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特開2024-14417部品実装ノズル、部品実装装置および部品実装ノズルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014417
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】部品実装ノズル、部品実装装置および部品実装ノズルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117227
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中川 敬之
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE24
5E353EE53
5E353EE84
5E353GG01
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353JJ56
5E353JJ60
5E353KK02
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】部品実装ノズルの部品を保持する性能を向上させることができるとともに、部品を精度よく撮像することが可能な部品実装ノズルを提供する。
【解決手段】この部品実装ノズルは、基板Sに実装される部品31を吸着するノズル本体411と、ノズル本体411の部品31を吸着する先端に配置され、セラミックにより形成されたノズル先端部412と、を備え、ノズル先端部412は、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装される部品を吸着するノズル本体と、
前記ノズル本体の部品を吸着する先端に配置され、セラミックにより形成されたノズル先端部と、を備え、
前記ノズル先端部は、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む、部品実装ノズル。
【請求項2】
前記ノズル先端部の前記凹凸面は、ランダムに配置された点状の凹部を有する、請求項1に記載の部品実装ノズル。
【請求項3】
前記ノズル先端部の前記凹凸面は、全体的に略均一な表面粗さを有している、請求項1に記載の部品実装ノズル。
【請求項4】
前記ノズル先端部の前記凹凸面は、部品を吸着して前記ノズル本体を移動させる際の部品のズレ量、および、前記ノズル本体に吸着された部品を撮像する際の前記ノズル先端部の輝度のうち少なくとも1つに基づいて設定された規定範囲の表面粗さを有している、請求項1に記載の部品実装ノズル。
【請求項5】
基板に部品を実装する実装ヘッドと、
前記実装ヘッドの先端に取り付けられて、部品を吸着する複数種類の部品実装ノズルと、
制御部と、を備え、
前記複数種類の部品実装ノズルは、先端部がセラミックにより形成され、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む第1ノズルを含む、部品実装装置。
【請求項6】
前記複数種類の部品実装ノズルは、先端部がセラミックにより形成され、焼結後にウェットブラスト加工が施されない第2ノズルを含み、
前記制御部は、前記第1ノズルまたは前記第2ノズルを選択して、部品を吸着する前記部品実装ノズルを決定するように構成されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、部品の種類、部品の大きさ、部品の質量、部品の形状、および、部品の吸着面のうち少なくとも1つを含む条件に基づいて、前記第1ノズルまたは前記第2ノズルを選択して、部品を吸着する前記部品実装ノズルを決定するように構成されている、請求項6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、実装する部品の実装位置と隣りの部品の実装位置との間隔が所定のしきい値よりも小さい場合に、部品を吸着する前記部品実装ノズルを前記第1ノズルに決定するように構成されている、請求項6に記載の部品実装装置。
【請求項9】
基板に実装される部品を吸着する部品実装ノズルの製造方法であって、
セラミックを焼結することにより前記部品実装ノズルの先端部を形成する工程と、
焼結後に、ウェットブラスト加工により、前記部品実装ノズルの先端部に、凹凸面を形成する工程と、を備える、部品実装ノズルの製造方法。
【請求項10】
前記凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、前記部品実装ノズルの先端部に、ランダムに配置された点状の凹部を形成する工程を含む、請求項9に記載の部品実装ノズルの製造方法。
【請求項11】
前記凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、前記部品実装ノズルの先端部に、全体的に略均一な表面粗さを有する前記凹凸面を形成する工程を含む、請求項9に記載の部品実装ノズルの製造方法。
【請求項12】
ウェットブラスト加工を行った前記部品実装ノズルの先端部の前記凹凸面の状態を測定し、測定した前記凹凸面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程をさらに備える、請求項9に記載の部品実装ノズルの製造方法。
【請求項13】
ウェットブラスト加工を行った前記部品実装ノズルの先端部の側面の状態を撮像し、撮像した側面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程をさらに備える、請求項9に記載の部品実装ノズルの製造方法。
【請求項14】
ウェットブラスト加工の条件を決定する工程は、研磨剤の種類、研磨剤および水の割合、水圧、空気圧、移動速度および処理時間のうち少なくとも1つの条件を決定することを含む、請求項12または13に記載の部品実装ノズルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装ノズル、部品実装装置および部品実装ノズルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装するための部品実装ノズルが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、セラミックにより形成され、基板に実装される部品を吸着する真空吸着ノズル(部品実装ノズル)が開示されている。この真空吸着ノズルは、ノズルの形に成形したセラミックを焼結し、焼結後に吸着面を平らにするように研削加工を行って、製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/133324号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の真空吸着ノズル(部品実装ノズル)は、ノズルの形に成形したセラミックを焼結し、焼結後に吸着面を平らにするように研削加工を行って、製造されている。このため、吸着面を研削加工を行う際に、ノズルの吸着面の角部に欠けが発生したり、研削方向に研削筋が生じる場合がある。このため、ノズルの部品を保持する性能を向上させることが困難である。また、セラミックを研削した場合には、表面に光沢が生じるため、部品を撮像する撮像部により撮像した場合に、ノズルの吸着面に光が反射されて、部品を精度よく撮像することが困難となる。そこで、吸着面の角部に欠けが発生するのを抑制するとともに、吸着面に研削筋が生じるのを抑制して、ノズルの部品を保持する性能を向上させることが望まれている。また、ノズルの吸着面に光沢が生じるのを抑制して、部品を精度よく撮像することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品実装ノズルの部品を保持する性能を向上させることができるとともに、部品を精度よく撮像することが可能な部品実装ノズル、部品実装装置および部品実装ノズルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装ノズルは、基板に実装される部品を吸着するノズル本体と、ノズル本体の部品を吸着する先端に配置され、セラミックにより形成されたノズル先端部と、を備え、ノズル先端部は、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装ノズルでは、上記のように、ノズル先端部は、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む。これにより、凹凸面を形成する際に目の粗い砥石により研削加工を行う場合と異なり、先端部に欠けが発生するのを抑制することができる。また、ウェットブラスト加工により水と研磨材を吹き付けて先端部を加工するので、研削加工とは異なり研削筋が生じない。その結果、吸着した部品が研削筋方向に移動するのを抑制することができるので、部品を保持する性能を向上させることができる。また、研削により先端部に凹凸面を形成する場合と異なり、光沢が生じるのを抑制することができる。これにより、撮像部により部品実装ノズルに吸着された部品を撮像する場合に、部品実装ノズルの先端部に反射された光が映り込むのを抑制することができる。その結果、部品を精度よく撮像することができる。これらにより、部品実装ノズルの部品を保持する性能を向上させることが可能であるとともに、部品を精度よく撮像することが可能な部品実装ノズルを提供することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装ノズルにおいて、好ましくは、ノズル先端部の凹凸面は、ランダムに配置された点状の凹部を有する。このように構成すれば、部品実装ノズルの先端部に研削筋が生じるのを効果的に抑制することができるので、部品を保持する性能を効果的に向上させることができる。また、部品実装ノズルの先端部において光を乱反射させることができるので、表面に光沢が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による部品実装ノズルにおいて、好ましくは、ノズル先端部の凹凸面は、全体的に略均一な表面粗さを有している。このように構成すれば、部品実装ノズルの先端部に研削筋、模様、ムラなどが生じるのを効果的に抑制することができる。また、表面に光沢が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装ノズルにおいて、好ましくは、ノズル先端部の凹凸面は、部品を吸着してノズル本体を移動させる際の部品のズレ量、および、ノズル本体に吸着された部品を撮像する際のノズル先端部の輝度のうち少なくとも1つに基づいて設定された規定範囲の表面粗さを有している。このように構成すれば、ノズル先端部の凹凸面を規定範囲の表面粗さにすることにより、部品を吸着してノズル本体を移動させる際の部品のズレ量、または、ノズル本体に吸着された部品を撮像する際のノズル先端部の輝度を、所定の値よりも小さくすることができる。
【0012】
この発明の第2の局面による部品実装装置は、基板に部品を実装する実装ヘッドと、実装ヘッドの先端に取り付けられて、部品を吸着する複数種類の部品実装ノズルと、制御部と、を備え、複数種類の部品実装ノズルは、先端部がセラミックにより形成され、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む第1ノズルを含む。
【0013】
この発明の第2の局面による部品実装装置では、上記のように、第1ノズルの先端部は、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む。これにより、凹凸面を形成する際に目の粗い砥石により研削加工を行う場合と異なり、先端部に欠けが発生するのを抑制することができる。また、ウェットブラスト加工により水と研磨材を吹き付けて先端部を加工するので、研削加工とは異なり研削筋が生じない。その結果、吸着した部品が研削筋方向に移動するのを抑制することができるので、部品を保持する性能を向上させることができる。また、研削により先端部に凹凸面を形成する場合と異なり、光沢が生じるのを抑制することができる。これにより、撮像部により部品実装ノズルに吸着された部品を撮像する場合に、部品実装ノズルの先端部に反射された光が映り込むのを抑制することができる。その結果、部品を精度よく撮像することができる。これらにより、部品実装ノズルの部品を保持する性能を向上させることが可能であるとともに、部品を精度よく撮像することが可能な部品実装装置を提供することができる。
【0014】
上記第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、複数種類の部品実装ノズルは、先端部がセラミックにより形成され、焼結後にウェットブラスト加工が施されない第2ノズルを含み、制御部は、第1ノズルまたは第2ノズルを選択して、部品を吸着する部品実装ノズルを決定するように構成されている。このように構成すれば、部品の状態や、部品の実装位置の状態に応じて、第1ノズルまたは第2ノズルを用いて実装作業を行うことができるので、適した部品実装ノズルを用いて部品の実装を行うことができる。
【0015】
上記第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、部品の種類、部品の大きさ、部品の質量、部品の形状、および、部品の吸着面のうち少なくとも1つを含む条件に基づいて、第1ノズルまたは第2ノズルを選択して、部品を吸着する部品実装ノズルを決定するように構成されている。このように構成すれば、部品の種類、部品の大きさ、部品の質量、部品の形状、および、部品の吸着面のうち少なくとも1つを含む条件に基づいて、部品の実装に用いる部品実装ノズルを容易に選択することができる。
【0016】
上記第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装する部品の実装位置と隣りの部品の実装位置との間隔が所定のしきい値よりも小さい場合に、部品を吸着する部品実装ノズルを第1ノズルに決定するように構成されている。このように構成すれば、先端部に形成された凹凸面により、吸着位置のズレ量が小さくなる第1ノズルを用いて、隣の部品との間隔が小さい実装位置に部品を実装することができるので、精度よく部品を実装することができる。
【0017】
この発明の第3の局面による部品実装ノズルの製造方法は、基板に実装される部品を吸着する部品実装ノズルの製造方法であって、セラミックを焼結することにより部品実装ノズルの先端部を形成する工程と、焼結後に、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズルの先端部に、凹凸面を形成する工程と、を備える。
【0018】
この発明の第3の局面による部品実装ノズルの製造方法では、上記のように、焼結後に、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズルの先端部に、凹凸面を形成する工程を設ける。これにより、凹凸面を形成する際に目の粗い砥石により研削加工を行う場合と異なり、先端部に欠けが発生するのを抑制することができる。また、ウェットブラスト加工により水と研磨材を吹き付けて先端部を加工するので、研削加工とは異なり研削筋が生じない。その結果、吸着した部品が研削筋方向に移動するのを抑制することができるので、部品を保持する性能を向上させることができる。また、研削により先端部に凹凸面を形成する場合と異なり、光沢が生じるのを抑制することができる。これにより、撮像部により部品実装ノズルに吸着された部品を撮像する場合に、部品実装ノズルの先端部に反射された光が映り込むのを抑制することができる。その結果、部品を精度よく撮像することができる。これらにより、部品実装ノズルの部品を保持する性能を向上させることができるとともに、部品を精度よく撮像することができる。
【0019】
上記第3の局面による部品実装ノズルの製造方法において、好ましくは、凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズルの先端部に、ランダムに配置された点状の凹部を形成する工程を含む。このように構成すれば、部品実装ノズルの先端部に研削筋が生じるのを効果的に抑制することができるので、部品を保持する性能を効果的に向上させることができる。また、部品実装ノズルの先端部において光を乱反射させることができるので、表面に光沢が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0020】
上記第3の局面による部品実装ノズルの製造方法において、好ましくは、凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズルの先端部に、全体的に略均一な表面粗さを有する凹凸面を形成する工程を含む。このように構成すれば、部品実装ノズルの先端部に研削筋、模様、ムラなどが生じるのを効果的に抑制することができる。また、表面に光沢が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0021】
上記第3の局面による部品実装ノズルの製造方法において、好ましくは、ウェットブラスト加工を行った部品実装ノズルの先端部の凹凸面の状態を測定し、測定した凹凸面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程をさらに備える。このように構成すれば、部品実装ノズルの先端部に均一な表面粗さの凹凸面を形成するようなウェットブラスト加工の適切な条件を容易に決定することができる。
【0022】
上記第3の局面による部品実装ノズルの製造方法において、好ましくは、ウェットブラスト加工を行った部品実装ノズルの先端部の側面の状態を撮像し、撮像した側面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程をさらに備える。このように構成すれば、部品実装ノズルの先端部の側面に欠けが発生しないようなウェットブラスト加工の条件を決定することができるので、先端部に欠けが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0023】
上記ウェットブラスト加工の条件を決定する工程を備える部品実装ノズルの製造方法において、好ましくは、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程は、研磨剤の種類、研磨剤および水の割合、水圧、空気圧、移動速度および処理時間のうち少なくとも1つの条件を決定することを含む。このように構成すれば、ウェットブラスト加工を実際に行った部品実装ノズルの先端部の状態に基づいて、研磨剤の種類、研磨剤および水の割合、水圧、空気圧、移動速度および処理時間のうち少なくとも1つを含む加工の条件を決定することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上記のように、部品実装ノズルの部品を保持する性能を向上させることができるとともに、部品を精度よく撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
図2】本発明の実施形態による部品実装ノズルを示した正面図である。
図3】本発明の実施形態による部品実装ノズルを示した断面図である。
図4】本発明の実施形態による部品実装ノズルの先端部を示した下面図である。
図5】本発明の実施形態による部品実装ノズルの先端部を示した拡大断面図である。
図6】本発明の実施形態による部品実装ノズルの表面粗さと部品のズレ量との関係の一例を示した図である。
図7】本発明の実施形態による部品実装ノズルの表面粗さと先端部の輝度との関係の一例を示した図である。
図8】本発明の実施形態による部品実装ノズルの選択条件を説明するための図である。
図9】本発明の実施形態による部品実装ノズルの選択設定画面の一例を示した図である。
図10】本発明の実施形態による部品実装ノズルの選択画面の一例を示した図である。
図11】本発明の実施形態による部品実装ノズルの先端部の凹凸面の測定を説明するための図である。
図12】本発明の実施形態による部品実装ノズルの先端部の欠けの測定を説明するための図である。
図13】本発明の実施形態による部品実装ノズルの加工パラメータの設定手順を説明するためのフローチャートである。
図14】比較例による部品実装ノズルの先端部を示した下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1図12を参照して、本発明の実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、部品実装装置100は、一対のコンベア2により基板SをX方向に搬送し、実装作業位置Mにおいて基板Sに部品31を実装する部品実装装置である。
【0029】
部品実装装置100は、基台1と、一対のコンベア2と、部品供給部3と、ヘッドユニット4と、移動機構5と、移動機構6と、部品認識撮像部7と、制御部8とを備えている。
【0030】
一対のコンベア2は、基台1上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア2には、搬送中の基板Sを実装作業位置Mで停止させた状態で保持する保持機構が設けられている。また、一対のコンベア2は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0031】
部品供給部3は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部3には、実装ヘッド42に部品31を供給するテープフィーダ30が配置される。また、部品供給部3には、複数のテープフィーダ30が配置可能に構成されている。
【0032】
テープフィーダ30は、部品31を保持した部品供給テープを送り出しながら部品31を供給する。具体的には、テープフィーダ30は、複数の部品31を所定の間隔を隔てて保持した部品供給テープが巻き付けられたリールを保持している。また、テープフィーダ30は、リールの部品供給テープを部品供給位置に向けて送り出すように構成されている。テープフィーダ30は、Y方向の先端から部品31を供給するように構成されている。ここで、部品31は、チップ部品、LED部品、IC、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、コネクタなどの電子部品を含む。
【0033】
図1に示すように、ヘッドユニット4は、一対のコンベア2および部品供給部3の上方位置に配置されており、部品実装ノズル41が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド42と、基板認識カメラ43とを含んでいる。
【0034】
実装ヘッド42は、基板Sに部品31を実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド42は、部品供給部3に配置されたテープフィーダ30から供給される部品31を吸着して、実装作業位置Mに配置された基板Sに対して吸着した部品31を装着するように構成されている。また、実装ヘッド42は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成されている。また、実装ヘッド42は、負圧発生機(図示せず)により部品実装ノズル41の先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ30から供給される部品31を吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品31を装着(実装)するように構成されている。
【0035】
基板認識カメラ43は、基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品31の実装位置を正確に取得することが可能である。
【0036】
移動機構5は、モータ51を含んでいる。移動機構5は、モータ51を駆動させることにより、移動機構5に沿ってヘッドユニット4をX方向に移動させるように構成されている。移動機構5は、両端部が移動機構6により支持されている。
【0037】
移動機構6は、基台1上に固定されている。X1側の移動機構6は、モータ61を含んでいる。移動機構6は、モータ61を駆動させることにより、移動機構5を移動機構6に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット4が移動機構5に沿ってX方向に移動可能であるとともに、移動機構5が移動機構6に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット4は水平方向(XY方向)に移動可能である。つまり、移動機構5および6は、実装ヘッド42を水平方向に移動させるように構成されている。
【0038】
部品認識撮像部7は、基台1の上面上に固定されている。部品認識撮像部7は、一対のコンベア2の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部7は、部品31の実装に先立って部品31の吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド42の部品実装ノズル41に吸着された部品31を下側(Z2側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド42の部品実装ノズル41に吸着された部品31の吸着状態を制御部8により取得することが可能である。
【0039】
制御部8は、CPU、メモリを含んでおり、一対のコンベア2による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット4による実装動作、部品認識撮像部7および基板認識カメラ43による撮像動作などの部品実装装置100の全体の動作を制御するように構成されている。
【0040】
図2および図3に示すように、部品実装ノズル41は、実装ヘッド42の先端に取り付けられて、部品31を吸着する。部品実装ノズル41は、基板Sに実装される部品31を吸着するノズル本体411と、ノズル本体411の部品31を吸着する先端に配置され、セラミックにより形成された先端部412とを含んでいる。たとえば、先端部412は、ジルコニアにより形成されている。
【0041】
部品実装ノズル41は、複数種類設けられており、部品31に応じて、適したものが使用される。たとえば、部品実装ノズル41は、先端部412がセラミックにより形成され、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含む第1ノズルと、先端部412がセラミックにより形成され、焼結後にウェットブラスト加工が施されない第2ノズルとを含んでいる。第2ノズルの先端部412は、砥石による通常の研磨加工が行われている。なお、第1ノズルおよび第2ノズルは、セラミックの焼結後に、長さを調整するために、目の細かい砥石により研磨加工が行われて、先端が削られる。
【0042】
ここで、本実施形態では、図4および図5に示すように、第1ノズルの先端部412は、焼結後のウェットブラスト加工により形成された凹凸面を含んでいる。具体的には、先端部412の凹凸面は、ランダムに配置された点状の凹部を有している。また、先端部412の凹凸面は、全体的に略均一な表面粗さを有している。
【0043】
また、先端部412の凹凸面は、部品31を吸着してノズル本体411を移動させる際の部品のズレ量、および、ノズル本体411に吸着された部品31を撮像する際の先端部412の輝度のうち少なくとも1つに基づいて設定された規定範囲の表面粗さを有している。
【0044】
たとえば、図6に示すように、部品31を吸着してノズル本体411を移動させる際の部品のズレ量が、所定のしきい値よりも小さくなるように、凹凸面の表面粗さが設定される。たとえば、凹凸面の表面粗さの規定範囲は、Raが0.05以上0.8以下に設定される。より好ましくは、凹凸面の表面粗さの規定範囲は、Raが0.07以上0.3以下に設定される。なお、表面粗さRaは、中心線平均粗さにより定義される。中心線平均粗さは、粗さ曲線の中心線からの差の絶対値を、測定長さに沿って平均した値である。また、単位は、μmである。なお、表面粗さは、中心線平均粗さ以外により定義してもよい。たとえば、表面粗さを、最大高さRmaxや、十点平均粗さRzにより定義してもよい。
【0045】
また、図7に示すように、ノズル本体411に吸着された部品31を撮像する際の先端部412の輝度が、所定のしきい値よりも小さくなるように、凹凸面の表面粗さが設定される。たとえば、凹凸面の表面粗さの規定範囲は、Raが0.05以上0.8以下に設定される。より好ましくは、凹凸面の表面粗さの規定範囲は、Raが0.07以上0.3以下に設定される。
【0046】
また、第1ノズルとしての部品実装ノズル41の製造方法は、セラミックを焼結することにより部品実装ノズル41の先端部412を形成する工程と、焼結後に、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズル41の先端部412に、凹凸面を形成する工程と、を備えている。
【0047】
凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズル41の先端部412に、ランダムに配置された点状の凹部を形成する工程を含んでいる。
【0048】
また、凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズル41の先端部412に、全体的に略均一な表面粗さを有する凹凸面を形成する工程を含んでいる。
【0049】
また、第1ノズルとしての部品実装ノズル41の製造方法は、ウェットブラスト加工を行った部品実装ノズル41の先端部412の凹凸面の状態を測定し、測定した凹凸面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程を備えている。ウェットブラスト加工の条件を決定する工程は、加工生産前の条件出し、または、加工生産中の条件見直しのタイミングにおいて行われる。
【0050】
ウェットブラスト加工の条件を決定する工程は、研磨剤の種類、研磨剤および水の割合、水圧、空気圧、移動速度および処理時間のうち少なくとも1つの条件を決定することを含んでいる。
【0051】
ウェットブラスト加工では、水に研磨剤を混ぜてスラリーとして、圧縮空気によりスラリーを部品実装ノズル41の先端部412(吸着面)に吹き付ける。研磨剤は、たとえば、アルミナなどのセラミックが用いられる。
【0052】
先端部412の凹凸面の状態の測定は、図11に示すように、測定装置9により、先端部412の凹凸面にレーザを照射し、凹凸面に反射したレーザに基づいて、距離を測定し、凹凸具合を測定する。また、凹凸面の状態の測定は、部品実装ノズル41の周方向に沿って直線的にスキャンすることにより行われる。また、凹凸面の状態の測定は、部品実装ノズル41の半径方向に沿って直線的にスキャンすることにより行われる。また、レーザを用いて凹凸面の状態を測定することにより、より高い精度で表面粗さを計測することが可能である。
【0053】
凹凸面の状態に基づいて、表面粗さを取得する。表面粗さが所定の規定範囲よりも小さければ、たとえば、研磨剤をより硬い種類に変更したり、研磨剤の割合が大きくなるように研磨剤および水の割合を変更したり、水圧を大きくしたり、空気圧を大きくしたり、移動速度を小さくしたり、処理時間を長くしたりする。一方、表面粗さが所定の規定範囲よりも大きければ、たとえば、研磨剤をより柔らかい種類に変更したり、研磨剤の割合が小さくなるように研磨剤および水の割合を変更したり、水圧を小さくしたり、空気圧を小さくしたり、移動速度を大きくしたり、処理時間を短くしたりする。
【0054】
また、第1ノズルとしての部品実装ノズル41の製造方法は、ウェットブラスト加工を行った部品実装ノズル41の先端部412の側面の状態を撮像し、撮像した側面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程を備えている。ウェットブラスト加工の条件を決定する工程は、加工生産前の条件出し、または、加工生産中の条件見直しのタイミングにおいて行われる。
【0055】
図12に示すように、撮像部10により、先端部412の側面を撮像する。この際に、部品実装ノズル41を回転させるか、撮像部10を部品実装ノズル41を中心に回転させるかして、先端部412の側面の全周が撮像される。撮像された先端部412の側面の画像に基づいて、先端部412に欠けが発生していないかが判定される。
【0056】
先端部412の側面に欠けが発生していれば、たとえば、研磨剤をより柔らかい種類に変更したり、研磨剤の割合が小さくなるように研磨剤および水の割合を変更したり、水圧を小さくしたり、空気圧を小さくしたり、移動速度を大きくしたり、処理時間を短くしたりする。
【0057】
また、本実施形態では、制御部8は、第1ノズルまたは第2ノズルを選択して、部品31を吸着する部品実装ノズル41を決定するように構成されている。具体的には、制御部8は、部品31の種類、部品31の大きさ、部品31の質量、部品31の形状、および、部品31の吸着面のうち少なくとも1つを含む条件に基づいて、第1ノズルまたは第2ノズルを選択して、部品31を吸着する部品実装ノズル41を決定するように構成されている。
【0058】
たとえば、図8に示すように、部品31の種類に基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、チップ部品およびLED部品の吸着について、先端部412がウェットブラスト加工されている第1ノズルが選択され、それ以外の部品の吸着について、先端部412が通常研磨加工されている第2ノズルが選択される。
【0059】
部品31の大きさに基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、16mm角以下の部品の吸着について、第1ノズルが選択され、それ以外の部品の吸着について、第2ノズルが選択される。また、部品31の質量に基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、0.005g以下の部品の吸着について、第1ノズルが選択され、それ以外の部品の吸着について、第2ノズルが選択される。
【0060】
部品31の形状に基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、部品実装ノズル41との設置面積が43%以下の部品の吸着について、第1ノズルが選択され、部品実装ノズル41との設置面積が43%より大きく85%以下の部品の吸着について、第2ノズルが選択される。また、部品31の表面粗さに基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、表面粗さが中レベルの部品の吸着について、第1ノズルが選択され、表面粗さが大レベルの部品の吸着について、第2ノズルが選択される。
【0061】
部品31の材質に基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、材質がセラミックまたは樹脂の部品の吸着について、第1ノズルが選択され、それ以外の部品の吸着について、第2ノズルが選択される。
【0062】
また、狭隣接に基づいて部品実装ノズル41を決定する場合、部品間ピッチが0.295mm以上0.297mm以下の位置に実装される部品の吸着について、第1ノズルが選択され、部品間ピッチが0.297より大きい位置に実装される部品の吸着について、第2ノズルが選択される。
【0063】
つまり、制御部8は、実装する部品31の実装位置と隣りの部品31の実装位置との間隔が所定のしきい値よりも小さい場合に、部品31を吸着する部品実装ノズル41を第1ノズルに決定するように構成されている。
【0064】
また、先端部412がウェットブラスト加工されている第1ノズルと、先端部412が通常研磨加工されている第2ノズルとの選択は、選択画面により、選択することが可能である。
【0065】
具体的には、図9に示すように、第1ノズルと第2ノズルとの選択を選択設定画面により行うことが可能である。選択設定では、設置しない、自動または手動を選択可能である。また、選択設定を自動にした場合、狭隣接を、考慮する、考慮しない、または手動を選択することができる。また、選択設定を自動または手動にした場合、部品の種類、部品の大きさ、部品の質量、部品の形状、部品の粗さ、および、部品の材質を、各々選択することができ、各々の項目についてor(または)とand(および)を選択することができる。
【0066】
選択設定を手動にした場合、図10に示すように、使用ノズルを手動で選択することができる。
【0067】
(パラメータ設定手順)
次に、図13を参照して、ウェットブラスト加工の条件を決定(パラメータを設定)する手順について説明する。
【0068】
図13のステップS1において、部品実装ノズル41の先端部412に対してウェットブラスト加工を行う。ステップS2において、先端部412の欠け検査を行う。具体的には、図12に示すように、ウェットブラスト加工後の先端部412の側面を撮像部10により撮像して、欠け検査を行う。
【0069】
ステップS3において、所定の規格より大きな欠けが発生しているか否かを判断する。欠けが発生していなければ、ステップS4に進み、欠けが発生していれば、ステップS7に進む。
【0070】
ステップS4において、先端部412の粗さ検査を行う。具体的には、図11に示すように、ウェットブラスト加工後の先端部412を、測定装置9により凹凸具合を測定して、粗さ検査を行う。ステップS5において、表面粗さについて所定の規格を満たしているか否かを判断する。所定の規格内であれば、ステップS6に進み、所定の規格外であれば、ステップS7に進む。
【0071】
ステップS6において、ウェットブラスト加工の処理時間を変更するか否かを判断する。処理時間を変更しない場合、パラメータが設定されて処理が終了される。処理時間を変更する場合、ステップS13に進む。
【0072】
ステップS7において、ウェットブラスト加工の水圧および空気圧を下げるか否かを判断する。水圧および空気圧を下げる場合、ステップS8において、水圧および空気圧を下げる処理を行う。水圧および空気圧を下げない場合、ステップS9に進む。
【0073】
ステップS9において、ウェットブラスト加工の処理時間を変更するか否かを判断する。処理時間を変更する場合、ステップS10において、処理時間を変更する。処理時間を変更しない場合、ステップS11に進む。
【0074】
ステップS11において、試行していない研磨剤の条件があるか否かを判断する。未試行の条件がある場合、ステップS12において、研磨剤の種類およびスラリー(水と研磨剤の混合液)の濃度のうち少なくとも1つの条件を変更する。未試行の条件がない場合、ステップS14に進む。
【0075】
ステップS13において、予め定められた所定の回数の試行を行ったか否かを判断する。所定の回数の試行が行われていれば、ステップS14に進み、所定の回数の試行が行われていなければ、ステップS1に戻る。
【0076】
ステップS14において、試行した条件を廃棄する。
【0077】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、焼結後に、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズル41の先端部412に、凹凸面を形成する工程を設ける。これにより、凹凸面を形成する際に目の粗い砥石により研削加工を行う場合と異なり、先端部412に欠けが発生するのを抑制することができる。また、ウェットブラスト加工により水と研磨材を吹き付けて先端部412を加工するので、研削加工とは異なり研削筋(図14参照)が生じない。その結果、吸着した部品が研削筋方向に移動するのを抑制することができるので、部品31を保持する性能を向上させることができる。また、研削により先端部412に凹凸面を形成する場合と異なり、光沢が生じるのを抑制することができる。これにより、部品認識撮像部7により部品実装ノズル41に吸着された部品31を撮像する場合に、部品実装ノズル41の先端部412に反射された光が映り込むのを抑制することができる。その結果、部品31を精度よく撮像することができる。これらにより、部品実装ノズル41の部品31を保持する性能を向上させることができるとともに、部品31を精度よく撮像することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズル41の先端部412に、ランダムに配置された点状の凹部を形成する工程を含む。これにより、部品実装ノズル41の先端部412に研削筋が生じるのを効果的に抑制することができるので、部品31を保持する性能を効果的に向上させることができる。また、部品実装ノズル41の先端部412において光を乱反射させることができるので、表面に光沢が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、凹凸面を形成する工程は、ウェットブラスト加工により、部品実装ノズル41の先端部412に、全体的に略均一な表面粗さを有する凹凸面を形成する工程を含む。これにより、部品実装ノズル41の先端部412に研削筋、模様、ムラなどが生じるのを効果的に抑制することができる。また、表面に光沢が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、ウェットブラスト加工を行った部品実装ノズル41の先端部412の凹凸面の状態を測定し、測定した凹凸面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程を備える。これにより、部品実装ノズル41の先端部412に均一な表面粗さの凹凸面を形成するようなウェットブラスト加工の適切な条件を容易に決定することができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、ウェットブラスト加工を行った部品実装ノズル41の先端部412の側面の状態を撮像し、撮像した側面の状態に基づいて、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程を備える。これにより、部品実装ノズル41の先端部412の側面に欠けが発生しないようなウェットブラスト加工の条件を決定することができるので、先端部412に欠けが発生するのを効果的に抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、ウェットブラスト加工の条件を決定する工程は、研磨剤の種類、研磨剤および水の割合、水圧、空気圧、移動速度および処理時間のうち少なくとも1つの条件を決定することを含む。これにより、ウェットブラスト加工を実際に行った部品実装ノズル41の先端部412の状態に基づいて、研磨剤の種類、研磨剤および水の割合、水圧、空気圧、移動速度および処理時間のうち少なくとも1つを含む加工の条件を決定することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、先端部412の凹凸面は、部品31を吸着してノズル本体411を移動させる際の部品31のズレ量、および、ノズル本体411に吸着された部品31を撮像する際の先端部412の輝度のうち少なくとも1つに基づいて設定された規定範囲の表面粗さを有している。これにより、先端部412の凹凸面を規定範囲の表面粗さにすることにより、部品31を吸着してノズル本体411を移動させる際の部品31のズレ量、または、ノズル本体411に吸着された部品31を撮像する際の先端部412の輝度を、所定の値よりも小さくすることができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、第1ノズルまたは第2ノズルを選択して、部品31を吸着する部品実装ノズル41を決定するように構成されている。これにより、部品31の状態や、部品31の実装位置の状態に応じて、第1ノズルまたは第2ノズルを用いて実装作業を行うことができるので、適した部品実装ノズル41を用いて部品31の実装を行うことができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、部品31の種類、部品31の大きさ、部品31の質量、部品31の形状、および、部品31の吸着面のうち少なくとも1つを含む条件に基づいて、第1ノズルまたは第2ノズルを選択して、部品31を吸着する部品実装ノズル41を決定するように構成されている。これにより、部品31の種類、部品31の大きさ、部品31の質量、部品31の形状、および、部品31の吸着面のうち少なくとも1つを含む条件に基づいて、部品31の実装に用いる部品実装ノズル41を容易に選択することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、制御部8は、実装する部品31の実装位置と隣りの部品31の実装位置との間隔が所定のしきい値よりも小さい場合に、部品31を吸着する部品実装ノズル41を第1ノズルに決定するように構成されている。これにより、先端部412に形成された凹凸面により、吸着位置のズレ量が小さくなる第1ノズルを用いて、隣の部品31との間隔が小さい実装位置に部品31を実装することができるので、精度よく部品を実装することができる。
【0088】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
たとえば、上記実施形態では、先端部の凹凸面をレーザーを用いて測定して、ウェットブラスト加工の条件を設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、先端部の凹凸面をレーザー以外の方法により測定して、ウェットブラスト加工の条件を設定してもよい。たとえば、先端部の凹凸面を3次元カメラにより撮像して測定してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、ヘッドユニットに複数の実装ヘッドが直線状に配列されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットに円環状に複数の実装ヘッドが配列されていてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、ヘッドユニットが1つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットを複数設けてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、基板を搬送するコンベアが一対設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を搬送するコンベアが複数対設けられていてもよい。たとえば、並行して基板を搬送可能であり、並行して基板に部品を実装可能な部品実装装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0093】
8 制御部
31 部品
41 部品実装ノズル
42 実装ヘッド
100 部品実装装置
411 ノズル本体
412 先端部
S 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14