(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144358
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】肩係合パッドを移動させるナックルクローアセンブリを有しているヴァイオリンに用いる肩当て
(51)【国際特許分類】
G10D 3/18 20200101AFI20241003BHJP
G10G 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G10D3/18
G10G5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024052233
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】63/492,929
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500072301
【氏名又は名称】ザ クンショルダー レスト インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレッド ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアナ ファーハ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ケティル
(72)【発明者】
【氏名】ハリー スティッチベリー
(72)【発明者】
【氏名】マーティ ペル
【テーマコード(参考)】
5D002
5D182
【Fターム(参考)】
5D002CC56
5D182BB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヴァイオリンまたはヴィオラに用いる、調節可能で折りたたみ可能な肩当てにおいて、調節性およびエルゴノミクスについて更に改良する方法を提供する。
【解決手段】肩当て10は、第1端部と第2端部とを有し、長さ調節機構を備えるブリッジアセンブリ212、214と、ブリッジアセンブリの長さ調節機構とは独立してブリッジアセンブリに対して摺動可能に位置を調節可能である肩係合パッド14と、肩係合パッドをブリッジアセンブリに選択的にロックするナックルクローアセンブリ220と、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持する際の、ブリッジアセンブリの第1端部に配置されている第1フォーク20及びブリッジアセンブリの第2端部に配置されている第2フォーク22と、を有している。
【選択図】
図37
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヴァイオリンまたはヴィオラ用の肩当てにおいて、
第1端部と第2端部とを有しているブリッジアセンブリの長さを調節する長さ調節機構を有しているブリッジアセンブリと、
前記ブリッジアセンブリの前記長さ調節機構とは独立して前記ブリッジアセンブリに対して肩係合パッドの位置を調節するための前記ブリッジアセンブリに対して摺動可能に調節可能である肩係合パッドと、
前記肩係合パッドを前記ブリッジアセンブリに選択的にロックするナックルクローアセンブリと、
前記ヴァイオリンまたはヴィオラを把持する前記ブリッジアセンブリの前記第1端部に配置されている第1フォークと、
前記ヴァイオリンまたはヴィオラを把持する前記ブリッジアセンブリの前記第2端部に配置されている第2フォークとを備えている、肩当て。
【請求項2】
前記ナックルクローアセンブリが、前記パッドを前記ブリッジアセンブリに選択的にロックするロックカムおよびレバーを備えている、請求項1に記載の肩当て。
【請求項3】
前記ブリッジアセンブリが、外側ブリッジアセンブリと前記外側ブリッジアセンブリ内を摺動する内側ブリッジアセンブリとを備えている、請求項2に記載の肩当て。
【請求項4】
前記ブリッジアセンブリが、前記内側ブリッジアセンブリに対して前記外側ブリッジアセンブリを選択的にロックするラチェットラッチを備えている、請求項3に記載の肩当て。
【請求項5】
前記ナックルクローアセンブリが、前記外側ブリッジアセンブリ上を摺動する、請求項4に記載の肩当て。
【請求項6】
前記ナックルクローアセンブリを前記肩係合パッドのバッキングプレートに固定するナックルアダプタを備えている、請求項1に記載の肩当て。
【請求項7】
前記ナックルアダプタが、前記ナックルクローアセンブリに対して回転可能であることにより前記ブリッジアセンブリに対して前記パッドの角度を調節可能にしている、請求項6に記載の肩当て。
【請求項8】
前記ナックルクローアセンブリが、締結具により前記ナックルアダプタに選択的に締結されている、請求項5に記載の肩当て。
【請求項9】
前記ナックルクローアセンブリが、前記パッドを前記ブリッジアセンブリに選択的にロックするロックカムおよびレバーを備えている、請求項1に記載の肩当て。
【請求項10】
前記ナックルクローアセンブリおよび前記ナックルアダプタが、相対回転を可能にする互いに一致する弧を有している、請求項9に記載の肩当て。
【請求項11】
前記ナックルクローアセンブリおよび前記ナックルアダプタが、前記締結具が締められると前記ナックルアダプタを前記ナックルクローアセンブリにロックするための互いに一致する組み合い歯部を有している、請求項9に記載の肩当て。
【請求項12】
前記レバーが、前記ブリッジアセンブリの長軸に垂直な回転軸を中心に回転する、請求項2に記載の肩当て。
【請求項13】
ヴァイオリンまたはヴィオラ用の肩当てにおいて、
第1端部と第2端部とを有しているブリッジアセンブリであって第1ブリッジ部と前記ブリッジアセンブリの長さを調節するために前記第1ブリッジ部に対して摺動可能である第2ブリッジ部とを備えているブリッジアセンブリと、
前記ブリッジアセンブリに対して肩係合パッドの位置を調節するための前記ブリッジアセンブリに対して摺動可能に調節可能である肩係合パッドと、
前記肩係合パッドを前記ブリッジに選択的にロックするナックルクローアセンブリと、
前記ヴァイオリンまたはヴィオラを把持する前記ブリッジアセンブリの前記第1端部に配置されている第1フォークと、
前記ヴァイオリンまたはヴィオラを把持する前記ブリッジアセンブリの前記第2端部に配置されている第2フォークとを備え、
前記肩係合パッドが、前記ブリッジアセンブリに対して前記肩係合パッドの角度を調節するために前記ブリッジアセンブリの周りを回転可能である、肩当て。
【請求項14】
前記ナックルクローアセンブリが、前記肩係合パッドを前記ブリッジアセンブリに選択的にロックするロックカムおよびレバーを備えている、請求項13に記載の肩当て。
【請求項15】
前記第1ブリッジ部が、外側ブリッジアセンブリであり、
前記第2ブリッジ部が、前記外側ブリッジアセンブリ内を摺動する内側ブリッジアセンブリである、請求項13に記載の肩当て。
【請求項16】
前記肩係合パッドを前記ナックルクローアセンブリに取り付けるナックルアダプタを備え
前記ナックルアダプタが、前記ブリッジアセンブリに対して前記肩係合パッドの角度を調節するために前記ナックルクローアセンブリに対して回転可能である、請求項13に記載の肩当て。
【請求項17】
前記ナックルクローアセンブリが、前記肩係合パッドを前記ブリッジアセンブリに選択的にロックするロックカムおよびレバーを備えている、請求項16に記載の肩当て。
【請求項18】
前記ナックルクローアセンブリおよび前記ナックルアダプタが、相対回転を可能にする互いに一致する弧を有している、請求項16に記載の肩当て。
【請求項19】
前記ナックルクローアセンブリおよび前記ナックルアダプタが、締結具が締められると前記ナックルアダプタを前記ナックルクローアセンブリにロックするための互いに一致する組み合い歯部を有している、請求項18に記載の肩当て。
【請求項20】
前記レバーが、前記ブリッジアセンブリの長軸に垂直な回転軸を中心に回転する、請求項19に記載の肩当て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ヴァイオリンまたはヴィオラ用の肩当てに関する。
【背景技術】
【0002】
肩当ては、ヴァイオリンまたはヴィオラに取り付けることができるアクセサリ装置である。
一般に、肩当ては、ヴァイオリンまたはヴィオラの裏の側面に肩当てを着脱自在に取り付けるためのフォーク状のクランプ部または「足」を有している。
肩当てにより、演奏者にとって快適な高さに楽器との間隔が設けられる。
肩当ては、人間の肩および鎖骨の自然な曲線に全体的に順応するボディ輪郭を有することができる。
【0003】
異なるサイズの楽器と演奏者の身体構造および姿勢の好みとの両方を受け入れるため、肩当てには、高さおよびフォーク状クランプ部間の距離が調節可能なものがある。
【0004】
調節可能な肩当ての例が、「ヴァイオリン等の肩当て」という名称の特許文献1(Kun)、「ヴァイオリン肩当て」という名称の特許文献2(Kun)、「ヴァイオリンまたは同様の楽器用の肩当て」という名称の特許文献3(Kun)、「ヴァイオリン等用の調節可能な肩当て」という名称の特許文献4(Cullum他)、「ヴァイオリンまたは同様の楽器」という名称の特許文献5(Muir他)に開示されており、これらの文献は、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
よりコンパクトな保管を可能にするために、いくつかの肩当ては、折り畳み可能(または「コラプシブル」)であり、例えば、「ヴァイオリンまたは同様の楽器用の肩当て」という名称の特許文献6(Kun)に開示されたものがあり、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
肩当てのボディまたはブリッジは、様々な材料、例えば、重合体、複合材料、金属、木材等から形成することができる。
「ヴァイオリンまたはヴィオラの肩当て用のブリッジ」という名称の特許文献7(Farha)は、複数の突板を含んでいる積層体から形成されているボディまたはブリッジを開示しており、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
肩当てのエルゴノミクスの他の改良が、「ヴァイオリン用肩当てのクランプ部」という名称の特許文献8(Clemente)と「ヴァイオリンまたはヴィオラ用の調節可能で折り畳み可能なヴァイオリン肩当て」という名称の特許文献9(Balatti)に開示されており、これらの文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,270,474号
【特許文献2】米国特許第5,419,226号
【特許文献3】米国特許第5,567,893号
【特許文献4】米国特許第6,031,163号
【特許文献5】米国特許第7,265,284号
【特許文献6】米国特許第5,731,531号
【特許文献7】米国特許第6,291,750号
【特許文献8】米国特許第7,385,124号
【特許文献9】米国特許第9,311,903号
【特許文献10】米国特許第7,385,124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
調節可能で折りたたみ可能な肩当ては、当技術分野において周知であるが、調節性およびエルゴノミクスのさらなる改良が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示されているのは、肩係合パッドをブリッジアセンブリに沿って長手方向に調節可能にするために、肩係合パッドを肩当てのブリッジアセンブリに選択的にロックするナックルクローアセンブリを有している新規の肩当てである。
また、ブリッジアセンブリは、外側ブリッジアセンブリ内において内側ブリッジアセンブリを摺動させることにより長手方向に調節可能である。
このようにして、ブリッジアセンブリ沿いの肩係合パッドの位置とブリッジアセンブリの長さを互いに独立して調節可能である。
また、肩当ては、肩係合パッドの角度姿勢または向きを調節するために回転させることができる回転自在に調節可能な肩係合パッドを任意に有することができる。
【0010】
従って、本開示の発明の1つの態様は、第1端部と第2端部とを有しているブリッジアセンブリであって、ブリッジアセンブリの長さを調節するための長さ調節機構を有している、ブリッジアセンブリと、このブリッジアセンブリの長さ調節機構とは独立してブリッジアセンブリに対して肩係合パッドの位置を調節するためのブリッジアセンブリに対して摺動可能に調節可能である肩係合パッドとを有している、ヴァイオリンまたはヴィオラ用の肩当てである。
肩当ては、肩係合パッドをブリッジアセンブリに選択的にロックするためのナックルクローアセンブリをさらに有している。
また、肩当ては、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するためのブリッジアセンブリの第1端部に配置されている第1フォークとヴァイオリンまたはヴィオラを把持するための、ブリッジアセンブリの第2端部に配置されている第2フォークとを有している。
【0011】
本開示の発明の別の態様は、第1端部と第2端部とを有しているブリッジアセンブリであって、第1ブリッジ部とブリッジアセンブリの長さを調節するために第1ブリッジ部に対して摺動可能である第2ブリッジ部とを備えているブリッジアセンブリと、ブリッジアセンブリに対して肩係合パッドの位置を調節するためのブリッジアセンブリに対して摺動可能に調節可能である肩係合パッドとを有しているヴァイオリンまたはヴィオラ用の肩当てである。
肩当ては、肩係合パッドを前記ブリッジに選択的にロックするためのナックルクローアセンブリ、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するためのブリッジアセンブリの第1端部に配置されている第1フォークと、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するためのブリッジアセンブリの第2端部に配置されている第2フォークとを有している。
肩係合パッドは、ブリッジアセンブリに対して肩係合パッドの角度を調節するために、ブリッジアセンブリの周りを回転可能である。
【0012】
上記概要は、本発明の態様を強調するために提供され、本発明の全ての態様の網羅的または限定的な定義となることは意図していない。
他の本発明の態様を発明の詳細な説明および図面において開示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本技術のさらなる特徴は、添付の図面と発明の詳細な説明から明らかになる。
【0014】
【
図1】ブリッジビーム上を摺動するための形状を有しているビーム係合部を有しているブロックに取り付けられている肩係合パッドを有している肩当ての等角図である。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【
図7】ブリッジビームの溝部内に配置されているアーム運搬台と連結している各々のアームに取り付けられている第1肩係合パッドおよび第2肩係合パッドを有している肩当ての等角図である。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【
図15】下側部の2つの分解された部品の端面図である。
【0029】
【
図16】上側部の2つの分解された部品の側面図である。
【0030】
【
図17】1つの実施形態による自由形状のメッシュの平面図である。
【0031】
【
図18】別の実施形態によるブリッジビームに対してオフセットしているように取り付けられている自由形状のメッシュの図である。
【0032】
【
図19】本発明の別の実施形態による肩当ての等角図である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【
図30】
図19のブリッジブロックアセンブリの等角図である。
【0044】
【
図31】
図19のブリッジブロックアセンブリの分解図である。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【
図37】別の実施形態による肩係合パッドを移動させるためのナックルクローアセンブリを有している肩当ての等角図である。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【
図45】直立姿勢の肩係合パッドを示している肩当ての断面図である。
【0059】
【
図46】角度付けされた姿勢の肩係合パッドを示している肩当ての断面図である。
【0060】
なお、添付の図面を通して、同様の特徴は、同様の参照符号により同定されている。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1~
図6は、本発明の実施形態によるヴァイオリンまたはヴィオラ用の調節可能な肩当てを示している。
図1~
図6に示す肩当ては、ブリッジビームに対して摺動するようにブリッジビームから機械的に連結解除される肩係合パッドを有している。
肩係合パッドは、ブリッジビーム上を摺動するための形状を有しているビーム係合部を有しているブロック(本明細書ではブリッジブロックまたはブリッジブロックアセンブリとも称される)に取り付けることができる。
【0062】
図1~
図6に示す参照符号10により示される肩当ては、ブリッジビーム12と肩係合パッド14を含んでいる。
そして、このブリッジビーム12は、第1端部16と第2端部18を有している。
また、肩係合パッド14は、楽器対向側と、演奏者がヴァイオリンまたはヴィオラを演奏している間に演奏者の肩に当接する肩係合側とを有している。
第1対の歯部、叉部または指部を有している第1足部20(本明細書では、フォークまたはフォーク状クランプ部とも称される)は、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するために、ブリッジビーム12の第1端部16に配置される。
第2対の歯部、叉部または指部を有している第2足部22(または、フォークまたはフォーク状クランプ部)は、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するために、ブリッジビーム12の第2端部18に配置される。
そして、これらの第1足部20および第2足部22は、ブリッジビーム12に対して回転可能であってよい。
第1足部20は、第1軸部20a、例えば、円筒状シャフトを有し、この第1軸部20aは、ブリッジビーム12に形成されている第1の対応するサイズの孔部またはソケット部に回転自在に嵌合する。
第2足部22は、第2軸部22a、例えば、円筒状シャフトを有し、この第2軸部22aは、ブリッジビーム12に形成されている第2の対応するサイズの孔部またはソケット部に回転自在に嵌合する。
このようにして、第1足部20,第2足部22の各々の第1軸部20a,第2軸部22aにより、第1足部20,第2足部22がブリッジビーム12に対して回転可能となり、これにより、調節性が得られる。
【0063】
図1~
図6に示す肩当て10のブリッジビーム12は、このブリッジビーム12から伸長して第2端部18を定義する、伸長可能なフットビーム24をさらに有している。
このフットビーム24は、図示のようなラチェット部26を有しているが、別の機能的に均等な機構により置換されてもよい。
そして、肩当て10は、ラチェットと組み合うためのラチェットリング28をさらに備えている。
このラチェットリング28は、ラチェットを外すように圧搾可能である。
また、このラチェットリング28は、演奏者の指により圧縮されると変形する薄肉で楕円状のカラーであってよい。
この実施形態において、ラチェットリング取り付け部29がラチェットリング28を取り付けるために設けられている。
【0064】
別の実施形態において、ラチェットリング28は、ラチェットの特徴と噛み合うためだけでなく、戻しバネを提供する手段としての歯部を提供する。
ラチェットの特徴は、ラチェットリング28とは別体である。
そして、ラチェット歯部が、ラチェットの特徴と噛み合う一方で、ラチェットリング28は、ラチェットの特徴を同時に付勢するバネの力を提供している。
【0065】
図示のブリッジビーム12は、楕円状の中空ビームである。
そして、このブリッジビーム12は、ヴァイオリンまたはヴィオラの演奏時に演奏者が加える一般的な力とトルクによる大きな曲げまたはねじりに抵抗するように、好適な剛性を有する材料から形成されている。
また、ヴァイオリンまたはヴィオラに取り付けられている際の肩当ての音響特性は、ヴァイオリンまたはヴィオラが生成する音への悪影響がないように構成されている。
中空のブリッジビーム12は、フットビーム24を後退させることができる空洞を提供している。
変形例において、ブリッジビーム12は、フットビーム24を収容するための中空の部分または空洞を一方の端部にのみ有する、部分的な中実であってもよい。
さらなる変形例において、ブリッジビーム12は、中実であってよく、この場合、フットビーム24は、ブリッジビーム12の外面上を摺動する筒状の構造体であってよい。
ブリッジビーム12は、筒状である必要はない。
さらなる変形例において、ブリッジビーム12は、別の断面形状、例えば、U字形状を有してよい。
【0066】
肩係合パッド14は、ブリッジビーム12と連結するためのパッドスロット調節ブラケット31aを有しているか、または、このパッドスロット調節ブラケット31aと連結しているブロック31を介して取り付けられている。
図示のブロック31は、凹状に輪郭形成されたビーム係合部を定義しているクロー32を有しており、このクロー32は、ブリッジビーム12上を摺動するための形状を有している。
【0067】
肩当て10は、ブロック31をブリッジビーム12に対してロックするラッチ30をさらに有することができる。
このようにして、肩係合パッド14とブロック31をブリッジビーム12に対して並進させることにより肩係合パッド14を調節することができる。
この実施形態において、設定手順中、ブロック31の下側部は、ブリッジビーム12に固定されている。
ブロック31の上側部は、クイックディスコネクト機構を有している。
別の実施形態において、サムスクリューを用いてブロック31をブリッジビーム12に固定してよい。
別の実施形態において、異なる高さのブロック31をブリッジビーム12に交互に取り付けることにより、肩係合パッド14をブリッジビーム12に対して様々な高さに設けることができる。
【0068】
肩当て10のブロック31は、ブリッジビーム12に対する肩係合パッド14の摺動を可能にするためにブロック31をブリッジビーム12から外すためのクイックディスコネクト機構も有してよい。
そして、このブロッククイックディスコネクト機構は、ブリッジビーム12と係合するための凹状に輪郭形成されたクロー32を備えている。
さらに、このクロー32は、ブリッジビーム12の楕円形状と一致する形状を有している。
クイックコネクト機構については、さらに後述する。
【0069】
また、ブロック31は、ブリッジビームに対して角度付けされてよく、これにより、肩係合パッド14を、ブリッジビーム12に対して、従って、足部に対しておよび肩当て10が取り付けられているヴァイオリンまたはヴィオラに対して、角度付けする。
例えば、肩係合パッド14は、僅かな角度を付けてブロック31に入り込む部分を有している。
このブロック31の角度は、変化させることができ、好適な機構を設けてブリッジビーム12に対するブロック31の角度を調節することができる。
【0070】
図1~
図6の肩当て10は、複数の肩順応形状へと非弾性的に変形することができる、自由形状の非弾性変形可能材料を含んでいる。
1つの例は、自由形状のメッシュである。
この自由形状の非弾性変形可能材料は、肩係合パッド14の一部であってよく、または、肩係合パッド14に取り付けられてよい。
本明細書の目的に鑑みて、「非弾性変形可能」という表現は、自由形状の非弾性変形可能材料は、自由形状の非弾性変形可能材料が解放された後に変形した形状のままであるように、自由形状の非弾性変形可能材料を曲げることまたはねじることにより、手動で変形させることができることを意味している。
自由形状の非弾性変形可能材料は、演奏者の肩に順応するような形状を有することができる。
【0071】
図7~
図12は、本発明の別の実施形態によるヴァイオリンまたはヴィオラ用の調節可能な肩当て10を示している。
図7~
図12に示す実施形態において、肩当て10は、モジュラーパッド、つまり、例えば、ブリッジビーム12の溝部内に配置されている、ブリッジビーム12に対して移動可能な1つのアーム運搬台または各々のアーム運搬台と連結している各々のアームに取り付けられている第1肩係合パッド40および第2肩係合パッド50を有している。
【0072】
2つのモジュラーパッドは、互いに独立して移動可能であり、足部の高さを変更させることなく高さ調節性を提供し、これにより、ブリッジビーム12が、取り付けられているヴァイオリンまたはヴィオラの可能な限り近くに維持される。
このモジュラー構成により、ヴァイオリンまたはヴィオラおよび演奏者の肩の両者との接触が最小限となる。
第1肩係合パッド40は、ブリッジビーム12の溝部内に配置されているアーム運搬台と連結している第1アーム42に取り付けられており、第2肩係合パッド50は、アーム運搬台と連結している第2アーム52に取り付けられている。
別の実施形態において、第1肩係合パッド40は、ブリッジビーム12に対して並進する第1アーム運搬台と連結している第1アーム42に取り付けられており、第2肩係合パッド50は、第1アーム運搬台とは独立してブリッジビーム12に対して並進する第2アーム運搬台と連結している第2アームに取り付けられている。
【0073】
第1アーム42および第2アーム52は、互いに独立して調節可能な第1角度および第2角度を定義することができる。
第1アーム42および第2アーム52は、第1肩係合パッド40および第2肩係合パッド50を各々支持する第1蝶番および第2蝶番に枢動自在に取り付けられていてよい。
第1アーム42および第2アーム52は、互いに独立して高さ調節可能である。
このようにして、モジュラー構成は、先行技術の肩当てでは実現することができない調節度を提供する。
【0074】
図7~
図12に示す肩当て10は、ブリッジビーム12を有している。
上述のように、ブリッジビーム12は、ブリッジビーム12内から伸長可能であり第2端部18を定義するフットビーム24を有している。
第1足部20は、ブリッジビーム12の第1端部16に配置されている一方、第2足部22は、(フットビーム24上の)第2端部18に配置されている。
図1~
図6の実施形態の場合のように、
図7~
図12の実施形態においてフットビーム24は、圧搾可能なラチェットリングと組み合うラチェットも備えている。
【0075】
図7~
図12に示す肩当て10は、ブリッジビーム12の溝部46内に配置されているアーム運搬台44と連結している第1アーム42に取り付けられている第1肩係合パッド40を有している。
また、肩当て10は、アーム運搬台44と連結している第2アーム52に取り付けられている第2肩係合パッド50も有している。
【0076】
図7~
図12に示す第2アーム52は、第1アーム42よりも長い。
変形例において、第1アーム42および第2アーム52は、同じ長さを有してよい。
さらなる変形例において、第1アーム42は、第2アーム52よりも長くてよい。
【0077】
図7~
図12に示す第2肩係合パッド50は、第1肩係合パッド40よりも長い。
変形例において、第1肩係合パッド40および第2肩係合パッド50は、同じサイズである。
さらなる変形例において、第1肩係合パッド40は、第2肩係合パッド50よりも長い。
【0078】
図7~
図12に示す第1アーム42および第2アーム52は、角度付けされたアームである。
各角度付けされたアームは、近位アーム部と遠位アーム部を特徴としている。
近位アーム部の方が肩係合パッドに近く、遠位アーム部の方が肩係合パッドから遠く、つまり、ブリッジビーム12に近い。
このようにして、第1アーム42は、第1近位アーム部42aと第1遠位アーム部42bを特徴としている。
同様に、第2アーム52は、第2近位アーム部52aと第2遠位アーム部52bを特徴としている。
図示の実施形態において、第1近位アーム部42aと第1遠位アーム部42bは、第1鈍角を定義している。
同様に、第2近位アーム部52aと第2遠位アーム部52bは、第2鈍角を定義している。
図示の第1鈍角と第2鈍角は、互いに異なる角度である。
【0079】
図7~
図12に示す第1肩係合パッド40は、第1パッドヒンジ60に取り付けられており、その一方、この第1パッドヒンジ60は、第1アーム42の近位端部と枢動自在に連結している。
同様に、第2肩係合パッド50は、第2パッドヒンジ70に取り付けられており、その一方、この第2パッドヒンジ70は、第2アーム52の近位端部と枢動自在に連結している。
【0080】
図13~
図16は、本明細書に記載の、特に、
図1~
図6に示す肩当て10に用いることができるクイックリリース機構を示している。
図13~
図16に示すクイックリリース機構は、上側部80と、上述したクロー32を定義するように輪郭形成された部分を有している下側部82とを有している。
そして、このクイックリリース機構は、対のボタン84と、ボタン84間に配置されている対の平行圧縮バネ86とを有している。
下側部82は、2つの上方突起フック88を有し、これら上方突起フック88は、上側部80に形成されている2つの離間した全体的に矩形状のスロット90と嵌合する。
同様の形状とサイズのスロット92も、2つのボタンを上方突起フック88と連結するために、2つのボタン84の各々に形成されている。
そして、ボタン84を圧縮することにより圧縮バネを圧縮し、この圧縮により下側部は、変形し、ブリッジビーム12に対する把持圧を解放する。
ブリッジビーム12に沿って肩係合パッド14がその新しい位置へと摺動すると、ボタン84は、解放され、下側部は、その元の姿勢(元の形状)に復帰し、これにより、ブリッジビーム12に対してその把持圧を加え、肩係合パッド14は、この新しい位置で保持されることになる。
【0081】
図17は、自由形状の非弾性変形可能材料の一例としての自由形状のメッシュの平面図である。
自由形状のメッシュ100は、本図に示すように構成することができる。
図17に示す自由形状のメッシュ100は、バックボーン102、支持部またはフレーム部102と接続している。
この実施形態において、足部20,足部22は、バックボーン102に取り付けられている。
ここでは、快適性のために、自由形状のメッシュ100は、肩係合パッド14またはクッションで被覆されている。
自由形状のメッシュは、変形性を実現するための単層の金属を有している。
別の実施形態において、変化する複数軸の変形度を実現するために、様々な材料および/または様々な材料厚さおよび/または様々な穿孔パターンの複数層が設けられている。
このようにして、自由形状のメッシュは、長手および短手方向に可撓であるように構成することができる。
これにより、肩当て10を様々な形状、例えば、波状、ねじれ状、フック状、エッジ波状等に曲げることが可能になる。
【0082】
図18は、ブリッジビーム12に対してオフセットしているように取り付けられている自由形状のメッシュ100およびバックボーン102の図である。
そして、このバックボーン102は、自由形状のメッシュ100がブリッジビーム12に対して横方向にオフセットしているように、オフセットブラケット104に取り付けられている。
【0083】
図19~
図36は、本発明の別の実施形態による肩当て10を示している。
図19~
図25は、このさらなる実施形態の肩当て10全体を示している一方、
図26~
図29は、肩係合パッド14を分離して示し、
図30~
図31は、ブリッジブロック131を分離して示し、
図32~
図36は、フォーク(足部)のうちの1つのフォーク20を示している。
【0084】
図19~
図36に示す肩当て10は、この肩係合パッド14とフォーク20,22を支持する剛性を有する支持構造体を定義している細長状のブリッジビーム12を有している。
図19~
図25に示すブリッジビーム12は、(
図21の側面視では)僅かに湾曲しており、上面視または底面視では、略一直線である(
図24参照)。
このブリッジビーム12は、その長さの大部分にわたって全体的に一様な断面、つまり、短手方向輪郭を有している一方で、その丸みを帯びた各第1端部16,第2端部18に向かって先細りである。
ブリッジビーム12は、本明細書で説明されている本発明の特徴に適応するための他の形状および幾何を有することができる。
図19~
図25に示すフォーク20,22は、ブリッジビーム12の第1端部16,第2端部18に回転自在に取り付けられている。
フォーク20,22は、ヴァイオリンまたはヴィオラのパフリング(飾りべり)を把持するために鉤形に曲げられているかまたは丸み付けされている歯部、叉部または指部を有している。
【0085】
図19~
図20に示すブリッジビーム12は、長さを調節可能である。
ブリッジビーム12は、様々なサイズのヴァイオリンまたはヴィオラに適応するようにフォーク20,22間の距離を調節する長さ調節機構、例えば、ラチェット機構を有している。
そして、ブリッジビーム12は、このブリッジビーム12の外側ブリッジ内から拡張可能である伸長可能なフットビーム24(本明細書では、内側ブリッジとも称される)を有している。
このようにして、内側ブリッジは、外側ブリッジ内にこれに対応する形状を有しているボアまたは道管の内側を摺動または並進するための形状を有している。
伸長可能なフットビーム24(内側ブリッジ)は、特定のヴァイオリンまたはヴィオラに合わせてブリッジビーム12の長さを調節するために伸縮することができる。
伸長可能なフットビーム24は、
図19~
図20に示すラチェット機構110によりロックされる。
ラチェット機構110は、内側ブリッジの2つの対向する側の歯部と、内側ブリッジのこれらの歯部と係合する対のラチェットラッチ112のこれに対応する歯部とにより定義されている。
ラチェットラッチ112は、ラチェットカバー114によりブリッジビーム12の外側ブリッジに取り付けられている。
肩当て10は、ラチェット機構110を動作することにより長さ調節可能である。
フォーク20,22は、ラチェット機構110を閉じて、ヴァイオリンまたはヴィオラのパフリングをクランプすることにより、フォーク20,22をヴァイオリンまたはヴィオラにロックする。
ラチェットラッチ112を押し込めることにより、ラチェットラッチ112の歯部は、内側ブリッジの両側のこれに対応する形状とサイズの歯部から外れ、ラチェット機構110は、解放または外される。
その際、フォーク20,22を引き離して、肩当て10をヴァイオリンまたはヴィオラから外すことができる。
【0086】
図19~
図25に示す肩当て10は、ブリッジビーム12上を摺動することができるブリッジブロック131に取り付けられている肩係合パッド14(略して「パッド」)を有しており、このブリッジブロック131によって、肩係合パッド14をブリッジビーム12に沿って任意の好適な位置でブリッジビーム12に固定することが可能になる。
言い換えれば、ブリッジビーム12に対する肩係合パッド14の調節性は、ヴァイオリンまたはヴィオラに対するブリッジビーム12の調節性とは分離されている。
肩係合パッド14は、ブリッジビーム12がヴァイオリンまたはヴィオラに取り付けられたままの状態でブリッジビーム12から取り外して、別の楽器上の別のブリッジビーム12に取り付けることもできる。
従って、この肩当て10の構成は、モジュールとなっており、これにより、演奏家は、肩係合パッド14をブリッジビーム12から取り外して、様々な肩係合パッド14を様々なブリッジビーム12と混ぜ合わせて組み合わせることが可能になり、肩当て10の外観または構成をパーソナライズまたはカスタマイズすることができる。
様々な形状および/または様々なサイズのブリッジブロック131を設けることができ、これにより、ヴァイオリン奏者またはヴィオラ奏者は、ブリッジビーム12に対して肩係合パッド14の高さおよび/または角度を調節することが可能になり、最も快適な演奏姿勢を実現することができる。
【0087】
肩係合パッド14の詳細は、
図26~
図29に示されている。
この肩係合パッド14は、可鍛性のコア14aとコア14aにより支持されるクッション部14bから構成されている。
可鍛性のコア14aは、複数の肩順応形状へと非弾性的に変形することができる、自由形状の非弾性変形可能材料から形成されている。
クッション部は、泡、スエード、皮革、ゲル、演奏家の肩に快適である任意の他の好適な材料、またはこれら材料の組み合わせから形成することができる。
図26~
図29に示す肩係合パッド14は、この肩係合パッド14をブリッジブロックに取り付けることを可能にする取り付け部を有している。
この取り付け部は、スクリュープレート14c、パッドアダプタ14d、および、対のスクリュー14eから構成されている。
この具体例の代わりに別の好適な取り付け機構を用いることもできる。
この実施形態において、パッドアダプタ14dは、ブリッジブロック131の上面部に取り付けるための形状とサイズを有している。
具体的には、パッドアダプタ14dの下側は、ブリッジブロック131の上面部の形状に対して補完的な形状を有しており、これにより、パッドアダプタ14dは、ヴァイオリンまたはヴィオラの演奏中にブリッジブロック131にかかる主な力に略垂直な方向に摺動することにより、演奏中に緩まないようにブリッジブロック131の上面部と滑合することが可能になる。
このパッドアダプタ14dは、完全に嵌合すると大きい摩擦力を生じさせる先細りの組み合い部である重なり合うエッジまたはレールを用いて、ブリッジブロック131の上面部と組み合う。
【0088】
ブリッジブロック131の詳細は、
図30~
図31に示されている。
ブリッジブロック131は、
図1~
図6のブリッジブロック31の変形である。
このブリッジブロック131は、ブリッジブロック131の上面部の平らな面131aを有している。
さらに、このブリッジブロック131は、ブリッジブロックラッチ132、クランプブロック133、ナット134、ラッチピン135、クランプスクリュー136、対のラッチバネ137、および対のクランプブロックバネ138を有している。
ブリッジブロックラッチ132とラッチバネ137は押し込められると、アダプタパッドをブリッジブロック131から解除する。
クランプスクリュー136、角度付けされた面133aを有しているクランプブロック133、ナット134、およびクランプブロックバネ138を用いて、ブリッジビーム12に沿って所望の位置でブリッジブロック131をブリッジビームに固定またはロックする。
クランプスクリュー136は、手動でまたはスクリュードライバを用いて、締められ、緩められる。
クランプスクリュー136は、ブリッジビーム12およびブリッジブロック131の摺動方向に合わせて整列配置されている。
クランプスクリュー136は、締められると、クランプブロック133を傾斜した内部面に引き込み、このようにして、クランプブロック133に下向きの力を加え、クランプブロック133をブリッジビーム12に押圧する。
これにより、ブリッジブロック131が持ち上がり、ブリッジブロック131のフック139をブリッジビーム12と係合させる。
ブリッジブロック131がクランプしていないときは、フック139により、ブリッジビーム12に対するブリッジブロック131の摺動可能な取り付けが維持される。
クランプスクリュー136を締めることにより、ブリッジブロック131は、ブリッジビーム12に沿って所望の位置でブリッジビーム12に対してクランプする。
ブリッジブロック131をブリッジビーム12から緩めるためには、クランプスクリュー136を緩めることになる。
その際、ブリッジブロック131をブリッジビーム12に沿って異なる位置へと摺動させて、その新しい位置で再びクランプすることができる。
この機構により、ブリッジビーム12に沿って極めて細かい調節性が実現される。
【0089】
フォーク20,22の詳細は、
図32~
図36に示されている。
これらのフォーク20,22(足部)のうちの1つのみがこれらの図に示されている。
フォーク20は、図示のように非対称である。
軸部20aから第1指部20bまでの距離は、軸部20aから第2指部20cまでの距離とは異なっている。
各指部は、ヴァイオリンまたはヴィオラのパフリングを把持するための湾曲または丸みを帯びたフック20dを定義している。
指部20b,20cは、互いに対して平行でも垂直でもないように、互いに対して斜めに角度付けされている(
図36の角度θ)。
回転軸を定義しているフォーク20の軸部20aは、指部20b,20c間に延在する仮想線20fからはオフセット距離20eだけオフセットしている。
別のタイプの非対称なフォークは、本出願人の以前の特許文献10に開示されている。
本明細書を通して「足部」および「フォーク」という用語は、同義的に用いられていると理解すべきである。
【0090】
図37~
図46は、別の実施形態による肩係合パッド14を移動させるためのナックルクローアセンブリ220を有している肩当て10を示している。
図37~
図46に示す肩当て10は、第1端部と第2端部とを有しているブリッジアセンブリ212,214を有している。
そして、ブリッジアセンブリ212,214は、ブリッジアセンブリ212,214の長さを調節するための長さ調節機構(例えば、テレスコピックまたは摺動機構)を有している。
肩当て10は、ブリッジアセンブリ212,214の長さ調節機構とは独立してこれらのブリッジアセンブリ212,214に対して肩係合パッド14の位置を調節するための、ブリッジアセンブリ212,214に対して摺動可能に調節可能である肩係合パッド14を有している。
肩当て10は、肩係合パッド14をブリッジアセンブリ212,214に選択的にロックするためのナックルクローアセンブリ220をさらに有している。
また、肩当て10は、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するためのブリッジアセンブリ212,214の第1端部に配置されている第1フォーク20と、ヴァイオリンまたはヴィオラを把持するためのブリッジアセンブリ212,214の第2端部に配置されている第2フォーク22とを有している。
【0091】
図37~
図46に示すナックルクローアセンブリ220は、肩係合パッド14をブリッジアセンブリ212,214に選択的にロックするためのレバー222およびロックカム223を備えている。
図示のレバー222は、ブリッジアセンブリ212,214の長軸に垂直な回転軸を中心に回転するように構成されている。
ロック機構は、別の方向に回転するレバー222を用いて、または、レバー222とロックカム223を有していない別のタイプのロック機構を用いても構成することができると理解されるべきである。
【0092】
図37~
図46に示すブリッジアセンブリ212,214は、外側ブリッジアセンブリ212と、外側ブリッジアセンブリ212内を摺動する内側ブリッジアセンブリ214とを備えている。
テレスコピックまたは摺動動作を可能にするために、外側ブリッジアセンブリ212と内側ブリッジアセンブリ214は、同様の断面輪郭を有している。
【0093】
図37~
図46に示すブリッジアセンブリ212,214は、内側ブリッジアセンブリ214に対して外側ブリッジアセンブリ212を選択的にロックするためのラチェットラッチ230を備えている。
図示のナックルクローアセンブリ220は、外側ブリッジアセンブリ212上を摺動する。
滑らかな摺動動作を可能にするために、ナックルクローアセンブリ220のブリッジ接触部の形状は、外側ブリッジアセンブリ212の形状と一致している。
【0094】
図37~
図46に示す肩係合パッド14は、バッキングプレート15を備えている。
バッキングプレート15は、肩係合パッド14内に埋設されているかまたは少なくとも部分的に肩係合パッド14内に埋設されている金属インサートであってよい。
バッキングプレート15は、ネジ付き締結具を受け入れるためのネジ付き孔部を有してよい。
この肩当て10は、ナックルアダプタ224を有しており、このナックルアダプタ224は、バッキングプレート15に締結されており、これにより、ナックルクローアセンブリ220を肩係合パッド14に取り付けている。
言い換えれば、ナックルアダプタ224は、肩係合パッド14のバッキングプレート15とナックルクローアセンブリ220との間で挟まれている。
【0095】
図37~
図46に示すナックルアダプタ224は、ナックルクローアセンブリ220に対して回転可能である(従って、ブリッジアセンブリ212,214に対しても回転可能である)ことにより、ブリッジアセンブリ212,214に対して肩係合パッド14の角度を調節する。
特定の実施形態において、ナックルアダプタ224は、ナックルクローアセンブリ220に対して回転可能であることにより、ナックルクローアセンブリ220およびブリッジアセンブリ212,214に対して肩係合パッド14の角度を調節する。
このナックルクローアセンブリ220は、ナックルクローと、2穴ワッシャ226と、ナックルクローをナックルアダプタ224に選択的に締結して肩係合パッド14の角度を調節することを可能にする対の締結具228とを備えている。
このナックルクローアセンブリ220は、肩係合パッド14をブリッジアセンブリ212,214に選択的にロックするためのロックカム223およびレバー222を備えている。
【0096】
ナックルクローアセンブリ220およびナックルアダプタ224は、相対回転を可能にする互いに一致する弧または輪郭を有している。
ナックルクローアセンブリ220およびナックルアダプタ224は、締結具228が締められるとナックルクローアセンブリ220をナックルアダプタ224にロックするための互いに一致する組み合い歯部240を任意に有することができる。
角度を調節するために、ユーザは、締結具228を緩めて、ブリッジアセンブリ212,214に対する肩係合パッド14の回転を可能にする。
所望の角度が設定されると、ユーザは、締結具228を締めて、肩係合パッド14をその状態で固定する。、
2つの締結具228が図示されているが、変形例において1つの締結具または3つ以上の締結具を用いることができる。
ゴムパッド245を
図44に示すように設け、多少の許容誤差を吸収し、成形合成樹脂パーツの間に摩擦がさらに大きい面を提供することができる。
外側ブリッジアセンブリ212とロックカム223との間の干渉を大きくすることにより、ナックルクローアセンブリ220は、引き下げられ、ゴム材を圧縮し、パーツ間の摩擦を大きくすることにより、互いに対する移動を防止する。
図44に示すナックルクローアセンブリ220は、ロックカム223の反対側にフック229を有している。
レバーとロックカム223を動かすと、ロックカム223とフック229は、外側ブリッジアセンブリ212のへり(または、横方向の拡張部)227と係合することにより、ナックルクローアセンブリ220を外側ブリッジアセンブリ212にクランプする。
【0097】
図45~
図46は、ナックルクローアセンブリ220に対するナックルアダプタ224の角度調節性を示している。
肩係合パッド14は、これら2つの図中には示されていないが、ナックルアダプタ224が回転すると肩係合パッド14が回転するように、締結具228は、ナックルアダプタ224を肩係合パッド14に連結している。
同様に、ブリッジアセンブリ212,214は、これらの図中に示されていないが、ナックルクローアセンブリ220は、ブリッジアセンブリ212,214に取り付けられている。
図45の締結具228は、直立している(つまり、0°の角度に設定されている)。
図46に示す20°の角度は、締結具228が調節された角度に位置していることを示す一例に過ぎない。
角度調節機構は、様々な角度範囲に適応するように構成することができる。
また、
図46は、ユーザが不注意からパーツを180°位置を外れて組み立てることがないように設けられている突起ヨーク部250(つまり、ナックルクローアセンブリ220から延在している突起)を示している。
任意で、肩当て10に異なる高さを有している複数の異なるサイズのナックルアダプタ224を設けることができる。
その場合、ユーザは、複数の異なるサイズのナックルアダプタ224のうちの1つを用いて肩当て10を組み立てることができ、肩係合パッド14の快適な高さを設定することができる。
【0098】
本明細書を解釈するため、本発明の様々な実施形態の部材について言及している場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つまたは複数のこれら部材が存在することを意味することが意図されている。
「comprising(備える)」、「including(含む)」、「having(有する)」、「entailing(伴う)」、「involving(伴う)」の用語とそれらの動詞の時制の異形は、包括的であり制限がないことが意図されており、これにより、列挙されている部材以外に追加の部材が存在する可能性があることを意味している。
【0099】
上述した本発明の実施形態は、例示に過ぎないことが意図されている。
本明細書の対象である当業者には理解されるように、本明細書に開示されている本発明の1つまたは複数の概念から逸脱することなく、本明細書に提示されている実施形態に対して多数の自明な変形、修正および洗練が可能である。
従って、本出願人が求める排他的権利の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている。
【外国語明細書】