(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144218
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ビフィズス菌含有組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/135 20160101AFI20241003BHJP
A61K 35/745 20150101ALI20241003BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20241003BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241003BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/745
A61K35/744
A61K9/48
A61K47/26
A61K47/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041009
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2023050951
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301049744
【氏名又は名称】日清ファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】村田 京介
(72)【発明者】
【氏名】中山 優也
(72)【発明者】
【氏名】浅田 憲一
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD29
4B018MD34
4B018MD85
4B018MD86
4B018MD87
4B018ME14
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4B018MF14
4C076AA53
4C076BB01
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4C087AA01
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4C087BC60
4C087MA02
4C087MA37
4C087MA52
4C087NA03
(57)【要約】
【課題】ビフィズス菌、乳酸菌、乳糖および澱粉を含む粉末組成物、または該粉末組成物にさらにその他腸内有用菌を内包するカプセル製剤において、保存中にカプセル水分が内包物に移行して内包物の水分活性が上昇し、ビフィズス菌の生菌の残存率が低下することが抑制されたカプセル製剤を提供すること。
【解決手段】ビフィズス菌、乳酸菌、乳糖および澱粉を含む粉末組成物、または該粉末組成物にさらにその他腸内有用菌を含む粉末組成物が内包されたカプセル製剤であって、粉末組成物の全量に対して乳糖が15~40質量%、澱粉が35~65質量%であるカプセル製剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィズス菌の生菌と乳酸菌と乳糖と澱粉を含む粉末組成物が内包されたカプセル製剤であって、粉末組成物の全量に対して乳糖が15~40質量%、澱粉が35~65質量%であるカプセル製剤。
【請求項2】
カプセルの水分が10%以下である、請求項1に記載のカプセル製剤。
【請求項3】
粉末組成物の水分活性が0.25未満である、請求項1に記載のカプセル製剤。
【請求項4】
澱粉が馬鈴薯澱粉である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカプセル製剤。
【請求項5】
さらに酪酸菌を含む、請求項4に記載のカプセル製剤。
【請求項6】
乳酸菌が有胞子性乳酸菌である、請求項1~3のいずれか1項に記載のカプセル製剤。
【請求項7】
カプセルが大腸デリバリーカプセルである、請求項1~3のいずれか1項に記載のカプセル製剤。
【請求項8】
大腸デリバリーカプセルが、ビフィズス菌の生菌を内包するカプセルを有し、かつカプセルの外側に、キトサン含有層と腸溶性基材含有層とを内側から順に有する、請求項7に記載のカプセル製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフィズス菌含有組成物に関する。
詳細には、ビフィズス菌、乳酸菌、乳糖および澱粉を含む粉末組成物、または該粉末組成物にさらにその他腸内有用菌を含む粉末組成物が内包されたカプセル製剤であって、粉末組成物の全量に対して乳糖が15~40質量%、澱粉が35~65質量%とすることで、保存中の粉末組成物の水分活性の上昇が抑制され、ビフィズス菌の生菌の残存率を維持することができるカプセル製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内有用菌は、腸内細菌叢および腸内環境を改善し、整腸作用等の各種保健効果を有することが知られており、従来、有用な腸内有用菌を配合した医薬品製剤、健康食品等を服用することで、健康機能を奏功しようとする試みが行われている。
【0003】
腸内有用菌としてはビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌等が知られている。例えば、ビフィズス菌は、腸内で乳酸、酢酸等の有機酸を産生し、腸内のpHを低下させることによって、悪玉菌を抑制し、腸内環境を整える効果があり、花粉症緩和等の抗アレルギー、インフルエンザ等の感染予防、脳機能改善等の効果も知られている。また、乳酸菌は乳酸を、酪酸菌は酪酸を産生し、いずれも腸内環境を整える効果や、ストレス緩和、免疫機能の維持、肌の潤い改善等の効果が知られている。このような複数の作用機序に基づく効果を同時に得るために、複数の腸内有用菌を同時にかつ手軽に摂取できることが要望されている。
【0004】
これらの腸内有用菌を含有する組成物を効率的に服用していく上で、保存中における生菌数の減少が問題となることがある。例えば、ビフィズス菌を含む粉末製剤中でのビフィズス菌の安定性は、当該粉末の水分活性の影響を受け、粉末の水分活性が大きくなると生菌数が減少することが知られている(非特許文献1)。
【0005】
製剤中のビフィズス菌を安定に保存し、生菌の残存率を維持するため、これまで、以下の方法が報告されている。
【0006】
特許文献1には、細菌の安定性を維持することを目的として、ビフィドバクテリウム ロンガム等を含む細菌組成物であって、経口投与後に腸内に該菌を放出し、かつ0.3未満の水分活性を有する組成物が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、5~35質量%の範囲のデンプン、腸内有用菌、および一種以上の添加剤を含む固形製剤の製造方法であって、乾燥減量値が4%以下のデンプンおよび腸内有用菌を用いる固形製剤の製造方法が開示され、固形製剤として、錠剤、カプセル剤が挙げられている。
【0008】
さらに、特許文献3には、ビフィズス菌を含む粉末組成物が、水溶性フィルム形成ポリマーとジェランガムを原材料とするハードカプセルに充填されたカプセル製剤であって、カプセルの水分値が3~4質量%に調整されたカプセル製剤が、ビフィズス菌を含む粉末組成物中のビフィズス菌を安定に保持できることが開示されている。
【0009】
腸内有用菌のうち、乳酸菌は、これを含有する製剤原料の賦形剤として乳糖が使用されている。賦形剤として乳糖が使用された乳酸菌原料をビフィズス菌とともに配合した粉末組成物をカプセルに封入して保存すると、乳糖が吸湿性であるためカプセルの水分が粉末組成物に移行することによって粉末組成物の水分活性が上昇し、ビフィズス菌の安定性が
低下するという問題が生じることが判明したが、これまで、賦形剤の乳糖共存下におけるビフィズス菌の安定性維持の方法は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2021-130683号公報
【特許文献2】特開2018-158947号公報
【特許文献3】特開2018-199631号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Effects of storage temperature and water activity on the survival of bifidobacteria in powder form. Fumiaki Abe et al. International Journal of Dairy Technology, Vol 62, No 2 234-239 May 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、ビフィズス菌、乳酸菌、乳糖および澱粉を含む粉末組成物、または該粉末組成物にさらにその他腸内有用菌を含む粉末組成物を内包するカプセル製剤において、保存中にカプセル水分が粉末組成物に移行して内包物の水分活性が上昇し、ビフィズス菌の生菌の残存率が低下することが抑制されたカプセル製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、粉末組成物に一定量の澱粉を配合することによって、カプセル製剤の保存中の内包粉末組成物の水分活性上昇を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
したがって、上記の課題は、以下の製剤によって解決することができる。
(1)ビフィズス菌の生菌と乳酸菌と乳糖と澱粉を含む粉末組成物が内包されたカプセル製剤であって、粉末組成物の全量に対して乳糖が15~40質量%、澱粉が35~65質量%であるカプセル製剤。
(2)カプセルの水分が10%以下である、(1)に記載のカプセル製剤。
(3)粉末組成物の水分活性が0.25未満である、(1)又は(2)に記載のカプセル製剤。
(4)澱粉が馬鈴薯澱粉である、(1)~(3)に記載のカプセル製剤。
(5)さらに酪酸菌を含む、(1)~(4)に記載のカプセル製剤。
(6)乳酸菌が有胞子性乳酸菌である、(1)~(5)に記載のカプセル製剤。
(7)カプセルが大腸デリバリーカプセルである、(1)~(6)に記載のカプセル製剤。
(8)大腸デリバリーカプセルが、ビフィズス菌の生菌を内包するカプセルを有し、かつカプセルの外側に、キトサン含有層と腸溶性基材含有層とを内側から順に有する、(7)に記載のカプセル製剤。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ビフィズス菌、乳酸菌、乳糖および澱粉を含む粉末組成物、または該粉末組成物にさらにその他腸内有用菌を内包するカプセル製剤であって、保存中の粉末組成物の水分活性上昇を抑制でき、ビフィズス菌の生菌の残存率低下が抑制されたカプセル製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のカプセル製剤には、ビフィズス菌、乳酸菌、乳糖および澱粉を含む粉末組成物
、または該粉末組成物にさらにその他腸内有用菌を含む粉末組成物が内包されている。
【0017】
(ビフィズス菌)
本発明において、上記ビフィズス菌は、人に対して有用な作用をもたらすものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ビフィズス菌の例としては、ビフィドバクテリウム サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム
シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)などのビフィドバクテリウム属に属する菌が挙げられる。これらの中でも、食品として利用可能な菌であるビフィドバクテリウム ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム ビフィダム(B.bifidum)、およびビフィドバクテリウム ブレーベ(B.breve)が好適である。上記ビフィズス菌は、いずれか1種を単独で使用してもよく、またはいずれか2種以上を併用してもよい。
【0018】
(乳酸菌)
本発明において、上記乳酸菌は、人に対して有用な作用をもたらすものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。乳酸菌の好適な例としては、ラクトバチルス属やストレプトコッカス属の菌、例えば、ラクトバチルス ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、およびラクトバチルス ラムノーサ(Lactobacillus rhamnosus)、ならびに有胞子性乳酸菌、例えばバチルス コアグランス(Bacillus coagulans)などが挙げられる。これらの中でも、有胞子性乳酸菌が好適である。上記乳酸菌は、いずれか1種を単独で使用してもよく、またはいずれか2種以上を併用してもよい。
【0019】
(乳糖)
本発明のカプセル製剤に内包される粉末組成物中の乳糖の配合量は、15~40質量%であり、15~35質量%であることがより好ましい。本発明の乳糖には、乳酸菌、例えば有胞子性乳酸菌素材の賦形剤として含有されているものが含まれる。
【0020】
(澱粉)
澱粉は、例えば、小麦、米、トウモロコシ、ワキシーコーン等の穀類、馬鈴薯、タピオカ、甘藷等を由来とする澱粉およびその加工澱粉が挙げられ、加工澱粉としては、未加工澱粉にエーテル化、エステル化、α化、架橋処理、酸化処理、油脂加工等の処理の1つ以上を施したものが挙げられる。このうち馬鈴薯澱粉を使用することが好ましい。本発明の澱粉には、ビフィズス菌製剤の賦形剤として含有されているものも含まれる。
また、本発明のカプセル製剤に内包される粉末組成物中の澱粉の配合量は、35~65質量%であり、40~50質量%であることがより好ましい。
澱粉中の水分は少ない程好ましく、5%以下であることが特に好ましく、3%以下であることがいっそう好ましい。
【0021】
(その他の菌)
本発明において、その他の腸内有用菌の種類は特に限定されるものではなく、例えば、
酪酸菌、納豆菌が挙げられる。このうち、その他の腸内有用菌として酪酸菌(Clostridium butyricum)を使用することが好ましい。
【0022】
(各種菌の配合量)
本発明のカプセル製剤に内包される粉末組成物における各種菌の配合量は適宜定めることができるが、例えば、ビフィズス菌は製剤1回摂取量あたり20億個以上、乳酸菌は1億個以上、酪酸菌は150万個以上が好ましい。
【0023】
(その他の添加剤)
本発明のカプセル製剤に内包される粉末組成物には、必要に応じて、さらに他の成分が含有されていてもよい。
他の成分として、例えば、賦形剤や滑沢剤等が挙げられる。
賦形剤としては、セルロースやブドウ糖、還元麦芽糖、ショ糖エステル、硬化油脂等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0024】
(カプセル)
本発明に使用するカプセルとしては、通常医薬品や食品の製造に用いられるカプセルが挙げられ、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、シームレスカプセル等が挙げられる。このうち、ハードカプセルが好ましい。
【0025】
上記カプセルは、好ましくは、従来から汎用されているゼラチン、または動物もしくは植物由来のセルロースを変性させて得られたセルロース誘導体を材料とする基材から製造される。当該セルロ-ス誘導体としては、例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等)などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好ましく、さらにカプセルとしての強度に優れる点および大腸内で速やかに溶解する点で、HPMCがより好ましい。上記基材材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記カプセルは、内包粉末組成物の量などに応じて所望の形状およびサイズとすればよい。当該カプセルのサイズとしては、例えば、一般に使用される00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号などのサイズが挙げられ、形状としては、長楕円型、フットボール型、球形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
好ましくは、上記カプセルには、各腸内有用菌の生菌を充填するが、各腸内有用菌の生菌を上記カプセルに充填し、その後カプセル内で当該菌をさらに増殖させてもよい。上記カプセルに充填する際の腸内有用菌の形態は、カプセル内に充填できる形態である限り特に制限されず、菌の種類や本発明の組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。例えば、腸内有用菌は、適切な培地に懸濁した液状物、乾燥粉末、当該乾燥粉末と硬化油脂等とを混合して得られた固形物等の形態で、上記カプセルに充填され得る。カプセルへの腸内有用菌の充填の手順は、腸内有用菌の形態およびカプセルの種類に応じて、適切な方法を選択することができる。
【0028】
腸内有用菌を内包するハードカプセルは、大腸デリバリーカプセルであってもよく、ビフィズス菌の生菌を内包するカプセルを有し、かつカプセルの外側に、キトサン含有層と腸溶性基材含有層とを内側から順に有する大腸デリバリーカプセルであってもよい。
本発明におけるカプセルとしてハードカプセルを採用した場合、温度条件などが比較的温和な条件下でカプセル製剤を製造することができる。
【0029】
上記ハードカプセルに本発明の粉末組成物を充填する方法としては、例えば、フィーダーを振動させながらカプセルのボディ部に落し込む方法などが挙げられるが、これらに限定されない。粉末組成物のカプセル内への充填は、公知のカプセル充填機、例えば、全自動カプセル充填機(例えば、クオリカプス株式会社社製、LIQFIL super 40型)、全自動カプセルシール機(例えば、クオリカプス株式会社製、HICAPSEAL 40型)などを用いて実施することができる。大腸有用菌を充填したボディ部に、キャップ部を嵌合することによって、腸内有用菌を内包するハードカプセルを得ることができる。
【0030】
使用するカプセルに一定量の水分が含まれることは避け難いが、カプセル中の水分は10%以下であることが好ましく、9%以下であることがより好ましく、7%以下であることが更に好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
【0031】
(水分活性)
粉末組成物の水分活性値は、電気抵抗式または静電容量式による蒸気圧法や、平衡重量測定法等の常法に従って測定できる。
【0032】
カプセル製剤中のビフィズス菌は、25℃、1年間保存後の生菌の残存率が55%以上であることが好ましい。保存時の内包粉末組成物の水分活性を0.25未満に維持することにより、1年後のビフィズス菌の生菌の残存率55%以上を達成できる。
【0033】
上記保存条件におけるビフィズス菌の生菌の残存率を短期間に評価するための加速試験として、気温25℃、湿度100%、2時間後の水分活性を測定する試験方法がある。この時の水分活性値が0.25未満であるとき、上記ビフィズス菌の安定性が維持される。
【実施例0034】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(原料)
ビフィズス菌(高濃度ビフィズス菌末BB536-EX、森永乳業株式会社)
有胞子性乳酸菌(ラクリス-S、三菱ケミカル株式会社)
酪酸菌(酪酸菌NT株プロバイオ100、Noster株式会社)
乳糖(乳糖水和物200M、DMV-Fonterra Excipients GmbH&Co. KG)
澱粉(松谷乾燥ばれいしょでん粉、松谷化学工業株式会社)
ハードカプセル(サイズ:3号、230mg充填、QUALI-V-N、クオリカプス株式会社)
(実施例1~6および比較例1~3)
【0036】
(高湿短時間保存後の水分活性)
表1に示した組成となるように、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌、乳糖、澱粉等を混合し、実施例1~6および、比較例1~3に記載の粉末組成物を調製した。粉末組成物10gをトレーに秤量し、25℃、湿度100%に調湿したデシケーターに入れ、2時間吸湿させた後に水分活性を以下の方法で測定した。
【0037】
(水分活性の測定)
粉末組成物2gをサンプルとして、水分活性計(Pawkit、メータージャパン株式会社製)を使用して水分活性を測定した。
(実施例7~10)
【0038】
(カプセル充填後での評価方法)
表2に記載の配合で調製した粉末組成物230mgを、水分を調整したハードカプセルに充填し、充填30分後に粉末組成物の水分活性を測定した。
(実施例11~12および比較例4~5)
【0039】
(ビフィズス菌の安定性)
表3に記載の配合で調製した粉末組成物230mgを、ハードカプセルに充填した。取得したカプセル製剤を、実施例ではアルミラミジップ、比較例ではガラス容器に充填し、35℃、湿度75%で4か月の加速試験後にビフィズス菌の生残菌数を常法により測定して、生菌の残存率を確認した。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
表1に示すように、澱粉と乳糖の配合比を調整することで、高湿短時間保存後のビフィズス菌含有粉末組成物における水分活性の上昇を抑制することができた。また、表2に示すように、ビフィズス菌等の腸内有用菌を含む粉末組成物を内包するカプセル製剤においても、カプセル水分が10%以下であれば水分活性を0.25未満とすることができた。さらに、表3に示すように、ビフィズス菌等の腸内有用菌を含む粉末組成物を内包するカプセル製剤において、保管後の水分活性が高いとビフィズス菌の安定性が低下することを確認した。また、水分活性はビフィズス菌の安定性を示す指標として有効であることを確認した。
【0044】
本発明のカプセル製剤により、保存中における内包粉末組成物の水分活性の上昇および、ビフィズス菌の生菌の残存率の低下が抑制されたカプセル製剤を提供することができる
ので、食品、健康食品、医薬品等において、極めて利用性が高いものである。