(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144166
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】カテーテルセット
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61M25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027221
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2023053413
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康弘
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267GG02
(57)【要約】
【課題】カテーテルの外層側に別部材を容易に渡らせることができるカテーテルセットを提供する。
【解決手段】カテーテルセット1はカテーテル100とハブ200とエクステンション部材300とを有する。カテーテル100は本体部110と接続部120とを有する。本体部110は長尺であって内部にルーメン111が通孔形成されている。接続部120は本体部の基端に形成されている。ハブ200は本体部110に取付けたときにルーメン111と通じる中空部210を有する。エクステンション部材300は長尺である。ハブ200は接続部120を介して本体部110から取外し可能かつ本体部110に取付け可能である。さらに、エクステンション部材300は接続部120を介して本体部110から取外し可能かつ本体部110に取付け可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺であって内部にルーメンが通孔形成されている本体部と、前記本体部の基端に形成された接続部とを有するカテーテルと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって前記本体部に取付けたときに前記ルーメンと通じる中空部を有するハブと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって長尺のエクステンション部材と、を有する、カテーテルセット。
【請求項2】
前記エクステンション部材の長手方向における前記エクステンション部材の長さは、前記カテーテルの長手方向における前記カテーテルの長さと同等またはそれより大きい、請求項1に記載のカテーテルセット。
【請求項3】
前記接続部は、前記本体部の基端部の外周に形成されたねじ溝形成部であり、
前記ハブおよび前記エクステンション部材は、前記ねじ溝形成部に対応した雌ねじ部を有しており、
前記本体部は、前記本体部の長手方向を巻軸方向としてワイヤが巻回されてなる補強層を含み、
前記補強層が前記基端部よりも先端側の領域から前記基端部に渡って配置されている、請求項2に記載のカテーテルセット。
【請求項4】
前記本体部および前記エクステンション部材の横断面は円形であり、
前記カテーテルにおいて前記先端側の領域であって前記基端部に隣り合う一部長さ領域の外径と前記エクステンション部材の外径とが同等である、請求項3に記載のカテーテルセット。
【請求項5】
前記本体部の前記基端部の外径は、前記一部長さ領域の外径よりも小さく、
前記接続部の外径は、前記一部長さ領域の外径と同等である、またはそれよりも小さい、請求項4に記載のカテーテルセット。
【請求項6】
前記基端部に配置されている前記補強層は前記接続部に接している、請求項5に記載のカテーテルセット。
【請求項7】
前記エクステンション部材の外径よりも大きい内径を有するルーメンが通孔形成された第二のカテーテルを含む、請求項6に記載のカテーテルセット。
【請求項8】
前記エクステンション部材の長さは、前記第二のカテーテルの長さよりも大きい、請求項7に記載のカテーテルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
体内腔に挿通されたカテーテルに関して、別部材が当該カテーテルの外層側に被るように配置される場合がある。
例えば、体内腔における一部にカテーテルの先端を侵入させる場合に、二本以上のカテーテルが用いられる場合がある。この種の技術に関し、下記特許文献1には、カテーテル(506)、中間カテーテル(582)および被制御カテーテル(502)の三本のカテーテルを用いた三軸システムが開示されている。具体的には、カテーテル(506)は中間カテーテル(582)を収容する中空内腔を有し、中間カテーテル(582)は被制御カテーテル(502)を収容する中空内腔を有する。このようなカテーテルシステムにおいては、被制御カテーテル(502)の外層側に中間カテーテルが被さって配置され、中間カテーテル(582)のさらに外層側にカテーテル(506)が被さって配置される。このように三本のカテーテルを重ねて配置し、各カテーテルを順に延伸させることでカテーテル先端は体内腔の所望の位置に到達する。
または、体内腔に侵入させたカテーテルの外層側にバルーンカテーテル等他の部材が被さるように配置される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カテーテルを体内腔に挿通させるときには、薬剤を注入するためのシリンジを接続するためのハブがカテーテルの基端に設けられていることがある。一般的なハブは、カテーテルの横断面よりも大きな形状を有している。しかしながら、カテーテルの外層側に渡らせる別部材(例えば他のカテーテルまたはバルーンカテーテル)の横断面は、体内腔に挿通させるために小さな形状を有している必要がある。このため、カテーテルの外層側に別部材を渡らせようとした場合、当該別部材に設けられた貫通孔に大径のハブを通すことはできない。そのため、カテーテルの外層側に別部材を被せるときには、当該カテーテルを体内腔から一度抜去し直す必要、または特殊な機構を有する別部材を用いる必要等があった。
【0005】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、カテーテルの外層側に別部材を容易に渡らせることができるカテーテルセットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカテーテルセットは、長尺であって内部にルーメンが通孔形成されている本体部と、前記本体部の基端に形成された接続部とを有するカテーテルと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって前記本体部に取付けたときに前記ルーメンと通じる中空部を有するハブと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって長尺のエクステンション部材と、を有することを特徴とする。
【0007】
ハブまたはエクステンション部材をカテーテルの同一の部位に取付けまたは当該部位から取外しできることにより、カテーテルの外層側に別部材を渡らせる場合に本体部からハブが取外され、本体部にエクステンション部材が取付けられる。このようにすることで、当該別部材は、ハブに干渉することなく、カテーテルの外層側に渡るよう配置されてカテーテルの先端側まで移動することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカテーテルセットによれば、カテーテルを抜去する工程等を行うことなく、または特殊な機構を有する別部材を用いることなく、カテーテルを体内腔に留置した状態でカテーテルの外層側に当該別部材を渡らせることができる。これにより、カテーテルの外層側に別部材を容易に渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態にかかるカテーテルセットの一例を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2(a)は第一実施形態にかかるカテーテルにハブを取付けたときの側面図である。ルーメン、中空部、接続部およびハブ側雌ねじ部を点線で示している。
図2(b)は
図2(a)中の二点鎖線に示す範囲の拡大図である。
【
図3】第一実施形態にかかるカテーテルにエクステンション部材を取付けたときの側面図である。ルーメン、接続部およびエクステンション側雌ねじ部を点線で示している。
【
図4】第一実施形態にかかるカテーテルセットの使用時を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のカテーテルセットを構成するカテーテル、ハブおよびエクステンション部材等の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
また、本発明のカテーテルセットの使用方法を、順番に記載された複数の工程を用いて説明する場合があるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番やタイミングを限定するものではない。このため、本発明のカテーテルセットの使用方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各図面において、対応する構成要素には共通の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
また、本発明でいう平面とは、平面を目標として物理的に形成した形状を意味しており、当然ながら幾何学的に完全な平面であることは要しない。
【0012】
<第一実施形態>
(カテーテルセット)
図1は、本発明の第一の実施形態にかかるカテーテルセット1の一例を示す模式的な斜視図である。
【0013】
はじめに、本実施形態のカテーテルセット1の概要について説明する。
カテーテルセット1はカテーテル100とハブ200とエクステンション部材300とを有する。カテーテル100は本体部110と接続部120とを有する。
本体部110は長尺であって内部にルーメン111が通孔形成されている。ハブ200は本体部110に取付けたときにルーメン111と通じる中空部210を有する。エクステンション部材300は長尺である。
【0014】
次に、本実施形態のカテーテルセット1について詳細に説明する。
カテーテルセット1とは、カテーテル100および当該カテーテル100を使用するにあたって利用可能な部品を含むものである。カテーテル100およびカテーテル100を使用するに当たって利用可能な部品(本実施形態におけるハブ200およびエクステンション部材300等)は、少なくとも一部の当該部品とカテーテル100とが取付けられた状態で提供されてもよく、取外された状態で別個に提供されてもよい。
カテーテル100は、体内腔に挿入される長尺の医療機器である。例えば、カテーテル100は血管等の体内腔に挿通されて所望の位置まで進入される。カテーテル100は当該所望の位置に薬剤を注入する、または当該所望の位置の血管を押し広げる等して体内腔内部の流量の調整するために用いられる。以下において、カテーテル100および後述する本体部110の両端のうち体内腔に挿通される一端を先端、また当該一端側を先端側と呼ぶ。また、先端と反対側の他端を基端と呼び、当該他端側を基端側と呼ぶ。
本体部110は、カテーテル100のうち体内腔に挿通される一部分であり、可撓性を有する部分である。本体部110の全部が体内腔に挿通される必要はなく、本体部110における少なくとも先端側の一部が体内腔に挿通される。本実施形態における本体部110は、
図2(a)に図示されるように、先端側の一部長さ領域の横断面は基端側の一部長さ領域の横断面よりも大きな形状および寸法を有する。ここで長尺な部材について横断面といった場合、横断面は当該部材の長手方向に対して垂直な面における断面を意味する。以下において本体部110およびカテーテル100の長手方向を本体部110またはカテーテル100の軸方向、あるいは単に軸方向と呼ぶ。
上述したように本体部110は内部にルーメン111が通孔形成されている。ルーメン111は軸方向に延在して、基端および先端において開口している。ルーメン111を通じて後述するハブ200から本体部110の先端へ薬剤等の液剤が注入されうる。または、
図4に図示されるように、ルーメン111にはガイドワイヤ500または小径のカテーテルが挿通されうる。
【0015】
図1に図示されるハブ200は、造影剤を含む薬剤等の液剤を注入するためのシリンジ(図示しない)を接続するための部品である。一般的にシリンジは液剤で満たされる。ハブ200はシリンジ装着部230を備え、当該シリンジ装着部230においてシリンジと接続する。本実施形態においてシリンジ装着部230は後述する円筒部240の基端に設けられている。ハブ200(特にシリンジ装着部230)とシリンジとは、直接に接続されてもよく、間接に接続されてもよい。例えば、ハブ200とシリンジとは短尺または長尺のチューブを介して間接に接続していてもよい。
ハブ200はカテーテル100の横断面より大きい形状および寸法の横断面を有する。ハブ200の横断面とは、カテーテル100に接続したときのカテーテル100の軸方向に垂直な面におけるハブ200の断面である。また、ハブ200は後述する第二カテーテル400に設けられた第二ルーメン410(
図4参照)の横断面より大きい形状および寸法の横断面を有する。本実施形態においては、ハブ200は後述する中空部210が形成された円筒部240を有する。当該円筒部240の横断面における半径は、カテーテル100の横断面における半径よりも大きい。また、当該円筒部240の横断面における半径は、第二ルーメン410の横断面における半径よりも大きいことが好ましい。さらに、本実施形態のハブ200は一対の板状の翼部250を有する。翼部250は円筒部240の表面に設けられており、カテーテル100の径方向に突出している。翼部250の突出方向におけるハブ200の最大寸法は、後述する第二カテーテル400の第二ルーメン410の横断面における直径よりも大きい。カテーテル100(本体部110)の径方向とは、カテーテル100(本体部110)の軸心からカテーテル100(本体部110)の周面に向かう方向である。カテーテル100または本体部110の横断面の形状が円形であるか多角形であるかに関わらず当該方向をカテーテル100または本体部110の径方向というものとする。
【0016】
中空部210はカテーテル100におけるルーメン111と、シリンジ内部において液剤が貯蔵される内部空間(図示しない)と、を連通させるための空洞部である。そのため本実施形態の中空部210は、カテーテル100と接続するためのハブ側雌ねじ部220において開口し、シリンジと接続するためのシリンジ装着部230において開口している。すなわち、本実施形態の中空部210は先端から基端にかけて通孔形成された内部空間である。
【0017】
エクステンション部材300は、長尺の部材である。本実施形態におけるエクステンション部材300は、後述するようにカテーテル100の外層側に渡らせるために主として用いられる。本実施形態におけるエクステンション部材300の横断面の形状は円形であるが、多角形等の別の形状でもよい。なお、ここでカテーテル100の外層側とは、100の外周である。より具体的には、カテーテル100の外層側とは、カテーテル100の径方向におけるカテーテル100の外部である。
エクステンション部材300は体内腔に挿通されてもよく、挿通されなくてもよい。エクステンション部材300は中実の部材でもよく、中空の部材でもよい。例えば、エクステンション部材300はエクステンション部材300の長手方向に延在するようにルーメンが形成されているエクステンションカテーテルであってもよい。
【0018】
図4に図示されるように、カテーテルセット1は第二のカテーテル(第二カテーテル400)を含んでもよい。第二カテーテル400とは、長尺の部材であって、カテーテル100と同様に体内腔に挿通されるカテーテルである。第二カテーテル400はルーメン(第二ルーメン410)が通孔形成されている。第二ルーメン410は第二カテーテル400の長手方向に延在している。また、本実施形態における第二ルーメン410の横断面(第二ルーメン410の延在方向に対して垂直な断面)の形状は円形である。
第二ルーメン410はエクステンション部材300の横断面における外径よりも大きい内径を有する。また、第二ルーメン410はカテーテル100の外径よりも大きい内径を有する。これにより、後述するようにエクステンション部材300を接続したカテーテル100の外層側に第二ルーメン410を渡らせることができる。
本実施形態における第二カテーテル400は基端にハブとして第二ハブ420が設けられている。第二ハブ420は第二カテーテル400におけるチューブ部分である本体部から取外し可能であってもよい。
【0019】
図4に図示されるように、カテーテルセット1はガイドワイヤ500とともに用いられても良い。ガイドワイヤ500は、生体における体内腔に挿通される部材であって全体が長尺の部材である。特にカテーテル(カテーテル100または第二カテーテル400)の先端を体内の所定の一部まで進入させるために、当該カテーテルの進入に先行してガイドワイヤ500は血管等に挿通される。ガイドワイヤ500の横断面は、カテーテル100のルーメン111の横断面よりも小さな半径を有する。
【0020】
図1に図示されるように、カテーテル100は基端部に接続部120を有する。接続部120はハブ200またはエクステンション部材300を接続するための、カテーテル100における一部である。
図2(a)に図示されるように、ハブ200は接続部120を介して本体部110から取外し可能かつ本体部110に取付け可能である。さらに、
図3に図示されるように、エクステンション部材300は接続部120を介して本体部110から取外し可能かつ本体部110に取付け可能である。本体部110から取外し可能かつ本体部110に取付け可能であるとは、本体部110と部品(ハブ200またはエクステンション部材300)との着脱が可逆的に行うことができることをいう。具体的には、所定の部品が本体部110から取外し可能かつ本体部110に取付け可能であるとは、本体部110に当該部品を取付けた後に本体部110から当該部品を取外すことができ、かつ本体部110から当該部品を取外した後に本体部110に当該部品を取付けることができることをいう。
ハブ200およびエクステンション部材300がカテーテル100に接続する部分は、共通してカテーテル100における接続部120であり、カテーテル100における同一の部分である。すなわち、カテーテル100に対して、ハブ200およびエクステンション部材300は、互いに交換可能な部材である。
また、ハブ200およびエクステンション部材300は接続部120に接続するための被接続部(後述するハブ側雌ねじ部220またはエクステンション側雌ねじ部310)を有する。ハブ200における被接続部とエクステンション部材300における被接続部とは、互いに共通した形状および寸法を有していることが好ましい。例えば、後述するハブ側雌ねじ部220およびエクステンション側雌ねじ部310において、その外径が略同一であることが好ましい。またハブ側雌ねじ部220およびエクステンション側雌ねじ部310において、ねじ溝のピッチが略同一であることが好ましい。
図2(a)に図示されるように、ハブ200はカテーテル100のルーメン111と中空部210とが連通するようにカテーテル100と接続する。カテーテル100のルーメン111の基端部の直径と、ハブ200の中空部210の先端部の直径とは等しい。カテーテル100とハブ200とを接続した状態(接続状態という)において、ルーメン111を形成するカテーテル100内壁と中空部210を形成するハブ200の内壁とは滑らかに連なることが好ましい。これにより、シリンジからハブ200の中空部210に供給される液剤やハブ200に挿通されるガイドワイヤ500に対して、中空部210と本体部110との境界で抵抗が生じることが抑制される。
図3に図示されるように、エクステンション部材300はカテーテル100の軸方向と当該エクステンション部材300の軸方向とが同軸となるようにカテーテル100に取付けられる。
【0021】
上述したようにカテーテル100の接続部120に対して、ハブ200およびエクステンション部材300は互いに交換可能である。ハブ200またはエクステンション部材300を接続部120に取付けまたは接続部120から取外しできることにより、カテーテル100の外層側に別部材を渡らせる場合、本体部110からハブ200を取外してエクステンション部材300を取付けることができる。このようにすることで、当該別部材はハブ200に干渉することなく、カテーテル100の外層側に配置されてカテーテル100の先端側まで渡ることができる。
【0022】
本実施形態におけるカテーテル100を用いた処置方法の一例を以下にて説明する。
当該処置方法の概要は以下の通りである。カテーテル100を用いた処置方法として、体内腔(血管等)内にカテーテルを留置した状態で行われる。当該処置方法において、第一のカテーテル(カテーテル100)、ハブ200、エクステンション部材300、および中空に形成されてカテーテル100の外層側に渡ることが可能な外層側部材(第二カテーテル400または図示しないバルーンカテーテル)が用いられる。
本処置方法は、交換工程および移動工程を含む。
交換工程は、留置されているカテーテル100にハブ200が取付けられた状態で開始される。交換工程において、ハブ200が本体部110から取り外され、長尺のエクステンション部材300が本体部110に取付けられる。すなわち、ハブ200がエクステンション部材300に交換される。移動工程において、外層側部材がカテーテル100の外層側からエクステンション部材300の外層側へ移動する、または、外層側部材がエクステンション部材300の外層側からカテーテル100の外層側へ移動する。
【0023】
上記処置方法の詳細を説明する。
上記処置方法の一例として、移動工程が外層側部材をカテーテル100から引抜く引抜き工程である場合が挙げられる。より具体的には、当該カテーテル100および第二カテーテル400を挿入して処置している際に、第二カテーテル400のみを体内腔から抜去したい場合がある。
具体的には、
図4に図示されるように、いわゆる二重同軸システム(ダブルコアキシャルシステム)によりカテーテル100の先端を体内の所定の一部に侵入させる場合にカテーテルセット1(カテーテルセット1および第二カテーテル400)が用いられる。カテーテルセット1は三重同軸システム(トリプルコアキシャルシステム)において用いられてもよい。
本処置方法において、交換工程の前に、ハブ200が取付けられたカテーテル100および第二カテーテル400が体内腔内に挿入される。このとき、好ましくは、第二カテーテル400が先に挿入されてハブ200を有するカテーテル100が後に挿入される。具体的には、太径の第二カテーテル400が切開創などの体内導入部を通じて体内腔に先に挿入されて所定の深さ位置で留置され、その後、第二カテーテル400の第二ルーメン410の基端側の開口に細径のカテーテル100を挿入していくことによりカテーテル100も体内腔内に挿入される。カテーテル100に対してハブ200の着脱を行うことにより、カテーテル100を挿入する前にハブ200が体内腔に挿入されてもよい。カテーテル100および第二カテーテル400を体内腔における適当な箇所まで挿入した後、第二カテーテル400を抜去したい際に、引抜き工程(移動工程)を行う。引抜き工程においては、第二カテーテル400がカテーテルの外層側からエクステンション部材の外層側へ移動する。すなわち、第二カテーテル400がカテーテル100の外層側およびエクステンション部材300の外層側へ渡って体内腔から抜去され、さらには当該エクステンション部材300から引き抜かれる。
一般的に、血管が分岐している箇所(血管分岐箇所)においてカテーテル(カテーテル100または第二カテーテル400)の先端を所望の分岐先へ進入させたいとき、第二カテーテル400を抜去したい場合がある。例えば、所望の分岐先の血管の屈曲形状に合わせて第二カテーテル400の先端を形状付けしたい場合である。ここで、第二カテーテル400を血管から抜去しようとするとハブ200と第二カテーテル400とが干渉する。このとき、上述したようにカテーテル100からハブ200を取外してエクステンション部材300に付け替えることにより、第二カテーテル400をカテーテル100から容易に抜去することができる。第二カテーテル400を抜去したあと、先端を所望の角度に曲げられた第二カテーテル400はカテーテル100の外層側を覆うようにして再度血管内に挿通することができる。
【0024】
本実施形態におけるカテーテル100を用いた処置方法の他の一例として、上述の移動工程が外層側部材挿入工程である例が挙げられる。
交換工程において、カテーテル100に取付けられたハブ200がエクステンション部材300に交換されたあと、当該外層側部材挿入工程が行われる。外層側部材挿入工程では、第二カテーテル400またはバルーンカテーテル等の外層側部材が、エクステンション部材300の外層側およびカテーテル100の外層側を移動し、体内腔に挿入される。
例えば、ハブ200を接続したカテーテル100を血管に挿入しているとき、第二カテーテル400をカテーテル100の外層側に挿通させる必要が生じることがある。このとき、ハブ200と第二カテーテル400との干渉を避けるため、ハブ200をカテーテル100から取外し、エクステンション部材300をカテーテル100に取付けることができる。
または、血管内にカテーテル100を挿入しているときにバルーンカテーテル(図示しない)を留置する必要が生じることがある。具体的には、カテーテル100の先端における血管の内径を調節したい場合、血流を調節したい場合、またはカテーテル100の先端を血管の所望の位置に固定したい場合等である。バルーンカテーテルは、カテーテル100の外層側を通って血管内に挿通される。バルーンカテーテルを挿通するときにカテーテル100に接続するハブ200を取外しておくことで、バルーンカテーテルがハブ200に干渉することなくバルーンカテーテルを血管内に挿通させることができる。
【0025】
上述した例以外にも、カテーテル100の外層側に別部材を挿通したい場合、またはカテーテル100の外層側に配置していた別部材を抜去したい場合に、本実施形態のカテーテルセット1を用いることで当該挿通または抜去を容易に行うことができる。すなわち、本実施形態のカテーテルセット1によれば、体内腔からカテーテル100を抜去する工程等を行うことなく、カテーテル100が体内腔に留置された状態でカテーテル100の外層側に別部材を容易に挿通させることができる、またはカテーテル100の外層側から別部材を容易に抜去することができる。これにより、簡便な工程でカテーテル100の外層側に別部材を挿通させることができる、またはカテーテル100の外層側から別部材を抜去することができる。
【0026】
エクステンション部材300の長手方向におけるエクステンション部材300の長さ(長さ寸法)は、カテーテル100の長手方向(軸方向)におけるカテーテル100の長さ(長さ寸法)と同等またはそれより大きい。ここでエクステンション部材300の長さ寸法がカテーテル100の長さ寸法と同等であるとは、エクステンション部材300の長さ寸法がカテーテル100の長さ寸法の半分以上であり、カテーテル100の長さ寸法の二倍以下であることをいう。好ましくはエクステンション部材300の長さ寸法はカテーテル100の長さ寸法よりも大きい。さらに好ましくは、エクステンション部材300の長さ寸法は、第二カテーテル400の長手方向における第二カテーテル400の長さよりも大きい。
これにより、カテーテル100とエクステンション部材300とを接続させた状態において、カテーテル100の略全長さ領域が体内腔に留置された状態でも、体外に十分な長さのエクステンション部材300が配置される。これにより、第二カテーテル400を挿通または抜去させるときにエクステンション部材300の基端または先端を支持しながら、安定的に第二カテーテル400を挿通させることができる。
本実施形態に代えて、エクステンション部材300は短尺でもよい。具体的には、エクステンション部材300の長さ寸法は、カテーテル100の長さ寸法の半分より小さくてもよい。
【0027】
図2(b)に図示されるように、接続部120はねじ溝形成部120である。ねじ溝形成部120は本体部110の基端部113の外周(外層側)に形成されている。すなわち、基端部113とねじ溝形成部120とはカテーテル100の径方向において重複するように配置されている。基端部113とは、カテーテル100の基端を含む一部長さ領域である。特に本実施形態においては接続部120の内層側に配置されるカテーテル100の一部長さ領域が基端部113である。
ハブ200およびエクステンション部材300は、被接続部としてねじ溝形成部120に対応した雌ねじ部(ハブ側雌ねじ部220又はエクステンション側雌ねじ部310)を有している。ハブ200は雌ねじ部としてハブ側雌ねじ部220を有し、エクステンション部材300は雌ねじ部としてエクステンション側雌ねじ部310を有している。雌ねじ部がねじ溝形成部120に対応しているとは、ねじ溝形成部120が雌ねじ部に螺合できることをいう。より具体的には、ねじ溝形成部120に形成されたねじ溝のピッチと略同一のピッチで雌ねじ部にもねじ溝が形成されている。また、ねじ溝形成部120の外径と雌ねじ部の内径は略同一である。
本体部110は内層115を含む。内層115は、中空に形成されてルーメン111を形成する薄膜である。内層115は軸方向に延在する。本実施形態にかかる内層115は、ナイロン系エラストマー樹脂またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂等の樹脂から形成される。
本体部110は補強層112を含む。補強層112は、本体部110の長手方向を巻軸方向としてワイヤ112aが巻回されてなる。ワイヤ112aは内層115の周囲に巻回されている。ワイヤ112aは螺旋状に巻回される。一本または複数本のワイヤ112aが一方向に向かう螺旋状に巻回されてもよく、複数本のワイヤ112aがメッシュを形成するように螺旋状に巻回されてもよい。本実施形態においてワイヤ112aは一本のワイヤ素線からなるが、ワイヤ112aは複数のワイヤ素線からなる多条コイルであってもよい。また、本実施形態ではワイヤ112aが一方向に巻回されて補強層112が構成されている。本実施形態に代えて複数のワイヤ112aが異なる方向に巻き回されて補強層112が構成されていてもよい。例えば、複数のワイヤ112aが互いに編込まれてメッシュ構造を形成していてもよい。他にも、補強層112はワイヤ素線から形成されることに限られず、例えば金属複合体から形成されて可撓性を有するように構成されていてもよい。具体的には、レーザー加工により可撓性を加えた金属パイプからなるハイポチューブ、または複数の金属要素が互いに移動可能に複合されて全体として可撓性を有する金属複合体等を補強層112としてもよい。
また、本体部110は外層116を含む。外層116はナイロン系エラストマー樹脂を主として構成されている。外層116は巻回されたワイヤ112aの各巻回同士の隙間に入りこむように配置される。すなわち、軸方向にみてワイヤ112aに挟まれた隙間に外層116は配置される。さらに外層116は補強層112の外層側を覆うように配置される。
【0028】
補強層112が基端部113よりも先端側の領域(隣接部114)から基端部113に渡って配置されている。隣接部114はカテーテル100の一部長さ領域であり、基端部113よりも先端側の領域であって基端部113に隣り合う一部長さ領域である。補強層112は、少なくとも隣接部114および基端部113に形成されており、ワイヤ112aは隣接部114から基端部113にかけて連続して巻回されている。また、隣接部114よりも先端側の一部長さ領域に補強層112が形成されていることが好ましい。より具体的には、カテーテル100における先端から基端部113にかけて補強層112が形成されていることが好ましい。すなわち、カテーテル100の略全長さ領域に補強層112が形成されていることが好ましい。
図2(b)に図示されるように、補強層112はねじ溝形成部120の内層側に配置されている。
隣接部114から基端部113に補強層112がわたっていることで、ねじ溝形成部120が外層側に形成される基端部113と隣接部114とを略直線状に維持することができる。換言すると、補強層112によりねじ溝形成部120を支持することができる。
【0029】
好ましくは、基端部113に配置されている補強層112(ワイヤ112a)は接続部120に接している。換言すると、補強層112(ワイヤ112a)はねじ溝形成部120の内側面に外接している。基端部113に配置されるワイヤ112aのうち少なくとも一部がねじ溝形成部120に外接すればよい。好ましくは、基端部113に配置されるワイヤ112aのうちの略全体がねじ溝形成部120に外接する。
本実施形態に代えて、ワイヤ112aが複数本のワイヤ素線を束ねた多条ワイヤである場合は、複数本のワイヤ素線のうち外層側に配置されたワイヤ素線が接続部120に接すればよい。また、補強層112がメッシュ構造等により形成されている場合は、少なくとも複数のワイヤ112aの交点において外層側に配置されるワイヤ112aの一部長さ領域が接続部120に接すればよい。
また、軸方向にみてワイヤ112aに挟まれた隙間に配置された外層116は接続部120と接している。
補強層112(ワイヤ112a)がねじ溝形成部120に接することによって、より良好にねじ溝形成部120を補強層112が支持することができる。
本実施形態に代えて、基端部113においては補強層112(ワイヤ112a)と接続部120との間に外層116が挟まれて配置されていてもよい。
【0030】
本体部110およびエクステンション部材300の横断面は円形である。隣接部114の横断面の外径とエクステンション部材300の横断面の外径とが同等である。より具体的には隣接部114の基端側の横断面の外径と、エクステンション部材300においてエクステンション側雌ねじ部310が形成された一端の横断面の外径と、が同等である。ここで外径が同等とは、隣接部114の横断面の外径はエクステンション部材300の横断面の外径の半分より大きく、二倍より小さいことをいう。これにより、
図3に図示されるようにカテーテル100とエクステンション部材300とを接続したとき、隣接部114の外面とエクステンション部材300の一端部の外面とが略均一となる。すなわち、隣接部114の外面とエクステンション部材300の外面との間には段差が実質的にないまたは小さい段差のみ設けられている。隣接部114とエクステンション部材300の外面との間に段差が生じている場合は、当該段差の高さはエクステンション側雌ねじ部310が設けられたエクステンション部材300の厚さ(エクステンション側雌ねじ部310を画成する周面からエクステンション部材300の外周面までの厚さ)と同等かそれより小さいことが好ましい。
カテーテル100とエクステンション部材300とを接続したとき、カテーテル100の外面とエクステンション部材300の外面とがおよそ平坦に連なることにより、カテーテル100およびエクステンション部材300の外層側に第二カテーテル400を渡らせることが容易となる、または第二カテーテル400における第二ルーメン410を傷つけることが抑制される。
【0031】
隣接部114は、隣接部114よりも先端側の一部長さ領域よりも剛直であること、または本体部110の先端部よりも剛直であることが好ましい。ここで隣接部114が他の一部長さ領域よりも剛直であるとは、隣接部114のねじれ剛性が当該他の一部長さ領域のねじれ剛性よりも大きいことである。換言すると、隣接部114が他の一部長さ領域よりも剛直であるとは、隣接部114において補強層112または樹脂層(外層116または内層115)をあわせた平均の横弾性係数と断面二次極モーメントとをかけた値が、当該他の一部長さ領域における当該値よりも大きいことである。これにより、隣接部114を手で持ってカテーテル100をエクステンション部材300またはハブ200から脱離させること、およびカテーテル100をエクステンション部材300またはハブ200に螺合させることが容易となる。
基端部113は、本体部110の先端部、隣接部114、または隣接部114よりも基端側の一部長さ領域よりも剛直であることが好ましい。ここで基端部113が剛直であるとは、基端部113の圧縮剛性が他の一部長さ領域よりも大きいことである。換言すると、基端部113が剛直であるとは、基端部113における補強層112または樹脂層をあわせた平均の縦弾性係数(ヤング率)が、他の一部長さ領域における平均の縦弾性係数よりも大きいことである。これにより、基端部113の外層側にねじ溝形成部120を形成することが容易となる。例えば、基端部113が剛直であることにより、基端部113の外層側にねじ溝形成部120を加締めるように形成することが容易となる。なお、ねじ溝形成部120が補強層112の外層側に形成された後に外層116が形成されてもよく、外層116および補強層112が形成された後にねじ溝形成部120が形成されてもよい。
具体的には、隣接部114または基端部113を多条のワイヤ112aで形成することまたは複数のワイヤ112aを異なる方向に巻回すること等によって、基端部113または隣接部114を剛直にしてもよい。または、先端部等を構成する外層116よりも硬質な素材で基端部113または隣接部114を構成する外層116を形成してもよい。
さらに、基端部113と隣接部114とは一体的に剛直に形成されていることが好ましい。換言すると、基端部113と隣接部114とが、基端部113と隣接部114との境目で屈曲しにくい、またはねじれにくいことが好ましい。これによって、隣接部114を持ってカテーテル100とハブ200またはエクステンション部材300を取外すことが容易となる。例えば、多条のワイヤ112aにより構成され、または異なる方向に巻回された複数のワイヤ112aにより構成された硬質な補強層112が基端部113から隣接部114まで継ぎ目なく続けて渡っていてもよい。または、基端部113および隣接部114において硬質な材料で形成されて一体的な外層116が配置されていてもよい。基端部113と隣接部114とが一体的に剛直に形成されていることに代えて、剛直に形成された基端部113と剛直に形成された隣接部114とが別々に形成されていてもよく、その場合、両者は接触して配置されてもよく、または近接しつつも互いに離間して配置されてもよい。それぞれ剛直に形成された基端部113と隣接部114とが軸方向に離間して配置される場合、その離間距離の上限は限定されるものではないが、具体的には本体部110の直径未満であることが好ましい。
【0032】
ねじ溝形成部120は、隣接部114と一体的に剛直となるよう構成されていてもよい。換言すると、ねじ溝形成部120と隣接部114とが、ねじ溝形成部120と隣接部114との境目で屈曲しにくい、またはねじれにくいことが好ましい。ここでねじ溝形成部120が剛直であるとは、ねじ溝形成部120におけるねじれ剛性が十分大きいことをいう。すなわち、ねじ溝形成部120および隣接部114の全体におけるねじれ剛性が大きい。これにより、カテーテル100にハブ200またはエクステンション部材300を螺合させること、またはカテーテル100からハブ200またはエクステンション部材300を取外すことが容易となる。例えば、ねじ溝形成部120が隣接部114を形成する硬質な外層116と同一の材料によって形成されて、ねじ溝形成部120と隣接部114とは一体的に形成されていてもよい。あるいは、ねじ溝形成部120の一部が硬質な外層116に埋込まれていることにより、ねじ溝形成部120と隣接部114とが一体的に剛直であってもよい。ねじ溝形成部120と隣接部114とが一体的に剛直に形成されていることに代えて、剛直に形成されたねじ溝形成部120と剛直に形成された隣接部114とが別々に形成されていてもよい。その場合は、両者は接触して配置されていてもよく、近接しつつも互いに離間して配置されていてもよい。剛直に形成されたねじ溝形成部120と剛直に形成された隣接部114とが近接する場合、両者の離間距離の上限は限定されるものではないが、具体的には当該離間距離が本体部110の直径未満であることが好ましい。
また、エクステンション部材300のエクステンション側雌ねじ部310が形成される一端部(エクステンション部材300の先端部と呼ぶ)のねじれ剛性は、中途部または他端部におけるねじれ剛性よりも大きいことが好ましい。または、エクステンション部材300の先端部のねじれ剛性は本体部110(特に隣接部114または基端部113)のねじれ剛性よりも大きいことが好ましい。これにより、エクステンション部材300をカテーテル100に対して回転させながらカテーテル100から脱離することが容易となる。
【0033】
図3に図示されるように、第二隣接部320は、エクステンション部材300における一部であり、エクステンション側雌ねじ部310の基端側に隣接する一部である。第二隣接部320とエクステンション側雌ねじ部310とは、一体に形成されていることが好ましい。これにより、第二隣接部320およびエクステンション側雌ねじ部310が十分な捩り剛性を有するため、エクステンション部材300をカテーテル100に取付けること、またはカテーテル100から取外すことが容易となる。
また、エクステンション部材300における第二隣接部320よりも基端側の一部(中央部330)は、第二隣接部320およびエクステンション側雌ねじ部310よりも捩り剛性が小さくてもよい。中央部330が第二隣接部320およびエクステンション側雌ねじ部310よりも捩れやすいことにより、エクステンション部材300をカテーテル100に螺合させるとき、中央部330が一時的に一定の捩れを許容できる。これによって、エクステンション部材300をカテーテル100に螺合させるときにエクステンション部材300(特に中央部330)が捩れによって不測に大きく動くことが抑制され、エクステンション部材300が不測に動いたとしてもその動きは小さい物となる。そのため、エクステンション部材300の取扱いが容易となる。また、中央部330が一時的に一定の捩れを許容可能となることで、エクステンション部材300とカテーテル100との嵌合を解除するような不測の外力が加わってもエクステンション部材300をカテーテル100から外れにくくして、カテーテルセット1の取扱い性を向上させることができる。
または、第二隣接部320は中央部330に対して周方向に回転可能に結合されていてもよい。換言すれば、中央部330は第二隣接部320に対して周方向に回転可能に結合されていてもよい。これによって、第二隣接部320を回転させてエクステンション側雌ねじ部310をカテーテル100に螺合させるとき、第二隣接部320を回転させつつも中央部330を治具または手で押えて当該中央部330が周方向への回転することを抑制しておくことができる。これにより、エクステンション部材300をカテーテル100に螺合させるときに中央部330が不測に動くことを抑制できる。具体的には、第二隣接部320の外周面に周方向に延在する溝(嵌合溝)が形成されており、中央部330の内壁には嵌合溝に対応して周方向に延在する突起が形成されており、嵌合溝に当該突起が係合してもよい。これにより第二隣接部320および中央部330は軸方向に分離しにくく連結しているが、第二隣接部320は中央部330に対して相対的に回転可能である。上述の態様に限らず、他の方法で第二隣接部320が中央部330に対して周方向に回転可能に結合されていてもよい。
エクステンション部材300をカテーテル100に螺合させるときにエクステンション部材300が不測に動くことを抑制するために、エクステンション部材300が複数の短尺の部材に分割されていてもよい。当該短尺の部材は互いに螺合等の係合によって連結する。この場合、カテーテル100にエクステンション部材300を螺合させるときは、まず、第一の短尺の部材をカテーテル100に螺合させ、つぎに第二の短尺の部材を第一の短尺の部材に螺合させる。このように、短尺の部材を順に螺合させていく場合には、螺合させる部材そのものが短尺であるため、螺合時の捩れによって当該部材が不測に動くことが抑制される。また、複数の短尺の部材を継ぎ合わせることにより、エクステンション部材300を所望の長さにすることもできる。
【0034】
図2(a)および
図2(b)に図示されるように、本体部110の基端部113の外径は、隣接部114の外径よりも小さい。すなわち、
図2(b)に図示されるように、基端部113と隣接部114との間には隣接部114から基端部113へ下る段差が設けられている。当該段差の高さ(カテーテル100の径方向における寸法)は、接続部120の厚さ(カテーテル100の径方向における寸法)よりも大きいことが好ましい。接続部120の横断面の外径は、隣接部114の横断面の外径と同等である、またはそれよりも小さい。換言すると、軸方向からみて、ねじ溝形成部120のねじ山は隣接部114の外縁と一致するか、当該外縁よりも本体部110の内側に配置される。好ましくは、接続部120の横断面の外径は隣接部114の横断面の外径よりも小さい。ただし、本発明においては隣接部114の外径と接続部120の外径とが完全に一致して隣接部114と接続部120との外表面同士が平坦に形成されていることに限られず、隣接部114から接続部120にかけて僅かな上り段差または下り段差を有することを排除しない。すなわち、隣接部114の外径よりも接続部120の外径が僅かに大きくてもよい。接続部120がねじ溝形成部120である場合、ねじ溝形成部120の横断面の外径とは、ねじ溝形成部120のねじ山の頂部を基準とした外径である。接続部120の横断面の外径が隣接部114の横断面の外径と同等であるとは、接続部120の横断面の外径が、隣接部114の横断面の外径の半分以上であり、当該外径の二倍以下であることをいう。
接続部120の外径が隣接部114の外径と同等またはそれよりも小さいことにより、カテーテル100にハブ200またはエクステンション部材300を接続したとき、接続部120の外層側を覆うハブ200またはエクステンション部材300の一部がカテーテル100の径方向に突出することを抑制することができる。
カテーテル100(特に隣接部114)の外表面とエクステンション部材300(特に先端部)の外表面とは異なる有彩色により着色されていてもよい。これにより、エクステンション部材300をカテーテル100から取外すときにエクステンション部材300とカテーテル100との接続部分を視認することが容易となる。
【0035】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0036】
本実施形態においては上述のようにハブ200またはエクステンション部材300における被接続部とカテーテル100の接続部120とは螺合により接続するが、被接続部と接続部120との接続の態様はこれに限られない。本実施形態に代えて、ハブ200またはエクステンション部材300における被接続部と接続部120とは、ねじ構造でない構造によって接続していてもよい。
例えば、被接続部と接続部120とは互いに係合する凹凸係合部を有しており、被接続部と接続部120とは係合により接続していてもよい。他にも、被接続部と接続部120とは互いに圧接することにより接続を維持していてもよい。
【0037】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1) 長尺であって内部にルーメンが通孔形成されている本体部と、前記本体部の基端に形成された接続部とを有するカテーテルと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって前記本体部に取付けたときに前記ルーメンと通じる中空部を有するハブと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって長尺のエクステンション部材と、を有する、カテーテルセット。
(2) 前記エクステンション部材の長手方向における前記エクステンション部材の長さは、前記カテーテルの長手方向における前記カテーテルの長さと同等またはそれより大きい、(1)に記載のカテーテルセット。
(3) 前記接続部は、前記本体部の基端部の外周に形成されたねじ溝形成部であり、
前記ハブおよび前記エクステンション部材は、前記ねじ溝形成部に対応した雌ねじ部を有しており、
前記本体部は、前記本体部の長手方向を巻軸方向としてワイヤが巻回されてなる補強層を含み、
前記補強層が前記基端部よりも先端側の領域から前記基端部に渡って配置されている、(2)に記載のカテーテルセット。
(4) 前記本体部および前記エクステンション部材の横断面は円形であり、
前記カテーテルにおいて前記先端側の領域であって前記基端部に隣り合う一部長さ領域の外径と前記エクステンション部材の外径とが同等である、(3)に記載のカテーテルセット。
(5) 前記本体部の前記基端部の外径は、前記一部長さ領域の外径よりも小さく、
前記接続部の外径は、前記一部長さ領域の外径と同等である、またはそれよりも小さい、(4)に記載のカテーテルセット。
(6) 前記基端部に配置されている前記補強層は前記接続部に接している、(5)に記載のカテーテルセット。
(7) 前記エクステンション部材の外径よりも大きい内径を有するルーメンが通孔形成された第二のカテーテルを含む、(6)に記載のカテーテルセット。
(8) 前記エクステンション部材の長さは、前記第二のカテーテルの長さよりも大きい、(7)に記載のカテーテルセット。
(9)体内腔内にカテーテルを留置した状態で行われる処置方法であって、
当該処置方法において、
長尺であって内部にルーメンが通孔形成されている本体部と、前記本体部の基端に形成された接続部とを有する前記カテーテルと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって前記本体部に取付けたときに前記ルーメンと通じる中空部を有するハブと、
前記接続部を介して前記本体部から取外し可能かつ前記本体部に取付け可能であって長尺のエクステンション部材と、
中空に形成されて前記カテーテルの外層側に渡ることが可能な外層側部材と、が用いられ、
留置されている前記カテーテルには前記ハブが取付けられた状態において、前記ハブが前記本体部から取り外され、長尺のエクステンション部材が前記本体部に取付けられる交換工程と、
前記外層側部材が、
前記カテーテルの外層側から前記エクステンション部材の外層側へ移動する、
または、前記エクステンション部材の外層側から前記カテーテルの外層側へ移動する、移動工程と、を含む、処置方法。
(10)前記交換工程の前に行われて前記カテーテルおよび第二の前記カテーテルが前記体内腔に挿通される挿入工程をさらに含み、
前記移動工程は、前記外層側部材が前記カテーテルの外層側から前記エクステンション部材の外層側へ移動され、当該エクステンション部材から引き抜かれる引抜き工程である、(9)に記載の処置方法。
(11)前記移動工程が、前記外層側部材が前記エクステンション部材の外層側および前記カテーテルの外層側を移動し、前記体内腔に挿入される外層側部材挿入工程である、(9)に記載の処置方法。
【符号の説明】
【0038】
1 カテーテルセット
100 カテーテル
110 本体部
111 ルーメン
112 補強層
112a ワイヤ
113 基端部
114 隣接部
115 内層
116 外層
120 接続部、ねじ溝形成部
200 ハブ
210 中空部
220 ハブ側雌ねじ部
230 シリンジ装着部
240 円筒部
250 翼部
300 エクステンション部材
310 エクステンション側雌ねじ部
320 第二隣接部
330 中央部
400 第二カテーテル
410 第二ルーメン
420 第二ハブ
500 ガイドワイヤ