(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144441
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】CLEC12AxCD3二重特異性抗体及び疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241003BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20241003BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20241003BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241003BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61K39/395 E
C07K16/46
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114173
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2021536006の分割
【原出願日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】18214478.2
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510340757
【氏名又は名称】メルス ナムローゼ フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル・ベルトルト・ヘンドリック・バッケル
(72)【発明者】
【氏名】コルネリス・ヤーコプ・ヨハンネス・ゲオルギ・ボル
(72)【発明者】
【氏名】ピーテル・フォッコ・ファン・ロー
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド・アンドレス・シリュルニク
(72)【発明者】
【氏名】エルネスト・アイザック・ワッサーマン
(57)【要約】
【課題】CLEC12A陽性癌の対象を治療する手段及び方法を提供する。
【解決手段】いくつかの実施形態において、本方法は、それを必要とする対象を、CDS及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の2回以上の投与で治療することを含み、第1の投与において、二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与のそれぞれにおいて、二重特異性抗体の量は、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い。いくつかの実施形態において、CLEC12A陽性癌治療法が、間隔をあけての投与レジメンにて提供され、該治療法により、造血幹細胞区画を温存し、正常なCLEC12A陽性造血細胞の回復を可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CLEC12A陽性癌の対象を治療する方法であって、それを必要とする前記対象を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の2回以上の投与で治療することを含み、第1の投与において、前記二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与において、二重特異性抗体の量は、前記第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体の分野、特に療法用抗体の分野に関する。抗体はヒトの治療に使用することができる。より具体的には、本発明は、癌の治療のための抗体、好ましくは二重特異性抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
急性骨髄性白血病(AML)は、世界で3番目に多い白血病であるが、過去40年間、疾患の転帰における進展はほとんど見られなかった(Arrighi,Soulas et al.2003,Lowenberg,Ossenkoppele et al.2009,Burnett,Wetzler et al.2011)。ヨーロッパの成人におけるAMLの年間発生率は、10万人当たり5~8人である。米国では、毎年10万人当たり4~5人がAMLと新たに診断され、毎年1万人がAMLで死亡している。若年成人の5年生存率は約40%であるが、これは年齢と共に大幅に低下し、高齢の患者では25%未満になる。導入化学療法後に形態学的完全寛解を達成した患者の大多数は、その後3年以内に再発する(Juliusson,Lazarevic et al.2012,Oran and Weisdorf 2012)。したがって、これらの患者は、より効果的な作用機序を持つ新しい薬剤の開発を緊急に必要としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Arrighi,Soulas et al.2003
【非特許文献2】Lowenberg,Ossenkoppele et al.2009
【非特許文献3】Burnett,Wetzler et al.2011
【非特許文献4】Juliusson,Lazarevic et al.2012
【非特許文献5】Oran and Weisdorf 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、AML芽球及び白血病幹細胞(LSC)上で特異的に発現する抗原に重点的に取り組む。この抗原は、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA又はCLEC12A(ヒト骨髄阻害性C型レクチン、hMICL、C型レクチン様分子-1、CLL-1、又はCD371とも呼ばれる)である(Bakker,van den Oudenrijn et al.2004,van Rhenen,van Dongen et al.2007)。CLEC12Aは、サブタイプに関係なく、de novo又は再発性AMLのいずれかの症例の90~95%で白血病細胞に発現する骨髄分化抗原である(Bakker,van den Oudenrijn et al 2004,Zhao,Singh et al.2010,Larsen,Roug et al.2012)。CLEC12Aは、CD34POSCD38NEG LSCで選択的に発現するが、in vitro及びin vivoのエビデンスに基づくと、正常な造血幹細胞(HSC)、赤血球前駆体、又は巨核球では発現しない(van Rhenen,van Dongen et al.2007,Kikushige and Miyamoto 2013)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、CLEC12AxCD3二重特異性抗体は、効率的なT細胞媒介性CLEC12A標的化を誘導し、正常なHSCに影響を与えることなく白血病細胞(白血病幹細胞を含む)を選択的に根絶することにより、治療後に正常な造血を迅速に再開し、それによって、血液毒性を制限できることが示されている。
【0006】
T細胞エンゲージャーフォーマットの多くは、血清半減期の短さ、免疫原性、製造面の難しさなどの問題に直面している(Brinkmann and Kontermann 2017)。本発明のCLEC12AxCD3二重特異性抗体は、良好な血清半減期を有する。本発明の手段及び方法は、治療剤に対する免疫応答を著しく誘導しない。
【0007】
本発明は、CLEC12A陽性癌の対象を治療する方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の2回以上の投与で治療することを含み、第1の投与において、二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与のそれぞれにおいて、二重特異性抗体の量は、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い。
【0008】
本発明はまた、対象におけるCLEC12A陽性癌の治療方法で使用するためのCD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を提供する。当該治療は、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の2回以上の投与を含み、第1の投与において、二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与のそれぞれにおいて、二重特異性抗体の量は、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い。
【0009】
一態様では、本発明は、CLEC12A陽性造血細胞、好ましくはCLEC12A陽性悪性細胞を対象からパージし、当該対象の造血系に正常細胞を再集団化させる方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を、間隔をあけて投与し、それによりCLEC12A陽性悪性細胞を死滅させることと、当該対象の造血幹細胞及び/又は造血前駆細胞を刺激して、当該造血系に、CLEC12A陽性細胞を含む新たに形成された造血幹細胞由来細胞を再集団化させることと、を含む。造血幹細胞は骨髄に存在する。有害なCLEC12A陽性細胞の存在は、健康な細胞の栄養素を奪い、区画を塞ぎ、それによって顆粒球、マクロファージ幹細胞の正常な成長と発達が制限される。マクロファージ幹細胞自体は、好塩基球、好中球、好酸球及び単球を生じさせる。本明細書に記載の二重特異性抗体の投与法によって、骨髄区画から有害なCLEC12A陽性細胞を除去することにより、健康な造血幹細胞の補充は、栄養素の利用可能性及び骨髄区画のスペースの増加よって刺激され、それらの成長、生存、並びに下流のCLEC12A陽性及びCLEC12A陰性の健康な細胞、例えば好塩基球、好中球、好酸球及び単球への分化が行われる。
【0010】
対象は、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄線維症、又は骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)を有すると診断された対象である。
【0011】
CLEC12A陽性癌の治療を受けている対象のために自己骨髄細胞移植片を調製する方法も提供される。該方法は、CLEC12A陽性細胞を死滅させるのに好適な条件下で、当該対象の骨髄細胞調製物を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体と共にインキュベートすることと、続いて、骨髄細胞を当該インキュベーションから収集することと、を含む。
【0012】
本発明は、対象におけるCLEC12A陽性癌を治療する方法を更に提供する。該方法は、CLEC12A陽性細胞を死滅させるのに好適な条件下で、当該対象の骨髄細胞調製物を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体と共にインキュベートすることと、対象を造血系切除療法で治療することと、当該対象に、インキュベートされた骨髄細胞を含む骨髄細胞移植片を提供することと、を含む。
【0013】
対象に、造血幹細胞を温存する癌治療を提供する方法が更に提供される。該方法は、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を、それを必要とする対象に投与することを含む。対象は、好ましくは、CLEC12A陽性癌を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】CLEC12AxCD3二重特異性抗体は、CLEC12A
POS及びCD3
POS標的細胞に特異的に結合する。CLEC12A及びCD3へのCLEC12AxCD3二重特異性抗体の結合は、フローサイトメトリーによって腫瘍細胞株のパネル上で測定された。HL60:CLEC12A
POS前骨髄性細胞株;CLEC12A-CHO-K1:ヒトCLEC12Aを安定して発現するCHO-K1細胞株(参照抗CLEC12A抗体で検証、データは示さず);CHO-K1:CLEC12A
NEG親CHO-K1細胞株;Jurkat E6.1:CD3
POST細胞株;J.RT-T3.5:CD3
NEGT細胞株。
【
図1B】CLEC12AxCD3二重特異性抗体は、CLEC12A
POS及びCD3
POS標的細胞に特異的に結合する。フローサイトメトリーによる正常な末梢血におけるCLEC12AxCD3二重特異性抗体結合プロファイル。分析されたサブセットのゲーティングストラテジーは、CD4T細胞:CD4
POS;CD8T細胞:CD8
POS;NK細胞:CD3
NEGCD56
POS;NKT細胞:CD3
POSCD56
POS;B細胞:CD19
POS;骨髄樹状細胞(DC):BDCA1
POSCD19
NEG;顆粒球:SSC-FSCに基づく;単球:CD14
POSCD33
POSであった。
【
図1C】CLEC12AxCD3二重特異性抗体は、CLEC12A
POS及びCD3
POS標的細胞に特異的に結合する。フローサイトメトリーによる正常骨髄のCD34
POS前駆細胞区画内で結合するCLEC12AxCD3二重特異性抗体。HSC:造血幹細胞;MPP:多能性前駆細胞;CMP:共通骨髄性前駆細胞;GMP:顆粒球-マクロファージ前駆細胞;MEP:巨核球-赤血球前駆細胞;CLP:共通リンパ球前駆細胞。最終的なFcフォーマット(サイレンシングされたFcエフェクター機能)でフォーマットされた、抗体MF4327及びMF5196並びにアイソタイプ対照IgGについて示されているデータ。
【
図2A】抗体MF4327xMF5196は、T細胞のCLEC12A特異的活性化を媒介し、これらのT細胞をリダイレクトして、CLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する。健康なドナーに由来する休止T細胞をネガティブ選択により精製し、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、対照IgG又はPBSの存在下でCFSE標識HL60細胞と共培養した。細胞を、1000ng/mLのIgG濃度で、示されたIgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)と一緒に、5:1のE:T比にて共インキュベートした。WTFcエフェクター機能を有する抗体MF4327xMF5196プロトタイプが、T細胞活性化を誘導する能力を、PBS条件と比較してフローサイトメトリーによって24/48/72時間後に定量化した。試験された10人超のうちの代表的な2人の健康なドナーについて示されたデータ。
【
図2B】抗体MF4327xMF5196は、T細胞のCLEC12A特異的活性化を媒介し、これらのT細胞をリダイレクトして、CLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する。健康なドナーに由来する休止T細胞をネガティブ選択により精製し、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、対照IgG又はPBSの存在下でCFSE標識HL60細胞と共培養した。細胞を、1000ng/mLのIgG濃度で、示されたIgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)と一緒に、5:1のE:T比にて共インキュベートした。WTFcエフェクター機能を有する抗体MF4327xMF5196プロトタイプが、標的細胞溶解を誘導する能力を、PBS条件と比較してフローサイトメトリーによって24/48/72時間後に定量化した。試験された10人超のうちの代表的な2人の健康なドナーについて示されたデータ。
【
図2C】抗体MF4327xMF5196は、T細胞のCLEC12A特異的活性化を媒介し、これらのT細胞をリダイレクトして、CLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する。健康なドナーに由来する休止T細胞をネガティブ選択により精製し、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、対照IgG又はPBSの存在下でCFSE標識HL60細胞と共培養した。細胞を、一連のIgG濃度で、示されたIgG(全てサイレンシングされたFcエフェクター機能を有する)と共に、5:1のE:T比にて共インキュベートした。抗体MF4327xMF5196(サイレンシングされたFcエフェクター機能を有する)が、CD4の活性化を誘導する能力を、PBS条件と比較してフローサイトメトリーによって48時間後に定量化した。示されているデータは代表的なドナーからのものであり、合計6人のドナーが3つの独立したアッセイで試験された。
【
図2D】抗体MF4327xMF5196は、T細胞のCLEC12A特異的活性化を媒介し、これらのT細胞をリダイレクトして、CLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する。健康なドナーに由来する休止T細胞をネガティブ選択により精製し、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、対照IgG又はPBSの存在下でCFSE標識HL60細胞と共培養した。細胞を、一連のIgG濃度で、示されたIgG(全てサイレンシングされたFcエフェクター機能を有する)と共に、5:1のE:T比にて共インキュベートした。抗体MF4327xMF5196(サイレンシングされたFcエフェクター機能を有する)が、CD8T細胞の活性化を誘導する能力を、PBS条件と比較してフローサイトメトリーによって48時間後に定量化した。示されているデータは代表的なドナーからのものであり、合計6人のドナーが3つの独立したアッセイで試験された。
【
図2E】抗体MF4327xMF5196は、T細胞のCLEC12A特異的活性化を媒介し、これらのT細胞をリダイレクトして、CLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する。健康なドナーに由来する休止T細胞をネガティブ選択により精製し、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、対照IgG又はPBSの存在下でCFSE標識HL60細胞と共培養した。細胞を、一連のIgG濃度で、示されたIgG(全てサイレンシングされたFcエフェクター機能を有する)と共に、5:1のE:T比にて共インキュベートした。抗体MF4327xMF5196(サイレンシングされたFcエフェクター機能を有する)が、標的細胞溶解を誘導する能力を、PBS条件と比較してフローサイトメトリーによって48時間後に定量化した。示されているデータは代表的なドナーからのものであり、合計6人のドナーが3つの独立したアッセイで試験された。
【
図3A】抗体MF4327xMF5196は、単球のCLEC12A媒介性溶解、及び炎症性サイトカイン放出を誘導し、CLEC12A抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を有する。健康なドナー由来のPBMCサンプルを、示された濃度範囲の抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3抗体と共培養し、PBS条件と比較した。T細胞活性化を、フローサイトメトリーを使用して48時間後に評価した。示されているデータは、1人のドナーからのものであり、複数の独立した実験からの4人の独立したドナーを代表している。
【
図3B】抗体MF4327xMF5196は、単球のCLEC12A媒介性溶解、及び炎症性サイトカイン放出を誘導し、CLEC12A抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を有する。健康なドナー由来のPBMCサンプルを、示された濃度範囲の抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3抗体と共培養し、PBS条件と比較した。自己T細胞による単球溶解を、フローサイトメトリーを使用して48時間後に評価した。示されているデータは、1人のドナーからのものであり、複数の独立した実験からの4人の独立したドナーを代表している。
【
図3C】抗体MF4327xMF5196は、単球のCLEC12A媒介性溶解、及び炎症性サイトカイン放出を誘導し、CLEC12A抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を有する。健康なドナー由来のPBMCサンプルを、示された濃度範囲の抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3抗体と共培養し、PBS条件と比較した。B細胞溶解を、フローサイトメトリーを使用して48時間後に評価した。示されているデータは、1人のドナーからのものであり、複数の独立した実験からの4人の独立したドナーを代表している。
【
図3D】抗体MF4327xMF5196は、単球のCLEC12A媒介性溶解、及び炎症性サイトカイン放出を誘導し、CLEC12A抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を有する。健康なドナーに由来する単球を、ネガティブ選択によって精製し、CFSE標識休止自己T細胞と、5:1のE:T比にて、1,000ng/mLの抗体MF4327xMF5196及びMockxCD3抗体(抗CD3IgGはWTFcエフェクター機能でフォーマットされた)と共に、5日間共培養した。T細胞の増殖は、CFSE陽性T細胞の減少によって実証された。示されているデータは、1人のドナーからのものであり、複数の独立した実験からの4人の独立したドナーを代表している。
【
図3E】抗体MF4327xMF5196は、単球のCLEC12A媒介性溶解、及び炎症性サイトカイン放出を誘導し、CLEC12A抗原特異的T細胞増殖を誘導する能力を有する。健康なドナー由来のPBMCを、1,000ng/mLの抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は抗CD3(CD3)抗体と共に48時間培養した。続いて、上清を回収し、ヒト10-plex Luminex設定を使用して、これらの上清中のヒトサイトカインレベルを測定した。示されている6つのサイトカインについてサイトカインレベルが検出可能であった。示されているデータは、2人の代表的な健康なPBMCドナーからのものであり、各ドナーについて重複しており、8人の健康なドナーからのPBMCを試験した。
【
図4A】抗体MF4327xMF5196は、正常な骨髄前駆細胞が完全な骨髄系及び赤血球系を発達させる潜在力を温存する。健康なドナー骨髄からのCD34
POS造血前駆細胞を、自己前活性化T細胞と、200ng/mL抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3の存在下で、10:1のE:T比にて16時間共培養した。定量化されたフローサイトメトリーの設定を使用して、抗体MF4327xMF5196誘導性溶解を、示された細胞分画の非IgG条件と比較して測定した。各データ点は、3回試験された独立した骨髄ドナーの平均値を表す(n=4)。ゲーティングストラテジーを
図10に示す。
【
図4B】抗体MF4327xMF5196は、正常な骨髄前駆細胞が完全な骨髄系及び赤血球系を発達させる潜在力を温存する。健康なドナー骨髄からのCD34
POS造血前駆細胞を、自己前活性化T細胞と、200ng/mL抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3の存在下で、10:1のE:T比にて16時間共培養した。16時間の細胞傷害アッセイ後の異なるCD34
POS骨髄集団に対する抗体MF4327xMF5196の影響の分析であり、3人のドナーの絶対数を示している。CD34
POS前駆細胞のゲーティングを
図11に示す。異なる試験条件での絶対数の定量化は、フローカウント蛍光球で測定された総CD34
POS細胞の頻度及び絶対数の積分によって計算された。データは、重複測定の平均を示している。
【
図4C】抗体MF4327xMF5196は、正常な骨髄前駆細胞が完全な骨髄系及び赤血球系を発達させる潜在力を温存する。健康なドナー骨髄からのCD34
POS造血前駆細胞を、自己前活性化T細胞と、200ng/mL抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3の存在下で、10:1のE:T比にて16時間共培養した。CD34
POSLIN
NEG細胞でゲーティングされた、示された条件での16時間の細胞傷害アッセイ後の、CLEC12A及び/又はCD123発現サブセットに対する抗体MF4327xMF5196の影響を示す散乱プロット。2人のうち1人の代表的なドナーが示されている。
【
図4D】抗体MF4327xMF5196は、正常な骨髄前駆細胞が完全な骨髄系及び赤血球系を発達させる潜在力を温存する。健康なドナー骨髄からのCD34
POS造血前駆細胞を、自己前活性化T細胞と、200ng/mL抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3の存在下で、10:1のE:T比にて16時間共培養した。抗体MF4327xMF5196を用いた16時間の細胞傷害アッセイでのCD34
POS細胞が、顆粒球マクロファージコロニー(CFU-GM)、バースト形成単位赤血球(BFU-E)及び巨核球コロニー(CFU-Mk)を生じさせる能力を、4人の異なるドナーからの半固形培地で2週間培養した後、定量化した。対照培養物は、IgGで処理されていない共培養物又は単独で接種されたCD34
POS細胞のいずれかである。各データ点は、ドナー毎の3回の培養(CFU-GM及びBFU-E)又は4回の培養(CFU-Mk)の平均値を表す。
【
図4E】抗体MF4327xMF5196は、正常な骨髄前駆細胞が完全な骨髄系及び赤血球系を発達させる潜在力を温存する。健康なドナー骨髄からのCD34
POS造血前駆細胞を、自己前活性化T細胞と、200ng/mL抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3の存在下で、10:1のE:T比にて16時間共培養した。
図4Dに記載されている2週間のMethoCult培養物のCD15
POSCD33
POS及びCD14
POSCD36
POSCD33
POS細胞含有量のフローサイトメトリー分析。データは、3人の異なるドナーの全CD33
POS細胞のうち単球及び骨髄球細胞の頻度を示している。HSC:造血幹細胞;MPP:多能性前駆細胞;CMP:共通骨髄性前駆細胞;GMP:顆粒球-マクロファージ前駆細胞;MEP:巨核球-赤血球前駆細胞;CLP:共通リンパ球前駆細胞。studentのt検定(両側)を使用して、統計解析を行った。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001。
【
図5A】抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞によるCLEC12A
POS初代AML芽球のリダイレクトされた溶解を効率的に誘導する。臨床的寛解期にあるAML患者の末梢血から単離された休止CD3
POST細胞を、AML診断時に収集されたCFSE標識CLEC12A
POS自己初代AML芽球と48時間共培養した。E:T比は5:1で、IgGは、1,000ng/mLの濃度:抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は対照IgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)で添加した。PBS条件と比較して各IgGによって誘導されたAML芽球溶解の程度を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。AML芽球サンプル及び自己T細胞が得られたAMLの段階を示す図。
【
図5B】抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞によるCLEC12A
POS初代AML芽球のリダイレクトされた溶解を効率的に誘導する。臨床的寛解期にあるAML患者の末梢血から単離された休止CD3
POST細胞を、AML診断時に収集されたCFSE標識CLEC12A
POS自己初代AML芽球と48時間共培養した。E:T比は5:1で、IgGは、1,000ng/mLの濃度:抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は対照IgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)で添加した。PBS条件と比較して各IgGによって誘導されたAML芽球溶解の程度を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。初代AML芽球サンプル(CD45
±SSC±として定義されるAML芽球)でのCLEC12A抗原の発現。ヒストグラムは、各患者サンプルの抗CLEC12AIgG結合を示しており、リンパ球は灰色で示され、AML芽球は黒色で示されている。CLEC12A陽性のゲートは、CLEC12A陰性リンパ球分画に基づいて設定された。CLEC12A陽性芽球の割合が示されている。
【
図5C】抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞によるCLEC12A
POS初代AML芽球のリダイレクトされた溶解を効率的に誘導する。臨床的寛解期にあるAML患者の末梢血から単離された休止CD3
POST細胞を、AML診断時に収集されたCFSE標識CLEC12A
POS自己初代AML芽球と48時間共培養した。E:T比は5:1で、IgGは、1,000ng/mLの濃度:抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は対照IgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)で添加した。PBS条件と比較して各IgGによって誘導されたAML芽球溶解の程度を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。AML患者のCD4
POSの活性化状態。
【
図5D】抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞によるCLEC12A
POS初代AML芽球のリダイレクトされた溶解を効率的に誘導する。臨床的寛解期にあるAML患者の末梢血から単離された休止CD3
POST細胞を、AML診断時に収集されたCFSE標識CLEC12A
POS自己初代AML芽球と48時間共培養した。E:T比は5:1で、IgGは、1,000ng/mLの濃度:抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は対照IgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)で添加した。PBS条件と比較して各IgGによって誘導されたAML芽球溶解の程度を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。CD8
POST細胞の活性化状態。
【
図5E】抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞によるCLEC12A
POS初代AML芽球のリダイレクトされた溶解を効率的に誘導する。臨床的寛解期にあるAML患者の末梢血から単離された休止CD3
POST細胞を、AML診断時に収集されたCFSE標識CLEC12A
POS自己初代AML芽球と48時間共培養した。E:T比は5:1で、IgGは、1,000ng/mLの濃度:抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は対照IgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)で添加した。PBS条件と比較して各IgGによって誘導されたAML芽球溶解の程度を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。示されたIgG(PBSと比較して)とインキュベートした場合の自己初代T細胞によって媒介されるCLEC12A
POS初代AML芽球の細胞傷害。示されているデータは、3回試験された3つのAML患者サンプル(患者7~9、表IIIを参照)の平均±SEである。データは、PBSと比較してANOVAによって分析した:
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図6】抗体MF4327xMF5196は、初代AMLサンプルにおいてAML芽球の死滅を誘導する。AML診断時に得られた初代AML患者サンプルを、サイトカインカクテルを補充した培地で10日間培養して、AML芽球の生存をサポートした。抗体MF4327xMF5196又はMockxCD3抗体を200ng/mLで追加した。各患者について、CD45xCD33プロットは、0日目及び10日目の各IgGのライブゲートを示している。T細胞は赤色で示され、AML芽球は青色で示され(CD45
±SSC
±として定義)、T細胞及びAML芽球の割合が示されている。0日目のヒストグラムは、各患者のAML芽球細胞のCLEC12A発現レベルを示している。抗CLEC12A抗体を使用した染色は黒色で示され、アイソタイプ対照抗体を使用した染色は灰色で示されている。
【
図7】フローサイトメトリーによってHL60標的細胞の溶解を定量化するために使用されるゲーティングストラテジー。固定量の細胞をフローサイトメトリーで測定した。生存細胞をFSC-SSCプロファイル(左側のプロット)に基づいてゲーティングした。次に、ライブゲート内で、CFSE
POSHL60細胞をゲーティングした(右側のプロット)。そのゲート内のCFSE
POS生存HL60標的細胞の絶対数を使用して、材料及び方法の項で説明されているように、HL60標的細胞溶解の割合を計算した。上のプロットは、細胞傷害のないPBS条件を示し、下のプロットは、HL60細胞傷害が観察された抗体MF4327xMF5196条件を示している。
【
図8-1】PBMCベースの単球細胞傷害アッセイにおける細胞傷害を定量化するために使用されるゲーティングストラテジー。単球(CD14
POS)、CD4(CD4
POSCD3
POS)及びCD8(CD8
POSCD3
POS)T細胞、及びB細胞(CD19
POS)を、示されているようにゲートアウトした。材料及び方法の項に記載されるように、PBS対照条件(
図8-1)と比較して、試験IgG条件(
図8-2)によって誘導された細胞傷害の割合を計算するために、固定量のアッセイ培地で測定された単球及びB細胞の絶対数を定量化して使用した。CD4
POS及びCD8
POST細胞サブセットをT細胞集団内で同定し、活性化マーカーCD69を使用して、PBS対照条件と比較して、それらの活性化状態を求めた。
【
図8-2】PBMCベースの単球細胞傷害アッセイにおける細胞傷害を定量化するために使用されるゲーティングストラテジー。単球(CD14
POS)、CD4(CD4
POSCD3
POS)及びCD8(CD8
POSCD3
POS)T細胞、及びB細胞(CD19
POS)を、示されているようにゲートアウトした。材料及び方法の項に記載されるように、PBS対照条件(上
図8-1)と比較して、試験IgG条件(
図8-2)によって誘導された細胞傷害の割合を計算するために、固定量のアッセイ培地で測定された単球及びB細胞の絶対数を定量化して使用した。CD4
POS及びCD8
POST細胞サブセットをT細胞集団内で同定し、活性化マーカーCD69を使用して、PBS対照条件と比較して、それらの活性化状態を求めた。
【
図9】抗体MF4327xMF5196二重特異性IgGの活性は、E:T比に依存する。健康なドナー由来の休止T細胞を、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、又は対照IgGの存在下でCFSE標識HL60細胞と共培養した。1,000ng/mLIgGでのHL60標的細胞溶解に対するE:T比を増加させることの影響を、48時間の共培養後に測定した。
【
図10A】健康なドナー骨髄CD34
POS前駆細胞の回復を定量化するために使用されるゲーティングストラテジー。示されているように、総CD34
POS細胞、CLEC12A
POS、CLEC12A
NEGCD10
NEG、及びCLEC12A
NEGCD10
NEG細胞をゲーティングした。FSC及びSSCのエリア及び幅に基づいて最初の単細胞をゲーティングし、次にFSC-SSCプロファイル及び7AAD陰性に基づいて生存細胞を定義した。生存細胞内で、CD34及びCD5を使用して、共培養されたT細胞からCD34
POS細胞をゲーティングした。全CD34
POS細胞内で、細胞をCLEC12A及びCD10の発現に基づいて3つの集団に分割した。CD34
POS集団の定量化のために、既知濃度のフローカウント蛍光球の固定量を、取得前に各サンプルに追加した。1mL当たりの細胞の絶対数を、蛍光球と細胞の比に基づいて計算した。
【
図10B】健康なドナー骨髄CD34
POS前駆細胞の回復を定量化するために使用されるゲーティングストラテジー。1人の代表的なドナーの全ての試験条件における様々なCD34
POS集団を示す散乱プロット。
【
図11-1】異なるCD34
POS前駆細胞の同一性及び相対比を判定するために使用されるゲーティングストラテジー。FSC及びSSCのエリア及び幅に基づいて最初の単細胞をゲーティングし、次にFSC-SSCプロファイル及び7AAD陰性に基づいて生存細胞を定義した。生存細胞内で、系統陰性のCD34
POS細胞をゲーティングし、続いてFSC-SSCバックゲートを行った。その後、細胞をCD38
POS区画及びCD38
NEG区画に分割した。CD34
POSCD38
POS区画内で、CLPをCD10発現に基づいてゲーティングした。CD10の発現を欠く細胞を、CD123及びCD45RAの発現に基づいて、CMP、MEP、及びGMPに更に分離した。一部のドナーについては、これら3つの集団を定義するために、CD123の代わりにCD135を使用した。CD34
POSCD38
NEG区画内で、HSC及びMPPを、CD90及びCD45RAの発現に従って定義した。蛍光色素を1つ除いた(fluorescence-minus one)対照で、ゲートを確認した。HSC:造血幹細胞;MPP:多能性前駆細胞;CMP:共通骨髄性前駆細胞;GMP:顆粒球-マクロファージ前駆細胞;MEP:巨核球-赤血球前駆細胞;CLP:共通リンパ球前駆細胞。
【
図11-2】異なるCD34
POS前駆細胞の同一性及び相対比を判定するために使用されるゲーティングストラテジー。FSC及びSSCのエリア及び幅に基づいて最初の単細胞をゲーティングし、次にFSC-SSCプロファイル及び7AAD陰性に基づいて生存細胞を定義した。生存細胞内で、系統陰性のCD34
POS細胞をゲーティングし、続いてFSC-SSCバックゲートを行った。その後、細胞をCD38
POS区画及びCD38
NEG区画に分割した。CD34
POSCD38
POS区画内で、CLPをCD10発現に基づいてゲーティングした。CD10の発現を欠く細胞を、CD123及びCD45RAの発現に基づいて、CMP、MEP、及びGMPに更に分離した。一部のドナーについては、これら3つの集団を定義するために、CD123の代わりにCD135を使用した。CD34
POSCD38
NEG区画内で、HSC及びMPPを、CD90及びCD45RAの発現に従って定義した。蛍光色素を1つ除いた(fluorescence-minus one)対照で、ゲートを確認した。HSC:造血幹細胞;MPP:多能性前駆細胞;CMP:共通骨髄性前駆細胞;GMP:顆粒球-マクロファージ前駆細胞;MEP:巨核球-赤血球前駆細胞;CLP:共通リンパ球前駆細胞。
【
図11-3】異なるCD34
POS前駆細胞の同一性及び相対比を判定するために使用されるゲーティングストラテジー。FSC及びSSCのエリア及び幅に基づいて最初の単細胞をゲーティングし、次にFSC-SSCプロファイル及び7AAD陰性に基づいて生存細胞を定義した。生存細胞内で、系統陰性のCD34
POS細胞をゲーティングし、続いてFSC-SSCバックゲートを行った。その後、細胞をCD38
POS区画及びCD38
NEG区画に分割した。CD34
POSCD38
POS区画内で、CLPをCD10発現に基づいてゲーティングした。CD10の発現を欠く細胞を、CD123及びCD45RAの発現に基づいて、CMP、MEP、及びGMPに更に分離した。一部のドナーについては、これら3つの集団を定義するために、CD123の代わりにCD135を使用した。CD34
POSCD38
NEG区画内で、HSC及びMPPを、CD90及びCD45RAの発現に従って定義した。蛍光色素を1つ除いた(fluorescence-minus one)対照で、ゲートを確認した。HSC:造血幹細胞;MPP:多能性前駆細胞;CMP:共通骨髄性前駆細胞;GMP:顆粒球-マクロファージ前駆細胞;MEP:巨核球-赤血球前駆細胞;CLP:共通リンパ球前駆細胞。
【
図12】抗体MF4327xMF5196は、AML患者T細胞及び健康なドナーT細胞をリダイレクトして、CLEC12A
POSAML細胞株を同等の効率で特異的に溶解する。休止CD3
POST細胞を、6人の健康なドナー又は臨床的寛解期にある6人のAML患者(患者1~6;患者の特徴については表IIIを参照されたい)の末梢血から単離した。単離されたT細胞を、CFSE標識HL60標的細胞と、1,000ng/mLの抗体MF4327xMF5196、MockxCD3IgG、又は対照IgG(全てWTFcエフェクター機能を有する)の存在下で48時間、5:1のE:T比にて共培養した。(A-B)その後HL60標的細胞溶解に使用される、健康なドナー(HD)又はAML患者から得られたT細胞のCD3
POS分画内のCD4
POST細胞(A)及びCD8
POST細胞(B)のサブセット組成を分析するためのフローサイトメトリー。T
CM:セントラルメモリーT細胞;T
Naive:ナイーブT細胞;T
EMRA+:再取得されたCD45RAを有するエフェクターメモリー細胞。T
EM:エフェクターメモリーT細胞。(C-E)フローサイトメトリーによって分析され、かつ示されたIgG及びT細胞源についてPBS条件と比較された、CD4
POST細胞(C)及びCD8
POST細胞(D)の活性化、並びにHL60標的細胞溶解(E)。各円は、3回試験された単一のT細胞ドナーの平均値を表す。データは、ANOVAによりPBSと比較して分析した:
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図13】SSC
lowCD45
dimCD34
+CD38
-CLEC12A
±細胞の二次平板培養で生成された、細胞の形態及びJAK2V617F変異状態。再平板培養されたCLEC12A陽性細胞のMay-Giemsa染色を行い、個々のコロニーを採取し、JAK2ドライバー変異について試験した。
【
図14A】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIL-6レベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に1mgのプライミング用量、続いて4日目に3mg及び8日目に15mgのステップアップ用量、そして15日目に25mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図14B】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIL-8レベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に1mgのプライミング用量、続いて4日目に3mg及び8日目に15mgのステップアップ用量、そして15日目に25mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図14C】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のTNFαレベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に1mgのプライミング用量、続いて4日目に3mg及び8日目に15mgのステップアップ用量、そして15日目に25mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図14D】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIFNγレベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に1mgのプライミング用量、続いて4日目に3mg及び8日目に15mgのステップアップ用量、そして15日目に25mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図15A】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIL-6レベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に3mgのプライミング用量、続いて4日目に10mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に40mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図15B】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIL-8レベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に3mgのプライミング用量、続いて4日目に10mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に40mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図15C】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のTNFαレベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に3mgのプライミング用量、続いて4日目に10mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に40mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図15D】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIFNγレベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に3mgのプライミング用量、続いて4日目に10mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に40mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図16A】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIL-6レベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に5mgのプライミング用量、続いて4日目に15mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に60mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図16B】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIL-8レベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に5mgのプライミング用量、続いて4日目に15mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に60mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図16C】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のTNFαレベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に5mgのプライミング用量、続いて4日目に15mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に60mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【
図16D】抗体MF4327xMF5196で治療された患者のIFNγレベル。PG/mlで、投与前、注入終了後4時間及び24時間で測定した。投与は、1日目、4日目、8日目、及び22日目に行われた。1日目に5mgのプライミング用量、続いて4日目に15mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に60mgの全用量を患者に投与した。また、治療サイクルの終了時(28日目)にサイトカインレベルも測定した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
療法用モノクローナル抗体(mAbs)の投与は、多くの場合、体の大きさに基づく。これは、体の大きさに基づく投与が薬物曝露における対象間のばらつきを低減するという考えによるものである。しかしながら、ほとんどのmAbは、標的特異的であり、治療ウィンドウが比較的大きく、概して薬物動態の変動に対する体の大きさの寄与は小さい。一方、抗体の種類、抗体の標的特異性、及びその他の要因によっては、抗体は、重篤なオン/オフターゲット副作用を示す可能性がある。それらのより深刻なもののいくつかは、サイトカイン放出症候群(CRS)と総称される症状である。サイトカイン放出症候群は、いくつかの疾患又は感染症の合併症として発生する全身性炎症反応症候群の一種であり、いくつかの抗体薬及び養子T細胞療法の有害作用として発生することが知られている。重篤な症例は「サイトカインストーム」とも呼ばれている。
【0016】
CRSを引き起こす最初のモノクローナル抗体薬であるムロモナブ-CD3の承認以来、CRSは抗体治療の潜在的な有害作用として知られている。しかし、この問題は、アゴニストCD28結合抗体TGN1412を用いた2006年の第I相臨床試験後に、重篤なものとして認識されるようになった。6人の健康なボランティア全員が、重篤なCRSを示し、深刻な病状になった。
【0017】
最近では、CD3抗体との関連で、CD3/CD19及びCD3/CD123二重特異性抗体を用いた臨床試験が延期されたことを強調している(Johnson A.Oct 9,2018 and Sheridan C,2016)。
【0018】
本発明において、第1の投与として投与するプライミング用量、それに続く全用量のCD3及びCLEC12Aに結合する抗体が有効であり、CLEC12A陽性癌の治療を受けた対象によって十分に許容されることが見出された。理論に束縛されるものではないが、1回以上のステップで全用量に漸増する低用量でのプライミングが、これに役立つと考えられている。プライミング用量は、典型的には1回投与であるが、2回投与することもでき、あるいはそれ以上の投与回数で投与することができる。プライミング用量に続いて、全用量に達するまで、用量を段階的に増加させてステップアップ用量とすることができる。抗体の第1の量は、好ましくはプライミング用量である。抗体用量は、典型的には、定期的な間隔で投与される。プライミング投与と後続のプライミング又はステップアップ投与との間の間隔は、1日を超える場合、1~7日の間で変動する可能性があるが、典型的には1日又は3日である。ステップアップ用量の後続の投与における間隔は、1日を超える場合、3~7日の間で変動する可能性があるが、典型的には3日である。全用量の投与の間隔は、典型的には、1週間である。第1のプライミング投与と後続のステップアップ投与との間の間隔は、あったとしても、典型的には3日である。最後のステップアップ投与と後続の全用量投与との間の間隔は、あったとしても、3~7日の間で変動する可能性があるが、典型的には3日である。第1の投与と後続の全用量の投与との間の間隔は、典型的には、7日である。用量の投与は、典型的には、1日当たりに計算される。プライミング用量、ステップアップ用量又は全用量は、1日に投与される量である。実際の投与には、ある程度時間がかかる場合がある。これは、典型的には、1時間以上にわたる注入である必要はない。
【0019】
従来技術では、有効量を迅速に見つけ、治療量以下の用量への患者の不必要な曝露を回避するための臨床試験で用量漸増研究が主に行われている(Tourneau,Michiels et al.2009)。本発明では、治療量を迅速に見つけ、治療量以下の用量への患者の曝露を回避するためには、プライミング用量は投与されない。その代わりに、全用量に達したときに、治療された集団における副作用の発生率及び/又は程度を同時に低減しながら、対象を治療するように設計された投与レジメンの一部として対象に投与される。
【0020】
本発明は、CLEC12A陽性癌の対象を治療する方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の2回以上の投与で治療することを含み、第1の投与において、二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与において、二重特異性抗体の量は、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い。当該2回以上の投与における第2の投与される二重特異性抗体の量は、好ましくは、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多く、2回を超える投与の場合、第2の投与がステップアップ用量を伴う場合、当該2回以上の投与における第3の二重特異性抗体の量よりも少ない。第2の投与が全用量である場合、第2及び第3の投与で投与される二重特異性抗体の量は等しい。好ましくは、当該2回以上の投与における第3の投与される二重特異性抗体の量は、当該2回以上の投与における第2の二重特異性抗体の量よりも多く、第3の投与がステップアップ用量を伴う場合、当該2回以上の投与における第4の量よりも少ない。当該二重特異性抗体の漸増量の投与後、すなわち、プライミング及びステップアップ期の後、二重特異性抗体は、好ましくは、後続の投与のそれぞれにおいて、本質的に一定の用量で投与される。本質的に一定の用量は、全用量とも呼ばれる。
【0021】
後続の投与のそれぞれにおける本質的に一定の用量は、好ましくは、当該二重特異性抗体の少なくとも15mgである。本質的に一定の用量は、好ましくは、後続の投与1回当たりの当該二重特異性抗体の、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55mg、好ましくは60~600mg、例えば60~120;60~180;60~200;60~240;60~480;120~240;120~480;240~480;又は240~600mgである。
【0022】
二重特異性抗体の第1の量は、好ましくは9mg以下、例えば1~9mg又は1~5mg、好ましくは3mg以下、例えば1~3mg、より好ましくは約1mg、更により好ましくは約3mg、最も好ましくは約5mgである。
【0023】
漸増量の抗体の投与は、好ましくは、投与間で3~4日の間隔で行われる。本質的に一定量の抗体の投与日の間隔は、好ましくは6~8日、好ましくは7日である。
【0024】
二重特異性抗体の第1の量は、好ましくは、二重特異性抗体の治療量以下の量である。二重特異性抗体の治療量以下の量は、1週間に1回の投与で投与された場合、典型的には治療効果をもたらさない抗体の量である。
【0025】
一実施形態では、1~9mgの第1の量の二重特異性抗体が、治療の1日目に投与される。治療の3、4、又は5日目に、3~20mg、好ましくは10~20mgの第1のステップアップ用量が投与される。治療の7、8、又は9日目に、15~30mg、好ましくは20~30mgの第2のステップアップ用量が投与され、そして、治療の14、15又は16日目に、25~600mgの全用量が投与される。
【0026】
一実施形態では、1mgの第1の量の二重特異性抗体が、治療の1日目に投与される。3mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。15mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、25mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0027】
一実施形態では、3mgの第1の量の二重特異性抗体が、治療の1日目に投与される。15mgのステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。そして、25mgの全用量が、治療の8日目に投与される。
【0028】
一実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgのステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。そして、25mgの全用量が、治療の8日目に投与される。
【0029】
一実施形態では、3mgの第1の量の二重特異性抗体が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、40mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0030】
一実施形態では、3mgの第1の量の二重特異性抗体が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、40mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0031】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、40mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0032】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、40mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0033】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、60mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0034】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、60mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0035】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、60mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0036】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与される。そして、60mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0037】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、120mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0038】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、120mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0039】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、120mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0040】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、120mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0041】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、240mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0042】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、240mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0043】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、240mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0044】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、240mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0045】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、400mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0046】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、400mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0047】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、400mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0048】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、400mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0049】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、600mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0050】
別の実施形態では、3mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、600mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0051】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。10mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、600mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0052】
別の実施形態では、5mgの二重特異性抗体の第1の量が、治療の1日目に投与される。15mgの第1のステップアップ用量が、治療の4日目に投与される。25mgの第2のステップアップ用量が、治療の8日目に投与され、600mgの全用量が、治療の15日目に投与される。
【0053】
ある用量から別の用量、例えば25mgから240mgへのステップがCRS症候群を引き起こすと思われる場合、投与レジメンは、例えば120mgの1回以上の更なるステップアップ用量を含むように適合させることができる。また、ステップアップ用量及び/又は全用量の間隔の延長を決めることもできる。これらの原則は、本明細書に開示される投与レジメンのいずれにも適用することができる。
【0054】
本発明は、好ましくは別々の時間間隔で、特定の投与方法を使用する。投与レジメンは、効果的で安全な全用量を投与するように設計されている。一態様では、安全な用量は、サイトカイン放出症候群(CRS)の重症度及び発生率を予防及び最小化することを目的としている。
【0055】
好ましい投与レジメンは、1回以上の投与でプライミング用量を投与することと、1回以上のステップアップ用量を投与することと、を含み、用量は、全用量に達するまで用量の増分と共に増加する。増分は、好ましくは段階的である。一態様では、増分は、全用量又は維持用量に達するまで、等しい増分である。しかしながら、低い若しくは非常に低いプライミング用量及び/又は第1のステップアップ用量で開始することと比較して、より高いプライミング用量及び/又はより高い第1のステップアップ用量で開始することにより、全用量で、例えばサイトカイン放出などの副作用がそれほど重篤ではなくなることが見出された。言い換えれば、より高いプライミング用量で開始すると、より低いプライミング用量で開始するよりも、サイトカイン放出がより効果的に軽減される。例示的なより高いプライミング用量は、例えば、3又は5mgである。より低いプライミング用量は、例えば、1mgである。
【0056】
全用量は、典型的には、治療期間にわたって固定されるが、対象の個々の治療反応及び/又は副作用反応に応じて、上下に調整することができる。
【0057】
1回以上のステップアップ用量は、好ましくは、第1の投与の1週間又は2週間で投与される。一実施形態では、第1のプライミング用量及びステップアップ用量が3日に1回(D1-D4-D8)に投与され、その後、7日に1回(1週間に1回)に全用量が投与される。8日目(D8)の用量は、全用量と等しくすることができる。全用量は、ステップアップ投与の回数に応じて、8~15日目から開始することが好ましい。
【0058】
本発明の一態様では、抗体の1回以上の投与は、アセトアミノフェン及び抗ヒスタミンによる前及び/又は同時治療を伴う。抗ヒスタミンは、好ましくは、H1拮抗薬である。H1拮抗薬は、H1受容体でのヒスタミンの作用を阻害する。アセトアミノフェン及び抗ヒスタミンによる治療は、好ましくは、抗体投与と同じ日に、好ましくは抗体投与の前に行われる。アセトアミノフェン及び抗ヒスタミンによる治療は、好ましくは、各抗体投与と共に行われる。
【0059】
対象におけるCLEC12A陽性癌の治療方法で使用するためのCD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体が提供される。当該治療は、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の2回以上の投与を含み、第1の投与において、二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与のそれぞれにおいて、二重特異性抗体の量は、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い。本発明は、対象におけるCLEC12A陽性癌の治療のための医薬品の製造のためのCD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の使用を更に提供する。第1の投与において、二重特異性抗体の第1の量が投与され、後続の投与のそれぞれにおいて、二重特異性抗体の量は、第1の投与における二重特異性抗体の量よりも多い。
【0060】
対象からCLEC12A陽性造血細胞をパージし、当該対象の当該造血系に正常なCLEC12A陽性細胞を再集団化させる方法が更に提供される。該方法は、それを必要とする対象に、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を、間隔をあけて投与し、それにより当該対象の造血幹細胞を刺激して、当該造血系に、CLEC12A陽性細胞を含む新たに形成された造血幹細胞由来細胞を再集団化させることを含む。対象は、好ましくは、AML、骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)、骨髄線維症(MF)、又は骨髄異形成症候群(MDS)を有する対象である。好ましい実施形態では、対象は、骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)、骨髄線維症(MF)、又は骨髄異形成症候群(MDS)を有する。正常な造血幹細胞は、主にCLEC12A陰性であることが判明した。前駆細胞分画では、CLEC12Aの発現は、顆粒球-マクロファージ前駆細胞(GMP)細胞と、共通骨髄性前駆細胞(CMP)及び巨核球-赤血球前駆細胞(MEP)細胞の分画に限定される。CLEC12A陽性細胞のパージ後、パージされていないCMP及びMEPは、GMP及びBFU-E(赤血球)及びCFU-Mk(巨核球)をなお生じさせる可能性がある。本明細書に記載のCD3xCLEC12A二重特異性抗体による治療は、造血幹細胞及び前駆細胞の潜在力をそのまま維持しながら、悪性細胞を除去することができる。これらは、本明細書に記載の抗体で治療すると刺激されて、造血系に、CLEC12A陽性細胞を含む新しい健康な細胞を再集団化させる。刺激された細胞はまた、新たに分化したCLEC12A陰性細胞を産生する。これは、抗体による治療で達成でき、その結果、CD19又はCD123又は他の標的を使用するCD3エンゲージャーアプローチと比較した場合、造血系からCLEC12A陽性細胞を除去することによる免疫学的影響を少なくとも軽減する。再集団化時間は、CD19及びCD123などの他のCD3エンゲージャーアプローチよりも少なくとも短くなる。更に、本発明の治療においてCFU-Mk及びBFU-E前駆細胞が温存されるので、他のCD3エンゲージャーフォーマットと比較した場合に、造血系の血小板産生能及び赤血球産生能もまた温存される。
【0061】
CLEC12A陽性造血細胞を対象からパージし、当該対象の造血系に正常なCLEC12A陽性細胞を再集団化させる方法も提供される。該方法は、それを必要とする対象に、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を、間隔をあけて投与し、それにより当該対象の造血幹細胞及び/又は造血前駆細胞を誘導して、当該造血系に、新たに形成された造血幹細胞由来のCLEC12A陽性細胞を再集団化させることを含む。
【0062】
対象における顆粒球及び単球の発達を刺激するための方法が更に提供される。当該方法は、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を、それを必要とする対象に間隔をあけて投与し、それによってCLEC12A陰性造血幹細胞又は前駆細胞から顆粒球及び単球の発達を誘導することを含む。間隔をあけての投与は、好ましくは、本明細書で上述したとおりの間隔に従う。投与スケジュールは、好ましくは本明細書に記載されるとおりである。
【0063】
対象は、好ましくは、AML、骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)、骨髄線維症(MF)、又は骨髄異形成症候群(MDS)を有する対象である。好ましい実施形態では、対象は、骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)、骨髄線維症(MF)、又は骨髄異形成症候群(MDS)を有する。
【0064】
CLEC12A陽性癌の治療を受けている対象のために自己骨髄細胞移植片を調製する方法も提供される。該方法は、CLEC12A陽性細胞を死滅させるのに好適な条件下で、当該対象の骨髄細胞調製物を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体と共にインキュベートすることと、続いて、骨髄細胞を当該インキュベーションから収集することと、を含む。対象におけるCLEC12A陽性癌を治療する方法が更に提供される。該方法は、CLEC12A陽性細胞を死滅させるのに好適な条件下で、当該対象の骨髄細胞調製物を、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体と共にインキュベートすることと、対象を造血系切除療法で治療することと、当該対象に、当該インキュベートされた骨髄細胞を含む骨髄細胞移植片を提供することと、を含む。骨髄又は移植片内の血液に由来する自己移植片のT細胞は、自己移植片からCLEC12A陽性細胞を排除するために再標的化される。本明細書に開示されるCD3及びCLEC12A二重特異性抗体は、エフェクター標的細胞比が低い場合であっても、例えば1:3~1:97の範囲、及び
図6と表IIに反映されるレベルであっても有効である。本明細書で言及されるようなCLEC12A陽性細胞を死滅させるのに好適な条件は、自己T細胞又は前活性化T細胞などのT細胞の存在を伴う。このような細胞は通常、かなりの量の血液が存在する結果としての骨髄調製物に存在し、これは現在の多くの骨髄採取法でも典型的に収集される。切除療法は、療法の結果として細胞の破壊をもたらす治療法である。多くの化学療法及び他の抗腫瘍療法も正常細胞を死滅させる。より損傷を受けやすい器官の1つは骨髄である。本発明の文脈における造血系切除療法は、追加的作用又は副作用を有する療法(又は治療)であり、「正常な」又は「健康な」造血系の大部分が療法又は治療によって死滅する。多くの場合、骨髄を収集した後に、患者を造血系切除療法で治療する。この骨髄は、療法の完了後に対象に移植されて、対象の造血系の再集団化を刺激する。また異常細胞も移植されるのを防ぐために、このような骨髄調製物は、典型的には、異常細胞のためにパージされる。CD34陽性細胞の選別は、異常細胞がCD34陽性でない場合の方法の1つである。このようなパージする方法により、多くの場合、必要以上に多くの細胞が除去され、対象の造血系の起こり得る再集団化よりも遅くなる。本発明をパージする方法は、骨髄調製物から異常細胞を効率的に除去し、より迅速な再集団化を可能にする。
【0065】
本発明の実施形態において、対象に、造血幹細胞を温存する癌治療を提供する方法が提供される。該方法は、CD3及びCLEC12Aに結合する二重特異性抗体を、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、CLEC12A陽性癌を有する。
【0066】
本明細書に開示される二重特異性抗体は、好ましくは、静脈内注入として投与される。注入は、典型的には約2~4時間を要するが、より長い、及びより短い投与も可能である。注入は、通常12時間を超える期間にわたって延長されない。
【0067】
投与1回当たりの本質的な一定量に達するまでの抗体の量の増分は、単一の患者内の用量漸増レジメン、又は患者内用量漸増とも呼ばれる。
【0068】
本明細書をより容易に理解できるようにするために、特定の用語が最初に定義される。詳細な説明を通して、追加の定義が記載される。特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有し、免疫学、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法が採用される。
【0069】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。用語「含む(including)」、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的ではない。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「CLEC12A」は、C型レクチンドメインファミリー12メンバーAを指す。CLEC12Aは、C型レクチンタンパク質CLL-1;MICL、樹状細胞関連レクチン2、C型レクチンスーパーファミリー、骨髄阻害性C型レクチン様受容体、C型レクチン様分子-1、DCAL2;CLL1;C型レクチン様分子1、DCAL-2、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーL、メンバー1(Killer cell lectin like receptor subfamily L,member 1、KLRL1)、CD371(分化のクラスター371)とも呼ばれる(Bakker,van den Oudenrijn et al.2004;GenBank(商標)アクセス番号:AY547296;Zhang W.et al.GenBank(商標)アクセス番号:AF247788;Marshall,Willment et al.2004;GenBank(商標)アクセス番号:AY498550;Han,Zhang et al.2004;Chen,Floyd et al.2006.GenBank(商標)アクセス番号:AY426759;Chen,Floyd et al.2006.Ids;HGNC:31713;Entrez Gene:160364;Ensembl:ENSG00000172322;OMIM:612088;UniProtKB:Q5QGZ9)。
【0071】
CLEC12Aは、急性骨髄性白血病(AML)における、白血病芽球細胞及び白血病幹細胞、例えば、CD34陰性又はCD34低発現白血病幹細胞(側集団)に発現する抗原であり(Bakker,van den Oudenrijn et al.2004;van Rhenen,van Dongen et al.2007;Moshaver,van Rhenen et al,2008)、並びに骨髄異形成症候群(MDS)におけるものである(Bakker,van den Oudenrijn et al.2004,and Toft-Peterson,Nederby et al,2016)。CLEC12Aの発現は、その他の点では、造血系列の細胞に、特に末梢血及び骨髄中の骨髄系列、すなわち顆粒球、単球、及び樹状細胞前駆体に制限されると考えられている。より重要なことに、CLEC12Aは、正常な造血幹細胞には存在しない。本明細書において、CLEC12A(配列番号1)について言及される場合、特に明記されない限り、ヒトCLEC12Aを指す。
【0072】
用語「CLEC12A」は、本明細書で参照される全ての変異体(スプライス及び変異など)及びそのアイソフォームを意味し、骨髄発現プロファイル(表面発現レベル及びmRNAレベルの両方)を保持しており、Bakker,van den Oudenrijn et al.2004 and Marshall,Willment et al.2004に記載されているようなものが含まれる。登録番号は主に、更なる同定方法として提供されるが、タンパク質の実際の配列は、例えば、いくつかの癌などで発生するものなどのコード遺伝子の変異のために変化する可能性がある。
【0073】
用語「CD3」(分化群3)は、CD3γ鎖(SwissProt P09693)、CD3δ鎖(SwissProt P04234)、CD3ε鎖(SwissProt P07766)、及びCD3ζ鎖ホモ二量体(SwissProt P20963)から構成されるタンパク質複合体を指す。CD3イプシロンは、様々な別名の下で既知であり、そのうちのいくつかは、「CD3e分子、イプシロン(CD3-TCR複合体)」、「CD3e抗原、イプシロンポリペプチド(TiT3複合体)」;T細胞表面抗原T3/Leu-4イプシロン鎖;T3E;T細胞抗原受容体複合体、T3のイプシロンサブユニット;CD3e抗原;CD3-イプシロン3;IMD18;TCREである。CD3E遺伝子についてのIdは、HGNC:1674;Entrez Gene:916;Ensembl:ENSG00000198851;OMIM:186830、及びUniProtKB:P07766である。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)及びζ鎖と会合して、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。TCR、ζ鎖、及びCD3分子は、一緒にTCR複合体を構成する。CD3はT細胞上に発現する。本明細書において、CD3について言及される場合、特に明記されない限り、ヒトCD3(配列番号2~5)を指す。
【0074】
本明細書で使用するとき、用語「抗体」は、抗原上のエピトープに結合する1つ以上のドメインを含有するタンパク質の免疫グロブリンクラスに属するタンパク質分子を意味し、このようなドメインは、抗体の可変領域に由来するか又は配列相同性を共有する。抗体は、典型的には、基本的な構造単位で構成されており、それぞれに2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する。治療用の抗体は、好ましくは、可能な限り治療される対象の天然抗体(例えば、ヒト対象のヒト抗体)に近いものである。本発明による抗体は、任意の特定のフォーマット又はそれを産生する方法に限定されない。
【0075】
「二重特異性抗体」は、抗体の1つのドメインが第1の抗原に結合する一方で、抗体の第2のドメインが第2の抗原に結合し、当該第1及び第2の抗原が同一ではない、本明細書に記載の抗体である。用語「二重特異性抗体」はまた、1つの重鎖可変領域/軽鎖可変領域(VH/VL)の組み合わせが抗原上の第1のエピトープに結合し、第2のVH/VLの組み合わせが第2のエピトープに結合する抗体を包含する。この用語は更に、VHが、第1の抗原を特異的に認識することができ、免疫グロブリン可変領域においてVHと対合しているVLが、第2の抗原を特異的に認識することができる抗体を含む。得られたVH/VL対は、抗原1又は抗原2のいずれかに結合する。このようないわゆる「ツーインワン抗体」は、例えば、国際公開第2008/027236号、同第2010/108127号、及びSchaefer,Haber et al,2011に記載されている。本発明による二重特異性抗体は、任意の特定の二重特異性フォーマット又はそれを産生する方法に限定されない。
【0076】
本明細書で使用される「共通軽鎖」という用語は、二重特異性抗体における2つの軽鎖(又はそのVL部分)を指す。全長抗体の結合特異性は影響を受けないが、2つの軽鎖(又はそのVL部分)は、同一であってもよく、いくつかのアミノ酸配列の違いを有してもよい。「共通」とは、アミノ酸配列が同一ではない軽鎖の機能的等価物を指す。当該軽鎖の多くの変異体が存在し、機能的結合領域の形成に影響を与えない変異(欠失、置換、挿入及び/又は付加)が存在する。本発明の軽鎖はまた、本明細書で上記に特定された、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加又はこれらの組み合わせを有する軽鎖であり得る。例えば、保存的アミノ酸の変化、重鎖と対合するときに結合特異性に寄与しない又は部分的にのみ寄与する領域におけるアミノ酸の変化などを導入し試験することによって、同一ではないが依然として機能的に同等である軽鎖を調製又は見出すことは、本明細書に使用される共通軽鎖の定義の範囲内である。
【0077】
本発明による「全長IgG」又は「全長抗体」という用語は、本質的に完全なIgGを含むものとして定義されるが、必ずしも完全なIgGの全ての機能を有するわけではない。誤解を避けるために、全長IgGは、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む。各鎖は、定常(C)領域及び可変(V)領域を含有し、これはCH1、CH2、CH3、VH及びCL、VLと表示されるドメインに分解することができる。IgG抗体は、Fab部分に含まれる可変領域ドメインを介して抗原に結合し、結合後、定常ドメイン、主にFc部分を介して免疫系の分子及び細胞と相互作用することができる。本発明による全長抗体は、所望の特性を提供する変異が存在し得るIgG分子を包含する。全長IgGは、領域のうちのいずれの実質的な部分の欠失も有さない必要がある。しかしながら、得られるIgG分子の結合特性を本質的に変えることなく、1つ又はいくつかのアミノ酸残基が欠失しているIgG分子は、用語「全長IgG」に含まれる。例えば、かかるIgG分子は、好ましくは非CDR領域において、1~10アミノ酸残基の欠失を有することができ、該欠失されたアミノ酸は、IgGの結合特異性にとっては必須ではない。
【0078】
本明細書でアミノ酸配列に言及される「パーセント(%)同一性」は、最適な比較目的のために配列をアラインメントした後、選択された配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合として定義される。2つの配列間のアラインメントを最適化するために、比較される2つの配列のいずれかにギャップが導入され得る。かかるアラインメントは、比較される配列の全長にわたって実施することができる。あるいは、アラインメントは、より短い長さ、例えば約20、約50、約100以上の核酸/ベース又はアミノ酸にわたって実施されてもよい。配列同一性は、報告されたアラインメント領域にわたる2つの配列間における同一一致の割合である。
【0079】
配列の比較、及び2つの配列間の配列同一性の割合の測定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。当業者であれば、2つの配列を整列させ、2つの配列間の同一性を求めるために、いくつかの異なるコンピュータプログラムが利用可能であるという事実を認識するであろう(Kruskal,J.B.,1983)。2つのアミノ酸配列間のパーセント配列同一性は、2つの配列のアラインメントのためのNeedleman及びWunschアルゴリズムを使用して求めることができる。(Needleman and Wunsch,1970)。Needleman-Wunschアルゴリズムは、コンピュータプログラムNEEDLEに実装される。本発明の目的のために、EMBOSSパッケージからのNEEDLEプログラムを使用することができる(バージョン2.8.0以降、Rice,Longden et al,2000;(http://emboss.bioinformatics.nl/)。タンパク質配列については、EBLOSUM62が置換マトリックスに使用される。使用される任意選択のパラメータは、10のギャップオープンペナルティ及び0.5のギャップ伸長ペナルティである。
【0080】
上述のようなNEEDLEプログラムによるアラインメント後、クエリ配列と本発明の配列間の配列同一性の割合は、以下のように計算される:アラインメントのギャップの総数を差し引いた後、両方の配列の同一のアミノ酸又は同一のヌクレオチドを示すアラインメントの対応する位置の数を、アラインメントの全長で除算する。
【0081】
抗体は、典型的には、抗原の一部を認識し、このようなエピトープは他の化合物中に同様に存在してもよく、抗原を「特異的に認識する」本発明による抗体、例えば、CLEC12A又はCD3は、このような他の化合物が同じ種類のエピトープを含有する場合にも、他の化合物も同様に認識し得る。したがって、抗原及び抗体の相互作用に関して「特異的に認識する」という用語は、同じ種類のエピトープを含有する他の化合物への抗体の結合を除外するものではない。
【0082】
「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリン又は抗体が特異的に結合する抗原上の部位を指す。エピトープは、タンパク質の3次フォールディング(いわゆる直鎖及びコンフォメーション的エピトープ)によって並置された連続アミノ酸又は非連続アミノ酸の両方から形成することができる。連続的な直鎖アミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒に曝露されて保持される一方で、3次フォールディングにより形成されるエピトープは、コンフォメーションが、典型的には、変性溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、固有の空間的コンフォメーションにおいて3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個のアミノ酸を含んでもよい。エピトープの空間的コンフォメーションを判定する方法は、当業者に知られており、当該技術分野の技術、例えば、エピトープの性質に応じて、X線結晶構造解析、HDX-MS及び2次元核磁気共鳴、ペプスキャン、並びにアラニンスキャンが挙げられる(例えば、Morris G.E.,1996を参照されたい)。
【0083】
本明細書で使用される「異常細胞」という用語は、腫瘍細胞、より具体的には、骨髄異形成症候群(MDS)を引き起こす細胞などの前白血病細胞、及び急性骨髄性白血病(AML)腫瘍細胞又は慢性骨髄性白血病(CML)細胞などの白血病細胞はじめとする血液学的起源の腫瘍細胞を含む。
【0084】
本明細書において使用する場合、用語「免疫エフェクター細胞」又は「エフェクター細胞」は、標的細胞の生存力に影響を及ぼすように活性化され得る、哺乳類免疫系内の細胞の自然なレパートリー内の細胞を指す。免疫エフェクター細胞は、リンパ系細胞、例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性T細胞を含むT細胞、又はB細胞を含み、かつ骨髄系列細胞、例えば、単球又はマクロファージ、樹状細胞、及び好中球顆粒球を含む。したがって、該エフェクター細胞は、好ましくは、NK細胞、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、又は好中球顆粒球である。エフェクター細胞の異常細胞への動員とは、免疫エフェクター細胞を異常標的細胞に近接させ、エフェクター細胞により、異常細胞の直接的な死滅又は間接的な死滅を開始できることを意味する。
【0085】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、同義で用いられ、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物(例えば、ヒトの患者など、癌を患っている患者)を指す。
【0086】
本明細書で使用するとき、用語「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、及び「治療(treatment)」という用語は、疾患に関連する症状、合併症、条件又は生化学的兆候の進行、発達、重症度又は再発を、逆転、緩和、回復、阻害、又は減速若しくは予防することを目的とする、実施される任意の種類の介入若しくは処理、又は活性剤若しくは活性剤の組み合わせを対象に投与することを指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、「有効治療」又は「陽性治療反応」は、有益な効果、例えば、癌などの疾患又は障害の少なくとも1つの症状の回復をもたらす治療を指す。有益な効果により、本方法による療法の開始前に行われた測定又は観察を超える改善などの、ベースラインを超える改善された状態を得ることができる。例えば、疾患の臨床的若しくは診断的症状の減少若しくは排除、又は癌のマーカーの減少若しくは排除によって証明されるように、有益な効果により、任意の臨床段階での対象における癌の進行を減速、安定化、停止、又は逆転させる状態を得ることができる。有効治療により、例えば、腫瘍サイズを減少、循環腫瘍細胞の存在を減少、腫瘍の転移を低減若しくは防止、腫瘍成長を減速若しくは阻止、及び/又は腫瘍の再発若しくは再燃を防止若しくは遅延させることができる。
【0088】
「治療量」という用語は、所望の生物学的、治療的、及び/又は予防的結果を提供する薬剤又は薬剤の組み合わせの量を指す。その結果は、疾患の1つ以上の徴候、症状、又は原因の低減、回復、緩解、減少、遅延、及び/又は緩和、あるいは生態系における他の所望の変化であり得る。いくつかの実施形態では、治療量は、腫瘍の発達を遅延させるのに十分な量である。いくつかの実施形態において、治療量は、腫瘍の再発を防止又は遅延させるのに十分な量である。治療量は、1回以上の投与で投与することができる。薬物又は組成物の治療量は、(i)癌細胞の数を低減する;(ii)腫瘍のサイズを低減する;(iii)末梢器官への癌細胞浸潤を、ある程度阻害、阻止、減速し、停止させ得る;(iv)腫瘍転移を阻害する;(v)腫瘍成長を阻害する;(vi)腫瘍の発生及び/又は再発を防止又は遅延させる;及び/又は(vii)癌に関連する1つ以上の症状をある程度和らげることができる。一例では、「治療量」は、癌の減少(例えば、癌細胞数の減少)、又は急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、若しくは慢性骨髄性白血病などの癌の進行の減速をもたらすCLEC12A/CD3二重特異性抗体の量である。
【0089】
本明細書に開示されるように、本明細書に提供される方法で使用するための二重特異性抗体としては、CLEC12Aに結合する1つの重鎖可変領域/軽鎖可変領域(VH/VL)の組み合わせと、CD3に結合する第2のVH/VLの組み合わせと、を含む二重特異性抗体が挙げられる。
【0090】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体で使用するのに好適なCLEC12A重鎖可変(VH)領域としては、CLEC12Aに結合するものが挙げられる。好ましい実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のCLEC12AVH領域は、腫瘍細胞上に発現したCLEC12Aに結合する。CLEC12A/CD3二重特異性抗体で使用するための例示的なCLEC12AVH領域は、例えば、国際公開第2017/010874号、同第2014/051433号、及び同第2005/000894号(それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0091】
いくつかの実施形態において、腫瘍細胞上のCLEC12Aに対するCLEC12A/CD3二重特異性抗体の結合親和性は、CD3への結合の親和性よりも少なくとも2倍、4倍、6倍、10倍、20倍、30倍、40倍又は50倍高い。特定の実施形態において、CLEC12Aに対するCLEC12A/CD3二重特異性抗体のCLEC12A結合親和性は、約1x10e-6M~1x10e-10M、約1x10e-7M~1x10e-10M、又は約1x10e-8~1x10e-10である。いくつかの実施形態において、CLEC12Aに対するCLEC12A/CD3二重特異性抗体のCLEC12A結合親和性は、少なくとも1x10-e8M、好ましくは少なくとも1x10-e9Mである。特定の実施形態において、CLEC12Aに対するCLEC12A/CD3二重特異性抗体の結合親和性は、約1x10e-8M~1x10e-9M、例えば、約2x10e-9M、約3x10e-9M、約4x10e-9M、約5x10e-9M、約6x10e-9M、約7x10e-9M、8x10e-9M又は約9x10e-9Mなどであり、CD3に対するCLEC12A/CD3二重特異性抗体の結合親和性は、少なくとも30倍低い、少なくとも40倍低い、又は少なくとも50倍低い。
【0092】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のCD3VH領域は、マウス抗CD3抗体、mOKT3の親和性よりも著しく低い親和性(KD)で、ヒトT細胞株上の細胞表面発現CD3/TCRに結合する。いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のCD3VH領域は、少なくとも1x10-e6Mの結合親和性でCD3に結合する。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のCD3結合親和性は、約1x10e-6M~1x10e-10Mである。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のCD3VH領域のCD3結合親和性は、約1x10e-7M~1x10e-8Mである。
【0093】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域を含み、該重鎖可変領域は、
(a)アミノ酸配列SGYTFTGY(配列番号9)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IINPSGGS(配列番号10)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列GTTGDWFDY(配列番号11)を含む重鎖CDR3;
(b)アミノ酸配列SGYTFTSY(配列番号13)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IINPSGGS(配列番号14)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列GNYGDEFDYを含む重鎖CDR3(配列番号15);又は
(c)アミノ酸配列SGYTFTGY(配列番号17)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列WINPNSGG(配列番号18)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列DGYFADAFDY(配列番号19)を含む重鎖CDR3、を含む。
【0094】
列挙されたCDR配列からの1、2、又は3アミノ酸残基の保存的変異は、種類として同じ結合活性(本質的に同等なのであって、その量は必ずしも同等ではない)を保持させつつ可能である。したがって、当該重鎖CDR1、2及び3配列は、好ましくは、列挙されたCDR配列から3つ以下、好ましくは2つ以下、より好ましくは1つ以下のアミノ酸を逸脱する配列を含有する。特定の実施形態において、重鎖CDR1、2及び3配列は、列挙されたCDR配列と同一である。
【0095】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号12、16又は20に示されるVH領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号12、16又は20に記載のアミノ酸配列と、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0097】
例えば、いくつかの実施形態において、ヒトCLEC12Aに結合する二重特異性抗体の重鎖可変領域は、3つのCDR配列の外側の重鎖可変領域の配列において、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加、又はこれらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、示されたアミノ酸配列に対する、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、好ましくは0~3、好ましくは0~2、好ましくは0~1、好ましくは0のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加、又はこれらの組み合わせを含む。
【0098】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号12、16及び20から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0099】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体での使用に好適なCD3重鎖可変(VH)領域としては、CD3γ鎖、CD3δ鎖、CD3ε鎖、又はCD3δ/CD3ε若しくはCD3γ/CD3εの組み合わせに結合できるものが挙げられる。いくつかの実施形態において、二重特異性抗体のCD3VH領域は、CD3ε鎖に結合する。いくつかの実施形態において、CD3VH領域は、ヒトCD3に結合する。いくつかの実施形態において、CD3VH領域は、ヒトCD3ε鎖に結合する。
【0100】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体で使用するための例示的なCD3結合領域は、国際公開第2017/010874号、同第2014/051433号、及び同第2005/118635号に開示されている(これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0101】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、
(a)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNGRKQ(配列番号22)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(b)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYSGSKKN(配列番号30)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(c)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYHGRKQ(配列番号32)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(d)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYHARKQ(配列番号34)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(e)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNARKQ(配列番号36)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(g)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNTRKQ(配列番号45)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(h)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYDGKNT(配列番号47)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(i)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IYYDGSRT(配列番号49)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;又は
(j)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWHDGRKT(配列番号51)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3、を含む。
【0102】
アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含むCDR1は、IMGTに従って定義される。CDR1は、Kabatに従って定義されるアミノ酸配列SYGMH(配列番号60)を含み得る。
【0103】
列挙されたCDR配列からの1つ、2つ、又は3つのアミノ酸残基の変異は、種類として同じ結合活性(本質的に同等なのであって、その量は必ずしも同等ではない)を保持させつつ可能である。したがって、当該重鎖CDR1、2及び3配列は、好ましくは、列挙されたCDR配列から3つ以下、好ましくは2つ以下、より好ましくは1つ以下のアミノ酸を逸脱する配列を含有する。特定の実施形態において、重鎖CDR1、2及び3配列は、列挙されたCDR配列と同一である。
【0104】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCD3に結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号24~29、31、33、35、37~44、46、48、50及び52に示されるVH領域のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCD3に結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号24~29、31、33、35、37~44、46、48、50及び52に記載のVH領域配列の1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一のものを含む。
【0106】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCD3に結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号37~44に記載の配列VH領域の1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一のものを含む。
【0107】
例えば、いくつかの実施形態において、ヒトCD3に結合する二重特異性抗体の重鎖可変領域は、3つのCDR配列の外側の重鎖可変領域の配列において、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加、又はこれらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態において、重鎖可変領域は、示されたアミノ酸配列に対する、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、好ましくは0~3、好ましくは0~2、好ましくは0~1、好ましくは0のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加、又はこれらの組み合わせを含む。
【0108】
CLEC12A又はCD3結合を保持する開示されたアミノ酸配列の更なる変異体は、例えば、再構成ヒトIGKV1-39/IGKJ1VL領域(de Kruif,Kramer et al.2010)を含有するファージディスプレイライブラリー、及び、前述の本明細書に開示されるCLEC12A又はCD3VH領域のアミノ酸配列にアミノ酸置換を組み込んだVH領域の集合(例えば、米国特許出願公開第2016/0368988号)から得ることができる。CLEC12A又はCD3に結合するFab領域をコードするファージを選択し、フローサイトメトリーで分析し、配列決定して、抗原結合を保持するアミノ酸の置換、挿入、欠失、又は付加を伴う変異体を同定することができる。例えば、米国特許出願公開第2016/0368988号に記載されているように、CD3VH領域は、位置A50で置換されてもよく、S、Y、M又はQで修飾されてもよく;D59は、L、I、V、F、R、A、N、H、S、T、Y、又はE、好ましくはY又はEで置換されてよく;A61は、N、I、H、Q、L、R、Y、E、S、T、D、K、Vで置換されてよく;F105は、Y又はMで置換されてよい。許容されるアミノ酸置換は容易に見出され得る。
【0109】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCD3に結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号24~29、31、33、35、37~44、46、48、50又は52から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0110】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCD3に結合する重鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号37~44から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0111】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域であって、該第1のVH領域が、配列番号12、16及び20に記載のVH領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、第1の重鎖可変領域と;ヒトCD3に結合する第2の重鎖可変領域であって、該第2のVH領域が、配列番号37~44に記載のVH領域配列のうちの1つのアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、第2の重鎖可変領域と;を含む。
【0112】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域、及びヒトCD3に結合する第2の重鎖可変領域を含み、
(a)第1の重鎖可変領域は:
(i)アミノ酸配列SGYTFTGY(配列番号9)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IINPSGGS(配列番号10)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列GTTGDWFDY(配列番号11)を含む重鎖CDR3;
(ii)アミノ酸配列SGYTFTSY(配列番号13)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IINPSGGS(配列番号14)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列GNYGDEFDY(配列番号15)を含む重鎖CDR3;又は
(iii)アミノ酸配列SGYTFTGY(配列番号17)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列WINPNSGG(配列番号18)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列DGYFADAFDY(配列番号19)を含む重鎖CDR3;を含み、及び
(b)第2の重鎖可変領域は、
(i)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNGRKQ(配列番号22)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(ii)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYSGSKKN(配列番号30)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(iii)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYHGRKQ(配列番号32)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(iv)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYHARKQ(配列番号34)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(v)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNARKQ(配列番号36)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(vi)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNTRKQ(配列番号45)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(vii)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYDGKNT(配列番号47)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;
(viii)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IYYDGSRT(配列番号49)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;又は
(ix)アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWHDGRKT(配列番号51)を含む重鎖CDR2配列、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3;を含む。
【0113】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域であって、該第1のVH領域が、アミノ酸配列SGYTFTGY(配列番号9)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IINPSGGS(配列番号10)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列GTTGDWFDY(配列番号11)を含む重鎖CDR3を含む、第1の重鎖可変領域と;第2のVH領域が、アミノ酸配列GFTFSSYG(配列番号21)を含む重鎖CDR1、アミノ酸配列IWYNARKQ(配列番号36)を含む重鎖CDR2、及びアミノ酸配列GTGYNWFDP(配列番号23)を含む重鎖CDR3を含む、第2の重鎖可変領域と;を含む。
【0114】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域であって、該第1のVH領域のアミノ酸配列が、配列番号12、16及び20から選択される、第1の重鎖可変領域と;ヒトCD3に結合する第2の重鎖可変領域であって、該第2のVH領域のアミノ酸配列が、配列番号24~29、31、33、35、37~44、46、48、50及び52から選択される、第2の重鎖可変領域と;を含む。
【0115】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域であって、該第1のVH領域のアミノ酸配列が、配列番号12である、第1の重鎖可変領域と;ヒトCD3に結合する第2の重鎖可変領域であって、該第2のVH領域のアミノ酸配列が、配列番号37~44から選択される、第2の重鎖可変領域と;を含む。
【0116】
一実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、ヒトCLEC12Aに結合する第1の重鎖可変領域であって、該第1のVH領域のアミノ酸配列が、配列番号12に記載されている、第1の重鎖可変領域と;ヒトに結合する第2の重鎖可変領域であって、該第2のVH領域のアミノ酸配列が、配列番号37に記載されている、第2の重鎖可変領域と;を含む。
【0117】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体のVH/VL CLEC12A結合領域及びCD3結合領域のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、親CLEC12A単一特異性抗体のVL領域及び/又は親CD3単一特異性抗体のVL領域と同じであってもよく、又は代替VL領域は、二重特異性抗体がCLEC12A及びCD3抗原の両方への結合を保持している限り、一方又は両方のVH/VL領域の組み合わせに使用されてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のVH/VL CLEC12A結合領域のVL領域は、VH/VL CD3結合領域のVL領域と類似している。特定の実施形態では、第1及び第2のVH/VL領域の組み合わせにおけるVL領域は同一である。
【0119】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、共通軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、一方又は両方のVH/VL結合領域の共通軽鎖可変領域は、生殖細胞系列O12可変領域Vセグメントを含む。特定の実施形態では、一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、カッパ軽鎖VセグメントIgVκ1-39*01を含む。IgVκ1-39は、免疫グロブリン可変カッパ1-39遺伝子についての短縮形である。この遺伝子はまた、免疫グロブリンカッパ可変1-39、IGKV139、IGKV1-39、O12a、又はO12としても知られる。この遺伝因子についての外部Idsは、HGNC:5740、Entrez Gene:28930、Ensembl:ENSG00000242371である。V領域のアミノ酸配列は、配列番号56に提供されている。V領域は、5つのJ領域のうちの1つと組み合わせることができる。好ましいJ領域はjk1及びjk5であり、接合された配列はIGKV1-39/jk1及びIGKV1-39/jk5として示される。代替名は、IgVκ1-39*01/IGJκ1*01又はIgVκ1-39*01/IGJκ5*01である(imgt.orgでのIMGTデータベースの世界的なウェブによる命名法)。特定の実施形態において、一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、カッパ軽鎖IgVκ1-39*01/IGJκ1*01又はIgVκ1-39*01/IGJκ1*05(それぞれ配列番号57及び配列番号58)を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、アミノ酸配列QSISSY(配列番号53)を含むLCDR1、アミノ酸配列AASを含むLCDR2、及びアミノ酸配列QQSYSTP(配列番号55)を含むLCDR3(すなわち、IMGTによるIGKV1-39のCDR)を含む。いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、アミノ酸配列QSISSY(配列番号53)を含むLCDR1、アミノ酸配列AASLQS(配列番号54)を含むLCDR2、及びアミノ酸配列QQSYSTP(配列番号55)を含むLCDR3を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方は、配列番号57に記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のVH/VL結合領域の一方又は両方は、配列番号58に記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0122】
例えば、いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の一方又は両方のVH/VL結合領域の可変軽鎖は、配列番号57又は配列番号58に対して、0~10、好ましくは0~5のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加又はこれらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、示されたアミノ酸配列に対する、0~9、0~8、0~7、0~6、0~5、0~4、好ましくは0~3、好ましくは0~2、好ましくは0~1、好ましくは0のアミノ酸の挿入、欠失、置換、付加、又はこれらの組み合わせを含む。
【0123】
他の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の一方又は両方のVH/VL結合領域の軽鎖可変領域は、配列番号57又は配列番号58のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体の両方のVH/VL結合領域は、同一のVL領域を含む。一実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のVH/VL結合領域の両方のVLは、配列番号57に示されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体のVH/VL結合領域の両方のVLは、配列番号58に示されるアミノ酸配列を含む。
【0124】
本明細書に開示される方法で使用するためのCLEC12A/CD3二重特異性抗体は、多数のフォーマットで提供することができる。二重特異性抗体の多くの異なるフォーマットが当技術分野で知られており、Kontermann,Brinkmann,2015、2018、及びSpiess,Zhai et al,2015によりレビューされており、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる。例えば、2つのVH/VLの組み合わせを有する従来の抗体ではない二重特異性抗体フォーマットは、少なくとも、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む可変ドメインを有する。この可変ドメインは、一本鎖Fvフラグメント、モノボディ、VH、及び2番目の結合活性を提供するFabフラグメントに連結されている場合がある。
【0125】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用されるCLEC12A/CD3二重特異性抗体は、概して、ヒトIgGサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)のものである。特定の実施形態において、抗体は、ヒトIgG1サブクラスのものである。半減期が有利で免疫原性が低いため、全長IgG抗体が好ましい。したがって、特定の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、全長IgG分子である。一実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、全長IgG1分子である。
【0126】
したがって、特定の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、結晶化可能なフラグメント(Fc)を含む。CLEC12A/CD3二重特異性抗体のFcは、好ましくは、ヒト定常領域から構成される。CLEC12A/CD3二重特異性抗体の定常領域又はFcは、1個以上の、好ましくは10個以下の、好ましくは5個以下の、天然に存在するヒト抗体の定常領域とは異なるアミノ酸を含有することができる。例えば、特定の実施形態において、二重特異性抗体の各Fabアームは、二重特異性抗体の形成を促進する修飾、Fc媒介エフェクター機能に影響を与える修飾、及び/又は本明細書に記載の他の特徴を含むFc領域を更に含み得る。
【0127】
好ましい実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性全長IgG抗体は、当該二重特異性IgG抗体とFcガンマ(Fcγ)受容体との相互作用が低減するように、変異した下部ヒンジ及び/又はCH2ドメインを有する。本明細書で使用される場合、「当該二重特異性IgG抗体とFcガンマ受容体との相互作用が低減するように」という用語は、このようなFcガンマ受容体が抗体の近くに存在する場合、CLEC12A/CD3二重特異性抗体とFcガンマ受容体との相互作用が低減することを意味する。特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体とFc受容体との相互作用は、本質的に消失する。Fcγ受容体結合が低下した二重特異性抗体は、以前に記載されている(米国特許第2014/0120096号、参照により本明細書に組み入れられる)。
【0128】
特定の実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、アミノ酸位置235及び/又は236(EU番号付け)に少なくとも1つの置換を有する変異した下部ヒンジ及び/又はCH2ドメインを含む。好ましくは、アミノ酸位置235及び236の両方が置換される。米国特許出願公開第2014/0120096号に記載されているように、これらの部位での置換は、抗体と腫瘍細胞又はエフェクター細胞上に存在するFc受容体との間の相互作用を本質的に防ぐことができる。したがって、特定の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、L235G及び/又はG236R置換を含む変異CH2及び/又は下部ヒンジドメインを含む。好ましくは、L235G及びG236Rの両方が置換される。あるいは、当業者は、置換234F、235E及び/又は331Sを含む下部ヒンジ及び/又はCH2ドメイン変異を導入することができる(Oganesyan,Gao et al.2008)。好ましくは、3つ全ての置換がこの代替で導入される。
【0129】
二重特異性抗体は、典型的には、抗体をコードする核酸を発現する細胞によって産生される。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に開示される二重特異性CLEC12A/CD3抗体は、二重特異性CLEC12A/CD3抗体の重鎖及び軽鎖可変領域及び定常領域をコードする1つ以上の核酸を含む細胞を提供することによって産生される。細胞は、好ましくは動物細胞、より好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくは霊長類細胞、最も好ましくはヒト細胞である。好適な細胞は、CLEC12A/CD3二重特異性抗体を含むことができ、好ましくは産生することができる任意の細胞である。
【0130】
抗体産生に好適な細胞は、当技術分野で知られており、ハイブリドーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、又はPER-C6細胞が含まれる。様々な機関及び企業は、例えば、臨床使用のために、抗体の大規模生産のための細胞株を開発してきた。かかる細胞株の非限定的な例は、CHO細胞、NS0細胞、又はPER.C6細胞である。特に好ましい実施形態では、該細胞は、ヒト細胞である。好ましくは、アデノウイルスE1領域又はその機能的等価物によって形質転換される細胞。このような細胞株の好ましい例は、PER.C6細胞株又はその等価物である。特に好ましい実施形態では、当該細胞は、CHO細胞又はその変異体である。好ましくは、抗体の発現のためにグルタミンシンテターゼ(GS)ベクター系を利用する変異体。好ましい一実施形態では、細胞は、CHO細胞である。
【0131】
いくつかの実施形態において、細胞は、CLEC12A/CD3二重特異性抗体を構成する異なる軽鎖及び重鎖を発現する。特定の実施形態では、細胞は、2つの異なる重鎖及び少なくとも1つの軽鎖を発現する。1つの好ましい実施形態において、細胞は、異なる抗体種(異なる重鎖及び軽鎖の組み合わせ)の数を低減するために、本明細書に記載されるような「共通軽鎖」を発現する。例えば、それぞれのVH領域は、二重特異性IgG(国際公開第2013/157954号;参照により本明細書に組み込まれる)の産生のための当技術分野で知られている方法を使用して、再構成ヒトIGKV139/IGKJ1(huVκ139)軽鎖と併せて、発現ベクターにクローン化される。huVκ139は、複数の重鎖と対合して、それによって多様な特異性を持つ抗体を生じさせ、二重特異性分子の生成を促進することが以前に示されていた(de Kruif,Kramer et al.2009;国際公開第2009/157771号)。
【0132】
共通軽鎖及び等量の2つの重鎖を発現する抗体産生細胞は、典型的には、50%の二重特異性抗体と、各々25%の単一特異性抗体を産生する(すなわち、同一の重軽鎖の組み合わせを有する)。それぞれの単一特異性抗体の産生よりも、二重特異性抗体の産生に有利であるいくつかの方法が公開されている。このようなものは、典型的には、重鎖の定常領域を、これらがホモ二量体化よりもヘテロ二量体化(すなわち、他の重鎖/軽鎖の組み合わせの重鎖と二量体化)に有利になるように修飾することによって達成される。好ましい実施形態では、本発明の二重特異性抗体は、適合性ヘテロ二量体化ドメインを有する2つの異なる免疫グロブリン重鎖を含む。様々な適合性ヘテロ二量体化ドメインが、当該技術分野において記載されている。この適合性ヘテロ二量体化ドメインは、好ましくは、適合性免疫グロブリン重鎖CH3ヘテロ二量体化ドメインである。当該技術分野では、重鎖のこのようなヘテロ二量体化が達成され得る様々な方法が記載されている。
【0133】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体を産生するための好ましい方法の1つは、米国特許第9,248,181号及び同第9,358,286号に開示されている。具体的には、本質的に二重特異性全長IgG分子のみを産生するための好ましい変異は、第1のCH3ドメイン中のアミノ酸置換L351K及びT366K(EU番号付け)(「KK-変異体」重鎖)、及び第2のドメイン中のアミノ酸置換L351D及びL368E(「DE-変異体」重鎖)、又はその逆である。前述のように、DE-変異体及びKK-変異体は、優先的に対合して、ヘテロ二量体(いわゆる「DEKK」二重特異性分子)を形成する。DE-変異体重鎖のホモ二量体化(DEDEホモ二量体)又はKK-変異体重鎖のホモ二量体化(KKKKホモ二量体)は、同一の重鎖間のCH3-CH3界面における荷電残基間の強い反発力のために、ほとんど発生しない。
【0134】
したがって、一実施形態では、CLEC12Aに結合する可変ドメインを含む重鎖/軽鎖の組み合わせは、重鎖のDE変異体を含む。この実施形態では、CD3に結合する可変ドメインを含む重鎖/軽鎖の組み合わせは、重鎖のKK変異体を含む。
【0135】
候補CLEC12A/CD3IgG二重特異性抗体は、任意の好適なアッセイを使用して結合について試験することができる。例えば、HPB-ALL細胞上の膜発現CD3への結合は、フローサイトメトリーによって(国際公開第2014/051433号に以前に記載されたFACS手順に従って)評価することができる。一実施形態では、HPB ALL細胞上のCD3への候補CLEC12A/CD3二重特異性抗体の結合は、当技術分野で知られている標準的な手順に従って実施されるフローサイトメトリーによって実証される。細胞発現CD3への結合は、CD3δ/ε又はCD3γ/εでトランスフェクトされたCHO細胞を使用して確認される。CLEC12Aへの候補二重特異性IgG1の結合は、CLEC12A発現コンストラクトでトランスフェクトされたCHO細胞を使用して判定される。CD3単一特異性抗体及びCLEC12A単一特異性抗体、並びに無関係なIgG1アイソタイプ対照mAbは、対照としてアッセイに含まれる(例えば、CD3及び破傷風毒素(TT)などの別の抗原に結合する抗体)。
【0136】
標的に対する候補CLEC12A/CD3二重特異性抗体のCD3及びCLEC12AFabの親和性は、BIAcore T100を使用した表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって測定できる。簡単に説明すると、抗ヒトIgGマウスモノクローナル抗体(Becton and Dickinson,cat.Nr.555784)は、遊離アミン化学(NHS/EDC)を使用して、CM5センサーチップの表面に結合される。次に、bsAbがセンサー表面に捕捉される。続いて、組換え精製抗原ヒトCLEC12A(Sino Biological Inc,cat.Nr.11896-H07H)及びヒトCD3δε-Fcタンパク質を、オン/オフレートを測定するための濃度範囲でセンサー表面上に流す。各サイクルの後、センサー表面をHClのパルスによって再生し、bsAbを再び捕捉する。得られたセンサーグラムから、オン/オフレート、並びにヒトCD3及びCLEC12Aに結合するための親和性値が、以前に記載されたように(例えば、米国特許第2016/0368988号)、BIAevaluationソフトウェアを使用して測定される。
【0137】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体のT細胞刺激能は、国際公開第2014/051433号及び米国特許出願公開第2016/0368988号に記載されている手順に従って得られた、健康なドナーの休止T細胞を使用したアッセイで測定できる。例えば、候補CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、2日間、10:1又は5:1のエフェクター:標的細胞比にて、10%ウシ胎児血清(FBS)又は10%正常ヒト血清(HS)中の白血病由来HL60細胞株の細胞とインキュベートした、精製された健康なドナーの休止T細胞で試験される。結果は、CD4陽性又はCD8陽性T細胞集団内のCD69陽性又はCD25陽性細胞の割合として表される。
【0138】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体が標的細胞溶解を誘導する能力は、国際公開第2014/051433号及び米国特許出願公開第2016/0368988号に記載されている手順に従って、カルボキシフルオレセインジアセテートスクシミジルエステル(CFSE)で標識され、健康なドナーからのT細胞と共培養された白血病細胞(HL-60細胞など)を使用したアッセイで試験できる。生き残ったCFSE陽性細胞はフローサイトメトリーによって定量化され、結果は、PBS対照条件に対する特定の溶解の割合として表される。
【0139】
一態様では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、動物、特にヒトで使用するために、政府規制機関によって承認されるか、又は米国薬局方又は他の総合的に認められている薬局方に列挙されていることを意味し、生理学的に適合性がある任意の及び全ての溶媒、塩、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。用語「担体」は、化合物が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、水及び油などの無菌液体であり得、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、グリセロールポリエチレングリコールリシノール酸などが含まれる。水又は生理食塩水、並びにデキストロース及びグリセロール水溶液を、特に注射可能な溶液の担体として使用することができる。非経口投与用の液体組成物は、注射又は連続注入による投与のために製剤化することができる。注射又は注入による投与経路としては、膀胱内、腫瘍内、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内、及び皮下が挙げられる。投与経路(例えば、静脈内、皮下、関節内など)に応じて、活性化合物を、化合物を不活性化する可能性のある酸及び他の天然条件の作用から保護するために、材料でコーティングすることができる。
【0140】
ヒト患者への投与に好適な医薬組成物は、典型的には、例えば液体担体中の非経口投与用に製剤化され、又は静脈内投与用の液体溶液若しくは懸濁液への再構成に好適である。組成物は、投与を容易にし、投与量を均一にするために、投与単位形態で製剤化することができる。
【0141】
また、使用直前に経口投与又は非経口投与用の液体調剤に変換することを目的とした固体調剤も含まれる。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、及び乳剤が挙げられる。
【0142】
本明細書で提供される組成物及び方法は、患者のT細胞又は複数のT細胞を活性化するために特に有用である。患者は癌を患っているか、癌を患うリスクがある。後者は、癌が寛解しており、癌の再発、再燃、又は転移のリスクがある患者である。したがって、組成物及び方法は、骨髄由来の骨髄性白血病及び前白血病疾患などの、様々な骨髄性悪性腫瘍の治療に使用することができる。したがって、本明細書で提供される方法に従って治療することができる疾患としては、骨髄性白血病(例えば、AML及びCML)、又は前白血病疾患、例えば骨髄異形成症候群(MDS)(及びAMLへの進行)、骨髄線維症(MF)、又は骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)が挙げられる。
【0143】
本明細書で使用される場合、二重特異性抗体であるCLEC12A/CD3二重特異性抗体は、別の治療用分子と組み合わせることができる。このような併用投与(同時投与)としては、同じ若しくは異なる投与形態でのCLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分の同時の投与、別個の投与、又は連続の投与が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、対象におけるT細胞を活性化するための方法において使用することができ、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、IL-15部分と同時に、別々に、又は連続して投与される。他の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、対象における癌の治療に使用することができ、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、IL-15部分と同時に、別々に、又は連続して投与することができる。
【0144】
他の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、対象のT細胞を活性化するための医薬品の製造に使用することができ、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、IL-15部分と同時に、別々に、又は連続して投与される。CLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分を含む製品は、対象のT細胞を活性化する際に同時に、別々に、又は連続して使用するための組み合わせた調剤であり得る。他の実施形態では、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、対象の癌を治療するための医薬品の製造に使用することができ、CLEC12A/CD3二重特異性抗体は、IL-15部分と同時に、別々に、又は連続して投与することができる。CLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分を含む製品は、対象の癌を治療する際に同時に、別々に、又は連続して使用するための組み合わせた調剤であり得る。
【0145】
IL-15部分は、好適な投与量、経路(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、髄腔内又は皮下)に従って投与することができる。
【0146】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分は、単一の製剤で同時に投与できる。あるいは、CLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分は、別個の投与のために製剤化することができ、同時に又は連続して投与される。
【0147】
いくつかの実施形態において、IL-15部分及びCLEC12A/CD3二重特異性抗体は、同時に投与される。
【0148】
一実施形態では、対象は、単回用量のIL-15部分及び単回用量のCLEC12A/CD3二重特異性抗体を投与される。いくつかの実施形態において、CLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分は、治療の過程にわたって繰り返し投与される。例えば、特定の実施形態において、複数回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上)の用量のIL-15部分、及び複数回(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上)の用量のCLEC12A/CD3二重特異性抗体が、治療を必要とする対象に投与される。
【0149】
いくつかの実施形態において、IL-15部分及びCLEC12A/CD3二重特異性抗体の投与は、1週間に1回行われてもよく、そのレジメンにおいて、同じ日に(例えば、同時に)、又は逐次(例えば、1分以上、数時間、又は数日前後)投与されてもよい。別個に投与される場合、CLEC12A/CD3二重特異性抗体及びIL-15部分は、同じ投与(すなわち、用量)プロトコルに従って投与され得るが、必ずしもそのプロトコルに従って投与されるというわけではない。治療有効量のIL-15部分は、CLEC12A/CD3二重特異性抗体よりも多い又は少ない頻度で投与され得る。特定の実施形態において、各用量のIL-15部分及びCLEC12A/CD3二重特異性抗体は、同じ日に投与されてもよく、あるいは、IL-15部分は、CLEC12A/CD3抗体の前又は後に1日以上投与されてもよい。
【0150】
便宜上、必要に応じて、1日の合計投与量を分割し、1日の間に分割して投与することができる。断続的な治療(例えば、3週間のうち1週間又は4週間のうち3週間)も使用することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用されるIL-15部分は、組換えヒトIL-15(rhIL-15)である。特定の実施形態において、rhIL-15は、約0.125μg/kg/日~2.0μg/kg/日の用量で投与される。特定の実施形態において、rhIL-15は、0.125、0.25、0.5、1.0又は2.0μg/kg/日で投与される。特定の実施形態において、rhIL-15は、静脈内ボーラス投与によって投与される。他の実施形態では、rhIL-15は、持続静脈内注入(CIV)によって投与される。特定の実施形態では、rhIL-15は、CIVによって2~10日、5~10日、又は7~10日間投与される。一実施形態では、rhIL-15は、CIVによって10日間投与される。関連する実施形態において、rhIL-15は、約30~60日間の治療サイクルで投与され、この場合、rhIL-15は、各サイクルの最初の5~10日間、CIVによって投与される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って投与されるIL-15部分は、可溶性IL-15受容体又は受容体フラグメント(sIL-15Ra)である。他の実施形態では、IL-15部分は、例えば、米国特許第9,255,141号及び同第9,328,159号に記載されているように、IL-15及びsIL-15Raを含む複合体である。特定の実施形態において、IL-15/IL-15Ra複合体は、約0.1μg/kg~約20μg/kg、約10μg/kg~約20μg/kg、約20μg/kg~約40μg/kg、又は約25μg/kg~50μg/kgの用量で、対象に投与される。
【0153】
特定の実施形態において、IL-15部分は、皮下投与されるIL-15/IL-15Raである。いくつかの実施形態において、IL-15/IL-15Ra複合体は、1日に1回、2日に1回、3、4、5、6又は7日に1回の頻度で投与される。特定の実施形態において、IL-15/IL-15Raは、1週間に1、2、3、4、5、6又は7日間投与される。特定の実施形態において、第1のサイクル及び後続の各サイクルの用量は、0.1μg/kg~1μg/kg、1μg/kg~5μg/kg、又は5μg/kg~10μg/kgである。別の実施形態において、第1のサイクル及び後続の各サイクルの第1の用量は、0.1μg/kg~0.5μg/kg、1μg/kg~2μg/kg、1μg/kg~3μg/kg、2μg/kg~5μg/kg、又は2μg/kg~4μg/kgである。別の実施形態では、第1のサイクル及び後続の各サイクルの用量は、0.1μg/kg、0.25μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、1.25μg/kg、1.5μg/kg、1.75μg/kg、2μg/kg、2.25μg/kg、2.5μg/kg、2.75μg/kg、3μg/kg、3.25μg/kg、3.5μg/kg、4μg/kg、4.25μg/kg、4.5μg/kg、4.75μg/kg、又は5μg/kgである。一実施形態では、IL-15/IL-15Ra複合体は、IL-15/IL-15Ra複合体が2週間連続して週に3回皮下投与される28日サイクルに従って投与される。
【0154】
更に他の実施形態では、本明細書で提供される方法で使用されるIL-15部分は、長時間作用型のIL-15、例えば、IL-15と水溶性ポリマーとのコンジュゲートであり、例えば、国際公開第2015815373号に記載されているようなものである。当業者は、IL-15受容体(「IL-15R」)で臨床的に関連するアゴニスト活性を提供するのに十分な、長時間作用型IL-15アゴニストの量を測定することができる。いくつかの実施形態において、IL-15ポリマーコンジュゲートは、約0.001mg/kg~約10mg/kg、好ましくは約0.001~約5mg/kgの用量で投与される。特定の実施形態において、IL-15ポリマーコンジュゲートは、約0.03mg/kg~約3mg/kgの用量で投与される。特定の実施形態では、IL-15ポリマーコンジュゲートは、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、又は約3.0mg/kgの用量で投与される。他の実施形態では、IL-15ポリマーコンジュゲートは、約0.0025mg/kg、約0.008mg/kg、約0.01mg/kg、約0.025mg/kg、0.05mg/kg、又は約0.25mg/kgの用量で投与される。
【0155】
本明細書に記載の治療方法は、典型的には、患者のケアを監督する臨床医が、治療方法が有効である、すなわち、患者が治療に応答しているとみなす限り継続される。治療方法が有効であることを示す非限定的なパラメータとしては、以下のうちの1つ以上を挙げることができる:腫瘍細胞の減少;腫瘍細胞増殖の阻害;腫瘍細胞の排除;無増悪生存期間;好適な腫瘍マーカーによる適切な反応(該当する場合);NK(ナチュラルキラー)細胞数の増加;CLEC12A特異的T細胞数の増加;及びCLEC12A特異的メモリーT細胞数の増加。
【0156】
CLEC12A/CD3二重特異性抗体を投与する頻度に関して、当業者は適切な頻度を決定することができるであろう。例えば、臨床医は、CLEC12A/CD3二重特異性抗体を比較的低い頻度で(例えば、2週間に1回)投与し、患者が許容するように投与期間を徐々に短縮することを決定することができる。IL-15部分が投与される場合、これらの薬剤の頻度は、同様の方法で決定することができる。特許請求の方法による治療の過程に関連する例示的な時間の長さとしては、以下のものが挙げられる:約1週間、2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、約30ヶ月、約3年、約4年、約5年、無期限(例:継続的な維持療法)。前述の期間は、1回又は複数回の治療ラウンド/サイクルに関連し得る。
【0157】
本明細書で提供される治療方法の有効性は、任意の好適な手段を用いて評価することができる。一実施形態では、併用治療の臨床的有効性は、客観的応答基準として骨髄におけるAML芽球減少を用いて分析される。本明細書に開示される方法に従って治療される患者、例えばヒトは、好ましくは、癌の少なくとも1つの徴候の改善を経験する。いくつかの実施形態では、以下のうちの1つ以上が起こり得る:癌細胞の数を低減することができる;癌の再発を予防又は遅延する;癌に関連する1つ以上の症状をある程度和らげることができる。更に、(国際公開第2017/010874号に記載されているように)T細胞媒介標的細胞溶解を判定するためのin vitroアッセイは、対象から単離されたAML腫瘍芽球を用いて行うことができる。
【0158】
いくつかの実施形態において、腫瘍細胞は、本明細書に記載される治療の後、もはや検出できない。いくつかの実施形態では、対象は、部分的に又は完全に寛解している。特定の実施形態において、対象は、増加した全生存期間、生存率中央値、及び/又は無増悪生存期間を有する。
【0159】
本発明の治療(例えば、CLEC12A/CD3二重特異性抗体)又はIL-15部分との併用治療はまた、治療されている癌に対するそれらの特定の有用性のために選択される他の周知の治療と併せて使用され得る。あるいは、本発明の組み合わせは、適切な場合、既知の薬学的に許容される薬剤と共に連続して使用され得る。
【0160】
化学療法剤の安全かつ有効な投与のための方法は、当業者に知られている。更に、それらの投与は、標準的な文献に記載されている。例えば、化学療法剤の多くの投与は、Physicians’Desk Reference(PDR)、例えば1996年版(Medical Economics Company,Montvale,N.J.07645-1742,USA)に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0161】
化学療法剤の投与及び/又は放射線療法は、治療されている疾患、並びにその疾患に対する化学療法剤及び/又は放射線療法の既知の効果に応じて変化し得ることが当業者には明らかであろう。また、当業者の知識に従って、患者に対する投与された治療剤の観察された効果を考慮し、そして投与された治療剤への疾患の観察された応答を考慮して、治療プロトコル(例えば、投与量及び投与時間)を変えることができる。
【0162】
本明細書に記載されているGenbankエントリ、特許及び公開された特許出願、並びにウェブサイトを含む全ての文書及び参考文献は、本文書に全て又は一部が記載されている場合と同程度に、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0163】
ここで、本発明は、以下の実施例を参照することによって説明されるが、これは例示的なものにすぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明を詳細に説明し、その特定の実施形態を参照して説明したが、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【0164】
明確さ及び簡潔な説明のために、特徴は本明細書では同じ又は別個の実施形態の一部として記載されているが、本発明の範囲は、記載される特徴の全て又は一部の組み合わせを有する実施形態を含んでもよいことが理解されよう。
【実施例0165】
実施例1
材料及び方法
フローサイトメトリー
Coulter FC500、Cyan-ADP,Gallios又はNAVIOS(商標)フローサイトメーター(Beckman Coulter)又はFACS CantoA(BD Biosciences)を使用して、フローサイトメトリーを実行した。Flowjoソフトウェア(TreeStar Inc)又はKaluzaソフトウェア(登録商標)(Beckman Coulter)を使用して、データを分析した。CD45/SSC及びCD3(T細胞について)に基づいて、リンパ球を除くSSC±CD45DIM及び/又はCD45POS細胞として、芽球を定義した。
【0166】
1. 細胞株上の抗体MF4327xMF5196対アイソタイプ対照IgGの特異的結合パターンを、抗ヒトIgG-PE抗体で視覚化された非コンジュゲート抗体で評価した。
【0167】
2. 健康なドナー由来の末梢血サンプルにおける抗体MF4327xMF5196二重特異性抗体対アイソタイプ対照IgGの特異的結合パターンを、a)CD1c-PE、CD19-ECD、CD3-PECY5、CD56-PECY7(Beckman Coulter)、CD8-AF700、CD4-Pacificブルー、CD45-Kromeオレンジ;又はb)CD303-PE、CD304-PE、CD14-ECD、CD33-PECY5、CD16-PECY7、及びCD45-Kromeオレンジと組み合わせたOregon GreenコンジュゲートIgGバッチを使用して試験した。
【0168】
3. 健康なドナー由来の骨髄サンプルのCD34POS分画における抗体MF4327xMF5196二重特異性抗体対アイソタイプ対照IgGの特異的結合パターンを、系列(CD3、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56)-FITC、CD38-ECD、7AAD、CD34-PECY7、CD10-APC、CD45RA-AF700、CD135a-BV421、CD90-BV510、及びCLEC12A-PE(R&D Systems)と組み合わせたPEコンジュゲートIgGバッチを使用して試験した。
【0169】
4. CD25-PE、7AAD、CD3-PECY7、CD69-APC、CD8-AF700、及びCD4-BV421を使用して、HL60細胞を用いる細胞傷害アッセイにおけるT細胞活性化を求めた。
【0170】
5. CD14-FITC、CD16-PE、CD19-ECD、7AAD、CD3-PECY7、CD69-APC、及びCD8-AF700を使用して、単球の細胞傷害を定量化した。
【0171】
6. T細胞の増殖を定量化するために、7AAD、CD3-PECY7、CD8-AF700、及びCD4-BV421を用いて、T細胞を視覚化した。
【0172】
7. a)CLEC12A-PE(Biolegend)、7AAD、CD34-PECY7、CD10-APC-AF750、及びCD5-BV421と;b)CD90-FITC、CLEC12A-PE(Biolegend)/IgG2a-PE、CD38-ECD、7AAD、CD34-PECY7、CD10-APC、CD45RA-AF700、CD123-BV421、又はCD135a-BV421、及び系列(CD3、CD14、CD16、CD19、CD20、CD56)-BV510とを使用して、CD34POS骨髄前駆細胞の細胞傷害を定量化した。
【0173】
8. AML芽球及び精製T細胞を用いた細胞傷害アッセイに使用されるAML芽球上のCLEC12A発現を、a)CLEC12A-PE(R&D Systems)、CD14-ECD、CD33-PECY5、CD38-PECY7、CD117-APC、CD19-AF700、CD34-BV421、及びCD45-kromeオレンジ;又はb)CLEC12A-PE(R&D Systems)、CD19-ECD、CD3-PECY5、CD56-PECY7(Biolegend)、CD8-AF700、CD4-BV421、及びCD45-kromeオレンジを使用して、定量化した。
【0174】
9. AML芽球及び精製T細胞を使用した細胞傷害アッセイにおける抗体MF4327xMF5196の有効性を、a)CD197-AF488、CD4-PE、CD45RO-ECD、7AAD、CD3-PECY7、CD8-AF700、及びCD45RA-Pacificブルーと;b)CD25-PE、CD4-ECD、7AAD、CD3-PECY7、CD117-APC、CD8-AF700、CD34-BV421、及びCD45-kromeオレンジとを使用して定量化した。
【0175】
10. AML芽球でのCLEC12A発現を、a)(1,000ng/mLの条件)CD14-FITC、CLEC12A-PE(R&D Systems)/IgG2b-PE、CD34-ECD、7AAD、CD33-PECY7、CD8-AF700、CD4-BV421、及びCD45-kromeオレンジ;又はb)(200ng/mLの条件)CD14-FITC、CLEC12A-PE(R&D Systems)、CD34-ECD、CD4-PECY5.5、CD117-APC、CD8-AF700、CD33-APC AF750、及びCD45-kromeオレンジを使用して判定した。
【0176】
11. 初代AML芽球サンプルにおける抗体MF4327xMF5196の有効性を、a)(1,000ng/mLの条件)CD14-FITC、CD34-ECD、7AAD、CD33-PECY7、CD3-APC、CD8-AF700、CD4-BV421、及びCD45-kromeオレンジ;又はb)(200ng/mLの条件)CD3-FITC、7AAD、CD4-PECY7、CD8-AF647、CD45RA-AF700、CD33-APC AF750、及びCD45-kromeオレンジを使用して評価した。
【0177】
二重特異性抗体
実施例で使用される抗体MF4327xMF5196及び実施例で参照される図は、配列表の概要において、配列番号56のIgVk1-39*01の共通軽鎖可変領域を有する、CLEC12A及びCD3に特異的な全長ヒトIgG1二重特異性抗体である。これには、配列表の概要に示されているMF4327の重鎖可変領域及びMF5196の重鎖可変領域がある。抗体の定常部分は、示されているように、エフェクター機能がサイレンシングされている、又はされていない場合がある。陰性対照抗体は、破傷風毒素に対するcLC単一特異性抗体(TTxTTIgG、アイソタイプ対照(de Kruif,Kramer et al.2009))、並びに破傷風毒素及びCD3に対するcLC二重特異性抗体(MockxCD3又はTTxCD3IgG、抗体MF4327XMF5196においてと同じCD3Fabを使用)であり;陽性対照抗体は、CD3に対する二価のcLC単一特異性抗体(CD3xCD3、抗体MF4327xMF5196においてと同じCD3Fabを使用)であった。二重特異性抗体の初期バッチでは、静電的に操作された重鎖を一過性の産生に使用し、95%を超える純度の二重特異性IgG1を得た(Gunasekaran,Pentony et al.2010)。CH3界面の荷電残基を伴う独自の変異が導入された重鎖Fc操作を使用して、その後のバッチを生成した(De Nardis,Hendriks et al.2017)。特に明記されていない限り、抗体MF4327xMF5196、MockxCD3、及びTTxTTIgGのIgGバッチは、CH2領域に変化を導入した際、Fcエフェクター機能を欠損している。
【0178】
親和性測定
抗体MF4327xMF5196を、マウス抗ヒトIgGモノクローナル抗体(BD Biosciences)を介してCM5チップ(GE Healthcare)に固定化した。続いて、組換え精製CLEC12A-His(Sino Biologicals)又は組換えCD3δε-Fcタンパク質を、Biacore T100機器(GE Healthcare)を使用して表面に流した。
【0179】
In vivo薬物動態試験
C57Bl/6Jマウスに、1mg/kgの抗体MF4327xMF5196の単回静脈内投与を行った。抗体MF4327xMF5196血清レベルを、抗ヒトIgG ELISA(ZeptoMetrix)を使用して様々な時点で定量化した。
【0180】
細胞株
HL60細胞(DSMZ)を、2mMのl-グルタミン及び10%FBS(Integro)を含有するIMDM(GIBCO Invitrogen,21980-065)中で培養した。CHO-K1(DSMZ)、Jurkat E6.1(LGC)、及びJ.RT-T3.5(LGC)細胞株を、2mMのl-グルタミン及び10%FBS(ThermoFisher Scientific)を補充したDMEM/F12(GIBCO Invitrogen,11320-033)で維持した。ヒトCLEC12AをコードするpcDNA3.1+ベクター(ThermoFisher Scientific)の安定な組み込みによって、CLEC12A-CHO-K1細胞株を生成した。
【0181】
臨床サンプル
AML患者サンプル(表III)及び健康なドナーの骨髄を、ヘルシンキ宣言並びにRUMC施設のガイドライン及び規制に従って取得した。液体窒素で保存するために、7%ジメチルスルホキシド(DMSO;Sigma-Aldrich,W387509)及び10%ウシ胎児血清(FBS,Integro)を含有するIMDM培地で、細胞を再懸濁した。解凍後、250μg/mLのDNAse(Roche,11284932001)及び1.25mMのMgCl2を含有する10%ヒト血清(HS,PAA laboratories)で、細胞を10分間インキュベートした。続いて、過剰量の培地で、細胞を洗浄した。
【0182】
精製T細胞を用いた細胞傷害アッセイ
健康なドナー又はAML患者から収集された末梢血(PB)から、密度勾配遠心分離によって、ヒト末梢血単核球(PBMC)を単離した(患者の特徴については表IIIを参照)。磁気細胞ソーティング(MACS,Miltenyi,130-096-535)を使用したネガティブ選択により、新たに単離又は凍結保存されたPBMCから、CD3
POST細胞を精製した。96ウェルプレート(Nunc(商標),ThermoFisher Scientific)で10%AB+HS(Sanquin)を補充したIMDMで、細胞傷害アッセイを行った。特に指定のない限り、10
5個のT細胞を使用した。CFSE標識HL60又は初代AML芽球標的細胞を使用した(ThermoFisher Scientific,C11-57)。CFSE標識の前に、100ng/mLのGM-CSF(Immunotools,11343125)、100ng/mLのG-CSF(Amgen Inc,Neupogen(登録商標))、50ng/mLのIL-3(Cellgenix)、25ng/mLのSCF(Immunotools,11343325)、及び20ng/mLのFlt3L(Immunotools,11343305)を補充したアッセイ培地で、AML芽球を一晩前培養した。続いて、抗体MF4327xMF5196又は対照IgGの存在下で同じサイトカインを補充したアッセイ培地で、T細胞及び標的細胞を共培養した。24~72時間後、フローサイトメトリーにより、T細胞活性化及び残りのCFSE
POS標的細胞の数を定量した(ゲーティングストラテジーについては
図7を参照)。特異的溶解の割合を次のように計算した:特異的溶解(%)=100-[(100xIgGを含む条件の標的細胞数)/(IgGを含まない条件の平均標的細胞数)]。
【0183】
PBMCベースの単球細胞傷害アッセイ
抗体MF4327xMF5196又は対照IgGの存在下で、10%AB+HSを含むIMDM中で、PBMC(2×10
5)を48時間インキュベートした。採取する前に、アッセイプレートを遠心分離(500g、5分)して、サイトカイン定量用の上清を収集した。続いて2~8℃で1時間インキュベートした後、細胞を洗浄せずにアッセイ培地で染色した。単球、B細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞の特異的溶解を、各アッセイウェルから収集した固定量でフローサイトメトリーによって定量化した(
図8)。
【0184】
T細胞増殖アッセイ
CFSE標識CD3POST細胞を、CD14POSMACS精製(Miltenyi,130-050-201)自己単球と共に、試験IgGを含む又は含まない10%AB+HSを用いてIMDM中で、5:1のE:T比にて、共培養した。5日後、増殖しているT細胞の分画を、フローサイトメトリーによってCFSELOWT細胞として視覚化した。
【0185】
サイトカイン分析
培養上清中のIL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、GM-CSF、TNF-α、及びIFN-γのレベルを、Luminex(登録商標)プラットフォーム(Life Technologies,LHC0001)を使用して測定した。
【0186】
健康なドナーの骨髄細胞を用いた細胞傷害アッセイ
CD3
POST細胞及びCD34
POS細胞を、MACS(それぞれ、Miltenyi,130-046-702及び130-050-101)を使用したポジティブ選択により、健康なドナーの骨髄単核細胞(整形外科患者から入手又はLonza,2M-125Cから購入)から単離した。10%HS A+(Sanquin血液バンク)及び30IU/mLのIL-2(Chiron,Proleukin(登録商標))を補充したIMDMにおいて、抗CD3(1μg/mL、BD Bioscience,555329)及び抗CD28(2μg/mL、BD Bioscience,555725)でプレコートされたプレートで、精製T細胞を6日間活性化することにより、前活性化T細胞を生成し、続いて30IU/mLのIL-2を有するプレートに一晩静置した。翌日、前活性化T細胞を、自己CD34
POS細胞と共に、10:1のE:T比にて、抗体MF4327xMF5196の存在下又は対照条件での96ウェルプレート(Corning Costar,3799)中の10%A+HSを補充したIMDMにおいて、共培養した。16時間後、抗体MF4327xMF5196の影響を、以下に説明するように、様々なCD34
POS前駆細胞集団及びコロニー形成単位(CFU)アッセイのフローサイトメトリーによって定量化した。フローサイトメトリーによる定量化には、フローカウント蛍光球(Beckman Coulter,7547053)を使用した。ゲーティングストラテジーについては、
図10及び11を参照されたい。
【0187】
コロニー形成単位(CFU)アッセイ
赤血球及び単骨髄球コロニーの成長を分析するためのMethoCult GF H84435(Stemcell Technologies,84435)、並びに巨核球コロニーの形成を分析するためのMegaCult(商標)-C(サイトカイン(04971)と、ヒト低密度リポタンパク質(40μg/mL、02698)が添加された完全キット、両方ともStemcell Technologies製)中で、製造元の指示に従って洗浄した際、T細胞及びCD34POS細胞の共培養物を接種した。MethoCult及びMegaCult(商標)-Cアッセイの両方で、非IgG条件でのCD34POS細胞数に基づいて、2つの異なる濃度で共培養物を接種し、抗体MF4327xMF5196と対照IgGとで処理した共培養物の、等量の細胞を接種した。MethoCultアッセイでは、非IgG条件の1×103及び5×102CD34POS細胞を、35mm培養皿(Corning,430165)に3回接種し、MegaCult-Cアッセイでは、ダブルチャンバ培養スライドと条件毎に準備された2つのスライドのチャンバ毎に、7.5×103及び2.5×103CD34POS細胞を接種した。赤血球、単骨髄球及び巨核球のコロニー数を13~15日間の培養後に記録し、続いてMethoCult培養物を採取し、フローサイトメトリーで単球及び骨髄球のマーカーを分析した。
【0188】
初代AMLサンプルを用いた細胞傷害アッセイ
抗体MF4327xMF5196又は対照二重特異性IgGの存在下で、10%AB+HS、2.5ng/mLのGM-CSF、12.5ng/mLのG-CSF(Neupogen,Amgen)、6.25ng/mLのIL-3(Immunotools,11340035)、3.0ng/mLのSCF、及び2.5ng/mLのFlt3Lを含有するIMDMで、初代AML患者サンプル(5×105細胞)を培養した。24時間後、20ng/mLのIL-15(Miltenyi,130-095-766)を培養物に添加した。10日後、AML芽球溶解とT細胞増殖をフローサイトメトリーで定量した。
【0189】
ヒトAML患者における抗体MF4327xMF5196投与レジメン。
MF4327xMF5196抗体は、3~6人の患者のコホートで用量漸増を用いて、第1のヒト試験において単一の薬剤として検討される。有効かつ安全な用量を提供するように設計された投与レジメンで抗体を患者に投与した。抗体を、2~4時間の注入で投与した。治療を時間間隔で計画した。投与レジメンを、サイトカイン放出症候群(CRS)の重症度と発生率を予防及び最小化するように設計した。
【0190】
治療レジメンには、第1のサイクル(最初の28日間)に適用される構成要素がある。プライミング用量(C1D1);ステップアップ及び固定全用量(C1D4、C1D8、C1D15)、並びに予備薬剤の使用。プライミング用量:第1の投与(C1D1)は低用量(1mg、3mg、5mg)で投与される。ステップアップ用量:C1D1後の後続の用量は、計画された全用量が投与されるまで、用量を段階的に増やして投与される。ステップアップ用量には、第1の週の間により頻繁な投与が含まれる。第1の週では、治療は3日に1回行われ(D1-D4-D8)、その後治療は7日に1回(1週間に1回)行われる。固定全用量:全用量は15日目に投与され、そこから治療は固定全用量で投与される。予備薬剤:各MF4327xMF5196抗体投与の前に投与されるものには、アセトアミノフェン及び抗ヒスタミン薬(抗H1)が含まれる。
【0191】
第1のサイクルの後、治療は、1週間に1回のレジメン(1-8-15-22日目)で投与される全用量で継続する。注入は、常に予備薬剤を用いて2~4時間で投与される。
【0192】
1つのコホートでは、1日目に1mgのプライミング用量を投与し、続いて4日目に3mg及び8日目に15mgのステップアップ用量、及び15日目に25mgの全用量を患者に投与した。
【0193】
別のコホートでは、1日目に3mgのプライミング用量、続いて4日目に10mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、及び15日目に40mgの全用量を患者に投与した。
【0194】
更なるコホートでは、1日目に5mgのプライミング用量、続いて4日目に15mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、及び15日目に60mgの全用量を患者に投与した。
【0195】
各投与前、及び注入終了後4時間及び24時間のサイトカインレベルの分析を含め、治療に対する患者の反応を追跡した。
【0196】
結果
抗体MF4327xMF5196は、正常な造血区画内のCLEC12A
POS及びCD3
POS細胞に特異的に結合する。
抗体MF4327xMF5196は、AMLに存在するものなど、CLEC12a陽性癌細胞を治療するために開発されたT細胞標的二重特異性抗体である。それは、T細胞上のCD3とAML芽球及びLSC上のCLEC12Aとに結合する。抗体MF4327xMF5196は、共通軽鎖(cLC)二重特異性IgGフォーマットに基づくヒト全長IgG1二重特異性抗体である。腫瘍細胞株を使用したフローサイトメトリーは、抗体MF4327xMF5196がCLEC12A及びCD3に特異的に結合することを示した(
図1A)。それは、そのCLEC12Aアームを介して、CLEC12A
POSHL60細胞、並びにヒトCLEC12AでトランスフェクトされたCHO-K1細胞に結合したが、親CHO-K1細胞には結合しなかった。それは、そのCD3アームを介して、CD3
POSJurkatE6.1細胞に結合したが、CD3NEGJurkat J.RT-T3.5細胞には結合しなかった。その標的タンパク質に対する抗体MF4327xMF5196の親和性は、組換えタンパク質を使用した表面プラズモン共鳴技術によって判定されたように、CLEC12Aについては3nM、CD3については177nMであった。抗体MF4327xMF5196の操作されたFc領域が薬物動態(PK)に潜在的な影響を与えるかどうかを調査するために、抗体MF4327xMF5196のin vivo半減期を、C57BL/6Jマウスで測定し、226時間(9.4日)であることが見出された。この半減期は、げっ歯類におけるヒトIgG1抗体で典型的に観察されるin vivo半減期の範囲内であり、ヒトcLC二重特異性抗体の特異的設計がIgGの非特異的除去経路に影響を与えないことを示している。正常な末梢血における抗体MF4327xMF5196の結合プロファイルの分析は、抗体MF4327xMF5196がCD3発現CD4
POS及びCD8
POST細胞、並びにCD3
POSCD56
POSNK T(NKT)細胞に結合することを示した(
図1B)。以前に報告されたCLEC12Aの発現プロファイル(Bakker,van den Oudenrijn et al.2004,Marshall,Willment et al.2004,Lahoud,Proietto et al.2009)に従って、抗体MF4327xMF5196は、単球、骨髄樹状細胞(mDC)、形質細胞様樹状細胞(pDC)、及び顆粒球にも結合したが、ナチュラルキラー(NK)細胞又はB細胞には結合しなかった(
図1B、データは示されていない)。正常な骨髄では、CD34
POS前駆細胞区画内の抗体MF4327xMF5196の結合プロファイル(
図1C)も、報告されているCLEC12A発現プロファイル(van Rhenen,van Dongen et al.2007)に類似していた。抗体MF4327xMF5196は、顆粒球-マクロファージ前駆細胞(GMP)細胞に均一に結合したのに対して、共通骨髄性前駆細胞(CMP)及び巨核球-赤血球前駆細胞(MEP)サブセットのごく一部にしか結合しなかった。特に、抗体MF4327xMF5196の結合は、CD34
POSCD38
NEG区画内で観察されず、これは、多能性前駆細胞(MPP)及び多能性造血幹細胞(HSC)を含む。
【0197】
抗体MF4327xMF5196は、CLEC12A特異的T細胞活性化及びCLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する。
次に、細胞傷害アッセイにおいて、CLEC12AxCD3二重特異性IgG抗体が、CLEC12A抗原特異的T細胞活性化及びCLEC12A
POS標的細胞の溶解を誘導する能力を測定した。エフェクター細胞は健康なドナー由来の休止T細胞であり、標的細胞はCLEC12A
POSHL60細胞であった。このアッセイでは、野生型(WT)Fc領域(完全なFcエフェクター機能)を持つMF4327xMF5196二重特異性抗体を、WTFc領域でフォーマットされたMockxCD3対照IgGと比較した。MF4327xMF5196二重特異性抗体は、24時間後及び48時間後にCD4及びCD8T細胞上でCD69(
図2A)及びCD25(データは示さず)のアップレギュレーションを誘導した。HL60細胞のT細胞媒介性溶解は、24時間後に既に明らかであり、95%超のHL60細胞の細胞傷害が、48時間後に測定された(
図2B)。標的細胞の溶解は、エフェクター対標的比(E:T比)と相関し、E:T比が5:1以上で最大溶解が見られる(
図9)。特に、CLEC12AxCD3誘導性の溶解活性は、CLEC12A抗原媒介性のものであった(
図2A、
図2B);後の時点でのみ、一部のT細胞活性化及びHL60標的細胞溶解が、MockxCD3対照について観察された。それにもかかわらず、このことにより、WTFcを用いた二重特異性IgGフォーマットが、CLEC12A結合を必要とせずにFcγ受容体媒介性T細胞活性化を誘導できることが明らかになった(
図2A及び
図2B、72時間)。
【0198】
サイレンシングされたFcエフェクター機能を有する抗体MF4327xMF5196は、CLEC12A
POSAML細胞株の特異的溶解を誘導する。
二重特異性抗体MF4327xMF5196が非特異的Fcγ受容体媒介性の細胞溶解を誘導するのを防ぐために、両方のIgG1重鎖のCH2領域に変化を導入することにより、Fcエフェクター機能を欠く二重特異性IgGフォーマットを生成した。Fcエフェクター機能を軽減する様々な手段が、当技術分野で知られている。CD16、CD32、及びC1qへの結合、並びに200倍超まで減少したCD64への結合を、CH2ドメインの残基を修飾するFc操作を介して達成した。正常な休止T細胞及びCLEC12A
POSHL60細胞を使用した細胞傷害アッセイでは、抗体MF4327xMF5196が、CD4T細胞及びCD8T細胞でCD69(
図2C)及びCD25(
図2D)のアップレギュレーションを誘導した。抗体MF4327xMF5196誘導性活性の最も感度の高い読み取り値は、44ng/mLの平均半値最大有効濃度(EC
50)を有するCD8T細胞上のCD69のアップレギュレーションであった(表I)。更に重要なことに、抗体MF4327xMF5196は、100ng/mL以上の濃度で80%超の溶解、68ng/mLの平均EC
50を有する、HL60細胞のT細胞媒介性溶解を誘導した(
図2E、表I)。野生型Fcエフェクター機能を有するMockxCD3抗体によるCD4及びCD8T細胞の活性化は、2日目に既に見られたが(
図2A、1000ng/mL)、48時間後にFcγ受容体サイレンシングMockxCD3抗体ではT細胞活性化は観察されず、更に8000ng/mLであっても観察されなかった(
図2C~
図2D)。まとめると、これは、Fcγ受容体サイレンシング抗体MF4327xMF5196(
図2C~
図2E)によって誘導されるT細胞の細胞傷害が、CLEC12A抗原特異的であることを示している。まとめると、これらのデータは、Fcエフェクター機能が低下した抗体MF4327xMF5196が、CLEC12A特異的T細胞活性化を媒介し、これらのT細胞を効果的にリダイレクトして、CLEC12A
POSHL60細胞の溶解を誘導する能力を実証する。
【0199】
抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞による、CLEC12A
POS単球の特異的溶解を誘導する。
抗体MF4327xMF5196が、休止自己T細胞によりCLEC12A
POS単球のリダイレクトされた溶解を誘導する能力を、PBMC培養物中で求めた。抗体MF4327xMF5196は、CD4T細胞及びCD8T細胞の活性化(
図3A)、及び単球の溶解(100ng/mLから、
図3B)を誘導した。重要なことに、MockxCD3対照は、10,000ng/mLまでの濃度で観察可能なT細胞活性化又は単球溶解を誘導しなかったため、抗体MF4327xMF5196誘導性活性はCLEC12A特異的であった(
図3A~
図B)。更に、抗体MF4327xMF5196で活性化された細胞傷害性T細胞の溶解活性は、試験された最も高い抗体MF4327xMF5196濃度であっても、B細胞及びNK細胞分画に影響を与えなかったため、CLEC12A抗原発現細胞に対して選択的であった(
図3C、データは示されていない)。
【0200】
これらのデータは、抗体MF4327xMF5196が、自己T細胞のリダイレクト及び活性化を介して、CLEC12APOS単球のCLEC12A制限リダイレクト溶解を効率的に誘導できることを実証する。
【0201】
サイトカイン放出及びT細胞増殖のCLEC12A特異的誘導。
次に、抗体MF4327xMF5196が、T細胞増殖を誘導する能力を、単球と自己休止T細胞との共インキュベーションで試験した。抗体MF4327xMF5196は、100及び1,000ng/mLでCD4及びCD8T細胞の両方のCLEC12A特異的増殖を効率的に誘導した(
図3D)。5日間の共培養後、MockxCD3対照は、T細胞増殖を全く誘導せず、抗体MF4327xMF5196の機能が、CLEC12A特異的であることをもう一度証明した。次に、1,000ng/mLで抗体MF4327xMF5196に48時間曝露した後、これらのPBMC培養物中でサイトカインのレベルを測定した。抗体MF4327xMF5196は、IL-1β、TNF-α、IFN-γ、IL-6、及びIL-10の放出を10~200pg/mLの範囲で、IL-8の放出を10,000~30,000pg/mLの範囲で誘導した(
図3E)。概して、抗体MF4327xMF5196誘導性サイトカインレベルは、抗CD3二価単一特異性抗体による刺激後に得られたものよりも低かった。MockxCD3対照の存在下でのサイトカイン放出が、存在しない又は制限されていたため、抗体MF4327xMF5196誘導性サイトカイン放出は、CLEC12A特異的であった。これらのデータは、抗体MF4327xMF5196が、CLEC12A
POS単球との共インキュベーション時に、自己T細胞を誘導してサイトカインを増殖及び放出できることを実証する。
【0202】
抗体MF4327xMF5196誘導性の正常なCD34+細胞の標的化は、赤血球と巨核球の分化を温存し、単骨髄球系を発達させる潜在力を保持する。
CLEC12Aは、正常なCD34
POS区画内の単骨髄性前駆細胞区画で発現するため、正常な造血に対する抗体MF4327xMF5196の影響を評価することを目的とした。この目的のために、健康なドナーの骨髄由来CD34
POS細胞及び前活性化自己T細胞を用いた細胞傷害アッセイを実施した。前活性化T細胞を使用して、アッセイの結果に対するCD34
POS細胞のin vitro分化の影響を最小限に抑える、短い16時間の細胞傷害アッセイウィンドウを得た。抗体MF4327xMF5196が、CLEC12A
POSCD34
POS細胞の86%超を特異的に溶解し、CLEC12A
NEGCD10
POS又はCD10
NEG細胞分画は、影響を受けないことが観察された(
図4A)。様々なCD34
POS前駆細胞分画の詳細な分析により、抗体MF4327xMF5196が、CLEC12Aを発現するGMPを標的とすることが明らかになった(3倍減少、
図4B)。抗体MF4327xMF5196は、CLEC12A(CMP及びMEP)を部分的に発現する細胞分画にも、CLEC12A陰性のHSC、MPP、及び共通リンパ球前駆細胞(CLP)にも有意な影響を与えなかった。興味深いことに、抗体MF4327xMF5196は、CD123
POS細胞の分画のみを溶解し、これは、CD123
POSCLEC12A
NEG細胞の大きなサブセットが、CMPを含むサブセットである抗体MF4327xMF5196の影響を受けないことを示している(
図4C)。
【0203】
次に、抗体MF4327xMF5196誘導性のリダイレクト溶解時に、正常なCD34
POS細胞分画が、単球、顆粒球、赤血球、巨核球を生じさせる能力を、CFUアッセイを使用して機能レベルで評価した。骨髄CD34
POS造血前駆細胞からの赤血球(BFU-E;バースト形成単位-赤血球)又は巨核球(CFU-Mk;コロニー形成単位-巨核球)コロニーの成長は、抗体MF4327xMF5196の影響を受けなかった(
図4D)。特に、抗体MF4327xMF5196誘導性のリダイレクト溶解が、GMPの大幅な減少を引き起こしたにもかかわらず、顆粒球マクロファージコロニー(CFU-GM)の成長における24%のわずかな減少のみが機能レベルで観察された。興味深いことに、抗体MF4327xMF5196の影響を受けないGM前駆細胞は、CFU-GMコロニーのフローサイトメトリー分析によって測定されるように、CD14
POSCD36
POSCD33
POS単球細胞とCD15
POSCD33
POS骨髄球細胞の両方を発達させる能力を保持していた(
図4E)。
【0204】
これらのデータを総合すると、抗体MF4327xMF5196が赤血球巨核球の発達に影響を与えないことが示されている。更に、CLEC12APOSCD34POS前駆細胞を効率的に根絶する一方で、抗体MF4327xMF5196治療により、顆粒球及び単球の発達能が保持される。
【0205】
抗体MF4327xMF5196は、自己T細胞による初代AML芽球のリダイレクト溶解を誘導する。
次に、抗体MF4327xMF5196が、AML患者由来のT細胞を誘導してCLEC12A
POS標的細胞を溶解する能力を測定した。形態学的臨床寛解期のAML患者のT細胞区画は、ナイーブ、セントラルメモリー(CM)、エフェクターメモリー(EM)、及び再獲得CD45RA(EMRA+)を伴うエフェクターメモリー細胞の正常な組成を示した(
図12A、
図12B及び表III、患者1~6)。AML患者T細胞が、CLEC12A
POS標的細胞の抗体MF4327xMF5196細胞傷害を媒介する能力を分析することにより、抗体MF4327xMF5196媒介性のT細胞活性化及びCLEC12A
POS細胞の溶解を誘導するAML患者由来T細胞の能力と、健康なドナー由来T細胞の能力との間に差がないことを明らかになった(
図12C~
図12E)。
【0206】
抗体MF4327xMF5196が、後の時点で同じAML患者から収集した休止自己T細胞により初代AML芽球のCLEC12A特異的溶解を誘導する能力を測定した(
図5A、表IIIに記載の患者、患者7~9)。診断時に得られた初代AML芽球サンプルは、CLEC12Aを発現する芽球の高い割合(80%超)を含有していた(
図5B)。AML芽球を、臨床的寛解中に得られた自己休止T細胞と、5:1のE:T比にて48時間共培養した。抗体MF4327xMF5196は、CD4及びCD8T細胞の強力なCLEC12A特異的活性化、並びに70%超のAML芽球溶解を誘導した(
図5C~
図5E)。これらのデータは、抗体MF4327xMF5196が、自己T細胞によるCLEC12A
POS初代AML芽球の溶解を効率的に誘導できることを明らかにしている。
【0207】
抗体MF4327xMF5196は、低いE:T比を有する診断サンプルにおける初代AML芽球の溶解をリダイレクトする。
次に、抗体MF4327xMF5196が、診断時に収集された初代AMLサンプル中の自己T細胞によるAML芽球の溶解を誘導する能力を測定した。試験した初代AMLサンプル(表IIIに列挙、患者10~19)では、T細胞の数は、AML芽球の数と比較して相対的に少なく、有効なE:T比(1:3~1:97、表II)が低くなった。FACS分析により、CLEC12A発現に関して患者の不均一性が明らかになった(表II)。初代AMLサンプルをサイトカインカクテルの存在下で10日間培養し、アッセイ中のAML芽球及びT細胞の生存をサポートした。培養の10日後、抗体MF4327xMF5196の非存在下でのAML芽球回復の中央値は、41~1591%であった。培養開始時に、抗体MF4327xMF5196及びMockxCD3対照IgGを、一度に添加した。T細胞増殖及びAML芽球溶解を、7日目及び10日目にフローサイトメトリーによって定量化した。抗体MF4327xMF5196は、CLEC12A媒介性T細胞増殖(増殖倍率の範囲6~157)を効率的に誘導しただけでなく、7日目及び10日目にAML芽球溶解も誘導した(
図6)。10日目に、抗体MF4327xMF5196は、10/11の患者サンプルでAML芽球溶解を効率的に誘導した(23~98%)。MockxCD3対照抗体も一部のサンプルで腫瘍細胞の数を低減したが、それらのサンプルでは、T細胞活性化のレベルは、抗体MF4327xMF5196で観察されたものよりもはるかに低かった(抗体MF4327xMF5196対MockxCD3に基づいて中央値48対2倍のT細胞増殖)。特に、抗体MF4327xMF5196は、エフェクター対標的比が非常に低いAMLサンプルであっても活性があった(
図6及び表II)。芽球溶解が観察されなかった1つのAMLサンプル(患者16)の場合、T細胞増殖のレベルも、10の抗体MF4327xMF5196応答性サンプルで観察された中央値48倍のT細胞増殖と比較して、わずか15倍であった。結論として、抗体MF4327xMF5196は、AML患者の骨髄サンプルに存在するT細胞によるAML芽球のCLEC12A媒介性溶解を、非常に低いE:T比であっても、効率的に誘導し、活発なT細胞増殖も引き起こした。
【0208】
ヒトAML患者における抗体MF4327xMF5196投与レジメンは、サイトカインレベルの軽減につながる。
患者のサイトカインレベルは、抗体MF437xMF5196による治療の際に測定された。
【0209】
図14は、1日目に1mgのプライミング用量、続いて4日目に3mg及び8日目に15mgのステップアップ用量、そして15日目に25mgの全用量を投与した患者から得られたデータを示している。
【0210】
図15は、1日目に3mgのプライミング用量、続いて4日目に10mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に40mgの全用量を投与した患者から得られたデータを示している。
【0211】
図16は、1日目に5mgのプライミング用量、続いて4日目に15mg及び8日目に25mgのステップアップ用量、そして15日目に60mgの全用量を投与した患者から得られたデータを示している。
【0212】
全体として、データは、選択された患者において、プライミング用量及びステップ用量用量の投与が、全用量が投与されたときのサイトカイン放出を軽減することを示している。様々なコホートの特定の患者では、プライミング、ステップアップ、及び全用量を通じて、限られたサイトカイン放出が観察された(データは示されていない)。
【0213】
議論
実施例で言及される抗体MF4327xMF5196は、全長抗体である。CLEC12AxCD3二重特異性ヒトIgG1抗体のFcエフェクターサイレンシングバージョンは、AML芽球及び白血病幹細胞(LSC)上でCLEC12Aを標的とすることにより、AMLの全てのサブタイプを治療できることが示されている。抗体MF4327xMF5196は、T細胞を効率的に活性化及びリダイレクトして、AML細胞などのCLEC12A発現細胞を溶解する強力な二重特異性抗体である。10/11の初代AML患者サンプルにおいて、このCLEC12AxCD3T細胞エンゲージャーは、常在の自己T細胞をリダイレクトすることにより、CLEC12A媒介性のAML芽球の溶解を効率的に誘導した。このex vivoサイトカインサポートシステムでは、AMLサンプルを抗体MF4327xMF5196の存在下で7~10日間培養した。このアッセイは、2つの方法で抗体MF4327xMF5196の有効性を確証する。すなわち、抗体MF4327xMF5196が、これらのサンプルでAML患者T細胞の増殖を誘導する能力を有していることを明らかにし、それらの抗体MF4327xMF5196リダイレクトT細胞が、細胞溶解を介してAML芽球に細胞溶解活性をリダイレクトできることを示す。(表IIに示されている)。抗体MF4327xMF5196は、低い初期E:T比(1:45~1:97)又は比較的低レベルのCLEC12A発現を有するAMLサンプルであっても、有意なT細胞増殖及び芽球溶解を誘導することができた。ex vivoアッセイにおける抗体MF4327xMF5196対MockxCD3の条件の比較により、抗体MF4327xMF5196誘導性活性が、CLEC12A抗原媒介性のものであることが明らかになり;9/10の初代AMLサンプルにおけるMockxCD3の最小活性と比較して、抗体MF4327xMF5196の活発なT細胞増殖及びAML芽球溶解が観察された。AML芽球溶解及び活発な抗体MF4327xMF5196誘導性T細胞増殖の両方を欠いた1つの非応答性サンプル(患者16)は、重篤なT細胞機能不全を有している可能性が高い。
【0214】
健康なドナーT細胞を多くの初期実験で使用したが、細胞傷害アッセイはまた、AML患者由来T細胞を使用して実行され、抗体MF4327xMF5196が疾患設定でT細胞をリダイレクトする能力を試験した。免疫シナプス形成の障害及びT細胞共刺激能の低下など、AMLT細胞について特定の欠陥が報告されている(Wendelbo,Nesthus et al.2004,Le Dieu,Taussig et al.2009)。ここでは、抗体MF4327xMF5196が、健康なドナー由来T細胞をリダイレクトしてCLEC12APOS腫瘍細胞のCLEC12A特異的溶解を誘導するのと同じ程に効率的に、形態学的臨床寛解(n=6)で得られたAML患者由来T細胞をリダイレクトできることが示されている。更に、10/11のAMLサンプルでは、抗体MF4327xMF5196が、初代de novo AMLサンプルの自己T細胞を効果的にリダイレクトしてAML芽球を溶解できることが見出された。ここでは、AML患者由来T細胞が、全長IgG CD3エンゲージ二重特異性IgGによって機能的に活性化され得、これにより、HSC温存法及び低E:T比にて、T細胞活性化及び増殖をもたらすことが実証されている。抗体MF4327xMF5196を介した自己T細胞のこのような機能的活性化は、エフェクターT細胞区画を効果的に拡大し、したがって、患者のAML芽球及びLSCの効率的な根絶に対する、より有利なE:T比を促進する。
【0215】
正常な骨髄では、抗体MF4327xMF5196の結合は、骨髄区画に限定される。これは、抗体MF4327xMF5196が、CLEC12A特異的標的化により、骨髄の他の領域を温存することが可能であるためである。ここでは、抗体MF4327xMF5196が、骨髄内のGMP細胞に均一に結合するのに対し、CMP及びMEPサブセットのごく一部の分画にしか結合しないことが示されている。更に重要なことに、抗体MF4327xMF5196は、多能性HSCを含むCD34POSCD38NEG区画に結合しない。CMP及びMEP分画での微量のCLEC12A発現と同様に、抗体MF4327xMF5196は、in vitroCFUアッセイで赤血球又は巨核球系の発達に影響を与えないことが示されている。更に、抗体MF4327xMF5196は、ex vivo細胞傷害アッセイでCLEC12APOSGMP細胞の数を低減したが、追跡調査のCFUアッセイでは、抗体MF4327xMF5196治療時に、残りのCD34POS骨髄細胞により、単球及び骨髄球系の両方を生じさせることができたことが観察され、このことは、抗体MF4327xMF5196の治療によって観察可能な影響を受けないHSC及びMPPを含むCD34POSCLEC12ANEG前駆細胞から生じる単骨髄球成長を可能にする(van Rhenen,van Dongen et al.2007,Notta,Zandi et al.2016,Bill,van Kooten Niekerk et al.2018)。
【0216】
抗体MF4327xMF5196を患者に投与した後の血液毒性は、好中球減少症及び単球数の減少に限定される得ることが予想される。本結果は、抗体MF4327xMF5196リダイレクト溶解時に、好中球及び単球が、残りのCD34POS細胞から宿主に再集団化できることを実証している。抗体MF4327xMF5196による治療後の造血細胞が再集団化する潜在力は、CD33又はCD123を標的とする治療の可能性の高い状況と対照的である(Aigner,Feulner et al.2013,Al-Hussaini,Rettig et al.2016)。CLEC12Aと比較して、CD33及びCD123は、CMP、GMP、及び多能性HSCを含む正常なCD34POS前駆細胞でより広く発現している(Taussig,Pearce et al.2005)。本発明は、CLEC12A標的化が、CD123ダイレクト療法の標的である正常なCD123POSCMPを温存することを示している。ヒト化マウスでのin vivo試験では、キメラ抗原受容体(CAR)形質導入T細胞を標的とするCD33及びCD123が、CD34POSCD38NEG幹細胞分画で溶解を誘導することが示されている(Pizzitola,Anjos-Afonso et al.2014、Kenderian,Ruella et al.2015)。結果として、CD33及びCD123を標的とする療法について、血液毒性の懸念が提起されてきた。すなわち、これらの療法は、正常な造血区画の効率的な再開を妨げるHSC根絶のリスクに加えて、血小板減少症、好中球減少症、及び貧血を誘導する可能性がある。
【0217】
抗体MF4327xMF5196のFc領域は、FcRn受容体への結合に影響を与えることなく、FcγR及びC1qへの結合を防ぐように修飾されている。単球アッセイの結果は、抗体MF4327xMF5196誘導性のT細胞活性化及び関連するサイトカイン放出が、CLEC12A発現細胞に限定されていることを実際に示した。Fcサイレンシングは、CD3POS及び/又はCLEC12APOS細胞の典型的な抗体依存性細胞傷害(ADCC)及びC1q媒介性の補体依存性細胞傷害(CDC)を抑える。本データは、抗体MF4327xMF5196で活性化されたT細胞がCLEC12APOS細胞を選択的に溶解することを示している(例えば、B細胞及びNK細胞はPBMC培養では影響を受けなかった)。
【0218】
マウスでの試験により、全長IgG1である抗体MF4327xMF5196の、正常なFcRn媒介性のin vivo半減期は、9~10日であることが確認された。これは、他のT細胞エンゲージャーの概念とは異なり、患者における抗体MF4327xMF5196の効果的な全身レベルが、1週間に1回の静脈内投与によって達成できることを意味する。
【0219】
抗体MF4327xMF5196は、正常なHSCを温存しながら、骨髄芽球を選択的に標的とする。残存LSCを根絶する潜在力に基づいて、抗体MF4327xMF5196は、AMLにおける最小残存疾患(MRD)の管理のために考慮されている。
【0220】
実施例2
骨髄増殖性腫瘍芽球期(MPN-BP)の患者からのCLEC12A陰性及びCLEC12A陽性のCD34+幹細胞及び前駆細胞の試験。
【0221】
MPN-BP患者の骨髄から細胞を採取した。前方散乱(FSC)、側方散乱(SSC)、CD45、CD34、CD38、及びCLEC12Aの発現に基づいて、CD34+細胞を選別した。低SSCを有し、CD45
dim、CD34
+、CD38
-であった細胞を、CLEC12A発現に基づいて2つの分画に選別した。SCF、IL-3、IL-6、EPO、G-CSF、及びGM-CSFを補充したMethoCult(商標)H4435 Enriched(STEMCELL technologies)で細胞を平板培養し、12~14日間インキュベートした。コロニーを採取し、SCF、IL-3、IL-6、EPO、G-CSF、及びGM-CSFを補充したMethoCult(商標)H4435 Enriched(STEMCELL technologies)で再平板培養し、12~14日間再インキュベートした。1回目の平板培養の結果、CLEC12A陰性分画は、1500個の平板培養された細胞当たり、20個の大きなコロニー(40細胞以上)及び10個の小さなコロニー(コロニー1個当たり40細胞未満)を有していた。CLEC12A陽性分画は、1500個の平板培養された細胞当たり、大きなコロニーを有しておらず、32個の小さなコロニーを有していた。CLEC12A陰性分画のプレートのコロニーは、再平板培養実験で二次コロニーを生成できず、1500個の接種された細胞当たり、大きなコロニー又は小さなコロニーはゼロであった。一方、CLEC12Aの1回目の平板培養からの細胞を再平板培養すると、1500個の細胞当たり44個の小さなコロニーが生じ、これらの約80%がJAK2ドライバー変異に陽性であった(
図13を参照されたい。)
【0222】
まとめ
MPN-BP患者からのCD34posCD38-CLEC12A-細胞は、主にCFU-GMである初代培養でのみ造血コロニー(CFU-GM)を生成することができる。対照的に、CLEC12Aを発現しているMPN-PB患者のCD34-CD38-幹細胞は、連続的に再平板培養され得る芽球コロニーを生成することができるため、白血病開始能を含む。
【0223】
差次的CLEC12A発現は、MPN-BPの患者から白血病開始細胞(LIC)を同定、根絶、及び/又は単離するために使用できる。本明細書に開示されるCD3-CLEC12A二重特異性抗体を使用して、MPN-PB中のこれらのLICを根絶し、MPN芽球期細胞の数を低減し、それによってMPN-BP患者の疾患を緩和することができる
【0224】
引用技術
Aigner,M.,J.Feulner,S.Schaffer,R.Kischel,P.Kufer,K.Schneider,A.Henn,B.Rattel,M.Friedrich,P.A.Baeuerle,A.Mackensen and S.W.Krause(2013).「T lymphocytes can be effectively recruited for ex vivo and in vivo lysis of AML blasts by a novel CD33/CD3-bispecific BiTE antibody construct.」Leukemia 27(5):1107-1115.
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抗体MF4327xMF5196EC50値を、HL60細胞傷害アッセイにおいて求めた。データは6人の健康なドナーからのものである。
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