(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144310
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体製造工程用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/29 20180101AFI20241003BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241003BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20241003BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241003BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C09J7/29
C09J7/38
C09J133/00
C09J11/06
C09J133/14
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024049426
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2023053626
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】原田 桃子
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
(72)【発明者】
【氏名】瀧尻 絢
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F063
【Fターム(参考)】
4J004AA01
4J004AA10
4J004AA11
4J004AA14
4J004AA17
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5F063AA33
5F063DD86
5F063EE18
5F063EE22
5F063EE43
5F063EE44
(57)【要約】
【課題】チップ部品の厚みが薄くても、チップ部品に対する剥離性能に優れ、精度よくチップ部品を転写することができる半導体製造工程用粘着テープを提供する。
【解決手段】基材層と第1の粘着剤層とを有し、前記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有し、前記第1の粘着剤層は20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値が0.1以下であり、波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率が60%以下である半導体製造工程用粘着テープ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と第1の粘着剤層とを有し、
前記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有し、
前記第1の粘着剤層は20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値が0.1以下であり、
波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率が60%以下である
ことを特徴とする半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項2】
基材層と中間粘着層と第1の粘着剤層とをこの順に有し、
前記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有し、
前記第1の粘着剤層は20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値が0.1以下であり、
波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率が60%以下である
ことを特徴とする半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項3】
前記基材層が、ポリエステルフィルムを含む請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項4】
前記第1の粘着剤層はベースポリマーを含有し、前記ベースポリマーが、(メタ)アクリル共重合体を含有する請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル共重合体が水酸基含有モノマーに由来する構造を有し、前記(メタ)アクリル共重合体中において、水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合が2質量%以上である請求項4記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤(UVA-1)が、常温で液状である請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項7】
前記ベースポリマー100質量部に対して、前記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量が15質量部以下である請求項6記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項8】
前記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率が、80%以上である請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項9】
前記第1の粘着剤層のゲル分率が、60質量%以上である請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項10】
前記第1の粘着剤層の厚みが、40μm以下である請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項11】
前記中間粘着層が、更に、紫外線吸収剤(UVA-2)を含有する請求項2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項12】
前記紫外線吸収剤(UVA-2)が、常温で液状である請求項11記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項13】
前記中間粘着層はベースポリマーを含有し、前記ベースポリマー100質量部に対して、前記紫外線吸収剤(UVA-2)の含有量が15質量部以下である請求項11記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項14】
前記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率が、80%以上である請求項2又は11記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項15】
前記中間粘着層と前記第1の粘着剤層との間に、更に、バリア層を有する請求項2又は11記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項16】
前記バリア層が、ポリエステルフィルムを含む請求項15記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項17】
前記バリア層の厚みが、6μm以下である請求項15記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【請求項18】
前記基材層の前記第1の粘着剤層を有する面と反対の面に、更に、第2の粘着剤層を有する請求項1又は2記載の半導体製造工程用粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程用粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、粘着剤層上に配置された多数のチップ部品を駆動回路基板上に転写することがある。
例えば、マイクロLEDディスプレイは、画素を構成するチップの1つ1つが微細な発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)チップであり、このマイクロLEDチップが自発光して画像を表示する表示装置である。マイクロLEDディスプレイは、コントラストが高く、応答速度が速く、また、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で使用されるカラーフィルターを必要としないこと等により薄型化も可能であることから、次世代の表示装置として注目されている。マイクロLEDディスプレイにおいては、多数のマイクロLEDチップが平面状に高密度で敷き詰められている。
【0003】
このようなマイクロLEDディスプレイ等の半導体デバイスの製造工程においては、例えば、粘着剤層上に多数のチップ部品を貼り付け、配置した転写用積層体を、駆動回路基板と対向させ、転写用積層体からチップ部品を剥離させて駆動回路基板と電気的な接続を行う(転写工程)。
【0004】
転写用積層体からチップ部品を剥離させる方法としては、例えば、転写用積層体の支持体の背面から粘着剤層に焦点をあててレーザー光を照射する方法が知られている(例えば、特許文献1)。このような方法は、レーザーアブレーション(laser ablation)とも呼ばれる。また、粘着剤層に熱膨張性粒子、熱膨張性マイクロカプセル等を配合し、転写用積層体と駆動回路基板との熱圧着により熱膨張性粒子、熱膨張性マイクロカプセル等を熱膨張させることで、粘着剤層の変形による接着面積低下によりチップ部品を剥離させる方法も知られている(例えば、特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-138949号公報
【特許文献2】特開2019-15899号公報
【特許文献3】特開2003-7986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、チップ部品の厚みが薄い場合、従来のテープでは、粘着剤層に貼り付けたチップ部品の剥離不良により、歩留まりよくチップ部品を転写することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、チップ部品の厚みが薄くても、チップ部品に対する剥離性能に優れ、精度よくチップ部品を転写することができる半導体製造工程用粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示1は、基材層と第1の粘着剤層とを有し、上記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有し、上記第1の粘着剤層は20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値が0.1以下であり、波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率が60%以下である半導体製造工程用粘着テープである。
本開示2は、基材層と中間粘着層と第1の粘着剤層とをこの順に有し、上記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有し、上記第1の粘着剤層は20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値が0.1以下であり、波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率が60%以下である半導体製造工程用粘着テープである。
本開示3は、上記基材層が、ポリエステルフィルムを含む本開示1又は2の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示4は、上記第1の粘着剤層はベースポリマーを含有し、上記ベースポリマーが、(メタ)アクリル共重合体を含有する本開示1、2又は3の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示5は、上記(メタ)アクリル共重合体が水酸基含有モノマーに由来する構造を有し、上記(メタ)アクリル共重合体中において、水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合が2質量%以上である本開示4の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示6は、上記紫外線吸収剤(UVA-1)が、常温で液状である本開示1、2、3、4又は5の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示7は、上記ベースポリマー100質量部に対して、上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量が15質量部以下である本開示6の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示8は、上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率が、80%以上である本開示1、2、3、4、5、6又は7の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示9は、上記第1の粘着剤層のゲル分率が、60質量%以上である本開示1、2、3、4、5、6、7又は8の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示10は、上記第1の粘着剤層の厚みが、40μm以下である本開示1、2、3、4、5、6、7、8又は9の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示11は、上記中間粘着層が、更に、紫外線吸収剤(UVA-2)を含有する本開示2の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示12は、上記紫外線吸収剤(UVA-2)が、常温で液状である本開示11の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示13は、上記中間粘着層はベースポリマーを含有し、上記ベースポリマー100質量部に対して、上記紫外線吸収剤(UVA-2)の含有量が15質量部以下である本開示11又は12の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示14は、上記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率が、80%以上である本開示2、11、12又は13の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示15は、上記中間粘着層と上記第1の粘着剤層との間に、更に、バリア層を有する本開示2、11、12、13又は14の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示16は、上記バリア層が、ポリエステルフィルムを含む本開示15の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示17は、上記バリア層の厚みが、6μm以下である本開示15又は16の半導体製造工程用粘着テープである。
本開示18は、上記基材層の上記第1の粘着剤層を有する面と反対の面に、更に、第2の粘着剤層を有する本開示1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12,13、14、15、16又は17の半導体製造工程用粘着テープである。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明者らは、紫外線吸収剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープを用い、特定の温度領域における粘着剤層の損失正接(tanδ)の最大値を特定値以下にすること、及び、特定の紫外線を照射した後の粘着テープの粘着力低下率を特定の範囲に調整することを検討した。その結果、チップ部品の厚みが薄い場合であっても、レーザーアブレーションによるチップ部品に対する剥離性能に優れた粘着テープを得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の半導体製造工程用粘着テープは、波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率(以下、単に「紫外線照射後の粘着力低下率」ということもある。)の上限が60%である。上記紫外線照射後の粘着力低下率が60%以下であることにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープはレーザーアブレーションを行う前に別途紫外線を照射することなく、チップ部品を剥離することが可能となるため、チップ部品製造の作業効率が向上する。本発明の半導体製造工程用粘着テープの紫外線照射後の粘着力低下率の好ましい上限は10%であり、0%が最も好ましい。
なお、本発明の半導体製造工程用粘着テープの紫外線照射後の粘着力低下率の測定方法は、以下の方法で行う。
即ち、粘着テープを幅25mm×長さ75mmの平面長方形状に裁断し、裁断した粘着テープを2kgのゴムローラーを用いて、ガラス板に貼り合わせ、23℃、50%RHの条件下で20分間静置して、試験片を作製する。得られた試験片について、引張試験機(島津製作所社製、「AGS-X」等)を用い、JIS Z0237に準じて、23℃、50%RH、剥離速度300mm/minで180°剥離試験を行うことで、紫外線照射前の180°剥離力(mN/25mm)を得る。また、上記と同様に裁断した粘着テープに対して、ブラックライト(NEC社製、「FL20SBL」)を用いたUV照射器を用いて波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後、上記の方法と同様にして、180°剥離力を測定することにより、紫外線照射後の180°剥離力(mN/25mm)を得る。そして、以下の式により、紫外線照射後の粘着力低下率を算出する。
紫外線照射後の粘着力低下率(%)=100×{(紫外線照射前の180°剥離力)-(紫外線照射後の180°剥離力)}/(紫外線照射前の180°剥離力)
【0011】
本発明の半導体製造工程用粘着テープは、基材層を有する。
本発明の半導体製造工程用粘着テープが基材層を有することにより、適度なコシがあって、取り扱い性に優れた粘着テープとなる。
【0012】
レーザーアブレーションによりチップ部品を剥離させる観点から、上記基材層の波長355nmでの紫外線透過率の好ましい下限は1%、より好ましい下限は50%、更に好ましい下限は80%である。上記基材層の波長355nmでの紫外線透過率の好ましい上限は特にないが、実質的には95%程度が上限である。
なお、上記基材層の波長355nmでの紫外線透過率は、例えば、分光光度計(島津製作所社製、「UV-2600i」等)等を用いて、JIS L1925に準じて測定することができる。
【0013】
上記基材層は、上記波長355nmでの紫外線透過率を上記範囲に調整する観点から、樹脂フィルムを含むことが好ましい。
上記樹脂フィルムは特に限定されないが、耐熱性に優れる観点からは、ポリエステルフィルムを含むことが好ましい。上記ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム等が挙げられる。なかでも、価格と優れた透過性とのバランスの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
また、上記樹脂フィルムは、紫外線透過性に優れる観点からは、(メタ)アクリル樹脂フィルムを含むことが好ましい。上記(メタ)アクリル樹脂フィルムとしては、例えば、ポリメチルメタクレートフィルム等が挙げられる。
また、上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、シンジオタクチックポリスチレンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等も挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのことを意味する。
【0014】
上記基材層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は3μm、好ましい上限は100μmである。上記基材層の厚みが上記範囲内であることにより、適度なコシがあって、より取り扱い性に優れた粘着テープとすることができる。上記基材層の厚みのより好ましい下限は12μm、より好ましい上限は75μmである。
【0015】
上記基材層のヘイズの好ましい上限は10%である。上記基材層のヘイズが10%以下であることにより、上記基材層がレーザー光を効率よく透過させ、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能をより向上させる。上記基材層のヘイズのより好ましい上限は5%、更に好ましい上限は1%である。
また、上記基材層のヘイズの下限は小さいほど好ましいが、実質的な下限は0.1%程度である。
なお、上記基材層のヘイズは、例えば、ヘイズメーター(日本電色工業社製、「NDH4000」等)等を用いて測定することができる。
【0016】
上記第1の粘着剤層は特に限定されないが、感圧粘着剤層であることが好ましい。また、上記第1の粘着剤層は、チップ部品に対する剥離性能をより向上させる観点からは、熱硬化型、光硬化型等の硬化型粘着剤層であってもよい。
【0017】
上記第1の粘着剤層はベースポリマーを含有することが好ましい。
上記第1の粘着剤層に含有されるベースポリマーとしては、例えば、A-B-A型ブロックコポリマー、(メタ)アクリル共重合体、ウレタン共重合体、シリコーン粘着剤等が挙げられる。なかでも、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができることから、(メタ)アクリル共重合体が好ましい。
【0018】
上記(メタ)アクリル共重合体は、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造を有する共重合体である。
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル系モノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、チップ部品に対する剥離性能と、チップ部品への糊残り抑制効果とのバランスを取る観点から、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、及び、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。チップ部品への糊残りをより抑える観点から、ブチル(メタ)アクリレート、及び、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。また、これらのアクリレートが更に好ましい。上記(メタ)アクリル系モノマーは、単一のものであってもよいし、複数のモノマーを用いてもよい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートのことを意味する。
【0019】
上記(メタ)アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基含有モノマーに由来する構造を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリル共重合体が上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造を含有することで、上記第1の粘着剤層の凝集力がより高まることにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。また、上記第1の粘着剤層が後述する架橋剤を含有している場合、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する架橋性官能基と架橋剤とが反応し、上記(メタ)アクリル共重合体が架橋構造を形成することにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。
【0020】
上記架橋性官能基含有モノマーは特に限定されず、例えば、カルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、二重結合含有モノマー、三重結合含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー等が挙げられる。これらの架橋性官能基含有モノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができることから、カルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、二重結合含有モノマー、三重結合含有モノマー、及び、アミド基含有モノマーからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。そのなかでも、カルボキシ基含有モノマー、及び、水酸基含有モノマーからなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、カルボキシ基含有モノマー、及び、水酸基含有モノマーを併用することが特に好ましい。
【0021】
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系モノマー等が挙げられる。
上記水酸基含有モノマーとしては、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記二重結合含有モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記三重結合含有モノマーとしては、プロパルギル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
上記(メタ)アクリル共重合体中、上記水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合の好ましい下限は2質量%である。上記水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合が2質量%以上であることにより、上記第1の粘着剤層の凝集力がより高まり、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合のより好ましい下限は3質量%、更に好ましい下限は5質量%である。
また、上記水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合の好ましい上限は10質量%である。上記水酸基含有モノマーに由来する構造の含有割合が10質量%以下であることにより、上記第1の粘着剤層が硬くなりすぎず、上記第1の粘着剤層上に配置されたチップ部品の位置をより強固に保持できるようになり、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能がより向上する。本発明の半導体製造工程用粘着テープのより好ましい上限は8質量%、更に好ましい上限は5質量%である。
【0023】
上記(メタ)アクリル共重合体中、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の合計含有割合の好ましい下限は0.1質量%であり、好ましい上限は30質量%である。上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の合計含有割合が上記範囲であることで、上記第1の粘着剤層の凝集力がより高まり、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の合計含有割合のより好ましい下限は0.5質量%、より好ましい上限は25質量%、更に好ましい下限は1質量%、更に好ましい上限は20質量%である。
なお、上記(メタ)アクリル共重合体中に上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造が1種類のみ存在する場合、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の合計含有割合は当該1種類のみ存在する上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の含有割合を示す。
【0024】
上記(メタ)アクリル共重合体は、更に、上記(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造以外のその他のモノマーに由来する構造を含有していてもよい。
【0025】
上記その他のモノマーとしては、例えば、紫外線吸収特性を有する2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0026】
上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)の好ましい下限は20万であり、好ましい上限は200万である。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が上記範囲であることで、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は100万、より好ましい上限は180万である。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0027】
上記(メタ)アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)の好ましい下限は2であり、好ましい上限は8である。上記(メタ)アクリル共重合体の分子量分布が上記範囲であることで、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記(メタ)アクリル共重合体の分子量分布のより好ましい下限は3、より好ましい上限は5である。
なお、MnはGPC測定による標準ポリスチレン換算の数平均分子量のことを意味する。
【0028】
上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)、上記(メタ)アクリル共重合体の分子量分布(Mw/Mn)の測定は以下の方法で行う。
即ち、(メタ)アクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈し、得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過することにより、測定サンプルを調製する。次に、この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(例えば、Waters社製、「2690 Separations Module」等)に供給して、サンプル流量1mL/分、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行う。(メタ)アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量、数平均分子量を得て、分子量分布を算出する。カラムとしてはGPC KF-806L(昭和電工社製)を用い、検出器としては示差屈折計を用いた。
【0029】
上記(メタ)アクリル共重合体は、例えば、原料となるモノマー混合物を重合開始剤の存在下にてラジカル反応させて重合すること等によって得ることができる。
上記ラジカル反応の方式としては、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。リビングラジカル重合によれば、フリーラジカル重合と比較してより均一な分子量及び組成を有する共重合体が得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができることから、上記第1の粘着剤層の凝集力がより向上し、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。
上記モノマー混合物を重合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、UV重合、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、得られる粘着テープの粘着力がより高くなることから、溶液重合、UV重合が好ましい。
上記モノマー混合物を重合する方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0030】
上記重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
また、上記ラジカル反応の方式が上記リビングラジカル重合である場合には、上記重合開始剤としては、例えば、有機テルル重合開始剤が挙げられる。上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。なお、上記リビングラジカル重合においても、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として上記重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。
【0031】
上記第1の粘着剤層は、紫外線吸収剤(UVA-1)を含有する。
上記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有することにより、レーザー光の照射によって熱又は振動が効率良く発生し、アブレーションによる変形が起こりやすくなるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能が向上する。また、粘着剤層が適度にレーザー光を吸収することにより、接着しているチップが光を吸収することを抑制できるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープを用いて製造されるチップの製造品質が向上する。
【0032】
上記紫外線吸収剤(UVA-1)は、常温で固体状の紫外線吸収剤でもよいが、常温で液状の紫外線吸収剤が好ましい。上記第1の粘着剤層が上記常温で液状の紫外線吸収剤を含有することで、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。また、上記紫外線吸収剤が常温で液状であれば、上記紫外線吸収剤が析出しにくくなり、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能がより向上する。
なお、本明細書において、「常温」とは、20℃以上25℃以下の温度範囲を意味する。
【0033】
上記紫外線吸収剤(UVA-1)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシルフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。また、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。なかでも、上記第1の粘着剤層において他の成分との相溶性に優れる観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシルフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0034】
上記(メタ)アクリル共重合体100質量部に対して、上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量の好ましい上限は15質量部である。上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量が15質量部以下であれば、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量のより好ましい上限は12質量部、更に好ましい上限は10質量部である。
また、上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量の好ましい下限は1質量部である。上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量が1質量部以上であることにより、上記第1の粘着剤層はレーザー光の照射によって熱又は振動がより効率良く発生し、アブレーションによる変形がより起こりやすくなるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。また、粘着剤層が適度にレーザー光を吸収することにより、接着しているチップ部品が光を吸収することをより抑制できるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープを用いて製造されるチップ部品の製造品質がより向上する。上記紫外線吸収剤(UVA-1)の含有量のより好ましい下限は2質量部、更に好ましい下限は4質量部である。
【0035】
上記第1の粘着剤層は、更に、架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤は特に限定されず、上記(メタ)アクリル共重合体中に含まれる架橋性官能基の種類に応じて選択され、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。なかでも、上記第1の粘着剤層のゲル分率等を後述する範囲に調整しやすいことから、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0036】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)系架橋剤、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系架橋剤等が挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N’-(シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレン)ビス(ジグリシジルアミン)、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)等が挙げられる。
【0037】
上記架橋剤の含有量は特に限定されず、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマー中の架橋性官能基の量、及び、上記架橋剤の含有量を調整することで、上記第1の粘着剤層の架橋度(ゲル分率)を調整することができる。
上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマー100質量部に対する、上記架橋剤の含有量の好ましい下限は0.01質量部であり、好ましい上限は15質量部である。上記架橋剤の含有量が上記範囲であることにより、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマーを適度に架橋して上記第1の粘着剤層の凝集力を高めることができ、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は0.1質量部、より好ましい上限は12質量部、更に好ましい下限は0.15質量部、更に好ましい上限は8質量部である。
【0038】
上記第1の粘着剤層は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。
上記タッキファイヤーは、常温で固体状のタッキファイヤーであってもよく、常温で液状のタッキファイヤーであってもよい。
【0039】
上記タッキファイヤーは特に限定されず、例えば、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。
【0040】
上記タッキファイヤーの含有量は特に限定されないが、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能の観点からは、上記第1の粘着剤層に含有されないことが好ましい。上記タッキファイヤーを含有する場合は、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマー100質量部に対する、含有量の好ましい上限は40質量部である。上記タッキファイヤーの含有量が40質量部以下であることにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープへチップを貼り替える性能がより向上する。上記タッキファイヤーの含有量のより好ましい上限は30質量部である。
【0041】
上記第1の粘着剤層は、更に、ヒュームドシリカ等の無機フィラーを含有してもよい。
上記無機フィラーを配合することにより、上記第1の粘着剤層の凝集力をより高めることができ、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。
【0042】
上記第1の粘着剤層は、更に、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域における損失正接(tanδ)の最大値の上限は0.1である。上記第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域における損失正接の最大値が0.1以下であることにより、上記第1の粘着剤層はアブレーションする際に損失するエネルギーが少なくなるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能が向上する。上記第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域における損失正接の最大値の好ましい上限は0.08、より好ましい上限は0.05である。
また、上記第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域における損失正接(tanδ)の最大値の好ましい下限は特にないが、0.01程度が実質的な下限である。
なお、上記第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域における損失正接(tanδ)は動的粘弾性測定により測定することができる。具体的には例えば、第1の粘着剤層について、動的粘弾性測定装置(例えば、レオメトリックス社製、「Rheometrics Dynamic Analyze RDA-700」)を使用して、測定温度-40~150℃、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件下で測定することができる。また、第1の粘着剤層の厚みが500μm未満である場合は、第1の粘着剤層を重ねて厚みが500μm程度の第1の粘着剤層のみのサンプルを作製して測定を行う。
また、上記第1の粘着剤層のみのサンプルは、半導体製造工程用粘着テープの基材層を取り除き、第1の粘着剤層のみを分離した後に、分離した第1の粘着剤層を重ねること等により作製することができる。基材層を取り除く方法としては、粘着剤層の変性を避けるため、溶剤を用いた処理、化学反応を伴う処理、高温での処理等を避ける限りにおいて特に限定されない。具体的な方法としては、第1の粘着剤層同士を貼り合わせた後、適切な温度及び剥離速度を選択し、引き剥がすことによって基材層と第1の粘着剤層とを剥離し、基材層を取り除く方法、又は、基材層を物理的に研削する方法を選択することができる。また、別途作製した第1の粘着剤層のみからなるシートを用いて、上記第1の粘着剤層のみのサンプルを作製してもよい。
【0044】
上記第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域における損失正接(tanδ)を上記範囲に調整する方法としては、例えば、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマーの組成を変更する方法、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマーの重量平均分子量(Mw)や分子量分布(Mw/Mn)を調整する方法、上記架橋剤の種類や含有量を調整する方法、等が挙げられる。
【0045】
上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率の好ましい下限は80%である。上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率が80%以上であることにより、上記第1の粘着剤層はレーザー光の照射によって熱又は振動がより効率良く発生し、アブレーションによる変形がより起こりやすくなるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。また、上記第1の粘着剤層が適度にレーザー光を吸収することにより、接着しているチップが光を吸収することをより抑制できるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープを用いて製造されるチップの製造品質が向上する。上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率のより好ましい下限は90%であり、更に好ましい下限は95%である。
また、上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率の上限は特にない。
なお、上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率を測定する方法としては、例えば、粘着剤層について、分光光度計(島津製作所社製、「UV-2600i」等)を用いて、JIS L1925に準じて、測定する方法等が挙げられる。
【0046】
上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率を上記範囲に調整する方法としては、例えば、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマーの組成を変更する方法、上記紫外線吸収剤(UVA-1)の種類や含有量を調整する方法、上記第1の粘着剤層の厚みを調整する方法等が挙げられる。
【0047】
上記第1の粘着剤層のゲル分率の好ましい下限は60質量%であり、好ましい上限は95質量%である。上記第1の粘着剤層のゲル分率が60質量%以上であれば、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記第1の粘着剤層のゲル分率が95質量%以下であれば、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能がより向上する。上記第1の粘着剤層のゲル分率のより好ましい下限は80質量%、より好ましい上限は90質量%である。
なお、上記第1の粘着剤層のゲル分率は、以下の方法等により測定することができる。
半導体製造工程用粘着テープから上記第1の粘着剤層のみをW0(g)取り出し、酢酸エチル50mL中に浸漬し、振とう機で温度23℃、200rpmの条件で24時間振とうする。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ、W1(g))を用いて、酢酸エチルと酢酸エチルを吸収し膨潤した第1の粘着剤層を分離する。分離後の第1の粘着剤層を110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の金属メッシュを含む第1の粘着剤層の質量W2(g)を測定し、下記式を用いて上記第1の粘着剤層のゲル分率を算出する。
ゲル分率(質量%)=100×(W2-W1)/W0
(W0:初期第1の粘着剤層の質量、W1:金属メッシュの初期質量、W2:乾燥後の金属メッシュを含む第1の粘着剤層の質量)
ただし、上記第1の粘着剤層が酢酸エチルで溶けきらない場合は、酢酸エチルの代わりにトルエンやヘキサン、水等の溶媒を用いる。具体的には上記第1の粘着剤層が、例えば、スチレン系エラストマーを含有する場合はトルエンやヘキサンを用い、ポリビニルアルコールを含有する場合は90℃の熱水を用いる。
【0048】
上記第1の粘着剤層のゲル分率を上記範囲に調整する方法としては、例えば、上記第1の粘着剤層に含まれるベースポリマーの組成又は重量平均分子量(Mw)、上記架橋剤の種類又は量を上述したように調整する方法等が挙げられる。
【0049】
上記第1の粘着剤層の厚みの好ましい上限は40μmである。上記第1の粘着剤層の厚みが40μm以下であれば、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能及び剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができることから、上記第1の粘着剤層の厚みのより好ましい上限は30μmであり、更に好ましい上限は20μmである。
また、上記第1の粘着剤層の厚みの好ましい下限は5μmである。上記第1の粘着剤層の厚みが5μm以上であれば、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能及び剥離性能がより向上する。上記第1の粘着剤層の厚みのより好ましい下限は10μmであり、更に好ましい下限は20μmである。
【0050】
本発明の半導体製造工程用粘着テープは、上述したような基材層と、第1の粘着剤層とを有していればよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、他の層を有していてもよい。
【0051】
基材層と中間粘着層と第1の粘着剤層とをこの順に有し、上記第1の粘着剤層が紫外線吸収剤(UVA-1)を含有し、上記第1の粘着剤層は20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値が0.1以下であり、波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後の粘着力低下率が60%以下である半導体製造工程用粘着テープもまた、本発明の1つである。
【0052】
本発明の半導体製造工程用粘着テープが中間粘着層を有することにより、チップ部品を転写するためにチップ部品をダイシングテープ等から本発明の半導体製造工程用粘着テープに貼りかえる際、中間粘着層がクッション層となりチップ部品に対する貼替性が向上し、生産効率を上げることができる。また、中間粘着層に紫外線吸収剤が含まれる場合は、レーザー光の照射によるアブレーションの振動を上記第1の粘着剤層に効率よく伝えることができるため、本発明の導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能が向上し、チップ部品を糊残りなく剥離することができる。また、アブレーション部位が粘着剤とは異なるようになるため、アブレーションをする際に発生するアブレーション部位の飛散による粘着剤の残渣がチップ部品に付着することを抑制することができる。
【0053】
本発明の導体製造工程用粘着テープが基材層と中間粘着層と第1の粘着剤層とを有する場合、該基材層及び該第1の粘着剤層は上述した基材層や第1の粘着剤層と同様のものを用いることができる。
【0054】
上記中間粘着層はベースポリマーを含有することが好ましい。
上記中間粘着層に含まれるベースポリマーとしては、例えば、A-B-A型ブロックコポリマー、(メタ)アクリル共重合体、ウレタン共重合体、シリコーン粘着剤等が挙げられる。なかでも、中間粘着層に紫外線吸収剤が含まれる場合、レーザー光を照射することでアブレーションにより上記中間粘着層が適度に変形することができ、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上することから、A-B-A型ブロックコポリマー、(メタ)アクリル共重合体が好ましい。上記粘着層に紫外線吸収剤が含まれる場合は、上記中間粘着層にレーザー光を照射した際、照射箇所に発生するアブレーションが大きくなりすぎない観点からは、A-B-A型ブロックコポリマーがより好ましい。また、上記中間粘着層と上記基材層や後述するバリア層との接着性を確保し、例えば、上記端部浮き等の不具合を抑制する観点からは、(メタ)アクリル共重合体がより好ましい。
【0055】
上記中間粘着層における上記(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、上述した上記第1の粘着剤層における(メタ)アクリル共重合体と同様のものを用いることができる。
【0056】
上記A-B-A型ブロックコポリマーは、剛直な構造であるブロックA(以下、「ハードセグメント」ともいう)と、柔軟な構造であるブロックB(以下、「ソフトセグメント」ともいう)とを含む共重合体である。
上記A-B-A型ブロックコポリマーは、2つのブロックが相溶し難く、ブロックBの海の中にブロックAが凝集してできた球状の島が点在する不均一な相分離構造や、上記ブロックBの海の中に上記ブロックAが凝集してできた円筒状の構造が点在する不均一な相分離構造をとることがある。このような球状の島が点在する相分離構造を、スフィア状の相分離構造、円筒状の構造が点在する相分離構造をシリンダー状の相分離構造ともいう。そして、上記相分離構造の島が疑似架橋点となることで、上記A-B-A型ブロックコポリマーにゴム弾性を付与できることから、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。
【0057】
上記A-B-A型ブロックコポリマーにおいて、ブロックAは、剛直な構造を有していれば特に限定されないが、芳香族ビニルモノマーに由来する構造を含有することが好ましい。
上記ブロックAは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記芳香族ビニルモノマーに由来する構造に加えて更に、例えば、環状構造を有する化合物、側鎖置換基が短い化合物等に由来する構造を有していてもよい。
【0058】
上記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。これらの芳香族ビニルモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上することから、スチレンが好ましい。なお、本明細書において芳香族ビニルモノマーに由来する構造とは、下記式(1)又は(2)に示すような構造のことを指す。
【0059】
【0060】
式(1)及び(2)中、R1は芳香環を有する置換基を表す。芳香環を有する置換基R1としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基等が挙げられる。
【0061】
上記A-B-A型ブロックコポリマー中、上記芳香族ビニルモノマーに由来する構造の含有割合の好ましい下限は1質量%であり、好ましい上限は30質量%である。上記芳香族ビニルモノマーに由来する構造の含有量が上記範囲内であることにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能や半導体製造工程用粘着テープへチップ部品を貼り替える性能が向上する。上記芳香族ビニルモノマーに由来する構造の含有量のより好ましい下限は5質量%、より好ましい上限は28質量%、更に好ましい下限は8質量%、更に好ましい上限は25質量%、特に好ましい下限は10質量%、特に好ましい上限は20質量%である。
【0062】
上記A-B-A型ブロックコポリマーにおいて、ブロックBは、柔軟な構造を有していれば特に限定されないが、上記中間粘着層のゲル分率等を後述する範囲に調整しやすいことから、共役ジエンモノマーに由来する構造、又は、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造を含有することが好ましい。また、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能や半導体製造工程用粘着テープへチップ部品を貼り替える性能が向上する観点からは、ブロックBは、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造を含有することがより好ましい。
上記ブロックBは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記共役ジエンモノマー、上記(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーに由来する構造を有していてもよい。
【0063】
上記共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-オクタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの共役ジエンモノマーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、重合反応性が高く、工業的に入手しやすいことから、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0064】
上記共役ジエンモノマーに由来する構造は、二重結合(不飽和結合)が水素添加により飽和結合に変換されていてもよい。なお、例えば、上記共役ジエンモノマーに由来する構造としての1,3-ブタジエンに由来する構造の二重結合(不飽和結合)が水素添加されると、エチレン-ブチレン構造に変換される。上記水素添加の比率(水素添加率)は特に限定されず、部分的に水素添加されていてもよく、大部分が水素添加されていてもよい。
なお、水素添加の比率(水素添加率)は、重水素化クロロホルムを溶媒として用い、20Hzでの1H-NMRスペクトルを測定して算出することができる。
【0065】
上記A-B-A型ブロックコポリマー中、上記共役ジエンモノマーに由来する構造の含有割合は、本発明の効果が発揮されればよいため、下限は0質量%であってもよく、実質的な上限は99質量%である。本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能や半導体製造工程用粘着テープへチップ部品を貼り替える性能が向上する観点からは、上記共役ジエンモノマーに由来する構造の含有割合の好ましい下限は30質量%、好ましい上限は95質量%、より好ましい下限は40質量%、より好ましい上限は90質量%、更に好ましい下限は70質量%である。
【0066】
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、上述した粘着剤層に用いられる(メタ)アクリル系モノマーと同様のもの等が挙げられる。これらのモノマーは単一のものであってもよいし、複数のモノマーを用いてもよい。
【0067】
上記ブロックBは、更に、架橋性官能基含有モノマーに由来する構造を含有することが好ましい。
上記ブロックBが上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造を含有することで、上記中間粘着層の凝集力がより高まることにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。また、上記中間粘着層が後述する架橋剤を含有している場合、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する架橋性官能基と架橋剤とが反応し、架橋構造を形成することにより、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。
【0068】
上記架橋性官能基含有モノマーとしては、例えば、上述した粘着剤層に用いられる架橋性官能基含有モノマーと同様のもの等が挙げられる。これらのモノマーは単一のものであってもよいし、複数のモノマーを用いてもよい。
【0069】
なお、上記ブロックBに加えて、上記ブロックAも、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造を含有することが好ましい。
【0070】
上記A-B-A型ブロックコポリマー中、上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の含有量(上記ブロックA中の含有量と上記ブロックB中の含有量との合計)の好ましい下限は0.1質量%であり、好ましい上限は30質量%である。上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の含有量が上記範囲内であることで、上記中間粘着層の凝集力がより高まり、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記架橋性官能基含有モノマーに由来する構造の含有量のより好ましい下限は0.5質量%、更に好ましい下限は1質量%、より好ましい上限は20質量%、更に好ましい上限は10質量%である。
【0071】
上記A-B-A型ブロックコポリマー中、上記ブロックBのガラス転移温度は特に限定されないが、-70℃以上、0℃以下であることが好ましい。上記ブロックBのガラス転移温度が上記範囲であることで、突起を有するチップ部品、又は、小さいサイズのチップ部品を転写する場合にも粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。
上記ブロックBのガラス転移温度のより好ましい下限は-50℃、更に好ましい下限は-30℃であり、より好ましい上限は-5℃、更に好ましい上限は-10℃である。
なお、上記ブロックBのガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(例えば、レオメトリックス社製、「Rheometrics Dynamic Analyze RDA-700」)を使用して、測定温度-40~150℃、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件下で測定することができる。
【0072】
上記ブロックBのガラス転移温度を上記範囲に調整する方法は特に限定されないが、上記ブロックBのガラス転移温度を上記範囲に調整するためには、上記(メタ)アクリル系モノマーが、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することが好ましい。
【0073】
上記(メタ)アクリル系モノマーが上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有することで、上記中間粘着層の貯蔵弾性率をより好ましい範囲に調整することができる。上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシエチルアクリレートなどが挙げられる。特に、ブチルアクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシエチルアクリレートが好ましい。
【0074】
上記A-B-A型ブロックコポリマー中、上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構造の含有量は特に限定されず、0質量%であってもよいが、好ましい下限は40質量%である。上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構造の含有量が40質量%以上であれば、粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構造の含有量のより好ましい下限は50質量%である。
上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が-10℃以下である(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構造の含有量の上限は特に限定されないが、チップ部品を仮固定する観点から、好ましい上限は95質量%、より好ましい上限は90質量%である。
【0075】
上記A-B-A型ブロックコポリマー中、上記ブロックA(ハードセグメント)の含有量は特に限定されないが、1質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。上記ブロックAの含有量が上記範囲であることで、上記中間粘着層の破断強度が高くなり、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記ブロックAの含有量のより好ましい下限は2質量%、更に好ましい下限は5質量%、特に好ましい下限は10質量%である。上記ブロックAの含有量のより好ましい上限は35質量%、更に好ましい上限は30質量%、更に好ましい上限は25質量%、更により好ましい上限は22質量%、特に好ましい上限は20質量%である。
【0076】
上記A-B-A型ブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、5万以上、80万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量が上記範囲であることで、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は75000、更に好ましい下限は10万、更により好ましい下限は20万である。上記重量平均分子量のより好ましい上限は60万である。
なお、上記重量平均分子量は、例えば、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により標準ポリスチレン換算にて求めることができる。より具体的には、例えば、測定機器としてWaters社製「2690 Separations Module」、カラムとして昭和電工社製「GPC KF-806L」、溶媒として酢酸エチルを用い、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件で測定することができる。
【0077】
上記A-B-A型ブロックコポリマーを得るには、上記ブロックA及び上記ブロックBの原料モノマーを、重合開始剤の存在下にてそれぞれラジカル反応させて上記ブロックA及び上記ブロックBを得た後、両者を反応させる又は共重合すればよい。また、上記ブロックAを得た後、続けて上記ブロックBの原料モノマーを投入し、共重合してもよい。
上記ラジカル反応をさせる方法、即ち、重合方法としては、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
【0078】
上記中間粘着層は、更に、紫外線吸収剤(UVA-2)を含有することが好ましい。
上記中間粘着層が紫外線吸収剤(UVA-2)を含有することにより、上記中間粘着層においてレーザー光の刺激がより効率よく熱又は振動に変わるため、アブレーションによる変形がより起こりやすくなり、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。
【0079】
上記紫外線吸収剤(UVA-2)は、常温で固体状の紫外線吸収剤でもよいが、常温で液状の紫外線吸収剤が好ましい。上記中間粘着層が上記常温で液状の紫外線吸収剤を含有することにより、上記紫外線吸収剤(UVA-2)が析出しにくくなり、本発明の半導体製造工程用粘着テープの貯蔵安定性がより向上する。
【0080】
上記紫外線吸収剤(UVA-2)としては、例えば、上述した紫外線吸収剤(UVA-1)と同様のものが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0081】
上記中間粘着層に含まれるベースポリマー100質量部に対して、上記紫外線吸収剤(UVA-2)の含有量の好ましい上限は15質量部である。上記紫外線吸収剤(UVA-2)の含有量が15質量部以下であれば、上記中間粘着層と他の層との密着性や本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能がより向上する。上記紫外線吸収剤の含有量(UVA-2)のより好ましい上限は12質量部、更に好ましい上限は10質量部である。
また、上記紫外線吸収剤(UVA-2)の含有量の好ましい下限は1質量部である。上記紫外線吸収剤(UVA-2)の含有量が1質量部以上であることにより、上記中間粘着層においてレーザー光の刺激がより効率よく熱又は振動に変わるため、アブレーションによる変形がより起こりやすくなり、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記紫外線吸収剤の含有量(UVA-2)のより好ましい下限は2質量部、更に好ましい下限は4質量部である。
【0082】
上記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率の好ましい下限は80%である。上記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率が80%以上であることにより、レーザー光の照射によって熱又は振動がより効率良く発生し、アブレーションによる変形が起こりやすくなるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能が向上する。上記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率のより好ましい下限は90%、更に好ましい下限は95%である。
また、上記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率の上限は特にない。
なお、上記中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率は、例えば、上述した上記第1の粘着剤層の波長355nmの紫外線吸収率と同様の方法等により、測定することができる。
【0083】
上記中間粘着層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限が70質量%、好ましい上限が95質量%である。上記中間粘着層のゲル分率が70質量%以上であれば、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記中間粘着層のゲル分率が95質量%以下であれば、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する保持性能がより向上する。上記ゲル分率のより好ましい下限は80質量%、より好ましい上限は90質量%である。
なお、上記中間粘着層のゲル分率は、例えば、上述した第1の粘着剤層のゲル分率と同様の方法等により、測定することができる。
【0084】
上記中間粘着層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が3μm、好ましい上限が50μmである。上記中間粘着層の厚みが上記範囲内であれば、チップ部品を転写するためにチップ部品をダイシングテープ等から本発明の半導体製造工程用粘着テープに貼りかえる際、中間粘着層がクッション層となりチップ部品に対する貼替性が向上し、生産効率を上げることができる。また、中間粘着層に紫外線吸収剤が含まれる場合は、上記中間粘着層の厚みが上記範囲内であれば、レーザー光を照射することでアブレーションにより上記中間粘着層が適度に変形することができ、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記中間粘着層の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は30μmであり、更に好ましい下限は8μm、更に好ましい上限は20μmである。
【0085】
本発明の半導体製造工程用粘着テープが中間粘着層を有する場合、上記中間粘着層と上記第1の粘着剤層との間に、更に、バリア層を有することが好ましい。
本発明の半導体製造工程用粘着テープがバリア層を有することにより、上記中間粘着層にレーザー光照射によるアブレーションをしたときの上記中間粘着層の飛散がバリア層により更に抑制されるため、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。
【0086】
上記バリア層は、極性官能基を有する樹脂フィルムを有することが好ましい。
上記バリア層が極性官能基を有する樹脂フィルムを有することにより、上記バリア層と上記第1の粘着剤層や上記中間粘着層との間のアンカー性が増すことから、本発明の半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上し、かつ、チップ部品への糊残りをより抑えることができる。
【0087】
極性官能基を有する樹脂フィルムは特に限定されないが、耐熱性に優れる観点からは、ポリエステルフィルムを含むことが好ましい。上記ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム等が挙げられる。なかでも、価格と優れた透過性バランスの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
また、上記極性官能基を有する樹脂フィルムは、紫外線透過性に優れる観点からは、(メタ)アクリル樹脂フィルムであることが好ましい。上記(メタ)アクリル樹脂フィルムとしては、例えば、ポリメチルメタクレートフィルム等が挙げられる。
また、上記極性官能基を有する樹脂フィルムとしては、例えば、ポリアセタールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、超高分子量ポリエチレンフィルム、シンジオタクチックポリスチレンフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリサルフォンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等も挙げられる。
【0088】
上記バリア層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は8μmである。上記バリア層の厚みが上記範囲内であれば、半導体製造工程用粘着テープのチップ部品に対する剥離性能がより向上する。上記バリア層の厚みのより好ましい下限は3μm、より好ましい上限は6μmである。
【0089】
上記バリア層は、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤、その他の樹脂等を含有していてもよい。
【0090】
本発明の半導体製造工程用粘着テープは、上記基材層の上記第1の粘着剤層を有する面と反対の面に、第2の粘着剤層を有していても良い。上記第2の粘着剤層を有すると、本発明の半導体製造工程用粘着テープをガラス基板等の支持体に容易に貼り付けることができ、また、チップ部品の剥離後はガラス基板等の支持体から粘着テープを除去して、ガラス基板を再利用することができるようになる。
【0091】
上記第2の粘着剤層は、上記第1の粘着剤層と同じ粘着剤層であってもよいし、異なる粘着剤層であってもよい。
【0092】
上記第2の粘着剤層が上記第1の粘着剤層と異なる粘着剤層である場合、上記第2の粘着剤層は特に限定されないが、感圧粘着剤層であることが好ましい。
上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマーとしては、例えば、A-B-A型ブロックコポリマー、アクリル共重合体、ウレタン共重合体、シリコーン粘着剤等が挙げられる。なかでも、本発明の半導体製造工程用粘着テープをガラス基板等の支持体へ強く貼りつけることができるようになり、かつ、糊残りなく再剥離できるようになる観点から、A-B-A型ブロックコポリマー、アクリル共重合体が好ましい。
上記第2の粘着剤層の相分離構造は特に限定されないが、強粘着性と再剥離性との両立をさせやすい観点から、相分離構造はスフィア状の相分離構造が好ましい。
上記A-B-A型ブロックコポリマーにおいて、ブロックBは、柔軟な構造を有していれば特に限定されないが、ブロックBは(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造を含有することが好ましく、なかでもブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを含有することがより好ましい。
【0093】
上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマーとしての上記アクリル共重合体は、(メタ)アクリル系モノマーに由来する構造を有する共重合体である。
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、強粘着性と再剥離性との両立をさせやすい観点から、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートがより好ましい。
【0094】
上記アクリル共重合体は、糊残りなく再剥離する観点から更に、架橋性官能基含有モノマーに由来する構造を含有することが好ましい。
【0095】
上記アクリル共重合体中、上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構造の含有量は特に限定されないが、0.1質量%以上、30質量%以下であることが好ましい。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構造の含有量が上記範囲であることで、強粘着性と再剥離性とを両立することができる。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構造の含有量のより好ましい下限は0.5質量%、更に好ましい下限は1質量%、より好ましい上限は25質量%、更に好ましい上限は20質量%である。
【0096】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、20万以上、200万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量が上記範囲であることで、強粘着性と再剥離性とを両立することができる。上記重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は150万である。
【0097】
上記第2の粘着剤層は、更に、架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤は特に限定されず、上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマー中の架橋性官能基の種類に応じて選択され、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマー中の架橋性官能基がカルボキシ基の場合、上記架橋剤として、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
なかでも、強粘着性と再剥離性との両立の観点から、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0098】
上記架橋剤の含有量は特に限定されず、上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマー中の架橋性官能基の量、及び、上記架橋剤の含有量を調整することで、上記第2の粘着剤層の架橋度(ゲル分率)を調整することができる。上記架橋剤の含有量は、上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマー100質量部に対して0.01質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。上記架橋剤の含有量が上記範囲であることで、強粘着性と再剥離性とを両立することができる。上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は0.1質量部、より好ましい上限は8質量部であり、更に好ましい下限は0.15質量部、更に好ましい上限は5質量部である。
【0099】
上記第2の粘着剤層は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。
上記タッキファイヤーは特に限定されないが、適度な紫外線透過率を有することが好ましい。上記タッキファイヤーの紫外線透過率は特に限定されないが、波長365nmでの紫外線透過率の好ましい下限が1%、より好ましい下限が50%、更に好ましい下限が80%である。上記波長365nmでの紫外線透過率の上限は特に限定されないが、実質的には95%程度が上限である。紫外線透過率が高い観点から、水素添加されたタッキファイヤーが好ましい。
【0100】
上記タッキファイヤーは特に限定されず、例えば、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂等が挙げられる。なかでも水素添加ロジンエステル、水素添加テルペンフェノール、水素添加テルペン樹脂が好ましい。
【0101】
上記タッキファイヤーの含有量は特に限定されないが、再剥離性の観点から、上記第2の粘着剤層に含有されないことが最も好ましい。
上記タッキファイヤーを含有する場合は、上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマー100質量部に対して好ましい上限は10質量部である。上記常温で固体状のタッキファイヤーの含有量が上記範囲であると再剥離時に糊残りしにくくなる。上記タッキファイヤーの含有量のより好ましい上限は5質量部、更に好ましい上限は3質量部である。
【0102】
上記第2の粘着剤層は、更に、ヒュームドシリカ等の無機フィラーを含有してもよい。
上記第2の粘着剤層に無機フィラーを配合することにより、上記第2の粘着剤層の凝集力が向上し、強粘着性と再剥離性との両立がしやすくなる。
【0103】
上記第2の粘着剤層は、更に、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0104】
上記第2の粘着剤層の粘着力は特に限定されないが、好ましい下限が0.8N/25mmである。上記第2の粘着剤層の粘着力が0.8N/25mm以上であれば、チップ部品の剥離の際にガラス基板等の支持体からテープが剥離するのを防ぐことができる。上記第2の粘着剤層の粘着力のより好ましい下限は2N/25mm、更に好ましい下限は3N/25mm、更により好ましい下限は4N/25mmである。
また、上記第2の粘着剤層の粘着力の上限は特に限定されないが、再剥離性の観点から、好ましい上限は20N/25mm、より好ましい上限は18N/25mm、更に好ましい上限は16N/25mmである。
なお、上記第2の粘着剤層の粘着力は、例えば、JIS Z0237:2009に準じて、粘着テープを25mm幅に裁断し、ガラス板に、室温23℃、相対湿度50%で、2kgの圧着ゴムローラーを用いて300mm/minの速度で貼り付け、30分間静置した後、オートグラフ(島津製作所社製、「AGS-500NX」)等を用いて、粘着テープを300mm/minの速度で引き剥がして180°剥離強度を測定することで得られる。
【0105】
上記第2の粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限が30質量%、好ましい上限が90重量%である。上記第2の粘着剤層のゲル分率が30質量%以上であれば、再剥離時に糊残りが生じにくい。上記第2の粘着剤層のゲル分率が90質量%以下であれば、粘着力を高く調整しやすい。上記第2の粘着剤層のゲル分率のより好ましい下限は40質量%、より好ましい上限は80質量%である。
なお、上記第2の粘着剤層のゲル分率は、上述した第1の粘着剤層のゲル分率と同様の方法により測定することができる。
【0106】
上記第2の粘着剤層の粘着力、ゲル分率等を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、例えば、上記第2の粘着剤層に含まれるベースポリマーの組成又は重量平均分子量(Mw)、上記架橋剤の種類又は量を上述したように調整する方法等が挙げられる。
【0107】
上記第2の粘着剤層は、適度な紫外線透過率を有することが好ましい。紫外線透過率は特に限定されないが、波長365nmでの紫外線透過率の好ましい下限が1%、より好ましい下限が50%、更に好ましい下限が80%である。上記波長365nmでの紫外線透過率の上限は特に限定されないが、実質的には95%程度が上限である。
なお、上記第2の粘着剤層の波長365nmの紫外線透過率は、上述した上記基材層の波長355nmでの紫外線透過率と同様の方法を用いて、波長365nmにおける紫外線透過率を測定することにより、測定できる。
【0108】
上記第2の粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が3μm、好ましい上限が30μmである。上記第2の粘着剤層の厚みが3μm以上であれば、チップ部品の剥離の際にガラス基板等の支持体からテープが剥離するのを防ぐことができる。上記第2の粘着剤層の厚みが30μm以下であれば、再剥離しやすくすることができる。上記第2の粘着剤層の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は20μmであり、更に好ましい下限は8μm、更に好ましい上限は12μmである。
【0109】
本発明の半導体製造工程用粘着テープを製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記(メタ)アクリル共重合体、及び、紫外線吸収剤、その他必要に応じた添加剤を加えて攪拌して粘着剤溶液を得た後、基材層に粘着剤溶液を塗工し、乾燥することにより、基材と第1の粘着剤層とを有する半導体製造工程用粘着テープを得ることができる。
【0110】
本発明の半導体製造工程用粘着テープが中間粘着層及びバリア層を有する場合は、例えば、以下の方法により製造することができる。
即ち、上述した方法で得られた粘着剤溶液を、基材層上に塗工し、乾燥させることにより中間粘着層を形成した後、得られた中間粘着層にバリア層として用いるフィルムとを重ね合わせることで積層フィルムを得る。更に、積層フィルムとは別に得られた粘着剤溶液を、離型処理されたPETフィルム等の離型処理面に塗工し、乾燥させることにより第1の粘着剤層を形成し、得られた積層フィルムのバリア層側に貼り合わせること等により、製造することができる。
【0111】
本発明の半導体製造工程用粘着テープが第2の粘着剤層を有する場合は、第1の粘着剤層と同様の方法により、第2の粘着剤層を形成し、上述した方法により作製した半導体製造工程用粘着テープの基材の第1の粘着剤層を有する面と反対側の面に第2の粘着剤層を貼り合わせること等により、製造することができる。
【0112】
本発明の半導体製造工程用粘着テープの可視光線透過率は特に限定されないが、レーザーアブレーションによりチップ部品を剥離させる観点からは、適度な可視光線透過率を有することが好ましい。上記可視光線透過率の好ましい下限は50%、より好ましい下限は80%である。上記可視光線透過率の上限は特に限定されないが、実質的には95%程度が上限である。
本発明の半導体製造工程用粘着テープのヘイズは特に限定されないが、レーザーアブレーションによりチップ部品を剥離させる観点からは、ヘイズが小さいことが好ましい。上記ヘイズの好ましい上限は10%、より好ましい上限は5%、更に好ましい上限は3%である。上記ヘイズの下限は特に限定されず、小さいほど好ましく、実質的な下限は0.1%程度である。
なお、半導体製造工程用粘着テープの可視光線透過率及びヘイズは、例えば、ヘイズメーター(日本電色工業社製、「NDH4000」等)等を用いて測定することができる。
【0113】
本発明の半導体製造工程用粘着テープの用途は特に限定されないが、レーザー光を照射する工程を有する半導体装置の製造に好適に用いられる。本発明の半導体製造工程用粘着テープは、チップ部品に対する剥離性能に優れ、かつ、チップ部品への糊残りを抑えることができることから、粘着剤層上に配置されたチップ部品をレーザーアブレーションにより剥離し転写させる工程を有する半導体装置の製造に更に好適に用いられる。
上記チップ部品は特に限定されず、例えば、MiniLEDチップ、マイクロLEDチップ、イメージセンサーの光学チップ等が挙げられ、特にマイクロLEDチップが好ましい。
【0114】
本発明の半導体製造工程用粘着テープを用いたチップ部品の転写方法は特に限定されず、例えば、本発明の半導体製造工程用粘着テープの粘着剤層上にチップ部品を配置する工程と、レーザー光を照射し、上記チップ部品を剥離させる工程とを含む、チップ部品の転写方法等が挙げられる。また、本発明の半導体製造工程用粘着テープを用いた半導体装置の製造方法も特に限定されず、例えば、上記のようなチップ部品の転写方法を含む、半導体装置の製造方法等が挙げられる。これらの方法によれば、チップ部品を歩留まりよく転写することができ、かつ、チップ部品への糊残りを抑えることができる。
【発明の効果】
【0115】
本発明によれば、チップ部品の厚みが薄くても、チップ部品に対する剥離性能に優れ、精度よくチップ部品を転写することができる半導体製造工程用粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0116】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0117】
(アクリル共重合体(1)~(6)、(8)~(10)の調製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52質量部と表1に示したモノマー混合物を入れて、窒素置換した後、60℃に設定したウォーターバスに反応器を設置し、反応器を加熱して還流を開始した。還流開始から30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.05質量部を投入し、5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、アクリル共重合体(1)~(6)、(8)~(10)を含有する溶液を得た。
得られたアクリル共重合体(1)~(6)、(8)~(10)について、GPC法により重量平均分子量を測定した。なお、測定機器としてWaters社製「2690 Separations Module」、カラムとして昭和電工社製「GPC KF-806L」、溶媒として酢酸エチルを用い、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件で測定した。
【0118】
(A-B-A型ブロックコポリマー(11)の調製)
1,6-ヘキサンジチオール0.902gと、二硫化炭素1.83gと、ジメチルホルムアミド11mLとを2口フラスコに投入し、25℃で攪拌した。これに、トリエチルアミン2.49gを15分かけて滴下し、25℃で3時間攪拌した。次いで、メチル-α-ブロモフェニル酢酸2.75gを15分かけて滴下し、25℃で4時間攪拌した。その後、反応液に抽出溶媒(n-ヘキサン:酢酸エチル=50:50)100mLと水50mLとを加えて分液抽出した。1回目と2回目の分液抽出で得られた有機層を混合し、1M塩酸50mL、水50mL、飽和食塩水50mLで順に洗浄した。洗浄後の有機層に硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ過し、ろ液をエバポレーターで濃縮して、有機溶媒を除去した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィにて精製することでRAFT剤を得た。
【0119】
スチレン(St)87質量部と、アクリル酸(AAc)12質量部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)1質量部と、RAFT剤1.9質量部と、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(ABN-E)とを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行った(第一段階反応)。
反応終了後、フラスコ内にn-ヘキサン4000質量部を投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー及びRAFT剤をろ過し、反応物を70℃で減圧乾燥して共重合体(ブロックA)を得た。
【0120】
ブチルアクリレート(BA)49質量部、ラウリルアクリレート(LA)49質量部、アクリル酸(AAc)2質量部、ABN-E0.058質量部及び酢酸エチル50質量部を含む混合物と、上記で得られた共重合体(ブロックA)とを2口フラスコに投入し、フラスコ内を窒素ガスで置換しながら85℃に昇温した。その後、85℃で6時間撹拌して重合反応を行い(第二段階反応)、ブロックAとブロックBとから形成されるブロック共重合体を含む反応液を得た。
反応液の一部を採取し、これにn-ヘキサン4000質量部を投入し、撹拌して反応物を沈殿させた後、未反応のモノマー及び溶媒をろ過し、反応物を70℃で減圧乾燥してA-B-A型ブロックコポリマー(11)を得た。
得られたA-B-A型ブロックコポリマー(11)について、GPC法により重量平均分子量を測定した。なお、測定機器としてWaters社製「2690 Separations Module」、カラムとして昭和電工社製「GPC KF-806L」、溶媒として酢酸エチルを用い、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件で測定した。
【0121】
表1~2中のアルファベット記号は、以下の通りである。
BA:ブチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
AAc:アクリル酸
U250-A:ウレタン粘着剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
St:スチレン
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
なお、表1中のウレタン化合物(7)は、U250-Aをそのまま用いたものである。
【0122】
【0123】
【0124】
(粘着剤A~Tの粘着剤溶液の調製)
得られたベースポリマーの固形分が20質量%となるように酢酸エチルに溶解し、ベースポリマー100質量部に対して、表3~4に示した各成分を加えた後、充分に攪拌することにより、粘着剤A~Tの粘着剤溶液を調製した。
【0125】
【0126】
【0127】
(粘着テープの製造)
(実施例1~11、比較例1~4)
表5~6、8に示した粘着剤の粘着剤溶液を、乾燥皮膜が表5~6、8に示した厚みになるようにアプリケーターを用いて基材層としてのコロナ処理がなされた厚み50μm、ヘイズ3.8%のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、110℃で3分間乾燥させることにより、第1の粘着剤層を形成し、積層フィルム(a)を得た。更に、離型処理された75μmの離型PETフィルムを離型処理面が粘着剤層と対向するように積層フィルム(a)と重ねた後、40℃で48時間養生することにより、基材層と粘着剤層とを有する粘着テープを得た。
【0128】
(実施例12~16)
表6に示した粘着剤の粘着剤溶液を、乾燥皮膜が表6に示した厚みになるようにアプリケーターを用いて基材層としてのコロナ処理がなされた厚み50μm、ヘイズ3.8%のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、110℃で3分間乾燥させ、中間粘着層を形成し、これを積層フィルム(b)とした。次いで、表6に示した厚みのコロナ処理がなされたPETフィルムをバリア層とし、積層フィルム(b)の中間粘着層側に重ね合わせ、積層フィルム(c)とした。
一方、表6に示した粘着剤の粘着剤溶液を、乾燥皮膜の表6に示した厚みになるようにアプリケーターを用いて離型処理された75μmの離型PETフィルムの離型処理面に塗工し、110℃で3分間乾燥させ、第1の粘着剤層を形成し、積層フィルム(a)を得た。積層フィルム(a)の第1の粘着剤層を積層フィルム(c)のバリア層側に貼り合わせた後、40℃で48時間加熱養生し、基材層、中間粘着層、バリア層、及び、第1の粘着剤層の順に有する粘着テープを得た。
【0129】
(実施例17~18)
一面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面上に表7に示した粘着剤の粘着剤溶液を、乾燥皮膜の厚さが10μmになるようにアプリケーターを用いて塗布し、110℃で3分間乾燥させて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面に第2の粘着剤層を有する積層フィルム(d)を作製した。
実施例1と同様にして粘着テープを作製し、得られた粘着テープにおける基材の第1の粘着剤層を有する面と反対側の表面に、作製した積層フィルム(d)の第2の粘着剤層をラミネートすることで、基材層と、基材層の一方の面に第1の粘着剤層と、基材層の第1の粘着剤層を有する反対の面に第2の粘着剤層とを有する両面粘着テープを得た。
【0130】
(第1の粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値の測定)
得られた第1の粘着剤層を重ねて500μmのサンプル(幅6mm×長さ10mm)を作製した。得られたサンプルについて、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製「Rheometrics Dynamic Analyze RDA-700」)を用いて、窒素雰囲気下、測定温度-40~150℃、昇温速度5℃/min、せん断モード、周波数1Hzの条件で動的粘弾性測定を行うことにより、粘着剤層の20℃以上40℃以下の温度領域での損失正接(tanδ)の最大値を得た。結果を表5~8に示した。
【0131】
(第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層のゲル分率の測定)
積層フィルム(a)、積層フィルム(b)、又は、積層フィルム(d)から粘着剤層のみをW0(g)取り出し、酢酸エチル50mL中にそれぞれ浸漬し、振とう機で温度23℃、200rpmの条件で24時間振とうした。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ、W1(g))を用いて、酢酸エチルと酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着剤層をそれぞれ分離した。分離後の粘着剤層を110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤層の質量W2(g)をそれぞれ測定し、下記式を用いて第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層のゲル分率をそれぞれ算出した。結果を表5~8に示した。
ゲル分率(質量%)=100×(W2-W1)/W0
(W0:初期粘着剤層の質量、W1:金属メッシュの初期質量、W2:乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤層の質量)
【0132】
(第1の粘着剤層及び中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率の測定)
得られた第1の粘着剤層、中間粘着層について、分光光度計(島津製作所社製、UV-2600i)を用いて、JIS L1925に準じて、波長355nmの紫外線吸収率を測定し、第1の粘着剤層及び中間粘着層の波長355nmの紫外線吸収率をそれぞれ測定した。結果を表5~8に示した。
【0133】
(粘着テープの紫外照射後の粘着力低下率)
得られた粘着テープを幅25mm×長さ75mmの平面長方形状に裁断し、裁断した粘着テープを2kgのゴムローラーを用いて、ガラス板に貼り合わせ、23℃、50%RHの条件下で20分間静置して試験片を作製した。得られた試験片について、引張試験機(島津製作所社製、「AGS-X」等)を用い、JIS Z0237に準じて、23℃、50%RH、引張速度300mm/minで180°剥離試験を行うことで、紫外線照射前の180°剥離力(mN/25mm)を測定した。また、同様に裁断した粘着テープに対して、ブラックライト(NEC社製、「FL20SBL」)を用いたUV照射器を用いて波長365nm、照射強度7.8mW/cm2の紫外線を積算光量が190mJ/cm2となるように照射した後、上記の方法と同様にして、180°剥離力を測定することにより、紫外線照射後の180°剥離力(mN/25mm)を測定した。そして、以下の式により、紫外線照射後の粘着力低下率を算出した。結果を表5~8に示した。
紫外線照射後の粘着力低下率(%)=100×{(紫外線照射前の180°剥離力)-(紫外線照射後の180°剥離力)}/(紫外線照射前の180°剥離力)
【0134】
<評価>
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表5~8に示した。
【0135】
(評価用粘着テープAの作製)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器に酢酸エチル52質量部を入れて、窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。酢酸エチルが沸騰してから、30分後に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.08質量部を投入した。ここにブチルアクリレート47.5質量部、ラウリルアクリレート47.5部、4-ヒドロキシブチルアクリレート4.7重量部及びアクリル酸0.3質量部を1時間30分かけて、均等かつ徐々に滴下し反応させた。滴下終了30分後にアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を添加し、更に5時間重合反応させ、反応器内に酢酸エチルを加えて希釈しながら冷却することにより、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの溶液に、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤としてコロネートL-45(東ソー社製)を固形分が1.7質量部となるように加えて更に充分に撹拌し、粘着剤溶液を得た。得られた粘着剤溶液を、乾燥皮膜の厚さが75μmになるようにアプリケーターを用いて基材としてコロナ処理がなされた厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、110℃で3分間乾燥させることで粘着剤層を形成し、評価用粘着テープAを得た。
【0136】
(剥離性能)
Siチップ(500μm×500μm角、厚み50μm)が1枚配列されたウエハのSiチップ側の面に、上述の「(粘着テープの製造)」で得られた粘着テープを貼り合わせた。その後、ウエハを剥離することで、Siチップを粘着テープ上へ配置し測定サンプルを得た。更に、評価用粘着テープAの粘着剤層が測定サンプルと対向するように、Siチップと500μm間隔で評価用粘着テープAを配置した。得られた測定サンプルについて、半導体固体レーザーを用いて、出力4W、4KHzの355nmのレーザー光を粘着テープの基材層側からSiチップに照射して、Siチップを粘着テープから剥離し、評価用粘着テープAの粘着剤層に転写した。転写前のSiチップと転写後のSiチップにおける、特定の1辺の位置をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、「VHX-6000」)により観察し、転写前の当該1辺と転写後の当該1辺のなす角度を測定した。以下の基準により評価を行った。
角度が5°以下であった場合を「◎」、角度の5°より大きく10°以下であった場合を「○」、角度の5°より大きく20°以下であった場合を「△」、角度の20°より大きかった場合を「×」として、チップ部品に対する剥離性能を評価した。
なお、粘着テープが第2の粘着剤層を有する実施例17~18の両面粘着テープの場合は、第2の粘着剤層を厚み2mmのガラス基板に貼り合わせた後、ガラス基板を貼り合わせた粘着テープの第1の粘着剤層をSiチップが配列されたウエハに貼り合わせて測定サンプルを作製し、評価を行った。
【0137】
(残渣)
上述した「(剥離性能)」において、粘着テープから剥離したSiチップの剥離面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、「VHX-6000」)にて観察し、残渣の有無を確認した。残渣が全くなかった場合を「◎」、残渣がチップ部品の表面積の20%未満であった場合を「〇」、残渣がチップ部品の表面積の20%以上であった場合を「×」として残渣を評価した。
【0138】
(ガラス基板からの剥離)
実施例17~18の粘着テープについて、チップ部品に対する剥離性能を評価した後、粘着テープとガラス基板との界面を顕微鏡(キーエンス社製、「VHX-6000」、倍率100倍)にて観察し、第2の粘着剤層のガラス基板からの剥離の状態を確認した。ガラス基板から粘着テープを剥離した後、ガラス基板に糊残りがなかった場合を「〇」、ガラス基板に糊残りが見られた場合を「×」としてガラス基板からの剥離を評価した。
なお、当該評価が「×」であっても、本発明の半導体製造工程用粘着テープは用途によっては問題なく使用することができる。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明によれば、チップ部品の厚みが薄くても、チップ部品に対する剥離性能に優れ、精度よくチップ部品を転写することができる半導体製造工程用粘着テープを提供することができる。