(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144391
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】被覆装置、方法および電極
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20241003BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024055820
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】10 2023 202 931.6
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー ブースヴィンケル
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ショップフ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ロイバー
(72)【発明者】
【氏名】ローラント シュミット-ローバッハ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050FA02
5H050FA17
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA07
5H050GA22
5H050GA23
5H050GA29
5H050HA00
5H050HA04
5H050HA12
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極を製造するための被覆装置及び方法を提供する。
【解決手段】二層構造の粉末層12を有する電極11を基材15上に製造する被覆装置10に関し、圧着間隙18内に基材15を供給する供給ユニット17と、第1及び第2粉末20,21を収容し、第1調量間隙22を第1及び第2粉末で並行して充填する第1調量ユニット19とロール設備23を有し、ロール設備は第1被着ロール24、第1圧着ロールユニット25、第2圧着ロールユニット26を有し、第1調量間隙は第1被着ロールと第1圧着ロールユニット間に設けられ、圧着間隙は第1圧着ロールユニットと第2圧着ロールユニット間に設けられ、第1調量間隙は、第1及び第2粉末を二層構造の層27として第1圧着ロールユニットに第1被着力によって被着させるために設けられ、圧着間隙は、二層構造の層を第1圧着ロールユニットから基材の第1の側28に圧着力によって引き渡すために設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの二層構造の粉末層(12)、特に、二層構造のカソード層(13)および/または二層構造のアノード層(14)を有する電極(11)を基材(15)、特に集電体(16)上に製造するための被覆装置(10)であって、
前記被覆装置(10)は、
圧着間隙(18)内に基材(15)を供給する(110)供給ユニット(17)と、
第1の粉末(20)および第2の粉末(21)を収容し、第1の調量間隙(22)を前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)で並行して充填する(120)第1の調量ユニット(19)と、
ロール設備(23)と、
を有しており、
前記ロール設備(23)は、第1の被着ロール(24)、第1の圧着ロールユニット(25)および第2の圧着ロールユニット(26)を有しており、
前記第1の調量間隙(22)は、前記第1の被着ロール(24)と前記第1の圧着ロールユニット(25)との間に設けられており、前記圧着間隙(18)は、前記第1の圧着ロールユニット(25)と前記第2の圧着ロールユニット(26)との間に設けられており、
前記第1の調量間隙(22)は、前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)を、第1の少なくとも二層構造の層(27)として、前記第1の圧着ロールユニット(25)に第1の被着力(FA1)によって被着させる(130)ために設けられており、
前記圧着間隙(18)は、前記第1の少なくとも二層構造の層(27)を、前記第1の圧着ロールユニット(25)から、供給された前記基材(15)の第1の側(28)に、圧着力(FP)によって引き渡す(140)ために設けられている、
被覆装置(10)。
【請求項2】
第3の粉末(31)および第4の粉末(32)を収容し、第2の調量間隙(30)を前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)で並行して充填する(120)第2の調量ユニット(29)が設けられており、
前記ロール設備(23)は少なくとも1つの第2の被着ロール(33)を有しており、
第2の調量間隙(30)が、前記第2の被着ロール(33)と前記第2の圧着ロールユニット(26)との間に設けられており、
前記第2の調量間隙(30)は、前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)を、第2の少なくとも二層構造の層(34)として、前記第2の圧着ロールユニット(26)に第2の被着力(FA2)によって被着させる(130)ために設けられており、
前記圧着間隙(18)は、前記第2の少なくとも二層構造の層(34)を、前記第2の圧着ロールユニット(26)から、供給された前記基材(15)の第2の側(35)に、圧着力(FP)によって引き渡す(140)ために設けられている、
請求項1記載の被覆装置(10)。
【請求項3】
前記第1の圧着ロールユニット(25)は、少なくとも1つの第1の圧着ロール(36)と、少なくとも1つの第2の圧着ロール(37)とを有しており、前記少なくとも1つの第1の圧着ロール(36)と前記少なくとも1つの第2の圧着ロール(37)との間に、少なくとも1つの第1のプレス間隙(38)が設けられている、かつ/または
前記第2の圧着ロールユニット(26)は、少なくとも1つの第3の圧着ロール(39)と、少なくとも1つの第4の圧着ロール(40)とを有しており、前記少なくとも1つの第3の圧着ロール(39)と前記少なくとも1つの第4の圧着ロール(40)との間に、少なくとも1つの第2のプレス間隙(41)が設けられている、
請求項1または2記載の被覆装置(10)。
【請求項4】
前記第1の調量ユニット(19)は、前記第1の調量間隙(22)の領域において、前記第1の粉末(20)と前記第2の粉末(21)とを分離するための第1の分離薄板(42)を有しており、かつ/または
前記第2の調量ユニット(29)は、前記第2の調量間隙(30)の領域において、前記第3の粉末(31)と前記第4の粉末(32)とを分離するための第2の分離薄板(43)を有している、
請求項1から3までのいずれか1項記載の被覆装置(10)。
【請求項5】
前記第1の調量間隙(22)の領域において、第1の遮蔽薄板(44)が前記第1の被着ロール(24)の領域に設けられており、かつ/もしくは第2の遮蔽薄板(45)が前記第1の圧着ロールユニット(25)の領域に設けられており、ならびに/または
前記第2の調量間隙(30)の領域において、第3の遮蔽薄板(46)が前記第2の被着ロール(33)の領域に設けられており、かつ/もしくは第4の遮蔽薄板(47)が前記第2の圧着ロールユニット(26)の領域に設けられている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の被覆装置(10)。
【請求項6】
基材(15)、特に集電体(16)上に、少なくとも1つの二層構造の粉末層(12)、特に、二層構造のカソード層(13)および/または二層構造のアノード層(14)を有する電極(11)を、請求項1から5までのいずれか1項記載の被覆装置(10)において製造するための方法(100)であって、前記方法(100)は、
供給ユニット(17)によって基材(15)を圧着間隙(18)内に供給するステップ(110)と、
第1の調量ユニット(19)によって第1の調量間隙(22)を第1の粉末(20)および第2の粉末(21)で並行して充填するステップ(120)と、
前記第1の調量間隙(22)において、第1の圧着ロールユニット(25)に、前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)を、第1の少なくとも二層構造の層(27)として、第1の被着力(FA1)によって被着させるステップ(130)と、
前記第1の少なくとも二層構造の層(27)を、第1の前記圧着間隙(18)において、前記基材(15)の第1の側(28)に、圧着力(FP)によって引き渡すステップ(140)と、
を有している、方法(100)。
【請求項7】
第2の調量ユニット(29)は、第2の調量間隙(30)を第3の粉末(31)および第4の粉末(32)で並行して充填し(120)、前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)は、第2の少なくとも二層構造の層(34)として、前記第2の調量間隙(30)において、第2の被着力(FA2)によって第2の圧着ロールユニット(26)に被着させられ(130)、
前記第2の少なくとも二層構造の層(34)は、前記圧着間隙(18)において前記圧着力(FP)によって前記基材(15)の第2の側(35)に引き渡される(140)、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1の調量ユニット(19)は前記第1の調量間隙(22)を連続的に充填する(120)、かつ/または前記第2の調量ユニット(29)は前記第2の調量間隙(30)を連続的に充填する(120)、請求項6または7記載の方法(100)。
【請求項9】
前記第1の調量ユニット(19)は前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)を、前記第1の少なくとも二層構造の層(27)の場合に前記圧着間隙(18)において、40~150μmの第1の層厚(SD1)が調節されるように調量し、前記第1の粉末(20)から成る第1の層(48)は10~70μmの層厚(SP1)を有しており、かつ/または
前記第2の調量ユニット(29)は前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)を、前記第2の少なくとも二層構造の層(34)の場合に前記圧着間隙(18)において、40~150μmの第2の層厚(SD2)が調節されるように調量し、前記第3の粉末(31)から成る第1の層(49)は10~70μmの層厚(SP3)を有している、
請求項6から8までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項10】
前記第1の少なくとも二層構造の層(27)を、前記第1の圧着ロールユニット(25)の少なくとも1つの第1のプレス間隙(38)においてプレスする(150)、かつ/または
前記第2の少なくとも二層構造の層(34)を、前記第2の圧着ロールユニット(26)の少なくとも1つの第2のプレス間隙(41)においてプレスする(150)、
請求項6から9までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項11】
前記第1の被着ロール(24)および/または前記第2の被着ロール(33)および/または前記第1の圧着ロールユニット(25)および/または前記第2の圧着ロールユニット(26)を、80℃~150℃の温度に温度調整する(160)、請求項6から10までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項12】
前記第1の圧着ロールユニット(25)と前記第2の圧着ロールユニット(26)とが、互いに向き合って同じ第1の回転速度(v1)で回転し、前記第1の圧着ロールユニット(25)の前記第1の回転速度(v1)と前記第1の被着ロール(24)の第2の回転速度(v2)との比は、10:1~10:4、好適には10:1.5~10:3、さらに好適には10:2~10:3であり、ならびに/または前記第2の圧着ロールユニット(26)の前記第1の回転速度(v1)と前記第2の被着ロール(33)の第3の回転速度(v3)との比は、10:1~10:4、好適には10:1.5~10:3、さらに好適には10:2~10:3である、請求項6から11までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか1項記載の被覆装置(10)および/または請求項6から12までのいずれか1項記載の方法(100)によって製造された、二層構造の粉末層(12)を有する電極(11)であって、
基材(15)は、第1の側(28)と第2の側(35)とを有する集電体(16)であり、
第1の少なくとも二層構造の層(27)は第1の粉末(20)と第2の粉末(21)とから成る、
電極(11)。
【請求項14】
第2の少なくとも二層構造の層(34)は第3の粉末(31)と第4の粉末(32)とから成る、請求項13記載の電極(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1に記載の特徴を有する、基材上に少なくとも1つの二層構造の粉末層を有する電極を製造するための被覆装置、独立請求項6に記載の特徴を有する、少なくとも1つの二層構造の粉末層を有する電極を製造するための方法、ならびに独立請求項13に記載の特徴を有する、二層構造の粉末層を有する電極に関する。
【0002】
溶剤を用いないもしくは乾燥型の電極製造のための試みにおいて、従来、一層構造の被覆を有する電極が製造されていた。電池セルの性能を改善するために、従来の電極製造において、多層構造の被覆(個々の層の種々異なる組成)を有する電極を製造するアプローチが追求されている。なぜなら、このような電極は、高められたエネルギ密度および導電性を有するからである。
【0003】
現在、溶剤を用いずに製造された、多層構造の被覆を有する電極は、しばしば自立型フィルムとして作製される。この際に2つの粉末は、カレンダ間隙内で集電体に押し付けられる。
【0004】
しかし、依然として、電極が湿式加工され、したがって溶剤を含有しているのが標準的である。
【0005】
別の様式は、基材の、そのために設けられた側への個々の層の順次の被着である。このために、たとえば順次配置された2つのカレンダ間隙において、それぞれ個々の層の自立型フィルムとしての被着および圧着が行われ得る。
【0006】
しかし、この場合には、しばしば、接着促進剤または粉末のある程度の湿分が必要になる。なぜなら、そうでないと各層の付着を保証することができないからである。これによって、被覆が完全ではない基材もしくは集電体が生じてしまうことがある。同様に、これによって、このように製造された電極の不良品の増加または電力の低下が生じる。
【0007】
したがって、本発明の課題は、上述した欠点のうちの少なくとも1つを、少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明の課題は、乾燥型の電極製造を可能にし、これによって電極の導電性もしくはエネルギ密度が高められる被覆装置を提供することである。さらに、本発明の課題は、乾燥型の電極製造のための方法およびこのように製造された電極を提供することである。
【0008】
上述の課題は、独立請求項1に記載の特徴を有する被覆装置、独立請求項6に記載の特徴を有する方法、ならびに独立請求項13に記載の特徴を有する電極によって解決される。本発明のさらなる特徴および詳細は、従属請求項、明細書および図面から明らかになる。本明細書では、本発明による被覆装置に関連して説明した特徴および詳細は、当然、本発明による方法に関連して、かつ/または本発明による電極に関連しても有効であり、さらにそれぞれその逆も有効であるので、本発明の個々の態様に対する開示について、常に相互に関連づけが行われる、もしくは関連づけが行われ得る。
【0009】
本発明によれば、本発明の第1の態様では、少なくとも1つの二層構造の粉末層、特に、二層構造のカソード層および/または二層構造のアノード層を有する電極を基材、特に集電体上に製造するための被覆装置が想定されている。被覆装置は、圧着間隙内に基材を供給する供給ユニットと、第1の粉末および第2の粉末を収容し、第1の調量間隙を第1の粉末および第2の粉末で並行して充填する第1の調量ユニットと、ロール設備とを有しており、ロール設備は、第1の被着ロール、第1の圧着ロールユニットおよび第2の圧着ロールユニットを有している。ここで、第1の調量間隙は、第1の被着ロールと第1の圧着ロールユニットとの間に設けられており、圧着間隙は、第1の圧着ロールユニットと第2の圧着ロールユニットとの間に設けられている。第1の調量間隙は、第1の粉末および第2の粉末を、第1の少なくとも二層構造の層として、第1の圧着ロールユニットに第1の被着力によって被着させるために設けられている。圧着間隙は、第1の少なくとも二層構造の層を、第1の圧着ロールユニットから、供給された基材の第1の側に、圧着力によって引き渡すために設けられている。
【0010】
被覆装置は、ロールによって運ばれる被覆に基づいており、ここでは、まず、少なくとも二層構造の層がロールに被着させられ、次いでロールから基材に引き渡されるもしくは圧着される。このことは、溶剤が含まれていない、乾燥した粉末材料による基材の被覆のために特に有利であり、したがって被覆装置は、乾燥型の電極製造に極めて適している。
【0011】
この第1の圧着ロールユニットおよび第2の圧着ロールユニットは、それぞれ1つの圧着ロールを有していてよい。少なくとも二層構造の層を引き渡すための圧着力を加えるために、圧着間隙を形成する、第1の圧着ロールユニットおよび第2の圧着ロールユニットの圧着ロールは、互いに向き合って同じ回転速度で回転し、これによって、最適な被覆結果を提供することができる。第1の被着ロールは、第1の被着ロールと共に調量間隙を形成する、第1の圧着ロールユニットの圧着ロールよりも低い回転速度を有していてよく、これによって、第1の粉末および第2の粉末が第1の層として、第1の圧着ユニットに付着し続けて、第1の圧着ユニットによって運ばれることが保証される。
【0012】
第1の調量ユニットは、第1の粉末も第2の粉末も同時に調量するので、所望の二層構造の層の、圧着プロセスにおける、すなわち圧着間隙の通過における被着が可能になる。この際、第1の粉末と第2の粉末とが相並んで充填され、境界領域においてのみ混ざることに留意されたい。第1の粉末と第2の粉末との混合を減らすために、第1の調量ユニットが第1の粉末のための第1のチャンバと第2の粉末のための第2のチャンバとを有していることが考えられる。
【0013】
第1の層における第1の粉末と第2の粉末との量の割合は、種々異なる層厚を生成するために可変であってよい。このために、各粉末の量の割合を開ループ制御および/または閉ループ制御するコントロールユニットが設けられることが考えられる。
【0014】
さらに、並行した、同時の調量もしくは調量間隙の充填によって被覆装置の効率が高まる。なぜなら、二層構造の粉末層を基材上に設けるために1つのロール設備しか必要とされないからである。二層構造の粉末層を同時に設けることによって、2つの粉末層間の境界層の形成が低減もしく阻止され、これによって付着および電気的な接続が改善される。
【0015】
被覆装置の発明の枠内で、第3の粉末および第4の粉末を収容し、第2の調量間隙を第3の粉末および第4の粉末で並行して充填する第2の調量ユニットが設けられており、ロール設備が少なくとも1つの第2の被着ロールを有しており、第2の調量間隙が、第2の被着ロールと第2の圧着ロールユニットとの間に設けられていることが有利であり得る。ここで、第2の調量間隙は、第3の粉末および第4の粉末を、第2の少なくとも二層構造の層として、第2の圧着ロールユニットに第2の被着力によって被着させるために設けられている。第1の圧着ロールユニットと第2の圧着ロールユニットとの間の圧着間隙は、第2の少なくとも二層構造の層を、第2の圧着ロールユニットから、供給された基材の第2の側に、圧着力によって引き渡すために設けられている。
【0016】
第2の被着ロールは、第2の被着ロールと共に調量間隙を形成する、第2の圧着ロールユニットの圧着ロールよりも低い回転速度を有していてよく、これによって、第3の粉末および第4の粉末が第2の層として、第2の圧着ユニットに付着し続けて、第2の圧着ユニットによって運ばれることが保証される。
【0017】
第2の調量ユニットは、第3の粉末も第4の粉末も同時に調量するので、所望の二層構造の層の、圧着プロセスにおける、すなわち圧着間隙の通過における被着が可能になる。この際、第3の粉末と第4の粉末とが相並んで充填され、境界領域においてのみ混ざることに注意されたい。第3の粉末と第4の粉末との混合を減らすために、第2の調量ユニットが第3の粉末のための第3のチャンバと第4の粉末のための第4のチャンバとを有していることが考えられる。
【0018】
第2の層における第3の粉末と第4の粉末との量の割合は、種々異なる層厚を生成するために可変であってよい。このために、コントロールユニットが各粉末の量の割合を開ループ制御および/または閉ループ制御することが考えられる。
【0019】
さらに、第1の粉末と第3の粉末とが同じ組成を有していること、および/または第2の粉末と第4の粉末とが同じ組成を有していることが考えられる。
【0020】
本発明の枠内で、第1の圧着ロールユニットが、少なくとも1つの第1の圧着ロールと、少なくとも1つの第2の圧着ロールとを有しており、少なくとも1つの第1の圧着ロールと少なくとも1つの第2の圧着ロールとの間に、少なくとも1つの第1のプレス間隙が設けられていることが考えられる。付加的にまたは代替的に、第2の圧着ロールユニットは、少なくとも1つの第3の圧着ロールと、少なくとも1つの第4の圧着ロールとを有しており、少なくとも1つの第3の圧着ロールと少なくとも1つの第4の圧着ロールとの間に、少なくとも1つの第2のプレス間隙が設けられている。
【0021】
第1のプレス間隙および/または第2のプレス間隙は、第1の層もしくは第2の層をプレスし、その後に、第1の層もしくは第2の層が基材に引き渡される。これによって、第1の層および第2の層のより密なパッキングを生成することができ、これによって、導電性をさらに改善することができる。さらに、調量間隙と圧着間隙との両方において、被着もしくは引き渡しのために作用する力がより少なくて済むので、これらの間隙において作用する剪断力を減らすことができるという付加的な効果をプレス間隙は有している。このことは、均一な被着および引き渡しを生じさせ、被着もしくは引き渡し時の欠陥箇所を減らす。
【0022】
ここでは、第1の圧着ロールユニットおよび/または第2の圧着ロールユニットが、別の圧着ロールと、これに伴って生じる別のプレス間隙とを有していることも考えられる。
【0023】
本発明の枠内で、第1の調量ユニットが、第1の調量間隙の領域において、第1の粉末と第2の粉末とを分離するための第1の分離薄板を有していることが想定されていてよい。付加的にまたは代替的に、第2の調量ユニットは、第2の調量間隙の領域において、第3の粉末と第4の粉末とを分離するための第2の分離薄板を有している。
【0024】
この場合、第1の分離薄板もしくは第2の分離薄板は、各調量間隙を閉鎖することなく、第1の調量間隙もしくは第2の調量間隙の領域内にのみ突入している。分離薄板は、第1の層または第2の層としての粉末の被着の直前まで、個々の粉末を分離するために用いられる。分離薄板は、第1の層または第2の層の境界領域における混合を減らし、このことは、第1の層もしくは第2の層のエネルギ密度にとって特に有利である。
【0025】
ここで、第1の分離薄板および/または第2の分離薄板が構造体を有していることが考えられる。この構造体は、場合によって生じ得る塊を解くため、かつ/または調量間隙へのより良好な搬送をもたらすために、各粉末を櫛でかき分けることができる。分離薄板を電気式かつ/またはニューマチック式の励起によって振動させることも考えられ、これによって搬送がさらに改善され得る。
【0026】
第1の調量間隙の領域において、第1の遮蔽薄板が第1の被着ロールの領域に設けられており、かつ/もしくは第2の遮蔽薄板が第1の圧着ロールユニットの領域に設けられており、ならびに/または第2の調量間隙の領域において、第3の遮蔽薄板が第2の被着ロールの領域に設けられており、かつ/もしくは第4の遮蔽薄板が第2の圧着ロールユニットの領域に設けられていることがさらに考えられる。
【0027】
遮蔽薄板は、粉末が、調量間隙の前にすでに、第1の圧着ロールユニットおよび/もしくは第2の圧着ロールユニットに当接しないようにするために、または第1の被着ロールおよび/もしくは第2の被着ロールに付着したりしないようにするために用いられる。同時に、このような遮蔽薄板によって、第1の調量間隙および/または第2の調量間隙内への粉末の引込みが容易に制御され得る。同時に、第1の被着ロールおよび/または第2の被着ロールおよび/または第1の圧着ロールユニットおよび/または第2の圧着ロールユニットをクリーニングするため、もしくは付着している材料を除去するために、これらが構造体を有していることが考えられる。これによって、新規の第1の層もしくは第2の層のできるだけクリーンな被着、または基材上への第1の層および/もしくは第2の層のクリーンな引き渡しが可能になる。
【0028】
さらに被覆装置の場合、第1の被着ロールおよび/または第2の被着ロールおよび/または第1の圧着ロールユニットおよび/または第2の圧着ロールユニットが、温度調整可能であることが考えられる。
【0029】
上述の課題は、さらに、本発明の第2の態様では、基材、特に集電体上に、少なくとも1つの二層構造の粉末層、特に、二層構造のカソード層および/または二層構造のアノード層を有する電極を、上述した被覆装置において製造するための、本発明による方法によって解決され、この方法は、
・供給ユニットによって基材を圧着間隙内に供給するステップ、
・第1の調量ユニットによって第1の調量間隙を第1の粉末および第2の粉末で並行して充填するステップ、
・第1の調量間隙において、第1の圧着ロールユニットに、第1の粉末および第2の粉末を、第1の少なくとも二層構造の層として、第1の被着力によって被着させるステップ、
・第1の少なくとも二層構造の層を、第1の圧着間隙において、基材の第1の側に、圧着力によって引き渡すステップ、
を有している。
【0030】
第1の粉末と第2の粉末とを第1の層として基材に同時に被着させることによって、層の個々の粉末にそれぞれ加えられる力を減らすこと、もしくは均一に分散させることができる。
【0031】
第2の調量ユニットが、第2の調量間隙を第3の粉末および第4の粉末で並行して充填し、第3の粉末および第4の粉末が、第2の少なくとも二層構造の層として、第2の調量間隙において、第2の被着力によって第2の圧着ロールユニットに被着させられること、ならびに第2の少なくとも二層構造の層が、圧着間隙において圧着力によって基材の第2の側に引き渡されることも考えられる。
【0032】
第2の調量ユニットおよび第2の調量間隙によって、基材の第2の側にも少なくとも二層構造の粉末層が設けられ得る。これによって、電極製造のケースでは、1つのステップにおいて、アノード層もカソード層も、基材もしくは集電体に被着させられる。
【0033】
本発明の枠内で、任意選択的に、第1の調量ユニットが第1の調量間隙を連続的に充填すること、および/または第2の調量ユニットが第2の調量間隙を連続的に充填することが可能である。
【0034】
このことは、基材の各側に少なくとも二層構造の層を生成する際に特に均一な結果をもたらす。
【0035】
さらに、本発明の枠内で、第1の調量ユニットが第1の粉末および第2の粉末を、第1の少なくとも二層構造の層の場合に圧着間隙において、40~150μmの第1の層厚が調節されるように調量し、ここで第1の粉末から成る第1の層が10~70μmの層厚を有することが想定されてよい。付加的にまたは代替的に、第2の調量ユニットは第3の粉末および第4の粉末を、第2の少なくとも二層構造の層の場合に圧着間隙において、40~150μmの第2の層厚が調節されるように調量し、ここで第3の粉末から成る第1の層は10~70μmの層厚を有する。
【0036】
この層厚もしくは所要の材料量は、第1の調量ユニットもしくは第2の調量ユニットによって設定され、第1の調量間隙における第1の被着力もしくは第2の調量間隙における第2の被着力によって、また圧着間隙における圧着力によって生成される。これは、コントロールユニットによって開ループ制御および/または閉ループ制御可能である。
【0037】
本発明に関して、第1の少なくとも二層構造の層を、第1の圧着ロールユニットの少なくとも1つの第1のプレス間隙においてプレスすること、および/または第2の少なくとも二層構造の層を、第2の圧着ロールユニットの少なくとも1つの第2のプレス間隙においてプレスすることが考えられる。
【0038】
各プレス間隙内でのプレスは、第1の層および/または第2の層の圧縮を引き起こし、これによって、基材の第1の側および/または第2の側でそれぞれの少なくとも二層構造の粉末層のより密なパッキングが生成される。このことが、第1の被着力および/または第2の被着力および/または圧着力の低減を可能にする。
【0039】
さらに、第1の被着ロールおよび/または第2の被着ロールおよび/または第1の圧着ロールユニットおよび/または第2の圧着ロールユニットを、80℃~150℃、特に100℃~120℃の温度に温度調整することが考えられる。
【0040】
このことは、第1の圧着ロールユニットへの第1の層としての第1の粉末および第2の粉末の改善された被着を可能にし、かつ/または第2の圧着ロールユニットへの第2の層としての第3の粉末および第4の粉末の改善された被着を可能にする。さらに、個々のロールの温度調整によって、基材の第1の側への第1の層の引き渡しおよび/または基材の第2の側への第2の層の引き渡しを改善することができる。なぜなら、各層の個々の粉末の結合が、熱によって高められるからである。
【0041】
この際、引き渡しのために、すなわち基材の第1の側への第1の層の圧着および/または基材の第2の側への第2の層の圧着のために基材を予め温めるために、供給ユニットを温度調整することも考えられる。
【0042】
本発明の枠内で、有利には、第1の圧着ロールユニットと第2の圧着ロールユニットとが、互いに向き合って同じ第1の回転速度で回転し、第1の圧着ロールユニットの第1の回転速度と第1の被着ロールの第2の回転速度との比は、10:1~10:4、好適には10:1.5~10:3、さらに好適には10:2~10:3であり、ならびに/または第2の圧着ロールユニットの第1の回転速度と第2の被着ロールの第3の回転速度との比は、10:1~10:4、好適には10:1.5~10:3、さらに好適には10:2~10:3である。
【0043】
第1の圧着ロールユニットが第1の圧着ロールおよび第2の圧着ロールを有しており、かつ/または第2の圧着ロールユニットが第3の圧着ロールおよび第4の圧着ロールを有している場合、第1の回転速度は、第1の圧着ロールユニットの第1の圧着ロールおよび第2の圧着ロールユニットの第3の圧着ロールの回転速度として有効である。なぜなら、これらは圧着間隙を形成しているからである。この際、第2の圧着ロールおよび第4の圧着ロールは、それぞれ、第1の回転速度とは異なる回転速度を有していてよい。
【0044】
ここで、回転速度の比が、電極の集電体上の第1の層もしくは第1の少なくとも二層構造の粉末層、および/または電極の集電体上の第2の層もしくは第2の少なくとも二層構造の粉末層の安定性の向上をもたらすことが有利であることが判明している。
【0045】
上述の課題は、さらに、本発明の第3の態様では、上述の被覆装置および/または上述の方法によって製造された、二層構造の粉末層を有する、本発明による電極によって解決され、基材は、第1の側と第2の側とを有する集電体であり、第1の少なくとも二層構造の層は第1の粉末と第2の粉末とから成る。
【0046】
本発明の枠内で、第2の少なくとも二層構造の層が第3の粉末と第4の粉末とから成ることが考えられる。
【0047】
ここで、電極は、アノードとしてもカソードとしても使用可能である。この場合、カソードの二層構造の粉末層が、アノードの二層構造の粉末層とは異なっていることが考えられる。アノードの集電体とカソードの集電体とが異なっていることも考えられる。
【0048】
そのような電極は、最適に圧縮された第1の少なくとも二層構造の層および/または第2の少なくとも二層構造の層を有しており、第1の少なくとも二層構造の層および/または第2の少なくとも二層構造の層は、溶剤を含んでいない。同時に、このように製造された電極は、高い導電性およびエネルギ密度を有している。
【0049】
電極、またはアノードもしくはカソードの第1の少なくとも二層構造の層および/または第2の少なくとも二層構造の層に対する、第1の粉末、第2の粉末、第3の粉末および第4の粉末の材料使用の、既存の導電性に対する特に良好な比率は、第1の少なくとも二層構造の層および第2の少なくとも二層構造の層が40~150μmの層厚を有する場合に得られ、ここでは第1の層の第1の粉末および第3の層の第3の粉末は10~70μmの層厚を有している。これによって、材料使用のコスト効率もよくすることができる。
【0050】
本発明の第1の態様の被覆装置に関して説明した利点は、本発明の第2の態様の方法ならびに本発明の第3の態様の電極にも当てはまる。
【0051】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、以降の説明から明らかになる。以降の説明では、図面を参照しながら本発明の複数の実施例を詳細に説明する。本願では、特許請求の範囲および明細書に記載されている特徴は、それぞれ個々に、または任意の組み合わせで本発明の本質を形成することができる。本発明は以降の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】第1の層の被着および引き渡しのための被覆装置を概略的に示す図である。
【
図2】第1の層および第2の層の被着および引き渡しのための被覆装置を概略的に示す図である。
【
図3】
図1の第1の調量間隙の一部分を示す図である。
【
図4】
図1に示された被覆装置を用いた方法を概略的に示す図である。
【
図5】
図2に示された被覆装置を用いた方法を概略的に示す図である。
【0053】
図1および
図2には、基材15、特に集電体16上に少なくとも1つの二層構造の粉末層12、特に、二層構造のカソード層13および/または二層構造のアノード層14を有する電極11を製造するためのそれぞれ1つの被覆装置10が示されている。ここで、
図1は、少なくとも1つの第1の二層構造の粉末層12の被着130および引き渡し140による、基材15の片側での被覆のための被覆装置10を示しており、
図2は、少なくとも1つの第1の二層構造の粉末層12、すなわち第1の二層構造の層27、および少なくとも1つの第2の二層構造の粉末層12、すなわち第2の二層構造の層34の被着130および引き渡し140による、基材15の両側での被覆のための被覆装置10を示している。
【0054】
図1の被覆装置10も
図2の被覆装置10も、圧着間隙18内に基材15を供給110する供給ユニット17、第1の粉末20および第2の粉末21を収容し、第1の粉末20および第2の粉末21で第1の調量間隙22を並行して充填する第1の調量ユニット19、およびロール設備23を有しており、ロール設備23は、第1の被着ロール24、第1の圧着ロールユニット25および第2の圧着ロールユニット26を有している。
【0055】
ここで、第1の調量間隙22は、第1の被着ロール24と第1の圧着ロールユニット25との間に設けられており、圧着間隙18は、第1の圧着ロールユニット25と第2の圧着ロールユニット26との間に設けられている。
【0056】
第1の調量間隙22は、第1の粉末20および第2の粉末21を、第1の少なくとも二層構造の層27として、第1の圧着ロールユニット25に第1の被着力FA1によって被着させる130ために設けられている。圧着間隙18は、第1の少なくとも二層構造の層27を、第1の圧着ロールユニット25から、供給された基材15の第1の側28に、圧着力FPによって引き渡す140ために設けられている。
【0057】
二層構造の粉末層12を両側で基材15に被着させる130ことができるようにするために、
図2の被覆装置10は、第3の粉末31および第4の粉末32を収容し、第3の粉末31および第4の粉末32で第2の調量間隙30を並行して充填120する第2の調量ユニット29を有している。ロール設備23は付加的に、少なくとも1つの第2の被着ロール33を有している。第2の調量間隙30は、第2の被着ロール33と第2の圧着ロールユニット26との間に設けられており、第2の調量間隙30は、第3の粉末31および第4の粉末32を第2の少なくとも二層構造の層34として第2の圧着ロールユニット26に第2の被着力FA2によって被着させる130ために設けられている。このケースにおいて、圧着間隙18は、第2の少なくとも二層構造の層34を、第2の圧着ロールユニット26から、供給された基材15の第2の側35に、圧着力FPによって引き渡す140ためにも設けられている。
【0058】
たとえば
図2に示されているように、第1の圧着ロールユニット25は、少なくとも1つの第1の圧着ロール36と、少なくとも1つの第2の圧着ロール37とを有しており、少なくとも1つの第1の圧着ロール36と少なくとも1つの第2の圧着ロール37との間に、少なくとも1つの第1のプレス間隙38が設けられている。付加的に第2の圧着ロールユニット26は、少なくとも1つの第3の圧着ロール39と、少なくとも1つの第4の圧着ロール40とを有しており、少なくとも1つの第3の圧着ロール39と少なくとも1つの第4の圧着ロール40との間に、少なくとも1つの第2のプレス間隙41が設けられている。
【0059】
図3には、第1の調量ユニット19を有する第1の調量間隙22の拡大された一部分が示されている。ここでは第1の調量ユニット19は、第1の調量間隙22の領域において第1の粉末20と第2の粉末21とを分離するための第1の分離薄板42を有している。別の分離薄板が、第2の調量ユニット29および第2の調量間隙30の場合にも同様に設けられていてよい。
【0060】
さらに、
図3に示された一部分は、第1の調量間隙22の領域において、第1の遮蔽薄板44が第1の被着ロール24の領域に設けられており、かつ/または第2の遮蔽薄板45が第1の圧着ロールユニット25の領域に設けられていることを示している。これと同様に、第2の調量ユニット29もしくは第2の調量間隙30の領域において、第3の遮蔽薄板46が第2の被着ロール33の領域に設けられていてよく、かつ/または第4の遮蔽薄板47が第2の圧着ロールユニット26の領域に設けられていてよい。
【0061】
図4および
図5は、それぞれ、基材15、特に集電体16上に、少なくとも1つの二層構造の粉末層12、特に、二層構造のカソード層13および/または二層構造のアノード層14を有する電極11を、
図1または
図2に示された被覆装置10において製造するための方法100を概略的に示している:
・供給ユニット17によって基材15を圧着間隙18内に供給すること110;
・第1の調量ユニット19によって第1の調量間隙22を第1の粉末20および第2の粉末21で並行して充填すること120;
・第1の調量間隙22において、第1の圧着ロールユニット25に、第1の粉末20および第2の粉末21を、第1の少なくとも二層構造の層27として、第1の被着力FA1によって被着させること130;
・第1の少なくとも二層構造の層27を、第1の圧着間隙18において、基材15の第1の側28に、圧着力FPによって引き渡すこと140。
【0062】
図2に示された被覆装置10において実施される、
図5に示された方法100では、第2の調量ユニット29は、第2の調量間隙30を第3の粉末31および第4の粉末32で並行して充填する120。ここで、第3の粉末31および第4の粉末32が、第2の少なくとも二層構造の層34として、第2の調量間隙30において、第2の被着力FA2によって第2の圧着ロールユニット26に被着させられ130、次いで第2の少なくとも二層構造の層34が、圧着間隙18において、圧着力FPによって基材15の第2の側35に引き渡される140。
【0063】
ここで、被覆装置10もしくは方法100の両実施形態に対して、
図1および
図2もしくは
図4および
図5の第1の調量ユニット19が第1の調量間隙22を連続的に充填すること120、
図2もしくは
図5の第2の調量ユニット29が第2の調量間隙30を連続的に充填すること120が当てはまる。
【0064】
ここで、第1の調量ユニット19は第1の粉末20および第2の粉末21を、第1の少なくとも二層構造の層27の場合に圧着間隙18において、40~150μmの第1の層厚SD1が調節されるように調量し、ここで第1の粉末20から成る第1の層48は10~70μmの層厚SP1を有する。同じことが、第2の調量ユニット29についても当てはまり、第2の調量ユニット29も、第3の粉末31および第4の粉末32を、第2の少なくとも二層構造の層34の場合に圧着間隙18において、40~150μmの第2の層厚SD2が調節されるように調量し、ここで第3の粉末31から成る第3の層49は10~70μmの層厚SP3を有する。
【0065】
図2に示された被覆装置10は、すでに上述したように、第1の圧着ロールユニット25内に第1の圧着ロール36と第2の圧着ロール37とを有しており、第2の圧着ロールユニット26内に第3の圧着ロール39と第4の圧着ロール40とを有している。
【0066】
したがって、ここでは第1の少なくとも二層構造の層27が、第1の圧着ロールユニット25の少なくとも1つの第1のプレス間隙38においてプレスされ150、第2の少なくとも二層構造の層34が、第2の圧着ロールユニット26の少なくとも1つの第2のプレス間隙41においてプレスされる150。
【0067】
最適な被着および引き渡しのために、
図2に示された被覆装置10において、
図5に示された方法100において、第1の被着ロール24および第2の被着ロール33および第1の圧着ロールユニット25および第2の圧着ロールユニット26が、80℃~150℃の温度に温度調整される160。この場合、各ロールを固有の温度に温度調整する160ことができる。
【0068】
図4および
図5に示された方法100では、第1の圧着ロールユニット25と第2の圧着ロールユニット26とが、互いに向き合って同じ第1の回転速度v1で回転する。この場合、第1の圧着ロールユニット25の第1の回転速度v1と、第1の被着ロール24の第2の回転速度v2との比は、10:1~10:4である。
図5に示された方法100では、第2の被着ロール33が設けられており、ここでは、第2の圧着ロールユニット26の第1の回転速度v1と、第2の被着ロール33の第3の回転速度v3との比は、10:1~10:4である。
【0069】
しかし、
図5に示された方法100において、第1の被着ロール24の第2の回転速度v2が、第2の被着ロール33の第3の回転速度v3に対応していなくてもよい。
図2に示された被覆装置10による、
図5に示された方法100では、第1の回転速度v1は、第1の圧着ロールユニット25の第1の圧着ロール36および第2の圧着ロールユニット26の第3の圧着ロール39の回転速度である。なぜなら、これらは圧着間隙18を形成するからである。この際、第2の圧着ロール37および第4の圧着ロール40は、第1の回転速度v1とは異なる回転速度を有していてよい。
【0070】
図6には、
図2に示された被覆装置10および
図5に示された方法100において製造されるような電極11が示されており、この電極11は、基材15上に第1の二層構造の粉末層12および第2の二層構造の粉末層12を有している。ここで基材15は、第1の側28と第2の側35とを有する集電体16であり、第1の少なくとも二層構造の層27、すなわち第1の二層構造の粉末層12は、第1の粉末20と第2の粉末21とから成っている。さらに、第2の少なくとも二層構造の層34、すなわち第2の二層構造の粉末層12は、第3の粉末31と第4の粉末32とから成っている。ここで、アノード層14は第1の層厚SD1を有し、またカソード層13は、40~150μmの第2の層厚SD2を有し、第1の層48の第1の粉末20は、10~70μmの第1の層厚SP1を有し、第3の層49の第3の粉末31は、10~70μmの第3の層厚SP3を有する。これによって、材料使用のコスト効率もよくすることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 被覆装置
11 電極
12 二層構造の粉末層
13 カソード層
14 アノード層
15 基材
16 集電体
17 供給ユニット
18 圧着間隙
19 第1の調量ユニット
20 第1の粉末
21 第2の粉末
22 第1の調量間隙
23 ロール設備
24 第1の被着ロール
25 第1の圧着ロールユニット
26 第2の圧着ロールユニット
27 第1の二層構造の層
28 第1の側
29 第2の調量ユニット
30 第2の調量間隙
31 第3の粉末
32 第4の粉末
33 第2の被着ロール
34 第2の二層構造の層
35 第2の側
36 第1の圧着ロール
37 第2の圧着ロール
38 第1のプレス間隙
39 第3の圧着ロール
40 第4の圧着ロール
41 第2のプレス間隙
42 第1の分離薄板
43 第2の分離薄板
44 第1の遮蔽薄板
45 第2の遮蔽薄板
46 第3の遮蔽薄板
47 第4の遮蔽薄板
48 第1の層
49 第3の層
100 方法
110 供給
120 並行した充填
130 被着
140 引き渡し
150 プレス
160 温度調整
FA1 第1の被着力
FP 圧着力
FA2 第2の被着力
SD1 第1の層厚
SD2 第2の層厚
SP1 第1の層の層厚
SP3 第3の層の層厚
v1 第1の回転速度
v2 第2の回転速度
v3 第3の回転速度
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの二層構造の粉末層(12)、特に、二層構造のカソード層(13)および/または二層構造のアノード層(14)を有する電極(11)を基材(15)、特に集電体(16)上に製造するための被覆装置(10)であって、
前記被覆装置(10)は、
圧着間隙(18)内に基材(15)を供給する(110)供給ユニット(17)と、
第1の粉末(20)および第2の粉末(21)を収容し、第1の調量間隙(22)を前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)で並行して充填する(120)第1の調量ユニット(19)と、
ロール設備(23)と、
を有しており、
前記ロール設備(23)は、第1の被着ロール(24)、第1の圧着ロールユニット(25)および第2の圧着ロールユニット(26)を有しており、
前記第1の調量間隙(22)は、前記第1の被着ロール(24)と前記第1の圧着ロールユニット(25)との間に設けられており、前記圧着間隙(18)は、前記第1の圧着ロールユニット(25)と前記第2の圧着ロールユニット(26)との間に設けられており、
前記第1の調量間隙(22)は、前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)を、第1の少なくとも二層構造の層(27)として、前記第1の圧着ロールユニット(25)に第1の被着力(FA1)によって被着させる(130)ために設けられており、
前記圧着間隙(18)は、前記第1の少なくとも二層構造の層(27)を、前記第1の圧着ロールユニット(25)から、供給された前記基材(15)の第1の側(28)に、圧着力(FP)によって引き渡す(140)ために設けられている、
被覆装置(10)。
【請求項2】
第3の粉末(31)および第4の粉末(32)を収容し、第2の調量間隙(30)を前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)で並行して充填する(120)第2の調量ユニット(29)が設けられており、
前記ロール設備(23)は少なくとも1つの第2の被着ロール(33)を有しており、
第2の調量間隙(30)が、前記第2の被着ロール(33)と前記第2の圧着ロールユニット(26)との間に設けられており、
前記第2の調量間隙(30)は、前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)を、第2の少なくとも二層構造の層(34)として、前記第2の圧着ロールユニット(26)に第2の被着力(FA2)によって被着させる(130)ために設けられており、
前記圧着間隙(18)は、前記第2の少なくとも二層構造の層(34)を、前記第2の圧着ロールユニット(26)から、供給された前記基材(15)の第2の側(35)に、圧着力(FP)によって引き渡す(140)ために設けられている、
請求項1記載の被覆装置(10)。
【請求項3】
前記第1の圧着ロールユニット(25)は、少なくとも1つの第1の圧着ロール(36)と、少なくとも1つの第2の圧着ロール(37)とを有しており、前記少なくとも1つの第1の圧着ロール(36)と前記少なくとも1つの第2の圧着ロール(37)との間に、少なくとも1つの第1のプレス間隙(38)が設けられている、かつ/または
前記第2の圧着ロールユニット(26)は、少なくとも1つの第3の圧着ロール(39)と、少なくとも1つの第4の圧着ロール(40)とを有しており、前記少なくとも1つの第3の圧着ロール(39)と前記少なくとも1つの第4の圧着ロール(40)との間に、少なくとも1つの第2のプレス間隙(41)が設けられている、
請求項1記載の被覆装置(10)。
【請求項4】
前記第1の調量ユニット(19)は、前記第1の調量間隙(22)の領域において、前記第1の粉末(20)と前記第2の粉末(21)とを分離するための第1の分離薄板(42)を有しており、かつ/または
前記第2の調量ユニット(29)は、前記第2の調量間隙(30)の領域において、前記第3の粉末(31)と前記第4の粉末(32)とを分離するための第2の分離薄板(43)を有している、
請求項1記載の被覆装置(10)。
【請求項5】
前記第1の調量間隙(22)の領域において、第1の遮蔽薄板(44)が前記第1の被着ロール(24)の領域に設けられており、かつ/もしくは第2の遮蔽薄板(45)が前記第1の圧着ロールユニット(25)の領域に設けられており、ならびに/または
前記第2の調量間隙(30)の領域において、第3の遮蔽薄板(46)が前記第2の被着ロール(33)の領域に設けられており、かつ/もしくは第4の遮蔽薄板(47)が前記第2の圧着ロールユニット(26)の領域に設けられている、
請求項1記載の被覆装置(10)。
【請求項6】
基材(15)、特に集電体(16)上に、少なくとも1つの二層構造の粉末層(12)、特に、二層構造のカソード層(13)および/または二層構造のアノード層(14)を有する電極(11)を、請求項1記載の被覆装置(10)において製造するための方法(100)であって、前記方法(100)は、
供給ユニット(17)によって基材(15)を圧着間隙(18)内に供給するステップ(110)と、
第1の調量ユニット(19)によって第1の調量間隙(22)を第1の粉末(20)および第2の粉末(21)で並行して充填するステップ(120)と、
前記第1の調量間隙(22)において、第1の圧着ロールユニット(25)に、前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)を、第1の少なくとも二層構造の層(27)として、第1の被着力(FA1)によって被着させるステップ(130)と、
前記第1の少なくとも二層構造の層(27)を、第1の前記圧着間隙(18)において、前記基材(15)の第1の側(28)に、圧着力(FP)によって引き渡すステップ(140)と、
を有している、方法(100)。
【請求項7】
第2の調量ユニット(29)は、第2の調量間隙(30)を第3の粉末(31)および第4の粉末(32)で並行して充填し(120)、前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)は、第2の少なくとも二層構造の層(34)として、前記第2の調量間隙(30)において、第2の被着力(FA2)によって第2の圧着ロールユニット(26)に被着させられ(130)、
前記第2の少なくとも二層構造の層(34)は、前記圧着間隙(18)において前記圧着力(FP)によって前記基材(15)の第2の側(35)に引き渡される(140)、
請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記第1の調量ユニット(19)は前記第1の調量間隙(22)を連続的に充填する(120)、かつ/または前記第2の調量ユニット(29)は前記第2の調量間隙(30)を連続的に充填する(120)、請求項6記載の方法(100)。
【請求項9】
前記第1の調量ユニット(19)は前記第1の粉末(20)および前記第2の粉末(21)を、前記第1の少なくとも二層構造の層(27)の場合に前記圧着間隙(18)において、40~150μmの第1の層厚(SD1)が調節されるように調量し、前記第1の粉末(20)から成る第1の層(48)は10~70μmの層厚(SP1)を有しており、かつ/または
前記第2の調量ユニット(29)は前記第3の粉末(31)および前記第4の粉末(32)を、前記第2の少なくとも二層構造の層(34)の場合に前記圧着間隙(18)において、40~150μmの第2の層厚(SD2)が調節されるように調量し、前記第3の粉末(31)から成る第1の層(49)は10~70μmの層厚(SP3)を有している、
請求項6記載の方法(100)。
【請求項10】
前記第1の少なくとも二層構造の層(27)を、前記第1の圧着ロールユニット(25)の少なくとも1つの第1のプレス間隙(38)においてプレスする(150)、かつ/または
前記第2の少なくとも二層構造の層(34)を、前記第2の圧着ロールユニット(26)の少なくとも1つの第2のプレス間隙(41)においてプレスする(150)、
請求項6記載の方法(100)。
【請求項11】
前記第1の被着ロール(24)および/または前記第2の被着ロール(33)および/または前記第1の圧着ロールユニット(25)および/または前記第2の圧着ロールユニット(26)を、80℃~150℃の温度に温度調整する(160)、請求項6記載の方法(100)。
【請求項12】
前記第1の圧着ロールユニット(25)と前記第2の圧着ロールユニット(26)とが、互いに向き合って同じ第1の回転速度(v1)で回転し、前記第1の圧着ロールユニット(25)の前記第1の回転速度(v1)と前記第1の被着ロール(24)の第2の回転速度(v2)との比は、10:1~10:4、好適には10:1.5~10:3、さらに好適には10:2~10:3であり、ならびに/または前記第2の圧着ロールユニット(26)の前記第1の回転速度(v1)と前記第2の被着ロール(33)の第3の回転速度(v3)との比は、10:1~10:4、好適には10:1.5~10:3、さらに好適には10:2~10:3である、請求項6記載の方法(100)。
【請求項13】
請求項1から5までのいずれか1項記載の被覆装置(10)および/または請求項6から12までのいずれか1項記載の方法(100)によって製造された、二層構造の粉末層(12)を有する電極(11)であって、
基材(15)は、第1の側(28)と第2の側(35)とを有する集電体(16)であり、
第1の少なくとも二層構造の層(27)は第1の粉末(20)と第2の粉末(21)とから成る、
電極(11)。
【請求項14】
第2の少なくとも二層構造の層(34)は第3の粉末(31)と第4の粉末(32)とから成る、請求項13記載の電極(11)。
【外国語明細書】