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特開2024-144367プラスチック材料を調製する装置及び方法
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  • 特開-プラスチック材料を調製する装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144367
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】プラスチック材料を調製する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/48 20060101AFI20241003BHJP
   B29B 7/58 20060101ALI20241003BHJP
   B29B 7/84 20060101ALI20241003BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29B7/48
B29B7/58
B29B7/84
B29B9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024052918
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】23164897
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501164665
【氏名又は名称】コペリオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】レオニド リベル
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ショーファー
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AP02
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC02
4F201BC13
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4F201BK36
4F201BK80
4F201BL08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラスチック材料を調製する装置及び方法を提供する。
【解決手段】供給されるプラスチック材料(102)を可塑化するためにハウジング(108)内に少なくとも2つの処理要素シャフト(130)を備える多軸スクリューマシン(104)、特に2軸スクリューマシンであって、可塑化ゾーン(144)、排出ゾーン(148)、及び、可塑化ゾーン(144)と排出ゾーン(148)との間に配置され、プラスチック溶融物(106)を滞留させる少なくとも1つの滞留要素を有する滞留ゾーン(158)を備える多軸スクリューマシン(104)と、可塑化ゾーン(144)と排出ゾーン(148)とを相互接続し、滞留ゾーン(146)を橋渡しする、少なくとも1つの溶融物チャネル(160)と、プラスチック溶融物(106)をフィルタリングするために、前記溶融物チャネル内に配置された、少なくとも1つの溶融物フィルタユニット(162)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料を調製する装置であって、
- 供給されるプラスチック材料を可塑化してプラスチック溶融物にするためにハウジング内で支持された少なくとも2つの処理要素シャフトを備える多軸スクリューマシン、特に2軸スクリューマシンであって、前記多軸スクリューマシンは、可塑化ゾーン、排出ゾーン、及び、前記可塑化ゾーンと前記排出ゾーンとの間に配置され、前記プラスチック溶融物を滞留させる少なくとも1つの滞留要素を有する滞留ゾーン、を備える、多軸スクリューマシンと、
- 前記可塑化ゾーンと前記排出ゾーンとを相互に接続し、前記滞留ゾーンを橋渡しする、少なくとも1つの溶融物チャネルと、
- 前記プラスチック溶融物をフィルタリングするために、前記溶融物チャネル内に効果的に配置された、少なくとも1つの溶融物フィルタユニットと、
を備える装置。
【請求項2】
前記ハウジング内で、溶融物フィルタユニットに通じる前記溶融物チャネルへの出口開口が前記滞留ゾーンの直前に設けられており、かつ、
前記ハウジング内で、前記溶融物フィルタユニットから来る前記溶融物チャネルの入口開口が前記滞留ゾーンの直後に設けられている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、連続的又は非連続的に作動可能である溶融物フィルタを備える、
請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、溶融圧力を構成するための圧力構成ユニット、特に溶融ポンプを備える、
請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジング内には脱ガスのために少なくとも1つの脱ガス口が設けられており、
前記少なくとも1つの脱ガス口は、前記多軸スクリューマシンの入口ゾーン、前記可塑化ゾーン、前記滞留ゾーン、又は、排出ゾーン内に配置されている、
請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの脱ガス口は、脱ガスユニット、特に真空脱ガスユニットに接続されているか、又は
前記少なくとも1つの脱ガス口は、脱ガス及び/又は雰囲気に対して換気若しくは排気するように構成されている、
請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記多軸スクリューマシンは2軸スクリュー押出機である、
請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングの、搬送方向において最後段のハウジングセクションに排出口が設けられており、前記排出口を介して前記プラスチック溶融物を取り出し可能であり、
前記排出口に、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置若しくはスクリューマシンが接続されているか、又は
前記排出口に、フィルタユニット及び/又は造粒ユニットが接続されている、
請求項1記載の装置。
【請求項9】
プラスチック材料を調製する方法であって、
- 前記プラスチック材料を多軸スクリューマシン、特に2軸スクリューマシンに供給するステップと、
- 供給された前記プラスチック材料を、前記多軸スクリューマシンを用いて可塑化し、プラスチック溶融物にする、ステップと、
- 前記多軸スクリューマシンから前記プラスチック溶融物の少なくとも一部を送出し、送出された前記プラスチック溶融物を、溶融物フィルタユニットを用いてフィルタリングし、フィルタリングされた前記プラスチック溶融物を前記多軸スクリューマシンに戻す、ステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記プラスチック溶融物は、均質化され及び/又は脱ガスされる、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記プラスチック溶融物を前記多軸スクリューマシンから排出し、その後、熱分解リアクタなどのリアクタを用いて前記プラスチック溶融物の熱分解を行う、
請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記プラスチック溶融物を前記多軸スクリューマシンから排出し、その後、リアクタ、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置、スクリューマシン、フィルタユニット、造粒ユニット又はさらなる処理システムに供給する、
請求項9又は10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料、例えばプラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物を調製する装置に関する。本発明はまた、プラスチック材料、例えばプラスチックリサイクル材料及び/又はプラスチック廃棄物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者使用後の廃棄物(Post-Consumer-Abfall)などのプラスチックリサイクル材料は、重要な原料源である。しかしながら、プラスチックリサイクル材料では、プラスチックは通常、バイオマス、砂、紙、ガラス、アルミニウムなどで汚染されている。そのため、プラスチック廃棄物、特に包装廃棄物は、高度の汚染を伴う混合物としてしか利用できないことが多い。廃棄物の分別や洗浄が経済的にも技術的にも実行不可能な場合が多いため、これらをリサイクルすることは通常困難である。ケミカルリサイクルは、このような材料フローを原料にリサイクルするための有望なプロセスと考えられている。
【0003】
ケミカルリサイクルでは、プラスチックリサイクル材料が破砕又は圧縮された後に、2軸スクリュー押出機のプロセスセクションに導入され、2軸スクリューによる連続的な表面更新と集中的な分散とせん断により、最短の時間で大量の機械的エネルギーがプラスチック材料に導入される。触媒などの他の物質は、必要に応じてドーピングされ混合されることができる。部分的に、PVCからの残留水や塩化物がプラスチック廃棄物と共に押出機に導入される。どちらも、押出機のプロセスセクションで真空脱ガスして除去することができる。その後、プラスチック溶融物は熱分解リアクタに供給される。リア歌では、先に2軸スクリュー押出機で加熱された溶融物がさらに加熱される。ポリマーは最高500℃の温度で熱分解される。同時に、酸素がない状態で連鎖反応が起こり、ポリマーが液体と気体の炭化水素の混合物に分解される。プラスチックリサイクル材料の無機成分はすべてリアクタに残り、そこで排出される。ポリマーの有機炭化水素は揮発する。それらはモノマー、石油化学基材、合成ガスに変換され、蒸留器でさらに処理され、石油、重油、ワックスなどの市場に出回る製品になる。
【0004】
プラスチックリサイクル材料、特に包装廃棄物は、汚染の度合いが高い混合物であるため、より良い処理を可能にし、より高品質の製品を得るためには、汚染されたプラスチック溶融物をフィルタリングすることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、プラスチック材料を調製するための冒頭に述べた装置を構造的及び/又は機能的に改良するという課題に基づいている。さらに、本発明は、プラスチック材料を調製するための冒頭に述べた方法を構造的及び/又は機能的に改良するという課題に基づいている。したがって、本発明の課題は、先行技術に関連して特定された問題点を低減又は除去する調製装置及び調製方法を提供することである。例えば、1つの課題は、ケミカルリサイクル中のプラスチック溶融物のフィルタリングを可能にすることである。
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。さらに、この課題は、請求項9の特徴を有する方法によって解決される。有利な実施形態及び/又はさらなる実施形態は、従属請求項、説明、及び/又は添付図の主題である。特に、請求項の1つのカテゴリの独立請求項は、請求項の別のカテゴリの従属請求項に類似してさらに発展及び/又は組み合わせることもできる。同様に、以下に記載される装置及び方法の特徴は、組み合わせ及び/又はさらなる発展が可能である。
【0007】
一態様は、プラスチック材料を調製する装置に関する。この装置は調製システム(Aufbereitungsanlage)とすることができる。
【0008】
プラスチック材料は、プラスチックリサイクル材料であってもよいし、これを含んでもよい。プラスチックリサイクル材料は、プラスチック廃棄物、例えば最終消費者プラスチック廃棄物(post consumer waste)であってもよい。プラスチックリサイクル材料は、例えば包装廃棄物などの消費者使用後の廃棄物であってもよい。特に、プラスチックリサイクル材料は、ケミカルリサイクルが必要なプラスチック材料であることができる。プラスチックリサイクル材料は、好ましくはプラスチック粒子の形態であり、特に汚染度の高い混合物を形成する。プラスチック粒子は、粒子サイズ及び/又は粒子形状に応じて、例えば、プラスチック粒状物(Kunststoffgranulat)、プラスチックフレーク(Kunststoffflocken)、プラスチック繊維又はプラスチック粉末の形態とすることができる。プラスチック粒子はリサイクル材であることもできる。プラスチック粒子は、フレーク状及び/又はフレーク状であることもできる。プラスチックリサイクル材料は、細断、粉砕又は圧縮することもできる。特に、プラスチックリサイクル材料又はプラスチック粒子はバルク材料を形成する。プラスチック材料は、ポリマー、特に熱可塑性ポリマーからなることができる。
【0009】
好ましくは、この装置は、供給されるプラスチック材料を可塑化してプラスチック溶融物にするためにハウジング内で支持された少なくとも2つの処理要素シャフトを有する多軸スクリューマシンを備える。少なくとも2つの処理要素シャフトは、プラスチック溶融物を可塑化及び/又は調製するように設計することができる。ハウジングは、少なくとも2つの処理要素シャフトが収容される円筒形ハウジングであることができる。
【0010】
プラスチック材料を多軸スクリューマシンに供給するために、多軸スクリューマシンは供給口を有することができる。好ましくは、供給口は、多軸スクリューマシンの供給ゾーンに設けられることができる。一変形例では、供給開口は、多軸スクリューマシンの主供給開口、例えば主インレットとすることができる。装置は、プラスチック材料を供給するための供給装置及び/又はドーピング装置をさらに含むことができる。プラスチック材料の供給は、例えば、連続的及び/又は計量的に行われることができる。あるいは、プラスチック材料の供給は不連続に行われることもできる。
【0011】
スクリューマシンは、可塑化ゾーン、排出ゾーン、及び可塑化ゾーンと排出ゾーンとの間に配置された滞留ゾーンを有することができる。好ましくは、可塑化ゾーンは、滞留ゾーンのすぐ上流又は直接上流に配置することができる。排出ゾーンは、滞留ゾーンのすぐ下流又は直接下流に配置され得る。滞留ゾーンは、例えば、溶融プラスチックを滞留させる少なくとも1つの滞留要素を有することができる。少なくとも1つの滞留要素は、ハウジング内に配置することができる。複数の滞留要素、例えば2つ、3つ又は4つの滞留要素を設けることもできる。例えば、少なくとも1つの滞留要素は、処理要素シャフトによって形成することができ、及び/又は処理要素シャフトに接して若しくは処理要素シャフト上方に(an bzw. auf)配置することができる。例えば、滞留要素を第1処置要素シャフトに接して又は第1処置要素シャフト上方に配置し、さらなる滞留要素を第2処置要素シャフトに接して又は第2処置要素シャフト上方に配置することができる。
【0012】
装置はまた、可塑化ゾーンと排出ゾーンとを相互に接続し、滞留ゾーンを橋渡しする、少なくとも1つの溶融物チャネルを有することができる。したがって、この装置は、可塑化ゾーンから溶融物チャネルを通って排出ゾーンにプラスチック溶融物を導くように設計することができる。
【0013】
好ましい変形例によれば、この装置は、プラスチック溶融物をフィルタリングするための少なくとも1つの溶融物フィルタユニットを有することができる。少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、溶融チャネル内に効果的に(wirksam)配置されることができる。例えば、溶融物チャネルセクションは、溶融物フィルタユニット内に又は溶融物フィルタユニットの入口に接続されることができる。さらに、別の溶融物チャネルセクションを溶融物フィルタユニットの出口に接続することができる。多軸スクリューマシンのハウジングにおいて、滞留ゾーンの直前に、溶融物フィルタユニットに通じる溶融物チャネルへの出口(eine Ausmuendung in den zur Schmelzefiltereinrichtung fuehrenden Schmelzekanal)を設けることができる。さらに、溶融物フィルタユニットから来る溶融物チャネルの出口は、滞留ゾーンの直後に多軸スクリューマシンのハウジングに設けることができる。したがって、溶融チャネルセクションの一端をハウジングの出口に接続し、他端を溶融物フィルタユニットの入口に接続することができる。別の溶融物チャネルセクションは、一端を溶融物フィルタユニットの出口に接続し、他端をハウジングの入口に接続することができる。出口及び入口の両方は、ハウジングの開口であることができ、その開口を介して、プラスチック溶融物を多軸スクリューマシンから送り出すか、又は多軸スクリューマシンに戻すことができる。
【0014】
少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、少なくとも1つの溶融物フィルタを有することができる。少なくとも1つの溶融物フィルタは、連続的又は不連続的に作動させることができる。溶融物フィルタは、フィルタ要素を有する1つ以上のフィルタユニットを有することができる。フィルタ要素は、例えば、プラスチック溶融物をフィルタリングするように設計されたフィルタスクリーン及び/又はフィルタシリンダとすることができる。一実施形態では、少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、溶融圧力を構成するための圧力構成ユニットを有することができる。圧力構成ユニットは、例えば、溶融ポンプ及び/又はギアポンプとすることができる。好ましくは、例えば、圧力構成ユニットが特定の溶融圧力でプラスチック溶融物を溶融物フィルタに押圧して通すことができるように、圧力構成ユニットは溶融物フィルタの上流に接続されることができる。
【0015】
さらに、脱ガスのために少なくとも1つの脱ガス口を多軸スクリューマシンのハウジングに設けることができる。少なくとも1つの脱ガス口は、多軸スクリューマシンの供給ゾーン、可塑化ゾーン、滞留ゾーン又は排出ゾーンに配置することができる。例えば、少なくとも1つの脱ガス口は、脱ガスユニット、例えば真空脱ガスユニットに接続することができる。あるいは、少なくとも1つの脱ガス口は、脱ガス及び/又は雰囲気に対して換気若しくは排気するように(zur Entgasung und/oder Entlueftung gegenueber Atmosphaere)構成されていることができる。また、複数の脱ガス口を、例えばスクリューマシンの全部又は様々なゾーンに設けることもできる。
【0016】
スクリューマシンは、同一回転方向又は反対回転方向に回転駆動され、及び/又は稠密な噛み合いを有する多軸スクリューマシンとして設計されることができる。例えば、スクリューマシンは、ハウジング内に回転可能に支持された2つの処理要素シャフトを有することができる。少なくとも2つの処理要素シャフトは、押出機スクリューとすることができる。好ましくは、多軸スクリューマシンは、二軸スクリューマシンとして設計することができる。特に、多軸スクリューマシンは、ダブルスクリュー押出機とすることができる。可塑化及び/又は調製は、多軸スクリューマシンの処理要素シャフトによって行うことができる。
【0017】
排出開口は、ハウジングの、搬送方向における最後段のハウジングセクションに設けることができる。特に排出口を介して、特に、調製及び/又は脱ガス及び/又はフィルタチングされたプラスチック溶融物を排出することができる。排出開口には、リアクタ、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置又はスクリューマシンを接続することができる。リアクタは熱分解リアクタであることができる。熱分解リアクタは、溶融プラスチックを熱分解するように設計することができる。蒸留器をリアクタに接続することができる。あるいは、フィルタユニット及び/又は造粒ユニット又は別のさらなる処理システムを排出口に接続することができる。
【0018】
さらなる態様は、プラスチック材料、特に上述及び/又は後述のプラスチック材料を調製する方法に関する。したがって、プラスチック材料は、例えばプラスチックリサイクル材料であってもよい。本方法は、調製方法とすることができる。本方法は、上述及び/又は後述の装置を用いて実施することもできる。
【0019】
本方法では、まずプラスチック材料を多軸スクリューマシンに供給することができる。少なくとも1つの添加剤をプラスチック材料に添加することができる。プラスチック材料は、例えば、供給装置及び/又はドーピング装置によって供給することができる。プラスチック材料は、連続的及び/又は計量的に供給することができる。あるいは、プラスチック材料を不連続的に供給することもできる。例えば、プラスチック材料は、多軸スクリューマシンの供給口を介して供給することができる。一変形例では、供給口は、多軸スクリューマシンの主供給口、例えば主インレットであることができる。
【0020】
次に、供給されたプラスチック材料は、多軸スクリューマシンを用いて可塑化し、プラスチック溶融物にすることができる。可塑化とは、プラスチック材料を溶融させることを意味すると理解できる。特定の溶融温度に到達し及び/又はそれを維持できるように、可塑化が実施され及び/又はスクリューマシンを制御することができる。可塑化は、例えばスクリューマシンの可塑化ゾーンにおいて、多軸スクリューマシンの少なくとも1つの処理要素シャフトによって行うことができる。好ましい実施形態では、可塑化は、2軸スクリューマシンなどの多軸スクリューマシンの、ちょうど2つの処理要素シャフトによって行われ得る。
【0021】
その際、プラスチック溶融物の少なくとも一部を多軸スクリューマシンから送り出すことができる。例えば、プラスチック溶融物は多軸スクリューマシンから完全に及び/又は連続的に除去されることができる。その後、排出されたプラスチック溶融物は溶融物フィルタユニットによってフィルタリングされることができる。フィルタリングされたプラスチック溶融物は、その後、再び多軸スクリューマシンに供給されることができる。
【0022】
さらなる実施形態において、プラスチック溶融物は、均質化及び/又は脱ガスされ得る。脱ガスは、例えば、脱ガス口を介して及び/又は脱ガスユニットを用いて行うことができる。さらに、脱ガスは、多軸スクリューマシンの供給ゾーン、可塑化ゾーン、滞留ゾーン及び/又は排出ゾーンで行うことができる。
【0023】
調製及び/又はフィルタリング及び/又は脱ガスされたプラスチック溶融物は、次いで、多軸スクリューマシンから排出され得る。好ましい変形例では、多軸スクリューマシンから排出されたフィルタリングされたプラスチック溶融物は、その後、リアクタ、例えば熱分解リアクタに供給することができる。次いで、プラスチック溶融物の熱分解はリアクタ内で行うことができる。蒸留器をリアクタに接続することもできる。熱分解の後に蒸留(Destillation)行うことができる。あるいは、多軸スクリューマシンから排出されるフィルタリングされたプラスチック溶融物は、フィルタユニットを用いてフィルタリングすること、及び/又は造粒ユニットを用いて造粒することができる。一変形例では、多軸スクリューマシンから排出されるフィルタリングされたプラスチック溶融物は、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置、スクリューマシン、フィルタユニット、造粒ユニット又は別のさらなる処理システムに供給することができる。
【0024】
本発明により、汚染されたプラスチック溶融物を、ケミカルリサイクル中にエネルギー効率の良い方法でフィルタリングすることができる。このようにして、プラスチック材料の処理を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下では、本発明の実施形態を、模式的かつ例示的に示す図を参照しながら、より詳細に説明する。
図1図1は、プラスチック材料を調製する装置の部分断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、プラスチックリサイクル材料102を調製するための調製装置100を示している。調製装置100は、多軸スクリューマシン104を備え、プラスチックリサイクル材料102を可塑化してプラスチック溶融物106にし、溶融したプラスチック溶融物106をフィルタリングし、かつその後プラスチック溶融物106を調製するために使用される。
【0027】
多軸スクリューマシン104は、同一回転方向に回転する2軸スクリューマシンとして、ここでは2軸スクリュー押出機として設計されている。多軸スクリューマシン104は、相前後して配置された複数のハウジングセクション110~128を有するハウジング108を備えており、それらはハウジング108を構成するために互いに接続されている。ハウジング108には、互いに平行で相互に貫通する2つのハウジング孔128が形成されており、これらのハウジング孔130は断面が8の字が横たわった形状を有する(die im Querschnitt die Form einer liegenden Acht haben)。多軸スクリューマシン104は、ハウジング孔128内に同心状に配置された2つの処理要素シャフト130をさらに備え、これらの処理要素シャフト132は、駆動モータ134によって関連する回転軸134を中心に回転駆動され得る。処理要素シャフト130と駆動モータ132との間には、分岐ギア136とクラッチ138とが配置されている。駆動モータ132を用いて、2つの処置要素シャフト130は、回転軸134を中心として同じ方向に、すなわち同一回転方向に回転駆動される。処理要素シャフト130は、供給されたプラスチックリサイクル材料102を可塑化してプラスチック溶融物106にし、プラスチック溶融物106を調製するために構成されている。
【0028】
図1に示すように、多軸スクリューマシン104は、搬送方向140において相前後して、入口ゾーン142、可塑化ゾーン144、滞留ゾーン146及び排出ゾーン148を有する。
【0029】
入口ゾーン142において、ハウジングセクション110は、プラスチックリサイクル材料102を多軸スクリューマシン104に供給するための主インレットホッパ152を有する供給開口150を有する。処理要素シャフト130は、入口ゾーン142においてプラスチックリサイクル材料102を搬送方向140に搬送するためのスクリュー要素154を有する。
【0030】
プラスチックリサイクル材料102の溶融は、可塑化ゾーン144で行われる。溶融のために、可塑化ゾーン144における処理要素シャフト130は、混錬ディスク(Knetscheiben)の形態の混錬要素(Knetelemente)160を有する。可塑化ゾーン144では、プラスチックリサイクル材料102が溶融されてプラスチック溶融物106になる。さらに、可塑化ゾーン144では、プラスチック溶融物106を均質化することができる。
【0031】
滞留ゾーン146は、可塑化ゾーン144と出口ゾーン148との間に配置されている。溶融プラスチック106の滞留は、滞留ゾーン148において行われる。このために、処理要素シャフト130は、滞留ゾーン144において滞留要素158、例えば滞留ディスク(Stauscheibe)を有する。溶融プラスチック106は、滞留によって実質的に搬送方向140に対して押し戻される。処理装置100はまた、滞留ゾーン146を橋渡しする溶融物チャネル160を有し、この溶融物チャネル160は可塑化ゾーン144と排出ゾーン148とを接続している。プラスチック溶融物106をフィルタリングするための溶融物フィルタユニット162が、溶融物チャネル160内に効果的に配置されている。滞留要素158によって押し戻されたプラスチック溶融物106は、ハウジング108において滞留ゾーン146の直前に設けられた出口開口164を通って、溶融物フィルタユニット162に通じる溶融物チャネル160に押し込まれる。
【0032】
溶融物フィルタユニット162は、連続的又は非連続的に作動可能な溶融物フィルタ168を有する。溶融物フィルタ168は、プラスチック溶融物106をフィルタリングするように設計された1つ以上のフィルタ要素を有する。さらに、溶融物フィルタユニット162は、溶融圧力を構成するための、溶融ポンプとして形成された圧力構成ユニット170を有する。圧力構成ユニット170を用いて、プラスチック溶融物106を特定の圧力で溶融物フィルタ168を通して押圧することができる。
【0033】
溶融プラスチック106が溶融物フィルタユニット166によってフィルタリングされた後、ハウジング108内の滞留ゾーン146の直後に存在する、溶融物フィルタユニット162から来る溶融物チャネル160の入口開口166を通って多軸スクリューマシン104に再び供給され、フィルタリングされたプラスチック溶融物106が排出ゾーン148に入る。
【0034】
排出ゾーン148において、処理要素シャフト130は、フィルタリングされたプラスチック溶融物106を排出するためのスクリュー要素172、例えば搬送スクリュー要素172を有する。さらに、ハウジング122には、プラスチック溶融物106を脱ガスするための脱ガス口174が形成されている。脱ガス口174は真空脱ガスユニット176に接続されており、したがってプラスチック溶融物106は真空脱ガスユニット176によって脱ガス口174を介して脱ガスされる。真空脱ガスユニット176は真空ポンプ178からなり、この真空ポンプ178はセパレータ180を介して脱ガス口174に接続されている。あるいは、脱ガス口174は、脱ガス及び/又は雰囲気に対して換気若しくは排気する(Entlueftung gegenueber Atmosphaere)ように構成されることもできる。最後段のハウジングセクション124には、ハウジング108を終端し、排出口184を形成するノズルプレート182が配置される。フィルタリングされたプラスチック溶融物106は、排出口184を通して排出され得る。排出口184には、リアクタ、特に熱分解リアクタが接続され得る(図1には詳細に示されていない)。反応器は、排出されフィルタリングされたプラスチック溶融物106の熱分解のために設計され得る。蒸留器をリアクタに接続することもできる。
【0035】
調製装置100又はその多軸スクリューマシン104は、特に、プラスチック溶融物106を可塑化し、フィルタリングするように設計されている。これは、ケミカルリサイクルの際に、2軸スクリュー押出機を用いて汚染されたプラスチック溶融物をフィルタリングできる。
【0036】
以下では、プラスチックリサイクル材料102の調製、あるいは調製装置100を用いた調製方法について説明する。
【0037】
細断されたプラスチックリサイクル材料102は、例えば供給装置を用いて及び/又は主インレットホッパ152を介して多軸スクリューマシン104に供給され、入口ゾーン142に入る。入口ゾーン142において、プラスチックリサイクル材料102は、搬送方向142において可塑化ゾーン144に搬送される。その後、供給されたプラスチックリサイクル材料102は、可塑化ゾーン144において、処理要素シャフト130又はそれらの混練要素156を用いて溶融され、プラスチック溶融物106になる。
【0038】
滞留ゾーン146の直前で、溶融プラスチック106の少なくとも一部が多軸スクリューマシン104から送り出され、その後、溶融物フィルタユニット162によってフィルタリングされる。フィルタリングされたプラスチック溶融物106は、その後、多軸スクリューマシン104に戻され、そこで排出ゾーン148に入る。
【0039】
プラスチック溶融物106から抜けるガスは、排出ゾーン152において、真空脱ガスユニット176を用いて排出される。その後、フィルタリングされたプラスチック溶融物106は、多軸スクリューマシン104から排出される。
【0040】
排出されたプラスチック溶融物106は、その後、リアクタ、例えば熱分解リアクタに供給されることができる。その後、溶融プラスチック106の熱分解をリアクタ内で行うことができる。熱分解後に蒸留が行われるように、蒸留器をリアクタに接続することができる。
【0041】
あるいは、多軸スクリュー機104から排出されるフィルタリングされたプラスチック溶融物106は、フィルタユニットを用いてフィルタリングされ、及び/又は造粒ユニットを用いて造粒され得る。別の変形例では、多軸スクリューマシン104から排出されたフィルタリングされたプラスチック溶融物106は、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置、スクリューマシン、又は別のさらなる処理システムに供給することができる。
【0042】
「ことができる、ことがある、得る(kann)」という用語は、特に本発明の任意の特徴を指す。したがって、追加的又は代替的にそれぞれの1つ以上の特徴を有する本発明のさらなる実施形態及び/又は実施例も存在する。
【0043】
必要に応じて、単離された特徴を、本明細書に開示された特徴の組み合わせから選択し、他の特徴と組み合わせて使用することにより、特徴間に存在し得る構造的及び/又は機能的関係を解決しながら、請求項の主題を定義することもできる。
方法のステップの順序及び/又は数は変更され得る。
【符号の説明】
【0044】
100 調製装置(Aufbereitungsvorrichtung)
102 プラスチックリサイクル材料(Kunststoff-Recyclingmaterial)
104 多軸スクリューマシン(Mehrwellenschneckenmaschine)
106 プラスチック溶融物(Kunststoffschmelze)
108 ハウジング(Gehaeuse)
110-124 ハウジングセクション(Gehaeuseabschnitte)
128 ハウジング孔(Gehaeusebohrungen)
130 処理要素シャフト(Behandlungselement-Wellen)
132 駆動モータ(Antriebsmotor)
134 回転軸(Drehachsen)
136 分岐ギアボックス(Verzweigungsgetriebe)
138 クラッチ(Kupplung)
140 搬送方向(Foerderrichtung)
142 入口ゾーン(Einzugszone)
144 可塑化ゾーン(Plastifizierzone)
146 滞留ゾーン(Stauzone)
148 排出ゾーン(Austragszone)
150 供給開口(Zufuehroeffnung)
152 主インレットホッパ(Haupt-Einlauftrichter)
154 搬送スクリュー要素(Foerder-Schneckenelemente)
156 混練要素(Knetelemente)
158 滞留要素(Stauelement)
160 溶融物チャネル(Schmelzekanal)
162 溶融物フィルタユニット(Schmelzefiltereinrichtung)
164 出口開口(Ausmuendung)
166 入口開口(Einmuendung)
168 溶融物フィルタ(Schmelzefilter)
170 圧力構成ユニット(Druckaufbaueinheit)
172 スクリュー要素(Schneckenelemente)
174 脱ガス口(Entgasungsoeffnung)
176 真空脱ガスユニット(Vakuum-Entgasungseinrichtung)
178 真空ポンプ(Vakuumpumpe)
180 セパレータ(Abscheider)
182 ノズルプレート(Duesenplatte)
184 排出口(Austragsoeffnung)
【0045】
[付記1]
プラスチック材料を調製する装置であって、
- 供給されるプラスチック材料を可塑化してプラスチック溶融物にするためにハウジング内で支持された少なくとも2つの処理要素シャフトを備える多軸スクリューマシン、特に2軸スクリューマシンであって、前記多軸スクリューマシンは、可塑化ゾーン、排出ゾーン、及び、前記可塑化ゾーンと前記排出ゾーンとの間に配置され、前記プラスチック溶融物を滞留させる少なくとも1つの滞留要素を有する滞留ゾーン、を備える、多軸スクリューマシンと、
- 前記可塑化ゾーンと前記排出ゾーンとを相互に接続し、前記滞留ゾーンを橋渡しする、少なくとも1つの溶融物チャネルと、
- 前記プラスチック溶融物をフィルタリングするために、前記溶融物チャネル内に効果的に配置された、少なくとも1つの溶融物フィルタユニットと、
を備える装置。
[付記2]
前記ハウジング内で、溶融物フィルタユニットに通じる前記溶融物チャネルへの出口開口が前記滞留ゾーンの直前に設けられており、かつ、
前記ハウジング内で、前記溶融物フィルタユニットから来る前記溶融物チャネルの入口開口が前記滞留ゾーンの直後に設けられている、
付記1記載の装置。
[付記3]
前記少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、連続的又は非連続的に作動可能である溶融物フィルタを備える、
付記1又は2記載の装置。
[付記4]
前記少なくとも1つの溶融物フィルタユニットは、溶融圧力を構成するための圧力構成ユニット、特に溶融ポンプを備える、
付記1乃至3いずれか1項記載の装置。
[付記5]
前記ハウジング内には脱ガスのために少なくとも1つの脱ガス口が設けられており、
前記少なくとも1つの脱ガス口は、前記多軸スクリューマシンの入口ゾーン、前記可塑化ゾーン、前記滞留ゾーン、又は、排出ゾーン内に配置されている、
付記1乃至4いずれか1項記載の装置。
[付記6]
前記少なくとも1つの脱ガス口は、脱ガスユニット、特に真空脱ガスユニットに接続されているか、又は
前記少なくとも1つの脱ガス口は、脱ガス及び/又は雰囲気に対して換気若しくは排気するように構成されている、
付記5記載の装置。
[付記7]
前記多軸スクリューマシンは2軸スクリュー押出機である、
付記1乃至6いずれか1項記載の装置。
[付記8]
前記ハウジングの、搬送方向において最後段のハウジングセクションに排出口が設けられており、前記排出口を介して前記プラスチック溶融物を取り出し可能であり、
前記排出口に、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置若しくはスクリューマシンが接続されているか、又は
前記排出口に、フィルタユニット及び/又は造粒ユニットが接続されている、
付記1乃至7いずれか1項記載の装置。
[付記9]
プラスチック材料を調製する方法であって、
- 前記プラスチック材料を多軸スクリューマシン、特に2軸スクリューマシンに供給するステップと、
- 供給された前記プラスチック材料を、前記多軸スクリューマシンを用いて可塑化し、プラスチック溶融物にする、ステップと、
- 前記多軸スクリューマシンから前記プラスチック溶融物の少なくとも一部を送出し、送出された前記プラスチック溶融物を、溶融物フィルタユニットを用いてフィルタリングし、フィルタリングされた前記プラスチック溶融物を前記多軸スクリューマシンに戻す、ステップと、
を含む方法。
[付記10]
前記プラスチック溶融物は、均質化され及び/又は脱ガスされる、
付記9記載の方法。
[付記11]
前記プラスチック溶融物を前記多軸スクリューマシンから排出し、その後、熱分解リアクタなどのリアクタを用いて前記プラスチック溶融物の熱分解を行う、
付記9又は10いずれか1項記載の方法。
[付記12]
前記プラスチック溶融物を前記多軸スクリューマシンから排出し、その後、リアクタ、押出ツール、ストランドヘッドツール、ノズル装置、スクリューマシン、フィルタユニット、造粒ユニット又はさらなる処理システムに供給する、
付記9又は10いずれか1項記載の方法。
図1
【外国語明細書】