(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144401
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 6/12 20060101AFI20241003BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024056775
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】202310333094.3
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 健司
(72)【発明者】
【氏名】田家 裕
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】福崎 亮平
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB11
2H137BA54
2H137BB02
2H137CA22F
2H137CA34
2H137CC05
2H147BA05
2H147CB03
2H147CC14
2H147DA19
2H147EA05A
2H147EA09B
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147EA15B
2H147EA15C
2H147EA17B
2H147FA03
2H147FA09
2H147FA18
2H147FC08
2H147GA06
(57)【要約】
【課題】光学デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の光学デバイス1は、第1の方向に対向する一対の主面10a、10bと、主面に隣接する端面10c、10dと、一対の側面10e、10fと、を有する基板10と、基板の主面10aに沿って配置され、端面10cが位置する平面の方向において光入射端または光出射端を有する光導波路20と、を備え、基板10の端面10cには接続用の接着剤が塗布されており、光導波路20と接着剤との間には、少なくとも1つの段差部g1が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に対向する一対の主面と、前記主面に隣接する端面と、一対の側面と、を有する基板と、
前記基板の前記主面に沿って配置され、前記端面が位置する平面方向において光入射端または光出射端を有する光導波路と、を備え、
前記基板の前記端面には、接続用の接着剤が塗布されており、
前記光導波路と前記接着剤との間には、少なくとも1つの段差部が形成されている、光学デバイス。
【請求項2】
前記段差部は、一端が前記基板のうちの一方の前記側面に近接し、他端が前記基板の他方の前記側面に近接するように、前記基板の前記端面に形成される第1の段差部を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記段差部は、前記基板の前記端面に形成され、前記第1の段差部とは異なる深さを持ち、前記光導波路から離間するように前記光導波路の周囲に形成される第2の段差部をさらに含む、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第2の段差部の深さは、前記第1の段差部の深さよりも大きい、請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記段差部は、前記基板の前記端面に形成され、前記第1の段差部とは異なる深さを持ち、前記光導波路から離間するように前記光導波路の周囲に形成される第3の段差部をさらに含み、
前記第1の方向から見て、前記第2の段差部と前記第3の段差部は、前記光導波路を挟んでいる、請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第3の段差部の深さは、前記第1の段差部の深さよりも大きい、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第2の段差部および/または前記第3の段差部は、前記基板の前記主面に露出している、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第1の段差部は、前記第2の段差部および前記第3の段差部にそれぞれ連通している、請求項5または7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記第1の方向から見て、前記光導波路の端部は、前記基板の端部よりも内側に位置し、
前記第1の段差部は、前記基板の前記主面に露出している、請求項2から8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記光導波路に隣接して形成された保護層をさらに備え、
前記第2の段差部および前記第3の段差部は、さらに前記保護層に形成されている、請求項5から9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記第1の段差部、前記第2の段差部および前記第3の段差部は、前記保護層に露出している、請求項10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記第1の段差部、前記第2の段差部および前記第3の段差部は、前記基板の前記端面に対して凹凸に形成されている、請求項5から11のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記第1の段差部は、前記基板の前記主面と略平行とするように、前記基板の前記端面に形成されている、請求項2に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバ伝送の普及に伴い、複数の光学素子を高密度で集積する技術が求められている。この技術の1つとして、石英系平面光波回路(以下、PLC(Planar Lightwave Circuit)ともいう)が知られている。石英系PLCは、低損失、高信頼性、高設計自由度などの利点があり、複合機能が一体集積化されたプラットフォームになることが期待される。
【0003】
実際には、送信側ステーションにおける受光装置において、フォトダイオード(以下、PDともいう)などの受光素子からなる光モジュール、または、レーザダイオード(以下、LDともいう)などの発光素子は、合分波器、分岐結合器、光変調器などの機能素子が形成されたPLCと光結合によって実装されている。また、例えば、波長多重伝送方式のノード装置において、PLCにおける複数の光導波路の光強度をモニタするために、複数のLD、PDが集積化して実装されている。
【0004】
しかし、各チップを歩留まりよく配置するためには、例えばチップボンダ(chip bonder)などの高価な実装装置が必要であり、低コストの製造プロセスの実現が課題となっている。また、光入射/出射端に接着剤が接触すると、複数回の手戻りが必要であることも課題となっている。さらに、接着剤は熱を受けやすい材料であり、接着剤における熱が光導波路に影響を与えると、導光不良を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクを低減し、導光不良を抑制することができる光学デバイスを提供することを目的としている。
【0007】
本発明の一実施の形態は、第1の方向に対向する一対の主面と、主面に隣接する端面と、一対の側面とを有する基板と、基板の主面に沿って配置され、端面が位置する平面方向において光入射端または光出射端を有する光導波路と、を備え、基板の端面には、接続用の接着剤が塗布されており、光導波路と接着剤との間には、少なくとも1つの段差部が形成されている、光学デバイスを提供する。
【0008】
本発明の光電デバイスによれば、光導波路と接着剤との間に段差部を形成することにより、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクを低減することができ、また、段差部によれば、接着剤の熱が光導波路に伝導することを抑制し、導光不良を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、段差部は、一端が前記基板のうちの一方の前記側面に近接し、他端が前記基板の他方の前記側面に近接するように、基板の端面に形成される第1の段差部を含む。
【0010】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、段差部は、基板の端面に形成され、第1の段差部とは異なる深さを持ち、光導波路から離間するように光導波路の周囲に形成される第2の段差部をさらに含む。
【0011】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第2の段差部の深さは、第1の段差部の深さよりも大きい。
【0012】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、段差部は、基板の端面に形成され、第1の段差部とは異なる深さを持ち、光導波路から離間するように光導波路の周囲に形成される第3の段差部をさらに含み、第1の方向から見て、第2の段差部と第3の段差部は光導波路を挟んでいる。
【0013】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第3の段差部の深さは、第1の段差部の深さよりも大きい。
【0014】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第2の段差部および/または第3の段差部は、基板の主面に露出している。
【0015】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第1の段差部は、第2の段差部および第3の段差部にそれぞれ連通している。
【0016】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第1の方向から見て、光導波路の端部は、基板の端部よりも内側に位置し、第1の段差部は、基板の主面に露出している。
【0017】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、光導波路に隣接して形成された保護層をさらに備え、第2の段差部および第3の段差部は、さらに保護層に形成されている。
【0018】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第1の段差部、第2の段差部および第3の段差部は、保護層に露出している。
【0019】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第1の段差部、第2の段差部および第3の段差部は、基板の端面に対して凹凸に形成されている。
【0020】
また、本発明の光学デバイスにおいて、好ましくは、第1の段差部は、基板の主面と略平行とするように、基板の端面に形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光学デバイスによれば、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクを低減し、導光不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1の実施形態に係る光学デバイス1を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、第1の実施形態に係る光学デバイス1を示す平面図であり、
図2(b)は、第1の実施形態に係る光学デバイス1を示す正面図である。
【
図3】
図3(a)は、第2の実施形態に係る光学デバイス1Aを示す平面図であり、
図3(b)は、第2の実施形態に係る光学デバイス1Aを示す正面図である。
【
図4】
図4(a)は、第3の実施形態に係る光学デバイス1Bを示す平面図であり、
図4(b)は、第3の実施形態に係る光学デバイス1Bを示す正面図である。
【
図5】
図5(a)は、第4の実施形態に係る光学デバイス1Cを示す平面図であり、
図5(b)は、第4の実施形態に係る光学デバイス1Cを示す正面図である。
【
図6】
図6(a)は、第5の実施形態に係る光学デバイス1Dを示す平面図であり、
図6(b)は、第5の実施形態に係る光学デバイス1Dを示す正面図である。
【
図7】接着剤がはみ出した場合の第5の実施形態に係る光学デバイス1Dを示す模式的斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、第6の実施形態に係る光学デバイス1Eを示す平面図であり、
図8(b)は、第6の実施形態に係る光学デバイス1Eを示す正面図である。
【
図9】本発明の実施形態の光学デバイスの光導波路がスラブ部とリッジ部とを含む場合を示すX-Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための様態を詳しく説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
第1の実施形態
図1は、第1の実施形態に係る光学デバイス1を示す斜視図である。
図2(a)は、第1の実施形態に係る光学デバイス1を示す平面図であり、
図2(b)は、第1の実施形態に係る光学デバイス1を示す正面図である。
【0025】
第1の実施形態に係る光学デバイス1は、
図1に示すように、基板10と、光導波路20とを備える。基板10の端面10cには、接続用の接着剤が塗布されており、光導波路20と接着剤との間には、少なくとも1つの段差部g1が形成されている。光学デバイス1は、例えば、レーザダイオード(LD)等の発光素子からの光信号を受信するための平面光導波路(PLC)であってもよい。接着剤は、平面光導波路(PLC)の基板とレーザダイオード(LD)の基板を接続するために用いられる。
【0026】
以下は、基板10、光導波路20、接着剤、段差部g1のそれぞれについて詳しく説明する。
【0027】
(基板)
基板10は略直方体形状となっている。直方体形状には、角部および稜線部が面取りされた直方体の形状と、角部および稜線部が丸められた直方体の形状が含まれる。基板10は、互いに対向する一対の主面10a、10bと、互いに対向する一対の端面10c、10dと、互いに対向する一対の側面10e、10fと、を有する。一対の主面10a、10bが対向する方向を第1の方向D1(Z方向)とする。一対の端面10c、10dが対向する方向を第2の方向D2(Y方向)とする。一対の側面10e、10fが対向する方向を第3の方向D3(X方向)とする。本実施形態では、第1の方向D1は、基板10の高さ方向である。第2の方向D2は、基板10の長手方向であり、第1の方向D1と直交している。第3の方向D3は、基板10の幅方向であり、第1の方向D1および第2の方向D2と直交している。
【0028】
一対の端面10c、10dは、一対の主面10a、10b間を連結するように、第1の方向D1に延びている。一対の端面10c、10dは、さらに、第3の方向D3(一対の主面10a、10bの短辺方向)に延びている。一対の端面10c、10dは、主面10aと隣接している。一対の側面10e、10fは、一対の主面10a、10b間を連結するように第1の方向D1に延びている。一対の側面10e、10fは、さらに、第2の方向D2(一対の主面10a、10bの長手方向)に延びている。
【0029】
基板10としては、ニオブ酸リチウムより屈折率が低いものであれば特に限定されないが、ニオブ酸リチウムからなる膜をエピタキシャル膜として形成させることができる基板であることが好ましく、サファイア単結晶基板またはシリコン単結晶基板であることが好ましい。単結晶基板の結晶配向は特に限定されない。ニオブ酸リチウム膜は、さまざまな結晶方位の単結晶基板に対して、c軸配向のエピタキシャル膜として形成されやすいという性質を持っている。c軸配向のニオブ酸リチウム膜は3回対称の対称性を有しているので、下地である単結晶基板も同じ対称性を有していることが望ましく、サファイア単結晶基板の場合はc面の基板、シリコン単結晶基板の場合は(111)面の基板が好ましい。
【0030】
(光導波路)
光導波路20は、XY平面に沿って延びるように、基板10の主面10aに沿って設けられている。図示では、光導波路20は第2の方向D2に延びており、光導波路20における光伝搬方向は、第2の方向D2と同じである。しかし、光導波路20は、必要に応じて、基板10の主面上に斜めにまたは蛇行して設けられてもよい。光導波路20は、基板10の端面10c側に光入射面20cを有し、端面10d側が位置する平面方向に光出射面20dを有している。光出射面20dは、光入射面20cと同じ形状を有してもよいと理解されるべきである。光入射面20cは、例えばLDからの光信号を受光する。以下は、光導波路20が基板10の端面10c側に光入射端20cを有する例について説明する。
【0031】
光導波路20としては、電気光学材料で構成されるものであれば特に限定されないので、光導波路20を構成するフィルムを電気光学材料膜と称することもできる。しかし、光導波路20はニオブ酸リチウム(LiNbO3)で構成されることが好ましく、それは、ニオブ酸リチウムが大きな電気光学定数を有し、光変調器などの光学デバイスの構成材料として好適であるからである。光導波路20はタンタル酸リチウム(LiTaO3)から構成されていてもよい。また、光導波路20がニオブ酸リチウムから構成される場合には、他の元素をドープしてもよく、例えば、ニオブ酸リチウムにTi、Mg、Zn、In、Sc、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる少なくとも1種をドープすることができる。
【0032】
ニオブ酸リチウム膜の膜厚は、2μm以下であることが好ましく、1.2μmであることが好ましい。それは、膜厚が2μmよりも厚くなると、高品質な膜を形成することが困難であり、その一方、ニオブ酸リチウム膜の膜厚が薄すぎると、ニオブ酸リチウム膜において光の閉じ込めが弱くなり、光が基板10に漏れてしまい、ニオブ酸リチウム膜に電界を印加しても光導波路20の実効屈折率の変化が小さくなる懸念があるからである。よって、ニオブ酸リチウム膜は、使用する光の波長の1/10程度以上の膜厚であることが好ましい。また、ニオブ酸リチウム膜の幅は、例えば1μmであり得る。
【0033】
ニオブ酸リチウム膜の形成方法としては、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法などの膜形成方法を利用することが望ましい。ニオブ酸リチウムのc軸が基板1の主面に垂直に配向されていると、c軸に平行に電界を印加することで、電界強度に比例して光学屈折率が変化する。単結晶基板としてサファイアを用いる場合は、サファイア単結晶基板上に直接、ニオブ酸リチウム膜をエピタキシャル成長させることができる。単結晶基板としてシリコンを用いる場合は、クラッド層(図示せず)を介して、エピタキシャル成長によりニオブ酸リチウム膜を形成する。クラッド層(図示せず)としては、ニオブ酸リチウム膜より屈折率が低く、エピタキシャル成長に適したものを用いる。例えば、クラッド層(図示せず)としてY2O3を用いる場合、高品質のニオブ酸リチウム膜を形成することができる。
【0034】
ここで、エピタキシャル膜とは、下地の基板もしくは下地膜の結晶方位に対して、揃って配向している膜のことである。膜面内をX-Y面とし、膜厚方向をZ軸としたとき、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともに揃って配向しているものである。例えば、まず2θ-θX線回折による配向位置でのピーク強度の確認と、次に極点の確認を行うことで、光導波路がエピタキシャル膜であることを証明できる。
【0035】
具体的には、まず2θ-θX線回折による測定を行ったとき、目的とする面以外の全てのピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である必要がある。例えば、ニオブ酸リチウムのc軸配向エピタキシャル膜では、(00L)面以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。(00L)は、(001)や(002)などの等価な面を総称する表示である。
【0036】
次に、極点測定において、極点が見えることが必要である。前述の第1の配向位置でのピーク強度の確認の条件においては、一方向における配向性を示しているのみであり、前述の第1の条件を得たとしても、面内において結晶配向がそろっていない場合には、特定角度位置でX線の強度が高まることはなく、極点は見られない。LiNbO3は三方晶系の結晶構造であるため、単結晶におけるLiNbO3(014)の極点は3つとなる。ニオブ酸リチウム膜の場合、c軸を中心に180°回転させた結晶が対称的に結合した、いわゆる双晶の状態にてエピタキシャル成長することが知られている。この場合、3つの極点が対称的に2つ結合した状態になるため、極点は6つとなる。また、(100)面のシリコン単結晶基板上にニオブ酸リチウム膜を形成した場合は、基板が4回対称となっているため、4×3=12個の極点が観測される。なお、本発明では、双晶の状態にてエピタキシャル成長したニオブ酸リチウム膜もエピタキシャル膜に含める。
【0037】
(接着剤)
光学デバイス1に他の光学デバイス(例えば、フォトダイオードなどの受光素子からなる光モジュール、レーザダイオードなどの発光素子)を接着する場合、端面10cは他の光学デバイスと対向する接着面として規定することができる。光学デバイス1は、例えば、接着剤によって他の光学デバイスと接続している。
【0038】
基板10の端面10cでは、接続用の接着剤が接着剤塗布領域Rに塗布される。接着剤は、図示しないLDの基板と、光導波路を有する本発明の光学デバイス1の基板10とを接続する。例えば、他の金属との共晶接合を用いて接続する。接着剤の材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、鉛(Pb)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)からなる群から選択される1種以上の金属、ならびに、金(Au)と錫(Sn)の合金AuSn、錫(Sn)-銀(Ag)-銅(Cu)系はんだ合金(SAC)、錫(Sn)と銅(Cu)の合金SnCu、インジウム(In)とビスマス(Bi)の合金InBi、スズ(Sn)-パラジウム(Pd)-銀(Ag)の合金SnPdAg、スズ(Sn)-ビスマス(Bi)-インジウム(In)の合金SnBiIn、および鉛(Pb)-ビスマス(Bi)-インジウム(In)の合金PbBiInのいずれかの合金を含む。
【0039】
接着剤(金属層)を形成する方法としては、公知の方法を利用することができ、特に限定されない。例えば、スパッタリング、蒸着、ペースト化した金属の塗布などの公知の方法を利用することができる。
【0040】
一例として、まずは図示しないLDの基板上に第1の金属層としてAu層を形成し、本発明の光学デバイス1の基板10上に第2の金属層としてSAC層を形成し、そして、第1の金属層と第2の金属層とが重なるように位置合わせを行い、基板にレーザ光を照射してAu層とSAC層を溶融させ、Au層とSAC層との間に共晶層を形成することにより、LDと本発明の光学デバイス1とを接着(一体化)する。
【0041】
(段差部)
光学デバイス1の端面10cに他の光学デバイスを接着するとき、接着剤が押圧されて接着剤塗布領域Rからはみ出し、接着剤が光導波路20の光入射端20cに接触し、接着剤の熱が光導波路20に伝導し、光導波路20の導光性が不良になるリスクがある。
【0042】
本実施形態の光学デバイス1は、上述のリスクを低減するために、
図2(a)に示すように、基板10の端面10cにおいて、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に段差部g1が形成されている。段差部g1は、一端が基板10の一方の側面10eに近接し、他端が基板10の他方の側面10fに近接するように、基板10の端面10cに形成されている。段差部g1とは、段差部g1の表面と基板10の端面10とに段差があることを意味する。ここで、段差部は高低差(段差)を有する部分を示すものであり、1つの段差部内に複数の高低差(複数の段差)があってもよい。段差部g1は、光導波路20の光入射端20cから遠ざかるように、基板10の主面10aと略平行に設けられている。段差部g1は、例えば、ステルスダイシング(Stealth dicing)、研磨(Grinder)、積層等の方法により、基板10の端面10cに対して凹凸に形成されている。
図2(b)では、基板10の端面10cに対して段差部g1が内側に凹んでいる場合を示しているが、段差部g1は基板10の端面10cに対して外側に突出していてもよい。段差部g1が基板10の端面10cに対して内側に凹んでいる場合、段差部g1は、接着時にはみ出した接着剤を収容することができ、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。段差部g1が基板10の端面10cに対して外側に突出している場合、段差部g1は、接着時にはみ出した接着剤を阻止することができ、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。
【0043】
よって、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に段差部g1を形成することにより、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクを低減し、導光不良を抑制することができる。また、接着剤は熱を受けやすい材料である。動作時に光導波路20の温度を安定的に維持するためには、接着剤の熱が光導波路20に伝導されないことが望ましい。段差部g1を設けることにより、接着剤を光導波路20から遠ざけることができる一方、基板10の放熱表面積を増やすことができるので、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止することができ、さらに導光不良を抑制することができる。
【0044】
第2の実施形態
次に、第2の実施形態の光学デバイス1Aについて説明する。なお、以下の実施の形態において、上述した実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
図3(a)は、第2の実施形態に係る光学デバイス1Aを示す平面図であり、
図3(b)は、第2の実施形態に係る光学デバイス1Aを示す正面図である。
【0046】
第2の実施形態の光学デバイス1Aは、
図3(a)に示すように、基板10の端面10cに段差部g1が形成されていることに加え、基板10の端面10cにおいて、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に段差部g2が形成されている点で、第1の実施形態の光学デバイス1と異なる。
【0047】
図3(b)に示すように、段差部g2は、光導波路20から離間して光導波路20の周囲に形成されている。段差部g2は、光学デバイス1Aの主面10aに露出している。段差部g2の深さ(第2の方向D2における幅)は段差部g1の深さと異なり、好ましくは、段差部g2の深さは段差部g1の深さよりも大きい。
【0048】
段差部g2は、段差部g1と同様に、例えば、ステルスダイシング、研磨、積層等の方法により、基板10の端面10cに対して凹凸に形成されている。
図3(b)では、基板10の端面10cに対して段差部g2が内側に凹んでいる場合のみを示しているが、段差部g2は基板10の端面10cに対して外側に突出していてもよいことは、言うまでもない。段差部g2が基板10の端面10cに対して内側に凹んでいる場合、段差部g2は段差部g1とともに、接着時にはみ出した接着剤をさらに収容し、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。段差部g2が基板10の端面10cに対して外側に突出している場合、段差部g2は段差部g1とともに、接着時にはみ出した接着剤をさらに阻止し、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。
【0049】
段差部g2は光導波路20から離間しているので、光導波路20に接着剤が接触するのを防止することができる。また、段差部g1の深さよりも深い段差部g2を設けることにより、接着時にはみ出す接着剤が多い場合、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触することをさらに防止することができる。
【0050】
よって、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に、段差部g1が形成されていることに加え、さらに段差部g2が形成されていることにより、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクをさらに低減し、導光不良を抑制することができる。段差部g1、g2を設けることにより、接着剤を光導波路20から遠ざけることができる一方、基板10の放熱表面積を増加させることができるので、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止し、動作時に光導波路20の温度を安定的に維持し、さらに導光不良を抑制することができる。
【0051】
第3の実施形態
次に、第3の実施形態の光学デバイス1Bについて説明する。なお、以下の実施の形態において、上述した実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
図4(a)は、第3の実施形態に係る光学デバイス1Bを示す平面図であり、
図4(b)は、第3の実施形態に係る光学デバイス1Bを示す正面図である。
【0053】
第3の実施形態の光学デバイス1Bは、
図4(a)に示すように、基板10の端面10cに段差部g1、段差部g2が形成されていることに加え、基板10の端面10cにおいて、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に段差部g3が形成されている点で、第2の実施形態の光学デバイス1Aと異なる。
【0054】
段差部g3は、
図4(b)に示すように、光導波路20から離間して光導波路20の周囲に形成されている。第1の方向D1から見て、段差部g3と段差部g2は光導波路20を挟持している。段差部g3は、光学デバイス1Bの主面10aに露出している。段差部g3の深さ(第2の方向D2における幅)は段差部g1の深さと異なり、好ましくは、段差部g3の深さは段差部g1の深さよりも大きい。段差部g3の深さと段差部g2の深さは同じでも異なってもよい。
【0055】
段差部g3は、段差部g1、段差部g2と同様に、例えば、ステルスダイシング、研磨、積層等の方法によって、基板10の端面10cに対して凹凸に形成されている。
図4(b)では、段差部g3が基板10の端面10cに対して内側に凹んでいる場合を示しているが、段差部g3は基板10の端面10cに対して外側に突出していてもよい。段差部g3が基板10の端面10cに対して内側に凹んでいる場合、段差部g3は、段差部g1、段差部g2とともに、接着時にはみ出した接着剤をさらに収容し、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。段差部g3が基板10の端面10cに対して外側に突出している場合、段差部g3は、段差部g1、段差部g2とともに、接着時にはみ出す接着剤をさらに阻止し、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。
【0056】
段差部g3は光導波路20から離間しているので、光導波路20に接着剤が接触するのを防止することができる。また、段差部g1の深さよりも深い段差部g3を設けることにより、接着時にはみ出す接着剤が多い場合、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触することをさらに防止することができる。
【0057】
よって、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に、段差部g1、段差部g2が形成されていることに加え、さらに段差部g3が形成されていることにより、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクをさらに低減し、導光不良を抑制することができる。段差部g1~g3を設けることにより、接着剤を光導波路20から遠ざけることができる一方、基板10の放熱表面積を増加させることができるので、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止し、動作時に光導波路20の温度を安定的に維持し、さらに導光不良を抑制することができる。
【0058】
第4の実施形態
次に、第4の実施形態の光学デバイス1Cについて説明する。なお、以下の実施の形態において、上述した実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0059】
図5(a)は、第4の実施形態に係る光学デバイス1Cを示す平面図であり、
図5(b)は、第4の実施形態に係る光学デバイス1Cを示す正面図である。
【0060】
第4の実施形態の光学デバイス1Cは、
図5(a)に示すように、段差部g1が段差部g2および段差部g3にそれぞれ連通している点で、第3の実施形態の光学デバイス1Bと異なる。
【0061】
図5(a)では、段差部g1は、段差部g2および段差部g3にそれぞれ連通しており、全体として、X-Z断面に略U字形の1つの段差部として形成されている。説明の容易性のために、
図5(a)中の破線は、実際に見えない線を示している。段差部g1は段差部g2および段差部g3に連通しているため、接着時にはみ出す接着剤が多い場合、段差部g1、g2、g3はより多くの接着剤を収容または遮断することができ、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触することをより一層防止することができる。
【0062】
よって、段差部g1が段差部g2および段差部g3にそれぞれ連通していることにより、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクをさらに低減し、導光不良を抑制することができる。段差部g1~g3を設けることにより、接着剤を光導波路20から遠ざけることができる一方、基板10の放熱表面積を増加させることができるので、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止し、動作時に光導波路20の温度を安定的に維持し、さらに導光不良を抑制することができる。
【0063】
第5の実施形態
次に、第5の実施形態の光学デバイス1Dについて説明する。なお、以下の実施の形態において、上述した実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
図6(a)は、第5の実施形態に係る光学デバイス1Dを示す平面図であり、
図6(b)は、第5の実施形態に係る光学デバイス1Dを示す正面図である。
【0065】
第5の実施形態の光学デバイス1Dは、
図6(a)に示すように、段差部g1が段差部g2および段差部g3にそれぞれ連通していることに加えて、光導波路20の端部が基板10の端部よりも内側にある点で、第4の実施形態の光学デバイス1Cと異なる。
【0066】
第1の方向D1から見て、光導波路20の光入射端20cは基板10の端面10cよりも内側に形成されている。そして、段差部g1は第1の方向D1に延び、基板10の主面10aに露出している。
【0067】
光導波路20の光入射端20cは基板10の端面10cより内側にあるので、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触するのを防止することができる。
【0068】
そして、第4の実施形態の光学デバイス1Cにおいて段差部g1、g2、g3からなる、X-Z断面に略U字状の段差部に比べて、本実施形態の光学デバイス1Dにおいて段差部g1、g2、g3からなる、X-Z断面において長方形状の段差部の容積(体積)が大きく、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触することをより一層防止することができる。
【0069】
図7は、接着剤がはみ出した場合の第5の実施形態に係る光学装置1Dを示す模式的斜視図である。図示しないLDの基板を本願の基板10に接着するとき、接着剤塗布領域Rに塗布された接着剤は
図7中のハッチング部分に示すように段差部g1、g2、g3の主面10aに露出する表面にはみ出す可能性があるが、接着剤塗布領域Rに塗布された接着剤がはみ出したとしても、光導波路20の光入射端20cには接触しない。
【0070】
よって、光導波路20の端部が基板10の端部よりも内側にあり、かつ段差部g1が基板10の主面10aに露出することにより、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクをより一層低減し、導光不良を抑制することができる。光導波路20の光入射端20cは、基板10の端面10cよりも内側にあり、かつ段差部g1~g3が基板10の主面10aに露出して設けられていることにより、接着剤を光導波路20から遠ざけることができる一方、基板10の放熱表面積を増加させることができるので、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止し、動作時に光導波路20の温度を安定的に維持し、さらに導光不良を抑制することができる。
【0071】
第6の実施形態
次に、第6の実施形態の光学デバイス1Eについて説明する。なお、以下の実施の形態において、上述した実施の形態と同じ構成には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
図8(a)は、第6の実施形態に係る光学装置1Eを示す平面図であり、
図8(b)は、第6の実施形態に係る光学装置1Eを示す正面図である。
【0073】
図8(a)に示すように、第6の実施形態の光学デバイス1Eは、保護層30が光導波路20に隣接して形成され、段差部g2と段差部g3が保護層30に形成されている点で、第5の実施形態の光学デバイス1Dと異なる。説明の容易性のために、
図8(a)及び
図8(b)における破線は、実際に見えない線を示す。
【0074】
(保護層)
光導波路20を伝搬する光が基板10または外部電極に吸収されることを防ぐために、保護層30は光導波路20に隣接して形成されている。本実施形態では、保護層30は、光導波路20の上面だけでなく、光導波路20が形成されていない基板10上も覆い、光導波路20の側面も保護層30で覆われているため、光導波路20における光の伝搬損失を低減することができる。
【0075】
保護層30の材料は、幅広く選択できる。例えば、保護層30は、酸化ケイ素などの非金属酸化物、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、ポリイミドなどの樹脂材料、セラミックスなどの絶縁材料を用いて製造することができる。保護層の材料は結晶性の材料であってよく、非晶質の材料でもよい。さらに好ましい実施形態として、保護層30としては、屈折率が光導波路20より低い材料を用いることができ、例えば、Al2O3、SiO2、LaAlO3、LaYO3、ZnO、HfO2、MgO、Y2O3などを使用してよい。光導波路20上に形成された保護層30の厚さは、0.2~1.2μm程度であってもよい。
【0076】
図8(b)に示すように、段差部g2と段差部g3は保護層30に形成され、保護層30に露出している。また、段差部g1も、保護層30に形成され、保護層30に露出してもよい。
図8(b)に示す例では、段差部g1、g2、g3が保護層30に形成され、保護層30に露出している場合を示したが、段差部g1は保護層に形成されていなくてもよい。
【0077】
第6の実施形態の光学装置1Eは、保護層30が光導波路20に隣接して形成され、段差部g2と段差部g3が保護層30に形成されていることにより、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触することをより一層防止することができる。また、第1~第5の実施形態の光学デバイス1、1A~1Dが奏する効果と同様に、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクをより一層低減し、導光不良を抑制することができる。段差部g1~g3が保護層30に形成される設置は、接着剤を光導波路から遠ざけることができる一方で、外部の応力や熱衝撃から光導波路20を保護することができるので、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止し、動作時に光導波路20の温度を安定的に維持し、さらに導光不良を抑制することができる。
【0078】
図9は、本発明の実施形態に係る光学デバイスの光導波路がスラブ部とリッジ部とを備える場合を示すX-Z断面図である。
【0079】
光導波路20は、
図9に示すように、スラブ部20sと、スラブ部20s上に隆起したリッジ部20rとにより構成されている。スラブ部20sは、基板10上に薄く形成されており、例えば層状や平板状に形成されることができるが、これに限定されず、やや傾斜した層であってもよく、例えば台形状に形成されてもよい。リッジ部20rはスラブ部20s上に隆起し、例えばスラブ部20sから一定の高さだけ柱状に上向きに隆起してもよい。しかし、リッジ部20rの形状はこれに限定されず、テーパ状のみで隆起してもよく、さらに複数段階で隆起してもよい。光は主に光導波路20のリッジ部20r内を伝搬するので、接着剤は少なくとも光導波路20のリッジ部20rに接触しないことが好ましい。これにより、光導波路20への接着剤の熱伝導を良好に阻止し、動作時に光導波路20の温度を安定的に維持し、さらに導光不良を抑制することができる。
【0080】
実施例
図2の(a)、(b)に示す端面10cに段差部g1が形成された光学デバイス1を実施例とし、
図2の(a)、(b)に示す光学デバイス1と同じ構造を有するが、端面10cに段差部が形成されていない光学デバイスを比較例として、両者について導光不良率の比較を行った。その結果を表1に示す。
【0081】
表1から分かるように、端面10cに段差部g1を形成することにより、導光不良率を小さく抑えることができる。これは、光導波路20と接着剤塗布領域Rとの間に段差部g1が形成されることにより、光導波路20の光入射端20cに接着剤が接触することを防止し、光導波路の光入射/出射端に接着剤が接触するリスクを低減できるからである。
【0082】
【0083】
以上において、図面と実施例を組み合わせて本発明について詳しく説明したが、理解されるように、上記説明は本発明のいかなる制限にもならない。例えば、上述の光学デバイス1、1A~1Eの説明において、基板10に沿って光導波路20を1つ形成する場合を例に説明したが、これに限定されず、1つ以上の光導波路であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、光導波路20は基板10の接着剤が形成されている塗布領域Rの端面10c側に光入射端20cを有しているが、光導波路20は基板10の端面10c側に光出射端20dを有していてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、1つ~3つの段差部を含む例を挙げたが、3つ以上の段差部を含む構造であってもよい。また、段差部の寸法に対して限定がない。
【0086】
当業者は本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて本発明に対し変形や変更を加えることができ、これらの変形や変更も本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0087】
1、1A、1B、1C、1D、1E…光学デバイス
10…基板
10a、10b…主面
10c、10d…端面
10e、10f…側面
20…光導波路
20c…光入射端
20d…光出射端
R…接着剤塗布領域
g1、g2、g3…段差部
30…保護層
第1の方向(Z方向)…D1
第2の方向(Y方向)…D2
第3の方向(X方向)…D3