(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144350
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
C01B 13/34 20060101AFI20241003BHJP
F27B 1/10 20060101ALI20241003BHJP
F27D 19/00 20060101ALI20241003BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20241003BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20241003BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20241003BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C01B13/34 ZAB
F27B1/10
F27D19/00 A
F27D19/00 D
F27D21/00 A
F27D7/02 A
B01D53/56 200
B01D53/78
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051781
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】202310319177.7
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524118579
【氏名又は名称】成都益志科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Chengdu Yizhi Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Floor 13, Building 1, Caizhi International, No. 595 Jinzhou Road, Jinniu High-tech Industrial Park, Chengdu, Sichuan Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】蘇宗華
(72)【発明者】
【氏名】王紅梅
(72)【発明者】
【氏名】張博遠
(72)【発明者】
【氏名】黄燕
(72)【発明者】
【氏名】呉志平
(72)【発明者】
【氏名】田曉穎
(72)【発明者】
【氏名】万文
(72)【発明者】
【氏名】▲ごん▼躍
(72)【発明者】
【氏名】劉超
(72)【発明者】
【氏名】龍力華
【テーマコード(参考)】
4D002
4G042
4K045
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4D002AA12
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4K063DA32
4K063DA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】噴霧焙焼法により金属酸化物を製造するプロセスであって、生成粒子のサイズが制御可能で、生成物の純度が高く、粒子の分散性が良好で、製造効率が高く、プロセスの温度が低いプロセスを提供する。
【解決手段】硝酸塩溶液を濾過し、不純物を除去した後、予備濃縮器で濃縮し、焙焼炉に供給し、焙焼炉供給ポンプにより硝酸塩溶液を加圧下で焙焼炉に噴出して噴霧焙焼分解を行う。焙焼炉で硝酸塩を焙焼した後に発生した焙焼炉ガスの温度を硝酸塩溶液によって下げ、炉ガスを冷却、吸収、再冷却、再吸収して再生硝酸を製造する点が、従来より改良されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸塩溶液を濾過し、不純物を除去した後、予備濃縮器で濃縮し、焙焼炉に供給し、焙焼炉供給ポンプにより硝酸塩溶液を加圧下で焙焼炉に噴出して噴霧焙焼分解を行うステップS1であって、硝酸塩分解生成物に、金属酸化物、NO2ガスおよび水蒸気が含まれるステップS1と、
焙焼炉からの炉ガスを予備濃縮器に搬送し、焙焼炉で硝酸塩を噴霧焙焼した後に発生した焙焼炉ガスを予備濃縮器によって冷却すると同時に、新しく流入した硝酸塩溶液を濃縮し、焙焼炉ガス中のダストを除去するステップS2と、
金属酸化物を焙焼炉の底部から落下させ、搬送ファンによって発生して、フィルターによって濾過された搬送空気が、金属酸化物粉末を粉体サイロに搬送し、金属酸化物が、搬送空気を通過すると同時に冷却されるステップS3であって、粉体サイロの上部に焼結板集塵機が設けられ、粉体サイロの下部において、金属酸化物を包装する包装機が設けられるステップS3と、
予備濃縮器を通過した焙焼炉ガスを、一次冷却塔、一次吸収塔、二次冷却塔、二次吸収塔または互いにずらして設置された多次冷却塔と吸収塔に入れ、その中のNO2ガスを吸収して再生硝酸を生成し、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を下げた後、排ガスファンに入れるステップS4と、
排ガスファンの後ろに設置された液体アルカリ洗浄塔は、焙焼炉ガスを再度洗浄するステップS5と、洗浄塔を通過したガスを、湿式電気集塵機で除塵した後、煙突に入れて外部へ排出するステップS6と、を含み、前記焙焼炉は、焙焼炉本体(1)、回転弁(8)、炉本体排気管(11)、燃焼アセンブリ火道(2)、ガス調整弁(15)、空気調整弁(16)、排出温度検出器(10)、排気温度検出器(12)、排気圧力検出器(13)、炉本体温度検出器(14)、火道前段温度検出器(17)、火道後段温度検出器(18)、噴霧ノズル(3)、溶液調整弁(4)、給水調整弁(5)および圧縮空気調整弁(6)を含み、前記焙焼炉本体(1)の下端排出口は、前記回転弁(8)に接続され、前記焙焼炉本体(1)の上端には排気口が設けられ、前記焙焼炉本体(1)の排気口は、前記炉本体排気管(11)の一端に接続され、前記噴霧ノズル(3)の吐出端は、前記焙焼炉本体(1)内の上段に位置し、前記燃焼アセンブリ火道(2)の燃焼端は、前記焙焼炉本体(1)の内部に位置し、前記ガス調整弁(15)および前記空気調整弁(16)は、前記燃焼アセンブリ火道(2)の供給端に設けられ、前記ガス調整弁(15)および前記空気調整弁(16)は、前記焙焼炉本体(1)の外部に位置し、前記排出温度検出器(10)は、前記回転弁(8)の供給端に設けられ、前記排気温度検出器(12)および前記排気圧力検出器(13)はそれぞれ、炉本体排気管(11)の供給端および吐出端の外壁に設けられ、前記炉本体温度検出器(14)は複数であり、複数の前記炉本体温度検出器(14)はそれぞれ、焙焼炉本体(1)の側壁に設けられ、前記火道前段温度検出器(17)および前記火道後段温度検出器(18)はそれぞれ、燃焼アセンブリ火道(2)の排出端および供給端の側壁に設けられ、前記噴霧ノズル(3)の供給端は、前記給水調整弁(5)、前記圧縮空気調整弁(6)および前記溶液調整弁(4)の排出端に同時に接続され、前記溶液調整弁(4)の供給端は、溶液供給アセンブリに接続され、前記給水調整弁(5)の供給端は、給水アセンブリに接続され、前記圧縮空気調整弁(6)の供給端は、空気供給装置に接続されることを特徴とする、硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項2】
前記予備濃縮器は、Venturi予備濃縮器であることを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項3】
予備濃縮器は、焙焼炉ガスの温度を300~500℃から95℃以下に下げ、硝酸塩溶液を15~35%に濃縮することを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項4】
前記ステップS1では、焙焼炉内の反応温度は400~850℃であることを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項5】
前記ステップS4では、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を40℃以下に下げることを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項6】
前記焙焼炉本体(1)の排出端と前記回転弁(8)との間には、ブロック粉砕機(7)および粉砕機用駆動モータ(9)が設けられ、前記ブロック粉砕機(7)の供給端は、前記焙焼炉本体(1)の排出端に接続され、前記ブロック粉砕機(7)の吐出端は、前記回転弁(8)に接続され、前記ブロック粉砕機(7)の駆動端は、前記粉砕機用駆動モータ(9)の駆動出力軸に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項7】
前記噴霧ノズル(3)は複数であり、複数の前記噴霧ノズル(3)は全て、前記焙焼炉本体(1)内の上段に位置することを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【請求項8】
前記燃焼アセンブリ火道(2)と前記空気調整弁(16)との間には、空気流量センサ(19)が設けられ、前記燃焼アセンブリ火道(2)と前記ガス調整弁(15)との間には、ガス流量センサ(20)が設けられ、前記燃焼アセンブリ火道(2)には、火炎検出器(21)が設けられ、前記火炎検出器(21)の検出端は、前記燃焼アセンブリ火道(2)の内部に位置することを特徴とする、請求項1に記載の硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焙焼プロセスの技術分野に関し、特に、硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧焙焼法は、非常に有望な材料調製法であり、従来の調製技術と比較して、生成粒子のサイズが制御可能で、生成物の純度が高く、粒子の分散性が良好で、製造効率が高く、プロセスの温度が低いという多くの利点があり、材料科学の多くの分野で適用されている。
【0003】
中国特許第201921313792.2号に開示された噴霧焙焼法を用いた四酸化三コバルトの製造システム、中国特許第201910747775.8号に開示された噴霧焙焼法を用いた四酸化三コバルトの製造システムおよびその製造プロセスなどの既存技術では、塩化物を用いて噴霧焙焼炉で金属酸化物を製造する場合、塩化物は熱分解温度が高くなり、分解が困難であるため、金属酸化物中の塩素イオンが基準超過になりやすい。金属酸化物の製造に適さないため、金属酸化物に適した焙焼プロセスが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第201921313792.2号明細書
【特許文献2】中国特許第201910747775.8号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセスを提供することである。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段によって実施される。
【0007】
本発明は、以下のステップS1~S6を含む。
【0008】
S1では、硝酸塩溶液を濾過し、不純物を除去した後、予備濃縮器で濃縮し、焙焼炉に供給し、焙焼炉供給ポンプにより硝酸塩溶液を加圧下で焙焼炉に噴出して噴霧焙焼分解を行い、硝酸塩分解生成物には、金属酸化物、NO2ガスおよび水蒸気が含まれる。
【0009】
S2では、焙焼炉からの炉ガスを予備濃縮器に搬送し、焙焼炉で硝酸塩を噴霧焙焼した後に発生した焙焼炉ガスを予備濃縮器によって冷却すると同時に、新しく流入した硝酸塩溶液を濃縮し、焙焼炉ガス中のダストを除去する。
【0010】
S3では、金属酸化物を焙焼炉の底部から落下させ、搬送ファンによって発生して、フィルターによって濾過された搬送空気は、金属酸化物粉末を粉体サイロに搬送し、金属酸化物は、搬送空気を通過すると同時に冷却される。粉体サイロの上部には焼結板集塵機が設けられ、粉体サイロの下部には、金属酸化物を包装する包装機が設けられる。
【0011】
S4では、予備濃縮器を通過した焙焼炉ガスを、一次冷却塔、一次吸収塔、二次冷却塔、二次吸収塔または互いにずらして設置された多次冷却塔と吸収塔に入れ、その中のNO2ガスを吸収して再生硝酸を生成し、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を下げた後、排ガスファンに入れる。
【0012】
S5では、排ガスファンの後ろに設置された液体アルカリ洗浄塔は、焙焼炉ガスを再度洗浄する。
【0013】
S6では、洗浄塔を通過したガスを、湿式電気集塵機で除塵した後、煙突に入れて外部へ排出する。
【0014】
好ましくは、前記予備濃縮器は、Venturi予備濃縮器である。予備濃縮器は、焙焼炉ガスの温度を300~500℃から95℃以下に下げ、硝酸塩溶液を15~35%に濃縮する。前記ステップS1では、焙焼炉内の反応温度は400~850℃である。前記ステップS4では、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を40℃以下に下げる。
【0015】
さらに、前記焙焼炉は、焙焼炉本体、回転弁、炉本体排気管、燃焼アセンブリ火道、ガス調整弁、空気調整弁、排出温度検出器、排気温度検出器、排気圧力検出器、炉本体温度検出器、火道前段温度検出器、火道後段温度検出器、噴霧ノズル、溶液調整弁、給水調整弁および圧縮空気調整弁を含み、前記焙焼炉本体の下端排出口は、前記回転弁に接続され、前記焙焼炉本体の上端には排気口が設けられ、前記焙焼炉本体の排気口は、前記炉本体排気管の一端に接続され、前記噴霧ノズルの吐出端は、前記焙焼炉本体内の上段に位置し、前記燃焼アセンブリ火道の燃焼端は、前記焙焼炉本体の内部に位置し、前記ガス調整弁および前記空気調整弁は、前記燃焼アセンブリ火道の供給端に設けられ、前記ガス調整弁および前記空気調整弁は、前記焙焼炉本体の外部に位置し、前記排出温度検出器は、前記回転弁の供給端に設けられ、前記排気温度検出器および前記排気圧力検出器はそれぞれ、炉本体排気管の供給端および吐出端の外壁に設けられ、前記炉本体温度検出器は複数であり、複数の前記炉本体温度検出器はそれぞれ、焙焼炉本体の側壁に設けられ、前記火道前段温度検出器および前記火道後段温度検出器はそれぞれ、燃焼アセンブリ火道の排出端および供給端の側壁に設けられ、前記噴霧ノズルの供給端は、前記給水調整弁、前記圧縮空気調整弁および前記溶液調整弁の排出端に同時に接続され、前記溶液調整弁の供給端は、溶液供給アセンブリに接続され、前記給水調整弁の供給端は、給水アセンブリに接続され、前記圧縮空気調整弁の供給端は、空気供給装置に接続される。
【0016】
改良として、前記焙焼炉本体の排出端と前記回転弁との間には、ブロック粉砕機および粉砕機用駆動モータが設けられ、前記ブロック粉砕機の供給端は、前記焙焼炉本体の排出端に接続され、前記ブロック粉砕機の吐出端は、前記回転弁に接続され、前記ブロック粉砕機の駆動端は、前記粉砕機用駆動モータの駆動出力軸に接続される。
【0017】
好ましくは、前記噴霧ノズルは複数であり、複数の前記噴霧ノズルは全て、前記焙焼炉本体内の上段に位置する。
【0018】
改良として、前記燃焼アセンブリ火道と前記空気調整弁との間には、空気流量センサが設けられ、前記燃焼アセンブリ火道と前記ガス調整弁との間には、ガス流量センサが設けられ、前記燃焼アセンブリ火道には、火炎検出器が設けられ、前記火炎検出器の検出端は、前記燃焼アセンブリ火道の内部に位置する。
【0019】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0020】
本発明は、硝酸塩を噴霧焙焼して金属酸化物を製造するプロセスであり、従来技術と比較して、本発明は、従来技術に基づいてプロセスと設備が改良され、硝酸塩噴霧熱分解を用いて三元系電池素材を製造することにより、金属酸化物の純度が向上し、塩素イオンの基準超過が回避され、改良された焙焼炉は、生成粒子のサイズが制御可能で、生成物の純度が高く、粒子の分散性が良好で、製造効率が高く、プロセスの温度が低いという利点を有し、普及と応用の価値がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】本発明の燃焼アセンブリの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面および具体的な実施例と併せて本発明を以下にさらに記述するが、本発明の例示的な実施例および記述は、本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0023】
図1に示すように、本発明は、以下のステップS1~S6を含む。
【0024】
S1では、硝酸塩溶液を濾過し、不純物を除去した後、予備濃縮器で濃縮し、焙焼炉に供給し、焙焼炉供給ポンプにより硝酸塩溶液を加圧下で焙焼炉に噴出して噴霧焙焼分解を行い、硝酸塩分解生成物には、金属酸化物、NO2ガスおよび水蒸気(酸素、NO、NO2、N2O3、N2O4も含まれ、NO2を主成分とする)が含まれる。
【0025】
S2では、焙焼炉からの炉ガスを予備濃縮器に搬送し、焙焼炉で硝酸塩を噴霧焙焼した後に発生した焙焼炉ガス(NO2、H2O、燃焼排ガス、ダスト)を予備濃縮器によって冷却し、焙焼炉ガスを300~500℃から95℃以下に下げると同時に、新しく流入した硝酸塩溶液を濃縮(硝酸塩溶液を15~35%に濃縮)し、焙焼炉ガス中のダストを除去する。
【0026】
S3では、金属酸化物を焙焼炉の底部から落下させ、搬送ファンによって発生して、フィルターによって濾過された搬送空気は、金属酸化物粉末を粉体サイロに搬送し、金属酸化物は、搬送空気を通過すると同時に冷却され、粉体サイロの上部に設けられた焼結板集塵機で除塵・浄化された後、浄化空気を排出し、焼結板集塵機で収集された底部の粉体を粉体サイロに落下させて戻し、粉体サイロの下部には、金属酸化物を包装する包装機が設けられる。
【0027】
S4では、予備濃縮器を通過した焙焼炉ガスを、一次冷却塔、一次吸収塔、二次冷却塔、二次吸収塔または互いにずらして設置された多次冷却塔と吸収塔に入れ、その中のNO2ガスを吸収して再生硝酸を生成し、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を下げた後、排ガスファンに入れる。
【0028】
S5では、排ガスファンの後ろに設置された液体アルカリ(またはアンモニア水)洗浄塔は、焙焼炉ガスを再度洗浄し、洗浄された後の廃水を汚水処理場に排出し、排出基準を満たすように処理する。
【0029】
S6では、洗浄塔を通過したガスを、湿式電気集塵機で除塵した後、煙突に入れて外部へ排出し、湿式電気集塵機からの洗浄廃水も同様に、処理のために汚水処理場に排出する。排煙の温度は40℃未満であり、水蒸気の含有量は10%未満であり、その他の指標は中国の排出基準値よりも低い。別の技術的解決手段として、洗浄塔を通過したガスはまた、選択式触媒還元(Selective Catalytic Reduction,SCR)脱硝技術によって脱硝を行い、窒素酸化物を基準値に達させた後、煙突に入れて外部へ排出してもよい。
【0030】
窒素酸化物の吸収は、冷却+吸収+冷却+吸収の方式によって行われ、HNO3を生成し、その濃度を高めることに役立つ。窒素酸化物の吸収による硝酸の生成は発熱反応であり、窒素酸化物の吸収には低温が有利であるため、焙焼炉ガスを35℃以下に冷却する必要がある。希硝酸は窒素酸化物の吸収に役立ち、二次吸収によって生成された希硝酸は、一次吸収塔の吸収液として使用され、一次吸収塔の底部で硝酸が生成され、硝酸タンクに排出される。
【0031】
好ましくは、前記予備濃縮器は、Venturi予備濃縮器である。予備濃縮器は、焙焼炉ガスの温度を300~500℃から95℃以下に下げ、硝酸塩溶液を15~35%に濃縮する。前記ステップS1では、焙焼炉内の反応温度は400~850℃である(400℃未満の場合は反応効率が著しく低下し、850℃を超える場合は生成した金属酸化物の粒子形態に影響を与える)。前記ステップS4では、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を40℃以下に下げる。
【0032】
図2、3に示すように、前記焙焼炉は、焙焼炉本体1、回転弁8、炉本体排気管11、燃焼アセンブリ火道2、ガス調整弁15、空気調整弁16、排出温度検出器10、排気温度検出器12、排気圧力検出器13、炉本体温度検出器14、火道前段温度検出器17、火道後段温度検出器18、噴霧ノズル3、溶液調整弁4、給水調整弁5および圧縮空気調整弁6を含み、前記焙焼炉本体1の下端排出口は、前記回転弁8に接続され、前記焙焼炉本体1の上端には排気口が設けられ、前記焙焼炉本体1の排気口は、前記炉本体排気管11の一端に接続され、前記噴霧ノズル3の吐出端は、前記焙焼炉本体1内の上段に位置し、前記燃焼アセンブリ火道2の燃焼端は、前記焙焼炉本体1の内部に位置し、前記ガス調整弁15および前記空気調整弁16は、前記燃焼アセンブリ火道2の供給端に設けられ、前記ガス調整弁15および前記空気調整弁16は、前記焙焼炉本体1の外部に位置し、前記排出温度検出器10は、前記回転弁8の供給端に設けられ、前記排気温度検出器12および前記排気圧力検出器13はそれぞれ、炉本体排気管11の供給端および吐出端の外壁に設けられ、前記炉本体温度検出器14は複数であり、複数の前記炉本体温度検出器14はそれぞれ、焙焼炉本体1の側壁に設けられ、前記火道前段温度検出器17および前記火道後段温度検出器18はそれぞれ、燃焼アセンブリ火道2の排出端および供給端の側壁に設けられ、前記噴霧ノズル3の供給端は、前記給水調整弁5、前記圧縮空気調整弁6および前記溶液調整弁4の排出端に同時に接続され、前記溶液調整弁4の供給端は、溶液供給アセンブリに接続され、前記給水調整弁5の供給端は、給水アセンブリに接続され、前記圧縮空気調整弁6の供給端は、空気供給装置に接続される。
【0033】
改良として、前記焙焼炉本体1の排出端と前記回転弁8との間には、ブロック粉砕機7および粉砕機用駆動モータ9が設けられ、前記ブロック粉砕機7の供給端は、前記焙焼炉本体1の排出端に接続され、前記ブロック粉砕機7の吐出端は、前記回転弁8に接続され、前記ブロック粉砕機7の駆動端は、前記粉砕機用駆動モータ9の駆動出力軸に接続される。
【0034】
好ましくは、前記噴霧ノズル3は複数であり、複数の前記噴霧ノズル3は全て、前記焙焼炉本体1内の上段に位置する。
【0035】
改良として、前記燃焼アセンブリ火道2と前記空気調整弁16との間には、空気流量センサ19が設けられ、前記燃焼アセンブリ火道2と前記ガス調整弁15との間には、ガス流量センサ20が設けられ、前記燃焼アセンブリ火道2には、火炎検出器21が設けられ、前記火炎検出器21の検出端は、前記燃焼アセンブリ火道2の内部に位置する。
【0036】
燃焼アセンブリ火道2の出口には、燃焼終了後の高温ガスが焙焼炉内部に進入する際の温度を検出するための火道前段温度検出器17が設けられており、焙焼炉内での熱分解反応をより良好に完成させるように、800~1200℃に制御される。温度計を1本のみ使用して検出を行う場合、高温ガスの燃焼反応温度だけが検出され、燃焼終了後のガス温度が検出されないと、焙焼炉内の反応温度を正確に制御することに不利である。燃焼終了後の高温ガスが焙焼炉内部に進入する際の温度を検出するための火道前段温度検出器17を設置することは、焙焼炉内部の反応温度を制御し、反応効率を高め、金属酸化物粒子を制御することに役立つ。
【0037】
焙焼炉内部に進入した溶液の霧化形式は、多材料霧化を採用し、霧化粒子のサイズを小さくすることで、噴霧焙焼反応をより容易に実行する。焙焼炉の直線部には、焙焼炉内部の各段の温度を検出する炉本体温度検出器14が設けられ、焙焼炉内部の反応温度を制御するのに有利である。
【0038】
前記焙焼炉の焙焼プロセスは、以下の工程1~5の通りである。
【0039】
工程1では、溶液を溶液調整弁4から噴霧ノズル3に入れ、圧縮空気も圧縮空気調整弁6から噴霧ノズル3に入れ、溶液を10-300μmの粒子に霧化し、焙焼炉本体1の内部に噴出して噴霧焙焼を行う。
【0040】
工程2では、焙焼炉本体1の内部で熱分解反応を行い、金属酸化物および窒素酸化物を生成する。
【0041】
工程3では、反応して生成された窒素酸化物ガスおよび燃焼排ガス、過剰な空気を、焙焼炉本体1の上部から排出し、排気温度検出器12および排気圧力検出器13により温度と圧力を検出し、焙焼炉本体1のガスをその後の冷却吸収工程に入れる。
【0042】
工程4では、反応して生成された金属酸化物を、焙焼炉本体1の底部からブロック粉砕機7および回転弁8を経て粉体搬送システムに入れる。
【0043】
工程5では、ガス調整弁15および空気調整弁16を通って燃焼アセンブリに入ったガスと空気を、燃焼アセンブリ火道2内で燃焼させ、焙焼炉本体1内部の反応に熱を供給するように、燃焼終了後の高温ガスを焙焼炉本体1の内部に入れる。
【実施例0044】
S1では、硝酸塩溶液を濾過し、不純物を除去した後、予備濃縮器で濃縮し、焙焼炉に供給し、焙焼炉供給ポンプにより硝酸塩溶液を加圧下で焙焼炉に噴出して噴霧焙焼分解を行う。
【0045】
S2では、焙焼炉からの炉ガスを予備濃縮器に搬送し、焙焼炉で硝酸塩を噴霧焙焼した後に発生した焙焼炉ガスを予備濃縮器によって冷却し、焙焼炉ガスを300℃から85℃以下に下げると同時に、硝酸塩溶液を15%に濃縮し、焙焼炉ガス中のダストを除去する。
【0046】
S3では、金属酸化物を焙焼炉の底部から落下させ、搬送ファンによって発生して、フィルターによって濾過された後搬送空気は、金属酸化物粉末を粉体サイロに搬送し、金属酸化物は、搬送空気を通過すると同時に冷却され、粉体サイロの上部に設けられた焼結板集塵機で除塵・浄化された後、浄化空気を排出し、焼結板集塵機で収集された底部の粉体を粉体サイロに落下させて戻し、粉体サイロの下部には、金属酸化物を包装する包装機が設けられる。
【0047】
S4では、予備濃縮器を通過した焙焼炉ガスを、一次冷却塔、一次吸収塔、二次冷却塔、二次吸収塔または互いにずらして設置された多次冷却塔と吸収塔に入れ、その中のNO2ガスを吸収して再生硝酸を生成し、吸収が完了すると同時に焙焼炉ガスの温度を下げた後、排ガスファンに入れる。
【0048】
S5では、排ガスファンの後ろに設置された液体アルカリ(またはアンモニア水)洗浄塔は、焙焼炉ガスを再度洗浄し、洗浄された後の廃水を汚水処理場に排出し、排出基準を満たすように処理する。
【0049】
S6では、洗浄塔を通過したガスを、湿式電気集塵機で除塵した後、煙突に入れて外部へ排出し、湿式電気集塵機からの洗浄廃水も同様に、処理のために汚水処理場に排出する。排煙の温度は40℃未満であり、水蒸気の含有量は10%未満であり、その他の指標は中国の排出基準値よりも低い。
【0050】
上記実施例1で焙焼した金属酸化物を試験し、その技術パラメータを以下の表1に示す。
【0051】
【0052】
ここで、Dは直径を表し、03、06……97、98は百分率を表し、例えば、D03=0.88μmとは、粒子の粒度分布において、小粒子径から大粒子径までの累積分布割合が3%に達した時、対応する粒子径の値が0.88μmであることを意味し、本実施例では、メディアン径(D50)は20μmであり、体積基準平均径D[4,3]は24.39μmであり、面積基準平均径D[3,2]は5.76μmである。
ここで、Dは直径を表し、03、06……97、98は百分率を表し、例えば、D03=0.6μmとは、粒子の粒度分布において、小粒子径から大粒子径までの累積分布割合が3%に達した時、対応する粒子径の値が0.6μmであることを意味し、本実施例では、メディアン径(D50)は10.0μmであり、体積基準平均径D[4,3]は12.09μmであり、面積基準平均径D[3,2]は2.85μmである。