(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144237
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】バッテリパック構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20241003BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20241003BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241003BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241003BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241003BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241003BHJP
H01M 10/625 20140101ALN20241003BHJP
H01M 10/647 20140101ALN20241003BHJP
H01M 50/209 20210101ALN20241003BHJP
【FI】
H01M50/289
H01M50/242
H01M50/293
H01M10/6556
H01M10/613
H01M50/291
H01M10/625
H01M10/647
H01M50/209
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043295
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】202320665316.7
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】▲渋▼谷 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031KK08
5H040AA03
5H040AA14
5H040AT02
5H040AY08
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】設置後の再利用や修理等を容易に行うことの可能なバッテリパック構造を提供すること。
【解決手段】バッテリセル20を収容するバッテリパック構造1は、積層されたバッテリセル20を有する複数のセル群2と、複数のセル群2を区分けするとともに複数のセル群2を保持する保持部材3と、保持部材3を固定する筐体フレーム4と、を備え、保持部材3は、複数のセル群2を間に挟み複数のセル群2の端面を押圧するように配置され、保持部材3及び筐体フレーム4は着脱可能に設けられる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルを収容するバッテリパック構造であって、
積層されたバッテリセルを有する複数のセル群と、
前記複数のセル群を区分けするとともに前記複数のセル群を保持する保持部材と、
前記保持部材を固定する筐体フレームと、を備え、
前記保持部材は、前記複数のセル群を間に挟み前記複数のセル群の端面を押圧するように配置され、
前記保持部材及び前記筐体フレームは着脱可能に設けられる、バッテリパック構造。
【請求項2】
前記保持部材は、前記複数のセル群の端面を一定の方向から押圧しながら取り付けられ、前記一定の方向と反対の方向に取り外すことで、前記複数のセル群を着脱可能に設けられる、請求項1に記載のバッテリパック構造。
【請求項3】
前記保持部材は、
前記バッテリセルの側面に当接して上下方向に延びる本体部と、
前記本体部の上端から前記バッテリセルの上面を保持するように延びる上部保持部と、
前記本体部の下端から前記バッテリセルの下面を保持するように延びる下部保持部と、を有する、請求項1又は2に記載のバッテリパック構造。
【請求項4】
前記上部保持部及び前記下部保持部の形状は異なっている、請求項3に記載のバッテリパック構造。
【請求項5】
前記保持部材は、絶縁部材である、請求項1又は2に記載のバッテリパック構造。
【請求項6】
前記筐体フレームは、前記複数のセル群を囲うように設けられる外壁フレームと、
前記外壁フレームの内側に配置され、前記複数のセル群を分けるセンターフレームと、を有し、
前記筐体フレームの下方に配置され、前記筐体フレームが着脱可能に固定されるロアプレートをさらに備える、請求項1又は2に記載のバッテリパック構造。
【請求項7】
前記ロアプレートは、内部に冷却材が流通する冷却通路を有する、請求項6に記載のバッテリパック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリパック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に用いられるバッテリパック構造として、バッテリセルを筐体内に固定し、モジュール形式に構成することが知られている。バッテリセルが、筐体内で固定梁と拘束部材により固定され、外装カバーで蓋をされた技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリパックをモジュール形式にすると、バッテリパックを製造した後、修理等をモジュールごとに行う必要があり、不便な点があった。
【0005】
本発明は、設置後の再利用や修理等を容易に行うことの可能なバッテリパック構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) バッテリセル(例えば、バッテリセル20)を収容するバッテリパック構造(例えば、バッテリパック構造1)であって、積層されたバッテリセルを有する複数のセル群(例えば、複数のセル群2)と、前記複数のセル群を区分けするとともに前記複数のセル群を保持する保持部材(例えば、保持部材3)と、前記保持部材を固定する筐体フレーム(例えば、筐体フレーム4)と、を備え、前記保持部材は、前記複数のセル群を間に挟み前記複数のセル群の端面を押圧するように配置され、前記保持部材及び前記筐体フレームは着脱可能に設けられる、バッテリパック構造である。
【0007】
(2) 上記(1)に記載のバッテリパック構造において、前記保持部材は、前記複数のセル群の端面を一定の方向から押圧しながら取り付けられ、前記一定の方向と反対の方向に取り外すことで、前記複数のセル群を着脱可能に設けられることが好ましい。
【0008】
(3) 上記(1)又は(2)に記載のバッテリパック構造において、前記保持部材は、前記バッテリセルの側面(例えば、前側側面20c又は後側側面20d)に当接して上下方向に延びる本体部(例えば、本体部30)と、前記本体部の上端から前記バッテリセルの上面(例えば、上面20a)を保持するように延びる上部保持部(例えば、上部保持部34)と、前記本体部の下端から前記バッテリセルの下面(例えば、下面20b)を保持するように延びる下部保持部(例えば、下部保持部35)と、を有することが好ましい。
【0009】
(4) 上記(3)に記載のバッテリパック構造において、前記上部保持部及び前記下部保持部の形状は異なっていることが好ましい。
【0010】
(5) 上記(1)又は(2)に記載のバッテリパック構造において、前記保持部材は、絶縁部材であることが好ましい。
【0011】
(6) 上記(1)又は(2)に記載のバッテリパック構造において、前記筐体フレームは、前記複数のセル群を囲うように設けられる外壁フレーム(例えば、外壁フレーム41)と、前記外壁フレームの内側に配置され、前記複数のセル群を分けるセンターフレーム(例えば、センターフレーム42)と、を有し、前記筐体フレームの下方に配置され、前記筐体フレームが着脱可能に固定されるロアプレート(例えば、ロアプレート5)をさらに備えることが好ましい。
【0012】
(7) 上記(6)に記載のバッテリパック構造において、前記ロアプレートは、内部に冷却材が流通する冷却通路(例えば、冷却通路51)を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)によれば、保持部材と筐体フレームが着脱可能な部材なので、保持部材と筐体フレームを取り外すと、これらによって挟持されていた複数のセル群を個別に取り出すことが可能になる。その結果、複数のセル群のうちの単一のバッテリセルが故障した場合であっても、故障したバッテリセルのみを交換することが可能となり、利便性が向上する。また、バッテリセルを自動車用として使用できなくなっても、再利用しやすくなる。また、バッテリパック構造がモジュール形式となっていないため、製造コストが低減される。
【0014】
上記(2)によれば、複数のセル群の取り付け方向を一方向から行うようにすることで、組み立てや分解の手順がわかりやすく、施工性が向上する。
【0015】
上記(3)によれば、バッテリセルを上部保持部と、下部保持部と、本体部の側面とにより形成される凹部にバッテリセルを保持させることができるため、複数のセル群を保持部材3保持させる際に、ネジ等を用いる必要がない。したがって、取り付け及び取り外しの施工性が向上する。
【0016】
上記(4)によれば、保持部材の取り付けの際に、上下が容易に理解できるので、取り付けの施工性が向上する。また、上部保持部及び下部保持部のいずれかに突起等を設けた場合に、保持部材を弾性変形させながら押圧して保持させることが可能となり、保持強度が向上する。
【0017】
上記(5)によれば、電流の遮断を確実に行い、安全性を向上させることができる。
【0018】
上記(6)によれば、外壁フレームによって、バッテリパック構造の外側の枠が形成されるとともに、筐体フレームがロアプレートに支持されることで、バッテリパック構造の外形が構成される。また、ロアプレートの上でもセンターフレームにより区分けがなされる。これら外壁フレーム、センターフレーム、ロアプレートが着脱可能な部材であることで、バッテリパック構造の分解や組み立てが容易になる。
【0019】
上記(7)によれば、複数のセル群が底面側から冷却され、バッテリパック構造の温度上昇を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本実施形態のバッテリパック構造の上面図である。
【
図2】本実施形態のバッテリパック構造を側面から視た模式図である。
【
図3A】本実施形態のバッテリパック構造の組み立て手順の図である。
【
図3B】本実施形態のバッテリパック構造の組み立て手順の図である。
【
図3C】本実施形態のバッテリパック構造の組み立て手順の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1Aに示すように、本実施形態のバッテリパック構造1は、バッテリセル20を内部に収容し、車両100に搭載される。バッテリパック構造1の説明において、バッテリパック構造1が車両100に搭載された状態で、
図1Aに示す車両100の前方側を前、後方側を後ろと言う。また、左右とは、上面視における左側を左、右側と右と言う。バッテリパック構造1は、複数のセル群2と、保持部材3と、筐体フレーム4と、ロアプレート5と、伝熱部材6と、を有する。
【0022】
ロアプレート5は、
図2に示すように、バッテリパック構造1の底面に配置される板状の部材である。ロアプレート5の上面には、後述する複数のセル群2及び保持部材3が載置され、固定される。ロアプレート5は、内部に冷却材が流通する冷却通路51を有する。冷却通路51は、ロアプレート5内を前後方向に延びる帯状の中空部である。冷却通路51は、ロアプレート5の左側及び右側に、間を開けて配置されている。冷却通路51は、後述する複数のセル群2の下側に位置する。
【0023】
複数のセル群2は、複数のバッテリセル20をロアプレート5の上に並べて配置することで構成される。複数のセル群2は、隣り合うバッテリセル20を、プラスとマイナスの電極が互い違いとなるように積層して配置され、所定の個数(
図1Aでは4つ)が接続されて配置されている。バッテリセル20は、略直方体の形状を有し、上面20aと、下面20bと、前側側面20cと、後側側面20dと、左側側面20eと、右側側面20fと、を有する。
図1Aに示すように、上面視において前側側面20c及び後側側面20dの辺の長さは、左側側面20e及び右側側面20fの辺の長さよりも短い。左側側面20e及び右側側面20fは、車両100の前後方向に沿うように配置されている。バッテリセル20の左側側面20e及び/又は右側側面20fは、隣接するバッテリセル20の右側側面20f及び/又は左側側面20eと対向するように並んでいる。
【0024】
隣接するバッテリセル20同士は、不図示のバスバーによって固定される。この際、バッテリセル20から上方に突出する端子にスプリングワッシャを取り付け、スプリングワッシャの上にバスバーを載せる。端子には溝を設けて、バスバーの上に抜け止めのEリングをはめ込む。Eリングとスプリングワッシャでバスバーの上下の面を挟み、結合に必要な接圧をかけることで、バッテリセル20同士が、連結される。
【0025】
保持部材3は車両100の幅方向に延びる部材であり、バッテリパック構造1の上面視で左右方向に延びるように配置される。保持部材3は、複数のセル群2を車両の前方側と後方側から挟み込むように複数配置される。保持部材3は、ロアプレート5及び後述する筐体フレーム4に、ボルト9により固定される。保持部材3は、
図1Aの前方側から順に、第1保持部材310、第2保持部材320、及び第3保持部材330を有する。保持部材3は、具体的には、車両100の剛性を補強する所謂クロスメンバにより構成されていてよく、複数の保持部材3のうちの一部が車両100のクロスメンバにより構成されていてもよい。
【0026】
第1保持部材310は、互いに左右に分かれて配置される第1左側保持部材311及び第1右側保持部材312を有する。第2保持部材320は、互いに左右に分かれて配置される第2左側保持部材321及び第2右側保持部材322を有する。第3保持部材330は、一つの部材が左右方向に延びて配置されている。第3保持部材330の左右方向の長さは、後述する外壁フレーム41の前側外壁フレーム41cと同程度である。第1保持部材310、第2保持部材320、及び第3保持部材330が前後に間を開けて配置されると同時に、後述する筐体フレーム4のセンターフレーム42によって、第1保持部材310の第1左側保持部材311及び第1右側保持部材312、第2保持部材320の第2左側保持部材321及び第2右側保持部材322が左右に分かれて配置されることで、複数のセル群2が区分けされる。
【0027】
保持部材3は、
図2に示すように、断面視略I字形状を有し、本体部30と、上部保持部34と、下部保持部35と、を有する。保持部材3は、絶縁部材であり、例えば樹脂で構成される。
【0028】
本体部30は、複数並べて配置されるバッテリセル20の前側側面20c又は後側側面20dに跨って延びる長さと、車両100の前後方向に沿う短い幅と、バッテリセル20の高さと略同一の高さと、を有する薄い板状の形状を有する。本体部30の側面30aは、バッテリセル20の前側側面20c又は後側側面20dに当接して上下方向に延びる。
【0029】
図2に示すように、上部保持部34は、本体部30の上端から、バッテリセル20の上面20aを保持するように本体部30から離れる方向へ延びる。上部保持部34は、上面視略長方形の形状を有し、本体部30の幅よりも大きな幅と、本体部30の長さと略同一の長さとを有する。上部保持部34における本体部30の上端から外側へ突出した部分の下面が、バッテリセル20の上面20aに当接する。
【0030】
下部保持部35は、本体部30の下端から、バッテリセル20の下面20bを保持するように本体部30から離れる方向へ延びる。下部保持部35は、底面視略長方形の形状を有し、本体部30の幅よりも大きな幅と、本体部30の長さと略同一の長さを有する。下部保持部35と、上部保持部34と、本体部30とにより、保持部材3の側面側に、略コの字状の凹部36が形成される。
【0031】
下部保持部35は、上部保持部34と形状が異なっており、保持突起351を有する。保持突起351は、下部保持部35における本体部30の下端から外側へ突出した部分の上面に形成される。保持突起351は、上方に向かって突出する断面視略三角形の部分であり、本体部30の長手方向に沿って連続して形成される。保持部材3が樹脂製であるため、複数のセル群2が上部保持部34と下部保持部35の間に、保持部材3を弾性変形させながら押圧して嵌め込まれる。
【0032】
保持部材3における本体部30の側面30aと、上部保持部34と、下部保持部35とが、複数のセル群2の端面を押圧するように配置されることで、複数のセル群2が保持される。なお、複数のセル群2の端面とは、隣接して配置される複数のバッテリセル20の前側側面20c又は後側側面20dによって構成される面である。保持部材3と複数のセル群2の取り付け方については、後に詳述する。
【0033】
筐体フレーム4は、保持部材3を固定するための枠を形成する。筐体フレーム4は、筐体フレーム4の下方に配置されるロアプレート5に、ボルト9により着脱可能に固定される。また、筐体フレーム4は、押し出し型材であり、
図1Bに示すように、内部に形成された孔からボルト9が取り付けられて保持部材3を固定する。筐体フレーム4は、外壁フレーム41と、センターフレーム42と、を有する。
【0034】
外壁フレーム41は、複数のセル群2を囲うように配置される。外壁フレーム41は、車両100の後方側が開口した略コの字状に配置され、ロアプレート5から起立するように取り付けられる。外壁フレーム41は、左側外壁フレーム41aと、右側外壁フレーム41bと、前側外壁フレーム41cと、を有する。左側外壁フレーム41aは、バッテリパック構造1の上面視左側で前後方向に延びる板状の部材である。右側外壁フレーム41bは、バッテリパック構造1の上面視右側で前後方向に延びる板状の部材である。前側外壁フレーム41cは、バッテリパック構造1の前側で左右方向に延びる板状の部材である。これらは、それぞれが独立してロアプレート5に固定されており、別々に取り外すことが可能である。
【0035】
センターフレーム42は、三方を囲う外壁フレーム41の内側で、左側外壁フレーム41aと右側外壁フレーム41bとの間の中央に配置される。左側外壁フレーム41aとセンターフレーム42との間の距離と、右側外壁フレーム41bとセンターフレーム42との間の距離とは、略等しい。センターフレーム42は、一端が前側外壁フレーム41cの後面に接続され、前側外壁フレーム41cから後方へ延びる。センターフレーム42は、外壁フレーム41で囲われる空間に配置される複数のセル群2を左右に分けるように配置される。センターフレーム42は、底面側でロアプレート5にボルト9により固定される。
【0036】
伝熱部材6は、
図2に示すように、ロアプレート5と、バッテリセル20の底面との間に配置される。伝熱部材6は、ロアプレート5内の冷却通路51を流通する冷却材の温度をバッテリセル20に伝える。伝熱部材6は、例えばシート状の熱伝導ゲルであってよい。
【0037】
次に、
図3A~
図3Cを参照して、バッテリセル20の取り付け方について説明する。まず、
図3Aに示すように、定盤等で設定した底面50の上に、前側外壁フレーム41cを配置し、前側外壁フレーム41cの左右方向の中央部から、センターフレーム42が延びるよう、センターフレーム42を前側外壁フレーム41cに固定する。この段階で、前側外壁フレーム41c及びセンターフレーム42は、上面視略T字状に配置される。なお、前側外壁フレーム41cの後方には、ジャンクションボード7やECU8(エンジンコントロールユニット)が配置される。
【0038】
次に、第1左側保持部材311及び第1右側保持部材312を、前側外壁フレーム41cからジャンクションボード7やECU8の後方にそれぞれそれ配置し、センターフレーム42に固定する。
【0039】
次に、一列目の複数のセル群2を、第1左側保持部材311の後側、及び、第1右側保持部材312の後側に押圧し、複数のセル群2それぞれの前端を、第1保持部材310の本体部30、上部保持部34及び下部保持部35で構成される略コの字状の凹部36にはめ込む。このとき、保持突起351を弾性変形により潰しながら複数のセル群2を本体部30、上部保持部34及び下部保持部35で構成される略コの字状の凹部36に圧入する。圧入すると、保持突起351により複数のセル群2が押圧されて保持される。
【0040】
次に、
図3Bに示すように、第2左側保持部材321の前側、及び、第2右側保持部材322の前側を、複数のセル群2の後ろ側の端面(すなわち、バッテリセル20の後側側面20d)に押圧し、複数のセル群2の後ろ側の端面を、第2保持部材320の本体部30、上部保持部34及び下部保持部35で構成される略コの字状の凹部36にはめ込む。そして、第2保持部材320と第1保持部材310の間に複数のセル群2を挟んだ状態で、第2保持部材320が複数のセル群2の端面を後ろから前方向に押圧するように配置し、第2保持部材320をセンターフレーム42に固定して取り付ける。
【0041】
図3Cに示すように、
図3A~3Bの手順と同様に、第2保持部材320に対して、二列目の複数のセル群2を後ろから前方向に押圧しながら取り付ける。
【0042】
次に、二列目の複数のセル群2の後ろ側の端面を、第3保持部材330の本体部30、上部保持部34及び下部保持部35で構成される略コの字状の凹部36にはめ込む。第3保持部材330は、バッテリパック構造1の最も後端側に位置する。第3保持部材330の前側に二列目の複数のセル群2をはめ込んだ状態で、第3保持部材330をセンターフレーム42の後端に固定する。これにより、複数のセル群2の車両前後方向の位置の規制が行われる。
【0043】
次に、
図1Aに示すように、左側外壁フレーム41aを複数のセル群2の上面視左側から押圧し、前側外壁フレーム41c、第1保持部材310、第2保持部材320、及び第3保持部材330にそれぞれボルト9で固定する。同様に、右側外壁フレーム41bを複数のセル群2の上面視右側から押圧し、前側外壁フレーム41c、第1保持部材310、第2保持部材320、及び第3保持部材330にそれぞれボルト9で固定する。これにより複数のセル群2の車両左右方向の位置の規制が行われる。
【0044】
最後に、上記の通り組み立てた複数のセル群2、保持部材3、及び筐体フレーム4の下に、ロアプレート5を配置する。そして、ロアプレート5の上で、複数のセル群2の下に伝熱部材6を配置した状態で、ロアプレート5と、保持部材3及び筐体フレーム4とを固定する。
【0045】
なお、修理の際等に、複数のセル群2や、又は複数のセル群2から所定のバッテリセル20を取り外す必要があるときは、保持部材3を後方に取り外す。このように、複数のセル群2は着脱可能に取り付けられる。
【0046】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1) バッテリセル20を収容するバッテリパック構造1を、積層されたバッテリセル20を有する複数のセル群2と、複数のセル群2を区分けするとともに複数のセル群2を保持する保持部材3と、保持部材3を固定する筐体フレーム4と、を含んで構成し、保持部材3を、複数のセル群2を間に挟み複数のセル群2の端面を押圧するように配置し、保持部材3及び筐体フレーム4を着脱可能に設けた。保持部材3と筐体フレーム4が着脱可能な部材なので、保持部材3と筐体フレーム4を取り外すと、これらによって挟持されていた複数のセル群2を個別に取り出すことが可能になる。その結果、複数のセル群2のうちの単一のバッテリセル20が故障した場合であっても、故障したバッテリセル20のみを交換することが可能となり、利便性が向上する。また、バッテリセル20を自動車用として使用できなくなっても、再利用しやすくなる。また、バッテリパック構造1が、モジュール形式となっていないため、製造コストが低減される。
【0047】
(2)本実施形態によれば、保持部材3を、複数のセル群2の端面を一定の方向(後方から前方へ)から押圧しながら取り付け、一定の方向と反対の方向(前方から後方へ)に取り外すことで、複数のセル群2を着脱可能に設けた。複数のセル群2の取り付け方向を一方向から行うようにすることで、組み立てや分解の手順がわかりやすく、施工性が向上する。
【0048】
(3)本実施形態によれば、保持部材3を、バッテリセル20の前側側面20c又は後側側面20dに当接して上下方向に延びる本体部30と、本体部30の上端からバッテリセル20の上面20aを保持するように延びる上部保持部34と、本体部30の下端からバッテリセル20の下面20bを保持するように延びる下部保持部35と、を含んで構成した。これにより、バッテリセル20を上部保持部34と、下部保持部35と、本体部30の側面30aとにより形成される凹部36にバッテリセル20を保持させることができるため、複数のセル群2を保持部材3に保持させる際に、ネジ等を用いる必要がない。したがって、取り付け及び取り外しの施工性が向上する。
【0049】
(4)本実施形態によれば、上部保持部34及び下部保持部35を異なる形状に構成した。これにより、保持部材3の取り付けの際に、上下が容易に理解できるので、取り付けの施工性が向上する。また、上部保持部34及び下部保持部35のいずれかに突起等を設けた場合に、保持部材3を弾性変形させながら押圧して保持させることが可能となり、保持強度が向上する。
【0050】
(5)本実施形態によれば、保持部材3を、絶縁部材により構成した。これにより、電流の遮断を確実に行い、安全性を向上させることができる。
【0051】
(6)本実施形態によれば、筐体フレーム4を、複数のセル群2を囲うように設けられる外壁フレーム41と、外壁フレーム41の内側に配置され、複数のセル群2を分けるセンターフレーム42と、を含んで構成し、筐体フレーム4の下方に配置され、筐体フレーム4が着脱可能に固定されるロアプレート5をさらに含んで構成した。外壁フレーム41によって、バッテリパック構造1の外側の枠が形成されるとともに、筐体フレーム4がロアプレート5に支持されることで、バッテリパック構造1の外形が構成される。また、ロアプレート5の上でもセンターフレーム42により区分けがなされる。これら外壁フレーム41、センターフレーム42、ロアプレート5が着脱可能な部材であることで、バッテリパック構造1の分解や組み立てが容易になる。
【0052】
(7)本実施形態によれば、ロアプレート5を、内部に冷却材が流通する冷却通路51を含んで構成した。これにより、複数のセル群2が底面側から冷却され、バッテリパック構造1の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。例えば、上記実施形態では、保持部材3は、第1保持部材310と、第2保持部材320と、第3保持部材330と、を有し、第3保持部材330がバッテリパック構造の後端に位置しているが、これに限られない。保持部材の前後方向の数は、バッテリパック構造の規模等に応じて適宜変更されてよい。最も後端の保持部材は、それより前方の保持部材と同様に、左右方向に分かれたものであってもよい。また、上記実施形態では、複数のセル群2は左右2列に配置されているが、これに限定されない。複数のセル群2の配置や、複数のセル群2を構成するバッテリセル20の数は、適宜変更されてよい。また、図面では、バッテリパック構造を略直方体のものとして例示しているが、これは説明のために模式化して示されたものである。バッテリパック構造の形状は、適宜変更されてよい。また、保持部材3の形状は、断面視略I字状に限定されない。複数のセル群を保持可能であれば、断面視で非対称であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 バッテリパック構造
2 複数のセル群
3 保持部材
4 筐体フレーム
5 ロアプレート
20 バッテリセル
30 本体部
34 上部保持部
35 下部保持部
41 外壁フレーム
42 センターフレーム
51 冷却通路