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特開2024-144419導体を通る電流を感知する際に使用するためのセンサデバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144419
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】導体を通る電流を感知する際に使用するためのセンサデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01R15/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098862
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2022143888の分割
【原出願日】2015-07-23
(31)【優先権主張番号】14/447,053
(32)【優先日】2014-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516083760
【氏名又は名称】アクララ ミーターズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】サブラマンヤン・サティアスーリヤ・チャマルティ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・リー・ビーツ
(57)【要約】
【課題】需給計器および関連する方法が提供される。
【解決手段】需給計器は、導体を流れる電流を感知するために導体の周りに配置されるセンサデバイスを含む。センサデバイスは、非磁性基板と、基板の周りに巻きつけた複数の巻数を備えたコイルと、誘電率を有し、コイルと導体との間に配置された誘電材料とを含む。需給計器は、時間経過とともに導体を通って電源から使用者に伝送された電力の量を決定するためにセンサデバイスに連絡した計器制御盤も含む。誘電材料の誘電係数は、コイルと導体との間の容量結合を低減するように、および計器制御盤が、ある電流範囲にわたってセンサデバイスを校正するための1つの校正係数だけを備えるように、センサデバイスの感度を低減するように、選択される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)であって、
導体(14、15、16)を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)であって、
非磁性基板(102)、
前記基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)、および
誘電率を有し、前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された前記誘電材料(108)を備えるセンサデバイス(12、200)と、
前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)とを備える需給計器(10)であって、
前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように選択され、
前記電流範囲が、約2.0Aから約25,000Aまでである、需給計器(10)。
【請求項2】
前記誘電材料(108)が、熱可塑性材料と熱硬化性材料とのうちの少なくとも一方を含む、請求項1記載の需給計器(10)。
【請求項3】
前記誘電材料(108)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)材料と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)熱可塑性材料とのうちの少なくとも一方を含む、請求項2記載の需給計器(10)。
【請求項4】
前記基板(102)が、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、前記複数の巻数の少なくとも1つを、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)のそれぞれの周りに巻きつける、請求項1記載の需給計器(10)。
【請求項5】
少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置されたマウント(116)をさらに備え、前記マウント(116)が、前記開口(110)内に配置された導体を支持するように構成され、前記マウント(116)が、少なくとも部分的に前記誘電材料(108)から製作される、請求項1記載の需給計器(10)。
【請求項6】
少なくとも部分的に前記基板(102)と前記コイル(104、204)とを封入する筐体(112)をさらに備え、前記筐体(112)が、前記マウント(116)を備える、請求項5記載の需給計器(10)。
【請求項7】
前記誘電材料(108)が、前記コイル(104、204)の少なくとも一部分と前記基板(102)の少なくとも一部分とを封入する、請求項1記載の需給計器(10)。
【請求項8】
前記センサデバイス(12、200)が、前記導体との摩擦嵌めを形成するマウント(116)を備え、前記マウント(116)が、前記センサデバイス(12、200)と前記導体(14、15、16)との間の少なくとも1つの空隙(106)を画定し、前記マウント(116)が、前記誘電材料(108)の少なくとも一部分を備える、請求項7記載の需給計器(10)。
【請求項9】
前記センサデバイス(12、200)が、約2.0アンペアから約320アンペアの間の電流範囲において前記導体(14、15、16)を通る実際の電流の約±0.2%以内で前記導体(14、15、16)を通る電流を感知するように構成される、請求項1記載の需給計器(10)。
【請求項10】
前記センサデバイス(12、200)が、約2.0アンペアから約25,000アンペアの間の電流範囲において前記導体(14、15、16)を通る実際の電流の約±0.5%以内で前記導体(14、15、16)を通る電流を感知するように構成される、請求項1記載の需給計器(10)。
【請求項11】
前記基板(102)が、複数のボビン(124、126、128、130、132、134)を備え、前記複数の巻数の少なくとも1つが、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)のそれぞれの周りに配設され、前記複数のボビン(124、126、128、130、132、134)のそれぞれが、熱可塑性材料を含む、請求項8記載の需給計器(10)。
【請求項12】
前記導体(14、15、16)が、母線と多芯導体とのうちの一方を含む、請求項11記載の需給計器(10)。
【請求項13】
少なくとも部分的に第2の導体の周りに配置可能で、前記計器制御盤に連絡した第2のセンサデバイス(12、200)をさらに備える、請求項8記載の需給計器(10)。
【請求項14】
少なくとも部分的に第3の導体の周りに配置可能で、前記計器制御盤(17)に連絡した第3のセンサデバイス(12、200)をさらに備える、請求項13記載の需給計器(10)。
【請求項15】
電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)を製作する方法であって、
導体(14、15、16)を流れる電流を感知するために、および前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12、200)を提供するステップであって、
非磁性基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口を画定するコイル(104、204)を形成するステップ、および
前記導体を前記開口(110)を通して受けたとき、誘電材料(108)が、前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように、前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に前記誘電材料(108)を配置するステップを含む、センサデバイス(12、200)を提供するステップと、
前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るために、および時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、計器制御盤(17)を前記センサデバイス(12、200)に接続するステップと、
前記誘電材料(108)の誘電率が、前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減し、その結果、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように前記誘電材料(108)を選択するステップとを含む方法であって、
前記電流範囲が、約2.0Aから約25,000Aまでである、方法。
【請求項16】
前記誘電材料(108)を前記コイル(104、204)に隣接して配置するステップが、少なくとも部分的に前記コイル(104、204)を筐体(112)内に封入し、前記筐体(112)が、前記誘電材料(108)を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記コイル(104、204)を形成するステップが、前記基板(102)の複数のボビン(124、126、128、130、132、134)のそれぞれの上に前記コイル(104、204)の少なくとも1つの巻数を巻きつけるステップを含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
約2.0アンペアから約320アンペアの間の電流範囲において前記導体(14、15、16)を通る実際の電流の約±0.2%以内で前記導体(14、15、16)を通る電流を感知するように前記センサデバイス(12、200)を構成するステップをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
約2.0アンペアから約25,000アンペアの間の電流範囲において前記導体(14、15、16)を通る実際の電流の約±0.5%以内で前記導体(14、15、16)を通る電流を感知するように前記センサデバイス(12、200)を構成するステップをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
少なくとも部分的に第2の導体の周りに第2のセンサデバイス(12、200)を配置するステップと、
少なくとも部分的に第3の導体の周りに第3のセンサデバイス(12、200)を配置するステップとをさらに含み、
前記第2のセンサデバイス(12、200)および前記第3のセンサデバイス(12、200)が、前記計器制御盤(17)に接続される、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、一般にセンサデバイスおよび方法に関し、より詳しくは、導体を通る電流を感知するステップに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの公知の需給計器が、電源から使用者に供給される電力を測定するのに使用される。使用者に供給されるエネルギーの量を正確に測定することを可能にするために、需給計器は、しばしば、電源と使用者との間の導体を流れる電流を感知するために1つまたは複数のセンサデバイスを含む。需給計器に含まれたとき、センサデバイスは、電圧および/または電流の動作範囲にわたって正確に機能することが意図されている。
【0003】
様々な種類の公知の電流センサデバイスが需給計器に使用される。例えば、少なくともいくつかの公知の変圧器センサデバイスは、導体を流れる電流を感知するためにマグネットワイヤをその上に巻いた磁心を含む。しかし、変圧器を含む電流センサデバイスは、一般に、かさばり、高価であることが知られている。磁心を有する電流センサデバイスは、外部の磁界の影響を受けやすいことがある。外部の磁界にさらされると、磁心の電流センサデバイスの精度が低減し、場合により、精度が、電流デバイスが感知するはずの電流のわずか8%しか電流デバイスが示さない点まで低減することがある。温度サイクルも電流センサの磁心に影響することがあり、電流センサの精度を低減する磁気ドリフトを生じることがある。
【0004】
公知の電流センサデバイスの別の例は、ロゴスキーコイルである。ロゴスキーコイルは、コイルを含み、一般に変圧器センサデバイスより小さい。しかし、ロゴスキーコイルは、ある電圧の範囲にわたって低電流および/または高電流状態の間、限定された精度だけを提供することが知られている。その結果、製造時には、公知のゴスキーコイルを有する需給計器は、しばしば、複数の校正プロセスを受けて、これらの不正確さの影響を最小限に抑える。これらの校正プロセスを反復することにより、このようなセンサデバイスの不正確さを低減することができるが、このプロセスにより、需給計器の製造時間と費用も増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0063131号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態においては、電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器が提供される。需給計器は、導体を流れる電流を感知し、感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に導体の周りに配置可能なセンサデバイスを含む。センサデバイスは、非磁性基板と、基板の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイルであって、それを通して導体を受ける開口を画定するコイルと、誘電率を有し、開口を通して導体を受けたとき誘電材料がコイルと導体との間にあるように、コイルに隣接し、少なくとも部分的に開口内に配置された誘電材料とを含む。需給計器は、感知した電流を表す信号をセンサデバイスから受け取るために、および時間経過とともに導体を通って電源から使用者に伝送される電力の量を決定するために、センサデバイスに連絡した計器制御盤も含む。誘電材料の誘電率は、コイルと導体との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、計器制御盤がある電流範囲にわたってセンサデバイスを校正するための1つの校正係数だけを備えるように、センサデバイスの感度を低減するように選択され、電流範囲が約2.0Aから約25,000Aまでである。
【0007】
別の実施形態においては、電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器を製作する方法が提供される。方法は、導体を流れる電流を感知するために、および感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に導体の周りに配置可能なセンサデバイスを提供するステップを含む。センサデバイスを提供するステップは、非磁性基板の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイルであって、それを通して導体を受ける開口を画定するコイルを形成するステップと、誘電体をコイルに隣接して、および、開口を通して導体を受けたとき誘電材料がコイルと導体との間にあるように少なくとも部分的に開口内に配置するステップ含む。方法は、感知した電流を表す信号をセンサデバイスから受け取るために、および時間経過とともに導体を通して電源から使用者に伝送された電力の量を決定するために、計器制御盤をセンサデバイスに接続するステップと、誘電材料の誘電率がコイルと導体との間の容量結合を低減するように、およびその結果、計器制御盤がある電流範囲にわたってセンサデバイスを校正するための1つの校正係数だけ備えるようにセンサデバイスの感度を低減するように誘電材料を選択するステップであって、電流範囲が2.0Aから約25,000Aまでである誘電材料を選択するステップとをやはり含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的なセンサデバイスを含む例示的な需給計器の構成図である。
図2図1に示すセンサデバイスの部分的分解図である。
図3図1に示すセンサデバイスの透視図である。
図4図1に示すセンサデバイスの平面図である。
図5図1に示すセンサデバイスに使用される例示的な基板とコイルとの透視図である。
図6図1に示すセンサデバイスに使用することができる例示的なボビンの断面図である。
図7図1に示すセンサデバイスに使用することができる例示的なコイルと遮蔽体との回路図である。
図8】4つのリード線を含む例示的なセンサデバイスの透視図である。
図9図8に示すセンサデバイスに使用することができる例示的なコイルと遮蔽体との回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、例示的な需給計器10の構成図である。例示的な実施形態においては、需給計器10は、センサデバイス12と、導体14と、センサデバイス12に結合された計器制御盤17とを含む。導体14は、電力を電源から電力使用者に伝送するために、母線、多芯導線、単芯導線、ケーブル、または他の適切な導体を含むことができる。電源は、制限なしで、配電網ならびに/またはガスタービン機関、水力発電タービン、風力タービン、太陽電池パネル、および/もしくは別の適切な発電および/もしくは伝送システムなどの発電機システムを含むことができる。電源は、計器制御盤17に連絡したスマートグリッドを含むこともできる。使用者は、制限なしで、任意のレベルの住宅使用者、商業使用者、および/または任意の他の電力の使用者を含むことができる。センサデバイス12は、導体14を流れる電流を感知するために導体14に結合される。センサデバイス12は、感知した電流を表す信号を計器制御盤17に提供する。センサデバイス12から受け取った信号に基づいて、計器制御盤17は、時間経過とともに導体14を通って電源から使用者に伝送された電力の量を決定する。
【0010】
電源から使用者に転送される電力の請求が発生し得るので、センサデバイス12は、使用者が、電源の運営担当者により使用者に伝送された電力の実質的にすべてに対して請求されるのではなく、実質的に受け取った電力だけに対して確実に請求されるように非常に正確であることが望ましい。
【0011】
この例示的な実施形態においては、需給計器10は、導体15および16と、導体15に結合された別のセンサデバイス12とをさらに含む。任意の数の導体および/またはセンサデバイス(例えば、1つ、3つ、6つなど)を他の需給計器の実施形態において使用できることを理解されたい。さらに、センサデバイス12は、需給計器10内で使用されるだけに限定されず、発電用途、公共用途、自動車用途、電気器具用途、電気通信用途など、導体を通る電流を感知する事実上どんな用途にも利用できることを理解されたい。
【0012】
図2は、例示的なセンサデバイス12の部分的分解図である。例示的な実施形態においては、センサデバイス12は、基板102と、基板102の周りに巻きつけた複数の巻線を含むコイル104と、誘電材料108とを含む。コイル104は、それにおいて画定され、それにおいて導体14を受けるように構成される(例えば、サイズ、向き、および/または形状などにより)開口110を含む。誘電材料108は、コイル104に隣接し、少なくとも部分的に開口110内に配置される。より具体的には、この実施形態においては、誘電材料108は、導体14が開口110を通って配置されるとき、少なくとも部分的にコイル104と導体14との間に配置される。
【0013】
誘電材料108は、様々なやり方で構成された様々な特性を有する1つまたは複数の誘電材料を含むことができる。例えば、誘電材料108は、約10~1000Hzにおいて約3.0以上の誘電率を有することができる。いくつかの実施形態においては、誘電率は、約3.5、約4.0、約5.0、約8.0、約12.0、約17.0および/または任意の他の適切な誘電率より大きくてよい。例示的な一実施形態においては、誘電材料108の誘電率は、約3.5にほぼ等しくてよい。別の例示的な実施形態においては、誘電材料108の誘電率は、約6.0にほぼ等しくてよい。
【0014】
さらに、誘電材料108は、少なくとも1つの厚さを有し、様々な厚さを有することができる。例示的な実施形態においては、コイル104に隣接し、少なくとも部分的に開口110内に配置された誘電材料108は、厚さが約3.0ミリメートルである。また、同じ実施形態においては、コイル104に隣接しているが開口110に対向して配置された誘電材料108は、厚さが約1.2ミリメートルである。誘電材料108は、センサデバイス12が本明細書に説明するように機能することが可能になる任意の厚さを有することができることを理解されたい。一般に、誘電材料108の厚さは、少なくとも部分的に、誘電材料108の誘電率、コイル104と1つまたは複数の導体14、15、および16との近接性、および/またはセンサデバイスなどの設置に意図する環境で利用可能な空間に基づいて選択される。いくつかの実施形態例においては、誘電材料108の厚さは、約1.0ミリメートルから約3.0センチメートルまでの、またはさらに他の実施形態においてはそれ以上の範囲にわたることができる。
【0015】
例示的な実施形態においては、誘電材料108は、制限なしで、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、陶磁器材料、金属材料、木質材料、粘土材料、有機材料、それらの任意の混合、および/または本明細書に説明するように実施するのに適した他の材料など、いくつかの種類の材料の1つまたは複数から製作することができる。図2の例示的な実施形態においては、誘電材料108は、Valox(登録商標)ファミリーの材料からの市販されているPBT熱可塑性材料を含む。様々な実施形態においては、誘電材料108は、制限なしで、Kapton(登録商標)テープ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)材料、室温加硫シリコーン(RTV)ポリマー、Valox(登録商標)ファミリーの材料からの市販されているPBT熱可塑性材料(例えば、Valox(登録商標)365またはValox(登録商標)V9561)、Rynite(登録商標)ファミリーの材料からのポリエチレンテレフタレート(PET)熱可塑性材料、Ryton(登録商標)ファミリーの材料からの市販されているPPS熱可塑性材料、Primef(登録商標)ファミリーの材料からの市販されているPPS熱可塑性材料、Zytel(登録商標)、Stanyl(登録商標)、またはRTP(登録商標)ファミリーの材料からの市販されているナイロン熱可塑性材料、LCP熱可塑性材料(例えば、Sumitomo(登録商標)E5008LまたはE4008L材料)などの1つまたは複数を含む。誘電材料108の1つまたは複数の種類は、誘電率、1つまたは複数の製造技法への適切性、寸法安定性、費用、成形性、加工性、剛性、および/または材料の他の特性に基づいて選択することができる。少なくとも1つの例においては、誘電材料108は、少なくとも部分的に、温度にわたるその誘電率の変動性に基づいて選択される。
【0016】
図3は、導体14が開口110を通って延びる(組立てとして示す)センサデバイス12の透視図である。上に説明するように、センサデバイス12は、導体14を流れる電流を感知する。具体的には、電流が導体14を流れるとき、電流がコイル104中に誘導される。コイル104中に誘導された電流の量は、導体14を流れる電流の量を表す。センサデバイス12が導体14の周りに配置されたとき、コイル104が導体14からある距離だけ離隔される。したがって、コイル104と導体14との間に容量が存在する。容量は、異なる動作電圧(例えば、約30Vから約277Vまでの範囲)でセンサデバイス12の精度に影響することがある。例示的な実施形態においては、誘電材料108は、コイル104と導体14との間に画定される空隙106の少なくとも一部分内に配置される。その結果、誘電材料108は、コイル104と導体14との間の容量の低減に影響し、および/または容量の低減を容易にし、コイル104と導体14とがごく接近したままであることが可能になる。
【0017】
容量の低減により、センサデバイス12は、公知のロゴスキーコイルまたは他の空隙コイルに比べて、導体14を流れる電流を改善された精度で感知することが可能になる。より具体的には、コイル104と導体14との間の容量結合を低減することにより、動作電圧に対する感度が低減される。その結果、高電流および低電流を含む、異なる電流の範囲にわたって異なる動作電圧において一貫した電流感知が提供される。したがって、センサデバイス12が需給計器10に含まれたとき、公知のセンサデバイスを校正するために必要な1つまたは複数のプロセスを省略することができる。具体的には、例示的な実施形態においては、異なる動作電圧にわたって正確に電流を検知するセンサデバイス12の一貫性により、異なる電圧において使用するのに複数の校正係数を必要とする公知の需給計器と比べて、計器制御盤17が複数の動作電圧に対して1つの校正係数だけを使用することが可能になり得る。さらに、コイル104と導体14との間の容量の低減により、校正プロセスの低減および/または簡略化が容易になるだけでなく、動作電圧/電流の範囲にわたって少なくとも同じおよびしばしば改善された精度で製造費用、資源、および/または時間の低減が容易にもなる。
【0018】
図3に示すように、この例示的な実施形態においては、センサデバイス12は、筐体112を含む。筐体112は、様々な材料からおよび/または様々な製作プロセスを通じて形成することができる。例示的な実施形態においては、筐体112は、誘電材料108がコイル104の周りに、開口110に対向して配置されるように、実質的に誘電材料108だけを含む。したがって、三相導体14、15、および16を有する需給計器10内で使用されたとき、センサデバイス12は、導体14の周りに少なくとも1つの他の導体15に近接して(図1に示すように)、および導体16に場合によっては近接して配置することができる。コイル104と導体14との間の相互作用と同様に、容量がコイル104と導体15との間に存在し、それにより、センサデバイス12の精度に悪影響を及ぼし、および/または精度を悪化させることがある。開口110に対向する誘電材料108の位置により、誘電材料108は、コイル104と、隣接する導体15との間に配置される。したがて、誘電材料108は、コイル104と導体15との間の容量を低減するためにさらに提供される。このようにして、センサデバイス12は、複数の導体を有する需給計器10に使用されたとき、および/または1つまたは複数の他の導体にごく近接して使用されたとき、公知の空隙コイルに比べて、精度の改善を提供することができる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、筐体112は、非誘電材料または異なる特性を有する誘電材料など、誘電材料108に加えて1つまたは複数の材料を含むことができる。一実施形態においては、筐体112は、誘電材料108と、本明細書に説明するように実施することを可能にするために、コイル104に対して1つまたは複数の位置で誘電材料108を支援するために提供される添加材料とを含む。添加材料は、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、陶磁器材料、金属材料、木質材料、粘土材料、有機材料、それらの任意の組合せ、および/または他の適切な材料を含むことができる。添加材料は、製造技法、寸法安定性、費用、成形性、加工性、剛性、および/または材料の他の特性などに基づいて選択することができる。このような実施形態においては、誘電材料108が、より高い費用の材料(添加材料にくらべて)であるとき、添加材料の含有により、センサデバイス12の全体の費用を低減することができる。さらに、1つまたは複数の添加材料を使用して、誘電材料108の支援、コイル104の保護および/または絶縁など、1つまたは複数の追加の機能を実施するのに使用することができる。明らかなように、添加材料は、様々な実施形態で筐体112の一部として使用することができる。しかし、例示的な実施形態においては、筐体112が実質的に誘電材料108だけを含むので、添加材料は省略される。
【0020】
筐体112は、誘電材料から製作することができ、誘電材料108および少なくとも1つの添加材料と一体形成することができ、または別個の誘電材料108および添加材料から組み立てることができる。筐体112および/または誘電材料108は、1つまたは複数の射出成型法および/または他の適切な製作プロセスを使用して製作することができる。例示的な実施形態においては、筐体112は、筐体112を形成するように構成された金型に誘電材料108が注入される、単一射出成型法により構築される。
【0021】
あるいは、筐体112は、多段射出成型法から構築することができる。多段法では、初期成形プロセスを通じて添加材料を成形して特有の形状にする。その後、成形された添加材料は金型内に配置され、誘電材料108が金型に注入される。誘電材料108は、金型および/または添加材料の間に画定された空洞に流れ込んで、誘電材料108および添加材料から筐体112を形成する。様々な実施形態においては、多段成形法により、相対的に高コストの誘電材料が、本明細書に説明するように所望の性能が達成され、筐体112の他の部分が依然として1つまたは複数の相対的に低コストの材料から構築することが可能になるように、コイル104に対して特異的に配置することが可能になる。
【0022】
筐体112は、コイル104および/または導体14に対して所望の位置全体を通してまたは所望の位置において誘電材料108を設けるために他の製作技法により構築することができる。一例においては、誘電材料108は、添加材料とは別個に構築され、その後、添加材料を用いて変形しおよび/または構築して、筐体112を形成する。さらに別の例においては、添加材料により形成された開口に管状の誘電材料を挿入して、筐体112を形成することができる。
【0023】
例示的な実施形態においては、筐体112は、開口110を画定するマウント116を含む。導体14を開口110で受けたとき(図3に示すように)、空隙106がマウント116と導体14との間に形成される。同時に、マウント116と導体14との間に摩擦嵌めが生じる。マウント116は誘電材料108および/または別の材料を含むことができる。マウント116は、様々な種類、形状、および/または向きの導体を受けるおよび/または導体に結合するように設計される様々な異なる形状で形成できることを理解されたい。少なくとも1つの実施形態においては、マウント116は、長方形の母線導体との摩擦嵌めを形成するように構成される開口を画定する。
【0024】
図2をもう一度参照すると、筐体112は、第1の部分118と第2の部分120とを含む。第1の部分118は、基板102およびコイル104が実質的にその中に封入されるように、第2の部分120に解放可能なように結合される。具体的には、図3に示すように組み立てたとき、少なくとも1つの合じゃくり継手を通して第1の部分118を第2の部分120に結合して、筐体112を形成する。第1の部分118および第2の部分120は、制限なしで、1つまたは複数の突合せ継手、ねじ継手、蝶番継手、タブスロット構成、さね継ぎ構成、締め具などを含む、様々な異なる方法により互いに結合できることを理解されたい。筐体112が、図3に示すように、一般に環状形状を有するが、他の筐体の実施形態は、少なくとも部分的に基板102、コイル104および/または遮蔽体を封入するようなサイズでありおよび/または動作をし、かつ誘電材料108が本明細書に説明するように実施することが可能となる、任意の形状および/またはサイズを画定できることを理解されたい。
【0025】
さらに、例示的な実施形態においては、誘電材料108の厚さは、筐体112全体を通して変化する。第1の部分118と第2の部分120との合じゃくり継手により、第1の部分118と第2の部分120との重なり合いが設けられる。具体的には、この実施形態においては、第1の部分118および第2の部分120は、それぞれ、開口110における厚さが約1.2ミリメートルである。第1の部分118および第2の部分120が組み立てられたとき、第1の部分118および第2の部分120は、合じゃくり継手において(開口110に沿って)少なくとも部分的に重なり合って、約2.4ミリメートルの全厚さを生じる。さらに、この例示的な実施形態においては、第1の部分118および第2の部分120は、小さな合じゃくり継手において(開口110に対向して)筐体112の外側の周りの全厚さが約1.2ミリメートル未満であるように構成される。筐体112を形成する様々な方法を使用して、1つまたは複数の異なる厚さの筐体112および/または誘電材料108を提供できることを理解されたい。
【0026】
様々な他の実施形態においては、筐体112および/または誘電材料108の厚さは、約0.5ミリメートルから約3.0センチメートルの間であり得る。いくつかの実施形態においては、筐体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の厚さは、約1.0ミリメートルから6.0ミリメートルの間である。さらに、様々な実施形態においては、筐体112および/または誘電材料108の1つまたは複数の厚さは、約1.0ミリメートルから4.0ミリメートルの間である。筐体112および/または誘電材料108は、場合によっては組立て/製作の方法、選択された誘電材料の特性、および/または所望の性能特性に基づいて、他の実施形態において異なる厚さを有することができることを理解されたい。さらに、筐体112の他の形状、サイズ、および/または継手を使用して、少なくとも部分的にコイル104を封入することができ、コイル104に対して誘電材料108を配置して、本開示の1つまたは複数の態様と整合して実施することができる。
【0027】
例示的な実施形態においては、コイル104は、例示的なロゴスキーコイルを含む。しかし、センサデバイス12は、ロゴスキーコイル以外のコイルを含むことができることを理解されたい。さらに、本開示の態様は、本明細書に説明し示すようにロゴスキーコイルに使用されることだけに限定されない。
【0028】
図5は、筐体112から分離された基板102とコイル104との透視図である。例示的な実施形態においては、基板102は、6つのボビン124、126、128、130、132、および134(集合的にボビン124~134と呼ぶ)を含む。各ボビン124~134は、実質的に円形の断面を有し、より詳しくは、コイル104を保持する対向側にフランジ135を含む直円柱である。他の実施形態においては、基板102は、異なる数、形状、および/またはサイズのボビンを有することができる。例えば、基板102は、5つのボビン、8つのボビン、10のボビン、13のボビン、または別の偶数もしくは奇数のボビンを含むことができる。さらに、基板102は、異なる形状、および/または卵形断面、楕円形断面、または長方形断面などを有するボビンを含むことができる。さらに他の実施形態においては、基板102は、フランジ135に加えてまたはフランジ135以外に、コイル104を支持するために異なる構造を含むことができる。少なくとも1つの実施形態においては、コイル104は、基板102を省略するのに十分な固さである。
【0029】
例示的な実施形態においては、ボビン124~134は、蝶番付き継手137を介して互いに結合される。より具体的には、ボビン124および126は、蝶番式に結合して、それらの間の枢動が可能になる。様々な実施形態においては、ボビン124~134は、図5に示すように、線状に配列して、コイル104の効率的な巻きつけを可能にし、および/または互いに対して旋回軸で回転し、それにより、実質的に円形を形成することができる。
【0030】
基板102のボビン124~134のそれぞれは、ボビン124~134が、例えば、熱可塑性材料、陶磁器材料、木質材料、または他の種類の適切な材料を含む、1つまたは複数の非磁性材料から構築されるように、非磁性構造である。この例示的な実施形態においては、ボビン124~134のそれぞれは、誘電材料108と場合によっては整合した、誘電材料から製作される。非磁石基板102の使用により、1つまたは複数の磁心を含む公知のセンサデバイスに比べ費用節減を実現することができる。さらに、例示的な実施形態においては、基板102は、かさばる磁心を含む公知のセンサデバイスに比べて、需給計器10内のおよび/または計器制御盤17への取付けの改善を提供するような形状および/またはサイズにする。さらに、この実施形態においては、ボビン124~134は、筐体112から分離して形成される。しかし、ボビン124~134は、他のセンサデバイスの実施形態において筐体112の1つまたは複数の部分と一体形成するおよび/または1つまたは複数の部分を形成することができることを理解されたい。
【0031】
例示的な実施形態においては、コイル104は、各ボビン124~134上に複数の巻数で巻きつける。より具体的には、例示的な実施形態において、各ボビン124~134上にいくつかの巻数でコイル104をボビン124からボビン134まで巻きつけ、次いで、また各ボビン124~134上に追加の巻数でボビン124まで巻きつけることを可能にする単一のマグネットワイヤを含む。他の実施形態においては、ボビン124~134上に他の異なる巻線パターンを使用できることを理解されたい。ボビン124~134にわたる上記の巻線パターンに整合して、コイル104の第1の端部および第2の端部がボビン124において終端する。図7に示し、以下にさらに説明するように、コイル104の第1の端部がリード線136において終端され、コイル104の第2の端部がリード線138において終端される。
【0032】
コイル104に加えて、例示的な実施形態においては、1つまたは複数の遮蔽体が基板102に適用される。具体的には、図6がボビン124におけるセンサデバイス12の部分的断面図を示す。例示的な実施形態において、ボビン124は、第1の遮蔽体140と第2の遮蔽体142を含む。第1の遮蔽体140は、ボビン124とコイル104との間に配置される。第2の遮蔽体142は、コイル104が第1の遮蔽体140と第2の遮蔽体142との間に配置されるように、コイル104に隣接し第1の遮蔽体140と対向して配置される。各ボビン124~134は、図6に示すように実質的に同じ遮蔽体-コイル-遮蔽体のパターンを含む。他の実施形態においては、ボビン124~134は、ボビンによって巻線パターンが異なる巻線パターンを含めて、他の巻線パターンを含むことができる。
【0033】
例示的な実施形態においては、各遮蔽体140および142は、ファラデー遮蔽体を提供する。より具体的には、この例示的な実施形態において、第1および第2の遮蔽体140および142は、センサデバイス12上の共通モードの雑音を低減することを容易にするためにおよび/または高周波数雑音のフィルタリングにローパスフィルタを提供するために、実質的にファラデー箱に整合して動作する。その結果、第1および第2の遮蔽体140および142は、電磁妨害(EMI)および/または電磁両立性(EMC)の1つまたは複数の業界標準の文脈において性能の改善を容易にする。
【0034】
製作時、複数の巻数のマグネットワイヤを各ボビン124~134上にボビン124からボビン134まで巻きつけて、第1の遮蔽体140を形成する。次いで、コイル104を、上に説明したように、ボビン124からボビン134まで巻きつけ、またボビン124まで巻きつける。続いて、第1の遮蔽体140のマグネットワイヤをボビン134からまたボビン124まで各ボビン124~134上に複数の巻数で巻きつけて、第2の遮蔽体142を形成する。したがって、例示的な実施形態においては、第1の遮蔽体140および第2の遮蔽体142が単一のマグネットワイヤから形成される。単一のマグネットワイヤは、2つの端部を含み、2つの端部は、以下に説明するように、リード線138に結合して、および/または1つまたは複数の追加のリード線に結合して、互いに終端することができる。第1の遮蔽体140および第2の遮蔽体142は、制限なしで、銅、アルミニウムまたは他の非鉄導電性材料など、任意の適切な材料を含むことができることを理解されたい。より一般的には、遮蔽体材料は、シート、テープ、ワイヤ、スプレーおよび/またはボビン124~134が遮蔽体140および142を含むことを可能にする任意の他の形態として形成することができる。したがって、遮蔽体140および/または142の適用は、制限なしで、例えば、巻きつけ、包み込み、および/または吹きつけにより形成することができる。様々な実施形態においては、第1および第2の遮蔽体140および142は、コイル104とは別個に形成し、その後、コイル104に適用することができる。
【0035】
図5をもう一度参照すると、センサデバイス12がそこから延びる3つのリード線136、138、および144を含む。図7は、リード線136、138、および144の結合の回路図を示す。具体的には、例示的な実施形態においては、第1および第2の遮蔽体140および142は、単一のマグネットワイヤから形成され、各端部は互いに結合され、リード線144に結合される。さらに、コイル104の第1の端部(単一のマグネットワイヤから形成される)は、リード線136に結合され、コイル104の第2の端部は、リード線138に結合される。図5に示すように、リード線136、138、および144は、筐体112から延び、撚線の組を形成する。したがって、リード線144は、第1の遮蔽体140および/または第2の遮蔽体142からの雑音がセンサデバイス12によって提供される電流信号の帰路に注入されないように抑制するためにローパスフィルタ素子として働く。撚線の組は、長さが少なくとも約0.25インチである。他の実施形態においては、撚線の組は、長さが少なくとも約1.0インチ、または長さが少なくとも約3.0インチであり得る。さらに他の実施形態においては、撚線の組は、長さが少なくとも約6.0インチであり得る。場合により、リード線および/または撚線の組が雑音をセンサデバイス12から伝送された電流信号への注入を抑制するフィルタとして機能する性能に基づいて、他の長さのリード線および/または撚線の組を他のセンサデバイスの実施形態において採用することができる。
【0036】
図8~9は、別の例示的なセンサデバイス200を示す。例示的な実施形態においては、センサデバイス200は、上に説明したコイル104と遮蔽体140および142と実質的に整合する、コイル204と第1および第2の遮蔽体240および242とを含む。しかし、センサデバイス200は、4つのリード線236、238、244、および245を含む。具体的には、第1の遮蔽体240と第2の遮蔽体242とを形成するマグネットワイヤの各端部は、別々のリード線244と245とに結合して、フィルタ素子を生じる。さらに、この例示的な実施形態においては、2つのリード線236と238は、コイル204に結合される。図8に示すように、リード線236、238、244、および245は、撚線の組を形成し、撚線の組は、図5を参照して上に説明した撚線の組に実質的に整合して機能する。
【0037】
計器制御盤17に結合されたとき、各リード線244および245は、互いに結合し、リード線238に結合することができる。いくつかの実施形態においては、撚りリード線244および245は、第1のフィルタ素子として働くことができる。さらに、またはあるいは、フィルタ素子は、リード線244と245との間およびリード線238との間に結合することができる。このようなフィルタ素子は、制限なしで、抵抗-コンデンサ回路、インダクタ-コンデンサ回路、抵抗-インダクタ回路、および/または抵抗-インダクタ-コンデンサ回路を含むことができる。
【0038】
図3および7をもう一度参照すると、さらに別の実施形態において、遮蔽体140と142とを形成するマグネットワイヤの各端部は、互いに結合し、別個のリード線144ではなく、リード線138(すなわち、コイル104の一方の端部)に結合することができる。このような例示的な実施形態においては、センサデバイス12は、リード線136と138とを含むことができ、リード線144は省略し、それによって2つの線のセンサデバイス12を提供することができる。例示的な実施形態においては、第1の遮蔽体および/または第2の遮蔽体142からのある雑音が、センサデバイス12から提供される電流信号の帰路に注入することができ、所望の動作環境に十分な精度および/または再現性を提供することができる。さらに他の実施形態においては、リード線は、センサデバイスの実施形態から省略して、計器制御盤17などの回路板上に取り付けることを可能にすることができる。このような実施形態においては、フィルタ素子は、リード線144を参照して上に説明したように実施するのに十分な長さで、計器制御盤17上の配線により提供することができる。さらに、またはあるいは、フィルタ素子は、抵抗-コンデンサ回路、インダクタ-コンデンサ回路、抵抗-インダクタ回路、および/または抵抗-インダクタ-コンデンサ回路を含んで、第1の遮蔽体140および/または第2の遮蔽体142からの雑音がセンサデバイス12によって提供される電流信号の帰路に注入されないように抑制することができる。
【0039】
例示的な実施形態においては、センサデバイス12は、約10Hzから約1000Hzの間で動作可能であり、実質的にこの範囲外の信号に影響を受けない。より具体的には、導体14は、無線周波数(RF)信号を受信するアンテナとして働き、不要な雑音をセンサデバイス12に再放射することができる。第1および第2の遮蔽体140および142は、ローパスフィルタとして実施して、雑音信号の注入を抑制し、それにより高い信号対雑音比(SNR)の出力を提供する。より詳しくは、第1および第2の遮蔽体140および142は、導体14を通る低電流を感知したとき、再放射されたRF信号(および/または他の雑音信号)を拒絶して、センサデバイス12の出力に高いSNRを提供する。電流信号への雑音の影響を低減することにより、適用可能な標準内で、センサデバイス12の有効な電流感知範囲は、公知のセンサデバイスに比べてより広い。例示的な実施形態においては、第1および第2の遮蔽体140および142により、1つまたは複数の追加のフィルタ素子(低および/または高電流性能の)を省略することが可能になり得る。
【0040】
さらに、第1および第2の遮蔽体140および142は、実質的にEMIをセンサデバイス12の精度に影響しないように抑制する。より具体的には、第1および第2の遮蔽体140および142は、センサデバイス12および/または需給計器10の精度を妨げることが意図された隣接した電子機器および/またはデバイスなど、センサデバイス12に隣接して配置されたEMI源の影響を抑制することを容易にする。さらに、公知のセンサに比べて、磁心を省略することにより、センサデバイス12は、精度へのEMIの影響に対する電磁波耐性の改善を提供する。したがって、センサデバイス12は、1つまたは複数のEMI源の存在下で、他の公知のセンサデバイスに比べて、より堅牢なおよび/または正確な電流センサデバイスを提供する。
【0041】
センサデバイス12の精度は、導体14を流れる電流の実際の値の百分率として理解することができる。例示的な実施形態においては、センサデバイス12は、約2アンペアから約200アンペアの間の範囲において実際の値の約±0.2%以内で実施する。より具体的には、センサデバイス12は、約60Vから約600Vの間の動作電圧においてクラス0.2の0.1Aから200Aまで以内で、より具体的には、約240Vにおいて、0.2%の精度以内で実施する。本開示の1つまたは複数の態様に整合したセンサデバイス12は、場合により意図する用途および/または意図する用途に関連した1つまたは複数の精度要件により、異なる動作電流/電圧における1つまたは複数の異なる精度標準に適合できることを理解されたい。
【0042】
導体を通る電流を感知するセンサデバイスを製作するための様々な方法を本明細書に説明する。これらの方法は、センサデバイス12を参照して以下に説明するが、方法はセンサデバイス12に限定されず、他のセンサデバイスの実施形態を製作するのに利用できることを理解されたい。同様に、センサデバイス12およびセンサデバイス200は、以下に説明する方法以外の方法から製作することができる。
【0043】
導体14を通る電流を感知するためのセンサデバイス12を製作する1つの例示的な方法は、非磁性基板102の周りに複数の巻数でコイル104を提供するステップと、導体14がセンサデバイス12によって画定された開口110内に配設されたとき、誘電材料108が導体14とコイル104との間に配置されるように、コイル104に隣接して誘電材料108を配置するステップとを含む。いくつかの実施形態においては、例示的な方法は、少なくとも部分的におよび/または実質的にコイル104および/または基板102を筐体112内に封入するステップを含むことができる。
【0044】
導体14を通る電流を感知するためのセンサデバイス12を製作する別の例示的な方法は、ロゴスキーコイル104を提供するステップと、ロゴスキーコイル104が導体14の周りに配設されたとき、誘電材料108が、ロゴスキーコイル104と導体14との間に配設されるように、少なくとも部分的にロゴスキーコイル104を誘電材料108内に封入するステップとを含む。誘電材料108は、誘電率が約3.5以上である。いくつかの実施形態においては、例示的な方法は、少なくとも部分的にロゴスキーコイルを封入するようにロゴスキーコイルをその間に配設して、筐体の第1の部分と筐体の第2の部分とを組み立てるステップを含むことができる。筐体は誘電材料を含む。さらに、またはあるいは、例示的な方法は、複数の熱可塑性ボビンを有する基板上にロゴスキーコイルを形成するステップを含むことができる。さらに、例示的な方法は、誘電材料から複数の熱可塑性ボビンを形成するステップを含むことができる。
【0045】
導体14を通る電流を感知するためのセンサデバイス12を製作するさらに別の例示的な方法は、基板の複数のボビンのそれぞれの周りにマグネットワイヤの第1の遮蔽体を巻きつけるステップと、基板の複数のボビンのそれぞれの周りにコイルを巻きつけるステップと、基板の複数のボビンのそれぞれの周りにマグネットワイヤの第2の遮蔽体を巻きつけるステップとを含む。
【0046】
例えば、図3のセンサデバイス12を参照して、例示的な方法は、マグネットワイヤの第1の端部と第2の端部とをセンサデバイス12の基準リード144に結合するステップと、コイルの第1の端部をセンサデバイス12の第1のリード136に結合するステップと、コイルの第2の端部をセンサデバイス12の第2のリード138に結合するステップとを含むことができる。さらに、例示的な方法は、少なくとも部分的にコイルならびに第1および第2の遮蔽体を筐体内に封入するステップであって、筐体が少なくとも1つの誘電材料を備える、封入するステップを含むことができる。
【0047】
導体14を通る電流を感知するためのセンサデバイス12を製作する別の例示的な方法は、開口110を画定する非磁性基板102と、非磁性基板102の少なくとも一部分の周りに複数のコイル巻数を有するコイル104と、基板102のそれぞれと複数のコイル巻数との間に配設された第1の遮蔽体140と、複数のコイル巻数に近接し、第1の遮蔽体140に対向して配設された第2の遮蔽体142とを含むセンサデバイス12を提供するステップを含む。例示的な方法は、リード線144を第1の遮蔽体140と第2の遮蔽体142とのうちの少なくとも一方に結合するステップと、リード線136をコイル104の第1の端部に結合するステップと、リード線138をコイル104の第2の端部に結合するステップと、リード線136、138および144からリード線の撚った組を形成するステップとをやはり含む。
【0048】
様々な実施形態においては、リード線144を第1の遮蔽体140と第2の遮蔽体142とのうちの少なくとも一方に結合するステップは、リード線144を第1の遮蔽体140と第2の遮蔽体142とのそれぞれに結合するステップを含む。他の実施形態においては、リード線を第1の遮蔽体と第2の遮蔽体とのうちの少なくとも一方に結合するステップは、リード線244を第1の遮蔽体に結合するステップと、リード線245を第2の遮蔽体142に結合するステップとを含む。
【0049】
図5に示すように、コイル104は、ボビン124~134の形態で基板102の周りに巻きつける。例示的な実施形態においては、各ボビン124~134は、環状であり、コイル104を周りに巻きつける円形領域を含む。各ボビン124~134の芯は、空芯である。前に開示した磁心電流センサデバイスと異なり、コイル104の空芯は飽和にならない。試験により、開示された空芯コイル104が10ミリアンペアから25,000アンペアまで±0.4%において正確であることが示されている。より低い電流においては、すなわち、1,000アンペア未満では、センサデバイス12の精度は±0.2%であり、より高い電流、すなわち10,000アンペア超では、精度は±0.4%まで低下する。それらのより高い電流において、導体14、15、および16は、互いに相互作用し、平行板コンデンサとして機能し、センサデバイス12の精度に影響する。センサデバイス12は、飽和する芯を有しないインダクタである。したがって、センサデバイス12は、飽和または過飽和の可能性がないインダクタとして連続的に働くことができる。
【0050】
空芯を有するインダクタとして、センサデバイス12は、電圧非依存である。従来の電流変圧器が、高電圧で焼損することがあるのに対して、センサデバイス12は、どんな電圧が導体14を通過するのかに関係なく、導体14を通る電流を読み取ることができる。電圧は、コイル104の動作に影響しない。電圧は、センサデバイス12によって測定もされず、むしろ、電力供給システムにおける異なる場所において測定される。
【0051】
例示的な実施形態においては、センサデバイス12は、約10Hzから約1000Hzの間で動作可能であると説明されるが、空芯により、センサデバイス12は、その範囲外でも動作可能となることを理解されたい。需給計器10は、複数の異なる導体を測定する複数のセンサデバイス12を含むことができることも理解されたい。例えば、別の例示的な実施形態においては、需給計器10、導体14、15、および16は、それぞれ、異なるセンサデバイス12によって封入することができる。上に説明した実施形態の1つまたは複数は、高精度のセンサデバイスを提供する。より具体的には、本明細書に説明するセンサデバイス、需給計器、および方法は、公知のコイルセンサに比べて低減された校正の要件を有する拡大された動作範囲をもたらす高精度のセンサデバイスを提供することができる。例えば、開示された誘電材料は、コイルと1つまたは複数の導体との間の容量の低減を提供することができ、それによって、ある電流および/または電圧の範囲にわたって精度の改善を提供することができる。精度の改善は、製造時に、より少ない校正プロセスを用いて実現することができ、結果として、製造費および/または時間が低減する。別の例においては、開示された遮蔽技法により、他の電子機器および/または干渉デバイスから起きる、EMIの改善された拒絶が提供される。
【0052】
本発明の様々な実施形態の具体的な特徴を図面によっては示し、図面によっては示さないことがあるが、これは便宜上だけである。本発明の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照し、および/または特許請求することができる。
【0053】
この書面による説明は、例を使用して、最良の態様を含む、本発明を開示し、また当業者が、任意のデバイスまたはシステムを製作し、使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含む、本発明を実施することも可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者には思いつく他の例を含むことができる。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語とは異ならない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語とは非実質的に異なる等価の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0054】
10 需給計器
12 センサデバイス
14 導体
15 導体
16 導体
17 計器制御盤
102 基板
104 コイル
106 空隙
108 誘電材料
110 開口
112 筐体
116 マウント
118 第1の部分
120 第2の部分
124 ボビン
126 ボビン
128 ボビン
130 ボビン
132 ボビン
134 ボビン
136 リード線
138 リード線
140 第1の遮蔽体
142 第2の遮蔽体
144 リード線
200 センサデバイス
204 コイル
236 リード線
238 リード線
240 第1の遮蔽体
242 第2の遮蔽体
244 リード線
245 リード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを電源から使用者に伝送する際に使用するための需給計器(10)であって、
導体(14、15、16)を流れる電流を感知するためにおよび前記感知した電流を表す信号を出力するために、少なくとも部分的に前記導体(14、15、16)の周りに配置可能なセンサデバイス(12)であって、
非磁性基板(102)、
前記基板(102)の周りに巻きつけた複数の巻数を備えるコイル(104、204)であって、それを通して前記導体(14、15、16)を受ける開口(110)を画定するコイル(104、204)、および
誘電率を有し、前記導体(14、15、16)を前記開口(110)を通して受けたとき誘電材料(108)が前記コイル(104、204)と前記導体(14、15、16)との間にあるように前記コイル(104、204)に隣接し、少なくとも部分的に前記開口(110)内に配置された前記誘電材料(108)を備えるセンサデバイス(12、200)と、
前記感知した電流を表す前記信号を前記センサデバイス(12、200)から受け取るためにおよび時間経過とともに前記導体(14、15、16)を通して前記電源から前記使用者に伝送された電力の量を決定するために、前記センサデバイス(12、200)に連絡した計器制御盤(17)とを備える需給計器(10)であって、
前記誘電材料(108)の前記誘電率が、前記コイルと前記導体(14、15、16)との間の容量結合を低減するように、およびその結果として、前記計器制御盤(17)がある電流範囲にわたって前記センサデバイス(12、200)を校正するための1つの校正係数だけを備えるように、前記センサデバイス(12、200)の感度を低減するように選択され、
前記電流範囲が、約2.0Aから約25,000Aまでである、需給計器(10)。
【外国語明細書】