(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144297
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】光電気複合伝送モジュール及びそれを用いた光通信ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01L 31/02 20060101AFI20241003BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20241003BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20241003BHJP
G02B 6/30 20060101ALI20241003BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L31/02 B
H01L31/02 E
H01L31/02 C
G02B6/42
G02B6/30
H01L33/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048865
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2023053950
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023053951
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】山岸 篤史
(72)【発明者】
【氏名】山路 正高
(72)【発明者】
【氏名】古根川 直人
【テーマコード(参考)】
2H137
5F142
5F149
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137AB08
2H137AB12
2H137BA06
2H137BA55
2H137BB03
2H137BB12
2H137BB25
2H137BC51
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2H137DA39
2H137DB11
2H137HA05
5F142AA42
5F142AA51
5F142AA56
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5F142CF12
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5F149BA25
5F149BA28
5F149BB01
5F149JA01
5F149JA06
5F149JA10
5F149JA14
5F149JA20
5F149LA02
5F149XB02
5F149XB05
5F149XB07
(57)【要約】
【課題】薄型化、小型化、軽量化が図られ、光電変換部の損傷を抑制でき、しかも放熱効果の高い光電気複合伝送モジュール及びそれを用いた光通信ケーブルを提供する。
【解決手段】
基板17と、基板17の第1の面17aに設けられた光電変換部5と、基板17の第2の面17bに設けられた光導波路16と、を有する光電気混載基板18と、
光電気混載基板18の、光電変換部5面側を保護する第1の筐体3と、
光電気混載基板18の、光導波路16面側を保護する第2の筐体4と、
光電気混載基板18の光電変換部5が設けられた面と第1の筐体3との間に設けられる伝熱部材7と、を有する光電気複合伝送モジュール1であって、
光電変換部5が樹脂6により被覆されており、
樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと、第1の筐体3とが、伝熱部材7に当接している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電気複合伝送モジュールであって、
基板と、前記基板の第1の面に設けられた光電変換部と、前記基板の第2の面に設けられた光導波路と、を有する光電気混載基板と、
前記光電気混載基板の、前記光電変換部が設けられた一面側を保護する第1の筐体と、前記一面側は前記光電変換部が設けられた面に対応し、
前記光電気混載基板の、前記光導波路が設けられた他面側を保護する第2の筐体と、前記他面側は前記光導波路が設けられた面に対応し、
前光電気混載基板の前記光電変換部が設けられた面と前記第1の筐体との間に設けられる伝熱部材と、を有する光電気複合伝送モジュールであって、
ここで、
前記基板の第1の面に設けられた前記光電変換部が樹脂により被覆されており、
前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面と、前記第1の筐体とが、前記伝熱部材に当接している、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電気混載基板が、前記光電変換部からの電気信号又は前記光電変換部への電気信号を伝送する配線パターンをさらに備えており、
前記伝熱部材が、前記配線パターンの少なくとも一部にも当接している、光電気複合伝送モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材が、前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面の全面に当接している、光電気複合伝送モジュール。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体の、光電気混載基板と対峙する面が、平坦面に形成されている、光電気複合伝送モジュール。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電気混載基板の前記光電変換部が、発光素子と前記発光素子を駆動させる駆動集積回路との組み合わせ、及び/又は、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの組み合わせ、である、光電気複合伝送モジュール。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材が、熱伝導率が20W/mk以下の材料からなる、光電気複合伝送モジュール。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材が、40以下のアスカーC硬度を有する放熱シートである、光電気複合伝送モジュール。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材のアスカーC硬度Pと、前記樹脂のアスカーC硬度Qと、前記光電変換部のアスカーC硬度Rとが、下記の式(1)の関係にある、光電気複合伝送モジュール。
P<Q<R ・・・(1)
【請求項9】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体が、いずれも金属からなる、光電気複合伝送モジュール。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の光電気複合伝送モジュールを用いた光通信ケーブルであって、前記光通信ケーブルは、前記光電気複合伝送モジュールと、前記光電気複合伝送モジュールに接続されるハイブリッドケーブルと、を備えた、
光通信ケーブル。
【請求項11】
光電気複合伝送モジュールであって、
基板と、前記基板の第1の面に設けられた光電変換部と、前記基板の第2の面に設けられた光導波路と、を有する光電気混載基板と、
前記光電気混載基板の、前記光電変換部が設けられた一面側を保護する第1の筐体と、前記一面側は前記光電変換部が設けられた面に対応し、
前記光電気混載基板の、前記光導波路が設けられた他面側を保護する第2の筐体と、前記他面側は前記光導波路が設けられた面に対応し、
前光電気混載基板の前記光電変換部が設けられた面と前記第1の筐体との間に設けられる伝熱部材と、を有する光電気複合伝送モジュールであって、
ここで、
前記基板の第1の面に設けられた前記光電変換部が樹脂により被覆されており、
前記第1の筐体の内側面には、前記伝熱部材の設置ガイドとなる枠壁が設けられており、
前記伝熱部材が、前記枠壁で囲われた領域に設置されており、
前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面が、前記伝熱部材を介して前記第1の筐体に当接している、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項12】
請求項11に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記枠壁の高さAと、前記枠壁で囲われた領域における前記第1の筐体の内側面から前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面までの距離Bとが、下記の式(4)を満たすように設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
0.2≦(A/B)≦0.7・・・(4)
【請求項13】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記枠壁の高さAと、前記枠壁で囲われた領域における前記第1の筐体の内側面から前記基板までの距離Dとが、下記の式(2)を満たすように設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
0.1≦(A/D)≦0.5・・・(2)
【請求項14】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記枠壁で囲われた領域における前記第1の筐体の内側面から前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面までの距離Bと、前記基板から前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面までの距離Cとが、下記の式(3)を満たすように設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
2≦(B/C)≦3・・・(3)
【請求項15】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材として、アスカーC硬度が40以下の放熱シートを用いる、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項16】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電変換部が、発光素子と駆動集積回路とを有しており、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域が、前記光電変換部における少なくとも前記駆動集積回路と対峙する部分に設けられている、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項17】
請求項16に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域の面積が、前記光電変換部における前記駆動集積回路の垂直上方から見た面積の95%以上、かつ、前記光電気混載基板を垂直上方から見た面積の110%以下に設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項18】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電変換部が、受光素子とトランスインピーダンスアンプとを有しており、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域が、前記光電変換部における少なくとも前記トランスインピーダンスアンプと対峙する部分に設けられている、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項19】
請求項18に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域の面積が、前記光電変換部における前記トランスインピーダンスアンプの垂直上方から見た面積の95%以上、かつ、前記光電気混載基板を垂直上方から見た面積の110%以下に設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項20】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とで形成される筐体の外形厚みが、第1の端側と第2の端側とで異なるように設計されており、
前記第1の筐体には、互いの対向距離を変化させるための第1の変移部が設けられており、
前記伝熱部材が、前記第1の変移部に設置されている、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項21】
請求項20に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第2の筐体には、互いの対向距離を変化させるための第2の変移部が設けられており、
前記第2の変移部が、前記第1の筐体に設けられた第1の変移部に対峙する位置に設けられている、
光電気複合伝送モジュール。
【請求項22】
請求項11又は12に記載の光電気複合伝送モジュールを用いた光通信ケーブルであって、
前記光通信ケーブルは、前記光電気複合伝送モジュールと、前記光電気複合伝送モジュールに接続されるハイブリッドケーブルと、を備えた、
光通信ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電気複合伝送モジュール及びそれを用いた光通信ケーブルに関するものであり、より詳しくは、光電変換部からの発熱を効率よく放熱でき、しかも薄型化、軽量化が図られた光電気複合伝送モジュール及びそれを用いた光通信ケーブルに関する。
【0002】
近年の電子機器等においては、伝送情報量の増加に伴い、電気配線に加えて光配線が併用された光電気混載基板が広く用いられている。このような光電気混載基板は、電気信号と光信号との変換を行うための光電気変換器を備えることによって、例えば、ハイブリッドケーブルから入力された光信号を電気信号に変換してブレードサーバに出力したり、ブレードサーバから入力された電気信号を光信号に変換してハイブリッドケーブルへ出力したりする、光電気複合伝送モジュールとして用いることができる。
【0003】
前記光電気変換器はその動作に伴って発熱して高温(例えば、70℃以上)となり、特に、駆動集積回路(IC:Integrated Circuit)及びトランスインピーダンスアンプ(TIA:Trans Impedance Amplifier)の発熱が大きい。光電気変換器から放出される熱が光電気複合伝送モジュールのケース(筐体)内に溜まってしまうと、筐体内が高温になり、その結果、発光素子及び受光素子の動作不良、FPC(Flexible Printed Circuits)の変形等が発生し、光電気複合伝送モジュールの故障に繋がることがある。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1の光電気複合伝送モジュールが提案されている。この光電気複合伝送モジュールは、プリント基板、光導波路、FPC、光電気変換器、放熱シートを有するとともに、厚さ方向一方側に向かって突出する突起を備えた筐体を備えており、前記筐体の突起によって放熱シートを下側に加圧することで、放熱シートを光電気変換器に密着させ、光電気変換器から生じる熱を、放熱シートを介して筐体の突起に伝えることで放熱するようになっている。
【0005】
しかし、特許文献1の光電気複合伝送モジュールは、放熱効果についてはある程度の効果が見込めるものの、筐体の内側に突起を設ける必要があるため、突起の分だけ全体的に嵩高くなり、薄型化を実現しにくいという問題がある。また、筐体の内側の突起の真下に発光素子及び受光素子が設置される構成となるため、製造時又は使用時において、前記筐体の突起が、発光素子及び受光素子に接触するおそれがあり、発光素子及び受光素子が損傷しやすいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本開示ではこのような事情の下において、薄型化、小型化、軽量化が図られるとともに、光電変換部の損傷を抑制でき、しかも放熱効果の高い光電気複合伝送モジュール及びそれを用いた光通信ケーブルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、光電変換部を樹脂で被覆し、この樹脂と筐体とを伝熱部材に当接させることで、十分な放熱を図ることができ、筐体内部に突起を設ける必要がないことを見出し、本開示を完成した。
【0009】
<<第1の態様>>
すなわち、本開示は、以下の[1]~[10]の第1の態様を有する。
[1]
光電気複合伝送モジュールであって、
基板と、前記基板の第1の面に設けられた光電変換部と、前記基板の第2の面に設けられた光導波路と、を有する光電気混載基板と、
前記光電気混載基板の、前記光電変換部が設けられた一面側を保護する第1の筐体と、前記一面側は前記光電変換部が設けられた面に対応し、
前記光電気混載基板の、前記光導波路が設けられた他面側を保護する第2の筐体と、前記他面側は前記光導波路が設けられた面に対応し、
前記光電気混載基板の前記光電変換部が設けられた面と前記第1の筐体との間に設けられる伝熱部材と、を有する光電気複合伝送モジュールであって、
ここで、
前記基板の第1の面に設けられた光電変換部が樹脂により被覆されており、
前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面と、前記第1の筐体とが、前記伝熱部材に当接している、
光電気複合伝送モジュール。
[2]
[1]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電気混載基板が、前記光電変換部からの電気信号又は前記光電変換部への電気信号を伝送する配線パターンをさらに備えており、
前記伝熱部材が、前記配線パターンの少なくとも一部にも当接している、光電気複合伝送モジュール。
[3]
[1]又は[2]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材が、前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面の全面に当接している、光電気複合伝送モジュール。
[4]
[1]~[3]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体の、光電気混載基板と対峙する面が、平坦面に形成されている、光電気複合伝送モジュール。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電気混載基板の前記光電変換部が、発光素子と前記発光素子を駆動させる駆動集積回路との組み合わせ、及び/又は、受光素子とトランスインピーダンスアンプとの組み合わせ、である、光電気複合伝送モジュール。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材が、熱伝導率が20W/mk以下の材料からなる、光電気複合伝送モジュール。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材が、40以下のアスカーC硬度を有する放熱シートである、光電気複合伝送モジュール。
[8]
[1]~[7]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材のアスカーC硬度Pと、前記樹脂のアスカーC硬度Qと、前記光電変換部のアスカーC硬度Rとが、下記の式(1)の関係にある、光電気複合伝送モジュール。
P<Q<R ・・・(1)
[9]
[1]~[8]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体が、いずれも金属からなる、光電気複合伝送モジュール。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールを用いた光通信ケーブルであって、
前記光通信ケーブルは、前記光電気複合伝送モジュールと、前記光電気複合伝送モジュールに接続されるハイブリッドケーブルと、を備えた、
光通信ケーブル。
【0010】
<<第2の態様>>
また、本開示は、以下の[11]~[22]の第2の態様を有する。
[11]
光電気複合伝送モジュールであって、
基板と、前記基板の第1の面に設けられた光電変換部と、前記基板の第2の面に設けられた光導波路と、を有する光電気混載基板と、
前記光電気混載基板の、前記光電変換部が設けられた一面側を保護する第1の筐体と、前記一面側は前記光電変換部が設けられた面に対応し、
前記光電気混載基板の、前記光導波路が設けられた他面側を保護する第2の筐体と、前記他面側は前記光導波路が設けられた面に対応し、
前記光電気混載基板の前記光電変換部が設けられた面と前記第1の筐体との間に設けられる伝熱部材と、を有する光電気複合伝送モジュールであって、
ここで、
前記基板の第1の面に設けられた光電変換部が樹脂により被覆されており、
前記第1の筐体の内側面には、前記伝熱部材の設置ガイドとなる枠壁が設けられており、
前記伝熱部材が、前記枠壁で囲われた領域に設置されており、
前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面が、前記伝熱部材を介して前記第1の筐体に当接している、
光電気複合伝送モジュール。
[12]
[11]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記枠壁の高さAと、前記枠壁で囲われた領域における前記第1の筐体の内側面から前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面までの距離Bとが、下記の式(4)を満たすように設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
0.2≦(A/B)≦0.7・・・(4)
[13]
[11]又は[12]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記枠壁の高さAと、前記枠壁で囲われた領域における前記第1の筐体の内側面から前記基板までの距離Dとが、下記の式(2)を満たすように設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
0.1≦(A/D)≦0.5・・・(2)
[14]
[11]~[13]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記枠壁で囲われた領域における前記第1の筐体の内側面から前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面までの距離Bと、前記基板から前記樹脂の前記第1の筐体と対峙する面までの距離Cとが、下記の式(3)を満たすように設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
2≦(B/C)≦3・・・(3)
[15]
[11]~[14]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記伝熱部材として、アスカーC硬度が40以下の放熱シートを用いる、
光電気複合伝送モジュール。
[16]
[11]~[15]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電変換部が、発光素子と駆動集積回路とを有しており、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域が、前記光電変換部における少なくとも前記駆動集積回路と対峙する部分に設けられている、
光電気複合伝送モジュール。
[17]
[16]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域の面積が、前記光電変換部における前記駆動集積回路の垂直上方から見た面積の95%以上、かつ、前記光電気混載基板を垂直上方から見た面積の110%以下に設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
[18]
[11]~[15]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記光電変換部が、受光素子とトランスインピーダンスアンプとを有しており、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域が、前記光電変換部における少なくとも前記トランスインピーダンスアンプと対峙する部分に設けられている、
光電気複合伝送モジュール。
[19]
[18]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体の内側面の前記枠壁で囲われた領域の面積が、前記光電変換部における前記トランスインピーダンスアンプの垂直上方から見た面積の95%以上、かつ、前記光電気混載基板を垂直上方から見た面積の110%以下に設計されている、
光電気複合伝送モジュール。
[20]
[11]~[19]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とで形成される筐体の外形厚みが、第1の端側と第2の端側とで異なるように設計されており(言い換えると、前記第1の筐体と前記第2の筐体との対向距離が、第1の端側が第2の端側より短くなるように設計される、または、第2の端側が第1の端側より短くなるよう設計される)、
前記第1の筐体には、互いの対向距離を変化させるための第1の変移部が設けられており、
前記伝熱部材が、前記第1の変移部に設置されている、
光電気複合伝送モジュール。
[21]
[20]に記載の光電気複合伝送モジュールであって、
前記第2の筐体には、互いの対向距離を変化させるための第2の変移部が設けられており、
前記第2の変移部が、前記第1の筐体に設けられた第1の変移部に対峙する位置に設けられている、
光電気複合伝送モジュール。
[22]
[11]~[21]のいずれかに記載の光電気複合伝送モジュールを用いた光通信ケーブルであって、
前記光通信ケーブルは、前記光電気複合伝送モジュールと、前記光電気複合伝送モジュールに接続されるハイブリッドケーブルと、を備えた、
光通信ケーブル。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、薄型化、小型化、軽量化を図ることができるとともに、光電変換部の損傷を抑制することができ、しかも光電変換部からの発熱を効率よく放熱することができる。
また、筐体に設置ガイドを設けて、伝熱部材の取付位置を明確にしたものは、伝熱部材の取付作業の効率化を図ることができる。そして、設置ガイドで囲われた領域に伝熱部材を設置することで、伝熱部材のはみ出しを確実に防止できるため、はみ出した伝熱部材がPCB基板のエッジに応力をかける等の不具合の発生を抑制できる。さらに、光電変換部からの発熱を効率よく放熱することができるため、薄型化、小型化、軽量化が図られ、意匠性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュールの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュールの内部構成を説明する部分断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュールの主要な構成を説明する概略図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュールの主要な構成を説明する概略図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュールにおける伝熱部材の設置個所を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施例1及び比較例1~3における伝熱部材の設置個所を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施例2~5における伝熱部材の大きさ及び設置個所を示す説明図である。
【
図10】
図10は、実施例2~5における筐体温度を測定した結果を示すグラフ図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの外観を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの外観の向きを変えて示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの外観を正面から見た正面図である。
【
図14】
図14は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの外観を上方から見た平面図である。
【
図15】
図15は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの外観を右側から見た右側面図である。
【
図16】
図16は、
図15に示す光電気複合伝送モジュールの内部構造を一部省略化したL-L断面図である。
【
図17】
図17は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【
図18】
図18は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの内部構成を一部省略化して説明する部分断面図である。
【
図21】
図21A及び
図21Bは、いずれも第1の筐体に設けられた枠壁及びこの枠壁で囲まれる領域を説明する図である。
【
図22】
図22は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュールの主要な構成を説明する概略図である。
【
図23】
図23Aは第1の筐体に設けられた枠壁及びこの枠壁で囲まれる領域と駆動集積回路と光電気混載基板との面積比を説明する図である。
図23Bは第1の筐体に設けられた枠壁及びこの枠壁で囲まれる領域とトランスインピーダンスアンプと光電気混載基板との面積比を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示を実施するための形態の例に基づいて本開示を説明する。但し、本開示は、次に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
なお、本開示において、「L以上」(Lは任意の数字)又は「M以下」(Mは任意の数字)と表現した場合、「Lより大きいことが好ましい」又は「M未満であることが好ましい」旨の意も包含する。
また、本開示において、「L及び/又はM(L,Mは任意の構成)」とは、L及びMの少なくとも一方を意味するものであって、Lのみ、Mのみ、L及びM、の3通りを意味するものである。
さらに、本開示において、「LとMとが当接する(L,Mは任意の構成)」とは、LとMが直接的に接する場合と、LとMとが他の部材を介して間接的に接する場合の2通りを意味するものである。
【0015】
<<第1の態様>>
図1は、本開示の一実施の形態である第1の態様の光電気複合伝送モジュール1の外観を示す斜視図である。
図2は、その光電気複合伝送モジュール1の構成を示す分解斜視図である。
本開示の第1の態様の光電気複合伝送モジュール1は、ハイブリッドケーブル2から出力される光を電気に変換し、この電気を図示しない電気機器に入力し、及び、図示しない電気機器から出力される電気を光に変換し、この光をハイブリッドケーブル2に入力するものである。 なお、
図2において、符号8はMT光コネクタであり、符号9はPMT光コネクタであり、符号10はZIFコネクタであり、符号11はプラグである。プラグとは、例えば、Type―CプラグやHDMI(登録商標)プラグである。
【0016】
本開示の第1の態様の光電気複合伝送モジュール1は、
図3に示すように、基板17と光電変換部5と光導波路16とを有する光電気混載基板18(
図4参照)と、PCB基板22と、光電気混載基板18とPCB基板22を接続するZIFコネクタ10と、第1の筐体3と、第2の筐体4と、伝熱部材7と、を備えており、伝熱部材7が、光電気混載基板18の光電変換部5が設けられた面と第1の筐体3との間に設けられている。
【0017】
そして、
図4及び
図5に示すように、光電変換部5が樹脂6により被覆されており、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと、第1の筐体3とが、伝熱部材7に当接するものである。これらの構成の詳細を以下に説明する。
【0018】
<光電気混載基板>
光電気混載基板18は、基板17と、基板17の第1の面17aに設けられた光電変換部5と、基板17の第2の面17bに設けられた光導波路16と、を有している。
基板17の第1の面17aには、光電変換部5と、これに接続される配線パターン20(
図8参照)が設けられている。
【0019】
基板17は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuit))である。この基板は、例えば、ガラス布・ガラス不織布をエポキシ樹脂で固めたもの(例えば、CEM-3等)、ガラス布をエポキシ樹脂で固めたもの(例えば、FR-4、FR-5等)、金属、PTFE、ポリイミド等からなるものが挙げられる。また、その厚さは、例えば、20μm以上200μm以下である。
【0020】
基板17の第1の面17aには、光電変換部5に接続される配線パターン20(
図8参照)が設けられている。この配線パターン20は、通常、銅からなっている。例えば、受光側(Rx)において、受光素子14とトランスインピーダンスアンプ(以下「TIA」とすることがある)15とは、配線パターン20によって接続されている。また、TIA15とZIFコネクタ10とは、配線パターン20によって接続されている。発光側(Tx)において、発光素子12と駆動集積回路(以下「駆動IC」とすることがある)13とは、配線パターン20によって接続されている。駆動IC13とZIFコネクタ10とは、配線パターン20によって接続されている。上述される配線パターン20は、基板17の第1の面17aの上に設けられている。なお、
図8には、配線パターン20の主要部分のみが示されている。
【0021】
基板17の第1の面17aに設けられる光電変換部5は、光を電気に変換したり、電気を光に変換したりする部材を複数備えるものであり、例えば、受光側(Rx)では、受光素子14とTIA15との組み合わせが好ましく用いられ、発光側(Tx)では、発光素子12と駆動IC13との組み合わせが好ましく用いられる。
【0022】
発光素子12は、電気を光に変換するものであり、その具体例としては、例えば、面発光型発光ダイオード(VCSEL)等が挙げられる。発光素子12と電気的に接続される駆動IC13は、発光素子12の近傍に設置される。
【0023】
受光素子14は、光を電気に変換するものであり、その具体例としては、例えば、フォトダイオード(PD)等が挙げられる。受光素子14と電気的に接続されるTIA15は、受光素子14の近傍に設置される。
【0024】
光電変換部5は、発光側(Tx)では、配線パターン20から駆動IC13へ入力された電気信号を駆動IC13が所定の駆動条件に合致するよう変換し、この変換された電気信号を発光素子12が光に変換し、この光を光導波路16のミラー16dに向けて出射する。
また、受光側(Rx)では、光導波路16のミラー16dから受光素子14に入力された光を、受光素子14が電気に変換し、この電気をTIA15が増幅し、これを配線パターン20(
図8参照)に向かって入力する。
このように、光電変換部5は、電気及び光を相互に変換可能になっている。
【0025】
光電変換部5は、図示しない電極を有し、基板17の端子(図示せず)とバンプ(図示せず)を介して電気的に接続されることにより、基板17に実装されている。
【0026】
基板17の第2の面17bには、光導波路16が設けられている(
図6参照)。
光導波路16は、長手方向に延びる略シート形状を有するものであり、アンダークラッド層16aと、コア層16bと、オーバークラッド層16cとを備えている。コア層16bの長手方向の端部には、ミラー16dが形成されている。光導波路16の材料としては、例えば、エポキシ樹脂等の透明材料が挙げられる。光導波路16の厚さは、例えば、20μm以上200μm以下に設定される。
【0027】
これらのものを備えた光電気混載基板18の厚さは、通常、25μm以上500μm以下であり、薄型化と取り扱い性とのバランスに優れる点から40μm以上250μm以下であることが好ましい。
【0028】
<樹脂>
基板17の第1の面17aに設けられる光電変換部5は、樹脂6によって被覆されている。
樹脂6の厚さは、特に限定するものではないが、光電変換部5の確実な保護と、第1の態様の光電気複合伝送モジュール1の薄型化の点から、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上300μm以下であることがより好ましい。
なお、樹脂6の厚さは、
図6において符号tで示すように、基板17の第1の面17aから樹脂6の最も高い箇所までの距離とする。
樹脂6の材料としては、放熱効果と密着性と耐熱性と光の透過率とのバランスに優れる点から、例えば、熱伝導率(W/mK)が0.1W/mK以上3W/mK以下であるものが好ましく、0.1W/mK以上1W/mK以下であるものがより好ましい。このようなものとしては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、とりわけ伝熱部材7との組み合わせに優れる点から、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0029】
<第1の筐体及び第2の筐体>
光電気混載基板18の、光電変換部5が設けられた面側を保護する第1の筐体3は、対となる第2の筐体4と組みわせて用いることにより、光電気混載基板18を収容する略箱形状のケース19を構成することができる(
図1参照)。
第1の筐体3及び第2の筐体4(以下「第1の筐体3等」とすることがある)は、放熱効果を考慮するとできるだけ熱伝導率の高いものからなることが好ましく、とりわけ熱伝導率が50W/mk以上であるものが好ましい。
高い熱伝導率と強度とを有し、放熱効果と内部(光電変換部5等)保護の両立が可能である点から、金属からなるものがより好ましい。具体的な金属材料としては、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、白金、金、それらの合金(丹銅、ステンレス等)等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、表面保護や美観の点から、第1の筐体3等は、めっき等の表面処理が施されてもよい。
【0030】
第1の筐体3等の厚さは、厚くすればするほど放熱効果が向上するものの、重量も増加するため、放熱効果と軽量化のバランスを考慮して、0.1mm以上0.6mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
なお、第1の筐体3等の厚さを厚くしても、長さ方向に熱が十分に逃げるために放熱効果の向上がみられないと考えることもできるが、外部空間と接する面積が増えるため、自然対数的に放熱効果が向上すると考えられる。
【0031】
第1の筐体3等の内側面には、内側(光電気混載基板18側)に向かって突出する突起を設けていないため、第1の筐体3等の内側は平坦面に形成されている。
本開示において、「平坦面に形成される」とは、意図的に突出する突起を設けないことを意味し、具体的には、第1の筐体3等の内側面は、4mm以上の高さの突出する突起を設けていない。
このため、第1の筐体3と第2の筐体4とを組み合わせて形成されるケース19の内部空間を、突起がない分だけ省スペース化することができ、第1の態様の光電気複合伝送モジュール1の薄型化、小型化、軽量化を実現できる。
また、突起がない分だけ、光電変換部5から第1の筐体3までの距離を短くできるため、より放熱効果を高めることができる。
さらに、内側面に突出する突起が形成されていないため、光電気混載基板18に第1の筐体3等を取り付ける際や、外部から衝撃を受ける等した際に、突起によって光電変換部5を損傷させることがない。
【0032】
<伝熱部材>
前記光電気混載基板18の光電変換部5が設けられた面と、第1の筐体3との間に設けられる伝熱部材7は、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと第1の筐体3とに当接させることによって、放熱効果が見込めるものを用いることができる。
すなわち、放熱効果を高めることにより、駆動IC13及びTIA15の熱ノイズ低下と、VCSEL等の発光素子及び受光素子の出力上昇とをより図ることができるためである。
伝熱部材7としては、例えば、放熱シート、放熱グリス、放熱板等を用いることができる。
【0033】
前記放熱シートの材料としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム等のフィラーが、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のベース樹脂に分散されたフィラー樹脂組成物が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なかでも、絶縁性、粘着性、熱伝導率のバランスに優れる点で、ベース樹脂として、シリコーン樹脂を用いたものが好ましく用いられる。
前記放熱シートは、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと第1の筐体3とにより密着させた状態で当接できる点から、柔軟性に優れるものが好ましい。また、同様の理由により、熱硬化性樹脂を含み、Bステージ状態又はCステージ状態であることが好ましい。 なお、放熱効果が高いものであっても、温度上昇に伴って気体(例えば、シロキサンガス等)が発生するような材料は、耐久性の点から好ましくない。
【0034】
このような放熱シートには、パテタイプ、ゲルタイプ、ラバータイプ等の複数のタイプがあるが、より柔軟性に優れ、樹脂6により密着させた状態で被覆できる点で、パテタイプが好ましく用いられ、具体的には、サーコンPG25A、サーコンPG80B、サーコンPG130A(いずれも富士高分子工業社製)等が挙げられる。
【0035】
伝熱部材7の熱伝導率は、放熱効果と粘着性とのバランスの点から、20W/mk以下であることが好ましく、2W/mk以上20W/mk以下であることがより好ましく、10W/mk以上20W/mk以下であることがさらに好ましい。
すなわち、熱伝導率は、高ければ高いほど放熱効果が向上すると思われるが、伝熱部材7の熱伝導率を高めるには、通常、金属フィラーの含有割合を高くする必要があり、金属フィラーの含有割合を高くすると、粘着性が下がる傾向がみられるためである。
また、樹脂6と当接させて、放熱効果をより高めることができる点で、伝熱部材7の熱伝導率が前記範囲内に設定されることが好ましい。
なお、前記熱伝導率は、ホットディスク法による熱伝導率測定方法(ISO/CD22007-2に準ずる)によって測定された値である。
【0036】
伝熱部材7のアスカーC硬度は、加工容易性、他部材を損傷することを抑制できること、および接触熱抵抗を小さくできることを両立させる点から、40以下であることが好ましく、5以上40以下であることがより好ましく、8以上40以下であることがさらに好ましく、10以上40以下であることがさらに一層好ましく、15以上40以下であることがさらにより一層好ましい。
【0037】
伝熱部材7のアスカーC硬度は、樹脂6のアスカーC硬度より低く設定されることが好ましい。このように設定されていると、損傷させることなく樹脂6に十分密着させることができるため、光電変換部5の保護を確実に行うことができる。
【0038】
なかでも、伝熱部材7のアスカーC硬度Pと、樹脂6のアスカーC硬度Qと、光電変換部5のアスカーC硬度Rとが、下記の式(1)の関係にあると、放熱効果と光電変換部5の保護の両立がより図られるため、好ましい。
P<Q<R ・・・(1)
【0039】
また、伝熱部材7のアスカーC硬度は、光電気混載基板18よりも低く設定されていることが好ましい。このように伝熱部材7のアスカーC硬度が設定されていると、伝熱部材7を取り付ける際の押力によって光電気混載基板18が変形しにくくなり、光電気混載基板18の変形による光損失増加を防止することができる。
【0040】
伝熱部材7は、単層でも、材質の異なる複層で形成してもよい。複層で形成する場合、強い力で押し付形成が不要となるように、互いの接触熱抵抗が低くなるものを用いることが好ましい。例えば、第1の筐体3側に熱伝導率の高いグラファイトシートを設け、光電気混載基板18側に前記放熱シートを設けた複層体であってもよい。前記グラファイトシートとしては、例えば、パナソニック社製のPGSグラファイトシート(GraphiteTIM)が挙げられる。
【0041】
また、
図6に示すように、伝熱部材7の厚さ(基板17の第1の面17aから第1の筐体3までの距離s)は、光電変換部5から第1の筐体3までの距離が短くなり、放熱性により優れる点から、できるだけ薄くすることが好ましい。
しかし、伝熱部材7の厚さが薄すぎると第1の筐体3と光電変換部5とが製造上の部材公差の関係から接触して製造不良となるため、光電変換部5の厚さ(基板17の第1の面17aから光電変換部5の最も高い箇所までの距離u)とこれを被覆する樹脂6の厚さ(基板17の第1の面17aから最も高い箇所までの距離t)とを考慮して、伝熱部材7の厚さを設計することが好ましい。なお、光電変換部5においては、複数の部材を有する場合には、最も高い部材に対する距離を距離uとする。
【0042】
具体的には、距離tに対する距離sの比(s/t)が、製造上の部材公差と放熱効果との両立の点から、1以上20以下に設定されることが好ましく、1.1以上10以下に設定されることがより好ましく、1.5以上7以下に設定されることがさらに好ましい。 また、距離tに対する距離uの比(u/t)が、製造上の部材公差と放熱効果の両立の点から、0.2以上1.2以下に設定されることが好ましく、0.4以上1以下に設定されることがより好ましく、0.6以上1以下に設定されることがさらに好ましい。
【0043】
伝熱部材7の大きさ(ここでは、面積のことを意味する。)は、光電気混載基板18より小さいものであればよく、例えば、
図6及び
図7に示すように樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aの全面に接するものでもよいし、
図4のように樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aの一部に接するものでもよい。
図6及び
図7に示すように、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aの全面に当接している伝熱部材7は、放熱効果が高いだけでなく、光電変換部5の保護がより高められている。
図4のように樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aの一部に接するものは、より少ない量の伝熱部材7で高い放熱効果を実現できるため、より軽量化が図られている。
なお、
図4のように伝熱部材7が、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aの一部に接する場合には、放熱効果の点から、少なくとも集積回路(駆動IC13又はTIA15)の上に設置されるものであることが好ましい。
【0044】
伝熱部材7は、樹脂6に接していればよく、基板17に接しなくてもよい。ただし、基板17に接していると、樹脂6及び基板17等の他部材に対する接触面積が広くなるため、密着性をより高めることができる。
また、伝熱部材7は、第1の態様の光電気複合伝送モジュール1の保護の点から、PCB基板22のエッジで光導波路16が損傷しない部位に設置されることが好ましい。
さらに、
図8に示すように、光電気混載基板18が、光電変換部5からの電気信号又は光電変換部5への電気信号を伝送する配線パターン20をさらに備えている。
伝熱部材7が、配線パターン20の少なくとも一部(例えば、配線パターンの面積の10%以上100%以下)にも当接していると、光電変換部5と配線パターン20との接続部分の保護がより図られ、第1の態様の光電気複合伝送モジュール1の耐久性をより向上させることができる。
【0045】
<その他の部材>
本開示には、放熱効果をより高めるため、さらに他の部材を取り付けて用いてもよい。 例えば、基板17の第2の面17bの所定部位に、金属からなる部材(例えば、板バネ、スプリング)を併用してもよい。
前記板バネを使用する場合、熱伝導率の高い材質のもの(例えば、C2680:銅65%:亜鉛35% 黄銅2種、熱伝導率117W/mK等)を選定することが好ましい。 前記スプリングを使用する場合、巻き径が小さく、バネ高さが低いものを用いることが好ましく、その材質は、例えば、SUS304(ステンレス製:熱伝導率15W/mK)等が挙げられる。
ただし、本開示は十分な放熱効果が得られるため、薄型化の点からは、このような部材を取り付ける必要はない。
【0046】
本開示の第1の態様の光電気複合伝送モジュール1は、例えば、つぎのようにして製造することができる。
まず、所定の配線(配線パターン20等)が形成された基板17の第2の面17bに光導波路16を形成した光電気混載基板18を準備し、光電気混載基板18に光電変換部5の発光素子12と駆動IC13または受光素子14とTIA15を実装する。また、光電変換部5に設けられた受光素子14とTIA15とを覆うように樹脂6を塗布することにより樹脂封止する。そして、光電気混載基板18に対し、ZIFコネクタ10を用いて、PCB基板22を接続する。
ついで、第1の筐体3の内側の所定位置に伝熱部材7を載置する。そして、光電気混載基板18に対し、光電変換部5が設けられた面側から第1の筐体3を取り付けることにより、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと、第1の筐体3とを、伝熱部材7に当接させることができる。
その後、第2の筐体4を、光電気混載基板18に対し、光導波路16が設けられた面側から第2の筐体4を取り付けることにより、第1の筐体3と第2の筐体4とでケース19が形成されて、第1の態様の光電気複合伝送モジュール1を得ることができる。
【0047】
<光通信ケーブル>
そして、本開示の第1の態様の光電気複合伝送モジュール1にハイブリットケーブル2を接続することで、光通信ケーブルを得ることができる。ハイブリットケーブル2としては、例えば、プラスチック光ファイバ、ガラス光ファイバ等はもちろん、シート状または板状の構造を有する光導波路、これらと各種導体ケーブルとが組み合わせられたケーブル等を用いることができる。なかでも、柔軟性の点から、プラスチック光ファイバを用いることが好ましい。
【0048】
本開示の第1の態様の光電気複合伝送モジュール1によれば、光電変換部5が樹脂6で被覆され、この樹脂6と第1の筐体3とが伝熱部材7に当接しているため、十分な放熱効果が得られるようになっている。そして、第1の筐体3の内側に突出する突起を設ける必要がなくなり、薄型化、小型化、軽量化を図ることができる。また、突起が衝突して生じる光電変換部5の損傷を皆無にすることができる。
【0049】
本開示の光通信ケーブルによれば、光電気複合伝送モジュールとして、本開示の第1の態様の光電気複合伝送モジュール1を用いているため、薄型化、小型化、軽量化が図られているとともに、光電変換部5の確実な保護を実現しており、耐久性にも優れている。
【実施例0050】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
[実施例1、比較例1~3]
まず、伝熱部材7として、1mm角,2mmの厚さを有する伝熱部材(社名:富士高分子工業社製、品番:PG130A,材料の組成:シリコーンポリマーと酸化アルミニウムと窒化アルミニウム、熱伝導率:13W/mK、アスカーC硬度:22)を準備した。また、第1の筐体3および第2の筐体4として、亜鉛96%,アルミ4%からなるものを用意した。
ついで、光電変換部5を被覆する樹脂6としてエポキシ樹脂を用いた光電気混載基板18(伝熱部材より10倍程度硬い光導波路16および伝熱部材より硬い金を用いて接続されたICを含む)を作製し、前記伝熱部材7を、
図8に示すように、Rx側光電気混載基板18のA~Dに示す位置のいずれかに当接するように位置を変えて第1の筐体3に取り付け、それぞれ光電気複合伝送モジュールを作製した。
すなわち、駆動IC13の上の樹脂6に当接するように取り付けたもの(位置A)を実施例1とし、それ以外の位置(位置B及び位置Dは基板の第1の面17aの上であり、位置Cは基板の第1の面17aと樹脂6の境界上である)に取り付けたものを比較例1~3とした。
また、対照とするため、伝熱部材7を取り付けなかった以外は実施例1と同様の光電気複合伝送モジュール(伝熱部材なし)を作製した。
【0052】
これらの光電気複合伝送モジュールを用いて、Tx側(発光素子12:VCSEL)からRx側(受光素子14:PD)にDisplayPort規格の映像を伝送し、画像エラー(ピクセルエラー数)をそれぞれカウントした。
具体的には、映像として「4K映像(2160×3840)」を2000フレーム伝送し、画像エラー(ピクセルエラー数)がゼロとなる最低PD電流値を測定した。
【0053】
そして、それぞれの光電気複合伝送モジュールから得られた値を下記の式に代入することによって、改善量(dB)を算出した。
改善量(dB)=10×log10(「対照」の最低PD電流値÷「実施例又は比較例」の最低PD電流値)
実施例および比較例に用いた伝熱部材7の位置と、算出した改善量(dB)とを下記の表1に併せて示す。
【0054】
【0055】
前記の結果に示されたように、実施例1の光電気複合伝送モジュールは、伝熱部材7を取り付けていないものに対して大幅に改善されていることがわかった。これに対し、比較例1~3の光電気複合伝送モジュールは、実施例1と同じ大きさの伝熱部材7を用いているにも関わらず、改善がほとんどみられないことがわかった。
【0056】
[実施例2~5]
まず、伝熱部材7として、実施例1で用いたものを以下のE~Hの大きさに調製したものを用意した。
すなわち、Eは1mm角(駆動IC13と平面視がほぼ同じ大きさ)であり、Fは3mm角(光電変換部5部分まで被覆する大きさ)であり、Gは5mm角(樹脂6まで被覆する大きさ)であり、Hは7mm角(基板17の全面を被覆する大きさ)である。
そして、
図9に示すように、各伝熱部材7を、駆動IC13の真上が面中心となる位置に当接するように、第1の筐体3に取り付けた。それ以外の条件は実施例1と同様にして、それぞれ光電気複合伝送モジュールを作製した。
【0057】
得られたこれらの光電気複合伝送モジュールに対し、実施例1と同様にして改善量(dB)を算出した。
実施例に用いた伝熱部材7の大きさと、算出した改善量(dB)とを下記の表2に合わせて示す。
【0058】
【0059】
前記の結果に示されたように、実施例2~5の光電気複合伝送モジュールの改善量は、伝熱部材7の大きさによらず、ほぼ同じであった。このことから、伝熱部材7の大小よりも、その取り付ける位置が重要であり、具体的には、駆動IC13の真上に伝熱部材7を当接させることが重要であることがわかった。
【0060】
さらに、実施例2~5の光電気複合伝送モジュールに対し、第1の筐体3の外側(伝熱部材7と接する側の反対側)に熱電対を取り付け、前記映像を伝送した際の第1の筐体3の温度を、雰囲気温度25℃にてそれぞれ測定した。測定した結果を
図10に併せて示す。
【0061】
図10の結果に示されたように、実施例2~5の光電気複合伝送モジュールの第1の筐体3の温度は、ほぼ同じであった。このことからも、伝熱部材7の大小よりも、駆動IC13の真上に伝熱部材7を当接させることが重要であることがわかった。
【0062】
そして、実施例1と実施例2の結果から、少なくとも駆動IC13の真上の樹脂6と、第1の筐体3とに、駆動IC13とほぼ同じ大きさの伝熱部材7を当接させることにより、十分な放熱効果を発揮できることがわかる。
よって、より軽量化を図るためには、駆動IC13とほぼ同じ大きさの伝熱部材7を用いることが好ましく、より耐久性を図るためには、駆動IC13に対峙する部分を含む樹脂6の全面に当接する大きさの伝熱部材7を用いることが好ましい。
【0063】
<<第2の態様>>
光電気複合伝送モジュールの筐体構造としては、様々なものが提案されている。例えば、特許文献2では、発光素子近傍が上下とも平坦に形成され、全体が箱形状の筐体構造の光電気複合伝送モジュールが提案されている。
一方、光電気複合伝送モジュールの小型化の観点から、内部に収容する部品点数の多い箇所はその筐体の外形厚みを厚くし、少ない箇所では薄くするというように、箇所によって筐体の外形厚みを変えたものも提案されている。
[特許文献2]特開2015-22129号公報
【0064】
しかし、このものは、厚みが薄い箇所では、内部空間が狭くなるため、各部材は必然的に設置位置が決定されるが、厚みが厚い箇所では、内部空間が広くなるため、各部材の設置位置をある程度自由に決定できる。よって、厚みが厚い箇所には、通常、互いの機能が十分に発揮できるように各種部材の位置(放熱材の位置、PMTコネクタの位置等)を調整し、より厳密に決定することが求められる。
また、箇所によって筐体の厚みを変えた光電気複合伝送モジュールにおいては、通常、
厚みが薄い箇所にケーブル等の部材が設けられるため、発光素子等を含む基板は、厚みが薄い箇所と厚い箇所とに跨る位置に設けられる。よって、発光素子等の近傍に、設計通りの正確な位置に部材を設けることは難しいという問題がある。
[発明が解決しようとする課題]
【0065】
そこで、本開示では、小型化が図られた光電気複合伝送モジュールにおいて、発光素子等の近傍であっても設計通りの位置に正確に部材を設けられた、放熱効果及び意匠性に優れる光電気複合伝送モジュール及びそれを用いた光通信ケーブルを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
【0066】
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、光電変換部を樹脂で被覆し、筐体の内側面に伝熱部材の設置ガイドとなる枠壁を設け、前記伝熱部材を、前記枠壁で囲われた領域に設置することによって、前記樹脂の前記筐体と対峙する面を、所望どおりの位置で前記伝熱部材を介して前記筐体に当接させることができるようになるため、小型化が図られた光電気複合伝送モジュールであっても、設計通りの正確な位置に伝熱部材を設けることができることを見出し、本開示を完成した。
[発明の効果]
【0067】
本開示は、筐体に設置ガイドを設けて、伝熱部材の取付位置を明確にしているため、伝熱部材の取付作業の効率化を図ることができる。また、設置ガイドで囲われた領域に伝熱部材を設置することで、伝熱部材のはみ出しを確実に防止できるため、はみ出した伝熱部材がPCB基板のエッジに応力をかける等の不具合の発生を抑制できる。
しかも、本開示は、光電変換部からの発熱を効率よく放熱することができるため、薄型化、小型化、軽量化が図られ、意匠性にも優れる。
[発明を実施するための形態]
【0068】
以下に、本開示の第2の態様を説明する。
但し、本開示は、次に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0069】
図11及び
図12は、本開示の一実施の形態である第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の外観を示す斜視図である。そして、
図13は、この第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の外観を正面から見た正面図であり、
図14は、この第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の外観を上方から見た平面図である。また、
図15は、この第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の外観を右側から見た右側面図であり、
図16は、
図15に示す第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の内部構造を一部省略化したL-L断面図である。さらに、
図17は、この光電気複合伝送モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【0070】
本開示の第2の態様の光電気複合伝送モジュール1は、ハイブリッドケーブル2から出力される光を電気に変換し、この電気を図示しない電気機器に入力し、及び、図示しない電気機器から出力される電気を光に変換し、この光をハイブリッドケーブル2に入力するものである。 なお、
図17において、符号8はMT光コネクタであり、符号9はPMT光コネクタであり、符号10はZIFコネクタであり、符号11はプラグである。プラグとは、例えば、Type―CプラグやHDMI(登録商標)プラグである。
【0071】
本開示の第2の態様の光電気複合伝送モジュール1は、
図18に示すように、光電変換部5と光導波路16とを有する光電気混載基板18(
図22参照)と、光電気混載基板18とPrinted Circuit Board(PCB基板)22を接続するZIFコネクタ10と、第1の筐体3と、第2の筐体4と、伝熱部材7と、を備えており、伝熱部材7が、光電気混載基板18の光電変換部5が設けられた面と第1の筐体3との間に設けられている。
そして、光電変換部5は樹脂6により被覆されており、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと、第1の筐体3とが、伝熱部材7に当接するようになっている(
図22参照)。
このとき、第1の筐体3の内側面には、伝熱部材7の設置ガイドとなる枠壁21が設けられており、伝熱部材7は枠壁21で囲われた領域α(
図19において斜線で示す部分)に設置されている。
これらの構成の詳細を以下に説明する。
【0072】
<光電気混載基板>
光電気混載基板18は、
図22に示すように、基板17と、基板17の第1の面17aに設けられた光電変換部5と、基板17の第2の面17bに設けられた光導波路16と、を有している。
基板17の第1の面17aには、光電変換部5と、これに接続される配線パターン等が設けられている。
【0073】
基板17は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)である。この基板は、例えば、ガラス布・ガラス不織布をエポキシ樹脂で固めたもの(例えば、CEM-3等)、ガラス布をエポキシ樹脂で固めたもの(例えば、FR-4、FR-5等)、金属、PTFE、ポリイミド等からなるものが挙げられる。また、その厚さは、例えば、20μm以上200μm以下である。
【0074】
基板17の第1の面17aには、光を電気に変換したり、電気を光に変換したりする部材を複数備える光電変換部5が設けられている。受光側(Rx:
図23B参照)において、光電変換部5として、例えば、受光素子14とTIA15とが設けられており、これらは互いに配線パターンによって接続されている。また、発光側(Tx:
図23A参照)において、光電変換部5として、例えば、発光素子12と駆動IC13とが設けられており、これらは互いに配線パターンによって接続されている。
【0075】
発光素子12は、電気を光に変換するものであり、その具体例としては、例えば、面発光型発光ダイオード(VCSEL)等が挙げられる。発光素子12と電気的に接続される駆動IC13は、発光素子12の近傍に設置される。
【0076】
受光素子14は、光を電気に変換するものであり、その具体例としては、例えば、フォトダイオード(PD)等が挙げられる。受光素子14と電気的に接続されるTIA15は、受光素子14の近傍に設置される。
【0077】
光電変換部5は、発光側(Tx)では、配線パターンから駆動IC13へ入力された電気を発光素子12で光に変換し、この光信号を光導波路16のミラー16dに向けて出射する。
また、受光側(Rx)では、光導波路16のミラー16dから受光素子14に入力された光を、受光素子14が電気に変換し、この電気を、TIA15が増幅し、これを配線パターンに向けて出力する。
このように、光電変換部5は、電気及び光を相互に変換可能になっている。
【0078】
光電変換部5は、図示しない電極を有し、基板17の端子(図示せず)とバンプ(図示せず)を介して電気的に接続されることにより、基板17に実装されている。
【0079】
基板17の第2の面17bには、光導波路16が設けられている。
光導波路16は、長手方向に延びる略シート形状を有するものであり、アンダークラッド層16aと、コア層16bと、オーバークラッド層16Cとを備えている。コア層16bの長手方向の端部には、ミラー16dが形成されている。光導波路16の材料としては、例えば、エポキシ樹脂等の透明材料が挙げられる。光導波路16の厚さは、例えば、20μm以上200μm以下に設定される。
【0080】
これらのものを備えた光電気混載基板18の厚さは、通常、25μm以上500μm以下であり、薄型化と取り扱い性とのバランスに優れる点から40μm以上250μm以下であることが好ましい。
【0081】
<樹脂>
基板17の第1の面17aに設けられる光電変換部5は、樹脂6によって被覆されている。
樹脂6の厚さは、特に限定するものではないが、光電変換部5の確実な保護と、第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の薄型化の点から、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上300μm以下であることがより好ましい。
なお、樹脂6の厚さは、
図22において符号Cで示すように、基板17の第1の面17aから樹脂6の最も高い箇所(通常、第1の筐体3と対峙する面6a)までの距離とする。
【0082】
樹脂6の材料としては、放熱効果、密着性、耐熱性、光の透過率のバランスに優れる点から、例えば、熱伝導率(W/mK)が0.1W/mK以上3W/mK以下であるものが好ましく、0.1W/mK以上1W/mK以下であるものがより好ましい。このようなものとしては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、とりわけ伝熱部材7との組み合わせに優れる点から、エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0083】
<第1の筐体及び第2の筐体>
光電気混載基板18の、光電変換部5が設けられた面側を保護する第1の筐体3は、対となる第2の筐体4と組みわせて用いることにより、光電気混載基板18を収容する略箱形状のケース19を構成することができる(
図11参照)。
【0084】
本開示においては、ケース19の形状として、第1の筐体3と第2の筐体4との対向距離が、一端側が他端側より短くなるよう設計されることが好ましく、具体的には、
図13に一点破線で示すように、一端側の対向距離Jが、他端側の対向距離Kより短くなるよう設計されることが好ましい。言い換えると、第1の筐体と前記第2の筐体とで形成される筐体の外形厚みが、一端側と他端側とで異なるように設計されていることが好ましい。なお、対向距離J及び対向距離Kは、いずれも最も離れた箇所(通常、ケース19表面)間の距離を示す。
【0085】
このため、第1の筐体3には、互いの対向距離を変化させるための第1の変移部Hが設けられることが好ましい。また、第2の筐体4には、互いの対向距離を変化させるための第2の変移部Iが設けられることが好ましく、この第2の変移部Iは、第1の筐体3に設けられた第1の変移部Hに対峙する位置に設けられることが、意匠性に優れる点から好ましい。ここで、この明細書における変移とは、例えば段差のことを意味する。
【0086】
第1の筐体3及び第2の筐体4(以下「第1の筐体3等」とすることがある)は、放熱効果を考慮するとできるだけ熱伝導率の高いものからなることが好ましく、とりわけ熱伝導率が50W/mk以上であるものが好ましい。
高い熱伝導率と強度とを有し、放熱効果と内部(光電変換部5等)保護の両立が可能である点から、金属からなるものがより好ましい。具体的な金属材料としては、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、白金、金、それらの合金(丹銅、ステンレス等)等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、表面保護や美観の点から、第1の筐体3等は、めっき等の表面処理が施されてもよい。
【0087】
第1の筐体3等の厚さは、厚くすればするほど放熱効果が向上するものの、重量も増加するため、放熱効果と軽量化のバランスを考慮して、0.1mm以上0.6mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下であることがより好ましい。
なお、第1の筐体等の厚さを厚くしても、長さ方向に熱が十分に逃げるために放熱効果の向上がみられないと考えることもできるが、外部空間と接する面積が増えるため、自然対数的に放熱効果が向上すると考えられる。
【0088】
そして、
図19に示すように、第1の筐体3の内側面には、伝熱部材7の設置ガイドとなる枠壁21が設けられている。すなわち、枠壁21は、伝熱部材7を取り付ける際に、正確な位置に設置するために設けるものであり、伝熱部材7の設置予定位置の周りを囲むように形成されている。この枠壁21で囲われた領域αに伝熱部材7が設置されることとなる。
【0089】
本開示において、枠壁21で囲われた領域αとは、
図19で示されるように枠壁21で全周が囲われている場合には、その囲われた領域を意味する。
しかし、枠壁21は伝熱部材7の設置ガイドとして機能すればよいため、必ずしも伝熱部材7の全周を囲わなくてもよい。このため、本開示において、領域αには、
図21A及び
図21Bに示すように、枠壁21の周方向に延びる仮想線rで補って囲われる領域も含まれることを意味する。
【0090】
領域αは、光電気混載基板18に第1の筐体3を取り付けた際に、他部材を介してZIFコネクタ10と接する箇所に設定することが好ましい(
図18参照)。このように設定すると、伝熱部材7をZIFコネクタ10に重なる配置で取付けることができる。
【0091】
領域αは、光電気混載基板18に第1の筐体3を取り付けた際に、光電変換部5に対峙する部分を含むように設けられることが好ましく、なかでも、駆動IC13及び/又はTIA15と対峙する部分を含むように設けられることが好ましい。このように設定すると、伝熱部材7を確実に駆動IC13及び/又はTIA15に重なる配置で取付けることができ、効率よく放熱を行うことができる。
【0092】
領域αの面積α
1は、より少ない伝熱部材7の使用量で効率よく放熱を行うことができる点で、光電変換部5における駆動IC13の垂直上方から見た面積Eの95%以上であることが好ましく、110%以上であることがより好ましい(
図23A参照)。
また、同様の理由により、領域αの面積α
1は、光電変換部5におけるTIA15の垂直上方から見た面積Gの95%以上であることが好ましく、110%以上であることがより好ましい(
図23B参照)。
さらに、領域αの面積α
1は、光電気混載基板18を垂直上方から見た面積Fの110%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。領域αの面積をこのように設定すると、放熱効果が高いだけでなく、光電変換部5及びその周辺部材の保護をより高めることができる(
図23A,B参照)。
なお、
図23A,Bにおいて、第1の筐体3を光電気混載基板18に取り付けた場合の領域αと駆動IC13(又はTIA15)との位置関係をわかりやすく示すために、第1の筐体3を透かし、配線パターン20等を一部省略して図示している。
【0093】
また、枠壁21の高さA(
図22参照)は、伝熱部材7の設置時に、設置予定部からのはみ出しを確実に防止できる点から、150μm以上450μm以下であることが好ましく、210μm以上390μm以下であることがより好ましい。
なお、枠壁21の高さAは、領域αにおける第1の筐体3の内側面から枠壁21の最も高い箇所までの距離とする。
【0094】
枠壁21は、第1の変移部Hに設けることが好ましい(
図20参照)。すなわち、枠壁21で囲われた領域αに設置される伝熱部材7は、後記のとおり、光電変換部5の近傍に配置されるものであるため、枠壁21を第1の変移部Hに設けることにより、伝熱部材7を第1の変移部Hに設けることができるためである。
【0095】
本開示においては、第1の筐体3の内側に4mm以上の高さの突出する突起を設けていない。すなわち、第1の筐体3の内側は平坦面に形成されており、枠壁21はこの平坦面上に設けられている。
このため、第1の筐体3と第2の筐体4とを組み合わせて形成されるケース19の内部空間を、突起がない分だけ省スペース化することができ、第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の薄型化、小型化、軽量化を実現できる。
また、突起がない分だけ、光電変換部5から第1の筐体3までの距離を短くできるため、より放熱効果を高めることができる。
さらに、内側面に突出する突起が形成されていないため、光電気混載基板18に第1の筐体3等を取り付ける際や、外部から衝撃を受ける等した際に、突起によって光電変換部5を損傷させることがない。
【0096】
<伝熱部材>
光電気混載基板18の光電変換部5が設けられた面と、第1の筐体3との間に設けられる伝熱部材7は、放熱効果が見込めるものを用いることができる。
すなわち、放熱効果を高めることにより、駆動IC13及びTIA15の熱ノイズ低下と、VCSEL等の発光素子及び受光素子の出力上昇とをより図ることができるためである。
このような伝熱部材7としては、例えば、放熱シート、放熱グリス、放熱板等を用いることができる。
【0097】
前記放熱シートの材料としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム等のフィラーが、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のベース樹脂に分散されたフィラー樹脂組成物が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
なかでも、絶縁性、粘着性、熱伝導率のバランスに優れる点で、ベース樹脂として、シリコーン樹脂を用いたものが好ましく用いられる。
前記放熱シートは、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと第1の筐体3とにより密着させた状態で当接できる点から、柔軟性に優れるものが好ましい。また、同様の理由により、熱硬化性樹脂を含み、Bステージ状態又はCステージ状態であることが好ましい。 なお、放熱効果が高いものであっても、温度上昇に伴って気体(例えば、シロキサンガス等)が発生するような材料は、耐久性の点から好ましくない。
【0098】
このような放熱シートには、パテタイプ、ゲルタイプ、ラバータイプ等の複数のタイプがあるが、より柔軟性に優れ、樹脂6により密着させた状態で被覆できる点で、パテタイプが好ましく用いられ、具体的には、サーコンPG25A、サーコンPG80B、サーコンPG130A(いずれも富士高分子工業社製)等が挙げられる。
【0099】
伝熱部材7の熱伝導率は、放熱効果と粘着性とのバランスの点から、20W/mK以下であることが好ましく、2W/mK以上20W/mK以下であることがより好ましく、10W/mK以上20W/mK以下であることがさらに好ましい。
すなわち、熱伝導率は、高ければ高いほど放熱効果が向上すると思われるが、伝熱部材7の熱伝導率を高めるには、通常、金属フィラーの含有割合を高くする必要があり、金属フィラーの含有割合を高くすると、粘着性が下がる傾向がみられるためである。
また、樹脂6と当接させて、放熱効果をより高めることができる点で、伝熱部材7の熱伝導率が前記範囲内に設定されることが好ましい。
なお、前記熱伝導率は、ホットディスク法による熱伝導率測定方法(ISO/CD22007-2に準ずる)によって測定された値である。
【0100】
伝熱部材7のアスカーC硬度は、加工容易性、他部材を損傷することを抑制できること、及び接触熱抵抗を小さくできることを両立できる点から、40以下であることが好ましく、5以上40以下であることがより好ましく、8以上40以下であることがさらに好ましく、10以上40以下であることがさらに一層好ましく、15以上40以下であることがさらにより一層好ましい。
【0101】
伝熱部材7のアスカーC硬度は、樹脂6のアスカーC硬度より低く設定されることが好ましい。このように設定されていると、樹脂6を損傷させることなく十分密着させることができるため、光電変換部5の保護を確実に行うことができる。
【0102】
また、伝熱部材7のアスカーC硬度は、光電気混載基板18よりも低く設定されていることが好ましい。例えば、光電気混載基板18は、伝熱部材7と比べて10倍程度硬い。このように伝熱部材7のアスカーC硬度が設定されていると、伝熱部材7を取り付ける際の押力によって光電気混載基板18が変形しにくくなり、光電気混載基板18の変形による光損失増加を防止することができる。
【0103】
伝熱部材7は、単層でも、材質の異なる複層で形成してもよい。複層で形成する場合、強い力で押し付形成が不要となるように、互いの接触熱抵抗が低くなるものを用いることが好ましい。例えば、第1の筐体3側に熱伝導率の高いグラファイトシートを設け、光電気混載基板18側に前記放熱シートを設けた複層体であってもよい。前記グラファイトシートとしては、例えば、パナソニック社製のPGSグラファイトシート(GraphiteTIM)が挙げられる。
【0104】
また、
図22に示すように、伝熱部材7の厚さ(領域αにおける第1の筐体3の内側面から樹脂6の第1の筐体と対峙する面6aまでの距離B)は、光電変換部5から第1の筐体3までの距離が短くなり、放熱性により優れる点から、できるだけ薄くすることが好ましい。
しかし、薄すぎると第1の筐体3と光電変換部5とが製造上の部材公差の関係から接触して製造不良となる傾向がみられるため、光電変換部5の高さと、これを被覆する樹脂6の厚さとを考慮して、伝熱部材7の厚さを設計することが好ましい。
なお、光電変換部5が複数の部材を有する場合には、最も高い部材に対する距離を考慮の対象とする。
【0105】
伝熱部材7の大きさ(ここでは面積のことを意味する)は、枠壁21の内側に収まる大きさであれば特に限定するものではないが、設計どおりの放熱効果が得られる点から、枠壁21の内壁に接する大きさであることが好ましい。
【0106】
そして、
図22に示すように、第1の筐体3の枠壁21の高さAと、枠壁21で囲われた領域αにおける第1の筐体3の内側面から樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aまでの距離Bとが、下記の式(4)を満たすように設計されていることが好ましい。とりわけ、前記高さAの距離Bに対する比(A/B)は、0.2以上0.7以下であることがより好ましく、0.3以上0.6以下にあることがさらに好ましい。
0.2≦(A/B)≦0.7・・・(4)
前記高さAと距離Bとが前記のとおりに設定されていると、筐体の薄さを維持することと適切に放熱部材を固定することに優れる傾向がみられる。
【0107】
また、第1の筐体3の内側面の枠壁21で囲われた領域αにおける第1の筐体3の内側面から樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aまでの距離Bと、基板17(第1の面17a)から樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aまでの距離Cとが、下記の式(3)を満たすように設計されていることが好ましい。とりわけ、前記距離Bの距離Cに対する比(B/C)は、2以上3以下であることがより好ましく、2.2以上2.8以下にあることがさらに好ましい。
2≦(B/C)≦3・・・(3)
前記距離Bと距離Cとが前記のとおりに設定されていると、筐体の薄さを維持することと適切に放熱部材を固定することとに優れる傾向がみられる。
【0108】
また、伝熱部材7を、ZIFコネクタ10と接する箇所に設置することが好ましい(
図18参照)。このように設置すると、伝熱部材7によってZIFコネクタ10のロックが上方から押さえつけられた状態で維持されるため、ZIFコネクタ10のロックが意図せずに解除されることがなくなり、外部からの衝撃によって光電気混載基板18とPCB基板22との接続が容易に外れるのを防止することができる。
【0109】
そして、伝熱部材7を、樹脂6を介して駆動IC13及び/又はTIA15と接する箇所に設置することが好ましい。このように設置すると、駆動IC13及び/又はTIA15が発する熱を効率よく放熱することできるため、設計したとおりの十分な放熱効果を得ることができる。
【0110】
伝熱部材7は、樹脂6に接していればよく、基板17に接しなくてもよい。ただし、基板17に接していると、樹脂6及び基板17等の他部材に対する接触面積が広くなるため、密着性をより高めることができる。
また、伝熱部材7は、第2の態様の光電気複合伝送モジュール1の保護の点から、基板17のエッジで光導波路16が損傷しない部位に設置されることが好ましい。
【0111】
そして、枠壁21で囲われた領域αにおける第1の筐体3の内側面から基板17(第1の面17a)までの距離Dは、筐体の薄型化の点から、0.5mm以上1.5mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.2mm以下であることがより好ましい。
【0112】
第1の筐体3の枠壁の高さAと、枠壁21で囲われた領域αにおける第1の筐体3の内側面から基板17までの距離Dとが、下記の式(2)を満たすように設計されていることが好ましい。とりわけ、前記高さAの距離Dに対する比(A/D)は、0.1以上0.5以下であることがより好ましく、0.2以上0.3以下にあることがさらに好ましい。 0.1≦(A/D)≦0.5・・・(2)
前記高さAと距離Dとが前記のとおりに設定されていると、筐体の薄さを維持することと適切に放熱部材を固定することに優れる傾向がみられる。
【0113】
<その他の部材>
本開示には、放熱効果をより高めるため、さらに他の部材を取り付けて用いてもよい。 例えば、基板17の第2の面17bの所定部位に、金属からなる部材(例えば、板バネ、スプリング)を併用してもよい。
前記板バネを使用する場合、熱伝導率の高い材質のもの(例えば、C2680:銅65%:亜鉛35% 黄銅2種、熱伝導率117W/mK等)を選定することが好ましい。
前記スプリングを使用する場合、巻き径が小さく、バネ高さが低いものを用いることが好ましく、その材質は、例えば、SUS304(ステンレス製:熱伝導率15W/mK)等が挙げられる。
ただし、本開示は十分な放熱効果が得られるため、薄型化の点からは、このような部材を取り付ける必要はない。
【0114】
本開示の第2の態様の光電気複合伝送モジュール1は、例えば、つぎのようにして製造することができる。
まず、所定の配線(配線パターン20等)が形成された基板17の第2の面17bに光導波路16を形成した光電気混載基板18を準備し、光電気混載基板18に光電変換部5として、発光素子12と駆動IC13又は受光素子14とTIA15を実装する。また、光電変換部5が実装された後、光電変換部5を被覆するように樹脂6を塗布して、光電変換部5を樹脂封止する。
ついで、第1の筐体3の内側の、枠壁21で囲われた領域αに伝熱部材7を載置する。そして、光電気混載基板18に対し、光電変換部5が設けられた面側から第1の筐体3を取り付けることにより、樹脂6の第1の筐体3と対峙する面6aと、第1の筐体3とを、伝熱部材7に当接させることができる。
その後、第2の筐体4を、光電気混載基板18に対し、光導波路16が設けられた面側から第2の筐体4を取り付けることにより、第1の筐体3と第2の筐体4とでケース19が形成されて、第2の態様の光電気複合伝送モジュール1を得ることができる。
【0115】
本開示の第2の態様の光電気複合伝送モジュール1によれば、第1の筐体3に伝熱部材7を取り付ける際に、枠壁21がその設置予定箇所(領域α)を明確に示しているため、取付作業の効率化と取付位置の正確化とを図ることができる。また、枠壁21が伝熱部材7のはみ出しを抑制するため、はみ出した伝熱部材7が基板17のエッジに応力をかける等の不具合が生じることがない。
そして、第1の筐体3には、互いの対向距離を変化させるための第1の変移部Hが設けられ、第2の筐体4には、互いの対向距離を変化させるための第2の変移部Iが設けられており、第2の変移部Iが、第1の筐体に設けられた第1の変移部Hに対峙する位置に設けられているため、軽量化が図られるとともに外観に優れている。
さらに、光電変換部5が樹脂6で被覆され、この樹脂6と第1の筐体3とが伝熱部材7に当接しているため、十分な放熱効果が得られるようになっている。
そして、十分な放熱効果を得られるため、第1の筐体3の内側に突出する突起を設ける必要がなくなり、薄型化、小型化、軽量化を図ることができる。また、突起が衝突して生じる光電変換部5の損傷を皆無にすることができる。
【0116】
<光通信ケーブル>
そして、本開示の第2の態様の光電気複合伝送モジュール1にハイブリッドケーブル2を接続することで、光通信ケーブルを得ることができる。ハイブリッドケーブル2としては、例えば、プラスチック光ファイバ、ガラス光ファイバ等はもちろん、シート状又は板状の構造を有する光導波路、これらと各種導体ケーブルとが組み合わせられたケーブル等を用いることができる。なかでも、柔軟性の点から、プラスチック光ファイバを用いたものが好ましい。
【0117】
本開示の光通信ケーブルによれば、光電気複合伝送モジュールとして、本開示の第2の態様の光電気複合伝送モジュール1を用いているため、薄型化、小型化、軽量化が図られているとともに、光電変換部5の確実な保護を実現しており、耐久性にも優れている。
【0118】
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は、本発明の範囲内であることが企図されている。