(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144098
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】オレフィン重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08F 4/6592 20060101AFI20241003BHJP
C08F 4/02 20060101ALI20241003BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08F4/6592
C08F4/02
C08F10/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221125
(22)【出願日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2023051371
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 直也
(72)【発明者】
【氏名】室戸 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】和田 悟
【テーマコード(参考)】
4J015
4J128
【Fターム(参考)】
4J015EA00
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC28
4J128AD05
4J128AD11
4J128BA01A
4J128BB01B
4J128BC15B
4J128BC25A
4J128CA27C
4J128CA28A
4J128CA28C
4J128CA30C
4J128DA01
4J128DA04
4J128DB02A
4J128DB06C
4J128EA01
4J128EB02
4J128EC01
4J128EC02
4J128FA04
4J128GA05
4J128GA16
4J128GB01
(57)【要約】
【課題】重合時のファウリングおよび塊状物の生成を抑制しつつ高い重合活性でオレフィン重合体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】固体状オレフィン重合触媒成分(X)、無機固体成分(I)および無機固体成分(J)の存在下、オレフィンを重合させる工程(1)を含み、前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、粒子状担体(C)と、担体(C)に担持されたシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物(B)とを含み、前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)は、それぞれ独立に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムから選択される少なくとも1種を含み、前記無機固体成分(I)の強熱減量が6.0質量%以下であり、10μm<成分(I)のd50≦300μm、かつ0.020μm≦成分(J)のd50≦10μmであるオレフィン重合体の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体状オレフィン重合触媒成分(X)、無機固体成分(I)および無機固体成分(J)の存在下、オレフィンを重合させる工程(1)を含み、
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、粒子状担体(C)と、前記粒子状担体(C)に担持されたシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物(B)とを含み、
前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)は、それぞれ独立に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記無機固体成分(I)の強熱減量が6.0質量%以下であり、
下記式(ii):
10μm<d50(I)≦300μm …(ii)
〔式(ii)において、d50(I)は、レーザ回折・散乱法により測定される前記無機固体成分(I)の体積基準の粒度分布における積算分布の50%径である。〕
が成立し、
下記式(iii):
0.020μm≦d50(J)≦10μm …(iii)
〔式(iii)において、d50(J)は、コールターカウンター法により測定される前記無機固体成分(J)の体積基準の粒度分布における積算分布の50%径である。〕
が成立する、
オレフィン重合体の製造方法。
【請求項2】
前記工程(1)において、(前記無機固体成分(J)の質量)/(前記無機固体成分(I)の質量)が0.001~0.1である、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項3】
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)がオレフィン重合体と共に予備重合触媒成分を形成している、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項4】
前記オレフィンを気相重合させる請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項5】
前記工程(1)の後に、前記オレフィン重合体と前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)とを分離する工程(2)を含む、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項6】
前記工程(1)がエチレンを単独重合させる工程またはエチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンとを共重合させる工程である、請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィン重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体などのオレフィン重合体をメタロセン系固体状触媒の存在下にオレフィンを(共)重合させることによって製造する際に、流動床反応器を用いてメタロセン系固体状触媒の存在下にオレフィンを気相重合すると、流動床内でポリマー塊、シート状物などが発生したり、ポリマー粒子の流動性が低下して、流動床内の混合状態が不均一となり、長期的に安定して連続運転することができなくなることがあった。
【0003】
また、前記のようなメタロセン系固体状触媒の存在下にスラリー重合すると、重合器内
でポリマー塊、シート状物などが発生したり、攪拌羽根にポリマーが付着して長期的に安
定して連続運転することができなくなることがあった。
【0004】
特許文献1および2には、メタロセン系固体状触媒として帯電防止剤が担持された予備重合触媒を用いることによりこれらの問題を解決できることが記載されている。
また、特許文献3にも、メタロセン系固体状触媒成分を用いて形成された予備重合固体触媒成分と、特定のアミン化合物とを接触させて形成された予備重合固体触媒を用いることにより、ファウリングを抑制しつつ高い重合活性でオレフィン重合体を製造できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-297114号公報
【特許文献2】特開2001-48912号公報
【特許文献3】特開2022-37932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のオレフィン重合体の製造方法においては、重合時のファウリングおよび塊状物の生成を抑制しつつ高い重合活性でオレフィン重合体を製造するという観点から、さらなる改善の余地があった。
本発明は、重合時のファウリングおよび塊状物の生成を抑制しつつ高い重合活性でオレフィン重合体を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は例えば以下の[1]~[6]に関する。
[1]
固体状オレフィン重合触媒成分(X)、無機固体成分(I)および無機固体成分(J)の存在下、オレフィンを重合させる工程(1)を含み、
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、粒子状担体(C)と、前記粒子状担体(C)に担持されたシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物(B)とを含み、
前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)は、それぞれ独立に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記無機固体成分(I)の強熱減量が6.0質量%以下であり、
下記式(ii):
10μm<d50(I)≦300μm …(ii)
〔式(ii)において、d50(I)は、レーザ回折・散乱法により測定される前記無機固体成分(I)の体積基準の粒度分布における積算分布の50%径である。〕
が成立し、
下記式(iii):
0.020μm≦d50(J)≦10μm …(iii)
〔式(iii)において、d50(J)は、コールターカウンター法により測定される前記無機固体成分(J)の体積基準の粒度分布における積算分布の50%径である。〕
が成立する、
オレフィン重合体の製造方法。
【0008】
[2]
前記工程(1)において、(前記無機固体成分(J)の質量)/(前記無機固体成分(I)の質量)が0.001~0.1である、前記[1]のオレフィン重合体の製造方法。
【0009】
[3]
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)がオレフィン重合体と共に予備重合触媒成分を形成している、前記[1]または[2]のオレフィン重合体の製造方法。
【0010】
[4]
前記オレフィンを気相重合させる前記[1]~[3]のいずれかのオレフィン重合体の製造方法。
【0011】
[5]
前記工程(1)の後に、前記オレフィン重合体と前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)とを分離する工程(2)を含む、前記[1]~[4]のいずれかのオレフィン重合体の製造方法。
【0012】
[6]
前記工程(1)がエチレンを単独重合させる工程またはエチレンと炭素数3以上20以下のα-オレフィンとを共重合させる工程である、前記[1]~[5]のいずれかのオレフィン重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、重合時のファウリングおよび塊状物の生成を抑制しつつ、高い重合活性でオレフィン重合体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、
固体状オレフィン重合触媒成分(X)、無機固体成分(I)および無機固体成分(J)の存在下、オレフィンを重合させる工程(1)を含み、
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、粒子状担体(C)と、前記粒子状担体(C)に担持されたシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物(B)とを含み、
前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)は、それぞれ独立に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記無機固体成分(I)の強熱減量が特定の範囲にあり、
前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)の粒径が、それぞれ特定の範囲にあることを特徴としている。
【0015】
≪固体状オレフィン重合触媒成分(X)≫
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、粒子状担体(C)と、前記粒子状担体(C)に担持されたシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物(B)とを含む。
【0016】
(シクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A))
前記シクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族遷移金属化合物(A)(以下「成分(A)」ともいう。)の例としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0017】
【0018】
<M、n、X>
式(1)において、Mは、周期表第4族遷移金属原子であり、好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、さらに好ましくはジルコニウム原子である。
【0019】
nは、前記遷移金属原子Mの価数を満たす1~4の整数であり、好ましくは1または2である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、前記アニオン配位子は、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基または共役ジエン系誘導体基である。
【0020】
Xは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基または酸素含有基である。
nが2以上の場合は、複数存在するXは互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。また、前記環が複数存在する場合には、前記環は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、好ましくは塩素または臭素であり、より好ましくは塩素である。
前記炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基(ブタン-2-イル基)、tert-ブチル基(2-メチルプロパン-2-イル基)、iso-ブチル基(2-メチルプロピル基)、ペンタン-2-イル基、2-メチルブチル基、iso-ペンチル基(3-メチルブチル基)、ネオペンチル基(2,2-ジメチルプロピル基)、シアミル基(1,2-ジメチルプロピル基)、iso-ヘキシル基(4-メチルペンチル基)、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基(2,3-ジメチルブタ-2-イル基)、4,4-ジメチルペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基(プロパ-1-エン-1-イル基)、iso-プロペニル基(プロパ-1-エン-2-イル基)、アレニル基(プロパ-1,2-ジエン-1-イル基)、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基(ブタ-2-エン-1-イル基)、ブタ-3-エン-2-イル基、メタリル基(2-メチルアリル基)、ブタ-1,3-ジエニル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、iso-ペンテニル基(3-メチルブタ-3-エン-1-イル基)、2-メチルブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、プレニル基(3-メチルブタ-2-エン-1-イル基)などの直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基(プロパ-1-イン-1-イル基)などの直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基(4-iso-プロピルベンジル基)、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、1-フェニルエチル基、ベンズヒドリル基(ジフェニルメチル基)などの芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル基(メチルフェニル基)、キシリル基(ジメチルフェニル基)、メシチル基(2,4,6-トリメチルフェニル基)、クメニル基(iso-プロピルフェニル基)、ジュリル基(2,3,5,6-テトラメチルフェニル基)、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの芳香族置換基
が挙げられる。
【0022】
前記炭化水素基の中でも、メチル基、iso-ブチル基、ネオペンチル基、シアミル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基が好ましい。
【0023】
前記ハロゲン含有基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ヘキサクロロアンチモン酸アニオンが挙げられる。
【0024】
前記ハロゲン含有基の中でも、ペンタフルオロフェニル基が好ましい。
前記ケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、トリメチルシリルメチル基などが挙げられる。
【0025】
前記ケイ素含有基の中でも、トリメチルシリルメチル基が好ましい。
前記酸素含有基としては、例えば、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、フェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,6-ジ-iso-プロピルフェノキシ基、2,6-ジ-tert-ブチルフェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェノキシ基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、過塩素酸アニオン、過ヨウ素酸アニオンが挙げられる。
【0026】
前記酸素含有基の中でも、メトキシ基、エトキシ基、iso-プロポキシ基、tert-ブトキシ基が好ましい。
前記硫黄含有基としては、例えば、メシル基(メタンスルフォニル基)、フェニルスルホニル基、トシル基(p-トルエンスルホニル基)、トリフリル基(トリフルオロメタンスルホニル基)、ノナフリル基(ノナフルオロブタンスルホニル基)、メシラート基(メタンスルホナート基)、トシラート基(p-トルエンスルホナート基)、トリフラート基(トリフルオロメタンスルホナート基)、ノナフラート基(ノナフルオロブタンスルホナート基)が挙げられる。
【0027】
前記硫黄含有基の中でも、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)が好ましい。
前記窒素含有基としては、例えば、アミノ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ピロリル基、ビストリフリルイミド基などが挙げられる。
【0028】
前記窒素含有基の中でも、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピロリル基、ビストリフリルイミド基が好ましい。
前記リン含有基としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸アニオンが挙げられる。
【0029】
前記ホウ素含有基としては、例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン、(メチル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、(ベンジル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、テトラキス((3,5-ビストリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸アニオン、BR4(Rはそれぞれ独立に水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す。)で表される基が挙げられる。
【0030】
前記アルミニウム含有基としては、例えば、
【0031】
【0032】
【0033】
(Mは、前記一般式(1)中のMを表す。)
を形成可能な、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)で表される基が挙げられる。
【0034】
前記共役ジエン系誘導体基としては、例えば、1,3-ブタジエニル基、イソプレニル基(2-メチル-1,3-ブタジエニル基)、ピペリレニル基(1,3-ペンタジエニル基)、2,4-ヘキサジエニル基、1,4-ジフェニル-1,3-ペンタジエニル基、シクロペンタジエニル基など、メタロシクロペンテン基が挙げられる。
【0035】
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類、トリエチルアミン、ジエチルアミンなどのアミン類、ピリジン、ピコリン、ルチジン、オキサゾリン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、チオフェンなどの複素環式化合物、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィンなどの有機リン化合物が挙げられる。
【0036】
<R
1
>
前記一般式(1)において、R1は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~2の炭化水素基であり、少なくとも2つ、好ましくは4つ以上のR1は炭素数1~2の炭化水素基である。
【0037】
前記炭素数1~2の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基が挙げられ、これらの中でもメチル基およびエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0038】
隣接したR1同士は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成していてもよく、互いに結合していなくてもよく、好ましくは互いに結合していない。
前記環は、好ましくは5又は6員環であり、前記環と母核のシクロペンタジエニル環部分とを併せた構造としては、例えば、テトラヒドロペンタレニル環、テトラヒドロインデニル環、ペンタレニル環、インデニル環が挙げられる。
【0039】
<R
2
>
R2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、少なくとも1つのR2は、直鎖状部分の炭素数が3~10の飽和炭化水素基または直鎖状部分の炭素数が3~10の末端不飽和炭化水素基であり、少なくとも2つのR2は水素原子である。
【0040】
隣接したR2同士は、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成してもよく、互いに結合していなくてもよく、好ましくは互いに結合していない。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0041】
前記炭素数1~40の炭化水素基としては、炭素数1~20の炭化水素基が挙げられ、より具体的な例としては、上述したXの例として挙げられた炭化水素基の具体例が挙げられる。
【0042】
前記炭素数1~40の炭化水素基は、好ましくは、炭素数1~20の炭化水素基(但し、芳香族炭化水素基を除く)または炭素数6~40の芳香族炭化水素基である。前記の炭素数1~20の炭化水素基は、好ましくは炭素数1~20の脂肪族または脂環族の炭化水素基である。炭素数1~20の炭化水素基には、アリールアルキル基の様な芳香族構造を有する置換基も含まれる。
【0043】
前記炭素数1~40の炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、1-ノニル基、1-デカニル基、1-ウンデカニル基、1-ドデカニル基、1-エイコサニル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、ペンタン-2-イル基、2-メチルブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基(1,1-ジメチルプロピル基)、シアミル基、ペンタン-3-イル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、iso-ヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基(2-メチルペンタン-2-イル基)、3-メチルペンタン-2-イル基、4-メチルペンタン-2-イル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基、3-メチルペンタン-3-イル基、3,3-ジメチルブタ-2-イル基、ヘキサン-3-イル基、2-メチルペンタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-エチルペンタン-3-イル基、4,4-ジメチルペンチル基、4-メチルヘプタン-4-イル基、4-プロピルヘプタン-4-イル基、2,3,3-トリメチルブタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基などの炭素原子数が1~40の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基、iso-プロペニル基、アレニル基、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基、ブタ-3-エン-2-イル基、メタリル基、ブタ-1,3-ジエニル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-2-エン-1-イル基、iso-ペンテニル基、2-メチルブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-2-イル基、プレニル基、2-メチル-ブタ-2-エン-1-イル基、ペンタ-3-エン-2-イル基、2-メチル-ブタ-3-エン-2-イル基、ペンタ-1-エン-3-イル基、ペンタ-2,4-ジエン-1-イル基、ペンタ-1,3-ジエン-1-イル基、ペンタ-1,4-ジエン-3-イル基、iso-プレニル基(2-メチル-ブタ-1,3-ジエン-1-イル基)、ペンタ-2,4-ジエン-2-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘキサ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-3-エン-1-イル基、ヘキサ-2-エン-1-イル基、4-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、3-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、2-メチル-ペンタ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-2-イル基、4-メチル-ペンタ-3-エン-1-イル基、3-メチル-ペンタ-3-エン-1-イル基、2,3-ジメチル-ブタ-2-エン-1-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、3-エチルペンタ-1-エン-3-イル基、ヘキサ-3,5-ジエン-1-イル基、ヘキサ-2,4-ジエン-1-イル基、4-メチルペンタ-1,3-ジエン-1-イル基、2,3-ジメチル-ブタ-1,3-ジエン-1-イル基、ヘキサ-1,3,5-トリエン-1-イル基、2-(シクロペンタジエニル)プロパン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)エチル基などの炭素原子数が2~40の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-1-イン-1-イル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-1-イン-1-イル基、ペンタ-2-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-1-イル基、3-メチル-ブタ-1-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-2-イル基、2-メチル-ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-2-イル基、ヘキサ-1-イン-1-イル基、3,3-ジメチル-ブタ-1-イン-1-イル基、2-メチル-ペンタ-3-イン-2-イル基、2,2-ジメチル-ブタ-3-イン-1-イル基、ヘキサ-4-イン-1-イル基、ヘキサ-5-イン-1-イル基などの炭素原子数が2~40の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、1-フェニルエチル基、ベンズヒドリル基、クミル基(2-フェニルプロパン-2-イル基)、2-(4-メチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)プロパン-2-イル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)プロパン-2-イル基、3-フェニルペンタン-3-イル基、4-フェニルヘプタ-1,6-ジエン-4-イル基、1,2,3-トリフェニルプロパン-2-イル基、1,1-ジフェニルエチル基、1,1-ジフェニルプロピル基、1,1-ジフェニル-ブタ-3-エン-1-イル基、1,1,2-トリフェニルエチル基、トリチル基(トリフェニルメチル基)、トリ-(4-メチルフェニル)メチル基、2-フェニルエチル基、スチリル基(2-フェニルビニル基)、2-(2-メチルフェニル)エチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリメチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル)エチル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基(3-フェニルアリル基)、ネオフィル基(2-メチル-2-フェニルプロピル基)、3-メチル-3-フェニルブチル基、2-メチル-4-フェニルブタン-2-イル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)プロパン-2-イル基、(1-インデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)エチル基、2-(テトラヒドロ-1-インダセニル)プロパン-2-イル基、(テトラヒドロ-1-インダセニル)ジフェニルメチル基、2-(テトラヒドロ-1-インダセニル)エチル基、2-(1-ベンゾインデニル)プロパン-2-イル基、(1-ベンゾインデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-ベンゾインデニル)エチル基、2-(9-フルオレニル)プロパン-2-イル基、(9-フルオレニル)ジフェニルメチル基、2-(9-フルオレニル)エチル基、2-(1-アズレニル)プロパン-2-イル基、(1-アズレニル)ジフェニルメチル基、2-(1-アズレニル)エチル基などの炭素原子数が7~40の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、n-ブチルシクロペンタジエニル基、n-ブチル-メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1-メチルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基、1-ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1-メチルシクロヘプチル基、1-アリルシクロヘプチル基、1-ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、シクロオクタトリエニル基、1-メチルシクロオクチル基、1-アリルシクロオクチル基、1-ベンジルシクロオクチル基、4-シクロヘキシル-tert-ブチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、7-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-7-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-(2-メチルアダマンチル)、1-(3-メチルアダマンチル)、1-(4-メチルアダマンチル)、1-(2-フェニルアダマンチル)、1-(3-フェニルアダマンチル)、1-(4-フェニルアダマンチル)、1-(3,5-ジメチルアダマンチル)、1-(3,5,7-トリメチルアダマンチル)、1-(3,5,7-トリフェニルアダマンチル)、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基、インダセニル基、テトラヒドロインダセニル基、ベンゾインデニル基、アズレニル基などの炭素原子数が3~40の環状飽和および不飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、ジュリル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、(ブタ-3-エン-1-イル)フェニル基、(ブタ-2-エン-1-イル)フェニル基、メタリルフェニル基、プレニルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、3,5-ジ-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの炭素原子数が6~40の芳香族置換基
などが挙げられる。
【0044】
前記炭素原子数が1~40の直鎖状または分岐状のアルキル基の中でも、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、1-ヘプチル基、1-オクチル基、iso-プロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ペンタン-3-イル基、iso-ヘキシル基、1,1-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、テキシル基、3-メチルペンタン-3-イル基、ヘプタン-4-イル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、3-エチルペンタン-3-イル基、4,4-ジメチルペンチル基、4-メチルヘプタン-4-イル基、4-プロピルヘプタン-4-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基などが好ましく、メチル基、エチル基、1-プロピル基、1-ブチル基、1-ペンチル基、1-ヘキシル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、2,4-ジメチルペンタン-2-イル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基がより好ましい。
【0045】
前記炭素原子数が2~40の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基の中でも、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、クロチル基、メタリル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、プレニル基、ペンタ-1,4-ジエン-3-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)プロパン-2-イル基、2-(シクロペンタジエニル)エチル基などが好ましく、ビニル基、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、プレニル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基がより好ましい。
【0046】
前記炭素原子数が2~40の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基の中でも、エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-3-イン-1-イル基、ペンタ-4-イン-1-イル基、3-メチル-ブタ-1-イン-1-イル基、3,3-ジメチル-ブタ-1-イン-1-イル基、ヘキサ-4-イン-1-イル基、ヘキサ-5-イン-1-イル基などが好ましく、プロパ-2-イン-1-イル基、プロパルギル基、ブタ-2-イン-1-イル基、ブタ-3-イン-1-イル基がより好ましい。
【0047】
前記炭素原子数が7~40の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基の中でも、ベンジル基、2-メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、2,4,6-トリメチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、クミニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルベンジル基、4-tert-ブチルベンジル基、3,5-ジ-tert-ブチルベンジル基、ベンズヒドリル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリチル基、2-フェニルエチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリメチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジメチルフェニル)エチル基、2-(2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル)エチル基、2-(4-tert-ブチルフェニル)エチル基、2-(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)エチル基、スチリル基、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基、ネオフィル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)プロパン-2-イル基、(1-インデニル)ジフェニルメチル基、2-(1-インデニル)エチル基、2-(9-フルオレニル)プロパン-2-イル基、(9-フルオレニル)ジフェニルメチル基、2-(9-フルオレニル)エチル基などが好ましく、ベンジル基、ベンズヒドリル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、シンナミル基がより好ましい。
【0048】
前記炭素原子数が3~40の環状飽和および不飽和炭化水素基の中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、1-メチルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基、1-ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1-メチルシクロヘプチル基、1-アリルシクロヘプチル基、1-ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、4-シクロヘキシル-tert-ブチル基、ノルボルニル基、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基などが好ましく、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、1-メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基がより好ましい。
【0049】
前記炭素原子数が6~40の芳香族置換基の中でも、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、プレニルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、terフェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基などが好ましく、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、2,6-ジ-iso-プロピルフェニル基、2,4,6-トリ-iso-プロピルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチルフェニル基、アリルフェニル基、4-アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基がより好ましい。
【0050】
前記ハロゲン含有基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、ドデカフルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビストリフルオロメトキシフェニル基、トリフルオロメチルチオフェニル基、ビストリフルオロメチルチオフェニル基、フルオロビフェニル基、ジフルオロビフェニル基、トリフルオロビフェニル基、テトラフルオロビフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、ジ-tert-ブチル-フルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシビフェニル基、ビストリフルオロメトキシビフェニル基、トリフルオロメチルジメチルシリル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、フルオロフェノキシ基、ジフルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ジ-tert-ブチル-フルオロフェノキシ基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、トリフルオロメトキシフェノキシ基、ビストリフルオロメトキシフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルチオ基、などが挙げられる。
【0051】
前記ハロゲン含有基の中でも、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、トリフルオロメチルチオ基が好ましく、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基がより好ましい。
【0052】
前記ケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(シクロペンタジエニル)シリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(インデニル)シリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、ジ-n-ブチル(フルオレニル)シリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、4-tert-ブチルジフェニルシリルフェニル基、4-トリフェニルシリルフェニル基、4-トリス(トリメチルシリル)シリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基などが挙げられる。
【0053】
前記ケイ素含有基の中でも、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ-iso-プロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、4-トリフェニルシリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基などが好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、4-トリメチルシリルフェニル基、4-トリエチルシリルフェニル基、4-トリ-iso-プロピルシリルフェニル基、3,5-ビス(トリメチルシリル)フェニル基がより好ましい。
【0054】
前記酸素含有基としては、水酸基および炭素数1~20の酸素含有基が好ましく、後者としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、メタリルオキシ基、プレニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso-プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert-ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、iso-プロポキシフェノキシ基、アリルオキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、メトキシメチル基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、アリルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、アリルオキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェノキシプロピル基、メトキシビニル基、アリルオキシビニル基、ベンジルオキシビニル基、フェノキシビニル基、メトキシアリル基、アリルオキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジ-iso-プロポキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基などが挙げられる。
【0055】
前記酸素含有基の中でも、メトキシ基、エトキシ基、iso-プロポキシ基、アリルオキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、プレニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso-プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert-ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、ジメチルジオキサニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等などが好ましく、メトキシ基、iso-プロポキシ基、tert-ブトキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、メトキシフェニル基、iso-プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基がより好ましい。
【0056】
前記窒素含有基としては、アミノ基および炭素数1~20の窒素含有基が好ましく、後者としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モリホリル基、アゼピニル基、ジメチルアミノメチル基、ジベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジルアミノメチル基、ベンジルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノビニル基、ベンジルアミノビニル基、ピロリジニルビニル基、ジメチルアミノプロピル基、ベンジルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ベンジルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、ピリジルフェニル基、キノリルフェニル基、イソキノリルフェニル基、インドリニルフェニル基、インドリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、メチルピロリル基、フェニルピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso-キノリル基、テトラヒドロ-iso-キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などが挙げられる。
【0057】
前記窒素含有基の中でも、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ジメチルアミノメチル基、ベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、アミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso-キノリル基、テトラヒドロ-iso-キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ-tert-ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などが好ましく、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジメチル-4-ジメチルアミノフェニル基、3,5-ジ-iso-プロピル-4-ジメチルアミノフェニル基、ジュロリジニル基、テトラメチルジュロリジニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基がより好ましい。
【0058】
前記硫黄含有基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、メチルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、フェニルチオメチル基、ナフチルチオメチル基、メチルチオエチル基、ベンジルチオエチル基、フェニルチオエチル基、ナフチルチオエチル基、メチルチオビニル基、ベンジルチオビニル基、フェニルチオビニル基、ナフチルチオビニル基、メチルチオプロピル基、ベンジルチオプロピル基、フェニルチオプロピル基、ナフチルチオプロピル基、メチルチオアリル基、ベンジルチオアリル基、フェニルチオアリル基、ナフチルチオアリル基、メルカプトフェニル基、メチルチオフェニル基、チエニルフェニル基、メチルチエニルフェニル基、ベンゾチエニルフェニル基、ジベンゾチエニルフェニル基、ベンゾジチエニルフェニル基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、ジチオラニル基、ジチアニル基、オキサチオラニル基、オキサチアニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアゾリジニル基などが挙げられる。
【0059】
前記硫黄含有基の中でも、チエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
【0060】
R2のうち、少なくとも1つは直鎖状部分の炭素数が3~10の飽和炭化水素基または直鎖状部分の炭素数が3~10の末端不飽和炭化水素基であり、好ましくは直鎖状部分の炭素数が3~10の飽和炭化水素基である。
【0061】
直鎖状部分の炭素数が3~10の飽和炭化水素基は、炭素数が3~10の直鎖状炭化水素基部を有する飽和炭化水素基であり、その例としては、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ペンチル基、2-メチルペンタン-2-イル基、1-エチルシクロペンチル基、1-(n-プロピル)シクロペンチル基、1-エチルシクロヘキシル基、1-(n-プロピル)シクロヘキシル基などが挙げられ、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基であることが好ましく、n-ブチル基であることがより好ましい。
【0062】
直鎖状部分の炭素数が3~10の末端不飽和炭化水素基は、炭素数が3~10の直鎖状炭化水素基部を有し、かつ末端に不飽和結合を有する炭化水素基であり、その例としては、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、メタリル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基、ヘプタ-6-エン-1-イル基、オクタ-7-エン-1-イル基、ノナ-8-エン-1-イル基、デカ-9-エン-1-イル基、2-メチルブタ-3-エン-2-イル基、2-メチルペンタ-4-エン-2-イル基、1-ビニルシクロペンチル基、1-アリルシクロペンチル基、1-ビニルシクロヘキシル基、1-アリルシクロヘキシル基などが挙げられ、アリル基、ブタ-3-エン-1-イル基、ペンタ-4-エン-1-イル基、ヘキサ-5-エン-1-イル基であることが好ましい。
【0063】
隣接したR2同士は、互いに結合して置換基を有していてもよい飽和環を形成してもよい。これらの形成される環としては、シクロペンタジエニル環部分に縮環する、置換基を有していてもよい5~8員環が好ましい。なお、環が複数存在する場合には、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、前記環はより好ましくは5又は6員環である。前記環と母核のシクロペンタジエニル環部分とを併せた構造としては、例えば、テトラヒドロペンタレニル環、テトラヒドロインデニル環、ペンタレニル環、インデニル環、アズレニル環(これらは、置換基を有していてもよい。)が挙げられる。
【0064】
≪遷移金属化合物(A)の好ましい態様≫
前記遷移金属(A)の好ましい形態としては、前記一般式(1)において、Mが、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基または酸素含有基である遷移金属化合物を挙げることができる。
【0065】
R1の観点からのより好ましい形態としては、前記一般式(1)において、R1が、それぞれ独立に、水素原子もしくはメチル基であり、少なくとも2つのR1はメチル基であり、残りのR1は水素原子またはメチル基である遷移金属化合物を挙げることができる。
【0066】
R2の観点からのより好ましい形態としては、前記一般式(1)において、R2が、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~40の炭化水素基であり、少なくとも1つのR2は、直鎖状部分の炭素数が3~10の飽和炭化水素基または末端不飽和炭化水素基であり、少なくとも2つのR2は水素原子である遷移金属化合物を挙げることができる。
【0067】
R2の観点からのさらに好ましい形態としては、前記一般式(1)において、R2が、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、少なくとも1つのR2は、直鎖状部分の炭素数が3~10の飽和炭化水素基または末端不飽和炭化水素基であり、少なくとも2つのR2は水素原子であり、残りのR2は、水素原子またはメチル基である遷移金属化合物を挙げることができる。
【0068】
≪遷移金属化合物(A)の例示≫
遷移金属化合物(A)の具体例としては、
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
(n-ブチルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
(n-プロピルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
(n-ブチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)(1-n-ブチル-3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
これらの化合物においてジルコニウムをチタンまたはハフニウムに置き換えたもの、
これらの化合物においてジクロライドをジメチルに置き換えたもの
などが挙げられる。
【0069】
本発明のオレフィン重合体の製造方法においては、遷移金属化合物(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、化学構造が同一である光学異性体の一種を単独で用いてもよいし、光学異性体の混合物(例えば、メソ体混合物またはラセミ体)で用いてもよい。
【0070】
(有機アルミニウムオキシ化合物(B))
有機アルミニウムオキシ化合物(B)(以下「成分(B)」ともいう。)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体的には、下記一般式[B-1]
【0071】
【0072】
および/または下記一般式[B-2]
【0073】
【0074】
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す)で表わされる化合物、特開平2-78687号公報、特開平2-167305号公報に記載されたベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンが挙げられる。
【0075】
また、有機アルミニウムオキシ化合物(B)として、下記一般式[B-3]で表されるような修飾メチルアルミノキサン等も挙げられる。
【0076】
【0077】
(式中、Rは炭素数1から10の炭化水素基、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。)
【0078】
この修飾メチルアルミノキサンはトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製されるものである。このような化合物は一般にMMAOと呼ばれている。このようなMMAOは、米国特許第4960878号明細書および米国特許第5041584号明細書で挙げられている方法で調製することができる。
【0079】
さらに、有機アルミニウムオキシ化合物(B)として、下記一般式[B-4]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げることができる。
【0080】
【0081】
(式中、Rcは炭素数1から10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1から10の炭化水素基を示す。)
【0082】
有機アルミニウムオキシ化合物(B)としては、市販品のために入手が容易なメチルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製したMMAOが好ましい。このうち、各種溶媒への溶解性および保存安定性が改良されたMMAOが特に好ましい。
【0083】
(粒子状担体(C))
前記粒子状担体(C)(以下「成分(C)」ともいう。)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
【0084】
前記粒子状担体(C)として用いられる無機化合物としては、多孔質酸化物、固体状アルミノキサン化合物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。
【0085】
前記多孔質酸化物としては、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaOおよびThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物、具体的には、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3およびSiO2-TiO2-MgOなどが用いられる。これらのうち、SiO2を主成分とするものが好ましい。
【0086】
なお、上記多孔質酸化物には、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
【0087】
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、前記粒子状担体(C)としては、粒径が通常0.2~300μm、好ましくは1~200μm、より好ましくは10~150μm、さらに好ましくは50~100μm、特に好ましくは60~80μmであって、比表面積が通常50~1200m2/g、好ましくは100~1000m2/g、より好ましくは200~700m2/g、さらに好ましくは300~400m2/gの範囲にあり、細孔容積が通常0.3~30cm3/g、好ましくは0.5~10cm3/g、より好ましくは0.7~5cm3/g、さらに好ましくは1.0~3.0cm3/gの範囲にあるものが好ましい。このような担体は、必要に応じて、例えば、100~1000℃、好ましくは150~700℃、より好ましくは200~500℃、さらに好ましくは220~300℃で焼成して用いられる。
【0088】
前記固体状アルミノキサン化合物としては、公知の固体状アルミノキサンを制限なく用いることができ、たとえば国際公開第2014/123212号に記載された固体状ポリアルミノキサン組成物、特開2019-69920号公報の[0119]~[0129]に記載の固体状アルミノキサン化合物を用いることもできる。公知の製造方法としては、たとえば、特公平7-42301号公報、特開平6-220126号公報、特開平6-220128号公報、特開平11-140113号公報、特開平11-310607号公報、特開2000-38410号公報、特開2000-95810号公報、国際公開第2010/55652号などに記載された製造方法が挙げられる。
【0089】
前記無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2などが挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0090】
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0091】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。
【0092】
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等が挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ-Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩等が挙げられる。
【0093】
前記粒子状担体(C)として用いられる有機化合物としては、例えば、粒径が10~300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体などが挙げられる。前記有機化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等の炭素原子数が2~14のオレフィンを主成分として生成される重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレン、ジビニルベンゼンを主成分として生成される重合体や反応体、およびそれらの変成体からなる顆粒状ないしは微粒子状固体などが挙げられる。
前記粒子状担体(C)としては、成形時の異物防止の観点から、多孔質酸化物が好ましい。
【0094】
<固体状オレフィン重合触媒成分(X)の製造>
固体状オレフィン重合触媒成分(X)(以下「固体触媒成分(X)」ともいう。)は、前記成分(A)と、前記成分(B)と、前記成分(C)とを接触させて、例えばこれらを不活性炭化水素中で混合し接触させて、製造することができる。
【0095】
各成分を接触させる方法としては、接触の順序に着目すると、例えば、
(i)成分(C)に成分(B)を接触させ、次いで成分(A)を接触させる方法
(ii)成分(A)に成分(B)を接触させ、次いで成分(C)を接触させる方法
(iii)成分(C)に成分(B)を接触させ、次いで成分(A)と成分(B)との混合物を接触させる方法、
(iv)成分(C)に成分(B)を接触させ、さらに成分(B)を接触させ、次いで成分(A)と成分(B)との混合物を接触させる方法
などが挙げられる。成分(B)が複数種用いられる場合は、その成分(B)同士が同一であっても異なっていてもよい。上記の方法のうち(i)および(ii)が好ましい。
【0096】
上記接触順序形態を示した各方法において、成分(C)と成分(B)との接触を含む工程、および成分(C)と成分(A)との接触を含む工程においては、成分(G)を共存させることにより、重合反応中のファウリングが抑制されたり、生成重合体の粒子性状が改善されたりする。成分(G)としては、極性官能基を有する化合物を用いることができ、非イオン性(ノニオン)界面活性剤が好ましく、ポリアルキレンオキサイドブロック、高級脂肪族アミド、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、N-アシルアミノ酸がより好ましい。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0097】
固体触媒成分(X)の調製に用いる溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が挙げられ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0098】
成分(B)と成分(C)との接触においては、成分(B)中の反応部位と成分(C)中の反応部位との反応により化学的に結合され、成分(B)と成分(C)との接触物が形成される。成分(B)と成分(C)との接触時間は、通常1分~20時間、好ましくは30分~10時間であり、接触温度は、通常-50~200℃、好ましくは-20~120℃で行われる。成分(B)と成分(C)との初期接触を急激に行うと、その反応発熱や反応エネルギーにより成分(C)が崩壊し、得られる固体触媒成分(X)のモルフォロジーが悪化し、これを重合に用いた場合ポリマーモルフォロジー不良により連続運転が困難になることが多い。そのため、成分(B)と成分(C)との接触初期は、反応発熱を抑制する目的で、より低温で接触させる、または、反応発熱を制御し、初期接触温度を維持可能な速度で反応させることが好ましい。また、成分(B)と成分(C)を接触させ、さらに成分(B)を接触させる場合においても同様である。成分(B)と成分(C)との接触重量比(成分(B)の重量/成分(C)の重量)は、任意に選択できるが、接触重量比が高いほうが、より多くの成分(A)を接触させることができ、固体触媒成分(X)の重量当たりの触媒活性を向上させることができる。
【0099】
成分(B)と成分(C)の接触重量比[=成分(B)の重量/成分(C)の重量]は、好ましくは0.05~3.0、より好ましくは0.1~2.0、さらに好ましくは0.2~1.0、特に好ましくは0.3~0.5である。
成分(B)と成分(C)との接触物と、成分(A)とを接触させる際には、接触時間は、通常1分~20時間、好ましくは1分~10時間であり、接触温度は、通常-50~200℃、好ましくは-50~100℃の範囲内である。
【0100】
成分(B)は、成分(B)(アルミニウム原子換算)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(B)/M]が、通常10~500,000、好ましくは20~100,000、より好ましくは50~1,000、さらに好ましくは100~300となるような量で用いられる。
【0101】
<予備重合固体触媒成分(X’)の製造>
前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、予備重合によって生成するオレフィン重合体と共に、予備重合固体触媒成分(X’)を形成していてもよく、予備重合固体触媒成分(X’)を形成していなくてもよい。
【0102】
予備重合固体触媒成分(X’)は、前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)の存在下、通常、不活性炭化水素溶媒中、オレフィンを予備重合させることにより調製することができ、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても実施することができ、また減圧、常圧あるいは加圧下、いずれでも行うことができる。さらに、予備重合によって、固体状触媒成分1g当り0.01~1000g、好ましくは0.1~800g、さらに好ましくは0.2~500g、特に好ましくは1.0~10gの量で予備重合固体触媒成分(X’)が生成することが望ましい。
【0103】
不活性炭化水素溶媒としては、固体触媒成分(X)の調製に使用される不活性炭化水素溶媒と同様のものが挙げられる。
不活性炭化水素溶媒中で生成した予備重合固体触媒成分(X’)を懸濁液から分離した後、再び不活性炭化水素中に懸濁させ、得られた懸濁液中にオレフィンを導入してもよく、また、乾燥させた後オレフィンを導入してもよい。
【0104】
予備重合温度は、-20~80℃、好ましくは0~60℃であり、また予備重合時間は、0.5~100時間、好ましくは1~50時間程度である。
予備重合に使用する固体触媒成分(X)の形態としては、既に述べたものを制限無く利用できる。
【0105】
また、予備重合の際には、固体触媒成分(X)に有機アルミニウム化合物(D)を添加してもよい。
有機アルミニウム化合物(D)としては、下記一般式(D)で表される有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0106】
Ra
mAl(ORb)nHpXq …(D)
[一般式(D)中、RaおよびRbは、炭素原子数が1~15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。]
前記有機アルミニウム化合物(D)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジヒドロフェニルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジシクロヘキシルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ノニルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソプロピルアルミニウムメトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイドなどのジアルキルアルミニウムアルコキサイド
が挙げられる。
【0107】
有機アルミニウム化合物(D)が用いられる場合は、有機アルミニウム化合物(D)は、有機アルミニウム化合物(D)中のアルミニウム原子(Al)と成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が、0.1~10000、好ましくは0.5~5000、より好ましくは1.0~1000、さらに好ましくは10~100となる量で用いられる。
【0108】
予備重合系における前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)の濃度は、前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)/重合容積比で、通常1~1000グラム/リットル、さらには10~500グラム/リットルであることが望ましい。予備重合時には、ファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的として、前記の成分(G)を共存させてもよい。
得られた予備重合固体触媒成分(X’)の懸濁液から、好ましくは、不活性炭化水素溶媒は除去され、予備重合固体触媒成分(X’)は真空乾燥等により乾燥される。
【0109】
≪無機固体成分(I)≫
前記無機固体成分(I)は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、好ましくは二酸化ケイ素を含む。また、前記無機固体成分(I)は多孔質物質であることが好ましい。
【0110】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、以下の要件(1)および(2)を満たす。
要件(1):
要件(1)は、下記の方法で算出される前記無機固体成分(I)の強熱減量(Ignition Loss)が、6.0質量%以下である、というものである。
【0111】
前記強熱減量は、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.5質量%以下、特に好ましくは3.0質量%以下である。
前記強熱減量は、主に脱水による減量と考えられる。
【0112】
<強熱減量の算出方法>
磁性るつぼを電気炉に入れ、乾燥空気導入させながら1,000℃で2時間空焼成を行い、電気炉内で200℃まで冷却した後、窒素流通可能なデシケーターに素早く移し、更に室温まで冷却させる。十分に冷却された磁性るつぼの重量を、精密天秤を用いて測定する。このときの測定重量をW1とする。予め窒素ボックス内でスクリュー管に秤量しておいた2g程度の無機固体成分(I)を、W1の測定後風袋引きした状態の磁性るつぼに移し、素早く重量を測定する。この時の測定重量をW2とする。無機固体成分(I)を入れた磁性るつぼごと、電気炉に入れ、乾燥空気は導入せずに1,000℃で2時間焼成を行い、電気炉内で200℃まで冷却した後、窒素流通可能なデシケーターに素早く移し、更に室温まで冷却させる。十分に冷却された無機固体成分(I)を入れた磁性るつぼの重量を、精密天秤を用いて測定する。この時の測定重量をW3とする。強熱減量を以下の計算式により算出する。
強熱減量=(W2-W3+W1)/W2×100
【0113】
要件(2):
要件(2)は、下記式(ii)が成立するというものである。
10μm<d50(I)≦300μm …(ii)
〔式(ii)において、d50(I)は、レーザ回折・散乱法により測定される前記無機固体成分(I)の体積基準の粒度分布における積算分布の50%径である。〕
d50(I)の範囲は、好ましくは10~250μm、より好ましくは15~250μm、さらに好ましくは15~230μmである。
【0114】
≪無機固体成分(J)≫
前記無機固体成分(J)は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびケイ酸アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、好ましくは二酸化ケイ素を含み、多孔質物質であることが好ましい。
【0115】
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、以下の要件(3)を満たす。
要件(3):
要件(3)は、下記式(iii)が成立するというものである。
0.020μm≦d50(J)≦10μm …(iii)
〔式(iii)において、d50(J)は、コールターカウンター法により測定される前記無機固体成分(J)の体積基準の粒度分布における積算分布の50%径である。〕
【0116】
d50(J)の範囲は、好ましくは0.030μm~10μm、より好ましくは0.040μm~10μm、さらに好ましくは0.040μm~7μmである。
なお、前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)に前記成分(A)および前記成分(B)は担持されていない。
【0117】
≪オレフィン重合≫
工程(1)では、前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)、前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)の存在下でオレフィンを重合させる。
【0118】
オレフィンを重合させる工程(1)は、好ましくはエチレンを単独重合するか、またはエチレンと炭素数3~20のオレフィンとを共重合する工程である。
重合方法としては、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法および気相重合法が挙げられ、懸濁重合法および気相重合法が好ましい、気相重合法が特に好ましい。
【0119】
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0120】
工程(1)では、前記固体状オレフィン重合触媒成分(X)は、成分(A)が反応容積1リットル当たり、通常1×10-12~1×10-1モル、好ましくは1×10-8~1×10-2モルになるような量で用いられる。
【0121】
固体状オレフィン重合触媒成分(X)の仕込み重量(g)に対する無機固体成分(I)の仕込み重量(g)比は、通常10~1000、好ましくは20~500、より好ましくは30~400、さらに好ましくは40~350、特に好ましくは40~300である。
【0122】
前記無機固体成分(I)は、重合槽容積に対する前記無機固体成分(I)の仕込み体積量が、好ましくは1~50体積%、より好ましくは3~30体積%、さらに好ましくは3~10体積%となるような量で用いられる。
【0123】
(前記無機固体成分(J)の質量)/(前記無機固体成分(I)の質量)は、好ましくは0.001~0.1であり、より好ましくは0.003~0.05、さらに好ましくは0.005~0.02である。
【0124】
なお、前記無機固体成分(I)および前記無機固体成分(J)に替えて塩化ナトリウム等の無機塩類を使用した場合には、潮解性や結晶水等の影響を受け、オレフィン重合時に水分を含みやすく、オレフィン重合反応を阻害することから、重合活性が低下するおそれがある。
【0125】
オレフィンを重合するに際して、重合温度は、下限が0℃、好ましくは40℃、特に好ましくは60℃である。温度が高い方が工業スケールでの生産において除熱等の面で有利である。上限が通常200℃、好ましくは170℃であり、重合圧力は、通常、常圧~100kgf/cm2、好ましくは常圧~50kgf/cm2である。
【0126】
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法により得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。重合時には、ファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的として、前記の成分(G)を共存させることができる。
【0127】
本発明において重合反応に供給されるモノマーは、好ましくはエチレン単独であるか、エチレンおよび炭素数3以上20以下のオレフィンである。炭素数3以上20以下のオレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどのα-オレフィンや、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィンを挙げることができる。
【0128】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で少量のスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンやアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸等の極性モノマーなどを供給してもよい。
【0129】
また、上述した要件(1)が満たされると、無機固体成分(I)に含まれる水分でオレフィン重合触媒成分の活性が阻害されてしまうこと、もしくは重合槽内へ供給されるモノマーや窒素、水素などに含まれる微量水分の吸着量が低下してしまうことを抑制でき、高い重合活性が安定して発現する。また要件(2)および要件(3)が満たされると、固体状オレフィン重合触媒成分(X)が重合槽内部の滞留部に取り込まれて局所的にオレフィン重合触媒成分濃度が高まることを抑制できるため、重合発熱を除熱しきれないことによる重合体のメルト、塊状物の生成を抑制することができる。以上のことから本発明によれば、要件(1)、(2)および(3)が満たされると、気相重合法によりオレフィン重合体を製造する際に、ファウリングの発生およびオレフィン重合体の塊状物の生成を抑制しつつ高い重合活性でオレフィン重合体を製造することができる。
【0130】
<オレフィン重合体>
本発明の製造方法により製造されるオレフィン重合体の一態様としては、エチレン由来の構成単位を好ましくは60~100モル%、より好ましくは80~100モル%の範囲で含むエチレン系重合体が挙げられる。前記エチレン系重合体は、共重合体の場合、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位を好ましくは合計0.01~10モル%、より好ましくは0.05~7.0モル%、さらに好ましくは0.10~5.0モル%、特に好ましくは0.20~3.0モル%の範囲で含む。ただし、エチレン由来の構成単位の含有率と炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有率との合計を100モル%とする。
炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有率は、FT-IRにより測定することができる。FT-IRによる測定では、得られた重合体を、ホットプレスを用いてフィルム成形し、得られたフィルムを測定サンプルとして用い、検量線を利用して炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有率を測定する。検量線作成用のエチレン/炭素数3~20のα-オレフィン共重合体のサンプルにおける炭素数3~20のα-オレフィンの含有率は、13C-NMR測定によって特定される。
【0131】
これらの重合体の中でも、エチレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1-ブテン共重合体、エチレン/1-オクテン重合体、エチレン/1-ヘキセン重合体、エチレン/4-メチル-1-ペンテン重合体、エチレン/プロピレン/1-オクテン重合体、エチレン/プロピレン/1-ヘキセン重合体、エチレン/プロピレン/4-メチル-1-ペンテン重合体が好ましい。また、これらの重合体から選択される二種以上を混合または連続的に製造することによって得られる、いわゆるブロック共重合体(インパクトコポリマー)でもよい。
【実施例0132】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0133】
<測定方法>
以下のように粒度分布測定および強熱減量測定を行った。
【0134】
[粒度分布測定]
固体状オレフィン重合触媒成分および無機固体成分(I)の粒径(d50等)は、Microtrac社製粒度分析計(Microtrac MT3300EX II)を用い、湿式のレーザ回折・散乱法により測定を行った。なお測定条件は、分散媒:メタノール、屈折率:1.33、循環速度:50%(100%時、65mL/s)、分散方法:装置内蔵超音波ホモジナイザー5分間(出力25W)、分布表示:体積分布(頻度及び累積・ふるい下)とした。
【0135】
[強熱減量(Ignition Loss)測定]
磁性るつぼを電気炉に入れ、乾燥空気導入させながら1,000℃で2時間空焼成を行い、電気炉内で200℃まで冷却した後、窒素流通可能なデシケーターに素早く移し、更に室温まで冷却させる。十分に冷却された磁性るつぼの重量を、精密天秤を用いて測定する。この時の測定重量をW1とした。予め窒素ボックス内でスクリュー管に秤量しておいた2g程度の無機固体成分を、W1の測定後風袋引きした状態の磁性るつぼに移し、素早く重量を測定する。この時の測定重量をW2とした。無機固体成分を入れた磁性るつぼごと、電気炉に入れ、乾燥空気は導入せずに1,000℃で2時間焼成を行い、電気炉内で200℃まで冷却した後、窒素流通可能なデシケーターに素早く移し、更に室温まで冷却させる。十分に冷却された無機固体成分を入れた磁性るつぼの重量を、精密天秤を用いて測定した。この時の測定重量をW3とした。強熱減量(I.L.)は以下の計算式により算出した。
(W2-W3+W1)/W2×100
【0136】
[調製例1](固体触媒成分(X-1)の調製)
内容積270Lの攪拌機付き反応器を用い、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製、平均粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77Lのトルエンに懸濁させ、その後0~5℃に冷却した。系内温度を0~5℃に保持しつつ、この懸濁液に成分(B)としてメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mol/L)19.4Lを30分間かけて滴下した。そして各添加成分を30分間接触させた後、系内温度を1.5時間かけて95℃まで昇温し、引き続き93~97℃で4時間接触させた。その後、常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、残渣を、さらにトルエンで2回洗浄し、全量115Lのメチルアルミノキサンを担持する固体状担体のトルエンスラリーを得た。このスラリーの一部を採取し分析したところ、固体分濃度は123g/Lであった。
【0137】
得られたスラリーの内、12.2L(固体分として1.50kg)を内容積114Lの撹拌機付き反応器に窒素雰囲気下で装入し、さらに全量が28Lになるようトルエンを添加した。次に、成分(A)として、特表2000-514494号公報の記載と同様の方法によって合成した(n-ブチルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(A-1)22.0g(Zr原子換算で54.2mmol)をトルエン5.0Lに溶解させた溶液を、上記反応器に圧送し、系内温度20~25℃で1時間接触させた。上澄み液をデカンテーションにより除去し、残渣を、ヘキサンを用いて3回洗浄した。その後、洗浄物にさらにヘキサンを加えて全量を30Lのヘキサンスラリーを得た。
【0138】
得られたヘキサンスラリー30Lを10℃まで冷却し、これにジイソブチルアルミニウムハイドライド(以下「DiBAl-H」とも記載する。)2.89molを添加した。系内温度を10~15℃に保持しつつ、常圧下でエチレンを系内に連続的に数分間供給し、次いで1-ヘキセン70mlを添加した。その後1.46kg/hでエチレン供給を開始し、系内温度32~37℃にて予備重合を行った。予備重合を開始してから30分毎に計5回、1-ヘキセン70mlを添加し、予備重合開始から180分後にエチレン供給が4.37kgに到達したところで、エチレン供給を停止した。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、残渣を、ヘキサンを用いて4回洗浄した。その後、洗浄物にさらにヘキサンを加えて全量を30Lとし、固体触媒成分(X-1)のヘキサンスラリーを得た。
【0139】
次に、ヘキサンスラリーを、内容積43Lの撹拌機付き蒸発乾燥機に窒素雰囲気下で挿入し、約60分かけて-68kPaGまで減圧し、-68kPaGに到達したところで約4.3時間真空乾燥し、ヘキサンおよび揮発分を除去した。さらに-100kPaGまで減圧し、-100kPaGに到達したところで8時間真空乾燥し、固体触媒成分(X-1)6.20kgを得た。得られた固体触媒成分(X-1)の粒度分布測定値を表1に示す。
【0140】
【0141】
(無機固体成分(I)の準備)
表2に示す無機固体成分(I)を準備し、いずれも250℃で10時間乾燥させた。表2の粒度分布は、乾燥後に測定されたものである。
【0142】
【0143】
(無機固体成分(J)の準備)
無機固体成分(J-1)として、水澤化学工業株式会社製シルトンJC-50、無機固体成分(J-2)として株式会社アドマテックス社製アドマナノYA050C、無機固体成分(J-3)として、水澤化学工業株式会社製シルトンJC-20を準備した。
【0144】
【0145】
[実施例1](エチレン系重合体の製造)
充分に窒素置換した1Lの撹拌翼付きステンレス製オートクレーブに無機固体成分(I-1)を18.7g装入し、続いて無機固体成分(J-1)を、無機固体成分(I-1)に対して0.5重量%となるように挿入し、系内の窒素をエチレンで置換し、75℃まで昇温した。その後、調製例1で得た固体触媒成分(X-1)417mgを投入し、エチレンを導入することにより重合を開始し、連続的にエチレンを供給しながら圧力を8.0kgf/cm2-Gにかつ温度を80℃に保ち、90分間重合を行った。重合終了後、オートクレーブ内の内容物をすべて回収し、重量を測定したところ102.2gで、正味のエチレン系重合体生成量は83.5gだった。内容物には重合体がメルトした塊状物は見られず、オートクレーブの内壁や撹拌翼にポリマー付着等のファウリングは見られなかった。結果を表3に示す。
【0146】
[実施例2](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(I-1)を無機固体成分(I-2)に変更し、無機固体成分(J-1)を無機固体成分(J-2)に変更した以外は実施例1と同様に重合を実施した。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0147】
[実施例3](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(I-1)を無機固体成分(I-3)に変更し、無機固体成分(J-1)の量を無機固体成分(I-1)に対して2.0重量%となるように変更した以外は実施例1と同様に重合を実施した。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0148】
[実施例4](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(I-1)を無機固体成分(I-4)に変更し、無機固体成分(J-1)を無機固体成分(J-3)に変更した以外は実施例1と同様に重合を実施した。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0149】
[比較例1](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(J-2)を用いないこと以外は実施例2と同様に重合を実施した。重合終了後、オートクレーブ内の内容物をすべて回収し、重量を測定したところ83.1gで、正味のエチレン系重合体生成量は64.7gだった。オートクレーブの内壁や撹拌翼にポリマー付着等のファウリングは見られなかったが、内容物には重合体がメルトした塊状物が見られた。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0150】
[比較例2](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(J-1)を用いないこと以外は実施例3と同様に重合を実施した。重合終了後、オートクレーブ内の内容物をすべて回収し、重量を測定したところ63.4gで、正味のエチレン系重合体生成量は46.1gだった。オートクレーブの内壁や撹拌翼にポリマー付着等のファウリングは見られなかったが、内容物には重合体がメルトした塊状物が見られた。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0151】
[比較例3](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(J-3)を用いないこと以外は実施例4と同様に重合を実施した。重合終了後、オートクレーブ内の内容物をすべて回収し、重量を測定したところ89.2gで、正味のエチレン系重合体生成量は71.3gだった。オートクレーブの内壁や撹拌翼にポリマー付着等のファウリングは見られなかったが、内容物には重合体がメルトした塊状物が見られた。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0152】
[比較例4](エチレン系重合体の製造)
無機固体成分(I-1)および無機固体成分(J-1)を用いないこと以外は実施例1と同様に重合を実施した。各成分の添加量等の詳細、および結果を表3に示す。
【0153】
【0154】
[実施例5](エチレン系重合体の製造)
充分に窒素置換した1Lの撹拌翼付きステンレス製オートクレーブに無機固体成分(I-4)を17.8g装入し、続いて無機固体成分(J-3)を、無機固体成分(I-4)に対して0.5重量%となるように挿入し、系内の窒素をエチレンで置換し、75℃まで昇温した。次いで1-ヘキセンを10mL、調製例1で得た固体触媒成分(X-1)177mgを投入し、水素濃度0.1vol%のエチレン・水素混合ガスを導入することにより重合を開始し、連続的にエチレン・水素混合ガスを供給しながら圧力を8.0kgf/cm2-Gにかつ温度を80℃に保ち、90分間重合を行った。重合終了後、オートクレーブ内の内容物をすべて回収し、重量を測定したところ64.7gで、正味のエチレン系重合体生成量は46.9gだった。内容物には重合体がメルトした塊状物は見られず、オートクレーブの内壁や撹拌翼にポリマー付着等のファウリングは見られなかった。得られたエチレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は8.0g/10分、密度1-ヘキセン含有率は2.4モル%だった。なお、MFRはASTM D1238-65Tに従い、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定した。1-ヘキセン含有率はFT-IRにより測定した。FT-IRによる測定では、得られた重合体を、ホットプレスを用いてフィルム成形し、得られたフィルムを測定サンプルとして用い、検量線を利用して1-ヘキセン含有率の含有率を測定した。検量線作成用のエチレン/1-ヘキセンのサンプルにおける1-ヘキセンの含有率は、13C-NMR測定によって特定された。結果を表4に示す。
【0155】
[実施例6](エチレン系重合体の製造)
各成分の添加量を表4に示すとおりに変更した以外は実施例5と同様に重合を実施した。結果を表4に示す。
【0156】
[実施例7](エチレン系重合体の製造)
各成分の添加量およびエチレン・水素混合ガスの水素濃度を表4に示すとおりに変更した以外は実施例5と同様に重合を実施した。結果を表4に示す。
【0157】
[実施例8](エチレン系重合体の製造)
各成分の添加量およびエチレン・水素混合ガスの水素濃度を表4に示すとおりに変更した以外は実施例5と同様に重合を実施した。結果を表4に示す。
【0158】