(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144361
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】レーザー加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20241003BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20241003BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/08 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052443
(22)【出願日】2024-03-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2023054307
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000238946
【氏名又は名称】株式会社エイチアンドエフ
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】藤井 章一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 一行
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA02
4E168AD07
4E168CB03
4E168CB07
4E168DA26
4E168FC01
4E168FC07
4E168JA02
4E168JA03
4E168JA05
4E168JA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーザー加工により、板材に対し、比較的高速でレーザー加工を行うことができ、且つ、落下させるスクラップのサイズに応じてレーザー加工領域の搬送方向における距離を調整することが可能なレーザー加工装置を提供する。
【解決手段】第1コンベア1及び第2コンベア2と、板材Xにレーザー加工を行うためのレーザヘッドHを備え、第1コンベア1が、第1無端ベルト10と第1案内ロール11と第1たるみ防止ロール12と第1支持板B1と第1直動機構14を有し、第2コンベア2が、第2無端ベルト20と第2案内ロール21と第2たるみ防止ロール22と第2支持板B2と第2直動機構24を有し、第1直動機構14と第2直動機構24が、独立に駆動可能となっており、第1支持板B1及び第2支持板B2を同じ方向且つ同じ速度で移動させないことにより、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離が可変となっているレーザー加工装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を所定の搬送方向に搬送させながら、レーザーヘッドから照射されるレーザー光で該板材を加工して加工材とし、該加工材を前記搬送方向に搬送するレーザー加工装置であって、
直列に配置された第1コンベア及び第2コンベアと、
前記第1コンベアと前記第2コンベアとの間の空間であるレーザー加工領域の上方に配置され、前記板材にレーザー加工を行うためのレーザーヘッドと、
を備え、
前記第1コンベアが、少なくとも、
前記板材を搬送するための第1無端ベルトと、
該第1無端ベルトを案内するため該第1無端ベルトの内面に接し、上流側に配置された第1前案内ロール及び下流側に配置された第1後案内ロールを有する第1案内ロールと、
前記第1無端ベルトのたるみを防止するための第1たるみ防止ロールと、
前記第1後案内ロール及び前記第1たるみ防止ロールが支持された第1支持板と、
該第1支持板を前記搬送方向に往復移動させるための第1直動機構と、
を有し、
前記第2コンベアが、少なくとも、
前記加工材を搬送するための第2無端ベルトと、
該第2無端ベルトを案内するため該第2無端ベルトの内面に接し、上流側に配置された第2前案内ロール及び下流側に配置された第2後案内ロールを有する第2案内ロールと、
前記第2無端ベルトのたるみを防止するための第2たるみ防止ロールと、
前記第2前案内ロール及び前記第2たるみ防止ロールが支持された第2支持板と、
該第2支持板を前記搬送方向に往復移動させるための第2直動機構と、
を有し、
前記第1前案内ロール及び前記第2後案内ロールが外フレームに固定されており、
前記第1直動機構と前記第2直動機構とが、それぞれ独立に、駆動可能となっており、
前記第1支持板及び前記第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させることにより、前記レーザー加工領域の前記搬送方向における距離が一定となって、前記レーザーヘッドの前記搬送方向における移動に追従するものであり、
前記第1支持板及び前記第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させないことにより、前記レーザー加工領域の前記搬送方向における距離が可変となっているレーザー加工装置。
【請求項2】
前記第1直動機構が、前記第1支持板が取り付けられた第1基部と、該第1基部が取り付けられた第1タイミングベルトと、該第1タイミングベルトを前記搬送方向に往復移動させるための第1モータとからなり、
前記第2直動機構が、前記第2支持板が取り付けられた第2基部と、該第2基部が取り付けられた第2タイミングベルトと、該第2タイミングベルトを前記搬送方向に往復移動させるための第2モータとからなる請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
前記第1支持板及び前記第2支持板を案内するためのLMガイドを更に備え、
前記第1基部が、前記第1支持板の前側の下部に取り付けられており、
前記第2基部が、前記第2支持板の後側の下部に取り付けられており、
前記LMガイドが、前記第1支持板の後側の下部、及び、前記第2支持板の前側の下部、にそれぞれ取り付けられたブロックと、両方の該ブロックを案内するためのレール部とからなる請求項2記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
前記第1後案内ロールから下方に案内される第1無端ベルトをカバーする第1カバー部と、
下方から前記第2前案内ロールに案内される第2無端ベルトをカバーする第2カバー部と、
を更に備える請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項5】
前記レーザーヘッドを幅方向に往復移動させるためのX軸レールと、
前記X軸レールを前記搬送方向に往復移動させるためのY軸レールと、
前記レーザー加工領域の下方に配置された回収箱と、
を更に備える請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項6】
前記第1コンベアが、
前記第1無端ベルトの張力を調整するための第1張力調整ロールと、
前記第1無端ベルトの蛇行を抑制するための第1蛇行調整ロールと、
を更に有し、
前記第2コンベアが、
前記第2無端ベルトの張力を調整するための第2張力調整ロールと、
前記第2無端ベルトの蛇行を抑制するための第2蛇行調整ロールと、
を更に有する請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項7】
前記第1案内ロールが、前記第1無端ベルトの内面に接し、前記第1前案内ロールの下方に配置された第1前下案内ロールと、前記第1後案内ロールの下方に配置された第1後下案内ロールと、を更に有し、
前記第1前下案内ロール及び前記第1後下案内ロールが外フレームに固定されており、
前記第1たるみ防止ロールが、前記第1後案内ロールと前記第1後下案内ロールとの間で、前記第1無端ベルトの外面に接しており、
前記第2案内ロールが、前記第2無端ベルトの内面に接し、前記第2前案内ロールの下方に配置された第2前下案内ロールと、前記第2後案内ロールの下方に配置された第2後下案内ロールと、を更に有し、
前記第2前下案内ロール及び前記第2後下案内ロールが外フレームに固定されており、
前記第2たるみ防止ロールが、前記第2前案内ロールと前記第2前下案内ロールとの間で、前記第2無端ベルトの外面に接している請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザー加工装置。
【請求項8】
前記第1後案内ロール、前記第2前案内ロール、前記第1たるみ防止ロール及び前記第2たるみ防止ロールが、何れも、上下方向に一対配置されている請求項7記載のレーザー加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材を所定の搬送方向に搬送させながら、レーザーヘッドから照射されるレーザー光で該板材を加工して加工材とし、該加工材を上記搬送方向に搬送するレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス加工においては、一般に、コイル状に巻かれた長尺状の板材を、順次巻き出し、一定のサイズに切断したブランク材が原材料として用いられる。
かかる板材の切断を、レーザー光を用いたレーザーブランキング装置を用いて行う方法が開発されている。レーザーブランキング装置によれば、レーザー光を用いるため、その動きをプログラム制御することにより、精密に板材を所望の形状に切断することができ、且つバリが発生しにくいという利点がある。
【0003】
このようなレーザーブランキング装置としては、例えば、平板状の板材を搬送させながら、レーザーノズル(レーザーヘッド)から照射されるレーザー光で切断し、ブランク材とするレーザーブランキング装置であって、レーザーノズルと、板材を送るためのエンドレスコンベアと、レーザーノズルの下方に設けられた一対の上流側支持ローラ及び下流側支持ローラと、上流側支持ローラ及び下流側支持ローラの下方に設けられた引込ローラと、を備え、上流側支持ローラ、下流側支持ローラ及び引込ローラがエンドレスコンベアを案内するするものであり、それぞれ独立に、位置変更可能となっているものであるレーザーブランキング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、前側の第1無端ベルト及び後側の第2無端ベルトと、これらを案内する第1前上内側案内ローラ、第1前下内側案内ローラ、第1後上内側案内ローラ、第1後中内側案内ローラ、第1後下内側案内ローラ、第1案内部、第2前上内側案内ローラ、第2前中内側案内ローラ、第2前下内側案内ローラ、第2後上内側案内ローラ、第2後下内側案内ローラ及び第2案内部と、第1無端ベルト及び第2無端ベルトの間の空間部の上方に配設されたレーザーノズル(レーザーヘッド)と、を備え、第1後上内側案内ローラ、第1後中内側案内ローラ、第2前上内側案内ローラ及び第2前中内側案内ローラが一体となったシフト部が、レーザーノズルの真下に位置するように、レーザーノズルの前後方向への移動に追従してスライドし、第1後下内側案内ローラ及び第2前下内側案内ローラが一体となった従動シフト部が、第1無端ベルト及び第2無端ベルトの両側に設けられた前後方向に延びるY軸従動シフトレールに沿ってスライド可能であり、且つ、シフト部のスライドに従動して、シフト部の移動と反対方向に移動するレーザーブランキング装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5916170号公報
【特許文献2】特許第6792728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載のレーザーブランキング装置においては、板材を直線状に切断してブランク材とすることを目的としているため、レーザーヘッドの下方の空間(以下「レーザー加工領域」ともいう。)が比較的狭く設計されている。
このため、例えば、レーザーブランキング装置を用いて、位置決め用ピアス穴形成、中抜き等の加工を行う場合、板材から分離させた所定の形状のスクラップを、レーザー加工領域から落下させることができない場合が生じる。
また、一方で、レーザー加工領域の搬送方向における距離を十分に大きいものとすると、板材によっては撓む恐れがあり、レーザー加工の精度が低下するという欠点がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザー加工により、板材に対し、比較的高速でレーザー加工を行うことができ、且つ、落下させるスクラップのサイズに応じてレーザー加工領域の搬送方向における距離を調整することが可能なレーザー加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、第1コンベア及び第2コンベアと、レーザーヘッドとを備えるものとし、レーザー加工領域を、レーザーヘッドの搬送方向の移動に追従させると共に、レーザー加工領域の搬送方向の距離を可変とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、板材を所定の搬送方向に搬送させながら、レーザーヘッドから照射されるレーザー光で該板材を加工して加工材とし、該加工材を搬送方向に搬送するレーザー加工装置であって、直列に配置された第1コンベア及び第2コンベアと、第1コンベアと第2コンベアとの間の空間であるレーザー加工領域の上方に配置され、板材にレーザー加工を行うためのレーザーヘッドと、を備え、第1コンベアが、少なくとも、板材を搬送するための第1無端ベルトと、該第1無端ベルトを案内するため該第1無端ベルトの内面に接し、上流側に配置された第1前案内ロール及び下流側に配置された第1後案内ロールを有する第1案内ロールと、第1無端ベルトのたるみを防止するための第1たるみ防止ロールと、第1後案内ロール及び第1たるみ防止ロールが支持された第1支持板と、該第1支持板を搬送方向に往復移動させるための第1直動機構と、を有し、第2コンベアが、少なくとも、加工材を搬送するための第2無端ベルトと、該第2無端ベルトを案内するため該第2無端ベルトの内面に接し、上流側に配置された第2前案内ロール及び下流側に配置された第2後案内ロールを有する第2案内ロールと、第2無端ベルトのたるみを防止するための第2たるみ防止ロールと、第2前案内ロール及び第2たるみ防止ロールが支持された第2支持板と、該第2支持板を搬送方向に往復移動させるための第2直動機構と、を有し、第1前案内ロール及び第2後案内ロールが外フレームに固定されており、第1直動機構と第2直動機構とが、それぞれ独立に、駆動可能となっており、第1支持板及び第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させることにより、レーザー加工領域の搬送方向における距離が一定となって、レーザーヘッドの搬送方向における移動に追従するものであり、第1支持板及び第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させないことにより、レーザー加工領域の搬送方向における距離が可変となっているレーザー加工装置である。
【0010】
本発明のレーザー加工装置においては、第1直動機構が、第1支持板が取り付けられた第1基部と、該第1基部が取り付けられた第1タイミングベルトと、該第1タイミングベルトを搬送方向に往復移動させるための第1モータとからなり、第2直動機構が、第2支持板が取り付けられた第2基部と、該第2基部が取り付けられた第2タイミングベルトと、該第2タイミングベルトを搬送方向に往復移動させるための第2モータとからなることが好ましい。
【0011】
このとき、レーザー加工装置においては、第1支持板及び第2支持板を案内するためのLMガイドを更に備え、第1基部が、第1支持板の前側の下部に取り付けられており、第2基部が、第2支持板の後側の下部に取り付けられており、LMガイドが、第1支持板の後側の下部、及び、第2支持板の前側の下部、にそれぞれ取り付けられたブロックと、両方の該ブロックを案内するためのレール部とからなることが好ましい。
【0012】
本発明のレーザー加工装置においては、第1後案内ロールから下方に案内される第1無端ベルトをカバーする第1カバー部と、下方から第2前案内ロールに案内される第2無端ベルトをカバーする第2カバー部と、を更に備えることが好ましい。
【0013】
本発明のレーザー加工装置においては、レーザーヘッドを幅方向に往復移動させるためのX軸レールと、X軸レールを搬送方向に往復移動させるためのY軸レールと、レーザー加工領域の下方に配置された回収箱と、を更に備えることが好ましい。
【0014】
本発明のレーザー加工装置においては、第1コンベアが、第1無端ベルトの張力を調整するための第1張力調整ロールと、第1無端ベルトの蛇行を抑制するための第1蛇行調整ロールと、を更に有し、第2コンベアが、第2無端ベルトの張力を調整するための第2張力調整ロールと、第2無端ベルトの蛇行を抑制するための第2蛇行調整ロールと、を更に有することが好ましい。
【0015】
本発明のレーザー加工装置においては、第1案内ロールが、第1無端ベルトの内面に接し、第1前案内ロールの下方に配置された第1前下案内ロールと、第1後案内ロールの下方に配置された第1後下案内ロールと、を更に有し、第1前下案内ロール及び第1後下案内ロールが外フレームに固定されており、第1たるみ防止ロールが、第1後案内ロールと第1後下案内ロールとの間で、第1無端ベルトの外面に接しており、第2案内ロールが、第2無端ベルトの内面に接し、第2前案内ロールの下方に配置された第2前下案内ロールと、第2後案内ロールの下方に配置された第2後下案内ロールと、を更に有し、第2前下案内ロール及び第2後下案内ロールが外フレームに固定されており、第2たるみ防止ロールが、第2前案内ロールと第2前下案内ロールとの間で、第2無端ベルトの外面に接していることが好ましい。
【0016】
このとき、レーザー加工装置においては、第1後案内ロール、第2前案内ロール、第1たるみ防止ロール及び第2たるみ防止ロールが、何れも、上下方向に一対配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のレーザー加工装置においては、第1コンベア、第2コンベア及びレーザーヘッドを備えているので、搬送される板材に対しレーザー加工が施され、所望の形状に加工された加工材が更に下流側に搬送されることになる。
これにより、板材に対し、連続的にレーザー加工を行うことが可能となる。
【0018】
本発明のレーザー加工装置においては、レーザー加工が、第1コンベア及び第2コンベアの間の空間であるレーザー加工領域で行われるので、第1コンベア及び第2コンベアがレーザーヘッドから照射されるレーザー光により破損することを防止することができる。
また、第1支持板及び第2支持板を例えば同じ方向且つ同じ速度で移動(以下「定常移動」という。)させ、レーザー加工領域をレーザーヘッドの搬送方向における移動に追従させることで、第1コンベア及び第2コンベアの破損を防止することができると共に、レーザーヘッドの可動域が広がるので、板材の搬送速度を向上させることが可能となる。
その結果、レーザー加工装置によれば、比較的高速でレーザー加工を行うことが可能となる。
【0019】
本発明のレーザー加工装置においては、第1支持板及び第2支持板を例えば同じ方向且つ同じ速度で移動させない(以下「非定常移動」という。)ことにより、レーザー加工領域の搬送方向における距離を可変とすることができる。
これにより、スクラップのサイズに応じてレーザー加工領域の搬送方向における距離を調整することで、レーザー加工時にスクラップをレーザー加工領域から落下させることができる。
【0020】
また、レーザーヘッドを搬送方向に移動させながらレーザー加工を行う場合、加工により生じるスパッタが、搬送方向とは逆側に流れ、第1コンベアに集中して付着し、清掃が困難となるという事態が生じ得るが、レーザー加工領域の搬送方向の距離を大きくすることにより、第1コンベアに付着する前に飛翔するスパッタが冷却固化され落下することになるので、第1コンベアへの付着を抑制することができる。
また、レーザー加工領域の搬送方向の距離を広くすることにより、メンテナンスもし易くなる。
【0021】
本発明のレーザー加工装置においては、第1直動機構として、第1タイミングベルトを利用することにより、シンプルな構造でありながら、第1支持板を十分な精度で往復移動させることが可能となる。
同様に、第2直動機構として、第2タイミングベルトを利用することにより、シンプルな構造でありながら、第2支持板を十分な精度で往復移動させることが可能となる。
また、第1直動機構及び第2直動機構のメンテナンスも容易となる。
【0022】
これに加え、レーザー加工装置においては、LMガイドを更に備えることにより、第1支持板の第1直動機構による往復移動、及び、第2支持板の第2直動機構による往復移動、をよりスムーズなものとすることができる。
また、両方のブロックを同じレール部で案内するため、第1支持板及び第2支持板を同じライン上で往復移動させることができ、装置自体もコンパクトとすることができる。
【0023】
本発明のレーザー加工装置においては、第1無端ベルトをカバーする第1カバー部と、第2無端ベルトをカバーする第2カバー部とを更に備えることにより、レーザー加工の際に飛散するスパッタが、無端ベルトに付着することを防止することができる。なお、無端ベルトに付着したスパッタは、板材や加工材を傷付ける恐れがある。
【0024】
本発明のレーザー加工装置においては、レーザーヘッドを往復移動させるためのX軸レール及びY軸レールを備えることにより、シンプルな構成でありながら、あらゆる方向にレーザーヘッドを移動させることが可能となる。
また、レーザー加工装置においては、回収箱を備えることにより、レーザー加工の際に生じるスパッタやスクラップを回収することができる。
【0025】
本発明のレーザー加工装置においては、第1コンベアが、第1張力調整ロール及び第1蛇行調整ロールを更に有する場合、板材の搬送が、高精度で且つ安定したものとなる。
同様に、第2コンベアが、第2張力調整ロール及び第2蛇行調整ロールを更に有する場合、加工材の搬送が、高精度で且つ安定したものとなる。
【0026】
本発明のレーザー加工装置においては、第1支持板に支持された第1たるみ防止ロールを、第1後案内ロールと第1後下案内ロールとの間で、第1無端ベルトの外面に接するものとし、第2支持板に支持された第2たるみ防止ロールを、第2前案内ロールと第2前下案内ロールとの間で、第2無端ベルトの外面に接するものとすることにより、第1たるみ防止ロールと第2たるみ防止ロールとの間に、十分な空間を確保することができる。
このとき、第1後案内ロール、第2前案内ロール、第1たるみ防止ロール及び第2たるみ防止ロールを、何れも、上下方向に一対配置されたものとすることにより、上下方向に十分な空間を確保することができる。
その結果、飛翔するスパッタを十分に冷却固化させることができる。
【0027】
このように、十分な空間を確保することにより、第1無端ベルトや第2無端ベルトに、浮遊するスパッタが付着したり、落下するスクラップが衝突したりすることを抑制することができる。
また、レーザー加工領域の下方に回収箱を設置する場合は、十分な大きさの回収箱とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明に係るレーザー加工装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すレーザー加工装置の搬送部を説明するための概略側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すレーザー加工装置のA-A矢視断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を定常移動させた状態を説明するための斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を非定常移動させた状態を説明するための模式側面図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るレーザー加工装置の搬送部の第2実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すレーザー加工装置の搬送部を説明するための概略側面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を定常移動させた状態を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、
図6に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を非定常移動させた状態を説明するための模式側面図である。
【
図10】
図10は、本発明に係るレーザー加工装置の搬送部の第3実施形態を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に示すレーザー加工装置の搬送部を説明するための概略側面図である。
【
図12】
図12は、
図10に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を非定常移動させた状態を説明するための模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
本明細書において、単に「搬送方向」という場合とは、板材若しくは加工材が搬送される方向を意味する。なお、板材の搬送方向と加工材の搬送方向とは一致している。
また、「搬送方向に往復移動」とは、搬送における正方向である下流側への往路移動と、搬送における負方向である上流側への復路移動とを含む移動を意味する。
また、「前」とは、搬送方向に対し上流側を意味し、「後」とは、板材の搬送方向に対し下流側を意味する。
また、「定常移動」とは、第1支持板及び第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させることを意味し、「非定常移動」とは、第1支持板及び第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させないことを意味し、例えば、第1支持板及び第2支持板を互いに反対方向に移動させること、第1支持板及び第2支持板を互いに異なる速度で移動させること、若しくは、何れか一方のみを移動させること等が含まれる。
また、単に「両側」という場合は、板材の搬送方向に直交する幅方向(左右方向)における両方の側を意味する。
【0031】
本発明に係るレーザー加工装置は、板材に対して、レーザー加工を行い、所望の形状の加工材とするための装置である。
なお、かかるレーザー加工は、板材を削る加工である。すなわち、位置決め用ピアス穴形成、中抜き等のスクラップが生じる切断加工や、板材をブランク材とするため単に直線状に切断するのみの切断加工だけでなく、板材の表面にレーザーで模様を形成する加工も含まれる。
【0032】
ここで、板材の全体の形態としては、特に限定されないが、一般的には、長尺状の板材がコイル状に巻かれた状態となっている。
板材の材質としては、レーザー光で切断可能なものであれば、特に限定されず、鉄、アルミニウム、チタン等の金属、鋼(ハイテン材、超ハイテン材を含む)等の合金、アクリル等の樹脂、木材、これらの複合材等が挙げられる。
また、板材が金属又は合金である場合、板材の厚さは、撓みを抑制し、確実にレーザー光で切断するという観点から、0.1~20mmのものが好ましく用いられ、汎用性の観点から、0.1~5mmのものがより好ましく用いられる。
また、レーザー切断され、搬送された後の加工材を回収する方法は、特に限定されない。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るレーザー加工装置の第1実施形態を示す斜視図である。なお、
図1においては、板材及び加工材の記載を省略している。
図1に示すように、第1実施形態に係るレーザー加工装置100は、板材若しくは加工材を搬送するための搬送部100aと、搬送部100aを跨ぐようにして、搬送部100aの上方に取り付けられたレーザー部100bとを備える。
したがって、第1実施形態に係るレーザー加工装置100においては、搬送部100aにより板材が搬送され、レーザー部100bによりレーザー光の照射(レーザー加工)が行われ、搬送部100aにより加工材が搬送されるようになっている。
レーザー加工装置100は、板材Xに対し、連続的にレーザー加工を行うので、切断効率が高く、生産性に優れるものである。
【0034】
図2は、
図1に示すレーザー加工装置の搬送部を説明するための概略側面図である。なお、
図2においては、レーザーヘッド以外のレーザー部の記載を省略している。
図2示すように、第1実施形態に係るレーザー加工装置100において、搬送部100aは、直列に配置された第1コンベア1及び第2コンベア2と、第1コンベア1と第2コンベア2との間の空間であるレーザー加工領域Rの上方に配置されたレーザーヘッドHと、第1支持板B1及び第2支持板B2を案内するためのLMガイド5と、レーザー加工領域Rの下方に配置された第1カバー部3a、第2カバー部3b及び回収箱3cとを備える。
【0035】
搬送部100aにおいては、板材Xが、第1コンベア1の上面に載って搬送され、板材Xにレーザー加工が施された加工材X1は、第2コンベア2の上面に載って搬送されるようになっている。
また、搬送部100aにおいては、レーザーヘッドHによるレーザー加工がレーザー加工領域Rで行われる。
このとき、レーザー加工装置100においては、後述するように、レーザー加工時のレーザーヘッドHの搬送方向の移動に、レーザー加工領域Rを追従させることが可能となっている。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を、発生するスクラップのサイズに応じて広げることで、スクラップを回収箱3cに落下させることが可能となっている。
【0036】
搬送部100aにおいて、第1コンベア1は、2基が幅方向に並設されている(
図1参照)。
これにより、板材Xの幅方向のサイズが小さい場合に片方の第1コンベア1のみ運転させてレーザー加工を行うことが可能となり、左右の第1コンベア1でそれぞれ異なる板材Xにレーザー加工を行うことも可能となる。
また、板材Xの幅サイズが大きい場合は、左右の第1コンベア1を同期させて用いることが好ましい。
【0037】
ここで、左右の第1コンベア1は、互いに同じ構成となっているので、片方の第1コンベア1を用いてその構成について説明する。
第1コンベア1は、少なくとも、第1無端ベルト10と、第1無端ベルト10を案内するための第1案内ロール11と、第1無端ベルト10のたるみを防止するための第1たるみ防止ロール12と、第1無端ベルト10を駆動するための第1駆動ロール13と、第1無端ベルト10の張力を調整するための第1張力調整ロール16と、第1無端ベルト10の蛇行を抑制するための第1蛇行調整ロール17と、所定のロールが支持された第1支持板B1と、該第1支持板B1を搬送方向に往復移動させるための第1直動機構14と、を有する。
【0038】
第1無端ベルト10は、板材Xを搬送するための側面視環状のベルトであり、材質は特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
また、第1無端ベルト10においては、板材Xと接する側の面(外面)に、溝部(図示しない)が設けられていることが好ましい。
【0039】
第1案内ロール11は、第1無端ベルト10を案内するためのロールである。
第1案内ロール11は、第1無端ベルト10の内面に接し、上流側に配置された第1前案内ロール11aと、第1無端ベルト10の内面に接し、下流側に配置された第1後案内ロール11bと、第1無端ベルト10の内面に接し、第1前案内ロール11aの下方に配置された第1前下案内ロール11cと、第1無端ベルト10の内面に接し、第1後案内ロール11bの下方に配置された第1後下案内ロール11dとを有する。
したがって、第1コンベア1においては、第1無端ベルト10が、第1前案内ロール11a、第1後案内ロール11b、第1後下案内ロール11d、第1前下案内ロール11cの順で案内される。
【0040】
第1案内ロール11において、第1後案内ロール11bは、上下方向に一対配置されている。すなわち、第1後案内ロール11bは、2基が連続するように上下方向に配置されている。
このとき、上側に配置された第1後案内ロール11bに対し、下側に配置された第1後案内ロール11bは、上側の第1後案内ロール11bの真下よりも前方に配置することが好ましい。この場合、これらに案内される第1無端ベルト10は、前方に逃げるように移動することになるので、浮遊するスパッタが第1無端ベルト10に付着することを抑制することができる。
【0041】
第1案内ロール11において、第1前案内ロール11a、第1後下案内ロール11d及び第1前下案内ロール11cは、何れも自転可能な状態で、その両端が第1無端ベルト10の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図1参照)。
なお、外フレームFは、並設されたコンベアのそれぞれの外側と、並設されたコンベアの間と、に位置している。
一方で、一対の第1後案内ロール11bは、自転可能な状態で、その両端が後述する第1支持板B1に支持されている。
【0042】
第1たるみ防止ロール12は、第1後案内ロール11bと共に移動させることで、第1無端ベルト10のたるみを防止するためのロールである。
第1たるみ防止ロール12は、一対の第1後案内ロール11bと第1後下案内ロール11dとの間で第1無端ベルト10の外面に接しており、第1後案内ロール11b及び第1後下案内ロール11bよりも前方(第1無端ベルト10の内側)に配置される。
したがって、第1無端ベルト10は、一対の第1後案内ロール11b及び第1後下案内ロール11dの間で、第1たるみ防止ロール12に案内される。
【0043】
第1たるみ防止ロール12は、上下方向に一対配置されている。すなわち、第1たるみ防止ロール12は、2基が連続するように上下方向に配置されている。なお、下側に配置された第1たるみ防止ロール12は、上側の第1たるみ防止ロール12の真下に配置される。
一対の第1たるみ防止ロール12は、自転可能な状態で、その両端が後述する第1支持板B1に支持されている。
【0044】
第1駆動ロール13は、第1無端ベルト10を駆動させるためのロールである。なお、かかる駆動の方式は、モータを用いる等、公知の方式を適宜採用することができる。
第1駆動ロール13は、第1前下案内ロール11cと第1前案内ロール11aとの間で第1無端ベルト10の内面に接して配置されている。
また、第1駆動ロール13は、自転可能な状態で、その両端が第1無端ベルト10の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図1参照)。
【0045】
第1張力調整ロール16は、第1たるみ防止ロール12により、たるみが防止された第1無端ベルト10の張力を更に調整するためのロールである。第1張力調整ロール16は、上下方向に移動可能となっており、かかる移動により、第1無端ベルト10の張力が調整される。
第1張力調整ロール16は、第1前下案内ロール11cと第1駆動ロール13の間で第1無端ベルト10の外面に接して配置されている。
また、第1張力調整ロール16は、自転可能な状態で、その両端が第1無端ベルト10の両側に位置する外フレームFに上下移動可能となるように取り付け支持されている。
【0046】
第1蛇行調整ロール17は、第1無端ベルト10の蛇行を抑制するためのロールである。第1蛇行調整ロール17は、軸方向を傾斜させることが可能となっており、仮に、第1無端ベルト10が蛇行した場合、第1蛇行調整ロール17の軸方向を傾斜させることで、当該蛇行を解消させることが可能となっている。
第1蛇行調整ロール17は、第1駆動ロール13と第1前案内ロール11aとの間で第1無端ベルト10の外面に接して配置されている。
また、第1蛇行調整ロール17は、自転可能な状態で、その両端が第1無端ベルト10の両側に位置する外フレームFに軸方向の変更が可能となるように取り付け支持されている。
【0047】
したがって、第1無端ベルト10は、第1前下案内ロール11c及び第1前案内ロール11aの間で、第1張力調整ロール16、第1駆動ロール13、第1蛇調整ロール17の順で案内される。
このように、第1張力調整ロール16、第1駆動ロール13及び第1蛇調整ロール17は、前方に位置する第1前下案内ロール11c及び第1前案内ロール11aの間に配置されるので、メンテナンスがし易く、第1支持板B1と共に移動する一対の第1後案内ロール11b及び一対の第1たるみ防止ロール12の移動の妨げにならないという利点がある。
【0048】
第1支持板B1は、第1コンベア1の両側に設けられる。
ここで、これらの第1支持板B1は、互いに対称構造となっているので、片方の第1支持板B1を用いてその構成について説明する。
第1支持板B1は、上下方向に延在する板状の第1上下板部B1aと、第1上下板部B1aの上部から後方に延在する板状の第1前後板部B1bとからなる側面視逆L字状である。
そして、第1前後板部B1bは、その後側で一対の第1後案内ロール11bを自転可能な状態で支持し、第1上下板部B1aは、第1たるみ防止ロール12を自転可能な状態で支持している。
【0049】
両側の第1支持板B1において、前側の下部、すなわち、第1上下板部B1aの下部には、第1直動機構14が取り付けられている。
第1支持板B1は、当該第1直動機構14により、搬送方向に往復移動可能となっている。すなわち、レーザー加工装置100においては、第1直動機構14により、第1支持板B1に支持された一対の第1後案内ロール11b及び一対の第1たるみ防止ロール12が一体となって搬送方向に往復移動することが可能となっている。
【0050】
第1支持板B1においては、例えば、第1後案内ロール11bを後方に移動させる場合、第1無端ベルト10の張力が増加するところ、第1たるみ防止ロール12も同時に後方に移動させるので、第1無端ベルト10が無理に引っ張られることを防止することができる。
逆に第1後案内ロール11bを前方に移動させる場合、第1無端ベルト10の張力が低下するところ、第1たるみ防止ロール12も同時に前方に移動させることになるので、第1無端ベルト10がたるむことを防止することができる。
すなわち、第1たるみ防止ロール12により、第1支持板B1が移動する場合でも、第1無端ベルト10の長さを一定に保つことができる。
【0051】
第1直動機構14は、第1支持板B1を搬送方向に往復移動させるために設置される。
図3は、
図2に示すレーザー加工装置のA-A矢視断面図である。なお、
図3においては、便宜的に第1支持板B1の位置を破線で示す。
図3に示すように、第1直動機構14は、第1支持板B1の前側の下部に取り付けられる第1基部14aと、該第1基部14aが取り付け固定された第1タイミングベルト14bと、該第1タイミングベルト14bを駆動させるための第1モータ14cとからなる。
【0052】
第1直動機構14においては、第1モータ14cが第1タイミングベルト14bを駆動させることにより、第1基部14aを搬送方向に往復移動させることが可能となっている。すなわち、第1直動機構14により、その第1基部14aに取り付けられた第1支持板B1を搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
このように、第1直動機構14は、シンプルな構造でありながら、第1支持板B1を十分な精度で往復移動させることができる。
【0053】
また、第1直動機構14は、第1タイミングベルト14bの両側に、搬送方向に延在する一対の補助レール15を更に有している。
そして、一対の補助レール15には、第1基部14aが取り付けられている。すなわち、第1基部14aは、第1タイミングベルト14bに取り付け固定され、同時に両側の補助レール15に取り付けられている。
これにより、第1基部14aは、第1タイミングベルト14bにより往復移動されると共に、補助レール15に沿って案内されることになる。
その結果、第1コンベア1においては、第1支持体B1の往復移動の際のがたつきを抑制し、第1支持板B1をスムーズに往復移動させることが可能となる。
【0054】
図2に戻り、レーザー加工装置100において、第2コンベア2は、第1コンベア1と同様に、2基が幅方向に並設されている(
図2参照)。
これにより、加工材X1の幅方向のサイズが小さい場合に片方の第2コンベア2のみで搬送することが可能となり、左右の第2コンベア2でそれぞれ異なる加工材X1を搬送することも可能となる。
また、加工材X1の幅サイズが大きい場合は、左右の第2コンベア2を同期させて用いることが好ましい。
【0055】
ここで、左右の第2コンベア2は、互いに同じ構成となっているので、片方の第2コンベア2を用いてその構成について説明する。
第2コンベア2は、少なくとも、第2無端ベルト20と、第2無端ベルト20を案内するための第2案内ロール21と、第2無端ベルト20のたるみを防止するための第2たるみ防止ロール22と、第2無端ベルト20を駆動するための第2駆動ロール23と、第2無端ベルト20の張力を調整するための第2張力調整ロール26と、第2無端ベルト20の蛇行を抑制するための第2蛇行調整ロール27と、所定のロールが支持された第2支持板B2と、該第2支持板B2を搬送方向に往復移動させるための第2直動機構24と、を有する。
【0056】
第2無端ベルト20は、第1無端ベルト10と同様に、加工材X1を搬送するための側面視環状のベルトであり、材質は特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
また、第2無端ベルト20は、第1無端ベルト10と同様に、加工材X1と接する側の面(外面)に、溝部(図示しない)が設けられていることが好ましい。
【0057】
第2案内ロール21は、第2無端ベルト20を案内するためのロールである。
第2案内ロール21は、第2無端ベルト20の内面に接し、上流側に配置された第2前案内ロール21aと、第2無端ベルト20の内面に接し、下流側に配置された第2後案内ロール21bと、第2無端ベルト20の内面に接し、第2前案内ロール21aの下方に配置された第2前下案内ロール21cと、第2無端ベルト10の内面に接し、第2後案内ロール21bの下方に配置された第2後下案内ロール21dとを有する。
したがって、第2コンベア2においては、第2無端ベルト20が、第2前案内ロール21a、第2後案内ロール21b、第2後下案内ロール21d、第2前下案内ロール21cの順で案内される。
【0058】
第2案内ロール21において、第2前案内ロール21aは、上下方向に一対配置されている。すなわち、第2前案内ロール21aは、上述した第1後案内ロール11bと同様に、2基が連続するように上下方向に配置されている。
このとき、上側に配置された第2前案内ロール21aに対し、下側に配置された第2前案内ロール21aは、上側の第2前案内ロール21aの真下よりも後方に配置することが好ましい。この場合、これらに案内される第2無端ベルト20は、後方に逃げるように移動することになるので、浮遊するスパッタが第2無端ベルト20に付着することを抑制することができる。
【0059】
第2案内ロール21において、第2後案内ロール21b、第2後下案内ロール21d及び第2前下案内ロール21cは、何れも自転可能な状態で、その両端が第2無端ベルト20の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図1参照)。
一方で、一対の第2前案内ロール21aは、自転可能な状態で、その両端が後述する第2支持板B2に支持されている。
【0060】
第2たるみ防止ロール22は、第2前案内ロール21aと共に移動させることで、第2無端ベルト20のたるみを防止するためのロールである。
第2たるみ防止ロール22は、一対の第2前案内ロール21aと第2前下案内ロール21cとの間で第2無端ベルト20の外面に接しており、第2前案内ロール21a及び第2前下案内ロール21cよりも後方(第2無端ベルト20の内側)に配置される。
したがって、第2無端ベルト20は、一対の第2前案内ロール21a及び第2前下案内ロール21cの間で、第2たるみ防止ロール22に案内される。
【0061】
第2たるみ防止ロール22は、上下方向に一対配置されている。すなわち、第2たるみ防止ロール22は、上述した第1たるみ防止ロール12と同様に、2基が連続するように上下方向に配置されている。なお、下側に配置された第2たるみ防止ロール22は、上側の第2たるみ防止ロール22の真下に配置される。
一対の第2たるみ防止ロール22は、自転可能な状態で、その両端が後述する第2支持板B1に支持されている。
【0062】
上述したように、レーザー加工装置100においては、第1後案内ロール11b、第2前案内ロール21a、第1たるみ防止ロール12及び第2たるみ防止ロール22が、何れも、上下方向に一対配置されている。これにより、レーザー加工領域Rの下方において、上下方向に十分な空間が確保されるので、発生するスパッタが冷却固化されて落下し、第1無端ベルト10や第2無端ベルト20に付着することを抑制することができる。
また、第1無端ベルト10や第2無端ベルト20に落下するスクラップが衝突したりすることを抑制することができる。
また、レーザー加工領域Rの下方に回収箱33を設置する場合は、十分な大きさの回収箱33とすることができる。
【0063】
第2駆動ロール23は、第2無端ベルト20を駆動させるためのロールである。なお、かかる駆動の方式は、モータを用いる等、公知の方式を適宜採用することができる。
第2駆動ロール23は、第2後下案内ロール21dと第2後案内ロール21bとの間で第2無端ベルト20の内面に接して配置されている。
また、第2駆動ロール23は、自転可能な状態で、その両端が第2無端ベルト20の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図1参照)。
【0064】
第2張力調整ロール26は、第2たるみ防止ロール22により、たるみが防止された第2無端ベルト20の張力を更に調整するためのロールである。第2張力調整ロール26は、上下方向に移動可能となっており、かかる移動により、第2無端ベルト20の張力が調整される。
第2張力調整ロール26は、第2後下案内ロール21dと第2駆動ロール23の間で第2無端ベルト20の外面に接して配置されている。
また、第2張力調整ロール26は、自転可能な状態で、その両端が第2無端ベルト20の両側に位置する外フレームFに上下移動可能となるように取り付け支持されている。
【0065】
第2蛇行調整ロール27は、第2無端ベルト20の蛇行を抑制するためのロールである。第2蛇行調整ロール27は、軸方向を傾斜させることが可能となっており、仮に、第2無端ベルト20が蛇行した場合、第2蛇行調整ロール27の軸方向を傾斜させることで、当該蛇行を解消させることが可能となっている。
第2蛇行調整ロール27は、第2駆動ロール23と第2後案内ロール21bとの間で第2無端ベルト20の外面に接して配置されている。
また、第2蛇行調整ロール27は、自転可能な状態で、その両端が第2無端ベルト20の両側に位置する外フレームFに軸方向の変更可能となるように取り付け支持されている
【0066】
したがって、第2無端ベルト20は、第2後下案内ロール21d及び第2後案内ロール21bの間で、第2張力調整ロール26、第2駆動ロール23、第2蛇調整ロール27の順で案内される。
このように、第2張力調整ロール26、第2駆動ロール23及び第2蛇調整ロール27は、後方に位置する第2後下案内ロール21d及び第2後案内ロール21bの間に配置されるので、メンテナンスがし易く、第2支持板B2と共に移動する一対の第2前案内ロール21a及び一対の第2たるみ防止ロール22の移動の妨げにならないという利点がある。
【0067】
第2支持板B2は、第2コンベア2の両側に設けられる。
ここで、これらの第2支持板B2は、互いに対称構造となっているので、片方の第2支持板B2を用いてその構成について説明する。
第2支持板B2は、上下方向に延在する板状の第2上下板部B2aと、第2上下板部B2aの上部から前方に延在する板状の第2前後板部B2bとからなる側面視逆L字状である。
そして、上述したように、第2前後板部B2bは、その前側で一対の第2前案内ロール21aを自転可能な状態で支持し、第2上下板部B2aは、第2たるみ防止ロール22を自転可能な状態で支持している。
【0068】
両側の第2支持板B2において、後側の下部、すなわち、第2上下板部B2aの下部には、第2直動機構24が取り付けられている。
第2支持板B2は、当該第2直動機構24により、搬送方向に往復移動可能となっている。すなわち、レーザー加工装置100においては、第2直動機構24により、第2支持板B2に支持された一対の第2前案内ロール21a及び一対の第2たるみ防止ロール22が一体となって搬送方向に往復移動することが可能となっている。
【0069】
第2支持板B2においては、例えば、第2前案内ロール21aを後方に移動させる場合、第2無端ベルト20の張力が低下するところ、第2たるみ防止ロール22も同時に後方に移動させるので、第2無端ベルト20がたるむことを防止することができる。
逆に第2前案内ロール21aを前方に移動させる場合、第2無端ベルト20の張力が増加するところ、第2たるみ防止ロール22も同時に前方に移動させることになるので、第2無端ベルト20が無理に引っ張られることを防止することができる。
すなわち、第2たるみ防止ロール22により、第2支持板B2が移動する場合でも、第2無端ベルト20の長さを一定に保つことができる。
【0070】
第2直動機構24は、第2支持板B2を搬送方向に往復移動させるために設置される。
第2直動機構24は、第2支持板B2の後側の下部に取り付けられる第2基部24aと、該第2基部24aが取り付け固定された第2タイミングベルト24bと、該第2タイミングベルト24bを駆動させるための第2モータ24cとからなる。
【0071】
第2直動機構24においては、第2モータ24cが第2タイミングベルト24bを駆動させることにより、第2基部24aを搬送方向に往復移動させることが可能となっている。すなわち、第2直動機構24により、その第2基部24aに取り付けられた第2支持板B2を搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
このように、第2直動機構24は、シンプルな構造でありながら、第2支持板B2を十分な精度で往復移動させることができる。
【0072】
また、第2直動機構24は、第2タイミングベルト24bの両側に、搬送方向に延在する一対の補助レール25を更に有している。
そして、一対の補助レール25には、第2基部24aが取り付けられている。すなわち、第2基部24aは、第2タイミングベルト24bに取り付け固定され、同時に両側の補助レール25に取り付けられている。
これにより、第2基部24aは、第2タイミングベルト24bにより往復移動されると共に、補助レール25に沿って案内されることになる。
その結果、第2コンベア2においては、第2支持体B2の往復移動の際のがたつきを抑制し、第2支持板B2をスムーズに往復移動させることが可能となる。
【0073】
LMガイド5は、レーザー加工装置100の略中央に設けられ、第1支持板B1及び第2支持板B2の往復移動を案内するためのものである。
具体的には、LMガイド5は、第1支持板B1の後側の下部、すなわち、第1前後板部B1bの後側の下部と、第2支持板B2の前側の下部、すなわち、第2前後板部B2bの後側の下部と、にそれぞれ取り付けられたブロック5a、及び、両方のブロック5aが取り付けられ搬送方向に延在するレール部5b、からなる。
【0074】
したがって、第1支持板B1は、第1上下板部B1aの下部で第1直動機構14に支持され、第1前後板部B1bの後側の下部でLMガイド5に支持される。
そして、第1直動機構14による往復移動においては、第1直動機構14の補助レール15及びLMガイド5のレール部5bに案内されることになる。
同様に、第2支持板B2は、第2上下板部B2aの下部で第2直動機構24に支持され、第2前後板部B2bの前側の下部でLMガイド5に支持される。
そして、第2直動機構24による往復移動においては、第2直動機構24の補助レール25及びLMガイド5のレール部5bに案内されることになる。
これらのことにより、レーザー加工装置100においては、第1支持板B1の第1直動機構14による往復移動、及び、第2支持板B2の第2直動機構24による往復移動、をよりスムーズなものとすることができる。
【0075】
ここで、LMガイド5においては、両方の該ブロック5aが、1基のレール部5bに沿って往復移動するようになっている。すなわち、第1支持板B1及び第2支持板B2にそれぞれ取り付けられたブロック5aが、共通する1つのレール部5bで案内される。
これにより、第1支持板B1及び第2支持板B2が同じライン上で往復移動されることになるので、第1支持板B1及び/又は第2支持板B2の往復移動時に、レーザー加工領域R近傍での第1無端ベルト10の高さレベルと、第2無端ベルト20の高さレベルとに差異が生じることを抑制することができる。
また、レール部5bを1基とすることで、レーザー加工装置100自体もコンパクトとすることができる。
【0076】
図1に戻り、レーザー加工装置100において、レーザー部100bは、レーザーヘッドHを幅方向に往復移動させるためのX軸レール41と、X軸レール41を搬送方向に往復移動させるためのY軸レールと42とを有する。
【0077】
レーザーヘッドHは、レーザー加工領域Rの上方に配置され、下方にレーザー光を照射することが可能となっている。
ここで、レーザー光の種類としては、特に限定されないが、例えば、固体レーザー、液体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー、金属蒸気レーザー、化学レーザー等を用いることができる。
【0078】
レーザー加工装置100において、Y軸レール42は、搬送方向に延在しており、無端ベルト(第1無端ベルト10及び第2無端ベルト20)の両側の外フレームFに配置される。
また、X軸レール41は、幅方向に延在しており、両側のY軸レール42に支持されるように配置される。
また、レーザーヘッドHは、X軸レール41に取り付けられる。
したがって、レーザー加工装置100においては、レーザーヘッドHのX軸レール41に対する往復移動と、X軸レール41のY軸レール42に対する往復移動を駆使することにより、レーザーヘッドHを、搬送される板材Xに対して、搬送方向、幅方向、斜め方向、曲線方向等、あらゆる方向に移動させることができる。
これにより、レーザー部100bは、板材Xを搬送しながら、当該板材Xに対し、複雑な形状にレーザー加工を行うことが可能となる。
【0079】
図2に戻り、搬送部100aにおいて、第1カバー部3a及び第2カバー部3bは、レーザー加工領域Rの下方の空間に互いに向かい合うように配置される。
第1カバー部3aは、第1後案内ロール11bから下方に案内される第1無端ベルト10をカバーするためのものであり、第2カバー部3bは、下方から第2前案内ロール21aに案内される第2無端ベルト20をカバーするためのものである。
これにより、レーザー加工の際に飛散するスパッタが、第1無端ベルト10及び第2無端ベルト20に付着することを防止することができる。
【0080】
第1カバー部3aは、その両側で第1支持板B1の第1前後板部B1bの後端に取り付けられ、第2カバー部3bは、その両側で第2支持板B2の第2前後板部B2bの前端に取り付けられる。
このため、第1カバー部3aは、第1支持板B1により、一対の第1後案内ロール11b及び一対の第1たるみ防止ロール12と共に、搬送方向に往復移動することになり、第2カバー部3bは、第2支持板B2により、一対の第2後案内ロール21a及び一対の第2たるみ防止ロール22と共に、搬送方向に往復移動することになる。
【0081】
ここで、第1カバー部3a及び第2カバー部3bの材質としては、特に限定されないが、耐熱性に優れると共に、熱伝導率が高い金属(例えば、純銅)であることが好ましく、レーザー加工に用いる板材とは異なる材質の金属であることがより好ましい。この場合、スパッタを極力付着させずに落下させることができる。
また、第1カバー部3a及び第2カバー部3bの向かい合う面には、スパッタの接着を阻害するためのラミネート加工等が施されていてもよい。
【0082】
回収箱3cは、レーザー加工領域Rの下方の空間の第1カバー部3aと、第2カバー部3bとの間に設置される。なお、回収箱3cは、第1支持板B1又は第2支持板B2には取り付けられていないため、搬送方向に往復移動することはない。
レーザー加工装置100においては、回収箱3cにより、スクラップや、冷却固化され落下するスパッタを効率良く回収することが可能となる。
なお、回収箱3cにおいて、幅方向は、レーザー加工領域Rの幅方向に対応するサイズとなっており、搬送方向は、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を最大に広げた場合にも対応するサイズとなっている。
【0083】
図4は、
図1に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を定常移動させた状態を説明するための斜視図である。なお、
図4においては、板材及び加工材の記載を省略している。
図4に示すように、レーザー加工装置100は、第1支持板B1及び第2支持板B2を同じ方向且つ同じ速度で移動(定常移動)させることで、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離を変えないで、レーザー加工領域Rを搬送方向に移動させることができる。
なお、
図4の下側のレーザー加工装置100は、上側のレーザー加工装置100のレーザー加工領域Rを後方(下流側)に移動させた状態である。
【0084】
このように、レーザー加工装置100においては、第1支持板B1及び第2支持板B2を定常移動させ、レーザー加工領域RをレーザーヘッドHの搬送方向における移動に追従させることで、レーザー加工を常時、レーザー加工領域Rで行うことが可能となる。
これにより、第1コンベア1及び第2コンベア2がレーザーヘッドHから照射されるレーザー光により破損することを防止することができる。
また、レーザーヘッドHの可動域が広がるので、板材Xの搬送速度を向上させることで、比較的高速でレーザー加工を行うことが可能となる。
【0085】
図5は、
図1に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を非定常移動させた状態を説明するための模式側面図である。なお、
図5においては、板材、加工材及びレーザー部の記載を省略している。
図5に示すように、レーザー加工装置100は、第1支持板B1及び第2支持板B2を互いに反対方向に移動(非定常移動)させることで、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離を大きくすることができる。
なお、
図5の紙面中間に記載のレーザー加工装置100は、紙面上側に記載のレーザー加工装置100の第1支持板B1を前方(上流側)に、第2支持板B2を後方(下流側)に移動させたものであり、紙面下側に記載のレーザー加工装置100は、紙面上側に記載のレーザー加工装置100の第1支持板B1を最大限、前方(上流側)に、第2支持板B2を最大限、後方(下流側)に移動させたものである。
【0086】
このように、レーザー加工装置100においては、第1支持板B1及び第2支持板B2を非定常移動させることにより、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離Lを可変とすることができる。
これにより、スクラップのサイズに応じてレーザー加工領域Rの搬送方向における距離を調整することで、レーザー加工時にスクラップをレーザー加工領域から落下させることができる。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を大きくすることにより、第1コンベア1や第2コンベア2に付着する前に飛翔するスパッタが固化して落下することになるので、第1コンベア1や第2コンベア2への付着を抑制することができる。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lを十分に広くすることで、メンテナンスもし易くなる。
【0087】
ここで、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lの最大可変幅は、10~1000mmであることが好ましい。
レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lが10mm未満であると、距離Lが上記範囲内にある場合と比較して、レーザー加工時に飛散するスパッタが、無端ベルトに到達し、当該無端ベルトを傷付ける恐れがあり、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lが1000mmを超えると、距離Lが上記範囲内にある場合と比較して、板材の厚さが薄い場合(例えば0,1mm未満)、その板材がレーザー加工領域Rで撓み、レーザー加工の加工精度が低下する恐れがある。
【0088】
(第2実施形態)
図6は、本発明に係るレーザー加工装置の搬送部の第2実施形態を示す斜視図である。なお、
図6においては、板材、加工材及びレーザー部の記載を省略している。
図6に示すように、第2実施形態に係るレーザー加工装置101は、板材若しくは加工材を搬送するための搬送部101aと、搬送部101aを跨ぐようにして、搬送部101aの上方に取り付けられたレーザー部とを備える。
したがって、第2実施形態に係るレーザー加工装置101においては、搬送部101aにより板材が搬送され、レーザー部によりレーザー光の照射(レーザー加工)が行われ、搬送部101aにより加工材が搬送されるようになっている。
【0089】
図7は、
図6に示すレーザー加工装置の搬送部を説明するための概略側面図である。なお、
図7においては、レーザーヘッド以外のレーザー部の記載を省略している。
図7示すように、第2実施形態に係るレーザー加工装置101において、搬送部101aは、直列に配置された第1コンベア6及び第2コンベア7と、第1コンベア6と第2コンベア7との間の空間であるレーザー加工領域Rの上方に配置されたレーザーヘッドHと、第1支持板B6及び第2支持板B7を案内するためのLMガイド51と、レーザー加工領域Rの下方に配置された第1カバー部31a、第2カバー部31b及び回収箱(図示しない)とを備える。
【0090】
搬送部101aにおいては、板材Xが、第1コンベア6の上面に載って搬送され、板材Xにレーザー加工が施された加工材X1は、第2コンベア7の上面に載って搬送されるようになっている。
また、搬送部101aにおいては、レーザーヘッドHによるレーザー加工がレーザー加工領域Rで行われる。
このとき、レーザー加工装置100においては、後述するように、レーザー加工時のレーザーヘッドHの搬送方向の移動に、レーザー加工領域Rを追従させることが可能となっている。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を、発生するスクラップのサイズに応じて広げることで、スクラップを回収箱に落下させることが可能となっている。
【0091】
搬送部101aにおいて、第1コンベア6は、第1実施形態に係るレーザー加工装置100の第1コンベア1と同様に、2基が幅方向に並設されている(
図6参照)。
ここで、左右の第1コンベア6は、互いに同じ構成となっているので、片方の第1コンベア6を用いてその構成について説明する。
【0092】
第1コンベア6は、少なくとも、第1無端ベルト60と、第1無端ベルト60を案内するための第1案内ロール61と、第1無端ベルト60のたるみを防止するための第1たるみ防止ロール62と、所定のロールが支持された第1支持板B6と、該第1支持板B6を搬送方向に往復移動させるための第1直動機構64と、を有する。
なお、第1コンベア6において、第1無端ベルト60は、上述した第1実施形態に係る第1コンベア1の第1無端ベルト10と同じであるので説明を省略する。
また、
図7に示す第1コンベア6は、第1張力調整ロール及び第1蛇行調整ロールを有していないが、これらは任意の位置に適宜設けることができる。
【0093】
第1案内ロール61は、第1無端ベルト60を案内するためのロールである。
第1案内ロール61は、第1無端ベルト60の内面に接し、上流側に配置された第1前案内ロール61aと、第1無端ベルト60の内面に接し、下流側に配置された第1後案内ロール61bと、第1無端ベルト60の内面に接し、第1後案内ロール61bの下方に配置された第1後下案内ロール61dと、第1無端ベルト60の外面に接し、第1コンベア6の略中央に配置された第1中間案内ロール61cとを有する。
したがって、第1コンベア6においては、第1無端ベルト60が、第1前案内ロール61a、第1後案内ロール61b、第1後下案内ロール61d、第1中間案内ロール61cの順で案内される。
【0094】
第1案内ロール61において、第1前案内ロール61a及び第1中間案内ロール61cは、自転可能な状態で、その両端が第1無端ベルト60の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図6参照)。
また、第1前案内ロール61aは、駆動装置を有しており、第1無端ベルト60を駆動させるための駆動ロールとしての機能を兼ね備えている。
一方で、第1後案内ロール61b及び第1後下案内ロール61dは、何れも、自転可能な状態で、その両端が第1支持板B6に支持されている。
【0095】
第1たるみ防止ロール62は、第1後案内ロール61bと共に移動させることで、第1無端ベルト60のたるみを防止するためのロールである。
第1たるみ防止ロール62は、第1後下案内ロール61dと第1中間案内ロール61cとの間で第1無端ベルト60の内面に接しており、第1中間案内ロール61cよりも前方に配置される。
したがって、第1無端ベルト60は、第1後下案内ロール61d及び第1中間案内ロール61cの間で、第1たるみ防止ロール62に案内される。
第1たるみ防止ロール62は、自転可能な状態で、その両端が第1支持板B6に支持されている。
【0096】
第1支持板B6は、第1コンベア6の両側に設けられる。
ここで、これらの第1支持板B6は、互いに対称構造となっているので、片方の第1支持板B6を用いてその構成について説明する。
第1支持板B6は、上下方向に延在する板状の第1上下板部B6aと、第1上下板部B6aの下部から前方に延在する板状の第1前後板部B6bとからなる側面視L字状である。
そして、第1前後板部B6bは、その前側で第1たるみ防止ロール62を自転可能な状態で支持し、第1前後板部B6b及び第1上下板部B6aの交差部分は、第1後下案内ロール61dを自転可能な状態で支持し、第1上下板部B6aは、その上側で第1後案内ロール61bを自転可能な状態で支持している。
【0097】
両側の第1支持板B6において、前側の下部、すなわち、第1前後板部B6bの下部には、第1直動機構64が取り付けられている。
第1支持板B6は、当該第1直動機構64により、搬送方向に往復移動可能となっている。すなわち、レーザー加工装置101においては、第1直動機構64により、第1支持板B6に支持された第1後案内ロール61b、第1後下案内ロール61d及び第1たるみ防止ロール62が一体となって搬送方向に往復移動することが可能となっている。
【0098】
第1支持板B6においては、例えば、第1後案内ロール61bを後方に移動させる場合、第1無端ベルト60の張力が増加するところ、第1たるみ防止ロール62も同時に後方に移動させるので、第1無端ベルト60が無理に引っ張られることを防止することができる。
逆に第1後案内ロール61bを前方に移動させる場合、第1無端ベルト60の張力が低下するところ、第1たるみ防止ロール62も同時に前方に移動させることになるので、第1無端ベルト60がたるむことを防止することができる。
すなわち、第1たるみ防止ロール62により、第1支持板B6が移動する場合でも、第1無端ベルト60の長さを一定に保つことができる。
【0099】
第1直動機構64は、第1支持板B6を搬送方向に往復移動させるために設置される
第1直動機構64は、第1支持板B6の下部に取り付けられた第1ラック64aと、該第1ラック64aに噛合された第1ピニオンと、該第1ピニオンを回動させるための第1モータ64bとからなる(
図9参照)。なお、第1ピニオンは、第1モータ64bの
図9の紙面奥側に接続されている。
【0100】
第1直動機構64においては、第1モータ64bが第1ピニオンを駆動させることにより、第1ラック64aを搬送方向に往復移動させることが可能となっている。すなわち、第1直動機構64により、その第1ラック64aに取り付けられた第1支持板B6を搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
このように、第1直動機構64は、シンプルな構造でありながら、第1支持板B6を十分な精度で往復移動させることができる。
なお、第1直動機構64において、第1ラック64aは、第1支持板B6の第1前後板部B6bに連結されており、第1モータ64bは外フレームFに固定されている。
【0101】
搬送部101aにおいて、第2コンベア7は、第1実施形態に係るレーザー加工装置100の第2コンベア2と同様に、2基が幅方向に並設されている(
図6参照)。
ここで、左右の第2コンベア7は、互いに同じ構成となっているので、片方の第2コンベア7を用いてその構成について説明する。
【0102】
第2コンベア7は、少なくとも、第2無端ベルト70と、第2無端ベルト70を案内するための第2案内ロール71と、第2無端ベルト70のたるみを防止するための第2たるみ防止ロール72と、所定のロールが支持された第2支持板B7と、該第2支持板B7を搬送方向に往復移動させるための第2直動機構74と、を有する。
なお、第2コンベア7において、第2無端ベルト70は、上述した第1実施形態に係る第2コンベア2の第2無端ベルト20と同じであるので説明を省略する。
また、
図7に示す第2コンベア7は、第2張力調整ロール及び第2蛇行調整ロールを有していないが、これらは任意の位置に適宜設けることができる。
【0103】
第2案内ロール71は、第2無端ベルト70を案内するためのロールである。
第2案内ロール71は、第2無端ベルト70の内面に接し、上流側に配置された第2前案内ロール71aと、第2無端ベルト70の内面に接し、下流側に配置された第2後案内ロール71bと、第2無端ベルト70の内面に接し、第2前案内ロール71aの下方に配置された第2前下案内ロール71cと、第2無端ベルト70の外面に接し、第2コンベア7の略中央に配置された第2中間案内ロール71dとを有する。
したがって、第2コンベア7においては、第2無端ベルト70が、第2前案内ロール71a、第2後案内ロール71b、第2中間案内ロール71d、第2前下案内ロール71cの順で案内される。
【0104】
第2案内ロール71において、第2後案内ロール71b及び第2中間案内ロール71dは、自転可能な状態で、その両端が第2無端ベルト70の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図6参照)。
また、第2後案内ロール71bは、駆動装置を有しており、第2無端ベルト70を駆動させるための駆動ロールとしての機能を兼ね備えている。
一方で、第2前案内ロール71a及び第1前下案内ロール71cは、何れも、自転可能な状態で、その両端が第2支持板B7に支持されている。
【0105】
第2たるみ防止ロール72は、第2前案内ロール71aと共に移動させることで、第2無端ベルト70のたるみを防止するためのロールである。
第2たるみ防止ロール72は、第2中間案内ロール71dと第2前下案内ロール71cとの間で第2無端ベルト70の内面に接しており、第2中間案内ロール71dよりも後方に配置される。
したがって、第2無端ベルト70は、第2中間案内ロール71d及び第1前下案内ロール71cの間で、第2たるみ防止ロール72に案内される。
第2たるみ防止ロール72は、自転可能な状態で、その両端が第2支持板B7に支持されている。
【0106】
第2支持板B7は、第2コンベア7の両側に設けられる。
ここで、これらの第2支持板B7は、互いに対称構造となっているので、片方の第2支持板B7を用いてその構成について説明する。
第2支持板B7は、上下方向に延在する板状の第2上下板部B7aと、第2上下板部B7aの下部から後方に延在する板状の第2前後板部B7bとからなる側面視L字状である。
そして、第2前後板部B7bは、その後側で第2たるみ防止ロール72を自転可能な状態で支持し、第2前後板部B7b及び第2上下板部B7aの交差部分は、第2前下案内ロール71cを自転可能な状態で支持し、第2上下板部B7aは、その上側で第2前案内ロール71aを自転可能な状態で支持している。
【0107】
両側の第2支持板B7において、後側の下部、すなわち、第2前後板部B7bの下部には、第2直動機構74が取り付けられている。
第2支持板B7は、当該第2直動機構74により、搬送方向に往復移動可能となっている。すなわち、レーザー加工装置101においては、第2直動機構74により、第2支持板B7に支持された第2前案内ロール71a、第2前下案内ロール71c及び第2たるみ防止ロール72が一体となって搬送方向に往復移動することが可能となっている。
【0108】
第2支持板B7においては、例えば、第2前案内ロール71aを後方に移動させる場合、第2無端ベルト70の張力が低下するところ、第2たるみ防止ロール72も同時に後方に移動させることになるので、第2無端ベルト70がたるむことを防止することができる。
逆に第2前案内ロール71aを前方に移動させる場合、第2無端ベルト70の張力が増加するところ、第2たるみ防止ロール72も同時に前方に移動させるので、第2無端ベルト70が無理に引っ張られることを防止することができる。
すなわち、第2たるみ防止ロール72により、第2支持板B7が移動する場合でも、第2無端ベルト70の長さを一定に保つことができる。
【0109】
第2直動機構74は、第2支持板B7を搬送方向に往復移動させるために設置される
第2直動機構74は、第2支持板B7の下部に取り付けられた第2ラック74aと、該第2ラック74aに噛合された第2ピニオンと、該第2ピニオンを回動させるための第2モータ74bとからなる(
図9参照)。なお、第2ピニオンは、第2モータ64bの
図9の紙面奥側に接続されている。
【0110】
第2直動機構74においては、第2モータ74bが第2ピニオンを駆動させることにより、第2ラック74aを搬送方向に往復移動させることが可能となっている。すなわち、第2直動機構74により、その第2ラック74aに取り付けられた第2支持板B7を搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
このように、第2直動機構74は、シンプルな構造でありながら、第2支持板B7を十分な精度で往復移動させることができる。
なお、第2直動機構74において、第2ラック74aは、第2支持板B7の第2前後板部B7bに連結されており、第2モータ74bは外フレームFに固定されている。
【0111】
LMガイド51は、レーザー加工装置101の略中央下側に設けられ、第1支持板B6及び第2支持板B7の往復移動を案内するためのものである。
具体的には、LMガイド51は、第1支持板B6の後側の下部と、第2支持板B7の前側の下部とにそれぞれ取り付けられたブロック51a、及び、両方のブロック51aが取り付けられ搬送方向に延在するレール部51b、からなる。
【0112】
したがって、第1支持板B6は、第1前後板部B6bの前側の下部で第1直動機構64に支持され、第1前後板部B6bの後側の下部でLMガイド51に支持される。
そして、第1直動機構64による往復移動においては、LMガイド51のレール部51bに案内されることになる。
同様に、第2支持板B7は、第2前後板部B7bの後側の下部で第2直動機構74に支持され、第2前後板部B7bの前側の下部でLMガイド51に支持される。
そして、第2直動機構74による往復移動においては、LMガイド51のレール部51bに案内されることになる。
これらのことにより、レーザー加工装置101においては、第1支持板B6の第1直動機構64による往復移動、及び、第2支持板B7の第2直動機構74による往復移動、をよりスムーズなものとすることができる。
【0113】
ここで、LMガイド51においては、両方の該ブロック51aが、1基のレール部51bに沿って往復移動するようになっている。すなわち、第1支持板B6及び第2支持板B7にそれぞれ取り付けられたブロック51aが、共通する1つのレール部51bで案内される。
これにより、第1支持板B6及び第2支持板B7が同じライン上で往復移動されることになるので、第1支持板B6及び/又は第2支持板B7の往復移動時に、レーザー加工領域R近傍での第1無端ベルト60の高さレベルと、第2無端ベルト70の高さレベルとに差異が生じることを抑制することができる。
また、レール部51bを1基とすることで、レーザー加工装置100自体もコンパクトとすることができる。
【0114】
レーザー加工装置101において、レーザー部は、第1実施形態に係るレーザー加工装置100におけるレーザー部100bと構成が同じであるので説明を省略する。
また、第1カバー部31a及び第2カバー部31bは、第1実施形態に係るレーザー加工装置100における第1カバー部3a及び第2カバー部3bと同じであるので説明を省略する。
また、
図7に示すレーザー加工装置101は、回収箱を有していないが、これは任意の位置に適宜設けることができる。
【0115】
図8は、
図6に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を定常移動させた状態を説明するための斜視図である。なお、
図8においては、板材及び加工材の記載を省略している。
図8に示すように、レーザー加工装置101は、第1支持板B6及び第2支持板B7を同じ方向且つ同じ速度で移動(定常移動)させることで、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離を変えないで、レーザー加工領域Rを搬送方向に移動させることができる。
なお、
図8の下側のレーザー加工装置101は、上側のレーザー加工装置101のレーザー加工領域Rを後方(下流側)に移動させた状態である。
【0116】
このように、レーザー加工装置101においては、第1支持板B6及び第2支持板B7を定常移動させ、レーザー加工領域RをレーザーヘッドHの搬送方向における移動に追従させることで、レーザー加工を常時、レーザー加工領域Rで行うことが可能となる。
これにより、第1コンベア6及び第2コンベア7がレーザーヘッドHから照射されるレーザー光により破損することを防止することができる。
また、レーザーヘッドHの可動域が広がるので、板材Xの搬送速度を向上させることで、比較的高速でレーザー加工を行うことが可能となる。
【0117】
図9は、
図6に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を非定常移動させた状態を説明するための模式側面図である。なお、
図9においては、板材、加工材及びレーザー部の記載を省略している。
図9に示すように、レーザー加工装置101は、第1支持板B6及び第2支持板B7を互いに反対方向に移動(非定常移動)させることで、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離を大きくすることができる。
なお、
図9の紙面中間に記載のレーザー加工装置101は、紙面上側に記載のレーザー加工装置101の第1支持板B6を前方(上流側)に、第2支持板B7を後方(下流側)に移動させたものであり、紙面下側に記載のレーザー加工装置101は、紙面上側に記載のレーザー加工装置101の第1支持板B6を最大限、前方(上流側)に、第2支持板B7を最大限、後方(下流側)に移動させたものである。
【0118】
このように、レーザー加工装置101においては、第1支持板B6及び第2支持板B7を非定常移動させることにより、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離Lを可変とすることができる。
これにより、スクラップのサイズに応じてレーザー加工領域Rの搬送方向における距離を調整することで、レーザー加工時にスクラップをレーザー加工領域から落下させることができる。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を大きくすることにより、第1コンベア6や第2コンベア7に付着する前に飛翔するスパッタが固化して落下することになるので、第1コンベア6や第2コンベア7への付着を抑制することができる。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lを十分に広くすることで、メンテナンスもし易くなる。なお、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lの最大可変幅は、上述した範囲内であることが好ましい。
【0119】
(第3実施形態)
図10は、本発明に係るレーザー加工装置の搬送部の第3実施形態を示す斜視図である。なお、
図10においては、板材、加工材及びレーザー部の記載を省略している。
図10に示すように、第3実施形態に係るレーザー加工装置102は、板材若しくは加工材を搬送するための搬送部102aと、搬送部102aを跨ぐようにして、搬送部102aの上方に取り付けられたレーザー部とを備える。
したがって、第3実施形態に係るレーザー加工装置102においては、搬送部102aにより板材が搬送され、レーザー部によりレーザー光の照射(レーザー加工)が行われ、搬送部102aにより加工材が搬送されるようになっている。
【0120】
図11は、
図10に示すレーザー加工装置の搬送部を説明するための概略側面図である。なお、
図11においては、レーザーヘッド以外のレーザー部の記載を省略している。
図11示すように、第3実施形態に係るレーザー加工装置102において、搬送部102aは、直列に配置された第1コンベア8及び第2コンベア9と、第1コンベア8と第2コンベア9との間の空間であるレーザー加工領域Rの上方に配置されたレーザーヘッドHと、レーザー加工領域Rの下方に配置された第1カバー部32a、第2カバー部32b及び回収箱32cとを備える。
【0121】
搬送部102aにおいては、板材Xが、第1コンベア8の上面に載って搬送され、板材Xにレーザー加工が施された加工材X1は、第2コンベア9の上面に載って搬送されるようになっている。
また、搬送部102aにおいては、レーザーヘッドHによるレーザー加工がレーザー加工領域Rで行われる。
このとき、レーザー加工装置100においては、後述するように、レーザー加工時のレーザーヘッドHの搬送方向の移動に、レーザー加工領域Rを追従させることが可能となっている。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を、発生するスクラップのサイズに応じて広げることで、スクラップを回収箱に落下させることが可能となっている。
【0122】
搬送部102aにおいて、第1コンベア8は、第1実施形態に係るレーザー加工装置100の第1コンベア1と同様に、2基が幅方向に並設されている(
図10参照)。
ここで、左右の第1コンベア8は、互いに同じ構成となっているので、片方の第1コンベア8を用いてその構成について説明する。
【0123】
第1コンベア8は、少なくとも、第1無端ベルト80と、第1無端ベルト80を案内するための第1案内ロール81と、第1無端ベルト80のたるみを防止するための第1たるみ防止ロール82と、所定のロールが支持された第1支持板B8と、該第1支持板B8を搬送方向に往復移動させるための第1直動機構84と、を有する。
なお、第1コンベア8において、第1無端ベルト80は、上述した第1実施形態に係る第1コンベア1の第1無端ベルト10と同じであるので説明を省略する。
また、
図11に示す第1コンベア8は、第1張力調整ロール及び第1蛇行調整ロールを有していないが、これらは任意の位置に適宜設けることができる。
【0124】
第1案内ロール81は、第1無端ベルト80を案内するためのロールである。
第1案内ロール81は、第1無端ベルト80の内面に接し、上流側に配置された第1前案内ロール81aと、第1無端ベルト80の内面に接し、下流側に配置された第1後案内ロール81bと、第1無端ベルト80の内面に接し、第1前案内ロール81aの下方に配置された第1前下案内ロール81cと、第1無端ベルト80の内面に接し、第1後案内ロール81bの下方に配置された第1後下案内ロール81dと、第1無端ベルト80の外面に接し、第1コンベア8の略中央の前側に配置された第1中間前案内ロール81eと、第1コンベア8の略中央の後側に配置された第1中間後案内ロール81fと、を有する。
したがって、第1コンベア8においては、第1無端ベルト80が、第1前案内ロール81a、第1後案内ロール81b、第1後下案内ロール81d、第1中間後案内ロール81f、第1中間前案内ロール81e、第1前下案内ロール81cの順で案内される。
【0125】
第1案内ロール81において、第1前案内ロール81a、第1中間後案内ロール81f、第1中間前案内ロール81e及び第1前下案内ロール81cは、自転可能な状態で、その両端が第1無端ベルト80の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図10参照)。
また、第1前下案内ロール81cは、駆動装置を有しており、第1無端ベルト80を駆動させるための駆動ロールとしての機能を兼ね備えている。
一方で、第1後案内ロール81b、第1後下案内ロール81dは、何れも、自転可能な状態で、その両端が第1支持板B8に支持されている。
【0126】
第1たるみ防止ロール82は、第1後案内ロール81bと共に移動させることで、第1無端ベルト80のたるみを防止するためのロールである。
第1たるみ防止ロール82は、第1後下案内ロール81dと第1中間後案内ロール81fとの間で第1無端ベルト80の内面に接しており、第1中間後案内ロール81fよりも前方に配置される。
したがって、第1無端ベルト80は、第1後下案内ロール81d及び第1中間後案内ロール81fの間で、第1たるみ防止ロール82に案内される。
第1たるみ防止ロール82は、自転可能な状態で、その両端が第1支持板B8に支持されている。
【0127】
第1支持板B8は、第1コンベア8の両側に設けられる。
ここで、これらの第1支持板B8は、互いに対称構造となっているので、片方の第1支持板B8を用いてその構成について説明する。
第1支持板B8は、上下方向に延在する板状の第1上下板部B8aと、第1上下板部B8aの下部から前方に延在する板状の第1前後板部B8bとからなる側面視L字状である。
そして、第1前後板部B8bは、その前側で第1たるみ防止ロール82を自転可能な状態で支持し、第1前後板部B8b及び第1上下板部B8aの交差部分は、第1後下案内ロール81dを自転可能な状態で支持し、第1上下板部B8aは、その上側で第1後案内ロール81bを自転可能な状態で支持している。
【0128】
両側の第1支持板B8において、第1上下板部8a及び第1前後板部B8bの交差部分の下部には、第1直動機構84が取り付けられている。
第1支持板B8は、当該第1直動機構84により、搬送方向に往復移動可能となっている。すなわち、レーザー加工装置102においては、第1直動機構84により、第1支持板B8に支持された第1後案内ロール81b、第1後下案内ロール81d及び第1たるみ防止ロール82が一体となって搬送方向に往復移動することが可能となっている。
【0129】
第1支持板B8においては、例えば、第1後案内ロール81bを後方に移動させる場合、第1無端ベルト80の張力が増加するところ、第1たるみ防止ロール82も同時に後方に移動させるので、第1無端ベルト80が無理に引っ張られることを防止することができる。
逆に第1後案内ロール81bを前方に移動させる場合、第1無端ベルト80の張力が低下するところ、第1たるみ防止ロール82も同時に前方に移動させることになるので、第1無端ベルト80がたるむことを防止することができる。
すなわち、第1たるみ防止ロール82により、第1支持板B8が移動する場合でも、第1無端ベルト80の長さを一定に保つことができる。
【0130】
第1直動機構84は、第1支持板B8を搬送方向に往復移動させるために設置される
第1直動機構84は、第1支持板B8の下部に取り付けられた第1中央ブロック84aと、該第1中央ブロック84aを案内するため搬送方向に延在する第1中央レール部84bと、第1中央ブロック84aを駆動させるための第1サーボモータ84c(
図10参照)とからなる。
【0131】
第1直動機構84においては、第1サーボモータ84cが第1中央ブロック84aを駆動させることにより、第1中央ブロック84aを搬送方向に往復移動させることが可能となっている。すなわち、第1直動機構84により、その第1中央ブロック84aに取り付けられた第1支持板B8を搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
このように、第1直動機構84は、シンプルな構造でありながら、第1支持板B8を十分な精度で往復移動させることができる。
なお、第1直動機構84において、第1中央ブロック84a及び第1サーボモータ84cは、第1支持板B8の第1前後板部B8bに連結されており、第1中央レール部84bは外フレームFに固定されている。
【0132】
搬送部101aにおいて、第2コンベア9は、第1実施形態に係るレーザー加工装置100の第2コンベア2と同様に、2基が幅方向に並設されている(
図10参照)。
ここで、左右の第2コンベア9は、互いに同じ構成となっているので、片方の第2コンベア9を用いてその構成について説明する。
【0133】
第2コンベア9は、少なくとも、第2無端ベルト90と、第2無端ベルト90を案内するための第2案内ロール91と、第2無端ベルト90のたるみを防止するための第2たるみ防止ロール92と、所定のロールが支持された第2支持板B9と、該第2支持板B9を搬送方向に往復移動させるための第2直動機構94と、を有する。
なお、第2コンベア9において、第2無端ベルト90は、上述した第1実施形態に係る第2コンベア2の第2無端ベルト20と同じであるので説明を省略する。
また、
図11に示す第2コンベア9は、第2張力調整ロール及び第2蛇行調整ロールを有していないが、これらは任意の位置に適宜設けることができる。
【0134】
第2案内ロール91は、第2無端ベルト90を案内するためのロールである。
第2案内ロール91は、第2無端ベルト90の内面に接し、上流側に配置された第2前案内ロール91aと、第2無端ベルト90の内面に接し、下流側に配置された第2後案内ロール91bと、第2無端ベルト90の内面に接し、第2前案内ロール91aの下方に配置された第2前下案内ロール91cと、第2無端ベルト90の内面に接し、第2後案内ロール91bの下方に配置された第2後下案内ロール91dと、第2無端ベルト90の外面に接し、第2コンベア9の略中央の前側に配置された第2中間前案内ロール91eと、第2コンベア9の略中央の後側に配置された第2中間後案内ロール91fと、を有する。
したがって、第2コンベア9においては、第2無端ベルト90が、第2前案内ロール91a、第2後案内ロール91b、第2後下案内ロール91d、第2中間後案内ロール91f、第2中間前案内ロール91e、第2前下案内ロール91cの順で案内される。
【0135】
第2案内ロール91において、第2後案内ロール91b、第2中間前案内ロール91e、第2中間後案内ロール91f及び第2後下案内ロール91dは、自転可能な状態で、その両端が第2無端ベルト90の両側に位置する外フレームFに支持されている(
図10参照)。
また、第2後下案内ロール91dは、駆動装置を有しており、第2無端ベルト90を駆動させるための駆動ロールとしての機能を兼ね備えている。
一方で、第2前案内ロール91a、第2前下案内ロール91cは、何れも、自転可能な状態で、その両端が第2支持板B9に支持されている。
【0136】
第2たるみ防止ロール92は、第2前案内ロール91aと共に移動させることで、第2無端ベルト90のたるみを防止するためのロールである。
第2たるみ防止ロール92は、第2前下案内ロール91cと第2中間前案内ロール91eとの間で第2無端ベルト90の内面に接しており、第2中間前案内ロール91eよりも後方に配置される。
したがって、第2無端ベルト90は、第2中間前案内ロール91e及び第2前下案内ロール91cの間で、第2たるみ防止ロール92に案内される。
第2たるみ防止ロール92は、自転可能な状態で、その両端が第2支持板B9に支持されている。
【0137】
第2支持板B9は、第2コンベア9の両側に設けられる。
ここで、これらの第2支持板B9は、互いに対称構造となっているので、片方の第2支持板B9を用いてその構成について説明する。
第2支持板B9は、上下方向に延在する板状の第2上下板部B9aと、第2上下板部B9aの下部から後方に延在する板状の第2前後板部B9bとからなる側面視L字状である。
そして、第2前後板部B9bは、その後側で第2たるみ防止ロール92を自転可能な状態で支持し、第2前後板部B9b及び第2上下板部B9aの交差部分は、第2前下案内ロール91cを自転可能な状態で支持し、第2上下板部B9aは、その上側で第2前案内ロール91aを自転可能な状態で支持している。
【0138】
両側の第2支持板B9において、第2上下板部9a及び第2前後板部B9bの交差部分の、第2直動機構94が取り付けられている。
第2支持板B9は、当該第2直動機構94により、搬送方向に往復移動可能となっている。すなわち、レーザー加工装置102においては、第2直動機構94により、第2支持板B9に支持された第2前案内ロール91a、第2前下案内ロール91c及び第2たるみ防止ロール92が一体となって搬送方向に往復移動することが可能となっている。
【0139】
第2支持板B9においては、例えば、第2前案内ロール91aを後方に移動させる場合、第2無端ベルト90の張力が低下するところ、第2たるみ防止ロール92も同時に後方に移動させることになるので、第2無端ベルト90がたるむことを防止することができる。
逆に第2前案内ロール91aを前方に移動させる場合、第2無端ベルト90の張力が増加するところ、第2たるみ防止ロール92も同時に前方に移動させるので、第2無端ベルト90が無理に引っ張られることを防止することができる。
すなわち、第2たるみ防止ロール92により、第2支持板B9が移動する場合でも、第2無端ベルト90の長さを一定に保つことができる。
【0140】
第2直動機構94は、第2支持板B9を搬送方向に往復移動させるために設置される
第2直動機構94は、第2支持板B9の下部に取り付けられた第2中央ブロック94aと、該第2中央ブロック94aを案内するため搬送方向に延在する第2中央レール部94bと、第2中央ブロック94aを駆動させるための第2サーボモータ94c(
図10参照)とからなる。
【0141】
第2直動機構94においては、第2サーボモータ94cが第2中央ブロック94aを駆動させることにより、第2中央ブロック94aを搬送方向に往復移動させることが可能となっている。すなわち、第2直動機構94により、その第2中央ブロック94aに取り付けられた第2支持板B9を搬送方向に往復移動させることが可能となっている。
このように、第2直動機構94は、シンプルな構造でありながら、第2支持板B9を十分な精度で往復移動させることができる。
なお、第2直動機構94において、第2中央ブロック94a及び第2サーボモータ94cは、第2支持板B9の第2前後板部B9bに連結されており、第2中央レール部94bは外フレームFに固定されている。
【0142】
ここで、レーザー加工装置102においては、第1中央レール部84bと第2中央レール部94bとが一体であり、共通したレールとなっている。すなわち、第1中央ブロック84a及び第2中央ブロック94aが、1基のレールに沿って往復移動するようになっている。
これにより、第1支持板B8及び第2支持板B9が同じライン上で往復移動されることになるので、第1支持板B8及び/又は第2支持板B9の往復移動時に、レーザー加工領域R近傍での第1無端ベルト80の高さレベルと、第2無端ベルト90の高さレベルとに差異が生じることを抑制することができる。
また、レールを1基とすることで、レーザー加工装置100自体もコンパクトとすることができる。
【0143】
レーザー加工装置102において、レーザー部は、第1実施形態に係るレーザー加工装置100におけるレーザー部100bと構成が同じであるので説明を省略する。
また、第1カバー部32a及び第2カバー部32bは、第1実施形態に係るレーザー加工装置100における第1カバー部3a及び第2カバー部3bと同じであるので説明を省略する。
また、回収箱32cは、第1実施形態に係るレーザー加工装置100における回収部3cと同じであるので説明を省略する。
【0144】
レーザー加工装置102は、第1支持板B8及び第2支持板B9を定常移動させることで、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離を変えないで、レーザー加工領域Rを搬送方向に移動させることができる。
そして、レーザー加工領域RをレーザーヘッドHの搬送方向における移動に追従させることで、レーザー加工を常時、レーザー加工領域Rで行うことが可能となる。
これにより、第1コンベア8及び第2コンベア9がレーザーヘッドHから照射されるレーザー光により破損することを防止することができる。
また、レーザーヘッドHの可動域が広がるので、板材Xの搬送速度を向上させることで、比較的高速でレーザー加工を行うことが可能となる。
【0145】
図12は、
図10に示すレーザー加工装置の第1支持板及び第2支持板を非定常移動させた状態を説明するための模式側面図である。なお、
図12においては、板材、加工材及びレーザー部の記載を省略している。
図12に示すように、レーザー加工装置102は、第1支持板B8及び第2支持板B9を互いに反対方向に移動(非定常移動)させることで、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離を変えることができる。
なお、
図12の紙面中間に記載のレーザー加工装置102は、紙面上側に記載のレーザー加工装置102の第1支持板B8を前方(上流側)に、第2支持板B9を後方(下流側)に移動させたものであり、紙面下側に記載のレーザー加工装置102は、紙面上側に記載のレーザー加工装置102の第1支持板B8を最大限、前方(上流側)に、第2支持板B9を最大限、後方(下流側)に移動させたものである。
【0146】
このように、レーザー加工装置102においては、第1支持板B8及び第2支持板B9を非定常移動させることにより、レーザー加工領域Rの搬送方向における距離Lを可変とすることができる。
これにより、スクラップのサイズに応じてレーザー加工領域Rの搬送方向における距離を調整することで、レーザー加工時にスクラップをレーザー加工領域から落下させることができる。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離を大きくすることにより、第1コンベア8や第2コンベア9に付着する前に飛翔するスパッタが固化して落下することになるので、第1コンベア8や第2コンベア9への付着を抑制することができる。
また、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lを十分に広くすることで、メンテナンスもし易くなる。なお、レーザー加工領域Rの搬送方向の距離Lの最大可変幅は、上述した範囲内であることが好ましい。
【0147】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0148】
本実施形態に係るレーザー加工装置100,101,102においては、第1無端ベルトが2基並設されているが、1基のみであってもよく、3基以上が並設されていてもよい。第2無端ベルトについても同じである。
【0149】
第1実施形態に係るレーザー加工装置100において、第1コンベア1は、第1無端ベルト10と、第1案内ロール11と、第1たるみ防止ロール12と、第1駆動ロール13と、第1張力調整ロール16と、第1蛇行調整ロール17と、第1支持板B1と、第1直動機構14と、を有しているが、更に、第1無端ベルト10を案内するロールを有していてもよい。
また、第1駆動ロール13、第1張力調整ロール16及び第1蛇行調整ロール17の位置も特に限定されない。
なお、第2コンベア2についても同様である。
また、第2実施形態に係るレーザー加工装置101,第3実施形態に係るレーザー加工装置102におけるコンベアについても同様である。
【0150】
第1実施形態に係るレーザー加工装置100においては、直動機構としてタイミングベルトを採用し、第2実施形態に係るレーザー加工装置101においては、直動機構としてラックピニオンを採用し、第3実施形態に係るレーザー加工装置102においては、直動機構としてサーボモータを採用しているが、これらに限定されない。
例えば、ボールねじ、リニアモータ等を採用することも可能である。
また、サーボモータには、減速機や変速機が取り付けられていてもよい。
【0151】
第1実施形態に係るレーザー加工装置100においては、第1支持板B1が、第1上下板部B1aと、第1前後板部B1bとからなっているが、支持板の形状はこれに限定されない。
なお、第2支持板B2についても同様である。
また、第2実施形態に係るレーザー加工装置101,第3実施形態に係るレーザー加工装置102における支持板についても同様である。
【0152】
本実施形態に係るレーザー加工装置100,101,102においては、レーザー加工時に発生するヒューム(ガス状のスパッタ)が、レーザー加工領域Rの下方の両側から露出することを抑制するため、当該空間の両側に、ブラシロール、カーテン、ガイド板等を設けることが好ましい。
また、カバー体には、ヒュームを回収するための集塵機が取り付けられていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明に係るレーザー加工装置は、長尺状の板材を搬送しながら、レーザーヘッドから照射されるレーザー光で該板材を加工して加工材とすると共に、当該加工材を搬送する装置として利用できる。
本発明に係るレーザー加工装置によれば、レーザー加工により、板材に対し、比較的高速でレーザー加工を行うことができ、且つ、落下させるスクラップのサイズに応じてレーザー加工領域の搬送方向における距離を調整することができる。
【符号の説明】
【0154】
1,6,8・・・第1コンベア
10,60,80・・・第1無端ベルト
100,101,102・・・レーザー加工装置
100a,101a,102a・・・搬送部
100b・・・レーザー部
11,61,81・・・第1案内ロール
11a,61a,81a・・・第1前案内ロール
11b,61b,81b・・・第1後案内ロール
11c,81c・・・第1前下案内ロール
11d,61d,81d・・・第1後下案内ロール
12,62,82・・・第1たるみ防止ロール
13・・・第1駆動ロール
14,64,84・・・第1直動機構
14a・・・第1基部
14b・・・第1タイミングベルト
14c・・・第1モータ
15,25・・・補助レール
16・・・第1張力調整ロール
17・・・第1蛇行調整ロール
2,7,9・・・第2コンベア
20,70,90・・・第2無端ベルト
21,71,91・・・第2案内ロール
21a,71a,91a・・・第2前案内ロール
21b,71b,91b・・・第2後案内ロール
21c,71c,91c・・・第2前下案内ロール
21d,91d・・・第2後下案内ロール
22,72,92・・・第2たるみ防止ロール
23・・・第2駆動ロール
24,74,94・・・第2直動機構
24a・・・第2基部
24b・・・第2タイミングベルト
24c・・・第2モータ
26・・・第2張力調整ロール
27・・・第2蛇行調整ロール
3a,31a,32a・・・第1カバー部
3b,31b,32b・・・第2カバー部
3c,32c・・・回収箱
41・・・X軸レール
42・・・Y軸レール
5,51・・・LMガイド
5a,51a・・・ブロック
5b,51b・・・レール部
61c・・・第1中間案内ロール
64a・・・第1ラック
64b・・・第1モータ
71d・・・第2中間案内ロール
74a・・・第2ラック
74b・・・第2モータ
81e・・・第1中間前案内ロール
81f・・・第1中間後案内ロール
84a・・・第1中央ブロック
84b・・・第1中央レール部
84c・・・第1サーボモータ
91e・・・第2中間前案内ロール
91f・・・第2中間後案内ロール
94a・・・第2中央ブロック
94b・・・第2中央レール部
94c・・・第2サーボモータ
B1,B6,B8・・・第1支持板
B1a,B6a,B8a・・・第1上下板部
B1b,B6b,B8b・・・第1前後板部
B2,B7,B9・・・第2支持板
B2a,B7a,B9a・・・第2上下板部
B2b,B7b,B9b・・・第2前後板部
F・・・外フレーム
H・・・レーザーヘッド
R・・・レーザー加工領域
X・・・板材
X1・・・加工材
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を所定の搬送方向に搬送させながら、レーザーヘッドから照射されるレーザー光で該板材を加工して加工材とし、該加工材を前記搬送方向に搬送するレーザー加工装置であって、
直列に配置された第1コンベア及び第2コンベアと、
前記第1コンベアと前記第2コンベアとの間の空間であるレーザー加工領域の上方に配置され、前記板材にレーザー加工を行うためのレーザーヘッドと、
第1支持板及び第2支持板を案内するためのLMガイドと、
を備え、
前記第1コンベアが、少なくとも、
前記板材を搬送するための第1無端ベルトと、
該第1無端ベルトを案内するため該第1無端ベルトの内面に接し、上流側に配置された第1前案内ロール及び下流側に配置された第1後案内ロールを有する第1案内ロールと、
前記第1無端ベルトのたるみを防止するための第1たるみ防止ロールと、
前記第1後案内ロール及び前記第1たるみ防止ロールが支持された前記第1支持板と、
該第1支持板を前記搬送方向に往復移動させるための第1直動機構と、
を有し、
前記第2コンベアが、少なくとも、
前記加工材を搬送するための第2無端ベルトと、
該第2無端ベルトを案内するため該第2無端ベルトの内面に接し、上流側に配置された第2前案内ロール及び下流側に配置された第2後案内ロールを有する第2案内ロールと、
前記第2無端ベルトのたるみを防止するための第2たるみ防止ロールと、
前記第2前案内ロール及び前記第2たるみ防止ロールが支持された前記第2支持板と、
該第2支持板を前記搬送方向に往復移動させるための第2直動機構と、
を有し、
前記第1前案内ロール及び前記第2後案内ロールが外フレームに固定されており、
前記第1直動機構が、前記第1支持板の前側の下部に取り付けられた第1基部と、該第1基部が取り付けられた第1タイミングベルトと、該第1タイミングベルトを前記搬送方向に往復移動させるための第1モータとからなり、
前記第2直動機構が、前記第2支持板の後側の下部に取り付けられた第2基部と、該第2基部が取り付けられた第2タイミングベルトと、該第2タイミングベルトを前記搬送方向に往復移動させるための第2モータとからなり、
前記LMガイドが、前記第1支持板の後側の下部、及び、前記第2支持板の前側の下部、にそれぞれ取り付けられたブロックと、両方の該ブロックを案内するためのレール部とからなり、
前記第1直動機構と前記第2直動機構とが、それぞれ独立に、駆動可能となっており、
前記第1支持板及び前記第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させることにより、前記レーザー加工領域の前記搬送方向における距離が一定となって、前記レーザーヘッドの前記搬送方向における移動に追従するものであり、
前記第1支持板及び前記第2支持板を同じ方向且つ同じ速度で移動させないことにより、前記レーザー加工領域の前記搬送方向における距離が可変となっているレーザー加工装置。
【請求項2】
前記第1後案内ロールから下方に案内される第1無端ベルトをカバーする第1カバー部と、
下方から前記第2前案内ロールに案内される第2無端ベルトをカバーする第2カバー部と、
を更に備える請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
前記レーザーヘッドを幅方向に往復移動させるためのX軸レールと、
前記X軸レールを前記搬送方向に往復移動させるためのY軸レールと、
前記レーザー加工領域の下方に配置された回収箱と、
を更に備える請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
前記第1コンベアが、
前記第1無端ベルトの張力を調整するための第1張力調整ロールと、
前記第1無端ベルトの蛇行を抑制するための第1蛇行調整ロールと、
を更に有し、
前記第2コンベアが、
前記第2無端ベルトの張力を調整するための第2張力調整ロールと、
前記第2無端ベルトの蛇行を抑制するための第2蛇行調整ロールと、
を更に有する請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項5】
前記第1案内ロールが、前記第1無端ベルトの内面に接し、前記第1前案内ロールの下方に配置された第1前下案内ロールと、前記第1後案内ロールの下方に配置された第1後下案内ロールと、を更に有し、
前記第1前下案内ロール及び前記第1後下案内ロールが外フレームに固定されており、
前記第1たるみ防止ロールが、前記第1後案内ロールと前記第1後下案内ロールとの間で、前記第1無端ベルトの外面に接しており、
前記第2案内ロールが、前記第2無端ベルトの内面に接し、前記第2前案内ロールの下方に配置された第2前下案内ロールと、前記第2後案内ロールの下方に配置された第2後下案内ロールと、を更に有し、
前記第2前下案内ロール及び前記第2後下案内ロールが外フレームに固定されており、
前記第2たるみ防止ロールが、前記第2前案内ロールと前記第2前下案内ロールとの間で、前記第2無端ベルトの外面に接している請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項6】
前記第1後案内ロール、前記第2前案内ロール、前記第1たるみ防止ロール及び前記第2たるみ防止ロールが、何れも、上下方向に一対配置されている請求項5記載のレーザー加工装置。