IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特開2024-144288シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144288
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20241003BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   F28D 1/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F28F3/08 301
F28F3/00 311
F28F3/08 311
F28D1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048199
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2023053823
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 大地
(72)【発明者】
【氏名】山口 正喜
(72)【発明者】
【氏名】沼田 光春
(72)【発明者】
【氏名】市村 修平
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
(57)【要約】
【課題】プレート積層体全体として熱交換効率を高める。
【解決手段】仕切部材(5)は、プレート積層体(30)と冷媒入口(21)との間に配置される。仕切部材(5)は、プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる。仕切部材(5)は、複数の連通孔(50)を有する。複数の連通孔(50)は、中央熱交換部(35)、第1熱交換部(36)、及び第2熱交換部(37)に対向する位置で、プレート積層体(30)に向かって開口する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、
前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、
前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、
前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有する
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項2】
請求項1のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、
前記第1仕切板(61)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、
前記内部流路(55)は、
前記第1方向に沿って延び、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒を前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)の下方位置に導く第1流路(56)と、
前記第1流路(56)の前記第1方向の端部で折り返され、前記第1流路(56)を通過した冷媒を前記中央熱交換部(35)の下方位置に導く第2流路(57)と、を含み、
前記連通孔(50)は、
前記第1仕切板(61)に設けられ、前記第1流路(56)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第1連通孔(58)と、
前記第1仕切板(61)に設けられ、前記第2流路(57)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第2連通孔(59)と、を含む
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項3】
請求項1のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)と、前記第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ前記第1方向に沿って延びる第2仕切板(62)と、を有し、
前記第2仕切板(62)には、前記冷媒入口(21)の下流端が接続され、
前記第1仕切板(61)と前記第2仕切板(62)との間には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、
前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第1連通孔(68)を含み、
前記第2仕切板(62)には、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)とは反対側に開口する複数の第2連通孔(69)が設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項1のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、
前記第1仕切板(61)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、
前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口し、
前記内部流路(55)に配置され、冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを撹拌する撹拌部材(82)を備える
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項5】
請求項1のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)と、前記第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ前記第1方向に沿って延びる第2仕切板(62)と、を有し、
前記第1仕切板(61)と前記第2仕切板(62)との間には、上側流路(76)が設けられ、
前記第2仕切板(62)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する下側流路(77)が設けられ、
前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記上側流路(76)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する上側連通孔(78)を含み、
前記第2仕切板(62)には、前記上側流路(76)と前記下側流路(77)とに連通する複数の下側連通孔(79)が設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが70%以下で、且つ、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが30%以下である
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項7】
請求項6のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが40%以下で、且つ、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが20%以下である
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項8】
請求項1~5の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置に設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項9】
請求項1~5の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項10】
請求項1~5の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記複数の連通孔(50)のうち、前記冷媒入口(21)に最も近い位置の前記連通孔(50)の孔径d1、前記冷媒入口(21)から最も離れた位置の前記連通孔(50)の孔径d2が、d1<d2という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項11】
請求項1~4の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられ、
前記第1仕切板(61)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、
前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、
前記第1仕切板(61)の板厚方向から見て、前記第1仕切板(61)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、
前記複数の連通孔(50)のうち、前記第1領域に形成された前記連通孔(50)の孔径d3、前記第2領域に形成された前記連通孔(50)の孔径d4が、d3>d4という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項12】
請求項5のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から積層方向にずれた位置に設けられ、
前記第2仕切板(62)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、
前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、
前記第2仕切板(62)の板厚方向から見て、前記第2仕切板(62)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、
前記複数の下側連通孔(79)のうち、前記第1領域に形成された前記下側連通孔(79)の孔径d5、前記第2領域に形成された前記下側連通孔(79)の孔径d6が、d5>d6という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項13】
請求項2のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられ、
前記第1仕切板(61)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、
前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、
前記第1仕切板(61)の板厚方向から見て、前記第1流路(56)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、
前記第1領域の流路幅L1、前記第2領域の流路幅L2が、L1>L2という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項14】
請求項1~5の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、
前記シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒が流入する圧力容器と、圧力容器の長手軸方向に間隔を空けて配置された複数の伝熱管支持板と、複数の伝熱管支持板に貫通して設置された伝熱管群と、を備えた蒸発器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-072343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の発明では、圧力容器の冷媒入口から冷媒出口に向かって冷媒が流れる際に、圧力容器の長手軸方向における冷媒の流通量がばらついていたとしても、複数の伝熱管支持板の間で長手軸方向にも冷媒が流れることで、長手軸方向の冷媒の流通量のばらつきが低減される。
【0005】
これに対し、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレートを有するプレート積層体を備えたシェルアンドプレート式熱交換器の場合には、複数の伝熱プレートの間を流れる冷媒は、積層方向に流れることができない。
【0006】
そのため、プレート積層体の積層方向における冷媒の流通量がばらついていた場合、そのばらつきが解消されることなく冷媒の熱交換が行われてしまい、プレート積層体全体として熱交換効率が低下するという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、プレート積層体全体として熱交換効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有する。
【0009】
第1の態様では、仕切部材(5)によって、第1方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することで、プレート積層体(30)全体として熱交換効率を高めることができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、第1の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、前記第1仕切板(61)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、前記内部流路(55)は、前記第1方向に沿って延び、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒を前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)の下方位置に導く第1流路(56)と、前記第1流路(56)の前記第1方向の端部で折り返され、前記第1流路(56)を通過した冷媒を前記中央熱交換部(35)の下方位置に導く第2流路(57)と、を含み、前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記第1流路(56)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第1連通孔(58)と、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記第2流路(57)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第2連通孔(59)と、を含む。
【0011】
第2の態様では、冷媒入口(21)から流入した冷媒を、第1流路(56)によって第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導き、第1流路(56)を通過した冷媒を中央熱交換部(35)の下方位置に導くことで、第1方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することができる。
【0012】
本開示の第3の態様は、第1の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)と、前記第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ前記第1方向に沿って延びる第2仕切板(62)と、を有し、前記第2仕切板(62)には、前記冷媒入口(21)の下流端が接続され、前記第1仕切板(61)と前記第2仕切板(62)との間には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第1連通孔(68)を含み、前記第2仕切板(62)には、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)とは反対側に開口する複数の第2連通孔(69)が設けられる。
【0013】
第3の態様では、冷媒入口(21)から流入した冷媒を、内部流路(55)によって第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導き、第1連通孔(68)からガス冷媒を流出させ、第2連通孔(69)から液冷媒を流出させることで、第1方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することができる。
【0014】
本開示の第4の態様は、第1の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、前記第1仕切板(61)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口し、前記内部流路(55)に配置され、冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを撹拌する撹拌部材(82)を備える。
【0015】
第4の態様では、冷媒入口(21)から流入した冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを、第1方向に流通させる際に、撹拌部材(82)によって撹拌させることで、第1方向における液冷媒とガス冷媒との比率のばらつきを低減することができる。
【0016】
本開示の第5の態様は、第1の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)と、前記第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ前記第1方向に沿って延びる第2仕切板(62)と、を有し、前記第1仕切板(61)と前記第2仕切板(62)との間には、上側流路(76)が設けられ、前記第2仕切板(62)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する下側流路(77)が設けられ、前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記上側流路(76)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する上側連通孔(78)を含み、前記第2仕切板(62)には、前記上側流路(76)と前記下側流路(77)とに連通する複数の下側連通孔(79)が設けられる。
【0017】
第5の態様では、冷媒入口(21)から流入した冷媒を、下側流路(77)によって第1方向に流通させた後、上側流路(76)によって第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導くことで、冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを撹拌させるとともに、第1方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することができる。
【0018】
本開示の第6の態様は、第1~5の態様の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、前記中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが70%以下で、且つ、前記中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが30%以下である。
【0019】
第6の態様では、第1方向における冷媒の乾き度及び液冷媒の質量流量を適切に設定することで、プレート積層体(30)全体として熱交換効率を高めることができる。
【0020】
本開示の第7の態様は、第6の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが40%以下で、且つ、前記中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが20%以下である。
【0021】
第7の態様では、第1方向における冷媒の乾き度及び液冷媒の質量流量を適切に設定することで、プレート積層体(30)全体として熱交換効率を高めることができる。
【0022】
本開示の第8の態様は、第1~5の態様の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置に設けられる。
【0023】
第8の態様では、冷媒入口(21)を第1方向の中央位置に設けることで、冷媒入口(21)から内部空間(15)へ流入した冷媒を、第1方向の両端側に向かって均等に分配することができる。
【0024】
本開示の第9の態様は、第1~5の態様の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられる。
【0025】
第9の態様では、冷媒入口(21)を第1方向の中央位置から第1方向にずれた位置に設けることで、冷媒入口(21)を任意の位置に配置することができる。
【0026】
本開示の第10の態様は、第1~5の態様の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、前記複数の連通孔(50)のうち、前記冷媒入口(21)に最も近い位置の前記連通孔(50)の孔径d1、前記冷媒入口(21)から最も離れた位置の前記連通孔(50)の孔径d2が、d1<d2という条件を満たす。
【0027】
第10の態様では、冷媒入口(21)から遠い位置の連通孔(50)に冷媒が流れ易くなるように、連通孔(50)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0028】
本開示の第11の態様は、第1~4の態様の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられ、前記第1仕切板(61)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、前記第1仕切板(61)の板厚方向から見て、前記第1仕切板(61)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、前記複数の連通孔(50)のうち、前記第1領域に形成された前記連通孔(50)の孔径d3、前記第2領域に形成された前記連通孔(50)の孔径d4が、d3>d4という条件を満たす。
【0029】
第11の態様では、第1仕切板(61)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域の連通孔(50)に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の連通孔(50)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0030】
本開示の第12の態様は、第5の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から積層方向にずれた位置に設けられ、前記第2仕切板(62)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、前記第2仕切板(62)の板厚方向から見て、前記第2仕切板(62)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、前記複数の下側連通孔(79)のうち、前記第1領域に形成された前記下側連通孔(79)の孔径d5、前記第2領域に形成された前記下側連通孔(79)の孔径d6が、d5>d6という条件を満たす。
【0031】
第12の態様では、第2仕切板(62)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域の下側連通孔(79)に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の下側連通孔(79)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0032】
本開示の第13の態様は、第2の態様のシェルアンドプレート式熱交換器において、前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられ、前記第1仕切板(61)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、前記第1仕切板(61)の板厚方向から見て、前記第1流路(56)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、前記第1領域の流路幅L1、前記第2領域の流路幅L2が、L1>L2という条件を満たす。
【0033】
第13の態様では、第1流路(56)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の流路幅を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0034】
本開示の第14の態様は、第1~5の態様の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、前記シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える冷凍装置である。
【0035】
第14の態様では、シェルアンドプレート式熱交換器(10)を備えた冷凍装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本実施形態1の冷凍装置の構成を示す冷媒回路図である。
図2図2は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す側面断面図である。
図3図3は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す正面断面図である。
図4図4は、プレート積層体の構成を示す側面断面図である。
図5図5は、仕切部材の構成を示す平面図である。
図6図6は、図2のA-A矢視断面図である。
図7図7は、本実施形態2のシェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す側面断面図である。
図8図8は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す正面断面図である。
図9図9は、図7のB1-B1矢視断面図である。
図10図10は、図7のB2-B2矢視断面図である。
図11図11は、本実施形態2の変形例に係る仕切部材の図9相当図である。
図12図12は、本実施形態2の変形例に係る仕切部材の図10相当図である。
図13図13は、本実施形態3のシェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す側面断面図である。
図14図14は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す正面断面図である。
図15図15は、図13のC1-C1矢視断面図である。
図16図16は、図13のC2-C2矢視断面図である。
図17図17は、図13のC3-C3矢視断面図である。
図18図18は、本実施形態4のシェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す側面断面図である。
図19図19は、シェルアンドプレート式熱交換器の構成を示す正面断面図である。
図20図20は、図18のD-D矢視断面図である。
図21図21は、本実施形態5の仕切部材の構成を示す平面図である。
図22図22は、冷媒入口の位置を示す平面断面図である。
図23図23は、本実施形態6の仕切部材の構成を示す平面図である。
図24図24は、冷媒入口の位置を示す平面断面図である。
図25図25は、本実施形態7の仕切部材の構成を示す平面図である。
図26図26は、冷媒入口の位置を示す平面断面図である。
図27図27は、本実施形態8の仕切部材の構成を示す平面図である。
図28図28は、冷媒入口の位置を示す平面断面図である。
図29図29は、本実施形態9の仕切部材の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
《実施形態1》
図1に示すように、シェルアンドプレート式熱交換器(10)(以下では、「熱交換器という」)は、冷凍装置(1)に設けられる。冷凍装置(1)は、冷媒が充填された冷媒回路(1a)を有する。冷媒回路(1a)は、圧縮機(2)、放熱器(3)、減圧機構(4)、及び蒸発器としての熱交換器(10)を有する。減圧機構(4)は、例えば、膨張弁である。冷媒回路(1a)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0038】
冷凍装置(1)は、空気調和装置である。空気調和装置は、冷房専用機、暖房専用機、あるいは冷房と暖房とを切り換える空気調和装置であってもよい。この場合、空気調和装置は、冷媒の循環方向を切り換える切換機構(例えば四方切換弁)を有する。冷凍装置(1)は、給湯器、チラーユニット、庫内の空気を冷却する冷却装置などであってもよい。冷却装置は、冷蔵庫、冷凍庫、コンテナなどの内部の空気を冷却する。
【0039】
〈熱交換器〉
図2及び図3に示すように、熱交換器(10)は、シェル(11)と、プレート積層体(30)と、を有する。プレート積層体(30)は、シェル(11)の内部空間(15)に収容される。
【0040】
シェル(11)の内部空間(15)には、冷媒が流入する。冷媒は、ガス冷媒と、液冷媒と、を含む。冷媒は、プレート積層体(30)内を流通する熱媒体と熱交換する。このように、熱交換器(10)は、シェル(11)内の内部空間(15)へ流入した冷媒を蒸発させることによって、蒸発器として機能する。なお、熱媒体としては、例えば、水やブラインが用いられる。
【0041】
〈シェル〉
シェル(11)は、筒状体(12)と、第1閉塞部材(13)と、第2閉塞部材(14)と、を有する。筒状体(12)は、水平方向に延びて軸方向の両端が開口した円筒状の部材で構成される。
【0042】
第1閉塞部材(13)は、円板状の部材で構成される。第1閉塞部材(13)は、筒状体(12)の一端側(図2で左端側)の開口を塞ぐ。第1閉塞部材(13)は、溶接によって筒状体(12)に取り付けられる。
【0043】
第2閉塞部材(14)は、円板状の部材で構成される。第2閉塞部材(14)は、筒状体(12)の他端側(図2で右端側)の開口を塞ぐ。第2閉塞部材(14)は、溶接によって筒状体(12)に取り付けられる。
【0044】
シェル(11)は、筒状体(12)、第1閉塞部材(13)、及び第2閉塞部材(14)によって、内部空間(15)を形成する。内部空間(15)内には、液冷媒が貯留される。内部空間(15)には、プレート積層体(30)が収容される。
【0045】
筒状体(12)には、冷媒入口(21)と、冷媒出口(22)と、が設けられる。冷媒入口(21)は、筒状体(12)の底部に設けられる。冷媒は、冷媒入口(21)から内部空間(15)に導入される。冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部におけるプレート積層体(30)の積層方向の中央位置に設けられる。
【0046】
冷媒出口(22)は、筒状体(12)の上部に設けられる。内部空間(15)で蒸発した冷媒は、冷媒出口(22)からシェル(11)外に導出される。冷媒入口(21)及び冷媒出口(22)は、冷媒回路(1a)に接続される。
【0047】
第1閉塞部材(13)には、熱媒体入口(23)と、熱媒体出口(24)と、が設けられる。熱媒体入口(23)及び熱媒体出口(24)は、管状の部材である。
【0048】
熱媒体入口(23)は、第1閉塞部材(13)を貫通する。熱媒体入口(23)は、プレート積層体(30)の熱媒体導入路(33)に接続される。熱媒体入口(23)は、熱媒体をプレート積層体(30)へ供給する。シェル(11)の内部空間(15)へ流入した冷媒と、プレート積層体(30)の後述する熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とが熱交換する。
【0049】
熱媒体出口(24)は、熱媒体入口(23)よりも上方位置で、第1閉塞部材(13)を貫通する。熱媒体出口(24)は、プレート積層体(30)の熱媒体導出路(34)に接続される。熱媒体出口(24)は、プレート積層体(30)から熱媒体を導出する。
【0050】
〈プレート積層体〉
プレート積層体(30)は、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有する。プレート積層体(30)は、伝熱プレート(40)の積層方向が横方向となる姿勢で、シェル(11)の内部空間(15)に収容される。なお、以下の説明では、プレート積層体(30)の積層方向を第1方向と呼ぶ。
【0051】
図4に示すように、伝熱プレート(40)は、第1プレート(40a)と、第2プレート(40b)と、を含む。プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)と第2プレート(40b)とが、交互に積層される。以下の説明では、第1プレート(40a)と第2プレート(40b)のそれぞれについて、図4における左側の面を表面とし、図5における右側の面を裏面とする。
【0052】
〈熱媒体導入路、熱媒体導出路〉
第1プレート(40a)は、入口凸部(41a)と、出口凸部(43a)と、を有する。入口凸部(41a)及び出口凸部(43a)は、第1プレート(40a)の一部を表面側に膨出させることで形成される。
【0053】
入口凸部(41a)は、第1プレート(40a)の下部に形成される。入口凸部(41a)の中心部には、第1入口孔(42a)が形成される。第1入口孔(42a)は、第1プレート(40a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。
【0054】
出口凸部(43a)は、第1プレート(40a)の上部に形成される。出口凸部(43a)の中心部には、第1出口孔(44a)が形成される。第1出口孔(44a)は、第1プレート(40a)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。
【0055】
第2プレート(40b)は、入口凹部(41b)と、出口凹部(43b)と、を有する。入口凹部(41b)及び出口凹部(43b)は、第2プレート(40b)の一部を裏面側に膨出させることで形成される。
【0056】
入口凹部(41b)は、第2プレート(40b)の下部に形成される。入口凹部(41b)の中心部には、第2入口孔(42b)が形成される。第2入口孔(42b)は、第2プレート(40b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。入口凹部(41b)は、第1プレート(40a)の入口凸部(41a)に対応する位置に形成される。第2入口孔(42b)は、第1プレート(40a)の第1入口孔(42a)に対応する位置に形成される。
【0057】
出口凹部(43b)は、第2プレート(40b)の上部に形成される。出口凹部(43b)の中心部には、第2出口孔(44b)が形成される。第2出口孔(44b)は、第2プレート(40b)を厚さ方向に貫通する円形の孔である。出口凹部(43b)は、第1プレート(40a)の出口凸部(43a)に対応する位置に形成される。第2出口孔(44b)は、第1プレート(40a)の第1出口孔(44a)に対応する位置に形成される。
【0058】
プレート積層体(30)において、第1プレート(40a)の周縁部と、第1プレート(40a)の裏面側に隣接する第2プレート(40b)の周縁部とは、溶接によって全周に亘って接合される。なお、ロウ付けによって接合してもよい。
【0059】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の第1入口孔(42a)と、第1プレート(40a)の表面側に隣接する第2プレート(40b)の第2入口孔(42b)と、が重なり合う。重なり合った第1入口孔(42a)及び第2入口孔(42b)の縁部が、溶接によって全周に亘って接合される。なお、ロウ付けによって接合してもよい。第1入口孔(42a)及び第2入口孔(42b)は、後述する熱媒体流路(32)に連通して、熱媒体流路(32)へ熱媒体を導入する。
【0060】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の第1出口孔(44a)と、第1プレート(40a)の表面側に隣接する第2プレート(40b)の第2出口孔(44b)と、が重なり合う。重なり合った第1出口孔(44a)及び第2出口孔(44b)の縁部が、溶接によって全周に亘って接合される。なお、ロウ付けによって接合してもよい。第1出口孔(44a)及び第2出口孔(44b)は、後述する熱媒体流路(32)に連通して、熱媒体流路(32)から熱媒体を導出する。
【0061】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の入口凸部(41a)及び第1入口孔(42a)と、第2プレート(40b)の入口凹部(41b)及び第2入口孔(42b)と、によって、熱媒体導入路(33)が形成される。
【0062】
プレート積層体(30)では、第1プレート(40a)の出口凸部(43a)及び第1出口孔(44a)と、第2プレート(40b)の出口凹部(43b)及び第2出口孔(44b)と、によって、熱媒体導出路(34)が形成される。
【0063】
熱媒体導入路(33)は、プレート積層体(30)における伝熱プレート(40)の積層方向に延びる通路である。熱媒体導入路(33)は、シェル(11)の内部空間(15)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(32)を熱媒体入口(23)に連通させる。
【0064】
熱媒体導出路(34)は、プレート積層体(30)における伝熱プレート(40)の積層方向に延びる通路である。熱媒体導出路(34)は、シェル(11)の内部空間(15)から遮断された通路であり、全ての熱媒体流路(32)を熱媒体出口(24)に連通させる。
【0065】
〈冷媒流路、熱媒体流路〉
プレート積層体(30)は、冷媒流路(31)と、熱媒体流路(32)と、を有する。冷媒流路(31)及び熱媒体流路(32)は、伝熱プレート(40)を挟んで複数ずつ形成される。冷媒流路(31)及び熱媒体流路(32)は、伝熱プレート(40)によって互いに仕切られる。第1プレート(40a)及び第2プレート(40b)にはそれぞれ、細長い畝状の凹凸が繰り返し形成される。
【0066】
第1プレート(40a)には、第1表側凸部(45a)と、第1裏側凸部(47a)と、が繰り返し交互に設けられる。第1表側凸部(45a)は、第1プレート(40a)の表側に膨出する。第1裏側凸部(47a)は、第1プレート(40a)の裏側に膨出する。
【0067】
第2プレート(40b)には、第2表側凸部(47b)と、第2裏側凸部(45b)と、が繰り返し交互に設けられる。第2表側凸部(47b)は、第2プレート(40b)の表側に膨出する。第2裏側凸部(45b)は、第2プレート(40b)の裏側に膨出する。
【0068】
冷媒流路(31)は、第1プレート(40a)の表面と、第2プレート(40b)の裏面と、に挟まれた流路である。冷媒流路(31)は、シェル(11)の内部空間(15)に連通して冷媒が流れる流路である。
【0069】
具体的に、冷媒流路(31)は、第1裏側凸部(47a)の表面と第2表側凸部(47b)の裏面との間に形成される流路と、第1表側凸部(45a)と第2裏側凸部(45b)との間に形成される空間と、を含む。
【0070】
熱媒体流路(32)は、第1プレート(40a)の裏面と、第2プレート(40b)の表面と、に挟まれた流路である。熱媒体流路(32)は、シェル(11)の内部空間(15)から遮断されて熱媒体が流れる流路である。
【0071】
具体的に、熱媒体流路(32)は、第1表側凸部(45a)の裏面と第2裏側凸部(45b)の表面との間に形成される流路と、第1裏側凸部(47a)と第2表側凸部(47b)との間に形成される空間と、を含む。
【0072】
〈熱媒体及び冷媒の流れ〉
熱交換器(10)内における熱媒体及び冷媒の流れについて説明する。なお、図4には、熱媒体の流れを矢印線で示す。
【0073】
図4に示すように、熱媒体は、熱媒体入口(23)から熱媒体導入路(33)に流入する。熱媒体導入路(33)を流通する熱媒体は、第1入口孔(42a)及び第2入口孔(42b)から第1出口孔(44a)及び第2出口孔(44b)に向かって熱媒体流路(32)を流通する。
【0074】
具体的に、熱媒体導入路(33)を流通する熱媒体は、熱媒体流路(32)に流入する。熱媒体は、熱媒体流路(32)を伝って流れると同時に、第1裏側凸部(47a)と第2表側凸部(47b)との間に形成される空間を通過して、熱媒体流路(32)の上側に隣接する熱媒体流路(32)に流れる。このように、熱媒体は、伝熱プレート(40)の両側端に亘るように流れつつ、上方に向かって流れる。
【0075】
次に、冷媒の流れについて説明する。冷媒回路(1a)において減圧機構(4)を通過した冷媒は、熱交換器(10)に向かって流れる。液冷媒は、冷媒入口(21)からシェル(11)の内部空間(15)に流入する。内部空間(15)において、液冷媒は、プレート積層体(30)の上端近傍まで貯留される。プレート積層体(30)は、液冷媒に浸った状態となる。内部空間(15)に貯留される冷媒は、比較的低圧である。低圧冷媒は、熱媒体流路(32)を流れる熱媒体と熱交換する。
【0076】
具体的に、冷媒流路(31)と熱媒体流路(32)とは、伝熱プレート(40)を挟んで隣接しているため、熱媒体流路(32)に熱媒体が流れると、液冷媒は、熱媒体から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、冷媒流路(31)からプレート積層体(30)よりも上方に向かって移動する。蒸発した冷媒は、冷媒出口(22)より冷媒回路へ流出する。
【0077】
〈仕切部材について〉
ところで、本実施形態のシェルアンドプレート式熱交換器(10)では、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有するプレート積層体(30)を備えた構成であるため、複数の伝熱プレート(40)の間を流れる冷媒は、積層方向に流れることができない。
【0078】
そのため、プレート積層体(30)の積層方向における冷媒の流通量がばらついていた場合、そのばらつきが解消されることなく冷媒の熱交換が行われてしまい、プレート積層体(30)全体として熱交換効率が低下するという問題がある。
【0079】
そこで、本実施形態では、プレート積層体(30)全体として熱交換効率を高めることができるようにした。
【0080】
図2に示すように、プレート積層体(30)を積層方向に3つに均等区分した場合に、積層方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、中央熱交換部(35)よりも積層方向の一端側(図2で左端側)に位置する部分を第1熱交換部(36)、中央熱交換部(35)よりも積層方向の他端側(図2で右端側)に位置する部分を第2熱交換部(37)とする。
【0081】
図3にも示すように、熱交換器(10)は、仕切部材(5)を備える。仕切部材(5)は、中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、のばらつきを低減する。
【0082】
具体的に、仕切部材(5)は、プレート積層体(30)よりも下方に配置される。仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、一対のガイド板(52)と、第1側壁部(63)と、を有する。
【0083】
第1仕切板(61)は、プレート積層体(30)と、冷媒入口(21)と、を仕切る。第1仕切板(61)は、シェル(11)の内部空間(15)において、第1閉塞部材(13)と第2閉塞部材(14)との間でプレート積層体(30)の積層方向に沿って延びる。
【0084】
以下、プレート積層体(30)の積層方向を第1方向(図2の左右方向)、第1方向に直交する第1仕切板(61)の幅方向を第2方向(図3の左右方向)という。
【0085】
第1側壁部(63)は、第1仕切板(61)における第2方向の両端の縁部を下方に向かって傾斜するように折り曲げることで形成される。第1側壁部(63)の第2方向の両端部は、シェル(11)の筒状体(12)の内周面に当接する。
【0086】
これにより、仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、プレート積層体(30)の積層方向に沿って延びる。内部流路(55)には、冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する。内部流路(55)は、第1仕切板(61)と、第1側壁部(63)と、筒状体(12)と、第1閉塞部材(13)と、第2閉塞部材(14)と、で囲まれた空間に設けられる。
【0087】
一対のガイド板(52)は、第1仕切板(61)の下部に設けられる。一対のガイド板(52)は、第2方向に互いに間隔をあけた状態で、プレート積層体(30)の積層方向に沿って延びる。一対のガイド板(52)の第1方向の両端部は、第1仕切板(61)の第1方向の両端部よりも内側に配置される(図5参照)。これにより、ガイド板(52)の左端部と第1閉塞部材(13)との間と、ガイド板(52)に右端部と第2閉塞部材(14)との間には、隙間が設けられる。
【0088】
一対のガイド板(52)は、下方に向かうほど第1仕切板(61)の第2方向の外方に向かって広がるように傾斜する。一対のガイド板(52)の下端部は、シェル(11)の筒状体(12)の内周面に当接する。
【0089】
これにより、内部流路(55)は、第1流路(56)と、第2流路(57)と、を含む。第1流路(56)は、一対のガイド板(52)の間に設けられる空間で構成される。第1流路(56)は、冷媒入口(21)から流入した冷媒を第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導く。
【0090】
第2流路(57)は、第1仕切板(61)の第2方向の両端部における折り曲げ部分である第1側壁部(63)と、ガイド板(52)との間の空間で構成される。第2流路(57)は、第1流路(56)の第1方向の端部で折り返され、第1流路(56)を通過した冷媒を中央熱交換部(35)の下方位置に導く。
【0091】
図5及び図6にも示すように、仕切部材(5)は、第1連通孔(58)と、第2連通孔(59)と、を有する。第1連通孔(58)及び第2連通孔(59)は、第1仕切板(61)に設けられる。
【0092】
第1連通孔(58)は、第1流路(56)に連通してプレート積層体(30)に向かって開口する。第1連通孔(58)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。第1連通孔(58)は、第1流路(56)を流通する冷媒に含まれるガス冷媒を排出する。
【0093】
第2連通孔(59)は、第2流路(57)に連通してプレート積層体(30)に向かって開口する。第2連通孔(59)は、第1仕切板(61)の第1方向に間隔をあけて複数設けられる。第2連通孔(59)は、第2流路(57)を流通する冷媒に含まれる液冷媒を排出する。
【0094】
このように、冷媒入口(21)からシェル(11)の内部空間(15)に流入した冷媒は、仕切部材(5)の第1流路(56)を通過して、第1方向に沿って流れる。これにより、プレート積層体(30)における、中央熱交換部(35)、第1熱交換部(36)、及び第2熱交換部(37)に対して、冷媒を分配させることができる。
【0095】
ここで、中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが70%以下、特に、40%以下であることが好ましい。
【0096】
さらに、中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが30%以下、特に、20%以下であることが好ましい。
【0097】
-実施形態1の効果-
本実施形態の特徴によれば、仕切部材(5)によって、プレート積層体(30)の積層方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することで、プレート積層体(30)全体として熱交換効率を高めることができる。
【0098】
本実施形態の特徴によれば、冷媒入口(21)から流入した冷媒を、第1流路(56)によって第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導き、第1流路(56)を通過した冷媒を中央熱交換部(35)の下方位置に導くことで、プレート積層体(30)の積層方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することができる。
【0099】
本実施形態の特徴によれば、プレート積層体(30)の積層方向における冷媒の乾き度及び液冷媒の質量流量を適切に設定することで、プレート積層体(30)全体として熱交換効率を高めることができる。
【0100】
本実施形態の特徴によれば、冷媒入口(21)を第1方向の中央位置に設けることで、冷媒入口(21)から内部空間(15)へ流入した冷媒を、第1方向の両端側に向かって均等に分配することができる。
【0101】
本実施形態の特徴によれば、シェルアンドプレート式熱交換器(10)と、シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える。これにより、シェルアンドプレート式熱交換器(10)を備えた冷凍装置を提供できる。
【0102】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0103】
図7に示すように、熱交換器(10)は、仕切部材(5)を備える。仕切部材(5)は、中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、のばらつきを低減する。
【0104】
仕切部材(5)は、プレート積層体(30)よりも下方に配置される。仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、第2仕切板(62)と、第1側壁部(63)と、を有する。
【0105】
図8にも示すように、第1仕切板(61)は、第1方向に沿って延びる。第2仕切板(62)は、第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ第1方向に沿って延びる。第1側壁部(63)は、第1仕切板(61)と第2仕切板(62)の周縁部に沿って延び、第1仕切板(61)と第2仕切板(62)とを連結する。
【0106】
これにより、仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する箱状の部材で構成される。仕切部材(5)は、シェル(11)の内部空間(15)において、第1閉塞部材(13)と第2閉塞部材(14)との間で第1方向に沿って延びる。
【0107】
第2仕切板(62)には、冷媒入口(21)の下流端が接続される。冷媒入口(21)は、プレート積層体(30)の中央熱交換部(35)の下方に配置される。
【0108】
内部流路(55)には、冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する。内部流路(55)は、冷媒入口(21)から中央熱交換部(35)の下方位置に流入した冷媒を、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導く。
【0109】
仕切部材(5)は、第1連通孔(68)と、第2連通孔(69)と、を有する。第1連通孔(68)は、第1仕切板(61)に設けられる。第2連通孔(69)は、第2仕切板(62)に設けられる。
【0110】
第1連通孔(68)は、内部流路(55)に連通してプレート積層体(30)に向かって開口する。第1連通孔(68)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる(図9参照)。第1連通孔(68)は、内部流路(55)を流通する 冷媒に含まれるガス冷媒を排出する。
【0111】
図9に示す例では、第1方向に並ぶ第1連通孔(68)のピッチを適宜変更するようにしている。具体的に、冷媒入口(21)に近い位置で隣接する第1連通孔(68)の間のピッチ(P1)を、第1方向の端部位置で隣接する第1連通孔(68)の間のピッチ(P2)よりも大きくしている。
【0112】
このような構成とすれば、内部流路(55)における第1方向の端部位置から冷媒が排出され易くなる。これにより、冷媒入口(21)から内部流路(55)に流入したガス冷媒のほとんどが、中央熱交換部(35)に向かって排出されるのを抑え、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)にも冷媒を分配させ易くなる。
【0113】
第2連通孔(69)は、内部流路(55)に連通してプレート積層体(30)とは反対側に向かって開口する。第2連通孔(69)は、第2仕切板(62)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる(図10参照)。第2連通孔(69)は、内部流路(55)を流通する冷媒に含まれる液冷媒を排出する。
【0114】
図10に示す例では、第1方向に並ぶ第2連通孔(69)のピッチを適宜変更するようにしている。具体的に、冷媒入口(21)に近い位置で隣接する第2連通孔(69)の間のピッチ(P1)を、第1方向の端部位置で隣接する第2連通孔(69)の間のピッチ(P2)よりも大きくしている。
【0115】
このような構成とすれば、内部流路(55)における第1方向の端部位置から冷媒が排出され易くなる。これにより、冷媒入口(21)から内部流路(55)に流入した液冷媒のほとんどが、中央熱交換部(35)に向かって排出されるのを抑え、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)にも冷媒を分配させ易くなる。
【0116】
冷媒入口(21)から仕切部材(5)に向かう冷媒は、仕切部材(5)の内部流路(55)を通過して、第1方向に沿って流れる。これにより、プレート積層体(30)における、中央熱交換部(35)、第1熱交換部(36)、及び第2熱交換部(37)に対して、冷媒を分配させることができる。
【0117】
-実施形態2の効果-
本実施形態の特徴によれば、冷媒入口(21)から流入した冷媒を、内部流路(55)によって第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導き、第1連通孔(68)からガス冷媒を流出させ、第2連通孔(69)から液冷媒を流出させることで、プレート積層体(30)の積層方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することができる。
【0118】
《実施形態2の変形例》
図11に示す例では、第1方向に並ぶ第1連通孔(68)のピッチを同じにしている。具体的に、冷媒入口(21)に近い位置で隣接する第1連通孔(68)の間のピッチ(P1)と、第1方向の端部位置で隣接する第1連通孔(68)の間のピッチ(P2)とを同じ大きさに設定している。
【0119】
一方、第1方向に並ぶ第1連通孔(68)の孔径を適宜変更するようにしている。具体的に、第1方向の端部位置の第1連通孔(68)の孔径d2を、冷媒入口(21)に近い位置の第1連通孔(68)の孔径d1よりも大きくしている。
【0120】
つまり、複数の連通孔(50)のうち、冷媒入口(21)に最も近い位置の連通孔(50)の孔径d1、冷媒入口(21)から最も離れた位置の連通孔(50)の孔径d2が、d1<d2という条件を満たすように設定している。
【0121】
このような構成とすれば、内部流路(55)における第1方向の端部位置から冷媒が排出され易くなる。これにより、冷媒入口(21)から内部流路(55)に流入したガス冷媒のほとんどが、中央熱交換部(35)に向かって排出されるのを抑え、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)にも冷媒を分配させ易くなる。
【0122】
図10に示す例では、第1方向に並ぶ第2連通孔(69)のピッチを同じにしている。具体的に、冷媒入口(21)に近い位置で隣接する第2連通孔(69)の間のピッチ(P1)と、第1方向の端部位置で隣接する第2連通孔(69)の間のピッチ(P2)とを同じ大きさに設定している。
【0123】
一方、第1方向に並ぶ第2連通孔(69)の孔径を適宜変更するようにしている。具体的に、第1方向の端部位置の第2連通孔(69)の孔径d2を、冷媒入口(21)に近い位置の第2連通孔(69)の孔径d1よりも大きくしている。
【0124】
このような構成とすれば、内部流路(55)における第1方向の端部位置から冷媒が排出され易くなる。これにより、冷媒入口(21)から内部流路(55)に流入した液冷媒のほとんどが、中央熱交換部(35)に向かって排出されるのを抑え、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)にも冷媒を分配させ易くなる。
【0125】
《実施形態3》
図13に示すように、熱交換器(10)は、仕切部材(5)を備える。仕切部材(5)は、中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、のばらつきを低減する。
【0126】
仕切部材(5)は、プレート積層体(30)よりも下方に配置される。仕切部材(5)は、冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)を有する。仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、第2仕切板(62)と、第1側壁部(63)と、第2側壁部(64)と、を含む。内部流路(55)は、上側流路(76)と、下側流路(77)と、を含む。
【0127】
図14にも示すように、第1仕切板(61)は、第1方向に沿って延びる。第2仕切板(62)は、第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ第1方向に沿って延びる。第1側壁部(63)は、第1仕切板(61)と第2仕切板(62)の周縁部に沿って延び、第1仕切板(61)と第2仕切板(62)とを連結する。第2側壁部(64)は、第2仕切板(62)の周縁部から下方に向かって延びる。第2側壁部(64)の下端部は、シェル(11)の筒状体(12)の内周面に当接する。
【0128】
これにより、第1仕切板(61)、第2仕切板(62)、及び第1側壁部(63)の間には、上側流路(76)が設けられる。第2仕切板(62)、第2側壁部(64)、及び筒状体(12)の間には、下側流路(77)が設けられる。
【0129】
冷媒入口(21)は、下側流路(77)に連通する。下側流路(77)には、冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する。冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部におけるプレート積層体(30)の積層方向の中央位置に設けられる。
【0130】
仕切部材(5)は、上側連通孔(78)と、下側連通孔(79)と、を有する。上側連通孔(78)は、第1仕切板(61)に設けられる。下側連通孔(79)は、第2仕切板(62)に設けられる。
【0131】
上側連通孔(78)は、上側流路(76)に連通してプレート積層体(30)に向かって開口する。上側連通孔(78)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる(図15参照)。上側連通孔(78)は、上側流路(76)を流通する冷媒を排出する。
【0132】
下側連通孔(79)は、下側流路(77)と上側流路(76)とを連通する。下側連通孔(79)は、第2仕切板(62)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる(図16参照)。下側連通孔(79)の数は、上側連通孔(78)の数よりも少ない。下側連通孔(79)は、冷媒入口(21)から離れた位置に開口する。下側連通孔(79)は、下側流路(77)を流通する冷媒を上側流路(76)に排出する。
【0133】
図17にも示すように、下側流路(77)には、冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する。下側流路(77)は、冷媒入口(21)から中央熱交換部(35)の下方位置に流入した冷媒を、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導く。
【0134】
下側流路(77)に流入した冷媒は、下側連通孔(79)から上側流路(76)に向かって流れる。上側流路(76)は、下側連通孔(79)から第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に流入した冷媒を、中央熱交換部(35)、第1熱交換部(36)、及び第2熱交換部(37)の下方位置にそれぞれ導く。上側流路(76)を流れる冷媒は、上側連通孔(78)からプレート積層体(30)に向かって排出される。
【0135】
-実施形態3の効果-
本実施形態の特徴によれば、冷媒入口(21)から流入した冷媒を、下側流路(77)によってプレート積層体(30)の積層方向に流通させた後、上側流路(76)によって第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)の下方位置に導くことで、冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを撹拌させるとともに、プレート積層体(30)の積層方向における冷媒の流通量のばらつきを低減することができる。
【0136】
《実施形態4》
図18に示すように、熱交換器(10)は、仕切部材(5)を備える。仕切部材(5)は、中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、第1熱交換部(36)及び第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒との比率と、のばらつきを低減する。
【0137】
具体的に、仕切部材(5)は、プレート積層体(30)よりも下方に配置される。仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、撹拌部材(82)と、第1側壁部(63)と、を有する。
【0138】
第1仕切板(61)は、プレート積層体(30)と、冷媒入口(21)と、を仕切る。第1仕切板(61)は、シェル(11)の内部空間(15)において、第1閉塞部材(13)と第2閉塞部材(14)との間で第1方向に沿って延びる。
【0139】
第1側壁部(63)は、第1仕切板(61)における第2方向の両端の縁部を下方に向かって傾斜するように折り曲げることで形成される。第1側壁部(63)の第2方向の両端部は、シェル(11)の筒状体(12)の内周面に当接する。
【0140】
これにより、仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、プレート積層体(30)の積層方向に沿って延びる。内部流路(55)には、冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する。内部流路(55)は、第1仕切板(61)と、第1側壁部(63)と、筒状体(12)と、第1閉塞部材(13)と、第2閉塞部材(14)と、で囲まれた空間に設けられる。
【0141】
撹拌部材(82)は、内部流路(55)に配置される。撹拌部材(82)は、例えば、メッシュ材などの多孔質材で構成される。内部流路(55)を流通する冷媒に含まれるガス冷媒と液冷媒とは、撹拌部材(82)を通過する際に撹拌される。
【0142】
図20にも示すように、仕切部材(5)は、連通孔(50)を有する。連通孔(50)は、第1仕切板(61)に設けられる。連通孔(50)は、内部流路(55)に連通してプレート積層体(30)に向かって開口する。連通孔(50)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。連通孔(50)は、内部流路(55)を流通する冷媒を排出する。
【0143】
-実施形態4の効果-
本実施形態の特徴によれば、冷媒入口(21)から流入した冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを、プレート積層体(30)の積層方向に流通させる際に、撹拌部材(82)によって撹拌させることで、プレート積層体(30)の積層方向における液冷媒とガス冷媒との比率のばらつきを低減することができる。
【0144】
《実施形態5》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0145】
図21及び図22に示すように、仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、一対のガイド板(52)と、第1側壁部(63)と、を有する。仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、第1方向に沿って延びる。内部流路(55)は、第1流路(56)と、第2流路(57)と、を含む。
【0146】
仕切部材(5)は、複数の連通孔(50)を有する。連通孔(50)は、第1連通孔(58)と、第2連通孔(59)と、を含む。第1連通孔(58)及び第2連通孔(59)は、第1仕切板(61)に設けられる。
【0147】
第1連通孔(58)は、第1流路(56)に連通する。第1連通孔(58)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。第2連通孔(59)は、第2流路(57)に連通する。第2連通孔(59)は、第1仕切板(61)の第1方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0148】
冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部における第1方向の中央位置から第1方向にずれた位置に設けられる。第1仕切板(61)における第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とする。冷媒入口(21)から第1端部(91)までの距離は、冷媒入口(21)から第2端部(92)までの距離よりも長い。
【0149】
ここで、第1仕切板(61)の板厚方向から見て、第1仕切板(61)における冷媒入口(21)よりも第1端部(91)側を第1領域、冷媒入口(21)よりも第2端部(92)側を第2領域とする。第1領域及び第2領域は、冷媒入口(21)の中心を通る中心線を基準に左右に分割する。
【0150】
複数の連通孔(50)のうち、第1領域に形成された連通孔(50)の孔径d3、第2領域に形成された連通孔(50)の孔径d4が、d3>d4という条件を満たすように設定する。
【0151】
-実施形態5の効果-
本実施形態の特徴によれば、冷媒入口(21)から遠い位置の連通孔(50)に冷媒が流れ易くなるように、連通孔(50)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0152】
《実施形態6》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0153】
図23及び図24に示すように、仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、一対のガイド板(52)と、第1側壁部(63)と、を有する。仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、第1方向に沿って延びる。内部流路(55)は、第1流路(56)と、第2流路(57)と、を含む。
【0154】
仕切部材(5)は、複数の連通孔(50)を有する。連通孔(50)は、第1連通孔(58)と、第2連通孔(59)と、を含む。第1連通孔(58)及び第2連通孔(59)は、第1仕切板(61)に設けられる。
【0155】
第1連通孔(58)は、第1流路(56)に連通する。第1連通孔(58)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。第2連通孔(59)は、第2流路(57)に連通する。第2連通孔(59)は、第1仕切板(61)の第1方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0156】
冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部における第1方向の中央位置から第1方向にずれた位置に設けられる。第1仕切板(61)における第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とする。冷媒入口(21)から第1端部(91)までの距離は、冷媒入口(21)から第2端部(92)までの距離よりも長い。
【0157】
ここで、第1仕切板(61)の板厚方向から見て、第1仕切板(61)における冷媒入口(21)よりも第1端部(91)側を第1領域、冷媒入口(21)よりも第2端部(92)側を第2領域とする。
【0158】
そして、第1流路(56)における第1領域の流路幅L1、第2領域の流路幅L2が、L1>L2という条件を満たすように設定する。
【0159】
具体的に、第1領域において、第1流路(56)の流路幅は一定である。第2領域において、第1流路(56)の流路幅は、第2端部(92)側の端部が最も狭くなる。第1流路(56)は、第1領域から第2領域にかけて、流路幅が徐々に狭くなっている。つまり、第1流路(56)において、流路幅の大きい第1領域の方が、流路幅の小さい第2領域よりも冷媒が流れ易くなっている。
【0160】
-実施形態6の効果-
本実施形態の特徴によれば、第1流路(56)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の流路幅を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0161】
《実施形態7》
以下、前記実施形態2と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0162】
図25及び図26に示すように、仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、第2仕切板(62)と、第1側壁部(63)と、を有する。仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、第1方向に沿って延びる。
【0163】
第2仕切板(62)には、冷媒入口(21)の下流端が接続される。冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部における第1方向の中央位置から第1方向にずれた位置に設けられる。
【0164】
仕切部材(5)は、複数の連通孔(50)を有する。連通孔(50)は、第1連通孔(68)と、第2連通孔(69)と、を含む。第1連通孔(68)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。第2連通孔(69)は、第2仕切板(62)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0165】
第1仕切板(61)における第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とする。冷媒入口(21)から第1端部(91)までの距離は、冷媒入口(21)から第2端部(92)までの距離よりも長い。
【0166】
ここで、第1仕切板(61)の板厚方向から見て、第1仕切板(61)における冷媒入口(21)よりも第1端部(91)側を第1領域、冷媒入口(21)よりも第2端部(92)側を第2領域とする。
【0167】
そして、第1仕切板(61)に形成された連通孔(50)のうち、第1領域に形成された第1連通孔(68)の孔径d3、第2領域に形成された第1連通孔(68)の孔径d4が、d3>d4という条件を満たすように設定する。
【0168】
また、第2仕切板(62)に形成された連通孔(50)のうち、第1領域に形成された第2連通孔(69)の孔径d5、第2領域に形成された第2連通孔(69)の孔径d6が、d5>d6という条件を満たすように設定する。
【0169】
-実施形態7の効果-
本実施形態の特徴によれば、第1仕切板(61)及び第2仕切板(62)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域の連通孔(50)に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の連通孔(50)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0170】
《実施形態8》
以下、前記実施形態3と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0171】
図27及び図28に示すように、仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、第2仕切板(62)と、第1側壁部(63)と、第2側壁部(64)と、を有する。仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、第1方向に沿って延びる。内部流路(55)は、上側流路(76)と、下側流路(77)と、を含む。
【0172】
冷媒入口(21)は、下側流路(77)に連通する。冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部における第1方向の中央位置からずれた位置に設けられる。
【0173】
仕切部材(5)は、複数の連通孔(50)を有する。連通孔(50)は、上側連通孔(78)と、下側連通孔(79)と、を含む。上側連通孔(78)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。上側連通孔(78)は、上側流路(76)に連通する。下側連通孔(79)は、第2仕切板(62)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。下側連通孔(79)は、上側流路(76)と、下側流路(77)とに連通する。
【0174】
第2仕切板(62)における第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とする。冷媒入口(21)から第1端部(91)までの距離は、冷媒入口(21)から第2端部(92)までの距離よりも長い。
【0175】
ここで、第2仕切板(62)の板厚方向から見て、第2仕切板(62)における冷媒入口(21)よりも第1端部(91)側を第1領域、冷媒入口(21)よりも第2端部(92)側を第2領域とする。
【0176】
そして、複数の下側連通孔(79)のうち、第1領域に形成された下側連通孔(79)の孔径d5、第2領域に形成された下側連通孔(79)の孔径d6が、d5>d6という条件を満たすように設定する。
【0177】
-実施形態8の効果-
本実施形態の特徴によれば、第2仕切板(62)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域の下側連通孔(79)に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の下側連通孔(79)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0178】
《実施形態9》
以下、前記実施形態4と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0179】
図29に示すように、仕切部材(5)は、第1仕切板(61)と、撹拌部材(82)と、第1側壁部(63)と、を有する。仕切部材(5)は、内部流路(55)を有する。内部流路(55)は、第1方向に沿って延びる。
【0180】
冷媒入口(21)は、内部流路(55)に連通する。冷媒入口(21)は、シェル(11)の下部における第1方向の中央位置からずれた位置に設けられる。
【0181】
仕切部材(5)は、複数の連通孔(50)を有する。連通孔(50)は、第1仕切板(61)の第1方向及び第2方向に間隔をあけて複数設けられる。連通孔(50)は、内部流路(55)に連通する。
【0182】
第1仕切板(61)における第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とする。冷媒入口(21)から第1端部(91)までの距離は、冷媒入口(21)から第2端部(92)までの距離よりも長い。
【0183】
ここで、第1仕切板(61)の板厚方向から見て、第1仕切板(61)における冷媒入口(21)よりも第1端部(91)側を第1領域、冷媒入口(21)よりも第2端部(92)側を第2領域とする。
【0184】
そして、複数の連通孔(50)のうち、第1領域に形成された連通孔(50)の孔径d3、第2領域に形成された連通孔(50)の孔径d4が、d3>d4という条件を満たすように設定する。
【0185】
-実施形態9の効果-
本実施形態の特徴によれば、第1仕切板(61)における冷媒入口(21)からの距離が長い第1領域の連通孔(50)に冷媒が流れ易くなるように、第1領域及び第2領域の連通孔(50)の孔径を設定することで、冷媒の分配量のばらつきを抑えることができる。
【0186】
《その他の実施形態》
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態に係る要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書及び特許請求の範囲の「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0187】
以上説明したように、本開示は、シェルアンドプレート式熱交換器及び冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0188】
1 冷凍装置
1a 冷媒回路
5 仕切部材
10 シェルアンドプレート式熱交換器
11 シェル
15 内部空間
21 冷媒入口
30 プレート積層体
32 熱媒体流路
35 中央熱交換部
36 第1熱交換部
37 第2熱交換部
40 伝熱プレート
50 連通孔
55 内部流路
56 第1流路
57 第2流路
58 第1連通孔
59 第2連通孔
68 第1連通孔
69 第2連通孔
76 上側流路
77 下側流路
78 上側連通孔
79 下側連通孔
82 撹拌部材
91 第1端部
92 第2端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、
前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、
前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、
前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有し、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、
前記第1仕切板(61)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、
前記内部流路(55)は、
前記第1方向に沿って延び、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒を前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)の下方位置に導く第1流路(56)と、
前記第1流路(56)の前記第1方向の端部で折り返され、前記第1流路(56)を通過した冷媒を前記中央熱交換部(35)の下方位置に導く第2流路(57)と、を含み、
前記連通孔(50)は、
前記第1仕切板(61)に設けられ、前記第1流路(56)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第1連通孔(58)と、
前記第1仕切板(61)に設けられ、前記第2流路(57)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第2連通孔(59)と、を含む
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項2】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、
前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、
前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、
前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有し、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)と、前記第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ前記第1方向に沿って延びる第2仕切板(62)と、を有し、
前記第2仕切板(62)には、前記冷媒入口(21)の下流端が接続され、
前記第1仕切板(61)と前記第2仕切板(62)との間には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、
前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する第1連通孔(68)を含み、
前記第2仕切板(62)には、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)とは反対側に開口する複数の第2連通孔(69)が設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項3】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、
前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、
前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、
前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有し、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、
前記第1仕切板(61)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する内部流路(55)が設けられ、
前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記内部流路(55)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口し、
前記内部流路(55)に配置され、冷媒に含まれる液冷媒とガス冷媒とを撹拌する撹拌部材(82)を備える
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項1~の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが70%以下で、且つ、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが30%以下である
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項5】
請求項のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される冷媒の乾き度と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される冷媒の乾き度と、のばらつきが40%以下で、且つ、
前記中央熱交換部(35)で熱交換される液冷媒の質量流量と、前記第1熱交換部(36)及び前記第2熱交換部(37)でそれぞれ熱交換される液冷媒の質量流量と、のばらつきが20%以下である
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項6】
請求項1~の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置に設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項7】
請求項1~の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられる
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項8】
請求項1~の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記複数の連通孔(50)のうち、前記冷媒入口(21)に最も近い位置の前記連通孔(50)の孔径d1、前記冷媒入口(21)から最も離れた位置の前記連通孔(50)の孔径d2が、d1<d2という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項9】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、
前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、
前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、
前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有し、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)を有し、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられ、
前記第1仕切板(61)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、
前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、
前記第1仕切板(61)の板厚方向から見て、前記第1仕切板(61)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、
前記複数の連通孔(50)のうち、前記第1領域に形成された前記連通孔(50)の孔径d3、前記第2領域に形成された前記連通孔(50)の孔径d4が、d3>d4という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項10】
内部空間(15)を有するシェル(11)と、積層されて互いに接合された複数の伝熱プレート(40)を有し且つ前記内部空間(15)に収容されたプレート積層体(30)と、を備え、前記シェル(11)の前記内部空間(15)へ流入した冷媒と前記プレート積層体(30)の熱媒体流路(32)へ流入した熱媒体とを熱交換させるシェルアンドプレート式熱交換器であって、
前記シェル(11)の下部に設けられ、前記内部空間(15)に冷媒を流入する冷媒入口(21)と、
前記プレート積層体(30)と前記冷媒入口(21)との間に配置され、前記プレート積層体(30)の積層方向である第1方向に沿って延びる仕切部材(5)と、を備え、
前記プレート積層体(30)を前記第1方向に3つに均等区分した場合に、前記第1方向の中央に位置する部分を中央熱交換部(35)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の一端側に位置する部分を第1熱交換部(36)、前記中央熱交換部(35)よりも前記第1方向の他端側に位置する部分を第2熱交換部(37)とし、
前記仕切部材(5)は、前記中央熱交換部(35)、前記第1熱交換部(36)、及び前記第2熱交換部(37)に対向する位置で、前記プレート積層体(30)に向かって開口する複数の連通孔(50)を有し、
前記仕切部材(5)は、前記第1方向に沿って延びる第1仕切板(61)と、前記第1仕切板(61)よりも下方に配置され且つ前記第1方向に沿って延びる第2仕切板(62)と、を有し、
前記第1仕切板(61)と前記第2仕切板(62)との間には、上側流路(76)が設けられ、
前記第2仕切板(62)よりも下方には、前記冷媒入口(21)から流入した冷媒が流通する下側流路(77)が設けられ、
前記連通孔(50)は、前記第1仕切板(61)に設けられ、前記上側流路(76)に連通して前記プレート積層体(30)に向かって開口する上側連通孔(78)を含み、
前記第2仕切板(62)には、前記上側流路(76)と前記下側流路(77)とに連通する複数の下側連通孔(79)が設けられ、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から積層方向にずれた位置に設けられ、
前記第2仕切板(62)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、
前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、
前記第2仕切板(62)の板厚方向から見て、前記第2仕切板(62)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、
前記複数の下側連通孔(79)のうち、前記第1領域に形成された前記下側連通孔(79)の孔径d5、前記第2領域に形成された前記下側連通孔(79)の孔径d6が、d5>d6という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項11】
請求項のシェルアンドプレート式熱交換器において、
前記冷媒入口(21)は、前記シェル(11)の下部における前記第1方向の中央位置から前記第1方向にずれた位置に設けられ、
前記第1仕切板(61)における前記第1方向の一方の端部を第1端部(91)、他方の端部を第2端部(92)とし、
前記冷媒入口(21)から前記第1端部(91)までの距離は、前記冷媒入口(21)から前記第2端部(92)までの距離よりも長く、
前記第1仕切板(61)の板厚方向から見て、前記第1流路(56)における前記冷媒入口(21)よりも前記第1端部(91)側を第1領域、前記冷媒入口(21)よりも前記第2端部(92)側を第2領域とし、
前記第1領域の流路幅L1、前記第2領域の流路幅L2が、L1>L2という条件を満たす
シェルアンドプレート式熱交換器。
【請求項12】
請求項1~の何れか1つのシェルアンドプレート式熱交換器(10)と、
前記シェルアンドプレート式熱交換器(10)で熱交換させる冷媒が流れる冷媒回路(1a)と、を備える
冷凍装置。