(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144236
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】部隊指揮支援装置、部隊指揮支援方法、部隊指揮支援プログラム、部隊指揮支援システム
(51)【国際特許分類】
F41H 13/00 20060101AFI20241003BHJP
F41H 11/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F41H13/00
F41H11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043263
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2023051203
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】山口 紘生
(72)【発明者】
【氏名】羽藤 淳平
(72)【発明者】
【氏名】山本 麻美子
(57)【要約】
【課題】我の目標となる相手方の移動体である目標移動体の位置が特定できない任意の時間における部隊の待機エリアを算出する。
【解決手段】本開示の部隊指揮支援装置は、既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報300に基づき、前記目標移動体存在圏情報300が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置11と、前記演算装置11が決定した部隊の配置を出力する出力装置14と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて、部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、
前記演算装置が決定した部隊の配置を出力する出力装置と、
を備える部隊指揮支援装置。
【請求項2】
前記所定時間が、作戦行動を指示する対処命令までに要する最大の時間である命令発令想定時間であり、前記命令発令想定時間を分割した時間ごとに前記待機エリアが導出される、
請求項1に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項3】
前記出力装置が、前記命令発令想定時間を分割した時間ごとに導出された前記待機エリアをそれぞれ表示する、請求項2に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項4】
前記演算装置が、前記既知の目標移動体位置から、前記目標移動体の予想目標地点へ向かう方向に基づいて前記目標移動体存在圏を導出する、
請求項1に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項5】
前記演算装置が、前記待機エリア導出の際の制約条件である対処条件を満たすように、 前記待機エリアの候補領域である待機エリア候補を算出する、
請求項1に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項6】
前記対処条件が、前記待機エリアのとり得る領域を指定するものである、
請求項5に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項7】
前記対処条件が、その示す範囲に目標移動体が存在する場合に部隊が当該目標移動体を対処するよう定める対処範囲を指定するものである、
請求項5に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項8】
前記演算装置が、前記待機エリアの候補領域である待機エリア候補から少なくとも1つの待機エリアを選定する基準である待機エリア導出基準を満たすように前記待機エリアを導出する、
請求項1に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項9】
前記演算装置が、ユーザにより定められた前記待機エリア導出基準の優先順位に従って前記待機エリア導出基準を適用し、前記待機エリアを導出する、
請求項8に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項10】
入力装置をさらに有し、
前記演算装置によって用いる前記待機エリア導出基準の数を前記入力装置によって指定した数とする、請求項8に記載の部隊指揮支援装置。
【請求項11】
既知の目標移動体位置に基づき、前記目標移動体位置が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する、部隊指揮支援方法。
【請求項12】
既知の目標移動体位置に基づき、前記目標移動体位置が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する、部隊指揮支援プログラム。
【請求項13】
既知の目標移動体位置に基づき、前記目標移動体位置が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、
前記演算装置が決定した部隊の配置をユーザに通知する出力装置と、
を備える部隊指揮支援システム。
【請求項14】
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、
前記演算装置が決定した部隊の配置を出力する出力装置と、
を備える部隊指揮支援装置。
【請求項15】
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出する目標移動体存在圏導出部と、
前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する待機エリア導出部と、
を備える部隊指揮支援プログラム。
【請求項16】
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出する目標移動体存在圏導出工程と、
前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する待機エリア導出工程と、
を備える部隊指揮支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標移動体に対し、部隊の配置、行動エリアを導出する部隊指揮支援装置、部隊指揮支援方法、部隊指揮支援プログラム及びそれらを利用する部隊指揮支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、比較的長い時間をかけて我側に向かってくる移動体機器に対して、対処のための能力、移動体の算出及び配置を自動的に決定するシステムが開発された。特許文献1では、相手方の能力に対して対抗しうる部隊の能力の算出、目標移動体の進行に対する部隊の能力及び部隊の配置の決定を行う装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、相手方の移動体(以下、目標移動体)の位置はユーザ又は何らかの手段により座標として設定するものとしており、目標移動体の正確な位置が把握できない場合は開示されていない。さらに、目標移動体の位置を把握できるタイミングが不明のため、対処命令がいつ発令されるか不明の状況で待機しなければならない場合は開示されていない。
【0005】
ところが近年、ステルス能力を有する装備品やレーダ、センサ、通信を妨害する機器の開発・実用が進み、目標移動体の位置を正確に把握することが困難になりつつある。これは特許文献1には開示されていない状況である。このような状況では、目標移動体の位置を目標移動体が存在すると推定される領域である存在圏として把握する必要があるため、存在圏内の任意の座標に潜在する目標移動体に対しての対処は困難である。その後、何らかのタイミングで目標移動体の座標が顕在化できれば対処可能となるが、速やかに対処できなければ再び潜在化し対処困難となる。
【0006】
よって、存在圏で把握する目標移動体の対処を行う場合、存在圏の任意点に対して部隊として速やかに対処できる様、部隊の各機器を待機させられるかが、対処の成否を左右すると言える。一方で、そのような待機エリアを導出するためには各部隊の保有武器や射程、目標移動体の想定される保有武器や射程などから相手に与える損害を最大化しつつ、部隊の損害を最小化するといった調整が必要であり、それらを手作業かつ高い精度で立案するのは困難である。それは経験を有する乗員であっても多くの時間を必要とするという問題がある。
【0007】
以上の事より、本発明の目的は存在圏で位置を把握する目標移動体に対して、任意のタイミングで最大限、存在圏の任意点を対処可能な様に、部隊の各機器の活動すべきエリアを特定し、各機器の行動要領を立案、伝達する部隊指揮支援システム、部隊指揮支援装置、部隊指揮支援方法、部隊指揮支援プログラムを提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の部隊指揮支援装置は、既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、前記演算装置が決定した部隊の配置を出力する出力装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の部隊指揮支援システム装置は、我の目標となる相手方の移動体である目標移動体の位置が特定できない任意の時間における部隊の待機エリアを算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1における部隊指揮支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態1における部隊指揮支援装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】目標移動体存在圏情報の一例を示す図である。
【
図9】実施の形態1における部隊指揮支援装置のブロック図である。
【
図10】部隊指揮支援装置の導出条件入力部の出力の一例を示す図である。
【
図11】目標移動体存在圏導出部によって導出された目標移動体存在圏の一例を示す図である。
【
図12】目標移動体存在圏導出部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】部隊指揮支援装置に入力された時間関係の一例を示す図である。
【
図14】部隊指揮支援装置によって導出された目標移動体存在圏の時刻ごとの変化の一例を示す図である。
【
図15】部隊指揮支援装置によって導出された待機エリアの一例を示す図である。
【
図16】部隊指揮支援装置によって導出された待機エリア及び目標移動体存在圏の時刻による変化の一例を示す図である。
【
図17】待機エリア導出部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図18】実施の形態2における部隊指揮支援システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図19】実施の形態3における方針情報の一例を示す図である。
【
図20】実施の形態3における目標移動体存在圏導出部の処理の一例を示す図である。
【
図21】実施の形態3における目標移動体存在圏の時刻による変化の一例を示す図である。
【
図22】実施の形態3における待機エリア導出部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称および機能も同一または同様のものとする。よって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
実施の形態1における部隊指揮支援システムについて、
図1を用いて説明する。
図1は本発明による部隊指揮支援システムの一例を示している。部隊指揮支援システムは、送受信装置4を介して、指揮系統において部隊指揮支援装置を搭載した装置搭載ビークル1の上位である上位ビークル2及び指揮系統において下位である下位ビークル3と、指示及び情報の送受信が可能である。部隊指揮支援装置は、上位ビークル2または下位ビークル3より取得した情報を処理することで待機エリア5を導出し、導出結果を上位ビークル2または下位ビークル3に送信する。
【0013】
一例として、上位ビークル2から送信される情報には、対処目標の位置、速度、対処方法等の情報が含まれる。下位ビークル3から送信される情報には、下位ビークル3自身の位置、速度、保有機器及び周辺の情報等が含まれる。ここで上位ビークル2は、移動体に限定しない。例えば、上位ビークル2は基地司令部等の施設であってもよい。
【0014】
装置搭載ビークル1、上位ビークル2及び下位ビークル3は、例えば、車両、艦船、航空機、その他の乗物又は輸送手段である。上位ビークル2は、我の目標となる相手方の移動体である目標移動体への対処を目的として、装置ビークル1及び下位ビークル3を指揮統制する上位部隊に属する。装置搭載ビークル1及び下位ビークル3は、上位部隊からの指示に従って移動し、対処命令に基づいて作戦行動を実施する下位部隊に属する。
【0015】
上位部隊または下位部隊に属する部隊員は、装置搭載ビークル1、上位ビークル2若しくは下位ビークル3に搭乗する、随伴行動する、または装置搭載ビークル1、上位ビークル2若しくは下位ビークル3を取り扱う若しくは操作する。
【0016】
さらに、下位ビークル3は、装置搭載ビークル1に搭乗する部隊員または部隊指揮支援装置からの指示に従って移動し、作戦行動を実施する。以下、装置搭載ビークル1及び/または下位ビークル3を総称して、部隊と呼ぶ。
【0017】
図2は本発明による部隊指揮支援装置の構成の一例を示している。部隊指揮支援装置は、バス15を介して接続された演算装置11、メモリ12、入力装置13、出力装置14及び記憶装置16を具備する。
【0018】
演算装置11は、記憶装置16に保存されている部隊指揮支援プログラム100等のプログラムを実行するための装置である。
【0019】
メモリ12は、演算装置11で実行するプログラムや演算装置11で使用するデータ、演算装置11から出力されたデータ等を一時的に記憶する装置である。
【0020】
入力装置13は、キーボードやマウス、タッチパネル等であり、ユーザによって操作されることで、演算装置11や記憶装置16にデータを出力する。
【0021】
出力装置14は、演算装置11から出力されるデータをユーザが視認可能な形で出力する。出力装置14は、例えば、ディスプレイまたはタッチパネルである。出力装置14がタッチパネルである場合、入力装置13と同一のものであっても良い。また、入力装置13及び出力装置14は、装置搭載ビークル1に備えられたディスプレイまたはタッチパネルにより代替しても良い。
【0022】
記憶装置16は、部隊指揮支援プログラム100、演算に必要とする各種データ及び入力装置13により出力された情報を保存する外部記憶装置である。記憶装置16には、部隊指揮支援プログラム100、方針情報200、目標移動体存在圏情報300、目標移動体諸元情報400、部隊位置情報500、部隊諸元情報600、地理情報700が記憶される。
【0023】
部隊指揮支援プログラム100は、記憶装置16内の各種データを読み取り、待機エリア導出基準値801及び待機エリア5を導出する。
【0024】
ここで、待機エリア5とは、部隊の配置を示す領域であり、部隊が目標移動体の将来の移動に備えて部隊を配置し待機する領域である。待機エリア5は、装置搭載ビークル1又は下位ビークル3(以下、総称し部隊と呼ぶ)に対して、1つ又は複数導出される。また、当該配置は単一の座標または複数の座標により決定される1つ若しくは複数の閉じられた領域であっても良い。
【0025】
待機エリア導出基準値801は、後述する待機エリア導出部103において待機エリア5が導出する際に算出される待機エリア導出基準204の指標である。
【0026】
方針情報200は、待機エリア5を導出する条件を含む。
図3には方針情報200の一例を示す。方針情報200は対処目標201、対処内容202、命令発令想定時間203、待機エリア導出基準204を含む。対処条件205、待機エリア導出分割数206といった情報を含んでもよい。
【0027】
対処目標201は、対処目標とする目標移動体を特定する情報を含む。
【0028】
対処内容202は、対処目標201に対する対処手段、発射数、対処猶予時間を含む。対処手段は、砲、飛しょう体、レーダ等の対処に用いる装備である。発射数は、目標移動体に対して発射する砲弾、飛しょう体、EW等の数である。対処猶予時間は、対処命令発令から部隊が対処を開始するまでにかかって構わない最長の時間である。
【0029】
対処目標とする目標移動体を特定する情報とは、例えば、部隊の対処する目標移動体の識別IDである。また、対処内容202は、対処目標201と当該対処目標201に対する対抗手段、発射数、または対処猶予時間との対応を示す情報である。
【0030】
命令発令想定時間203は、ある時刻から一定の時間であり、その時間内のある時点において必ず対処命令が発令されると想定される時間である。ある時刻とは、例えば現在時刻や目標移動体存在圏が後述するエリア境界情報703で設定されたエリアと接する時刻等、その時の状況に応じて装置搭載ビークル1に搭乗する部隊員、その他の部隊指揮支援装置のユーザ(以下、ユーザ)が設定する時刻である。
【0031】
ここで、目標移動体存在圏とは、目標移動体存在圏情報300が得られた時刻以後の所定時間内に、目標移動体が存在可能な領域である。本実施の形態1において、所定時間とは、目標移動体存在圏情報300が得られた時刻から部隊指揮支援プログラム100の動作時刻までの時間(以下、経過時間)及び命令発令想定時間203の和である。
【0032】
なお、所定時間の起点は任意の時刻であっても良い。また、所定時間は、経過時間、命令発令想定時間203、及び対処猶予時間の和であっても良い。
【0033】
待機エリア導出基準204は、待機エリア5を導出する際の指標となる情報を含む。指標は、例えば、部隊の対処可能範囲と対処目標201である目標移動体の存在圏の重なる面積や割合、部隊間の距離、目標移動体の影響範囲内の部隊の数等があり、指標は一つであっても複数であってもよい。また、それぞれの指標に対してユーザの重視度を重みとして設定してもよい。
【0034】
ここで、対処可能範囲とは、待機エリア5に装置搭載ビークル1または下位ビークル3が配置され、対処内容202で定められた対処手段を実施する場合に、部隊が当該対処手段の影響を及ぼすことができる範囲である。当該範囲は、部隊指揮支援プログラム100の過程で、部隊諸元情報600を用いて算出される。
【0035】
待機エリア導出基準204は、部隊指揮支援プログラム100の待機エリア導出部103が、少なくとも1つの待機エリアを選定する基準である。本実施の形態1の部隊指揮支援システムにおいて、待機エリア導出基準204は、ある指標を最大化する、または最小化するよう定められる。
【0036】
対処条件205は、待機エリア5を算出する際に制約となる情報を含む。対処条件205は、目標移動体存在圏の一部を対処するように制約してもよいし、部隊の移動できる範囲を制約してもよい。これら対処条件205は後述する地理情報700と組み合わせて使用してもよい。
【0037】
ここで、待機エリア5を算出する際に制約となる情報とは、部隊指揮支援プログラム100が待機エリア導出基準204の指標の算出に用いる制約条件である。
【0038】
例えば、目標移動体存在圏の一部(以下、対処範囲と呼ぶ)を対処するよう制約する場合について説明する。対処条件205は、待機エリア導出基準204の指標のうち、部隊の対処可能範囲と対処目標201である目標移動体存在圏の重なる面積の導出において、対処範囲に含まれる部分を目標移動体存在圏の範囲として制約する。また、後述の待機エリア導出部103は、対処条件205を満たす目標移動体存在圏を用いて、待機エリア導出基準204の指標である当該面積を算出する。
【0039】
また、部隊の移動できる範囲とは、待機エリア5のとりうる領域である。本実施の形態において、対処条件205として部隊の移動できる範囲が設定された場合、後述の待機エリア導出部103は、当該範囲内の待機エリア5について、待機エリア導出基準204の指標を算出する。
【0040】
対処条件205を地理情報700と組み合わせて使用する場合、対処条件205は、例えば、対処範囲を地理情報700のエリア境界情報703に記録された領海にあたる範囲とすることとしても良い。
【0041】
待機エリア導出分割数206は、命令発令想定時間203を一定間隔ごとに分割する数である。待機エリア導出分割数206が設定された場合は、部隊指揮支援プログラム100は、待機エリア導出分割数206に従って分割した分割時間における待機エリア5を導出する。
【0042】
命令発令想定時間203が大きい場合、命令発令想定時間203の始めの時刻と終わりの時刻での目標移動体存在圏の差分が大きくなる。そのため、命令発令想定時間203の始めの時刻では考慮しなくてもよい目標移動体存在圏まで考慮して待機エリア5を算出することになり、目標移動体の位置によっては対処できない可能性がある。
【0043】
待機エリア導出分割数206を設定することは、命令発令想定時間203を分割し、時刻による目標移動体存在圏の差分を小さくし、目標移動体を対処できる可能性を高める利点がある。
【0044】
目標移動体存在圏情報300は、目標移動体の存在圏を導出するために必要な情報を含む。
図4に目標移動体存在圏情報300の一例を示す。
【0045】
過去観測時刻301は、最後に目標移動体の位置を観測した時刻である。過去観測位置302は、過去観測時刻301における目標移動体の位置である。過去観測移動情報303は、過去観測時刻301における目標移動体の移動方向及び移動速度である。
【0046】
後述する部隊指揮支援プログラム100の目標移動体存在圏導出部102は、これら目標移動体存在圏情報300を基に目標移動体の存在圏を導出する。目標移動体存在圏情報300の設定後に再度目標移動体を発見した場合、これらの値の更新の後に、目標移動体存在圏導出部102は、目標移動体の存在圏を更新してもよい。
【0047】
目標移動体諸元情報400は、目標移動体の脅威度を特定する情報を含む。
図5に目標移動体諸元情報400の一例を示す。本実施の形態1の部隊指揮支援システムにおいて、目標移動体諸元情報400は、目標移動体能力情報401を有する。
【0048】
目標移動体能力情報401は、少なくとも、目標移動体の最大移動速度または目標移動体の装備品の性能を含む。また、目標移動体能力情報401には、例えば、目標移動体の保有する飛しょう体の種類やその性能、数(以下、総称して能力)といったものが含まれる。また、目標移動体能力情報401は、目標移動体の種別または識別番号と、能力との対応に関する情報を含んでもよい。
【0049】
部隊位置情報500は、通信等の情報共有手段である送受信装置4により取得した部隊の最新の位置情報を含む。
図6に部隊位置情報500の一例を示す。部隊現在座標501は部隊の最新の位置情報であり、対処に参加する部隊が複数の場合は部隊の数に応じた位置情報を含む。
【0050】
部隊諸元情報600は、部隊の能力や装備品を特定する情報を含む。
図7に部隊諸元情報600の一例を示す。部隊能力情報601は、少なくとも、部隊の最大移動速度や部隊の装備品の性能(以下、能力)を含む。また、部隊能力情報601は、部隊の種別または識別番号と、能力との対応に関する情報を含んでもよい。
【0051】
地理情報700は、部隊の移動する領域の地理的情報である。地理情報700は、目標移動体存在圏や待機エリア5の導出、装備品の使用に関係する情報を含む。
図8に地理情報700の一例を示す。地形情報701は、地形図または海図及び当該地形図または海図上で、部隊の移動及び装備品の使用に影響しうる情報を含む。
【0052】
気象情報702は、地形情報701の示す領域における、天候、風浪等の部隊の移動及び装備品の使用に影響しうる情報を含む。
【0053】
また、地理情報700は、エリア境界情報703を含んでもよい。エリア境界情報703は、目標移動体側と部隊側のエリアの境界となる情報である。例として、領海、経済水域等があり、ユーザの任意に設定できる。
【0054】
ここで、部隊の移動及び装備品の使用に影響しうる情報とは、例えば、陸地等が存在する、若しくは風浪により、部隊が通過できない領域を示す情報である。また、当該情報は、例えば、対処内容202のうち特定の対処手段を用いない領域であってもよい。
【0055】
その他、地形情報701は、目標移動体の移動における予想到達地点の情報を含んでいても良い。
【0056】
次に、部隊指揮支援装置の動作の詳細について、
図9~
図16を参照し説明する。実施の形態1では、海上において、部隊エリアに侵入する艦船に対して待機エリア5を導出する。部隊エリアとは、例えば、エリア境界情報703で示される我側の領域である。
【0057】
図9は、本実施の形態1における部隊指揮支援プログラム100のブロック図の一例である。部隊指揮支援プログラム100は、導出条件入力部101、目標移動体存在圏導出部102、待機エリア導出部103の3つの機能ブロックから構成され、順に動作する。
【0058】
ユーザは部隊指揮支援装置を使用し、部隊指揮支援プログラム100への入力となる導出条件を設定する。導出条件は方針情報200、目標移動体存在圏情報300、目標移動体諸元情報400、部隊位置情報500、部隊諸元情報600、地理情報700のことである。導出条件はユーザが設定してもよいし、センサ等の外部機器から得た情報に基づいて、演算装置11が設定してもよい。出力装置14による出力は待機エリア5が基本ではあるが、待機エリア導出基準値801も出力してもよい。
【0059】
導出条件入力部101では、設定された導出条件を受け取り目標移動体存在圏導出部102に入力する。その際に、導出条件を
図10に示すように視認可能な形で、出力装置14に出力するとよい。また、これ以降の機能ブロックにおいても
図11、
図15または
図16に示すように、導出した情報を視認可能な形で出力するとよい。
【0060】
また、出力装置14は、地理情報700、その他の導出条件を出力しても良い。また、導出した情報とは、目標移動体存在圏、待機エリア5、及び待機エリア導出基準値801である。
【0061】
図10は装置搭載ビークル1または下位ビークル3の総数が3隻であり、エリア境界情報703(図中、符号23)を設定した場合の出力例である。導出条件入力部101は、部隊位置情報500から部隊の座標を取得し、地理情報700から取得した地図画像上に部隊20-1、部隊20-2、部隊20-3の様に部隊の位置を、出力装置14に出力する。
【0062】
また、導出条件入力部101は、目標移動体存在圏情報300から過去の目標移動体の座標及び目標移動体の移動方向を取得し、目標移動体の過去位置21の様に目標移動体の過去位置を、移動方向22の様に移動方向を、出力装置14に出力する。さらに、導出条件入力部101は、地理情報700内のエリア境界情報703から取得したエリア境界をエリア境界23の様に、出力装置14に出力する。
【0063】
目標移動体存在圏導出部102では、既知の目標移動体存在圏情報300を基に目標移動体存在圏を導出する。目標移動体存在圏の算出方法は特に指定はなく、目標移動体存在圏情報300、その他の導出条件を使用する方法であっても良い。例えば、対象の過去観測時刻301から現在時刻までの時間と過去観測移動情報303の移動速度と移動方向に基づいて、一定の移動方向の変動を考慮して目標移動体存在圏を求めてもよい。出力装置14による目標移動体存在圏の出力の一例を
図11に示す。
【0064】
本実施の形態1における目標移動体存在圏導出部102の処理の一例を
図12のフローチャートを用いて説明する。目標移動体存在圏導出部102は、S1にて待機エリア導出分割数206が設定されているか確認した後、待機エリア導出分割数206が設定されていない場合、S2にて目標移動体存在圏を導出する。この時の目標移動体存在圏は命令発令想定時間203内のどの時刻のものでもよい。具体例として、ここでは、目標移動体存在圏導出部102は、命令発令想定時間203の最終時刻での目標移動体存在圏を導出する。
【0065】
待機エリア導出分割数206が設定されている場合は、目標移動体存在圏導出部102は、S3にて命令発令想定時間203を待機エリア導出分割数206に従って複数の分割時間に均等に分割する。
図13は待機エリア導出分割数206を3に設定した例で、分割時間25-1、分割時間25-2、分割時間25-3の分割時間に命令発令想定時間203を3等分している。
図13に示すように、対処命令発令時刻26が命令発令想定時間203内にあった場合を想定している。また、対処命令発令時刻26から一定時間が、対処猶予時間27である。
【0066】
その後、目標移動体存在圏導出部102は、S4にて各分割時間における目標移動体存在圏を導出する。目標移動体存在圏は、
図14に示すように分割時間25-1~分割時間25-3の各分割時間によって異なる。この場合も、目標移動体存在圏は各分割時間内のどの時刻のものでもよい。S5では、目標移動体存在圏導出部102は、S2又はS4にて導出した目標移動体存在圏を出力装置14に出力する。
【0067】
待機エリア導出部103では、導出条件及び目標移動体存在圏を基に、待機エリア5及び待機エリア導出基準値801を導出する。具体的に、対処条件205によって部隊エリア内の目標移動体存在圏のみを対処範囲と設定した場合のイメージを
図15に示す。目標移動体存在圏のうち、太線で囲まれた部分が対処範囲28である。待機エリア導出部103は、当該対処範囲と目標移動体存在圏とが重なる対処目標201のみを対処することを前提に、待機エリア5を導出する。
【0068】
図15に示すように、待機エリア5は、部隊20-1~20-3ごとに待機エリア30-1~30-3の様に導出される。位置情報が座標で表される場合、各部隊の待機エリア5は座標ではなく複数の座標を含むエリアとして導出される。位置情報がグリッドで表される場合であっても、待機エリア5は、各部隊に1つではなく複数のグリッドが割り当てられる場合がある。
【0069】
待機エリア導出分割数206が設定されている場合は、
図16に示すように分割時間ごとに目標移動体存在圏24-1、目標移動体存在圏24-2、目標移動体存在圏24-3の様に目標移動体存在圏は異なり、待機エリア5の位置、大きさも待機エリア30-1~30-3、待機エリア31-1~31-3、待機エリア32-1~32-3の様に異なる。
【0070】
図13中の分割時間25-1に対応する待機エリア5は、
図16中の待機エリア30-1、待機エリア30-2、及び待機エリア30-3である。また、
図13中の分割時間25-2では、
図16における待機エリア30-1は待機エリア30-2に移動する。同様に、待機エリア31-1及び待機エリア32-1は、分割時間25-2では、それぞれ待機エリア31-2、待機エリア32-2に移動する。
【0071】
待機エリア導出基準値801については、方針情報200で設定した待機エリア導出基準204に基づき待機エリア5に対して算出される。
【0072】
例えば、待機エリア導出基準204として部隊の対処可能範囲と目標移動体の存在圏との重なる面積が設定された場合、待機エリア導出部103は、部隊諸元情報600にある当該部隊の保有する飛しょう体の射程及び待機エリア5を基に待機エリア5に部隊が配置された場合の部隊の対処可能範囲を算出し、当該対処可能範囲と目標移動体存在圏との重なる面積を導出する。当該重なる面積の値が、待機エリア導出基準値801である。
【0073】
待機エリア導出部103で使用するアルゴリズムは特に指定しない。ここから、本実施の形態1における待機エリア導出部103の動作を説明する。本実施の形態1における待機エリア導出部103は、遺伝的アルゴリズムに代表される最適化アルゴリズムを用いる。
【0074】
待機エリア導出部103のフローチャートを
図16に示す。S6では、待機エリア導出部103は、対処条件205を満たす複数の待機エリア候補を導出する。S7では、待機エリア導出部103は、導出した待機エリア候補に対して待機エリア導出基準204を適用して、待機エリア導出基準値801を算出する。S8では、待機エリア導出部103は、待機エリア候補のうち待機エリア導出基準値801が最も高い待機エリア候補を選択する。
【0075】
S9では、待機エリア導出部103は、終了条件を満たすかを確認する。終了条件を満たさなかった場合、再度、S6~S9を実施する。S9にて終了条件を満たすまでS6~S9を繰り返し実施し、終了条件を満たした場合、待機エリア導出部103は、待機エリア導出基準値801が最も高い待機エリア候補を、待機エリア5として出力する。
【0076】
ここで、待機エリア導出分割数206が設定されている場合は、待機エリア導出部103は、分割時間に応じた待機エリア5を出力する。また、待機エリア導出部103は、待機エリア5と共に待機エリア導出基準値801も出力してよい。待機エリア導出基準204が複数設定されている場合は、待機エリア導出部103は、各待機エリア導出基準値801の合計が最も高い待機エリア5を出力する。
【0077】
部隊指揮支援プログラム100への入力となる導出条件と同時にユーザによる待機エリア導出基準204の重みづけが設定されてもよく、その場合は、待機エリア導出部103は、重みづけに従い待機エリア導出基準値801の合計が最も高い待機エリア5を出力する。
【0078】
待機エリア導出部103は、待機エリア5の出力の際、待機エリア導出基準値801の高い物からユーザの指定した件数だけ出力してもよい。以上の処理によって、本発明の部隊指揮支援装置は、任意のタイミングで最大限、目標移動体存在圏内の任意点を対処可能な部隊の待機エリア5を決定する。
【0079】
このように、既知の目標移動体存在圏情報300に基づき、当該目標移動体存在圏情報300が得られた時刻以後の所定時間内に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、当該目標移動体存在圏に基づいて部隊の配置を示す情報である待機エリア5を導出する演算装置11と、演算装置11が決定した部隊の配置をユーザに通知する出力装置14と、を備える部隊指揮支援システムにあっては、部隊指揮支援プログラム100の目標移動体存在圏導出部102が、過去観測位置302及び過去観測移動情報303に基づき、目標移動体存在圏を導出する。
【0080】
また、導出された目標移動体存在圏と、その他の記憶装置16に記憶された情報とを組み合わせて、待機エリア5が導出される。これにより、実施の形態1における部隊指揮支援システムは、目標移動体の位置が特定できない任意の時間における部隊の配置、すなわち待機エリア5を決定することができる効果を奏する。
【0081】
加えて待機エリア5を決定する際、部隊指揮支援プログラム100は、待機エリア導出基準204の指標が最大となる待機エリア5を選定する。また、待機エリア導出基準204は、目標移動体能力情報401または部隊能力情報601を用いて評価される。
【0082】
これにより、部隊指揮支援システムは、目標移動体存在圏内の任意の地点へ目標移動体が存在した場合に目標移動体から部隊へ及ぼされる影響と、部隊から目標移動体へ及ぼすことができる影響とを反映して待機エリア5を決定することができる。ひいては、目標移動体から部隊へ及ぼされる影響よりも、部隊から目標移動体へ及ぼすことができる影響を大きくする、又は目標移動体から部隊へ及ぼす影響がないように、部隊の配置、すなわち待機エリア5を決定することができる。
【0083】
さらに、対処条件205によって対処範囲が定められた場合、待機エリア導出基準204の指標は、対処範囲内の対処目標201を対象として算出される。これにより、部隊指揮支援システムは、対処範囲が設定されていない場合に比べて、演算装置11による計算の負担を少なくすることができる。加えて、部隊指揮支援システムは、部隊の移動する領域を限定することで部隊の移動の負担を少なくし、ひいては、部隊の移動する時間に目標移動体が移動する距離を少なくすることができる。
【0084】
また、部隊指揮支援システムは、命令発令想定時間203を設定し、当該命令発令想定時間203における目標移動体存在圏を導出する。そして、当該目標移動体存在圏に基づいて待機エリア5を導出する。これにより、装置ビークル1及び下位ビークル3への作戦行動への命令が命令発令想定時間203内の任意の時刻に行われる場合であって、当該時刻における目標移動体の位置が分からない場合であっても、作戦行動を実施可能とする待機エリア5を導出することができる効果を奏する。
【0085】
その他、部隊指揮支援システムは、待機エリア導出分割数206を設定可能である。待機エリア導出分割数206を設定した場合、分割された命令発令想定時間203の始点及び終点での目標移動体存在圏の差分を小さくし、部隊指揮支援プログラム100が導出する待機エリア5における対処可能範囲内に目標移動体が存在する可能性を高めることができる。
【0086】
また、部隊指揮支援システムは、命令発令想定時間203の起点を任意の時刻に設定することができる。これにより、目標移動体存在圏導出の対象とする時間を小さくし、演算装置11による計算量を少なくすることができる。
【0087】
加えて、地理情報700として部隊の移動及び装備品の使用に影響しうる情報を設定することで、部隊指揮支援システムは、部隊の保有機器の影響を及ぼしてはいけない場所を対処可能範囲から除くことができる。
【0088】
また、1つの下位ビークル3に対して複数の待機エリア5を導出する場合には、下位ビークル3の行動可能範囲が広がり、部隊指揮支援システムは、作戦行動の自由度を高めることができる効果を奏する。
【0089】
実施の形態2.
続いて、実施の形態2における部隊指揮支援システムを説明する。実施の形態2における部隊指揮支援システムの構成は、実施の形態1の部隊指揮支援システムと同様である。
【0090】
実施の形態2の部隊指揮支援システムの動作を、
図18に基づいて説明する。まず、ユーザは、入力装置13により、部隊指揮支援プログラム100への入力となる導出条件を設定する(STA1)。ここで、導出条件は、実施の形態1における部隊指揮支援システムと同様である。続いて、出力装置14は、当該導出条件及び/または待機エリア導出基準値801を出力する(STA2)。
【0091】
導出条件の設定により、または入力装置13を介したユーザの操作により、演算装置111は、部隊指揮支援プログラム100を起動する(STA3)。続いて、部隊指揮支援プログラム100導出条件入力部101、目標移動体存在圏導出部102、待機エリア導出部103が順に動作する(STA4)。
【0092】
まず、導出条件入力部101は、入力された導出条件を、出力装置14に出力する。ここで、出力例は、実施の形態1における
図10と同様である。次に、導出条件入力部101は、導出条件を目標移動体存在圏導出部102に入力する。
【0093】
続いて、目標移動体存在圏導出部102は、目標移動体存在圏情報300を基に目標移動体存在圏を導出する。目標移動体存在圏の導出方法は、実施の形態1における部隊指揮支援プログラム100と同様である。
【0094】
ここで、本実施の形態において、「対象の過去観測時刻301から現在時刻までの時間(すなわち、経過時間)と過去観測移動情報303の移動速度と移動方向に基づいて」とは、過去観測時刻301における過去観測位置302を中心として、経過時間及び命令発令想定時間203の和と移動速度とを乗じた距離を半径、当該移動方向の変動分を中心角とする扇形を算出することをいう。
【0095】
なお、移動速度と乗ずる距離は、経過時間、命令発令想定時間203、及び対処猶予時間の和であっても良い。また、地理情報700に予想目標地点が設定されている場合は、中心角は、当該地点へ向かう方向を含むよう目標移動体存在圏を導出してもよい。
【0096】
続いて、目標移動体存在圏導出部102は、出力装置14に目標移動体存在圏及び、目標移動体存在圏情報300、部隊位置情報500、地理情報700を出力する。出力装置14による出力の例は、実施の形態1における
図11と同様である。出力装置14は、
図11の情報に加えて、方針情報200、その他の導出条件を出力しても良い。その後、目標移動体存在圏導出部102は、待機エリア導出部103に、導出条件及び目標移動体存在圏を入力する。
【0097】
次に、待機エリア導出部103が、導出条件及び目標移動体存在圏を用いて待機エリア5を導出する。ここで、待機エリア5及び待機エリア導出基準値801の導出方法は、実施の形態1における部隊指揮支援システム同様に、遺伝的アルゴリズムを用いる。
【0098】
続いて、待機エリア導出部103は、待機エリア5及び待機エリア導出基準値801を出力装置14に出力する。出力装置14による出力例は、実施の形態1における
図15と同様である。
【0099】
以降、部隊指揮支援プログラム100は、ユーザが入力装置13を介してプログラム終了の操作を行うまでSTA2~STA4の動作を繰り返す(STA5)。
【0100】
このように構成された部隊指揮支援システムにあっても、実施の形態1における部隊指揮支援システムと同様に、目標移動体の位置が特定できない任意の時間における部隊の配置、すなわち待機エリア5を決定することができる効果を奏する。
【0101】
また、部隊指揮支援システムは、目標移動体存在圏の導出にあたり、地形情報701を用いる。地形情報701として目標移動体の予想目標地点が設定された場合、目標移動体存在圏を効率よく導出することができる。
【0102】
実施の形態3.
実施の形態3における部隊指揮支援システムを説明する。実施の形態3の部隊指揮支援システムは、記憶装置16に保存された方針情報200bが実施の形態1の方針情報200と異なる。実施の形態3の部隊指揮支援システムにおけるその他の構成は、実施の形態1の部隊指揮支援システムと同様である。
【0103】
図19は、方針情報200bの一例を示す図である。
図19において
図3と同一符号は、同一の又は相当する構成を示している。方針情報200bは、方針情報200と同様に待機エリア5を導出する条件を含む。また、方針情報200bは、意図情報207をさらに含んでいる。
【0104】
本実施の形態において待機エリア導出基準204bは、意図情報207に含まれる意図の候補ごとに設定される。すなわち、意図情報207に設定される全ての意図の候補に対して、それら意図の達成を阻止するための待機エリア導出基準204bが設定される。
【0105】
ここで、意図とは、目標移動体の具体的な行動を決定する指針であり、例として、ある地点への移動、部隊への攻撃、偵察が挙げられる。
【0106】
後述する部隊指揮支援プログラム100bは、目標移動体が意図情報207に含まれる意図に従う前提の下、目標移動体の存在圏及び目標移動体の意図を導出する。
【0107】
次に部隊指揮支援装置の動作の詳細について、
図20~
図22を参照し説明する。実施の形態3では、海上においてある意図に従って移動する艦船を含む目標移動体に対し、その意図の達成を阻止するための待機エリア5を導出する。
【0108】
本実施の形態の部隊指揮支援プログラム100bは、
図9の部隊指揮支援プログラム100の構成のうち目標移動体存在圏導出部102に代えて、目標移動体存在圏導出部102bを備える。その他の構成は、
図9に示す構成と同様である。
【0109】
また、部隊指揮支援プログラム100bの基本的な動作は、部隊指揮支援プログラム100の動作と同様である。目標移動体存在圏導出部102bは目標移動体の意図の推定及び将来の経路予測を実施し、目標移動体存在圏を導出する。以降、推定された意図を推定意図、予測された将来の経路を予測経路と呼ぶ。
【0110】
本実施の形態における目標移動体存在圏導出部102bの処理の一例を
図20のフローチャートを用いて説明する。目標移動体存在圏導出部102bは、S11にて、目標移動体存在圏情報300、部隊位置情報500及び地理情報700を用いて、意図情報207の中から当該目標移動体の意図を推定する。
【0111】
また、目標移動体存在圏導出部102bは、目標移動体存在圏情報300及び地理情報700に加えて推定意図を用いて将来の経路予測をし、推定意図及び予測経路を出力する。
【0112】
ここで、出力される推定意図は1つでもよいし複数でもよい。例えば、推定意図を1つ出力する場合は意図情報207に含まれる意図の候補のうち最も意図推定確率の高い意図を出力し、推定意図を複数出力する場合は意図情報207の全ての意図の候補とその意図推定確率を出力してもよい。
【0113】
ここで、意図推定確率とは、推定意図に係る推定の確からしさである。
【0114】
出力される予測経路は、推定意図に対して1つでもよいし、複数であってもよい。
【0115】
なお、意図の推定及び将来の経路予測に使用するアルゴリズムは特に指定しない。アルゴリズムとしては、例えば、マルコフ決定過程を用いる方法がある。
【0116】
次に、目標移動体存在圏導出部102bは、S12にて待機エリア導出分割数206が設定されているかを確認する。
【0117】
待機エリア導出分割数206が設定されていない場合、目標移動体存在圏導出部102bは、S13にて目標移動体存在圏を導出する。
【0118】
目標移動体存在圏の導出に際して、目標移動体存在圏導出部102bは、S11にて出力された推定意図及び予測経路を用いる。その他、方針情報200、目標移動体存在圏情報300、目標移動体諸元情報400、部隊位置情報500、部隊諸元情報600、地理情報700のうちいずれかをさらに用いても良い。
【0119】
また、この時、目標移動体存在圏導出部102bはS11で出力された推定意図ごとに目標移動体存在圏を導出する。例えば、推定意図として特定地点へ移動または部隊への攻撃が出力された場合、それぞれの意図に対する目標移動体存在圏を導出する。また、上述のように待機エリア導出分割数206が設定されていない場合は、目標移動体存在圏は命令発令想定時間203内のどの時刻のものでもよい。
【0120】
目標移動体存在圏の導出方法として、例えば、目標移動体が予測経路上を命令発令想定時間203内の任意の時刻移動した際に到達する位置を中心とした一定範囲内を目標移動体存在圏であるとして求める方法がある。なお、目標移動体存在圏を導出する方法は、上述のように推定意図及び予測経路を用いるものであれば、その他の方法であっても良い。本実施の形態では、実施の形態1と比較して、目標移動体存在圏の範囲を限定することが可能となる。
【0121】
S12にて待機エリア導出分割数206が設定されている場合は、目標移動体存在圏導出部102bは、S14にて、命令発令想定時間203を待機エリア導出分割数206により均等に分割する。
【0122】
その後、目標移動体存在圏導出部102bは、S15にて、各分割時間における目標移動体存在圏を導出する。この場合も、導出される目標移動体存在圏は各分割時間内のどの時刻のものでもよい。また、目標移動体存在圏の導出に用いる情報及び方法はS13と同様である。
【0123】
S16にて目標移動体存在圏導出部102bは、S13又はS15にて導出した目標移動体存在圏並びに推定意図及び予測経路を出力装置14に出力する。
【0124】
S12において待機エリア導出分割数206が設定されていた場合の目標移動体存在圏の導出例を、
図21に基づき説明する。
図21は目標移動体存在圏の変化の一例を示す図であり、待機エリア導出分割数206を3に設定した例である。
図21において、分割時間は、
図13における分割時間25-1~分割時間25-3である。また、ここでは、目標移動体存在圏導出部102bは、各分割時間の最終時刻による目標移動体存在圏を導出する。
【0125】
この例において、S11で出力された推定意図は、特定地点への移動及び部隊への攻撃とする。
図21中、目標移動体存在圏43-1~43-3は、特定地点42への移動を推定意図とした場合の目標移動体存在圏である。目標移動体存在圏44-1~44-3は、部隊20-5への攻撃を推定意図とした場合の目標移動体存在圏である。
【0126】
図21に示すように、推定意図のそれぞれに対して、分割時間25-1~分割時間25-3に対応した目標移動体存在圏43-1~43-3、44-1~44-3が導出される。
【0127】
続いて、待機エリア導出部103では、導出条件及び目標移動体存在圏を基に、待機エリア5及び待機エリア導出基準値801を導出する。処理の一例を
図22のフローチャートを用いて説明する。
【0128】
待機エリア導出部103は、S17にて、目標移動体存在圏導出部102bから入力された推定意図、予測経路及び目標移動体存在圏を基に、部隊の行動方針を選択する。部隊の行動方針は、例えば、推定意図への対処または推定意図の推定確度向上がある。ここで、推定確度の向上とは、意図推定確率の向上を指す。
【0129】
ここで、行動方針の選択はユーザが行ってもよいし、何らかのアルゴリズムを用いて選択してもよい。例えば、アルゴリズムを使用する場合、意図推定確率が閾値以上の推定意図がある場合は、そのうち最も意図推定確率の高い推定意図への対処を選択し、該当する推定意図がない場合は意図推定確度の向上を選択する。
【0130】
行動方針選択の具体例として、特定地点へ移動及び部隊への攻撃の推定意図が出力された場合、ユーザまたはシステムは推定意図への対処または推定意図の推定確度向上のどちらかを選択する。また、推定意図への対処を選択した場合、部隊への攻撃または特定地点へ移動のどちらの推定意図へ対処するかを選択する。これにより、行動方針として、目標移動体の特定の推定意図に対する対処もしくは意図推定確度の向上が選択される。
【0131】
S17にて推定意図確度向上を選択した場合は、S19A~S23Aの処理を行う。S19Aでは
図17に示すS6と同様に、対処条件205を満たす複数の待機エリア候補を導出する。
【0132】
S20Aでは、S19Aで導出した待機エリア候補に対してS11と同様の方法により再度意図推定を実施する。このとき、意図推定に用いる目標移動体存在圏情報300は、再推定する時刻までに更新された情報を用いても良い。また、S11にて用いた部隊位置情報500を、待機エリア候補の位置情報に代えて用いる。
【0133】
S21Aでは、S19Aで導出した待機エリア候補のうち予め設定された選択条件を満たしたものを選択する。例えば、選択条件には、S20Aで再度推定された意図のうち少なくとも1つの意図推定確率が閾値以上または閾値以下になる等がある。ここで選択される待機エリア候補は複数であってもよい。
【0134】
S22Aでは、終了条件を満たすかを確認する。終了条件を満たさなかった場合、再度、S19A~S21Aを実施する。S19Aにて終了条件を満たすまでS19A~S21Aを繰り返し実施し、終了条件を満たした場合、その時点の待機エリア候補を待機エリア5として導出する。
【0135】
S17にて推定意図への対処を選択した場合は、S19B~S23Bの処理を行う。S19B~S23Bの処理は、実施の形態1のS6からS10と同様であるが、S20Bにて使用する待機エリア導出基準204bは、S17にて対処すると選択した推定意図に対応した待機エリア導出基準204bである。例えば、S17にて推定意図のうち特定地点への移動に対する対処を選択した場合、待機エリア導出基準204bのうち特定地点への移動に対応した待機エリア導出基準204bを使用する。
【0136】
このように、既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報300に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報300が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリア5を導出する演算装置11と、前記演算装置11が決定した部隊の配置を出力する出力装置14と、を備える部隊指揮支援装置にあっては、目標移動体の意図の推定及び将来の経路予測を実施する。推定意図を反映した予測経路上の目標移動体存在圏を導出することで、その範囲を限定できる。
【0137】
また、推定意図に対応した目標移動体存在圏を導出できるので、目標移動体存在圏導出の精度が向上する。これにより、目標移動体への対処成功率の向上が可能となる。
【0138】
さらに、目標移動体の意図ごとに待機エリア導出基準204bを設定するため、目標移動体の意図に対して最も適切な対処行動が可能となる。
【0139】
なお、本明細書で説明した上記の各実施の形態では、各構成要素の相対的配置関係について記載している場合があるが、これらは全ての局面において例示であって、各実施の形態が記載されたものに限られることはない。よって、例示されていない無数の変形例が、各実施の形態の範囲内において想定される。例えば、任意の構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの実施形態における少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれる。即ち、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0140】
また、矛盾が生じない限り、上記各実施形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていても良い。さらに、各構成要素は概念的な単位であって、1つの構成要素が複数の構造物で構成される場合、および1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合を含む。
【0141】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて掲載する。
【0142】
(付記1)
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、
前記演算装置が決定した部隊の配置を出力する出力装置と、
を備える部隊指揮支援装置。
(付記2)
前記所定時間が、作戦行動を指示する対処命令までに要する最大の時間である命令発令想定時間であり、前記命令発令想定時間を分割した時間ごとに前記待機エリアが導出される、
付記1に記載の部隊指揮支援装置。
(付記3)
前記出力装置が、前記命令発令想定時間を分割した時間ごとに導出された前記待機エリアをそれぞれ表示する、付記2に記載の部隊指揮支援装置。
(付記4)
前記演算装置が、前記既知の目標移動体位置から、前記目標移動体の予想目標地点へ向かう方向に基づいて前記目標移動体存在圏を導出する、
付記1~3のいずれか1項に記載の部隊指揮支援装置。
(付記5)
前記演算装置が、前記待機エリア導出の際の制約条件である対処条件を満たすように、前記待機エリアの候補領域である待機エリア候補を算出する、付記1~4のいずれか1項に記載の部隊指揮支援装置。
(付記6)
前記対処条件が、前記待機エリアのとり得る領域を指定するものである、付記5に記載の部隊指揮支援装置。
(付記7)
前記対処条件が、その示す範囲に目標移動体が存在する場合に部隊が当該目標移動体を対処するよう定める対処範囲を指定するものである、付記5または6に記載の部隊指揮支援装置。
(付記8)
前記演算装置が、前記待機エリアの候補領域である待機エリア候補から少なくとも1つの待機エリアを選定する基準である、待機エリア導出基準を満たすように前記待機エリアを導出する、付記1~7のいずれか1項に記載の部隊指揮支援装置。
(付記9)
前記演算装置が、ユーザにより定められた前記待機エリア導出基準の優先順位に従って前記待機エリア導出基準を適用し、前記待機エリアを導出する、付記8に記載の部隊指揮支援装置。
(付記10)
入力装置をさらに有し、
前記演算装置によって用いる前記待機エリア導出基準の数を前記入力装置によって指定した数とする、付記8又は9に記載の部隊指揮支援装置。
(付記11)
既知の目標移動体位置に基づき、前記目標移動体位置が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する、部隊指揮支援方法。
(付記12)
既知の目標移動体位置に基づき、前記目標移動体位置が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する、部隊指揮支援プログラム。
(付記13)
既知の目標移動体位置に基づき、前記目標移動体位置が得られた時刻以後所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、
前記演算装置が決定した部隊の配置をユーザに通知する出力装置と、
を備える部隊指揮支援システム。
(付記14)
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出し、前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する演算装置と、
前記演算装置が決定した部隊の配置を出力する出力装置と、
を備える部隊指揮支援装置。
(付記15)
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出する目標移動体存在圏導出部と、
前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する待機エリア導出部と、
を備える部隊指揮支援プログラム。
(付記16)
既知の目標移動体位置の情報である目標移動体存在圏情報に基づき、前記目標移動体の推定意図及び前記意図の達成のために目標移動体が進行する将来の予測経路を導出し、前記推定意図及び前記予測経路を用いて、前記目標移動体存在圏情報が得られた時刻以後の所定時間に目標移動体が存在可能な領域である目標移動体存在圏を算出する目標移動体存在圏導出工程と、
前記目標移動体存在圏に基づいて部隊を配置する領域である待機エリアを導出する待機エリア導出工程と、
を備える部隊指揮支援方法。
【符号の説明】
【0143】
1 装置搭載ビークル、2 上位ビークル、3 下位ビークル、4 送受信装置、5 待機エリア、11 演算装置、12 メモリ、13 入力装置、14 出力装置、15 バス、16 記憶装置、(20-1、20-2、20-3、20-4、20-5) 部隊位置、21 目標移動体の過去位置、22 移動方向、23 エリア境界、24 目標移動体存在圏、24-1、24-2、24-3 分割時間ごとの目標移動体存在圏、(25-1、25-2、25-3)分割時間、26 対処命令発令時刻、27 対処猶予時間、28 対処範囲、(30-1、30-2、30-3、31-1、31-2、31-3、32-1、32-2、32-3) 待機エリア、41、41―1、41―2 予測経路、42 特定地点、43-1、43-2、43-3、44-1、44-2、44-3 目標移動体存在圏、100、100b 部隊指揮支援プログラム、101 導出条件入力部、102、102b 目標移動体存在圏導出部、103 待機エリア導出部、200、200b 方針情報、201 対処目標、202 対処内容、203 命令発令想定時間、204、204b 待機エリア導出基準、205 対処条件、206 待機エリア導出分割数、207 意図情報、300 目標移動体存在圏情報、301 過去観測時刻、302 過去観測位置、303 過去観測移動情報、400 目標移動体諸元情報、401 目標移動体能力情報、500 部隊位置情報、501 部隊現在座標、600 部隊諸元情報、601 部隊能力情報、700 地理情報、701 地形情報、702 気象情報、703 エリア境界情報、801 待機エリア導出基準値