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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144129
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】クリップシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20241003BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016200
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】63/493,100
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勉
(72)【発明者】
【氏名】常藤 達礼
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD19
4C160NN03
4C160NN04
4C160NN09
4C160NN11
(57)【要約】
【課題】パック開封後におけるカートリッジシステムを用いてクリップユニットをアプリケータに装填する作業が少ないクリップシステムを提供する。
【解決手段】クリップシステムは、クリップユニットを収容したカートリッジシステムと、前記クリップユニットを装填可能なアプリケータと、前記カートリッジシステムと前記アプリケータとがともに包装されたパックと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリップユニットを収容したカートリッジシステムと、
前記クリップユニットを装填可能なアプリケータと、
前記カートリッジシステムと前記アプリケータとがともに包装されたパックと、
を備える、
クリップシステム。
【請求項2】
前記カートリッジシステムと前記アプリケータとは、接続された状態で前記パックに包装されている、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項3】
前記カートリッジシステムと前記アプリケータとは、分離された状態で前記パックに包装されている、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項4】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータに前記クリップユニットを装填可能に前記アプリケータとの接続を維持する固定手段を有する、
請求項1に記載のクリップシステム。
【請求項5】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部を有し、
前記固定手段は、前記シース接続部を挟む圧搾部である、
請求項4に記載のクリップシステム。
【請求項6】
前記カートリッジシステムは、
前記圧搾部と連結されており、前記クリップユニットを収容するケース本体と、
前記圧搾部から延びるはね状部材であり、前記ケース本体の高さ方向において前記ケース本体から離れた位置に配される保持翼と、
を有し、
前記高さ方向において前記保持翼が前記ケース本体に近づく方向に移動することによって、前記高さ方向において前記圧搾部が前記シース接続部に挿入された前記シースから離れる方向に移動し、
前記圧搾部は、前記高さ方向において前記シースから離れる方向に移動することによって、前記カートリッジシステムと前記アプリケータとの前記接続を解除する、
請求項5に記載のクリップシステム。
【請求項7】
前記保持翼は、前記圧搾部から前記ケース本体の先端側に延び、
前記カートリッジシステムは、前記高さ方向において前記ケース本体と前記保持翼の間に設けられる凸部を有し、
前記高さ方向において前記保持翼が前記ケース本体に近づく方向に移動することによって、前記凸部を支点として、前記高さ方向において前記圧搾部が前記シース接続部に挿入された前記シースから離れる方向に移動する、
請求項6に記載のクリップシステム。
【請求項8】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部と、前記シース接続部を挟む圧搾部と、を有し、
前記固定手段は、少なくとも前記圧搾部を内包できる外側ケースである、
請求項4に記載のクリップシステム。
【請求項9】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部を有し、
前記固定手段は、前記シース接続部に設けられた屈曲部である、
請求項4に記載のクリップシステム。
【請求項10】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部と、前記シース接続部を挟む圧搾部と、を有し、
前記固定手段は、前記圧搾部を挟み込んで固定するロック機構である、
請求項4に記載のクリップシステム。
【請求項11】
クリップユニットを収容したカートリッジシステムと、
前記クリップユニットを装填可能なアプリケータと、
を備え、
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータに前記クリップユニットを装填可能に前記アプリケータとの接続を維持する固定手段を有する、
クリップシステム。
【請求項12】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部を有し、
前記固定手段は、前記シース接続部を挟む圧搾部である、
請求項11に記載のクリップシステム。
【請求項13】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部と、前記シース接続部を挟む圧搾部と、を有し、
前記固定手段は、少なくとも前記圧搾部を内包できる外側ケースである、
請求項11に記載のクリップシステム。
【請求項14】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部を有し、
前記固定手段は、前記シース接続部に設けられた屈曲部である、
請求項11に記載のクリップシステム。
【請求項15】
前記カートリッジシステムは、前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部と、前記シース接続部を挟む圧搾部と、を有し、
前記固定手段は、前記圧搾部を挟み込んで固定するロック機構である、
請求項11に記載のクリップシステム。
【請求項16】
クリップユニットを収容したカートリッジを用いて前記クリップユニットをアプリケータに装填する装填方法であって、
前記カートリッジと前記アプリケータとの接続が維持されるように固定された前記カートリッジおよび前記アプリケータをパックから開封し、
前記クリップユニットを前記アプリケータに装填し、
前記カートリッジと前記アプリケータとの固定を解除する、
装填方法。
【請求項17】
前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部を挟む圧搾部を手で広げることにより、前記カートリッジと前記アプリケータとの固定を解除する、
請求項16に記載の装填方法。
【請求項18】
前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部から前記シースを引き抜くことにより、前記カートリッジと前記アプリケータとの固定を解除する、
請求項16に記載の装填方法。
【請求項19】
前記アプリケータのシースが挿入されるシース接続部を挟む圧搾部を挟み込んで固定するロック機構を取り外すことにより、前記カートリッジと前記アプリケータとの固定を解除する、
請求項16に記載の装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップシステムに関する。この出願は、2023年03月30日に出願された米国仮出願第63/493,100号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的治療において、処置後の切除部等を結紮して止血等が可能なクリップユニットが使用されている。クリップユニットは、切除部等を挟み込むクリップと、クリップを収容して閉状態にロックする押さえ管等を備えている。クリップユニットは、内視鏡のチャンネルを挿通可能なアプリケータ(導入装置)によって処置位置に導入される。
【0003】
特許文献1には、クリップユニットをアプリケータに再装填(リロード)することができるカートリッジシステムが記載されている。使用者は、カートリッジシステムを用いて、クリップユニットを再装填(リロード)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0112359号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しがしながら、再装填可能なクリップユニットを格納するカートリッジシステムとアプリケータとは別々のパックに包装されている。そのため、使用者は、アプリケータとカートリッジシステムとを開封して、アプリケータとカートリッジシステムとを接続して、カートリッジシステムを用いてクリップユニットをアプリケータに装填する作業が必要となる。ここで、パック開封後におけるカートリッジシステムを用いてクリップユニットをアプリケータに装填する作業を削減して、アプリケータに装填されたクリップユニットをできるだけ早く利用可能なクリップシステムが求められている。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、パック開封後におけるカートリッジシステムを用いてクリップユニットをアプリケータに装填する作業が少ないクリップシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るクリップシステムは、クリップユニットを収容したカートリッジシステムと、前記クリップユニットを装填可能なアプリケータと、前記カートリッジシステムと前記アプリケータとがともに包装されたパックと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のクリップシステムは、パック開封後におけるカートリッジシステムを用いてクリップユニットをアプリケータに装填する作業が少なく、アプリケータに装填されたクリップユニットをできるだけ早く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一実施形態に係るクリップシステムを示す図である。
図2】同クリップシステムの別の態様を示す図である。
図3】同クリップシステムのクリップ導入装置の斜視図である。
図4】同クリップシステムにおけるカートリッジシステムのクリップユニットの斜視図である。
図5】押さえ管を透過表示させた同クリップユニットの斜視図である。
図6】同クリップユニットのカートリッジの斜視図である。
図7】同カートリッジの斜視図である。
図8】同カートリッジの断面図である。
図9】同カートリッジの圧搾部を示す図である。
図10】同圧搾部を示す図である。
図11】同カートリッジのシース接続部を示す図である。
図12】同シース接続部を示す図である。
図13】同カートリッジの規制部材の斜視図である。
図14】一対のアームに把持される同規制部材の斜視図である。
図15】同規制部材の平面図である。
図16】第一領域において把持された同規制部材の平面図である。
図17】開封された滅菌パックを示す図である。
図18】使用者によって保持されるクリップ導入装置を示す図である。
図19】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図20】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図21】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図22】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図23】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図24】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図25】同カートリッジを用いて同クリップユニットを同クリップ導入装置に装填する方法を説明する図である。
図26】同クリップ導入装置のシースが引き抜かれる同カートリッジを示す図である。
図27】同クリップ導入装置のシースが引き抜かれる同カートリッジを示す図である。
図28】体内に導入された同クリップユニットを示す図である。
図29】一対のアームを閉じた同クリップユニットを示す図である。
図30】クリップがロックされた同クリップユニットを示す図である。
図31】同クリップが分離した同クリップユニットを示す図である。
図32】破断後の同クリップユニットを示す図である。
図33】同圧搾部の変形例を示す図である。
図34】同圧搾部の他の変形例を示す図である。
図35】第二実施形態に係るカートリッジシステムを示す図である。
図36】同カートリッジシステムにおける外側ケースに収容されたケースを示す図である。
図37図36に示すカートリッジを基端側から見た図である。
図38】同外側ケースから分離する同ケースを示す図である。
図39図38に示す同カートリッジを基端側から見た図である。
図40】シースが引き抜かれた同ケースを示す図である。
図41】同シースを引き抜く手順を説明する図である。
図42】同シースを引き抜く手順を説明する図である。
図43】同シースを引き抜く手順を説明する図である。
図44】第三実施形態に係るカートリッジシステムを示す図である。
図45】幅方向の一方から見たカートリッジを示す図である。
図46】同幅方向の他方から見た同カートリッジを示す図である。
図47】シース挿入経路にシースが挿入された同カートリッジを示す図である。
図48】同シースが引き抜かれるケースを示す図である。
図49】同シースが引き抜かれる同ケースを示す図である。
図50】同シースが引き抜かれる同ケースを示す図である。
図51】ケース連結部の変形例を示す図である。
図52図51の矢印から見た同ケース連結部を示す図である。
図53図51の矢印から見た同ケース連結部を示す図である。
図54】同シース挿入経路の変形例を示す図である。
図55】同シース挿入経路の他の変形例を示す図である。
図56】同シース挿入経路の他の変形例を示す図である。
図57】同ケース連結部の変形例を示す図である。
図58】同ケース連結部の同変形例を示す図である。
図59】同ケース連結部の同変形例を示す図である。
図60】同ケース連結部の他の変形例を示す図である。
図61】同シースの変形例を示す図である。
図62】同シースの同変形例が挿入された同ケース連結部の同変形例を示す図である。
図63】同圧搾部の変形例を示す図である。
図64】同圧搾部の同変形例を示す図である。
図65】同圧搾部の同変形例を示す図である。
図66】同圧搾部の同変形例を示す図である。
図67】同圧搾部の同変形例を示す図である。
図68】第四実施形態に係るカートリッジシステムを示す図である。
図69】ロック機構が圧搾部に装着されたカートリッジを示す図である。
図70】シースを同カートリッジから抜けないように固定する方法を説明する図である。
図71】同方法を説明する図である。
図72】同方法を説明する図である。
図73】同方法を説明する図である。
図74】同圧搾部の変形例を示す図である。
図75】同ロック機構を同ケースから分離する方法を説明する図である。
図76】同方法を説明する図である。
図77】同カートリッジを同シースから取り外す方法を説明する図である。
図78】同方法を説明する図である。
図79】同ロック機構の変形例を示す図である。
図80】同ロック機構の同変形例を示す図である。
図81】同ロック機構の他の変形例を示す図である。
図82】同ロック機構の同変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1から図32を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るクリップシステム500を示す図である。
クリップシステム500は、カートリッジシステム100と、クリップ導入装置(アプリケータ)200と、滅菌パック400と、を備える。カートリッジシステム100とクリップ導入装置200とは、ともに滅菌パック400に梱包されている。カートリッジシステム100は、クリップ導入装置200に接続された状態で滅菌パック400に梱包されている。具体的には、カートリッジシステム100は、クリップ導入装置200にクリップユニット1を装填可能な状態で、クリップ導入装置200に接続されている。
【0012】
図2は、クリップシステム500の別の態様を示す図である。
カートリッジシステム100は、クリップ導入装置200に接続されていない状態で滅菌パック400に梱包されていてもよい。
【0013】
カートリッジシステム100は、クリップユニット1と、クリップユニット1を収容するカートリッジ5と、を有する。カートリッジシステム100は、クリップ導入装置200にクリップユニット1を容易に装填するための支援システムである。クリップ導入装置200およびクリップ導入装置200に装填されたクリップユニット1を、クリップデバイス300ともいう(図28参照)。
【0014】
[クリップ導入装置200]
図3は、クリップ導入装置200の斜視図である。
クリップ導入装置(アプリケータ)200は、シース220と、操作ワイヤ230と、操作部240と、を備える。クリップ導入装置200は、例えば内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通され、内視鏡と組み合わせて使用される。そのため、シース220は、内視鏡の処置具挿通チャンネルの長さよりも十分に長く形成されている。シース220は、可撓性を有しており、内視鏡の挿入部の湾曲に合わせて湾曲する。
【0015】
シース220は、先端チップ221と、先端側コイル222と、手元側コイル224と、を備え、全体として細長い管状に形成されている。先端側コイル222は、シース220の先端部側に配置されている。先端チップ221は、先端側コイル222の先端部に配置されている。
【0016】
操作ワイヤ(動力伝達部)230は、図3に示すように、クリップユニット1に接続される矢尻フック部(接続部)231と、矢尻フック部231を操作するワイヤ232と、を備える。
【0017】
矢尻フック部231は、クリップユニット1と係合する略円錐形状の係合部231aと、係合部231aの基端に設けられたワイヤ接続部231bと、を備える。矢尻フック部231は、例えばステンレス鋼材等の金属材により形成されている。
【0018】
ワイヤ232は、シース220に対して進退自在に挿通されている。ワイヤ232の先端部は、ワイヤ接続部231bの基端に例えば溶接によって固定されている。
【0019】
操作部240は、図3に示すように、操作部本体241と、スライダ242と、サムリング248と、を備える。操作部本体241と、スライダ242と、サムリング248とは、例えば樹脂材によって射出成型されている。操作部本体241は、スリット部241aと、先端側に回転グリップ241bと、を備える。スリット部241aは、スライダ242を進退可能に支持する。
【0020】
スライダ242は、操作部本体241の長手軸方向に進退可能に取り付けられており、ワイヤ232の基端が取り付けられている。スライダ242が操作部本体241に沿って進退することで、ワイヤ232がシース220に対して進退し、矢尻フック部231が進退する。
【0021】
サムリング248は、操作部本体241の基端に、操作部本体241の長手軸周りに回転可能に取り付けられている。
【0022】
[クリップユニット1]
図4は、カートリッジシステム100のクリップユニット1の斜視図である。図5は、押さえ管3を透過表示させたクリップユニット1の斜視図である。クリップユニット1は、クリップ2と、締付部材としての押さえ管3と、連結部材4と、を備える。以降の説明において、クリップユニット1の長手方向Aにおけるクリップ2側をクリップユニットの先端側(遠位側)A1とし、連結部材4側をクリップユニット1の基端側(近位側)A2とする。
【0023】
クリップ2は、例えばステンレス鋼材等による板バネ材等の金属製板材を中央部で折り曲げて形成されている。クリップ2は、開閉可能な一対のアーム21と、一対のアーム21を接続する連結部22と、を有する。
【0024】
一対のアーム21は、第一アーム211と第二アーム212とを有する。第一アーム211と第二アーム212とは、クリップユニット1の長手方向Aにおける中心軸線O1に対して対称に配置される。一対のアーム21の先端には、互いに対向する組織把持部23が形成されている。組織把持部23は、一対のアーム21の先端を内側に向かって折り曲げられて形成されている。
【0025】
一対のアーム21の基端には、中心軸線O1に垂直な方向に突出する係合部24が形成されている。係合部24の組織把持部23側は鋭角な斜面、係合部24の連結部22側は鈍角な斜面に形成されている。
【0026】
連結部22は、折り曲げられてU字状に形成されており、連結部材4と連結される。連結部22は一対のアーム21が開状態になるように付勢されている。そのため、クリップ2の一対のアーム21は開閉方向Pに対する自己拡開力を有する。
【0027】
押さえ管3は、筒状に形成された押さえ管本体30と、突没ウイング31と、を有している。押さえ管本体30は、高剛性の樹脂材を射出成形することにより形成されている。また、押さえ管本体30は、高剛性の樹脂材ではなく、金属によって形成されていてもよい。突没ウイング31は、クリップ2よりも柔らかい材質、例えば、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)等の適度な弾性を有する高剛性の樹脂材を射出成形することにより形成されている。
【0028】
突没ウイング31は、押さえ管本体30の外周面30aに対して突没する一対の凸部である。突没ウイング31は、中心軸線O1を挟んで両側に設けられている。突没ウイング31は、外周面30aに対して径方向の外側に突出する突状態を基本姿勢とする。突没ウイング31は、径方向の外側から内側に向かう力を受けることで、外周面30aに対して没入する没状態となる。上記の力が解除されることで、突没ウイング31は没状態から突状態に戻る。
【0029】
連結部材4は、クリップ2の連結部22に連結される。また、連結部材4は、シース220内を挿通する矢尻フック部231に連結される。すなわち、連結部材4は、クリップ2と矢尻フック部231とを連結する。連結部材4は、押さえ管3の内部空間に挿入される挿入部41と、挿入部41の基端に設けられた連結部42と、を備える。
【0030】
挿入部41は、クリップ2の連結部22に係合(連結)される係合部である。挿入部41は、先端側A1に設けられたフック41fと、フック41fの基端側A2に設けられた破断部41bと、を有する。フック41fは、中心軸線O1と垂直な方向に延びるフックであり、略円柱棒状に形成されている。フック41fには、クリップ2の連結部22が引っ掛けられる。
【0031】
破断部41bは、連結部22が基端側A2に牽引されることによってフック41fに対して例えば20N(ニュートン)から90Nの引っ張りによる破断力量が加えられたときに破断する。なお、破断部41bは、クリップ2の連結部22と連結部材4のフック41fとの連結を解除する機構を有していればよい。例えば、破断部41bは、破断することなく変形(塑性変形または弾性変形)することによって、連結部22とフック41fとの連結を解除する機構であってもよい。
【0032】
連結部42は、クリップ導入装置200の矢尻フック部231が係合(連結)される係合部である。連結部42は、連結部本体43と、連結アーム44と、を有する。
【0033】
連結アーム44は、連結部本体43の基端に設けられており、二股状に分岐している。連結アーム44は、連結部本体43に対して弾性変形可能であり、連結部本体43に対して開閉可能である。連結アーム44間には、矢尻フック部231の係合部231aを把持して収納する切欠部44mが形成されている。切欠部44mは、矢尻フック部231の係合部231aの外周面に密着する形状に形成されている。
【0034】
[カートリッジ5]
図6および図7は、カートリッジ5の斜視図である。
カートリッジ5は、ケース6と、規制部材7と、を有する。カートリッジ5の幅は10mmから20mm程度、長さは50mm程度、厚さは5mm程度で、手に持ち易い大きさに形成されている。
【0035】
カートリッジ5の長手方向Lに対して垂直であって互いに垂直な二方向のうち、一方を「幅方向W」、他方を「高さ方向H」とする。また、長手方向Lおよび幅方向Wに水平な面を、「水平面HP」とする。長手方向Lおよび高さ方向Hに水平な面を「垂直面VP」とする。また、クリップユニット1を格納したカートリッジ5において、一対のアーム21側をカートリッジ5の先端側とし、連結部材4側をカートリッジ5の基端側とする。
【0036】
ケース6は、ケース本体60と、圧搾部(固定手段)65と、シース接続部66と、を有する。ケース6は、例えば、ABS、PC、PP、PS、アクリル、シクロオレフィンポリマー等、適度な硬さがあり、かつ透明な樹脂材により射出成形されて製造されている。透明な樹脂材を用いてケース6が形成されており、使用者はクリップユニット1が内部に存在しているか否かを判断しやすい。
【0037】
ケース本体60は、矩形箱状に形成されている。ケース本体60の幅方向Wの長さは、ケース本体60の高さ方向Hの長さより長い。ケース本体60の基端部には、高さ方向Hの両側に対して突出する一対の凸部60pが設けられている。
【0038】
図8は、カートリッジ5の断面図である。
ケース本体60には、クリップユニット1が長手方向Lにおいて移動可能に格納される格納領域6Sが形成されている。格納領域6Sは、第一領域61と、第二領域62と、畳み領域63と、シース挿入領域64と、を有している。図8に示すように、第一領域61と、第二領域62と、畳み領域63と、シース挿入領域64とは、ケース6の長手方向Lにおいて先端から基端に向かって配列している。第一領域61、第二領域62、畳み領域63およびシース挿入領域64は、格納領域6Sの長手方向Lにおける中心軸線O2を含む垂直面VPに対して対称に形成された内部空間である。
【0039】
クリップユニット1は、図8に示すように、クリップユニット1の中心軸線O1をケース6の長手方向Lに沿わせて格納領域6Sに格納される。クリップユニット1は、一対のアーム21の開閉方向Pをケース6の幅方向Wに一致させて格納領域6Sに格納される。
【0040】
第一領域61は、クリップユニット1が長手方向Lにおいて移動可能に格納される内部空間である。第一領域61は、第二領域62と連通している。
【0041】
第二領域62は、クリップユニット1が長手方向Lにおいて移動可能に格納される内部空間である。第二領域62の長手方向Lの長さは、第一領域61の長手方向Lの長さより短い。第二領域62は畳み領域63と連通している。
【0042】
図8に示すように、第一領域61の幅方向Wの長さW1は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3(図23参照)より小さい。また、第二領域62の幅方向Wの長さW2(図23参照)は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より大きい。
【0043】
畳み領域63は、拡径部63aと、テーパ部63bと、縮径部63cと、を有している。拡径部63aと、テーパ部63bと、縮径部63cとは先端から基端に向かって配列している。
【0044】
拡径部63aは、連結部材4の連結アーム44が弾性的に広がる(開閉する)ことを許容する領域である。拡径部63aは、クリップ導入装置200の矢尻フック部231とクリップユニット1の連結部材4とが係合するとき、連結部材4の連結アーム44は中心軸線O1と垂直な方向に開閉可能である。
【0045】
テーパ部63bは、拡径部63aの基端側に設けられ、テーパ状に形成されている。テーパ部63bは、基端側から先端側に向かって拡径されている。このため、押さえ管3が先端側から基端側に向かって摺動されるとき、押さえ管3の突没ウイング31は押さえ管本体30の内側に収納される。
【0046】
縮径部63cは、突没ウイング31を没状態に保持する領域である。縮径部63cは、クリップユニット1がカートリッジ5に収納されたときに、連結部材4の連結アーム44の広がりを防止した状態で連結アーム44を保持できる。
【0047】
押さえ管3がテーパ部63bを先端側から基端側に向かって摺動されるとき、押さえ管3の突没ウイング31が押さえ管3の内側に収納される。このため、テーパ部63bと滑らかに接続された縮径部63cは、押さえ管3の突没ウイング31を収納した状態で保持することが可能である。
【0048】
シース挿入領域64は、シース接続部66を通過したシース220の先端部が挿入される領域である。シース挿入領域64は、畳み領域63の基端側に位置して、畳み領域63と連通している。シース挿入領域64と畳み領域63とが接続する部分において、シース挿入領域64における幅方向Wの長さは、畳み領域63における幅方向Wの長さより長い。シース挿入領域64には、進入したシース220の先端チップ221が当接可能なシース当接部68が形成されている。
【0049】
図9および図10は、圧搾部65を示す図である。
圧搾部(固定手段)65は、ケース本体60の基端に設けられた部材である。圧搾部65は、第一圧搾部651と、第二圧搾部652と、を有する。第一圧搾部651と第二圧搾部652とは、シース接続部66を挟んで高さ方向Hに対向して設けられている。
【0050】
第一圧搾部651は、第一連結部651aと、第一シース圧搾部651bと、第一保持翼651cと、を有する。第一連結部651aは、ケース本体60と第一シース圧搾部651bとを連結する。第一シース圧搾部651bは、シース220を圧搾する部分である。第一保持翼651cは、第一シース圧搾部651bから先端側に向かって延びるハネ状部材である。
【0051】
第二圧搾部652は、第二連結部652aと、第二シース圧搾部652bと、第二保持翼652cと、を有する。第二連結部652aは、ケース本体60と第二シース圧搾部652bとを連結する。第二シース圧搾部652bは、シース220を圧搾する部分である。第二保持翼652cは、第二シース圧搾部652bから先端側に向かって延びるハネ状部材である。
【0052】
以降の説明において、第一連結部651aおよび第二連結部652aを「(一対の)連結部65a」ともいう。第一シース圧搾部651bおよび第二シース圧搾部652bを「(一対の)シース圧搾部65b」ともいう。また、第一保持翼651cおよび第二保持翼652cを「(一対の)保持翼65c」ともいう。
【0053】
シース接続部66は、シース220を挿入可能な挿入溝である。シース接続部66は、連結部65aおよびシース圧搾部65bの内面に形成された円弧状の溝である。シース接続部66は、格納領域6Sにおけるシース挿入領域64に連通している。シース220は、シース接続部66の基端に設けられたシース挿入口67から挿入されて、シース接続部66を介してシース挿入領域64に入り、シース挿入領域64のシース当接部68に突き当たる。
【0054】
図10に示すように、一対の保持翼65cを中心軸線O2に近付ける方向に移動させることによって、一対の保持翼65cは、一対の凸部60pを支点として一対のシース圧搾部65bを中心軸線O2から離間する方向(すなわちシース220から離れる方向)に移動させて、シース挿入口67を広げる。その結果、シース220がシース接続部66に対して挿抜可能になる。
【0055】
図11および図12は、シース接続部66を示す図である。
シース接続部66の内部空間の高さH1は、シース220の外径H2よりも小さい。そのため、シース接続部66にシース220が挿入されているとき、一対の保持翼65cに外力が加えられない限り、シース220は一対のシース圧搾部65bに挟まれており、シース接続部66から抜けない。すなわち、カートリッジ5に挿入されたシース220は、圧搾部(固定手段)65に外力が加えられない限りカートリッジ5との接続が維持され、カートリッジ5から抜けない。
【0056】
図13は、規制部材7の斜視図である。
規制部材7は、クリップユニット1とともに、第一領域61および第二領域62に移動可能に格納されている。規制部材7は、例えばケース6と同様の樹脂によって形成されている。規制部材7は、ケース6のように透明の樹脂で形成されていなくてもよい。
【0057】
規制部材7は、図13に示すように、中心軸線O3を含む垂直面VPに対して対称な形状に形成されている。規制部材7は、先端部71と、突出部72と、テーパ部73と、押え部74と、を有する。先端部71と突出部72とテーパ部73と押え部74とは、規制部材7の中心軸線O3方向に沿って先端から基端に向かって配列している。
【0058】
図14は、一対のアーム21に把持される規制部材7の斜視図である。
規制部材7は、中心軸線O3をクリップユニット1の中心軸線O1に略一致させて、クリップ2に把持される。クリップユニット1は、図8に示すように、クリップ2が規制部材7を把持した状態で格納領域6Sに格納される。このとき、中心軸線O1と中心軸線O2と中心軸線O3とは一致していることが望ましい。
【0059】
先端部71は、突出部72から先端側に突出して設けられている。先端部71の先端は、規制部材7を把持するクリップ2の組織把持部23より先端に位置する。そのため、先端部71は、クリップ2の組織把持部23がケース本体60と接触することを防止する。また、先端部71の先端は、中心軸線O3に対して垂直な平面に形成されている。
【0060】
突出部72は、中心軸線O3に対して垂直な方向(以降、「突出方向P」という)に突出する部材である。突出部72は、中心軸線O3を挟んで両側に設けられている。突出部72は、第一アーム211と第二アーム212に把持される。突出部72を把持する一対のアーム21の開閉方向Pは、突出部72の突出方向Pと略一致する。突出部72の外周面の曲率は、組織把持部23の内周面の曲率より小さい。そのため、一対のアーム21は、突出部72を確実に把持できる。
【0061】
テーパ部73は、テーパ形状に形成された部材である。テーパ部73は、中心軸線O3を挟んで両側に設けられている。テーパ部73は、突出部72に対して突出方向Pにおける長さが短い。テーパ部73は、先端側から基端側に向かうほど、突出方向Pにおける長さが短くなる。
【0062】
押え部74は、クリップ2と押さえ管3との最小接近距離を規制する板状部材である。押え部74は、テーパ部73の基端側に設けられている。押え部74は、先端開口3aの縁と係合するため、先端開口3aから押さえ管3の内部空間に侵入できない。そのため、クリップ2が押さえ管3に近づく方向に牽引された場合であっても、押え部74は先端開口3aの縁と係合することで、クリップ2と押さえ管3との最小接近距離を規制する。
【0063】
規制部材7は、図13に示すように、高さ方向Hから補助部材75によって挟み込まれている。補助部材75は、規制部材7が一対のアーム21に把持されるように、規制部材7の高さ方向Hの位置を調整する。規制部材7の高さ方向に位置を調整する必要がない場合、補助部材75は不要である。
【0064】
図15は、規制部材7の平面図である。
突出部72において、中心軸線O3から突出方向Pに最も突出した部分を最大突出点72bとする。最大突出点72bの間の長さW4は、第一領域61の幅方向Wの長さW1よりわずかに小さい。最大突出点72bから押え部74の基端までの中心軸線O3方向の長さをL2とする。
【0065】
図16は、第一領域61において把持された規制部材7の平面図である。
規制部材7は、第一領域61において、一対のアーム21に把持された状態で格納される。第一領域61の幅方向Wの長さW1は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より小さい。そのため、一対のアーム21は、開状態から閉じた状態で規制部材7を把持する。一対のアーム21の開き幅は、第一領域61の幅方向Wの長さW1程度となる。一対のアーム21は、開閉方向Pにおいてケース本体60に当接する。一対のアーム21とケース本体60との接触点72cから押え部74の基端までの中心軸線O3方向の長さをL1とする。
【0066】
接触点72cから押え部74の基端までの中心軸線O3方向の長さL1は、最大突出点72bから押え部74の基端までの中心軸線O3方向の長さL2以上であることが望ましい。クリップ2が基端側に牽引されたときに、クリップ2が確実に規制部材7と係合して基端側に牽引されるためである。
【0067】
図15および図16に示すように、最大突出点72bの間の長さW4は、第一領域61の幅方向Wの長さW1よりわずかに小さい。そのため、規制部材7は、第一領域61において、一対のアーム21に把持された状態が維持される。
【0068】
接触点72cから突没ウイング31の先端までの中心軸線O1,O3方向の長さL3(図16参照)は、第二領域62の先端からテーパ部63bの基端までの距離L4(図8参照)以上である。
【0069】
[クリップユニット1の装填方法]
次に、図17から図27を参照して、クリップシステム500の作用について説明する。なお、図17から図27において、使用者が手に装着する手袋の図示は省略されている。
【0070】
図17は、開封された滅菌パック400を示す図である。
使用者は、滅菌パック400を開封して、カートリッジシステム100とクリップ導入装置200とを滅菌パック400から取り出す。カートリッジシステム100は、クリップ導入装置200に接続されている。
【0071】
図2に示すように、カートリッジシステム100がクリップ導入装置200に接続されていない場合、使用者は図10に示すようにシース挿入口67を広げて、クリップ導入装置200のシース220をシース接続部66に挿入する。
【0072】
図18は、使用者によって保持されるクリップ導入装置200を示す図である。
使用者は、例えば、右手でクリップ導入装置200の操作部240を保持して、左手でシース220を保持する。カートリッジシステム100はシース220から抜けないようにシース220に取り付けられている。そのため、使用者は、カートリッジシステム100を持つ必要がない。
【0073】
図19から図25は、カートリッジ5を用いてクリップユニット1をクリップ導入装置200に装填する方法を説明する図である。図19に示すように、シース220はシース接続部66に挿入されており、シース220の先端チップ221はシース当接部68に当接している。シース220の先端チップ221がシース当接部68に当接していない場合、使用者はシース220を先端側に押し込んで、先端チップ221をシース当接部68に当接させる。
【0074】
使用者は、図20に示すように、操作部240を操作して、操作ワイヤ230をシース220に対して前進させることにより、矢尻フック部231を前進させる。矢尻フック部231は、クリップユニット1の連結部材4と接続される。
【0075】
なお、予め矢尻フック部231がクリップユニット1の連結部材4と接続されている場合、使用者は矢尻フック部231を前進させる手順を実施しなくてよい。
【0076】
使用者は、図21に示すように、操作ワイヤ230を牽引する。クリップユニット1のクリップ2は、矢尻フック部231と接続された連結部材4によって基端側に牽引される。連結部材4のフック41fは破断せずに、クリップ2の連結部22を牽引する。規制部材7は、一対のアーム21と接触した状態で格納領域6Sの第一領域61を移動する。自己拡開力を有する一対のアーム21が押さえ管3の先端開口3aの縁と係合するため、クリップ2とともに押さえ管3も基端側に牽引される。
【0077】
一対のアーム21は、第一領域61において、開閉方向Pにおいてケース本体60に当接する。一対のアーム21とケース本体60とが当接することにより発生する摩擦力により、クリップ2が押さえ管3の内部空間に引き込まれ、クリップ2が押さえ管3により閉状態にロックされてしまうことを好適に防止できる。
【0078】
クリップ2が基端側に牽引されたとき、規制部材7の押え部74が押さえ管3の先端開口3aの縁と係合するため、クリップ2と押さえ管3との最小接近距離は規制される。押え部74は、操作ワイヤ230の牽引により一対のアーム21と接触した状態で押さえ管3と当接し、押さえ管3に対する規制部材7の相対移動を規制する。これによっても、連結部材4によって基端側に牽引されるクリップ2が、押さえ管3の内部空間に引き込まれ、押さえ管3により閉状態にロックされてしまうことを好適に防止できる。
【0079】
使用者は、クリップユニット1をさらに基端側に牽引する。図22に示すように、押さえ管3が畳み領域63を通過する。押さえ管3は縮径部63cを先端側から基端側に向かって摺動され、押さえ管3の突没ウイング31は押さえ管本体30の内側に収納される。突没ウイング31が押さえ管本体30の内側に収納された押さえ管3は、シース220の中に引き込まれる。
【0080】
図22に示すように、接触点72cから突没ウイング31の先端までの中心軸線O1,O3方向の長さL3は、第二領域62の先端からテーパ部63bの基端までの距離L4以上である。そのため、押さえ管3の突没ウイング31が押さえ管3の内側に収納されたとき、一対のアーム21とケース本体60との接触点72cは第一領域61に位置する。すなわち、突没ウイング31が押さえ管3の内側に収納されるまでは、一対のアーム21は規制部材7を把持しており、押さえ管3の内部空間に引き込まれない。
【0081】
使用者は、図23に示すように、操作ワイヤ230をさらに牽引して、規制部材7を第二領域62まで牽引する。第二領域62の幅方向Wの長さW2は、一対のアーム21の開状態の開き幅W3より大きい。そのため、規制部材7は第二領域62において、一対のアーム21に把持されない。
【0082】
使用者は、図24に示すように、操作ワイヤ230をさらに牽引する。クリップ2は、規制部材7と分離して基端側に牽引される。規制部材7は、一対のアーム21によって把持されていた突出部72の基端側にテーパ部73が形成されている。そのため、規制部材7が基端側に牽引されたときに、一対のアーム21が規制部材7に引っかかりにくい。
【0083】
使用者は、図25に示すように、操作ワイヤ230をさらに牽引する。一対のアーム21は規制部材7を把持しないため、クリップ2と押さえ管3との最小接近距離は規制されない。基端側に牽引されたクリップ2は、押さえ管3の内部空間に引き込まれつつ、シース220の中に引き込まれる。クリップ2は、押さえ管3の内部空間に引き込まれることなく、シース220の中に引き込まれてもよい。これにより、クリップユニット1のクリップ導入装置200への装填が完了する。
【0084】
図26および図27は、シース220が引き抜かれるカートリッジ5を示す図である。
使用者は、一対の保持翼65cを掴んで中心軸線O2に近付ける方向に移動させることによって、シース挿入口67を広げて、シース220をシース接続部66から引き抜く。
【0085】
[クリップユニット1の動作および作用]
次に、図28から図32を参照して、クリップユニット1の動作および作用について説明する。
【0086】
装填されたクリップユニット1の連結部材4は、シース220内を挿通する矢尻フック部231に連結されている。突没ウイング31は、シース220の内周面により押し付けられて没状態となっている。
【0087】
装填されたクリップユニット1の一対のアーム21は、シース220の内周面により押し付けられて閉じた状態にある。係合部24は基端開口3bよりも先端側に位置しており、一対のアーム21は閉状態にロックされていない。
【0088】
図28は、体内に導入されたクリップユニット1を示す図である。
使用者は、シース220に装填されたクリップユニット1を内視鏡のチャンネルを経由して体内に導入する。次に、使用者は、スライダ242を操作部本体241に沿って前進させることで、矢尻フック部231を前進させる。使用者は、突没ウイング31がシース220から出るまで、クリップユニット1を前進させる。突没ウイング31は、シース220から出ることにより、没状態から基本姿勢である突状態に戻る。
【0089】
一対のアーム21は、先端側がシース220から出ることにより、一対のアーム21の自己拡開力を復元力として、クリップ2は押さえ管3に対して先端側に移動しながら開状態に戻る。一対のアーム21が開状態に戻って押さえ管3から最も突出した場合であっても、係合部24は押さえ管3の内部領域に配置される。
【0090】
図29は、一対のアーム21を閉じたクリップユニット1を示す図である。
使用者は、スライダ242を操作部本体241に沿って後退させることで、矢尻フック部231を後退させる。矢尻フック部231に連結された連結部材4は、クリップ2を牽引する。自己拡開力を有する一対のアーム21は、基端側に牽引されることにより、押さえ管の先端開口3aを基端側に押す。突状態である突没ウイング31は、シース220と係合するため、シース220の内部に引き込まれない。そのため、連結部材4により牽引されたクリップ2は、押さえ管3に引き込まれる。
【0091】
連結部材4によりクリップ2の連結部22が押さえ管3の基端側に牽引されることで、一対のアーム21が押さえ管3に引き込まれ、一対のアーム21が徐々に閉じる。この状態で連結部22の牽引力が解除されると、一対のアーム21の自己拡開力を復元力として、クリップ2は先端側に移動しながら開状態に戻る。使用者は、一対のアーム21を開状態に戻して組織を掴み直すことができる。
【0092】
図30は、クリップ2がロックされたクリップユニット1を示す図である。
連結部22が押さえ管3の基端側にさらに牽引されることで、係合部24が基端開口3bより基端側に引き込まれる。係合部24の連結部22側は鈍角な斜面に形成されているため、係合部24は基端開口3bより基端側まで引き込みやすい。一方、係合部24の組織把持部23側は鋭角な斜面に形成されているため、係合部24が基端開口3bより基端側まで引き込まれると、係合部24と基端開口3bとが係合する。その結果、クリップ2は押さえ管3に対する先端側への移動が規制され、一対のアーム21が閉状態にロックされる。一対のアーム21が閉状態にロックされると、一対のアーム21は開状態に戻ることはできない。
【0093】
図31は、クリップ2が分離したクリップユニット1を示す図である。
使用者は、さらにクリップ2を牽引する。フック41fに対して例えば20N(ニュートン)から90Nの引っ張りによる破断力量が加えられ、破断部41bは破断する。破断部41bの破断強度は、連結部本体43の破断強度より低い。そのため、連結部本体43ではなく破断部41bが破断する。
【0094】
図32は、破断後のクリップユニット1を示す図である。
使用者は、シース220を後退させ、組織を結紮した状態であるクリップ2を体内に留置する。
【0095】
本実施形態のクリップシステム500によれば、カートリッジシステム100とアプリケータ200とが同じ滅菌パック400に収容されており、カートリッジシステム100が予めアプリケータ200に取り付けられている。そのため、滅菌パック開封後におけるカートリッジシステム100を用いてクリップユニット1をアプリケータ200に装填する作業が少なく、使用者はアプリケータ200に装填されたクリップユニット1をできるだけ早く利用できる。
【0096】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0097】
(変形例1-1)
図33は、圧搾部65の変形例である圧搾部65A1を示す図である。
圧搾部65A1は、一対のシース圧搾部65bにゴムバンド65sが巻きついている。圧搾部65A1は、シース接続部66に挿入されたシース220をより確実に抜けないようにできる。
【0098】
(変形例1-2)
図34は、圧搾部65の変形例である圧搾部65A2を示す図である。
圧搾部65A2は、高さ方向Hにおいて一対のシース圧搾部65bを押さえつける金属板65tを有する。金属板65tおよび一対の保持翼65cは、ダブルクリップと同様の構造である。使用者は、一対の保持翼65cを掴んで中心軸線O2に近付ける方向に移動させることによって、金属板65tが一対のシース圧搾部65bを押さえつける力を低減できる。圧搾部65A2は、シース接続部66に挿入されたシース220をより確実に抜けないようにできる。
【0099】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、図35から図43を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0100】
図35は、第二実施形態に係るカートリッジシステム100Bを示す図である。
カートリッジシステム100Bは、第一実施形態のカートリッジシステム100と同様に、クリップシステム500としてクリップ導入装置(アプリケータ)200とともに滅菌パック400に梱包される。カートリッジシステム100Bは、クリップユニット1と、クリップユニット1を収容するカートリッジ5Bと、を有する。
【0101】
カートリッジ5Bは、ケース(内側ケース)6Bと、規制部材7と、外側ケース(固定手段)8と、を有する。カートリッジ5Bは、クリップユニット1を収容している。
【0102】
ケース(内側ケース)6Bは、第一実施形態のケース6と同様に規制部材7ともにクリップユニット1を格納する。ケース6Bは、外側ケース8に収容可能である。ケース6Bは、ケース本体60と、圧搾部65Bと、シース接続部66と、を有する。
【0103】
圧搾部65Bは、ケース本体60の基端に設けられた板状部材である。圧搾部65Bは、第一圧搾部651Bと、第二圧搾部652Bと、を有する。第一圧搾部651Bと第二圧搾部652Bとは、シース接続部66を挟んで高さ方向Hに対向して設けられている。
【0104】
圧搾部65Bは、ケース本体60と連結する連結部65aを有している。連結部65aは、第一圧搾部651Bと第二圧搾部652Bとを別々にケース本体60に連結する。連結部65aは、第一圧搾部651Bと第二圧搾部652Bとが互いに対して離間するように屈曲している。このため、第一圧搾部651Bと第二圧搾部652Bとの間には、間隔65Gが形成されている。第一圧搾部651Bと第二圧搾部652Bとは、先端側より基端側の方がより離間している。
【0105】
圧搾部65Bには、高さ方向Hの両側に対して突出する一対の凸部65pが設けられている。一対の凸部65pは、シース挿入口67を挟んで両側に設けられている。
【0106】
外側ケース(固定手段)8は、ケース6Bを収容可能なケースである。外側ケース8の基端側に形成された挿入口80からケース6Bが挿抜される。外側ケース8の挿入口80には、収容されたケース6Bの一対の凸部65pと係合する一対の凹部80rが形成されている。
【0107】
図36は、外側ケース8に収容されたケース6Bを示す図である。
シース220がシース接続部66に挿入されたケース6Bは、外側ケース8に収容可能である。ケース6Bが外側ケース8に収容されると、一対の凸部65pが一対の凹部80rと係合して、一対の凹部80rが一対の凸部65pを含む圧搾部65Bを中心軸線O2に近付ける方向に移動させる。なお、ケース6Bが外側ケース8に収容されたとき、外側ケース8が圧搾部65Bを中心軸線O2に近付ける方向に移動させるのであれば、一対の凸部65pおよび一対の凹部80rは設けられていなくてもよい。
【0108】
図37は、図36に示すカートリッジ5Bを基端側から見た図である。
ケース6Bが外側ケース8に収容されたとき、シース220は圧搾部65Bに挟まれており、シース接続部66から抜けない。すなわち、ケース6Bが外側ケース(固定手段)8に収容されたとき、カートリッジ5Bに挿入されたシース220は、カートリッジ5Bとの接続が維持され、カートリッジ5Bから抜けない。
【0109】
シース220がカートリッジ5Bのケース本体60に挿入された状態において、第一実施形態と同様の方法により、クリップユニット1はクリップ導入装置200に装填される。
【0110】
図38は、外側ケース8から分離するケース6Bを示す図である。
シース220がカートリッジ5Bから離れる方向に移動すると、シース220を挟み込んでいた圧搾部65Bがシース220と一緒に移動する。その結果、ケース6Bが外側ケース8から引き抜かれ、ケース6Bと外側ケース8とが分離する。
【0111】
図39は、図38に示すカートリッジ5Bを基端側から見た図である。
ケース6Bと外側ケース8とが分離すると、圧搾部65Bの弾性力により圧搾部65Bが中心軸線O2から離間する方向に移動して、シース挿入口67が広がる。その結果、シース220がシース接続部66に対して挿抜可能になる。
【0112】
図40は、シース220が引き抜かれたケース6Bを示す図である。
シース220がカートリッジ5Bから離れる方向にさらに移動すると、シース220はシース接続部66から抜ける。
【0113】
図41から図43は、シース220を引き抜く手順を説明する図である。
使用者は、カートリッジ5Bからシース220を引き抜くアクションのみにより、ケース6Bを外側ケース8から分離させ、ケース6Bからシース220を引き抜くことができる。
【0114】
本実施形態のクリップシステム500によれば、カートリッジシステム100Bとアプリケータ200とが同じ滅菌パック400に収容されており、カートリッジシステム100Bが予めアプリケータ200に取り付けられている。そのため、滅菌パック開封後におけるカートリッジシステム100Bを用いてクリップユニット1をアプリケータ200に装填する作業が少なく、使用者はアプリケータ200に装填されたクリップユニット1をできるだけ早く利用できる。
【0115】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0116】
(変形例2-1)
上記実施形態において、外側ケース8は、ケース6Bの全体を内包できるケースである。しかしながら、外側ケースの形状はこれに限定できない。外側ケースは、少なくとも圧搾部65Bを内包でき、シース220とカートリッジ5Bとの接続を維持できるケースであればよい。
【0117】
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態について、図44から図50を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0118】
図44は、第三実施形態に係るカートリッジシステム100Cを示す図である。
カートリッジシステム100Cは、第一実施形態のカートリッジシステム100と同様に、クリップシステム500としてクリップ導入装置(アプリケータ)200とともに滅菌パック400に梱包される。カートリッジシステム100Cは、クリップユニット1と、クリップユニット1を収容するカートリッジ5Cと、を有する。
【0119】
カートリッジ5Cは、ケース6Cと、規制部材7と、を有する。カートリッジ5Cは、クリップユニット1を収容している。
【0120】
ケース6Cは、第一実施形態のケース6と同様に規制部材7ともにクリップユニット1を格納する。ケース6Cは、ケース本体60と、ケース連結部(固定手段)81と、を有する。
【0121】
ケース連結部81は、シース220をケース本体60と連結する。ケース連結部81は、略箱状に形成されており、内部空間8sにケース本体60のシース挿入領域64が連通するようにケース本体60を支持する。ケース連結部81は、内部空間8sにおいてケース可動部82を有する。
【0122】
ケース可動部82は、ケース連結部81の内部空間8sに稼働可能に設けられている。ケース可動部82は、第一可動コマ83と、第二可動コマ84と、第三可動コマ85と、を有する。
【0123】
図45は、幅方向Wの一方から見たカートリッジ5Cを示す図である。
第一可動コマ83は、第一可動コマ83を貫通する第一経路83aを有する。第一可動コマ83は、第二可動コマ84と連結されている。第一可動コマ83は、幅方向Wの一方側に突出する第一ストッパ83pを有する。第一ストッパ83pは、ケース連結部81の幅方向Wの一方側に形成された長手方向Lに延びる第一スリット81aと係合している。第一可動コマ83は、第一スリット81aに沿って長手方向Lに移動可能である。第一スリット81aは長手方向Lの両端が閉じられたスリットであり、第一ストッパ83pは第一スリット81aから抜けない。
【0124】
第二可動コマ84は、第二可動コマ84を貫通する第二経路84aを有する。第二可動コマ84は、第一可動コマ83および第三可動コマ85と連結されている。
【0125】
図46は、幅方向Wの他方から見たカートリッジ5Cを示す図である。
第三可動コマ85は、第三可動コマ85を貫通する第三経路85aを有する。第三可動コマ85は、第二可動コマ84と連結されている。第三可動コマ85は、幅方向Wの他方側に突出する第三ストッパ85pを有する。第三ストッパ85pは、ケース連結部81の幅方向Wの他方側に形成された長手方向Lに延びる第三スリット81bと係合している。第三可動コマ85は、第三スリット81bに沿って長手方向Lに移動可能である。第一スリット81aは長手方向Lの基端がケース連結部81の基端と一致しており、基端側に開口している。そのため、第三ストッパ85pは第三スリット81bからケース連結部81の外側に抜いて引き出せる。
【0126】
第一経路83a、第二経路84aおよび第三経路85aは、シース220を挿入可能な経路(以降、「シース接続部86」ともいう)を形成する。
【0127】
図44に示すように、第一可動コマ83が最も先端側に移動したとき、第一経路83aとシース挿入領域64とは連通する。第一可動コマ83が最も先端側に移動したとき、第二可動コマ84および第三可動コマ85も先端側に移動する。このとき、シース接続部86(第一経路83a、第二経路84aおよび第三経路85a)は、屈曲した略S字状の経路を形成する。
【0128】
図47は、シース接続部86にシース220が挿入されたカートリッジ5Cを示す図である。ケース可動部82がケース連結部81の先端側に配置されているとき、シース接続部86(第一経路83a、第二経路84aおよび第三経路85a)は、屈曲した略S字状の経路を形成する。すなわち、ケース可動部82がケース連結部(固定手段)81の先端側に配置されているとき、カートリッジ5Cに挿入されたシース220は、カートリッジ5Cとの接続が維持され、カートリッジ5Cから抜けない。
【0129】
シース220がカートリッジ5Cのケース本体60に挿入された状態において、第一実施形態と同様の方法により、クリップユニット1はクリップ導入装置200に装填される。
【0130】
図48から図50は、シース220が引き抜かれるケース6Cを示す図である。
シース220がカートリッジ5Cから離れる方向に移動すると、シース220と共にケース可動部82が基端側に移動する。第一可動コマ83は、第一スリット81aに沿って基端側に移動する。第三可動コマ85は、第三スリット81bに沿って基端側に移動する。第三ストッパ85pが第三スリット81bから外れて引き出されるまで、シース接続部86(第一経路83a、第二経路84aおよび第三経路85a)は屈曲した略S字状を維持し、シース220はカートリッジ5Cから抜けない。
【0131】
さらにシース220がカートリッジ5Cから離れる方向に移動すると、第三スリット81bから第三可動コマ85が外れる。その結果、図50に示すように、シース接続部86(第一経路83a、第二経路84aおよび第三経路85a)は、直線状になる。
【0132】
使用者は、カートリッジ5Cからシース220を引き抜くアクションのみにより、シース接続部86を直線状にして、ケース6Cからシース220を引き抜くことができる。
【0133】
本実施形態のクリップシステム500によれば、カートリッジシステム100Cとアプリケータ200とが同じ滅菌パック400に収容されており、カートリッジシステム100Cが予めアプリケータ200に取り付けられている。そのため、滅菌パック開封後におけるカートリッジシステム100Cを用いてクリップユニット1をアプリケータ200に装填する作業が少なく、使用者はアプリケータ200に装填されたクリップユニット1をできるだけ早く利用できる。
【0134】
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0135】
(変形例3-1)
図51は、ケース連結部81の変形例であるケース連結部81Aを示す図である。ケース連結部81Aは、シースが挿通されるシース接続部86Aを有する。シース接続部86Aには、チューブ86tが嵌合している。シース接続部86Aは、先端開口86aにおいてシース挿入領域64と連通している。シース接続部86Aは、長手方向L(シース挿入方向)に対して屈曲する屈曲部86bを有する。
【0136】
図52および図53は、図51の矢印V1から見たケース連結部81Aを示す図である。図52に示すように、屈曲部86bにおけるシース接続部86Aは、基端開口86c等と比較して狭くなる。図53に示すように、シース220の表面とチューブ86tの表面との摩擦により、シース接続部86Aに挿入されたシース220は、所定以上の外力が加えられない限りカートリッジ5Cとの接続が維持され、シース接続部86Aから抜けない。
【0137】
図54から図56は、シース接続部86Aの変形例を示す図である。シース接続部86Aは、複数の屈曲部86bを有していてもよい。異なる方向に屈曲する二以上の屈曲部86bを有することで、シース接続部86Aはシース220が抜けないようにより強固にシース220を保持できる。なお、シース接続部86Aは、シース220を十分に保持できるのであれば、チューブ86tが嵌合されていなくてもよい。
【0138】
(変形例3-2)
図57から図59は、ケース連結部81の変形例であるケース連結部81Bを示す図である。ケース連結部81Bは円筒状の弾性体81eを有しており、弾性体81eの内部空間がシース接続部86Bである。基端開口86cからシース接続部86Bに挿入されたシース220の外径は、シース接続部86Bの内径より大きい。図59に示すように、ケース連結部81Bの弾性体81eの復元弾性力により、シース接続部86Bに挿入されたシース220は、所定以上の外力が加えられない限りカートリッジ5Cとの接続が維持され、シース接続部86Bから抜けない。
【0139】
(変形例3-3)
図60は、ケース連結部81の変形例であるケース連結部81Cを示す図である。ケース連結部81Cは、円筒状の弾性体81eと、弾性体81eを長手方向L(シース挿入方向)に対して進退させる回転体81rと、を有する。弾性体81eおよび回転体81rの内供空間がシース接続部86Cである。
【0140】
図61は、シース220の変形例であるシース220Aを示す図である。シース220Aは、先端部に先端部より基端側の部分よりも外径が大きい拡径部220eを有する。拡径部220eの基端には段差220sが形成される。
【0141】
図62は、シース220Aが挿入されたケース連結部81Cを示す図である。シース220Aがシース当接部68に当接したとき、段差220sは弾性体81eよりも先端側に位置する。図62に示すように、回転体81rを回転させて前進させると、弾性体81eは長手方向Lに圧縮されて内部空間の内径が小さくなりシース220Aに密着する。段差220sが弾性体81eに引っ掛かるため、シース接続部86Cに挿入されたシース220は、所定以上の外力が加えられない限りカートリッジ5Cとの接続が維持され、シース接続部86Cから抜けない。
【0142】
(変形例3-4)
図63から図67は、圧搾部65Bの変形例である圧搾部65Cを示す図である。
圧搾部65Cは、ケース本体60の基端に設けられた板状部材である。圧搾部65Cは、第一圧搾部651Cと、第二圧搾部652Cと、弾性リング653と、を有する。第一圧搾部651Cと第二圧搾部652Cとは、シース接続部66を挟んで高さ方向Hに対向して設けられている。弾性リング653は、第一圧搾部651Cと第二圧搾部652Cとを近付けるように設けられている。そのため、シース接続部66の内部空間の高さH1は、シース220の外径H2よりも小さい。そのため、図66および図67に示すように、シース接続部66にシース220が挿入されているとき、シース220は第一圧搾部651Cと第二圧搾部652Cとに挟まれており、シース接続部66から抜けない。すなわち、圧搾部65Cのシース接続部66に挿入されたシース220は、所定以上の外力が加えられない限りカートリッジ5Cとの接続が維持され、圧搾部65Cのシース接続部66から抜けない。なお、弾性リング653が接触する圧搾部65Cの高さ方向H(開閉方向)の高さH3は、弾性リング653が接触する圧搾部65Cの幅方向Wの長さW6より大きいことが望ましい。
【0143】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態について、図68から図78を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0144】
図68は、第四実施形態に係るカートリッジシステム100Dを示す図である。カートリッジシステム100Dは、第一実施形態のカートリッジシステム100と同様に、クリップシステム500としてクリップ導入装置(アプリケータ)200とともに滅菌パック400に梱包される。カートリッジシステム100Dは、クリップユニット1と、クリップユニット1を収容するカートリッジ5Dと、を有する。
【0145】
カートリッジ5Dは、ケース6Dと、規制部材7と、ロック機構9と、を有する。カートリッジ5Dは、クリップユニット1を収容している。
【0146】
ケース6Dは、第一実施形態のケース6と同様に規制部材7ともにクリップユニット1を格納する。ケース6Dは、ケース本体60と、圧搾部65Dと、シース接続部66と、ロック機構支持部69と、を有する。
【0147】
圧搾部65Dは、ケース本体60の基端に設けられた板状部材である。圧搾部65Dは、第一圧搾部651Dと、第二圧搾部652Dと、を有する。第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとは、シース接続部66を挟んで高さ方向Hに対向して設けられている。
【0148】
圧搾部65Dは、ケース本体60と連結する連結部65aを有している。連結部65aは、第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとを別々にケース本体60に連結する。連結部65aは、第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとが互いに対して離間するように屈曲している。このため、第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとの間には、間隔65Gが形成されている。第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとは、先端側より基端側の方がより離間している。
【0149】
ロック機構支持部69は、第二圧搾部652Dの高さ方向Hにおける一方側(下側)に設けられている。ロック機構支持部69は、圧搾部65Dに装着されたロック機構9を支持する。
【0150】
ロック機構(固定手段)9は、本体部90と、ツメ91と、ノブ(第一ノブ)92と、を有する。本体部90は、略板状の形成されている。本体部90は、ロック機構支持部69に支持される。ツメ91は、本体部90の基端部に設けられ、高さ方向Hにおける他方側(上側)に突出する。二つのツメ91が幅方向Wの両側に設けられている。ノブ92は、本体部90から高さ方向Hにおける一方側(下側)に突出する凸部である。
【0151】
図69は、ロック機構9が圧搾部65Dに装着されたカートリッジ5Dを示す図である。ロック機構9が圧搾部65Dに装着されると、ツメ91が第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとを挟み込み、第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとを所定の間隔に維持する。
【0152】
図70から図73は、シース220をカートリッジ5Dから抜けないように固定する方法を説明する図である。図70に示すように、使用者は、ロック機構9が装着されていない圧搾部65Dのシース接続部66にシース220を挿入する。次に、図71に示すように、使用者は、第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとを挟み込んで近付ける。次に、使用者は、図72に示すようにロック機構9を先端側にスライドさせて、図73に示すようにツメ91で第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dとに引掛ける。ロック機構(固定手段)9が搾部65Dに取り付けられたとき、カートリッジ5Dに挿入されたシース220は、カートリッジ5Dとの接続が維持され、カートリッジ5Dから抜けない。
【0153】
シース220がカートリッジ5Dのケース本体60に挿入された状態において、第一実施形態と同様の方法により、クリップユニット1はクリップ導入装置200に装填される。
【0154】
図74は、圧搾部65Dの変形例である圧搾部65Eを示す図である。
圧搾部65Eは、第一圧搾部651Dから高さ方向Hにおける他方側(上側)に突出するノブ(第二ノブ)65fを有する。ロック機構9のノブ92は、長手方向Lの先端側を向く斜面を有する。一方、圧搾部65Eのノブ65fは、長手方向Lの基端側を向く斜面を有する。
【0155】
図75および図76は、ロック機構9をケース6Dから分離する方法を説明する図である。使用者は、図75に示すように、指でノブ65fおよびノブ92と掴み、図76に示す矢印の方向にスライドさせることで、ロック機構9をケース6Dから容易に分離することができる。ロック機構9がケース6Dから分離すると、シース挿入口67が広がり、シース220がシース接続部66に対して挿抜可能になる。
【0156】
図77および図78は、カートリッジ5Dをシース220から取り外す方法を説明する図である。アプリケータ200にクリップユニット1を装填後、カートリッジ5Dを保持する際に、図77のようにノブ65fとノブ92にそれぞれ人差し指と親指をかけて保持すると同時に、図78のように矢印方向に動かすと、カートリッジ5Dを保持するのとほぼ同時にカートリッジ5Dをシース220から取り外すことができる。
【0157】
本実施形態のクリップシステム500によれば、カートリッジシステム100Dとアプリケータ200とが同じ滅菌パック400に収容されており、カートリッジシステム100Dが予めアプリケータ200に取り付けられている。そのため、滅菌パック開封後におけるカートリッジシステム100Dを用いてクリップユニット1をアプリケータ200に装填する作業が少なく、使用者はアプリケータ200に装填されたクリップユニット1をできるだけ早く利用できる。
【0158】
以上、本発明の第四実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0159】
(変形例4-1)
図79および図80は、ロック機構9の変形例であるロック機構9Aを示す図である。ロック機構9Aは、本体部90と、ツメ91Aと、ノブ92と、を有する。ツメ91Aは、本体部90の基端部に設けられ、高さ方向Hにおける他方側(上側)に突出する。一つのツメ91が幅方向Wの中央に設けられている。ツメ91Aにはシース220が挿通可能な挿抜孔94が設けられている。
【0160】
(変形例4-2)
図81および図82は、ロック機構9の変形例であるロック機構9Bを示す図である。ロック機構9Bは、本体部90と、ツメ91Bと、ノブ92と、を有する。二つのツメ91Bが幅方向Wの両側に設けられている。二つのツメ91Bは、幅方向Wの外側から第一圧搾部651Dと第二圧搾部652Dを挟み込む位置に設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、クリップユニットを格納するカートリッジ等に適用することができる。
【符号の説明】
【0162】
500 クリップシステム
300 クリップデバイス
400 滅菌パック
200 クリップ導入装置(アプリケータ)
220,220A シース
230 操作ワイヤ(動力伝達部)
231 矢尻フック部(接続部)
240 操作部
100,100B,100C,100D カートリッジシステム
1 クリップユニット
2 クリップ
3 押さえ管
4 連結部材
5,5B,5C,5D カートリッジ
6,6C,6D ケース
6B ケース(内側ケース)
60 ケース本体
6S 格納領域
61 第一領域
62 第二領域
63 畳み領域
64 シース挿入領域
65,65A1,65A2,65B,65C,65D,65E 圧搾部(固定手段)
651,651B,651C,651D 第一圧搾部
652,652B,652C,652D 第二圧搾部
653 弾性リング
65a (一対の)連結部
65b (一対の)シース圧搾部
65c (一対の)保持翼
65f ノブ(第二ノブ)
65G 間隔
65p 凸部
65s ゴムバンド
65t 金属板
66 シース接続部
67 シース挿入口
68 シース当接部
69 ロック機構支持部
81,81A,81B,81C ケース連結部(固定手段)
82 ケース可動部
83 第一可動コマ
84 第二可動コマ
85 第三可動コマ
86,86A,86B,86C シース接続部
86b 屈曲部
7 規制部材
8 外側ケース(固定手段)
80 挿入口
8s 内部空間
9,9A,9B ロック機構(固定手段)
90 本体部
91,91A,91B ツメ
92 ノブ(第一ノブ)
94 挿抜孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70
図71
図72
図73
図74
図75
図76
図77
図78
図79
図80
図81
図82