(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144180
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子及び電子部品用材料
(51)【国際特許分類】
C09C 1/00 20060101AFI20241003BHJP
C09C 3/06 20060101ALI20241003BHJP
C01G 23/00 20060101ALI20241003BHJP
C01G 23/04 20060101ALI20241003BHJP
C01G 9/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C09C1/00
C09C3/06
C01G23/00 C
C01G23/04 B
C01G9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031420
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2023055448
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英人
(72)【発明者】
【氏名】平田 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 陽平
【テーマコード(参考)】
4G047
4J037
【Fターム(参考)】
4G047AA02
4G047AB02
4G047AC02
4G047AD04
4G047CA02
4G047CA07
4G047CB05
4G047CC01
4G047CD04
4G047CD08
4J037AA11
4J037AA21
4J037CA25
4J037DD05
4J037EE03
4J037EE43
4J037FF11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】厚みが薄く、かつ均一なケイ素含有化合物による被覆層(表面処理層)を有する無機化合物粒子を提供する。
【解決手段】下記一般式(1):
MxOy
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される基材粒子表面にケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子であって、該基材粒子の平均粒子径Dに対するケイ素含有化合物による被覆層の平均厚みtAの比(tA/D)が0.02以下であり、該基材粒子にケイ素含有化合物が均一に被覆した場合のケイ素含有化合物による被覆層の計算厚みtcと、測定したケイ素含有化合物の被覆層の厚みのうち、最も大きい値tmaxとの比(tmax/tc)が2.1以下であることを特徴とするケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
MxOy (1)
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3 (2)
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される基材粒子表面にケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子であって、
該基材粒子の平均粒子径Dに対するケイ素含有化合物による被覆層の平均厚みtAの比(tA/D)が0.02以下であり、
該基材粒子にケイ素含有化合物が均一に被覆した場合のケイ素含有化合物による被覆層の計算厚みtcと、ケイ素含有化合物のTEM観察により任意の10箇所を観察して測定したケイ素含有化合物の被覆層の厚みのうち、最も大きい値tmaxとの比(tmax/tc)が2.1以下である
ことを特徴とするケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【請求項2】
前記基材粒子の平均粒子径が100nm以上であることを特徴とする請求項1に記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【請求項3】
前記ケイ素含有化合物はシリカであることを特徴とする請求項1に記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【請求項4】
前記一般式(2)で表される無機化合物はペロブスカイト型結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子を含むことを特徴とする電子部品用材料。
【請求項6】
請求項5に記載の電子部品用材料を用いてなることを特徴とする電子部品。
【請求項7】
ケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を製造する方法であって、
該製造方法は、下記一般式(1):
MxOy (1)
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3 (2)
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合してスラリーを得る第一工程と、
該スラリーから溶媒を除去してケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を得る第二工程と、
第二工程で得られた無機化合物粒子をpH7~14の水溶液中で水熱処理する第三工程とを含むことを特徴とするケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子の製造方法。
【請求項8】
前記基材粒子はBaTiO3、SrTiO3、TiO2、又はZnOであることを特徴とする請求項7に記載のケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子及び電子部品用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
無機化合物粒子は、樹脂へ添加することで樹脂の特性を変化させる機能性フィラーとして利用されており、例えば、チタン酸バリウム等の3元系の遷移金属酸化物のようにペロブスカイト型結晶構造を有する無機化合物粒子は、誘電率や屈折率が高いという特徴を有するため、誘電率や屈折率を高めるための機能性フィラーとして利用されている。
無機化合物粒子を樹脂に添加する場合には樹脂とのなじみ性や分散性を向上させる等の目的で表面改質することが一般的に行われており、種々の表面処理をした無機化合物粒子が報告されている。例えば、ジルコニウム等の金属酸化物粒子をコア粒子とし、コア粒子をケイ素及びアルミニウムの複合酸化物を主成分とするシェル層で被覆したコアシェル型酸化物微粒子を含む分散液(特許文献1参照)、Sm2Fe17N3系磁性粉末の粒子表面にアルキルシリケートを塩基性触媒中で加水分解して得られるシリカゾルとの乾式混合により形成されたシリカ膜が付着している希土類磁性粉末(特許文献2参照)、薄片状基質の表面上に形成した酸化チタン被膜を剥離し、その酸化チタン被膜の表面に金属酸化物からなる被覆層を形成させ、被覆層の表面にシリカ等の表面処理層を形成させた光輝性顔料(特許文献3参照)、テトラヒドロキシシラン、テトラエトキシシランあるいはビニルトリエトキシシランを含む液中でチタン酸バリウムのシードを合成した後、水熱処理をし、シリカの表面処理層を形成させたチタン酸バリウム(特許文献4参照)等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-143297号公報
【特許文献2】特開2000-309802号公報
【特許文献3】特開2004-224964号公報
【特許文献4】特開2015-13792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無機化合物粒子の表面被覆にシリカ等のケイ素含有化合物を用いることは一般的であり、耐酸性、耐候性の付与や、親水性の向上やシリコーン系表面処理剤との反応性向上等の様々な効果を得ることができる。一方でケイ素含有化合物による表面処理を行うと基材表面が実質的にケイ素含有化合物になり、ケイ素含有化合物の被覆量が多い場合には基材の持つ特性が薄れてしまうため、被覆量はできるだけ少ないほうが好ましい。ここで、シリカ等のケイ素含有化合物を用いた表面改質ではケイ素含有化合物を基材表面に析出させて被覆層を形成する手法が一般的であるが、基材の持つ特性を損なわないようにケイ素含有化合物の被覆厚さを薄くしようとしてケイ素含有化合物の量を減らすと基材全体に均一に被覆されず、ケイ素含有化合物がアイランド状に析出してしまい、結果として未被覆状態の基材が露出して表面処理の効果を十分に発揮することができない。特に基材の粒子サイズが大きい場合には基材粒子1つ当たりの表面積が大きくなるために均一に被覆することがより難しくなり、被覆量が多くならざるを得ないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、厚みが薄く、かつ均一なケイ素含有化合物による被覆層(表面処理層)を有する無機化合物粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、厚みが薄く、かつ均一なケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を得る方法について検討し、無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合して調製したスラリーから溶媒を除去してケイ素含有化合物で被覆された無機化合物粒子を得た後、得られた無機化合物粒子をpH7~14の水溶液中で水熱処理することで、厚みが薄く、かつ均一なケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]下記一般式(1):
MxOy (1)
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3 (2)
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される基材粒子表面にケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子であって、
該基材粒子の平均粒子径Dに対するケイ素含有化合物による被覆層の平均厚みtAの比(tA/D)が0.02以下であり、
該基材粒子にケイ素含有化合物が均一に被覆した場合のケイ素含有化合物による被覆層の計算厚みtcと、ケイ素含有化合物のTEM観察により任意の10箇所を観察して測定したケイ素含有化合物の被覆層の厚みのうち、最も大きい値tmaxとの比(tmax/tc)が2.1以下である
ことを特徴とするケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【0008】
[2]前記基材粒子の平均粒子径が100nm以上であることを特徴とする[1]に記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【0009】
[3]前記ケイ素含有化合物はシリカであることを特徴とする[1]又は[2]に記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【0010】
[4]前記一般式(2)で表される無機化合物はペロブスカイト型結晶構造を有することを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子。
【0011】
[5][1]~[4]のいずれかに記載のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子を含むことを特徴とする電子部品用材料。
【0012】
[6][5]に記載の電子部品用材料を用いてなることを特徴とする電子部品。
【0013】
[7]ケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を製造する方法であって、
該製造方法は、下記一般式(1):
MxOy (1)
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3 (2)
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合してスラリーを得る第一工程と、
該スラリーから溶媒を除去してケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を得る第二工程と、
第二工程で得られた無機化合物粒子をpH7~14の水溶液中で水熱処理する第三工程とを含むことを特徴とするケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子の製造方法。
【0014】
[8]前記基材粒子はBaTiO3、SrTiO3、TiO2、又はZnOであることを特徴とする[7]に記載のケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は、厚みが薄く、かつ均一なケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子であり、高誘電率、高屈折率等の基材粒子の特性を損なうことなくケイ素含有化合物被覆による樹脂へのなじみ性向上等の効果を発揮するものであり、電子部品として使用される樹脂材料のフィラー等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【
図2】実施例2で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【
図3】実施例3で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【
図4】比較例1で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【
図5】比較例2で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【
図6】比較例4で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【
図7】比較例6で得られた無機化合物粒子のTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0018】
1.ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は、下記一般式(1):
MxOy (1)
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3 (2)
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される基材粒子表面にケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子であって、該基材粒子の平均粒子径Dに対するケイ素含有化合物による被覆層の平均厚みtAの比(tA/D)が0.02以下であることを特徴の1つとする。
基材粒子の平均粒子径Dに対する、ケイ素含有化合物による被覆層の平均厚みtAの比(tA/D)が0.02以下であることは、本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物が、粒子径に対して被覆層の厚みが薄いものであることを意味する。tA/Dは、0.01以下であることが好ましい。
基材粒子の平均粒子径D、ケイ素含有化合物による被覆層の平均厚みtAは後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0019】
更に本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は、基材粒子にケイ素含有化合物が均一に被覆した場合のケイ素含有化合物による被覆層の計算厚みtcと、ケイ素含有化合物のTEM観察により任意の10箇所を観察して測定したケイ素含有化合物の被覆層の厚みのうち、最も大きい値tmaxとの比(tmax/tc)が2.1以下であることを特徴の1つとする。
この要件を満たすことで、基材粒子にケイ素含有化合物が均一に被覆しているといえる。
tmax/tcは、1.2以下であることが好ましい。より好ましくは、1.1以下である。
ケイ素含有化合物のTEM観察による被覆層の厚みの測定は、後述する実施例に記載の方法により行うことができる。
基材粒子にケイ素含有化合物が均一に被覆した場合のケイ素含有化合物による被覆層の計算厚みtcは、以下の数式(1)により求めることができる。
【0020】
【数1】
(数式(1)中、ρ1は基材の比重、ρ2はケイ素含有化合物の比重、Dは基材の平均粒子径、Xは被覆粒子におけるケイ素含有化合物の質量割合(質量%)である。)
【0021】
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は、基材粒子の平均粒子径が100nm以上であることが好ましい。上述したとおり、基材の粒子サイズが大きいほど、基材粒子上に均一に、薄い被膜を形成することが難しくなる。したがって基材粒子の平均粒子径が100nm以上である場合に、基材粒子上に均一に薄い被膜を形成した本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子の技術的意義が大きくなる。基材粒子の平均粒子径は、300nm以上であることがより好ましい。更に好ましくは、800nm以上である。
基材粒子の平均粒子径に特に上限はないが、樹脂フィラーとして使用される場合、通常、100μm以下のものが使用される。
ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子の基材粒子の平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0022】
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子において、基材粒子を被覆するケイ素含有化合物は、無機化合物粒子を被覆することが可能なケイ素元素を含有する化合物であれば特に制限されないが、シリカ、ゼオライト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、耐酸性の点からシリカが好ましい。シリカは、SiO2で表される化合物であれば特に制限されず、例えば、疎水性の乾式法シリカ、疎水性の湿式法シリカ等を用いることができる。
【0023】
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は高誘電率、高屈折率等の基材粒子の特性を損なうことなくケイ素含有化合物被覆による樹脂へのなじみ性向上等の効果を発揮するものである。本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は更に、表面処理剤の被覆層を有する従来の無機化合物粒子に比べて誘電正接が低い特徴を有する。近年、情報通信技術の進歩に伴い増加している高周波領域の信号伝送では従来の波長よりも伝送損失が大きいため、誘電正接の低い材料が必要とされている。本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子はこのような高周波領域を使用する高周波電子部品の材料として好適に用いることができる。
【0024】
2.ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子の製造方法
本発明はまた、ケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を製造する方法であって、該製造方法は、下記一般式(1):
MxOy (1)
(式(1)中、MはZn、Ti又はZrを表し、x、yは、それぞれ独立に1~3の整数を表す。)、又は
下記一般式(2):
ATiO3 (2)
(式(2)中、AはCa、Ba又はSrを表す。)で表される無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合してスラリーを得る第一工程と、該スラリーから溶媒を除去してケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を得る第二工程と、第二工程で得られた無機化合物粒子をpH7~14の水溶液中で水熱処理する第三工程とを含むことを特徴とするケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子の製造方法でもある(以下においては、単に本発明の製造方法ともいう)。
このような製造方法を用いることで、基材粒子の平均粒子径が大きい場合であっても、無機化合物の基材粒子上に均一に薄いケイ素含有化合物の被膜を形成したケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子を製造することができる。
【0025】
本発明の製造方法の第一工程は、無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合してスラリーを得る工程である。
第一工程におけるケイ素含有化合物の使用量は、無機化合物の基材粒子の平均粒子径、密度、ケイ素含有化合物の種類に応じて適宜調整できる。具体的には、例えば、平均粒子径が300nmのチタン酸ストロンチウム、ケイ素含有化合物がシリカの場合、ケイ素含有化合物の使用量は、チタン酸ストロンチウム100質量%に対して、好ましくは0.1~5.4質量%であり、より好ましくは1.0~2.0質量%である。
また平均粒子径100nmのチタン酸バリウム、ケイ素含有化合物がシリカの場合、ケイ素含有化合物の使用量は、チタン酸バリウム100質量%に対して、好ましくは0.1~5.4質量%であり、より好ましくは2.0~4.0質量%である。
また平均粒子径800nmのチタン酸バリウム、ケイ素含有化合物がシリカの場合、ケイ素含有化合物の使用量は、チタン酸バリウム100質量%に対して、好ましくは0.1~4.6質量%、より好ましくは0.5~2.0質量%である。
【0026】
上記第一工程において用いられるケイ素含有化合物としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛等のケイ酸塩、シリカ粉、ゼオライト等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
上記第一工程において、無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とのスラリーを調製するために使用される溶媒は特に制限されないが、水が挙げられる。
【0028】
上記第一工程における溶媒の使用量は、無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とのスラリーが得られる限り特に制限されないが、無機化合物粒子100質量%に対して、50~10000質量%であることが好ましい。より好ましくは、200~3000質量%である。
【0029】
上記第一工程において無機化合物の基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合する方法は特に制限されず、リボンミキサー、スパルタンミキサー、遊星ボールミル、ビーズミル等を用いて行うことができる。遊星ボールミル、ビーズミルのいずれかを用いる場合に使用するメディアとしては、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、窒化珪素ビーズ、メノウビーズ、タングステンカーバイドビーズ等が挙げられる。
【0030】
上記第一工程においては、ケイ素含有化合物としてメタケイ酸ナトリウムのような水溶性のケイ酸塩を使用した場合、基材粒子とケイ素含有化合物とを溶媒中で混合してスラリーを得た後、該スラリーを中和する工程を行うことが好ましい。中和することで水に難溶性のケイ酸含有化合物が得られ、濾過による余剰の溶媒の分離が容易になる。
ケイ素含有化合物としてメタケイ酸ナトリウムを使用した場合のように、スラリーが塩基性である場合、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いて中和することができる。
【0031】
本発明の製造方法の第二工程において、スラリーから溶媒を除去してケイ素含有化合物による被覆層を有する無機化合物粒子を得る方法は、溶媒が除去されることになる限り特に制限されないが、スラリーを乾燥して溶媒を除去する方法が好ましい。
スラリーを乾燥する際の乾燥温度は、溶媒を効率的に除去しつつ、無機化合物粒子が熱によって変質することを防止する点から、80~300℃が好ましい。より好ましくは、100~130℃である。
また乾燥時間は、特に限定されないが、溶媒を十分に除去することと、製造の効率とを考慮すると、1~24時間が好ましい。より好ましくは、3~10時間である。
【0032】
上記第二工程においてスラリーを乾燥して溶媒を除去する場合、乾燥前にスラリーの固形分を洗浄する工程を行うことが好ましい。固形分を洗浄することで、不純物の少ないケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子を得ることができる。
スラリーの固形分を洗浄する方法は特に制限されないが、濾過によりスラリーの固形分を濾別した後、固形分を溶媒で洗浄する操作を1回又は2回以上行う方法を用いることができる。洗浄する溶媒としては、上記第一工程で用いる溶媒と同様のものを用いることができる。
【0033】
本発明の製造方法の第三工程は、第二工程で得られた無機化合物粒子をpH7~14の水溶液中で水熱処理する工程である。
第二工程で得られた無機化合物粒子は、ケイ素含有化合物で被覆されているものの、十分に均一な被覆がされているとはいえない状態である。特に無機化合物粒子の粒子径が大きい場合には、被覆されている部分とされていない部分が存在するアイランド状の被覆状態となりやすい。このような無機化合物粒子をpH7~14の水溶液で水熱処理にすると、被覆されている部分のケイ素含有化合物の一部が溶解する。その際にケイ酸含有化合物が基材粒子全体に偏りなく被覆することで被覆層が均一化し、これにより、被覆層が薄くても均一に被覆された無機化合物粒子を得ることができる。
無機化合物粒子の水熱処理は、pH7~14の水溶液中で行われればよいが、pH7.5~11の水溶液中で行われることが好ましい。より好ましくは、pH8~9の水溶液中で行われることである。
【0034】
上記第三工程における水熱処理は特に限定されないが、通常、オートクレーブ等の耐熱容器中において行う。
水熱処理の処理温度は特に制限されないが、80~300℃であることが好ましい。より好ましくは、100~200℃である。
また水熱処理する時間は特に制限されないが、0.5~24時間であることが好ましい。より好ましくは、4~12時間である。
【0035】
上記第三工程においては、水熱処理の後、スラリーから溶媒と固形分(ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子)とを分離する工程を行う。水熱処理後のスラリーから溶媒と固形分(ケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子)とを分離する方法は特に制限されないが、濾過や遠心分離を用いることができる。
また、固形分を溶媒と分離する工程を行った後、固形分を水洗する工程を行うことが好ましい。水洗後は、濾過や遠心分離により固形分を分離する工程を行って水洗後の固形分を得ることができる。水洗工程と固形分の分離工程はそれぞれ1回行ってもよく、2回以上行ってもよい。
【0036】
上記第三工程では更に、水熱処理後のスラリーから溶媒と固形分を分離し、必要に応じて水洗工程と固形分の分離工程を行った後、固形分を乾燥する工程を行うことが好ましい。
固形分を乾燥する温度は特に制限されないが、80~300℃であることが好ましい。より好ましくは、100~130℃である。
また乾燥する時間は固形分が十分に乾燥されれば特に制限されないが、1~24時間であることが好ましい。より好ましくは、3~10時間である。
【0037】
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子の製造方法は、上述した工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、第二工程や第三工程で得られた乾燥後の固形分を粉砕する工程、粉砕した固形分を分級する工程等が挙げられる。
【0038】
3.電子部品用材料、電子部品
本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は、無機化合物が有する特徴を有しつつ、表面処理をされていることで樹脂とのなじみ性が高く、樹脂に配合した場合に樹脂に均一に混合することができる。したがって、本発明のケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子は、樹脂へ添加することで樹脂の特性を変化させる機能性フィラーとして好適に用いることができる。特にペロブスカイト型結晶構造を有する無機化合物は誘電率や屈折率が高いという特徴、及び誘電正接が低いという特徴を有するため、これらの特徴を有しつつ樹脂に均一に混合することができる。
このようなケイ素含有化合物被覆無機化合物粒子を含む電子部品用材料もまた本発明の1つであり、本発明の電子部品用材料を用いてなる電子部品もまた、本発明の1つである。
【実施例0039】
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」及び「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。なお、各種の測定、算出方法は以下の通りである。
【0040】
<基材粒子の粒子径D>
BET比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb Model HM-1220)で測定した基材粒子の比表面積を基に基材粒子の形状が球形と仮定して粒子径を算出した。
<ケイ素含有化合物(SiO2)被覆粒子におけるSiO2の割合>
蛍光X線分析装置(リガク社製、ZSX PrimusII)で測定したTi量及びSi量からSiO2/BaTiO3あるいはSiO2/SrTiO3の重量比(%)を算出した。
<ケイ素含有化合物(SiO2)による被覆層の計算厚みtc>
上述した数式(1)のとおり、基材の比重ρ1と平均粒子径D、及び、SiO2の比重ρ2とSiO2被覆粒子におけるSiO2の割合から、球形の基材に均一厚さでSiO2が被覆している時のSiO2厚さを計算し、計算厚みtcとした。
なお、基材の比重ρ1にはチタン酸バリウムの比重(6.02)、チタン酸ストロンチウムの比重(5.12)、また、ケイ素含有化合物の比重ρ2はシリカの比重(2.20)を用いた。
<ケイ素含有化合物(SiO2)による被覆層の最大厚みtmax>
TEM(日本電子社製、JEM-2100F)観察により、SiO2被覆粒子の任意の10箇所を観察して測定したケイ素含有化合物の被覆層の厚みのうち、最も大きい値を最大厚みtmaxとした。
<ケイ素含有化合物(SiO2)被覆粒子における被覆層の平均厚みtA>
TEM(日本電子社製、JEM-2100F)観察により、SiO2被覆粒子の任意の10箇所を観察して測定したSiO2の被覆層の厚みの平均値を平均厚みtAとした。
<ケイ素含有化合物(SiO2)被覆粒子の粉体誘電特性>
ケイ素含有化合物被覆無機化合物の粉体誘電特性はエーイーティー社製、空洞共振器ADMS01Nc1およびキーサイト・テクノロジー社製、ベクトルネットワークアナライザP9373Aを用いてTMモードにより1GHzにおける粉体の誘電率εと誘電正接tanδを求めた。
【0041】
実施例1
[第一工程]
粒子径300nmのペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸ストロンチウム粒子(堺化学工業株式会社製)25gをイオン交換水250gでリパルプし、メタケイ酸ナトリウム九水和物(富士フィルム和光純薬社製)2.4g(シリカ換算で0.50g)を添加してスラリーを調製した。得られたスラリーを撹拌しながら加熱し、液温を80℃から90℃の間に保ち、2.5重量%に希釈した硝酸73gを2時間かけて添加した。
[第二工程]
第一工程で得られたスラリーを室温まで冷却した後、濾過、水洗し105℃で10時間乾燥し、シリカ被覆チタン酸ストロンチウムの乾燥粒子を得た。
[第三工程]
水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬社製)をイオン交換水250gに溶解してpH8.0の水溶液を調製し、第二工程で得られたシリカ被覆チタン酸ストロンチウムの乾燥粒子を加え、全量をリパルプし、スラリーを調製した。調製したリパルプスラリーをオートクレーブにセットし、200℃で12時間水熱処理を行った。水熱処理後のスラリーを室温まで冷却後、遠心分離機で固液分離し、沈殿をイオン交換水でリパルプした。
得られたリパルプスラリーを再度遠心分離機で固液分離し、沈殿をイオン交換水で洗浄した。合計5回洗浄をおこない。洗浄後の沈殿を105℃で10時間乾燥して、シリカ被覆チタン酸ストロンチウム粒子を得た。
得られたシリカ被覆チタン酸ストロンチウム粒子について蛍光X線分析を行ったところ、Si/Ti比は0.036であり、シリカ/チタン酸ストロンチウムに換算すると1.18wt%であった。
【0042】
実施例2
実施例1の第一工程において粒子径300nmのチタン酸ストロンチウム粒子の代わりに粒子径100nmのチタン酸バリウム粒子(堺化学工業株式会社製)を使用し、メタケイ酸ナトリウムの添加量を5.9g(シリカ換算で1.24g)に変更し、第三工程において水溶液のpHを7.0に変更した以外は実施例1と同様に操作し、シリカ被覆チタン酸バリウム粒子を得た。
得られたシリカ被覆チタン酸バリウム粒子について蛍光X線分析を行ったところ、Si/Ti比は0.154であり、シリカ/チタン酸バリウムに換算すると3.97wt%であった。
【0043】
実施例3
実施例1の第一工程において粒子径300nmのチタン酸ストロンチウム粒子の代わりに粒子径800nmのチタン酸バリウム粒子(堺化学工業株式会社製)を使用し、メタケイ酸ナトリウムの添加量を3.0g(シリカ換算で0.63g)に変更し、第三工程において水溶液のpHを11.0に変更した以外は実施例1と同様に操作し、シリカ被覆チタン酸バリウム粒子を得た。
得られたシリカ被覆チタン酸バリウム粒子について蛍光X線分析を行ったところ、Si/Ti比は0.078であり、シリカ/チタン酸バリウム に換算すると2.00wt%であった。
【0044】
実施例4
実施例1の第一工程において粒子径300nmのチタン酸ストロンチウム粒子の代わりに粒子径3μmの酸化チタン粒子(堺化学工業株式会社製)を使用し、メタケイ酸ナトリウムの添加量を1.1g(シリカ換算で0.23g)に変更し、第三工程における水熱処理を140℃で6時間行った以外は実施例1と同様に操作し、シリカ被覆酸化チタン粒子を得た。
得られたシリカ被覆酸化チタン粒子について蛍光X線分析を行ったところ、Si/Tiモル比は0.011であり、シリカ/酸化チタンに換算すると0.80wt%であった。
【0045】
実施例5
実施例1の第一工程において粒子径300nmのチタン酸ストロンチウム粒子の代わりに粒子径2μmの酸化亜鉛粒子(堺化学工業株式会社製)を使用し、メタケイ酸ナトリウムの添加量を1.2g(シリカ換算で0.25g)に変更し、第三工程における水熱処理を100℃で6時間行った以外は実施例1と同様に操作し、シリカ被覆酸化亜鉛粒子を得た。
得られたシリカ被覆酸化亜鉛粒子について蛍光X線分析を行ったところ、Si/Znモル比は0.010であり、シリカ/酸化亜鉛に換算すると0.74wt%であった。
【0046】
実施例6
実施例1の第一工程において粒子径300nmのチタン酸ストロンチウム粒子の代わりに粒子径300nmの酸化チタン粒子(堺化学工業株式会社製)を使用し、メタケイ酸ナトリウムの添加量を4.8g(シリカ換算で1.0g)に変更し、第三工程における水熱処理を200℃で6時間で行った以外は実施例1と同様に操作し、シリカ被覆酸化チタン粒子を得た。
得られたシリカ被覆酸化チタン粒子について蛍光X線分析を行ったところ、Si/Tiモル比は0.044であり、シリカ/酸化チタンに換算すると3.34wt%であった。
【0047】
比較例1
実施例1の第二工程までを行い、得られた乾燥粒子を比較例1のシリカ被覆チタン酸ストロンチウムとした。
得られたシリカ被覆チタン酸ストロンチウムを蛍光X線分析装置で分析したところ、Si/Ti比は0.050であり、シリカ/チタン酸ストロンチウムに換算すると1.67wt%であった。
【0048】
比較例2
実施例1の第一工程において、メタケイ酸ナトリウムの添加量を7.08gに変更した以外は、実施例1と同様にして第二工程までを行い、得られた乾燥粒子を比較例2のシリカ被覆チタン酸ストロンチウムとした。
得られたシリカ被覆チタン酸ストロンチウムを蛍光X線分析装置で分析したところ、Si/Ti比は0.130であり、シリカ/チタン酸ストロンチウムに換算すると4.25wt%であった。
【0049】
比較例3
実施例1で基材として用いた粒子径300nmのチタン酸ストロンチウム粒子そのもの(シリカ被覆を行わなかったもの)を比較例3の粒子とした。
【0050】
比較例4
実施例2の第二工程までを行い、得られた乾燥粒子を比較例4のシリカ被覆チタン酸バリウムとした。
得られたシリカ被覆チタン酸バリウムを蛍光X線分析装置で分析したところ、Si/Ti比は0.168であり、シリカ/チタン酸バリウムに換算すると4.33wt%であった。
【0051】
比較例5
実施例2で基材として用いた粒子径100nmのチタン酸バリウム粒子そのもの(シリカ被覆を行わなかったもの)を比較例5の粒子とした。
【0052】
比較例6
実施例3の第二工程までを行い、得られた乾燥粒子を比較例6のシリカ被覆チタン酸バリウムとした。
得られたシリカ被覆チタン酸バリウムを蛍光X線分析装置で分析したところ、Si/Ti比は0.083であり、シリカ/チタン酸バリウムに換算すると2.14wt%であった。
【0053】
比較例7
実施例3で基材として用いた粒子径800nmのチタン酸バリウム粒子そのもの(シリカ被覆を行わなかったもの)を比較例7の粒子とした。
【0054】
比較例8
実施例4で基材として用いた粒子径3μmの酸化チタン粒子そのもの(シリカ被覆を行わなかったもの)を比較例8の粒子とした。
【0055】
比較例9
実施例5で基材として用いた粒子径2μmの酸化亜鉛粒子そのもの(シリカ被覆を行わなかったもの)を比較例9の粒子とした。
【0056】
比較例10
実施例6で基材として用いた粒子径300nmの酸化チタン粒子そのもの(シリカ被覆を行わなかったもの)を比較例10の粒子とした。
【0057】
実施例、比較例で得られたシリカ被覆チタン酸ストロンチウム、シリカ被覆チタン酸バリウム、シリカ被覆酸化チタン又はシリカ被覆酸化亜鉛の各種測定結果を表1に示す。表1中、ε1、tanδ1はシリカ被覆チタン酸ストロンチウム、シリカ被覆チタン酸バリウム、シリカ被覆酸化チタン又はシリカ被覆酸化亜鉛の値であり、ε2、tanδ2は基材のチタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛の値である。
tmax/tcの値が小さいほど、シリカによる被覆層が均一になっているといえる(最小値は1.0)。またtA/Dはシリカによる被覆層の厚さの相対的な指標であり、この値が大きいと、シリカが含む水酸基によりtanδが悪化する。
【0058】
【0059】
実施例、比較例の結果から、本発明の製造方法を用いることで、厚みが薄く、かつ均一なシリカによる被覆層を有するチタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛が得られることが確認された。また、そのような被覆層を有する実施例のチタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛は比較例のものに比べ誘電正接(tanδ)が低く、誘電特性にも優れることが確認された。