(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144417
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】アントラキノン官能化のためのシステム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
C25B 3/07 20210101AFI20241003BHJP
C07C 59/54 20060101ALI20241003BHJP
H01M 8/18 20060101ALI20241003BHJP
C07C 50/18 20060101ALI20241003BHJP
C07C 46/00 20060101ALI20241003BHJP
C07C 51/347 20060101ALI20241003BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241003BHJP
C25B 11/081 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
C25B3/07
C07C59/54
H01M8/18
C07C50/18
C07C46/00
C07C51/347
C25B9/23
C25B11/081
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095913
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2023535614の分割
【原出願日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】63/215,079
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(71)【出願人】
【識別番号】523212830
【氏名又は名称】クィノ・エナジー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・エス・ベフ
(72)【発明者】
【氏名】メイサム・バハリ
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アジズ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ・ゴードン
(57)【要約】
【課題】本発明は、少なくとも1つのヒドロキシル基又はアミノ基で置換されているアントラキノン分子の合成官能化に関する。
【解決手段】本発明の一部の態様では、アントラキノン分子の合成官能化は、分割電解槽を使用することによって、化学的ではなく電気化学的に起こる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのアントラキノン誘導体の2位の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化のための方法であって、
式Iのアントラキノン出発物質、アルデヒド、塩基、任意選択的な溶媒、及び任意選択的な触媒を反応容器に添加することと、
前記反応容器に水素を導入することと、
混合物を反応させることと、
前記反応容器から前記水素を除去することと、
反応混合物に酸化剤を導入することと、
前記反応混合物から生成物を単離することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記塩基が、無機水酸化物、金属アルコキシド、アミン、アミジン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、水である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水素が、気体として導入及び除去され、前記触媒が、ニッケル炭素(nickel on carbon)、パラジウム炭素(palladium on carbon)、白金炭素(platinum on carbon)、ロジウム炭素(rhodium on carbon)、水酸化パラジウム、白金黒、二酸化白金、Wilkinson触媒、Crabtree触媒、Shvo触媒、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が、Raneyニッケルであり、前記水素が、前記触媒上の吸着質(adsorbate)として提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化剤が、大気中の酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルデヒドが、水素ガスが前記反応容器から排出された後であるが、前記酸化剤が添加される前にのみ導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式Iのアントラキノン誘導体の2位の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化のためのシステムであって、
分割電解槽であって、
式Iのアントラキノン誘導体、アルデヒド、塩基、及び任意選択的な溶媒を含む第1の流体流を受け入れ、第1の流体流と電気化学反応するように構成された、第1の電極を有する第1のチャンバーと、
第2の電極を有する第2のチャンバーであって、第2の流体流を受け入れ、第2の流体流と電気化学反応するように構成された、第2のチャンバーと、
を更に含み、
第1のチャンバー及び第1の電極が、イオン伝導膜によって第2のチャンバー及び第2の電極から分離されている、分割電解槽
を含む、システム。
【請求項10】
第1の流体流が、第1のチャンバーに再循環されるように構成され、第2の流体流が、第2のチャンバーに再循環されるように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
第1の電極及び第2の電極のうちの少なくとも1つが、電極触媒又は電極触媒前駆体を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
第1の電極と第2の電極との間に電位を印加するように構成された電源装置(electrical power supply)を更に含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
第1の流体流中の前記塩基が、無機水酸化物、金属アルコキシド、アミン、アミジン、又はそれらの混合物からなる群から選択される塩基を更に含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記溶媒が、水である、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記イオン伝導膜が、カチオン交換膜である、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記イオン伝導膜が、カチオン交換膜であり、
第2の流体流が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの混合物を含む水溶液を含み、
第2の電極が、ニッケル、コバルト、鉄、ステンレス鋼、白金、又はそれらの混合物からなり、
前記システムが、水を含む溶媒を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
第2の電極で生成した酸素が、電気化学的還元が終了した後に、第1の流体流を再酸化するために使用される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記イオン伝導膜が、カチオン交換膜であり、
第2の流体流が、水素ガスを含み、
第2の電極が、水素が酸化されることを可能にし、それによって、電子の供給源として作用するように構成され、
前記システムが、水を含む溶媒を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
第2の電極が、白金を含む電極触媒を更に含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記イオン伝導膜が、カチオン交換膜であり、
第2の流体流が、メタノールを含み、
前記システムが、水を含む溶媒を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
第2の電極が、白金-ルテニウムを含む電極触媒を更に含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
電気エネルギーを貯蔵及び放出するために、第1のフロー電池反応物及び第2のフロー電池反応物を利用するように構成された酸化還元フロー電池であって、前記酸化還元フロー電池が、式Iのアントラキノン誘導体の2位の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化を更に行うことができ、
分割電解槽であって、
式Iのアントラキノン誘導体、アルデヒド、塩基、及び任意選択的な溶媒を含む第1の流体流を受け入れ、第1の流体流と電気化学反応するように構成された、第1の電極を有する第1のチャンバーと、
第2の電極を有する第2のチャンバーであって、第2の流体流を受け入れ、第2の流体流と電気化学反応するように構成された、第2のチャンバーと、
を更に含み、
第1のチャンバー及び第1の電極が、イオン伝導膜によって第2のチャンバー及び第2の電極から分離されている、分割電解槽
を含み、
前記分割電解槽が、2位で(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化され、かつ第1の流体流に残留するアントラキノン誘導体を、第1のフロー電池反応物として利用し、第2の流体流を、第2のフロー電池反応物として利用する、酸化還元フロー電池を更に含む、酸化還元フロー電池。
【請求項24】
前記イオン伝導膜が、カチオン交換膜であり、
第1及び第2の流体流が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される水溶液を含み、
第1及び第2の電極が、黒鉛、カーボンブラック、カーボンフェルト、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンナノチューブ、他の形態の導電性炭素、又はそれらの混合物からなる群から選択され、
前記システムが、水を含む溶媒を更に含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第2の流体流が、フェロシアン化ナトリウム、フェリシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
式Iのアントラキノン誘導体の2位の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化のための方法であって、
分割電解槽を提供することであって、分割電解槽が、
式Iのアントラキノン誘導体、アルデヒド、塩基、及び任意選択的な溶媒を含む第1の流体流を受け入れ、第1の流体流と電気化学反応するように構成された、第1の電極を有する第1のチャンバーと、
第2の電極を有する第2のチャンバーであって、第2の流体流を受け入れ、第2の流体流と電気化学反応するように構成された、第2のチャンバーと、
を更に含み、
第1のチャンバー及び第1の電極が、イオン伝導膜によって第2のチャンバー及び第2の電極から分離されている、分割電解槽を提供することと、
第1のチャンバーを通して第1の流体流を流し、第1の電極に接触させることと、
第2のチャンバーを通して第2の流体流を流し、第2の電極に接触させることと、
第1の電極と第2の電極との間に電位を印加して、第1の流体流において電気化学的還元反応を引き起こし、第2の流体流において電気化学的酸化反応を引き起こすことと、を含む、方法。
【請求項27】
第1の流体流が、第1の電極を有する第1のチャンバーに再循環するように構成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第1のチャンバーから第1の流体流を排出することと、
排出された第1の流体流から得られた反応混合物に酸化剤を導入することと、
前記反応混合物から生成物を単離することと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第1の流体流において電気化学的酸化反応が起こり、第2の流体流において電気化学的還元反応が起こるように、第1の電極と第2の電極との間の前記電位の符号を逆転させることと、
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第1のチャンバーから第1の流体流を排出することと、
排出された第1の流体流から得られた前記反応混合物から生成物を単離することと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第2の流体流を第3の流体流で置き換えることと、
第1の流体流において電気化学的酸化反応が起こり、第3の流体流において電気化学的還元反応が起こるように、第1の電極と第2の電極との間の前記電位の符号を逆転させることと、
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第1のチャンバーから第1の流体流を排出することと、
排出された第1の流体流から得られた前記反応混合物から生成物を単離することと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第1のチャンバーから第1の流体流を排出して、中間流体流を得ることと、
第2の分割電解槽を提供することであって、第2の分割電解槽が、
第3の電極を有する第3のチャンバーであって、前記中間流体流を受け入れ、前記中間流体流と電気化学反応するように構成された、第3のチャンバーと、
第4の電極を有する第4のチャンバーであって、第3の流体流を受け入れ、第3の流体流と電気化学反応するように構成された、第4のチャンバーと、
を更に含み、
第3のチャンバー及び第3の電極が、第2のイオン伝導膜によって第4のチャンバー及び第4の電極から分離されている、分割電解槽を提供することと、
第3のチャンバーに前記中間流体流を流し、第2の分割電解槽の第3の電極に接触させることと、
第4のチャンバーに第3の流体流を流し、第2の分割電解槽の第4の電極に接触させることと、
第3の電極と第4の電極との間に電位を印加して、前記中間流体流において電気化学的酸化反応を引き起こし、第3の流体流において電気化学的還元反応を引き起こすことと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記中間流体流が、第3の電極を有する第3のチャンバーに再循環するように構成される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
閾値の時間が経過するまで若しくは閾値量の電荷が通過するまで、又は電流密度が閾値を下回るまで、又は印加された電位が閾値を上回る後まで待つことと、
第3のチャンバーから前記中間流体流を排出して、生成物流体流を得ることと、
前記生成物流体流から生成物を単離することと、を更に含む、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、PCT国際特許出願として2022年6月9日に出願され、2021年6月25日に出願された米国仮出願第63/215,079号の利益及び優先権を主張し、その開示全体は、その全体が参照により本明細書に援用される。
本発明は、概して、合成有機化学プロセスに関する。より具体的には、本発明は、少なくとも1つのヒドロキシル又はアミノ基で置換されているアントラキノン分子の合成官能化に関する。
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する声明
本発明の特定の態様は、PNNL下請け契約535264を通して、授与番号DE-AC05-76RL01830の下で、米国エネルギー省からの政府の支援を受けて作成された。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
Marschalk反応は、亜ジチオン酸ナトリウムの存在下での、ヒドロキシル置換又はアミノ置換アントラキノンとアルデヒドとの反応であり、出発分子上のヒドロキシル置換基又はアミン置換基のオルト位にα-ヒドロキシアルキル官能基を導入する。L.-M.Zhao,F.-Y.Ma,H.-S.Jin,J.Ma,H.Wang,C.-Z.Fu,European Journal of Organic Chemistry,2013,7193-7199を参照されたい。特定の条件下、α-ヒドロキシアルキル官能基の脱ヒドロキシル化が続いて行われ、アントラキノンコアと残りの新しい官能基との間にメチレン(-CH2-)リンカーが残る。この反応は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸などの様々なアルデヒドで作用する。例えば、K.Krohn,Angewandte Chemie International Edition 1979,18,621-622を参照されたい。反応は、分子間又は分子内の反応であり得る。F.Suzuki,S.Trenbeath,R.D.Gleim,C.J.Sih,Journal of the American Chemical Society 1978,100,2272-2273を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】European Journal of Organic Chemistry,2013,7193-7199
【非特許文献2】Angewandte Chemie International Edition 1979,18,621-622
【非特許文献3】Journal of the American Chemical Society 1978,100,2272-2273
【非特許文献4】Science 2015,349,1529-1532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒドロキシル又はアミノ置換アントラキノンの(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化の全ての報告された例では、使用される還元剤は、亜ジチオン酸ナトリウムである。亜ジチオン酸ナトリウムを別のより安価な還元剤で置き換えると、同じ反応を低コストで進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】特定の実施形態による、水素ガスによる置換アントラキノン出発物質の触媒還元による置換アントラキノン出発物質の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化のための合成スキームを示す。
【
図2】特定の実施形態による、置換アントラキノン出発物質の電気化学的還元による置換アントラキノン出発物質の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化のための合成スキームを示す。
【
図3】特定の実施形態による、置換アントラキノン出発物質の電気化学的還元による置換アントラキノン出発物質の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化をもたらすための電解槽を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
Marschalk反応のメカニズムは、置換アントラキノン出発物質の9,10-アントラキノンコアを9,10-ジヒドロキシアントラセンコアに還元することから始まる。次いで、この還元された出発物質は、アルデヒドと反応して炭素-炭素結合を形成する。
【0008】
9,10-アントラキノンは、任意選択的に、炭素基材上に担持されたパラジウムなどの触媒の存在下、水素ガスなどの他の反応物質を使用して、対応する9,10-ジヒドロキシアントラセンに容易に還元され得ることが知られている。G.Max,L.Emile、米国特許第2,941,865号(1956年10月16日出願)を参照されたい。あるいは、還元は、フロー電池の半電池(half-cell)などで電気化学的に実現され得る。K.Lin,Q.Chen,M.R.Gerhardt,L.Tong,S.B.Kim,L.Eisenach,A.W.Valle,D.Hardee,R.G.Gordon,M.J.Aziz,M.P.Marshak,Science 2015,349,1529-1532を参照されたい。
【0009】
しかしながら、Marschalk反応ではジチオン酸ナトリウム以外の還元剤の使用は不明である。本発明は、古典的なMarschalk反応に類似するが、亜ジチオン酸ナトリウム又は他の亜ジチオン酸塩以外の還元剤を用いたプロセスを介したアントラキノン誘導体の合成を特徴とする。
【0010】
図1に要約されている本発明の一態様では、置換アントラキノン出発物質、アルデヒド、塩基、任意選択的な溶媒、及び任意選択的な触媒が、水素ガスを含む雰囲気に曝露された反応容器内で混合される。反応は、加熱しても、冷却してもよく、又は反応時間全体を通して異なる温度で保持してもよい。反応温度に応じて、(α-ヒドロキシ)アルキル化生成物が有利になるか、又は脱ヒドロキシル化アルキル化生成物が有利になる。所定の時間後、酸化剤が反応混合物に導入される。更に所定の時間後、反応生成物を反応混合物から単離し、任意選択的に、当業者によく知られている従来の手段(例えば、沈殿、濾過、蒸留、昇華、再結晶、溶媒抽出、洗浄、クロマトグラフィー、遠心分離)によって精製する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、置換アントラキノン出発物質は、式Iを含み、
【化1】
【0012】
式中、Xは、1位のヒドロキシ基又はアミノ基からなる群から選択され、アントラキノンの2位は、非置換(すなわち、水素に結合した炭素)である。当業者には、置換アントラキノン出発物質上に存在する他の置換基が、前述のヒドロキシ基又はアミノ基の位置付番、並びにそのオルト位の非置換炭素原子の位置付番を変更し得ることが理解されるであろう。しかし、位置付番は、一般的な反応性に影響を及ぼさず、置換アントラキノン上のヒドロキシ基及びそれに隣接する非置換炭素原子の相対的な位置付けのみに影響を及ぼすであろう。本発明のいくつかの実施形態では、アルデヒドは、アントラキノン誘導体に共有結合し、反応は、分子内で又は特定の条件下で進行して、二量体、又はシクラマー(cyclamer)、又はオリゴマー鎖若しくはポリマー鎖を形成し得る。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、塩基は、無機水酸化物、金属アルコキシド、アミン、又はアミジン、又はそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の特定の実施形態では、塩基は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)である。本発明の他の実施形態では、塩基は、金属アルコキシド又はアルカリ金属アルコキシド(例えば、メトキシドナトリウム又はtert-ブトキシドカリウム)である。本発明の他の実施形態では、塩基は、アミン又はトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)である。他の実施形態では、塩基は、アミジンであり、アミジンが、非求核性塩基(例えば、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN))である。
【0014】
一般に、ほとんどのアルデヒドは、上記の文献に記載されている従来のMarschalk反応に類似した反応を受けることができる。反応のいくつかの実施形態では、アルデヒドは、水溶性アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド)である。反応の他の実施形態では、アルデヒドは、有機化合物(例えば、ベンズアルデヒド)であり、水には難溶性又は不溶性であるが、有機溶媒には可溶性である。本発明の更に多くの実施形態では、アルデヒド(例えば、グリオキシル酸)は、塩基と混合された場合、溶解性を付与する酸性基を含有する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、アルデヒドは、遊離アルデヒド基を有する形態と、水又はアルコールの分子がアルデヒド基に付加された形態との間で可逆的に相互変換することができ、したがって、それぞれ、gem-ジオール又はヘミアセタールを形成する。本発明の更なる態様では、アルコール基は、アルデヒドと同じ分子上に位置し、可逆的付加は、分子内で起こる。本発明の他の態様では、アルデヒド官能基は、反応の過程で、環開時に、鎖式(open chain)形態を形成する。かかる「一過性」アルデヒドの例は、還元糖であり、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、グリセルアルデヒド、ラクトース、セロビオース、及びマルトースが含まれるが、これらに限定されない。これらの還元糖は、D-若しくはL-エナンチオマー、又はその2つの混合物、又はラセミ混合物のいずれかとして存在することができる。任意の還元糖が、本明細書に記載の実施形態で使用され得ることが、当業者によって理解されるであろう。反応の他の実施形態では、非還元糖を使用してもよく、これは次いで、反応の過程で、アルデヒド含有還元糖に変換される。かかる非還元糖の例は、フルクトースであり、これは、グルコース又はマンノース(これらはいずれも還元糖である)のいずれかに変換され得る。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、塩基及び/又はアルデヒドは、溶媒として作用する。本発明の他の実施形態では、溶媒は、別個の種、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミドなどである。本発明の他の実施形態では、溶媒は、2種以上の溶媒、例えば、水-エタノール混合物、メタノール-N,N-ジメチルホルムアミド混合物、水-1,4-ジオキサン混合物などを含む。任意の極性、プロトン性又は非プロトン性溶媒及びそれらの混合物が、本明細書に記載の実施形態で使用され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、任意選択的な触媒は、触媒水素化のための触媒、又は反応の過程で、触媒水素化のための活性触媒に変換される前触媒である。触媒は、任意選択的に、基材上に担持され得る。触媒の例としては、ニッケル炭素(nickel on carbon)、パラジウム炭素(palladium on carbon)、白金炭素(platinum on carbon)、ロジウム炭素(rhodium on carbon)、水酸化パラジウム、白金黒、二酸化白金、Wilkinson触媒、Crabtree触媒、Shvo触媒などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、反応雰囲気は、部分的に又は全体的に水素で構成される。反応雰囲気は、大気圧であるか、大気圧よりも低いか、又は大気圧よりも高い場合がある。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、酸化剤は、気相中に存在し、空気、酸素、オゾン、又はそれらの混合物であり得る。あるいは、酸化剤は、液体であるか、又は溶液相中(ジメチルスルホキシド若しくは過酸化水素を含むが、これらに限定されない)に存在し得る。酸化剤は、酸化銀(I)などの固体であり得る。また、異なる酸化剤の組み合わせも用いられ得る。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、触媒は、Raneyニッケルであり、水素は、触媒の表面上に既に存在し、反応容器の雰囲気にガスとして提供されない。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、アルデヒドは、水素が反応容器から排気された後のみ導入されるが、還元された置換アントラキノン出発物質が酸化剤によって再酸化される前に導入される。
【0022】
図2に化学反応として要約され、
図3に示される本発明の別の態様では、置換アントラキノン出発物質の還元は、分割電解槽300を使用することによって、化学的にではなく電気化学的に起こる。分割電解槽300は、第1の電極311を有する第1のチャンバー310を含み、イオン伝導膜330によって第2の電極321を有する第2のチャンバー320から分離される。独立して、電極触媒(electrocatalyst)が第1の電極311のみに存在してもよく、第2の電極321のみに存在してもよく、第1の電極311及び第2の電極321の両方に存在してもよく、又は電極触媒が第1の電極311若しくは第2の電極321のいずれにも存在しなくてもよい。
【0023】
式Iの置換アントラキノン出発物質、アルデヒド、塩基、及び任意選択的な溶媒を含む第1の流体流312は、第1のチャンバー入口313を通って電解槽310の第1のチャンバーに流れ込み、それにより、第1の流体流が第1の電極311と接触し、第1のチャンバー出口314を通って出る。同時に、第2の流体流322は、第2のチャンバー入口323を通って電解槽320の第2のチャンバーに流れ込み、それにより、第2の流体流が第2の電極321と接触し、第2のチャンバー出口324を通って出る。電位340は、第1の電極が第2の電極に対してより負の電位であるように、2つの電極に印加される。いくつかの実施形態では、第1の電極は、カソードであり、第2の電極は、アノードである。
【0024】
第1の流体流312が第1の電極311を通過すると、電気化学的に還元される。同様に、第2の流体流322が第2の電極321を通過すると、電気化学的に酸化される。第1の流体流312は、分割電解槽300の第1のチャンバー310を1回だけ通過することができ、又は第1のチャンバー出口314を出る流体は、再循環され、第1のチャンバー入口313に複数回流れ戻ることができる。同様に、第2の流体流322は、分割電解槽300の第2のチャンバー320を1回だけ通過することができ、又は第2のチャンバー出口324を出る流体は、再循環され、第2のチャンバー入口323に複数回流れ戻ることができる。分割電解槽300、第1の流体流312、及び/又は第2の流体流322は、反応時間全体を通して、異なる温度で加熱、冷却、又は保持され得る。反応温度に応じて、(α-ヒドロキシ)アルキル化生成物が有利になるか、又は脱ヒドロキシル化アルキル化生成物が有利になる。
【0025】
所定の時間後、又は所定量の電荷が通過した後、第1の流体流312は、以下に記載されるいくつかの方法のうちの1つで処理され得、反応生成物は、その後、処理された第1の流体流から単離され得、任意選択的に、当業者によく知られている従来の手段によって精製され得る。通過する閾値量の電荷は、反応が完了するまで進行するのに必要な理論量の電荷を調べることによって予め決定され得る。
図2では、アントラキノン出発物質は、9,10-ジヒドロキシアントラセン誘導体に還元され、それが次いで、アルデヒドと反応して(α-ヒドロキシ)アルキル化中間体を形成するために、2当量の電子を必要とする。次いで、この中間体は、分子内不均一化を受けて、アルキル化生成物及び再酸化されたアントラキノンコアを生成し、これは、更に2つの電子を受け入れることができる。この場合、閾値量の電荷は、元々存在するアントラキノン出発物質の量に対して4当量である。2当量のアルデヒドが1分子のアントラキノン出発物質と反応する場合、通過する理論量の電荷は6当量となる。反応混合物を再酸化する酸素の効果、副反応から生じるクーロン効率などのプロセスの非効率性を考慮するために、より大きな閾値量の電荷を設定することができる。逆に、(α-ヒドロキシ)アルキル化中間体が実際に所望の生成物である場合、又は(α-ヒドロキシ)アルキル化物質が出発物質であり、脱ヒドロキシル化アルキル化物質が所望の生成物である場合、より少ない当量の電荷(例えば約2当量)を反応のエンドポイントとして使用することができる。
【0026】
あるいは、アルキル化(非α-ヒドロキシル化)生成物が所望の生成物であり、反応の終わりに向かって、電子を受け入れることができる反応混合物中に残っている9,10-アントラキノンコアがますます少なくなる場合、閾値電圧(電流が定電流的に通過する場合)又は閾値電流若しくは電流密度(電流が定電圧的に通過する場合)を、所定の時間又は通過する所定量の電荷の代わりに使用することができる。これは、電流が定電流的に通過した場合の電圧の急激な増加、又は電流が定電圧的に通過した場合の電流の減少として現れる。潜在的な副反応の量を最小化するために、電流が停止する上限閾値電圧又は下限閾値電流(若しくは電流密度)を設定することが推奨される。閾値電圧は、固定数(例えば、>0.5V/セル、>1.0V/セル、>1.5V/セル、>1.6V/セル、>1.7V/セル、>1.8V/セル、>1.9V/セル、>2.0V/セル、>2.1V/セル、>2.2V/セル、>2.3V/セル、>2.4V/セル、>2.5V/セルなど)として定義することができ、又はそれは、通過した最初の特定の当量数の電荷の平均電圧に対するパーセント増加(例えば、最初の当量の電荷が通過した間の平均電圧の>10%、最初の0.5当量の電荷が通過した間の平均電圧の>20%、最初の0.5当量の電荷が通過した間の平均電圧の>30%、最初の0.25当量の電荷が通過した間の平均電圧の>40%、最初の0.1当量の電荷が通過した間の平均電圧の>50%、及びそれらの多くのかかる組み合わせ)として定義することができる。例えば、通過し得る理論量の電荷が4当量であり、セル電圧が通過した第1の当量の電荷を平均1.5V上回っている場合、開始電圧を30%上回る閾値電圧は、電流が定電流的に印加されている場合、電圧が1.95V/セルを超えると電流が停止するであろうことを意味する。同様に、閾値電流(又は電流密度)は、数(例えば、<10A、<1A、<0.1A、<0.01A、<10mA/cm2、<1mA/cm2、<0.1mA/cm2、<0.01A/cm2など)として定義することができ、又はそれは、通過した最初の特定の当量数の電荷の平均電流若しくは電流密度のパーセンテージ(例えば、最初の当量の電荷が通過した間の平均電流若しくは電流密度の<10%、最初の0.5当量の電荷が通過した間の平均電流若しくは電流密度の<5%、最初の0.5当量の電荷が通過した間の平均電流若しくは電流密度の<2%、最初の0.2当量の電荷が通過した間の平均電流若しくは電流密度の<1%、最初の0.25当量の間の平均電流若しくは電流密度の<0.5%、最初の0.1当量の電荷が通過した間の平均電流若しくは電流密度の<0.2%、最初の0.1当量の電荷が通過した間の平均電流若しくは電流密度の<0.1%、及びそれらの多くのかかる組み合わせ)として定義することができる。例えば、通過し得る理論量の電荷が4当量であり、電流密度が通過した第1の当量の電荷を平均100mA/cm2上回っている場合、開始電流密度の<1%の閾値電流密度は、電流が定電圧的に印加されている場合、電流密度が1mA/cm2を下回ると電流が停止するであろうことを意味する。いくつかの実施形態では、電流は、セル電圧が、1.2V、1.4V、1.6V、1.8Vなどのある閾値に達するまで定電流的に通過し、次いで、電流又は電流密度が、定電圧動作用に同様に指定された閾値を下回るまでセル電圧が維持される。
【0027】
反応のいくつかの実施形態では、置換アントラキノンは、式IIを含み、
【化2】
【0028】
式中、Xは、ヒドロキシル又はアミノ基である。いくつかの実施形態では、X1及びX2は、同じである。他の実施形態では、X1及びX2は、異なる。この例としては、1,5-ジヒドロキシアントラキノン、1,5-ジアミノアントラキノン、1-ヒドロキシ-5-アミノアントラキノンなどが挙げられる。
【0029】
反応の他の実施形態では、置換アントラキノンは、式IIIを含み、
【化3】
【0030】
式中、Xは、ヒドロキシル又はアミノ基である。いくつかの実施形態では、X1及びX2は、同じである。他の実施形態では、X1及びX2は、異なる。この例としては、1,8-ジヒドロキシアントラキノン、1,8-ジアミノアントラキノン、1-ヒドロキシ-8-アミノアントラキノンなどが挙げられる。同じ分子の別個の芳香族環上の2つのX置換基、又はX置換基の各オルト位の2つの非置換位置を含む、式II及びIIIのアントラキノンは、2当量のアルデヒドと反応して、ビス(α-ヒドロキシ)アルキル化生成物又はビス-アルキル化生成物を形成することができる。
【0031】
反応の他の実施形態では、置換アントラキノンは、式IVを含み、
【化4】
【0032】
式中、Xは、ヒドロキシル又はアミノ基である。いくつかの実施形態では、X1及びX2は、同じである。いくつかの実施形態では、X1及びX2は、異なる。この例としては、1,4-ジヒドロキシアントラキノン、1,4-ジアミノアントラキノン、1-ヒドロキシ-4-アミノアントラキノンなどが挙げられる。同じ分子の別個の芳香族環上の2つのX置換基、又はX置換基の各オルト位の2つの非置換位置を含む、式II、III、及びIVのアントラキノンは、2当量のアルデヒド、と反応して、ビス(α-ヒドロキシ)アルキル化生成物又はビス-アルキル化生成物を形成することができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、塩基は、無機水酸化物、金属アルコキシド、アミン、アミジン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の特定の実施形態では、塩基は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)である。本発明の他の実施形態では、塩基は、金属アルコキシド又はアルカリ金属アルコキシド(例えば、メトキシドナトリウム又はtert-ブトキシドカリウム)である。本発明の他の実施形態では、塩基は、アミン又はトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン)である。他の実施形態では、塩基は、アミジン又は非求核性塩基(例えば、1,8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン(DBU)又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN))である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、塩基及び/又はアルデヒドは、溶媒として作用する。本発明の他の実施形態では、溶媒は、別個の種、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミドなどである。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の電極311及び第2の電極321は、流体を指示するための定義された流路(flow channel)を含み得る。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の電極311及び第2の電極321は、導電性炭素電極である。本発明の他の実施形態では、第1の電極311は、導電性炭素電極であり、第2の電極321は、ニッケル、コバルト、鉄、ステンレス鋼、又は白金を含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、イオン選択膜330は、Nafion(登録商標)212、FuMATech(登録商標)E-630、又はSelemion CMV-N(登録商標)などのカチオン導電膜である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の流体流322は、水素ガスを含む。本発明の更なる実施形態では、第2の電極321は、水素が酸化されることを可能にし、それによって、ガス拡散電極などの電子源として作用するように構成される。本発明のなお更なる実施形態では、第2の電極321は、白金などの水素酸化のための電極触媒も含有する。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の流体流322は、メタノールを含む。本発明の更なる実施形態では、第2の電極321は、白金-ルテニウムなどのメタノール酸化のための電極触媒も含有する。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の流体流322は、フェロシアン化物(例えば、フェロシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、又はフェロシアン化アンモニウム)の塩の水溶液を含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の流体流322は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)の水溶液を含む。本発明の更なる実施形態では、第2の電極321は、典型的なアルカリ電解槽物質(例えば、ニッケル又はステンレス鋼)を含む。本発明の更なる実施形態では、第2の電極321で生成された酸素は、第1の流体流311を再酸化するために、処理1における酸化剤として使用される。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、アルデヒドは、第1の流体流312には含まれないが、分割電解槽300の電流密度が上で定義された閾値を下回った後、又は印加された電位が閾値を上回った後、又は所定量の電荷が通過した後にのみ、第1の流体流312に添加される。本発明の更なる実施形態では、第1の電極311と第2の電極321との間の電位340は、(a)分割電解槽300の電流密度が閾値を下回った後、(b)印加された電位が閾値を上回った後、又は(c)所定量の電荷が通過した後、アルデヒドが第1の流体流312に添加される前に、開回路電位に切り替えられる。
【0043】
本発明のいくつかの態様では、分割電解槽300は、第1の電極311若しくは第2の電極321又はイオン伝導膜330を交換する必要なく、酸化還元フロー電池セルとして使用することができる。本発明の更なる実施形態では、分割電解槽300を使用して第1の流体流312で生成される(α-ヒドロキシ)アルキル化生成物又は脱ヒドロキシル化アルキル化生成物は、分割電解槽300の第1のチャンバー310から排出されず、溶液相に保持され、酸化還元フロー電池(分割電解槽300が酸化還元フロー電池セルである)の負極電解質(negative electrolyte)(すなわち、ネゴライト(negolyte)又はアノライト(anolyte))として直接使用される。本発明のなお更なる実施形態では、第2の流体流322は、分割電解槽300の第2のチャンバー320から排出されず、溶液相に保持され、酸化還元フロー電池(分割電解槽300が酸化還元フロー電池セルである)の正極電解質(positive electrolyte)(すなわち、ポソライト(posolyte)又はカソライト(catholyte))として直接使用される。本発明の更なる実施形態では、第1の流体流312及び第2の流体流322の両方が、それぞれ分割電解槽300の第1のチャンバー310及び第2のチャンバー320から排出されないが、溶液相に保持され、それぞれ酸化還元フロー電池(分割電解槽300が酸化還元フロー電池セルである)の負極電解質及び正極電解質として直接使用されるか、又はそれぞれ酸化還元フロー電池セルの正極電解質及び負極電解質として直接使用される。
【0044】
本発明の更なる実施形態では、負極電解質及び正極電解質(以前は、第1の流体流312及び第2の流体流322、又はいくつかの他の実施形態では、第2の流体流312及び第1の流体流322)の電荷状態は、得られる酸化還元フロー電池の容量を最大化するために、個別に調整又は再調整され得る。例えば、第1の流体流312又は第2の流体流322は、酸化剤(例えば、大気中の酸素、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウムなど)で処理することができ、又は第1の流体流312又は第2の流体流322は、還元剤(任意選択的な触媒と共に水素、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、チオ硫酸ナトリウム、ジチオン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど)で処理することができる。
【0045】
本発明のいくつかの態様では、第1の流体流312中の置換アントラキノン及びアルデヒドは、前述の同じタイプの反応の中間体(すなわち、1位にヒドロキシ基又はアミン基を含み、2位に-CH(OH)-R基を更に含む異なる置換アントラキノン)によって置き換えられる。この場合、所望の生成物は、2位の置換基のベンジル位で脱ヒドロキシル化されるであろう。
【0046】
処理1
所定の時間後、又は所定量の電荷が通過した後、第1の流体流312は、分割電解槽300の第1のチャンバー310から排出され、酸化剤が、第1の流体流312に導入される。本発明のいくつかの実施形態では、酸化剤は、気相中に存在し、空気、酸素、オゾン、又はそれらの混合物であり得る。あるいは、酸化剤は、液体であるか、又は溶液相中(ジメチルスルホキシド若しくは過酸化水素を含むが、これらに限定されない)に存在し得る。酸化剤は、酸化銀(I)などの固体であり得る。また、異なる酸化剤の組み合わせも用いられ得る。更に所定の時間後、反応生成物を酸化された第1の流体流から単離し、任意選択的に、当業者によく知られている従来の手段によって精製する。
【0047】
処理2
所定の時間後、又は所定量の電荷が通過した後、第2の流体流322は、任意選択的に、第3の流体流325によって置き換えられ、第1の電極311及び第2の電極321間の電位340は、符号が反転し、それにより、第1の流体流312の電気化学的酸化が電気化学的還元の代わりに行われ、第2の流体流322又は第3の流体流325の電気化学的還元が、電気化学的酸化の代わりに行われる。更に所定の時間、又は所定量の電荷の通過、又は閾値を下回る電流密度、又は印加された電位が閾値を上回った後、酸化された第1の流体流312は、分割電解槽300の第1のチャンバー310から排出され、反応生成物は、当業者によく知られている従来の手段によって単離され、任意選択的に精製される。
【0048】
処理3
所定の時間後、又は所定量の電荷が通過した後、第1の流体流312は、分割電解槽300の第1のチャンバー310から排出される。排出された第1の流体流362は、第2の分割電解槽350の第3の電極361を通過して第3のチャンバー360を通って流れる。第2の分割電解槽350は、その第4の電極371を通過して第4のチャンバー370を通って流れる第3の流体流372を有する。電位390は、第3の電極361が第4の電極371に対してより正の電位になるように、第2の分割電解槽350の第3の電極361及び第4の電極371に印加される。(すなわち、第3の電極361がアノードであり、第4の電極371がカソード371である。)更に所定の時間、又は所定量の電荷の通過、又は閾値を下回る電流密度、又は印加された電位が閾値を上回った後、排出された第1の流体流362は、ここで酸化され、第2の分割電解槽350の第3のチャンバー360から排出され、反応生成物は、当業者によく知られている従来の手段(再沈殿、再結晶、濾過、蒸留、洗浄、抽出、クロマトグラフィーなど)によって単離され、任意選択的に精製される。
【実施例0049】
実施例1
機械撹拌器を装備したParr水素化器内で、3.00gの1,8-ジヒドロキシアントラキノン(12.49mmol)、3.45gのグリオキシル酸一水和物(37.47mmol、3当量)、及び0.30gの5重量%のパラジウム炭素を、100mLの1.63MのNaOH溶液中で完全に混合した。反応混合物を、水素ガスで3分間スパージ(sparge)し、次いで、水素で加圧して、100psiの圧力に達した。反応物を、室温(約20℃)で1時間撹拌し、次いで、80℃に1時間加熱した。容器を通気し、反応混合物を十分な氷上に注いで、温度を急速におおよそ室温まで低下させ、次いで、空気流を反応混合物に30分間バブリングした。溶液を、6M塩酸でpH8~9まで酸性化した後、濾過してパラジウム/炭素触媒及び未反応の1,8-ジヒドロキシアントラキノンを除去した。次いで、濾液を、濃塩酸でpH約0まで更に処理し、黄土色の固体を溶液から沈殿させた。固体を濾過によって回収し、冷水で洗浄して、粗生成物1,8-ジヒドロキシ-2,7-ビス(カルボキシメチル)-9,10-アントラキノン(収率60%)を得た。固体は、熱水から再結晶化することによって精製することができ、必要に応じて乾燥させる。
【0050】
実施例2
200cm2の電極面積を有する電気化学セル(「MP Cell(登録商標)」、ElectroCell North America,Inc.)を、黒鉛フェルトカソード、ステンレス鋼アノード、Nafion(登録商標)115膜、ポリプロピレンフローフレーム、EPDMガスケット、カソライトを保持するためのカソードリザーバ、及びアノライトを保持するためのアノードリザーバで構築した。カソードリザーバは、約2リットルの容量を有し、大気中の酸素による反応混合物の再酸化を防ぐために不活性窒素雰囲気下で維持され、一方、アノードリザーバは、約10リットルの容量を有し、大気に開放されていた。両方のリザーバには、必要に応じて、アノライト及びカソライトを加熱するための加熱エレメントが装備されていた。まず、アノードリザーバを、2リットルの3MのNaOHで充填した。カソードリザーバの外側では、まず、十分な脱イオン水中に137mLの50%のNaOH溶液、33.8gのグリオキシル酸一水和物、及び30.0000g(124.89mmol)の1,8-ジヒドロキシアントラキノンで混合し、カソライトの総量を約2.0リットルにすることによってカソライトを調製した。カソードリザーバにカソードスラリーを添加し、ポンプを開始して、カソライト及びアノライトの両方を電気化学セルに循環させた。更に750mLの脱イオン水をカソライトに添加し、最終的なカソライト体積を2.75リットルにした。カソライト及びアノライトを40℃に加温し、温度を50℃までゆっくりと上昇させながら、40mA/cm2(総電流4A)の定電流で電流を通した。動作中、酸素ガスがアノードで発生し、一方、カソライト溶液が還元される。1,8-ジヒドロキシアントラキノンに対して2当量の電荷が通過した後(249.78mmol、24,100クーロン)、温度を65℃に上昇させ、合計4.1当量の電荷(512.05mmol、49,405クーロン)が通過するまでそこで保持した。通気したアリコートのHPLC分析は、溶液中に1,8-ジヒドロキシアントラキノンが残っておらず、標的分子である2,7-ビス(カルボキシメチル)-1,8-ジヒドロキシアントラキノン(DCDHAQ)が、約86%の純度で存在していることを示した。HPLC(British Pharmacopeia 2004 for Dantron:C18カラム、2.5容量の氷酢酸、40容量のテトラヒドロフラン、及び60容量の水の混合物でアイソクラティックに溶出、流速1mL/分、実行時間40分、254nmで検出)によって観察されたいくらかの不純物には、中間体化合物である2,7-ビス(α-ヒドロキシ-カルボキシメチル)-1,8-ジヒドロキシアントラキノン及び2-(α-ヒドロキシ-カルボキシメチル)-7-カルボキシメチル-1,8-ジヒドロキシアントラキノンが含まれていた。これらは、電気化学セルにおける還元によって、又はフロー電池セル内のサイクリングの過程を通して、標的分子であるDCDHAQに変換することができる。他の不純物としては、2,2’-(1,8-ジヒドロキシ-9-オキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,7-ジイル)二酢酸、2,2’-(1,8-ジヒドロキシ-10-オキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,7-ジイル)二酢酸、2,2’,2’’,2’’’-(4,4’,5,5’-テトラヒドロキシ-10,10’-ジオキソ-9,9’,10,10’-テトラヒドロ-[9,9’-ビアントラセン]-3,3’,6,6’-テトライル)四酢酸、及び関連する異性体が挙げられる。一般に、アントロン及びジアントロンは、その後、電気化学セルにおける酸化、大気中の酸素への長時間の曝露、又はフロー電池内でのサイクルの経過を通して、標的分子であるDCDHAQに変換され得る(参考文献ChemRxiv 2021,DOI:10.26434/chemrxiv-2021-x05x1)。したがって、この合成からのカソライト溶液は、コストを節約し、化学廃棄物を削減するために、任意選択的に、溶媒蒸発によるいくらかの濃縮を除いて、下流処理なしでフロー電池のネゴライト反応物として直接使用することができる。生成物DCDHAQを単離するために、カソライト溶液を、フィルターを通して排出し、空気に曝露して溶液を完全に再酸化し、再濾過した。濾液を15%の塩酸でpH<1まで酸性化した後、析出した固体を濾過し、45℃で一晩乾燥させた。乾燥した固形物は、粉砕時にオレンジ色から濃赤色になった。単離された収率:30.1393g(67.7%)、融点260-262℃。損失の大半は、未反応の未溶解1,8-ジヒドロキシアントラキノンの硬い塊によるものと思われ、未反応のままの残り、後で濾過によって除去された。固体は、1gの固体を4mLのジメチルスルホキシドに溶解させ、12mLの脱イオン水を添加して沈殿物を形成し、続いて沈殿物を濾過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥することによって、その必要に応じて、DCDHAQ(HPLC)の純度が>98%まで再精製することができる。この実施例で生成されたDCDHAQのNMRスペクトルは、文献と同一であった(参考文献J.Mater.Chem.A,2021,9,26709-26716)。1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 12.43(s,2H),12.24(s,2H),7.76(dd,J=7.5Hz,2H),7.68(dd,J=7.5Hz,2H),3.71(s,4H).
【0051】
実施例3
2,7-ビス(α-ヒドロキシ-カルボキシメチル)-1,8-ジヒドロキシアントラキノンの溶液は、まず、2.60リットルの脱イオン水、78mLの50%NaOH、128mLの45%KOH、80.9gの1,8-ジヒドロキシアントラキノン、及び70.6gのジチオン酸ナトリウムをアルゴン下で5分間、室温で撹拌した後、0.5MのNaOH及び0.5MのKOHを含む200mLの溶液中91.7gのグリオキシ酸一水和物の溶液を添加し、この溶液を、添加漏斗を使用して256分間かけて滴加することによって調製する。添加が完了したら、反応混合物を空気に曝露し、濾過して、過剰なNaOH/KOH及び他の反応物と共に、2,7-ビス(α-ヒドロキシ-カルボキシメチル)-1,8-ジヒドロキシアントラキノンの溶液を生成した。別個に、実施例2のように、200cm2の電極面積を有する電気化学セル(「MP Cell(登録商標)」、ElectroCell North America,Inc.)を、黒鉛フェルトカソード、ステンレス鋼アノード、Nafion(登録商標)115膜、ポリプロピレンフローフレーム、EPDMガスケット、カソライトを保持するためのカソードリザーバ、及びアノライトを保持するためのアノードリザーバで構築した。カソードリザーバは、約2リットルの容量を有し、大気中の酸素による反応混合物の再酸化を防ぐために不活性窒素雰囲気下で維持され、一方、アノードリザーバは、約10リットルの容量を有し、大気に開放されていた。両方のリザーバには、必要に応じて、アノライト及びカソライトを加熱するための加熱エレメントが装備されていた。次いで、2,7-ビス(α-ヒドロキシ-カルボキシメチル)-1,8-ジヒドロキシアントラキノンの溶液を、65℃に予熱し、カソードリザーバに注ぎ、窒素下で維持した。別個に、4リットルの3MのNaOH溶液を、65℃に予熱し、アノードリザーバに注ぎ、空気に開放したままにした。電気化学セルのカソードチャンバー及びアノードチャンバーにそれぞれポンプを使用してカソライト溶液及びアノライト溶液を循環させ、溶液の温度を51~71℃の範囲内に維持しながら、50mA/cm2(10A総電流)の定電流密度で電流を通過させた。4モル当量の電荷(34.98Ah)が通過したとき、電流を停止した。大部分の実験について、実験の終わり近くで、セル電圧が1.5-1.6Vの元の値から2.3-2.4Vに急激に上昇した。カソライトをカソードリザーバから排出し、大気中の酸素に曝露することによって再酸化し、濾過して、あらゆる固体を除去した。濾液を15%のHClでpH約1まで酸性化し、沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。粗材料を、KOH水溶液に再溶解し、再酸性化し、濾過によって再回収し、再度水で洗浄して、標的分子である2,7-ビス(カルボキシメチル)-1,8-ジヒドロキシアントラキノンを得た。1,8-ジヒドロキシアントラキノンに関する収率:80.0g(66.7%)。ほとんどの損失は、1,8-ジヒドロキシアントラキノンの不完全な溶解によるもので、これは、最初の濾過で未反応のまま除去された。
【0052】
別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴のサイズ、量、体積、面積、濃度、回数、温度、並びに他の化学的及び物理的特性を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは近似値であり、本明細書に開示される教示を利用して当業者が取得しようとする所望の特性に応じて変化し得る。エンドポイントによる数値範囲の使用は、その範囲内(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含み、<10%は、10%、9.8%、5.5%、2%、0.01%、及び0%を含み、>90%は、90%、90.2%、94.5%、98%、99.99%、及び100%を含む)及びその範囲内の任意の範囲の全ての数値を含む。
【0053】
前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。本開示は、網羅的であること、又は実施形態を開示された正確な形態に限定することを意図していない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本開示の実施形態のいずれか又は全ての特徴は、個別に又は任意の組み合わせで適用することができ、限定することを意味するのではなく、純粋に例示的であることを意味する。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって決定されることが意図されている。
電気エネルギーを貯蔵及び放出するために、第1のフロー電池反応物及び第2のフロー電池反応物を利用するように構成された酸化還元フロー電池であって、前記酸化還元フロー電池が、式Iのアントラキノン誘導体の2位の(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化を更に行うことができ、
分割電解槽であって、
式Iのアントラキノン誘導体、アルデヒド、塩基、及び任意選択的な溶媒を含む第1の流体流を受け入れ、第1の流体流と電気化学反応するように構成された、第1の電極を有する第1のチャンバーと、
第2の電極を有する第2のチャンバーであって、第2の流体流を受け入れ、第2の流体流と電気化学反応するように構成された、第2のチャンバーと、
を含み、
第1のチャンバー及び第1の電極が、イオン伝導膜によって第2のチャンバー及び第2の電極から分離されている、分割電解槽
を含み、
前記分割電解槽が、2位で(α-ヒドロキシ)アルキル化又はアルキル化され、かつ第1の流体流に残留するアントラキノン誘導体を、第1のフロー電池反応物として利用し、第2の流体流を、第2のフロー電池反応物として利用する、酸化還元フロー電池を更に含む、酸化還元フロー電池。
第2の流体流が、フェロシアン化ナトリウム、フェリシアン化ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項16に記載の酸化還元フロー電池。