IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図1
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図2
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図3
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図4
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図5
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図6
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図7
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図8
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図9
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図10
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図11
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図12
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図13
  • 特開-ファンユニットおよび室外機 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144334
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ファンユニットおよび室外機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20241003BHJP
   F04D 29/32 20060101ALI20241003BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F04D29/38 A
F04D29/38 D
F04D29/32 G
F04D29/66 N
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051183
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2023052001
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】陳 作舟
(72)【発明者】
【氏名】太田黒 竜佑
(72)【発明者】
【氏名】丸山 要
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB05
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC11
3H130BA13A
3H130BA13C
3H130CA04
3H130CA05
3H130CB01
3H130DA02Z
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EA08A
3H130EA08C
3H130EB02A
3H130EB02C
3H130EB05A
3H130EB05C
3H130EC09A
3H130EC09C
3H130EC12A
3H130EC12C
3H130EC16A
3H130EC16C
3H130EC17A
3H130EC17C
(57)【要約】
【課題】好適に風切り音を低減できるファンユニットを提供する。
【解決手段】ファンユニット20は、軸流ファン30と、ベルマウス40と、を備える。軸流ファン30は、回転軸12aが取り付けられるハブ31と、ハブ31に設けられた翼32と、を有する。軸流ファン30は、乱流干渉部50を有する。乱流干渉部50は、軸流ファン30の径方向において翼32とベルマウス40とが重なる重複部51と、軸流ファン30の軸方向において重複部51の両側に配置される延長部52と、を有する。延長部52の軸方向における長さhは、軸流ファン30の半径Rの0.1倍以下である。乱流干渉部50の範囲内において、翼32に多孔質部61が設けられる。多孔質部61の面積は、翼32の面積の30%以下である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流ファン(30)と、
ベルマウス(40)と、を備えるファンユニット(20)において、
前記軸流ファン(30)は、
回転軸(12a)が取り付けられるハブ(31)と、
前記ハブ(31)に設けられた翼(32)と、を有し、
前記軸流ファン(30)は、乱流干渉部(50)を有し、
前記乱流干渉部(50)は、
前記軸流ファン(30)の径方向において前記翼(32)と前記ベルマウス(40)とが重なる重複部(51)と、
前記軸流ファン(30)の軸方向において前記重複部(51)の両側に配置される延長部(52)と、を有し、
前記延長部(52)の前記軸方向における長さ(h)は、前記軸流ファン(30)の半径(R)の0.1倍以下であり、
前記乱流干渉部(50)の範囲内において、前記翼(32)に多孔質部(61)が設けられ、
前記多孔質部(61)の面積は、前記翼(32)の面積の30%以下である、
ファンユニット。
【請求項2】
前記多孔質部(61)の面積は、前記翼(32)の面積の25%以下である、
請求項1に記載のファンユニット。
【請求項3】
前記翼(32)は、
前記回転軸(12a)の回転方向(X)の前方に位置する前縁(33a)と、
前記回転軸(12a)の回転方向(X)の後方に位置する後縁(33b)と、を有し、
前記前縁(33a)から前記後縁(33b)までの寸法を第1寸法(L1)とすると、
前記多孔質部(61)は、前記前縁(33a)から前記第1寸法(L1)の40%以上後方の位置に設けられる、
請求項1に記載のファンユニット。
【請求項4】
前記多孔質部(61)は、前記径方向において、前記翼(32)のうちの、前記回転軸(12a)から前記軸流ファン(30)の前記半径(R)の70%までの部分に設けられる、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項5】
前記翼(32)は、前記回転軸(12a)の回転方向(X)の後方に位置する後縁(33b)を有し、
前記後縁(33b)には、切欠(78)が設けられ、
前記多孔質部(61)は、前記翼(32)のうちの、前記切欠(78)よりも前記径方向において前記回転軸(12a)に近い部分に設けられる、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項6】
前記多孔質部(61)は、前記翼(32)の厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項7】
前記ベルマウス(40)は前記重複部(51)を有し、
前記重複部(51)の範囲内において前記ベルマウス(40)には、前記多孔質部(61)が設けられ、
前記多孔質部(61)は、前記ベルマウス(40)の周方向に断続的に配置される、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項8】
請求項1または2に記載のファンユニット(20)を備える、室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファンユニットおよび室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される軸流ファンは、多孔質部を備える。特許文献1の軸流ファンは、軸流ファンに多孔質部を設けることによって、圧力変動を抑制することができ、騒音発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2754862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風切り音を低減するため、軸流ファンまたはベルマウスには改善の余地がある。
本開示は、好適に風切り音を低減できるファンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決する第1観点のファンユニットは、軸流ファンと、ベルマウスと、を備えるファンユニットにおいて、前記軸流ファンは、回転軸が取り付けられるハブと、前記ハブに設けられた翼と、を有し、前記軸流ファンは、乱流干渉部を有し、前記乱流干渉部は、前記軸流ファンの径方向において前記翼と前記ベルマウスとが重なる重複部と、前記軸流ファンの軸方向において前記重複部の両側に配置される延長部と、を有し、前記延長部の前記軸方向における長さは、前記軸流ファンの半径の0.1倍以下であり、前記乱流干渉部の範囲内において、前記翼に多孔質部が設けられ、前記多孔質部の面積は、前記翼の面積の30%以下である。
【0006】
この構成によれば、軸流ファンの乱流干渉部に多孔質部を設けることによって、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が多孔質部を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0007】
第2観点のファンユニットは、第1観点のファンユニットにおいて、前記多孔質部の面積は、前記翼の面積の25%以下である。
この構成によれば、軸流ファンの乱流干渉部に多孔質部を設けることによって、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流がより多孔質部を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音をより好適に低減できる。
【0008】
第3観点のファンユニットは、第1または第2観点のファンユニットにおいて、前記翼は、前記回転軸の回転方向の前方に位置する前縁と、前記回転軸の回転方向の後方に位置する後縁と、を有し、前記前縁から前記後縁までの寸法を第1寸法とすると、前記多孔質部は、前記前縁から前記第1寸法の40%以上後方の位置に設けられる。
【0009】
この構成によれば、前縁から第1寸法の40%以上後方に多孔質部を設けることによって、翼の後縁側で発生する騒音が低減できる。
【0010】
第4観点のファンユニットは、第1から第3観点のいずれか1つのファンユニットにおいて、前記多孔質部は、前記径方向において、前記翼のうちの、前記回転軸から前記軸流ファンの前記半径の70%までの部分に設けられる。
【0011】
この構成によれば、回転軸から軸流ファンの半径の70%までに多孔質部を配置することによって、翼の後縁側で発生する騒音が低減できる。
【0012】
第5観点のファンユニットは、第1から第4観点のいずれか1つのファンユニットにおいて、前記翼は、前記回転軸の回転方向の後方に位置する後縁を有し、前記後縁には、切欠が設けられ、前記多孔質部は、前記翼のうちの、前記切欠よりも前記径方向において前記回転軸に近い部分に設けられる。
【0013】
この構成によれば、径方向において切欠よりも回転軸に近い部分に多孔質部を配置することによって、翼の後縁側で発生する騒音が低減できる。
【0014】
第6観点のファンユニットは、第1から第5観点のいずれか1つのファンユニットにおいて、前記多孔質部は、前記翼の厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
【0015】
この構成によれば、圧力変動が生じた際に、翼の表面付近の空気またはベルマウスの周壁の表面付近の空気が多孔質部を透過することを許容しつつ、過剰の空気が多孔質部を透過することが抑制される。これによって、軸流ファンを通過する空気のロスを低減することができる。
【0016】
第7観点のファンユニットは、第1から第6観点のいずれか1つのファンユニットにおいて、前記ベルマウスは前記重複部を有し、前記重複部の範囲内において前記ベルマウスには、前記多孔質部が設けられ、前記多孔質部は、前記ベルマウスの周方向に断続的に配置される。
【0017】
この構成によれば、ベルマウスの乱流干渉部に多孔質部を断続的に設けることによって、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が多孔質部を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0018】
上記課題を解決する第8観点の室外機は、第1から第7観点のいずれか1つのファンユニットを備える。
【0019】
この構成によれば、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が多孔質部を透過しやすくなる。したがって、室外機は、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0020】
上記課題を解決する第9観点のファンユニットは、軸流ファンと、ベルマウスと、を備え、前記軸流ファンは、回転軸が取り付けられるハブと、前記ハブに設けられた翼と、を有し、前記軸流ファンおよび前記ベルマウスは、乱流干渉部を有し、前記乱流干渉部は、前記軸流ファンの径方向において前記翼と前記ベルマウスとが重なる重複部と、前記軸流ファンの軸方向において前記重複部の両側に配置される延長部と、を有し、前記延長部の前記軸方向における長さは、前記軸流ファンの半径の0.1倍以下であり、前記乱流干渉部の範囲内において、前記翼または前記ベルマウスに圧力変動成分透過部が設けられ、前記圧力変動成分透過部は、前記軸流ファンと前記ベルマウスとの間に生じる圧力変動を低減するように構成される。
【0021】
この構成によれば、軸流ファンまたはベルマウスの乱流干渉部に圧力変動成分透過部を設けることによって、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が圧力変動成分透過部を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0022】
第10観点のファンユニットは、第9観点のファンユニットにおいて、前記翼は、前記回転軸の回転方向の前方に位置する前縁と、前記回転軸の回転方向の後方に位置する後縁と、を有し、前記乱流干渉部の前記範囲内において、前記翼に前記圧力変動成分透過部が設けられる場合、前記圧力変動成分透過部は、多孔質部を含み、前記前縁から前記後縁までの寸法を第1寸法とすると、前記多孔質部は、前記前縁から前記第1寸法の40%以上後方の位置に設けられる。
【0023】
この構成によれば、前縁から第1寸法の40%以上後方に多孔質部を設けることによって、翼の後縁側で発生する騒音が低減できる。
【0024】
上記課題を解決する第11観点のファンユニットは、軸流ファンと、ベルマウスと、を備え、前記軸流ファンは、回転軸が取り付けられるハブと、前記ハブに設けられた翼と、を有し、前記軸流ファンおよび前記ベルマウスは、乱流干渉部を有し、前記乱流干渉部は、前記軸流ファンの径方向において前記翼と前記ベルマウスとが重なる重複部と、前記軸流ファンの軸方向において前記重複部の両側に配置される延長部と、を有し、前記延長部の前記軸方向における長さは、前記軸流ファンの半径の0.1倍以下であり、前記乱流干渉部の範囲内において、前記翼および前記ベルマウスに圧力変動成分透過部が設けられ、前記圧力変動成分透過部は、前記軸流ファンと前記ベルマウスとの間に生じる圧力変動を低減するように構成され、前記翼は、前記回転軸の回転方向の前方に位置する前縁と、前記回転軸の回転方向の後方に位置する後縁と、を有し、前記翼に設けられる前記圧力変動成分透過部は、多孔質部を含み、前記前縁から前記後縁までの寸法を第1寸法とすると、前記多孔質部は、前記前縁から前記第1寸法の40%以上後方の位置に設けられる。
【0025】
この構成によれば、軸流ファンおよびベルマウスの乱流干渉部に圧力変動成分透過部を設けることによって、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が圧力変動成分透過部を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0026】
第12観点のファンユニットは、第10または第11観点のファンユニットにおいて、前記多孔質部は、前記径方向において、前記翼のうちの、前記回転軸から前記軸流ファンの前記半径の70%までの部分に設けられる。
【0027】
この構成によれば、翼のうちの前縁から第1寸法の40%以上後方かつ回転軸から軸流ファンの半径の70%までに多孔質部を配置することによって、翼の後縁側で発生する騒音が低減できる。
【0028】
第13観点のファンユニットは、第10から第12観点のいずれか1つのファンユニットにおいて、前記後縁に切欠が設けられる場合、前記多孔質部は、前記翼のうちの、前記切欠よりも前記径方向において前記回転軸に近い部分に設けられる。
【0029】
この構成によれば、径方向において切欠よりも回転軸に近い部分に多孔質部を配置することによって、翼の後縁側で発生する騒音が低減できる。
【0030】
第14観点のファンユニットは、第10から第13観点のいずれか1つのファンユニットにおいて、前記多孔質部の面積は、前記翼の面積の30%以下である。
【0031】
この構成によれば、翼の広範囲に多孔質部を設ける場合と比べて、翼の強度の低下を抑制できる。
【0032】
第15観点のファンユニットは、第9から第14観点のファンユニットにおいて、前記圧力変動成分透過部は、前記翼または前記ベルマウスの厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
【0033】
この構成によれば、圧力変動が生じた際に、翼の表面付近の空気またはベルマウスの周壁の表面付近の空気が圧力変動成分透過部を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部を透過することが抑制される。これによって、軸流ファンを通過する空気のロスを低減することができる。
【0034】
第16観点のファンユニットは、第9、第10および第12から第15観点のファンユニットにおいて、前記乱流干渉部の前記範囲内において前記ベルマウスに前記圧力変動成分透過部が設けられる場合、前記圧力変動成分透過部は、前記ベルマウスの周方向に断続的に配置される。
【0035】
この構成によれば、ベルマウスの周方向に圧力変動成分透過部を連続的に設ける場合と比べて、ベルマウスの強度の低下を抑制できる。
【0036】
上記課題を解決する第17観点の室外機は、第9から第16観点のファンユニットを備える。
【0037】
この構成によれば、ベルマウスと軸流ファンとの間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が圧力変動成分透過部を透過しやすくなるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ファンユニットを備える室外機の内部を模式的に示す正面図である。
図2図1のファンユニットを模式的に示す部分断面図である。
図3図2のベルマウスの斜視図である。
図4図2の軸流ファンを正圧面側から見た正面図である。
図5図4のD5-D5線における翼の断面図である。
図6図4の軸流ファンの拡大図である。
図7】軸流ファンの半径に対する延長部の長さの比に対する低騒音効果の大きさを示すグラフである。
図8】翼における多孔質部の設置位置に対する低騒音効果の大きさを示すグラフである。
図9】第2実施形態の軸流ファンを正圧面側から見た正面図である。
図10】第2実施形態の翼の拡大図である。
図11】第3実施形態のファンユニットを模式的に示す部分断面図である。
図12】第3実施形態の軸流ファンを正圧面側から見た正面図である。
図13】第3実施形態の軸流ファンにおいて、第1延長部の長さに対するベルマウスの上流側の端部から第3端部までの長さの比に対する低騒音効果の大きさを示すグラフである。
図14】翼の面積に対する多孔質部の面積の比に対する翼の最大応力の大きさを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<第1実施形態>
図1から図6を参照して、ファンユニットの第1実施形態について説明する。
【0040】
<室外機>
図1および図2を参照して、室外機10について説明する。本実施形態の室外機10は、居室内の空間の冷房や暖房を行う空気調和機の室外機である。室外機10は、室内機に冷媒配管によって接続される。室外機10は、ファンユニット20と、ケース11とを備える。ケース11の形状は、特に制限されない。ケース11は、例えば、横長の直方体の形状である。ファンユニット20は、ケース11に収容される。
【0041】
<ファンユニット>
ファンユニット20は、軸流ファン30とベルマウス40とを備える。ベルマウス40は、ケース11の吹き出し口11aに設けられる。ベルマウス40は、軸流ファン30を囲むように、軸流ファン30の周囲に配置される。軸流ファン30は、軸流ファンモータ12の回転軸12aに接続される。軸流ファンモータ12は、ケース11に設けられる。
【0042】
ファンユニット20は、ケース11の吸い込み口(図示略)から導入された空気を、ケース11の吹き出し口11aから吹き出すように構成されている。ファンユニット20は、例えば、送風装置として用いられる。
【0043】
<ベルマウス>
図1から図3に示すように、ベルマウス40は、ケース11の吹き出し口11aの周縁に取り付けられた状態でケース11に収容される。ベルマウス40は、正面視で円環状に繋がった周壁41を有する。周壁41は、吹出部42と、円筒部43と、吸込部44とを有する。本実施形態の以下の説明において、上流側は、軸流ファン30による空気の流れの上流側であり、下流側は、軸流ファン30による空気の流れの下流側である。
【0044】
吹出部42は、ベルマウス40の下流側の端部45に位置する。吹出部42は、ベルマウス40の上流側の端部46に向かうにつれて、内径が小さくなるように湾曲する。円筒部43は、吹出部42の上流側の端部から連続してベルマウス40の上流側の端部46に向かって延びる。円筒部43の内径は、吹出部42の上流側の端部から吸込部44の下流側の端部にわたって一定である。円筒部43の軸心は、ベルマウス40の軸心C1と一致する。
【0045】
吸込部44は、円筒部43の上流側の端部から連続して延びる。吸込部44は、円筒部43の上流側の端部からベルマウス40の上流側の端部46に向かうにつれて、内径が大きくなるように湾曲する。
【0046】
周壁41の厚さは特に制限されない。周壁41の厚さは、例えば、1mm以上である。周壁41の厚さは、2mm以上であることが好ましい。周壁41の厚さは、例えば、10mm以下である。周壁41の厚さは、5mm以下であることが好ましい。周壁41の厚さは、2mm以上かつ5mm以下であることが好ましい。
【0047】
周壁41の材質は特に制限されない。周壁41の材質は、例えば、樹脂、セラミックス、金属等である。周壁41の材質が樹脂である場合、ベルマウス40の強度を保持しつつ軽量化できるため好ましい。
【0048】
図2および図3に示すように、ベルマウス40は、圧力変動成分透過部60を有する。図2および図3では、圧力変動成分透過部60がドットによって表示されている。圧力変動成分透過部60の詳細については後述する。
【0049】
<軸流ファン>
図2および図4に示すように、軸流ファン30は、ハブ31と、翼32とを有する。ハブ31は、円筒状である。ハブ31の材質は、例えば、樹脂である。ハブ31は、挿入孔31aと、外周面31bとを有する。ハブ31の軸心は、軸流ファン30の軸心C2と一致する。挿入孔31aは、ハブ31の中心に設けられる。挿入孔31aには、軸流ファンモータ12の回転軸12aが挿入される。軸流ファン30は、軸流ファンモータ12の駆動力によって一方向に回転する。軸流ファン30は、回転軸12aが回転することによって回転方向Xに回転する。回転方向Xは、回転軸12aの回転方向である。
【0050】
翼32は、5枚以下である。翼32は、例えば、3枚である。翼32は、5枚、4枚、または2枚であってもよい。翼32は、ハブ31の外周面31bに設けられる。翼32は、外周面31bからハブ31の径方向に延びる。ハブ31の径方向は、軸流ファンモータ12の回転軸12aに直交する方向である。軸流ファン30の径方向は、ハブ31の径方向と一致する。翼32は、回転方向Xに互いに間隔をあけて設けられる。3枚の翼32は、同一形状である。
【0051】
図5に示すように、翼32は、正圧面32aと、負圧面32bと、を備える。正圧面32aは、軸流ファン30を回転させる場合に、空気の流れによって正圧側となる翼面である。負圧面32bは、軸流ファン30を回転させる場合に、空気の流れによって負圧側となる翼面である。翼32が多孔質部61を有する場合、正圧面32aと、負圧面32bとは、多孔質部61の気孔によって連通する。正圧面32aは、軸流ファン30を回転させる場合に、多孔質部61から空気が流出する側の面である。負圧面32bは、軸流ファン30を回転させる場合に、多孔質部61から空気が流入する側の面である。
【0052】
図2および図4に示すように、翼32は本体33を有する。本体33の材質は、例えば、樹脂である。ハブ31と本体33とは、一体成形される。ハブ31と本体33とは、例えば、射出成形によって一体成形される。翼32は、多孔質部61を有する。多孔質部61は、圧力変動成分透過部60に含まれる。図2および図4から図6では、多孔質部61がドットによって表示されている。多孔質部61は、軸流ファン30の乱流干渉部50に設けられる。乱流干渉部50および多孔質部61の詳細については後述する。
【0053】
本体33は、前縁33aと、後縁33bと、内周縁33cと、外周縁33dと、を備える。前縁33aは、回転方向Xの前方に位置する縁である。後縁33bは、回転方向Xの後方に位置する縁である。前縁33aは、湾曲する。前縁33aは、後縁33bに向けて凹むように弧状に湾曲する。後縁33bは、湾曲する。後縁33bは、回転方向Xの下流側に向かって弧状に湾曲する。内周縁33cは、ハブ31に接合される。内周縁33cは、前縁33aと後縁33bとの間において延びる。外周縁33dは、前縁33aと後縁33bとの間において延びる。軸流ファン30の径方向において、回転軸12aから内周縁33cまでのハブ31の寸法は、回転軸12aから外周縁33dまでのハブ31の寸法よりも短い。外周縁33dは、湾曲する。外周縁33dは、軸流ファン30の径方向に凸となるように弧状に湾曲する。
【0054】
図6に示すように、前縁33aから後縁33bまでの寸法を第1寸法L1とする。第1寸法L1は、前縁33aと後縁33bとの間において、軸流ファン30の軸心C2からの軸流ファン30の径方向の寸法が同一となる箇所を繋いだ仮想的な線の寸法である。詳細に言えば、第1寸法L1は、軸流ファン30の軸心C2を中心とする円を描いた場合に、同一の翼32の前縁33aと後縁33bとの間において延びる円弧の長さである。各第1寸法L1の寸法は、軸流ファン30の軸心C2からの軸流ファン30の径方向の寸法によって、異なる。
【0055】
図5を参照して、翼32の前縁部34と後縁部35とを説明する。第1寸法L1は、第1寸法L1の中心点を繋いだ仮想的な線によって、前縁部34と、後縁部35とに分けられる。例えば、第1寸法L1の中心位置P1と前縁33aとの間の部分は前縁部34であり、第1寸法L1の中心位置P1と後縁33bとの間の部分は、後縁部35である。前縁部34は、後縁部35よりも重い。例えば、後縁33bから前縁33aに向けて本体33が徐々に厚くなるようにすることによって、前縁部34は後縁部35よりも重くなる。前縁部34の一部の厚みを後縁部35よりも厚くすることによって前縁部34が後縁部35よりも重くなっていてもよい。
【0056】
<乱流干渉部>
軸流ファン30およびベルマウス40は、乱流干渉部50を有する。例えば、乱流干渉部50は、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が干渉しやすい軸流ファン30の一部またはベルマウス40の一部を含む。
【0057】
図2に示すように、乱流干渉部50は、軸流ファン30またはベルマウス40に設けられる。乱流干渉部50は、軸流ファン30に設けられてもよく、ベルマウス40に設けられてもよい。乱流干渉部50は、軸流ファン30およびベルマウス40の両方に設けられてもよい。乱流干渉部50は、重複部51と延長部52とを有する。
【0058】
重複部51は、軸流ファン30の径方向において翼32と、ベルマウス40とが重なる部分である。例えば、ベルマウス40における重複部51は、軸流ファン30の径方向において、翼32の回転の軌跡によって構成される仮想筒体をベルマウス40に投影する場合に、仮想筒体とベルマウス40とが重なる部分として定義される。詳細に言えば、ベルマウス40における重複部51は、軸流ファン30の径方向において、翼32の外周縁33dの軌跡によって構成される仮想筒体をベルマウス40に投影する場合に、仮想筒体とベルマウス40とが重なる部分として定義される。翼32における重複部51は、軸流ファン30の径方向において、ベルマウス40を翼32に投影したときに、ベルマウス40と翼32とが重なる部分として定義される。
【0059】
重複部51は、ベルマウス40および軸流ファン30に配置される。重複部51は、軸流ファン30と、ベルマウス40との位置関係によって、変化する。例えば、ベルマウス40の重複部51に対応する部分は、ベルマウス40の吹出部42の一部、円筒部43および吸込部44の一部である。例えば、軸流ファン30の重複部51に対応する部分は、翼32の後縁部35の一部である。
【0060】
延長部52は、重複部51の上流側および下流側に配置される。言い換えれば、延長部52は、軸流ファン30の軸方向において重複部51の両側に配置される。延長部52は、軸流ファン30の軸方向において重複部51の片側にのみ配置されてもよい。
【0061】
延長部52は、軸流ファン30と、ベルマウス40との位置関係によって、変化する。図3では、吹出部42および吸込部44が、ベルマウス40の径方向に広がるように湾曲することによって、吹出部42および吸込部44における乱流の干渉が回避されている。このため、ベルマウス40は、延長部52に対応する部分を有していない。軸流ファン30の延長部52は、翼32の後縁部35の一部を含む。軸流ファン30の延長部52は、翼32の前縁部34の一部を含んでいてもよい。
【0062】
図7を参照して、軸流ファン30の軸方向における延長部52の長さhと、軸流ファン30の半径Rとの関係を説明する。図7では、軸流ファン30の半径Rに対する延長部52の長さhの比に対する低騒音効果の大きさを示している。図7のグラフは、試験によって観測されたものである。図7に示されるように、長さhを半径Rの0.1倍以下にすることによって、送風音を好適に低減できた。したがって、軸流ファン30の軸方向における延長部52の長さhは、軸流ファン30の半径Rの0.1倍以下とすることが好ましい。
【0063】
図2に示すように、乱流干渉部50の範囲内において、翼32またはベルマウス40に圧力変動成分透過部60が設けられる。言い換えれば、圧力変動成分透過部60は、軸流ファン30またはベルマウス40の乱流干渉部50に対応する部分の範囲内に設けられる。圧力変動成分透過部60は、圧力変動成分透過部60の全体が乱流干渉部50の範囲内に設けられることが好ましい。
【0064】
<圧力変動成分透過部および多孔質部>
図2から図6および図8を参照して、圧力変動成分透過部60および多孔質部61を説明する。圧力変動成分透過部60は、軸流ファン30とベルマウス40との間に生じる圧力変動を低減するように構成される。圧力変動成分透過部60は、軸流ファン30の翼32またはベルマウス40の周壁41に設けられる。本実施形態では、圧力変動成分透過部60は、翼32および周壁41のそれぞれに設けられる。
【0065】
乱流干渉部50の範囲内においてベルマウス40に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、圧力変動成分透過部60は、ベルマウス40の周方向に断続的に配置される。例えば、複数の圧力変動成分透過部60は、ベルマウス40の周方向に間隔をあけて配置される。例えば、複数の圧力変動成分透過部60は、ベルマウス40の周方向に等間隔に配置される。
【0066】
例えば、圧力変動成分透過部60は、周壁41のうちの乱流干渉部50と対応する部分において、翼32の枚数に対応する数だけ設けられる。図3に示すように、圧力変動成分透過部60は、ベルマウス40の周壁41において、周方向に3つ設けられる。例えば、圧力変動成分透過部60は、周壁41の吹出部42の一部と、円筒部43と、吸込部44の一部とに跨って設けられる。
【0067】
圧力変動成分透過部60の表面は、周壁41の吹出部42、円筒部43および吸込部44の表面に沿って面一である。圧力変動成分透過部60の厚さは、周壁41の圧力変動成分透過部60以外の箇所の厚さと実質的に同じ厚さである。
【0068】
圧力変動成分透過部60は、多孔質体で構成される。多孔質体は、周壁41を厚さ方向に貫通する。多孔質体は、外部に連通した気孔を有する。気孔は、周壁41を厚さ方向に連通した気孔である。気孔の平均気孔径は、特に制限されない。気孔の平均気孔径は、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましい。平均気孔径の測定方法は特に制限されない。平均気孔径は、例えば、BET法ともいうガス吸着法によって測定できる。
【0069】
圧力変動成分透過部60の材質は特に制限されない。多孔質体の材質は、例えば、樹脂、セラミックス、金属等である。例えば、樹脂は、発泡樹脂である。例えば、セラミックスまたは金属は、多孔質焼結体である。金属は、メッシュともいう網状体であってもよい。多孔質体の材質は、多孔質焼結体であると平均気孔径を制御しやすいため好ましい。
【0070】
ベルマウス40の周壁41に圧力変動成分透過部60を設ける方法は特に制限されない。例えば、ベルマウス40の周壁41に圧力変動成分透過部60を嵌合させるための開口を設け、所定形状を有する圧力変動成分透過部60を、開口に嵌合させることによって、周壁41に圧力変動成分透過部60を設けることができる。圧力変動成分透過部60は、公知の接着剤を用いて、圧力変動成分透過部60をベルマウス40の周壁41の開口に対応する部分に取り付けられてもよい。圧力変動成分透過部60は、インサート成型によって、ベルマウス40に設けられてもよい。
【0071】
圧力変動成分透過部60が翼32に設けられる場合、圧力変動成分透過部60は、多孔質部61を含む。多孔質部61の材質は、例えば、樹脂、セラミックス、金属等である。例えば、樹脂は、発泡樹脂である。例えば、セラミックスまたは金属は、多孔質焼結体である。金属は、メッシュともいう網状体であってもよい。多孔質部61の材質は、多孔質焼結体であると平均気孔径を制御しやすいため好ましい。
【0072】
多孔質部61は、本体33よりも強度が低い。多孔質部61は、前縁33a、後縁33b、内周縁33cおよび外周縁33dに囲まれる領域に設けられる。多孔質部61は、全体にわたって多孔質部61よりも強度が高い本体33に囲まれる。多孔質部61は、正圧面32aと負圧面32bとの間において外部に連通した気孔を有する。気孔の平均気孔径は、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましい。多孔質部61の厚みは、例えば、5mm以下である。多孔質部61は、本体33と一体に設けられる。多孔質部61は、例えば、インサート成形、接着または嵌め込みによって本体33と一体に設けられる。
【0073】
多孔質部61は、四角形状である。例えば、多孔質部61は、四隅が湾曲する。図6に示すように、前縁33aと多孔質部61との間において、軸流ファン30の軸心C2からの軸流ファン30の径方向の寸法が同一となる箇所を繋いだ仮想的な線の寸法を配置距離L2とする。配置距離L2は、例えば、軸流ファン30の軸心C2を中心とする円を描いた場合に、同一の翼32の前縁33aと多孔質部61の前縁33a側の第1端部61aとの間において延びる円弧の長さである。回転軸12aからの径方向の寸法が同一となる箇所では、式(1)が成立する。
式(1):{(L2/L1)×100}≧40
【0074】
式(1)によって、多孔質部61は、前縁33aから第1寸法L1の40%以上後方の位置に設けられるといえる。図6において、前縁33aから第1寸法L1の40%の位置を示す境界線L11を示す。前縁33aと境界線L11との間を第1領域36とする。境界線L11と後縁33bとの間を第2領域37とする。境界線L11は、第2領域37に含まれる。多孔質部61は、第2領域37にのみ設けられる。多孔質部61は、第1領域36に設けられない。
【0075】
本実施形態では、回転軸12aからの径方向の位置が変化することに伴って第1寸法L1および配置距離L2の両方が変化する。この場合において、本実施形態の多孔質部61は、乱流干渉部50の範囲内かつ式(1)が成立する位置に設けられる。
【0076】
図6に示すように、軸流ファン30の軸心C2から外周縁33dまたは外周縁33dの延長線までの距離を半径Rとする。内周縁33cから多孔質部61の外周縁33d側の第2端部61bまでの距離を第1翼長R1とする。半径Rと第1翼長R1との関係は、式(2)が成立する。式(2)によって、多孔質部61は、軸流ファン30の径方向において、翼32のうちの、回転軸12aから軸流ファン30の半径Rの70%までの部分に設けられるといえる。
式(2):{(R1/R)×100}≧70
【0077】
多孔質部61は、軸流ファン30の回転に伴って発生する騒音を抑制するために翼32に設けられる。ベルマウス40に圧力変動成分透過部60が設けられ、かつ、翼32が多孔質部61を有する場合、多孔質部61による静音効果は、乱流干渉部50の範囲内における多孔質部61の配置位置によって変化する。図2に示すように、乱流干渉部50の上流側の端部から下流側の端部までの寸法を、軸方向長さHとする。軸方向長さHは、軸方向における重複部51の長さと延長部52の長さhを足し合わせた寸法である。図8に示すように、軸方向長さHにおいて、翼32の乱流干渉部50の中間付近に多孔質部61を設けることによって、低騒音効果が確認された。
【0078】
図6に示すように、第1寸法L1を規定する仮想的な各線のうち翼32の中間点を通る線は、中間第1寸法L3である。軸流ファン30の径方向において、内周縁33cから中間第1寸法L3までの距離は、第2翼長R2である。軸流ファン30の径方向において、中間第1寸法L3から外周縁33dまでの距離は、第3翼長R3である。翼32を内周領域38と外周領域39とに分割する場合、翼32のうちの第2翼長R2の部分が、内周領域38である。翼32を内周領域38と外周領域39とに分割する場合、翼32のうちの第3翼長R3の部分が、外周領域39である。内周領域38は、外周領域39よりもハブ31に近い領域である。外周領域39は、内周領域38よりも外周縁33dに近い領域である。
【0079】
表1は、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50の両方に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、翼32の乱流干渉部50における多孔質部61の搭載位置による低騒音効果の違いを示している。表1における「低騒音効果」は、低減された騒音の値である。表1における「併用」は、ベルマウス40および翼32の両方に圧力変動成分透過部60が設けられる場合を示す。表1では、翼32の乱流干渉部50における多孔質部61の搭載位置が翼32の外周領域39の場合を第1実施例とする。表1では、翼32の乱流干渉部50における多孔質部61の搭載位置が翼32の後縁部35である場合を第2実施例とする。
【0080】
表1の第2行目に示されるように、ベルマウス40の乱流干渉部50だけに圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は2.0dBAである。翼32の乱流干渉部50かつ外周領域39に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は2.0dBAである。ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ外周領域39に併用して圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は3.5dBAである。第1実施例において、圧力変動成分透過部60が、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ外周領域39に併用される場合の低騒音効果の値は、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ外周領域39のいずれかにのみ圧力変動成分透過部60が設けられる場合の低騒音効果の値を足し合わせた値よりも、減少した。
【0081】
表1の第4行目に示されるように、ベルマウス40の乱流干渉部50だけに圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は2.0dBAである。翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は1.5dBAである。ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35に併用して圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は4.0dBAである。第2実施例において、圧力変動成分透過部60が、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35に併用して設けられる場合の低騒音効果の値は、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35のいずれかにのみ圧力変動成分透過部60が設けられる場合の低騒音効果の値を足し合わせた値よりも、増加した。
【0082】
【表1】
【0083】
多孔質部61の面積は、翼32の面積よりも小さい。例えば、正圧面32a全体の面積は、多孔質部61の面積よりも大きい。本実施形態では、多孔質部61の面積は、翼32の面積の30%以下である。例えば、正圧面32a全体の面積に対して、多孔質部61の面積は30%以下である。
【0084】
<第1実施形態の作用>
表1に示すように、軸流ファン30およびベルマウス40の両方に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、軸流ファン30における多孔質部61の配置によって、低騒音効果に違いが生じる。ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35の両方に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35のいずれかに圧力変動成分透過部60が設けられる場合の低騒音効果を合成した値よりも、高い低騒音効果を得ることができる。
【0085】
<第1実施形態の効果>
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)ファンユニット20は、軸流ファン30と、ベルマウス40と、を備え、軸流ファン30は、回転軸12aが取り付けられるハブ31と、ハブ31に設けられた翼32と、を有し、軸流ファン30およびベルマウス40は、乱流干渉部50を有し、乱流干渉部50は、軸流ファン30の径方向において翼32とベルマウス40とが重なる重複部51と、軸流ファン30の軸方向において重複部51の両側に配置される延長部52と、を有し、延長部52の軸方向における長さhは、軸流ファン30の半径Rの0.1倍以下であり、乱流干渉部50の範囲内において、翼32またはベルマウス40に圧力変動成分透過部60が設けられ、圧力変動成分透過部60は、軸流ファン30とベルマウス40との間に生じる圧力変動を低減するように構成される。
この構成によれば、軸流ファン30またはベルマウス40の乱流干渉部50に圧力変動成分透過部60を設けることによって、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が圧力変動成分透過部60を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。例えば、表面渦は、翼32の表面またはベルマウス40の周壁41の表面に発生する渦である。
【0086】
(1-2)翼32は、回転軸12aの回転方向Xの前方に位置する前縁33aと、回転軸12aの回転方向Xの後方に位置する後縁33bと、を有し、乱流干渉部50の範囲内において、翼32に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、圧力変動成分透過部60は、多孔質部61を含み、前縁33aから後縁33bまでの寸法を第1寸法L1とすると、多孔質部61は、前縁33aから第1寸法L1の40%以上後方の位置に設けられる。
この構成によれば、前縁33aから第1寸法L1の40%以上後方に多孔質部61を設けることによって、翼32の後縁33b側で発生する騒音が低減できる。
【0087】
(1-3)ファンユニット20は、軸流ファン30と、ベルマウス40と、を備え、軸流ファン30は、回転軸12aが取り付けられるハブ31と、ハブ31に設けられた翼32と、を有し、軸流ファン30およびベルマウス40は、乱流干渉部50を有し、乱流干渉部50は、軸流ファン30の径方向において翼32とベルマウス40とが重なる重複部51と、軸流ファン30の軸方向において重複部51の両側に配置される延長部52と、を有し、延長部52の軸方向における長さhは、軸流ファン30の半径Rの0.1倍以下であり、乱流干渉部50の範囲内において、翼32およびベルマウス40に圧力変動成分透過部60が設けられ、圧力変動成分透過部60は、軸流ファン30とベルマウス40との間に生じる圧力変動を低減するように構成され、翼32は、回転軸12aの回転方向Xの前方に位置する前縁33aと、回転軸12aの回転方向Xの後方に位置する後縁33bと、を有し、翼32に設けられる圧力変動成分透過部60は、多孔質部61を含み、前縁33aから後縁33bまでの寸法を第1寸法L1とすると、多孔質部61は、前縁33aから第1寸法L1の40%以上後方の位置に設けられる。
この構成によれば、軸流ファン30およびベルマウス40の乱流干渉部50に圧力変動成分透過部60を設けることによって、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が圧力変動成分透過部60を透過しやすくなる。これによって、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0088】
(1-4)多孔質部61は、軸流ファン30の径方向において、翼32のうちの、回転軸12aから軸流ファン30の半径Rの70%までの部分に設けられる。
この構成によれば、翼32のうちの前縁33aから第1寸法L1の40%以上後方かつ回転軸12aから軸流ファン30の半径Rの70%までに多孔質部61を配置することによって、翼32の後縁33b側で発生する騒音が低減できる。
【0089】
(1-5)多孔質部61の面積は、翼32の面積の30%以下である。
この構成によれば、翼32の広範囲に多孔質部61を設ける場合と比べて、翼32の強度の低下を抑制できる。
【0090】
(1-6)圧力変動成分透過部60は、翼32またはベルマウス40の厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する。
この構成によれば、圧力変動が生じた際に、周壁41付近の空気が圧力変動成分透過部60を透過することを許容しつつ、過剰の空気が圧力変動成分透過部60を透過することが抑制される。これによって、軸流ファン30を通過する空気のロスを低減することができる。
【0091】
(1-7)乱流干渉部50の範囲内においてベルマウス40に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、圧力変動成分透過部60は、ベルマウス40の周方向に断続的に配置される。
この構成によれば、ベルマウス40の周方向に圧力変動成分透過部60を連続的に設ける場合と比べて、ベルマウス40の強度の低下を抑制できる。
【0092】
(1-8)室外機10は、ファンユニット20を備える。
この構成によれば、ベルマウス40と軸流ファン30との間を通過する空気に圧力変動が生じた場合に、乱流が圧力変動成分透過部60を透過しやすくなるため、表面渦に起因する風切り音を好適に低減できる。
【0093】
<第2実施形態>
図9および図10を参照して、ファンユニット20の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態と同様の部材については、同一の名称を付すことによって説明を省略する。
【0094】
図9および図10に示すように、第2実施形態の軸流ファン70の後縁71は、内周接続部72と、外周接続部73と、切欠区画部74とを備える。内周接続部72は、内周縁33cに接続される。内周接続部72は、内周縁33cから切欠区画部74に向かって延びる。内周接続部72は、内周縁33cから切欠区画部74に近づくにつれて、軸流ファン70の回転方向Xの下流側に傾斜する。
【0095】
外周接続部73は、外周縁33dに接続される。外周接続部73は、切欠区画部74から外周縁33dに向かって延びる。外周接続部73は、外周縁33dから切欠区画部74に近づくにつれて、軸流ファン70の回転方向Xの下流側に傾斜する。
【0096】
切欠区画部74は、内周接続部72と外周接続部73との間に設けられる。切欠区画部74は、内周接続部72と外周接続部73とを接続する。切欠区画部74は、第1部位75と、第2部位76と、第3部位77と、を備える。
【0097】
第1部位75は、内周接続部72に接続される。第1部位75は、内周接続部72から前縁33aに向かって延びる。第1部位75は、内周接続部72から外周縁33dに近付くにつれて、軸流ファン70の回転方向Xの上流側に傾斜する。
【0098】
第2部位76は、外周接続部73に接続される。第2部位76は、外周接続部73から前縁33aに向かって延びる。第2部位76は、外周接続部73から離れるにつれて軸流ファン70の回転方向Xの上流側に傾斜する。第1部位75と第2部位76とは、前縁33aに近付くにつれて互いの距離が短くなる。
【0099】
第3部位77は、第1部位75と第2部位76とを接続する。第3部位77は、前縁33aに向かって凹むように湾曲する。第1部位75、第2部位76および第3部位77に囲まれる領域は、切欠78である。切欠区画部74は、切欠78を区画形成する。切欠78は、風量や騒音の改善を目的として設けられている。切欠78は、正圧面32aと負圧面32bとの間において延びる空間である。切欠78は、前縁33aに向かって凹む。
【0100】
図10に示すように、第3部位77の中心位置P2を通って回転方向Xに延びる仮想的な線を軌道L12とする。第3部位77の中心位置P2は、切欠区画部74のうち前縁33aに最も近い箇所である。翼32のうちの軌道L12よりも内周縁33cに近い部分は、内周領域79である。翼32のうちの軌道L12よりも外周縁33dに近い部分は、外周領域80である。軌道L12は、内周領域79に含まれる。
【0101】
後縁33bに切欠78が設けられる場合、多孔質部61は、翼32のうちの、切欠78よりも軸流ファン30の径方向において回転軸12aに近い部分に設けられる。例えば、多孔質部61は、翼32のうちの、軌道L12よりも内周縁33cに近い部分に設けられる。好ましくは、多孔質部61は、軸流ファン30の径方向において、翼32のうちの、第1部位75と内周縁33cとの間に設けられる。
【0102】
表2は、第2実施形態の軸流ファン70を有するファンユニット20において、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50の両方に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、翼32の乱流干渉部50における多孔質部61の搭載位置による低騒音効果の違いを示している。表2における「低騒音効果」は、低減された騒音の値である。表2における「併用」は、ベルマウス40および翼32の両方に圧力変動成分透過部60が設けられる場合を示す。表2では、翼32の乱流干渉部50における多孔質部61の搭載位置が翼32の外周領域80の場合を第3実施例とする。表2では、翼32の乱流干渉部50における多孔質部61の搭載位置が翼32の内周領域79かつ後縁部35である場合を第4実施例とする。
【0103】
表2の第2行目に示されるように、ベルマウス40の乱流干渉部50だけに圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は1.8dBAである。翼32の乱流干渉部50かつ外周領域80に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は0.5dBAである。ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ外周領域80に併用して圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は2.1dBAである。第3実施例において、圧力変動成分透過部60が、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ外周領域80の両方に併用される場合の低騒音効果の値は、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ外周領域80のいずれかにのみ圧力変動成分透過部60が設けられる場合の低騒音効果の値を足し合わせた値よりも、減少した。
【0104】
表1の第4行目に示されるように、ベルマウス40の乱流干渉部50だけに圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は1.8dBAである。翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35かつ内周領域79に圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は1.0dBAである。ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35かつ内周領域79に併用して圧力変動成分透過部60が設けられる場合、低騒音効果の値は3.3dBAである。第4実施例において、圧力変動成分透過部60が、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35かつ内周領域79に併用して設けられる場合の低騒音効果の値は、ベルマウス40の乱流干渉部50および翼32の乱流干渉部50かつ後縁部35かつ内周領域79のいずれかにのみ圧力変動成分透過部60が設けられる場合の低騒音効果の値を足し合わせた値よりも、増加した。
【0105】
【表2】
【0106】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
【0107】
(2-1)後縁71に切欠78が設けられる場合、多孔質部61は、翼32のうちの、切欠78よりも軸流ファン30の径方向において回転軸12aに近い部分に設けられる。
この構成によれば、径方向において切欠78よりも回転軸12aに近い部分に多孔質部61を配置することによって、翼32の後縁71側で発生する騒音が低減できる。
【0108】
<第3実施形態>
図11から図14を参照して、ファンユニット20の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態および第2実施形態と異なる点について説明する。第1実施形態および第2実施形態と同様の部材については、同一の名称を付すことによって説明を省略する。
【0109】
図11および図12に示すように、多孔質部61は、翼32に設けられ、かつ、ベルマウス40には設けられない。例えば、多孔質部61は、翼32の本体33に設けられる。図11および図12では、翼32に設けられる多孔質部61がドットによって表示されている。
【0110】
多孔質部61の形状は、略楕円形である。多孔質部61の形状は、楕円形に限らず、円形であってもよく、四角形であってもよい。多孔質部61が楕円形である場合、短軸の長さに対する長軸の長さの比は、1.3以上、かつ、1.8以下である。
【0111】
多孔質部61は、多孔質部61の中心が、翼32の重心を中心とする所定半径の円によって区画される領域内に位置するように配置される。所定半径は、軸流ファン30の半径Rよりも小さい。好ましくは、多孔質部61は、多孔質部61の中心が翼32の重心と一致するように配置される。
【0112】
本実施形態では、乱流干渉部50のうちの重複部51の上流側に配置される延長部52を、第1延長部53と定義する。第1延長部53は、ベルマウス40の上流側の端部46から軸流ファン30による空気の流れの上流側に向かって延びる。第1延長部53の長さh1は、軸流ファン30の半径Rの0.1倍である。以下では、第1延長部53によって定義される領域を第1延長領域として説明する。
【0113】
多孔質部61は、多孔質部61の一部が第1延長領域内に配置されるように翼32に設けられる。多孔質部61は、多孔質部61のうち、ベルマウス40の上流側の端部46に最も近い多孔質部61の第3端部61cが第1延長領域内に配置されるように翼32に設けられる。ベルマウス40の上流側の端部46から第3端部61cまでの長さtは、第1延長部53の長さh1以下である。
【0114】
図13を参照して、第1延長部53の長さh1に対するベルマウス40の上流側の端部46から第3端部61cまでの長さtの比A1と、低騒音効果と、の関係を説明する。図13では、比A1に対する低騒音効果の大きさを示している。図13のグラフは、試験によって観測されたものである。図13に示されるように、比A1を0.4以上、かつ、0.9以下にすることによって、送風音を低減できた。特に、比A1を、0.5以上、かつ、0.7以下にすることによって、送風音を好適に低減できた。したがって、比A1は、0.5以上、かつ、0.7以下とすることが好ましい。
【0115】
多孔質部61の面積は、翼32の面積よりも小さい。多孔質部61の面積は、翼32の面積の30%以下である。例えば、正圧面32a全体の面積に対する多孔質部61の面積は30%以下である。言い換えると、翼32の面積に対する多孔質部61の面積の比A2は、0.3以下である。例えば、正圧面32a全体の面積に対する多孔質部61の面積の比は0.3以下である。
【0116】
好ましくは、多孔質部61の面積は、翼32の面積の25%以下である。例えば、正圧面32a全体の面積に対する多孔質部61の面積は25%以下である。言い換えると、比A2は、0.25以下である。例えば、正圧面32a全体の面積に対する多孔質部61の面積の比は0.25以下である。
【0117】
図14を参照して、比A2と翼32の最大応力との関係を説明する。図14では、比A2に対する翼32の最大応力の大きさを示している。図14のグラフは、試験によって観測されたものである。図14に示されるように、翼32に多孔質部61を設ける場合、比A2を0.3以下にすることによって、翼32の最大応力の上昇を抑制できた。特に、翼32に多孔質部61を設ける場合、比A2を0.25以下にすることによって、翼32の最大応力の上昇を好適に抑制できた。すなわち、翼32に多孔質部61を設ける場合、比A2は、0.25以下とすることが好ましい。
【0118】
好ましくは、多孔質部61は、前縁33aから第1寸法L1の40%以上後方の位置に設けられる。多孔質部61は、径方向において、翼32のうちの、回転軸12aから軸流ファン30の半径Rの70%までの部分に設けられる。
【0119】
翼32の後縁33bには、切欠78が設けられてもよい。後縁33bに切欠78が設けられる場合、多孔質部61は、翼32のうちの、切欠78よりも径方向において回転軸12aに近い部分に設けられる。
【0120】
<変更例>
本開示のファンユニット20および室外機10は、上記の各実施形態以外に、例えば、以下に示される変更例および相互に矛盾しない少なくとも二つの変更例を組み合わせた形態としてもよい。
【0121】
・室外機10は、冷凍サイクルによって温水を生成し、生成された温水を貯湯するヒートポンプ式給湯装置の室外機であってもよい。
【0122】
・圧力変動成分透過部60は、軸流ファン30のみに設けられてもよい。圧力変動成分透過部60は、ベルマウス40のみに設けられてもよい。
【0123】
・ベルマウス40の周壁41は、円筒部43を有していなくてもよい。ベルマウス40の周壁41が、吹出部42と吸込部44とが連続した状態で構成されていてもよい。
【0124】
・圧力変動成分透過部60および多孔質部61は、一方向に沿った多数の貫通孔を有する多孔質体であってもよい。例えば、樹脂製の中実体に対して、一方向から針状部材を複数回挿入することによって、一方向に沿った多数の貫通孔を有する多孔質体を作製することができる。
【0125】
・第3実施形態において、翼32に設けられる多孔質部61に加えて、ベルマウス40に、多孔質部61が設けられてもよい。本変更例において、多孔質部61は、ベルマウス40の乱流干渉部50の範囲内において、ベルマウス40の周方向に断続的に配置される。
【0126】
・以上、ファンユニット20および室外機10の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載されたファンユニット20および室外機10の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0127】
10…室外機、12a…回転軸、20…ファンユニット、30…軸流ファン、31…ハブ、32…翼、33a…前縁、33b…後縁、40…ベルマウス、50…乱流干渉部、51…重複部、52…延長部、61…多孔質部、70…軸流ファン、71…後縁、78…切欠、h…長さ、L1…第1寸法、R…半径、X…回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流ファン(30)と、
ベルマウス(40)と、を備えるファンユニット(20)において、
前記軸流ファン(30)は、
回転軸(12a)が取り付けられるハブ(31)と、
前記ハブ(31)に設けられた翼(32)と、を有し、
前記軸流ファン(30)は、乱流干渉部(50)を有し、
前記乱流干渉部(50)は、
前記軸流ファン(30)の径方向において前記翼(32)と前記ベルマウス(40)とが重なる重複部(51)と、
前記軸流ファン(30)の軸方向において前記重複部(51)の両側に配置される延長部(52)と、を有し、
前記延長部(52)の前記軸方向における長さ(h)は、前記軸流ファン(30)の半径(R)の0.1倍以下であり、
前記乱流干渉部(50)の範囲内において、前記翼(32)に多孔質部(61)が設けられ、
前記多孔質部(61)の面積は、前記翼(32)の面積の30%以下であ
前記延長部(52)は、前記乱流干渉部(50)のうちの前記重複部(51)の上流側に配置される第1延長部(53)を含み、
前記多孔質部(61)の一部は、前記第1延長部(53)によって定義される第1延長領域内に配置されるように前記翼(32)に設けられる、
ファンユニット。
【請求項2】
前記多孔質部(61)の面積は、前記翼(32)の面積の25%以下である、
請求項1に記載のファンユニット。
【請求項3】
前記翼(32)は、
前記回転軸(12a)の回転方向(X)の前方に位置する前縁(33a)と、
前記回転軸(12a)の回転方向(X)の後方に位置する後縁(33b)と、を有し、
前記前縁(33a)から前記後縁(33b)までの寸法を第1寸法(L1)とすると、
前記多孔質部(61)は、前記前縁(33a)から前記第1寸法(L1)の40%以上後方の位置に設けられる、
請求項1に記載のファンユニット。
【請求項4】
前記多孔質部(61)は、前記径方向において、前記翼(32)のうちの、前記回転軸(12a)から前記軸流ファン(30)の前記半径(R)の70%までの部分に設けられる、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項5】
前記翼(32)は、前記回転軸(12a)の回転方向(X)の後方に位置する後縁(33b)を有し、
前記後縁(33b)には、切欠(78)が設けられ、
前記多孔質部(61)は、前記翼(32)のうちの、前記切欠(78)よりも前記径方向において前記回転軸(12a)に近い部分に設けられる、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項6】
前記多孔質部(61)は、前記翼(32)の厚さ方向に連通する平均気孔径が1000μm以下の気孔を有する、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項7】
前記ベルマウス(40)は前記重複部(51)を有し、
前記重複部(51)の範囲内において前記ベルマウス(40)には、前記多孔質部(61)が設けられ、
前記多孔質部(61)は、前記ベルマウス(40)の周方向に断続的に配置される、
請求項1または2に記載のファンユニット。
【請求項8】
請求項1または2に記載のファンユニット(20)を備える、室外機。