(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144242
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/38 20060101AFI20241003BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20241003BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20241003BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01G4/38 A
H01G4/30 201C
H01G4/30 511
H01G2/06 A
H01G4/228 G
H01G4/30 201A
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044111
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】10-2023-0040446
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ボムジュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E082AB03
5E082CC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】限定された空間で高容量を実現することができ、振動騒音を抑制して使用者の便宜を高めることができる電子部品を提供する。
【解決手段】積層型セラミックキャパシタである電子部品100は、第1キャパシタ110及び積層方向に沿って第1キャパシタ上に位置する少なくとも一つの第2キャパシタ120が、接続部130によって物理的および電気的に並列に接続している。第1キャパシタと第2キャパシタのそれぞれは、誘電体層114、124と、誘電体層を間において互いに離隔し、積層方向に配置された複数の内部電極115、116、125、126をそれぞれ含む。第1キャパシタにおける積層方向に沿った複数の内部電極間の第1距離d1は、第2キャパシタにおける積層方向に沿った複数の内部電極間の第2距離d2より大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャパシタ;および
積層方向に沿って前記第1キャパシタ上に位置する少なくとも一つの第2キャパシタを含み、
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタのそれぞれは、誘電体層と、前記誘電体層を間において互いに離隔し、前記積層方向に配置された複数の内部電極を含み、
前記第1キャパシタにおける前記積層方向に沿った前記複数の内部電極間の距離は、前記第2キャパシタにおける前記積層方向に沿った前記複数の内部電極間の距離より大きい、電子部品。
【請求項2】
前記第1キャパシタに属する前記誘電体層は、前記第2キャパシタに属する前記誘電体層より低い誘電率を有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記複数の内部電極は、前記積層方向に交互に位置する第1内部電極と第2内部電極を含み、
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタのそれぞれは、前記第1内部電極に接続する第1外部電極と、前記第2内部電極に接続する第2外部電極を含む、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1キャパシタに属する前記第1外部電極と前記第2外部電極は、リード端子によって基板に接続される、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1外部電極と前記第2外部電極は、一対のフレーム端子に結合され、
前記一対のフレーム端子は、基板に接続され、
前記第1キャパシタは、前記積層方向に前記基板と距離をおいて位置する、請求項3に記載の電子部品。
【請求項6】
積層方向に配置された複数のキャパシタ;および
前記複数のキャパシタを電気的に接続する接続部を含み、
前記複数のキャパシタのそれぞれは、誘電体層と、前記誘電体層を間において互いに離隔し、前記積層方向に配置された複数の内部電極を含み、
前記複数のキャパシタのうち前記積層方向に沿った最上段のキャパシタにおける前記積層方向に沿った前記複数の内部電極間の距離は、残りのキャパシタにおける前記積層方向に沿った前記複数の内部電極間の距離より小さい、電子部品。
【請求項7】
前記残りのキャパシタは、単一キャパシタを含む、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記残りのキャパシタは、二つ以上のキャパシタを含む、請求項6に記載の電子部品。
【請求項9】
前記最上段のキャパシタに属する前記誘電体層は、前記残りのキャパシタに属する前記誘電体層より低い誘電率を有する、請求項6に記載の電子部品。
【請求項10】
前記複数の内部電極は、前記積層方向に交互に位置する第1内部電極と第2内部電極を含み、
前記複数のキャパシタのそれぞれは、前記第1内部電極に接続する第1外部電極と、前記第2内部電極に接続する第2外部電極を含む、請求項6~9のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項11】
前記複数のキャパシタのうち最下段のキャパシタに属する前記第1外部電極と前記第2外部電極は、リード端子によって基板に接続される、請求項10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記第1外部電極と前記第2外部電極は、一対のフレーム端子に結合され、
前記一対のフレーム端子は、基板に接続され、
前記複数のキャパシタのうち最下段のキャパシタは、前記積層方向に前記基板と距離をおいて位置する、請求項10に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品に関し、より詳しくは積層型セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、積層型セラミックキャパシタ(Multi-Layered Ceramic Capacitor:MLCC)は、各種電子製品の回路基板に装着され、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ状のコンデンサであり、セラミック層を間において互いに反対極性の内部電極が一つずつ交互に積層された構造で構成される。
【0003】
このような積層型セラミックコンデンサは小型化に有利であり、セラミック層と内部電極の積層数に比例して静電容量を増やすことができるので、高容量の実現が可能である。近年、電子製品の高性能および多機能化の傾向により積層型セラミックキャパシタの使用量も増加している。ところで、電子製品の小型化および集積化が進み、積層型セラミックキャパシタの実装空間が徐々に制約を受けている。
【0004】
また、積層型セラミックキャパシタは、セラミック層の圧電効果および電歪効果によって電圧印加時に振動が発生することがあり、発生した振動は基板を介して増幅され、音響ノイズを発生させることがある。また、基板の共振によっても音響ノイズが発生することがある。積層型セラミックキャパシタの音響ノイズは静電容量に比例するため、高容量を実現するほど音響ノイズが大きくなり、これは使用者の便宜に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例の一側面は、限定された空間で高容量を実現することができ、振動騒音を抑制して使用者の便宜を高めることができる電子部品を提供することを目的とする。
【0006】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で様々に拡張することができる。
【0007】
一実施例による電子部品は、第1キャパシタと、積層方向に沿って第1キャパシタ上に位置する少なくとも一つの第2キャパシタを含む。第1キャパシタと第2キャパシタのそれぞれは、誘電体層と、誘電体層を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極を含む。第1キャパシタにおける積層方向に沿った複数の内部電極間の距離は、第2キャパシタにおける積層方向に沿った複数の内部電極間の距離より大きい。
【0008】
第1キャパシタに属する誘電体層は、第2キャパシタに属する誘電体層より低い誘電率を有することができる。
【0009】
複数の内部電極は、積層方向に交互に位置する第1内部電極と第2内部電極を含むことができる。第1キャパシタと第2キャパシタのそれぞれは、第1内部電極に接続する第1外部電極と、第2内部電極に接続する第2外部電極を含むことができる。
【0010】
第1キャパシタに属する第1外部電極と第2外部電極は、リード端子によって基板に接続されることができる。一方、第1外部電極と第2外部電極は、一対のフレーム端子に結合され、一対のフレーム端子は、基板に接続することができる。第1キャパシタは、積層方向に基板と距離をおいて位置することができる。
【0011】
他の一実施例による電子部品は、積層方向に配置された複数のキャパシタと、複数のキャパシタを電気的に接続する接続部を含む。複数のキャパシタのそれぞれは、誘電体層と、誘電体層を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極を含む。複数のキャパシタのうち積層方向に沿った最上段キャパシタにおける積層方向に沿った複数の内部電極間の距離は、残りのキャパシタにおける積層方向に沿った複数の内部電極間の距離より小さい。
【0012】
残りのキャパシタは、単一キャパシタを含むことができる。一方、残りのキャパシタは、二つ以上のキャパシタを含むことができる。最上段キャパシタに属する誘電体層は、残りのキャパシタに属する誘電体層より低い誘電率を有することができる。
【0013】
複数の内部電極は、積層方向に交互に位置する第1内部電極と第2内部電極を含むことができ、複数のキャパシタのそれぞれは、第1内部電極に接続する第1外部電極と、第2内部電極に接続する第2外部電極を含むことができる。
【0014】
複数のキャパシタのうち最下段のキャパシタに属する第1外部電極と第2外部電極は、リード端子によって基板に接続することができる。一方、第1外部電極と第2外部電極は、一対のフレーム端子に結合され、一対のフレーム端子は、基板に接続することができる。複数のキャパシタのうち最下段のキャパシタは、積層方向に基板と距離をおいて位置することができる。
【0015】
実施例による電子部品は、キャパシタの積層構造によって限定された空間で高容量を実現することができ、複数のキャパシタ間の構造差別化によって振動騒音を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施例による電子部品を示した斜視図である。
【
図2】
図1のII-II'線に沿って切断した電子部品の断面図である。
【
図3】
図2に示した電子部品が基板に実装された状態を示した断面図である。
【
図4】
図1に示した第1キャパシタのうちキャパシタボディーの分解斜視図である。
【
図5】
図1に示した第2キャパシタのうちキャパシタボディーの分解斜視図である。
【
図6】他の一実施例による電子部品の断面図である。
【
図7】また他の一実施例による電子部品の断面図である。
【
図8】また他の一実施例による電子部品の断面図である。
【
図9】電子部品の音響ノイズ実験のための測定装備の構成図である。
【
図10A】比較例1の電子部品を示した断面図である。
【
図10B】比較例2の電子部品を示した断面図である。
【
図10C】比較例3の電子部品を示した断面図である。
【
図11】
図9の測定装備を用いた実施例1~3の電子部品と比較例1~3の電子部品に対する音響ノイズ実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳細に説明する。図面で本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体で同一または類似の構成要素については、同じ参照符号を付けた。また、添付図面で一部構成要素は誇張されたり、省略されたり、または概略的に示され、各構成要素の大きさは実際大きさを全面的に反映していない。
【0018】
添付図面は、本明細書に開示された実施例を簡単に理解できるように提供されたものであり、添付図面によって本明細書に開示された技術的な思想が限定されるものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更と均等物および代替物を含むものと理解しなければならない。
【0019】
第1、第2などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用されることができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0020】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるという時、これは他の部分の「真上に」ある場合とその中間にまた他の部分がある場合も含まれる。逆にある部分が他の部分の「真上に」あるという時には、中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分「の上に」または「上に」あるというのは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ず重力反対方向に向かって「の上に」または「上に」位置することを意味しない。
【0021】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。従って、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象の部分を上から見た時のことを意味し、「断面上」とする時、これは対象の部分を垂直に切断した断面を横から見た時のことを意味する。
【0023】
明細書全体において「接続する」という時、これは二つ以上の構成要素が直接的に接続することができることだけを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素によって間接的に接続することができること、物理的に接続することができることだけでなく、電気的に接続することができること、または位置や機能によって異なる名称で呼ばれているが一体であることを意味することができる。
【0024】
本明細書で電子部品を説明するにあたり、電子部品の主要構成が積層される方向を「的層方向」に定義するが、これは「厚さ方向」である場合もある。また、積層方向に垂直な平面と並んだ方向を「平面方向」と定義することができ、平面方向は互いに直交する「第1方向」と「第2方向」を含むことができる。「第1方向」は「長さ方向」と定義することができ、「第2方向」は「幅方向」と定義することができる。
【0025】
図1は、一実施例による電子部品を示した斜視図であり、
図2は、
図1のII-II'線に沿って切断した電子部品の断面図であり、
図3は、
図2に示した電子部品が基板に実装された状態を示した断面図である。
【0026】
図1~
図3を参照すると、一実施例による電子部品100は、積層型セラミックキャパシタであり、第1キャパシタ110と、積層方向(図面のz軸方向)に沿って第1キャパシタ110上に位置する第2キャパシタ120を含む。
【0027】
第1キャパシタ110と第2キャパシタ120のそれぞれは、キャパシタボディー111、121と、キャパシタボディー111、121の第1方向(図面のx軸方向)に対向する両端に位置する第1外部電極112、122および第2外部電極113、123を含むことができる。
【0028】
キャパシタボディー111、121は、複数の誘電体層114、124と、一つの誘電体層114、124を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極115、116、125、126を含むことができる。複数の内部電極115、116、125、126は、積層方向に交互に位置する第1内部電極115、125と第2内部電極116、126を含むことができる。
【0029】
図4は、
図1に示した第1キャパシタのうちキャパシタボディーの分解斜視図であり、
図5は、
図1に示した第2キャパシタのうちキャパシタボディーの分解斜視図である。
【0030】
図4と
図5を参照すると、複数の誘電体層114、124が積層方向に配置され、それぞれの誘電体層114、124上に第1内部電極115、125と第2内部電極116、126のいずれか一つが位置することができる。第1内部電極115、125と第2内部電極116、126は、積層方向に沿って一つずつ交互に位置することができ、誘電体層114、124より小さい面積を有することができる。
【0031】
第1内部電極115、125の一側(左側)周縁は、第1方向に沿った誘電体層114、124の両側周縁のうち一側(左側)周縁と重なることができ、第2内部電極116、126の他側(右側)周縁は、第1方向に沿った誘電体層114、124の両側周縁のうち他側(右側)周縁と重なることができる。キャパシタボディー111、121は、必要に応じて積層方向に沿った両側端(最上段と最下段)に位置するカバー層117、127をさらに含むことができる。
【0032】
キャパシタボディー111、121は、複数の誘電体層114、124と第1内部電極115、125および第2内部電極116、126を前述した構成で配置した後、焼成過程を経て製作することができる。焼成過程を経たキャパシタボディー111、121の複数の誘電体層114、124の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を利用せずに確認できないほど一体化することができる。
【0033】
再び
図1~
図3を参照すると、キャパシタボディー111、121において、誘電体層114、124は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO
3、CaTiO
3、SrTiO
3、またはGaZrO
3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、セラミック材料は、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO
3系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba
1-xCa
x)TiO
3、Ba(Ti
1-yCa
y)O
3、(Ba
1-xCa
x)(Ti
1-yZr
y)O
3、またはBa(Ti
1-yZr
y)O
3などを含むことができる。
【0034】
キャパシタボディー111、121は、概ね六面体形状であることができ、第1方向に対向する第1面111a、121aと第2面111b、121bを含むことができる。第1面111a、121aと第2面111b、121bは、キャパシタボディー111、121の左右両面であってもよい。
【0035】
複数の第1内部電極115、125は、キャパシタボディー111、121の第1面111a、121aに露出することができ、複数の第2内部電極116、126は、キャパシタボディー111、121の第2面111b、121bに露出することができる。第1内部電極115、125および第2内部電極116、126は、導電性金属を含み、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えば、Ag-Pd合金を含むことができる。また、第1内部電極115、125および第2内部電極116、126は、誘電体層114、124に含まれるセラミック材料と同一組成系の誘電体粒子をさらに含むことができる。
【0036】
第1外部電極112、122は、キャパシタボディー111、121の第1面111a、121aを覆うベース部112a、122aと、ベース部112a、122aの周縁から第2面111b、121bに向かって拡張し、キャパシタボディー111、121の上下両面の一部および前後両面の一部を覆うバンド部112b、122bを含むことができる。第2外部電極113、123は、キャパシタボディー111、121の第2面111b、121bを覆うベース部113a、123aと、ベース部113a、123aの周縁から第1面111a、121aに向かって拡張され、キャパシタボディー111、121の上下両面の一部および前後両面の一部を覆うバンド部113b、123bを含むことができる。
【0037】
第1外部電極112、122のベース部112a、122aは、複数の第1内部電極115、125と接触し、複数の第1内部電極115、125と電気的に接続することができる。第2外部電極113、123のベース部113a、123aは、複数の第2内部電極116、126と接触し、複数の第2内部電極116、126と電気的に接続することができる。バンド部112b、122b、113b、123bは、キャパシタボディー111、121に対する第1外部電極112、122および第2外部電極113、123の固着強度を高める機能をする。
【0038】
第1外部電極112、122および第2外部電極113、123は、単一膜で構成されたり、2層以上の多層膜で構成することができる。例えば、第1外部電極112、122および第2外部電極113、123のそれぞれは、第1電極層と、第1電極層を覆う第2電極層の2層構造で構成することができる。第1電極層は、導電性ペーストを用いたディッピング(dipping)、プリント、転写などの方法で製作することができ、第2電極層は、スパッタリングやメッキなどの方法で製作することができる。
【0039】
例えば、第1電極層製作のための導電性ペーストは、Cuを主成分として含むことができ、Ni、Sn、Pd、Pt、Au、Ag、W、Ti、Pb、またはこれらの合金のうち一つ以上の物質とガラス粉末を含むことができる。第1電極層は、導電性ペーストにキャパシタボディー111、121をディッピングした後に乾燥する方法、キャパシタボディー111、121に導電性ペーストをプリントした後に乾燥する方法、導電性ペーストの乾燥膜をキャパシタボディー111、121に転写する方法などで製作することができる。
【0040】
導電性ペーストを利用して製作された第1電極層は、十分な導電性を確保し、第1外部電極112、122および第2外部電極113、123の緻密度を高めることにより、その後の第2電極層製作におけるメッキ液および/または外部水分の浸透を効果的に抑制することができる。
【0041】
第2電極層は、Niを主成分として含むことができ、Cu、Sn、Pd、Pt、Au、Ag、W、Ti、Pb単独またはこれらの合金をさらに含むことができる。第2電極層は、スパッタリングまたは電解メッキなどの方法で製作することができ、第1キャパシタおよび第2キャパシタの構造的信頼性と耐久性および耐熱性を高める機能をする。
【0042】
第1外部電極112、122と第2外部電極113、123に互いに反対極性の電圧が提供され、これにより、第1内部電極115、125と第2内部電極116、126は、互いに反対極性を有することができる。第1外部電極112、122および第2外部電極113、123に所定の電圧が印加されると、第1内部電極115、125と第2内部電極116、126との間に電荷が蓄積される。第1キャパシタ110および第2キャパシタ120のそれぞれの静電容量は、積層方向に沿って互いに対向する第1内部電極115、125および第2内部電極116、126の重畳面積と比例する。
【0043】
電子部品100は、第1キャパシタ110と第2キャパシタ120を物理的および電気的に接続する接続部130を含む。接続部130は、導電性接着層で構成することができる。接続部130は、第1キャパシタ110および第2キャパシタ120の第1外部電極112、122の間に位置し、第1外部電極112、122を接合および通電させる。また、接続部130は、第1キャパシタ110および第2キャパシタ120の第2外部電極113、123の間に位置し、第2外部電極113、123を接合および通電させる。第1キャパシタ110および第2キャパシタ120は、接続部130によって並列に接続することができる。
【0044】
第1キャパシタ110は、リード端子910によって基板900上に実装することができ、電子部品100を構成する複数のキャパシタのうち基板900と最も近く位置する。基板900は、電子製品のプリント回路基板であってもよい。第2キャパシタ120は、電子部品100を構成する複数のキャパシタのうち積層方向に沿った最上段キャパシタであり、第1キャパシタ110よりも基板900からさらに遠く位置する。一実施例による電子部品100は、第1キャパシタ110および第2キャパシタ120の積層構造によって限定された空間で高容量を実現することができる。
【0045】
一実施例による電子部品100において、第1キャパシタ110および第2キャパシタ120は、互いに異なる構成を有する。具体的に、第1キャパシタ110における積層方向に沿った複数の内部電極115、116間の距離(第1距離、d1)は、第2キャパシタ120における積層方向に沿った複数の内部電極125、126間の距離(第2距離、d2)より大きく構成することができる。即ち、複数のキャパシタのうち最上段キャパシタにおける複数の内部電極間の距離(d2)は、他のキャパシタにおける複数の内部電極間の距離(d1)より小さく構成することができる。
【0046】
この時、第1距離(d1)は、積層方向に沿った複数の内部電極115、116間の距離の算術平均値であることができ、第2距離(d2)は、積層方向に沿った複数の内部電極125、126間の距離の算術平均値であることができる。第1距離(d1)は、第1キャパシタ110に含まれている複数の誘電第層114の平均厚さと同じであり、第2距離(d2)は、第2キャパシタ120に含まれている複数の誘電体層124の平均厚さと同じであることができる。前述した構成のために、第1キャパシタ110を構成する複数の誘電体層114の平均厚さは、第2キャパシタ120を構成する複数の誘電体層124の平均厚さより大きいことができる。
【0047】
キャパシタボディー111、121を構成する誘電体層114、124の材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)は、圧電効果(piezoelectric effect)および電歪効果(flexoelectric effect)によって電圧印加時に振動が発生する可能性があり、発生した振動は、リード端子910を介して基板900に伝達されることができる。この時、基板900が音響放射体として機能して音響ノイズを発生させることができる。また、外部から基板900に振動が加わる場合、基板900が共振を起こすことがあり、基板900の共振によっても音響ノイズが発生することがある。
【0048】
一実施例による電子部品100において、第1距離(d1)は第2距離(d2)より大きい。キャパシタボディーにおいて、内部電極間の距離が大きくなると、当該誘電体層の電位が減少するので、電圧変動によるキャパシタボディーの振動も減少する。第1距離(d1)と第2距離(d2)の差別化構造により、基板900と近い第1キャパシタ110の振動騒音が減少され、これは電子部品100全体の振動騒音が減少される効果につながる。
【0049】
第1距離(d1)は、第2距離(d2)の約1.2倍~2.5倍であってもよく、例えば、第1距離(d1)は、第2距離(d2)の約1.5倍であってもよい。第1距離(d1)が第2距離(d2)の1.2倍未満の場合には、内部電極間の距離増加による振動騒音減少効果を実現することが難しく、第1距離(d1)が第2距離(d2)の2.5倍を超える場合には、振動騒音減少効果より容量が低下する副効果がより大きく発生する。
【0050】
また、第1キャパシタ110の誘電体層114は、第2キャパシタ120の誘電体層124より低い誘電率を有することができる。誘電体層の誘電率が低くなると、電位が減少するため、また電圧変動によるキャパシタボディーの振動が減少する。誘電体層114、124は、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、GaZrO3などの主成分と、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Ni化合物などの補助成分を含むことができ、補助成分の含有量と焼結体粒子の大きさおよび焼成温度などを調節して誘電率を変化させることができる。
【0051】
第1キャパシタ110および第2キャパシタ120は、同じ厚さ(積層方向に測定される厚さ)のキャパシタボディー111、121を含むことができ、第1キャパシタ110は、第2キャパシタ120より少ない数の内部電極を含むことができる。内部電極数の減少は、キャパシタの静電容量の低下を引き起こすので、電子部品を構成する複数のキャパシタ全体を第1キャパシタ110のように構成する必要はない。一実施例による電子部品100は、第1距離(d1)と第2距離(d2)の差別化構造を提供することにより、振動騒音を減少させる効果と高容量を実現する効果の全てを調和的に実現することができる。
【0052】
前述した第1距離(d1)と第2距離(d2)は、キャパシタボディー111、121を第2方向(図面のy軸方向)の中央から第1方向(x軸方向)および積層方向(z軸方向)に切断した断面(第1方向-積層方向断面)サンプルを製作し、走査電子顕微鏡(SEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)などで断面サンプルを観察して得られた断面イメージを利用して測定することができる。
【0053】
例えば、キャパシタボディー111の断面サンプルから得られた断面イメージから誘電体層114の平均厚さを求め、これを第1距離(d1)として定義することができる。また、キャパシタボディー121の断面サンプルから得られた断面イメージから誘電体層124の平均厚さを求め、これを第2距離(d2)として定義することができる。
【0054】
誘電体層114、124の平均厚さは、断面イメージにおける誘電体層114、124の第1方向(x軸方向)または第2方向(y軸方向)の中央地点を基準点と設定し、基準点から所定間隔で離れた10つの点における誘電体層114、124の厚さの算術平均値とすることができる。10つの点の間隔は、断面イメージのスケールに応じて調節することができ、例えば、1μm~100μm、1μm~50μm、または1μm~10μmの間隔であることができる。この時、10つの点は全て誘電体層内に位置しなければならず、10つの点全てが誘電体層内に位置しない場合、基準点の位置を変更したり、10つの点の間の間隔を調節することができる。
【0055】
図6は、他の一実施例による電子部品の断面図である。
【0056】
図6を参照すると、他の一実施例による電子部品200は、第3キャパシタ210と、積層方向に沿って第3キャパシタ210上に位置する第4キャパシタ220と、積層方向に沿って第4キャパシタ220上に位置する第5キャパシタ230と、第3キャパシタ210、第4キャパシタ220、第5キャパシタ230を物理的および電気的に接続する接続部240を含む。
【0057】
第3キャパシタ210、第4キャパシタ220、第5キャパシタ230のそれぞれは、キャパシタボディー211、221、231と、キャパシタボディー211、221、231の第1方向に対向する両端に位置する第1外部電極212、222、232および第2外部電極213、223、233を含むことができる。
【0058】
キャパシタボディー211、221、231は、複数の誘電体層214、224、234と、一つの誘電第層214、224、234を間において互いに離隔し、積層方向に配置された複数の内部電極215、216、225、226、235、236を含むことができる。複数の内部電極215、216、225、226、235、236は、積層方向に交互に位置する第1内部電極215、225、235と第2内部電極216、226、236を含むことができる。
【0059】
接続部240は、導電性接着層で構成することができる。接続部240は、第3キャパシタ210、第4キャパシタ220、第5キャパシタ230の第1外部電極212、222、232の間に位置し、第1外部電極212、222、232を接合および通電させることができ、第3キャパシタ210、第4キャパシタ220、第5キャパシタ210、220、230の第2外部電極213、223、233の間に位置し、第2外部電極213、223、233を接合および通電させることができる。第3キャパシタ210、第4キャパシタ220、第5キャパシタ230は、接続部240によって並列に接続することができる。
【0060】
第3キャパシタ210は、基板(図示せず)上に実装することができ、電子部品200を構成する複数のキャパシタのうち基板と最も近く位置することができる。第5キャパシタ230は、電子部品200を構成する複数のキャパシタのうち積層方向に沿った最上段キャパシタであることもでき、複数のキャパシタのうち基板から最も遠く位置することができる。
【0061】
本実施例の電子部品200において、最上段キャパシタと残りのキャパシタは、互いに異なる構成を有する。具体的に、第3キャパシタ210および第4キャパシタ220のそれぞれにおいて、積層方向に沿った複数の内部電極215、216、225、226間の距離(第3距離、d3)は、第5キャパシタ230における積層方向に沿った複数の内部電極235、236間の距離(第4距離、d4)より大きく構成することができる。即ち、最上段キャパシタ230における積層方向に沿った複数の内部電極235、236間の距離(d4)は、他のキャパシタ210、220における積層方向に沿った複数の内部電極215、216、225、226間の距離(d3)より小さく構成することができる。
【0062】
この時、第3距離(d3)は、積層方向に沿った複数の内部電極215、216、225、226間の距離の算術平均値であることができ、第4距離(d4)は、積層方向に沿った複数の内部電極235、236間の距離の算術平均値であることができる。第3距離(d3)は、第3キャパシタ210および第4キャパシタ220のそれぞれに含まれている複数の誘電体層235、236の平均厚さと同じであることができ、第4距離(d4)は、第5キャパシタ230に含まれている複数の誘電体層234の平均厚さと同じであることができる。
【0063】
前述した構成のために、第3キャパシタ210および第4キャパシタ220を構成する複数の誘電体層214、224の平均厚さは、第5キャパシタ230を構成する複数の誘電体層234の平均厚さより大きいことができる。また、第3キャパシタ210および第4キャパシタ220の誘電体層214、224は、第5キャパシタ230の誘電体層234より低い誘電率を有することができる。
【0064】
第3距離(d3)は、第4距離(d4)の約1.2倍~2.5倍であることができ、例えば、第3距離(d3)は、第4距離(d4)の約1.5倍であってもよい。第3距離(d3)が第4距離(d4)の1.2倍未満の場合には、内部電極間の距離増加による振動騒音の減少効果を実現することが難しく、第3距離(d3)が第4距離(d4)の2.5倍を超える場合には、振動騒音の減少効果より容量が低下される副効果がより大きく発生する。第3距離(d3)と第4距離(d4)の測定方法は、前述した第1距離(d1)および第2距離(d2)の測定方法と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0065】
第3キャパシタ210、第4キャパシタ220、第5キャパシタ230は、同じ厚さ(積層方向に測定される厚さ)のキャパシタボディー211、221、231を含むことができ、第5キャパシタ230は、第3キャパシタ210および第4キャパシタ220より多い数の内部電極を含むことができる。第5キャパシタ230の静電容量は、第3キャパシタ210および第4キャパシタ220のそれぞれの静電容量より大きい。第3キャパシタ210および第4キャパシタ220は、内部電極間の距離拡大により、電圧変動による振動騒音を効果的に減少させることができる。
【0066】
本実施例の電子部品200は、キャパシタの積層数を増やすことにより、限定された空間で高容量を実現することができ、これと同時に基板と近い第3キャパシタ210および第4キャパシタ220の振動騒音を減少させることにより、電子部品200全体の振動騒音を効果的に減少することができる。
【0067】
図7は、また他の一実施例による電子部品の断面図である。
【0068】
図7を参照すると、また他の一実施例による電子部品300は、第6キャパシタ310と、積層方向に沿って第6キャパシタ310上に位置する第7キャパシタ320と、積層方向に沿って第7キャパシタ320上に位置する第8キャパシタ330と、第6キャパシタ310、第7キャパシタ320、第8キャパシタ330を物理的および電気的に接続する接続部340を含む。
【0069】
第6キャパシタ310、第7キャパシタ320、第8キャパシタ330のそれぞれは、キャパシタボディー311、321、331と、キャパシタボディー311、321、331の第1方向に対向する両端に位置する第1外部電極312、322、332および第2外部電極313、323、333を含むことができる。
【0070】
キャパシタボディー311、321、331は、複数の誘電体層314、324、334と、一つの誘電体層314、324、334を間において互いに離隔して積層方向に配置された複数の内部電極315、316、325、326、335、336を含むことができる。複数の内部電極315、316、325、326、335、336は、積層方向に交互に位置する第1内部電極315、325、335と第2内部電極316、326、336を含むことができる。
【0071】
接続部340は、導電性接着層で構成することができる。接続部340は、第6キャパシタ310、第7キャパシタ320、第8キャパシタ330の第1外部電極312、322、332の間に位置し、第1外部電極312、322、332を接合および通電させることができ、第6キャパシタ310、第7キャパシタ320、第8キャパシタ330の第2外部電極313、323、333の間に位置し、第2外部電極313、323、333を接合および通電させることができる。第6キャパシタ310、第7キャパシタ320、第8キャパシタ330は、接続部340によって並列に接続することができる。
【0072】
第6キャパシタ310は、基板上に実装することができ、電子部品300を構成する複数のキャパシタのうち基板と最も近く位置することができる。第7キャパシタ320および第8キャパシタ330は、第6キャパシタ310上に積層されたキャパシタであり、第6キャパシタ310よりも基板からさらに遠く位置することができる。
【0073】
本実施例の電子部品300において、第6キャパシタ310は、残りのキャパシタ320、330と互いに異なる構成を有する。具体的に、第6キャパシタ310における積層方向に沿った複数の内部電極315、316間の距離(第5距離、d5)は、第7キャパシタ320および第8キャパシタ330における積層方向に沿った複数の内部電極325、326、335、336間の距離(第6距離、d6)より大きく構成することができる。
【0074】
この時、第5距離(d5)は、積層方向に沿った複数の内部電極315、316間の距離の算術平均値であることができ、第6距離(d6)は、積層方向に沿った複数の内部電極325、326、335、336間の距離の算術平均値であってもよい。第5距離(d5)は、第6キャパシタ310に含まれている複数の誘電体層314の平均厚さと同じであることができ、第6距離(d6)は、第7キャパシタ320および第8キャパシタ330に含まれている複数の誘電体層324、334の平均厚さと同一であることができる。
【0075】
前述した構成のために、第6キャパシタ310を構成する複数の誘電体層314の平均厚さは、第7キャパシタ320および第8キャパシタ330を構成する複数の誘電体層324、334の平均厚さより大きいことができる。また、第6キャパシタ310の誘電体層314は、第7キャパシタ320および第8キャパシタ330の誘電体層324、334より低い誘電率を有することができる。
【0076】
第5距離(d5)は、第6距離(d6)の約1.2倍~2.5倍であることができ、例えば、第5距離(d5)は、第6距離(d6)の約1.5倍であってもよい。第5距離(d5)が第6距離(d6)の1.2倍未満の場合には、内部電極間の距離増加による振動騒音の減少効果を実現することが難しく、第5距離(d5)が第6距離(d6)の2.5倍を超える場合には、振動騒音の減少効果より容量が低下される副効果がより大きく発生する。第5距離(d5)と第6距離(d6)の測定方法は、前述した第1距離(d1)および第2距離(d2)の測定方法と同一であるため、重複する説明は省略する。
【0077】
第6キャパシタ310、第7キャパシタ320、第8キャパシタ330は、同じ厚さ(積層方向に測定される厚さ)のキャパシタボディー311、321、331を含むことができ、第7キャパシタ320および第8キャパシタ330は、第6キャパシタ310より多い数の内部電極を含むことができる。第7キャパシタ320および第8キャパシタ330のそれぞれの静電容量は、第6キャパシタ310の静電容量より大きい。
【0078】
本実施例の電子部品300は、第6キャパシタ310の内部電極間の距離(d5)を拡大させることにより、電圧変動による振動騒音を効果的に減少させることができる。また、第6キャパシタ310より高い静電容量の第7キャパシタ320および第8キャパシタ330を第6キャパシタ310上に積層配置することにより、限定された空間で高容量を実現することができる。
【0079】
前述した多様な実施例の電子部品100、200、300では、一つのキャパシタ内で誘電体層の厚さが全て同じであるため、キャパシタの製造が容易になり、大量生産に適合する。
【0080】
図8は、また他の一実施例による電子部品の断面図である。
【0081】
図8を参照すると、また他の一実施例の電子部品400は、積層型キャパシタ410と、積層型キャパシタ410の第1方向に対向する両端に結合された一対のフレーム端子420を含む。一対のフレーム端子420は、基板900に接続することができる。
【0082】
積層型キャパシタ410は、積層方向に配置された複数のキャパシタと、複数のキャパシタを物理的および電気的に接続する接続部を含むことができる。複数のキャパシタのうち基板900と最も近いキャパシタは、残りのキャパシタと異なる構成を有することができる。一方、複数のキャパシタのうち基板900と最も遠く位置する最上段キャパシタは、残りのキャパシタと異なる構成を有することができる。
【0083】
前者の場合、基板900と最も近いキャパシタにおける複数の内部電極間の距離は、残りのキャパシタにおける複数の内部電極間の距離より大きいこともできる。この場合、基板と最も近いキャパシタは、電圧変動による振動騒音を減少させるのに有利であり、残りのキャパシタは高容量確保に有利である。
【0084】
後者の場合、最上段キャパシタにおける複数の内部電極間の距離は、残りのキャパシタにおける複数の内部電極間の距離より小さいこともできる。この場合、最上段キャパシタは、高容量確保に有利であり、残りのキャパシタは、電圧変動による振動騒音を減少するのに有利である。
【0085】
図8では、積層型キャパシタ410が二つのキャパシタ411、412で構成されたことを例に挙げて示したが、キャパシタの数は示した例示に限定されない。
【0086】
一対のフレーム端子420のそれぞれは、積層方向に延びるマウンティング部421と、マウンティング部421の下端から第1方向に延びる実装部422を含むことができる。一対の実装部422は、互いに向かって延びることができ、一対のフレーム端子420は、概ね「L」字形を有することができる。マウンティング部421は、積層型キャパシタ410の第1外部電極413および第2外部電極414と接続され、実装部422は基板900に接続することができる。
【0087】
第1外部電極413および第2外部電極414は、導電性接着部430によってマウンティング部421に固定および接続することができる。導電性接着部430は、例えば、導電性樹脂組成物を含むことができる。一対のフレーム端子420の間に固定された積層型キャパシタ410は、積層方向に沿って基板900から所定の距離をおいて離隔することができる。一対のフレーム端子420は、金属で製作することができ、積層型キャパシタ410は、一対のフレーム端子420を介して基板に接続することができる。
【0088】
図9は、電子部品の音響ノイズ実験のための測定装備の構成図である。
【0089】
図9を参照すると、測定装備は、無反響(anechoic)チャンバー510と、無反響チャンバー510の内部に位置する支持台520およびマイクロフォン530と、マイクロフォン530に接続されたデータ収集システム540を含む。電子部品(EC)が実装された基板(S)は、支持台520によって支持され、マイクロフォン530は、基板(S)と3mmの間隔をおいて基板(S)上に配置される。基板(S)には図示しない信号発生器(function generator)が接続されている。
【0090】
図9に示した測定装備を利用して、実施例1~3の電子部品と、比較例1~3の電子部品に対する音響ノイズ実験を進行した。実験条件は下記表の通りである。
【0091】
【0092】
実施例1の電子部品は、
図2を参照して説明した一実施例による電子部品に該当し、この時第1距離は第2距離の約1.5倍である。実施例2の電子部品は、
図6を参照して説明した他の一実施例による電子部品に該当し、この時第3距離は第4距離の約1.5倍である。実施例3の電子部品は、
図7を参照して説明した他の一実施例による電子部品に該当し、この時第5距離は第6距離の約1.5倍である。
【0093】
図10Aは、比較例1の電子部品を示した断面図であり、
図10Bは、比較例2の電子部品を示した断面図であり、
図10Cは、比較例3の電子部品を示した断面図である。
【0094】
図10A~
図10Cを参照すると、比較例1の電子部品600aは、一つのキャパシタ610で構成され、キャパシタ610における複数の内部電極間の距離は、実施例1の電子部品で説明した第2距離と同じである。比較例2の電子部品600bは、積層方向に配置された二つのキャパシタ620を含み、二つのキャパシタ620それぞれは、比較例1のキャパシタ610と同じである。比較例3の電子部品600cは、積層方向に配置された三つのキャパシタ630を含み、三つのキャパシタ630それぞれは、比較例1のキャパシタ610と同じである。
【0095】
図11は、
図9の測定装備を用いた実施例1~3の電子部品と比較例1~3の電子部品に対する音響ノイズ実験結果を示すグラフである。
【0096】
図11を参照すると、表1の実験条件において、音響ノイズは実施例1で最も低い値を示し、実施例2および実施例3の順に徐々に高くなることが確認できる。そして、比較例1~3は実施例3より高い音響ノイズを示し、比較例3で最も高い音響ノイズが発生することが確認できる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の概要および添付図面の範囲内で様々に変形して実施するのが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0098】
100、200、300、400 電子部品
110 第1キャパシタ
120 第2キャパシタ
210 第3キャパシタ
220 第4キャパシタ
230 第5キャパシタ
310 第6キャパシタ
320 第7キャパシタ
330 第8キャパシタ
111、121、211、221、231、311、321、331 キャパシタボディー
112、122、212、222、232、312、322、332 第1外部電極
113、123、213、223、233、313、323、333 第2外部電極
114、124、214、224、234、314、324、334 誘電体層
115、125、215、225、235、315、325、335 第1内部電極
116、126、216、226、236、316、326、336 第2内部電極
130、240、340 接続部
410 積層型キャパシタ
420 フレーム端子
900 基板
910 リード端子