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特開2024-144404ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための方法、ローラ装置、ドライ電極、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144404
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための方法、ローラ装置、ドライ電極、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024057281
(22)【出願日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】10 2023 202 929.4
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ショップフ
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー ブースヴィンケル
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ロイバー
(72)【発明者】
【氏名】ローラント シュミット-ローバッハ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050FA17
5H050GA12
5H050GA22
5H050GA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造する方法を提供する。
【解決手段】ローラ装置は、少なくとも3つのローラと集電体12とを備え、第1のローラ13と第2のローラ14とを逆向きの回転方向で回転させるステップと、回転している第1のローラ13と第2のローラ14とによって形成されるカレンダギャップ20内へ粉末を振とうさせ、第2のローラ14においてガイドするステップと、第2のローラ14と第3のローラ15との間のラミネートギャップ18を調整するためにコントローラユニットを用いて信号をトリガし、第3のローラ15および/または第1のローラ13および第2のローラ14を集電体12へ向かって相互に移動させるステップと、少なくとも第3のローラ15を第2のローラ14に対して逆向きで回転させるステップと、集電体12をラミネートギャップ18を通して移動させるステップとを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ装置(100)を用いて集電体(12)上でドライ電極(10)を製造する方法であって、前記ローラ装置(100)は、少なくとも3つのローラ(13,14,15)と、前記少なくとも3つのローラのうちの第2のローラ(14)と第3のローラ(15)との間に配置された集電体(12)とを備え、前記方法が、
前記少なくとも3つのローラのうちの第1のローラ(13)と前記第2のローラ(14)とを逆向きの回転方向で回転させるステップと、
回転している前記第1のローラ(13)と回転している前記第2のローラ(14)とによって形成されるカレンダギャップ(20)内へ粉末(11)を振とうさせ、該粉末(11)を前記第2のローラ(14)においてガイドするステップと、
前記第2のローラ(14)と前記第3のローラ(15)との間のラミネートギャップ(18)を調整するためにコントローラユニットを用いて信号をトリガし、前記第3のローラ(15)および/または前記第1のローラ(13)および前記第2のローラ(14)を前記集電体(12)へ向かって相互に移動させるステップと、
前記少なくとも3つのローラのうちの少なくとも前記第3のローラ(15)を、前記第2のローラ(14)に対して逆向きで回転させるステップと、
前記集電体(12)を前記ラミネートギャップ(18)を通して移動させるステップと、
を含み、
前記ラミネートギャップ(18)は、粉末(11)が前記ドライ電極(10)を形成するために薄層として前記集電体(12)上に被着されるように調整される、
方法。
【請求項2】
前記方法がさらに、
前記第2のローラ(14)において、薄層となった粉末(11)の厚さを算定するステップ、および
算定された厚さに基づいて、前記コントローラユニットにより信号をトリガするステップ、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法がさらに、前記第2のローラ(14)においてガイドされた粉末(11)、特に欠陥を有する薄層となった粉末(11)を、回転方向において前記ラミネートギャップ(18)の下流側に配置された除去装置(22)によって除去するステップを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のローラ(13)、前記第2のローラ(14)、前記第3のローラ(15)の回転速度および/または前記集電体(12)の通走速度が、前記コントローラユニットにより、好適には薄層となった粉末(11)の算定された厚さに基づいて制御される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第2のローラ(14)においてガイドされた粉末(11)、特に欠陥を有する薄層となった粉末(11)を除去する際に、該粉末(11)が前記除去装置(22)により捕捉されかつ/または吸引される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第2のローラ(14)と前記第3のローラ(15)との間のラミネートギャップ(18)を調整するための信号が、予め定められた時間後にトリガされる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、
前記カレンダギャップ(20)内へ振とうされた粉末量を算定するステップ、
前記第2のローラ(14)で行われた回転を算定するステップ、
算定された粉末量および/または算定された前記第2のローラ(14)で行われた回転に基づいて、前記コントローラユニットにより信号をトリガするステップ、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
集電体(12)上でドライ電極(10)を製造するローラ装置(100)であって、
コントローラユニットと、
少なくとも3つのローラと、
薄層となった粉末(11)を捕捉するように構成された、ラミネートギャップ(18)内に配置された集電体(12)であって、ここで、前記ラミネートギャップ(18)が、前記少なくとも3つのローラのうちの第1のローラ(13)と第2のローラ(14)との間の間隔を規定する、集電体(12)と、
前記第1のローラ(13)と前記第2のローラ(14)との間の間隔を規定するカレンダギャップ(20)内へ粉末(11)を振とうさせるように構成された振とう装置(26)と、
前記第2のローラ(14)においてガイドされた粉末(11)を除去するように構成されており、回転方向において前記ラミネートギャップ(18)の下流側に配置された、除去装置(22)と、
を備え、
前記コントローラユニットは、前記ラミネートギャップ(18)を調整するための信号、特に前記ラミネートギャップ(18)の厚さを調整するための信号をトリガするように構成されている、
ローラ装置(100)。
【請求項9】
前記ローラ装置(100)がさらに、薄層となった粉末(11)の厚さを、前記第2のローラ(14)において、特に回転方向において前記ラミネートギャップ(18)の上流側で算定するように構成された層厚さセンサ(17)を有する、請求項8記載のローラ装置(100)。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によって製造されたドライ電極(10)。
【請求項11】
実行時に、請求項8または9記載のローラ装置(100)のコントローラユニットに請求項1から7までのいずれか1項記載の方法の少なくとも部分ステップを実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体としては電極製造、特にドライ電極製造の分野に関する。具体的には、本発明は、ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための方法、ローラ装置、ドライ電極、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読媒体に関する。
【0002】
マルチローラカレンダもしくはローラ装置を用いてドライ電極を製造する際には、プロセスの始動時に不完全な層がローラ上に存在している状態が生じる。これらの不完全な層が集電体に積層されると、劣悪な品質の電極またはそれどころか使用不能な電極が製造されてしまう。
【0003】
さらに、不完全な層が集電体へ完全に転移されず、したがってコーティング部材がローラ上に残留する状態が生じうる。ここで材料が新たにフィルム形成ギャップに供給されるとローラギャップが詰まってしまいかねないため、プロセスを停止させなければならず、最悪の場合にはローラの損傷が発生する。
【0004】
本発明の課題は、上述した欠点を少なくとも部分的に取り除くことである。特に、本発明の課題は、ドライ電極を製造するための方法の効率および信頼性を高め、当該方法によってドライ電極を製造する際のコストを低下させることである。さらに、本発明の課題は、当該方法によって製造されるドライ電極の品質を高めることである。
【0005】
上記の課題は、請求項1記載の特徴を有する、ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための方法と、請求項8記載の特徴を有するローラ装置と、請求項10記載の特徴を有するドライ電極と、請求項11記載の特徴を有するコンピュータプログラム製品と、請求項12記載の特徴を有するコンピュータ可読媒体とによって解決される。本発明のさらなる特徴および詳細は、各従属請求項、明細書および図面から得られる。この場合、本発明による方法に関連して説明する特徴および詳細は、当然ながら、本発明によるローラ装置、ドライ電極、コンピュータプログラム製品および/またはコンピュータ可読媒体との関連においても当てはまり、またそれぞれ逆にも当てはまるので、個々の本発明の態様についての開示は常に相互に関連付けられ、もしくは関連付け可能である。
【0006】
本発明の実施形態により、有利には、ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための改善された方法を提供することができる。当該方法により、低コストかつ高い信頼性で高品質のドライ電極を製造することができる。
【0007】
本開示の一態様は、ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための方法に関する。ローラ装置は、少なくとも3つのローラと、当該少なくとも3つのローラのうちの第2のローラと第3のローラとの間に配置された集電体とを備えている。当該方法が、次のステップ、すなわち、
・少なくとも3つのローラのうちの第1のローラと第2のローラとを逆向きの回転方向で回転させるステップと、
・回転している第1のローラと回転している第2のローラとによって形成されるカレンダギャップ内へ粉末を振とうさせ、当該粉末を第2のローラにおいてガイドするステップと、
・第2のローラと第3のローラとの間のラミネートギャップを調整するためにコントローラユニットを用いて信号をトリガし、第3のローラおよび/または第1のローラおよび第2のローラを集電体へ向かって相互に移動させるステップと、
・少なくとも3つのローラのうちの少なくとも第3のローラを、第2のローラに対して逆向きで回転させるステップと、
・集電体をラミネートギャップを通して移動させるステップと
を含む。ここで、ラミネートギャップは、粉末がドライ電極を形成するために薄層として集電体上に被着されるように調整される。
【0008】
換言すれば、ローラ装置を用いて集電体上でドライ電極を製造するための方法において、そもそも粉末が薄層として集電体に被着される前にまずローラ装置を始動させることが提案される。したがって、2つの状態または2つの動作状態を区別することができる。ラミネートギャップを調整するための信号がトリガされる前に、ローラ装置を始動モードまたは始動状態において駆動することができる。ラミネートギャップを調整するための信号がトリガされた後、ローラ装置は、通常動作モードまたは通常動作状態において駆動することができる。
【0009】
ラミネートギャップは、集電体が配置され、好適には貫通させることのできる、2つのローラ間に位置するギャップでありうる。ラミネートギャップとは異なり、カレンダギャップは、粉末を振とうさせることのできる2つのローラ間の間隔である。ラミネートギャップとカレンダギャップとの間には、通常は1個のローラしか存在しない。事後圧縮プロセスでは、ラミネートギャップとカレンダギャップとの間に2つのローラを設けることができる。
【0010】
粉末は、粉末状材料であってよい。粉末は、好適には溶剤を含まず、ローラ装置を用いて層へと移行される。粉末は、特に活性材料、導電性添加物および結合剤を含む。粉末の成分は、ドライ電極を製造するための方法の前段階において混合することができる。電極は、基板上に堆積される2層のもしくは単層の層と称することができる。電極は、例えば、2層カソード材料および/または2層アノード材料でありうる。
【0011】
集電体は、集電体または基板とも称されうる。集電体は、薄層用の基板として用いられる主機能部を有することができる。
【0012】
製造される電極の品質は、薄層としての粉末または粉末状材料の分布に依存しうる。高品質の電極は、好適には均質な薄層から形成される。したがって、第2のローラ上にガイドされた粉末が均質な薄層を形成したときにはじめて粉末を集電体へと被着させると有利であることが判明している。
【0013】
このために、方法は、共にカレンダギャップを形成するローラを回転させることを規定している。当該カレンダギャップ内では、好適には、第2のローラに接してまたは第2のローラ上でガイドされる粉末が既に振とうされている。したがって、粉末は、カレンダギャップにおけるカレンダプロセスにより少なくとも部分的に薄層を形成することができる。ただし、通常、粉末は、さしあたり不完全な薄層または欠陥を有しうる層しか形成できない。部分的に薄層となった粉末は、亀裂、孔などを有しうる。したがって、こうした不完全な層または欠陥を有する層は、電極にとって使用不能であるか、または低品質の電極しかもたらさない。
【0014】
したがって、方法は、コントローラユニットにより信号がトリガされた後にはじめてラミネートギャップを調整するように構成される。信号をトリガすることは、通常動作状態への移行と同義であってよい。信号は、好適には、粉末が第2のローラ上に均質な薄層を形成した場合にトリガされる。信号は、好適には、ローラに支持される層がローラ上に完全に存在している場合にトリガされる。
【0015】
具体的には、コントローラユニットは、ユーザの命令に対して信号をトリガすることができる。ローラ装置のユーザは、粉末または薄層を観察することで、相応に、殊にドライ電極を形成するために薄層として集電体上に粉末を被着させることができるようにラミネートギャップを調整すべきであると判断することができる。
【0016】
代替的にもしくは付加的に、コントローラユニットが、経験値に基づいて、設定されたローラ回転数に従って信号をトリガすることができる。代替的にもしくは付加的に、例えば第2のローラに配置された除去装置は、どれだけの量の粉末が対応するローラから除去されたかを算定することができ、これにより、コントローラユニットは、算定された粉末除去量に基づいて信号をトリガすることができる。
【0017】
ラミネートギャップを調整するための信号がトリガされると、コントローラユニットにより、集電体を挟んだラミネートギャップが縮小するように、ローラ装置のローラを制御することができる。集電体の一方側に配置されている全てのローラは、同期して、半径方向において集電体へ向かって移動させることができる。代替的に、集電体の一方側のローラおよび他方側のローラを集電体へ向かって半径方向で移動させることもできる。粉末が両側で薄層として集電体上に被着される場合には、集電体の両側から集電体へ向かってローラを移動させることが有利であると判明している。ラミネートギャップの調整の際には、集電体を挟んで配置された隣接する2つのローラ間の間隔を調整し、特に小さくすることができる。なお、ローラ装置の駆動時にラミネートギャップが一定である必要はないことに留意されたい。
【0018】
ラミネートギャップの幅は、コントローラユニットにより引き続き通常動作状態において調整可能である。ラミネートギャップの調整は、力制御によってまたは変位制御によって行われうる。
【0019】
ラミネートギャップは、粉末を薄層として被着させる際に変化しうる。ラミネートギャップは、変化させた場合にも粉末を薄層として引き続き被着させることが可能である限り、変化させることができる。ラミネートギャップの力制御による調整は、粉末を薄層として被着させる際に集電体にかかる力または圧力を考慮している。集電体にかかる力および/または圧力が上昇すると、ラミネートギャップがより幅広となるように調整される。ただし、これは、薄層がより厚くなることをも意味する。このため、ラミネートギャップの力制御による調整においては、電極の厚さを適応化するために、製造される電極を事後加工するように構成可能である。
【0020】
ラミネートギャップが変位制御によって調整される場合、集電体と隣接するローラとの間の実際の間隔または集電体を挟んで隣接する2つのローラ間の実際の間隔が調整される。ラミネートギャップは、変位制御によって調整される場合、通常動作モードまたは通常動作状態の全体において一定とすることができる。
【0021】
ローラ装置の残りのローラが回転されるとただちにラミネートギャップを調整することができるようになり、しかも、この時点で粉末を薄層として集電体上に被着させることができるように調整可能である。代替的に、ローラ装置の残りのローラを集電体に対して同時に移動させることもできる。ただし、重要なのは、ラミネートギャップの合流部よりも上流側で残りのローラがまず回転するか、または少なくとも自由回転可能であることである。なぜなら、そうでないとウェブの亀裂が生じるおそれがあるからである。集電体の一方側にのみ薄層が被着される実施形態では、ここで第3のローラが回転される。集電体を中心として対称なローラ装置の実施形態では、ラミネートギャップが調整される前に、ローラ装置の全てのローラが回転することも考えられる。重要なのは、振とう装置に隣接する全てのローラがラミネートギャップの調整前に既に回転されることでありうる。
【0022】
ラミネートギャップを調整するための信号の調整もしくはトリガの直後に、集電体を移動させることができるか、または第2のローラおよび第3のローラを通して通走させることができる。そもそも集電体に粉末を被着させることができるよう、ラミネートギャップが過度に幅広となっている時間全体にわたって、集電体および集電フィルムを静止させることができる。これにより、エネルギを節約することができる。
【0023】
ローラ装置が集電体を中心として対称に構成されている場合、両面のドライ電極が製造可能であることに留意されたい。これにより、2つのカレンダギャップにおいて粉末を振とうさせ、集電体に隣接する各ローラにおいて相応に2つの層をガイドすることができる。
【0024】
方法によれば、効率的かつ正確に高品質の電極を提供することができる。このような方法により、同様にローラ装置の詰まりを回避し、または少なくとも低減することができる。このような方法により、ドライ電極を製造するためのローラ装置のメンテナンスの手間を軽減することができる。
【0025】
本方法の一実施形態によれば、方法はさらに、次のステップ、すなわち、
・第2のローラにおいて、薄層となった粉末の厚さを算定するステップ、および
・算定された厚さに基づいて、コントローラユニットにより信号をトリガするステップ、
のうち少なくとも1つを含む。
【0026】
粉末が不完全な薄層として集電体上に被着されることを回避するために、第2のローラにおいて、または付加的に第3のローラにおいて、薄層となった粉末の厚さが算定されるように構成可能である。ここでの算定は層厚さセンサによって行うことができる。代替的にもしくは付加的に、カメラによって第2のローラおよび代替的には第3のローラを撮影し、この撮影をユーザインタフェース上に再生することができる。ユーザは、第2のローラおよび/または第3のローラの撮影に基づいて、薄層となった粉末の厚さが設定された基準、例えば設定された厚さを満たしているかどうかを算定することができる。代替的にもしくは付加的に、人工知能をベースとしたプログラムをカメラによって撮影された撮影を介して実行することもできる。
【0027】
ここでの層は、設定された厚さを有するだけでなく、設定された区間にわたって(少なくとも大部分が)一定の厚さを有するべきであることを指摘しておく。換言すれば、算定された厚さが設定された基準を満たす場合、コントローラユニットを用いて信号をトリガすることができる。設定された基準は、表面負荷、欠陥のない最小面積などでありうる。
【0028】
これにより、信号をトリガする時点をいっそう正確に調整することができ、これにより、製造される電極の品質をさらに高めることができる。
【0029】
方法の一実施形態によれば、方法はさらに、次のステップ、すなわち、第2のローラにおいてガイドされた粉末、特に欠陥を有する薄層となった粉末を、回転方向においてラミネートギャップの下流側に配置された除去装置によって除去するステップを含む。第2のローラにおいてガイドされた粉末が除去される場合、これは、第2のローラ上に存在する欠陥を有する層、すなわち例えば誤った厚さもしくは不規則な厚さを有する層であってよい。第2のローラにおいてガイドされた粉末の除去、好適には少なくとも部分的に欠陥を有する層となった粉末の除去は、始動モード中に実行することができる。
【0030】
これにより、集電体上に被着されない材料または粉末は、ローラ装置の始動モード中または通常動作モード中に、対応するローラにおいて除去することができる。このことにより、ローラ装置の対応するローラにおける詰まりのリスクが最小化される。
【0031】
除去装置から除去された粉末または材料は、振とう装置に再び供給可能である。したがって、粉末は再利用することができ、電極の製造時の粉末消費を低減することができる。除去された粉末が再びガイド可能となる前に、除去された粉末を先行のプロセスステップにおいて処理すると有利であることが判明している。
【0032】
本方法の一実施形態によれば、第1のローラ、第2のローラ、第3のローラの回転速度および/または集電体の通走速度が、コントローラユニットにより、好適には薄層となった粉末の算定された厚さに基づいて制御される。
【0033】
換言すれば、ローラ装置、特にローラ装置のローラを、薄層となった粉末の表面負荷、薄層の厚さなどの設定された基準が満たされるように制御することができる。薄層となった粉末の厚さはローラ装置のローラの回転速度に依存することがあり、また逆にローラ装置のローラの回転速度が薄層となった粉末の厚さに依存することもある。
【0034】
これにより、高品質の電極を製造することができる。
【0035】
方法の一実施形態によれば、第2のローラにおいてガイドされた粉末、特に欠陥を有する薄層となった粉末を除去する際に、当該粉末が除去装置により捕捉されかつ/または吸引される。
【0036】
方法の一実施形態によれば、第2のローラと第3のローラとの間のラミネートギャップを調整するための信号が、予め定められた時間後にトリガされる。
【0037】
ローラ装置は、例えば仮想の双曲線を有しうる。ローラ装置の仮想の双曲線を用いたシミュレーションまたはテストに基づいて、予め定められた時間後に、薄層となった粉末の厚さ、表面負荷および/または別のパラメータが設定された基準を満たすことが既知となりうる。このような予め定められた時間は、例えばコントローラユニットの記憶媒体に格納されていてよい。したがって、ラミネートギャップを調整するための信号は、予め定められた時間の後、自動的にトリガ可能となる。
【0038】
予め定められた時間は、同様に、実験データおよび/または経験的なデータに基づいていてよい。したがって、予め定められた時間は、ユーザによって、コントローラユニットの記憶媒体に例えばユーザインタフェースを用いて格納可能である。
【0039】
さらに、予め定められた時間が最大時間を規定するように構成可能である。換言すれば、信号は、最大時間の後、例えば算定された厚さに依存せずにトリガ可能となる。このことは、例えば、コントローラユニットが例えばユーザの命令を受けてはじめて信号をトリガするように構成されている場合に有利であると判明している。このようにすることで、ユーザが命令を出力するのを失念した場合にも、ローラ装置が始動モード中または始動状態において不必要に長い時間にわたって動作することを回避することができる。
【0040】
同様に、例えば層厚さセンサが誤動作したために算定された厚さに基づいて信号を確実にトリガすることができない場合、予め定められた時間の経過後に信号をトリガすると有利であることが判明している。
【0041】
方法の一実施形態によれば、方法はさらに、次のステップ、すなわち、
・カレンダギャップ内へ振とうされた粉末量を算定するステップ、および/または
・第2のローラで行われた回転を算定するステップ、
・算定された粉末量および/または算定された第2のローラで行われた回転に基づいて、コントローラユニットにより信号をトリガするステップ、
のうち少なくとも1つを含む。
【0042】
どれだけの粉末量がカレンダギャップ内へ振とうされたかを算定するために、調量ユニットから取り出された粉末量を算定するように構成可能である。
【0043】
ローラ装置を停止させる際に、使用不能なコーティングを集電体に転移させないようにするために、まさにこれとは逆の方式を行うことができることに留意されたい。換言すれば、ローラ装置の停止時に、まず、粉末が薄層として集電体上に被着されえないようにラミネートギャップを調整すべく構成可能である。ラミネートギャップの相応の調整後にはじめて、つまりラミネートギャップが拡大された後にはじめて、対応するローラを停止させることができる。
【0044】
本開示の第2の態様は、集電体上でドライ電極を製造するローラ装置に関する。ローラ装置は、コントローラユニットと、少なくとも3つのローラと、薄層となった粉末を捕捉するように構成された、ラミネートギャップ内に配置された集電体とを備えている。ここで、ラミネートギャップは、少なくとも3つのローラのうちの第1のローラと第2のローラとの間の間隔を規定している。ローラ装置はさらに、カレンダギャップ内へ粉末を振とうさせるように構成された振とう装置を有している。カレンダギャップは、第1のローラと第2のローラとの間の間隔を規定している。ローラ装置はさらに、第2のローラにおいてガイドされた粉末を除去するように構成されている除去装置を有する。除去装置は、回転方向においてラミネートギャップの下流側に配置されている。この場合、コントローラユニットは、ラミネートギャップを調整するための信号、特にラミネートギャップの厚さを調整するための信号をトリガするように構成されている。
【0045】
方法に関して上記および下記にて説明する利点は、ローラ装置にも同様に当てはまる。
【0046】
ローラ装置の一実施形態によれば、ローラ装置はさらに、薄層となった粉末の厚さを、第2のローラにおいて、特に回転方向においてラミネートギャップの上流側で算定するように構成された層厚さセンサを有する。
【0047】
本開示の第3の態様は、上記および下記にて説明した方法を用いて製造されたドライ電極に関する。
【0048】
本開示の第4の態様は、実行時に、ローラ装置のコントローラユニットに、上述および下述した方法の少なくとも部分ステップを上述および下述したように実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム製品に関する。
【0049】
本開示の第5の態様は、上述したコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体に関する。
【0050】
上記および下記にて本開示の一態様に関して説明する開示および利点の全ては、本開示のさらなる態様の全てに同様に当てはまる。
【0051】
以下では、図に関連して本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】一実施例によるローラ装置を概略的に示す側面図である。
図2】一実施例によるローラ装置を概略的に示す平面図である。
図3】別の実施例によるローラ装置を概略的に示す側面図である。
図4】別の実施例によるローラ装置を概略的に示す側面図である。
図5】一実施例によるローラ装置のローラを示す概略図である。
図6】一実施例によるローラ装置のローラを示す概略図である。
図7】別の実施例によるローラ装置を概略的に示す側面図である。
図8】別の実施例によるローラ装置を概略的に示す側面図である。
図9】別の実施例によるローラ装置を概略的に示す側面図である。
【0053】
図中、類似の要素、類似の作用を有する要素、同一の要素または同等の作用を有する要素には、類似のもしくは同一の参照符号を付してある。図は概略的なものに過ぎず、縮尺通りに描かれていない。
【0054】
図1には、一実施例によるローラ装置100が側面図で概略的に示されている。このようなローラ装置100は、集電体12上にドライ電極10を製造するための方法を実行するために使用することができる。図1のローラ装置100は4つのローラを有している。第1のローラ13と第2のローラ14との間には、カレンダギャップ20と称されるギャップが設けられている。第1のローラ13は塗布ローラとも称されうる。第3のローラ15と第4のローラ16との間のギャップも同様にカレンダギャップ20と称される。このような圧着ローラユニットは、1つもしくは複数のローラを有することができる。これに対して、第2のローラ14と第3のローラ15との間には、ラミネートギャップ18と称されるギャップが設けられている。ラミネートギャップ18内には集電体12が配置されている。第2のローラ14および第3のローラ15は、圧着ローラユニットの部分であってよい。したがって、第2のローラ14および第3のローラ15は、圧着ローラとも称されうる。圧着ギャップとも称されうるラミネートギャップ18は、薄層となった粉末11を、圧着ローラユニットのローラから、すなわち第2のローラ14および/または第3のローラ15から、集電体12の一方側、場合によっては2つの側に、圧着力を用いて転移させるように構成可能である。念のため付言しておくならば、ローラは円筒形に形成されており、好適にはローラの軸線方向に関して相互に平行に配置されている。
【0055】
図1のローラ装置100は、実質的に集電体12を中心として対称に構成されている。つまり、集電体12の両側に、薄層となった粉末11を堆積させることができる。図1のローラ装置100の集電体12の一方側に関して説明した要素および/またはコンポーネントが、図1のローラ装置100の集電体12の他方側にも同様に鏡面対称に位置しうることに留意されたい。集電体12の両側に薄層を被着させることにより、ドライ電極10の効率を改善することができる。製造されたドライ電極10は、薄層と集電体12とから構成されている。集電体12の両側に薄層が堆積されているかどうかに応じて、一方側のドライ電極10または両側のドライ電極10と称することができる。非対称の実施形態も同様に可能である(図7を参照)。
【0056】
図1のローラ装置100では、集電体12の第1の側または集電体12の左側に、2つのローラ、すなわち第1のローラ13および第2のローラ14が配置されている。粉末11を振とうさせるように構成された振とう装置26は、少なくとも部分的にローラ装置100の2つのカレンダギャップ20内に配置されていてよい。振とう装置26は調量ユニットとも称されうる。集電体12の両側のうちのそれぞれ一方に、別の除去装置22を設けることができる。集電体12の最も近くに配置されている2つのローラは、このような除去装置22によって設けることができる。除去装置22は、ドクターブレード23と捕捉装置24とを有することができる。
【0057】
第1のローラ13と第2のローラ14とは、逆向きの回転方向で回転するように構成されている。第1のローラ13と第2のローラ14との間のカレンダギャップ20内へ、振とう装置26により粉末11を振とうさせることができる。次いで、粉末11は、第2のローラ14においてガイドされる。
【0058】
図1のローラ装置100は、運転中であり、特に通常動作モードにある。このことは、図1から見て取れる。というのも、それぞれのカレンダギャップ20内に振とうされた粉末11が薄層となり、ドライ電極10を形成するための薄層として集電体12上に堆積されるよう、ラミネートギャップ18が調整されるからである。すなわち、ラミネートギャップ18は、薄層となった粉末11が集電体12上に堆積可能となる程度に十分に小さいからである。
【0059】
図2には、一実施例によるローラ装置100が概略的に平面図で示されている。図2のローラ装置100は、例えば図1のローラ装置100であってよい。特にことわりのない限り、図2のローラ装置100は、図1のローラ装置100と同じ要素および特徴を有する。この場合、それぞれ第2のローラ14上および第3のローラ15上にガイドされた2つの薄層が、集電体12上に堆積される。ドライ電極10の予め定められた幅を調整できるようにするために、少なくとも1つのエッジセクション30、好適にはローラ当たり2つずつのエッジセクション30が設けられている。エッジセクション30は、ドライ電極10のエッジまたは縁部を正確に画定または切断することができる。エッジセクション30により、電極10の幅を調整することができる。縁部を越えて残留する材料もしくは粉末11または層となった粉末11を除去するために、好適には、エッジセクション30の直接隣に、取り出しユニット28が配置される。取り出しユニット28は、材料を取り出すもしくは捕捉することができる。取り出しユニット28は、捕捉容器を有することができる。取り出しユニット28は、さらにドクターブレード23を有していてよく、このドクターブレード23によって、対応するローラを洗浄することができる。
【0060】
第2のローラ14および第3のローラ15上にガイドされた粉末11は、薄層を形成する。薄層が集電体12上に堆積されるとただちに、この薄層はドライ電極10と称されるものとなりうる。機能可能なドライ電極10を製造できるようにするために、薄層は可能な限り均一に形成されていなければならない。当該薄層は、欠陥がないように、または傷がないように形成されなければならない。例えば、層内の亀裂、孔および/または破断部が欠陥であるとみなされうる。好適には、薄層はさらに、設定された最小層厚さを有する。図2の薄層またはドライ電極10は欠陥を有さない。図2のローラ装置100も、上述した例と同様に運転中であり、特に通常動作モードにあることが見て取れる。というのは、本発明によるローラ装置100は、通常動作モードにおいてはじめて薄層となった粉末11を集電体12により捕捉できるように構成されているからである。
【0061】
図3には、一実施例によるローラ装置100が側面図で概略的に示されている。特にことわりのない限り、図3のローラ装置100は、図1および図2のローラ装置100と同じ要素および特徴を有する。
【0062】
図1および図2のローラ装置100とは異なり、図3のローラ装置100は始動モードにあり、すなわちいまだ通常動作モードに入っていない。第2のローラ14と第3のローラ15との間のギャップ、すなわちラミネートギャップ18は、通常動作モードにおいてよりも始動モードにおいてのほうが大きい。図3のローラ装置100のラミネートギャップ18は、粉末11および/または部分的に薄層となった粉末11が集電体12に被着されえないように調整されている。したがって、始動モード中は、集電体12をラミネートギャップ18を通して移動させないように例えばエネルギを節約することが有利であると判明している。
【0063】
図3のローラ装置100の第2のローラ14および第3のローラ15には、粉末11のブロック19または小片が示されている。ブロック19は、欠陥を有する層を形成しうる。カレンダギャップ20内へ振とうされた粉末11は、始動モードにおいてはいまだ薄層にはなっていない。むしろ、薄層自体がようやく形成され始め、これにより粉末11のブロック19または小片の形成がもたらされる。粉末11は、始動状態において部分的にのみ薄層となっている。換言すれば、薄層の品質は、ドライ電極10をこの薄層から形成するのにいまだ十分ではない。したがって、粉末11のブロック19または小片を除去することが有利である。このことは、除去装置22によって実現される。除去装置22は、粉末11を第2のローラおよび/または第3のローラ15において、好適には回転方向においてラミネートギャップ18の下流側で除去するように構成可能である。付加的に、除去装置22は、粉末11またはブロック19を除去する際に、対応するローラを洗浄するまたはクリーニングするように構成可能である。このために、除去装置22は、ドクターブレード23を有していてよい。対応するローラから材料、すなわち粉末11および/またはブロック19を除去するために、除去装置22は好適には捕捉装置24を有する。捕捉装置24は、機械的に材料を捕捉し、かつ/または材料を吸引することができる。
【0064】
図3のローラ装置100はさらに、層厚さセンサ17を有する。層厚さセンサ17は、好適には、回転方向においてラミネートギャップ18の上流側に配置されている。また、別の層厚さセンサ17を図3のローラ装置100の第3のローラ15に配置することも考えられる。というのも、第3のローラ15においても同様に薄層となった粉末11がガイドされるからである。
【0065】
層厚さセンサ17により、少なくとも部分的に薄層となった粉末11の厚さを算定するまたは測定することができる。粉末11および/または少なくとも部分的に薄層となった粉末11の厚さが算定される場合、算定された厚さが設定された基準を満たしているかどうかを判別することができ、またはコントローラユニットにより決定することができる。算定された厚さが設定された基準を満たしている場合、コントローラユニットが、ラミネートギャップ18を調整するための信号をトリガすることができる。ラミネートギャップ18を調整する際には、第3のローラ15を、特に第4のローラ16と共に、かつ/または第1のローラ13および第2のローラ14を集電体12へ向けて相互に移動させることができる。
【0066】
図4には、一実施例によるローラ装置100が側面図で概略的に示されている。別段のことわりのない限り、図4のローラ装置100は、図1図3のローラ装置100と同じ要素および特徴を有する。
【0067】
図4では、集電体12上にドライ電極10または薄層が被着されていないことが明らかである。したがって、ここから、図4のローラ装置100がいまだ始動モードにあることを識別することができる。しかし、図3とは異なり、第2のローラ14および第3のローラ15においてガイドされる粉末11は、均一な薄層を形成している。換言すれば、ローラ装置100は始動モードにおいて十分な長さの時間にわたって駆動されており、したがって通常動作モードへ移行する準備が完了している。したがって、ローラ装置100のコントローラユニット(ここでは図示せず)は、薄層となった粉末11をこの時点で集電体12上に被着させることができるようにラミネートギャップ18を調整するための信号をトリガすることができる。ラミネートギャップ18を調整するために、ローラを対で、すなわち、第1のローラと第2のローラ14とを共に、かつ/または第3のローラと第4のローラ16とを共に、半径方向において集電体12へ向かって移動させることができる。ローラの対での移動により、それぞれのカレンダギャップ20を一定に保持することができる。ローラ装置100が非対称である実施形態では、例えば2つのローラのみを集電体12の一方側で集電体12へ向かって移動させることが考えられる。対応するローラは、半径方向で集電体12へ向かって、薄層となった粉末11を集電体12上に被着させることができるようになるまで移動される。半径方向での1回もしくは複数回の移動が、図4において矢印により示されている。
【0068】
図5および図6には、一実施例によるローラ装置100のローラが概略的に示されている。図5および図6に示されているローラは第3のローラ15であってよい。図5および図6のローラを鏡像反転させて見ると、ローラ装置100の第2のローラ14となりうる。
【0069】
図1図4を参照しながら説明したように、第2のローラ14に、また代替的に第3のローラ15に、除去装置22を配置することができる。除去装置22は、一方では対応するローラの材料を除去するために用いられ、他方では対応するローラの洗浄のために用いられる。対応するローラを洗浄するために、除去装置22はブラシ25を有することができる。ブラシ25は回転ブラシであってよい。ローラの回転方向における除去装置22の下流側に、さらにクリーニング装置34を設けることができる。クリーニング装置34は、除去装置22に加えてローラの表面をクリーニングすることができる。クリーニング装置34は、繊布または不織布を対応するローラの表面に被着させるように、またはローラに押し付けるように構成された、1つまたは複数のクリーニングローラ38を有することができる。これにより、より高いクリーニング効果を得ることができる。繊布は、一方のボビン33から他方のボビン33へとクリーニングローラ38を介して繰り出し可能であり、続いて再び巻き取り可能である。図6の実施形態では、さらに、洗浄剤を繊布にかつ/または対応するローラの表面に被着させるように構成可能である。図5の実施形態では、ローラの洗浄はドライ状態で実行することができる。
【0070】
図7図9には、別の実施例によるローラ装置100の概略的な側面図が示されている。別段のことわりのない限り、図7図9のローラ装置100は、図1図4のローラ装置100と同じ要素および特徴を有する。
【0071】
基本的には、集電体12の一方側または両側に薄層を形成することのできるローラのあらゆるコンフィグレーションが考えられる。また、片面のみにドライ電極10を製造することも考えられる。後者のケースでは、ローラ装置100が3つのローラのみを有することができる。例えば、図7のローラ装置100の下方の3つのローラのみが設けられていればよい。図9ではさらに、集電体12に薄層を転移させるための4つのローラを設けることができる。換言すれば、4つの圧着ローラを備えた圧着ローラユニットが設けられることが考えられる。したがって、平坦に圧着される粉末11は、図9の例においては、2つの第2のローラ14,14’においてガイドされ、同様に2つの第3のローラ15,15’においてガイドされる。
【0072】
補足として、「~を含む」および「~を有する」なる語は他の要素を排除するものではなく、不定冠詞「1つの」または「ある」なる用語は複数を排除するものでないことに留意されたい。さらに、上記の実施例のうちの1つを参照して説明した特徴およびステップは、上述した別の実施例の別の特徴およびステップとの組み合わせにおいても使用可能であることを指摘しておく。特許請求の範囲における参照符号は、限定とみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0073】
10 電極
11 粉末
12 集電体
13 第1のローラ
14 第2のローラ
15 第3のローラ
16 第4のローラ
17 層厚さセンサ
18 ラミネートギャップ
19 ブロック
20 カレンダギャップ
22 除去装置
23 ドクターブレード
24 捕捉装置
25 ブラシ
26 振とう装置
28 取り出しユニット
30 エッジセクション
33 ボビン
34 クリーニング装置
38 クリーニングローラ
100 ローラ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ装置(100)を用いて集電体(12)上でドライ電極(10)を製造する方法であって、前記ローラ装置(100)は、少なくとも3つのローラ(13,14,15)と、前記少なくとも3つのローラのうちの第2のローラ(14)と第3のローラ(15)との間に配置された集電体(12)とを備え、前記方法が、
前記少なくとも3つのローラのうちの第1のローラ(13)と前記第2のローラ(14)とを逆向きの回転方向で回転させるステップと、
回転している前記第1のローラ(13)と回転している前記第2のローラ(14)とによって形成されるカレンダギャップ(20)内へ粉末(11)を振とうさせ、該粉末(11)を前記第2のローラ(14)においてガイドするステップと、
前記第2のローラ(14)と前記第3のローラ(15)との間のラミネートギャップ(18)を調整するためにコントローラユニットを用いて信号をトリガし、前記第3のローラ(15)および/または前記第1のローラ(13)および前記第2のローラ(14)を前記集電体(12)へ向かって相互に移動させるステップと、
前記少なくとも3つのローラのうちの少なくとも前記第3のローラ(15)を、前記第2のローラ(14)に対して逆向きで回転させるステップと、
前記集電体(12)を前記ラミネートギャップ(18)を通して移動させるステップと、
を含み、
前記ラミネートギャップ(18)は、粉末(11)が前記ドライ電極(10)を形成するために薄層として前記集電体(12)上に被着されるように調整される、
方法。
【請求項2】
前記方法がさらに、
前記第2のローラ(14)において、薄層となった粉末(11)の厚さを算定するステップ、および
算定された厚さに基づいて、前記コントローラユニットにより信号をトリガするステップ、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法がさらに、前記第2のローラ(14)においてガイドされた粉末(11)、特に欠陥を有する薄層となった粉末(11)を、回転方向において前記ラミネートギャップ(18)の下流側に配置された除去装置(22)によって除去するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1のローラ(13)、前記第2のローラ(14)、前記第3のローラ(15)の回転速度および/または前記集電体(12)の通走速度が、前記コントローラユニットにより、好適には薄層となった粉末(11)の算定された厚さに基づいて制御される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第2のローラ(14)においてガイドされた粉末(11)、特に欠陥を有する薄層となった粉末(11)を除去する際に、該粉末(11)が前記除去装置(22)により捕捉されかつ/または吸引される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第2のローラ(14)と前記第3のローラ(15)との間のラミネートギャップ(18)を調整するための信号が、予め定められた時間後にトリガされる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記方法はさらに、
前記カレンダギャップ(20)内へ振とうされた粉末量を算定するステップ、
前記第2のローラ(14)で行われた回転を算定するステップ、
算定された粉末量および/または算定された前記第2のローラ(14)で行われた回転に基づいて、前記コントローラユニットにより信号をトリガするステップ、
のうち少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
集電体(12)上でドライ電極(10)を製造するローラ装置(100)であって、
コントローラユニットと、
少なくとも3つのローラと、
薄層となった粉末(11)を捕捉するように構成された、ラミネートギャップ(18)内に配置された集電体(12)であって、ここで、前記ラミネートギャップ(18)が、前記少なくとも3つのローラのうちの第1のローラ(13)と第2のローラ(14)との間の間隔を規定する、集電体(12)と、
前記第1のローラ(13)と前記第2のローラ(14)との間の間隔を規定するカレンダギャップ(20)内へ粉末(11)を振とうさせるように構成された振とう装置(26)と、
前記第2のローラ(14)においてガイドされた粉末(11)を除去するように構成されており、回転方向において前記ラミネートギャップ(18)の下流側に配置された、除去装置(22)と、
を備え、
前記コントローラユニットは、前記ラミネートギャップ(18)を調整するための信号、特に前記ラミネートギャップ(18)の厚さを調整するための信号をトリガするように構成されている、
ローラ装置(100)。
【請求項9】
前記ローラ装置(100)がさらに、薄層となった粉末(11)の厚さを、前記第2のローラ(14)において、特に回転方向において前記ラミネートギャップ(18)の上流側で算定するように構成された層厚さセンサ(17)を有する、請求項8記載のローラ装置(100)。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によって製造されたドライ電極(10)。
【請求項11】
実行時に、請求項8または9記載のローラ装置(100)のコントローラユニットに請求項1から7までのいずれか1項記載の方法の少なくとも部分ステップを実行させるための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ可読媒体。
【外国語明細書】