(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144293
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】魚肉加工食品
(51)【国際特許分類】
A23L 17/00 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
A23L17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048364
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2023051977
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108454
【氏名又は名称】ソマール株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 聡史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 亜希子
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC06
4B042AD39
4B042AG30
4B042AH01
4B042AK06
4B042AK09
4B042AP14
4B042AP18
(57)【要約】
【課題】
本発明は、冷凍保存している魚肉加工食品を解凍した場合において、魚肉から油脂や水分が分離して流れ出すという不具合を抑制することができ、解凍された魚肉でも、油脂を魚肉のうま味として感じることができる魚肉加工食品を提供することを課題とする。
【解決手段】
魚肉、油脂、ガラクトマンナンを含む魚肉加工食品である。ガラクトマンナンはグアーガムであることが好ましい。さらに、キサンタンガムを含む魚肉加工食品であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚肉、油脂、ガラクトマンナンを含む魚肉加工食品。
【請求項2】
前記ガラクトマンナンが、グアーガムである請求項1に記載の魚肉加工食品。
【請求項3】
さらに、キサンタンガムを含む請求項1または2に記載の魚肉加工食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚肉加工食品に関する。特に生食用の魚肉加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
魚肉加工において、身を切り出し、食品として不要な部分を取り除く作業では、皮や骨に取り残した身もかき取り、食品として有効利用されている。例えば、マグロの皮下にあるトロと言われる脂肪を多く含む部位は、刺身等で利用するために柵として切り出す際、その身が皮に残ってしまうため、取り残したトロ身はかき取られ、ねぎとろとして流通されている。ねぎとろの原料であるトロを初めとした脂肪分が多い魚肉は、口当たりがよく、おいしく感じることから好まれる傾向にあるが、トロ等は非常に高価である。したがって、トロ等高価な部位を原料とするねぎとろも高価なものとなる。そこで、より安価な脂肪分が少ない赤身等の部位を利用して、トロのような、魚肉のうま味を感じられるように油脂を付け加える加工を施して、供給量を増やし、消費者がより安価に入手できるようになっている。
【0003】
例えば、食用油脂にポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤を配合した魚肉加工食品用油脂組成物を用いた魚肉加工食品が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された魚肉加工食品は、トロのような味であり、口当たりがよく、おいしく感じられる。しかし、この魚肉加工食品を、凍結後に冷凍保存し解凍すると、すなわち、凍結解凍すると、トロのような味ではなくなってしまう場合があった。これは、冷凍保存時に、油脂や水分が結晶化して引き起こされる乳化破壊により乳化作用が低下し、解凍時に魚肉から油脂や水分が分離して流れ出すことが原因であると推察される。したがって、乳化剤を配合した魚肉は冷凍保存に適さないという欠点がある。
【0006】
本発明は、凍結解凍しても、魚肉から油脂や水分が分離して流れ出すという不具合を抑制することができる魚肉加工食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため、魚肉、油脂、ガラクトマンナンを含む魚肉加工食品により、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0008】
(1)魚肉、油脂、ガラクトマンナンを含む魚肉加工食品。
【0009】
(2)前記ガラクトマンナンがグアーガムである(1)に記載の魚肉加工食品。
【0010】
(3)さらに、キサンタンガムを含む(1)または(2)に記載の魚肉加工食品。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、魚肉、油脂、ガラクトマンナンを含むことにより、魚肉から油脂や水分が分離して流れ出すという不具合を抑制することができる魚肉加工食品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0013】
なお、本明細書中、数値範囲を表す「~」は、その上限値および下限値としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も上限値と同じ単位であることを意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値または下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよい。
また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値または下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率または含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率または含有量を意味する。
【0014】
本実施形態に係る魚肉加工食品に含まれる魚肉の原料として用いる魚類は、特に限定されないが、具体例として、マグロ、サケ、アジ、ブリ、ヒラメ、タイ等が挙げられる。また、上記魚肉加工食品において、魚肉の切り方や大きさ、魚肉を調理する方法は特に限定されるものではない。具体例として、薄くそいだ魚肉の切り身や、魚肉を細かく刻んで調理されるたたき身等が挙げられる。
【0015】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、ガラクトマンナンを含む。ガラクトマンナンは、主鎖がマンノース、側鎖がガラクトースで構成される水溶性高分子の増粘多糖類である。マンノースとガラクトースがいずれも存在する、側鎖がついている部分と、マンノースのみ存在する、側鎖がついていない部分があり、側鎖がついていない部分をスムース領域と言う。
ガラクトマンナンとしては、主鎖のマンノースと側鎖のガラクトースの比率がそれぞれ2:1、3:1および4:1であるグアーガム、タラガムおよびローカストビーンガムが知られている。本実施形態に係る魚肉加工食品では、いずれのガラクトマンナンを用いることもできるが、これらの中でも製造工程における作業性を考慮すると、冷水溶解性であるグアーガムが好ましい。
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、ガラクトマンナンは一種でもよく、二種以上を併用してもよい。
【0016】
グアーガム(学名 Cyamopsis tetragonoloba)は、パキスタン・イスラム共和国やインドで栽培されている一年生豆科植物の種子から得られる多糖類である。
本実施形態に係る魚肉加工食品では、市販のグアーガムを用いることもできる。市販品としては、PROCOL U(Habgen Guargums Limited社製)、VIDOGUM GHK 175(ユニテックフーズ株式会社製)等が挙げられる。
【0017】
タラガムは、豆科植物タラの種子胚乳部より得られる中性多糖である。
本実施形態に係る魚肉加工食品では、市販のタラガムを用いることもできる。市販品としては、タラガム(精製品)MT120、MT1000(三菱ケミカル株式会社製)、タラガム(伊那食品工業株式会社製)、VIDOGUM SP 175(ユニテックフーズ株式会社製)等が挙げられる。
【0018】
ローカストビーンガムは、カロブガム(Carob gum)とも呼ばれている。地中海沿岸地域(北アフリカ、中近東、南ヨーロッパ)およびカナリア諸島に広く生息するマメ科の常緑樹であるカロブ(学名 Ceratonia siliqua L.)の種子の胚乳を分離粉砕した多糖類である。
本実施形態に係る魚肉加工食品では、市販のローカストビーンガムを用いることもできる。市販品としては、CESALPINIA L.B.G LN-1/200(Tate & Lyle社製)、VISCOGUM BJ(Cargill社製)等が挙げられる。
【0019】
本実施形態に係る魚肉加工食品に含まれるガラクトマンナンの含有量は、本実施形態に係る魚肉加工食品全質量に対して、0.1~1.2質量%であることが好ましく、0.2~1.0質量%であることがより好ましく、0.2~0.8質量%が特に好ましい。ガラクトマンナンの含有量を0.1~1.2質量%とすることにより、魚肉から油脂や水分が分離して流れ出すという不具合が起こりにくい。
【0020】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、油脂を含む。油脂は、植物性油脂、動物性油脂のいずれも使用できる。植物性油脂としては、具体例として、あまに油、えごま油、オリーブ油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、ぶどう油、綿実油、やし油、落花生油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられる。動物性油脂としては、具体例として、牛脂、豚脂、魚油等が挙げられる。これらの油脂を、一種または二種以上を組み合わせて、水素添加、分別、エステル交換等による加工処理を施した油脂も使用することができる。これらの油脂を魚肉に混合しても味に変化が生じることなく、食品分野において通常用いられているものであれば、特に制限されない。これらの油脂は一種でもよく、二種以上を併用してもよい。
【0021】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、使用する油脂の融点は、40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。使用する油脂の融点を40℃以下とすることにより食べたときに、口の中で過剰に油分が残ることなく、油脂を魚肉のうま味に感じられる。
【0022】
油脂の含有量は、本実施形態に係る魚肉加工食品全質量に対して、好ましくは5~25質量%であり、より好ましくは8~22質量%であり、9~21質量%が特に好ましい。油脂の含有量が5質量%以上であると、油脂を魚肉のうま味に感じられる。油脂の含有量が25質量%以下であると、魚肉から油脂や水分が分離して流れ出すという不具合が起こりにくい。
【0023】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、さらにキサンタンガムを含めることが好ましい。キサンタンガムは、とうもろこし等を原料とする澱粉を栄養分として微生物により発酵され製造し、水溶性高分子に分類される増粘多糖類である。一次構造はβ-1,4結合したD-グルコースで構成される主鎖、その主鎖に結合するD-マンノース、D-グルクロン酸で構成される側鎖を有し、D-グルコース2分子、D-マンノース2分子、D-グルクロン酸1分子が含まれる繰り返し単位からなる。側鎖末端にあるD-マンノースはピルビン酸塩をもつ場合があり、主鎖に結合したD-マンノースはアセチル化されている場合がある。キサンタンガムの平均分子量は特に限定されないが、平均分子量は、一般的に約200万である。
ガラクトマンナンに加え、キサンタンガムを含めることにより、魚肉に弾力を感じ、歯ごたえがより向上する。これは、ガラクトマンナンとキサンタンガムとを混合すると、キサンタンガムと、ガラクトマンナンにあるスムース領域とが水素結合して、架橋するため、粘度上昇やゲル化が生じることによる。
【0024】
キサンタンガムは市販品を用いることもできる。市販品としては、ネオソフトXR(太陽化学株式会社製)、SATIAXANE CX90(Cargill社製)、サンエース(登録商標)、サンエース(登録商標)S、サンエース(登録商標)E-S、サンエース(登録商標)C、ビストップ(登録商標)D-3000-DF-C(以上、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)等が挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、ガラクトマンナンに加え、キサンタンガムを含める場合には、ガラクトマンナンとキサンタンガムとの総含有量は、本実施形態に係る魚肉加工食品全質量に対して、0.2~1.5質量%であることが好ましく、0.3~1.3質量%であることがより好ましく、0.3~1.1質量%が特に好ましい。ガラクトマンナンとキサンタンガムとの総含有量を0.2~1.5質量%とすることにより、魚肉に弾力を感じ、歯ごたえがより向上する。
ガラクトマンナンとキサンタンガムとの質量比は、キサンタンガムの含有量を1とした場合に、ガラクトマンナンの含有量は1以上19以下であることが好ましく、2以上12以下であることがより好ましい。この質量比範囲とすることにより、ガラクトマンナンとキサンタンガムとの相互作用による相乗的な増粘効果がさらに増大し、魚肉にいっそう弾力を感じ、歯ごたえが向上する。
【0026】
本実施形態の効果を損なわない範囲で、ガラクトマンナンとキサンタンガム以外のその他の増粘多糖類を含めてもよい。その他の増粘多糖類としては、具体例として、アラビアガム等を挙げることができる。
ガラクトマンナンの総含有量は、ガラクトマンナン、キサンタンガム、および必要に応じて添加されるその他の増粘多糖類の混合物の総質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。さらに好ましくは、40質量%以上である。
ガラクトマンナンとキサンタンガムとの総含有量は、ガラクトマンナン、キサンタンガム、および必要に応じて添加されるその他の増粘多糖類の混合物の総質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。さらに好ましくは、95質量%以上である。
【0027】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、必要に応じて、水を含めてもよい。水を含めることにより、油脂を魚肉に均一かつ容易に分散することができる。なぜなら、上記したガラクトマンナン、キサンタンガム(以下、「ガラクトマンナン等」と略記する)は水に溶解しやすい、水溶性高分子であり、その分子内に油脂を包含させることができ、水溶性高分子に包まれた油脂を魚肉に均一に分散することができるためである。水の含有量は、特に制限されず、魚肉加工食品に応じて適宜調整できるが、本実施形態に係る魚肉加工食品全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。さらに好ましくは、10質量%以下である。水の含有量が30質量%以下であると、油脂を包含させているガラクトマンナン等を、より安定した状態で、より均一に魚肉と混合できる。
【0028】
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、本実施形態の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、調味料、酸化防止剤、保存料、着色料、pH調整剤等の添加物を含めてもよい。これらは、食品分野において通常用いられているものであれば、特に制限はなく、適宜組み合わせて使用することもできる。
調味料としては、具体例として、L-グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等を挙げられる。
酸化防止剤としては、具体例として、L-アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、ビタミンC等が挙げられる。
保存料としては、具体例として、ソルビン酸ナトリウム、しらこたん白抽出物等が挙げられる。
着色料としては、具体例として、β-カロテン、カンタキサンチン等が挙げられる。
pH調整剤としては、具体例として、乳酸ナトリウム、DL-リンゴ酸等が挙げられる。
【0029】
[魚肉加工食品の製造方法]
本実施形態に係る魚肉加工食品においては、魚類を切断、粉砕等により、ミンチ状、ブロック状、平板状等に成形した魚肉に、油脂、ガラクトマンナン、必要に応じて含めるキサンタンガム、水等を均一に混合することにより製造することができる。各成分を配合する順序、混合する方法は特に制限されない。
具体例として、フードプロセッサー、ニーダー、サイレントカッター、スライサー等を用いて魚肉をミンチ状に粉砕し、これに油脂、ガラクトマンナン、必要に応じて含めるキサンタンガム、水等を混合する。各成分を均一に混合できる等の理由から、使用する魚肉の形状はミンチ状であることが好ましい。
本実施形態に係る魚肉加工食品に、増粘多糖類を複数種含める場合には、増粘多糖類を一種類ずつ魚肉に添加してもよく、増粘多糖類を予め混合した上で、魚肉に添加することもできる。増粘多糖類の混合には、各成分を配合する順序、混合する方法も特に制限されないが、具体例として、各成分を広口びんに計量し、手で15分間振とうする方法が挙げられる。
【0030】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0031】
[魚肉加工食品の成分]
(A)魚肉
A-1:キハダマグロ赤身
A-2:キハダマグロ加工品
(B)ガラクトマンナン
B-1:グアーガム (PROCOL U、Habgen Guargums Limited社製)
B-2:ローカストビーンガム (CESALPINIA L.B.G LN-1/200、Tate & Lyle社製)
B-3:タラガム (MT1000、三菱ケミカル株式会社製)
(C):キサンタンガム (ネオソフトXR、太陽化学株式会社製)
(D):アラビアガム (GUM ARABIC 396A、Alland & Robert社製)
(E)油脂:なたね油 (融点 -12℃~0℃)
(F)水:水道水
【0032】
実施例11および実施例12において、(A-2)成分である、キハダマグロ加工品はキハダマグロの赤身を細かく切り刻み、ミンチ状にしたキハダマグロの赤身に植物性油脂、乳化剤、調味料、酸化防止剤等を配合し、たたきに加工したものである。
【0033】
[魚肉加工食品の製造]
フードプロセッサーを用いて、温度10℃に保持したキハダマグロ赤身をすりつぶし、ミンチ状にした。次に、表1に示す配合割合にて、ミンチ状にしたキハダマグロ赤身に、各成分を添加した。再び、フードプロセッサーを用いて十分に混合し、実施例1~実施例10、実施例13~実施例15、比較例1、比較例2に記載の配合割合に基づく魚肉加工食品を製造した。
実施例11および実施例12の配合割合に基づく魚肉加工食品は、実施例1のキハダマグロ赤身をキハダマグロ加工品に変更した以外は、上記製造方法と同様にして製造した。
【0034】
[魚肉加工食品の評価]
上記魚肉加工食品の製造によって得られた魚肉加工食品を、-20℃に温度を維持した環境にて急速に凍結させ、続いて、5℃に温度を維持した環境にて低温解凍させることで実施例1~実施例15、比較例1、比較例2の魚肉加工食品を得た。これらの外観および食感を評価した結果を表1および表2に示す。
【0035】
[外観]
実施例1~実施例15、比較例1、比較例2の魚肉加工食品を一定量測り取り、円柱状に成形して置き、20℃にて、さらに6時間静置した後の状態を目視で確認した。評価基準は、以下のとおりである。
【0036】
◎:油脂もしくは水分が出ていない。
○:表面に油脂もしくは水分が浮き出ているが、実用では問題ない。
△:油脂もしくは水分が分離して流れ出している。
×:油脂もしくは水分が多量に流れ出し、円柱状の形状が崩れている。
【0037】
[食感]
魚肉加工食品を実食し、口当たりや味を確認した。評価基準は、以下のとおりである。
【0038】
◎:魚肉に弾力を感じ、歯ごたえがある。魚肉にうま味を感じる。
○:魚肉がなめらかで、飲み込みやすい。魚肉にうま味を感じる。
×:魚肉を水っぽくもしくは油っぽく感じる。魚肉にうま味を感じない。
【0039】
【0040】
【0041】
表1より、魚肉、油脂、ガラクトマンナンを含む実施例1、13、15は、外観および食感ともに良好であった。
一方で、ガラクトマンナンおよびキサンタンガムをいずれも含まない比較例1では、外観および食感ともに不十分であった。また、ガラクトマンナンを含まないが、魚肉、油脂に加えて、キサンタンガムを含む比較例2は、外観はやや向上したが、食感は水っぽく、うま味を感じられず不十分であった。
実施例2~4は、魚肉に油脂、グアーガム、さらにキサンタンガムを含み、食感が極めて良好であった。さらに、魚肉加工食品全質量に対する油脂含有量を、より好適な含有量に調整した実施例2および実施例3は、外観においても極めて良好であった。
【0042】
表2より、魚肉に油脂、グアーガム、キサンタンガム、さらには水を含む実施例5~実施例10は、外観および食感ともに良好であった。実施例14は、魚肉に油脂、グアーガム、キサンタンガム、さらには水を含む実施例6に対し、グアーガムに替えてローカストビーンガムを含む魚肉加工食品であり、実施例6と同様に、外観および食感ともに良好であった。魚肉加工食品全質量に対する水の含有量を、より好適な含有量に調整した実施例7~実施例10は、外観および食感が極めて良好であった。実施例10は、魚肉、油脂、グアーガム、さらにキサンタンガムを含む実施例4に加えて、さらに水を含む魚肉加工食品であるが、実施例4に対して、外観が向上していることが分かる。
実施例11および実施例12は、魚肉にキハダマグロ加工品を使用した場合であり、外観および食感ともに良好であった。