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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144408
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】切り替え可能マルチ構成OCT
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20241003BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G01N21/17 620
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024058913
(22)【出願日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】23165436.9
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バヴィシュナ バラゴパル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサロ ムヨ
【テーマコード(参考)】
2G059
4C316
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059EE09
2G059FF02
2G059GG01
2G059GG02
2G059JJ17
2G059JJ22
2G059JJ30
2G059KK01
2G059LL01
4C316AA01
4C316AA09
4C316AB02
4C316AB11
4C316FA06
4C316FA09
4C316FB06
4C316FB26
4C316FY01
4C316FY05
4C316FY08
4C316FY09
(57)【要約】
【課題】本発明は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムを提供することを目的とする。
【解決手段】サンプルアームと、第1の光ファイバ、第1の光ファイバからの基準光をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、N個の光路はそれぞれ、他の光路の各々のそれぞれの光路長及び/又は波長分散とは異なるそれぞれの光路長及び/又は波長分散を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、を備える基準アームとを有する干渉計と、選択された光路に沿って伝播する基準光を第2の光ファイバに誘導するための光カプラと、を備える、物体を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ、OCT、撮像システム。OCT撮像システムは、第2の光ファイバを介して伝播する基準光と、物体によって散乱された後にサンプルアームを介して伝播するサンプル光との間の干渉を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、前記OCT撮像システムは、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームが、
基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路はそれぞれ、前記N個の光路のうちの他の光路の各々の光路長又は波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方とは異なる光路長又は波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、
前記選択された光路に沿って伝播する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、
を備える基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタとを備える干渉計と、
前記出力光ファイバを介して伝播する前記基準光の前記少なくとも一部と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、を備える、OCT撮像システム。
【請求項2】
前記光スイッチは、N個の出力ポートを備える1×N光スイッチであり、前記光カプラは、N個の入力ポートを備えるN×1光カプラであり、N個の光路はそれぞれ、N個の出力ポートのそれぞれをN個の入力ポートのそれぞれに接続するそれぞれの光ファイバを備える、請求項1に記載のOCT撮像システム。
【請求項3】
前記光ファイバの少なくとも一部が異なる光路長を有する、請求項2に記載のOCT撮像システム。
【請求項4】
前記N個の光路のうちの1又は複数のそれぞれは、それぞれの分散素子を備え、前記分散素子の各分散素子は、前記分散素子を備える前記光路を伝播する前記基準光の波長分散のそれぞれのレベルを提供するように配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項5】
前記N×1光カプラは、
N×1光ファイバカプラと、
前記基準光が前記1×N光スイッチによって結合された前記N個の出力ポートのうちの一つの出力ポートに対応する前記N個の入力ポートのうちの一入力ポートを前記出力光ファイバに結合するように制御可能なN×1光スイッチと、
のうちの一方を備える、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項6】
コントローラをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の異なるそれぞれの深さの範囲を撮像するため複数の撮像モードで動作可能であり、
前記撮像モードの各々における前記OCT撮像システムの動作中に、前記コントローラは、前記光スイッチを制御して、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を、前記撮像対象のそれぞれの深さの範囲内の深さから散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記出力光ファイバを介して伝播された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が所定の閾値未満であるようなそれぞれの光路長を有する前記N個の光路のそれぞれに誘導するように配置される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項7】
撮像対象は眼であり、前記OCT撮像システムは、
前記眼の前眼部の第1の部分を撮像するための第1の撮像モード、
前記眼の後眼部の第1の部分を撮像するための第2の撮像モード、又は、
前記眼の前記前眼部の第2の部分及び前記眼の前記後眼部の第2の部分を撮像するための第3の撮像モード
のうちの少なくとも1つで動作可能である、請求項6に記載のOCT撮像システム。
【請求項8】
前記OCT撮像システムが前記第1の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第1の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第1の光路は、前記眼の前記前眼部の前記第1の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルが、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第1の分散素子を備え、
前記OCT撮像システムが前記第2の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第2の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第2の光路は、前記眼の前記後眼部の前記第1の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルが、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第2の分散素子を備え、
前記OCT撮像システムが前記第3の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第3の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第3の光路は、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルを提供し、前記レベルが、前記眼の前記前眼部の前記第2の部分及び/又は前記後眼部の前記第2の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルよりも大きい、請求項7に記載のOCT撮像システム。
【請求項9】
レンズと前記干渉計の前記サンプルアーム内で光路の内外に前記レンズを移動するためのレンズ移動機構と、をさらに備え、
前記第1の撮像モードでは、前記コントローラは、前記第1の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に、前記眼の前記前眼部の前記第1の部分が前記レンズを介して撮像されるように、前記干渉計の前記サンプルアーム内の前記光路内に前記レンズを移動させるように前記レンズ移動機構を制御するように配置され、
前記第2の撮像モードでは、前記コントローラは、前記第2の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に前記眼の前記後眼部の前記第1の部分が前記レンズを使用せずに撮像されるように、前記干渉計の前記サンプルアーム内の前記光路から外に前記レンズを移動させるように前記レンズ移動機構を制御するようにさらに配置される、請求項7又は請求項8に記載のOCT撮像システム。
【請求項10】
前記OCT撮像システムの焦点を前記前眼部の画像に基づいて前記眼の瞳孔と位置合わせするように配置された瞳孔位置合わせモジュールをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記瞳孔位置合わせモジュールの動作中に前記第1の撮像モードで動作して、前記OCT撮像システムの前記焦点を前記眼の前記瞳孔と位置合わせし、前記瞳孔位置合わせモジュールの動作後に前記第2の撮像モードで、前記OCT撮像システムの前記焦点を前記眼の前記瞳孔と位置合わせするように配置される、請求項8に記載のOCT撮像システム。
【請求項11】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路の前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項12】
撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ、OCT、撮像システムであって、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームは、
光学スプリッタからの基準光が第1のミラーに入射すると、前記光学スプリッタからの前記基準光を反射して前記光学スプリッタに向けて戻すように配置された前記第1のミラーと、
第2のミラーと、
前記第2のミラーが光路外に移動されたときに前記第1のミラーによって前記基準光が前記光学スプリッタに向かって反射して戻され、前記第2のミラーが光路内に移動されたときに前記第1のミラーの代わりに前記第2のミラーによって前記基準光が前記光学スプリッタに向かって反射して戻されるように、前記第1のミラーに向かって伝播する前記基準光の光路の内外に前記第2のミラーを移動させるように制御可能なミラー移動機構と、
を備える、基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタと、を備える干渉計と、
前記光学スプリッタに向かって反射して戻る前記基準光と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、
を備える、OCT撮像システム。
【請求項13】
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の第1の深さの範囲を撮像する第1の撮像モードと、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の前記伝播方向に沿って前記撮像対象の第2の深さの範囲を撮像する第2の撮像モードとで動作可能であり、前記第1の深さの範囲が前記第2の深さの範囲とは異なり、
前記OCT撮像システムは、
前記第1の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に、前記撮像対象の前記第1の深さの範囲から散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記第1のミラーによって前記光学スプリッタに向かって反射して戻された後に前記光検出器で受光される基準光(LR)との位相差が所定の閾値未満であるように、前記第2のミラーが光路外にあり、
前記第2の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中、前記撮像対象の前記第2の深さの範囲から散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記第2のミラーによって前記光学スプリッタに向かって反射して戻された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が前記所定の閾値未満であるように、前記第2のミラーが光路内にある
ように前記ミラー移動機構を制御するように配置されたコントローラをさらに備える、請求項12に記載のOCT撮像システム。
【請求項14】
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象の前記第1の深さの範囲として、眼の後眼部の一部分を撮像する前記第1の撮像モード、及び前記撮像対象の前記第2の深さの範囲として、前記眼の前眼部の一部分を撮像する前記第2の撮像モードで動作可能である、請求項13に記載のOCT撮像システム。
【請求項15】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムによる撮像対象の撮像を制御するコンピュータ実装方法であって、前記OCT撮像システムは、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームは、
基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路はそれぞれ、前記N個の光路のうちの他の光路の光路長及び波長分散のうちの少なくとも一方とは異なる前記光路長及び前記波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、
前記選択された光路に沿って伝播する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、
を備える、基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタと、を備える干渉計と、
前記出力光ファイバから出力された前記基準光の前記少なくとも一部と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、を備え、
前記方法は、
前記撮像対象の一部分の画像が取得される撮像深さの範囲を示す信号を受信することと、
前記受信された信号に基づいて、前記N個の光路のうちの一つの光路を選択することと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記選択された光路に誘導するように前記光スイッチを制御することと、
によって、前記示された撮像深さの範囲にわたって前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得するように前記OCT撮像システムを構成することと、
前記構成されたOCT撮像システムを制御して、前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得することと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的な態様は、一般に、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、低コヒーレンス干渉法に基づく撮像技術であり、生体組織などの光散乱媒体の高解像度の2次元及び3次元画像を取得するために広く使用されている。
【0003】
OCT撮像システムは、深さ範囲がどのように達成されるかに応じて、時間領域OCT(TD-OCT)又はフーリエ領域OCT(FD-OCT)(周波数領域OCTとも呼ばれる)として分類することができる。TD-OCTでは、撮像システムの干渉計の基準アームの光路長は、OCT撮像システムによって撮像されている散乱媒体の反射率プロファイル(本明細書では「撮像対象」と呼ぶ)の取得中に経時的に変化し、反射率プロファイルは一般に「深さ走査」又は「軸方向走査」(「A走査」)と呼ばれる。FD-OCTでは、各A走査位置での干渉計の基準アームとサンプルアームとの間の干渉から生じるスペクトル干渉図がフーリエ変換され、基準アームの光路長の変化を必要とせずに、A走査の深さに沿ったすべての点を同時に取得する。FD-OCTは、サンプルからのすべての後方反射が同時に測定されるので、干渉計におけるサンプルアームミラーの走査よりもはるかに高速な撮像を可能にすることができる。FD-OCTの2つの一般的なタイプは、スペクトル領域OCT(SD-OCT)及び掃引光源OCT(SS-OCT)である。SD-OCTでは、広帯域光源が撮像対象に多くの波長を送達し、検出器として分光計を用いてすべての波長を同時に測定する。SS-OCT(時間符号化周波数領域OCTとも呼ばれる)では、光源が一定の波長範囲にわたって掃引され、検出器の時間出力がスペクトル干渉に変換される。
【0004】
OCT撮像システムはまた、撮像システムが横方向にOCTデータを取得するように構成されている方法に応じて、点走査(「点検出」又は「走査点」としても知られる)、ラインフィールド又はフルフィールドとして分類することができる。点走査OCT撮像システムは、典型的には撮像対象の表面上の単一の仮想線(これは、例えば、直線であってもよく、又は円若しくは螺旋を画定するように湾曲していてもよい)に沿って、又は撮像対象の表面上の(通常は実質的に平行な)仮想線(いわゆる、「走査線」)のセットに沿って、撮像対象の表面上の点に集束されるサンプルビームを走査し、一度に1つの点で、線(複数可)に沿った複数の点のそれぞれについて軸方向深さプロファイル(A走査)を取得して、サンプルの2次元又は3次元(容積)反射率プロファイルを表すA走査の1次元又は2次元アレイを含むOCTデータを構築することによって、OCTデータを取得する。ライン走査OCT撮像システムは、例えば、シリンドリカルレンズ又はパウエルレンズを使用して名目上円形光ビームを光線に成形することによって光線を生成し、例えば、撮像対象の表面にわたって光線を走査し(すなわち、ラインフィールド照明を提供)、ラインの各走査位置について、ラインに沿った複数の点のそれぞれについて軸方向深さプロファイル(A走査)を並行して取得して、サンプルの2次元又は3次元(容積)反射率プロファイルを表すA走査の1次元又は2次元アレイを含むOCTデータを構築することによって、OCTデータを取得する。フルフィールドOCT撮像システムは、典型的には、ハロゲンランプ(レーザ源ではなく)及びCCDカメラなどの2D検出器アレイを使用して、2D検出器アレイによって並列に記録される正面(横方向)配向の断層画像の形態のOCTデータを取得する。
【0005】
OCT撮像システムが撮像されている物体からデータを取得することができる、サンプル照明の伝播方向に沿った位置の範囲は、基準アームの光路長及び撮像対象を撮像するために使用される光のコヒーレンス長によって(少なくとも部分的に)決定され得る。眼科用途では、OCT撮像システムは、通常、OCT撮像システムにおける干渉設定の構成、具体的にはその光路長に必要な変更を提供するための基準アームの調整に変更がなされなければ、眼の前眼部及び後眼部の両方を撮像することができない。そのような変更は、通常、基準アームの端部に設けられたミラーを基準アーム内の光伝播軸に沿って移動させることによって、例えばリニアアクチュエータなどを使用して軸に沿ってミラーを前後に移動させることによって、基準アームの光路長を変化させる機械的機構を使用して実装される。そのような機構は、しばしば必要とされる基準アームにおける光路長変化を実装するのが遅い。
【0006】
しかしながら、いくつかのFD-OCT撮像システムは、スペクトル干渉図のエルミートフーリエ変換によって誘発される複素共役の多義性を解消することによってOCT撮像システムのフル撮像深さを回復しようとするフルレンジOCT技術を使用して、眼の前眼部及び後眼部を同時に撮像するために開発されている。分散符号化されたフルレンジOCTの光学構成は、上記の種類の従来のOCT構成よりも基準アーム内でより高いレベルの波長分散を必要とする傾向があり、基準アームは、サンプルアームと分散が一致したままで、前眼部又は後眼部のいずれかを撮像するように構成することができる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書の第1の例示的な態様によれば、撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムが提供される。OCT撮像システムは、光源と、サンプルアーム、基準アーム、及び光源からの光をサンプルアームに沿って伝播するサンプル光と基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタを備える干渉計とを備える。基準アームは、基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、基準アーム光ファイバからの基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、N個の光路はそれぞれ、N個の光路のうちの他の光路の各々の光路長又は波長分散のうちのそれぞれ少なくとも一方とは異なる光路長又は波長分散のうちのそれぞれ少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、前記選択された光路に沿って伝搬する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、を備える。OCT撮像システムは、出力光ファイバを介して伝播する基準光の少なくとも一部と、撮像対象によって散乱された後にサンプルアームを介して伝播するサンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器をさらに備える。
【0008】
上記のOCT撮像システムでは、光スイッチは、N個の出力ポートを備える1×N光スイッチであってもよく、光カプラは、N個の入力ポートを備えるN×1光カプラであってもよく、N個の光路はそれぞれ、N個の出力ポートのそれぞれをN個の入力ポートのそれぞれに接続するそれぞれの光ファイバを備えてもよい。光ファイバの少なくとも一部は、異なる光路長を有してもよい。追加的又は代替的に、N個の光路のうちの1又は複数のそれぞれは、それぞれの分散素子を備えることができ、分散素子の各分散素子は、分散素子を備える光路を伝播する基準光の波長分散のそれぞれのレベルを提供するように配置される。N×1光カプラは、基準光が1×N光スイッチによって結合されたN個の出力ポートのうちの一つの出力ポートに対応するN個の入力ポートのうちの一入力ポートを出力光ファイバに結合するように制御可能なN×1光ファイバカプラ又は(アクティブ)N×1光スイッチを備えてもよい。
【0009】
OCT撮像システム又は上記のその変形例のいずれかは、コントローラをさらに備えてもよく、前記OCT撮像システムは、撮像対象に向かうサンプル光の伝播方向に沿って撮像対象の深さの異なるそれぞれの範囲を撮像するために複数の撮像モードで動作可能であってもよい。この場合、各撮像モードでのOCT撮像システムの動作中に、撮像対象のそれぞれの深さの範囲内の深さから散乱された後に光検出器で受光されるサンプル光と、出力光ファイバを介して伝播された後に光検出器で受光される基準光との位相差が所定の閾値未満になるように、コントローラは、光スイッチを制御して、基準アーム光ファイバからの基準光を、それぞれの光路長を有するN個の光路のうちのそれぞれに誘導するように配置することができる。さらに、撮像対象は眼であってもよく、OCT撮像システムは、眼の前眼部の第1の部分を撮像する第1の撮像モード、眼の後眼部の第1の部分を撮像するための第2の撮像モード、又は、眼の前眼部の第2の部分及び眼の後眼部の第2の部分を撮像するための第3の撮像モードのうちの少なくとも1つで動作可能であってよい。
【0010】
OCT撮像システムが第1の撮像モードで動作可能である場合、コントローラは、基準アーム光ファイバからの基準光をN個の光路のうちの第1の光路に誘導するように光スイッチを制御するように配置されてもよく、第1の光路は、眼の前眼部の第1の部分によって散乱された後に光検出器で受光されるサンプル光の波長分散のレベルが、出力光ファイバを介して伝播した後に光検出器で受光される基準光(LR)の波長分散のレベルと一致するように構成された第1の分散素子を備える。
【0011】
OCT撮像システムが第2の撮像モードで動作可能である場合、コントローラは、基準アーム光ファイバからの基準光をN個の光路のうちの第2の光路に誘導するように光スイッチを制御するように配置されてもよく、第2の光路は、眼の後眼部の第1の部分によって散乱された後に光検出器で受光されるサンプル光の波長分散のレベルが、出力光ファイバを介して伝播された後に光検出器で受光される基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第2の分散素子を備える。
【0012】
OCT撮像システムが第3の撮像モードで動作可能である場合、コントローラは、基準アーム光ファイバからの基準光をN個の光路のうちの第3の光路に誘導するように光スイッチを制御するように配置されてもよく、第3の光路は、眼の前眼部の第2の部分及び/又は後眼部の第2の部分によって散乱された後に光検出器で受光されるサンプル光の波長分散のレベルより大きい、出力光ファイバを介して伝播された後に光検出器で受光される基準光の波長分散のレベルを提供する。
【0013】
OCT撮像システムは、レンズと、干渉計のサンプルアーム内の光路の内外にレンズを移動させるためのレンズ移動機構とをさらに備えることができる。第1の撮像モードでは、コントローラは、第1の撮像モードでのOCT撮像システムの動作中に眼の前眼部の第1の部分をレンズを介して撮像されるように、干渉計のサンプルアーム内の光路内にレンズを移動させるためレンズ移動機構を制御するように配置され得る。第2の撮像モードでは、コントローラは、第2の撮像モードでのOCT撮像システムの動作中に眼の後眼部の第1の部分がレンズを使用せずに撮像されるように、干渉計のサンプルアーム内の光路から外にレンズを移動させるためレンズ移動機構を制御するように配置され得る。或いは、OCT撮像システムは、前眼部の画像に基づいてOCT撮像システムの焦点を眼の瞳孔と位置合わせするように配置された瞳孔位置合わせモジュールをさらに備えてもよい。この場合、OCT撮像システムは、瞳孔位置合わせモジュールの動作中に第1の撮像モードで動作して、OCT撮像システムの焦点を眼の瞳孔と位置合わせし、瞳孔位置合わせモジュールの動作後に第2の撮像モードで、OCT撮像システムの焦点を眼の瞳孔と位置合わせするように配置することができる。
【0014】
上述したOCT撮像システム又はその変形例のいずれかにおいて、光スイッチは、微小電気機械スイッチ、微小機械スイッチ、微小光スイッチ、及び/又はステッパモータによって駆動される光スイッチを備えることができる。追加的又は代替的に、OCT撮像システムは光パワーモニタをさらに備えてもよく、光スイッチは、(i)基準アーム光ファイバからの基準光の第1の部分をN個の光路のうちの選択された光路に、及び基準アーム光ファイバからの基準光の第2の部分を光パワーモニタに同時に誘導する、及び/又は(ii)基準アーム光ファイバからの基準光の少なくとも一部分をN個の光路のうちの選択された光路に誘導することと、基準アーム光ファイバからの基準光(LR)の少なくとも一部分を光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能であってもよい。
【0015】
本明細書の第2の例示的な態様によれば、撮像対象を撮像するためのOCT撮像システムも提供される。OCT撮像システムは、光源と、サンプルアーム、基準アーム、及び光源からの光をサンプルアームに沿って伝播するサンプル光と基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタを備える干渉計とを備える。基準アームは、光学スプリッタからの基準光が第1のミラーに入射すると、光学スプリッタからの基準光を反射して光学スプリッタに向かって戻すように配置された第1のミラーと、第2のミラーと、第2のミラーが光路外に移動されたときに基準光が第1のミラーによって光学スプリッタに向かって反射して戻され、第2のミラーが光路内に移動されたときに基準光が第1のミラーの代わりに第2のミラーによって光学スプリッタに向かって反射して戻されるように、第1のミラーに向かって伝播する基準光の光路の内外に第2のミラーを移動させるように制御可能なミラー移動機構と、を備える。OCT撮像システムは、光学スプリッタに向かって反射して戻る基準光と、撮像対象によって散乱された後にサンプルアームを介して伝播するサンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器をさらに備える。
【0016】
第2の例示的な態様のOCT撮像システムは、撮像対象に向かうサンプル光の伝播方向に沿って撮像対象の深さの第1の範囲を撮像する第1の撮像モード、及び撮像対象に向かうサンプル光の伝播方向に沿って撮像対象の第2の深さの範囲を撮像する第2の撮像モードで動作可能であってよく、前記第1の深さの範囲は前記第2の深さの範囲とは異なる。OCT撮像システムは、第1の撮像モードでのOCT撮像システムの動作中に、撮像対象の第1の深さの範囲から散乱された後に光検出器で受光されるサンプル光と、第1のミラーによって光学スプリッタに向かって反射して戻された後に光検出器で受光される基準光との位相差が所定の閾値よりも小さくなるように第2のミラーが光路外にあり、第2の撮像モードでのOCT撮像システムの動作中、第2のミラーは、撮像対象の第2の深さの範囲から散乱された後に光検出器で受光されるサンプル光と、第2のミラーによって光学スプリッタに向かって反射して戻された後に光検出器で受光される基準光との位相差が所定の閾値未満であるように光路内にあるように、ミラー移動機構を制御するように配置されたコントローラをさらに備えてもよい。OCT撮像システムは、撮像対象の第1の深さの範囲として、眼の後眼部の一部分を撮像する第1の撮像モード及び撮像対象の第2の深さの範囲として、眼の前眼部の一部分を撮像する第2の撮像モードで動作可能であり得る。
【0017】
本明細書の第3の例示的な態様によれば、OCT撮像システムによる撮像対象の撮像を制御するコンピュータ実装方法も提供され、前記OCT撮像システムは、光源と、サンプルアーム、基準アーム、及び光源からの光をサンプルアームに沿って伝播するサンプル光と基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタを備える干渉計とを備える。前記基準アームは、基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、基準アーム光ファイバからの基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路の各々が、前記N個の光路のうちの他の光路の光路長及び波長分散のうちの少なくとも一方とは異なる光路長及び波長分散のそれぞれ少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、前記選択された光路に沿って伝搬する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、を備える。OCT撮像システムは、出力光ファイバから出力された基準光の少なくとも一部と、撮像対象によって散乱された後にサンプルアームを介して伝播するサンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器をさらに備える。コンピュータ実装方法は、撮像対象の一部分の画像が取得される撮像深さの範囲を示す信号を受信することと、前記受信した信号に基づいて、前記N個の光路のうちの一光路を選択することによって、前記示された撮像深さの範囲にわたって前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得するように前記OCT撮像システムを構成することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記選択された光路に誘導するように前記光スイッチを制御することとを含む。コンピュータ実装方法は、撮像対象の前記一部分の画像を取得するように構成されたOCT撮像システムを制御することをさらに含む。
【0018】
コンピュータによって実行されると、コンピュータに上記の方法を実施させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムも提供される。コンピュータプログラムは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよく、又は信号によって搬送されてもよい。
【0019】
ここで以下に説明する添付の図面を参照して、例示的な実施形態を、非限定的な例としてのみ詳細に説明する。図面の異なるものに現れる同様の参照符号は、特に指示しない限り、同一の又は機能的に同様の要素を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本明細書の第1の例示的な実施形態によるOCT撮像システムの概略図である。
図2図2は、第1の例示的な実施形態のOCT撮像システムの一部を形成する走査システムの概略図である。
図3図3は、例示的な実施形態における基準アームの例示的な実装形態の概略図である。
図4図4は、代替の例示的な実施形態における基準アームの例示的な実装形態の概略図である。
図5図5は、本明細書に記載のOCTデータ処理ハードウェアの機能の少なくとも一部を実施するように構成され得る、プログラマブル信号処理ハードウェアの概略図である。
図6図6は、第1の例示的な実施形態のOCT撮像システムのコントローラが撮像対象を撮像するようにOCT撮像システムを制御するプロセスを示す流れ図である。
図7図7は、本明細書の第2の例示的な実施形態によるOCT撮像システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載のOCT撮像システムの例示的な実施形態は、OCT撮像システムを使用する効率が低下する可能性がある、上述したようなOCT撮像システムにおける干渉設定の構成に対して時間のかかる変更を行う必要なく、広い深さの範囲(例えば、前眼部から後眼部までのヒトの眼の実質的に全深さの範囲にわたる撮像)にわたって撮像対象を撮像することができないこと、又はフルレンジ撮像モードと1又は複数の標準OCT撮像モードとを切り替える(より狭い被写界深度及び干渉計のサンプルアームと基準アームとの間の分散マッチングの要件を有する)ことができないことを含む、本発明者らによって認識されている従来のOCT撮像システムの少なくともいくつかの欠点に対処する。
【0022】
より具体的には、本発明者らは、OCT撮像システムの干渉計の基準アーム内の光を、基準アーム内で利用可能な複数の異なる光路の選択された光路に沿って伝播するように切り替えることができるOCT撮像システムを考案した。利用可能な光路はそれぞれ、OCT撮像システムの関連する撮像モードの要件を満たすように設定されたそれぞれの光路長及び/又は波長分散のレベルを有することができる。OCT撮像システムの撮像モードは、必要な光路長及び/又は波長分散のレベルを提供するように、基準アーム内の利用可能な光路を切り替えるように光スイッチを制御するだけで変更することができる。例えば、眼科用途では、提案されたOCT撮像システムは、眼の前眼部を撮像するための撮像モード、眼の後眼部を撮像するための別の撮像モード、及び眼のフルレンジOCT撮像のためのさらなる撮像モードで動作するためOCT撮像システム構成を切り替えることができる。
【0023】
ここで、OCT撮像システム及びOCT撮像システムによる撮像対象の撮像を制御する方法の例示的な実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
(第1の例示的な実施形態)
図1は、本例示的実施形態のように、人間の眼であってもよい撮像対象(物体)105を撮像するためのOCT撮像システム100の概略図である。OCT撮像システム100は、光源110と、干渉計120と、光検出器130とを備える。OCT撮像システム100は、例示的な本実施形態のように、コントローラ140をさらに備えてもよい。さらに、OCT撮像システム100は、本例示的な実施形態のように、走査システム150をさらに備える点走査掃引光源OCT(SS-OCT)撮像システムであってもよい。しかしながら、OCT撮像システム100は、より一般的には、ミラーベースの光学系、レンズベースの光学系、又は少なくとも1つのミラー及び少なくとも1つのレンズを備える光学系を使用して眼(又は他の物体)の一部分を撮像する点走査、ライン走査、又はフルフィールドOCT撮像システムであり得る、後述するような任意のフーリエ領域OCT(FD-OCT)撮像システムなどの当技術分野で知られている任意のOCT撮像システムであり得る。
【0025】
光源110は、本例示的な実施形態のように、OCT撮像システム100による撮像対象105の撮像中に一定の波長範囲(好ましくは直線的に)にわたって掃引される波長を有する光ビームLBを生成するように配置される、例えば、波長掃引(又は「可変波長」)レーザの形態の掃引光源であってもよい。可変波長レーザは、例えば、ファブリペロー可変波長フィルタ又は多角形走査ミラーを備えたフーリエ領域モードロック(FDML)レーザ、又は微小電気機械システム(MEMS)を備えたマイクロキャビティ可変波長レーザに基づくものなど、当業者に知られている種類のものであってもよい。掃引光源の中央周波数は、撮像対象105に応じて選択され、通常、例えば眼科用途では、スペクトルの近赤外又は赤外部分(典型的には約1050nm)にある。或いは、OCT撮像システム100がSD-OCT撮像システムの形態をとる例示的な実施形態では、光源110は、例えば、OCT撮像システム100による撮像対象105の撮像中に一定の範囲の波長(すなわち、広いスペクトル内容)を同時に有する光ビームLBを生成するように配置されたスーパールミネッセントダイオードの形態の広帯域光源であってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、光源110は、例えば、光ビームLBを成形するための1又は複数のシリンドリカルレンズ、光源開口部、及び/又は光ビームLBをコリメートするための1又は複数のコリメートレンズなどのさらなる構成要素を備えることができる。
【0026】
干渉計120は、サンプルアーム121、基準アーム122、第1の光学スプリッタ123を備え、本例示的な実施形態のように、第2の光学スプリッタ124を備えてもよい。第1の光学スプリッタ123は、光源110からの光LBを、サンプルアーム121に沿って伝播するサンプル光LSと、基準アーム122に沿って伝播する基準光LRとに分割するように配置される。第1の方向にサンプルアーム121に沿って伝播するサンプル光LSは、撮像対象105によって散乱される。撮像対象105(すなわち、撮像対象105の撮像中に撮像対象105によって散乱された光の少なくとも一部である収集光LC)によって散乱された後にサンプルアーム121を介して伝播するサンプル光は、サンプルアーム121に沿って第1の方向とは反対の第2の方向に、第1の光学スプリッタ123に向かって伝播する。サンプル光LSは、本例示的な実施形態のように、走査システム150によって撮像対象105に誘導されてもよく、収集光LCは走査システム150によって収集されてもよい。収集光LCは、第1の光学スプリッタ123を通過して第2の光学スプリッタ124に向かう。第2の光学スプリッタ124は、収集光LCと基準光LRとを合成して、基準アーム122を出る基準光LRと収集光LCとの間の干渉から生じる推論光LIを形成するように配置される。干渉光LIは、光検出器130に向かって伝搬する。
【0027】
第1の光学スプリッタ123及び第2の光学スプリッタ124は、本例示的な実施形態のように、図示のようにビームスプリッタを備えてもよい。しかしながら、第1の光学スプリッタ123及び第2の光学スプリッタ124は、そのように限定されず、代わりに、それぞれ2×2ファイバカプラ(例えば、50:50ファイバカプラ)又は2×1ファイバカプラの形態をとってもよい。さらに、いくつかの例示的な実施形態では、例えば、基準アーム122が基準光LRを、基準光LRを反射して第1の光学スプリッタ123に基準アーム122を通って戻るように配置される、ミラーに誘導する場合、第2の光学スプリッタ124は省略されてもよく、第1の光学スプリッタ123は、収集光LCと基準光LRとを組み合わせて、基準アーム122を出る基準光LRと収集光LCとの間の干渉から生じる推論光LIを形成するように配置される。
【0028】
走査システム150は、本例示的な実施形態のように、撮像対象105にわたって光ビームLSの2次元点走査を実施し、点走査中に撮像対象105によって散乱された光LCを収集するように配置されてもよい。したがって、走査システム150は、一度に一走査位置を、光ビームLSで走査位置を順次照射し、各走査位置で撮像対象105によって散乱された光LCの少なくとも一部を収集することによって、撮像対象105の表面にわたって2次元的に分布するそれぞれの走査位置でA走査を取得するように配置される。走査システム150は、当業者に知られている任意の適切な走査パターン、例えば、一方向走査(1組の平行な走査線が共通の方向に追従し、それに沿って走査線が延在する)、蛇行走査又は螺旋走査を使用して2次元点走査を実施することができる。
【0029】
走査システム150は、例示的な本実施形態のように、走査素子及びミラーを備えるミラーベースのシステムであってもよく、走査システム150は、走査素子がミラーを介して撮像対象105にわたって光ビームLSを走査することによって2次元点走査を実施するように配置される。広視野網膜走査を実施することができるそのような走査システムの例は、国際公開第2014/53824号に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。走査システム150は、例示的な本実施形態のように、図2に示す走査システム200の形態で提供されてもよい。走査システム200は、光カプラ211と、第1の走査素子212と、第1の曲面ミラー213と、第2の走査素子214と、第2の曲面ミラー215とを備える。光ビームLSは、光カプラ211を介して走査システム200に入る。次いで、光ビームLSは、第1の走査素子212、第1の曲面ミラー213、第2の走査素子214及び第2の曲面ミラー215によって順次反射された後、眼220の形態の撮像対象に入射する。眼220によって散乱され、走査システム200によって収集された光LCは、光ビームLSと同じ光路を走査システム200を逆の順序で通り、光カプラ211を介して走査システム200を出る。或いは、走査システム150はレンズベースのシステムであってもよく、走査システム150は、1又は複数のレンズを介して撮像対象105にわたって光ビームLSを走査する1又は複数の走査素子によって2次元点走査を実施するように配置されることに留意されたい。そのようなレンズベースの走査システムは、当業者に周知であり、したがって、本明細書ではさらに詳細に説明されない。
【0030】
二次元点走査は、第1の走査素子212が第1の軸216のまわりを回転して撮像対象にわたって第1の方向に光ビームLSを走査し、第2の走査素子214が第2の軸217のまわりを回転して撮像対象にわたって第2の方向(これは、本例示的な実施形態のように、第1の方向に直交してもよい)に光ビームLSを走査することによって実施される。このように、第1の走査素子212及び第2の走査素子214を回転させることにより、光ビームLSを撮像対象上の任意の位置に向けることができる。第1の走査素子212及び第2の走査素子214の回転は、上述したように、光ビームLSが所定の走査パターンに従って撮像対象にわたって走査されるように、コントローラ140又は別個のコントローラ(図示せず)であってもよい走査システムコントローラによって調整されてもよい。
【0031】
第1の曲面ミラー213は楕円ミラー(スリットミラーともいう)であり、第2の曲面ミラー215も楕円ミラーである。楕円ミラーはそれぞれ、2つの焦点を有する。第1の走査素子212は、第1の曲面ミラー213の第1の焦点に位置し、第2の走査素子214は、第1の曲面ミラー213の第2の焦点に位置する。第2の走査素子214はまた、第2の曲面ミラー215の第1の焦点に位置し、第2の曲面ミラー215の第2の焦点に、眼220(より具体的には、本実施例における眼220の瞳孔)が位置する。しかしながら、いずれの曲面ミラーも、代わりに、放物面又は双曲面のような円錐断面の形状などの非球面反射面を有する任意の反射構成要素であってもよく、又はより一般的には、二変数の1又は複数の多項式関数によって記述される形状を有してもよい。
【0032】
第1の走査素子212及び第2の走査素子214は、本例示的な実施形態のように、それぞれがガルバノメータ光学スキャナ(又は「galvo」)であってもよいが、例えば、MEMS走査ミラー又は共振走査ミラーなどの別の種類の走査素子が代替的に使用されてもよい。
【0033】
再び図1を参照すると、基準アーム122は、基準アーム光ファイバ125と、光スイッチ126と、光カプラ127とを備える。基準アーム光ファイバ125は、(光学スプリッタ121から光スイッチ126へ)基準光LRを誘導するように配置される。基準アーム122は、例示的な本実施形態のように、基準光LRを(第2の光学スプリッタ124を介して)光検出器130に向けて誘導するように配置された出力光ファイバ128をさらに備えてもよい。
【0034】
光スイッチ126は、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRを、Nが2以上の整数である、N個の光路129のうちの選択された光路に誘導するように(例えば、本例示的実施形態のように、コントローラ140によって)制御可能である。N個の光路129はそれぞれ、N個の光路の他の光路の各々のそれぞれの光路長及び/又は波長分散とは異なるそれぞれの光路長及び/又は波長分散を有する。言い換えれば、N個の光路はそれぞれ、N個の光路のうちの他の光路のそれぞれの光路長とは異なる光路長、N個の光路のうちの他の光路のそれぞれの波長分散とは異なる波長分散、又は、N個の光路のうちの他の光路のそれぞれの光路長及び波長分散の組み合わせとは異なる光路長及び波長分散の組み合わせのいずれかを有する。光スイッチ126は、本例示的な実施形態のように、コントローラ140によって制御可能であってもよいが、代わりに手動で(すなわち、機械スイッチ又は光スイッチ126のスイッチ設定を変更するように動作するダイアルを走査するOCT撮像システム100のユーザによって)制御可能であってもよい。光カプラ127は、選択された光路に沿って伝搬する基準光LRを出力光ファイバ128に誘導するように配置される。
【0035】
光スイッチ126は、例示的な本実施形態のように、上述のN個の光路のそれぞれに光学的に結合されるN個の出力ポートを有する1×N光スイッチ(すなわち、1×N光ファイバスイッチ)であってもよいが、代替的に、これらのN個の出力ポートならびに1又は複数の追加の出力ポートを含む1×M光スイッチ(MはNより大きい整数である)であってもよい。例えば、M=N+1であるいくつかの例示的な実施形態では、1×M光スイッチは、1×M光スイッチが基準アーム光ファイバ125からの光を前述の追加の出力ポートに向けるように設定される場合に、基準アーム光ファイバ125を介して伝播する基準光LRの光パワーを監視するように配置された光パワーモニタに接続される1つの追加の出力ポートを有する。M=N+Pである他の例示的な実施形態では、1×M光スイッチは、P個の追加の出力ポート(Pは2以上の整数)を有し、P個の追加の出力ポートはそれぞれ、P個の光パワーモニタのそれぞれに接続され、各光パワーモニタは、1×M光スイッチが基準アーム光ファイバ125からの光を前述の追加のP個の出力ポートに向けるように設定されるときにそこに入射する光の光パワーを監視するように配置される。複数の光パワーモニタを提供することにより、冗長性が提供され(光パワーモニタのうちの1つが故障するか又は誤って動作する場合)、基準アーム光ファイバ125を介して伝播する基準光LRの光パワーをより高い信頼性で監視することが可能になる。
【0036】
光スイッチ126は、上述したように、複数の光パワーモニタ390が設けられる場合、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRの第1の部分をN個の光路129のうちの選択された光路に(基準アーム光ファイバ125からの基準光LRの一部のみが選択された光路に導かれるように)、及び基準アーム光ファイバ125からの基準光LRの第2の部分(第2の部分は基準光LRの残りの部分であってもよい)を光パワーモニタ390に、又は基準アーム光ファイバ125からの基準光LRのそれぞれの部分をそれぞれの光パワーモニタに同時に誘導するように制御可能であってもよい。追加的又は代替的に、光スイッチ126は、基準アーム光ファイバ125からの基準光LR(又はその一部分)をN個の光路129の選択された光路に誘導することと、基準アーム光ファイバ125からの基準光LR(又はその一部分)を光パワーモニタ390に誘導することとを切り替えるように制御可能であってもよい。
【0037】
光パワーモニタ(複数可)は、受信した光信号の光パワーを示す電気信号を生成することができる任意の種類の光電デバイスであってもよく、例えば、Si、Ge又はInGaAs検出器を含んでもよい。さらに、光スイッチ126の形態は限定されず、光スイッチ126は、例えば、微小電気機械スイッチ、微小機械スイッチ、微小光スイッチ、及び/又はステッパモータによって駆動される光スイッチを備えてもよい。
【0038】
光カプラ127は、本例示的な本実施形態のように、上述したN個の光路のそれぞれに光学的に結合されたN個の入力ポートを有するN×1光カプラであってもよいが、代替的に、N個の入力ポートならびに1又は複数の追加の入力ポートを有するM×1光カプラ(MはNより大きい整数)であってもよい。例えば、N×1光カプラは、光スイッチ126によって基準光LRが結合されたN個の出力ポートのうちの一つの出力ポートに対応する前記N個の入力ポートの内の前記一入力ポートを出力光ファイバ128に結合するためのN×1光ファイバカプラ又はN×1光スイッチ(上述のように、コントローラ140によって、又は手動で制御可能である)のいずれかであってもよい。光カプラ127の形態は限定されず、光カプラ127は、例えば、微小電気機械スイッチ、微小機械スイッチ、微小光スイッチ、ステッパモータによって駆動される光スイッチ、又は受動Tカプラを備えてもよい。
【0039】
N個の光路129はそれぞれ、本例示的な実施形態のように、N個の出力ポートのそれぞれ1つをN個の入力ポートのそれぞれ1つに接続するそれぞれの光ファイバを備えることができる。光ファイバの少なくとも一部は、本例示的な実施形態のように、(異なるそれぞれの物理的長さを有することによって、及び/又は異なるそれぞれの屈折率を有する材料で作られることによって)異なる光路長を有することができる。したがって、この配置により、基準アーム122に沿って伝播する基準光LRの光路は、光スイッチ126のN個の出力ポートのうちの1つを光カプラ127のN個の入力ポートのうちの対応する1つに接続する適切な光ファイバの選択によって変更され得る。しかしながら、基準アーム122における光路長のこの変更はまた、例えば、光スイッチ126の選択された出力ポートと光カプラ127の対応する入力ポートとの間の光路に沿って伝播する光の距離を増加させるためにミラー(図示せず)を使用することによって、N個の光路129の一部又は全部における自由空間光通信を使用して達成されてもよい。
【0040】
N個の光路129のうちの1又は複数のそれぞれは、本例示的な本実施形態のように、それぞれの分散素子を備えてもよい。分散素子の各分散素子は、分散素子を備える光路を伝播する基準光LRの波長分散のそれぞれのレベルを提供するように配置される。例えば、各分散素子は、必要な波長分散のレベルを提供するガラスロッド又は光ファイバであってもよく、光スイッチ126のそれぞれの出力ポートを光カプラ127の対応する入力ポートに接続するそれぞれの光ファイバの2つの部分(例えば、半分)の間に配置されてもよい。したがって、1又は複数の光路はそれぞれ、必要な波長歪みのレベルを提供するそれぞれの分散素子を備えることによって設定された波長分散のそれぞれのレベルを有することができる。しかしながら、分散素子を使用する代わりに、N個の光路129のうちの一光路を伝播する基準光LRの波長分散のレベルは、代わりに、光スイッチ126の対応する出力ポートを光カプラ127のそれぞれの入力ポートに接続する光ファイバによって(例えば、所望の光路長を達成するのに必要なファイバの長さが与えられた特定の種類のファイバの選択などによって、波長分散の所定のレベルを有する光ファイバを選択することによって)提供されてもよい。
【0041】
さらに、いくつかの例示的な実施形態では、N個の光路129のうちの1又は複数の各々は、光ファイバを含まずにそれぞれの分散素子を含むことができ、したがって、分散素子は、分散素子を含む光路を伝播する基準光LRの波長分散のそれぞれのレベルを提供するように配置される。そのような場合、光路の光路長の変更は、代わりに、上述のように分散素子自体によって、及び/又は自由空間光通信によって達成されてもよい。
【0042】
したがって、上述したように、N個の光路129の少なくとも一部における光ファイバ及び/又は分散素子の適切な選択により、N個の光路の各光路は、N個の光路129のそれぞれの光路長及び/又は他の光路のそれぞれの波長分散とは異なるそれぞれの光路長及び/又は波長分散を有することができる。すなわち、N個の光路129のうちの一光路の光路長は、光路内の任意の他の要素の光路長を考慮しながら光路内の光ファイバの光路長を適切に設定することによって所定の値に設定されてもよく(提供される場合、分散素子など)、その光路の波長分散のレベルは、光路内の他の要素の波長分散のそれぞれのレベルを考慮しながら光路内の選択された分散素子の波長分散のレベルを適切に設定することによって所定のレベルに設定されてもよい(光路に提供される場合、前記N個の出力ポートのそれぞれを前記N個の入力ポートのそれぞれに接続する光ファイバの波長分散のレベルを含む)。これにより、光路長の所定値及び/又は光路の波長分散のレベルを、N個の光路129の他の光路のそれぞれと異なるように設定することができる。
【0043】
基準アーム122は、図3に概略的に示されている基準アーム300の形態で設けられてもよい。基準アーム300は、基準アーム光ファイバ310と、1×5光スイッチ320と、5×1光カプラ330と、出力光ファイバ340と、5つの光路350とを備える。1×5光スイッチ320は、5つの出力ポートPO1’、PO2’、PO3’、PO4’、及びPO5’を備え、5×1光カプラ330は、5つの入力ポートPI1’、PI2’、PI3’、PI4’、及びPI5’を備える。光路350の各光路は、1×5光スイッチ320のそれぞれの出力ポートと5×1光カプラ330(例えば、第1の光路がポートPO1~PI1に設けられる)のそれぞれの同様の番号の入力ポートとの間に設けられる。光路350は、それぞれの出力ポートをその対応する入力ポートに結合する(同じ種類の)それぞれの光ファイバ361、362、363、364及び365を備える。図3の左から第3及び第4の光路は、第3及び4番目の光路に設けられる光ファイバ363及び364の2つの半分の間に設けられる分散素子370及び380をそれぞれ備える。分散素子370及び380は、異なる予め選択されたレベルの波長分散を提供する。さらに、図3に示すように、光ファイバ361は第1の長さであり、光ファイバ362及び363は異なる第2の長さであり、光ファイバ364及び365は第1及び第2の長さとは異なる第3の長さである。したがって、5つの光路350はそれぞれ、光路長及び波長分散のそれぞれの固有の組み合わせを有する。図3の例示的な基準アーム300には5つの光路が設けられているが、代わりに、より少ないか又はより多い光路が設けられてもよく、その各々は、他の光路の各々の光路長及び/又は波長分散とは異なるそれぞれの光路長及び/又は波長分散を有する。
【0044】
基準アーム122は、図4に概略的に示されている基準アーム301の形態で設けられてもよい。図4の基準アーム301は、1×5光スイッチ320の代わりに1×6光スイッチ321を有することによってのみ図3の基準アーム300と異なり、1×6光スイッチ321の追加の出力ポートP06は、光ファイバ366を介してパワーモニタ390に光学的に結合される。パワーモニタ390は、(とりわけ)上記のいずれかの形態をとることができる。パワーモニタ390は、例えば、測定されたパワーレベルが光源110によって患者の眼に送達される照明の安全レベルに対応することを確認する目的で、1×6光スイッチ321が基準アーム光ファイバ125から追加の出力ポートP06’に光を向けるように設定されている場合に、基準アーム光ファイバ125を伝播する基準光LRの光パワーを監視するために使用され得る。コントローラ140は、パワーモニタ390によって測定された光パワーが所定の閾値レベルを超える場合に、光源110の電源をオフにするか、そうでなければ光源110による患者の眼の照明を停止する(例えばシャッタを閉じることによって)ように配置することができる。
【0045】
様々な光路長及び/又は波長分散のレベルを有するN個の光路129の間で切り替え可能である基準アーム122の上記の配置により、以前は各構成に対して単一のOCT撮像システム内で専用のOCT撮像システム又は時間のかかる構成変更を必要としていた、OCT撮像システム100が異なる光学構成の間で切り替えられて、OCT撮像システム100が複数の撮像モードで動作するようにする点で有利であり得る。OCT撮像システム100は、本例示的な実施形態のように、撮像対象105に向かうサンプル光LSの伝播方向に沿って撮像対象105の異なるそれぞれの深さの範囲を撮像するために複数の撮像モードで動作可能であり得る。例えば、撮像対象105が眼である場合、各深さの範囲は、その厚さ方向が眼の光軸に沿っている眼のそれぞれの層に対応することができる。
【0046】
各撮像モードでのOCT撮像システム100の動作中、撮像対象105のそれぞれの深さの範囲内の深度から散乱された後に光検出器130で受光されたサンプル光LCの位相と、出力光ファイバ128を介して伝播された後に光検出器130で受光された基準光LRの位相との間の差の絶対値が所定の閾値未満であるように、コントローラ140は、光スイッチ126を制御して、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRを、それぞれの光路長を有するN個の光路のうちのそれぞれの光路に誘導するように配置することができる。言い換えれば、N個の光路のそれぞれは、各撮像モードで撮像される撮像対象105の深さのそれぞれの範囲ごとに、サンプルアーム121の光路長(撮像対象105への及び撮像対象105内の光路を含む)と基準アーム122の光路長との光路長差(の絶対値)が所定の閾値未満となるような光路長を有する。所定の閾値は、例えば、光源110によって生成された光のコヒーレンス長の所定の割合(すなわち、光ビームLB)であってもよく、光源110自体によって生成された光のコヒーレンス長であってもよい。したがって、OCT撮像システム100は、干渉計120のアーム間の光路差を光源110によって生成された光のコヒーレンス長内にするために、N個の光路を切り替えることによって撮像対象105の様々な異なる深さの範囲を撮像するように動作可能であり得る。
【0047】
さらに、光路のうちの1又は複数内の分散素子を使用することによって、OCT撮像システム100は、複数の撮像モードで動作するように構成することができ、撮像モードのうちの1又は複数では、干渉計120のアーム間の波長分散のレベルは、例えばフルレンジOCT撮像モードでは不一致である。干渉計120の基準アーム内の高分散は、基準ビームの位相を修正し、それを撮像対象105からの後方散乱光の位相と一致させるのに役立つ。或いは、高分散をサンプルアーム121に組み込むことができる。例えば、分散符号化フルレンジOCT(DE-FR-OCT)では、撮像システム内の分散素子によって信号の位相が符号化される。DE-FR-OCTで使用されるアルゴリズムは、初期位相を仮定し、検出されたOCT信号の記録された強度及び位相に基づいて、推定位相を反復的に更新する。推定位相が収束すると、元の信号が(所定の基準に基づいて)復元される一方で、鏡像は劣化し、深さ情報を取得するために除去することができる。撮像対象105のより限られた深さ範囲を撮像するための1又は複数の他の撮像モードでは、干渉計120のアーム間の波長分散を一致させることができる。
【0048】
撮像対象105は、本例示的な実施形態のように、人間の眼であってもよく、OCT撮像システム100は、眼の前眼部の少なくとも一部分を撮像する第1の撮像モード、眼の後眼部の少なくとも一部分を撮像する第2の撮像モード、及び/又は眼の前眼部の少なくとも一部分及び眼の後眼部の少なくとも一部分を(同時に)撮像する第3の撮像モードで動作可能であり得る。しかしながら、OCT撮像システム100は、本明細書では眼科用OCT撮像システムとして説明されているが、撮像対象105はそのように限定されず、代替的に、任意の組織(例えば、皮膚)、生物学的試料、又はより一般的には、その準表面下構造がOCTによって撮像される任意の散乱媒体であってもよい。そのような場合、撮像モードは、異なる深さの範囲にある撮像対象の部分に対応するか、又は増大された撮像深さにわたって撮像するためのフルレンジOCT技術の使用に対応することができる。
【0049】
OCT撮像システム100が第1の撮像モードで動作可能である場合、コントローラ140は、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRをN個の光路のうちの第1の光路に誘導するように光スイッチ126を制御するように配置されてもよく、第1の光路は、眼の前眼部によって散乱された後に光検出器130で受光されたサンプル光LCの波長分散のレベルが、出力光ファイバ128を介して伝播した後に光検出器130で受光された基準光LRの波長分散のレベルと一致するように構成された第1の分散素子を備える。したがって、第1の撮像モードでは、コントローラ140によって選択された光路は、サンプルアーム121と基準アーム122との間の光路差をもたらし、これは、眼の前眼部で撮像された深さのそれぞれの範囲について光源110によって生成された光のコヒーレンス長よりも小さく、サンプルアーム121における波長分散のレベル(眼によって誘発されるいかなる波長分散も考慮しない)は、基準アーム122におけるものと一致する。第1の撮像モードで干渉計120のアーム間の波長分散を一致させることによって、OCT撮像システム100は、フルレンジOCT技術なしで眼の前眼部(又はその一部分)を撮像することができ、これにより、OCT撮像システム100からの自己相関に起因して画像アーチファクトをより良好に制御することができるため、計算費用を削減し、撮像品質を向上させることができる。これに関して、フルレンジOCTで使用されるアルゴリズムは、抑制する必要があるアーチファクトを導入する可能性があるため、SNRを劣化させる傾向がある。本例示的な実施形態では、干渉計120のアーム間に波長分散マッチングを提供することにより、上述のアルゴリズムを使用せずに、眼の後眼部が撮像される、及び/又は前眼部の部分が順次撮像されるようにすることができる。
【0050】
OCT撮像システム100は、本例示的な本実施形態のように、例えば、眼の前眼部及び後眼部を撮像するための焦点設定を変更するためのレンズ160と、干渉計120のサンプルアーム121内の光路の内外にレンズ160を移動させるためのレンズ移動機構170とをさらに備えることができる。そのような場合、コントローラ140は、干渉計120のサンプルアーム121内の光路内にレンズ160を移動させるようにレンズ移動機構170を制御して、第1の撮像モードでのOCT撮像システム100の動作中に、眼の前眼部(又はその一部分)がレンズ160を介して撮像されるように配置されてもよい。さらに、レンズ移動機構170は、レンズ160の焦点を変化させるためにレンズ160の位置を調整するように配置されてもよい。そのような場合、コントローラ140は、第1の撮像モードで動作するときにOCT撮像システム100の焦点を最適化するようにレンズ移動機構170を制御してもよい。レンズ160を設けることは、眼の前眼部が第1の撮像モードでOCT撮像システム100によって撮像されるようにするのに役立つ。
【0051】
OCT撮像システム100が第2の撮像モードで動作可能である場合、コントローラ140は、本例示的な実施形態のように、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRをN個の光路のうちの第2の光路に誘導するように光スイッチ126を制御するようにさらに配置されてもよく、第2の光路は、眼の後眼部によって散乱された後に光検出器130で受光されたサンプル光LCの波長分散のレベルが、出力光ファイバ128を介して伝播された後に光検出器130で受光された基準光LRの波長分散のレベルと一致するように構成された第2の分散素子を備える。したがって、第2の撮像モードでは、コントローラ140によって選択された光路は、サンプルアーム121と基準アーム122との間の光路差をもたらし、これは、眼の後眼部で撮像された深さのそれぞれの範囲について光源110によって生成された光のコヒーレンス長よりも小さく、サンプルアーム121における波長分散のレベル(眼によって誘発されるいかなる波長分散も考慮しない)は、基準アーム122におけるものと一致する。第2の撮像モードで干渉計120のアーム間の波長分散を一致させることによって、OCT撮像システム100は、フルレンジOCT技術なしで眼の後眼部(又はその一部分)を撮像するように構成され、これにより、上述のように、OCT撮像システム100からの自己相関に起因して画像アーチファクトをより良好に制御することができるため、計算費用を削減し、撮像品質を向上させることができる。
【0052】
本例示的な実施形態のように、コントローラ140は、干渉計120のサンプルアーム121内の光路から外にレンズ160を移動させるようにレンズ移動機構170を制御して、第2の撮像モードでのOCT撮像システム100の動作中に、眼の後眼部(又はその一部分)がレンズ160を使用せず撮像されるようにさらに配置することができる。したがって、OCT撮像システム100は、第1の撮像モードではレンズ160を用いて撮像を行い、第2の撮像モードではレンズ160を用いずに撮像を行うことができる。したがって、眼の前眼部は、レンズ160の使用が必要とされない眼の後眼部を撮像するOCT撮像システム100の能力を妨げることなく、レンズ160を使用するOCT撮像システム100によって第1の撮像モードで撮像することができる。
【0053】
OCT撮像システム100が第3の撮像モードで動作可能である場合、コントローラ140は、本例示的な実施形態のように、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRをN個の光路のうちの第3の光路に誘導するように光スイッチ126を制御するようにさらに配置されてもよく、第3の光路は、眼の前眼部及び/又は後眼部によって散乱された後に光検出器130で受光されたサンプル光LCの波長分散のレベルより大きい、出力光ファイバ128を介して伝播された後に光検出器130で受光された基準光LRの波長分散のレベルを提供する。したがって、第3の撮像モードでは、コントローラ140によって選択された光路は、サンプルアーム121と眼の前眼部(又はその一部分)及び眼の後眼部(又はその一部分)にわたって撮像された深さのそれぞれの範囲について光源110によって生成された光のコヒーレンス長よりも小さい基準アーム122との間の光路差をもたらし、基準アーム122の波長分散のレベルは、サンプルアーム121におけるものよりも大きい(撮像対象105によって誘発されるいかなる波長分散も考慮しない)。第3の撮像モードにおいて干渉計120のアーム間の波長分散を不一致にすることによって、OCT撮像システム100は、上述のように、フルレンジOCT技術を用いて眼の前眼部及び後眼部(又はその一部)を撮像することができる。
【0054】
3つの撮像モードを上述したが、OCT撮像システム100は、そのように限定されず、より一般的には、OCT撮像システム100の切り替え可能な機能を使用して、撮像深度、使用されるOCT技術又は他の方法に応じて、任意の特定のシステム要件のセットに必要な光路長及び/又は波長分散のレベルを提供するように配置された様々な光路を切り替えることができる。例えば、OCT撮像システム100は、追加的又は代替的に、第3の撮像モードで説明したように基準アーム122内に波長分散のレベルを提供するように配置された第4の分散素子(第1の分散素子の代わりに)を含むこと以外は第1の撮像モードと同じである第4の撮像モード、第3の撮像モードで説明したように基準アーム122内に波長分散のレベルを提供するように配置された第5の分散素子(第2の分散素子の代わりに)を含むこと以外は第2の撮像モードと同じである第5の撮像モード、又は第1の撮像モード又は第2の撮像モードで説明したように基準アーム122内に波長分散のレベルを提供するように配置された第6の分散素子(第3の分散素子の代わりに)を含むこと以外は第3の撮像モードと同じである第6の撮像モードを含んでもよい。したがって、第4及び第5の撮像モードでは、第3の撮像モードと同じ方法でフルレンジOCT技術を使用することができ、これは眼のそれぞれの部分内の増加した撮像深度を取り込むために望ましい場合がある。さらに、第6の撮像モードでは、眼の前眼部及び眼の後眼部の少なくとも一部は、フルレンジOCT技術なしで撮像することができ、例えば、眼の前眼部及び眼の後眼部にわたって撮像される深さの範囲は、フルレンジOCT技術で得られる撮像の深さの範囲の増加を必要とせずに達成可能である。
【0055】
再び図1を参照すると、光検出器130は、出力光ファイバ128を介して伝播する基準光LRと、撮像対象105によって散乱された後にサンプルアーム121を介して伝播するサンプル光LCとの間の干渉から生じる干渉光LIを検出するように配置される。言い換えれば、撮像対象105の撮像中に、基準光LRと収集光LCとが光学スプリッタ122にて互いに干渉するように誘導され、結果として生じる干渉光LIは光検出器130に向けられ、光検出器に受光される。光検出器130は、周知のOCTデータ処理技術を使用して撮像対象105の画像を生成するために、コントローラ140又は別個のOCTデータ処理ハードウェアによって処理され得る、測定された干渉に基づいて検出信号を生成するように配置される。例えば、コントローラ140は、複合容積OCTデータを生成し、これを使用して、合計ボクセル投影(SVP)又は制限されたSVP(RSVP)などの周知の投影技術によって、撮像されたサンプルの選択されたスラブにSVPを制限する撮像対象105の正面画像を生成することができる。
【0056】
光検出器130は、基準光LRと、撮像対象105によって散乱された後にサンプルアーム121を介して伝播するサンプル光LCとの間で測定された干渉を光電変換することによって検出信号を生成する。光検出器130が取り得る具体的な形態は、OCT撮像システム100が実装される形態に依存する。例えば、OCT撮像システム100がSD-OCT撮像システムとして実装される場合、光検出器130は、回折格子、フーリエ変換レンズ、及び検出器アレイ(又はライン走査カメラ)を有することができる分光計を備えることができる。OCT撮像システム100が本例示的な実施形態のようにSS-OCT撮像システムとして実装される場合、光検出器130は、出力光電流が互いに減算され、減算された電流信号がトランスインピーダンスアンプによって電圧検出信号に変換される、2つの光検出器(例えば、逆バイアスフォトダイオード)を備える平衡光検出器設定を含むことができる。
【0057】
OCT撮像システム100は、本例示的な本実施形態のように、周知の技術を使用して、前眼部の画像に基づいてOCT撮像システム100の焦点を眼の瞳孔と位置合わせするように配置される瞳孔位置合わせモジュール180をさらに備えることができる。OCT撮像システム100は、本例示的な実施形態のように、瞳孔位置合わせモジュール180の動作中に第1の撮像モードで動作して、OCT撮像システム100の焦点を眼の瞳孔と位置合わせし、瞳孔位置合わせモジュール180の動作後に第2の撮像モード(又は第3の撮像モード)で、OCT撮像システム100の焦点を眼の瞳孔と位置合わせするように配置することができる。したがって、瞳孔位置合わせモジュール180がOCT撮像システム100の焦点を眼の瞳孔と位置合わせした後、コントローラ140は、基準アーム光ファイバ125から第1の光路へ基準光LRを誘導することから、基準アーム光ファイバ125から第2の光路へ基準光LRを誘導することに切り替えるように光スイッチ126を制御するように配置される。
【0058】
異なる撮像モードを切り替えるOCT撮像システム100の能力は、OCT撮像システムが、上述の第2の撮像モード(又は第3の撮像モード)に迅速に切り替わる前に、患者の位置合わせのために眼の前眼部からの画像を有利に使用して、OCT撮像ワークフローを大幅に改善することができる関心のあるOCT画像を取得することを可能にし得る。患者の位置合わせのためのワークフロー時間は、レンズ160を使用せずに取得された画像が患者の位置合わせの目的に十分であり得るので、患者の位置合わせ中に第1の撮像モードで撮像する間にレンズ160を使用しないことによってさらに短縮され得る。
【0059】
コントローラ140は、任意の適切な形態で、例えば、図5に概略的に示されている種類のプログラマブル信号処理ハードウェア400として提供されてもよい。プログラマブル信号処理装置400は、OCT撮像システム100が動作すべき撮像モードに関する命令を受信し、光スイッチ126(及び任意選択的に、光カプラ127としてのN×1光スイッチ)に信号を出力する際に使用するための、又は光検出器130からの検出信号を受信し、コンピュータ画面などのディスプレイ上に表示するために撮像対象105の画像を(例えば、正面投影の形態で)出力する際に使用するための、通信インターフェース(I/F)410を備える。信号処理ハードウェア400は、プロセッサ(例えば、中央処理装置、すなわちCPU、及び/又はグラフィックス処理装置、すなわちGPU)420と、ワーキングメモリ430(例えば、ランダムアクセスメモリ)と、プロセッサ420によって実行されると、プロセッサ420に本明細書に記載のコントローラ140の機能を含む様々な機能を実施させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム445を格納する命令ストア440とをさらに備える。ワーキングメモリ430は、コンピュータプログラム445の実行中にプロセッサ420によって使用される情報を格納する。命令ストア440は、コンピュータ可読命令が予めロードされたROM(例えば、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)又はフラッシュメモリの形態で)を備えることができる。或いは、命令ストア440は、RAM又は同様の種類のメモリを備えることができ、コンピュータプログラム445のコンピュータ可読命令は、CD-ROM、DVDROMなどの形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体450又はコンピュータ可読命令を搬送するコンピュータ可読信号460などのコンピュータプログラム製品から入力することができる。いずれの場合でも、コンピュータプログラム445は、プロセッサ420によって実行されると、プロセッサ420に、本明細書に記載のコントローラ140の機能を実施させる。言い換えれば、本例示的な実施形態のコントローラ140は、コンピュータプロセッサ420と、コンピュータプロセッサ420によって実行されると、コンピュータプロセッサ420に、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRをN個の光路のうちの選択された光路に誘導するように光スイッチ126を制御させ、任意選択的に、上述したように、光スイッチ126と同時にN×1光スイッチを制御させるコンピュータ可読命令を格納するメモリ440とを備えることができる。さらに、コンピュータ可読命令は、コンピュータプロセッサ420によって実行されると、コンピュータプロセッサ420に検出信号を処理させて、撮像対象105の画像を生成させることができる。
【0060】
しかしながら、コントローラ140は、代替的に、ASIC、FPGA、又は上述のコントローラ140の機能を実施する専用の他の集積回路などの非プログラマブルハードウェア、又は図5を参照して上述したそうした非プログラマブルハードウェアとプログラマブルハードウェアとの組み合わせで実装されてもよいことに留意されたい。
【0061】
図6は、本例示的な実施形態のコントローラ140がOCT撮像システム100による撮像対象105の撮像を制御するプロセスを示す流れ図である。
【0062】
図6のステップS1では、コントローラ140は、撮像対象105の一部分の画像が取得される撮像深さの範囲を示す信号を受信する。受信された信号は、本例示的な実施形態のように、上述したように、第1の撮像モード、第2の撮像モード、又は第3の撮像モードのいずれかに対応する撮像深さの範囲を示すことができる。
【0063】
図6のステップS2では、コントローラ140は、示された撮像深さの範囲にわたって撮像対象105の一部分の画像を取得するようにOCT撮像システム100を構成する。これを行うために、コントローラ140は、受信された信号に基づいて、N個の光路のうちの一光路を選択し、光スイッチ126を制御して、基準アーム光ファイバ125からの基準光LRを選択された光路に誘導する。光カプラ127がN×1光スイッチの形態で設けられる場合、上述したように、コントローラ140は、光スイッチ126の選択された出力ポートをN×1光スイッチの対応する入力ポートに接続するために、光スイッチ126と同時に切り替えるためさらにN×1光スイッチを制御してもよい。例えば、受信された信号が第1の撮像モードに対応する撮像深さの範囲を示す場合、コントローラ140は、第1の撮像モードに必要な光路長及び/又は波長分散に対応する光路を選択する。
【0064】
図6のステップS3では、コントローラ140は、撮像対象105の一部分の画像を取得するようにOCT撮像システム100を制御する。これは、当業者に周知の技術を使用して構成されたOCT撮像システム100を動作させることによって達成される。例えば、コントローラ140は、本例示的な実施形態のように、上述したように、瞳孔位置合わせモジュール180を動作させ、移動モジュール170を動作させ、示された撮像深さの範囲にわたって撮像対象105の2次元点走査を実施するように走査システム105を制御し、光検出器130から検出信号を受信し、検出信号に基づいて撮像対象105の一部分の画像を生成することによって、撮像対象105の一部分の画像を取得するように構成されたOCT撮像システム100を制御することができる。
【0065】
図6のプロセスは、コンピュータプログラム445がプロセッサ420によって実行されるときにコンピュータプログラム445に含まれる命令に従って動作する、図5を参照して上述したプログラマブル信号処理ハードウェア400の形態で実装されたコントローラ140によって実装することができる。このコンピュータプログラム445は、CD-ROM、DVDROMなどの形態の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、又はコンピュータ可読命令を搬送するコンピュータ可読信号460などのコンピュータプログラム製品450に格納され得る。
【0066】
(第2の例示的な実施形態)
図7は、第2の例示的な実施形態による、撮像対象105を撮像するためのOCT撮像システム500の概略図である。OCT撮像システム500は、光源110と、干渉計520と、コントローラ540と、光検出器130とを備え、本例示的な本実施形態のように、レンズ160と、レンズ移動機構170と、瞳孔位置合わせモジュール180とをさらに備えてもよい。OCT撮像システム500は、本例示的な実施形態のように、走査システム150をさらに備える点走査SS-OCT撮像システムであってもよい。しかしながら、OCT撮像システム500は、より一般的には、例えば、任意のFD-OCT撮像システムなどの当技術分野で知られている任意のOCT撮像システムであってもよい。
【0067】
光源110、干渉計520のサンプルアーム121、光検出器130、レンズ160、レンズ移動機構170及び瞳孔位置合わせモジュール180は、第1の例示的な実施形態と同様である。したがって、これらの構成要素、及び図1の第1の例示的な実施形態と同じ参照符号でラベル付けされたOCT撮像システム500の他の構成要素については、再度説明しない。この例示的な実施形態は、干渉計520の部品(特に、干渉計520の基準アーム522において)の少なくとも一部の構成が図1の第1の例示的な実施形態とは異なり、その違いについて図7を参照して以下で説明する。さらに、コントローラ540は、基準アーム522の制御のみがコントローラ140と異なる。
【0068】
干渉計520は、基準アーム522の構成のみが第1の例示的な実施形態の干渉計120とは異なり、第1の例示的な実施形態の光学スプリッタ123及び光学スプリッタ124の両方の代わりに光学スプリッタ523を備える点で異なる。光学スプリッタ523は、光源110からの光LBを、サンプルアーム121に沿って伝播するサンプル光LSと、基準アーム522に沿って伝播する基準光LRとに分割し、サンプルアーム121からの収集光LCと、基準アーム522から出射された基準光LRとを組み合わせて、基準光LRと収集光LCとの間の干渉から生じる推論光LIを形成するように配置される。
【0069】
基準アーム522は、第1のミラー524と、第2のミラー526と、ミラー移動機構528とを備える。第1のミラー524は、光学スプリッタ523からの基準光LRが第1のミラー524に入射すると、光学スプリッタ523からの基準光LRを反射して光学スプリッタ523に向けて戻すように配置される。
【0070】
ミラー移動機構528は、第2のミラー526が光路外に移動されたときに基準光LRが第1のミラー524によって光学スプリッタ523に向かって反射して戻され、第2のミラー526が光路内に移動されたときに基準光LRが第1のミラー524の代わりに第2のミラー526によって光学スプリッタ523に向かって反射して戻されるように、第1のミラー524に向かって伝播する基準光LRの光路の内外に第2のミラー526を移動させるためコントローラ540によって制御可能である。言い換えれば、コントローラ540は、ミラー移動機構528を制御して、第2のミラー526が第1のミラー524の位置にあるときに、第1のミラー524の代わりに第2のミラー526は基準光LRを反射して光学スプリッタ523に向かって戻すように、第1のミラー524の前にあり、第1のミラー524に向かって伝播する基準光LRの光路内にある位置に、及びその位置から第2のミラー526を移動させる。ミラー移動機構528は、本例示的な実施形態のように、第1のミラー524に向かって伝播する基準光LRの光路の内外に(例えば、光路に沿った方向の第2のミラー526の移動を低減又は排除するために、光路に平行な回転軸のまわりで)第2のミラー526を回転させてもよいが、代替的に、ミラー移動機構528は、第2のミラー526を前述の光路の内外に(例えば、光路に沿った方向の第2のミラー526の移動を低減又は排除するために、光路に垂直な方向に)並進させてもよい。これらの配置のいずれかによって、基準アーム522の光路長は、特定のOCT撮像システム構成に必要に応じて選択することができるコントローラ540によって2つの値の間で切り替えることができる。リニアアクチュエータなどを用いて基準アームの端部に設けられたミラーを基準光の光路に沿って移動させることによって基準アームの光路長を変化させる上記の種類の従来の機械的機構と比較して、本配置は、必要な光路長変化をもたらすために基準アーム内のミラーが移動するため必要な距離を短縮することによって、大きな光路長変化を比較的迅速に行うことを可能にし得る。
【0071】
OCT撮像システム500は、本例示的な本実施形態のように、撮像対象105に向かうサンプル光LSの伝播方向に沿って撮像対象105の第1の深さの範囲を撮像する第1の撮像モード、及び撮像対象105に向かうサンプル光LSの伝播方向に沿って撮像対象105の第2の深さの範囲を撮像する第2の撮像モードで動作可能であり得る。第1の深さの範囲は第2の深さの範囲は異なるが、2つの範囲は場合によっては部分的に重複してもよい。例えば、撮像対象105が眼である本例示的な実施形態では、深さの範囲は、眼の光軸に沿った深さの範囲である。さらに、そのような場合、OCT撮像システム500は、眼の前眼部の一部分を撮像対象105の第1の深さの範囲として撮像する第1の撮像モード及び眼の後眼部の一部分を撮像対象105の第2の深さの範囲として撮像する第2の撮像モードで動作可能であり得る。
【0072】
コントローラ540は、本例示的な実施形態のように、第1の撮像モードでのOCT撮像システム500の動作中に、撮像対象105の第1の深さの範囲から散乱された後に光検出器130で受光されたサンプル光LC、及び第1のミラー524によって光学スプリッタ523に向かって反射されて戻った後に光検出器で受光された基準光LRが有する位相差が所定の閾値よりも小さくなるように、第2のミラー526が光路外にあるように、ミラー移動機構528を制御するように配置されてもよい。言い換えれば、基準アーム522は、第2のミラー526が基準光LRの光路外に移動されたときに、サンプルアーム121の光路長と基準アーム522の光路長との光路長差が、第1の撮像モードで撮像される撮像対象105の第1の深さの範囲にわたって所定の閾値未満となるような光路長を有する。
【0073】
コントローラ540は、本例示的な実施形態のように、第2の撮像モードでのOCT撮像システム500の動作中に、撮像対象の第2の深さの範囲から散乱された後に光検出器130で受光されたサンプル光LCが有する、及び第2のミラー526によって光学スプリッタ523に向かって反射されて戻った後に光検出器で受光された基準光LRの位相差が所定の閾値よりも小さくなるように、第2のミラー526が光路内にあるように、ミラー移動機構528を制御するようにさらに配置されてもよい。言い換えれば、基準アーム522は、第2のミラー526が基準光LRの光路内に移動したときに、サンプルアーム121の光路長と基準アーム522の光路長との光路長差が、第2の撮像モードで撮像される撮像対象105の第2の深さの範囲にわたって所定の閾値未満となるような光路長を有する。
【0074】
所定の閾値は、例えば、光源110によって生成された光のコヒーレンス長の所定の割合であってもよく、光源110自体によって生成された光のコヒーレンス長であってもよい。したがって、OCT撮像システム100は、第2のミラー526を第1のミラー524に向かって伝搬する基準光LRの光路の内外に切り替えることによって、撮像対象105の2つの深さの範囲の撮像を切り替えることができる。このスイッチは、干渉計120のアーム間の光路長差を、必要に応じてそれぞれの深さの範囲に対して光のコヒーレンス長よりも短くする。
【0075】
第2の例示的な実施形態は、基準アーム522内に2つのミラーを用いて説明されているが、OCT撮像システム500は、そのように限定されず、ミラー移動機構528によって(又は同様にコントローラ540によって制御可能な別個の移動機構によって)移動可能な追加のミラーを使用して、基準アーム522内に他の異なる光路長を生成することができる。したがって、OCTシステム500は、様々なそれぞれの深さの範囲にわたって撮像対象105の撮像を可能にする様々な撮像モードでの動作を迅速に切り替えることができる。
【0076】
第1の例示的な実施形態及び第2の例示的な実施形態は、点走査SS-OCTシステムを参照して説明したが、OCT撮像システムはそのように限定されない。例えば、記載されたOCT撮像システムのいずれかは、点走査、ライン走査又はフルフィールドOCTシステムであってもよい。ライン走査システムの場合、光源110は、光のラインを生成するように配置されたライン源に置き換えられ、走査システム150は、撮像対象105にわたって光のラインの走査を実施するように配置される。フルフィールドシステムの場合、光源110は光ビームを生成し、走査システム150は、光ビームを撮像対象105に誘導し、撮像対象105の撮像中に散乱光を収集するように配置された移送光学システムと置き換えることができる。さらに、上述したOCT撮像システムのいずれかは、上述したように、光源110及び光検出器130の適切な配置を使用することによって、SD-OCTシステムの代替形態で提供することができる。さらに、上述のOCT撮像システムのいずれかは、TD-OCT撮像システムの代替形態で提供されてもよい。例えば、第1の例示的な実施形態では、上述したように、第2の光学スプリッタ124をミラーのために省略することができ、第2のミラーは、当業者に周知のTD-OCT撮像システムの方法で、撮像対象105内の異なるそれぞれの深さにあるOCT撮像システム100を用いて画像データを取得するために、さらなる移動機構(コントローラ140によって制御可能)によって(並進的に)移動可能にすることができる。第1のミラー524及び第2の可動ミラー526は、第2の例示的実施形態のOCT撮像システム500がTD-OCT撮像システムを形成するように適合されている場合、同様に(並進的に)移動可能であってもよい。
【0077】
前述の説明では、いくつかの例示的な実施形態を参照して例示的な態様が説明されている。したがって、本明細書は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。同様に、例示的な実施形態の機能及び利点を強調する図面に示されている図は、例示のみを目的として提示されている。本例示的な実施形態のアーキテクチャは、十分に柔軟で構成可能であり、添付の図に示されている方法以外の方法で利用することができる。
【0078】
コントローラの機能など、本明細書に提示される例のいくつかの態様は、1つの例示的な実施形態では、各々が非一時的であり得る、機械アクセス可能又は機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置などの製造品に含まれるか又は格納された命令又は一連の命令を有する1又は複数のプログラムなどのコンピュータプログラム又はソフトウェアとして提供されてもよい。非一時的な機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置上のプログラム又は命令は、コンピュータシステム又は他の電子デバイスをプログラムするために使用されてもよい。機械又はコンピュータ可読媒体、命令ストア、及び記憶装置は、限定はしないが、フロッピー(登録商標)ディスケット、光ディスク、及び光磁気ディスク、又は電子命令を格納又は送信するのに適した他の種類の媒体/機械可読媒体/命令ストア/記憶デバイスを含むことができる。本明細書に記載の技法は、いかなる特定のソフトウェア構成にも限定されない。それらは、任意のコンピューティング又は処理環境において適用可能性を見出すことができる。本明細書で使用される「コンピュータ可読」、「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、「命令ストア」、及び「コンピュータ可読記憶装置」という用語は、機械、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサによる実行のための命令又は一連の命令を格納、符号化、又は送信することができ、機械/コンピュータ/コンピュータプロセッサに本明細書に記載の方法のいずれか1つを実施させる任意の媒体を含むものとする。さらに、当技術分野では、措置を講じる又は結果を引き起こす、1つの形態又は別の形態(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、論理など)のソフトウェアについて話すことが一般的である。そのような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行がプロセッサに結果を生成するための動作を実施させることを述べる簡単な方法にすぎない。
【0079】
コントローラの機能の一部又はすべてはまた、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイの調製によって、又は従来の構成要素回路の適切なネットワークを相互接続することによって実装されてもよい。
【0080】
コンピュータプログラム製品は、本明細書に記載の例示的な実施形態の手順のいずれかをコンピュータ又はコンピュータプロセッサに実施するように制御する又は実施させるために使用することができる命令が格納された1若しくは複数の記憶媒体、1若しくは複数の命令ストア、又は1若しくは複数の記憶装置の形態で提供することができる。記憶媒体/命令ストア/記憶装置は、限定ではなく例として、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、リモートデータ記憶装置/アーカイブ/倉庫保管、及び/又は命令及び/又はデータを格納するのに適した任意の他の種類の装置を含むことができる。
【0081】
1若しくは複数のコンピュータ可読媒体、1若しくは複数の命令ストア、又は1若しくは複数の記憶装置のいずれか1つに格納されて、いくつかの実装形態は、システムのハードウェアの両方を制御し、システム又はマイクロプロセッサが本明細書に記載の例示的な実施形態の結果を利用して人間のユーザ又は他の機構と対話することを可能にするためのソフトウェアを含む。そのようなソフトウェアは、限定はしないが、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及びユーザアプリケーションを含むことができる。最後に、そのようなコンピュータ可読媒体又は記憶装置(複数可)は、上述のように、本発明の例示的な態様を実施するためのソフトウェアをさらに含む。
【0082】
システムのプログラミング及び/又はソフトウェアには、本明細書に記載の手順を実装するためのソフトウェアモジュールが含まれる。本明細書のいくつかの例示的な実施形態では、モジュールはソフトウェアを含むが、本明細書の他の例示的な実施形態では、モジュールはハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む。
【0083】
以上、本発明の様々な例示的な実施形態を説明したが、それらは限定ではなく例として提示されていることを理解されたい。当業者(複数可)には、形態及び詳細の様々な変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0084】
さらに、要約書の目的は、特許庁及び一般の人々、特に特許又は法律用語又は表現に精通していない科学者、技術者及び実務家が、大まかな検査から本出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に判定することを可能にすることである。要約書は、本明細書に提示される例示的な実施形態の範囲に関して決して限定することを意図するものではない。また、特許請求の範囲に記載された手順は、提示された順序で実行される必要はないことも理解されたい。
【0085】
本明細書は多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、任意の発明又は特許請求され得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ本明細書に記載された特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切な部分的組み合わせで実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、最初にそのように特許請求されてもよいが、特許請求される組み合わせからの1又は複数の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除され得、特許請求される組み合わせは、部分的な組み合わせ又は部分的な組み合わせの変形を対象とし得る。
【0086】
特定の状況では、マルチタスク処理及び並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態における様々な構成要素の分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されたプログラム構成要素及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0087】
ここでいくつかの例示的な実施形態及び実施形態を説明してきたが、上記は例示的であり、限定的ではなく、例として提示されていることは明らかである。特に、本明細書に提示される例の多くは、装置又はソフトウェア要素の特定の組み合わせを含むが、それらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わされてもよい。1つの実施形態に関連してのみ論じられる動作、要素、及び特徴は、他の実施形態又は実施形態における同様の役割から除外されることを意図しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、前記OCT撮像システムは、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームが、
基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路はそれぞれ、前記N個の光路のうちの他の光路の各々の光路長又は波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方とは異なる光路長又は波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、
前記選択された光路に沿って伝播する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、
を備える基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタとを備える干渉計と、
前記出力光ファイバを介して伝播する前記基準光の前記少なくとも一部と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、を備える、OCT撮像システム。
【請求項2】
前記光スイッチは、N個の出力ポートを備える1×N光スイッチであり、前記光カプラは、N個の入力ポートを備えるN×1光カプラであり、N個の光路はそれぞれ、N個の出力ポートのそれぞれをN個の入力ポートのそれぞれに接続するそれぞれの光ファイバを備える、請求項1に記載のOCT撮像システム。
【請求項3】
前記光ファイバの少なくとも一部が異なる光路長を有する、請求項2に記載のOCT撮像システム。
【請求項4】
前記N個の光路のうちの1又は複数のそれぞれは、それぞれの分散素子を備え、前記分散素子の各分散素子は、前記分散素子を備える前記光路を伝播する前記基準光の波長分散のそれぞれのレベルを提供するように配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項5】
前記N×1光カプラは、
N×1光ファイバカプラと、
前記基準光が前記1×N光スイッチによって結合された前記N個の出力ポートのうちの一つの出力ポートに対応する前記N個の入力ポートのうちの一入力ポートを前記出力光ファイバに結合するように制御可能なN×1光スイッチと、
のうちの一方を備える、請求項2又は請求項3に記載のOCT撮像システム。
【請求項6】
コントローラをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の異なるそれぞれの深さの範囲を撮像するため複数の撮像モードで動作可能であり、
前記撮像モードの各々における前記OCT撮像システムの動作中に、前記コントローラは、前記光スイッチを制御して、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を、前記撮像対象のそれぞれの深さの範囲内の深さから散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記出力光ファイバを介して伝播された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が所定の閾値未満であるようなそれぞれの光路長を有する前記N個の光路のそれぞれに誘導するように配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項7】
コントローラをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の異なるそれぞれの深さの範囲を撮像するため複数の撮像モードで動作可能であり、
前記撮像モードの各々における前記OCT撮像システムの動作中に、前記コントローラは、前記光スイッチを制御して、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を、前記撮像対象のそれぞれの深さの範囲内の深さから散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記出力光ファイバを介して伝播された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が所定の閾値未満であるようなそれぞれの光路長を有する前記N個の光路のそれぞれに誘導するように配置される、請求項4に記載のOCT撮像システム。
【請求項8】
撮像対象は眼であり、前記OCT撮像システムは、
前記眼の前眼部の第1の部分を撮像するための第1の撮像モード、
前記眼の後眼部の第1の部分を撮像するための第2の撮像モード、又は、
前記眼の前記前眼部の第2の部分及び前記眼の前記後眼部の第2の部分を撮像するための第3の撮像モード
のうちの少なくとも1つで動作可能である、請求項6に記載のOCT撮像システム。
【請求項9】
前記OCT撮像システムが前記第1の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第1の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第1の光路は、前記眼の前記前眼部の前記第1の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルが、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第1の分散素子を備え、
前記OCT撮像システムが前記第2の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第2の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第2の光路は、前記眼の前記後眼部の前記第1の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルが、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第2の分散素子を備え、
前記OCT撮像システムが前記第3の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第3の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第3の光路は、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルを提供し、前記レベルが、前記眼の前記前眼部の前記第2の部分及び/又は前記後眼部の前記第2の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルよりも大きい、請求項8に記載のOCT撮像システム。
【請求項10】
レンズと前記干渉計の前記サンプルアーム内で光路の内外に前記レンズを移動するためのレンズ移動機構と、をさらに備え、
前記第1の撮像モードでは、前記コントローラは、前記第1の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に、前記眼の前記前眼部の前記第1の部分が前記レンズを介して撮像されるように、前記干渉計の前記サンプルアーム内の光路内に前記レンズを移動させるように前記レンズ移動機構を制御するように配置され、
前記第2の撮像モードでは、前記コントローラは、前記第2の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に前記眼の前記後眼部の前記第1の部分が前記レンズを使用せずに撮像されるように、前記干渉計の前記サンプルアーム内の前記光路から外に前記レンズを移動させるように前記レンズ移動機構を制御するようにさらに配置される、請求項8又は請求項9に記載のOCT撮像システム。
【請求項11】
前記OCT撮像システムの焦点を前記前眼部の画像に基づいて前記眼の瞳孔と位置合わせするように配置された瞳孔位置合わせモジュールをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記瞳孔位置合わせモジュールの動作中に前記第1の撮像モードで動作して、前記OCT撮像システムの前記焦点を前記眼の前記瞳孔と位置合わせし、前記瞳孔位置合わせモジュールの動作後に前記第2の撮像モードで、前記OCT撮像システムの前記焦点を前記眼の前記瞳孔と位置合わせするように配置される、請求項9に記載のOCT撮像システム。
【請求項12】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路の前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項13】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項4に記載のOCT撮像システム。
【請求項14】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項6に記載のOCT撮像システム。
【請求項15】
撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームは、
光学スプリッタからの基準光が第1のミラーに入射すると、前記光学スプリッタからの前記基準光を反射して前記光学スプリッタに向けて戻すように配置された前記第1のミラーと、
第2のミラーと、
前記第2のミラーが光路外に移動されたときに前記第1のミラーによって前記基準光が前記光学スプリッタに向かって反射して戻され、前記第2のミラーが光路内に移動されたときに前記第1のミラーの代わりに前記第2のミラーによって前記基準光が前記光学スプリッタに向かって反射して戻されるように、前記第1のミラーに向かって伝播する前記基準光の光路の内外に前記第2のミラーを移動させるように制御可能なミラー移動機構と、
を備える、基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタと、を備える干渉計と、
前記光学スプリッタに向かって反射して戻る前記基準光と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、
を備える、OCT撮像システム。
【請求項16】
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の第1の深さの範囲を撮像する第1の撮像モードと、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の前記伝播方向に沿って前記撮像対象の第2の深さの範囲を撮像する第2の撮像モードとで動作可能であり、前記第1の深さの範囲が前記第2の深さの範囲とは異なり、
前記OCT撮像システムは、
前記第1の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に、前記撮像対象の前記第1の深さの範囲から散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記第1のミラーによって前記光学スプリッタに向かって反射して戻された後に前記光検出器で受光される基準光(LR)との位相差が所定の閾値未満であるように、前記第2のミラーが光路外にあり、
前記第2の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中、前記撮像対象の前記第2の深さの範囲から散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記第2のミラーによって前記光学スプリッタに向かって反射して戻された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が前記所定の閾値未満であるように、前記第2のミラーが光路内にある
ように前記ミラー移動機構を制御するように配置されたコントローラをさらに備える、請求項15に記載のOCT撮像システム。
【請求項17】
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象の前記第1の深さの範囲として、眼の後眼部の一部分を撮像する前記第1の撮像モード、及び前記撮像対象の前記第2の深さの範囲として、前記眼の前眼部の一部分を撮像する前記第2の撮像モードで動作可能である、請求項16に記載のOCT撮像システム。
【請求項18】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムによる撮像対象の撮像を制御するコンピュータ実装方法であって、前記OCT撮像システムは、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームは、
基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路はそれぞれ、前記N個の光路のうちの他の光路の光路長及び波長分散のうちの少なくとも一方とは異なる前記光路長及び前記波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、
前記選択された光路に沿って伝播する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、
を備える、基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタと、を備える干渉計と、
前記出力光ファイバから出力された前記基準光の前記少なくとも一部と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、を備え、
前記方法は、
前記撮像対象の一部分の画像が取得される撮像深さの範囲を示す信号を受信することと、
前記受信された信号に基づいて、前記N個の光路のうちの一つの光路を選択することと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記選択された光路に誘導するように前記光スイッチを制御することと、
によって、前記示された撮像深さの範囲にわたって前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得するように前記OCT撮像システムを構成することと、
前記構成されたOCT撮像システムを制御して、前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得することと、を含む方法。
【請求項19】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項18に記載の方法を実施させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の前記コンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、前記OCT撮像システムは、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームが、
基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路はそれぞれ、前記N個の光路のうちの他の光路の各々の光路長又は波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方とは異なる光路長又は波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、
前記選択された光路に沿って伝播する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、
を備える基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタとを備える干渉計と、
前記出力光ファイバを介して伝播する前記基準光の前記少なくとも一部と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、を備える、OCT撮像システム。
【請求項2】
前記光スイッチは、N個の出力ポートを備える1×N光スイッチであり、前記光カプラは、N個の入力ポートを備えるN×1光カプラであり、N個の光路はそれぞれ、N個の出力ポートのそれぞれをN個の入力ポートのそれぞれに接続するそれぞれの光ファイバを備える、請求項1に記載のOCT撮像システム。
【請求項3】
前記光ファイバの少なくとも一部が異なる光路長を有する、請求項2に記載のOCT撮像システム。
【請求項4】
前記N個の光路のうちの1又は複数のそれぞれは、それぞれの分散素子を備え、前記分散素子の各分散素子は、前記分散素子を備える前記光路を伝播する前記基準光の波長分散のそれぞれのレベルを提供するように配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項5】
前記N×1光カプラは、
N×1光ファイバカプラと、
前記基準光が前記1×N光スイッチによって結合された前記N個の出力ポートのうちの一つの出力ポートに対応する前記N個の入力ポートのうちの一入力ポートを前記出力光ファイバに結合するように制御可能なN×1光スイッチと、
のうちの一方を備える、請求項2又は請求項3に記載のOCT撮像システム。
【請求項6】
コントローラをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の異なるそれぞれの深さの範囲を撮像するため複数の撮像モードで動作可能であり、
前記撮像モードの各々における前記OCT撮像システムの動作中に、前記コントローラは、前記光スイッチを制御して、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を、前記撮像対象のそれぞれの深さの範囲内の深さから散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記出力光ファイバを介して伝播された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が所定の閾値未満であるようなそれぞれの光路長を有する前記N個の光路のそれぞれに誘導するように配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項7】
コントローラをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の異なるそれぞれの深さの範囲を撮像するため複数の撮像モードで動作可能であり、
前記撮像モードの各々における前記OCT撮像システムの動作中に、前記コントローラは、前記光スイッチを制御して、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を、前記撮像対象のそれぞれの深さの範囲内の深さから散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記出力光ファイバを介して伝播された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が所定の閾値未満であるようなそれぞれの光路長を有する前記N個の光路のそれぞれに誘導するように配置される、請求項4に記載のOCT撮像システム。
【請求項8】
撮像対象は眼であり、前記OCT撮像システムは、
前記眼の前眼部の第1の部分を撮像するための第1の撮像モード、
前記眼の後眼部の第1の部分を撮像するための第2の撮像モード、又は、
前記眼の前記前眼部の第2の部分及び前記眼の前記後眼部の第2の部分を撮像するための第3の撮像モード
のうちの少なくとも1つで動作可能である、請求項6に記載のOCT撮像システム。
【請求項9】
前記OCT撮像システムが前記第1の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第1の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第1の光路は、前記眼の前記前眼部の前記第1の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルが、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第1の分散素子を備え、
前記OCT撮像システムが前記第2の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第2の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第2の光路は、前記眼の前記後眼部の前記第1の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルが、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルと一致するように構成された第2の分散素子を備え、
前記OCT撮像システムが前記第3の撮像モードで動作可能である場合、前記コントローラは、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記N個の光路のうちの第3の光路に誘導するように前記光スイッチを制御するように配置され、前記第3の光路は、前記出力光ファイバを介して伝播した後に前記光検出器で受光される前記基準光の波長分散のレベルを提供し、前記レベルが、前記眼の前記前眼部の前記第2の部分及び/又は前記後眼部の前記第2の部分によって散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光の波長分散のレベルよりも大きい、請求項8に記載のOCT撮像システム。
【請求項10】
レンズと前記干渉計の前記サンプルアーム内で光路の内外に前記レンズを移動するためのレンズ移動機構と、をさらに備え、
前記第1の撮像モードでは、前記コントローラは、前記第1の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に、前記眼の前記前眼部の前記第1の部分が前記レンズを介して撮像されるように、前記干渉計の前記サンプルアーム内の光路内に前記レンズを移動させるように前記レンズ移動機構を制御するように配置され、
前記第2の撮像モードでは、前記コントローラは、前記第2の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に前記眼の前記後眼部の前記第1の部分が前記レンズを使用せずに撮像されるように、前記干渉計の前記サンプルアーム内の前記光路から外に前記レンズを移動させるように前記レンズ移動機構を制御するようにさらに配置される、請求項に記載のOCT撮像システム。
【請求項11】
前記OCT撮像システムの焦点を前記前眼部の画像に基づいて前記眼の瞳孔と位置合わせするように配置された瞳孔位置合わせモジュールをさらに備え、
前記OCT撮像システムは、前記瞳孔位置合わせモジュールの動作中に前記第1の撮像モードで動作して、前記OCT撮像システムの前記焦点を前記眼の前記瞳孔と位置合わせし、前記瞳孔位置合わせモジュールの動作後に前記第2の撮像モードで、前記OCT撮像システムの前記焦点を前記眼の前記瞳孔と位置合わせするように配置される、請求項9に記載のOCT撮像システム。
【請求項12】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路の前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のOCT撮像システム。
【請求項13】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項4に記載のOCT撮像システム。
【請求項14】
光パワーモニタをさらに備え、前記光スイッチは、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第1の部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に、及び前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の第2の部分を前記光パワーモニタに同時に誘導し、かつ/又は
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記N個の光路のうちの前記選択された光路に誘導することと、前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の前記少なくとも一部分を前記光パワーモニタに誘導することとを切り替えるように制御可能である、請求項6に記載のOCT撮像システム。
【請求項15】
撮像対象を撮像するための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムであって、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームは、
光学スプリッタからの基準光が第1のミラーに入射すると、前記光学スプリッタからの前記基準光を反射して前記光学スプリッタに向けて戻すように配置された前記第1のミラーと、
第2のミラーと、
前記第2のミラーが光路外に移動されたときに前記第1のミラーによって前記基準光が前記光学スプリッタに向かって反射して戻され、前記第2のミラーが光路内に移動されたときに前記第1のミラーの代わりに前記第2のミラーによって前記基準光が前記光学スプリッタに向かって反射して戻されるように、前記第1のミラーに向かって伝播する前記基準光の光路の内外に前記第2のミラーを移動させるように制御可能なミラー移動機構と、
を備える、基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタと、を備える干渉計と、
前記光学スプリッタに向かって反射して戻る前記基準光と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との間の干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、
を備える、OCT撮像システム。
【請求項16】
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の伝播方向に沿って前記撮像対象の第1の深さの範囲を撮像する第1の撮像モードと、前記撮像対象に向かう前記サンプル光の前記伝播方向に沿って前記撮像対象の第2の深さの範囲を撮像する第2の撮像モードとで動作可能であり、前記第1の深さの範囲が前記第2の深さの範囲とは異なり、
前記OCT撮像システムは、
前記第1の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中に、前記撮像対象の前記第1の深さの範囲から散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記第1のミラーによって前記光学スプリッタに向かって反射して戻された後に前記光検出器で受光される基準光(LR)との位相差が所定の閾値未満であるように、前記第2のミラーが光路外にあり、
前記第2の撮像モードでの前記OCT撮像システムの動作中、前記撮像対象の前記第2の深さの範囲から散乱された後に前記光検出器で受光される前記サンプル光と、前記第2のミラーによって前記光学スプリッタに向かって反射して戻された後に前記光検出器で受光される前記基準光との位相差が前記所定の閾値未満であるように、前記第2のミラーが光路内にある
ように前記ミラー移動機構を制御するように配置されたコントローラをさらに備える、請求項15に記載のOCT撮像システム。
【請求項17】
前記OCT撮像システムは、前記撮像対象の前記第1の深さの範囲として、眼の後眼部の一部分を撮像する前記第1の撮像モード、及び前記撮像対象の前記第2の深さの範囲として、前記眼の前眼部の一部分を撮像する前記第2の撮像モードで動作可能である、請求項16に記載のOCT撮像システム。
【請求項18】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)撮像システムによる撮像対象の撮像を制御するコンピュータ実装方法であって、前記OCT撮像システムは、
光源と、
サンプルアームと、基準アームであって、前記基準アームは、
基準光を誘導するように配置された基準アーム光ファイバと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光の少なくとも一部をN個の光路であって、Nは2以上の整数であり、前記N個の光路はそれぞれ、前記N個の光路のうちの他の光路の光路長及び波長分散のうちの少なくとも一方とは異なる前記光路長及び前記波長分散のうちのそれぞれの少なくとも一方を有する、N個の光路のうちの選択された光路に誘導するように制御可能な光スイッチと、
前記選択された光路に沿って伝播する前記基準光の前記少なくとも一部を出力光ファイバに誘導するように配置された光カプラと、
を備える、基準アームと、前記光源からの光を前記サンプルアームに沿って伝播するサンプル光と前記基準アームに沿って伝播する基準光とに分割するように配置された光学スプリッタと、を備える干渉計と、
前記出力光ファイバから出力された前記基準光の前記少なくとも一部と、前記撮像対象によって散乱された後に前記サンプルアームを介して伝播する前記サンプル光との干渉から生じる干渉光を検出するように配置された光検出器と、を備え、
前記方法は、
前記撮像対象の一部分の画像が取得される撮像深さの範囲を示す信号を受信することと、
前記受信された信号に基づいて、前記N個の光路のうちの一つの光路を選択することと、
前記基準アーム光ファイバからの前記基準光を前記選択された光路に誘導するように前記光スイッチを制御することと、
によって、前記示された撮像深さの範囲にわたって前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得するように前記OCT撮像システムを構成することと、
前記構成されたOCT撮像システムを制御して、前記撮像対象の前記一部分の前記画像を取得することと、を含む方法。
【請求項19】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項18に記載の方法を実施させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の前記コンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読記憶媒体。
【外国語明細書】