいが、板材6上にセメント板8を介在させる方が、硬質床タイル72の剥離を抑制できる。
【0039】
以上の実施形態1,2においては、上記板材6上に作製される床仕上げ部として、二つの床仕上げ例を示したが、これら以外の多様な床仕上げが可能である。また、実施形態1,2において、板材6は、固定用下地材56を介してマット部材3の連結部52に固定されたが、これに限らない。例えば、図5に示すように、立上部51の上端部が比較的大きなマット部材3Aを用い、図6に示すように、立上部51の上端部に上から打ち込んだ締結部材S1によって、板材6をマット部材3に固定してもよい。これによれば、上記板材6を立上部51に直接的に固定する構造となり、固定用下地材56を不要にできる。また、以上の実施形態1,2においては、凹状箇所53に砂等は充填していないが、砂等を充填しても構わない。
【0040】
(実施形態3)
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0041】
この実施形態3の土間床構造は、例えば、実施形態1と同様、図7に示すように、地盤上に、砕石を敷いてこれを締め固めた砕石地業部1が作製され、この砕石地業部1上に防湿シート2を介してマット部材3が直接敷き詰められる。また、この実施形態で使用するマット部材3は、略三角柱状の立上部51の上端の3つの角部の各々に、連結部52の上方側に突出する(張り出す)凸部51aが形成されている。
【0042】
そして、この実施形態3の土間床構造では、図8(A)および図8(B)に示すように、隣り合うマット部材3の互いに近接する連結部52間に渡って配置された接続部材57によって、隣り合うマット部材3が相互に接続される。
【0043】
ここで、上記地盤上に敷かれたマット部材3が、例えば、下側の板材6の敷設作業中にずれ動いてしまうと、固定用下地材56の位置もずれてしまうので、下側の板材6上の規定位置から締結部材S1を打ち込んでも、固定用下地材56に打ち込めない事態が生じるおそれがある。これに対し、この実施形態3の土間床構造であれば、隣り合うマット部材3が接続部材57によって相互に接続されるので、下側の板材6のずれ動きによる固定用下地材56の位置ずれを防止することができる。
【0044】
図8(A)に示す例では、接続部材57は、高さと幅が15mm×15mmで長さが150mmの木製の目地棒からなる。この接続部材57の一方の端部は、隣り合う一方のマット部材3における1箇所の連結部52上で上記隣り合う立上部51の角側部位に挟まれて固定され、接続部材57の他方の端部は、隣り合う他方のマット部材3における1箇所の連結部52上で上記隣り合う立上部51の角側部位に挟まれて固定されている。
【0045】
これによれば、接続部材57の一方の端部および他方の端部を連結部52上に位置させて、当該接続部材57をハンマー等により打ち込むことで、この接続部材57を連結部52上に簡単に装着することができる。
【0046】
そして、隣り合うマット部材3に対して、これらの突き付けのライン(図8中の仮想線参照)を境に互いに離間しようとする力が働くと、接続部材57の長手方向に当該接続部材57が連結部52から引き抜かれようとする力が生じるが、この引き抜きは、接続部材57と立上部51との間の摩擦力で阻止され、隣り合うマット部材3の離間ずれが抑制される。
【0047】
一方、接続部材57の一方の端部および他方の端部において、立上部51の角側部位による挟み箇所は、それぞれ1箇所だけであり、隣り合うマット部材3の上記突き付けのラインに平行な方向のずれに対する抑制力は高くない。
【0048】
図8(B)に示す例では、接続部材57として、高さと幅が15mm×15mmで長さが250mmの木製の目地棒が用いられている。この接続部材57の一方の端部は、隣り合う一方のマット部材3における2箇所の連結部52上で上記隣り合う立上部51の角側部位に挟まれて固定され、接続部材57の他方の端部も、隣り合う他方のマット部材3における2箇所の連結部52上で上記隣り合う立上部51の角側部位に挟まれて固定されている。
【0049】
このような長い接続部材57を用いると、隣り合うマット部材3の突き付けのラインに平行な方向のずれについては、接続部材57の一方の端部および他方の端部で、立上部51の角側部位による挟み箇所がそれぞれ2箇所になるので、隣り合うマット部材3の上記突き付けのラインに平行な方向のずれをしっかりと防止することができる。また、接続部材57と立上部51との間の摩擦力も増加するの、隣り合うマット部材3の離間ずれの抑制力も向上する。さらに、このような250mmの長い接続部材57を用いると、150mmの接続部材57を用いる構成に比べて、隣り合うマット部材3の凹状箇所53の並びを一直線にする(通りを出す)ことがより的確に行える利点がある。
【0050】
また、この実施形態で使用するマット部材3のように、柱状の立上部51の上端の角部の各々に、連結部52の上方側に突出する凸部51aが形成されていると、接続部材57の上記一方および他方の端部は、立上部51の上端側で連結部52側に突出する凸部51aの下側に位置することになり、接続部材57の上方への移動が制限される。すなわち、接続部材57の上方移動による当該接続部材57の外れが凸部51aによって防止される。
【0051】
なお、実施形態1、2においては、下側の板材6は、固定用下地材56を介してマット部材3に固定されたが、この実施形態3では、そのような固定ではなく、締結部材S1を接続部材57に打ち込むことにより、下側の板材6をマット部材3に固定してもよい(図7参照)。
【0052】
また、図9に示すように、立上部51の上端部が比較的大きなマット部材3Aを用いる構造についても、接続部材57を用いてマット部材3のずれを抑制する構造とすることができ、また、マット部材3Aが、マット部材3と同様に凸部51a有する構造であれば、下側の板材6を、接続部材57に打ち込まれた締結部材S1によって、マット部材3Aに固定することもできる。
【0053】
接続部材57は、上記目地棒のような四角柱形状に限定されず、丸棒形状等でもよい。さらには、接続部材57は、その一方の端部が、隣り合う一方のマット部材3における1箇所または複数箇所の連結部52に引っ掛けられ、他方の端部が、隣り合う他方のマット部材3における1箇所または複数箇所の連結部52に引っ掛けられる鎹形状の部材であってもよい。
【0054】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 :砕石地業部
2 :防湿シート
3 :マット部材
3A :マット部材
4 :板状基台部
5 :連続凸部層部
6 :板材
8 :セメント板
51 :立上部
51a :凸部
52 :連結部
53 :凹状箇所
56 :固定用下地材
57 :接続部材
71 :樹脂製床タイル
72 :硬質床タイル
91 :モルタル層
92 :接着層
B :ビット
D :電動ドライバー
S1 :締結部材
S11 :締結部材
S2 :締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9