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特開2024-144114複数チャネルレーザー超音波システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144114
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】複数チャネルレーザー超音波システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20241003BHJP
   G01N 29/265 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 21/00 20060101ALI20241003BHJP
   B64F 5/60 20170101ALN20241003BHJP
【FI】
G01N29/24
G01N29/265
G01N21/00 A
B64F5/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024009483
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】18/191,788
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】523043898
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】マルク・デュボワ
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ピー・ビンガム
【テーマコード(参考)】
2G047
2G059
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AC05
2G047BC07
2G047CA04
2G047DB02
2G047DB03
2G047EA09
2G047GA13
2G047GD01
2G047GF18
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE02
2G059EE09
2G059EE16
2G059GG01
2G059JJ15
2G059JJ17
2G059JJ22
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】超音波検査システムと比較して、一般的にレーザー超音波検査は検査対象を基準とした方向にはより感度が低い。しかしながら、レーザー超音波検査システムで飛行機などの特定の機構で用いられる複合材料の検査を行うのにはかなりの長時間がかかることがある。
【解決手段】本開示は内部構造を検査するための単一検知レーザー及び単一生成レーザーを用いる複数チャネルレーザー超音波システムを提供する。システムの一例は生成レーザー光を放出するように構成されているレーザージェネレータと、検知レーザー光を放出するように構成されているレーザーディテクタと、スキャン装置と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成レーザー光(144)を放出するように構成されているレーザージェネレータ(154)と、
検知レーザー光(148)を放出するように構成されているレーザーディテクタ(156)と、
前記生成レーザー光(144)及び前記検知レーザー光(148)を受け取り、
複数のレーザー超音波チャネル(210)を介して構造物(110)の表面(114)に前記生成レーザー光(144)及び前記検知レーザー光(148)を向け、
前記複数のレーザー超音波チャネル(210)を介して前記構造物(110)の表面(114)から前記検知レーザー光の反射光(170)を集光するように構成されているスキャン装置(142)と、
前記レーザージェネレータ(154)と、前記レーザーディテクタ(156)と、前記スキャン装置(142)と、に結合されているコントローラ(130)と、
を備え、
前記コントローラは前記反射光(170)に基づいて前記構造物(110)の内部の特性を評価するように構成されている、
システム(102)。
【請求項2】
前記スキャン装置(142)は複数のビームスプリッタ(216)及び複数のダイクロイック(220)を備え、
前記生成レーザー光(144)を前記構造物(110)の表面に向けるために、各々のビームスプリッタ(212)は前記複数のダイクロイックのうち各々のダイクロイック(220)を介して前記構造物(110)の表面(114)で前記生成レーザー光(144)の各々の一部を反射するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各ビームスプリッタ(216)は、前記複数のレーザー超音波チャネルのうち異なるレーザー超音波チャネル(210)で前記生成レーザー光(144)の異なる一部を反射するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スキャン装置は前記構造物(110)の表面(114)で前記生成レーザー光(144)の残りの一部を反射するように構成されているミラー(218)をさらに備えている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記スキャン装置(142)は、複数のビームスプリッタ(212)と、複数の第一ミラー(222)と、複数のダイクロイック(220)と、を備え、
前記構造物(110)の表面(114)に前記検知レーザー光(148)を向けるために、
各ビームスプリッタ(212)は前記複数の第一ミラー(222)のうちそれぞれ一つを介して前記複数のダイクロイックのうち各々のダイクロイック(220)で前記検知レーザー光(148)の各々の一部を反射するように構成され、
各々の各ダイクロイック(220)は前記構造物(110)の表面(114)に前記検知レーザー光(148)の各々の一部を向けるように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
各ビームスプリッタ(212)は、前記複数のレーザー超音波チャネルのうち異なるレーザー超音波チャネル(210)で前記検知レーザー光(148)の異なる部分を反射するようにさらに構成されている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スキャン装置(142)は、前記構造物(110)の表面(114)で前記検知レーザー光(148)の残りの部分を反射するように構成されている第2のミラー(214)をさらに備えている、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記構造物(110)の表面(114)から前記検知レーザー光の反射光(170)を集光するために、各ダイクロイック(220)が前記構造物(110)の表面(114)から前記検知レーザー光の反射光(170)の異なる部分を受け取るように構成されている、
請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
複数の干渉計(150)をさらに備え、
各干渉計は前記複数のレーザー超音波チャネルのうち各レーザー超音波チャネル(210)から前記反射光(170)の各々の一部を受け取るように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記スキャン装置(142)は、前記複数のレーザー超音波チャネルのうち各々のレーザー超音波チャネル(210)のために、
第一の複数の光学ファイバーのうち各々の光学ファイバー(158)を介して前記レーザー超音波チャネル(210)に前記生成レーザー光(144)の異なる一部を向け、
第二の複数の光学ファイバーのうち各々の光学ファイバー(152)を介して前記レーザー超音波チャネル(210)に前記検知レーザー光(148)の異なる一部を向けるように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記スキャン装置(142)は前記レーザージェネレータ(154)及び前記レーザーディテクタ(156)を備えている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記スキャン装置(142)は、
第一光学ファイバー(158)を介して前記生成レーザー光(144)を受け取り、第二光学ファイバー(152)を介して前記検知レーザー光(148)を受け取り、
前記第一光学ファイバー(158)を介して前記複数のレーザー超音波チャネルのうち第一レーザー超音波チャネル(210)に前記生成レーザー光(144)を向け、
前記第二光学ファイバー(152)を介して第一超音波チャネル(210)に前記検知レーザー光(148)を向けるように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記構造物(110)の表面(114)に対して前記スキャン装置(142)を移動させるように構成されている移動装置(140)をさらに備えている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
第一の複数のビームスプリッタ(216)を介して、放出された生成レーザー光(144)から複数の生成レーザー光ビームを生成すること(512)と、
第二の複数のビームスプリッタ(212)を介して、放出された検知レーザー光(148)から複数の検知レーザー光ビームを生成すること(510)と、
複数のレーザー超音波チャネル(210)の各々に対して、(i)前記レーザー超音波チャネル(210)を介して、構造物(110)の表面(114)に、前記複数の生成レーザー光ビームのうちそれぞれ一つ、及び前記複数の検知レーザー光ビームのうちそれぞれ一つを向けること(516)と、(ii)前記レーザー超音波チャネル(210)を介して前記複数の検知レーザー光ビームのうちそれぞれ一つの、一つ以上の反射光(170)を集光すること(516)と、
前記反射光(170)に基づいて前記構造物(110)の内部の特性を評価すること(520)と、
を含む、方法。
【請求項15】
スキャン装置(142)内で前記複数の生成レーザー光ビーム及び前記複数の検知レーザー光ビームが生成される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
スキャン装置(142)の内部で前記生成レーザー光(144)又は前記検知レーザー光(148)のうち少なくとも一つが放出される、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記生成レーザー光(144)が光学ファイバー(158)を介して前記複数のレーザー超音波チャネルのうち内部のレーザー超音波チャネル(210)に向けられる、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記検知レーザー光(148)が光学ファイバー(152)を介して前記複数のレーザ超音波チャネルのうち内部のレーザー超音波チャネル(210)に向けられる、
請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のレーザー超音波チャネル(210)の各々に対して、前記複数の生成レーザー光ビームのうちそれぞれ一つが各々の第一光学ファイバー(158)を介して前記レーザー超音波チャネルに向けられ、前記複数の検知レーザー光ビームのうちそれぞれ一つが各々の第二光学ファイバー(152)を介して前記レーザー超音波チャネルに向けられる、
請求項14に記載の方法。
【請求項20】
スキャンヘッド(142)と、
前記スキャンヘッド(142)に結合されているロボットアーム(640)と、
を備え、
前記スキャンヘッド(142)は、
生成レーザー光(144)を放出するように構成されているレーザージェネレータ(154)と、
検知レーザー光(148)を放出するように構成されているレーザーディテクタ(156)と、
を備え、
前記スキャンヘッド(142)は、
前記生成レーザー光(144)及び前記検知レーザー光(148)を受け取り、
複数のレーザー超音波チャネル(210)を介して構造物(110)の表面(114)に前記生成レーザー光(144)及び前記検知レーザー光(148)を向け、
前記複数のレーザー超音波チャネル(210)を介して前記構造物(110)の表面(114)から前記検知レーザー光の反射光(170)を集光する、
レーザー超音波システム(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はレーザー超音波検査システムに関する。より詳細には、本開示は構成要素の内部構造を検査するための単一検知レーザー及び単一生成レーザーを用いる複数チャネル超音波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機、車両及びその他の機構を製造する際に、前記機構を形成するのに用いられる部品の検査は、所望の機能及び性能のために前記部品が適切なパラメータ及び特性を有しているか否かを決定するためにしばしば行われる。さらに、前記機構及び/又は部品は通常のメンテナンスの一部として検査されてもよい。当該所望の機能のために用いられることとなる部品の能力を変更することなく、部品の特性を評価するために非破壊検査が一般的に用いられる。非破壊検査の例は超音波検査、渦電流探傷試験、X線検査及び目視検査を含む。
【0003】
超音波検査は複合材料で形成される飛行機の部品の検査を実行するためにしばしば用いられる。超音波検査は検査対象を介して音響波(例えば音波)を透過させることと、前記音響波に対する応答を検知することと、を含む。前記応答は検査対象にムラや欠陥が存在するか否かを決定するために解析される。
【0004】
超音波検査は音響波を検査対象に送り、前記音響波に対する応答を検知するように構成されるトランスデューサーを用いて一般に実行される。通常、前記トランスデューサーは、検査対象と物理的に接触して設置されることにより検査対象の表面に結合される。多くの場合、水、油、水性ゲル又はいくつかの他の液体等の伝播物質が、トランスデューサーと検査対象の間の音響インピーダンスを削減するために用いられる。しかしながら、多くの場合、検査対象の表面にトランスデューサーを結合させることは難しく複雑であることがある。例えば、検査対象が一定ではない幾何学形状、平面ではない表面又は平面ではない他の特徴を有しているとき、前記表面に対して垂直、などの所望の方向に音波を検査対象に入射させるのを確実にするようにトランスデューサーを検査対象に結合させることは難しく複雑であることがある。
【0005】
レーザー超音波検査は検査対象との物理的な接触を要求することなく検査対象の検査を可能にする非破壊検査の一例である。通常、レーザー超音波検査は検査対象内で超音波を生成するためのレーザービーム及び検査対象についてのデータを生成するための超音波に対する応答を検知するための隔離された別のレーザービームを用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波検査システムと比較して、一般的にレーザー超音波検査システムは検査対象みたいする方向にはより感度が低い。しかしながら、レーザー超音波検査システムで、飛行機などの特定の機構で用いられる複合材料の検査を行うのにはかなりの時間がかかることがある。例えば、レーザー超音波検査システムのレーザーは概してデータ取得速度を制限し、その結果高価であり、遅く、かさばって検査システムを製造するのに適していない傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態はシステムである。前記システムはレーザージェネレータ、レーザーディテクタ、スキャン装置及びコントローラを含む。レーザージェネレータは生成レーザー光を放出するように構成されている。スキャン装置は、生成レーザー光及び検知レーザー光を受け取り、複数のレーザー超音波チャネルを介して構造物の表面に生成レーザー光及び検知レーザー光を向け、複数のレーザー超音波チャネルを介して前記構造物の表面から検知レーザー光の反射光を集光するように構成されている。コントローラはレーザージェネレータ、レーザーディテクタ及びスキャン装置と結合されている。前記コントローラは反射光に基づいて構造物の内部の特性を評価するように構成されている。
【0008】
本開示の別の実施形態は方法である。前記方法は、第一の複数のビームスプリッタを介して、放出される生成レーザー光からの複数の生成レーザー光ビームを生成することを含む。前記方法は、第二の複数のビームスプリッタを介して、放出される検知レーザー光からの複数の検知レーザー光ビームを生成することも含む。前記方法は、複数のレーザー超音波チャネルの各々のために、(i)レーザー超音波チャネルを介して複数の生成レーザー光ビームのうち各一つ及び複数の検知レーザー光ビームのうち各一つを構造物の表面上に向けることと、(ii)レーザー超音波チャネルを介して複数の検知レーザー光ビームのうちの各一つを集光することと、も含む。前記方法は反射光に基づいて構造物の内部の特徴を特徴とすることをさらに含む。
【0009】
本開示の別の実施形態はレーザー超音波システムである。前記レーザー超音波システムはスキャンヘッド及び前記スキャンヘッドに結合されたロボットアームを含む。前記スキャンヘッドは、生成レーザー光を放出するように構成されているレーザージェネレータと、検知レーザー光を放出するように構成されているレーザーディテクタと、を含む。スキャンヘッドは、複数のレーザー超音波チャネルを介して生成レーザー光及び検知レーザー光を構造物の表面上に向けるようにもまた構成されている。スキャンヘッドは複数のレーザー超音波チャネルを介して構造物の表面から検知レーザー光の反射光を集光するようにさらに構成されている。
【0010】
上記した特徴が詳細に理解できるように、例示的実施形態を参照することにより上で簡潔に要約されたより詳細な説明を行うために、上記した特徴のいくつかが添付の図に図示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に従った、テスト環境の一例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に従った、レーザー超音波システムのためのスキャンヘッドの一例を示している。
図3】一実施形態に従った、レーザー超音波システムのためのスキャンヘッドの別の例を示している。
図4】一実施形態に従った、レーザー超音波システムのためのスキャンヘッドの別の例を示している。
図5】一実施形態に従った、構造物を検査するためのレーザー超音波検査を実行するための方法のフローチャートである。
図6】一実施形態に従った、テスト環境の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示はレーザー超音波(LUT)システムを用いる様々な構成要素の超音波検査を提供し、複数のデータ取得チャネルと、単一生成レーザーと、単一検知レーザーと、を含む。ある実施形態で、LUTシステムは飛行機の製造中の高分子マトリックス複合材料の超音波検査のために用いられる。従来のレーザー超音波検査システムと比較して、複合材料のスキャンが信号品質を高め、検査コストを低く維持する場合、本明細書で説明されるLUTシステムは、超音波検査速度を大幅に増加させることができる。
【0013】
例えば、ある実施形態で、複数チャネルのうち、それぞれ、単一生成レーザー及び単一検知レーザーから生成レーザービーム及び検知レーザービームを共有する検査ヘッド又はスキャンヘッドを、LUTシステムは含んでいる。より小さなカスタムタイプのレーザーまたは半導体レーザーに対して、産業用レーザーの方が出力単位あたりのコストが概して低いため、チャネル当たりの資本コストを最小化することができる一方で、単一生成レーザー及び単一検知レーザーを用いることにより、レーザー超音波システムが高品質で、高出力のレーザーを用いることができる。特に、複数チャネルLUTシステムの場合、単一産業用レーザーが複数チャネル間に共有されることとなる場合、そのようなアプローチのための合計のシステムコストは、より小さなレーザーを用いるアプローチと類似する。
【0014】
さらに、産業用レーザーは、より小さなレーザーと比較してレーザー出力ユニットあたりのコストがより小さいため、複数チャネルを備えるLUTシステムでより大きな出力が利用可能になる。より大きな出力は、順番に、より高品質な信号(例えばより高い信号とノイズの比率(SN比))に変換されることとなる。より高品質な信号はよりよい入射角度交差及びより長い被写界深度に変換され、順番により広い考えられる用途範囲及びより高い製造スループットをもたらすことができる。
【0015】
図1は、ある実施形態に従って、テスト環境100の一例を示しているブロック図である。テスト環境100は、構造物110を検査するために用いられる、LUTシステム102を含んでいる。構造物110は一般にLUTシステム102を用いて検査される任意のもの又は対象を表す。例えば、構造物110は飛行機、車両、船又は他の構造物の材料又は構成要素を含んでいてもよい。
【0016】
LUTシステム102は、コントローラ130と、移動装置140と、(単一)レーザージェネレータ154と、(単一)レーザーディテクタ156と、一つ以上の光学ファイバー158と、一つ以上の光学ファイバー152と、一つ以上の干渉計150と、一つ以上の光学ファイバー160と、を含んでいる。コントローラ130は一般に、例えば、移動装置140と、レーザージェネレータ154と、レーザーディテクタ156と、干渉計150と、を含む、LUTシステム102の一つ以上の構成要素を制御する。
【0017】
コントローラ130はプロセッサ132と、メモリ134と、一つ以上の入出力(I/O)デバイス138と、を含んでいる。プロセッサ132は任意の電気回路であり、メモリ134と通信可能に結合し、LUTシステム102の演算を制御する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、application specific integrated circuits(ASIC)、application specific instruction set processor(ASIP)、及び/又はステートマシンのうち一つ又はそれらの組み合わせを含んでいるが、それらに限定されない。プロセッサ132は8ビットであってもよく、16ビットであってもよく、32ビットであってもよく、64ビットであってもよく、又は他の適切なアーキテクチャのものであってもよい。プロセッサ132は、数値演算及び論理演算を行うための演算装置(ALU)と、ALUにオペランドを供給しALU演算の結果を保存するプロセッサレジスタと、メモリから命令を取り出し、ALU、レジスタ及び他の構成要素の共同演算を命令することにより前記命令を実行する演算ユニットと、レジスタ及び他の構成要素を含んでいてもよい。プロセッサ132は情報を制御及び処理するためのソフトウェアを操作する他のハードウェアを含んでいてもよい。プロセッサ132は本明細書で記載のように任意の機能を実行するためにメモリ134に保存されたソフトウェアを実行する。プロセッサ132は情報(例えばプロセッサ132、メモリ134及び/又はI/Oデバイス138から受け取る情報)を処理することによりコントローラ130の操作及び管理を制御する。プロセッサ132は単一処理デバイスに限定されず、複数の処理デバイスを包含していてもよい。
【0018】
メモリ134は、永続的又は一時的に、データ、操作ソフトウェア又はプロセッサ132の他の情報を保存してもよい。メモリ134は情報の保存に適した揮発性又は不揮発性のローカル又は遠隔デバイスのうち任意の一つ又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。例えば、メモリ134は、random access memory(RAM)、read only memory(ROM)、磁気記憶装置、光学保存デバイス、又は他の任意の適切な情報保存デバイス又はこれらのデバイスの組み合わせを含んでいてもよい。ソフトウェアは、命令、ロジック又はコンピュータ可読記憶媒体に具現化されるコードの任意の適切なセットを表示する。例えば、ソフトウェアはメモリ134、ディスク、CD又はフラッシュドライブに具現化されてもよい。特定の実施形態では、ソフトウェアは本明細書で説明される一つ以上の機能を実行するためのプロセッサ132によって実行可能なアプリケーションを含んでいてもよい。この場合、メモリ134は、本明細書でより詳細に説明されるデータ取得システム172を含んでいてもよい。I/Oデバイス138は、一つ以上のキーパッド、キーボード、タッチセンサー式ディスプレイ画面、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、マイクロフォン、スピーカー、通信ポート又はそれらの任意の組み合わせを含んでいてもよいが、それらに限定されない。
【0019】
レーザージェネレータ154は生成レーザー光144を放出するように構成されている。特定の実施形態では、レーザージェネレータ154から放出される生成レーザー光144はレーザーパルスの形式である。しかしながら、レーザージェネレータ154が任意の幅、周波数及び強度で生成レーザー光144を放出することができることに留意すべきである。特定の実施形態で、レーザーディテクタ156は、超音波に伴う表面変位が起こると予想される構造物110の表面114に照射するための検知レーザー光148を生成する。レーザーディテクタ156はCWレーザー又は長パルスレーザーであってもよい。しかしながら、レーザーディテクタ154は任意の幅、周波数及び強度で検知レーザー光148を放出することができることに留意すべきである。特定の実施形態では、生成レーザー光144及び/又は検知レーザー光148の一つ以上のパラメータは構造物110を形成するのに用いられる材料112に基づいていてもよい。
【0020】
移動装置140は、(レーザージェネレータ154から放出される)生成レーザー光144及び(レーザーディテクタ156から放出される)検知レーザー光148を構造物110に位置させ集光させるように概して構成されている、スキャンヘッド142を含んでいる。スキャンヘッド142は一つ以上の光学ファイバー158、光学部品、又はそれらの組み合わせを介して生成レーザー光144を受け取ってもよい。スキャンヘッド142は光学スキャナ、ミラースキャナまたは他の種のスキャナを含んでいてもよい。一実施形態では、スキャンヘッド142を動かす移動装置140によってスキャンが得られる場合には、スキャンヘッド142はスキャナを含んでいなくてもよい。
【0021】
特定の実施形態で、LUTシステム102の一つ以上の構成要素が、スキャンヘッド142に取り付けられる、又は部分的に取り付けられる。一例として、スキャンヘッド142はレーザージェネレータ154及びレーザーディテクタ156を含んでいてもよい。別の例では、レーザージェネレータ154又はレーザーディテクタ156のうち少なくとも1つをスキャンヘッド142に部分的に取り付けてもよい。別の例では、レーザージェネレータ154は光学部品、光学ファイバー158、又はそれらの組み合わせを通って生成レーザー光144を受け取ってもよく、レーザーディテクタ156は、光学部品、光学ファイバー152又はそれらの結合を通って検知レーザー光148を受け取ってもよい。
【0022】
移動装置140は構造物110に対してスキャンヘッド142を動かしてもよい。例えば、生成レーザー光144及び検知レーザー光148が、スキャン経路146に沿って構造物110の上を移動できるようにするために、コントローラ130は移動装置140を制御してもよい。特定の実施形態で、移動装置140はロボット、ロボットアーム又はガントリーである。スキャンヘッド142を動かす移動装置140に加えて、又は代替として、スキャンヘッド142の所定の位置のための構造物110の領域を検査するために、スキャンヘッド142は生成レーザー光144及び/又は検知レーザー光148を構造物110の表面114に移動させてもよい。スキャンヘッド142がスキャンを実行することができない実施形態において、移動装置140の移動によってスキャンニングが得られてもよい。
【0023】
特定の実施形態で、生成レーザー光144は構造物110の表面114に吸収される。生成レーザー光144の吸収は超音波118を構造物110に送る突然の局所熱膨張を生成する。超音波118は、生成レーザー光144の入射角度に関わらず、構造物110の表面114に対して垂直である方向に送られてもよい。
【0024】
特定の実施形態で、検知レーザー光148は、超音波118に伴う表面変位が起こると予想される構造物110の表面114を照らす。(反射検知レーザー光170として示される)検知レーザー光148は、構造物110の表面114で反射される。反射検知レーザー光170は集光光学部品(不図示)のセットによって集光されてもよく、一つ以上の光学ファイバー160を介して一つ以上の干渉計150によって受け取られてもよい。干渉計150は超音波信号を取り出すために反射検知レーザー光170を復調してもよい。干渉計150は、例えば共焦点ファブリ・ペロー干渉計、フォトリフラクティブ干渉計及び繊維ベースのサニャック干渉計を含む、様々な種の干渉計を表している。干渉計150はスキャンヘッド142に組み込まれていてもよいし、スキャンヘッド142の外部にあってもよい。コントローラ130は、データ取得システム172を介して、欠陥が構造物110に存在するか否かを決定するために取り出した超音波信号を解析してもよい。
【0025】
図2は一実施形態に従って、LUTシステム102のスキャンヘッド242の一例を示している。スキャンヘッド242は図1に示されるスキャンヘッド142の実装形態の例を示している。この実施形態において、レーザージェネレータ154及びレーザーディテクタ156はスキャンヘッド242の内部に置かれている。別の実施形態において、レーザージェネレータ154又はレーザーディテクタ156のうち少なくとも一つはスキャンヘッド242に部分的に置かれている。さらに別の実施形態において、レーザージェネレータ154及びレーザーディテクタ156は移動ミラー、多関節ミラー、又は移動ミラー及び多関節ミラーの組み合わせを用いて光学的に結合されている。
【0026】
図示するように、スキャンヘッド242は複数チャネル210 1-Nを含んでいる。レーザージェネレータ154から放出される生成レーザー光144は(第一)LUTチャネル210-1に向けられる。(第一)生成ビームスプリッタ(GBS)216-1は生成レーザー光144―1として(第一)ダイクロイック220-1を通って構造物110の表面114に向かって最初の生成レーザー光144の出力の一部を反射し、生成レーザー光144の出力の残りを(第二)LUTチャネル210-2に向ける。(第二)GBS 216-2は生成レーザー光144―2として(第二)ダイクロイック220-2を通って構造物110の表面114に向かって生成レーザー光144の残りの出力の別の一部を反射し、生成レーザー光144の出力の残りが(第三)LUTチャネル(不図示)に向く。生成レーザー光144-Nとして(第N)ダイクロイック220-Nを介して構造物の表面114に向かって生成最終ミラー(GFM)218によって生成レーザー光が全反射される、最後の(第N)LUTチャネル210-Nに生成レーザー光144の残りの出力が到達するまで、このパターンは繰り返される。
【0027】
図2にも示されるように、レーザーディテクタ156から放出される検知レーザー光148は(第一)LUTチャネル210-1に向けられる。(第一)検知ビームスプリッタ(DBS)212-1は(第一)検知反射ミラー(DTM)222-1に向けて最初の検知レーザー光148を反射し、検知レーザー光148の残りの出力が(第二)LUTチャネル210-2に向く。DTM222-1はダイクロイック220-1に向けて最初の検知レーザー光148の出力の一部を反射し、順に、検知レーザー光148-1として構造物110の表面114に向けて最初の検知レーザー光148の出力の一部を反射する。
【0028】
(第二)DBS212-2は(第二)DTM 222-2に向けて残りの検知レーザー光148の出力の別の一部を反射し、検知レーザー光148の出力の残りは(第三)LUTチャネル(不図示)に向けられる。DTM222-2はダイクロイック220-2に向けて残りの検知レーザー光148の出力の他の一部を反射し、順に、検知レーザー光148-2として構造物110の表面114に向かって残りの検知レーザー光148の出力の他の一部が反射する。(第N)DTM222-Nに向かって検知レーザー光148が検知最終ミラー(DFM)214によって全反射される、最後の(第N)LUTチャネル210-Nに検知レーザー光148の残りの出力が到達するまで、このパターンは繰り返される。その際DTN 222-Nはダイクロイック220-Nに向かって検知レーザー光148の残りの出力を反射し、順に、検知レーザー光148―Nとして構造物110の表面114に向けて検知レーザー光148の残りの出力を反射する。
【0029】
検知レーザー光148 1-Nは反射検知レーザー光170 1-Nとして表面114によって各々散乱または反射される。反射検知レーザー光170 1-Nは、集光光学系(FO)224 1-Nに向けてダイクロイック220 1-Nによって各々反射される。FO 224 1-Nは光学ファイバー160 1-Nの内部に反射検知レーザー光170 1-Nを集光する。光学ファイバー160 1-Nは反射検知レーザー光170 1-Nを干渉計150 1-Nに各々送る。述べたように、干渉計150はスキャンヘッド242の内部、移動装置140の内部、又はテスト環境100の内部のどこかに置かれてもよい。
【0030】
図2で、全てのLUTチャネル210の生成レーザー光144及び検知レーザー光148は同一直線上にあってもよいし、同一直線上になくてもよい。一般に、移動装置140がスキャンヘッド142を移動させる場合、単一LUTチャネルを含むスキャンヘッドに対して、構造物110の検査速度がスキャンヘッド142内のLUTチャネル210の数に等しい倍数だけ増加するように、生成レーザー光144及び検知レーザー光148は構造物110の表面114で検査スポットのパターンを形成してもよい。
【0031】
特定の実施形態で、生成レーザー光144の出力及び検知レーザー光148の出力が全てのLUTチャネル210に対してほぼ同じになるように、複数のDBS212及び複数のGBS216は種々の特性を有している。一般に、生成レーザー光144及び検知レーザー光148は、構造物110の一つ以上の目標位置で検査スポットの目標の数を作るために任意の適切な方法で変化しうる。
【0032】
図3は、一実施形態に従って、LUTシステム102のスキャンヘッド342の一例を示している。スキャンヘッド342は図1に示されているスキャンヘッド142の実装形態の一例である。スキャンヘッド242と比較して、スキャンヘッド342はレーザージェネレータ154及びレーザーディテクタ156を含んでいない。すなわち、生成レーザー光144及び検知レーザー光148はスキャンヘッド342の内部で生成されない。
【0033】
例えば、図3に示すように、レーザージェネレータ154から放出される生成レーザー光144及びレーザーディテクタ156から放出される検知レーザー光148は光学ファイバー158及び152によってスキャンヘッド342に各々もたらされる。いったん生成レーザー光144及び検知レーザー光148が光学ファイバー158及び152を各々出ると、生成レーザー光144及び検知レーザー光148は図2に示されるパターンと同様のパターンに従う。図3が各光学ファイバー158及び152を介してスキャンヘッドにもたらされる生成レーザー光144及び検知レーザー光148の両方を図示する一方で、特定の実施形態では、生成レーザー光144又は検知レーザー光148のうち少なくとも1つが各々の光学ファイバーによってスキャンヘッド342にもたらされてもよいことに留意すべきである。
【0034】
図4は、一実施形態に従って、LUTシステム102のスキャンヘッド442の一例を示している。スキャンヘッド442は図1に示されているスキャンヘッド142の実装形態の一例である。スキャンヘッド242と比較して、スキャンヘッド442はレーザージェネレータ154及びレーザーディテクタ156を含まない。すなわち、生成レーザー光144及び検知レーザー光148はスキャンヘッド342の内部で生成されない。例えば、図4に示されるように、レーザージェネレータ154から放出される生成レーザー光144又はレーザーディテクタ156から放出される検知レーザー光148のうち少なくとも1つは、スキャンヘッド442の中のLUTチャネル210の数に等しいいくつかの光学ファイバーの中に分割されて入射してもよい。
【0035】
特に、単一レーザージェネレータ154からの生成レーザー光144は各光学ファイバー158 1-Nを介して複数チャネル210 1―Nのそれぞれに分配される。同様に、単一レーザーディテクタ165からの検知レーザー光148は各光学ファイバー152 1-Nを介して複数チャネル210 1-Nのそれぞれに分配される。当該実施形態において、各チャネル210は他のチャネル210から光学的に結合されていない。
【0036】
図2、3及び4で説明されるスキャンヘッドの実施形態は、LUTシステムの内部で用いられ得るスキャンヘッド142の参考例として示され、スキャンヘッド142が本明細書で説明される機能と整合する種々の構成を有してもよいことに留意すべきである。例えば、特定の実施形態において、単一ミラー及び単一ダイクロイック上の予め定められたパターンで、光学ファイバーの束が生成レーザー光144、検知レーザー光148又はその両方を導入してもよい。別の例として、特定の実施形態では、スキャンヘッド142の形状、スキャンヘッド142の光学部品の構成またはその両方は、単に平坦であるよりもより複雑となる表面を有している構造物110を検査するために適合されていてもよい。
【0037】
図5は、一実施形態に従った、構造物(例えば構造物110)を検査するためのレーザー超音波検査を行うための方法500のフローチャートである。方法500は、移動装置140(例えばロボット又はガントリー)が構造物110に関してスキャンヘッド142を置く、ブロック502に進む。移動装置140が所望の位置をとる時、(データ取得システム172を含む)レーザー超音波測定がトリガーされる(ブロック504)。ブロック506及び508で、レーザージェネレータ154及びレーザーディテクタ156は各生成レーザー光144及び検知レーザー光148を放出する。
【0038】
ブロック510及び512で、生成レーザー光144及び検知レーザー光148のビームはいくつかの生成レーザー光ビーム及びいくつかの検知レーザー光ビームに各々分かれる。前記レーザー光ビームの数及び検知レーザー光ビームの数の各々はLUTチャネル210の数に一致してもよい。ブロック514では、生成レーザー光ビーム及び検知レーザー光ビームの各組が各LUTチャネル210に向けられる。
【0039】
ブロック516で、各LUTチャネル210は構造物110の表面114に前記生成レーザー光ビーム及び検知レーザー光ビームを向け、構造物110の表面114によって反射された検知レーザー光ビームを集光する。ブロック518で、各LUTチャネル210は集光された検知レーザー光ビームを各対応の干渉計150に向ける。各干渉計150は集光された光から超音波の情報を取り出し、データ取得システム172に前記超音波の情報を送る(ブロック520)。ブロック522で、データ取得システム172のデジタル化されたデータは、現在の検査スポットのためのデータを現在の構造物110の合計検査データに追加するデータ処理システムに送られる。検査が完了していない場合、方法500は移動装置140を次の検査位置に置くために、ブロック502に進む。
【0040】
図6は、一実施形態に従って、テスト環境600の一例を示している。テスト環境600は図1に示されているテスト環境600の実装形態の例である。本実装形態では、テスト環境600は、構造物110に関してスキャンヘッド142を動かすのに用いられる、ロボット640を含んでいる。ロボット640は移動装置140の実装形態の一例である。スキャンヘッド142は一般に、例えばスキャンヘッド242、342及び442を含む、本明細書で説明される任意のスキャンヘッドを表す。
【0041】
以下の番号付き条項に関して、本開示の少なくともいくつかの態様のさらなる理解が提供される。
【0042】
条項1:生成レーザー光を放出するように構成されているレーザージェネレータと、検知レーザー光を放出するように構成されているレーザーディテクタと、前記生成レーザー光及び前記検知レーザー光を受け取り、複数のレーザー超音波チャネルを介して構造物の表面に前記生成レーザー光及び前記検知レーザー光を向け、前記複数のレーザー超音波チャネルを介して前記構造物の表面から前記検知レーザー光の反射光を集光するように構成されているスキャン装置と、前記レーザージェネレータと、前記レーザーディテクタと、前記スキャン装置と、に結合されているコントローラと、を備え、前記コントローラは前記反射光に基づいて前記構造物の内部の特性を評価するように構成されている、システム。
【0043】
条項2:前記スキャン装置は複数のビームスプリッタ及び複数のダイクロイックを備え、前記生成レーザー光を前記構造物の表面に向けるために、各々のビームスプリッタは前記複数のダイクロイックのうち各々のダイクロイックを介して前記構造物の表面で前記生成レーザー光の各々の一部を反射するように構成されている、条項1のシステム。
【0044】
条項3:各ビームスプリッタは、前記複数のレーザー超音波チャネルのうち異なるレーザー超音波チャネルで前記生成レーザー光の異なる一部を反射するように構成されている、条項2のシステム。
【0045】
条項4:前記スキャン装置は前記構造物の表面で前記生成レーザー光の残りの一部を反射するように構成されているミラーをさらに備えている、条項1~3のうち1項のシステム。
【0046】
条項5:前記スキャン装置は、複数のビームスプリッタと、複数の第一ミラーと、複数のダイクロイックと、を備え、前記構造物の表面に前記検知レーザー光を向けるために、各ビームスプリッタは前記複数の第一ミラーのうちそれぞれ一つを介して前記複数のダイクロイックのうち各々のダイクロイックで前記検知レーザー光の各々の一部を反射するように構成され、各々の各ダイクロイックは前記構造物の表面に前記検知レーザー光の各々の一部を向けるように構成されている、条項1~4のうち1項のシステム。
【0047】
条項6:各ビームスプリッタは、前記複数のレーザー超音波チャネルのうち異なるレーザー超音波チャネルで前記検知レーザー光の異なる部分を反射するようにさらに構成されている、条項5のシステム。
【0048】
条項7:前記スキャン装置は、前記構造物の表面で前記検知レーザー光の残りの部分を反射するように構成されている第2のミラーをさらに備えている、条項5又は6のシステム。
【0049】
条項8:前記構造物の表面から前記検知レーザー光の反射光を集光するために、各ダイクロイックが前記構造物の表面から前記検知レーザー光の反射光の異なる部分を受け取るように構成されている、条項5~7のうち1項のシステム。
【0050】
条項9:複数の干渉計をさらに備え、各干渉計は前記複数のレーザー超音波チャネルのうち各レーザー超音波チャネルから前記反射光の各々の一部を受け取るように構成されている、条項1~8のうち1項のシステム。
【0051】
条項10:前記スキャン装置は、前記複数のレーザー超音波チャネルのうち各々のレーザー超音波チャネルのために、第一の複数の光学ファイバーのうち各々の光学ファイバーを介して前記レーザー超音波チャネルに前記生成レーザー光の異なる一部を向け、第二の複数の光学ファイバーのうち各々の光学ファイバーを介して前記レーザー超音波チャネルに前記検知レーザー光の異なる一部を向けるように構成されている、条項1~9のうち1項のシステム。
【0052】
条項11:前記スキャン装置は前記レーザージェネレータ及び前記レーザーディテクタを備えている、条項1~10ののうち1項のシステム。
【0053】
条項12:前記スキャン装置は、第一光学ファイバーを介して前記生成レーザー光を受け取り、第二光学ファイバーを介して前記検知レーザー光を受け取り、前記第一光学ファイバーを介して前記複数のレーザー超音波チャネルのうち第一レーザー超音波チャネルに前記生成レーザー光を向け、前記第二光学ファイバーを介して第一超音波チャネルに前記検知レーザー光を向けるように構成されている、条項1~10のうち1項のシステム。
【0054】
条項13:前記構造物の表面に対して前記スキャン装置を移動させるように構成されている移動装置をさらに備えている、条項1~12のうち1項のシステム。
【0055】
条項14:第一の複数のビームスプリッタを介して、放出された生成レーザー光から複数の生成レーザー光ビームを生成することと、第二の複数のビームスプリッタを介して、放出された検知レーザー光から複数の検知レーザー光ビームを生成することと、複数のレーザー超音波チャネルの各々に対して、(i)前記レーザー超音波チャネルを介して、構造物の表面に、前記複数の生成レーザー光ビームのうちそれぞれ一つ、及び前記複数の検知レーザー光ビームのうちそれぞれ一つを向けることと、(ii)前記レーザー超音波チャネルを介して前記複数の検知レーザー光ビームのうちそれぞれ一つの、一つ以上の反射光を集光することと、前記反射光に基づいて前記構造物の内部の特性を評価することと、を含む、方法。
【0056】
条項15:スキャン装置内で前記複数の生成レーザー光ビーム及び前記複数の検知レーザー光ビームが生成される、条項14の方法。
【0057】
条項16:スキャン装置の内部で前記生成レーザー光又は前記検知レーザー光のうち少なくとも一つが放出される、条項14又は15の方法。
【0058】
条項17:前記生成レーザー光が光学ファイバーを介して前記複数のレーザー超音波チャネルのうち内部のレーザー超音波チャネルに向けられる、条項14~16のうち1項の方法。
【0059】
条項18:前記検知レーザー光が光学ファイバーを介して前記複数の超音波チャネルのうち内部のレーザー超音波チャネルに向けられる、条項14~17のうち1項の方法。
【0060】
条項19:前記複数のレーザー超音波チャネルの各々に対して、前記複数の生成レーザー光ビームのうちそれぞれ一つが各々の第一光学ファイバーを介して前記レーザー超音波チャネルに向けられ、前記複数の検知レーザー光ビームのうちそれぞれ一つが各々の第二光学ファイバーを介して前記レーザー超音波チャネルに向けられる、条項14~16のうち1項の方法。
【0061】
条項20:スキャンヘッドと、前記スキャンヘッドに結合されているロボットアームと、を備え、前記スキャンヘッドは、生成レーザー光を放出するように構成されているレーザージェネレータと、検知レーザー光を放出するように構成されているレーザーディテクタと、を備え、前記スキャンヘッドは、前記生成レーザー光及び前記検知レーザー光を受け取り、複数のレーザー超音波チャネルを介して構造物の表面に前記生成レーザー光及び前記検知レーザー光を向け、前記複数のレーザー超音波チャネルを介して前記構造物の表面から前記検知レーザー光の反射光を集光する、レーザー超音波システム。
【0062】
現在の開示では、参照が様々な態様に対してなされている。しかしながら、本開示が、特定の説明された態様に限定されないことが理解されるはずである。代わりに、様々な態様に関連していようとなかろうと、以下の特徴及び要素の任意の組み合わせが、本明細書で提供される教示を実装及び実施するために検討される。さらに、前記態様の要素が「A及びBのうち少なくとも1つ」という形式で説明される場合、要素Aのみを含む態様、要素Bのみを含む態様、及び要素A及びBを含む態様が各々検討されることが理解されることとなる。さらに、いくつかの態様が他の可能な解決策及び/又は先行技術を超えた利点を獲得するかもしれないが、特定の利点が所与の態様によって得られるか否かは本開示に限定されない。それゆえに、本明細書で開示される態様、特徴、側面及び利点は単に例示的であり、特許請求の範囲で明確に記載されている場合を除いて添付の特許請求の範囲の検討された要素または限定ではない。同様に、「本発明」への言及は本明細書で開示されている任意の発明の主題を一般化するものとして構成されてはならず、特許請求の範囲で明確に記載されている場合を除いて添付の特許請求の範囲の要素または限定であると考えられてはならない。
【0063】
当業者によって認められるように、本明細書で説明される態様はシステム、方法又はコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。従って、態様は完全にハードウェアの態様、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)完全にソフトウェアの態様又は「回路」、「モジュール」又は「システム」として本明細書で全て一般に言及され得るソフトウェアまたはハードウェアの態様を組み合わせる態様の方式をとってもよい。さらに、本明細書で説明される態様は、それ自体に具現化されるコンピュータ可読プログラムコードを有する一つ以上のコンピュータ可読ストレージ媒体で具現化されるコンピュータプログラム製品の方式をとっていてもよい。
【0064】
コンピュータ可読ストレージ媒体に具現化されたプログラムコードは、ワイヤレス、ワイヤーライン、光学ファイバーケーブル、RFなど、又は任意の前述のものの適切な組み合わせを含むが、これに限定されず、任意の適切な媒体を用いて送信されてもよい。
【0065】
本開示の態様のための操作を実行するコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向型プログラミング言語、又は「C」プログラミング言語若しくは類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、一つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されてもよい。前記プログラムコードはユーザのコンピュータで完全に実行してもよく、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして部分的に、及びリモートコンピュータで部分的に実行しても良く、又はリモートコンピュータまたはサーバで完全に実行してもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されてもよく、前記接続は(例えばインターネットサービスプロバイダを用いるインターネットを通じて)外部コンピュータに対してなされる。
【0066】
本開示の態様は、本開示の態様に従った方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャートのイラスト及び/又はブロック図に関して本明細書で説明される。フローチャートのイラスト及び/又はブロック図の各ブロック、及びフローチャートのイラスト及び/又はブロック図中のブロックの組み合わせが、コンピュータプログラムの命令によって実行されうることを理解することとなる。コンピュータのプロセッサ又は他のプログラマブルなデータ処理装置を介して実行される前記命令がフローチャートのイラスト及び/又はブロック図内のブロックで特定される機能/行為を実装するための手段を作成するように、これらのコンピュータプログラムの命令は汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は装置を生産するための他のプログラマブルなデータ処理装置に提供されることがある。
【0067】
コンピュータ可読媒体に保存されている命令が、フローチャートのイラスト及び/又はブロック図のブロックで特定されている機能/行為を実装する命令を含む製造品(article of manufacture)を製造するように、これらのコンピュータプログラムの命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスが特定の方法で作動するように命令することができるコンピュータ可読媒体にも保存されてもよい。
【0068】
コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイスで実行される命令が、フローチャートのイラスト及び/又はブロック図のブロックで特定される機能/行為を実装するためのプロセスを提供するように、コンピュータプログラムの命令が、コンピュータで実装されるプロセスを生み出すためのコンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で実行される一連の操作ステップを引き起こす、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイス上でもまたロードされてもよい。
【0069】
図中のフローチャートのイラスト及びブロック図が、本開示の様々な態様に従って、構造と、機能と、システム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態の操作と、を示す。この点について、フローチャートのイラスト及びブロック図の各ブロックは、特定の論理機能を実装するための一つ以上の実行可能な命令を備えているモジュール、セグメント又はコードの一部を表してもよい。いくつかの代替の実装形態において、ブロックで注目される機能は図で注目される順番から外れて実行されてもよいことに留意すべきである。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、関与する機能に依存して、時折反対の順番又は順番から外れて実行されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャートのイラストの各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートのイラスト中のブロックの組み合わせが、
特定の機能または行為を実行する専用ハードウェアベースシステム、又は専用ハードウェア及びコンピュータの命令の組み合わせによって実装されてもよいことに留意すべきである。
【0070】
前述のものが本開示の態様を対象にしている一方で、本開示の他の態様又は別の態様がその基本的な範囲から離れることなく考案されてもよく、前記その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】