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特開2024-144233活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法
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  • 特開-活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144233
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/329 20060101AFI20241003BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
C08G65/329
A61K47/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043067
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2023051234
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】立谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】布施 拓実
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敦
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 量
(72)【発明者】
【氏名】土井 康広
【テーマコード(参考)】
4C076
4J005
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE59
4J005AA04
4J005BD02
4J005BD05
4J005BD06
(57)【要約】
【課題】活性化純度が高く、かつ熱履歴の増加による多分散度の上昇を抑制でき、工業的に実施可能なポリエチレングリコール誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体を末端に有する活性化ポリエチレングリコール誘導体を製造する方法であって、工程(A)、工程(B)および工程(C)を有する。
工程(A):カルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれた一種以上を末端に有するポリエチレングリコール化合物の粉粒体を0℃以上、50℃以下の雰囲気下で乾燥し、水分値0.10質量%以下の乾燥粉粒体を得る工程
工程(B):工程(A)で得られた乾燥粉粒体に対して、水分の質量が200ppm以下である有機溶剤を添加し、乾燥粉粒体を有機溶剤に溶解させて溶液を得る工程
工程(C):工程(B)で得られた溶液に含まれるポリエチレングリコール化合物と活性化剤を反応させ、活性化ポリエチレングリコール誘導体を得る工程
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体を末端に有する活性化ポリエチレングリコール誘導体を製造する方法であって、下記工程(A)、工程(B)および工程(C)を有することを特徴とする、活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。

工程(A): カルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれた一種以上を末端に有するポリエチレングリコール化合物の粉粒体を0℃以上、50℃以下の雰囲気下で乾燥し、水分値が0.10質量%以下の乾燥粉粒体を得る工程

工程(B): 前記工程(A)で得られた前記乾燥粉粒体に対して、水分の質量が200ppm以下である有機溶剤を添加し、前記乾燥粉粒体を前記有機溶剤に溶解させて溶液を得る工程

工程(C):前記工程(B)で得られた前記溶液に含有される前記ポリエチレングリコール化合物と活性化剤を反応させ、活性化ポリエチレングリコール誘導体を得る工程
【請求項2】
前記有機溶剤が非プロトン性溶剤であることを特徴とする、請求項1記載の活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記工程(A)における前記粉粒体の平均粒径が0.1μm以上、10mm以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記工程(A)における前記ポリエチレングリコール化合物の数平均分子量が2,000ダルトン以上、80,000ダルトン以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【請求項5】
前記活性化ポリエチレングリコール誘導体が以下の式(1)で表されることを特徴とする、請求項1または2記載のポリエチレングリコール誘導体の製造方法。

PEG-X・・・(1)

(式(1)中、
PEGは、直鎖構造または分岐構造を有するポリエチレングリコール部であり、
Xは、生体関連物質と反応可能な官能基または官能基の前駆体である。)
【請求項6】
前記活性化剤が、炭酸ジスクシンイミジル、p-ニトロフェニルクロロホルメート、炭酸ジ(1-ベンゾトリアゾリル)、トリクロロフェニルクロロホルメート、炭酸p-ニトロフェニルスクシンイミジル、炭酸p-ニトロフェニル1-ベンゾトリアゾリル、ペンタフルオロフェニルクロロホルメート、1,1’-カルボニルジイミダゾール、無水コハク酸、無水グルタル酸、ハロゲン化メタンスルホニル、ハロゲン化トリフルオロメタンスルホニル、ハロゲン化p-トルエンスルホニル、6-ハロゲン化ヘキサン酸アルキル、アゾジカルボン酸エステル、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシコハク酸イミドからなる群より選ばれた一種以上の化合物であることを特徴とする、請求項1または2記載のポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルモンやサイトカイン、酵素などの生体関連物質などを用いた医薬品は、通常生体内へ投与されると、腎臓における糸球体濾過や肝臓や脾臓などにおけるマクロファージによる取り込みによって、生体内から速やかに排出されてしまう。そのため血中半減期が短く、十分な薬理効果を得ることが困難であることが多い。この問題を解決するため、生体関連物質にポリエチレングリコール(以下、「PEG」と呼ぶことがある)などの水溶性ポリマーを化学修飾する試みが行われている。その結果、分子量の増大や水和層の形成などにより生体関連物質の血中半減期を延長することが可能となる。また、これらの修飾により、生体関連物質の毒性や抗原性の低下、凝集性の改善などの効果が得られることも良く知られている。
【0003】
活性化ポリエチレングリコール誘導体は、通常、修飾するタンパク質などの表面に存在するアミノ基、メルカプト基、カルボキシ基、不飽和結合などの官能基と化学的に結合する活性基を、ポリエチレングリコール鎖の末端に有する。例えば、アミノ基に対して修飾させる場合は、ホルミル基、エポキシ基、p-ニトロフェニルエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル基などの活性基をポリエチレングリコール鎖の末端に有する。メルカプト基に対しては、メルカプト基、マレイミジル基、置換マレイミジル基、アリル基、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル基などの活性基をポリエチレングリコール鎖の末端に有する。カルボキシル基に対しては、メルカプト基、アミノ基などの活性基をポリエチレングリコール鎖の末端に有する。不飽和結合に対しては、メルカプト基などの活性基をポリエチレングリコール鎖の末端に有する。
【0004】
薬剤の修飾に用いられる活性化ポリエチレングリコール誘導体は、薬剤の均一性の観点から、薬剤の血中滞留性、免疫原性、薬効などのばらつきを抑えるために、多分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が小さい高純度品を用いる必要がある。また、活性化ポリエチレングリコール誘導体合成時の反応性官能基への転換率は、PEG系不純物や異なる結合を有するPEG化製剤などの副生を抑制するため、高いことが好ましい。
【0005】
生体関連物質と反応可能な官能基またはその前駆体を末端に有する活性化ポリエチレングリコール誘導体は、水酸基やアミノ基などを末端に有するポリエチレングリコール化合物原料と、低分子化合物である活性化剤を反応させることによって、得られる。
【0006】
しかし、活性化剤の中には加水分解性を有し、反応系内の水と鋭敏に反応し失活してしまうものがある。活性化剤が失活すると、活性化ポリエチレングリコール誘導体の純度の低下につながり、また失活を見越して過剰量の活性化剤を添加することは活性化剤由来の不純物も増大し、ひいては精製工程の負荷の増大につながることから、最小限に留める必要がある。
【0007】
カルボキシル基、メルカプト基、水酸基もしくはアミノ基などを末端に有するポリエチレングリコール化合物の性状は、硬いワックス状、それを荒く砕いたフレーク状、粉粒体、など多様である。水酸基を末端に有するポリエチレングリコール化合物は、活性水素化合物とエチレンオキサイドのアニオン重合によって得られる。重合中はほぼ無水条件であるが、重合後高温の釜から液体の状態で抜き出し、大気環境下で冷却固化する際に吸湿する。また、何らかの反応や精製を行った後のポリエチレングリコール化合物は、溶媒を用いた再沈殿等により粉粒体とすることがある。粉粒体はワックス状やフレーク状の固体よりも表面積が大きいために吸湿性が高く、製造時に乾燥を行ったとしても大気環境下で取り扱う際に水分含有量が増加しやすい。
【0008】
上述の理由から、活性化反応前のポリエチレングリコール化合物の粉粒体は、通常0.1~2質量%の水分を含有する。これは活性化反応において活性化剤の失活に影響を与えるレベルであることから、反応前に何らかの乾燥工程を実施して系内の水分量を低減させる必要がある。
【0009】
特許文献1には、ポリエチレングリコール化合物を、水と共沸混合物を形成しうる溶媒と混合して混合物を得た後、共沸蒸留により混合物を乾燥し、次いで溶液中のポリエチレングリコール化合物を活性化することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013-227543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載されたように、共沸蒸留によって、溶液中のポリエチレングリコール化合物を乾燥し、次いで活性化する活性化ポリエチレングリコール誘導体の製法では、活性化ポリエチレングリコール誘導体の品質が低下する可能性がある。これは、原料であるポリエチレングリコール化合物の溶液を高温で加熱し続けることによって熱履歴が増加し、PEG鎖の酸化分解による多分散度の上昇を起こすためである。一般的に、製造スケールが大きくなるにつれて、加温や冷却に要する時間は長くなるため、熱履歴の増加による多分散度の上昇がより顕著に表れる。
【0012】
このように、活性化ポリエチレングリコール誘導体は、医薬用途において重要な素材であるにも関わらず、簡便に得ることは困難である。
【0013】
本発明の課題は、活性化純度が高く、かつ熱履歴の増加による多分散度の上昇を抑制でき、工業的に実施可能な活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の性状のポリエチレングリコール化合物を原料として使用し、特定の乾燥工程を行った後に活性化反応を行うことで、活性化純度が高くかつ品質低下も抑制された活性化ポリエチレングリコール誘導体が得られることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は、以下のものである。
[1] 生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体を末端に有する活性化ポリエチレングリコール誘導体を製造する方法であって、下記工程(A)、工程(B)および工程(C)を有することを特徴とする、活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
工程(A): カルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれた一種以上を末端に有するポリエチレングリコール化合物の粉粒体を0℃以上、50℃以下の雰囲気下で乾燥し、水分値が0.10質量%以下の乾燥粉粒体を得る工程
工程(B): 前記工程(A)で得られた前記乾燥粉粒体に対して、水分の質量が200ppm以下である有機溶剤を添加し、前記乾燥粉粒体を密閉環境下で前記有機溶剤に溶解させて溶液を得る工程
工程(C): 前記工程(B)で得られた前記溶液に含まれる前記ポリエチレングリコール化合物と活性化剤を反応させ、活性化ポリエチレングリコール誘導体を得る工程
【0016】
[2] 前記有機溶剤が非プロトン性溶剤であることを特徴とする、[1]の活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【0017】
[3] 前記工程(A)における前記粉粒体の平均粒径が0.1μm以上、10mm以下であることを特徴とする、[1]または[2]の活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【0018】
[4] 前記工程(A)における前記ポリエチレングリコール化合物の数平均分子量が2,000ダルトン以上、80,000ダルトン以下であることを特徴とする、[1]または[2]の活性化ポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【0019】
[5] 前記活性化ポリエチレングリコール誘導体が以下の式(1)で表されることを特徴とする、[1]または[2]のポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
PEG-X・・・(1)
(式(1)中、
PEGは、直鎖構造または分岐構造を有するポリエチレングリコール部であり、
Xは、生体関連物質と反応可能な官能基または官能基の前駆体である。)
【0020】
[6] 前記活性化剤が、炭酸ジスクシンイミジル、p-ニトロフェニルクロロホルメート、炭酸ジ(1-ベンゾトリアゾリル)、トリクロロフェニルクロロホルメート、炭酸p-ニトロフェニルスクシンイミジル、炭酸p-ニトロフェニル1-ベンゾトリアゾリル、ペンタフルオロフェニルクロロホルメート、1,1’-カルボニルジイミダゾール、無水コハク酸、無水グルタル酸、ハロゲン化メタンスルホニル、ハロゲン化トリフルオロメタンスルホニル、ハロゲン化p-トルエンスルホニル、6-ハロゲン化ヘキサン酸アルキル、アゾジカルボン酸エステル、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシコハク酸イミドからなる群より選ばれた一種以上の化合物であることを特徴とする、[1]または[2]のポリエチレングリコール誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、活性化純度を高くし、熱履歴の増加による多分散度の上昇を抑制でき、工業的に実施可能な活性化ポリエチレングリコール誘導体を製造できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実験例1の水分吸脱着測定時の温度、相対湿度および測定試料の質量変化率の関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[活性化ポリエチレングリコール誘導体]
本発明の活性化ポリエチレングリコール誘導体は、生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体を末端に有する。
好適な実施形態においては、活性化ポリエチレングリコール誘導体は、以下の式(2)を有している。
PEG-X・・・(2)
式(2)中、PEGは、直鎖構造または分岐構造を持つポリエチレングリコール部であり、Xは、生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体である。
【0024】
更に具体的には、式(3)に示されるような活性化ポリエチレングリコール誘導体を例示できる。
【化1】
【0025】
ここで、Zは、2~8個の活性水素基(-GH)を持つ化合物(Z(GH)n:n=2~8)から活性水素基を除いた残基である。活性水素基とは、活性水素を有する官能基である。活性水素基(-GH)としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、第2級アミノ基、メルカプト基などを例示できる。活性水素基(-GH)が水酸基、カルボキシル基である場合は、残基Zは脱水酸基残基であり、アミノ基、第2級アミノ基、メルカプト基の場合は、残基Zは脱水素残基である。
【0026】
2~8個の活性水素基(-GH)を持つ化合物(Z(GH)n:n=2~8)の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、イソプロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ヘキサグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトールなどの多価アルコール類、またはリジンやグルタミン酸などのアミノ基、カルボキシル基、またはメルカプト基を持つアミノ酸やペプチド、または有機アミン、有機カルボン酸などの化合物が挙げられる。
【0027】
a、b、cおよびdは、「0≦a≦8、0≦b≦8、0≦c≦7、0≦d≦7」かつ「1≦a+b≦8、2≦a+b+c+d≦8」を満たす整数である。
【0028】
、Y2、およびYは、それぞれ独立して、エーテル結合、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合、2級アミノ基、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、チオエステル結合、またはこれらを含んでもよいアルキレン基が挙げられる。このアルキレン基として好ましいものはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、へキシレン基などが挙げられ、これらは分岐していてもよい。
【0029】
Polymer1およびPolymer2は、直鎖または分岐のポリエチレングリコール鎖である。分岐のポリエチレングリコール鎖とは、途中にリンカーを介し、二鎖またはそれ以上に分岐しているポリエチレングリコール鎖であり、分岐点は複数あってもよい。例としては、下記式(i)に示すようなグリセリンなどの多価アルコールを分岐点とし、二鎖、またはそれ以上に分岐しているポリエチレングリコール鎖である。
【0030】
【化2】
(ただし、m1、m2およびm3は整数であり、好ましくは1~3636であり、より好ましくは1~2728であり、さらに好ましくは1~1818である。)
【0031】
本発明におけるPEGとは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で分析したその多分散度が、好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下、最も好ましくは1.07以下である重合体である。
【0032】
式(2)におけるPEG部の数平均分子量は、GPCで分析した値であり、様々な既知分子量のPEGを用いて作成した検量線をベースに算出した数平均分子量のことである。このPEG部の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは2,000ダルトン以上、80,000ダルトン以下であり、より好ましくは2,000ダルトン以上、60,000ダルトン以下であり、さらに好ましくは2,000ダルトン以上、50,000ダルトン以下である。
【0033】
式(3)におけるAおよびAは、それぞれ独立して、-L-(CH)l-、-L-(CH)l-L-(CH)l-または単結合を表し、Lはエーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、第2級アミノ基または単結合を表し、Lはエーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、単結合またはチオエーテル結合を表し、lおよびlはそれぞれ独立した0から5の整数を表す。
【0034】
およびXは、それぞれ独立して、生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体である。活性化ポリエチレングリコール誘導体における前記官能基または前記官能基の前駆体は、1種に限らず2種以上でもよい。
【0035】
およびRは、それぞれ独立しており、本発明における反応で前記活性化剤と反応しない構造である。構造は特に限定されないが、生体関連物質と反応可能な官能基、前記官能基の前駆体または炭化水素を有してもよい。その構造を以下に例示する。
アルキニル基、置換アルキニル基(例えば、炭素数1~5の炭化水素基で置換されたアルキニル基)、アルケニル基(例えば、アリル基、ビニル基)、アルキル基、エステル基、カーボネート基(例えば、スクシンイミジルカーボネート基、p-ニトロフェニルカーボネート基)、ホルミル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシド基、カルボキシル基、マレイミジル基、置換マレイミジル基、ジチオピリジル基、置換スルホニル基(例えば、メシル基、トシル基)、ビニルスルホニル基、ヨードアセトアミド基、アルキルカルボニル基、アジド基、アクリロイル基、スルホニルオキシ基(例えば、アルキルスルホニルオキシ基)、α-ハロアセチル基
【0036】
本発明において、活性化ポリエチレングリコール誘導体が有する生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体を以下に例示する。
エポキシ基、p-ニトロフェニルエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、メルカプト基、マレイミジル基、置換マレイミジル基、アリル基、アジド基、ビオチン基、ホルミル基、アミノ基、メシル基、トシル基、フタルイミジル基、カルボキシル基、アセタールで保護されたホルミル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基で保護されたアミノ基、t-ブトキシカルボニル基で保護されたアミノ基およびベンジルオキシカルボニル基で保護されたアミノ基
【0037】
本発明の製造方法は、工程(A)、工程(B)および工程(C)を有する。以下、各工程について順番に述べる。
【0038】
工程(A): カルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれた一種以上を末端に有するポリエチレングリコール化合物の粉粒体を0℃以上、50℃以下の雰囲気下で乾燥し、水分値が0.10質量%以下の乾燥粉粒体を得る工程
【0039】
工程(A)の原料は、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれた一種以上を末端に有するポリエチレングリコール化合物である。このポリエチレングリコール化合物は、式(4)に示されるような構造を持つPEGが好ましい。
【化3】
【0040】
式(4)において、WおよびWはそれぞれ独立してカルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基である。その他の各記号は式(2)での定義と同義である。
【0041】
ポリエチレングリコール化合物の形態は、乾燥できる粉粒体である。乾燥方法は特に限定されないが、減圧乾燥や乾燥気体循環による乾燥などが例示できる。粉粒体の平均粒径は、ふるい分け法で分析した値が好ましくは0.1μm以上、10mm以下であり、更に好ましくは、0.1μm以上、1mm以下である。
【0042】
本発明方法で使用する容器は、ポリエチレングリコール化合物の粉粒体を乾燥でき、乾燥後のポリエチレングリコール誘導体の粉粒体を、大気に触れさせることなく、溶剤を添加できるものである。ここで、「大気に触れさせることなく」とは、容器を密閉状態もしくは容器中に不活性ガスを充填して容器内を不活性ガスで陽圧とすること、あるいは容器を収容して装置を密閉状態とし、装置中に不活性ガスを充填もしくは装置内に不活性ガスを充填して装置内を不活性ガスで陽圧とすることで、大気への接触を防止することである。
【0043】
前記粉粒体の乾燥後の水分値は0.10質量%以下とすることが好ましい。
粉粒体を減圧乾燥によって乾燥する際には、圧力は、-0.01MPaG以下、-1.0MPaG以上とすることが好ましく、-0.1MPaG以下、-1.0MPaG以上とすることが更に好ましい。
減圧乾燥時の雰囲気は特に限定されないが、窒素またはアルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
また、粉粒体を乾燥気体循環によって乾燥する際には、気体の種類は特に限定されないが、窒素またはアルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
粉粒体の乾燥時の温度は特に限定されないが、ポリエチレングリコール化合物の粉粒体の融点以下であれば適用可能であり、好ましくは0℃以上,50℃以下であり、より好ましくは15℃以上、35℃以下である。
【0044】
工程(B): 前記工程(A)で得られた前記乾燥粉粒体に対して、水分の質量が200ppm以下である有機溶剤を添加し、前記乾燥粉粒体を前記有機溶剤に溶解させて溶液を得る工程
【0045】
乾燥粉粒体に対して、水分の質量が200ppm以下である有機溶剤を添加し、溶解させて溶液を得るのに際して、有機溶剤の添加方法は特に限定されない。ポリエチレングリコール誘導体の粉粒体を外気に触れさせることなく、容器内に有機溶剤を添加できれば良い。有機溶剤の添加方法としては、ポンプ移送、加圧移送または減圧移送などが挙げられる。
【0046】
工程(B)、(C)で使用する有機溶剤の水分質量は200ppm以下であり、好ましくは150ppm以下であり、より好ましくは100ppm以下である。この水分質量の下限値は特に無く、0ppmであってよい。
【0047】
本発明で使用する有機溶剤は、好ましくは活性化剤と反応しない非プロトン性溶剤である。例示的な溶剤は、トルエン、ベンゼン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタンなどが挙げられる。本発明における溶剤の必要条件は、PEGが溶解し、反応が進行し、活性化剤が失活せず、反応後の官能基が分解しない条件となる。一般的に反応溶剤として用いられる、メタノール、エタノールなどの低級アルコールは、活性化剤または反応後の官能基が分解する可能性が高いという点より、好ましくはない。
【0048】
工程(C):前記工程(B)で得られた前記溶液に含有される前記ポリエチレングリコール化合物と活性化剤を反応させ、活性化ポリエチレングリコール誘導体を得る工程
【0049】
活性化剤は、ポリエチレングリコール化合物のカルボキシル基、メルカプト基、水酸基およびアミノ基からなる群より選ばれた一種以上と反応し、生体関連物質と反応可能な官能基または前記官能基の前駆体を末端に有する活性化ポリエチレングリコール誘導体をもたらすものである。
【0050】
活性化剤の好適例としては、以下を例示できる。
炭酸ジスクシンイミジル、p-ニトロフェニルクロロホルメート、炭酸ジ(1-ベンゾトリアゾリル)、トリクロロフェニルクロロホルメート、炭酸p-ニトロフェニルスクシンイミジル、炭酸p-ニトロフェニル1-ベンゾトリアゾリル、ペンタフルオロフェニルクロロホルメート、1,1’-カルボニルジイミダゾール、無水コハク酸、無水グルタル酸、ハロゲン化メタンスルホニル、ハロゲン化トリフルオロメタンスルホニル、ハロゲン化p-トルエンスルホニル、6-ハロゲン化ヘキサン酸アルキル、アゾジカルボン酸エステル、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびN-ヒドロキシコハク酸イミドからなる群より選ばれた一種以上の化合物
【0051】
工程(C)の反応では、反応促進剤として、塩基などの触媒を用いてもよく、塩基は無機塩基、有機塩基のいずれでもよい。
【0052】
塩基としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩又は乳酸塩等の塩類またはアミン化合物があげられる。例示的な塩類としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウムなどである。アミン化合物としては、第一級アミン、第二級アミンは活性化剤または反応後の官能基と反応する可能性があるため、第三級アミンがより好ましい。第三級アミンとして例示的な塩基は、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-フェニルモルホリン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6-ルチジン、4-ジメチルアミノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセンなどである。塩類を使用する場合は、塩類が水分を含んでいることもあるため、工程(A)の時点でポリエチレングリコール化合物の粉粒体とともに添加し、乾燥してもよい。
【実施例0053】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
ポリエチレングリコール誘導体のGPC多分散度の測定には、以下に示す分析法Aを用いた。ポリエチレングリコール誘導体の活性化率の測定には以下に示す分析法Bを用いた。ポリエチレングリコール誘導体の水分値の測定には以下に示す分析法Cを用いた。
【0054】
<GPC多分散度の分析方法>
(分析法A)
GPCシステム: 島津製作所社製 Prominence
検出器: 島津製作所社製 示差屈折計RID-20A
GPCカラム: アジレントテクノロジー社製 PL gel MIXED-D 2本を直列接続
カラムオーブン温度: 65℃
溶離液: 10mmol/L 臭化リチウム入りN,N-ジメチルホルムアミド
流速: 0.7mL/min
試料濃度: 1mg/mL
抽入容量: 0.1mL
検量線用標準品: アジレントテクノロジー社製
分子量600~70,000のPEGのGPC用Polymer Standards
データ解析: 島津製作所社製 Lab Solution
【0055】
<活性化率の分析方法>
活性化率はプロトン核磁気共鳴(1H-NMR)で分析した。
(分析法B)
1H-NMR装置: JEOL製JNM-ECA600
測定温度: 25℃
測定溶媒: 関東化学株式会社製 重クロロホルム
試料濃度: 25mg/mL
測定核種: 1H
積算回数: 64回~256回
データ解析: JEOL製ALICE2
【0056】
<水分値の分析方法>
水分値はカールフィッシャー水分計で測定した。
(分析方法C)
カールフィッシャー水分計: 京都電子工業株式会社製MKC-501
カールフィッシャー試薬: Honeywell社製HYDRANAL COULOMAT AG(陽極)、Honeywell社製HYDRANAL COULOMAT CG(陰極)
測定温度: 25℃
測定量: 1g
【0057】
<実験例1>
ポリエチレングリコール化合物の粉粒体の吸湿性を確認するため、次の検討を行った。
式(5)で示される原料(ポリエチレングリコール化合物)の粉粒体(Mw 2,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、27.8mg)をHiden Isochema製IGA sorpを用いて水分吸脱着測定を行った。前処理として、ポリエチレングリコール化合物の粉粒体をSUSメッシュホルダーにいれ、25℃相対湿度0%RHで5時間乾燥し、乾燥粉粒体を得た。
【0058】
乾燥粉粒体27.46mgを25℃で任意の相対湿度に制御された環境に1時間静置し、静置後の質量を測定した。測定結果を表1および図1に示す。
この結果、ポリエチレングリコール化合物の乾燥粉粒体は、相対湿度の上昇に伴い吸湿して質量が増加することが明らかとなった。また、相対湿度の上昇後すぐにポリエチレングリコール化合物粉粒体が吸湿しており、環境温湿度の影響を強く受けることが判明した。
【0059】
ゆえに、目的とする活性化ポリエチレングリコール誘導体を得るために、ポリエチレングリコール化合物の粉粒体を活性化剤と反応させる場合、吸湿したポリエチレングリコール化合物粉粒体を原料に用いると、反応の進行が妨げられる可能性が高い。
【0060】
【化4】
【0061】
【表1】
【0062】
<実験例2>
ポリエチレングリコール化合物の粉粒体を乾燥するために共沸蒸留を行った場合の、ポリエチレングリコール化合物の品質変化を確認するため、次の検討を行った。
【0063】
機械式撹拌装置、ジムロート冷却管、水分定量受器、温度計、窒素吹込み管を装着した300mLの4つ口丸底フラスコに式(6)で示されるポリエチレングリコール化合物の粉粒体(Mw:40,000ダルトン、反応可能な官能基:二つの水酸基、10g、水分値:1.1質量%)およびトルエン(70g、水分値:68ppm)を仕込み、窒素下で撹拌しながらマントルヒーターを用いて50℃で溶解した。その後、マントルヒーターを用いて115℃で共沸蒸留を行った。表2に共沸蒸留時間と分析法AでのGPC多分散度(Mw/Mn)の関係を示す。
【0064】
この結果、共沸蒸留時間の延長に伴いポリエチレングリコール化合物が劣化して多分散度が上昇することが明らかとなった。共沸蒸留により乾燥する場合、製造スケールが大きくなるほど共沸蒸留できる温度に到達するまでの加温時間が延長するため、ポリエチレングリコール化合物の劣化が促進されて多分散度が上昇することがわかった。
【0065】
【化5】
【0066】
【表2】
【0067】
<実施例1>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁、窒素ラインを接続した三方コック、およびガラス栓を装着した300mLの4つ口丸底フラスコに、式(6)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:40,000、反応可能な官能基:二つの水酸基、10g、250μmol、水分値:1.1質量%、GPC多分散度:1.11)の粉粒体を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、3時間乾燥し、水分値:0.01質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0068】
工程(A)の後、窒素により復圧し、トルエン(70g、水分値:129ppm)をガラスシリンジとニードルを用い、乾燥粉粒体を窒素雰囲気下に保持することで外気に触れさせることなく仕込み、40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0069】
得られた溶液に対して、塩基触媒であるトリエチルアミン(TEA、58mg、1150mmol)および活性化剤である塩化メタンスルホニル(57mg、1000mmol)を加えた後、40℃、3時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(7)で示されるポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0070】
前記工程(C)で得られたポリエチレングリコール誘導体を積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が85%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.10であることを確認した。水分測定し、水分値が0.2質量%であることを確認した。
【0071】
【化6】
【0072】
<実施例2>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに、式(8)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:43,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、10g、233μmol、水分値:0.1質量%、GPC多分散度:1.04)の粉粒体を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、1時間乾燥し、水分値:0.02質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0073】
工程(A)の後、窒素により復圧し、ジクロロメタン(70 g、水分値:42ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて、乾燥粉粒体を窒素雰囲気下において大気に触れさせることなく仕込み、25℃で撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0074】
工程(B)で得られた溶液に対して、活性化剤である炭酸ジスクシンイミジル(DSC、918mg、3584μmol)と塩基触媒であるピリジン(434μL、5233μmol)を加えた後、27℃、15時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(9)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0075】
前記工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が98%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.04であることを確認した。水分測定し、水分値が0.3質量%であることを確認した。
【0076】
【化7】
【0077】
【化8】
【0078】
<実施例3>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに対して、式(5)で示されるポリエチレングリコール化合物の粉粒体(Mw:2,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、5g、2.5mmol、水分値:0.5質量%、GPC多分散度:1.06)および塩基触媒である酢酸ナトリウム(15mg)を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、1時間乾燥し、水分値:0.08質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0079】
工程(A)の後、窒素により復圧し、トルエン(5g、水分値:67ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で大気に触れさせることなく仕込み、40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0080】
得られた溶液に対して、活性化剤である無水コハク酸(263mg、2.63mmol)を加えた後、70℃、12時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(10)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0081】
工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数64回で1H-NMR測定し、活性化率が91%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.06であることを確認した。水分測定し、水分値が0.3質量%であることを確認した。
【0082】
【化9】
【0083】
<実施例4>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに対して、式(11)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:10,000ダルトン、反応可能な官能基:四つのアミノ基、5g、500μmol、水分値:0.5質量%、GPC多分散度:1.06)の粉粒体および塩基触媒である酢酸ナトリウム(15mg)を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、2時間乾燥し、水分値:0.07質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0084】
工程(A)の後、窒素により復圧し、トルエン(5g、水分値:92ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて、乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で大気に触れさせることなく仕込み、40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0085】
工程(B)で得られた溶液に対して、活性化剤である無水コハク酸(210mg、525μmol)を加えた後、70℃、12時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(12)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0086】
工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数128回で1H-NMR測定し、活性化率が95%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.05であることを確認した。水分測定し、水分値が0.5質量%であることを確認した。
【0087】
【化10】
【0088】
【化11】
【0089】
<実施例5>
20mLねじ口ガラス瓶に、式(5)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:2,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、1g、500μmol、水分値:0.5質量%、GPC多分散度:1.03)の粉粒体を仕込み、グローブボックス内に入れ、乾燥した窒素を循環させながらスパーテルで1時間撹拌して乾燥させ、水分値:0.08質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0090】
工程(A)の後、グローブボックス内でねじ口ガラス瓶に撹拌子を入れ、トルエン(2g、水分値:62ppm)とクロロホルム(18g、水分値:68ppm)を仕込み、ふたを閉じてからグローブボックスの外に出し、25℃でマグネチックスターラーにより撹拌して溶解させ、溶液を得た(工程(B))。
【0091】
得られた溶液に対して、フタルイミド(129mg、875μmol)、トリフェニルホスフィン(TPP、230 mg、875μmol)およびアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD、152mg、750 mol)を加えた後、25℃、2時間30分、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(100g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(100g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(100g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(100g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(13)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0092】
前記工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数64回で1H-NMR測定し、活性化率が88%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.03であることを確認した。水分測定し、水分値が0.5質量%であることを確認した。
【0093】
【化12】
【0094】
<実施例6>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに、式(6)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:40,000ダルトン、反応可能な官能基:二つの水酸基、10g、250μmol、水分値:1.1質量%、GPC多分散度:1.11)の粉粒体を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、1時間乾燥し、水分値:0.03質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0095】
工程(A)の後、窒素により復圧し、ジクロロメタン(70g、水分値:51 ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて、乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で、大気に触れさせることなく仕込み、25℃で撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0096】
工程(B)で得られた溶液に対して、活性化剤である炭酸ジスクシンイミジル(DSC、643mg、2510μmol)と塩基触媒であるピリジン(303μL、3750μmol)を加えた後、25℃、16時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(14)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0097】
前記工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が100%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.11であることを確認した。水分測定し、水分値が0.3質量%であることを確認した。
【0098】
【化13】
【0099】
<実施例7>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに、式(15)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:80,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、2g、25μmol、水分値:1.0質量%、GPC多分散度:1.06)の粉粒体を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、3時間乾燥し、水分値:0.08質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0100】
工程(A)の後、窒素により復圧し、ジクロロメタン(10g、水分値:106ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて、乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で、大気に触れさせることなく仕込み、25℃で撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0101】
工程(B)で得られた溶液に対して、活性化剤である炭酸ジスクシンイミジル(DSC、96mg、375μmol)と塩基触媒であるピリジン(46μL、569μmol)を加えた後、25℃、時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(16)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0102】
前記工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が100%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.06であることを確認した。水分測定し、水分値が質量0.3%であることを確認した。
【0103】
【化14】
【0104】
【化15】
【0105】
<実施例8>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに、式(17)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:40,000ダルトン、反応可能な官能基:八つの水酸基、2g、50μmol、水分値:0.8質量%、GPC多分散度:1.07)の粉粒体を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、3時間乾燥し、水分値:0.09質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0106】
工程(A)の後、窒素により復圧し、ジクロロメタン(10g、水分値:104ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて、乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で、大気に触れさせることなく仕込み、25℃で撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0107】
工程(B)で得られた溶液に対して、活性化剤である炭酸ジスクシンイミジル(DSC、206mg、804μmol)と塩基触媒であるピリジン(97μL、1199μmol)を加えた後、25℃、時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(18)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0108】
前記工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が99%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.07であることを確認した。水分測定し、水分値が質量0.3%であることを確認した。
【0109】
【化16】
【0110】
【化17】
【0111】
<実施例9>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに対して、式(5)で示されるポリエチレングリコール化合物の粉粒体(Mw:2,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、10g、5.0mmol、水分値:0.5質量%、GPC多分散度:1.03)および塩基触媒である酢酸ナトリウム(3mg)を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、3時間乾燥し、水分値:0.03質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0112】
工程(A)の後、窒素により復圧し、4-メチルテトラヒドロピラン(MTHP、10g、水分値:94ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で大気に触れさせることなく仕込み、40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0113】
得られた溶液に対して、活性化剤である無水コハク酸(528mg、5.28mmol)を加えた後、70℃、12時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(10)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0114】
工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数64回で1H-NMR測定し、活性化率が85%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.03であることを確認した。水分測定し、水分値が0.4質量%であることを確認した。
【0115】
<実施例10>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに対して、式(19)で示されるポリエチレングリコール化合物の粉粒体(Mw:5,000ダルトン、反応可能な官能基:一つのカルボニル基、2g、400μmol、水分値:0.9質量%、GPC多分散度:1.03)を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、3時間乾燥し、水分値:0.02質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0116】
工程(A)の後、窒素により復圧し、トルエン(10g、水分値:83ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で大気に触れさせることなく仕込み、40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0117】
得られた溶液に対して、活性化剤であるN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、165mg、800μmol)およびN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS、101mg、878μmol)を加えた後、40℃、3時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、吸引ろ過して得られたろ液にヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(20)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0118】
工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数128回で1H-NMR測定し、活性化率が99%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.03であることを確認した。水分測定し、水分値が0.2質量%であることを確認した。
【0119】
【化18】
【0120】
【化19】
【0121】
<実施例11>
機械式撹拌装置、真空ポンプに接続したL字管、逆止弁および窒素ラインを接続した三方コックを装着した100mLの3つ口丸底フラスコに対して、式(5)で示されるポリエチレングリコール化合物の粉粒体(Mw:2,000ダルトン、反応可能な官能基:一つの水酸基、10g、5.0mmol、水分値:0.5質量%、GPC多分散度:1.03)を仕込み、真空ポンプを用いて圧力を-0.1MPaG以下に減圧し、3時間乾燥し、水分値:0.01質量%の乾燥粉粒体を得た(工程(A))。
【0122】
工程(A)の後、窒素により復圧し、トルエン(11g、水分値:93ppm)をガラスシリンジとニードルを用いて乾燥粉粒体を窒素雰囲気下で大気に触れさせることなく仕込み、40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た(工程(B))。
【0123】
得られた溶液に対して、活性化剤であるp-ニトロフェニルクロロホルメート(1.11g、5.5mmol)と塩基触媒であるトリエチルアミン(TEA、837μL、6.0μmol)を加えた後、60℃、2時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(21)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た(工程(C))。
【0124】
工程(C)で得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数64回で1H-NMR測定し、活性化率が91%であることを確認した。GPC測定し、多分散度が1.03であることを確認した。水分測定し、水分値が0.3質量%であることを確認した。
【0125】
【化20】
【0126】
ポリエチレングリコール化合物の粉粒体が吸湿した場合の反応への影響を確認するため、次の検討を行った。
【0127】
<比較例1>
機械式撹拌装置、ジムロート冷却管、温度計および窒素吹込み管を装着した300mLの4つ口丸底フラスコに、式(6)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:40,000ダルトン、反応可能な官能基:二つの水酸基、10g、250μmol、水分値:1.1質量%、GPC多分散度:1.11)の粉粒体を仕込み、トルエン(70g、水分値:41ppm)を加えた後に水浴で40℃に加温して撹拌して溶解し、溶液を得た。
【0128】
得られた溶液に対して、トリエチルアミン(TEA、58mg、1150μmol)および塩化メタンスルホニル(MsCl、57mg、1000μmol)を加えた後、40℃、3時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(7)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た。
【0129】
得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が25%と非常に低いことを確認した。GPC測定し、多分散度が1.11であることを確認した。水分測定し、水分値が0.2質量%であることを確認した。
【0130】
<比較例2>
機械式撹拌装置、ジムロート冷却管、温度計および窒素吹込み管を装着した100mLの3つ口丸底フラスコに、式(6)で示されるポリエチレングリコール化合物(Mw:40,000ダルトン、反応可能な官能基:二つの水酸基、10g、250μmol、水分値:0.8質量%、GPC多分散度:1.06)の粉粒体を仕込み、ジクロロメタン(72g、水分値:104ppm)を加えた後に25℃で撹拌して溶解し、溶液を得た。
【0131】
得られた溶液に対して、活性化剤である炭酸ジスクシンイミジル(DSC、643mg、2510μmol)と塩基触媒であるピリジン(303μL、3750μmol)を加えた後、25℃、18時間、窒素下で反応させた。反応後の溶液に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で混合し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析を行った後、吸引ろ過して結晶を得た。得られた結晶に酢酸エチル(500g)を加えて40℃で溶解し、ヘキサン(500g)を添加して25℃で晶析する操作を繰り返し行い、低分子不純物を除去した後、減圧乾燥して、式(14)で示される活性化ポリエチレングリコール誘導体を得た。
【0132】
得られた活性化ポリエチレングリコール誘導体を、積算回数256回で1H-NMR測定し、活性化率が61%と非常に低いことを確認した。GPC測定し、多分散度が1.06であることを確認した。水分測定し、水分値が0・3質量%であることを確認した。
【0133】
表3には、実施例1と比較例1および実施例6と比較例2の結果を示す。表3に示すように、比較例1および2では、活性化ポリエチレングリコール誘導体の活性化率が顕著に低下することが示された。
【0134】
【表3】
【0135】
また、実施例1~11の結果を表4に示す。表4に示すように、本発明により、各反応条件においても多分散度を上昇させることなく、活性化純度の高いポリエチレングリコール誘導体を製造することができた。
【0136】
【表4】
図1