(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001444
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】過酢酸系消毒液の検査システム及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/33 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
G01N21/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100087
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】592200006
【氏名又は名称】一般社団法人生産技術振興協会
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】笠井 俊夫
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059EE01
2G059EE11
2G059FF04
2G059GG02
2G059HH03
2G059MM01
2G059MM05
(57)【要約】
【構成】 波長のピークが250nm~320nmの範囲内にある3個の紫外線LEDを用い、過酢酸系消毒液を収容しているセルを透過した紫外光を測定する。受光信号を補間し、セルでの吸光度が所定値となる波長を出力する。測定した波長が所定の閾値よりも長い場合に過酢酸系消毒液が使用可で、短い場合に使用不可とする。
【効果】 過酢酸系消毒液の有効性を簡単に検査できる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長のピークが250nm~320nmの範囲内にあり、波長のピークが異なる複数の紫外線LEDと、
過酢酸系消毒液を収容しているセルを透過した紫外光を、紫外線LED毎に測定する受光部と、
受光部からの信号を補間あるいは外挿することにより、セルでの吸光度が所定値となる波長を測定波長として出力する補間部と、
前記測定波長が所定の閾値よりも長い場合に過酢酸系消毒液が使用可で、短い場合に使用不可と判別する比較部を備えている、過酢酸系消毒液の検査システム。
【請求項2】
過酢酸の原液を希釈し過酢酸系消毒液を調製した後の、経過時間をカウントするタイマと、
温度の入力手段と、
過酢酸系消毒液を調製してからの経過時間と温度とに基づいて、時間の経過と共に、かつ温度が高いほど大きくシフトするように、前記閾値を長波長側へシフトさせる補正部、とをさらに備えていることを特徴とする、請求項1の過酢酸系消毒液の検査システム。
【請求項3】
補正部は、過酢酸系消毒液を調製してからの経過時間と温度が所定の条件を充たすと、過酢酸系消毒液を使用不可とするように構成されていることを特徴とする、請求項1または2の過酢酸系消毒液の検査システム。
【請求項4】
前記測定波長λが長いほど過酢酸濃度が高く、短いほど過酢酸濃度が低くなるように、過酢酸濃度を求める濃度算出手段をさらに備えていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの過酢酸系消毒液の検査システム。
【請求項5】
波長のピークが250nm~320nmの範囲内にあり、波長のピークが異なる複数の紫外線LEDを用い、
過酢酸系消毒液を収容しているセルを透過した紫外光を、受光部により紫外線LED毎に測定し、
受光部からの信号を補間あるいは外挿することにより、セルでの吸光度が所定値となる波長を測定波長として出力し、
前記測定波長が所定の閾値よりも長い場合に過酢酸系消毒液が使用可で、短い場合に使用不可とする、過酢酸系消毒液の検査方法。
【請求項6】
過酢酸の原液を希釈し過酢酸系消毒液を調製した後の経過時間を、タイマによりカウントし、
過酢酸系消毒液を調製してからの経過時間と温度とに基づいて、補正部により時間の経過と共に前記閾値を長波長側へシフトさせることを特徴とする、請求項5の過酢酸系消毒液の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、過酢酸系消毒液(過酢酸を有効成分とする消毒液)の有効性の検査に関する。
【背景技術】
【0002】
過酢酸(CH3CO-OOH)は酢酸と過酸化水素との反応により生成し、医療機器などの滅菌液、種々の器具の殺菌液、食品などの消毒液などに用いられている。この明細書では、消毒液、殺菌液、滅菌液などをまとめて消毒液という。市販の消毒液では、過酢酸濃度が例えば6%の原液を用い、容器に所定量の原液(第1液といわれる)と安定化剤の溶液(第2液といわれる)を加え、容器に所定の目盛りまで水を加えて希釈し、例えば過酢酸濃度が0.35%の希釈液を調製する。
【0003】
希釈液の成分は、過酢酸と過酸化水素、酢酸、水と、安定化剤の硫酸、リン酸などである。希釈液では、CH3COOOH+H2O から CH3COOH+H2O2 への反応がゆっくりと進行し、希釈液中の過酢酸濃度は徐々に低下し、過酸化水素濃度が増加する。医療機器の滅菌液などでは、医療機器を最初に酸素系消毒剤により消毒し、水ですすいだ後に、過酢酸系消毒液に浸し、再度水洗した後に乾燥する。過酢酸系消毒液にすすぎ液が持ち込まれる、あるいはすすぎ液だけでなく有機物が持ち込まれると、過酢酸濃度は低下する。また光分解などにより過酢酸も過酸化水素も分解する。希釈液の有効期間は1週間程度とされ、過酢酸濃度が0.2%以下に濃度が低下した希釈液を使用することは好ましくない、とされている。なお原液は冷蔵庫内など低温では安定で、1年程度の保管寿命がある。
【0004】
希釈済みの過酢酸系消毒液は、有効性の検査が必要である。過酢酸はヨー化カリウムを分解し、ヨー素素を析出させるので、ヨー化カリウム試験紙を用い、比色法により有効性を検査することが行われている。しかし比色法は目視に依存している。特許文献1(特許6995329)は、ブリリアントブルーを指示薬とし、ヨウ化カリウムと過酢酸との反応を利用し、過酢酸濃度を測定することを提案している。しかしこの方法には指示薬が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の課題は、過酢酸系消毒液の有効性を簡単に検査できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の過酢酸系消毒液の検査システムでは、波長のピークが250nm~320nm(好ましくは260nm~300nm)の範囲内にあり、波長のピークが異なる複数の紫外線LEDと、
過酢酸系消毒液を収容しているセルを透過した紫外光を、紫外線LED毎に測定する受光部と、
受光部からの信号を補間あるいは外挿することにより、セルでの吸光度が所定値となる波長を測定波長として出力する補間部と、
前記測定波長が所定の閾値よりも長い場合に過酢酸系消毒液が使用可で、短い場合に使用不可と判別する比較部を備えている。
【0008】
この発明の過酢酸系消毒液の検査方法では、波長のピークが250nm~320nm(好ましくは260nm~300nm)の範囲内にあり、波長のピークが異なる複数の紫外線LEDを用い、
過酢酸系消毒液を収容しているセルを透過した紫外光を、受光部により紫外線LED毎に測定し、
受光部からの信号を補間あるいは外挿することにより、セルでの吸光度が所定値となる波長を測定波長として出力し、
前記測定波長が所定の閾値よりも長い場合に過酢酸系消毒液が使用可で、短い場合に使用不可とする判別する。
【0009】
図3、
図4に示すように、過酢酸系の消毒液は320nm以下に吸収を持ち、250nm~320nmが吸光度が所定値となる波長(シフト波長)を求めるのに適している。ここで、単一の波長での吸光度を用いる(
図10)よりも、シフト波長を用いる(
図8)と、より正確に過酢酸濃度を求めることができる。
【0010】
好ましくは、過酢酸系消毒液の原液を希釈し過酢酸系消毒液を調製した後の、経過時間をカウントするタイマと、温度の入力手段と、過酢酸系消毒液を調製してからの経過時間と温度とに基づいて、時間の経過と共に、かつ温度が高いほど大きくシフトするように、前記閾値を長波長側へシフトさせる補正部、とをさらに備ける。
【0011】
希釈液を室温で放置すると、過酢酸と水から、過酸化水素と酢酸が生成する反応が緩慢に進行し、過酢酸濃度は低下する。そして吸光度が0.8となる波長λは、(1)式で与えられ、過酢酸(PAA)の吸収と過酸化水素の吸収が重なり、過酸化水素の吸収は過酢酸の吸収よりも強い。
λ=28.99log[H2O2]+3.26log[PAA]+306.6 (1)
【0012】
これらのため、消毒液を放置すると、過酢酸濃度は低下し、かつ測定したシフト波長は僅かに長波長化する(
図7)。過酢酸濃度の低下の割合は経過時間と温度とで定まるので、温度と経過時間に基づいて補正できる。そこで上記のように閾値を補正することにより、過酢酸濃度をより正確に補正できる。
【0013】
すすぎ水の持ち込み、有機物の持ち込みなどによる、過酢酸の消費も希釈もない標準的な条件を、単に「標準条件」という。また250nm~320nmの範囲では、
図6から明らかなように、過酢酸と過酸化水素の吸収のみを考慮すれば良く、水、酢酸、リン酸などの吸収は弱い。すすぎ水の持ち込み、有機物の持ち込みなどにより、過酢酸濃度は低下すると、測定したシフト波長は補正後の波長よりもさらに短くなる。このことから、すすぎ水の持ち込み、有機物の持ち込みなどによる過酢酸濃度の低下を検出できる。
【0014】
消毒液は未使用でも過酢酸濃度が徐々に低下する。そこで、消毒液を調製してからの経過時間と温度が所定の条件を充たすと、補正部は消毒液を使用不可と判別する。許容する経過時間は温度が高いほど短くし、低いほど長くする。
【0015】
過酢酸系消毒液が使用可かどうかを検査するだけでなく、過酢酸濃度を推定しても良い。このためには、測定波長λが長いほど過酢酸濃度が高く、短いほど過酢酸濃度が低くなるように、過酢酸濃度を求める濃度算出手段を設ける。
【0016】
この明細書での濃度は、%単位で表す場合、消毒液100mL当たりの対象成分の質量をグラム単位で表す。例えば消毒液100mLが過酢酸0.3gを含有する場合、0.3%という。また濃度をMで示す場合はモル濃度である。波長、濃度などに範囲が有る場合は、下限と上限とを含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例の過酢酸系消毒液の検査システムのブロック図
【
図2】3つの波長での吸光度をシフト波長へ換算する方法を示す図
【
図3】希釈時の消毒液中の過酢酸濃度と紫外での吸収波形との関係を示す特性図で、消毒液はアセサイド(登録商標)である。
【
図4】低濃度の過酢酸系消毒液に対する、紫外での吸収波形を示す特性図
【
図5】種々の濃度での、過酸化水素の紫外吸収波形を示す特性図
【
図6】アセサイド(登録商標)原液(過酢酸6%と過酸化水素を含有)、8%の過酸化水素水溶液、30%の酢酸水溶液、及び0.2%の正リン酸水溶液に対する、紫外での吸収波形を示す特性図
【
図7】過酢酸濃度が0.35%になるようにアセサイド(登録商標)を希釈した消毒液を室温で1週間放置した際の、吸光度が0.8となる波長のシフトを示す特性図
【
図8】波長シフト法で求めた過酢酸濃度の推移と文献値とを示す図
【
図9】過酸化水素と酢酸とから過酢酸を生成させた際の、波長1753cm
-1の赤外吸収から求めた過酢酸濃度と、実施例により求めた過酢酸濃度との関係を示す図
【
図10】305nmの単一波長での吸光度から求めた過酢酸濃度の推移と文献値とを示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例0019】
図1~
図9に実施例を、
図10に比較例を示す。
図1は、実施例での過酢酸系消毒液の検査システム2を示し、このシステム2は1台の装置でも、測定部15と、スマートフォン等に実装した補正部16等から成る分散したシステムでも良い。4は光学セルで、過酢酸系消毒液(以下「消毒液」)を収容し、例えば3個の紫外線LED5~7(例えば発光波長のピークが260nm、280nm、300nm付近)からの光を照射し、透過光を受光素子8~10により受光する。ミラー等を用いて集光した後に1個の受光素子で受光しても良く、受光素子8~10はフォトダイオード、Si系の受光素子、焦電素子、等である。駆動部12は、紫外線LED5~7を駆動する。補間部14は、3波長での受光信号から、セル4での吸光度が所定値(例えば0.8)となる波長λを、補間あるいは補間と外挿により求める。吸光度が0.8は一例で、他の吸光度でも良い。補間は例えば2次曲線により行い、紫外線LEDの数は少なくとも2個で、好ましくは3個以上である。紫外線LEDが3個よりも多い場合、3次以上の曲線で補間しても良い。吸光度が所定値となる波長を求め、この波長から目的成分の濃度を求める方法を、波長シフト法と呼ぶ。
【0020】
補正部16は、スタートスイッチ17からの信号で、原液の希釈(消毒液の調製)からの経過時間のカウントを開始し、サーミスタ等の温度センサ18から室温を入力し、タイマ19により時間をカウントする。例えば1時間~8時間等の所定時間毎に温度を記憶し、補正部16は経過時間が長くかつ平均温度が高いほど大きくなるように、補正信号cを発生する。また補正部16は、補正信号cが所定値を越えると、希釈後の経過時間が所定の条件を越えたものとして、消毒液を使用不可と判別する。温度センサ18により温度を測定する代わりに、スマートフォンが取得した気象データ等を用いても良い。
【0021】
補正信号cの発生では、各温度で消毒液中の過酢酸濃度がどのように変化するかを、1753cm-1での赤外吸収などにより測定し、これと同時に、波長シフト法により消毒液の吸光度が所定値となる波長を測定する。すると波長シフト法で求めた波長に対する経過日数と温度の影響を補正するための補正信号cを求めることができる。なお発明者は、FTIRを用いると、1753cm-1の赤外吸収から過酸化水素濃度の影響を受けずに、過酢酸濃度を測定できることを見出した。補正信号cの発生のための過酢酸濃度の測定方法は任意である。測定した温度と経過時間を補正信号cに変換するためのパラメータを補正部16に記憶し、カウントした経過時間と測定した温度を用い、補正信号cを発生させる。
【0022】
比較部20は、希釈直後の消毒液での、波長シフト法で求めた波長と過酢酸濃度の関係を記憶している。希釈後の過酢酸濃度は時間の経過と共に減少し、波長シフト法で求めた波長は時間の経過と共に僅かに長くなる(
図7)。そこで波長シフト法で求めた波長を希釈後の時間の経過に対して補正するため、補正信号cを用いる。
【0023】
比較部20は、記憶している波長を補正信号cで補正したものを閾値とし、補間部14で求めた波長λと比較し、波長λが閾値より短い場合、過酢酸濃度が許容範囲よりも低下したものと見なして、消毒液を使用不可と判別する。以上のように、濃度毎の閾値を補正信号cにより補正したものと波長λを比較すると、希釈後の過酢酸濃度を求めることができる。
【0024】
実験により、吸光度が0.8となる波長λは、(1)式で与えられることが分かった。
λ=28.99log[H2O2]+3.26log[PAA]+306.6 (1)
PAAは過酢酸を表し、波長の単位はnm、濃度はモル濃度で、対数は常用対数である。
【0025】
実験により、各温度での消毒液中の過酢酸濃度の推移を求めた。原液を希釈すると、過酢酸と過酸化水素の平衡が原液から変化し、過酢酸の一部が徐々に過酸化水素に変化する。このため波長シフト法で求めた波長は、見かけ上長波長側にシフトし、波長シフトの程度は温度に依存する。そこで上記の補正により、波長シフト法で求めた波長を、過酢酸濃度に変換する。
【0026】
消毒液を使用すると、すすぎ水の持ち込み、有機物の持ち込み、光分解などにより、過酢酸濃度が低下する。これによって波長シフト法で求めた波長は短波長側にシフトし、補正済みの波長からのシフトにより過酢酸濃度を測定し、あるいは消毒液の使用の可否を検査する。
【0027】
図2は、3つの波長での吸光度を、所定の吸光度(例えば0.8)となる波長へ補間する方法を示す。補間に外挿を加えても良い。
【0028】
図3は市販のアセサイド原液(アセサイドはサラヤ株式会社の登録商標)を希釈した際の、希釈液の過酢酸濃度(希釈率から求めた)と紫外線の吸光度(Abs.)との関係を示す。過酢酸濃度が高いほど、スペクトルは長波長側へシフトする。この濃度範囲での定量には、290~320nmの紫外光が適している。
【0029】
図4は低濃度の希釈液(アセサイドを希釈した直後)の吸収スペクトルを示す。なお濃度は希釈率から求めた過酢酸濃度である。消毒液の過酢酸濃度は0.6%~0.1%程度なので、260nm~300nmの紫外光が適している。
【0030】
図5は、種々の濃度(mol/L単位)での、過酸化水素の紫外吸収スペクトルを示す。
【0031】
図6は、アセサイド原液(過酢酸濃度6%)と、8%の過酸化水素水溶液、30%の酢酸水溶液、及び0.2%の正リン酸水溶液の吸収波形を示す。過酸化水素と過酢酸の吸収波形は分離できないが、リン酸は260~320nmに吸収を持たない。酢酸は260nm以下に吸収を持つが、30%でのデータなので、消毒液での250~260nmの吸収は極く弱い。
【0032】
図7は、過酢酸濃度が0.35%となるように希釈したアセサイド消毒液での、波長シフト法により求めた波長の推移を示す。周囲温度は室温で、測定期間は1週間で、消毒液は未使用である。測定した波長は僅かに長波長化し、1週間で過酢酸濃度は最初の2/3程度に低下する。そこでこれらの誤差を補うように、補正信号cを用いる。
【0033】
図8は、波長シフト法により求めた希釈後1週間の過酢酸濃度と文献値を示す。過酢酸濃度の初期値がずれている他は、良く一致している。何れも消毒液は不使用のまま保管し、文献値は(株)サラヤ資料により、測定法はヨウ化カリウムによる滴定と思われる。
【0034】
図9は、過酸化水素、酢酸、硫酸、及び水を混合し、過酢酸を生成させた際の、過酢酸濃度の測定値を示す。参照用に、1753cm
-1での赤外吸収から過酢酸濃度を求めた。実施例では、過酸化水素濃度と過酢酸濃度の和が一定とし、波長シフト法により過酢酸濃度を求めた。両者は極めて良く一致している。
【0035】
図10は、305nmの吸光度のみから求めた希釈後1週間の過酢酸濃度と文献値を示し、単一波長の吸光度からは過酢酸濃度の推移を測定できなかった。
【0036】
実施例では、原液を正しい希釈率で希釈したことを前提にしている。希釈率を確認する場合も、波長シフト法を用いることができる。即ち、希釈した消毒液に対し、吸光度が一定となる波長を波長シフト法により測定すれば良い。