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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144244
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】非軸方向カメラ配向を有する内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   A61B 1/317 20060101ALI20241003BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/317
A61B1/06 531
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024044250
(22)【出願日】2024-03-19
(31)【優先権主張番号】23165090
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523200309
【氏名又は名称】ブラツェイェフスキー・メディ-テク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【弁理士】
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】ブラツェイェフスキー・ラインホルト
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA25
4C161CC06
4C161FF35
4C161FF40
4C161FF42
4C161FF43
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な視認性状態を有する内視鏡を提供する。
【解決手段】本発明による内視鏡10は、互いに鈍角を含む2つの表面セクションを有する遠位端面を備え、一方の表面セクションは長手方向に対して傾斜して配向され、他方の表面セクションは長手方向に対して横断方向に配置される。撮像デバイスは、一方の表面セクションに対して面一に取り付けられる方法で配置された光入口窓を有する対物レンズを備え、撮像デバイスは、円筒形の長手方向に配向された輪郭の内側に配置され長手方向に対して斜めに配向された視野方向を含む。対物レンズは、少なくとも1つの屈曲部を有する光軸を含み、長手方向に配向されたセクションと、斜めに配向された外側セクションとを備える。反対に、照明デバイスは、長手方向に配向され、対物レンズの受光角度よりも大きい放射角度を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡(10)、特に脊柱内視鏡であって、
遠位端面(16)上に第1の窓(20)および第2の窓(22)が配置され、撮像デバイス(21)が前記第1の窓(20)に割り当てられ、照明デバイス(23)が前記第2の窓(22)に割り当てられる、長手方向(L)に沿って延在する長手方向シャンク(11)を有し、
前記第1の窓(20)および前記第2の窓(22)が、互いに向かって傾斜される、内視鏡。
【請求項2】
前記第1の窓(20)が、平面状の光入口面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記第2の窓(22)が、平面状の光出口面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記照明デバイス(23)が、前記長手方向(L)に平行に配向された光出口軸(N22)を含み、前記撮像デバイス(21)が、前記長手方向(L)に対して0とは異なる鋭角(α)に配向された光軸(N20)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記撮像デバイス(21)が、前記シャンク(11)の前記遠位端(12)にいずれも不動に設置されたカメラ対物レンズ(24)および画像センサ(25)を備え、前記照明デバイス(23)が、前記シャンク(11)の前記遠位端(12)に不動に設置されたLED光源27を備えることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記カメラ対物レンズ(24)が、対物受光角度(o)を含み、前記照明デバイス(23)が、前記対物受光角度(o)よりも大きい照明ビーム角度(b)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記遠位端面(16)が、前記長手方向(L)に対して傾斜している表面法線(N17)を有する第1の表面セクション(17)を備え、前記第1の窓(20)は、前記第1の表面セクション(17)の完全に内側に配置され、前記遠位端面(16)が、前記長手方向(L)に平行に配向された表面法線(N18)を有する第2の表面セクション(18)を備え、前記第2の窓(22)は、前記第2の表面セクション(18)の内側に完全に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記内視鏡(10)が、前記シャンク(11)を通って長手方向に延びる作業チャネル(28)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記作業チャネル(28)が、好ましくは前記第2の表面セクション(18)によって完全に囲まれた口部を備えることを特徴とする、請求項7に記載の内視鏡。
【請求項10】
第3の窓(32)が、照明デバイス(33)が割り当てられた前記遠位端面(16)内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記第2の窓(22)および前記第3の窓(32)が、前記第1の表面セクション(17)に直接近接して、前記作業チャネル(28)の前記口部の2つの異なる側に配置されることを特徴とする、請求項9に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記照明デバイス(23)が、前記撮像デバイス(21)に対して、180°よりも小さい、好ましくは90°よりも小さい角度内で専ら横方向に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項13】
少なくとも1つの追加のチャネル(29)が、前記シャンク(11)の内側で前記作業チャネル(28)に平行に設けられ、前記追加のチャネル(29)の直径は、前記作業チャネル(28)の内径よりも小さいことを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記追加のチャネル(29)が、前記第1の窓(20)と前記第2の窓(22)との間に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記追加のチャネル(29)が、前記第1の表面セクション(17)の内側および前記第2の表面セクション(18)の内側に配置される口部を備えることを特徴とする、請求項13に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関し、特に脊柱内視鏡または他の目的、例えば泌尿器科用途のための内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
手術部位を検査するための内視鏡が、従来技術から知られている。その内視鏡は、外科医または別の処置者が患者の体内領域を見ることを可能にするのに役立つ。
【0003】
特許文献1および特許文献2は、遠位端にカメラが中央に配置された棒状シャンクを有するそのような内視鏡を開示している。カメラは、カメラ対物レンズの周りにリング状に配置された発光ダイオードによって形成された照明デバイスを備える。発光ダイオードは、リング状の窓を通して光を放射し、個々の発光ダイオードの放射方向は、カメラの光軸に平行であるか、またはそこから離れるように向けられている。発光カラーの個々の発光ダイオードの光の円錐は互いに重なり合い、その結果、合計で照明のビーム角が生成され、これは180°を超える可能性がある。しかしながら、発光ダイオードカラーの内側の中央に配置されたカメラ対物レンズは、さらに大きな受光角度を含む。
【0004】
特許文献3は、撮像デバイスおよび照明デバイスを有する作業チャネルを有する内視鏡を開示している。照明デバイスは、撮像デバイスのカメラ対物レンズの周りに四角形に配置された複数のLED光源を備える。カメラ対物レンズの視野方向およびLED照明の放射方向は同一であり、作業チャネルの長手方向に対応する。
【0005】
また、特許文献4は、一般に内視鏡シャンクの遠位端に配置されるカメラおよび照明を有する内視鏡を開示している。さらなる同様の先行技術は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13および特許文献14によって形成されている。
【0006】
提示された内視鏡では、基本的には、カメラが内視鏡シャンクの長手方向に平行に配向された光軸を備えると仮定される。
【0007】
加えて、上述の特許文献1から、照明およびカメラからなるユニットが内視鏡シャンクの長手方向軸に対して斜めの向きで設置され、その結果、カメラの視野方向が作業チャネルから突出する器具上に向けられる内視鏡が知られている。この配置では、器具に起因して、顕著なシャドウキャスティングが生じることがあり、その結果、カメラおよび照明デバイスの大きな開口角にもかかわらず、視認性が損なわれる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2022/043835号
【特許文献2】独国特許出願公開第102020008129号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102014208754号明細書
【特許文献4】スイス国特許発明第698893号明細書
【特許文献5】国際公開第2019/158168号
【特許文献6】国際公開第2021/175387号
【特許文献7】独国特許出願公開第102020134332号明細書
【特許文献8】米国特許第11529039号明細書
【特許文献9】国際公開第2021/175386号
【特許文献10】米国特許出願公開第2019/0246027号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第2415386号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第102013201809号明細書
【特許文献13】欧州特許第2311366号明細書
【特許文献14】米国特許第8308637号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこから出発して、本発明の目的は、良好な視認性状態を有する内視鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載の内視鏡によって解決される。
【0011】
本発明による内視鏡は、長手方向に沿って延在する長手方向シャンクであって、遠位端に設置された撮像デバイスと、同じく遠位端に設置された照明デバイスとを備える、長手方向シャンクを備える。シャンクは、その全長に沿って剛性に構成することができる。あるいは、シャンクは、1つまたは複数の位置においてまたは全体的に柔軟に構成することもできる。加えて、シャンクは、それぞれの作動手段によって具体的に曲げることができる遠位端を備えることができる。
【0012】
撮像デバイスは、画像センサと対物レンズとを備える。照明デバイスは、1つまたは複数のLED光源、好ましくは白色光LEDを備える。内視鏡の遠位端面には、撮像デバイスに割り当てられた第1の窓と、照明デバイスに割り当てられた第2の窓とが設けられる。第1の窓および第2の窓は、互いに傾斜している。これは、第1の窓の表面法線および第2の窓の表面法線が互いに鋭角を含むことを意味する。窓が平面状ではなくドーム状である場合、表面法線は、これに関して窓の中心に配置される。鋭角は、近位方向に開いており、すなわち、2つの表面法線の交点は、内視鏡の遠位端面から遠位に離れて配置されている。2つの表面法線が交差しない場合、2つの表面法線の互いに最も近い接近点は、内視鏡の遠位端面の前に遠位に配置される。
【0013】
第1の窓および第2の窓の互いに向かう傾きにより、撮像デバイスおよび照明デバイスの2つの光軸も鋭角を含む。照明デバイスは、好ましくは、内視鏡の長手方向に平行に、したがって任意選択的に設けられた作業チャネルに平行に配向された光軸を備える。照明デバイスの光軸は、照明デバイスによって放射される光の円錐の中心軸である。
【0014】
しかし、撮像デバイスの光軸は、シャンクの長手方向に対して傾斜している。さらに、撮像デバイスは、シャンクの中心軸に対して半径方向にオフセットして配置される。この構成では、術野および生体組織に影響を及ぼす器具の活動を特に明確かつ良好に認識することができる。照明デバイスの長手方向の配向により、放射光は、平行に配向されたツールに関連するグレージング光成分を含み、すなわち、放射光ビームの一部の光線は、作業チャネルから延在するツールに実質的に平行に、または内視鏡で使用されるツールに平行に延在する。グレージング光成分は、画像成分を強調し、高コントラストの画像をもたらす。側面からシーンを見るカメラは、良好に動作領域を俯瞰し、特に工具の軸方向移動を良好に追跡することができる。
【0015】
第1の窓および第2の窓は、それぞれ平面状の光入口面を有することができる。これらの窓は、内視鏡の遠位端面に面一に挿入することができ、それによって内視鏡を特に良好に洗浄および滅菌することができる。
【0016】
上述したように、撮像デバイスは、長手方向に対して0とは異なる鋭角に配向された光軸を含むことができる。この光軸は、特に、第1の窓(光入口窓)から始まるその延伸における光軸を指す。しかしながら、画像センサに向かう光路に沿って、光軸はまた、1つまたは複数の方向変化を受けることができ、対物レンズの内側で長手方向に平行に配向可能である。光軸のこのセクションは、好ましくは、シャンクの中心軸に対して横方向にオフセットして配置される。これにより、連続的に真っ直ぐな光軸を有する全体的に傾斜して配置された撮像デバイスと比較して、撮像デバイスの半径方向空間要件が低減される。この概念はまた、長手方向に顕著な伸長を有する対物レンズの使用を可能にする。そのような対物レンズは、複数の不動にまたは調整可能に配置されたレンズまたはプリズム、ミラーなどの他の光学素子を含むことができる。高画質の対物レンズを使用することができ、これにより高画質が可能になる。これにより、内視鏡を特に薄く構成することができる。
【0017】
照明デバイスの光軸は、既に述べたように、照明デバイスによって放射される光ビームの中心軸を形成する。この光円錐は、好ましくは対物レンズの受光角度よりも大きい照明ビーム角度を含む。これにより、手術の場所が十分な広さで広範囲に照明される。
【0018】
内視鏡の遠位端面が、長手方向に対して傾斜している表面法線を有する第1の平坦な表面セクションを備え、その遠位端面が、長手方向に平行に配向される表面法線を有する第2の平坦な表面セクションを備える場合が、有利である。好ましくは、表面セクションの傾斜は、その中に設けられた窓の傾斜に対応する。そうすることで、窓表面は、遠位端面の表面セクションに面一に挿入することができる。表面セクションは、無段階に互いに移行することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、第2の窓を含む第2の表面セクションが第1の窓を含む第1の表面セクションに対して近位方向にオフセットされるという点で、(小さい)ステップが2つの表面セクション間に配置される。そうすることで、第2の窓から第1の窓、したがって撮像デバイスへの直接的な光照射が回避される。これは、第2の窓が完全に透明である場合、すなわち関連する光散乱を提供するように構成されていない場合に特に当てはまる。
【0019】
最も単純な場合、そのような内視鏡は、追加のチャネルを備えない。しかしながら、内視鏡には、シャンクを通って長手方向に延びる1つまたは複数の作業チャネルを設けることもできる。そのような内視鏡は、手術の場所を見るために使用されるだけでなく、作業チャネルを通って手術の場所に案内されるプローブによってその場所に影響を及ぼすのにも役立つことができる。好ましくは、作業チャネルは、第2の表面セクションによって完全に囲まれた口部を備える。この場合、第2の表面セクションは、少なくとも1つ、好ましくは2つの光出口窓(第2および第3の窓)を備える。照明デバイスのこれらの窓と撮像デバイスの窓との間に、例えばフラッシング流体を供給または排出するのに役立つ追加のチャネルを設けることができる。これらのチャネルの口部は、2つの表面セクションに重なるように配置することができる。
【0020】
好ましくは、照明デバイスは、長手方向を横断する仮想線上に一緒に配置された2つの光出口窓を有する2つの光源のみを備え、仮想線は、好ましくは撮像デバイスと作業チャネルとの間のほぼ中央に配置される。そうすることで、有利な照明および撮像状態の結果、外科医のための手術領域の良好な概観をもたらす。また、空間を最適に利用することで、特に薄い内視鏡を構成することができる。さらに、2つの光源は、異なる波長範囲の光を放射するように構成することができる。追加的または代替的に、一方、両方または複数の光源は、異なる波長範囲の光を放射するように構成された発光素子、例えばLEDを備えることができる。例えば、1つの波長範囲は可視光の範囲内とすることができ、例えば白色光とすることができる。別の波長範囲は、不可視光、例えば赤外線、特に近赤外光、またはUV光の範囲内とすることができる。不可視光は、蛍光マーカの励起に役立つことができる。
【0021】
これにより、照明デバイスの第2および第3の窓は、第1の表面セクションに直接近接した作業チャネルの口部の2つの異なる位置に配置される。撮像デバイスから見ると、照明デバイスのすべての光源は、作業チャネルを有する内視鏡では180°未満の角度内で横断方向に、好ましくは作業チャネルのない内視鏡では90°未満の角度内に配置される。
【0022】
内視鏡の有利な実施形態のさらなる詳細は、実施形態および特許請求の範囲から導き出される。以下、本発明の実施形態を図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による内視鏡の概略斜視図である。
図2図1による内視鏡の遠位端の斜視図である。
図3図1および図2による内視鏡の遠位端の長手方向断面図である。
図4図1図3による内視鏡の遠位端面の正面図である。
図5】本発明による内視鏡の変形実施形態の遠位端の斜視図である。
図6図5による内視鏡の遠位端の長手方向断面図である。
図7図5および図6による内視鏡の遠位端面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には、患者の内視鏡治療に役立ち、例えば脊柱内視鏡として、または他の目的のための内視鏡としても使用することができる内視鏡10が示されている。内視鏡10は、剛性シャンクとして、または別の変形形態では可撓性シャンクとして構成することができる長手方向シャンク11を備える。長手方向シャンクは、その遠位端12からその近位端13まで延在し、近位端では内視鏡ヘッド14上に保持される。内視鏡ヘッド14には、例えば電気エネルギーを供給するための供給ラインを接続するように、またはプローブを挿入するための接続部として、または流体を供給もしくは排出するための接続部として構成することができる接続部15を設けることができる。さらに、内視鏡ヘッドには、信号伝送用の、例えば画像信号伝送用の接続部を設けることができる。
【0025】
内視鏡10の遠位端12は、図2に個別に示されている。好ましくは断面が円形の長手方向シャンク11は、その長手方向の延長部によって長手方向Lを画定し、これは図2において矢印によって表されている。
【0026】
長手方向円筒形シャンク11は、好ましくは直線状の分離線19で互いに移行する、好ましくは平坦な第1の表面セクション17および好ましくは平坦な第2の表面セクション18を有する遠位端面16をその遠位端12に含む。表面セクション17、18は、互いに無段階に移行することができる。あるいは、図3から明らかなように、分離線19に段差を設けることもできる。
【0027】
第1の表面セクション17には第1の窓20が配置されており、これは、図3から明らかな撮像デバイス21の光入口窓として役立つ。第2の表面セクション18には、照明デバイス23の光出口窓として機能する第2の窓22が配置されている。第1の窓20および第2の窓22は、遠位に平坦な表面を含むことができ、それらを完全に取り囲むそれぞれの表面セクション17、18と面一で終わることができる。
【0028】
表面セクション17は、長手方向Lに対して鋭角wに傾斜した表面法線N17を含む。分離線19から開始して、表面セクション17は、徐々に遠位方向に延在する。反対に、表面セクション18は、長手方向Lに平行に配向された表面法線N18を含む。したがって、表面法線N17、N18は、点Pにおいて遠位端面16から遠位に交差する。また、遠位端面16の遠位の前面では、第1および第2の窓20、22の表面法線N20、N22が交差する。
【0029】
図3に示すように、表面法線N20は、遠位端12の前面に延在する撮像デバイス21の光軸と一致する。撮像デバイス21は、対物レンズ24と、撮像センサ25とを備える。対物レンズの光路は、レンズおよびミラーまたはプリズムなどの他の光学素子を備えることができ、それにより、対物レンズの内側の光軸は少なくとも1つの偏向を受け、長手方向Lに平行に延在するセクション26をそこに含む。光軸における少なくとも1つの屈曲部または複数の屈曲部により、対物レンズ24および撮像センサ25全体を長手方向Lに配向された円筒形の輪郭の内側に配置できることが達成されるが、対物レンズ24、したがって撮像デバイス21全体は、長手方向Lに対して斜めに角度αの下で延びる表面法線N20によって表される視野方向を含む。
【0030】
対物レンズ24は、好ましくは、120°より小さい、好ましくは最大で80°以下(内気)の受光角度oを含む。水中では、受光角度oは約65°の量を有することができる。
【0031】
照明デバイス23は、白色光LEDとして構成することができるLED27などの発光半導体素子を備える。好ましくは、この素子は、発光材料を有する短波長発光LEDである。あるいは、複数の異なる色のLEDチップを設けることもでき、その光を白色光または調整可能な色の光に重ね合わせることができる。LED27によって放射された光は、好ましくは完全に透明または半透明である第2の窓22を通過する。窓22を出る光円錐のビーム角bを表す光出射角は、好ましくは、対物レンズ24の受光角度oよりも大きい。放射角または光出口角度は、例えば、90°から120°の間とすることができる。照明デバイス23から放射された光円錐の中心軸は、長手方向Lに平行に配向された表面法線N22によってマークされている。
【0032】
図4に示すように、照明デバイス23は、撮像デバイス21の片側にのみ配置される。第1の窓20の中心点Mから見ると、照明デバイス23ならびにその光出口窓22は、好ましくは90°未満である図4の破線によって示される角度βの内側に配置される。この配置により、特に薄いシャンク11を設計することができる。このシャンクは、図4に示すように、円形断面を含むことができる。あるいは、破線で示すように、シャンク11を過度に構成することもできる。
【0033】
図1図4は、作業チャネルのない内視鏡を示しているが、図5図7には、作業チャネル28、ならびに任意選択的に追加のチャネル、例えばフラッシングチャネル29、30を有する内視鏡が示されている。作業チャネル28ならびにフラッシングチャネル29、30は、好ましくは、シャンク11全体を通ってその遠位端12からその近位端13まで、および内視鏡ヘッド14に向かって長手方向Lに延在し、そこでそれぞれの接続部に接続される。
【0034】
図5による内視鏡はまた、上述したように、第1の窓20である光入口窓を有する撮像デバイス21を備える。内視鏡10、特に撮像デバイス21、その対物レンズ24および画像センサ25、ならびにシャンク11および遠位端面16の図1から図4を参照して提供された説明は、既に導入された参照符号に基づいて、図6に示す撮像デバイス21に適宜適用される。遠位端面16は、図1から図4の文脈で説明したように、長手方向Lに対して配向され、段差または分離線19で互いに隣接する表面セクション17、18にここでも分割される。
【0035】
しかしながら、図5および図7から明らかなように、第2の窓22に加えて、光出口窓として機能し、追加の照明デバイス33の一部である第3の窓32が存在する。照明デバイス33は、照明デバイス23と同様に構成されている。照明デバイス23、33は、作業チャネル28および光入口窓20を通って長手方向Lに中央に延びる平面に対して対称に配置される。それにより、図5に示すように、光出口窓22、32は、分離線19に平行に配置された平行線35、36の間に配置された線34上にそれらの中心点を有して配置され、平行線35は第1の窓20を通って中央に延在し、平行線36は作業チャネル28を通って中央に延在する。好ましくは、線34は、線35、36の間のほぼ中心にある。フラッシングチャネル29は、好ましくは、第1の窓20と第2の窓22との間に配置される。フラッシングチャネル30の口部は、第1の窓20と第3の窓32との間に配置される。そうすることで、シャンク11内の空間を最適に使用できる。その逆もまた同様であり、それによって、特に薄い内視鏡を設計することができる。
【0036】
照明デバイス23の構成に対応する照明デバイス33の構成は、図7の断面線VI-VIによる断面図である図6から明らかである。したがって、照明デバイス23の説明は、照明デバイス33およびそのLED37にも適宜当てはまる。図7から明らかなように、図7による内視鏡10のすべての照明デバイス23、33は、第1の窓20の中心点Mによってマークされた頂点を有する角度βの内側に配置され、この角度βは180°よりも小さい。
【0037】
ここまで説明した内視鏡10は、以下のように動作する。
【0038】
患者に使用するために、内視鏡10は、光学的に検査されるべき患者の身体の領域のその適切な開口部を通して挿入される。図1図4による内視鏡の場合、照明デバイス23が作動される。画像センサ25によって取り込まれた画像は、画像信号の形態で適切なモニタに送信される。モニタは、内視鏡ヘッド15に設けられたディスプレイ、その内視鏡ヘッドから分離された個別のディスプレイ、または処置者のVR眼鏡とすることもできる。別の方法で撮像デバイス21の視野内に持っていかれる器具が使用される場合、その器具も見ることができ、その使用を監視および制御することができる。それにより、内視鏡10はまた、そのシャンクと平行に患者に挿入されて使用される器具にも適している。長手方向Lに配向された照明デバイスの照明および長手方向Lに向かって傾斜した撮像デバイス21の視野方向の特別な配置により、術野および器具の操作の良好な全体像が保証される。
【0039】
これは、特に、作業チャネル28を通って挿入されたプローブの作業方向が、長手方向Lに平行な作業チャネル28によって画定される、図5から図7による内視鏡に適用される。作業チャネル28の両側にあるが、撮像デバイス21に向かってわずかにオフセットされた2つの照明デバイス23、33の配置により、シャドウキャスティングがなく、器具の操作のために最適化された視野方向を有する術野の良好な照明が達成される。
【0040】
本発明による内視鏡10は、互いに鈍角を含む2つの表面セクション17、18を有する遠位端面16を備え、一方の表面セクション17は長手方向に対して傾斜して配向され、他方の表面セクション18は長手方向Lに対して横断方向に配置される。撮像デバイス21は、好ましくは表面セクション17に対して面一に取り付けられる方法で配置された光入口窓20を有する対物レンズを備え、撮像デバイス21は、円筒形の長手方向に配向された輪郭の内側に配置されているが、それにもかかわらず、長手方向に対して斜めに配向された視野方向を含む。撮像デバイス21の一部である対物レンズ24は、少なくとも1つの屈曲部を有する光軸を含み、その結果、対物レンズは、長手方向に配向されたセクション26と、斜めに配向された外側セクションN20とを備える。反対に、照明デバイス23(33)は、長手方向に配向され、撮像デバイス21の対物レンズ24の受光角度oよりも大きい放射角度を含む。
【符号の説明】
【0041】
10 内視鏡
11 シャンク
12 シャンク11の遠位端
13 シャンク11の近位端
14 内視鏡ヘッド
15 内視鏡ヘッド上の接続部
L 長手方向
16 遠位端面
17 遠位端面16の第1の表面セクション
18 遠位端面16の第2の表面セクション
19 分離線
20 第1の窓/光入口窓
21 撮像デバイス
22 第2の窓/光出口窓
23 照明デバイス
b 照明デバイス23のビーム角度
N17 表面セクション17の表面法線
N18 表面セクション18の表面法線
N20 第1の窓20の表面法線
N22 第2の窓22の表面法線
P 端面16の遠位の交点
24 対物レンズ
o 対物レンズ24の受光角度
25 画像センサ
26 対物レンズ24の光軸の断面
27 LED
M 第1の窓20の中心点
α,β 角度
28 作業チャネル
29,30 フラッシングチャネル
32 第3の窓/光入口窓
33 第3の照明デバイス
34 線
35 平行線
36 平行線
37 LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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【外国語明細書】
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