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  • 特開-塊成体の製造装置およびその制御方法 図1
  • 特開-塊成体の製造装置およびその制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014444
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】塊成体の製造装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 3/00 20060101AFI20240125BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20240125BHJP
   C22B 1/24 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B30B3/00 B
B01J4/00 105B
C22B1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117268
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多川 友生
(72)【発明者】
【氏名】永山 幹也
【テーマコード(参考)】
4E090
4G068
4K001
【Fターム(参考)】
4E090AA04
4E090AB01
4E090BA02
4E090HA06
4G068AA03
4G068AB22
4G068AC20
4G068AD33
4G068AF31
4K001AA10
4K001BA02
4K001CA26
4K001HA01
(57)【要約】
【課題】成型コークス等の塊成体の生産性を向上させることができる塊成体の製造装置およびその制御方法を提供すること。
【解決手段】塊成体の製造装置は、所定の間隙を隔てつつ固定して設けられた一対のロールと、一対のロールの間隙に供給される原料の量を、幅方向で分割して調整する原料供給調整手段と、幅方向で分割した原料供給調整手段の各々に対して一つ以上設けられ、一対のロールが投入された原料に作用させる圧力を計測する圧力計測手段と、原料供給調整手段を制御するとともに、圧力計測手段から計測値が供給される制御手段と、を備え、制御手段が、圧力計測手段による圧力の計測値に基づいて幅方向で分割した原料供給調整手段を制御することによって、一対のロールの間隙に供給される原料の量を幅方向で制御しつつ、原料を塊成化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隙を隔てつつ固定して設けられた一対のロールと、
前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を、幅方向で分割して調整する原料供給調整手段と、
前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段の各々に対して一つ以上設けられ、前記一対のロールが投入された原料に作用させる圧力を計測する圧力計測手段と、
前記原料供給調整手段を制御するとともに、前記圧力計測手段から計測値が供給される制御手段と、
を備え、
前記制御手段が、前記圧力計測手段による前記圧力の計測値に基づいて前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段を制御することによって、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を幅方向で制御しつつ、原料を塊成化させることを特徴とする塊成体の製造装置。
【請求項2】
前記制御手段が、予め設定された、前記一対のロールから投入された原料に作用させる圧力の目標値、前記圧力の目標値と前記圧力計測手段による前記圧力の計測値との偏差、および原料供給調整手段の制御量から構成された制御用テーブルを、前記幅方向で分割した原料供給調整手段の数だけ有し、前記圧力の目標値と前記圧力計測手段による圧力の計測値との偏差を算出し、前記圧力の目標値と前記偏差とから前記制御用テーブルにおける前記原料供給調整手段の制御量を索出して、前記索出した制御量に基づいて、原料供給調整手段ごとに制御することを特徴とする請求項1に記載の塊成体の製造装置。
【請求項3】
所定の間隙を隔てつつ固定して設けられた一対のロールと、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を、幅方向で分割して調整する原料供給調整手段と、前記一対のロールが投入された原料に作用させる圧力を、前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段の数だけ計測する圧力計測手段と、前記原料供給調整手段を制御するとともに、前記圧力計測手段から計測値が供給される制御手段と、を備える塊成体の製造装置の制御方法であって、
前記制御手段が、前記圧力計測手段による前記圧力の計測値に基づいて前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段を制御することによって、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を幅方向で制御しつつ、原料を塊成化させることを特徴とする塊成体の製造装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊成体の製造装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コークスの反応性を向上させるため、炭素含有物質(石炭等)を結合剤(バインダ)と混合して塊状に成型した後、その塊状に成型した塊成体(成型物)を乾留処理して製造した成型コークスを高炉用原料として用いる技術が開発されている。
【0003】
成型コークスのうち、炭素含有物質(石炭等)に鉄含有物質(鉄鉱石等)を一定量混合して塊状に成型したものは、フェロコークスと呼ばれている。成型コークスの製造方法としては、一般的に混練原料を成型ロールで塊成化した成型物を、縦型の乾留炉を用いて乾留処理する方法が提案されている。
【0004】
従来、混練原料の成型において、塊成体の品質を適正な範囲に確保するために、混練原料をロール圧縮により成型する成型機のロールギャップを制御することでロール間の圧力の変動を抑制し、ロールに原料を投入する際の押圧力を調整する方法が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、油圧シリンダにより所定の圧力で押圧され、この所定の圧力で維持されたロールギャップが連続的に変動可能で、かつ回転数を調整可能な一対の成型ロールと、粉体供給装置と、を備えたロール塊成機が開示されている。特許文献1の粉体供給装置は、一対の成型ロールの上方に設置されたスクリューフィーダおよびそのケーシングを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-57970号公報
【特許文献2】特開2014-172060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、スクリューフィーダの回転により、一対の成型ロール上に粉体を供給かつ押圧して、回転ロールの回転とともに粉体を板状に塊成化する際に、一対の成型ロール間のギャップが一定になるように、スクリューフィーダの回転数を制御している。
【0008】
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、ロールギャップを制御するために、油圧サーボや電動等のロールギャップ調整機構が必要となり、装置の構成が複雑になるのみならず、これらのロールギャップ調整機構の維持管理が必要であった。
【0009】
そこで、簡単な構造の製造装置において、製造される塊成体の品質を高品質に確保することが望まれていたが、簡単な構造の製造装置を採用すると、従来の制御方法では制御性が悪く、自動で圧力制御を行うのが困難であった。そのため、オペレータが成型圧力を常時監視しつつ、手動でロール間の圧力制御を行う必要があった。
【0010】
これに対して、特許文献2では、ロールギャップを制御することなく成型圧力変動を抑制し、塊成体の品質を適正な範囲に確保することが可能となる制御方法を提案している。
【0011】
しかしながら、特許文献2で提案された技術では、成型ロールの幅行方向に対する均一分散に対しては効果が乏しいことがわかっている。すなわち、成型ロールに原料を投入するスクリューフィーダ上段の原料ホッパでの原料偏析により、成型ロールに装入される原料は幅方向で供給量が異なるため、成型ロールでの成型圧力は幅方向で不均一となり、成型歩留まりが低下する要因となる。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、成型コークス等の塊成体の生産性を向上させることができる塊成体の製造装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る塊成体の製造装置は、所定の間隙を隔てつつ固定して設けられた一対のロールと、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を、幅方向で分割して調整する原料供給調整手段と、前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段の各々に対して一つ以上設けられ、前記一対のロールが投入された原料に作用させる圧力を計測する圧力計測手段と、前記原料供給調整手段を制御するとともに、前記圧力計測手段から計測値が供給される制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記圧力計測手段による前記圧力の計測値に基づいて前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段を制御することによって、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を幅方向で制御しつつ、原料を塊成化させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る塊成体の製造装置は、前記制御手段が、予め設定された、前記一対のロールから投入された原料に作用させる圧力の目標値、前記圧力の目標値と前記圧力計測手段による前記圧力の計測値との偏差、および原料供給調整手段の制御量から構成された制御用テーブルを、前記幅方向で分割した原料供給調整手段の数だけ有し、前記圧力の目標値と前記圧力計測手段による圧力の計測値との偏差を算出し、前記圧力の目標値と前記偏差とから前記制御用テーブルにおける前記原料供給調整手段の制御量を索出して、前記索出した制御量に基づいて、原料供給調整手段ごとに制御することを特徴とする。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る塊成体の製造装置の制御方法は、所定の間隙を隔てつつ固定して設けられた一対のロールと、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を、幅方向で分割して調整する原料供給調整手段と、前記一対のロールが投入された原料に作用させる圧力を、前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段の数だけ計測する圧力計測手段と、前記原料供給調整手段を制御するとともに、前記圧力計測手段から計測値が供給される制御手段と、を備える塊成体の製造装置の制御方法であって、前記制御手段が、前記圧力計測手段による前記圧力の計測値に基づいて前記幅方向で分割した前記原料供給調整手段を制御することによって、前記一対のロールの間隙に供給される原料の量を幅方向で制御しつつ、原料を塊成化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る塊成体の製造装置およびその制御方法によれば、一対の成型ロールを用いて混練原料を塊成化した塊成体を製造するに際して、一対の成型ロールに混合原料を奥幅方向に均一に装入することができる。これにより、塊成体を高品質かつ高生産性で製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係る塊成体の製造装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る塊成体の製造装置の制御方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る塊成体の製造装置およびその制御方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(塊成体の製造装置)
実施形態に係る塊成体の製造装置の構成について、図1を参照しながら説明する。塊成体の製造装置では、一対のロールを反対方向に回転させて間隙に原料を供給することにより、原料を圧縮成型し、塊成体(成型物)とする。この際、幅方向の供給量の差が成型後の品質に影響を及ぼすため、当該供給量の差が大きくなると、成型物の品質差が拡大し、品質制御が困難となる。そこで、本発明では、原料供給調整手段を複数設けることにより、この偏差を低減することとした。
【0020】
塊成体の製造装置1は、図1に示すように、原料ホッパ2と、一対のスクリューフィーダ4と、複数の調整ゲート5,6と、一対の成型ロール7と、ロードセル8,9と、制御装置10と、を備えている。
【0021】
原料ホッパ2は、例えば漏斗形状を有している。原料ホッパ2は、塊成体(ブリケット)の原料、例えば石炭および鉄鉱石が砕かれてバインダが混入された混練後の粒状粉体原料(以下、「原料」という)3を、排出口から落下させる。
【0022】
スクリューフィーダ4は、調整ゲート5,6に原料3を搬送する原料搬送手段として機能する。スクリューフィーダ4は、一対で構成され、それぞれ制御装置10によって制御されるモータ4a,4bを備えている。各スクリューフィーダ4は、モータ4a,4bによって、例えば螺旋型のスクリューが回転することにより、原料ホッパ2内に投入された原料3を、調整ゲート5,6まで送り出すように搬送する。なお、スクリューフィーダ4は、図1に示すように、多軸で構成することにより、成型ロール7に対する幅方向の原料供給量を調整する原料供給調整手段としても機能する。
【0023】
調整ゲート5,6は、一対の成型ロール7の間隙(ロールギャップ)に供給される原料3の量を、幅方向で分割して調整する原料供給調整手段として機能する。調整ゲート5,6は、例えば一対の成型ロール7のロールギャップの上方において、幅方向に複数並べて配置される。なお、本実施形態において、「幅方向」とは、成型ロール7の幅方向のことを示している。
【0024】
調整ゲート5,6は、制御装置10によって制御されるモータ5a,6aを備えている。このモータ5a,6aによって、例えば調整ゲート5,6が上下に移動することにより、当該調整ゲート5,6のゲート開度が調整される。そして、調整ゲート5,6のゲート開度が調整されることにより、成型ロール7に供給される原料3の投入量が制御される。すなわち、調整ゲート5,6のゲート開度を大きくすると、原料3の投入量が増加し、調整ゲート5,6のゲート開度を小さくすると、原料3の投入量が減少する。
【0025】
一対の成型ロール7は、調整ゲート5,6の下方に設けられており、所定のロールギャップを隔てつつ、左右に対をなして、製造装置1に固定して設けられている。成型ロール7は、制御装置10によって制御されるモータ7aを備えている。成型ロール7のロールギャップには、調整ゲート5,6から重力によって落下して押し出された原料3が供給される。また、成型ロール7には、回転表面に互いに対応するポケット(図示省略)が設けられている。
【0026】
成型ロール7のロールギャップは、例えば原料3の組成や配合の変更等に応じて変更されるが、製造装置1の稼働中は所定のロールギャップに固定される。成型ロール7は、そのロールギャップを通過する原料3を加圧しつつ、加圧によって形成された塊成体を押し出すように、互いに反対方向に回転する。また、成型ロール7の上方に配置された調整ゲート5,6のゲート開度が調整されることにより、成型ロール7のロールギャップに投入される原料3の投入量が調整される。
【0027】
ロードセル8,9は、一対の成型ロール7が投入された原料3に作用させる圧力を、幅方向で分割した調整ゲート5,6の数だけ計測する圧力計測手段として機能する。また、ロードセル8,9は、計測した圧力から原料3の供給量を推定する供給量推定手段としても機能する。ロードセル8,9は、成型ロール7の近傍(外側)に設置され、一対の成型ロール7のロール間圧力を計測する。また、ロードセル8,9は、幅方向で分割した調整ゲート5,6の各々に対して一つ以上設けられる。
【0028】
なお、供給量推定手段として、ロードセル8,9に代えて、接触式または非接触式のレベル計を用いてもよい。
【0029】
制御装置10は、調整ゲート5,6のゲート開度を制御するとともに、ロードセル8,9から計測値が供給される制御手段として機能する。制御装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)等からなる処理部と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびハードディスク等からなる記録部と、外部からデータを入力可能な入力部と(いずれも図示省略)、を有するPLC(Programmable Logic Controller)等で構成される。また、制御装置10は、制御用テーブル記憶部10a,10bを備えている。
【0030】
制御装置10は、ロードセル8,9による圧力の計測値に基づいて、幅方向で分割した調整ゲート5,6のゲート開度を制御することにより、一対の成型ロール7のロールギャップに供給される原料3の量を幅方向で制御しつつ、原料3を塊成化させる。
【0031】
制御装置10では、成型ロール7における圧力に関する原料3の組成や配合等に応じた圧力目標値が設定されている。この圧力目標値のデータは、制御装置10の制御用テーブル記憶部10a,10bに格納されている。更に、この制御用テーブル記憶部10a,10bには、例えば「圧力目標値×圧力実績偏差」のテーブルデータが格納されている。
【0032】
また、制御用テーブル10aには、例えば図1の紙面奥側のロードセル8に関する圧力目標値のデータ、「圧力目標値×圧力実績偏差」のテーブルデータが格納されている。また、制御用テーブル10bには、例えば同図の紙面手前側のロードセル9に関する圧力目標値のデータ、「圧力目標値×圧力実績偏差」のテーブルデータが格納されている。
【0033】
制御装置10には、ロードセル8,9から、成型ロール7におけるロール間の圧力の計測値が供給される。そして、制御装置10は、ロードセル8,9から供給される計測値に基づいて、モータ5a,6aを制御することにより、調整ゲート5,6のゲート開度を制御する。
【0034】
制御装置10は、成型ロール7から原料3に作用させる圧力の目標値、圧力の目標値とロードセル8,9による圧力の計測値との偏差、および調整ゲート5,6の制御量から構成された制御用テーブルを、調整ゲート5,6の数だけ有している。制御装置10は、圧力の目標値とロードセル8,9による圧力の計測値との偏差を算出し、圧力の目標値と偏差とから制御用テーブルにおける調整ゲート5,6の制御量を索出する。そして、制御装置10は、索出した制御量に基づいて、ロードセル8,9による圧力の計測値が目標値になるように、調整ゲート5,6ごとにゲート開度を制御する。
【0035】
このように、製造装置1では、成型ロール7のロールギャップの上方に、幅方向に複数枚に分割された調整ゲート5,6が設けられており、かつ一方の成型ロール7の外側に、調整ゲート5,6の枚数と同数のロードセル8,9が幅方向に設けられている。
【0036】
これにより、原料3が供給されると、その供給量に応じた圧力がロードセル8,9で計測される。また、製造装置1では、予め目標の成型品質となるよう圧力目標値を設定し、各ロードセル8,9の計測値が圧力目標値になるように、幅方向で同じ位置に対応する調整ゲート5,6を上下させる。そして、この調整ゲート5,6を上昇させることにより、原料3の供給量が増加し、圧力が増加するとともに、調整ゲート5,6を下降させるとその逆となるため、各位置での原料3の供給量の制御が可能となる。
【0037】
(塊成体の製造装置の制御方法)
実施形態に係る塊成体の製造装置の制御方法について、図2を参照しながら説明する。以下では、原料供給調整手段を分割ゲート方式とし、計測方法をロードセル8,9とした場合の制御方法について説明する。
【0038】
まず、ロードセル8,9の計測値(圧力の計測値)が制御装置10に供給される(ステップS1)。続いて、制御装置10は、計測値を処理する(ステップS2)。続いて、制御装置10は、処理後の計測値と圧力目標値とを比較する(ステップS3)。
【0039】
続いて、制御装置10は、圧力目標値と計測値との偏差の絶対値が、予め設定した設定範囲内であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において、偏差の絶対値が設定範囲内ではないと判定した場合(ステップS4でNo)、制御装置10は、制御用テーブル記憶部10a,10bに記憶された制御用テーブルにより、出力値(制御量)索出する(ステップS5)。続いて、制御装置10は、索出した出力値に基づいて、調整ゲート5,6の開度を変更する(ステップS6)。
【0040】
続いて、制御装置10は、塊成体の製造中であるか否か(塊成体の製造を継続するか否か)を判定する(ステップS7)。塊成体を製造中ではないと判定した場合(ステップS7でNo)、制御装置10は本処理を完了する。
【0041】
ここで、ステップS4において、偏差の絶対値が設定範囲内であると判定した場合(ステップS4でYes)、制御装置10は、ステップS7以降の処理を行う。また、ステップS7において、塊成体を製造中であると判定した場合(ステップS7でYes)、制御装置10は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を行う。
【0042】
以上説明した塊成体の製造装置およびその制御方法によれば、一対の成型ロール7を用いて混練原料を塊成化した塊成体を製造するに際して、一対の成型ロール7に混合原料を奥幅方向に均一に装入することができる。これにより、塊成体を高品質かつ高生産性で製造することが可能となる。
【0043】
(実施例)
実施形態に係る塊成体の製造装置およびその制御方法の実施例について説明する。本実施例では、原料供給調整手段として調整ゲートを用い、供給量推定手段としてロードセルを用いた場合の、調整ゲートの枚数ごとの成型物IDの標準偏差を推定した。
【0044】
ここで、調整ゲートの枚数とロードセルの設置数は同数とする。また、塊成体の品質評価は、ID強度(30/15)(以下、「成型物ID」という)で評価した。また、塊成体のサイズは「30mm×25mm×18mm(6cc)」で、形状は卵型とする。また、推定効果モデルは、無限個の調整ゲートとロードセルが存在する場合に、成型物IDの標準偏差が限りなく0に近づくと仮定した。
【0045】
本実施例では、調整ゲートの制御が理想的に行われた場合(=各幅単位の成型ロールの圧力、すなわち幅単位の材料流入量が等しい場合)を想定し、下記式(1)により、成型物IDの標準偏差を算出した。
【0046】
y=aln(x)+b ・・・(1)
但し、x:調整ゲートの枚数、y:成型物IDの標準偏差、a,b:定数
【0047】
このうち、定数bは、調整ゲートが1枚のときの成型物IDの標準偏差であり、これは実機での計測結果より0.045であることから、定数は以下のように定まる。
【0048】
a=-0.005,b=0.045
【0049】
このモデル式を用いて、各調整ゲートの枚数ごとに成型物IDの標準偏差を推定した結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、調整ゲートの枚数の増加により、成型物IDの標準偏差が小さくなることが確認された。以上の結果から、調整ゲートの分割化の効果が実証された。
【0052】
以上、本発明に係る塊成体の製造装置およびその制御方法について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1 塊成体の製造装置
2 原料ホッパ
3 原料
4 スクリューフィーダ
4a,4b モータ
5,6 調整ゲート
5a,6a モータ
7 成型ロール
7a モータ
8,9 ロードセル
10 制御装置
10a,10b 制御用テーブル記憶部
図1
図2