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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014413
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/34 20200101AFI20240125BHJP
   D06F 58/22 20060101ALI20240125BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20240125BHJP
   D06F 105/34 20200101ALN20240125BHJP
【FI】
D06F58/34
D06F58/22
D06F58/02 K
D06F105:34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117221
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】森田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AA05
3B166AA11
3B166AA24
3B166AB23
3B166AB30
3B166AB32
3B166AD07
3B166AE02
3B166AE05
3B166AE06
3B166AE12
3B166AE13
3B166BA08
3B166BA32
3B166BA45
3B166BA56
3B166BA65
3B166CA04
3B166CA11
3B166CB02
3B166CB13
3B166CC02
3B166DC03
3B166DC12
3B166DC23
3B166DC40
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE04
3B166EA02
3B166EA04
3B166EA14
3B166EA17
3B166EA37
3B166EB04
3B166EB17
3B166EB24
3B166EC02
3B166EC12
3B166EC24
3B166EC40
3B166ED01
3B166ED02
3B166EE01
3B166EE02
3B166EE07
3B166GA02
3B166GA14
3B166GA22
3B167AA02
3B167AA04
3B167AA05
3B167AA11
3B167AA24
3B167AD07
3B167AE02
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167AE13
3B167BA08
3B167BA32
3B167BA45
3B167BA56
3B167BA65
3B167JA01
3B167JA11
3B167JA31
3B167JA41
3B167JB02
3B167JB03
3B167JB15
3B167LC02
3B167LC08
3B167LC09
3B167LC10
3B167LC20
3B167LE10
3B167LF25
3B167LG05
(57)【要約】
【課題】衣類の傷みを抑制しつつ短期間で花粉などの異物を除去可能な衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、空気入口と空気出口とを有する外槽と、外槽内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能な回転槽と、回転槽を回転駆動する回転槽モータと、外槽の外部に設けられ、空気出口と空気入口とを繋ぐ風路と、風路内に設けられて外槽内に空気を送風する送風装置と、風路内に散水して異物を捕集する散水装置と、散水装置に外部の水源からの水を供給する散水経路と、散水経路を開閉する給水弁と、を備える。衣類処理装置は、給水弁を開いて風路内に散水する散水工程と、給水弁を閉じた状態で送風装置を駆動して加熱しない空気を外槽に送風すると共に、回転槽モータを駆動して回転槽を回転させる送風工程と、を含む除去運転を実行可能な除去運転処理部を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入口と空気出口とを有する外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能な回転槽と、
前記回転槽を回転駆動する回転槽モータと、
前記外槽の外部に設けられ、前記空気出口と前記空気入口とを繋ぐ風路と、
前記風路内に設けられて前記外槽内に空気を送風する送風装置と、
前記風路内に散水して異物を捕集する散水装置と、
前記散水装置に外部の水源からの水を供給する散水経路と、
前記散水経路を開閉する給水弁と、
前記給水弁を開いて前記風路内に散水する散水工程と、前記給水弁を閉じた状態で前記送風装置を駆動して加熱しない空気を前記外槽に送風すると共に、前記回転槽モータを駆動して前記回転槽を回転させる送風工程と、を含む除去運転を実行可能な除去運転処理部と、を備えた
衣類処理装置。
【請求項2】
風路内に設けられた熱交換器を更に備え、
前記散水装置は、前記熱交換器に散水する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記除去運転処理部は、前記送風工程を実行する期間以前に前記散水工程を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記除去運転処理部は、前記送風工程を実行する期間以後に前記散水工程を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
少なくとも一部が前記風路内に開放された容器状に形成されて前記熱交換器に散水された水を受ける貯水部と、
前記貯水部と前記外箱外部とを接続する排水経路と、
前記排水経路を開閉する排水弁と、を備え、
前記除去運転処理部は、前記散水工程を実行する期間以後、前記排水弁を開いて前記貯水部から排水する排水処理を実行する、
請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記除去運転処理部は、前記送風工程において、前記回転槽の回転数を所定の目標回転数まで加速し、前記目標回転数に達したら前記衣類の受ける重力の寄与が前記衣類の受ける遠心力の寄与を上回る回転数まで減速する態様で前記回転槽を周期的に回転させ、
前記目標回転数は、前記衣類が遠心力によって前記回転槽に貼り付く所定の範囲内に設定されている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記目標回転数は、40rpm~50rpmの範囲内に設定されている、
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記風路に設けられた排気口と、
前記排気口を開閉するダンパと、を備え、
前記除去運転処理部は、前記送風工程の実行期間中に前記ダンパを閉じる、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類に付着した花粉等を除去する方法として、衣類を洗濯乾燥機によって洗濯及び乾燥することが考えられる。洗濯工程により、衣類に付着した花粉等が洗い流されるが、衣類を一度濡らして乾燥させる必要があるため、運転期間が長期化する。
【0003】
これに対して、衣類に加熱した空気を当てることにより衣類を加熱し、花粉等を除去する洗濯乾燥機が開発されている。
【0004】
例えば特許文献1には、被乾燥物に付着した綿ぼこりや花粉等を取り易くするため、運転終了が近づいたら電動機の回転数すなわち送風ファンの回転数を高めて乾燥空気の風量を高めるようにし、電動機の回転数を高めるのは、被乾燥物を冷却するための送風運転工程で行うかあるいは温風運転工程終了前から行う場合には、熱源を弱に切り換えるようにする衣類乾燥機が開示されている。この衣類乾燥機において、綿ぼこりや花粉等を捕集するフィルタは回転ドラム内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-167299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
衣類の素材によっては、高温に晒すことに適さない衣類もある。
【0007】
そこで、衣類の傷みを抑制しつつ短期間で花粉などの異物を除去可能な衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の衣類処理装置は、空気入口と空気出口とを有する外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能な回転槽と、前記回転槽を回転駆動する回転槽モータと、前記外槽の外部に設けられ、前記空気出口と前記空気入口とを繋ぐ風路と、前記風路内に設けられて前記外槽内に空気を送風する送風装置と、前記風路内に散水して異物を捕集する散水装置と、前記散水装置に外部の水源からの水を供給する散水経路と、前記散水経路を開閉する給水弁と、を備える。衣類処理装置は、前記給水弁を開いて前記風路内に散水する散水工程と、前記給水弁を閉じた状態で前記送風装置を駆動して加熱しない空気を前記外槽に送風すると共に、前記回転槽モータを駆動して前記回転槽を回転させる送風工程と、を含む除去運転を実行可能な除去運転処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一の実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した例について概略構成を示す縦断側面図
図2】一の実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した例について概略構成を示す縦断背面図
図3】一の実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した例について電気的な構成を示すブロック図
図4】一の実施形態の熱交換部周辺の概略構成を示す背面図
図5】一の実施形態の熱交換部周辺の概略構成を熱交換部の上面を外して示す平面図
図6】一の実施形態の除去運転の概略内容を示す図
図7】一の実施形態の除去運転における各構成の動作内容を示すタイミングチャート
図8】送風工程の期間と残留花粉量とを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一の実施形態による衣類処理装置について図面を参照して説明する。本実施形態の衣類処理装置は、乾燥機能を備えた横軸又は斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、本実施形態の衣類処理装置は、乾燥機能を備えた或いは備えない縦軸型のいわゆる全自動洗濯機にも適用することができる。更になお、本実施形態の衣類処理装置は、洗濯機能を有さない構成にも適用することができる。
【0011】
図1及び図2に示す洗濯乾燥機10は、本実施形態の衣類処理装置の適用例である。洗濯乾燥機10は、外箱11、扉12、外槽13、回転槽14、ベローズ15、回転槽モータ16、給水機構17、排水機構18、送風装置19、風路20、乾燥ユニット30、及び制御装置40を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉12側つまり図1の紙面左側を洗濯乾燥機10の前側とする。外箱11は、例えばステンレス鋼板等によって矩形の中空箱状に形成されており、洗濯乾燥機10の外郭を構成している。外箱11は、前側部分に外槽13の内部と外箱11の外部とを連通する衣類出入口111を有している。更に、外箱11は、上面の背部に外槽13の内部と外箱11外部とを連通する外箱排気口112を有している。
【0012】
扉12は、外箱11の前部に設けられており、衣類出入口111を開閉可能に構成されている。ユーザは、扉12を開いた状態で、衣類出入口111を通じて衣類100を回転槽14に投入し又は回転槽14から取り出すことができる。
【0013】
外槽13は、前側に開口部131を有した有底円筒状に形成されている。本実施形態の場合、外槽13は、内部に水を貯留することができ、水槽として機能する。外槽13は、空気出口132と、空気入口133と、排水口134とを有している。空気出口132は、例えば外槽13の上部に形成されている。本実施形態では、空気出口132は、外槽13の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、外槽13の左右方向の中心つまり外槽13の筒状部分の周壁の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。空気入口133は、例えば外槽13の底部に形成されている。本実施形態では、空気入口133は、外槽13の底部において底部の上下方向の中心からやや上寄り部分に設けられている。排水口134は、外槽13の下部に形成されている。本実施形態では、排水口134は外槽13の周壁の最下部に形成されている。空気出口132と、空気入口133と、排水口134とは、それぞれ外槽13の内部と外部とを連通する。
【0014】
回転槽14は、衣類100を収容可能な有底円筒状に形成されており、外槽13の内部に回転可能に収容されている。回転槽14の回転軸は、外槽13の中心軸に重なっている。回転槽14は、複数の連通孔141を有している。連通孔141は、回転槽14の内部と外部とを連通する。連通孔141は、回転槽14の円筒形状の筒状部分を構成する周壁及び回転槽14の底部の全域に形成されている。連通孔141は、洗濯運転時及び脱水運転時には、主として水が出入する通水孔として機能し、乾燥運転時及び除去運転時には空気が出入する通風孔として機能する。また、詳細は図示しないが、回転槽14には、周壁の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽14の内部に収容された衣類100を攪拌する。
【0015】
ベローズ15は、外箱11の衣類出入口111及び外槽13の開口部131の周囲に設けられている。ベローズ15は、例えば円筒形の蛇腹状に形成されており、衣類出入口111と開口部131とを連通した状態で外箱11と外槽13とを弾性的に接続している。
【0016】
回転槽モータ16は、例えば外槽13の底部外側に設けられている。回転槽モータ16は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータを用いることができる。回転槽モータ16の軸部161は、外槽13の底部を貫いて外槽13の内側へ突出し、回転槽14の底部に固定されている。回転槽モータ16は、外槽13に対して回転槽14を相対的に回転させる。この場合、回転槽モータ16の軸部161、外槽13の中心軸、及び回転槽14の回転軸は、それぞれ一致している。本明細書において、回転槽14の回転数は、回転槽モータ16の回転数に一致している。
【0017】
給水機構17は、例えば水道などの外部の水源から供給される水を外槽13内に注水するための装置である。給水機構17は、例えば外箱11内において外槽13の上方、更に具体的には左右の一方寄りに設けられている。給水機構17は、メイン給水弁171、注水ケース172、及び注水パイプ173を備えている。
【0018】
メイン給水弁171は、電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。注水ケース172は、内部に洗剤や仕上げ剤等の洗濯処理剤を収容可能に構成されている。注水パイプ173は、メイン給水弁171と外槽13内とを接続している。メイン給水弁171は、外部の水源から給水機構17を介して外槽13内に至る注水経路を開閉する。メイン給水弁171が開放されると、外部の水源からの水は注水パイプ173を通って注水ケース172を介して外槽13内に注水される。その注水の際に注水ケース172に洗濯処理剤が貯留されていると、注水ケース172内の洗濯処理剤は注水ケース172を流れる水と共に外槽13内に流し落とされる。なお、洗濯乾燥機10は、必ずしも注水ケース172を備えていなくても良い。すなわち、洗濯乾燥機10は、ユーザが外槽13内に洗濯処理剤を直接投入する構成であっても良い。
【0019】
排水機構18は、外槽13の内部に貯留された水を、洗濯乾燥機10の機外へ排出する機能を有する。排水機構18は、排水弁181と排水管182とを含んで構成されている。排水弁181は、例えば電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、外槽13内から排水機構18を介して機外に至る排水経路を開閉する。
【0020】
送風装置19は、風路20の途中に設けられて、風路20内の空気を外槽13及び回転槽14に送ると共に、外槽13及び回転槽14内の空気を風路20内に引き込む機能を有する。送風装置19は、例えばシロッコファン等で構成することができる。送風装置19は、ファン191及びファンモータ192を含んで構成される。
【0021】
風路20は、外箱11の内部かつ外槽13の外側において、空気出口132と空気入口133とを繋いでいる。風路20は、図1の矢印Aで示すように外槽13内部の空気を空気出口132から風路20内部に取り込み、乾燥ユニット30を通して温風にしたのち、その温風を空気入口133から外槽13内部へ供給する機能を有する。
【0022】
風路20は、図2に示すように、例えば排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25を有して構成されている。排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、風路20内を流れる空気の流れに沿って、順に配置されている。
【0023】
排気ダクト21は、外槽13の空気出口132とフィルタ装置22とを繋ぐダクトである。フィルタ装置22は、内部に図示しないフィルタが設けられており、風路20内を流れる空気に含まれるリントや異物を捕集する。接続ダクト23は、フィルタ装置22と熱交換部24とを繋ぐダクトである。熱交換部24は、外箱11の内側下部で且つ外槽13及び回転槽14の下方に設けられている。外槽13から風路20に取り込まれた空気は、熱交換部24を通過する際に除湿及び加熱されて乾燥した温風となる。給気ダクト25は、熱交換部24と外槽13の空気入口133とを繋ぐダクトである。
【0024】
風路20は、風路排気口26を有している。風路排気口26は、風路20の途中に形成された開口部であって、風路20の内部と外部と機外とを連通する。本実施形態では、風路排気口26は、フィルタ装置22の下流側であって熱交換部24の上流側この場合接続ダクト23に形成されている。図1に示すように、風路排気口26は、外箱11に形成された外箱排気口112に連通している。これにより、風路排気口26は、風路20の内部と機外とを連通する。
【0025】
また、風路20には風路排気口26を開閉するダンパ27が設けられている。ダンパ27は、図4に示すダンパモータ271によって回動して、風路排気口26を開閉する。ダンパ27を開閉することにより、図1の矢印Cで示すように、風路20内の空気の一部を風路20外この場合外箱11外に排出することができる。
【0026】
乾燥ユニット30は、風路20の途中に設けられ、回転槽14内に収容された衣類を乾燥する温風を生成する。乾燥ユニット30によって生成された温風は、送風装置19の送風機能によって外槽13内に供給にされる。乾燥ユニット30は、温風を生成する。送風装置19は、乾燥ユニット30に空気を送り込み、乾燥ユニット30が生成した温風を空気入口133から外槽13内へ供給する。乾燥ユニット30は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の加熱装置を含んで構成することができる。本実施形態の場合、乾燥ユニット30は、ヒートポンプ式の加熱装置を含んで構成されており、蒸発器31、凝縮器32、圧縮機33、絞り器34、及び冷媒管35を有している。
【0027】
蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24内に設けられている。蒸発器31は、乾燥運転時における熱交換部24内の空気の流れに対して、凝縮器32よりも上流側に設けられている。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24の外側に設けられた圧縮機33及び絞り器34と共に、冷媒管35によってサイクル接続されたヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成する。熱交換部24内を通る空気は、蒸発器31によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器31によって除湿された空気は、その後、凝縮器32によって加熱されて温風になる。
【0028】
熱交換部24の下流側は、給気ダクト25によって外槽13の空気入口133に接続されている。送風装置19は、例えば熱交換部24と給気ダクト25との接続部分に設けられている。送風装置19は、熱交換部24内の空気を吸い込み、給気ダクト25側へ吐出する。これにより、熱交換部24で除湿及び加熱された温風は、送風装置19の送風作用によって空気入口133から外槽13内、更には回転槽14内へ供給される。
【0029】
洗濯乾燥機10は、洗濯機能と、乾燥機能と、を備えている。洗濯乾燥機10は、制御装置40と、メイン運転処理部41とを備える。制御装置40は、CPU401や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶領域402を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置40は、洗濯乾燥機10全体の動作を管理する機能を有する。回転槽モータ16と、メイン給水弁171と、排水弁181と、ファンモータ192と、乾燥ユニット30とは、制御装置40に電気的に接続されており、制御装置40の制御を受けて動作する。なお、本明細書において、制御装置40が乾燥ユニット30を動作させるとは加熱装置としても乾燥ユニット30を駆動することを意味し、本実施形態では圧縮機33を駆動することを含む。また、乾燥ユニット30が制御装置40に電気的に接続されるとは、圧縮機33が制御装置40に電気的に接続されることを意味する。
【0030】
メイン運転処理部41は、回転槽モータ16と、メイン給水弁171と、排水弁181と、ファンモータ192と、ダンパモータ271と、乾燥ユニット30とを必要に応じて動作させることにより、洗濯運転と、乾燥運転と、洗濯乾燥運転と、を選択的に実行することができる。なお、本実施形態において、洗濯運転、乾燥運転、洗濯乾燥運転、及び下記に述べる除去運転における「運転」とは、1以上の工程を実行するコースであり、ユーザが洗濯可能な動作単位である。ユーザは、操作パネルなどを操作することにより、洗濯運転、乾燥運転、洗濯乾燥運転、除去運転を含むコースのうち所望の運転を選択して実行することができる。
【0031】
洗濯運転は、主に衣類の洗濯を目的としており、洗い工程、濯ぎ工程、及び脱水工程の少なくともいずれか一つの工程を含んでいる。乾燥運転は、主に濡れた衣類の乾燥を目的としており、乾燥工程を含んでいる。洗濯乾燥運転は、主に衣類の洗濯及び濡れた衣類の乾燥を目的としており、洗濯運転及び乾燥運転を含んでいる。なお、各運転の具体的内容については、衣類の量や汚れの程度や状態に応じて自動で、又は操作パネルに対するユーザの操作に基づいて適宜変更することができる。
【0032】
洗い工程は、外槽13内に水を貯留した状態で回転槽14を回転させる等して回転槽14内の衣類を水とともに攪拌し、これにより衣類を洗う工程である。メイン運転処理部41は、洗い工程が実行されると、排水弁181を閉じた状態でメイン給水弁171を開いて外槽13内に注水する。この時、注水ケース172内に投入された洗剤などの洗濯処理剤は、注水に伴って外槽13内に投入される。メイン運転処理部41は、更にメイン給水弁171及び排水弁181を閉じた状態で回転槽モータ16を主に低速で動作させることで回転槽14を回転させて、回転槽14内の衣類を叩き洗いする。なお、洗濯工程において、メイン運転処理部41は、例えばメイン給水弁171を間欠的に開閉するなどして注水を行ってもよい。
【0033】
脱水工程は、回転槽14を高速回転させて、濡れた衣類を遠心脱水する工程である。メイン運転処理部41は、脱水工程が実行されると、メイン給水弁171を閉じた状態で排水弁181を開き、これにより外槽13内に貯留されている水を排水する。また、メイン運転処理部41は、回転槽モータ16を高速動作させることで回転槽14を高速回転させて、これにより回転槽14内に収容された濡れた衣類に含まれた水分を排水する。
【0034】
濯ぎ工程は、外槽13内に水を貯留した状態で回転槽モータ16を動作させて回転槽14を開閉させるなどして回転槽14内の衣類を水とともに攪拌し、これにより衣類を濯ぐ工程である。メイン運転処理部41は、濯ぎ工程が実行されると、洗い工程と同様に、排水弁181を閉じた状態でメイン給水弁171を開いて外槽13内に注水する。この時、注水ケース172内に投入された仕上げ剤などの洗濯処理剤は、注水に伴って外槽13内に投入される。続いて、メイン運転処理部41は、洗い工程と同様に、例えばメイン給水弁171及び排水弁181を閉じた状態で回転槽モータ16を主に低速で動作させて回転槽14内の衣類を濯ぐ。なお、濯ぎ工程において、メイン運転処理部41は、例えばメイン給水弁171を間欠的に開閉するなどして注水を行ってもよい。
【0035】
乾燥工程は、回転槽14を中速で回転させて衣類を攪拌しながら乾燥ユニット30及び送風装置19を動作させて衣類に温風を当てることで、回転槽14内に収容された衣類を乾燥させる工程である。洗濯乾燥運転の場合、乾燥工程は、脱水工程の後に実行される。メイン運転処理部41は、乾燥工程が実行されると、メイン給水弁171及び排水弁181を閉じた状態で回転槽モータ16を中速で回転させるとともに乾燥ユニット30及び送風装置19を動作させる。乾燥工程における回転槽14の回転数は、約50rpm~60rpmの範囲内に設定することができる。
【0036】
洗濯乾燥機10は、更に異物除去機能を備えている。異物除去機能により、洗濯乾燥機10は、μmオーダー以下のサイズの異物であっても衣類から除去することができる。ここで、風路20にはフィルタ装置22が設けられているが、異物の粒径が細かい場合、フィルタ装置22では捕集できないことがある。例えば、アレルゲンとして知られているスギやヒノキの花粉は直径が約30~40μm、黄砂は直径が約4μm、PM2.5は直径が2.5μm以下である。この場合、送風装置19を駆動して、衣類100から遊離した異物を風路20に排出してフィルタ装置22で捕集しようとしても、異物の粒径の方がフィルタの網目よりも細かいため、異物がフィルタ装置22をすり抜けてしまい、再び回転槽14内に戻って来てしまう虞がある。
【0037】
洗濯乾燥機10は、除去運転処理部42と、散水機構50とを備える。除去運転処理部42は、回転槽モータ16と、排水弁181と、送風装置19と、ダンパモータ271と、散水機構50とを必要に応じて動作させることにより除去運転を実行することができる。
【0038】
散水機構50は、風路20の途中に設けられて、風路20の一部に散水する。散水機構50によって散水された水は、風路20内の構成を濡らして、風路20内に排出された綿埃や花粉等の異物を捕集する。
【0039】
散水機構50は、散水用給水弁51と、散水パイプ52と、散水装置53と、を含んで構成される。散水用給水弁51は、液体用の電磁弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。散水用給水弁51は、散水パイプ52を開閉する。散水パイプ52は、散水用給水弁51と散水装置53とを接続する。散水用給水弁51が開放されると、外部の水源からの水が散水パイプ52を通って散水装置53に供給される。
【0040】
散水装置53は、風路20内の移動距離に関して空気入口133から離れた位置に散水する。これにより、散水装置53から散水された水が、送風装置19の送風作用によって撒き上げられて、外槽13及び回転槽14内に移動し、その結果衣類100を濡らしてしまうことを抑制する。
【0041】
本実施形態では、散水装置53は熱交換部24に取り付けられている。具体的には、散水装置53は、熱交換部24の上面において、蒸発器31の上面311と対向して設けられている。より具体的には、散水装置53は、蒸発器31の風上側面312寄りつまり図2の紙面左寄り部分に対向して設けられている。蒸発器31は、詳細は図示しないが、冷媒を内部に通す複数のチューブと、隣接するチューブ間に設けられている複数のフィンとを有する。散水装置53は、蒸発器31の図示しない複数のフィンに対して散水する。
【0042】
散水装置53は、風上側面312の長手方向に平行に延びる中空の細長矩形に形成されて、上面531と、下面532とを有する。散水装置53の上面531には、厚み方向に貫いて注水口54が形成されており、散水パイプ52の下流端が接続されている。散水装置53の下面532には、厚み方向に貫いて多数の吐出口55が散水装置53の長手方向に沿って並んで配置されている。散水用給水弁51が開くと、散水パイプ52を通って供給された外部の水源からの水が、注水口54から散水装置53内部に流入し多数の吐出口55から蒸発器31のフィンに対して散水される。
【0043】
散水機構50は、更に貯水部56と、接続管57と、ドレンポンプ58と、を有している。貯水部56は、熱交換部24において蒸発器31の下方に設けられて、上方に向けて開口した容器状に形成されており、蒸発器31から落下した水を内部に受けて貯留する。接続管57は、貯水部56と排水管182とを接続する。接続管57は、排水弁181の上流側において排水管182と接続している。貯水部56は、外槽13の下方に位置する熱交換部24の下部に配置されているため、排水弁181よりも低い位置にある。ドレンポンプ58は、貯水部56内部に貯留された水を接続管57を通して排水管182まで汲み上げる。
【0044】
なお、貯水部56は、乾燥ユニット30の稼働時に蒸発器31に生じた結露水を受ける機能を有していてもよい。
【0045】
制御装置40の記憶領域402は、メイン運転処理部41と除去運転処理部42とをそれぞれ実現するためのプログラムを記憶している。制御装置40は、記憶領域402に記憶されている上記プログラムをCPU401において実行することにより、メイン運転処理部41及び除去運転処理部42をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、メイン運転処理部41及び除去運転処理部42は、制御装置40と一体の集積回路としてハードウェア的に実現しても良い。
【0046】
除去運転は、主に衣類100からの異物の除去を目的としており、図6に示すように、少なくとも散水工程と、送風工程とを含んでいる。散水工程は、散水用給水弁51を開いて風路20内部の蒸発器31に散水し、これにより風路20内部に花粉などの異物を捕集する部位を形成する工程である。送風工程は、回転槽14を回転させて回転槽14内の衣類100を落下させて衣類100から異物を払い落とすとともに、送風装置19の送風機能によって払い落とした異物を風路20に排気させて風路20内の濡れた部位つまりこの場合蒸発器31によって異物を捕集する工程である。
【0047】
図6に示すように、除去運転処理部42は、除去運転において、複数回この場合2回散水工程を実行する。除去運転処理部42は、送風工程を実行する期間以前の期間に散水工程を実行する。これにより、送風工程実行前に、蒸発器31のフィンの表面を濡らして異物を捕集可能な状態とすることができるため、衣類100から払い落とされた異物が、風路20を循環して外槽13及び回転槽14内部に戻り、衣類100に再度付着することを抑制できる。すなわち、第1回目の散水工程は、異物を捕集する送風工程前の準備工程である。
【0048】
なお、他の実施形態では、送風工程を実行する期間を複数に分けて、各期間の間に散水工程を実行しても良い。循環風によって蒸発器31の表面の水が乾いてしまった場合、再度散水工程を実行することで、蒸発器31の表面を濡らして効率的に異物を捕集することができる。
【0049】
図6に示すように、除去運転処理部42は、送風工程を実行した期間以降の期間に散水工程を実行する。これにより、送風工程中に蒸発器31のフィンの表面に捕集された異物を洗い落とし、風路20内部を清掃することができる。そのため、次回運転時に、蒸発器31に捕集された異物が風路20を移動して、外槽13及び回転槽14及び回転槽14内部の衣類100に付着することを抑制できる。すなわち、最終回この場合第2回目の散水工程は、異物を捕集する送風工程後の洗浄工程である。
【0050】
除去運転処理部42は、散水工程実行後の期間において、排水処理を実行する。排水処理は、散水工程によって風路20内に供給された水を、排水管182から機外に排出する工程である。排水処理が実行されると、除去運転処理部42は、排水弁181を開くとともに、ドレンポンプ58を駆動する。これにより、貯水部56に貯留された水がドレンポンプ58の組み上げ機能によって機外排出される。
【0051】
排水処理は、散水工程又は送風工程と同時に実行されてもよいし、散水工程又は送風工程とは独立して実行されても良い。本実施形態では、初回の散水工程後の排水処理は、送風工程と同時に実行される。すなわち、初回の散水期間T1後の排水処理の期間つまり初回の排水期間T2は、送風工程の期間である送風期間T3と同時に開始される。また、最終回この場合第2回目の散水工程後の排水処理は、散水工程又は送風工程から独立して実行される。すなわち、最終回この場合第2回目の散水工程の期間である散水期間T4後の排水処理の期間つまり第2回目の排水期間T5は、散水期間T4終了後に開始される。
【0052】
なお、別の実施形態では、初回の散水期間T1及び又は最終回の散水期間T4の終盤に排水処理を開始しても良い。また、初回の排水期間T2が終わってから又は途中で送風期間T3を開始しても良い。
【0053】
図7を参照して、散水工程における除去運転処理部42の処理内容について説明する。散水工程における除去運転処理部42の制御内容は、初回の散水期間T1と最終回の散水期間T4とで同様である。除去運転処理部42は、散水用給水弁51を開いて、散水装置53から蒸発器31に散水する。また、除去運転処理部42は、送風装置19を駆動せず風路20内の空気の強制循環はしない。これにより、散水された水が循環空気によって下流に流れて、蒸発器31に到達しないことを抑制する。
【0054】
散水工程において、除去運転処理部42は、回転槽モータ16は駆動せず、回転槽14は静止している。除去運転処理部42は、排水弁181を閉じた状態に維持し、ドレンポンプ58を駆動しない。すなわち、散水工程中、散水された水は貯水部56に貯留されて機外に排出されない。本実施形態では、除去運転処理部42は、散水工程においてダンパ27を開いた状態に維持するが、これに限らない。他の実施形態では、除去運転処理部42はダンパ27を閉じた状態に維持しても良い。
【0055】
散水期間T1及びT4の長さは、蒸発器31の表面を十分に濡らすことができればよく、例えば約5~約10秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、散水期間T1及びT4の長さは、それぞれ約7秒に設定されている。
【0056】
送風工程における除去運転処理部42の処理内容について説明する。送風期間T3が始まると、除去運転処理部42は、排水処理を実行する。これにより、初回の散水期間T1において貯水部に貯留された水が機外に排出される。排水処理の期間は、貯水部56に貯留された水を機外に十分排出できる期間であればよく、例えば約15~30秒の範囲内に設定されている。本実施形態では、排水処理の期間は、約18秒に設定されている。初回の排水期間T2が終了すると、除去運転処理部42は、排水弁181を閉じ、ドレンポンプ58を停止する。
【0057】
送風期間T3において、除去運転処理部42は、送風装置19を駆動する。本実施形態では、送風期間T3を通して送風装置19の回転数は一定に設定されているが、変動させても良い。送風装置19の回転数は、たとえは約2500rpm~約3500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、送風装置19の回転数は3000rpmに設定されている。
【0058】
送風期間T3の間、除去運転処理部42はダンパ27を閉じる。これにより、風路排気口26及び外箱排気口112を介して、衣類100から払い落とされた異物が風路20外及び洗濯乾燥機10が設置してある室内に排出されることが抑制される。
【0059】
送風期間T3の間、除去運転処理部42は回転槽モータ16を駆動して、回転槽14を周期的に回転させる。本実施形態では、除去運転処理部42は回転槽モータ16を駆動して、回転槽14を周期的に正逆回転させる。除去運転処理部42は、回転槽モータ16を一の方向に回転させ、回転数を目標回転数Xrpmまで増加させる。除去運転処理部42は、回転数が目標回転数Xrpmに達したら、遠心力によって回転槽14に張り付いた衣類が落下する程度の回転数Yrpmまで回転槽モータ16を減速させる。本実施形態では、除去運転処理部42は回転槽モータ16の回転数が0rpmとなるまで減速させる。回転槽モータ16の回転数が0rpmに達したら、除去運転処理部42は回転槽モータ16を逆方向である他の方向に回転させる。除去運転処理部42は、図7の「-Xrpm」で示すように逆方向への回転数が目標回転数Xrpmに達したら、遠心力によって回転槽14に張り付いた衣類が落下する程度の回転数Yrpmまで回転槽モータ16を減速させる。本実施形態では、除去運転処理部42は回転槽モータ16の回転数が0rpmとなるまで減速させる。回転槽モータ16の回転数が0rpmに達したら、除去運転処理部42は回転槽モータ16を再び一の方向に回転させる。このようにして、回転槽14を周期的に加減速して回転させることによって、衣類100を持ち上げて回転槽14の下部に叩きつけるいわゆるタンブリングを行う。これにより、衣類100に付着した花粉などの細かい異物が払い落とされ、送風装置19の送風機能によって空気出口132から外槽13外に排出される。
【0060】
目標回転数Xrpmは、回転槽14内の衣類100が遠心力によって回転槽14の周壁に貼り付く所定の範囲内に設定されている。すなわち、回転槽14が目標回転数Xrpmで回転する場合、衣類が受ける遠心力の寄与が重力の寄与を上回る。目標回転数Xrpmは、例えば40rpm~50rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、目標回転数Xrpmは約47rpmに設定されている。減速後の回転数Yrpmは、目標回転数Xrpmでの回転によって回転槽14の周壁に貼り付いた衣類が、下方に落下する程度の回転数である。すなわち、回転槽14が減速後の回転数Yrpmで回転する場合、衣類が受ける重力の寄与が遠心力の寄与を上回る。減速後の回転数Yrpmは、例えば40rpm未満の範囲内に設定することができる。本実施形態では、回転数Yrpmは0rpmに設定されている。
【0061】
なお、本実施形態では、除去運転処理部42は、送風期間T3において回転槽モータ16を正逆回転させるが、これに限らない。例えば、他の実施形態では、除去運転処理部42は、送風期間T3において回転槽モータ16を一方向に回転させ、目標回転数Xrpmに達したらYrpmまで減速し、回転数Yrpmまで減速したら再度目標回転数Xrpmまで加速するといった態様で、回転槽14を周期的に回転させても良い。
【0062】
除去運転処理部42は、送風期間T3において散水用給水弁51を閉じる。これにより、散水装置53から散水された水が送風機の送風作用によって撒き上げられて風路20内を移動して、回転槽14内部の衣類100を濡らすことが抑制される。
【0063】
送風工程の期間は、衣類100から異物を十分払い落とすことができる期間であればよく、例えば約10~30分の範囲内に設定されている。本実施形態では、送風工程の期間は、約14分に設定されている。
【0064】
図8には、送風工程の期間と花粉の残留量とのグラフを示している。送風期間が0分の場合の花粉の量を100%とすると、送風期間が10分では、花粉の量が約10%まで減少した。つまり、10分間の送風工程によって、約90%の花粉を衣類100から除去することができた。
【0065】
送風期間T3が終了すると、除去運転処理部42は、散水工程を実行する。そして、最終回の散水期間T4が終了すると、除去運転処理部42は、排水処理を実行する。最終回の排水期間T5が終了すると、除去運転処理部42は、除去運転を終了する。
【0066】
なお、除去運転処理部42は、除去運転間、乾燥ユニット30具体的には圧縮機33を駆動しない。つまり、除去運転において送風装置19が送風する空気は、加熱されていない空気である。そのため、熱に弱い素材でできた衣類100に対しても、除去運転を施すことができる。
【0067】
除去運転は、乾いた状態の衣類に対して施すことを意図している。そのため、一般的に、洗濯運転を経るなどして濡れた状態の衣類に対して施すことを意図した乾燥運転よりも短期間で終了する。例えば、乾燥運転の所要時間は90分以上に設定することができるのに対して、除去運転の所要時間は例えば10分~30分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、除去運転の所要時間は約15分に設定されている。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外槽13と、回転槽14と、回転槽モータ16と、送風装置19と、風路20と、散水装置53と、散水経路としての散水パイプ52と、散水経路を開閉する給水弁としての散水用給水弁51と、除去運転処理部42と、を備える。外槽13は、空気入口133と空気出口132とを有する。回転槽14は、外槽13内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能である。回転槽モータ16は、回転槽14を回転駆動する。送風装置19は、外槽13内に空気を送風する。風路20は、外槽13の外部に設けられ、空気出口132と空気入口133とを繋ぐ。送風装置19は、風路20内に設けられて外槽13内に空気を送風する。散水装置53は、風路20内に散水して異物を捕集する。散水経路としての散水パイプ52は散水装置53に外部の水源からの水を供給する。散水用給水弁51は散水パイプ52を開閉する。除去運転処理部は、散水用給水弁51を開いて風路20内に散水する散水工程と、散水用給水弁51を閉じた状態で送風装置19を駆動して加熱しない空気を外槽13に送風すると共に、回転槽モータ16を駆動して回転槽14を回転させる送風工程と、を含む除去運転を実行可能に構成されている。
【0069】
これにより、衣類に付着した花粉などの異物を、回転槽14を正逆回転させて衣類を落下させるいわゆるタンブリングにより払い落とし、送風によって風路20に回収して、風路20の濡れた部分で捕集する。これにより、フィルタ装置22では捕集できない花粉等の細かい粒径の異物も捕集することができる。また、タンブリングすることで、短時間で花粉を衣類から振り落とすことができる。更に、送風空気を加熱しないので、熱に弱い衣類に対しても除去運転を適用することができる。衣類を傷めず短期間で花粉などの異物を除去可能な衣類処理装置が提供される。
【0070】
洗濯乾燥機10は、風路20内に設けられた熱交換器としての蒸発器31を更に備える。散水装置53は、蒸発器31に散水する。
【0071】
蒸発器31は、循環風に当たる表面積が大きくなるように設計された多数のフィンを有している。そのため、蒸発器31の表面、具体的には多数のフィンの表面を濡らすことで、効率的に異物を捕集することができる。
【0072】
ここで、花粉などの異物をタンブリングにより払い落としても、粒子径の細かい花粉などの異物はフィルタ装置22で捕集することが難しい。外槽13からの排気は風路20を循環して再び空気入口133から外槽13及び回転槽14内部に戻って来るため、払い落とした異物が再び回転槽14内部に戻り衣類に付着する虞がある。
【0073】
これに対して、除去運転処理部42は、送風工程を実行する期間つまり送風期間T3以前に散水工程を実行する。
【0074】
これにより、蒸発器31が濡れた状態でタンブリング及び送風が実行されるため、払い落とされた異物はより確実に蒸発器31に捕集される。したがって、払い落とした異物が回転槽14内に戻り再び衣類に付着することが抑制される。
【0075】
送風工程の間に蒸発器31に付着した異物をそのまま放置した場合、異物は風路20内に留まることになる。蒸発器31が乾いた後は、異物は再度蒸発器31から遊離して、風路20内を移動することが可能になる。この場合、例えば次回の乾燥運転時に送風装置19を駆動すると、異物が回転槽14内の衣類に付着してしまう虞がある。
【0076】
除去運転処理部42は、送風工程を実行する期間つまり送風期間T3以後に散水工程を実行する。
【0077】
これにより、蒸発器31に捕集した異物を散水により清掃し、機内に異物を留めない。そのため、次回送風装置を運転する際に、衣類や風路20内又は外槽13若しくは回転槽14内に異物が付着することが抑制される。
【0078】
洗濯乾燥機10は、貯水部56と、排水経路としての接続管57及び排水管182と、排水弁181とを備える。貯水部56は、少なくとも一部が風路20内に開放された容器状に形成されて熱交換器としての蒸発器31に散水された水を受ける。排水経路としての接続管57及び排水管182は、貯水部56と外箱11外部とを接続する。排水弁181は、排水管182を開閉する。除去運転処理部42は、散水工程を実行する期間つまり散水期間T1又はT4後、排水弁181を開いて貯水部56から排水する排水処理を実行する。
【0079】
これにより、蒸発器31に捕集した異物を機外に確実に排出することができる。
【0080】
なお、初回の排水期間T2は送風期間T3の初期と重なっている。そのため、初回の排水期間T2において、貯水部56にまだ水が残っている状態においては、貯水部56の水面に異物を捕集することが期待できる。
【0081】
除去運転処理部42は、送風工程において、回転槽14の回転数を所定の目標回転数Xrpmまで加速し、目標回転数Xrpmに達したら衣類の受ける重力の寄与が衣類の受ける遠心力の寄与を上回る回転数まで減速する態様で回転槽14を周期的に回転させる。目標回転数Xrpmは、衣類が遠心力によって回転槽14に貼り付く所定の範囲内に設定されている。
【0082】
目標回転数Xrpmでは衣類が回転槽14の周壁に貼り付いている。回転槽14が減速することで重力の寄与が遠心力に勝って衣類が落下することにより、衣類が回転槽14の下部に叩きつけられ、その衝撃によって異物が払い落される。これにより、異物除去の効率が更に向上する。
【0083】
なお、本実施形態では、除去運転処理部42は、送風工程において、回転槽14の回転数を0rpmから所定の目標回転数Xrpmまで加速し、目標回転数Xrpmに達したら0rpmまで減速する態様で回転槽14を正逆交互に周期的に回転させる。
【0084】
目標回転数は、40rpm~50rpmの範囲内に設定されている。
【0085】
洗濯乾燥機10は、風路20に設けられた排気口としての風路排気口26と、風路排気口26を開閉するダンパ27と、を備える。除去運転処理部42は、送風工程の実行期間である送風期間T3中にダンパ27を閉じる。
【0086】
これにより、送風期間T3の間、循環風は外槽13及び回転槽14と風路20との間を循環し、機外に排出されない。そのため、花粉などの細かい異物を洗濯乾燥機10が設置された室内に放出することが抑制される。
【0087】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10…洗濯乾燥機(衣類処理装置)、13…外槽、132…空気出口、133…空気入口、14…回転槽、16…回転槽モータ、19…送風装置、20…風路、26…排気口、27…ダンパ、42…除去運転処理部、50…散水機構、51…散水用給水弁、52…散水パイプ、53…散水装置、56…貯水部、57…接続管、58…ドレンポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8