(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144191
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ロッドを骨アンカーに連結するための連結装置ならびにそのような連結装置および少なくとも2つの骨アンカーからなるシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033961
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】23165563
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/493,238
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/600,542
(32)【優先日】2023-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ベルトホルト・ダネッカー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL65
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機能を選択可能なモジュール式骨固定システム、及びそれに使用される連結装置を提供すること。
【解決手段】ロッドを第1のタイプの第1の骨アンカー(1)または第2のタイプの第2の骨アンカー(1’)に連結するための連結装置が提供され、連結装置(10)は、ロッド受容部分(53)と、第1の骨アンカーまたは第2の骨アンカーのシャンク(2)が頭部受容部分を通って延在する旋回軸に対して複数の角度位置をとることができるように、第1の骨アンカー(1)の頭部(3)または第2の骨アンカー(1’)の頭部(3’)を旋回可能に受け入れるための頭部受容部分とを有する、受容部(5)と、頭部(3、3’)に圧力をかけるように構成されている、圧力部材(6)とを備え、連結装置(10)が、第1の骨アンカー(1)と、第2の骨アンカー(1’)と、協働するように構成されている、拘束構造(600)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドを第1のタイプの第1の骨アンカー(1)または第2のタイプの第2の骨アンカー(1’)に連結するための連結装置であって、前記連結装置(10、10’)が、
受容部(5、5’)であって、前記ロッド(100)を受け入れるためのロッド受容部分(53)と、頭部受容部分(52)であって、前記第1の骨アンカーまたは前記第2の骨アンカーのシャンク(2)が前記頭部受容部分(52)を通って延在する旋回軸(C)に対して複数の角度位置をとることができるように、前記第1の骨アンカー(1)の頭部(3)または前記第2の骨アンカー(1’)の頭部(3’)を旋回可能に受け入れるための、頭部受容部分(52)とを有する、受容部(5、5’)と、
圧力部材(6、6’)であって、前記頭部(3、3’)を特定の角度位置でクランプするために前記第1の骨アンカー(1)または前記第2の骨アンカー(1’)の挿入された頭部(3、3’)に圧力をかけるように構成されている、圧力部材(6、6’)と
を備え、
前記連結装置(10、10’)が、拘束構造(58、158a、158b、600、600a、600b)であって、それにより、前記連結装置(10、10’)が、前記第1の骨アンカー(1)が単一平面内で前記旋回軸(C)に対して旋回するように構成されるように前記第1の骨アンカー(1)と、または前記第2の骨アンカー(1’)が複数平面内で前記旋回軸(C)に対して旋回するように構成されるように前記第2の骨アンカー(1’)と、協働するように構成されている、拘束構造(58、158a、158b、600、600a、600b)を備える、連結装置。
【請求項2】
前記拘束構造が、前記第1の骨アンカー(1)が前記単一平面内で旋回することを可能にするために、前記第1の骨アンカー(1)の合致する拘束構造(4)と協働するように構成されている前記圧力部材(6、6’)に設けられた第1の凹部(600、600a)を備える、請求項1に記載の連結装置。
【請求項3】
前記圧力部材(6、6’)が、前記第1の骨アンカー(1)または前記第2の骨アンカー(1’)の挿入された頭部(3、3’)を側方から囲む頭部受容部分(66)を備え、前記頭部受容部分(66)が、前記シャンク(2)を通過させるための下部開口部(67)を画定し、前記拘束構造(600、600a)が前記下部開口部(67)に隣接する、請求項1または2に記載の連結装置。
【請求項4】
前記圧力部材(6、6’)が前記ロッド(100)のための支持面(61a)を画定し、前記拘束構造(600、600a)が、前記第1の骨アンカー(1)が前記旋回軸(C)および前記支持面(61a)の長手方向軸(l)によって画定される前記単一の旋回平面内で旋回するように構成されるように、前記支持面(61a)の前記長手方向軸(l)と位置合わせされ、または
前記拘束構造(600b)が、前記支持面(61a)の前記長手方向軸(l)に対してある角度、好ましくは90°の角度で配向され、前記第1の骨アンカー(1)が、前記旋回軸(C)と、前記支持面(61a)の前記長手方向軸(l)を横断する、好ましくは垂直な軸(k)とによって画定される前記単一の旋回平面内で旋回するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項5】
前記圧力部材(6’)が前記ロッド(100)のための支持面(61a)を画定し、前記拘束構造が、前記支持面(61a)の長手方向軸(l)と位置合わせされた第1の一対の凹部(600a)と、前記支持面(61a)の前記長手方向軸(l)に対してある角度、好ましくは90°の角度で配向された第2の一対の凹部(600b)とを備え、第3の骨アンカー(1")が前記旋回軸(C)に対して旋回するのを防止するように、前記連結装置が前記第3の骨アンカー(1")に接続するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項6】
前記圧力部材(6、6’)が、2つの直立脚部(62)をさらに備え、前記脚部(62)の少なくとも1つが、前記圧力部材の回転を防止するために前記受容部(5、5’)の一部と協働するように構成されている指部(64)を備え、好ましくは、前記指部(64)が、前記受容部の突起が係合するように構成されている軸方向に延在する溝(64b)を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項7】
前記拘束構造が、前記第1の骨アンカー(1)と協働するように構成されている前記受容部(5、5’)の第2の凹部(58、158a、158b)などの、前記圧力部材上の前記拘束構造に対応する、前記受容部(5、5’)上の対応する拘束構造を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項8】
前記受容部(5、5’)が、第1の端部(5a)および反対側の第2の端部(5b)と、前記ロッド(100)を受け入れるための凹部(53)と、前記第2の端部(5b)の開口部(52b)であって、その最大幅が、前記頭部(3、3’)が前記第2の端部(5b)から前記開口部(52b)を通って挿入されることを可能にするために、前記第1の骨アンカー(1)または前記第2の骨アンカー(1’)の前記頭部(3、3’)の最大外径よりも大きい、開口部(52b)とを備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項9】
前記圧力部材(6)内に少なくとも部分的に位置決め可能であり、前記頭部(3、3’)を前記受容部(5)に対してクランプするために、挿入された頭部(3、3’)に調整可能な圧力をかけるために第1の位置から第2の位置に移動可能であるインサート部材(7、7’)をさらに備え、
任意選択的に、前記インサート部材(7’)が、突起(74)であって、前記突起(74)と、前記第1の骨アンカー(1)または前記第2の骨アンカー(1’)が前記受容部(5)に対して旋回するのを防止する前記頭部(3、3’)との間の形状適合接続を提供するように、前記頭部(3、3’)の自由端面(3a)の凹部(32)に係合するように構成されている突起(74)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の連結装置。
【請求項10】
骨固定システムであって、請求項1~9のいずれか1項に記載の連結装置と、第1のタイプの第1の骨アンカー(1)、第2のタイプの第2の骨アンカー(1’)、および第3のタイプの第3の骨アンカー(1")のうちの少なくとも2つとを備え、
前記第1の骨アンカー(1)が、前記第1の骨アンカー(1)が単一平面内で前記旋回軸(C)に対して旋回するように構成されるように、合致する拘束構造(4)を備え、
前記第2の骨アンカー(1’)が、複数平面内で前記旋回軸に対して旋回するように構成され、
前記第3の骨アンカー(1")が、前記第3の骨アンカー(1")が前記旋回軸(C)に対して旋回するのを防止するように、合致する拘束構造(4’)を備える、骨固定システム。
【請求項11】
前記第1の骨アンカー(1)の前記頭部(3)が、実質的に球状の外面部分を有し、前記外面に、前記連結装置の前記拘束構造(58、158a、158b、600、600a、600b)と協働するように構成されている拘束構造(4)を備え、好ましくは、前記拘束構造(4)が、シャンク軸(S)から離れるように延在し、前記シャンク軸(S)と共に前記単一の旋回平面を画定する少なくとも1つの翼部(4)を備える突起である、請求項10に記載の骨固定システム。
【請求項12】
前記第3の骨アンカー(1")の前記頭部(3)が、実質的に球状の外面部分を有し、前記外面に、前記連結装置の前記拘束構造(158a、158b、600a、600b)と協働するように構成されている拘束構造(4’)を備え、好ましくは、前記拘束構造(4’)が、少なくとも2つの翼部(4’)を備える突起であり、各翼部がシャンク軸(S)から離れるように延在し、前記翼部のうちの少なくとも2つが、前記頭部(3)の前記球状の外面部分の周方向に180°とは異なる角度で、好ましくは90°の角度で互いに離間している、請求項10または11に記載の骨固定システム。
【請求項13】
前記連結装置(10、10’)の前記拘束構造(58、158a、600、600a)が、前記旋回軸(C)を含み、かつ前記ロッド受容部分(53)の長手方向軸(L)に垂直である平面に対して対称であり、かつ/または
前記連結装置(10’)の前記拘束構造(158b、600b)が、前記旋回軸(C)および前記ロッド受容部分(53)の前記長手方向軸(L)を含む平面に対して対称である、請求項10~12のいずれか1項に記載の骨固定システム。
【請求項14】
前記第2の骨アンカー(1’)の前記頭部(3’)が、拘束構造を有さない均一な球状の外面部分を有する、請求項10~13のいずれか1項に記載の骨固定システム。
【請求項15】
前記第1の骨アンカー(1)の前記頭部(3)および前記第2の骨アンカー(1’)の前記頭部(3’)が、前記第1の骨アンカー(1)または前記第2の骨アンカー(1’)の旋回を防止するためにインサート部材(7)による係合のための凹部(32)を有する自由端(3a)を備える、請求項10~14のいずれか1項に記載の骨固定システム。
【請求項16】
骨アンカー、特に、請求項10~15のいずれか1項に記載の骨固定システムの前記第1の骨アンカー(1)および/または前記第3の骨アンカー(1")を骨に挿入するための器具であって、前記骨アンカー(1、1")が、頭部(3)およびシャンク(2)を備え、前記頭部(3)が、実質的に球状の外面部分を有し、前記外面に、連結装置(10、10’)の拘束構造(58、158a、158b、600、600a、600b)と協働するように構成されている拘束構造(4、4’)を備え、好ましくは、前記骨アンカーの前記拘束構造(4、4’)が、前記シャンク(2)のシャンク軸(S)から離れるように延在する少なくとも1つの翼部(4、4’)を備える突起であり、前記翼部が、好ましくは、前記頭部(3)の前記球状の外面部分に沿って前記シャンク軸(S)と平行に延在し、
前記器具(200、300)が、前記器具に対する前記骨アンカーの回転を防止するために、前記器具を前記骨アンカー(1、1")に連結するために前記頭部(3)の前記拘束構造(4、4’)に係合するように構成された係合構造(204、304)を備える、器具。
【請求項17】
少なくともその一部において前記骨アンカー(1、1")の前記頭部(3)の前記球状の外面部分に係合するように構成された球状またはU字形の部分(203、303)をさらに備え、かつ/または
前記係合構造が、前記骨アンカー(1、1’)の前記少なくとも1つの翼部(4、4’)を内部に受け入れるように構成された少なくとも1つの溝(204、304)を備え、かつ/または
前記骨アンカーの前記拘束構造(4、4’)が、前記頭部(3)の周方向に離間した少なくとも2つの翼部を備え、前記器具の前記係合構造が、少なくとも2つの溝(204、304)を備え、各溝が前記翼部のうちの1つを受け入れるように構成される、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
請求項16または17に記載の器具(200、300)をさらに備える、請求項10~15のいずれか1項に記載の骨固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドを骨アンカーに連結するための連結装置に関する。骨アンカーは、交換可能に使用されることができる第1のタイプまたは第2のタイプのものであり得る。本発明はまた、そのような連結装置と少なくとも2つの骨アンカーとを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎手術では、ユーザの選択により、異なる用途のための骨アンカーの使用を可能にするために、交換可能な部品から組み立てられ得るモジュール式骨アンカーが知られている。例えば、米国特許第9,277,938号明細書は、収容空間を有する受容部と、第1の頭部を有する第1の固定要素と、第1の頭部の一部の周りに配置され、収容空間に配置されるように構成されたスリーブ状の挿入片と、第2の頭部を有する第2の固定要素と、第1の頭部または第2の頭部に圧力をかけるように構成された圧力部材とを含む多軸骨固定システムを記載しており、第1の骨固定要素および第2の骨固定要素は、受容部に交換可能に接続可能に構成されている。骨固定要素の1つは、他の骨固定要素と比較してより大きな旋回角度で旋回するように構成されている。したがって、臨床用途に応じて、第1の骨固定要素または第2の骨固定要素は、受容部と組み合わされる。
【0003】
米国特許出願公開第2016/0113684号明細書は、例えば骨ねじシャフトなどの部材に選択的に連結され得る受容具などの部材のアレイを含むモジュール式システムを備える脊椎インプラントシステムを記載している。いくつかの実施形態では、脊椎インプラントシステムは、ねじシャフトの頭部の駆動部と嵌合するように構成されたクラウンを含み、クラウンは、シャフトが任意の軸に沿っておよび/または任意の平面と回転するのを防止するように構成されている。いくつかの実施形態では、クラウンは、一軸式スクリュー機能を有する受容具と共に使用される。他の実施形態では、クラウンは、多軸式スクリュー機能を有する受容具と共に使用される。
【0004】
米国特許第7,749,258号明細書は、ロッドを受け入れるための受容部と、圧力要素と、受容部の長手方向軸を中心として制限された角度範囲であって、その角度が単一平面内にある、角度範囲で受容部に対して移動可能な骨固定要素とを含む、一平面骨固定装置の形態の骨固定装置を記載している。受容部に対する骨固定要素の動きは、骨固定要素の頭部および圧力要素に協働する誘導面を含む形状適合接続によって制限される。
【0005】
多軸、一平面および/または一軸骨固定装置を実装することを可能にするモジュール式骨固定システムを含む単純ないくつかの部品を提供する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、多軸、一平面および/または一軸設計に関して選択可能な機能を可能にするモジュール式骨固定装置で使用され得る連結装置を提供することが目的である。このような連結装置と、骨固定装置に異なる機能を提供する少なくとも2つの骨アンカーとを含む骨固定システムを提供することもまた、目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の連結装置、請求項10に記載の骨固定システム、および請求項16に記載の器具によって解決される。さらなる発展が従属請求項に記載されている。連結装置のさらなる発展形態を骨固定システムに適用することもでき、骨固定システムのさらなる発展形態を連結装置に適用することもできることに留意されたい。
【0008】
一実施形態によれば、ロッドを第1のタイプの第1の骨アンカーまたは第2のタイプの第2の骨アンカーに連結するための連結装置は、受容部であって、ロッドを受け入れるためのロッド受容部分と、第1の骨アンカーまたは第2の骨アンカーのシャンクが、頭部受容部分を通って延在する旋回軸に対して複数の角度位置をとることができるように、第1の骨アンカーの頭部または第2の骨アンカーの頭部を旋回可能に受け入れるための頭部受容部分とを有する、受容部と、圧力部材であって、頭部を特定の角度位置でクランプするために第1の骨アンカーまたは第2の骨アンカーの挿入された頭部に圧力をかけるように構成されている、圧力部材とを備える。連結装置は、拘束構造であって、それにより、連結装置が、第1の骨アンカーが単一平面内で旋回軸に対して旋回するように構成されるように第1の骨アンカーと、または第2の骨アンカーが複数平面内で旋回軸に対して旋回するように構成されるように第2の骨アンカーと、協働するように構成されている、拘束構造を備える。
【0009】
別の実施形態によれば、連結装置は、追加的または代替的に、ロッドを第3のタイプの第3の骨アンカーに連結するように構成される。この実施形態では、連結装置の拘束構造は、第3の骨アンカーが連結装置に対して旋回するのを防止し、かつ/または旋回軸に対してそのシャンク軸の固定された向きを有するように、第3の骨アンカーと協働するように構成されている。
【0010】
第1の骨アンカーを選択し、それを連結装置と組み立てることによって、連結装置が一平面骨固定装置として使用され得る。第2の骨アンカーを選択し、それを連結装置と組み立てることによって、連結装置が多軸骨固定装置として使用され得る。第3の骨アンカーを選択することにより、連結装置が一軸骨固定装置として使用され得る。同じ連結装置が異なる骨アンカーと共に使用されることができるため、外科医は、セット当たりの部品の数を減らしながら、インプラントの組み合わせをより柔軟かつ汎用的に選択することができる。
【0011】
さらに、受容部および圧力部材は、骨アンカーと比較して製造コストが高いため、同じ連結装置を複数の臨床用途に使用することができれば、製造コストおよび/またはストック保持のコストを削減することができる。
【0012】
さらなる実施形態では、連結装置の拘束構造は、第1の骨アンカーが旋回軸に対して旋回するように構成されている第1の単一平面を画定し、また、第1の骨アンカーが旋回軸に対して旋回するように構成されている第2の単一平面を画定し、ここで第2の単一平面は第1の単一平面とは異なっている。第1の骨アンカーは、第1の単一平面内で旋回可能であるように第1の向きで、または第2の単一平面内で旋回可能であるように第2の向きで、連結装置に選択的に連結されるように構成されている。したがって、異なる旋回平面を有する一平面連結装置が提供され得る。
【0013】
さらなる実施形態では、第1のインサート部材が連結装置に追加され得る。インサート部材は、圧力部材内に位置付け可能であり、連結装置内に受け入れられる骨アンカーの頭部に異なる圧縮力をかける少なくとも2つの位置をとり得る。これにより、頭部と圧力部材との間の摩擦力は、ロッドがまだ挿入されていなくても、特定の角度位置で連結装置に対して骨アンカーを仮係止できるように調整されることができる。これにより、ロッドおよび/または固定部材をロッドチャネルに挿入する必要なしに調整ステップを実行することが可能になる。
【0014】
さらに別の実施形態では、第2のインサート部材が、圧力部材に挿入されるように構成され、骨アンカーの頭部に密着させて係合するように設けられ得る。これにより、一軸骨固定装置が実装されることができる。
【0015】
第1のインサートまたは第2のインサートを選択することによって、インプラントの組み合わせの選択肢をさらに拡大することができる一方で、さらにより少ない部品で、その各々が単純な設計のものを有することができる。
【0016】
実施形態によれば、骨固定装置は、底部装填式であり、すなわち、骨アンカーは、受容部の下端から挿入され得る。しかしながら、骨固定装置はまた、上部装填式であってもよく、すなわち、骨アンカーは、受容部の上端から挿入されてもよい。
【0017】
連結装置および少なくとも2つの骨アンカーのシステムは、連結装置ならびに第1のタイプの第1の骨アンカーおよび第2のタイプの第2の骨アンカーを含んでもよく、連結装置および第1の骨アンカーは、骨アンカーが単一平面内でのみ旋回することができる一平面骨固定装置を形成するように組み合わせることができるか、または連結装置は、第2の骨アンカーと組み合わせて、骨アンカーが複数平面内で旋回することができる多軸骨固定装置を形成することができる。
【0018】
さらなる実施形態では、連結装置と少なくとも2つの骨アンカーとのシステムは、連結装置と、第1のタイプの第1の骨アンカーおよび/または第2のタイプの第2の骨アンカーと、第3のタイプの第3の骨アンカーとを含んでもよく、連結装置は、第1の骨アンカーと組み合わせて、骨アンカーが単一平面内でのみ旋回することができる一平面骨固定装置を形成することができるか、もしくは連結装置は、第2の骨アンカーと組み合わせて、骨アンカーが複数平面内で旋回することができる多軸骨固定装置を形成することができるか、または第3の骨アンカーと組み合わせて、第3の骨アンカーが連結装置に対して旋回するのを防止する一軸骨固定装置を形成することができる。
【0019】
さらなる実施形態によれば、一平面骨固定装置は、ロッドを骨アンカーに連結するための連結装置を含み、連結装置は、受容部であって、ロッドを受け入れるためのロッド受容部分と、骨アンカーのシャンクが頭部受容部分を通って延在する旋回軸に対して複数の角度位置をとることができるように骨アンカーの頭部を旋回可能に受け入れるための頭部受容部分とを有する、受容部と、圧力部材であって、頭部を特定の角度位置でクランプするために挿入された頭部に圧力をかけるように構成されている、圧力部材とを備える。連結装置は、拘束構造であって、それにより、骨アンカーが単一平面内で旋回軸に対して旋回することができるように、連結装置が骨アンカーと協働するように構成されている、拘束構造を備える。骨固定装置は、連結装置の拘束構造と協働するように構成されている協働する拘束構造を備える骨アンカーをさらに含み、連結装置の拘束構造は少なくとも1つの凹部を備え、骨アンカーの拘束構造は、受容部に対する骨アンカーの旋回運動を単一平面に制限するように凹部に係合するように構成された少なくとも1つの突出部を備える。
【0020】
さらなる実施形態によれば、一軸骨固定装置は、ロッドを骨アンカーに連結するための連結装置を含み、連結装置は、受容部であって、ロッドを受け入れるためのロッド受容部分と、骨アンカーの頭部を受け入れるための頭部受容部分とを有する、受容部と、挿入された頭部に圧力をかけるように構成されている圧力部材とを備える。連結装置は、拘束構造であって、それにより、骨アンカーのシャンクが、好ましくはシャンク軸と中心軸とが一致するように、頭部受容部分を通って延在する中心軸に対してただ1つの固定角度位置をとることができるように、連結装置が骨アンカーと協働するように構成されている、拘束構造を備える。骨固定装置は、連結装置の拘束構造と協働するように構成されている嵌合拘束構造を備える骨アンカーをさらに含み、連結装置の拘束構造は、少なくとも2つの凹部を備え、骨アンカーの拘束構造は、凹部に係合するように構成された対応する数の突出部を備え、凹部および突出部は、受容部に対する骨アンカーの旋回運動を防止するように成形および配置される。
【0021】
さらなる実施形態によれば、骨アンカーを骨に挿入するための器具が提供され、骨アンカーは、頭部およびシャンクを備え、頭部は、実質的に球状の外面部分を有し、外面に、連結装置の拘束構造と協働するように構成されている拘束構造を備え、好ましくは、骨アンカーの拘束構造は、シャンクのシャンク軸から離れるように延在する少なくとも1つの翼部を備える突起であり、翼部は、好ましくは、頭部の球状の外面部分に沿ってシャンク軸に平行に延在し、器具は、器具に対する骨アンカーの回転を防止するために、器具を骨アンカーに連結するために頭部の拘束構造に係合するように構成された係合構造を備える。骨アンカーは、特に、本明細書に記載の第1の骨アンカーおよび/または第3の骨アンカーであり得る。
【0022】
器具は拘束構造で骨アンカーと係合するため、例えば頭部と係合するための多角形の係合機構などの追加の係合機構を必要としない場合がある。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「ロッド」という用語は、断面形状にかかわらず、任意の細長い部材を含むと理解されるべきである。具体的には、本明細書で使用される脊椎安定化ロッドは、実質的に円形、楕円形、または角度のある断面を有してもよい。そのような断面は、ロッドの長さに沿って変化してもよい。
【0024】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面による実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】交換可能に使用することができる2つの骨アンカーおよび2つのインサート部材を有する連結装置を含む一実施形態によるシステムの斜視分解図である。
【
図2】組み立てられた状態の
図1のシステムの部品から組み立てられた骨固定装置の一実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1および
図2の連結装置の受容部の一実施形態の上部からの斜視図である。
【
図6】
図3から
図5の受容部の断面図であり、この断面図は
図5のA-A線に沿って得られる。
【
図7】
図1および
図2の連結装置の圧力部材の一実施形態の上部からの斜視図である。
【
図10】
図7から
図9の圧力部材の断面図であり、この断面図は
図9のB-B線に沿って得られる。
【
図12】
図1のシステムの第1の骨アンカーの一実施形態の上部からの斜視図である。
【
図15】
図1のシステムの第2の骨アンカーの上部からの斜視図である。
【
図18】
図1のシステムの第1のインサート部材の底部からの斜視図である。
【
図21】
図1のシステムの第2のインサート部材の上部からの斜視図である。
【
図23】
図1の連結装置および第2の骨アンカーを使用する多軸骨固定装置の形態の骨固定装置の一実施形態の断面図であり、この断面は、受容部を通って延在し、挿入されたロッドの長手方向軸に垂直に延在する平面で得られる。
【
図24】
図1のシステムの連結部材と、一平面骨固定装置の形態の第1の骨アンカーとで組み立てられた骨固定装置の一部断面斜視図である。
【
図25】結果として得られる骨固定装置が一軸骨固定装置の形態であるように、
図1のシステムの連結装置および第2の骨アンカーならびに第2のインサート部材から組み立てられた骨固定装置の断面図であり、この断面は、連結装置の中心軸を含み、ロッドチャネルの長手方向軸に垂直に延在する平面で得られる。
【
図26】
図1のシステムの連結装置および第2の骨アンカーならびに第1のインサート部材から組み立てられた多軸骨固定装置の形態の骨固定装置の断面図であり、この断面は、連結装置の中心軸を含み、ロッドチャネルの長手方向軸に垂直に延在する平面で得られる。
【
図27】さらなる実施形態によるシステムの斜視図であり、システムは、連結装置と、
図1のシステムの第1の骨アンカーと、第3の骨アンカーとを含み、第1および第3の骨アンカーは交換可能に使用されることができる。
【
図37】一実施形態による、
図27のシステムの第3の骨アンカーの上部からの斜視図である。
【
図38】
図37の第3の骨アンカーの上部からの斜視図である。
【
図39】骨アンカーを骨に挿入するための一実施形態による器具の一部の斜視図であり、骨アンカーは拘束構造を備える。
【
図41】係合状態にある
図40の器具の一部および第1の骨アンカーの斜視図である。
【
図42】骨アンカーを骨に挿入するためのさらなる実施形態による器具の一部の斜視図であり、骨アンカーは拘束構造を備える。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、一実施形態による連結装置および少なくとも2つの骨アンカーのシステムは、少なくとも第1のタイプの第1の骨アンカー1および第2のタイプの第2の骨アンカー1’と、第1の骨アンカー1または第2の骨アンカー1’に接続可能である連結装置10とを含む。連結装置10が第1の骨アンカー1と組み立てられると、結果として得られる骨固定装置は、第1の骨アンカー1が単一平面内でのみ旋回することができる一平面骨固定装置である。連結装置が第2の骨アンカーと組み立てられると、結果として得られる骨固定装置は、骨アンカーが複数平面内で旋回することができる多軸骨固定装置である。したがって、第1の骨アンカー1および第2の骨アンカー1’は、同一の連結装置10と共に交換可能に使用されてもよい。
【0027】
連結装置10は、受容部5と圧力部材6とを含む。受容部5は、第1の骨アンカー1の頭部3または第2の骨アンカー1’の頭部3’およびロッド100を収容するように構成されている。圧力部材6は、受容部5内に位置付け可能であり、挿入された頭部に圧力をかけるように構成されている。任意選択的に、システムは、圧力部材6内に位置付け可能であり、挿入された頭部に作用するように圧力部材6に移動可能な第1のインサート部材7および/または第2のインサート部材7’をさらに含んでもよい。任意選択的に、インサート部材7およびインサート部材7’は、第2の骨アンカー1’と組み立てられた連結装置10と交換可能に使用されてもよい。さらに、ロッド100を受容部5内に確実に固定するために、例えば固定ねじ8の形態の固定装置が設けられる。
【0028】
図2は、連結装置10と組み立てられた第2の骨アンカー1’と、固定部材8に挿入されて固定されたロッド100とを示す。
【0029】
図3から
図6にさらに詳細に示すように、受容部5は、実質的に円筒形であってもよく、第1の端部または上端5aと、第2の端部または下端5bと、上端5aから下端5bに向かって延在し、長手方向中心軸Cを画定する通路51とを有する。好ましくは、受容部はモノリシック部品である。下端5bに隣接して、骨アンカーのうちの1つの頭部、および圧力部材6の一部も収容するための頭部受容部分52が形成されている。頭部受容部分52は、下端5bに隣接する狭小化部分52aを備え、圧力部材6の対応する狭小化外面部分と協働して、挿入された頭部の周りに圧力部材をクランプする。下端5bにおいて、通路51は、挿入される骨アンカーの頭部の最大幅よりも大きい最大幅を有する開口部52bを設ける。これにより、頭部が下端5bから受容部5に挿入され得る。通路51は、上端方向に狭小化部分52aから、頭部を入れるために圧力部材6の一部を拡張するための空間を提供する拡幅セクション52cへと広がっている。拡幅セクション52cから、逆狭小化セクション52dが上端5aに向かって延在し、その後に、拡幅セクション52cの幅よりも小さい実質的に一定の幅を有する通路51の部分51aが続く。
【0030】
受容部5は、上端5aから一定の距離に延在する実質的にU字形の凹部53を含むロッド受容部分をさらに備える。実質的にU字形の凹部53は、受容部5を2つの脚部54に分割し、ロッド100を受け入れるチャネルを形成している。固定部材8と協働するために、上端5aに隣接する受容部5に、例えば正方形のねじ山である雌ねじ55が設けられている。雌ねじ55の下端には、アンダーカット55bがあってもよい。このアンダーカット55bの上縁は、頭部が挿入されたときに圧力部材6が上方に移動するのを防止するための支台として機能してもよい。また、脚部54の各々の内壁であって、下端5bに向かう方向においてアンダーカット55bよりも下側の位置に周方向溝56が設けられてもよい。溝56は、頭部が挿入され、圧力部材が頭部受容部分の狭小化部分52aと係合したときに、頭部が取り外せないように圧力部材6を位置に保持する固定構造として機能してもよい。
【0031】
実質的にU字形の凹部53は、チャネルの長手方向軸Lを画定する。
図4から
図6に最もよく示しているように、2つの対向する凹部またはスロット58が下端5bに形成され、下端5bから受容部5のほぼ拡幅セクション52bまで延在している。凹部は、
図5に示すように、上面図において、互いに180°オフセットされ、チャネル軸Lと位置合わせされている。凹部58の内側輪郭は、丸みを帯びた縁58aを有する実質的に長方形であってもよい。凹部58によって、以下でさらに説明するように、第1の骨アンカー1の頭部3を下端5bから挿入することが可能である。具体的には、凹部58は、中心軸Cを含む単一平面に対する骨アンカーの挿入された頭部の旋回運動を拘束する拘束構造またはそのような拘束構造の一部を画定する。
【0032】
また、脚部54の各々の周方向の中央には、横断する圧着ボア59が形成されている。圧着ボア59は、U字形の凹部53の底部53aのほぼ高さの周りで軸方向に位置してもよい。圧力部材6が受容部5に取り付けられると、通路51内に突出し、圧力部材6の一部と係合して圧力部材6の回転を防止するように構成されている圧着ボア59の位置で、脚部54の内壁に小さな突出部をもたらす圧着動作が実行され得る。
【0033】
最後に、上端5aの近くで、器具の係合部分として機能し得る周方向溝500が脚部の各々に形成されている。
【0034】
図7から
図11をさらに参照して、圧力部材6についてより詳細に説明する。好ましくは、圧力部材6はモノリシック部品である。第1の端部または上端6aおよび第2の端部または下端6bを有し、受容部5の通路51内を移動することを可能にする外径を有する実質的に円筒形であってもよい。上端6aには、ロッド支持面61aを提供するロッド受容凹部61が形成されている。ロッド支持面61aは、圧力部材6が受容部5内に位置付けられたときに受容部5の中心軸Cと一致する、圧力部材6の円筒軸に対して実質的に垂直に延在する長手方向軸lを有する実質的にV字形の断面を有してもよい。ロッド受容凹部61の深さは、ロッド100の直径よりも小さくてもよい。したがって、ロッド100が支持面61a上に載置されると、例えば
図23および
図24に示すように、ロッドは圧力部材6の上端6aよりも上方に突出する。ロッド支持面61aのV字形状は、異なる直径を有するロッドを使用することを可能にする。
【0035】
さらに、ロッド受容凹部61は、溝61bによって両側にロッド支持面61aから分離され得る2つの自由脚部62が形成されるように成形されている。これにより、脚部62は、ロッド支持面61aの長手方向軸を横断する方向にわずかに可撓性を有する。脚部62の自由端は、圧力部材6の第1の端部6aを形成する上面に半径方向に突出するリム62aを有してもよい。リム62aは、受容部5の脚部54の内面に設けられたアンダーカット55bまたは溝56と係合して、受容部5における圧力部材6の挿入位置または事前ロック位置を固定するように構成されている。周方向位置における脚部62の各々の中央で、64の自由端64aが上端6aに対向するように、指部64を形成する脚部62の一部が延在する切り欠き63が作成されている。指部64の各々の外面には、切り欠き63の下方の脚部62の外壁にわずかに延在し得る軸方向に延在する溝64bが形成されている。溝64bは、受容部5に設けられた圧着ボア59を圧着することによって形成された突出部によって係合されるように構成されている。
【0036】
圧力部材6の下端6bに隣接して、テーパ状、好ましくは円錐形状であってもよく、受容部5の狭小化セクション52aと協働するように構成されている外面部分65が設けられている。さらに、第2の端部6bに骨アンカーの頭部を挿入するための開口部67を画定する中空の頭部受容部分66が、圧力部材6に形成されている。頭部受容部分66は、骨アンカーの球状の頭部を噛合可能に受け入れるように成形されている下部および上部の実質的に球状のセクション66a、66bを有してもよい。中間セクション66cは、頭部の挿入を容易にするためにより大きい内側幅を有する。さらに、圧力部材6を完全に貫通して拡幅セクション66c内に延在する複数のスリット68が設けられている。スリット68は、第2の端部6bに開口し、反対側の端部で閉じている。閉じた端部において、スリットは、例えば円形であり得る拡幅セクション68aを含んでもよい。
図11に示すように、スリット68の閉じた端部は、頭部受容部分66の拡幅セクション66cの上端に位置していてもよい。図示の実施形態では、ロッド支持面61aの両側に2つずつ、周方向に切り欠き63に対して対称に位置付けられ得る4つのスリットが存在してもよい。しかしながら、スリットの数および配置は、頭部受容部分66の所望の可撓性に応じて変化してもよい。
【0037】
中心軸Cと同軸である同軸のねじ付きボア69は、ロッド支持面61aを通って頭部受容部分66内に延在し、器具を用いて挿入された頭部へのアクセスを可能にする。ボア69は、完全にまたは部分的にねじ切りされてもよく、インサートを軸方向に前進および後退させることができるように、第1のインサート7または第2のインサート7’を受け入れるように構成されている。
【0038】
最後に、2つの対向する凹部またはスロット600が、圧力部材6の下側部分に形成されている。凹部600は、互いに180°オフセットされ、
図9に示すように、上面図において、ロッド支持面61aの長手方向軸lと位置合わせされている。凹部600は、第2の端部6bに開口し、第1の端部6aに向かって閉じている。好ましくは、それらは、ねじ付きボア59の壁内に軸方向に延在する。
図10で最もよく分かるように、凹部600の内側輪郭は長方形であってもよい。凹部600の大きさは、以下でさらに説明するように、第1の骨アンカー1の一部がその中で延在することができるような大きさである。圧力部材6が受容部5に取り付けられると、凹部600は受容部5の凹部58と位置合わせされる。したがって、凹部600は、第1の骨アンカー1の旋回運動を中心軸Cを含む単一平面に拘束する拘束構造を画定する。したがって、中心軸Cは旋回軸を画定する。
【0039】
図12から
図14をさらに参照して、第1の骨アンカー1についてより詳細に説明する。骨アンカー1は、好ましくは完全にまたは部分的にねじ切りされた、シャンク軸Sを有するシャンク2と、自由端3aを有する頭部3とを備える。頭部3とシャンク2との間には、首部分2aがあってもよい。頭部3は、球の最大直径Eを有する領域を含む球状の外面部分を有する。好ましくは、球状の外面部分は、最大外径Eの平面を含む平面に対して軸方向に実質的に対称である。さらに、頭部3は、頭部3の自由端3aから首部2aまで球面に沿って延在する2つの対向する翼部4を備える。翼部4は、シャンク軸Sを含む平面中間面に対して180°オフセットされ、対称であり、各々球殻セグメントの形状を有する。翼部の上端4aは平坦であり、頭部3の自由端3aの一部を形成している。翼部4の幅は、頭部3が圧力部材6の頭部受容部分66に受け入れられたときに、翼部4が凹部600内に延在してその中で旋回できるような幅である。したがって、翼部4は、圧力部材6に設けられた凹部600の形態の対応する拘束構造と協働して、頭部受容部分66における頭部3の旋回運動を単一平面に制限または抑制する拘束構造または拘束構造の一部を形成している。翼部4の幅は、挿入中に頭部3が受容部5の下部開口部52bを通過するときに、翼部4が受容部5の下端5bの凹部58を通過するような幅であることに留意されたい。
【0040】
さらに、自由端3aには、多角形または任意の他の係合構造、例えば、骨アンカー1を骨にねじ込むのに適したトルクス(登録商標)形状もしくは星形状または他の軸方向溝形状の構造を有し得る工具係合凹部31が形成される。さらに、以下に説明するように、第2のインサート部材7’を受け入れるために、工具係合凹部31よりもわずかに小さい直径を有し得る底部32を有する同軸凹部32が設けられてもよい。
【0041】
図15から
図17を参照して、第2の骨アンカー1’についてより詳細に説明する。第1の骨アンカー1と同一の部品および部分には同一の参照符号を付して説明を省略する。第2の骨アンカー1’は、第2の骨アンカーの頭部3’が翼部4を欠いているという点で、第1の骨アンカー1とは異なる。したがって、頭部3’の外面は、首部分2aと自由端面3aとの間で均一な球状をなしている。これにより、第2の骨アンカー1’を連結装置10に挿入する際に、頭部3’が拘束されることなく、圧力部材6の頭部受容部分66内で自由に旋回し得る。これは、第2の骨アンカー1’が、無制限の数の平面においてさえ、複数平面において中心軸Cに対して旋回することができることを意味する。
【0042】
図18から
図20を参照すると、第1のインサート部材7は、第1の端部または上端7aと、第2の端部または下端7bとを有する実質的に止めねじのような部材である。インサート部材7が圧力部材6に組み立てられると、インサート部材7の上端7aは、圧力部材6の上端6aに対向する。インサート部材7の外面71は、
図26で分かるように、圧力部材6のねじ付きボア69にねじ込まれ、その中で前進することができるようにねじが切られている。さらに、下端7bには、第2の骨アンカー1’の頭部3’の球状の外面部分の形状に一致する球状の凹部72が形成されている。球状の凹部72の大きさは、頭部3’が圧力部材6の頭部受容部分66にあるときに、凹部72が頭部3’の球状の外面部分の少なくとも一部を覆うように構成されるような大きさである。さらに、工具係合凹部73が上端7aに設けられており、インサート部材7を軸方向に完全に貫通し得る。工具係合凹部73は、工具との係合に適したいかなる形状を有してもよく、例えば、多角形や、トルクス形状、星形状などであってもよい。
【0043】
次に
図21および
図22に示すように、第2のインサート部材7’は、ねじ付き外面71および工具係合凹部73を有する上側部分の止めねじのような部分を備える。上側部分に隣接して、上側部分の直径よりも小さい直径を有する円筒形ポストの形状を有する下側部分74が形成されている。より詳細には、円筒形ポスト74は、第1の骨アンカー1の頭部3または第2の骨アンカー1’の頭部3’が圧力部材6内にあり、第2のインサート部材7’がねじ付きボア69内に位置付けられたときに、円筒形ポスト74が頭部3’の端面の凹部32に係合するような直径および長さを有する。この形状適合接続により、骨アンカーの頭部が完全に旋回することが防止される。ポスト74は、
図25に示すように、その下端74bが凹部32の底部32aに当接する程度まで凹部32に入ってもよい。
【0044】
連結装置および骨アンカーの部品および部分は、任意の材料で、好ましくは、チタンもしくはステンレス鋼、または任意の生体適合性金属もしくは金属合金もしくはプラスチック材料で作製され得る。生体適合性合金の場合、NiTi合金、例えばニチノールが使用されてもよい。使用することができる他の材料は、マグネシウムまたはマグネシウム合金である。使用されることができる生体適合性プラスチック材料は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)またはポリ-L-ラクチド酸(PLLA:poly-L-lactide acid)であってもよい。それぞれの部品は、1つまたは複数の同じ材料で、または別のものとは異なる材料で作製され得る。
【0045】
連結装置は、予め組み立てられてもよい。組み立てのために、圧力部材6は、リム62aがアンダーカット55bに入るまで上端5aから受容部に挿入される。これにより、受容部5の凹部58および圧力部材6の凹部600は、受容部5のそれぞれの脚部54の間に位置合わせされて位置している。圧着ステップは、圧着から生じる突出部が指部64において溝64bに入るように、圧着工具が圧着ボア59に係合することによって実行されてもよい。これにより、圧力部材6が受容部5に対して相対回転することが防止される。
【0046】
連結装置10を骨アンカーに接続する前、圧力部材6は、頭部が挿入されたとき、圧力部材6の頭部受容部分66が受容部5の頭部受容部分52の収容空間内で拡張できる挿入位置にある。挿入位置では、圧力部材6の上端6aがアンダーカット55bの上縁に当接することができるため、圧力部材6が受容部5の上端5aに向かって移動することが防止される。予め組み立てられた連結装置10は、骨アンカーを骨に挿入する前、または骨アンカーが骨に挿入された後に、骨アンカーに接続することができる。いずれの場合も、骨アンカーの頭部は、下部開口部52bを介して受容部に挿入され、さらに圧力部材6の頭部受容部分66内に移動される。頭部受容部分66のスリット68により、圧力部材6は頭部にスナップする。その後、リム62aが受容部の内壁の溝56に入るまで、圧力部材6を下方に移動させる。この事前ロック位置では、挿入された頭部3は、もはや下部開口部52bを通して取り外すことができない。
【0047】
連結装置と、第1の骨アンカー1および第2の骨アンカー1’を備える少なくとも2つの骨アンカーとのシステムは、連結装置10を第1の骨アンカー1または第2の骨アンカー1’のいずれかと選択的に組み合わせることを可能にする。したがって、同じ連結装置10を使用して、一平面骨固定装置または多軸骨固定装置のいずれかを生成することができる。
【0048】
図23に示すように、第2の骨アンカー1’が連結装置に挿入されると、第2の骨アンカー1’は、複数平面内で中心軸Cの周りを旋回するように構成されている。受容部5および圧力部材6にそれぞれ設けられた凹部58、600の形態の拘束構造は、第2の骨アンカー1’の旋回運動を制限しない、すなわち影響を及ぼさない。ロッド100の挿入後、固定部材8は、それがロッド100を介して圧力部材6を押圧するまで脚部55間にねじ込まれ、圧力部材はわずかに下方に移動する。受容部の狭小化部分52aと圧力部材の狭小化部分65とが係合する。固定部材8を締めることによって、頭部3’は特定の角度位置にロックされる。
【0049】
図24に示す骨固定装置では、第1の骨アンカー1が連結装置10と組み合わされている。挿入の際、頭部3は、翼部4がそれぞれ受容部の凹部58および圧力部材の凹部600に係合することができるように、連結装置に対して配向されている。これにより、第1の骨アンカー1の旋回運動は単一平面に制限される。本実施形態では、拘束構造の位置により、単一平面は、中心軸Cおよびロッドチャネルの長手方向軸Lによって画定される平面である。ロッド100の挿入後、固定部材8は、それがロッド100を押圧するまで脚部間にねじ込まれ、次にロッドが圧力部材を押圧して頭部3を連結装置内にロックする。
【0050】
図25および
図26は、ロッドがまだ挿入されていない状況における連結装置10と第1および第2の骨アンカーとの組み合わせを示す。インサート部材7、7’は、ロッド100および固定部材8を使用せずに頭部をロックすることができる一方で、位置合わせおよび/または調整ステップを実行することを可能にする。
【0051】
図25では、第2の骨アンカー1’は連結装置10と組み合わされている。さらに、第2のインサート部材7’が、圧力部材6のねじ付きボア69内に位置付けされ、それが凹部32と係合して底部32aに当接するまでねじ込まれている。第2の骨アンカー1’がもはや旋回できないように、円筒形ポスト74と第2の骨アンカー1’の頭部3’との間に形状適合接続が達成されている。同時に、頭部3’は、圧力部材6によって狭められた受容部の下側部分に向かって押圧されている。その結果、シャンク軸Sが受容部5の中心軸Cと同軸になる一軸骨固定装置が生成される。一軸機能は、第2のインサート部材7’を取り外すことによって取り外され得る。あるいは、永久的な一軸骨固定装置が生成されるように、第2のインサート部材7’をその場所に残すことが可能である。
【0052】
第2のインサート部材7’は、連結装置10が第1の骨アンカー1と組み合わされて、一平面骨固定装置から一軸骨固定装置を形成する場合に、同様に使用され得る。
【0053】
図26は、連結装置10と、第1のインサート部材7が使用される第2の骨アンカー1’とを含む多軸骨固定装置を示す。第1のインサート部材7は、それが凹部72に入る頭部3’に接触するまでねじ付きボア69にねじ込まれている。第1のインサート部材7の軸方向位置を調整することにより、頭部3’に作用する摩擦力が調整され得る。このため、ロッドおよび固定部材を挿入することなく、第2の骨アンカー1’を所望の角度位置に維持する摩擦力が生成され得る。摩擦力は、骨アンカーに対して受容部を手動で旋回させることで克服できるように調整されてもよい。あるいは、連結装置の頭部を仮係止するように摩擦力が調整されてもよい。
【0054】
図25および
図26に示す両方の場合において、連結装置に対する骨アンカーの相対位置を調整した後、ロッドが挿入されることができ、固定部材8を締めることによって頭部が最終的にロックされることができる。
【0055】
次に、
図27から
図38を参照して、さらなる実施形態による連結装置および少なくとも2つの骨アンカーのシステムについて説明する。
図27に示すシステムは、少なくとも上述の第1のタイプの第1の骨アンカー1と、第3のタイプの第3の骨アンカー1"と、第2の実施形態による連結装置10’とを含む。連結装置10’は、受容部5’および圧力部材6’を含み、第1の骨アンカー1または第3の骨アンカー1"に選択的に接続可能である。好ましくは、受容部5’はモノリシック部品であり、かつ/または圧力部材6’はモノリシック部品である。任意選択で、システムは、第1の実施形態(
図27では図示しない、
図1参照)について上述したように、第1のインサート部材7および/もしくは第2のインサート部材7’、ならびに/または例えばロッド100を受容部5’に確実に固定するための固定ねじ8の形態の固定装置をさらに含んでもよい。
【0056】
連結装置10’が第1の骨アンカー1と組み立てられると、結果として得られる骨固定装置は、第1の骨アンカー1が単一平面内でのみ旋回することができる一平面骨固定装置である。第1の骨アンカーが連結装置10’と組み立てられる位置または向きに応じて、第1の骨アンカー1は、以下でより詳細に説明するように、第1の平面とは異なる単一の第1の平面または単一の第2の平面で旋回可能である。連結装置が第3の骨アンカー1"と組み立てられると、結果として得られる骨固定装置は、第3の骨アンカー1"が連結装置10’に対して旋回可能に固定される、すなわち連結装置10’に対して旋回することが防止される一軸骨固定装置である。第1の骨アンカー1および第3の骨アンカー1"は、同一の連結装置10’と共に交換可能に使用されてもよい。
【0057】
図27から
図36に示す第2の実施形態の連結装置10’は、
図1から
図26に示す第1の実施形態の連結装置10と拘束構造の構成が異なる。図中、第1の実施形態の連結装置10のものと同一または同様の第2の実施形態の連結装置10’の部品および要素には同一の参照符号を付し、以下の節ではその説明を省略する。
【0058】
図28から最もよく分かるように、第2の実施形態の連結装置10’は、第1の実施形態の連結装置10とは、連結装置10’の拘束構造が圧力部材6’の下側部分に形成された複数の凹部またはスロット600a、600bを含み、その数が少なくとも2つの異なる別個の旋回平面を画定できるような数である点で、特に異なっている。また、受容部5’の下端5bには、対応する複数の凹部またはスロット158a、158bが形成されている。受容部5’については、
図29から
図32を参照しつつ、圧力部材6’については、
図33から
図36を参照しつつ、以下の節でより詳細に説明する。
【0059】
受容部5’は、その下端5bに4つの凹部またはスロット158a、158bを備え、各凹部は、受容部5’の通路51の実質的に一定の幅で下端5bからほぼ部分51aまで延在している。4つの凹部158a、158bは、2つの対向する一対の凹部に配置されている。具体的には、第1の一対の凹部を形成する2つの凹部158aは、
図31に示すように、上面図において、互いに180°オフセットされ、受容部5’のU字形の凹部53によって画定されるチャネル軸Lと位置合わせされている。第2の一対の凹部を形成する他の2つの凹部158bは、
図31の上面図において、互いに180°オフセットされ、チャネル軸Lに垂直である軸Kと位置合わせされている。第1の一対の凹部の凹部158aは、上述した第1の実施形態の受容部5の凹部58と同様であってもよいし、同一であってもよい。したがって、本実施形態では、4つの凹部158a、158bは、受容部5’の周方向に沿って90°間隔で等間隔に配置されている。凹部158a、158bの内側輪郭は、丸みを帯びた縁58a(
図30参照)を有する実質的に長方形であってもよい。
【0060】
凹部158a、158bは、第1の実施形態について上述したように、受容部5’の下端5bから第1の骨アンカー1または第3の骨アンカー1"の頭部3の挿入を可能にする。具体的には、凹部158a、158bは、第1の骨アンカーの挿入された頭部の旋回運動を中心軸Cを含む単一平面に拘束する、および/または受容部5’に対する第3の骨アンカー1"の挿入された頭部の旋回運動を防止する拘束構造または拘束構造の一部を画定する。
【0061】
圧力部材6’は、その下側部分に形成されている4つの凹部またはスロット600a、600bを備える。4つの凹部600a、600bは、2つの対向する一対の凹部に配置されている。具体的には、第1の一対の凹部を形成する2つの凹部600aは、
図35に示すように、上面図において、互いに180°オフセットされ、ロッド支持面61aの長手方向軸lと位置合わせされている。第2の一対の凹部を形成する他の2つの凹部600bは、
図35の上面図において、互いに180°オフセットされ、ロッド支持面61aの長手方向軸lに垂直である軸kと位置合わせされている。したがって、本実施形態では、4つの凹部600a、600bは、圧力部材6’の周方向に沿って90°間隔で等間隔に配置されている。第1の一対の凹部の凹部600aは、上述した第1の実施形態の圧力部材6の凹部600同様であってもよいし、同一であってもよい。
【0062】
凹部600a、600bの内側輪郭は、長方形(
図36参照)であってもよい。凹部600a、600bは、第2の端部6bに開口し、圧力部材6’の第1の端部6aに向かって閉じている。それらは、ねじ付きボア69の壁内に軸方向に延在してもよい。凹部600a、600bの大きさは、第1の骨アンカー1の翼部4が第1の一対の凹部600aまたは第2の一対の凹部600b内に延在し、その中で旋回することができ、第3の骨アンカー1"の翼部4’(以下を参照)が第1の一対の凹部600a内および第2の一対の凹部600b内に延在することができるような大きさである。
【0063】
圧力部材6’が受容部5’に取り付けられると、
図28に示すように、圧力部材6’の凹部600a、600bと受容部5’の凹部158a、158bとが位置合わせされる。したがって、凹部600a、600bは、拘束構造または拘束構造の一部を画定する。この拘束構造は、一方では、第1のタイプの第1の骨アンカー1の旋回運動を中心軸Cを含む単一平面に拘束するように構成される。中心軸Cは、旋回軸を画定してもよい。他方では、拘束構造は、第3の骨アンカー1"の挿入された頭部の中心軸Cに対する旋回運動を防止する。
【0064】
第1の実施形態の圧力部材6と比較して、第2の実施形態の圧力部材6’は、頭部受容部分66に可撓性をもたせるスリット68を設けなくてもよい。圧力部材6’の4つの凹部600a、600bは、連結装置10’による骨アンカーの組み立て中に圧力部材6’が骨アンカーの頭部にスナップすることができるように、頭部受容部分66に可撓性を提供してもよい。
【0065】
第3の骨アンカー1"について、
図37および
図38をさらに参照してより詳細に説明する。第3の骨アンカー1"は、拘束構造を形成する4つの翼部4’を備えるという点で、上述の第1の骨アンカー1とは異なる。具体的には、第3の骨アンカー1"は、頭部の両側にある第1の一対の翼部と、第1の一対の翼部と同様であり、第1の一対の翼部から90°オフセットされた第2の一対の翼部とを備える。したがって、第3の骨アンカーの4つの翼部4’は、頭部3の球状の外面部分の周方向に沿って90°間隔で等間隔に配置されている。
【0066】
第1の骨アンカーの翼部4(
図12~
図14参照)と同様に、第3の骨アンカー1"の翼部4’は各々、球殻セグメントの形状を有する、すなわち、シャンク軸Sの方向に頭部3の球状の外面部分に沿って延在する翼部4’の主延在方向を有する細長い形状を有する。翼部4’の幅は、頭部3が圧力部材6’の頭部受容部分66に受け入れられたときに、翼部4’が凹部600a、600b内に延在することができるような幅である。したがって、翼部4’は、圧力部材6’に設けられた凹部600a、600bの形態の対応する拘束構造と協働して、頭部受容部分66における頭部3の旋回運動を防止する拘束構造または拘束構造の一部を形成する。翼部4’の幅は、挿入中に頭部3が受容部5’の下部開口部52bを通過するときに、翼部4’が受容部5’の下端5bの凹部158a、158bを通過するような幅であることに留意されたい。
【0067】
第2の実施形態の連結装置10’を組み立てるステップおよび骨アンカーの頭部を挿入するステップは、第1の実施形態の連結装置10と同様であり、ここでは繰り返さない。連結装置10’と、第1の骨アンカー1および第3の骨アンカー1"とを備える少なくとも2つの骨アンカーとのシステムは、連結装置10’を第1の骨アンカー1または第3の骨アンカー1"のいずれかと選択的に組み合わせることを可能にする。したがって、同じ連結装置10’を使用して、以下に説明するように2つの異なる旋回平面の間で選択される一平面骨固定装置、または一軸骨固定装置のいずれかを得ることができる。
【0068】
第1の骨アンカー1が連結装置10’と組み合わされると、頭部3は、挿入中に2つの位置で連結装置10’に対して配向され得る。第1の位置では、頭部3は、翼部4が受容部5’の第1の一対の凹部158aおよび圧力部材6’の第1の一対の凹部600aと係合することができるように配向される。この位置では、第1の骨アンカー1の旋回運動は、中心軸Cおよびロッドチャネルの長手方向軸Lによって画定される単一平面に制限される。第2の位置では、頭部3は、翼部4が受容部5’の第2の一対の凹部158bおよび圧力部材6’の第2の一対の凹部600bと係合することができるように配向される。この位置では、第1の骨アンカー1の旋回運動は、中心軸Cおよびロッドチャネルの長手方向軸Lに垂直である軸Kによって画定される単一平面に制限される。
【0069】
第3の骨アンカー1"が連結装置10’と組み合わされると、頭部3は、4つの翼部4’の各々が、受容部5’の凹部158a、158bのうちの1つと、圧力部材6’のそれぞれ位置合わせされた凹部600a、600bと係合することができるように配向される。この位置では、中心軸Cに対する第3の骨アンカー1"のいかなる旋回運動も防止される。
【0070】
上述の第2の骨アンカー1’(
図15~
図17)も、第2の実施形態の連結装置10’と組み合わされ得ることに留意されたい。第2の骨アンカー1’はいかなる拘束構造も有さないため、第2の骨アンカー1’は、連結装置10’に挿入されたときに複数平面で中心軸Cの周りを旋回するように構成されている。したがって、
図27から
図38を参照し、上述したシステムは、一般に、連結装置10’と、第1のタイプの第1の骨アンカー1、第2のタイプの第2の骨アンカー1’、および第3のタイプの第3の骨アンカー1"からなる群から選択される少なくとも2つの骨アンカーとを備えることができる。
【0071】
次に、第1の骨アンカー1を骨に挿入するための器具の第1の実施形態について、
図39から
図41をさらに参照して説明する。
【0072】
器具200は、把持部分(図示せず)を含み得る第1の端部(図示せず)から第2の端部201bまで延在する実質的にロッド状の主要部分201を備える。主要部分201は、ロッド状の主要部分201の前側セクションの一部を切り落とすことによって生成され得る第2の端部201bに隣接する平坦部分202を設けてもよい。平坦部分202の中心にはU字形の凹部203が形成され、このU字形の凹部203は器具の第2の端部201bに開口し、骨アンカー1の頭部3の球状の外面部分の少なくとも一部を内部に受け入れるように成形されている。凹部203は、挿入された頭部3に少なくとも部分的に接触するように、少なくともその一部において頭部3の球状部分と相補的である形状を有してもよい(
図41参照)。U字形の凹部203は、平坦部分202を2つの脚部202a、202bに分割している。
【0073】
脚部202a、202bのU字形の凹部203に対向する内面には、主要部分201の第2の端部201bに開口する2つの溝204が形成されている。溝204の大きさおよび器具200上のそれらの配置は、器具200から骨アンカー1に力、特にトルクを伝達するように第1の骨アンカー1の翼部4と係合することができるようになっている。
【0074】
任意選択的に、器具の第2の端部201bに向かって2つの脚部202a、202bの間に延在する突出部205がU字形の凹部203に形成される。突出部205の外側輪郭は、第1の骨アンカー1または第2の骨アンカー1’の頭部3の自由端3aに設けられた工具係合凹部31と係合するような大きさおよび形状である。例えば、突出部は、多角形または任意の他の形状、例えば、器具200から骨アンカー1に力、特にトルクを伝達するのに適したトルクス形状または星形状または他の軸方向溝形状の構造を有してもよい。変形例として、凹部203は、頭部3の上側部分のみを覆うように球状に形成されていてもよい。
【0075】
骨アンカー1を骨に挿入する、特にねじ込むために、器具200は、
図40および
図41に示すように、骨アンカー1と組み合わされる。
図40に示すように、器具200は、その第2の端部201bが頭部3に面し、器具200の溝204が頭部3の翼部4と位置合わせされた状態で、骨アンカー1の頭部3に向かって前進する。次いで、溝204は、頭部3の翼部4と係合し、器具200を骨アンカー1の頭部3に取り付けるための誘導構造として機能してもよい。
【0076】
器具200が骨アンカー1の頭部3に取り付けられると、
図41に示すように、器具の突出部205が頭部3の工具係合凹部31に係合し、溝204が頭部3の翼部4に係合する。頭部3は、U字形の凹部203内に受け入れられ、器具200の2つの脚部202a、202bの間に横方向に囲まれる。したがって、骨アンカーは、器具に対して回転することが防止され、力、特にトルクは、器具200から骨アンカー1に伝達されて、骨アンカー1を骨に挿入、特にねじ込んでもよい。「回転」は、ここでは、器具の主要部分201に対するシャンク2のシャンク軸Sの周りの骨アンカーの回転を指す。器具200を使用して、第3の骨アンカー1"または第2の骨アンカー1"を骨に挿入することもできる。
【0077】
溝204と頭部3の翼部4との係合は、器具から骨アンカーの頭部に力またはトルクを伝達するのに十分であり得るので、器具200は突出部205なしで設けられてもよく、任意選択的に骨アンカー1は工具係合凹部31なしで設けられてもよいことに留意されたい。器具200が突出部205なしで設けられる場合、頭部3は、頭部3の翼部4が溝204内に受け入れられた状態で器具の主要部分201に対して旋回してもよい。「旋回」は、ここでは、器具200の主要部分201の軸に対するシャンク2のシャンク軸Sの旋回運動を指す。これにより、シャンク軸Sおよび器具の主要部分201がある角度で、すなわち平行ではない位置で、骨アンカー1を器具200に連結することが可能になる。いくつかの臨床状況では、そのような角度のある係合が有利であり得る。
【0078】
図42および
図43は、第1の骨アンカー1または第3の骨アンカー1"を骨に挿入するための器具300の第2の実施形態を示す。器具300は、把持部分(図示せず)を含み得る第1の端部(図示せず)から第2の端部301bまで延在する実質的にロッド状の主要部分301を備える。主要部分301の中央の第2の端部301bには、球状の凹部303が形成されている。球状の凹部303は、第2の端部301bに開口し、器具の第1の端部に向かって閉じており、第3の骨アンカー1"の頭部3の球状の外面部分の少なくとも一部を内部に受け入れるように成形されている。凹部303は、挿入された頭部3に少なくとも部分的に接触するように、少なくともその一部において頭部3の球状部分と相補的な形状を有してもよい。
【0079】
主要部分301の内面のうち、第2の端部301bに開口する球状の凹部303の領域には、4つの溝304が形成されている。溝304の大きさおよび器具300上のそれらの配置は、器具300から第1の骨アンカー1または第3の骨アンカー1"にそれぞれ力、特にトルクを伝達するように、第3の骨アンカー1"の4つの翼部4’および/または第1の骨アンカー1の2つの翼部4と係合することができるようになっている。具体的には、本実施形態では、溝304は、球状の凹部303の周方向に沿って90°間隔で等間隔に配置されている。好ましくは、溝304は、第1の骨アンカー1の翼部4がその中で旋回することを可能にするように、すなわち、器具300の主要部分301の軸に対するシャンク2のシャンク軸Sの旋回運動を可能にするように成形されている。
【0080】
図43に概略的に示すように、第3の骨アンカー1"を骨に挿入する、特にねじ込むために、器具300は、溝304と頭部3の翼部4’との係合によって第3の骨アンカー1"と組み合わされる。
【0081】
器具300が第3の骨アンカー1"の頭部3に取り付けられると、4つの溝304の各々は、骨アンカー1"の翼部4’の1つと係合して、形状適合接続を確立する。これにより、器具300から第3の骨アンカー1"に力、特にトルクを伝達して、骨アンカー1"を骨に挿入、特にねじ込んでもよい。器具300を使用して、第1の骨アンカー1を骨に挿入することもできる。
【0082】
上述の実施形態の変形例が考えられる。例えば、受容部および圧力部材の拘束構造は、単一の旋回平面がチャネル軸に対して角度を有することができるように、別の位置にあってもよい。また、第1の骨アンカーを挿入するときにその1つを選択することができるいくつかの別個の旋回平面が設けられるように、2つ以上の拘束構造が異なる位置に設けられることも考えられ得る。例えば、2つ、3つ、またはそれ以上の別個の旋回平面を実装することができる。
【0083】
図27から
図36を参照して上述した第2の実施形態の連結装置では、受容部および圧力部材の第1の一対の凹部158aおよび600aは、旋回軸または中心軸Cと共に、第1の骨アンカー1の一平面旋回運動が起こる第1の平面を画定し、第2の一対の凹部158bおよび600bは、旋回軸または中心軸Cと共に、第1の骨アンカー1の一平面旋回運動が起こる第2の平面を画定する。連結装置を製造するときに第1および/または第2の一対の凹部の位置を選択することによって、第1の骨アンカーの単一の旋回平面を適切に画定し得る。
【0084】
第1および/または第3の骨アンカーは、頭部の自由端から距離を有する翼部または別の拘束構造を有してもよい。この場合、第1のインサート部材を第1の骨アンカーと共に使用して、インサートと一平面骨固定装置用の頭部との間の摩擦力を達成することもできる。
【0085】
さらなる変形例では、受容部および圧力部材は、骨アンカーの上部荷重用に設計されてもよい。そのような場合、受容部は、下端に隣接して、骨アンカーの頭部を直接旋回可能に受け入れるためのシート部分を有してもよい。圧力部材は、挿入された頭部に対して上部からのみ圧力をかけるように成形されてもよい。
【0086】
すべての実施形態について、連結装置の頭部受容部分の形状は、反対側と比較して一方の側により大きな旋回角度を提供するように、旋回軸が中心軸Cに対して傾斜しているような形状であることが可能である。
【0087】
要素の特定の形状は、図面に示す特定の形状に限定されず、変化してもよいことに留意されたい。
【0088】
骨アンカーは、ねじ付きシャンクを有することに限定されない。骨または椎骨に固定するのに適したすべてのタイプの骨アンカーが使用されてもよい。
【0089】
説明した固定装置の代わりに、例えば、バヨネット固定装置、またはロッドおよび頭部の独立した固定を可能にする2部式固定装置などの他の既知の固定デバイスを実装してもよい。
【外国語明細書】