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特開2024-144388モータドライバ回路および駆動方法、それを用いた冷却装置および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144388
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】モータドライバ回路および駆動方法、それを用いた冷却装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/20 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
H02P6/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055336
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2023056547
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩之
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 翼
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA01
5H560BB04
5H560BB07
5H560DA02
5H560DB02
5H560DC12
5H560EB01
5H560EC01
5H560EC02
5H560ED07
5H560HA01
5H560HA02
5H560JJ02
5H560JJ13
5H560RR10
5H560SS01
5H560UA01
5H560XA12
5H560XB01
(57)【要約】
【課題】強制同期起動期間中に正確なFG信号を発生可能なモータドライバ回路を提供する。
【解決手段】コントロールロジック回路210は、ホール信号SHALLにもとづいて、モータ102と接続されるインバータ回路230を制御する。コントロールロジック回路210は、強制同期駆動のための通電パターンを発生し、通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替える。コントロールロジック回路210は、ハイ検出区間中に、ホール信号SHALLのハイを検出すると、内部ホール信号SHALL(INT)をハイとし、ロー検出区間中に、ホール信号SHALLのローを検出すると、内部ホール信号SHALL(INT)をローとする。そして当該内部ホール信号SHALL(INT)に応じたFG信号を発生する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホール信号にもとづいて、前記モータと接続されるブリッジ回路を制御するコントロールロジック回路を備え、
前記コントロールロジック回路は、
強制同期駆動のための通電パターンを発生し、前記通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替え、ハイ検出区間中に、前記ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、前記ホール信号のローを検出すると、前記内部ホール信号をローとし、当該内部ホール信号に応じたFG信号を発生する、モータドライバ回路。
【請求項2】
前記ブリッジ回路をさらに備える、請求項1に記載のモータドライバ回路。
【請求項3】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1または2に記載のモータドライバ回路。
【請求項4】
前記モータはファンモータである、請求項1または2に記載のモータドライバ回路。
【請求項5】
センサ付きのファンモータと、
前記モータを駆動する請求項1または2に記載のモータドライバ回路と、
を備える、冷却装置。
【請求項6】
プロセッサと、
前記プロセッサを冷却するファンモータと、
前記モータを駆動する請求項1または2に記載のモータドライバ回路と、
を備える、電子機器。
【請求項7】
モータの駆動方法であって、
ホール信号を発生するステップと、
強制同期駆動のための通電パターンを発生するとともに、前記通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替えるステップと、
ハイ検出区間中に、前記ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、前記ホール信号のローを検出すると、前記内部ホール信号をローとするステップと、
前記内部ホール信号にもとづいてFG信号を発生するステップと、
を備える、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
モータドライバ回路は、駆動対象のモータの回転数を示すFG(Frequency Generation)信号を外部に出力する。センサ付きモータの場合、モータがある程度速い速度で回転している状態では、ホール信号にもとづいてFG信号を発生することができる。
【0003】
モータが停止しているとき、ホール信号は一定レベルとなる。そこでモータドライバ回路は、モータの駆動開始時には、ホール信号とは無関係に、所定時間ごとに駆動相を所定の順序で切替える。これを強制同期駆動という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-088253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強制同期駆動によりモータが回転し始めると、パルス状のホール信号が現れる。しかしながら、強制同期起動期間中、ホール信号は磁界の影響によってチャタリングする。そのためホール信号にもとづいてFG信号を生成すると、精度が低下する。
【0006】
本開示は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の目的のひとつは、強制同期起動期間中に正確なFG信号を発生可能なモータドライバ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様のモータドライバ回路は、ホール信号にもとづいて、モータと接続されるブリッジ回路を制御するコントロールロジック回路を備える。コントロールロジック回路は、強制同期駆動のための通電パターンを発生し、通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替え、ハイ検出区間中に、ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、ホール信号のローを検出すると、内部ホール信号をローとし、当該内部ホール信号に応じたFG信号を発生する。
【0008】
本開示の別の態様は、モータの駆動方法である。この駆動方法は、ホール信号を発生するステップと、強制同期駆動のための通電パターンを発生するとともに、通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替えるステップと、ハイ検出区間中に、ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、ホール信号のローを検出すると、内部ホール信号をローとするステップと、内部ホール信号にもとづいてFG信号を発生するステップと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本開示の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示のある態様によれば、強制同期起動期間中に正確なFG信号を発生できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係るモータドライバ回路を備えるシステムの回路図である。
図2図2は、インバータ回路の状態を示す図である。
図3図3は、120°通電方式における第4状態(ホール駆動区間)で生成される信号を示す図である。
図4図4は、180°通電方式における第4状態(ホール駆動区間)で生成される信号を示す図である。
図5図5は、コントロールロジック回路の状態遷移図である。
図6図6は、起動開始時に、モータの回転が停止していたときのタイムチャートである。
図7図7は、起動開始時に、モータが回転数より遅い速度で空転していたときのタイムチャートである。
図8図8は、起動開始時に、モータが回転数より速い速度で空転していたときのタイムチャートである。
図9図9は、強制同期起動期間におけるFG信号の発生を説明する図である。
図10図10は、冷却装置を備えるコンピュータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0013】
一実施形態に係るモータドライバ回路は、ホール信号にもとづいて、モータと接続されるブリッジ回路を制御するコントロールロジック回路を備える。コントロールロジック回路は、強制同期駆動のための通電パターンを発生し、通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替え、ハイ検出区間中に、ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、ホール信号のローを検出すると、内部ホール信号をローとし、当該内部ホール信号に応じたFG信号を発生する。
【0014】
強制同期区間中に、ロータが、通電パターンにもとづく回転磁界に追従しているものと仮定して、ホール信号がハイとなるべき期間をハイ検出区間、ホール信号がローとなるべき期間をロー検出区間と定める。そして、ハイ検出区間中に、ホール信号のハイを検出すると、それを正しいものとして内部ホール信号をハイとし、ホール信号のローを検出した場合はそれを誤ったものとして無視し、内部ホール信号のレベルを維持する。同様に、ロー検出区間中に、ホール信号のローを検出すると、それを正しいものとして内部ホール信号をローとし、ホール信号のハイを検出した場合はそれを誤ったものとして無視し、内部ホール信号のレベルを維持する。こうして生成される内部ホール信号は、ホール信号からチャタリングなどの影響を除去したものとなるから、この内部ホール信号を利用することで、正確なFG信号を生成できる。
【0015】
一実施形態に係るモータドライバ回路は、ブリッジ回路をさらに備えてもよい。
【0016】
一実施形態に係るモータドライバ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0017】
一実施形態において、モータはファンモータであってもよい。
【0018】
一実施形態に係る冷却装置は、センサ付きのファンモータと、モータを駆動する上述のいずれかのモータドライバ回路と、を備えてもよい。
【0019】
一実施形態に係る電子機器は、プロセッサと、プロセッサを冷却するファンモータと、モータを駆動する上述のいずれかのモータドライバ回路と、を備えてもよい。
【0020】
(実施形態)
以下、好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
図1は、実施の形態に係るモータドライバ回路200を備えるシステム100の回路図である。モータドライバ回路200は、モータ102を駆動する。モータ102は、三相ブラシレスDCモータであり、1個のホール素子104が取り付けられた1ホールセンサ付きモータである。たとえばモータ102は、ファンモータであり、システム100は、冷却装置であり得る。あるいはシステム100は、冷却装置と、冷却対象のCPUなどを備える電子機器であってもよい。
【0024】
ホール素子104には、モータドライバ回路200によって生成されるホールバイアス電圧VHBが供給される。ホール素子104は、モータ102のロータの位置を示す一対のホール電圧VH+,VH-を出力する。
【0025】
モータドライバ回路200は、モータ102のU相、V相、W相のコイルと接続されるU相出力U、V相出力V、W相出力Wを有する。またモータドライバ回路200は、ホール電圧VH+,VH-を受けるホール入力端子HIN+,HIN-を有する。各相の出力OUT#(#=U,V,W)は、ハイ(H)、ロー(L)またはハイインピーダンス状態(HiZ)を取り得る。ハイHは、固定的なハイのみでなく、PWM変調された状態も含みうる。
【0026】
モータドライバ回路200は、コントロールロジック回路210、プリドライバ220、インバータ回路230、ホール信号生成回路240、逆起電力検出回路250、電流リミット回路260、オシレータ280、出力回路282、レギュレータ回路284、バッファ286を備え、ひとつの半導体基板上に一体集積化される。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
【0027】
モータドライバ回路200の電源(VDD,VM)端子には、図示しない外部電源からの電源電圧VDDが供給される。
【0028】
オシレータ280は、システムクロック信号を生成する。オシレータ280の発振周波数は、周波数設定ピンSOSCに接続されるキャパシタCの容量値に応じて調節可能となっている。
【0029】
レギュレータ回路284は、所定レベルに安定化された電圧VREGを生成する。電圧VREGは、モータドライバ回路200の内部の各回路ブロックに供給される。
【0030】
ホール信号生成回路240は、ホールバイアス回路242およびホールコンパレータ244を含む。ホールバイアス回路242は、HBピンを介してホール素子104にバイアス信号を供給する。ホールコンパレータ244は、ホール電圧VH+とVH-を比較し、大小関係を示すホール信号SHALLを生成する。ホール信号SHALLは、ホール電圧VH+、VH-が交差するたびに遷移するパルス信号である。
【0031】
逆起電力検出回路250は、モータ102の中性点電圧VCOMを、出力電圧Vと比較することにより、BEMF信号を生成する。この例では、電圧源252が、中性点電圧VCOMを生成する。中性点電圧VCOMは、電源電圧Vの中点電圧V/2ととってもよいし、3相出力電圧V,V,Vをスター結線された抵抗網によって分圧することにより得てもよい。あるいはモータ102に中性点のタップが設けられている場合、タップの電圧を、中性点として用いることができる。なお、逆起電力を検出する際には、検出用の窓が開けられ、この窓の期間、インバータ回路230の出力がハイインピーダンスとされる。
【0032】
回転数制御ピンPWMには、モータ102の回転数の指令信号が入力される。この指令信号は、パルス幅変調された信号(PWM)として与えられ、そのデューティサイクルが、回転数の目標値を表す。
【0033】
コントロールロジック回路210は、ホール信号SHALL、BEMF信号にもとづいて、インバータ回路230の状態を制御する制御信号SCNTを生成する。たとえばコントロールロジック回路210は、120°通電方式あるいは180°通電方式(もしくは150°通電方式)によって、制御信号SCNTを生成することができる。コントロールロジック回路210は、モータ102の目標回転数(PWM信号のデューティサイクル)に応じて、モータ102のPWM制御のデューティサイクルをスケーリングしてもよい。
【0034】
プリドライバ220は、コントロールロジック回路210が生成した制御信号SCNTにもとづいて、インバータ回路230を駆動する。インバータ回路230は、三相ブリッジ回路であり、U相レグ232、V相レグ234、W相レグ236を含む。U相レグ232は上アームUH,下アームULを含み、V相レグ234は上アームVH,下アームVLを含み、W相レグ236は上アームWH,下アームWLを含む。上アーム#Hがオン、下アーム#Lがオフのとき、出力OUT#はハイ、上アーム#Hがオフ、下アーム#Lがオンのとき、出力OUT#はロー、上アーム#Hと下アーム#Lが両方オフのとき、出力OUT#はハイインピーダンスとなる。
【0035】
インバータ回路230は、抵抗接続ピンRNFを介してシャント抵抗Rと接続される。シャント抵抗Rには、モータ102に流れる電流に応じた電圧降下(電流検出信号)が発生する。電流リミット回路260の電流クランプコンパレータ262は、電流検出信号をクランプ電圧VCLと比較する。コントロールロジック回路210は、電流クランプコンパレータ262の出力にもとづいて、オン状態にあるアームをターンオフする。これにより、電流制限がかかる。電流リミット回路260はソフトスタート機能を備える。電流源266は、ピンSSに接続されるキャパシタCを充電する。アンプ264は、ピンSSの電圧をスケーリングし、ソフトスタート電圧VSSを生成する。電流クランプコンパレータ262は、電圧VCLとVSSのうち、低い方を、クランプレベルとする。
【0036】
コントロールロジック回路210は、ホール信号SHALLに応じて、FG信号を発生する。出力回路282は、FG信号を端子FGから外部に出力する。コントロールロジック回路210によるFG信号の発生について説明する。
【0037】
モータ102を安定的に回転しているときには、ホール信号SHALLを直接利用してFG信号が生成される。
【0038】
モータ102が安定的に回転する前、すなわちモータの始動時のFG信号の発生について説明する。
【0039】
コントロールロジック回路210は、シーケンサ212、パターン発生器214、内部ホール信号発生器216、FG信号発生器218を備える。シーケンサ212は、ステートマシンであり、モータドライバ回路200の状態を制御する。パターン発生器214は、各状態に応じて、インバータ回路230の状態を規定する制御信号SCNTを発生する。
【0040】
たとえばモータドライバ回路200は、以下の状態φ1~φ7を取り得る。
【0041】
・第1状態φ1
第1状態φ1において、コントロールロジック回路210は、インバータ回路230の出力OUTU,OUTV,OUTWをハイインピーダンス状態(HiZ)とする。この第1状態φ1は、空転判定に利用される。
【0042】
・第2状態φ2
第2状態φ2においてコントロールロジック回路210は、インバータ回路230の各相の出力OUTU,OUTV,OUTWを、所定の状態に固定する。所定の状態は限定されないが、一例では、OUTU=H,OUTV=L,OUTW=Hである。第2状態φ2は、位置が確定しないロータの位置を、所定の位置(初期位置と称する)で固定するために利用され、初期位置固定区間とも称する。
【0043】
・第3状態φ3
第3状態φ3においてコントロールロジック回路210は、インバータ回路230の各相の出力OUTU,OUTV,OUTWの状態を、所定時間ごとに、つまりホール信号SHALLの変化と無関係に、所定の順序で切りかえる。第3状態φ3を、強制同期起動区間とも称する。
【0044】
・第4状態φ4
第4状態φ4においてコントロールロジック回路210は、インバータ回路230の各相の出力OUTU,OUTV,OUTWの状態を、ホール信号SHALLと同期して、つまりロータの回転と同期して、所定の順序で切りかえる(転流制御)。第4状態φ4は、モータ102を安定的に回転させる区間でありホール駆動区間とも称される。第4状態φ4では、三相出力OUTU,OUTV,OUTWは、120°通電方式、あるいは180°通電方式で制御される。
【0045】
120°通電方式では、ホール信号SHALLと同期して、駆動電流を供給するコイル(駆動相)を切り替えかえる(転流制御)。
【0046】
180°通電方式では、ホール信号SHALLにもとづいて、駆動相を切り替えかえる(転流制御)。また180度通電方式では、モータ102の回転数に応じて、正弦波駆動のための波形データSINU~SINWを生成し、波形データSINU~SINWにもとづいて、インバータ回路230をPWM制御する。
【0047】
・第5状態φ5
第5状態φ5において、コントロールロジック回路210は、第1状態φ1と同様に、インバータ回路230の出力OUTU,OUTV,OUTWをハイインピーダンス状態とする。
【0048】
・第6状態φ6
第6状態φ6においてコントロールロジック回路210は、インバータ回路230の各相の出力OUTU,OUTV,OUTWを同一レベル(たとえばすべてロー)に固定する。ファンモータに異物が挟まるなどして、モータがロックした場合に、コイルや半導体素子に過大な電流が流れるなどしてデバイスとしての信頼性を損ねるおそれがある。第6状態φ6は、こうした問題に対処するために、モータの停止時にモータコイルへの通電を停止するロック保護区間に対応する。
【0049】
・第7状態φ7
第7状態φ7においてコントロールロジック回路210は、第6状態φ6と同様に、インバータ回路230の各相の出力OUTU,OUTV,OUTWを同一レベル(たとえばすべてロー)に固定する。第7状態φ7は、ファンモータの起動時に、空転しているロータを強制的に停止させるブレーキ区間に対応する。
【0050】
図2は、インバータ回路230の状態を示す図である。図2の左には、第1状態φ1および第5状態φ5が示され、図2の中央には、第2状態φ2が示され、図2の右には第6状態φ6、第7状態φ7が示される。第3状態φ3および第4状態φ4におけるインバータ回路230の状態制御は、駆動方式に応じて定めればよい。パターン発生器214は、各状態φ1~φ7に対応する制御信号SCNTを生成する。
【0051】
図3は、120°通電方式における第4状態(ホール駆動区間)φ4で生成される信号を示す図である。第3状態φ3についても、同様の順序でインバータ回路230の状態を変化させればよい。なお、ホール信号SHALLの位相は、ホール素子104の取り付け位置に応じて定まる。
【0052】
図4は、180°通電方式における第4状態(ホール駆動区間)φ4で生成される信号を示す図である。ここでは波形データSINU~SINWとして理想的な正弦波を示すが、その波形は変調方式(2相変調、3相変調)によって異なる。たとえば2相変調では、双コブの正弦波が用いられる場合がある。また正弦波に代えて、それを簡略化した台形波やステップ波が用いられる場合もある。
【0053】
図4に示すように、波形データSINU~SINWそれぞれの周期は、ホール信号SHALLの周期と一致していなければならず、したがって波形データSINU~SINWの生成には、現在のモータの回転数に関する情報が必要となる。たとえばコントロールロジック回路210は、電気角で60°の時間を単位として、波形データSINU~SINWの生成を行ってもよい。この場合、コントロールロジック回路210は、電気角60°の時間を、モータ102の回転数を示す回転数情報として取得し、回転数情報に応じた時間スケールで、波形データSINU~SINWを生成してもよい。なお、波形データSINU~SINWは、BEMF信号にもとづいて生成してもよい。
【0054】
このように、180°通電方式では、モータ102の回転数に応じた周期の駆動波形SINU~SINWを生成する必要がある。モータの加速中においては、ある時刻の回転数(周期)を検出しても、それを利用する次の時刻においては、モータの回転数は直前に測定された回転数とは異なっており、制御が不安定となる。そこで、モータ102を加速させる第3状態φ3においては、120°通電方式を採用し、第4状態φ4に移行した後に、180°通電方式に切りかえてもよい。
【0055】
本実施形態では、モータ102の起動時、つまりモータドライバ回路200に回転開始の指示が与えられたときのモータ102の状態に応じて、起動シーケンスが切り替わる。回転開始の指示は、電源の投入であってもよいし、イネーブル信号のアサートであってもよい。
【0056】
(a)モータドライバ回路200に回転開始の指示が与えられたときに、モータ102が実質的に停止している場合、第1状態φ1、第2状態φ2、第3状態φ3、第4状態φ4の順で遷移し、モータ102が起動する。実質的に停止した状態とは、ゼロ近傍に定めた所定の回転数しきい値fより低い状態であり、言い換えれば、ホール信号SHALLの周期(全周期または半周期)τが所定のしきい値τより長い状態である。τは、fの逆数に比例するしきい値である。
【0057】
(b)モータドライバ回路200に回転開始の指示が与えられたときに、モータ102が、所定回転数fより高く、所定回転数fより低い速度で回転している場合、言い換えると、ホール信号SHALLの周期(全周期または半周期)τが所定のしきい値τより短く、しきい値τより長い場合に、第1状態φ1、第5状態φ5、第2状態φ2、第3状態φ3、第4状態φ4の順で遷移し、モータ102が起動する。τは、fの逆数に比例する定数であり、τ<τの関係が成り立つ。
【0058】
(c)モータドライバ回路200に回転開始の指示が与えられたときに、モータ102が所定回転数fより高い速度で回転している場合、言い換えると、ホール信号SHALLの周期(全周期または半周期)τが所定のしきい値τより短い場合に、第1状態φ1、第5状態φ5、第4状態φ4の順で遷移し、モータ102が起動する。
【0059】
図5は、コントロールロジック回路210の状態遷移図である。電源投入前は、停止状態φ0である。電源が投入されると、停止状態φ0から第1状態φ1に遷移する(T01)。Txyは、状態φxからφyへの遷移を表す。
【0060】
電源投入直後、モータ102が停止している保証はなく、空転している可能性もある。そこで電源投入直後の第1状態φ1において、空転判定が行われる。具体的には、インバータ回路230の三相出力をすべてハイインピーダンスとし、ホール信号SHALLを監視する。モータ102が完全に停止していれば、ホール信号SHALLはハイまたはローに留まり、レベル遷移(つまりエッジ)は生じない。
【0061】
コントロールロジック回路210は、(i-1)ホール信号SHALLを監視し、所定第1時間τ(たとえば100ms)の間に、ホール信号SHALLの遷移(つまりエッジ)が検出されない場合(τ>τ)、言い換えると、ホール信号SHALLの半周期τがしきい値τより長いとき、モータ102が実質的に停止しているものとして、第2状態φ2に遷移する(T12)。
【0062】
コントロールロジック回路210は、第1状態φ1において、(i-2)ホール信号SHALLの変化の間隔、すなわち半周期τが第1時間τより短い場合(τ<τ)、第5状態φ5に遷移する(T15)。この処理によれば、たとえば、τ=100ms、4極モータの場合、回転数fがf=150rpmより高いとき(f>f)に、空転状態と判定され、回転数fがfより低いとき(f≦f)に、停止状態と判定されることとなる。ノイズの影響を抑制するために、コントロールロジック回路210は、第1状態φ1において、第1時間τより短い間隔でのホール信号SHALLの変化を、複数回(M≧2、たとえばM=2)連続して検出した場合に第5状態φ5に遷移してもよい。
【0063】
上述のように、初期状態において、モータ102が停止していた場合、第2状態φ2、第3状態φ3、第4状態φ4の順序で遷移する。
【0064】
具体的には、第2状態φ2において、モータ102に印加される出力OUTU~OUTWの組み合わせが固定される。この状態では、モータ102のロータの位置は、出力の組み合わせに応じた目標初期位置で固定され、このとき、ホール信号SHALLは、目標初期位置に応じた適正レベル(期待状態)をとるはずである。
【0065】
コントロールロジック回路210は、(iii-1)第2状態φ2において、ホール信号SHALLが、期待状態を第3時間τ、維持した場合、第3状態φ3に遷移する(T23)。反対に、(iii-2)、ホール信号SHALLが期待状態(たとえばハイ)で安定しない場合、第6状態φ6に遷移する。コントロールロジック回路210は、たとえば、ホール信号SHALLが非期待状態(期待状態の反転論理、たとえばロー)を第4時間τ、維持した場合、またはホール信号SHALLが所定回数、切り替わった場合に、第6状態φ6に遷移してもよい。たとえばτは1秒程度に定めることができる。
【0066】
ロータが目標初期位置に移動したことが確認されると、第3状態φ3に遷移する。第3状態φ3に遷移した直後は、モータ102は回転していないから、ホール信号SHALLは一定レベルをとるため、ホール信号SHALLと同期した駆動はできない。そこで、第3状態φ3では、ホール信号SHALLとは無関係に、所定の時間間隔で、インバータ回路230の状態(駆動相)が切りかえられる。第3状態φ3において、所定条件が満たされると、第4状態φ4に遷移する(T34)。
【0067】
所定条件は、モータ102が正しく回転し始めたこと(始動の成功)を検出できるように定められる。たとえばコントロールロジック回路210は、インバータ回路230の出力の状態が所定回数(たとえば28回)、切り替わった場合、またはホール信号SHALLとBEMF信号の位相差が、所定値以下となった場合に、第4状態φ4に遷移してもよい。
【0068】
第3状態φ3において、モータ102の始動に失敗した場合、第6状態φ6に遷移する(T36)。たとえばコントロールロジック回路210は、第2状態φ2に遷移してからの経過時間が、所定時間(たとえば1秒)の間に、ホール信号SHALLの変化が検出できないとき、始動失敗と判定して第6状態φ6に遷移してもよい。
【0069】
モータ102の始動に成功し、第4状態φ4に遷移すると、周期的なホール信号SHALLが観測可能である。そこでコントロールロジック回路210は、ホール信号SHALLと同期してモータ102を制御する。
【0070】
なお、第4状態φ4で、モータ102の回転数fが低速しきい値を下回ると(ロック状態)、あるいは高速しきい値を上回ると、第6状態φ6に遷移し(T46)、ロック保護がかかる。第6状態φ6に遷移した後、所定の保護時間(たとえば5秒)が経過すると、第1状態φ1に戻る(T61)。
【0071】
図6は、起動開始時に、モータ102の回転が停止していたときのタイムチャートである。
【0072】
時刻tに電源が投入され、それを起動指示として、コントロールロジック回路210が第1状態φ1に遷移する。モータ102は停止しているから、ホール信号SHALLは一定レベルを維持する。ホール信号SHALLの変化が第1時間τに渡って発生しないと、時刻tに第2状態φ2に遷移する。
【0073】
第2状態φ2において、インバータ回路230の出力が所定状態(たとえばU相、W相がハイ、V相がロー)に固定されると、ロータが、その状態に応じた位置に移動する。ホール信号SHALLが期待状態を第3時間τ持続すると、時刻tに第3状態φ3に遷移する。
【0074】
第3状態φ3では、インバータ回路230の出力の状態が時々刻々と変化する。これに追従して、モータ102が回転しはじめ、ホール信号SHALLも変化しはじめる。
【0075】
時刻tに、モータ102の始動成功が検出されると、第4状態φ4に遷移する。そして、ホール信号SHALLと同期して、インバータ回路230の状態が切りかえられ、モータ102の回転数fが目標値まで高められる。
【0076】
以上が、起動開始時に、モータ102の回転が停止していたときの動作である。続いて、図5に戻り、起動開始時に、モータ102が空転していたときの動作を説明する。
【0077】
上述のように、モータ102が空転していると、第5状態φ5に遷移する。
【0078】
第5状態φ5では、空転状態にあるモータ102の速度fが、回転数fより高いか低いかが判定される。回転数fは回転数fより高く定められ、たとえば400rpm程度とすることができる。
【0079】
そして、空転状態において、モータ102がfより遅く回転している場合(f<f)、言い換えると、ホール信号SHALLの周期T(全周期または半周期)が所定のしきい値τより長いとき、第2状態φ2に遷移する(T52)。その後の遷移は、上述した通りである。
【0080】
空転状態において、モータ102がfより速く回転しているとき(f>f)、言い換えると、ホール信号SHALLの周期T(全周期または半周期)が所定のしきい値τより短いときには、第2状態φ2、第3状態φ3をスキップし、直接、第4状態φ4に遷移する(T54)。
【0081】
たとえばコントロールロジック回路210は、(ii-1)第5状態φ5において、ホール信号SHALLの周期(たとえばネガティブエッジとネガティブエッジの間隔、あるいはポジティブエッジとポジティブエッジの間隔)が、所定の第2時間τより短い場合に、第4状態φ4に遷移し、(ii-2)そうでない場合に、第2状態φ2に遷移してもよい。たとえば4極モータで、τ=75msとした場合、f=400rpmとなる。ノイズの影響を抑制するために、コントロールロジック回路210は、第5状態φ5において、第2時間τより短い間隔でのホール信号SHALLの変化を、複数回(たとえば3回)連続して検出した場合に、第5状態φ5に遷移してもよい。
【0082】
第5状態φ5において、モータ102が逆転状態で空転している場合、第7状態φ7に遷移する(T57)。逆転判定は、たとえばホール信号SHALLとBEMF信号の位相関係から判定することができる。
【0083】
第7状態φ7では、モータ102にブレーキが掛けられる。第7状態φ7に遷移した後、所定のブレーキ時間(たとえば5秒)経過後に、第1状態φ1に戻る(T71)。
【0084】
図7は、起動開始時に、モータ102が回転数fより遅い速度で空転していたときのタイムチャートである。時刻tに第1状態φに起動する。第1状態φに遷移後、ホール信号SHALLの変化の時間間隔が第1時間τより短い状態がM回(ここでは2回)検出されると、第5状態φ5に遷移する(時刻t)。時刻tに、ホール信号SHALLの周期が、第2時間τより長いことが検出されると、第2状態φ2に遷移する。それ以降は図6と同様である。
【0085】
図8は、起動開始時に、モータ102が回転数fより速い速度で空転していたときのタイムチャートである。時刻tに第1状態φに起動する。第1状態φに遷移後、ホール信号SHALLの変化の時間間隔が第1時間τより短い状態がM回(ここでは2回)検出されると、第5状態φ5に遷移する(時刻t)。
【0086】
第5状態φ5において、第2時間τより短いホール信号SHALLの周期が検出されると、第4状態φ4に遷移する(時刻t)。ここでは1サイクルホール信号SHALLの周期がτ2より短いサイクルが1回検出されると、第4状態φ4に遷移する様子を示すが、好ましくは、複数サイクル(たとえば3サイクル)にわたって連続して検出されたことを、第4状態φ4への遷移条件としてもよい。
【0087】
時刻t以降、ホール信号SHALLと同期して制御信号SCNTが生成され、インバータ回路230が制御される。
【0088】
以上がモータドライバ回路200の起動シーケンスである。
【0089】
続いて、強制同期起動期間におけるFG信号の発生について説明する。
【0090】
強制同期起動期間では、パターン発生器214は、強制同期駆動のための通電パターンである制御信号SCNTを発生し、プリドライバ220に供給する。この通電パターンは、ロータの位置、すなわちホール信号SHALLの状態とは無関係に、所定時間ごとに進行していく。
【0091】
強制同期駆動のための通電パターンに対応して、ハイ検出区間THとロー検出区間TLが定められる。ハイ検出区間THは、ロータが通電パターンに追従して回転していると仮定したときに、ホール信号SHALLがハイとなるべき期間であり、ロー検出区間TLは、ロータが通電パターンに追従して回転していると仮定したときに、ホール信号SHALLがローとなるべき期間である。シーケンサ212は、たとえば、ハイ検出区間THにおいてハイ、ロー検出区間TLにおいてローとなるタイミング信号H/Lを発生し、内部ホール信号発生器216に供給する。タイミング信号H/Lは、ホール信号SHALLの期待値であるとも言える。
【0092】
内部ホール信号発生器216は、ホール信号SHALLおよびタイミング信号H/Lにもとづいて、内部ホール信号SHALL(INT)を生成する。具体的には内部ホール信号発生器216は、ハイ検出区間TH中ホール信号SHALLのハイを検出すると、内部ホール信号SHALL(INT)をハイとし、ロー検出区間TL中に、ホール信号SHALLのローを検出すると、内部ホール信号SHALL(INT)をローとする。
【0093】
FG信号発生器218は、内部ホール信号SHALL(INT)に応じたFG信号を発生する
。FG信号は、内部ホール信号SHALL(INT)と同じ信号であってもよいし、それを1/2倍、あるいは1/4倍に分周した信号であってもよい。
【0094】
図9は、強制同期起動期間におけるFG信号の発生を説明する図である。破線(i)に示すロー検出区間TLの間に発生したホール信号SHALLのハイは無視される。
【0095】
また破線(ii)に示すロー検出区間TLの間に発生したホール信号SHALLのハイは無視される。そしてロー検出区間TLでハイとなったホール信号SHALLはハイのまま次のハイ検出区間THに移行すると、内部ホール信号SHALL(INT)はハイに遷移する。
【0096】
以上が、強制同期起動期間におけるFG信号の発生である。このモータドライバ回路200によれば、ロータのふらつきによってホール信号SHALLがチャタリングした場合でも、内部ホール信号SHALL(INT)にはチャタリングの波形は現れず、正確なFG信号を発生することができる。
【0097】
以上、実施の形態について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0098】
(変形例1)
実施形態では、モータドライバ回路200にインバータ回路230が内蔵される場合を説明したが、本開示はその限りでなく、インバータ回路230はディスクリート部品を用いて外付けされてもよい。その場合、さらにプリドライバ220も、モータドライバ回路200の外部に設けられてもよい。
【0099】
(変形例2)
モータドライバ回路200による駆動対象はファンモータには限定されず、さまざまな三相ブラシレスモータの駆動に適用できる。
【0100】
(用途)
最後に、モータドライバ回路200の用途を説明する。図10は、冷却装置100Aを備えるコンピュータ500の斜視図である。冷却装置100Aは、モータ102と、図1のモータドライバ回路200とを備える。コンピュータ500は、筐体502、CPU504、マザーボード506、ヒートシンク508、および複数の冷却装置100A_1,100A_2を備える。
【0101】
CPU504は、マザーボード506上にマウントされる。ヒートシンク508は、CPU504の上面に密着されている。冷却装置100A_1は、ヒートシンク508と対向して設けられ、ヒートシンク508に空気を吹き付ける。冷却装置100A_2は、筐体502の背面に設置され、筐体502の外部の空気を内部に吸気し、あるいは内部の空気を外部に排気する。
【0102】
実施形態に係る冷却装置100Aは、モータ102を短時間で起動することが可能であるため、冷却対象を速やかに冷却することが可能となる。
【0103】
冷却装置100Aは、図10のコンピュータ500の他、ワークステーション、ノート型コンピュータ,テレビ、冷蔵庫、などの様々な電子機器に搭載可能である。
【0104】
具体的な用語を用いて説明される実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【0105】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0106】
(項目1)
ホール信号にもとづいて、前記モータと接続されるブリッジ回路を制御するコントロールロジック回路を備え、
前記コントロールロジック回路は、
強制同期駆動のための通電パターンを発生し、前記通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替え、ハイ検出区間中に、前記ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、前記ホール信号のローを検出すると、前記内部ホール信号をローとし、当該内部ホール信号に応じたFG信号を発生する、モータドライバ回路。
【0107】
(項目2)
前記ブリッジ回路をさらに備える、項目1に記載のモータドライバ回路。
【0108】
(項目3)
ひとつの半導体基板に一体集積化される、項目1または2に記載のモータドライバ回路。
【0109】
(項目4)
前記モータはファンモータである、項目1から3のいずれかに記載のモータドライバ回路。
【0110】
(項目5)
センサ付きのファンモータと、
前記モータを駆動する項目1から4のいずれかに記載のモータドライバ回路と、
を備える、冷却装置。
【0111】
(項目6)
プロセッサと、
前記プロセッサを冷却するファンモータと、
前記モータを駆動する項目1から4のいずれかに記載のモータドライバ回路と、
を備える、電子機器。
【0112】
(項目7)
モータの駆動方法であって、
ホール信号を発生するステップと、
強制同期駆動のための通電パターンを発生するとともに、前記通電パターンに対応して、ハイ検出区間とロー検出区間を切り替えるステップと、
ハイ検出区間中に、前記ホール信号のハイを検出すると、内部ホール信号をハイとし、ロー検出区間中に、前記ホール信号のローを検出すると、前記内部ホール信号をローとするステップと、
前記内部ホール信号にもとづいてFG信号を発生するステップと、
を備える、駆動方法。
【符号の説明】
【0113】
100 システム
102 モータ
104 ホール素子
200 モータドライバ回路
210 コントロールロジック回路
212 シーケンサ
214 パターン発生器
216 内部ホール信号発生器
218 FG信号発生器
220 プリドライバ
230 インバータ回路
240 ホール信号生成回路
242 ホールバイアス回路
244 ホールコンパレータ
250 逆起電力検出回路
260 電流リミット回路
262 電流クランプコンパレータ
280 オシレータ
282 出力回路
284 レギュレータ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10