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特開2024-144228透明ディスプレイの導光波長域別導光板用高弾性ガラス基板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144228
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】透明ディスプレイの導光波長域別導光板用高弾性ガラス基板
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20241003BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20241003BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20241003BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
G02B1/00
C03C15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042324
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023055935
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023055949
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023055957
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023055962
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池西 幹男
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 格
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
4G059
【Fターム(参考)】
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA42
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA55
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA93
2H249AA03
2H249AA07
2H249AA13
2H249AA45
2H249AA60
2H249AA62
4G059AA11
4G059AB06
4G059AB11
4G059AC01
4G059BB04
(57)【要約】
【課題】 回折光学素子形成時の反りが低減されたガラスウエハ、該ガラスウエハから得られる導光板、および該導光板を含む画像表示装置を提供すること。
【解決手段】 ガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有し、ガラス部のヤング率が100GPa以上である、導光板を製造するためのガラスウエハ。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有し、
ガラス部のヤング率が100GPa以上である、
導光板を製造するためのガラスウエハ。
【請求項2】
回折光学素子部が周期的な凹凸構造を有し、該凹凸構造の周期が500nm以下である、請求項1に記載のガラスウエハ。
【請求項3】
ガラス部が、直径が50mm以上であり、厚さが3.0mm以下である円板形状を有する、請求項1に記載のガラスウエハ。
【請求項4】
ガラス部の屈折率ndが1.9以上である、請求項1に記載のガラスウエハ。
【請求項5】
ガラス部の-30℃~70℃における平均線膨張係数が80×10-6-1以下である、請求項1に記載のガラスウエハ。
【請求項6】
ガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有し、
ガラス部の厚さが3.0mm以下であり、
ガラス部のヤング率が100GPa以上である、導光板。
【請求項7】
回折光学素子部が周期的な凹凸構造を有し、該凹凸構造の周期が500nm以下である、請求項6に記載の導光板。
【請求項8】
ガラス部の屈折率ndが1.9以上である、請求項6に記載の導光板。
【請求項9】
請求項6に記載の導光板を含む、画像表示装置。
【請求項10】
画像表示素子と、前記画像表示素子より出射した光を導光する複数の導光板とを備える画像表示装置において、前記導光板が請求項6に記載の導光板である、画像表示装置。
【請求項11】
眼鏡型である、請求項9に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスウエハ、導光板、および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、およびVR(仮想現実)技術の進展に伴い、ARデバイス、MRデバイス、およびVRデバイスとして、ヘッドマウントディスプレイといった表示装置が開発されている。その中でも、特許文献1に開示されているような、スマートグラスと言われる眼鏡型ウェアラブル端末が注目されている。
【0003】
スマートグラスでは、眼鏡レンズに相当する導光板により、画像光源から発せられた光が装着者の瞳の前まで導光され、画像として表示される。
【0004】
具体的には、画像光源から発せられた光は、導光板表面に形成された回折光学素子により導光板内部へ入射する。そして、導光板内部へ入射した光は、導光板内部で全反射を繰り返しながら進行し、装着者の瞳の前に設けられた回折光学素子により装着者の瞳方向へと出射される。
【0005】
スマートグラスにおける視野角(FOV)が大きいと、装着者は没入感を得られやすい。視野角を大きくする方法としては、複数の導光板を用いる方法が有効である。すなわち、画像光源から発せられる光を、複数の波長域の光、例えば赤色成分(R成分)の光、緑色成分(G成分)の光、および青色成分(B成分)の光に分けて、複数の導光板内で導光させ、最後に、装着者の瞳の前でそれらの光を合成して表示する方法である。光は、導光板表面に形成された回折光学素子により、特定の波長域の光を導光板内部に入射するようにして分けられる。
【0006】
複数の波長域の光を正確に合成するためには、複数の導光板を、光の回折方向を考慮して精密に位置合わせし、一体化する必要がある。位置合わせの精度が不十分だと、色にじみなどが生じ、画質が低下してしまう。すなわち、複数の導光板を用いて視野角を大きくしようとしても、導光板の位置合わせが不十分な場合には、画質が大きく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-139174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スマートグラスに用いられる導光板は、半導体回路の製造設備を用いて製造される。半導体回路の量産工程では、シリコンウエハの表面に、リソグラフィ技術等により多数の集積回路が形成される。そして、その多数の集積回路が形成されたシリコンウエハをダイシングにより切断、分離し、多数の半導体回路素子が製造される。
【0009】
導光板についても、半導体回路の量産工程と同様の工程により製造できる。すなわち、ガラスウエハといった薄板形状のガラスの表面に多数の回折光学素子を形成し、ダイシングにより切断、分離して、多数の導光板を製造できる。
【0010】
ガラスウエハの表面には、導光板の光入射位置および光出射位置に回折光学素子が形成される。回折光学素子は、例えば、透明の無機材料や有機材料を用いて形成され、所定の回折が起きるよう周期的な凹凸構造を有している。凹凸構造は、例えば一つの凹、凸が数百nmから数十nm程度の非常に微細なものである。
【0011】
すなわち、回折光学素子の形成には、サブミクロンの精度が求められる。しかし、例えば、ガラスウエハの表面に回折光学素子を形成する場合、ガラスウエハは、100℃以上に加熱される。従来のガラスウエハでは、この加熱によりガラスウエハに反りが生じて、回折光学素子を高精度に形成できないという問題が生じることを、発明者は見出した。具体的には以下のとおりである。
【0012】
回折光学素子の材料には、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの無機材料、または透明な樹脂などの有機材料が用いられる。無機材料を用いる場合は、ガラスウエハの表面に無機材料の膜を形成し、フォトリソグラフィにより膜を微細加工して回折光学素子を形成する。フォトリソグラフィではガラスウエハの成膜した面にフォトレジストを塗布し、ウエハごとホットプレート上において加熱し、フォトレジストの溶剤を蒸発させるためのプリベークを行う。次いで、紫外線露光によりフォトマスクのパターンをフォトレジストに転写する。露光後、フォトレジストを熱架橋するため、ウエハをホットプレート上に置き、120~150℃程度に加熱(ポストベーク)する。次にフォトレジストを現像した後、エッチングにより膜に微細な凹凸を形成して回折光学素子にする。有機材料を用いる場合は、ガラスウエハの主表面に、透明な紫外線硬化性樹脂などの樹脂を塗布して塗布膜を形成し、回折光学素子の微細な凹凸パターンを反転した形状の型でプレスし塗布膜にパターンを転写する。その後、ウエハをホットプレート上に置いて125℃前後に加熱して焼成し、回折光学素子を形成する。
【0013】
無機材料、有機材料のいずれでも、ガラスウエハをホットプレート上で加熱する際に、ガラスウエハに反りが発生する。ガラスは比較的、熱伝導率が小さく、ホットプレート上で加熱するとき、ホットプレートに面する主表面、すなわち下向きの主表面と、反対側の主表面、すなわち上向きの主表面との間で大きな温度差が生じる。高温の下向きの主表面の膨張量は、低温の上向きの主表面の膨張量よりも大きくなるため、ガラスウエハは下に凸形状に反る。反ったガラスウエハの周辺部はホットプレートから離れるため、主表面内でも中央部はその周辺部と比較して高温となる。この状態で、フォトレジストの熱架橋や有機材料の焼成が行われるため、加熱終了後も回折光学素子の微細パターンに位置ずれが生じていた。
【0014】
上述のとおり、回折光学素子を形成した後、ガラスウエハをダイシングにより切断、分離して、多数の導光板を製造する。このとき、ウエハ上の回折光学素子の位置ずれにより、個々の導光板における回折光学素子の位置精度が低下する。回折光学素子の位置精度が低いと、複数の導光板を精密に重ね合わせ、一体化することは容易ではない。すなわち、従来では、複数の導光板を高い精度で一体化することが困難であった。その結果、光の回折方向にずれが生じ、画像表示装置を組み立てるときに、このずれを補正する作業が必要になったり、ずれ量が大きい場合は表示する画像の画質が低下するという問題が生じることとなる。
【0015】
そこで、回折光学素子を高精度に形成できるガラスウエハが求められている。
【0016】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、回折光学素子形成時の反りが低減されたガラスウエハ、該ガラスウエハから得られる導光板、および該導光板を含む画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の要旨は以下のとおりである。
【0018】
(1) ガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有し、
ガラス部のヤング率が100GPa以上である、
導光板を製造するためのガラスウエハ。
【0019】
(2) 回折光学素子部が周期的な凹凸構造を有し、該凹凸構造の周期が500nm以下である、(1)に記載のガラスウエハ。
【0020】
(3) ガラス部が、直径が50mm以上であり、厚さが3.0mm以下である円板形状を有する、(1)に記載のガラスウエハ。
【0021】
(4) ガラス部の屈折率ndが1.9以上である、(1)に記載のガラスウエハ。
【0022】
(5) ガラス部の-30℃~70℃における平均線膨張係数が80×10-6-1以下である、(1)に記載のガラスウエハ。
【0023】
(6) ガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有し、
ガラス部の厚さが3.0mm以下であり、
ガラス部のヤング率が100GPa以上である、導光板。
【0024】
(7) 回折光学素子部が周期的な凹凸構造を有し、該凹凸構造の周期が500nm以下である、(6)に記載の導光板。
【0025】
(8) ガラス部の屈折率ndが1.9以上である、(6)に記載の導光板。
【0026】
(9) 上記(6)に記載の導光板を含む、画像表示装置。
【0027】
(10) 画像表示素子と、前記画像表示素子より出射した光を導光する複数の導光板とを備える画像表示装置において、前記導光板が(6)に記載の導光板である、画像表示装置。
【0028】
(11) 眼鏡型である、(9)に記載の画像表示装置。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、回折光学素子形成時の反りが低減されたガラスウエハ、該ガラスウエハから得られる導光板、および該導光板を含む画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一態様である導光板を用いたヘッドマウントディスプレイの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明の一態様である導光板を用いたヘッドマウントディスプレイの構成を模式的に示す側面図である。
図3図3は、BOWの測定方法を模式的に示す図である。
図4図4は、上面視におけるガラス部を模式的に示す図であり、ガラス部の反りを評価する方法を説明するものである。
図5(1)】図5(1)は、ガラス部の断面を模式的に示す図であり、ガラス部の反りを評価する方法を説明するものである。
図5(2)】図5(2)は、ガラス部の反りを評価する方法を説明するものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
【0032】
また、アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、以下の式で表される。ここで、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
【0033】
本発明において、ガラス組成は、特記しない限り、酸化物基準で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいう。酸化物基準で表示する全てのガラス成分(清澄剤として添加するSb(Sb23)およびCe(CeO2)を除く)の合計含有量は100質量%とする。各ガラス成分の表記は慣習にならい、SiO2、TiO2などと記載する。ガラス成分の含有量および合計含有量は、特記しない限り質量基準であり、「%」は「質量%」を意味する。
【0034】
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)等の方法で定量することができる。また、本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
【0035】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0036】
ガラスウエハ
本実施形態に係るガラスウエハは、薄板形状のガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有する。
【0037】
<ガラス部>
(形状)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部は薄板形状である。好ましくは、ガラス部は円板形状である。また、ガラス部は、主表面の形状が多角形、正方形または矩形である薄板形状を有してもよい。ガラス部がこのような薄板形状を有することで、通常の半導体回路製造設備を用いてガラスウエハから導光板を製造できる。
【0038】
(面積)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の1つの主表面の面積は、好ましくは1950mm2以上であり、より好ましくは4400mm2以上であり、さらに好ましくは7850mm2以上であり、一層好ましくは17670mm2以上であり、一層好ましくは70690mm2以上である。ガラス部の主表面の面積を大きくすることで、単位面積当たりに得られる導光板の数量を大きくできる。ガラス部の主表面の面積の上限は特に限定されないが、通常の半導体回路製造設備を使用する観点から、通常159050mm2である。
【0039】
(内接円の直径)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の大きさは、ガラス部の主表面の形状に仮想的に内接する円の大きさでも評価できる。すなわち、ガラス部の主表面の形状に仮想的に内接する円の直径は、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは75mm以上であり、さらに好ましくは100mm以上であり、一層好ましくは150mm以上である。該内接円の直径を大きくすることで、単位面積当たりに得られる導光板の数量を大きくできる。該内接円の直径の上限は特に限定されないが、通常の半導体回路製造設備を使用する観点から、通常450mmである。
【0040】
(直径)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部が円板形状である場合、ガラス部の直径は、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは75mm以上であり、さらに好ましくは100mm以上であり、一層好ましくは150mm以上である。ガラス部の直径を大きくすることで、単位面積当たりに得られる導光板の数量を大きくできる。ガラス部の直径の上限は特に限定されないが、通常の半導体回路製造設備を使用する観点から、通常450mmである。
【0041】
(厚さ)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の厚さは、好ましくは3.0mm以下であり、より好ましくは1.0mm以下であり、さらに好ましくは0.8mm以下であり、一層好ましくは0.5mm以下である。ガラス部の厚さの下限は、特に限定されないが、通常0.2mmであり、好ましくは0.25mmである。ガラス部の厚さを上記範囲とすることで、スマートグラスのレンズとして使用できる導光板を製造でき、また、通常の半導体回路製造設備を用いてガラスウエハから導光板を製造できる。
【0042】
(ヤング率)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部のヤング率は100GPa以上であり、好ましくは110GPa以上であり、より好ましくは120GPa以上である。ガラス部のヤング率の上限は、特に限定されないが、通常150GPaであり、好ましくは140GPaである。ガラス部のヤング率を上記範囲とすることで、ガラス部を加熱してその主表面に回折光学素子部を形成するときに、ガラス部の反りを低減することができ、回折光学素子部を高精度に形成できる。また、ガラス部のヤング率を上記範囲とすることで、ガラスウエハを搬送する際の破損を低減できる。その他にも、ガラスウエハやガラス部をウエハカセットから出し入れする際の破損や、加工中の破損も低減できる。
【0043】
ヤング率は、JIS R 1602-1995に準じて測定し、算出する。具体的には、ガラス部と同じ素材からなる縦20mm、横20mm、高さ100mmのガラス試料を、十分にアニールして恒温室内に置き、5MHzの超音波の縦波速度(Vl)および横波速度(Vs)を測定し、ヤング率(E)および剛性率(G)をそれぞれ次式により算出する。
E=(4G2-3G×Vl2×ρ)/(G-Vl2×ρ)
G=Vs2×ρ
ここで、ρはガラス試料の密度であり、比重の値を使用できる。室温におけるガラス試料の密度(比重)と室温におけるガラス部の密度(比重)とは、一致するものとする。すなわち、室温における密度は、比重に単位g/cm3を付けて表す。
【0044】
(-30℃~70℃における平均線膨張係数αn
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の-30℃~70℃における平均線膨張係数αnは、好ましくは80×10-6-1以下であり、より好ましくは75×10-6-1以下である。ガラス部の-30℃~70℃における平均線膨張係数αnの下限は、特に限定されないが、通常60×10-6-1である。ガラス部の-30℃~70℃における平均線膨張係数αnを上記範囲とすることで、回折光学素子部の形成時にホットプレート上で片面から加熱される場合でも、ガラス部の両主表面間の膨張差を低減し、ガラス部の反りを少なくすることができる。
【0045】
-30℃~70℃における平均線膨張係数αnは干渉膨張計を用いて測定し、次式により算出される。
αn=dLn/(L×dTn)
ここで、dTnは-30~70℃の温度差(K)、Lはガラス試料の初期長さ(mm)、dLnは-30~70℃の温度範囲における試料長さの変化量(mm)である。
【0046】
(屈折率nd)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の屈折率ndは、好ましくは1.9以上であり、より好ましくは1.95以上であり、さらに好ましくは2.00以上である。ガラス部の屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.2である。ガラス部に入射した光が、全反射を繰り返しながらガラス部内部を進行し、十分な視野角で出射する観点から、ガラス部の屈折率を上記範囲とすることが好ましい。
【0047】
(アッベ数νd)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部のアッベ数νdの上限は40とすることができ、35あるいは30とすることもできる。ガラス部のアッベ数νdの下限も特に限定されないが、通常15である。
【0048】
(ガラス転移温度Tg)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部のガラス転移温度Tgは、好ましくは600℃以上であり、より好ましくは630℃以上であり、さらに好ましくは650℃以上である。ガラス部のガラス転移温度Tgの上限は、特に限定されないが、通常780℃であり、好ましくは760℃である。ガラス部を加熱してその主表面に回折光学素子部を形成するときに、ガラス部の反りを低減する観点、および所望の屈折率を維持しつつ、ガラス部の熱的安定性を良好に維持する観点から、ガラス部のガラス転移温度Tgを上記範囲とすることが好ましい。
【0049】
(内部透過率)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部は可視光に対して光線透過性を有する。光線透過性は、厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料での、波長420nm~800nmにおける内部透過率により評価できる。内部透過率とは、ガラス試料の入射側および出射側における表面反射損失を除いた透過率である。特定の波長における厚さ10.0±0.1mmの内部透過率τは、同種のガラスからなり、異なる厚さd1、d2を有する2つのガラス試料の表面反射損失を含む透過率(外部透過率)T1、T2をそれぞれ測定し、次式を用いて算出することができる。
logτ=-[(logT1-logT2)×10]/Δd
ただし、d2>d1、Δd=d2-d1であり、logは常用対数である。
【0050】
ガラス部と同じ素材からなる厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料の内部透過率、すなわち厚さ10.0mm±0.1mmに換算したガラス部の内部透過率は、波長420nm~800nmの範囲にわたり78%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0051】
なお、波長420nm~800nmにおける内部透過率の最小値が、該波長域の短波長端である波長420nmにおける内部透過率となることが好ましい。すなわち、波長420nmにおける、ガラス部と同じ素材からなる厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料の内部透過率(厚さ10.0mm±0.1mmに換算したガラス部の内部透過率)は、78%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
【0052】
(比重)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の比重は、好ましくは5.5以下であり、より好ましくは5.4以下であり、さらに好ましくは5.3以下である。ガラス部の比重の下限は、特に限定されないが、通常4.3である。スマートグラスの眼鏡レンズとして用いる場合に、レンズの重みによる装着時の不快感を低減する観点から、ガラス部の比重を上記範囲とすることが好ましい。
【0053】
(比弾性率)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の比弾性率は、好ましくは24.0MN/Kg以上であり、より好ましくは24.5MN/Kg以上であり、さらに好ましくは25.0MN/Kg以上である。ガラス部の比弾性率の上限は、特に限定されないが、30MN/Kg程度が目安である。ガラス部を加熱してその主表面に回折光学素子部を形成するときに、ガラス部の反りを低減する観点から、ガラス部の比弾性率を上記範囲とすることが好ましい。
【0054】
(素材)
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、ガラス部の素材は、上記のヤング率および-30℃~70℃における平均線膨張係数αnを満足するものであれば、特に限定されない。ガラス部の素材として、例えば光学ガラスが挙げられる。ガラス部は、好ましくは光学ガラスからなる。
【0055】
具体的には、ガラス部の素材としてB-La系の組成を有するガラスを例示できる。そこで、以下にB-La系のガラス組成について非限定的な例を示す。なお、ガラス部の素材としては、以下に示すようなB-La系の組成を有するガラスに限定されるものではなく、回折光学素子形成時の反りが低減できるガラスウエハが得られるような素材であればよい。
【0056】
ガラス部は、好ましくは以下の示すガラス組成(質量%表示)を有する。
23およびSiO2の合計含有量[B23+SiO2]は、好ましくは5~25%である。
La23、Gd23、Y23、およびYb23の合計含有量[La23+Gd23+Y23+Yb23]は、好ましくは25~68%である。
TiO2、Nb25、Ta25、およびWO3の合計含有量[TiO2+Nb25+Ta25+WO3]は、好ましくは5~40%である。
MgO、CaO、SrO、およびBaOの合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]は、好ましくは0~20%である。
Li2O、Na2O、およびK2Oの合計含有量[Li2O+Na2O+K2O]は、好ましくは0~5%である。
ZrO2の含有量は、好ましくは0~12%である。
ZnOの含有量は、好ましくは0~10%である。
23の含有量は、好ましくは3~20%である。
SiO2の含有量は、好ましくは0~15%である。
La23の含有量は、好ましくは25~60%である。
Gd23の含有量は、好ましくは0~30%である。
23の含有量は、好ましくは0~16%である。
Yb23の含有量は、好ましくは0~5%である。
TiOの含有量は、好ましくは0~28%である。
Nb25の含有量は、好ましくは0~15%である。
Ta25の含有量は、好ましくは0~10%である。
WO3の含有量は、好ましくは0~6%である。
MgOの含有量は、好ましくは0~5%である。
CaOの含有量は、好ましくは0~5%である。
SrOの含有量は、好ましくは0~5%である。
BaOの含有量は、好ましくは0~20%である。
Li2Oの含有量は、好ましくは0~5%である。
Na2Oの含有量は、好ましくは0~5%である。
2Oの含有量は、好ましくは0~5%である。
Sb23の含有量は、好ましくは0~1%である。
Lu23の含有量は、好ましくは0~1%である。
Sc23の含有量は、好ましくは0~1%である。
Ga23の含有量は、好ましくは0~1%である。
GeO2の含有量は、好ましくは0~1%である。
【0057】
ガラス部において、ヤング率を高める観点から、合計含有量[La23+Gd23+Y23+Yb23]、ZrO2の含有量、およびTiOの含有量を上記範囲とすることが好ましい。また、平均線膨張係数の増加を抑制する観点から、合計含有量[MgO+CaO+SrO+BaO]および合計含有量[Li2O+Na2O+K2O]を上記範囲とすることが好ましい。
【0058】
なお、ガラス部は、Pb、Te、Cd、Th、Tl、V、Cr、Ni、Fe、U、Nd、Cu、Er、Eu等を含まないことが好ましい。
【0059】
<回折光学素子部>
本実施形態に係るガラスウエハは、ガラス部の主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部を有する。特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とは、特に限定されないが、例えば、赤色成分(R成分)の光を回折する回折光学素子部、緑色成分(G成分)の光を回折する回折光学素子部、および青色成分(B成分)の光を回折する回折光学素子部が挙げられる。また、緑色成分(G成分)の一部および赤色成分(R成分)の光を回折する回折光学素子部、または緑色成分(G成分)の一部および青色成分(B成分)の光を回折する回折光学素子部であってもよい。このような回折光学素子部は、画像光源から入射した光(映像)をガラス部内に回折する働きを有する回折格子、すなわち光入射用の回折光学素子である。また、回折光学素子部はガラス部内を全反射により進行する光を回折して外部へと出射する働きを有する回折格子、すなわち光出射用の回折光学素子を含んでもよい。この場合、ガラスウエハには、ダイシングによって切断、分離後に導光板となる各領域に、入射用の回折光学素子と出射用の回折光学素子とを形成する。導光板に入射する前の光束は細いので、入射用の回折光学素子の面積は比較的小さくてよい。一方、出射用の回折光学素子は画像表示装置を装着する者の瞳前方に画像を拡大表示するため、その面積は比較的大きい。視野角が大きいほど出射用の回折光学素子の面積は大きくなる。
【0060】
本実施形態に係るガラスウエハにおいて、回折光学素子部における回折格子の形状は、特に限定されない。したがって、回折格子は、溝を有する形状の回折格子でもよく、ホログラフィを利用したいわゆるホログラフィック回折格子でもよい。例えば、回折光学素子部は、回折格子として周期的な凹凸構造を有することができる。回折光学素子部で回折される光の波長域は、回折格子の凹凸の間隔、凹凸の高低差を調整することで設定できる。画像光源から入射した光(映像)がガラス部内部で全反射を繰り返しながら進行する観点、また、その光が十分な視野角で出射する観点から、凹凸構造の周期は好ましくは500nm以下であり、より好ましくは400nm以下であり、280nm以下であってもよい。
【0061】
回折光学素子部の材料は、特に限定されず、無機材料でも有機材料でもよい。スマートグラスの眼鏡レンズとしての光線透過性を維持する観点から、透明な材料であることが好ましい。無機材料としては、例えば酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられるがこれに限定されない。なお、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの膜では、Ti、Si、O、N、Cなどの元素のモル比が必ずしも整数比になっていない(非化学量論)。そこで、本明細書では、回折光学素子部の無機材料は、化学量論比になっているもの、化学量論比になっていないものも含め、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素などと記すことにする。有機材料としては、透明な樹脂が挙げられ、例えば紫外線硬化性樹脂でもよい。
【0062】
本実施形態に係るガラスウエハをダイシングにより切断、分離することで、多数の導光板を製造できる。
【0063】
導光板
本実施形態に係る導光板は、ガラス部と、その主表面に特定の波長域の光を回折する回折光学素子部とを有する。
【0064】
本実施形態に係る導光板は、ガラスウエハの特性をそのまま受け継いでおり、ガラスウエハにおけるガラス部および回折光学素子部についての特性は、そのまま導光板におけるガラス部および回折光学素子部についての特性とすることができる。
【0065】
特に、本実施形態に係る導光板において、ガラス部の厚さは3.0mm以下であり、好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.8mm以下であり、さらに好ましくは0.5mm以下である。ガラス部の厚さの下限は、特に限定されないが、通常0.2mmであり、好ましくは0.25mmである。
【0066】
また、本実施形態に係る導光板において、ガラス部のヤング率は100GPa以上であり、好ましくは110GPa以上であり、より好ましくは120GPa以上である。ガラス部のヤング率の上限は、特に限定されないが、通常150GPaであり、好ましくは140GPaである。
【0067】
本実施形態に係る導光板のガラス部および回折光学素子部において、上記以外の特性、すなわち、ガラス部の-30℃~70℃における平均線膨張係数αn、屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tg、内部透過率、比重、比弾性率、および素材、ならびに、回折光学素子部の種類、形状、回折格子の周期、および材料等については、ガラスウエハのガラス部および回折光学素子部と同様とすることができる。
【0068】
画像表示装置
本実施形態に係る画像表示装置は、上述した導光板を含む。
【0069】
以下に、本発明の一態様である導光板およびそれを用いた画像表示装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0070】
図1は、本発明の一態様である導光板10を用いた、ヘッドマウントディスプレイ1(以下、「HMD1」と略記する。)の構成例を示す図であり、図1(a)は、HMD1の正面側斜視図であり、図1(b)は、HMD1の背面側斜視図である。図1(a)および図1(b)に示すように、使用者の頭部に装着される眼鏡型フレーム2の正面部には、眼鏡レンズ3が取り付けられる。眼鏡型フレーム2の取付部2aには、画像を照明するためのバックライト4が取り付けられる。眼鏡型フレーム2のツル部分には、画像を映し出すための信号処理機器5、及び音声を再生するスピーカー6が設けられている。信号処理機器5の回路から引き出された配線を構成するFPC(Flexible Printed Circuits)7が、眼鏡型フレーム2に沿って配線されている。表示素子ユニット(例えば液晶表示素子)20は、FPC7によって使用者の両眼中央位置まで配線され、かつバックライト4の光軸線上に表示素子ユニット20の略中心部が配置するように保持される。表示素子ユニット20は、導光板10の略中央部に位置するように、導光板10に対して相対的に固定される。図示しないが、導光板10は、Rに相当する波長633nmの光を導光する導光板、Gに相当する波長546nmの光を導光する導光板、そしてBに相当する波長436nm光を導光する導光板の3枚を、それぞれ導光する光の回折方向を考慮して精密に位置合わせし一体化したものである。また、各導光板の使用者の眼前に位置する箇所にはそれぞれHOE(Holographic Optical Element)32R、32L(第1回折光学素子)が、3枚の各導光板10の第1面10a上に形成されている。導光板10を挟んで表示素子ユニット20と対向する位置には、第2回折光学素子であるHOE52R、52Lが導光板10の第2面10b上に形成されている。なお、3枚の導光板にはそれぞれ第1回折光学素子HOE32R、32Lと第2回折光学素子HOE52R、52Lとが形成されているが、図1では3枚の導光板を分けて示していないので、第1回折光学素子と第2回折光学素子とをまとめて32R、32L、52R、52Lと示している。
【0071】
図2は、本発明の一態様であるHMD1の構成を模式的に示す側面図である。なお、図2においては、図面を明瞭化するため、画像表示装置の主要部のみを示しており、眼鏡型フレーム2等は図示省略している。図2に示すように、HMD1は、画像表示素子24と導光板10の中心を結ぶ中心線Xを挟み左右対称の構造を有している。また、画像表示素子24から導光板10に入射された各波長の光は、後述するように二分割されて使用者の右眼、左眼のそれぞれに導光される。各眼に導光される各波長の光の光路も中心線Xを挟み略左右対称である。
【0072】
図2に示すように、バックライト4は、レーザ光源21、拡散光学系22、およびマイクロレンズアレイ23を有する。表示素子ユニット20は、画像表示素子24を有する画像生成ユニットであり、例えばフィールドシーケンシャル(Field Sequential)方式で駆動する。レーザ光源21は、R(波長633nm)、G(波長546nm)、B(波長436nm)の各波長に対応したレーザ光源を有し、各波長の光を高速で順次照射する。各波長の光は、拡散光学系22、マイクロレンズアレイ23に入射され、光量ムラのない均一な高指向性の平行光束に変換されて、画像表示素子24の表示パネル面に垂直に入射される。
【0073】
画像表示素子24は、例えばフィールドシーケンシャル方式で駆動する透過型液晶(LCDT-LCOS)パネルである。画像表示素子24は、各波長の光に、信号処理機器5の画像エンジン(不図示)が生成する画像信号に応じた変調をかける。画像表示素子24の有効領域の画素で変調された各波長の光は、所定の光束断面(該有効領域と略同じ形状)をもって導光板10に入射される。なお、画像表示素子24は、例えばDMD(Digital Mirror Device)や反射型液晶(LCOS)パネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、有機EL(Electro-Luminescence)、無機EL等の他の形態の表示素子に置換することも可能である。
【0074】
なお、表示素子ユニット20は、フィールドシーケンシャル方式の表示素子に限らず、同時式の表示素子(射出面前面に所定の配列のRGBカラーフィルタを有する表示素子)の画像生成ユニットとしてもよい。この場合、光源には、例えば白色光源が使用される。
【0075】
画像表示素子24により変調された光が精密に位置合わせされた3枚の導光板に入射するが、R、G、Bのうち1つの波長域の光が第1の導光板10の第2面10b上に形成されたHOE52Rと52L(第2回折光学素子)により左眼と右眼へ導光されるように回折され、他の波長域の光は第1の導光板を透過して第2の導光板に入射する。第2の導光板でも第2の導光板に形成された第2回折光学素子により1つの波長域の光が左眼と右眼へ導光されるように回折され、他の波長域の光は第2の導光板を透過して第3の導光板に入射する。第3の導光板に入射した光は第3の導光板に形成された第2回折光学素子により左眼と右眼へ導光されるように回折される。
【0076】
図2は、R、G、Bのうち1つの波長域の光が導光板を進む様子を示したもので、他の波長域の光は示していないが、導光板中を進む様子は図2に示すものと同様である。導光板10の第2面10b上に形成されているHOE52Rと52L(第2回折光学素子)は、例えば矩形状を有する反射型の体積位相型HOEである。すなわち、HOE52Rおよび52Lは、R、G、Bのいずれかの波長の光を回折しそれ以外の波長の光を透過する波長選択機能を有するように構成されている。
【0077】
なお、HOE32Rおよび32Lも反射型の体積位相型HOEであり、HOE52Rおよび52Lと同一の層構造を有する。HOE32Rおよび32Lと52Rおよび52Lは、例えば干渉縞パターンのピッチが略同一であってもよい。
【0078】
HOE52Rと52Lは、互いの中心が一致し、かつ干渉縞パターンが180(deg)反転された状態で、その中心が中心線Xと一致するように導光板10の第2面10b上に形成されている。HOE52R、52Lには、画像表示素子24により変調された導光板10に入射する。
【0079】
HOE52R、52Lに入射した光はそれぞれ所定の角度で回折される。HOE52R、52Lにより回折された光はそれぞれ、導光板10と空気との界面で全反射を繰り返して導光板10内部を伝搬しHOE32R、32Lに入射される。そしてHOE32R、32Lで回折して導光板から出射する。それぞれ3枚の導光板から出射する光の方向は同方向であり、R、G、Bの光が完全に重なり、画像を拡大再現する。
【0080】
導光板10内を進む光の空気換算光路長が、屈折率が高いほど短くなるため、屈折率が高いガラス部を有する本実施形態に係る導光板を使用することにより、画像表示素子24の幅に対する見かけの視野角を大きくすることができる。さらに、本実施形態では、ガラス部の屈折率が高いものの比重が低く抑えられているため、軽量でありながら上記効果が得られる導光板を提供することができる。
【0081】
上記では、画像表示装置としてヘッドマウントディスプレイを例示して説明したが、本実施形態に係る画像表示装置は、眼鏡型のスマートグラスであってもよい。また、その他の画像表示装置であってもよい。また、回折光学素子が、ホログラフィック回折格子に変えて、微細な凹凸周期構造を有する回折格子であってもよい。上記の例では、両眼兼用の導光板について説明したが、左眼と右眼に画像を表示する導光板を別々にすることもできる。
【0082】
<ガラスウエハの製造>
本実施形態に係るガラスウエハは、ガラス部を製造し、その主表面に回折光学素子部を形成することで製造できる。
【0083】
ガラス部は、例えばガラス成形体を用いて製造できる。以下に、光学ガラスからなるガラス成形体の製造について例示的に説明する。
【0084】
光学ガラスは、所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って製造すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスからなるガラス成形体を得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
【0085】
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、フッ化物等が挙げられる。
【0086】
ガラス部は、ガラス成形体を加工する工程を含む方法により製造できる。加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨等を例示することができる。
【0087】
また、ガラス部は、例えば、以下の方法でも製造できる。
【0088】
公知の方法により、所定の組成となるようにガラス原料を熔融して熔融ガラスとし、この熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、ガラス部の形状に近似するガラスブランクを作製する。ガラスブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨してガラス部を製造する。
【0089】
ガラスウエハは、ガラス部の主表面に回折光学素子部を形成することで製造できる。回折光学素子部の形成方法は特に限定されない。例えば、回折光学素子部を有機材料で形成する場合および無機材料で形成する場合について、以下に例示する。なお、回折光学素子部をホログラフィック回折格子とする場合には、公知の方法で形成すればよい。
【0090】
有機材料で形成する場合は、ガラス部の一方の主表面に、有機材料を塗布して塗布膜を形成し、回折光学素子部の回折格子パターンを反転した形状の型を塗布膜に転写する。その後、125℃前後に加熱して焼成し、ガラス部の主表面の所定位置に回折光学素子部を形成したガラスウエハが製造できる。有機材料としては、特に限定されないが、透明な樹脂が挙げられ、例えば紫外線硬化性樹脂でもよい。
【0091】
無機材料で形成する場合は、真空チャンバー内でガラス部の一方の主表面に、スパッタリング、蒸着、または化学気相体積法(CVD)により無機材料膜を成膜する。成膜後、真空チャンバーから取り出して、フォトレジストを塗布、プリベーク、露光、ポストベーク(120~150℃程度)、現像を経て、エッチングにより回折格子パターンを形成する。これにより、ガラス部の主表面の所定位置に回折光学素子部を形成したガラスウエハが製造できる。無機材料としては、例えば酸化チタン、窒化ケイ素や炭化ケイ素が挙げられるがこれに限定されない。
【0092】
<導光板の製造>
導光板の製造方法は特に限定されず、導光板は公知の方法により製造できる。例えば、上記のとおり回折光学素子部を形成したガラスウエハを、ダイシングにより切断、分離することで、複数の導光板を製造できる。なお、ガラスウエハを切断、分離する際、ウエハ主表面に反射防止膜を形成し、その上に紫外線剥離型の接着剤で保護シートを貼ってウエハ主表面を保護し、切断、分離後に紫外線を照射して保護シートを剥離してもよい。
【0093】
<画像表示装置の製造>
画像表示装置の製造方法は特に限定されず、画像表示装置は公知の方法により製造できる。例えば、眼鏡型の画像表示装置であれば、上記導光板を図2に示すヘッドマウントディスプレイ1に組み込んで、すなわち、フレームに光源および光学系とともに上記導光板を実装し、製造できる。
【実施例0094】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0095】
(実施例1)
表1に示すガラスA、B、またはCからなるガラス部を含むガラスウエハを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
【0096】
[ガラスサンプルの調製]
ガラス部の構成成分に対応する化合物原料、すなわち、酸化物、炭酸塩等の原料を秤量し、十分混合して調合原料とした。該調合原料を白金製坩堝に投入し、大気雰囲気下あるいは水蒸気雰囲気下で1000~1350℃に加熱して熔融し、攪拌により均質化、清澄して熔融ガラスを得た。該熔融ガラスを成形型に鋳込んで成形し、徐冷して、ガラスサンプルを得た。なお、水蒸気雰囲気下で熔融したガラスは、大気中で長時間にわたり熱処理して可視域の透過率を高めた。
【0097】
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルについて、以下に示す方法にて、屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tg、ヤング率、平均線膨張係数αn、比重、比弾性率、波長420nmおよび800nmにおける内部透過率(厚さ10.0mm換算値)を測定した。結果を表1に示す。
【0098】
〔屈折率ndおよびアッベ数νd〕
JIS規格 JIS B 7071-1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、下式に基づきアッベ数νdを算出した。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
【0099】
〔ガラス転移温度Tg〕
ガラス転移温度Tgは、NETZSCH JAPAN社製の示差走査熱量分析装置(DSC3300SA)を使用し、昇温速度10℃/分にて測定した。
【0100】
〔ヤング率〕
ヤング率は、JIS R 1602-1995に準じて測定し、算出した。具体的には、ガラスサンプルを縦20mm、横20mm、高さ100mmの大きさに加工し、十分にアニールして恒温室内に置き、5MHzの超音波の縦波速度(Vl)および横波速度(Vs)を測定し、ヤング率(E)および剛性率(G)をそれぞれ次式により算出した。
E=(4G2-3G×Vl2×ρ)/(G-Vl2×ρ)
G=Vs2×ρ
ここで、ρはガラス試料の密度であり、比重の値を使用した。
【0101】
〔-30℃~70℃における平均線膨張係数αn
-30℃~70℃における平均線膨張係数αnは干渉膨張計を用いて測定し、次式により算出した。
αn=dLn/(L×dTn)
ここで、dTnは-30~70℃の温度差(K)、Lはガラス試料の初期長さ(mm)、dLnは-30~70℃の温度範囲における試料長さの変化量(mm)である。
【0102】
〔比重〕
比重は、アルキメデス法により測定した。
【0103】
〔比弾性率〕
比弾性率は、ヤング率を室温における密度で割って算出した。室温における密度は比重に単位(g/cm3)を付けて表す。
【0104】
〔内部透過率〕
ガラスサンプルを、厚さ10mm±0.1mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長420nmおよび波長800nmにおける内部透過率を測定した。内部透過率τは、同じガラスサンプルからなり、異なる厚さd1、d2を有する2つのガラス試料の表面反射損失を含む透過率(外部透過率)T1、T2をそれぞれ測定し、次式を用いて算出した。
logτ=-[(logT1-logT2)×10]/Δd
ただし、d2>d1、Δd=d2-d1であり、logは常用対数である。
【0105】
【表1】
【0106】
[ガラスウエハの作製]
上記ガラスサンプルを切断、研削、研磨して、円板形状のガラス部を作製した。ガラス部の1つの主表面の面積、直径、および厚さを表2に示す。また、回折光学素子部を形成する前のガラス部の平坦度をBOWにより評価した。さらに、回折光学素子部形成時においてガラス部の反りが低減していることを確認した。
【0107】
〔回折光学素子部形成前の平坦度(BOW)〕
平坦度は、BOWで評価した。BOWの測定には、Tropel社製の平坦性測定機Flat Master MSP300を使用した。なお、BOWの測定には公知の方法、例えば非接触式BOW測定機を使用することができ、アメリカ試験材料協会規格ASTM F534のBOWの測定に関する規格を準用することができる。具体的には、ガラス部の直径よりわずかに小さい直径の仮想円の円周上に等間隔(120°間隔)に配置された3点でガラス部を支持した。このとき、ガラス部の中心と仮想円の中心とが鉛直方向に並ぶようにし、ガラス部は固定(クランプ)しない。ガラス部を支持する3点を含む仮想的な平面(中央表面基準面という)からガラス部の中央表面の中心点の偏差をBOWとした。
【0108】
ここで、図3に示すように、中央表面とは、ガラス部の2つの主表面から等距離にあり、ガラス部の内部にある仮想的な面である。中央表面基準面よりガラス部の中央表面の中心点が上にあるとき、BOWは正の値となる。一方、中央表面基準面よりガラス部の中央表面の中心点が下にあるとき、BOWは負の値となる。BOWの絶対値が大きいほど、ガラス部の湾曲が大きい。
【0109】
〔回折光学素子部形成時におけるガラス部の反りの評価〕
ガラス部の主表面に複数の回折光学素子部を一括で形成する際、すべての回折光学素子部の寸法精度および位置精度を許容範囲内に収めることが求められる。ガラス部の反りは上記寸法精度および位置精度を低下させる要因となる。以下、ガラス部の反りが回折光学素子部の寸法精度および位置精度に与える影響について説明する。ガラス部の反り(平坦度)は、定量的に表すためにBOWの値を用いる。
【0110】
直径Φ(mm)の円板形状のガラス部について説明する。
ガラス部の主表面において、回折光学素子部を形成する範囲を有効範囲という。図4に示すように、有効範囲は中心から半径[(Φ/2)-5mm]の円Aで囲まれた範囲である。
図5(1)、(2)に示すように、円Aに対する中央表面基準面を想定すると、[(Φ/2)-5mm]は有効範囲長cとなる。すなわち、有効範囲長cは次式で表される。
c=(Φ/2)-5mm
ガラス部を中心軸の方向から平面視したとき、ガラス部の中心から円Aの円周までの距離は実行長bという。
BOWの値a、実行長b、有効範囲長cとの間には次式が成り立つ。
2+b2=c2
以上より、次式が成り立つ。
b=[c2-a21/2=[{(Φ/2)-5mm}2-a21/2
すなわち、有効範囲長cと実行長bとの差(ずれ量)は、次のように表される。
c-b=[(Φ/2)-5mm]-[{(Φ/2)-5mm}2-a21/2
【0111】
ガラス部の主表面上にフォトリソグラフィにより複数の回折光学素子部を形成する時、有効範囲を示す円Aの円周付近では、BOWの値が最大になり、その結果位置ずれが最大になる。この位置ずれにより回折光学素子部に含まれる回折格子の凹凸構造の周期(ピッチ)に誤差が生じる。
【0112】
回折光学素子部の性能を維持するためには、回折格子の凹凸構造の周期の誤差を±5%以内に抑えることが求められる。なお、回折格子の凹凸構造の周期が小さいほど、誤差を小さく抑えることが難しくなる。
【0113】
例えば、回折格子の凹凸構造の周期が150nmのとき、その5%は7.5nmとなる。すなわち、「7.5nm」が回折格子の凹凸構造の周期における誤差の許容最大値となる。ガラス部に反りが生じた場合でも、上記ずれ量[c-b]が「7.5nm」以内であれば、回折格子の凹凸構造の周期における誤差を±5%以内に抑えることができる。一方、上記ずれ量[c-b]が「7.5nm」を超える場合には、回折格子の凹凸構造の周期における誤差が±5%を超える。このような反りの大きいガラス部には、回折光学素子部を高精度に形成することができない。
【0114】
回折格子の凹凸構造の周期が150nmの場合のずれ量について具体的に示す。ガラス部の直径が200mmであり、BOWの値が44μmである場合、ずれ量[c-b]は7.5nmを超えるから、円Aの円周付近における回折光学素子部に含まれる回折格子の凹凸構造の周期の誤差が許容最大値を超える。このようなガラス部では回折光学素子部を高精度に形成することができない。
【0115】
同様に、ガラス部の直径が250mmでありBOWの値が55μmである場合、ガラス部の直径300mmでありBOWの値が66μmである場合には、どちらもずれ量[c-b]は7.5nmを超えるから、それぞれ円Aの円周付近における回折光学素子部に含まれる回折格子の凹凸構造の周期の誤差は許容最大値を超える。このようなガラス部では回折光学素子部を高精度に形成することができない。
【0116】
表2(1)~(3)に示すように、回折光学素子部形成前では、BOWの値は10~30μmであるから、回折格子の凹凸構造の周期における誤差を±5%以内に抑えることができる。
【0117】
作製したガラス部に、以下の方法により回折光学素子部を形成し、ガラスウエハを得た。このとき、加熱時におけるガラス部の反りは十分に小さかった。また、回折光学素子部形成後のガラスウエハのBOWの値も、回折格子の凹凸構造の周期における誤差を±5%以内に抑えることができる程度に十分に小さかった。すなわち、ガラス部の有効範囲全域に高精度に回折光学素子部を形成できることが確認された。回折光学素子部を形成して得られたガラスウエハについて、回折格子の凹凸構造の周期および回折格子の凸部と凹部との高低差を測定した。結果を表2に示す。
【0118】
〔有機材料による形成〕
ガラス部の一方の主表面に、有機材料としてシロキサンポリマーを塗布して塗布膜を形成し、回折光学素子部の回折格子パターンを反転した形状の型を塗布膜に転写した。その後、125℃前後に加熱して焼成し、ガラス部の主表面の所定位置に、表2に示す大きさの回折光学素子部を形成した。回折格子の凹凸の間隔および凹凸の高低差を調整することで、赤色成分(R成分)の光を回折する回折光学素子部を有するガラスウエハ、緑色成分(G成分)の光を回折する回折光学素子部を有するガラスウエハ、および青色成分(B成分)の光を回折する回折光学素子部を有するガラスウエハを得た。
【0119】
〔無機材料による形成〕
真空チャンバー内でガラス部の一方の主表面に、スパッタリングにより酸化チタン膜、窒化ケイ素膜、炭化ケイ素膜のいずれかを成膜した。成膜後、真空チャンバーから取り出して、膜を形成したガラス部の主表面にフォトレジスト液を均一に塗布した。次にガラス部を加熱し、フォトレジストの溶剤を蒸発させ(プリベーク)、回折光学素子の周期的微細構造パターンに対応するパターンを備えたフォトマスクを使用し、紫外線照射によりフォトマスクのパターンをガラス部表面のフォトレジストに転写した(露光)。露光後、現像液を使用してフォトレジストを選択的に除去し(現像)、フォトレジストを熱架橋させるためにガラス部ごと120~150℃程度に加熱した(ポストベーク)。次にガラス部の主表面上の膜を選択的にエッチングして回折光学素子部を形成した。これにより、ガラス部の主表面の所定位置に、表2に示す大きさの回折光学素子部を形成した。回折格子の凹凸の間隔および凹凸の高低差を調整することで、赤色成分(R成分)の光を回折する回折光学素子部を有するガラスウエハ、緑色成分(G成分)の光を回折する回折光学素子部を有するガラスウエハ、および青色成分(B成分)の光を回折する回折光学素子部を有するガラスウエハを得た。
【0120】
〔回折格子の凹凸構造の周期(ピッチ)〕
走査電子顕微鏡(SEM)により測定した。
【0121】
〔回折格子の凸部と凹部との高低差〕
原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。
【0122】
(実施例2)
実施例1において作製したガラスウエハをダイシングにより切断、分離し、複数の導光板を作製した。赤色成分(R成分)用の導光板、緑色成分(G成分)用の導光板、および青色成分(B成分)用の導光板が得られた。1枚のガラスウエハから得られた導光板のサイズおよび枚数を表2に示す。
【0123】
(実施例3)
実施例2において作製した赤色成分(R成分)用の導光板、緑色成分(G成分)用の導光板、および青色成分(B成分)用の導光板が互いに平行になるよう、精密に重ね合わせて一体化し、ヘッドマウントディスプレイに組み込んだ。すなわち、フレームに光源および光学系とともに実施例2において作製した導光板を精密に位置合わせし一体化させて実装し、眼鏡型の画像表示装置を作製した。この画像表示装置を装着して画像を表示したところ、高画質で高FOVの画像を表示でき、十分な没入感が得られた。
【0124】
【表2(1)】
【0125】
【表2(2)】
【0126】
【表2(3)】
【0127】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0128】
例えば、上記に例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを作製することができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
図1
図2
図3
図4
図5(1)】
図5(2)】